以下、本発明を実施するための形態について説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態について説明する。図1は第1の実施の形態における無線通信システム10の構成例を表している。
無線通信システム10は、制御装置100と第1及び第2の基地局装置200−1,200−2を備える。
第1及び第2の基地局装置200−1,200−2は、例えば、移動局装置と無線通信を行う無線通信装置である。例えば、第1及び第2の基地局装置200−1,200−2は、自局のサービス提供範囲に在圏する移動局装置に対して無線通信を行うことで、通話サービスなど種々のサービスを提供できる。第1及び第2の基地局装置200−1,200−2は、例えば、移動局装置との間の無線区間における第1及び第2の品質情報を制御装置へ夫々送信する。
制御装置100は、比率算出部110と協調パターン選択部120を備える。
比率算出部110は、第1及び第2の基地局装置200−1,200−2から夫々送信された第1及び第2の品質情報に基づいて、第1の割合と第2の割合を算出する。第1の割合は第1及び第2の基地局装置200−1,200−2が協調して無線通信を行う割合であり、第2の割合は第1及び第2の基地局装置200−1,200−2が協調することなく第1の基地局装置200−1が無線通信を行う割合である。
協調パターン選択部120は、複数の期間において、第1及び第2の割合に基づいて第1及び第2の基地局装置について協調通信を行う又は行わないかを示す協調パターンを選択する。協調パターン選択部120は、選択した協調パターンを第1及び第2の基地局装置200−1,200−2へ送信する。期間は、例えば、サブフレーム期間であり、第1及び第2の基地局装置200−1,200−2においてスケジューリングを行うスケジューリング期間でもある。
第1及び第2の基地局装置200−1,200−2は協調パターンを受信する。協調パターンを受信した第1の基地局装置200−1は、例えば、協調パターンに従って、第2の基地局装置200−2と協調して移動局装置と無線通信を行ったり、第2の基地局装置200−2と協調することなく単独で移動局装置と無線通信を行う。
このように本第1の実施の形態においては、制御装置100において第1及び第2の割合を予め算出し、複数の期間に亘って同一の第1及び第2の割合を使用し、当該第1及び第2の割合に基づいて協調パターンを選択するようにしている。
従って、本第1の実施の形態では、各期間においては第1及び第2の割合の算出処理が行われずに協調パターンの選択処理が行われており、各期間において算出処理と選択処理が行われる場合と比較して、計算量の削減を図ることができる。
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。
<無線通信システムの構成例>
無線通信システムの構成例について説明する。図2は無線通信システム10の構成例を表す図である。無線通信システム10は、集中制御局装置(又は制御装置、以下では「集中制御局」と称する場合がある)100、複数の基地局装置(以下、「基地局」と称する場合がある)200−1,200−2、及び移動局装置(以下、「移動局」と称する場合がある)300−1,300−2を備える。
集中制御局100は複数の基地局200−1,200−2を制御する。本第2の実施の形態においては、集中制御局100は、複数の基地局200−1,200−2から送信された品質情報を受信し、品質情報に基づいて協調パターンを決定し、決定した協調パターンに関する情報を複数の基地局200−1,200−2へ通知する。
協調パターンは、例えば、複数の基地局200−1,200−2がどのように協調通信を行うかについてのパターンを示している。例えば、図11(B)から図11(E)は協調パターンの例を示している。これらの図に示すように、「Pattern#1」は3つの基地局が協調通信を行わない場合の協調パターンの例を表し、「Pattern#2」では2つの基地局が協調通信を行い、残りの1つの基地局が協調通信を行わない協調パターンの例を示している。例えば、協調パターンは各基地局200−1,200−2について協調通信を行うか又は協調通信を行わないかを表している。協調パターンには、例えば、図11(B)に示すように協調通信を行わない場合のパターンが含まれてもよい。
図2に戻り、各基地局200−1,200−2は、例えば、自局のサービス提供範囲において移動局300−1,300−2と無線通信を行い、通話サービスやWeb閲覧サービスなど、様々なサービスを提供する無線通信装置である。各基地局200−1,200−2は集中制御局100から通知された協調パターンに関する情報に従って、他の基地局200−2,200−1と共に協調通信を行って移動局300−1,300−2と無線通信を行う。或いは、各基地局200−1,200−2は協調パターンに関する情報に従って、協調通信を行うことなく、単独で移動局300−1,300−2と無線通信を行う。
協調通信の種類としては、例えば、JT(Joint Processing)方式やCB/CS(Coordinated Beam Forming/Coordinated Scheduling)方式などがある。例えば、JT方式は複数のポイントから同時にデータが送信される方式であり、CB/CS方式はデータの送信は1つの基地局200−1から行われるがビームフォーミングとスケジューリングの決定は複数の基地局200−1,200−2が協調して行う方式である。本第2の実施の形態においては協調通信の方式はどのようなものであって良い。
移動局300−1,300−2は、例えば、フィーチャーフォン、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ゲーム装置などの無線通信装置である。移動局300−1,300−2は、各基地局200−1,200−2のサービス提供範囲において、各基地局200−1,200−1と無線通信を行うことで種々のサービスの提供を受けることができる。また、移動局300−1が複数の基地局200−1,200−2による協調通信により無線通信を行うことで、協調通信が行われない場合と比較して、スループットが改善され、通信性能の向上を図ることができる。
なお、集中制御局100に接続される基地局200−1,200−2は3台以上あってもよいし、各基地局200−1,200−2と無線通信を行う移動局300−1,300−2も複数台あってもよい。
また、本第2の実施の形態において、各基地局200−1,200−2を「セル」、又は各基地局200−1,200−2と各基地局200−1,200−2のサービス提供範囲をまとめて「セル」と称する場合がある。或いは、各基地局200−1,200−2のサービス提供範囲を「セル範囲」と称する場合もある。さらに、本第2の実施の形態において、移動局300を「ユーザ」と称する場合もある。
さらに、基地局200−1,200−2は基地局200、移動局300−1,300−2を移動局300と称する場合がある。
次に、無線通信システム10に含まれる集中制御局100、基地局200、及び移動局300の各構成例について説明する。
<集中制御局と基地局の構成例>
図3は集中制御局100と基地局200の各構成例を表している。図3において、基地局200−1はベースバンドユニット部(以下では、「ベースバンドユニット」と称する場合がある)210−1とRRH部(Remote Radio Head)220−1、及びアンテナ230−11,230−12を含む。また、基地局200−2はベースバンドユニット210−2とRRH部220−2、及びアンテナ230−21,230−22を含む。図3では、このような基地局200−1〜200−n(nは2以上の整数)がn個存在する例を表している。
図3では1つのベースバンドユニット210−1に対して1つのRRH部220−1が接続される例を表しているが、1つのベースバンドユニット210−1に対して複数のRRH部220−1〜220−nが接続されてもよい。
また、各ベースバンドユニット210−1〜210−nと各RRH部220−1〜220−1は、例えば数mから数kmなど、物理的に距離の離れた位置に設置されてもよい。
集中制御局100は、単独及び協調比率算出部(以下、「比率算出部」と称する場合がある)110と協調パターン選択部120を備える。
比率算出部110は、各基地局200−1〜200−nから送信された品質情報を受信し、品質情報に基づいて、複数の基地局200−1〜200−nが協調通信を行う場合の実施比率と、複数の基地局200−1〜200−nが協調通信を行わない場合の実施比率を算出する。
協調通信を行う場合の実施比率とは、例えば、基地局200−1が他の基地局200−2と協調して移動局300と無線通信を行う場合に基地局200−1,200−2に属する全移動局300に割り当てる無線リソースの割当率を表している。例えば、複数の基地局200について協調通信を行う場合と行わない場合とを合わせて移動局300に割り当てる無線リソースを「1」とすると、協調通信を行う場合の実施比率は、そのうちどれくらいの無線リソースを協調通信に割り当てるのか示す比率を表している。
一方、協調通信を行わない場合の実施比率とは、例えば、基地局200−1が他の基地局200−2と協調することなく移動局300と単独で無線通信を行う場合に基地局200−1に属する全移動局300に割り当てる無線リソースの割当率を表している。例えば、協調通信を行わない場合の実施比率は、複数の基地局200について協調通信を行う場合と行わない場合とを合わせた移動局300に割り当てる無線リソースを「1」とすると、そのうちどれくらい協調通信を行わない場合の無線リソースとして割り当てるかを表している。
なお、移動局300が基地局200−1に「属する」とは、例えば、移動局300が基地局200−1のセル範囲内に在圏する、ということである。移動局300が基地局200−1に属することを、例えば、移動局300が基地局200−1配下となっていると称する場合もある。
比率算出部110における実施比率の算出処理の詳細は動作例において説明する。
協調パターン選択部120は、比率算出部110から出力された2つの実施比率に関する情報を受け取り、2つの実施比率に基づいて協調パターンを選択する。協調パターン選択部120は、例えば、2つの実施比率についてPF(Proportional Fairness)メトリックを算出し、算出したPFメトリックに基づいて協調パターンを選択する。PFメトリックは、例えば、平均的な値に対する瞬時的な値の比を表す。ここでは、PFメトリックは、例えば、平均的な実施比率に対する瞬時的な実施比率の比を表している。協調パターン選択部120における協調パターン選択処理の詳細は動作例において説明する。協調パターン選択部120は、選択した協調パターンに関する情報を基地局200へ送信する。
ベースバンドユニット210−1は、データ生成部201、誤り訂正符号化部202、変調部203、セル共通RS(Reference Signal)生成部204、移動局固有RS生成部205、CSI(Channel State Information)−RS生成部206、Downlink制御信号生成部207を備える。また、ベースバンドユニット210−1は、チャネル多重部208、IFFT(Inverse Fast Fourier)部209、CP(Cyclic Prefix)付加部211、Uplink受信部212、及びスケジューラ部(以下、「スケジューラ」と称する場合がある)215を備える。
データ生成部201は、スケジューラ215から出力されたスケジューリング結果を受け取り、当該スケジューリング結果に従って、指示された移動局300宛のデータを生成する。データ生成部201は生成したデータを誤り訂正符号化部202へ出力する。
誤り訂正符号化部202は、スケジューラ215から出力されたMCS(Modulation and Coding Scheme)情報を受け取り、データ生成部201から出力されたデータに対して、当該MCS情報により指示された符号化率で誤り訂正符号化(以下、「符号化」と称する場合がある)処理を施す。誤り訂正符号化部202は、符号化処理された符号化データを変調部203へ出力する。
変調部203は、スケジューラ215から出力されたMCS情報を受け取り、誤り訂正符号化部202から出力された符号化データに対して、当該MCS情報により指示された変調方式で変調処理を施す。変調部203は変調処理された変調後のデータをチャネル多重部208へ出力する。
セル共通RS生成部204は、セル共通RS信号を生成する。セル共通RS信号は、例えば、移動局300においてデータを復調するためのチャネル推定等に用いられる参照信号である。
移動局固有RS生成部205は、移動局固有RS信号を生成する。移動局固有RS信号は、例えば、セル固有の報知チャネルを復調するためのチャネル推定等に用いられる参照信号である。セル共通RS信号と移動局固有RS信号を「復調用RS信号」と称する場合がある。
CSI−RS生成部206は、CSI−RS信号を生成する。CSI−RS信号は、例えば、移動局300において、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)、RSRP(Reference Signal Received Power)を推定するために用いられる参照信号である。CQI、PMI、RI、RSRPなどを、例えば、チャネル品質情報と称する場合がある。移動局300ではCSI−RS信号に基づいてチャネル品質情報を推定(又は測定)し、推定したチャネル品質情報をCSIレポートとして基地局200へ送信する。
Downlink制御信号生成部207は、スケジューラ215から出力された各移動局300についてのMCS情報とスケジューリング結果とを含む制御信号を生成する。Downlink制御信号生成部207は、生成した制御信号をチャネル多重部208へ出力する。
チャネル多重部208は、以下の5の信号を多重化する。すなわち、変調部203から出力されたデータ、セル共通RS生成部204から出力されたセル共通RS信号、移動局固有RS生成部205から出力された移動局固有RS信号、CSI−RS生成部206から出力されたCSI−RS信号、及び制御信号である。チャネル多重部208は、多重化した多重化信号をIFFT部209へ出力する。
IFFT部209は、多重化信号に対してIFFT処理を施して有効シンボルを生成し、生成した有効シンボルをCP付加部211へ出力する。
CP付加部211は、有効シンボルに対してCPを付加してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルを生成する。CP付加部211は生成したOFDMシンボルをRRH部220−1へ出力する。
Uplink受信部212は、RRH部220−1から出力されたベースバンド信号に対して、復調処理や誤り訂正復号化処理を施して、移動局300から送信された品質情報を抽出する。Uplink受信部212は抽出した品質情報を集中制御局100の比率算出部110へ出力する。
スケジューラ215は、集中制御局100の協調パターン選択部120から出力された協調パターンに関する情報に基づいて、移動局300に対して無線リソースを割り当てる。スケジューラ215は、協調通信を行う場合、他の基地局200−2のベースバンドユニット210−2のスケジューラと協調して無線リソースを割り当ててもよい。スケジューラ215は、例えば、無線リソースの割当結果をスケジューリング結果としてデータ生成部201やDownlink制御信号生成部207へ出力する。
また、スケジューラ215は、移動局300との間で無線通信を行う場合の符号化率や変調方式などを決定し、決定した符号化率や変調方式を含むMCS情報を生成する。スケジューラ215は生成したMCS情報を誤り訂正符号化部202や変調部203、Uplink受信部212へ出力する。
なお、他のベースバンドユニット210−2〜210−nはベースバンドユニット210−1と同一構成のため説明を省略する。
RRH部220−1は、Downlink無線処理部221−1とUplink無線処理部222−1を備える。
Downlink無線処理部221−1は、CP付加部211から出力されたOFDMシンボルに対して、無線帯域への周波数変換処理(アップコンバート)やD/A(Digital/Analogue)変換処理などを施して、無線信号を生成する。Downlink無線処理部221−1は、生成した無線信号をアンテナ230−11へ出力する。
アンテナ230−11は無線信号を移動局300へ送信する。基地局200から移動局300への通信方向を、下り(Downlink)通信と称する場合がある。
アンテナ230−12は移動局300から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号をUplink無線処理部222−1へ出力する。移動局300から基地局200への通信方向を、上り(Uplink)通信と称する場合がある。
Uplink無線処理部222−1は、アンテナ230−12から出力された無線信号に対して、A/D変換処理や周波数変換処理(ダウンコンバート)を行い、ベースバンド帯域のベースバンド信号を生成する。Uplink無線処理部222−1は、生成したベースバンド信号をUplink受信部212へ出力する。
なお、他のRRH部220−nもRRH部220−1と同一構成であり、アンテナ230−n1,230−n2もアンテナ230−11,230−12と夫々同一構成となっている。
<移動局の構成例>
次に移動局300の構成例を説明する。図4は移動局300の構成例を表す図である。
移動局300は、アンテナ301、Downlink無線処理部302、CP除去部303、FFT部304、チャネルデマップ部305、Downlink制御信号復調復号部306、チャネル推定部307、CSI推定部308を備える。また、移動局300は、復調部309、誤り訂正復号部310、Ack/Nack生成部311、Uplink送信部312、Uplink無線処理部313、及びアンテナ314を備える。
アンテナ301は、基地局200から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号をDownlink無線処理部302へ出力する。
Downlink無線処理部302は、無線信号に対してA/D変換処理や周波数変換処理(ダウンコンバート)を行ってOFDMシンボルを抽出し、抽出したOFDMシンボルをCP除去部303へ出力する。
CP除去部303は、OFDMシンボルに対してCPを除去して有効シンボルを得て、当該有効シンボルをFFT部304へ出力する。
FFT部304は、有効シンボルに対してFFT(Fast Fourier Transfer)処理を施して、多重化信号を抽出し、抽出した多重化信号をチャネルデマップ部305へ出力する。
チャネルデマップ部305は、多重化信号からデータ信号、復調用RS信号、CSI−RS信号、及び制御信号を分離する。チャネルデマップ部305は、データ信号を復調部309、制御信号をDownlink制御信号復調復号部306、復調用RS信号をチャネル推定部307、CSI−RS信号をCSI推定部308へ出力する。
Downlink制御信号復調復号部306は、チャネル推定部307から出力されたチャネル推定値を用いて制御信号を復調し、制御信号からMCS情報とスケジューリング結果を抽出する。Downlink制御信号復調復号部306は抽出したMCS情報とスケジューリング結果とを復調部309へ出力する。また、Downlink制御信号復調復号部306はMCS情報を誤り訂正復号部310へ出力する。
チャネル推定部307は、復調長RS信号を用いてチャネル推定を行う。チャネル推定部307はチャネル推定により得たチャネル推定値をDownlink制御信号復調復号部306と復調部309へ出力する。
CSI推定部308は、CSI−RS信号を用いて、チャネル品質(CQI、PMI、RI、RSRPなど)を推定し、推定した結果をチャネル品質情報(又はCSI情報)としてUplink送信部312へ出力する。チャネル品質は、例えば、下り通信方向のチャネル品質となっている。
復調部309は、チャネル推定値を用い、また、MCS情報やスケジューリング結果に従って、自局宛のデータを復調する。
誤り訂正復号部310は、MCS情報に従って、復調部309から出力されたデータに対して誤り訂正復号処理を施して、データを復号化する。
Ack/Nack生成部311は、データの復調及び誤り訂正復号に成功した場合はAck信号、失敗した場合はNack信号を夫々生成する。Ack/Nack生成部311は、生成したAck信号又はNack信号をUplink送信部312へ出力する。
Uplink送信部312は、CSI情報、Ack信号又はNack信号、及びユーザデータに対して、誤り訂正符号化処理や変調処理を施し、OFDMシンボルを生成する。Uplink送信部312は生成したOFDMシンボルをUplink無線処理部313へ出力する。
Uplink無線処理部313は、OFDMシンボルに対して、無線周波数帯域への周波数変換処理(アップコンバート)やD/A変換処理を施して無線信号を生成し、生成した無線信号をアンテナ314へ出力する。アンテナ314は無線信号を基地局200へ送信する。
<動作例>
次に無線通信システム10における動作例について説明する。動作例は以下の順番に従って説明する。
<1.無線通信システム全体の動作例>
<1.1 実施比率の算出処理>
<1.2 協調パターンの選択処理>
<1.3 効果>
<2.その他の動作例>
<1.無線通信システム全体の動作例>
図5は無線通信システム10全体の動作例を表す。図5において「Cell#1」は基地局200−1、「Cell#2」は基地局200−2を夫々表している。
各基地局200−1,200−2は、移動局300で測定されたRSRP情報を受信すると、受信したRSRP情報を集中制御局100へ送信する(S10,S11)。
集中制御局100は、RSRP情報に基づいて、基地局200−1が基地局200−2と協調して無線通信を行う場合の実施比率と、基地局200−1が協調することなく無線通信を行う場合の実施比率の2つの実施比率(又は最適協調比率)を算出する(S12)。例えば、比率算出部110が実施比率の算出処理を行う。その詳細については、<1.2 実施比率の算出処理>において説明する。
次に、集中制御局100は、実施比率に基づいて協調パターン(又は協調セル)を選択する(S13)。例えば、協調パターン選択部120が協調パターンの選択処理を行う。その詳細は、<1.3 協調パターンの選択処理>において説明する。図5の例では、集中制御局100は2つの基地局200−1,200−2については協調通信を行うことなく単独で無線通信を行う協調パターンを選択している。
次に、集中制御局100は、選択した協調パターンに関する情報を各基地局200−1,200−2へ通知する(S15,S16)。図5の例では、集中制御局100は協調通信を行わずに単独で無線通信を行うことを示す協調パターンに関する情報を各基地局200−1,200−2へ送信している。
基地局200−1は、協調パターンに関する情報を受信すると、ユーザ選択処理を行う(S17)。例えば、スケジューラ215は基地局200−1に属するユーザの中からPFメトリックが最大のユーザを選択する。その詳細については、<1.2 協調パターンの選択処理>において説明することにする。
次に、基地局200−1は、ユーザ選択処理で選択したユーザに対してデータを送信する(S18)。例えば、スケジューラ215は選択したユーザに対して無線リソースの割当てやMCSを決定するなどしてデータの送信を行う。
一方、基地局200−2においても協調パターンに関する情報を受信すると、ユーザ選択処理を行う(S19)。この場合も、例えば、基地局200−2のスケジューラ215は基地局200−2に属するユーザの中からPFメトリックが最大のユーザを選択する。そして、基地局200−2は、ユーザ選択処理で選択したユーザに対してデータを送信する(S20)。
図5の例では、集中制御局100は「サブフレーム#1」においては協調通信を行わない例を表し、「サブフレーム#1」の次にサブフレーム期間である「サブフレーム#2」においては協調通信を行う場合の例を表している。
この場合、集中制御局100は、協調パターン選択処理を行うことで、2つの基地局200−1,200−2について共に協調通信を行う協調パターンを選択する(S21)。そして、集中制御局100は、選択した協調パターンに関する情報を2つの基地局200−1,200−2へ送信する(S22,23)。
基地局200−1は、協調パターンに関する情報を受信すると、ユーザ選択処理を行う(S24)。この場合、スケジューラ215は、例えば、2つの基地局200−1,200−2に属するユーザの中からPFメトリックが最大のユーザを選択する。この選択処理についても、<1.2 協調パターンの選択処理>において説明する。
次に、基地局200−1は、MAC処理結果を基地局200−2へ通知する(S25)。そして、2つの基地局200−1,200−2は端末300に対して協調通信を行う(S26,S27)。
<1.1実施比率の算出処理>
次に、実施比率の算出処理(S12)について説明する。図6及び図7は実施比率の算出処理の動作例を表すフローチャートである。
なお、以下に示す動作例において数式を用いて処理が行われる場合がある。例えば、このような数式は比率算出部110の内部メモリに記憶されており、比率算出部110は内部メモリから数式を読み出して数式に値を代入するなどの処理を行い、その処理結果を内部メモリに記憶するなどにより、処理が行われるものとする。
比率算出部110は処理を開始すると(S12)、RSRP情報に基づいて期待スループットRn,m,Rn,m,lを算出する(S121)。
期待スループットRn,mは、m番目の基地局200(例えば基地局200−1)から協調通信無しで無線通信が行われた場合のユーザnにおいて得られる期待スループットを表す。「期待スループット」としているのは、例えば、ユーザnが無線リソースの全帯域を占有して無線通信を行った場合に得られるスループットとしているからである。
また、期待スループットRn,m,lは、m番目の基地局200とl番目の基地局200(例えば基地局200−2)が協調通信することでユーザnにおいて得られる期待スループットを表している。
比率算出部110は、例えば、以下のようにして期待スループットRn,m,Rn,m,lを算出する。すなわち、ユーザnから報告されるm番目の基地局200に対する受信電力情報をPn,m(例えば図5のS10)、ユーザnから報告されるl番目の基地局200に対する受信電力情報をPn,l(例えば図5のS11)とすると、受信品質SINRn.m、SINRn,m,lを以下の式により算出する。
ここで、受信品質SINRn.mは、ユーザnがm番目の基地局200から協調送信無しで無線通信を行う場合にユーザnにおいて得られる受信品質を表す。また、受信品質SINRn,m,lは、m番目とl番目の基地局200による協調通信で無線通信を行う場合にユーザnにおいて得られる受信品質を表す。ただし、式(1)(2)において、Nthは雑音成分、分母の第2項は対象とする基地局200以外の基地局からの受信電力の総和を夫々表している。
そして、比率算出部110は、シャノンの定理(又はシャノン・ハートレーの定理)を用いて、式(1)及び式(2)で得られた受信品質SINRn,m,SINRn,m,lから、期待スループットRn,m,Rn,m,lを夫々算出する。具体的には比率算出部110は以下の式(3)及び式(4)を用いる。
ここで、Wはデータ信号の帯域幅、αはシャノンの定理からの劣化を表す係数であり、例えば「2.0」である。
なお、移動局300側で位相が合うように協調セル間でコヒーレント送信した場合、受信電力は振幅合成されるため、SINRは以下の式(5)により算出される。比率算出部110は式(5)の計算結果を式(4)に代入することで期待スループットRn,m,lを算出してもよい。
比率算出部110は、期待スループットRn,m,Rn,m,lを計算すると(S121)、2つの割合Pn,m、Pn,m,lを算出する(S122)。
割合Pn,mは、例えば、ユーザnがm番目の基地局200と協調通信無しで無線通信を行う割合を示す。また、割合Pn,m,lは、例えば、ユーザnがm番目とl番目の基地局200による協調通信で無線通信を行う割合を示す。
言い換えると、割合Pn,mは、例えば、ユーザnが協調通信無しでm番目の基地局200と無線通信を行う場合にユーザnがm番目の基地局200から割り当てる無線リソースの割当率を表している。また、割合Pn,m,lは、例えば、ユーザnがm番目の基地局200がl番目の基地局200と協調通信を行う場合にユーザnがm番目とl番目の基地局200から割り当てられる無線リソースの割当率を表している。例えば、2つの割合Pn,m,Pn,m,lの総和は「1」である。
比率算出部110は、例えば、以下のようにして2つの割合Pn,m,Pn,m,lを算出する。すなわち、比率算出部110は、以下の式(6)で表されるPFユーティリティの最大化問題を解くことで、2つPn,m,Pn,m,lを算出する。
式(7)から式(9)は式(6)を解く場合の条件を表している。比率算出部110は、式(6)を解くことで、以下の式(10)及び式(11)で示された割合Pn,m、Pn,m,lを得る。
式(6)から式(11)における記号について説明すると、eNBは基地局200全体の集合、UEはユーザ全体の集合を表す。また、eNB(n)はユーザnの協調セル候補の集合、UE(m)はm番目の基地局200を協調セル候補に含むUE(User Equipment、又は移動局300)の集合、UE(m,l)はm番目とl番目の2つの基地局200を協調セル候補に含むUEの集合を表している。さらに、α(m)はm番目の基地局200が協調通信を行う割合を示す。ここで、例えば、協調セル候補とは協調通信を行う基地局200の候補のことであり、協調セルとは協調通信を行う基地局200のことである。
協調セル候補の集合eNB(n)は、ユーザnが通信を行う可能性のある基地局200で、受信電力の測定が可能な基地局としておけば良い。又は、受信電力の高い順に決められた数の基地局が選択されても良い。
以上、式(10)と式(11)で示される割合Pn,m,Pn,m,lの算出方法(図6のS122)について述べた。具体的には、例えば、図7に示すフローチャートにより算出可能である。
すなわち、比率算出部110は、2つの割合P
n,m,P
n,m,lを算出する処理を開始すると(S1220)、割合P
n,m,P
n,m,lとα(m)とを以下のように初期化する(S1221)。
次に、比率算出部110は、式(7)及び式(10)に対して注水定理を用いて、ユーザnが協調通信無しで無線通信を行う割合Pn,mとμmを更新する(S1222)。
注水定理は、例えば、総電力が一定の複数のストリーム(又はチャネル)があった場合、各ストリームに対してどのように電力を割り当てれば通信容量が最大になるという定理である。注水定理によれば、良好なストリームに閾値より大きい電力を割り当て、劣悪なストリームには閾値より小さい電力を割り当てることで通信容量が最大となる、とされる。なお、数(10)の右辺の「μm」は、注水定理における高さを表す変数を表している。
次に、比率算出部110は、式(11)から、ユーザnが協調通信で無線通信を行う割合Pn,m,lを更新する(S1223)。例えば、μmは式(10)で算出されており、μlも他の基地局に対する式(10)の計算により既に算出されているため、式(11)の第1式から、割合Pn,m,lは算出可能である。
次に、比率算出部110は、式(8)からα(m)を更新する(S1224)。例えば、比率算出部110は、式(10)により各ユーザの協調通信を行う割合Pn,m,lを算出しているため、この計算をm番目とl番目の基地局200に属する全ユーザに対して行うことで、α(m)を算出することができる。
そして、比率算出部110は割合Pn,m,Pn,m,lの算出処理を終了する(S1225)。
図6に戻り、次に、比率算出部110は2つの割合Pn,m,Pn,m,lから、ユーザnの協調セルを決定する(S123)。例えば、以下のようにして協調セルを決定してもよい。
すなわち、比率算出部110は、算出された割合Pn,m,Pn,m,lの中で最も高い値を示すPn,m'又はPn,m',l'を選択する。最も高い値を示すものが割合Pn,m'の場合、ユーザnはm’番目の基地局200と協調通信を行わないことを決定する。一方、最も高い値を示すものが割合Pn,m',l'の場合、ユーザnはm’番目の基地局200とl’番目の基地局200で協調通信を行うことを決定する。
協調セルの選択は、後段のS13やS21(図5)においても行われるが、S13やS21では、基地局200に属する全ユーザの実施比率(又は全ユーザに割り当てる無線リソースの割当率)に基づいて協調セルが選択される。最終的には、S13やS21により協調セルが選択されるため、本処理(S123)はなくてもよい。
図6に戻り、次に、比率算出部110は、2つの割合Pn,m,Pn,m,lに基づいて実施比率(又は「協調パターン実施比率」、以下では「実施比率」と称する場合がある)Om,Om,lを夫々算出する(S124)。比率算出部110は、例えば、以下の式(12)を用いて実施比率Om,Om,lを算出する。
そして、比率算出部110は一連の処理を終了する(S125)。比率算出部110は、算出した2つの実施比率Om,Om,lを協調パターン選択部120へ出力する。
<1.2 協調パターンの選択処理>
次に、協調パターンの選択処理(図5のS13,S21)の動作例について説明する。図8は協調パターン選択処理の動作例を表すフローチャートである。
なお、以下の動作例においても、協調パターン選択部120は数式を用いて処理を行う場合がある。例えば、数式は協調パターン選択部120の内部メモリに記憶されており、協調パターン選択部120は内部メモリから数式や値などを読み出して、数式に値を代入するなどの処理を行い、その結果を内部メモリに記憶することで処理が行われてもよい。
協調パターン選択部120は、協調パターン選択処理を開始すると(S13)、変数mについて初期化する(S131)。変数mは、例えば、セル番号を表している。協調パターン選択部120は、「m=1」とすることで初期化する。
次に、協調パターン選択部120は、セル番号mは選択可能であるか否かを判定する(S132)。選択された基地局200を選択不可とすることで、協調通信を行う又は行わないことの決定が1つの基地局200に対して2重に行われないようにしている。例えば、協調パターン選択部120は内部メモリに記憶したフラグ情報に基づいて判別してもよい。
協調パターン選択部120は、セル番号mは選択可能と判別したとき(S132でYES)、実施比率Om,Om,lに基づいてPFメトリックMm,Mm,lを算出する(S133)。協調パターン選択部120は、例えば、以下の式を用いて算出する。
式(13)において、
は、例えば、協調通信を行わない場合の平均実施比率と協調通信を行う場合の平均実施比率を夫々表している。
協調パターン選択部120は、協調時間n+1のときに選択された場合「1」、そうでない場合「0」となる変数Anと、忘却変数βとを用いて、以下の式(14)により式(13)を計算する。
次に、協調パターン選択部120は、算出したメトリックMmが最大か否かを判別する(S134)。すなわち、協調パターン選択部120は、例えば、メトリックMmの方がメトリックMm,lよりも大きいか否かを判定している。
協調パターン選択部120は、算出したメトリックMmが最大ではないとき(S134でNO)、m番目とl番目の基地局200は協調通信を行うと決定し、l番目の基地局200については選択不可とする(S135)。算出したメトリックMmが最大ではないとき、すなわち、メトリックMmよりも大きい値のメトリックMm,lが存在するとき、協調パターン選択部120ではm番目とl番目の基地局200で協調通信を行うことを決定している。
他方、協調パターン選択部120は、算出したメトリックMmが最大のとき(S134でYES)、m番目の基地局200は協調通信を行わないことを決定する(S136)。
協調パターン選択部120は、S135とS136により協調パターンを決定している。協調パターン選択部120は、決定した協調パターンに関する情報を内部メモリなどに記憶してもよい。
次に、協調パターン選択部120は、セル番号mについて全セル数よりも小さいか否かを判別する(S137)。協調パターン選択部120は、セル番号mが全セル数よりも小さいとき(S137)、セル番号mを1つインクリメントして(S139)、S132の処理へ移行する。協調パターン選択部120は、セル番号mについても内部メモリに記憶するなどして処理を行うようにしてもよい。
一方、協調パターン選択部120は、セル番号mが全セル以上の場合(S137でNO)、全てのセルについて協調パターンを決定したことになるため、一連の処理を終了する(S138)。
また、協調パターン選択部120は、セル番号mが選択不可のとき(S132でNO)、セル番号が全セル数より小さいか否かを判別する(S137)。
以上のようにして協調パターン選択部120は協調パターンを選択し、決定した協調パターンに関する情報を各基地局200−1,200−2へ通知する(図5のS15,S22)。
各基地局200−1,200−2は協調パターンに関する情報を受信すると、ユーザ選択処理を行う(S17,S19,S24)。例えば、ユーザ選択処理においても数式を用いて処理が行われる場合がある。例えば、このような数式はスケジューラ215の内部メモリなどに保持されており、スケジューラ215は内部メモリから数式を読み出して値を代入するなどして計算を行い、計算結果を内部メモリに保持することにより処理が行われてもよい。
協調パターンの選択については、協調通信を行わない場合のユーザ選択処理(S17,S19)と、協調通信を行う場合のユーザ選択処理(S24)の2つの場合がある。
協調通信を行わない場合のユーザ選択処理(S17,S19)は、例えば、以下となる。すなわち、基地局200−1のスケジューラ215は、以下の式(15)と式(17)を用いて、当該基地局200−1に属する全ユーザのPFメトリックのうちPFメトリックが最大のユーザUE(以下、「最大ユーザUE」と称する場合がある)を算出する。また、基地局200−2のスケジューラ215は、以下の式(16)と式(17)を用いて、当該基地局200−2に属する全ユーザのPFメトリックのうち最大ユーザUEを算出する。
式(15)におけるRjは、例えば、m番目の基地局200(例えば基地局200−1)から送信された無線信号を希望波とした場合の瞬時のスループットを表し、式(3)により算出されたものである。また、式(16)におけるRjは、例えば、l番目の基地局200(例えば基地局200−2)から送信された無線信号を希望波とした場合の瞬時のスループットを表し、式(3)により算出されたものである。
また、式(15)の分母は、例えば、m番目の基地局200から送信された無線信号を希望波とした場合の平均スループットを表している。スケジューラ215は、例えば、以下の式を用いて平均スループットを算出する。
式(17)において、変数Bnは時間n+1のときに選択された場合に「1」、そうでない場合に「0」になる変数を表し、βは忘却係数を表している。
例えば、スループット期待値(式(3))は比率算出部110で算出され、協調パターン選択部120を経由して、協調パターンに関する情報とともに送信される。従って、各基地局200−1,200−2のスケジューラ215は式(15)から式(17)を用いて、PFメトリックが最大の最大ユーザUEを算出できる。
他方、スケジューラ215は、協調通信を行う場合、以下の式を用いて、PFメトリックが最大のユーザUEを選択する。
式(18)におけるRjは、例えば、m番目とl番目の基地局200の双方から送信された無線信号を希望波とした場合の瞬時のスループットを表している。式(18)におけるRjは、例えば、式(4)により比率算出部110により算出されたものであり、この場合も、比率算出部110から協調パターン決定部120を経由して、スケジューラ215が受け取ることが可能である。
<1.3 効果>
次に本第2の実施の形態における効果について説明する。図9は協調送信を行うクラスタサイズに応じたPFメトリックの計算量の例を表している。
図9において、「クラスタサイズ」は、例えば、協調通信を行う場合に選択可能な基地局200の個数を表している。また、「協調なし」は、例えば、協調通信を行わない場合のPFメトリックの計算量を表している。さらに、「協調あり」は、例えば、全ての協調パターンについての全ユーザに対してPFメトリックの計算が行われる場合の計算量を表している。「協調なし」と「協調あり」のいずれの場合も、例えば、サブフレーム期間毎にこのような計算が行われるものとする。
図16(A)及び図16(B)は、クラスタサイズが「2」における「協調あり」の場合のPFメトリックの計算量の例を表している。
「協調あり」でクラスタサイズが「2」の場合、協調パターンの数は図16(A)及び図16(B)に示すように2つある。そして、各協調パターン内には1つ又は2つの基地局200が存在する。各基地局200に属する全ユーザ数を「N」とすると、協調通信を行わない場合では、2つの基地局に属する全ユーザのPFメトリックが計算されるため「2N」となる。協調通信を行う場合もその計算量は「2N」となる。従って、「協調あり」でクラスタサイズが「2」の場合におけるPFメトリックの計算量は「4N」となる。
図16(C)から図16(G)は、クラスタサイズが「3」における「協調あり」の場合のPFメトリックの計算量を表している。この場合のPFメトリックの計算量は「12N」となる。この場合、点線で示すセルは重複した計算を行うため、計算量にはカウントされていない。
クラスタサイズが「4」における「協調あり」の場合の計算方法については図示されていないが、クラスタサイズが「2」や「3」の場合と同様に計算すると、計算量は「32N」となる。図9には、クラスタサイズが「5」以降の「協調あり」の場合の計算量も示されている。図9に示すように「協調あり」の場合はクラスタサイズが増えるにつれて、PFメトリックの計算量が膨大になっている例を表している。
他方、図9における「協調あり(実施例2)」は、本第2の実施の形態における計算量を表している。例えば、クラスタサイズが「2」における「協調あり(実施例2)」の場合のPFメトリックの計算量は「2N」となっている。その理由は、例えば、以下である。
すなわち、図5に示すように集中制御局100では実施比率の算出処理(S12)を行う。実施比率の算出は、例えば、RSRPを受信した場合(S10,S11)など、ユーザ分布の変動毎に算出される処理である。実施比率の算出は、例えば、サブフレーム期間毎に行われる処理ではく、サブフレーム期間よりも長い期間で算出されるものである。従って、実施比率の算出はPFメトリックの計算量にはカウントされていない。
他方、図5に示すように、協調パターンの選択処理(S13,S21)はサブフレーム期間毎に行われるが、簡単な処理であることから計算量としてカウントされていない。その理由は、例えば、以下である。
すなわち、協調パターン選択処理(S13,S21)において、PFメトリックMn,Mm,lの計算に用いる式(13)は、実施比率Om,Om,lがそのまま用いられており、ユーザnに依存しないものとなっている。従って、PFメトリックの計算量としてはカウントされていない。
よって、本第2の実施の形態においては、PFメトリックの計算量は、サブフレーム毎に行われるユーザ選択処理(S17,S19,S24)でのPFメトリックの計算量をカウントすればよい。
ユーザ選択処理に際して、基地局200−1は、例えば、式(15)を用いて最大ユーザUEを選択しており(S17)、その計算量は基地局200−1に属する全ユーザ数である「N」となる。基地局200−2についても、同様にPFメトリックの計算量は「N」となる。従って、「サブフレーム#1」の期間における計算量は「2N」となる。
以下、同様にして「協調あり(実施例2)」の場合でクラスタサイズ「3」について計算すると計算量は「3N」、クラスタサイズ「4」について計算すると「4N」となる。
従って、本第2の実施の形態においては、クラスタサイズが「2」の場合の計算量は図9に示すように「2N」となる。クラスタサイズが「3」や「4」の場合も同様に計算すると「3N」や「4N」となる。
このように、本第2の実施の形態においては、集中制御局100において実施比率を予め算出し、複数の期間(例えば、複数のサブフレーム期間)に亘って同一の実施比率を使用し、当該実施比率に基づいて協調パターンを選択するようにしている。
これにより、例えば、全協調パターンについて全ユーザのPFメトリックがスケジューリング期間毎に計算される場合(例えば、図9の「協調あり」)と比較して、本第2の実施の形態(例えば、図9の「協調あり(実施例2)」)は計算量の抑制を図ることができる。
<2.その他の動作例>
次に、本第2の実施の形態におけるその他の動作例について説明する。上述した協調パターンの選択(S13)に際して、図8に示すように、集中制御局100はセル番号1から順番に協調パターンを選択するようにする例を説明した。例えば、集中制御局100が全協調パターンについてのPFメトリックを計算し、最大のPFメトリックとなっている協調パターンを選択するようにしてもよい。
図10はこのような場合の協調パターンの選択処理の動作例を表すフローチャートである。この場合も各処理において数式を用いた処理が行われる場合がある。例えば、このような数式は協調パターン選択部120の内部メモリなどに記憶されており、協調パターン選択部120は数式を適宜読み出して、数式に値を代入するなどの処理を行い、処理結果を内部メモリに記憶することで処理が行われてもよい。
協調パターン選択部120は、処理を開始すると(S13)、実施比率のPFメトリックMm,Mm,lを算出する(S141,S142)。協調パターン選択部120は、例えば、式(13)を用いて実施比率のPFメトリックMm,Mm,lを算出する。
次に、協調パターン選択部120は、算出したPFメトリックの中から最大メトリックとなる協調パターンを検索し、検索した協調パターンで実施することを決定する(S143)。例えば、実施比率のPFメトリックMm,Mm,lは基地局200毎の値となっている。協調パターン選択部120は、実施比率のPFメトリックをMm,Mm,lを加算するなどして協調パターン毎のPFのメトリックを計算し、最大のPFメトリックとなっている協調パターンを選択する。
次に、協調パターン選択部120は、実施することを決定した協調パターンに含まれる基地局200について選択不可として(S144)、他に選択可能な基地局がなくなるまで処理を繰り返す(S145でYES)。例えば、協調パターン選択部120は内部メモリにフラグ情報を記憶するなどで当該基地局200を選択不可にするようにしてもよい。
協調パターン選択部120は、協調パターンとして選択可能な基地局200がなくなると(S145でNO)、協調パターン選択処理を終了し(S146)、選択した協調パターンに関する情報を各基地局200へ通知する(図5のS15,S16,S22,S23)。
また、本第2の実施の形態におけるその他の動作例として、例えば、以下の動作例もある。すなわち、上述した協調パターンの選択(S13)について、協調パターン選択部120は、実施比率のPFメトリックMm,Mm,lを算出することなく、実施比率Om,Om,lを用いて協調パターンを選択するようにしてもよい。以下、具体例で説明する。
図11(A)は実施比率Om,Om,lの例を表している。また、図11(B)〜図11(E)は協調パターンの例、図11(F)は各協調パターンの実施比率(又は無線リソース割当率)の例を表している。これらの図を用いて協調パターンがどのように選択されるかについて説明する。
協調パターンの実施比率(又は無線リソースの割当率)について、「Pattern#1」,「Pattern#2」,「Pattern#3」,「Pattern#4」の各実施比率をC1,C2,C3,C4とすると、
O1=C1+C3 ・・・(19)
O2=C1+C4 ・・・(20)
O3=C1+C2 ・・・(21)
O1,2=C2 ・・・(22)
O2,3=C3 ・・・(23)
O1,3=C4 ・・・(24)
となる。
協調パターン選択部120は、式(19)から式(24)までの連立方程式を解くことで、C1=0.1,C2=0.2,C3=0.3,C4=0.4を得る。すなわち、協調パターン選択部120は、各協調パターンを実施する無線リソースについて1サブフレーム内において「10%」,「20%」,「30%」,「40%」の比率とすることで協調パターンを選択している。
本動作例においては、PFメトリックMm,Mm,lの算出が行われないため、PFメトリックMm,Mm,lの算出が行われる場合と比較して、計算量が少なくなり、更に計算量の抑制を図ることができる。
[第3の実施の形態]
次に第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、更に、ビームパターン(又は送信パターン、以下では「送信パターン」と称する場合がある)が含まれる例である。
図12は送信パターンの例を表す図である。図12に示すように、各基地局200−1,200−2には指向性を有する各アンテナ230−1,230−2を夫々有している。
集中制御局100は、基地局200−1においてチルト角が所定角度より浅く、基地局200−2においてチルト角が所定角度より深い送信パターンである送信パターンP(1)と、その逆である送信パターンP(2)を時間的に交互に切り替えるよう制御できる。
すなわち、集中制御局100は、送信パターンの切り替えを指示する制御信号を基地局200−1,200−2へ送信する。一方、各基地局200−1,200−2では、当該制御信号に従って各アンテナ230−1,230−2のチルト角を切り替える。このような切り替えにより、送信パターンP(1)と送信パターンP(2)を時間的に交互に切り替えることができる。
本第3の実施の形態の無線通信システム10では、例えば、2つの送信パターンP(1),P(2)のうちいずれの送信パターンを選択し、選択した送信パターンを使用した協調パターンを選択する。
なお、送信パターンとは、例えば、各アンテナ230−1,230−2が無線信号を異なる方向に送信する際の各方向を表している。
図13及び図14は本第3の実施の形態における実施比率の算出処理(図5のS12)の動作例を表すフローチャートである。なお、図13及び図14に示す各動作において数式を用いた処理が行われる場合がある。このような数式は、例えば、比率算出部110の内部メモリなどに記憶されており、処理の際に比率算出部110が内部メモリから適宜数式を読み出して、値を数式に代入するなどの処理を行い、その結果を内部メモリに記憶することで処理が行われてもよい。
本第3の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、集中制御局100が各基地局200−1,200−2からRSRP情報を受信して(図5のS10,S11)、実施比率の算出処理を行う(S12)。
図13に示すように、比率算出部110は処理を開始すると(S12)、RSRP情報から期待スループットRn,m,s,Rn,m,l,sを算出する。比率算出部110は以下の数式を用いて算出する。
ここで、SINRn,m,sとRn,m,sは、例えば、ユーザnがm番目の基地局200と協調通信を行うことなく送信パターンsで無線通信を行った場合に得られるSINRと期待スループットを夫々表している。また、SINRn,m,s,lとRn,m,l,sは、例えば、ユーザnがm番目とl番目の基地局200の協調通信により送信パターンsで無線通信を行った場合に得られるSINRと期待スループットを夫々表している。さらに、Pn,m,sは、ユーザnから報告されたm番目の基地局200が送信パターンsで無線通信を行った場合の受信電力報告値(例えばRSRP情報)を夫々表している。
式(25)と式(26)は協調通信を行わない場合の期待スループットRn,m,sの算出式であり、式(27)と式(28)は協調通信を行う場合の期待スループットRn,m,l,sの算出式である。また、式(29)は、移動局300において位相が合うように協調セル間でコヒーレント送信した場合のSINRであり、式(29)の結果を式(28)に代入させることでこのような場合の期待スループットRn,m,l,sが得られる。式(29)は第2の実施の形態における式(5)に対応するる。
次に、比率算出部110は、2つの割合Pn,m,s,Pn,m,l,sを算出する(S152)。割合Pn,m,sは、例えば、ユーザnがm番目の基地局200と送信パターンsで協調通信無しで無線通信を行う割合を示す。割合Pn,m,sは、例えば、ユーザnがm番目の基地局200から送信パターンsにより協調通信を行うことなく無線通信を行う場合にm番目の基地局200から割り当てられる無線リソースの割当率であってもよい。
また、割合Pn,m,l,sは、例えば、ユーザnがm番目とl番目の基地局200と送信パターンsにより協調通信で無線通信を行う割合を示す。割合Pn,m,sは、例えば、m番目とl番目の基地局200が送信パターンsにより協調通信を行う場合にユーザnがm番目とl番目の基地局200から割り当てられる無線リソースの割当率であってもよい。
本第3の実施の形態においても、比率算出部110は、以下の数式で示されるPFユーティリィティの最大化問題を解くことで、割合Pn,m,s,Pn,m,l,sを算出する。
式(30)から式(37)において、eNBは基地局200全体の集合、UEはユーザ全体の集合、eNB(n)はユーザnの送信セル候補の集合、UE(m)はm番目の基地局200を送信セル候補に含むUE全体の集合を表している。また、UE(m,l)はm番目とl番目の基地局200を送信セル候補に含むUE全体の集合、sは送信パターンP(1),P(2)に相当する送信パターンの番号を表している。さらに、α(m,s)は送信パターンがsであるときのm番目の基地局200が協調通信を行う割合(又は無線リソースの割当率)、β(s)は基地局200全体の送信パターンがsである割合(又は無線リソースの割当率)を夫々表している。
なお、ユーザnの送信セル候補の集合eNB(n)は、ユーザnと通信を行う可能性のある基地局200で、受信電力を測定可能な基地局の全てとしておけば良い。又は、集合eNB(n)には、受信電力の高い順から決められた数だけの基地局200が選択されても良い。
2つの割合P
n,m,s,P
n,m,l,sの算出は、例えば、図14に示されるフローチャートにより行われる。すなわち、比率算出部110は、算出処理を開始すると(S152)、4つの割合P
n,m,s,P
n,m,l,s,α(m,s),β(s)を初期化する(S1521)。例えば、比率算出部110は、以下のようにして初期化する。
なお、Nptnは送信パターンの総数を表している。
次に、比率算出部110は、式(31)と式(35)に対して注水定理を用いて、ユーザnが送信パターンsで協調通信を行わないで無線通信を行う割合Pn,m,sと変数μm,sを更新する(S1522)。
次に、比率算出部110は、式(36)を用いて、ユーザnが送信パターンsで協調通信を行う割合Pn,m,l,sを更新する(S1524)。
次に、比率算出部110は式(32)を用いて、割合α(m,s)を更新する(S1524)。
次に、比率算出部110は、変数μm,sを更新する(S1525)。比率算出部110は、以下の式を用いて変数μm,sを更新する。
次に、比率算出部110は、式(35)と式(36)を用いて、2つの割合Pn,m,s,Pn,m,l,sを夫々更新する(S1526)。例えば、比率算出部110は、S1525で算出した変数μm,sを用いて2つの割合Pn,m,s,Pn,m,l,sを更新する。
次に、比率算出部110は、送信パターンがsとなる割合β(s)を更新する(S1527)。比率算出部110は、以下の式を用いて割合β(s)を更新する。
そして、比率算出部110は算出処理を終了する(S1528)。
以上の処理により、例えば、送信パターンsに対する無線リソース割当率β(s)が算出される。また、各基地局200において送信パターンsで協調通信を行う場合の無線リソースの割当率α(m,s)が算出可能となる。更に、各基地局200において送信パターンsで協調通信を行わないで無線通信を行う場合の無線リソースの割当率(1−α(m,s))も算出可能となる。
図13に戻り、次に、比率算出部110は、割合Pn,m,s,Pn,m,l,sに基づいて実施比率Om(s),Om,l(s)を夫々算出する(S153)。比率算出部110は、例えば、以下の式を用いて実施比率Om(s),Om,l(s)を算出する。
式(40)において、Om(s)は、例えば、m番目の基地局200において協調通信を行うことなく送信パターンsで無線通信を行う割合(又は無線リソースの割当率)を表している。また、Om,l(s)は、例えば、m番目とl番目の基地局200において送信パターンsで協調通信を行う割合(又は無線リソースの割当率)を表している。
そして、比率算出部110は実施比率の算出処理(図5のS12)を終了する(S154)。比率算出部110は、算出した2つの実施比率Om(s),Om,l(s)を協調パターン選択部120へ出力する。
次に、協調パターン選択部120は協調パターン選択処理(図5のS13)を行う。図15は協調パターン選択処理の動作例を表すフローチャートである。協調パターン選択部120は、第2の実施の形態と同様に、例えば、スケジューリング周期(例えばサブフレーム期間)毎に協調パターン選択処理を行う。
協調パターン選択部120は、処理を開始すると(S13)、各送信パターンについてのPFメトリックM'sを算出し、送信パターンsを選択する(S161)。例えば、協調パターン選択部120は、以下の式(41)に従ってPFメトリックM'sを算出する。
例えば、協調パターン選択部120は、算出したM'
sのうち最大のPFメトリックを有する送信パターンsを基地局200における送信パターンとして選択(又は決定)する。協調パターン選択部120は、送信パターンsが選択された場合に「1」、そうでない場合に「0」となる変数A'
n(s)と、忘却係数β’とを用いて、平均割当率
を以下の式(42)に従って更新する。
以降の処理は第2の実施の形態と同様である。ただし、実施比率のPFメトリックの計算について、第2の実施の形態における式(13)と式(14)は以下の式(43)と式(44)に夫々置き換えられる。また、式(18)も以下の式(45)に置き換えられる。
なお、式(45)において、UE(m,l,s)は送信パターンsにおいてm番目とl番目の基地局200の協調通信により通信を行うUEの集合を表している。また、式(45)における平均スループットは式(17)を用いてもよい。
本第3の実施の形態においても、無線通信システム10においては、集中制御局100において実施比率を算出している。そして、無線通信システム10においては、算出した実施比率を複数の周期(例えば、サブフレーム期間)に亘って利用して、各周期で同一の実施比率に基づいて協調パターンを選択するようにしている。
従って、本第3の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、各周期で全協調パターンについて全ユーザのPFメトリックを計算する場合(例えば、図9の「協調あり」)と比較して、計算量の抑制を図ることができる。
なお、本第3の実施の形態においても、例えば図10に示すように、比率算出部110が全協調パターンについての実施比率についてのPFメトリックを計算し、最大のPFメトリックとなる協調パターンを選択するようにしてもよい。
また、本第3の実施の形態においても、例えば、図11(A)から図11(F)に示すように、協調パターン選択部120が実施比率のPFメトリックMm,Mm,lを算出することなく、実施比率Om,Om,lを用いて協調パターンを選択するようにしてもよい。
[その他の実施の形態]
図17は集中制御局100のハードウェア構成例を表す図である。集中制御局100は、ネットワークインタフェースモジュール141、メモリ142、及びプロセッサ143を備える。
プロセッサ143はメモリ142に記憶されたプログラムを読み出して当該プログラムを実行することで、比率算出部110と協調パターン選択部120の機能を実行することができる。プロセッサ143は、例えば、第2の実施の形態における比率算出部110と協調パターン選択部120に対応する。
ネットワークインタフェースモジュール141は、例えば、集中制御局100が基地局200と通信を行うためのインタフェースモジュールである。
なお、メモリ142は、例えば、第2の実施の形態における比率算出部110や協調パターン選択部120の内部メモリに対応する。
図18は基地局200−1〜200−nのハードウェア構成例を表す図である。ベースバンドユニット210−1は、内部インタフェースモジュール240、ネットワークインタフェースモジュール241、メモリ242、及びプロセッサ243を備える。
プロセッサ243は、メモリ242に記憶されたプログラムを読み出して当該プログラムを実行することで、データ生成部201、誤り訂正符号化部202、変調部203、チャネル多重部208、IFFT部209、CP付加部211の機能を実行する。また、プロセッサ243は、当該プログラムを実行することで、セル共通RS生成部204、移動局固有RS生成部205、CSI−RS生成部206、Downlink制御信号生成部207、Uplink受信部212、及びスケジューラ215の機能を実行する。
プロセッサ243は、例えば、データ生成部201、誤り訂正符号化部202、変調部203、チャネル多重部208、IFFT部209、CP付加部211に対応する。また、プロセッサ243は、セル共通RS生成部204、移動局固有RS生成部205、CSI−RS生成部206、Downlink制御信号生成部207、Uplink受信部212、及びスケジューラ215に対応する。
内部インタフェースモジュール240は、例えば、光ケーブルを介して接続されたRRH部220−1〜220−nと通信を行うためのインタフェースモジュールである。内部インタフェースモジュール240で取り扱うインタフェースとして、例えば、CPRI(Common Public Radio Interface)などがある。
また、ネットワークインタフェースモジュール241は、例えば、各基地局200−1〜200−nが集中制御局100と通信を行うためのインタフェースモジュールである。
RRH部220−1は、無線通信モジュール250−1を備える。無線通信モジュール250−1は、例えば、第2の実施の形態におけるDownlink無線処理部221−1、Uplink無線処理部222−1、及びアンテナ230−11,230−12に対応する。
また、メモリ242は、例えば、第2の実施の形態におけるスケジューラ215の内部メモリに対応する。
なお、RRH部220−2〜220−nも、RRH部220−1と同一構成となっている。
図19は移動局300のハードウェア構成を表す図である。移動局300は、無線通信モジュール341、メモリ342、及びプロセッサ343を備える。
プロセッサ343は、メモリ342に記憶されたプログラムを読み出して当該プログラムを実行することで、第2の実施の形態におけるCP除去部303、FFT部304、チャネルデマップ部305、Downlink制御信号復調復号部306の機能を実行する。また、プロセッサ343は、当該プログラムを実行することで、チャネル推定部307、CSI推定部308、復調部309、誤り訂正復号部310、Ack/Nack生成部311、Uplink送信部312の機能を実行する。
プロセッサ343は、例えば、第2の実施の形態におけるCP除去部303、FFT部304、チャネルデマップ部305、Downlink制御信号復調復号部306に対応する。また、プロセッサ343は、例えば、第2の実施の形態におけるチャネル推定部307、CSI推定部308、復調部309、誤り訂正復号部310、Ack/Nack生成部311、Uplink送信部312に対応する。
無線通信モジュール341は、例えば、第2の実施の形態におけるアンテナ301,314、Downlink無線処理部302、Uplink無線処理部313に対応する。
各プロセッサ143,243,343は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Processing Unit)、コントローラなどであってもよい。
また、上述した第2及び第3の実施の形態において、集中制御局100は基地局200の外部にあるものとして説明した。集中制御局100は、基地局200の内部に設けられてもよい。この場合、例えば、集中制御局100の比率算出部110と協調パターン選択部120は、ベースバンドユニット210−1〜210−n内に設けられてもよい。この場合、基地局200が制御装置となり、例えば、図3全体が基地局200又は制御装置100となる。
さらに、上述した第2及び第2の実施の形態において、品質情報として下り通信方向の品質情報を例にして説明した。例えば、品質情報は上り通信方向の品質情報でもよい。この場合、基地局200は端末200から送信された参照信号に基づいて品質を推定し、推定した品質情報を制御装置100へ送信する。制御装置100はこの品質情報に基づいて協調パターンの選択などの処理を行えば良い。
以上まとめると付記のようになる。
(付記1)
第1及び第2の基地局装置から夫々送信された第1及び第2の品質情報に基づいて、前記第1及び第2の基地局装置が協調して無線通信を行う第1の割合と、前記第1及び第2の基地局装置が協調することなく前記第1の基地局装置が無線通信を行う第2の割合を算出する比率算出部と、
複数の期間において、前記第1及び第2の割合に基づいて前記第1及び第2の基地局装置について協調通信を行う又は行わないかを示す協調パターンを選択する協調パターン選択部と
を備えることを特徴とする制御装置。
(付記2)
前記第1の割合は第1の移動局装置が前記第1及び第2の基地局装置と協調して無線通信を行う割合であり、前記第2の割合は第2の移動局装置が前記第1及び第2の基地局装置と協調することなく前記第1の基地局装置と無線通信を行う割合であることを特徴とする付記1記載の制御装置。
(付記3)
前記第1の割合は第1に移動局装置が前記第1及び第2の基地局装置と協調して無線通信を行う場合に前記第1及び第2の基地局装置から割り当てられる無線リソースの割当率であり、前記第2の割合は第2の移動局装置が前記第1及び第2の基地局装置と協調することなく前記第1の基地局装置と無線通信を行う場合に前記第1の基地局装置から割り当てられる無線リソースの割当率であることを特徴とする付記1記載の制御装置。
(付記4)
前記第1の割合は前記第1及び第2の基地局装置が協調して前記第1及び第2の基地局装置配下の全移動局装置と無線通信を行う割合であり、前記第2の割合は前記第1及び第2の基地局装置と協調することなく前記第1の基地局装置が前記第1の基地局装置配下の全移動局装置と無線通信を行う割合であることを特徴とする付記1記載の制御装置。
(付記5)
前記第1の割合は前記第1及び第2の基地局装置が前記第1及び第2の基地局装置配下の全移動局装置と協調して無線通信を行う場合において前記第1及び第2の基地局装置が当該全移動局装置に割り当てる無線リソースの割当率であり、前記第2の割合は前記第1及び第2の基地局装置が協調することなく前記第1の基地局装置が前記第1の基地局装置配下の全移動局装置と無線通信を行う場合において前記第1の基地局装置が当該全移動局装置に割り当てる無線リソースの割当率であることを特徴とする付記1記載の制御装置。
(付記6)
前記比率算出部は、前記複数の期間における各期間より長い期間で前記第1及び第2の割合を算出することを特徴とする付記1記載の制御装置。
(付記7)
前記複数の期間における各期間はサブフレーム期間であることを特徴とする付記6記載の制御装置。
(付記8)
前記比率算出部は、前記第1及び第2の品質情報に基づいて、第1の移動局装置が前記第1及び第2の基地局装置と協調して無線通信を行う場合に得られる第1のスループットと、第2の移動局装置が前記第1及び第2の基地局装置と協調することなく第1の基地局装置と無線通信を行う場合に得られる第2のスループットとを算出し、算出した前記第1及び第2のスループットに基づいて、前記第1及び第2の割合を夫々算出することを特徴とする付記1記載の制御装置。
(付記9)
前記比率算出部は、前記第1及び第2の品質情報に基づいて、PF(Proportional )ユーティリティの最大化問題を解くことで、前記第1及び第2の割合を算出することを特徴とする付記1記載の制御装置。
(付記10)
前記協調パターン選択部は、前記第1の割合の平均に対する前記第1の割合と前記第2の割合の平均に対する前記第2の割合とに基づいて、前記協調パターンを選択することを特徴とする付記1記載の制御装置。
(付記11)
前記比率算出部は、前記第1及び第2の品質情報に基づいて、前記第1及び第2の基地局装置が無線信号を送信する方向を示す送信パターンの各々について前記第1及び第2の割合を算出し、
前記協調パターン選択部は、前記送信パターン毎の第1及び第2の割合に基づいて前記協調パターンを選択することを特徴とする付記1記載の制御装置。
(付記12)
前記比率算出部は、前記送信パターンで無線通信が行われる第3の割合を算出し、
前記協調パターン選択部は、前記第1乃至第3の割合に基づいて、前記協調パターンを選択することを特徴とする付記11記載の制御装置。
(付記13)
前記協調パターン選択部は、前記第1の割合の平均に対する前記第1の割合、前記第2の割合の平均に対する前記第2の割合、及び前記第3の割合の平均に対する第3の割合に基づいて、前記協調パターンを選択することを特徴とする付記12記載の制御装置。
(付記14)
比率算出部と協調パターン選択部を有する制御装置における協調パターン選択方法であって、
前記比率算出部により、第1及び第2の基地局装置から夫々送信された第1及び第2の品質情報に基づいて、前記第1及び第2の基地局装置が協調して無線通信を行う第1の割合と、前記第1及び第2の基地局装置が協調することなく前記第1の基地局装置が無線通信を行う第2の割合を算出し、
前記協調パターン選択部により、複数の期間において、前記第1及び第2の割合に基づいて前記第1及び第2の基地局装置について協調通信を行う又は行わないかを示す協調パターンを選択する
ことを特徴とする協調パターン選択方法。
(付記15)
第1及び第2の基地局装置と、
制御装置と
を備える無線通信システムにおいて、
前記制御装置は、
第1及び第2の基地局装置から夫々送信された第1及び第2の品質情報に基づいて、前記第1及び第2の基地局装置が協調して無線通信を行う第1の割合と、前記第1及び第2の基地局装置が協調することなく前記第1の基地局装置が無線通信を行う第2の割合を算出する比率算出部と、
複数の期間において、前記第1及び第2の割合に基づいて前記第1及び第2の基地局装置について協調通信を行う又は行わないかを示す協調パターンを選択し、選択した協調パターンを前記第1及び第2の基地局装置へ送信する協調パターン選択部とを備え、
前記第1及び第2の基地局装置は前記協調パターンを受信することを特徴とする無線通信システム。
(付記16)
第1及び第2の基地局装置から夫々送信された第1及び第2の品質情報に基づいて、前記第1及び第2の基地局装置が協調して無線通信を行う第1の割合と、前記第1及び第2の基地局装置が協調することなく無線通信を行う第2の割合を算出し、複数の期間において、前記第1及び第2の割合に基づいて前記第1及び第2の基地局装置について協調通信を行う又は行わないかを示す協調パターンを選択するコントローラと
を備えることを特徴とする制御装置。
(付記17)
移動局装置と無線通信を行う基地局装置であって、
前記移動局装置から送信された第1の品質情報と、他の基地局装置から送信された第2の品質情報に基づいて、前記基地局装置と前記他の基地局装置とが協調して無線通信を行う第1の割合と、前記基地局装置と前記他の基地局装置とが協調することなく前記基地局装置が無線通信を行う第2の割合を算出する比率算出部と、
複数の期間において、前記第1及び第2の割合に基づいて前記第1及び第2の基地局装置について協調通信を行う又は行わないかを示す協調パターンを選択する協調パターン選択部と
を備えることを特徴とする基地局装置。