JP2016148041A - 光硬化型インク組成物、記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
重合性化合物と光重合開始剤とを含有する光硬化型インク組成物であって、前記重合性化合物は、該インク組成物の総質量に対して10質量%以上の下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートと、を含む、光硬化型インク組成物。
[2]
前記テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートは、該インク組成物の総質量に対して5〜50質量%含まれる、[1]に記載の光硬化型インク組成物。
[3]
前記テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートは、該インク組成物の総質量に対して5〜40質量%含まれる、[1]に記載の光硬化型インク組成物。
[4]
前記テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートは、該インク組成物の総質量に対して20〜50質量%含まれる、[1]に記載の光硬化型インク組成物。
[5]
前記重合性化合物は、該インク組成物の総質量に対して10質量%以上のフェノキシエチル(メタ)アクリレートをさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の光硬化型インク組成物。
[6]
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、該インク組成物の総質量に対して10〜55質量%含まれる、[1]〜[5]のいずれかに記載の光硬化型インク組成物。
[7]
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、該インク組成物の総質量に対して10〜30質量%含まれる、[1]〜[5]のいずれかに記載の光硬化型インク組成物。
[8]
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類が、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、[1]〜[7]のいずれかに記載の光硬化型インク組成物。
本発明の一実施形態に係る光硬化型インク組成物(以下、単に「インク組成物」とも言う。)は、重合性化合物と光重合開始剤とを含有する。当該重合性化合物は、下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートと、を含む。上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の含有量はインク組成物の総質量(100質量%)に対して10質量%以上である。
以下、本実施形態のインク組成物に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
本実施形態のインク組成物に含まれる重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により紫外線照射時に重合し、印刷されたインクを硬化させることができる。
本実施形態において必須の重合性化合物であるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、上記一般式(I)で示される。
また、本実施形態のインク組成物は、上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類に加えて、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートも含む。インク組成物がテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートを含有することにより、硬化性が優れたものとなる。テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートの中でも、上記効果が一層発揮されるため、テトラヒドロフルフリルアクリレートが好ましい。
本実施形態のインク組成物に含まれる光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。光(紫外線)のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
本実施形態のインク組成物は、色材をさらに含んでもよい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
本実施形態のインク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ(商品名)、アベシア社(Avecia Co.)から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等〔商品名〕)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ(商品名)、楠本化成社製のディスパロンシリーズ(商品名)が挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、後述する記録方法によって、被記録媒体上に吐出されること等により、記録物が得られる。この被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。下記実施形態の記録方法は、水性インクの浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、水性インクの浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、上記のインク組成物を非吸収性の被記録媒体に適用した場合は、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設けること等が必要となる場合がある。
本発明の一実施形態は、記録方法に係る。上記実施形態の光硬化型インク組成物は、本実施形態の記録方法に用いることができる。当該記録方法は、インクジェット方式に適用することができる。当該記録方法は、被記録媒体上に、上記インク組成物を吐出する吐出工程と、上記吐出工程により吐出されたインク組成物に紫外線を照射して、上記インク組成物を硬化する硬化工程と、を含む。このようにして、被記録媒体上で硬化したインク組成物により、塗膜(硬化膜)が形成される。
吐出工程において、被記録媒体上にインク組成物が吐出され、インク組成物が被記録媒体に付着する。吐出時におけるインク組成物の粘度は、5〜30mPa・sが好ましい。インク組成物の粘度が、インク組成物の温度を室温として、あるいは、インク組成物を加熱しない状態として上記のものであれば、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱せずに吐出させればよい。一方、インク組成物を所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
次に、上記硬化工程においては、被記録媒体上に吐出され付着したインク組成物が、光(紫外線)の照射によって硬化する。これは、インク組成物に含まれる光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線の照射によって、重合性化合物の重合反応が開始するためである。このとき、インク組成物において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が紫外線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
下記の実施例及び比較例において使用した成分は、以下の通りである。
〔重合性化合物〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社(Nippon Shokubai Co., Ltd.)製商品名、以下では「VEEA」と略記した。)
・THF−A(テトラヒドロフルフリルアクリレート、日立化成工業社(Hitachi Chemical Co., Ltd.)製、以下では「THF−A」と略記した。)
・IBXA(イソボルニルアクリレート、大阪有機化学社製商品名、以下では「IBXA」と略記した。)
・ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名、以下では「PEA」と略記した。)
・APG−200(トリプロピレングリコールジアクリレート、新中村化学工業社(SHIN-NAKAMURA CHEMICAL CO., LTD.)製、以下では「TPGDA」と略記した。)
・A−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学工業社製、以下では「DPE6A」と略記した。)
〔光重合開始剤〕
・IRGACURE 819(BASF社製商品名、以下では「819」と略記した。)
・DAROCUR TPO(BASF社製商品名、固形分100%、以下では「TPO」と略記した。)
・KAYACURE DETX−S(日本化薬社製商品名、以下では「DETX−S」と略記した。)
〔顔料〕
・ピグメントブラック7(カーボンブラック)(Microlith Black C−K〔商品名〕、BASF社製、以下では「ブラック」と略記した。)
〔分散剤〕
・Solsperse 36000(LUBRIZOL社製商品名、以下では「Sol36000」と略記した。)
下記表1及び表2に記載の成分を、表1及び表2に記載の組成(単位:質量%)となるように混合し、これを高速水冷式撹拌機により撹拌することにより、ブラック色のインク組成物を得た。
(1.粘度)
上記の各光硬化型インク組成物の粘度を、E型粘度計(東機産業社(TOKI SANGYO CO.,LTD.)製)を用いて、温度20℃、回転数10rpmの条件下で測定した。評価結果を下記表4〜表6に示す。
A:10mPa・s以上15mPa・s未満、
B:15mPa・s以上20mPa・s未満、
C:20mPa・s以上。
インクジェットプリンターPX−G5000(セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製商品名)を用いて、上記の光硬化型インク組成物をそれぞれのノズル列に充填した。常温、常圧下でPETフィルム(ルミラー125E20〔商品名〕、東レ社製)上に、インクのドット径が中ドットで印刷物の膜厚が6μmとなるようなベタパターン画像(記録解像度720×720dpi)を印刷すると共に、キャリッジの横に搭載した紫外線照射装置内のUV−LEDから、照射強度が60mW/cm2であり、且つ波長が395nmである紫外線を200mJ/cm2照射してベタパターン画像を硬化させた。以上のようにして、PETフィルム上にベタパターン画像が印刷された記録物を作製した。
ベタパターン画像とは、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の全ての画素に対してドットを記録した画像である。
照射エネルギー[mJ/cm2]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm2]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。照射強度の測定は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING, INC.)製)を用いて行った。
塗膜に関する硬化性は、タックフリー時の照射エネルギーを指標として評価した。ここで、タックフリーといえるか否かは、下記の条件で判断した。すなわち、綿棒にインクが付着するか否か、又は被記録媒体上のインク硬化物に擦り傷が付くか否かで判断し、綿棒にインクが付着せず、かつ被記録媒体上のインク硬化物に擦り傷が付かない場合をタックフリーとした。その際、使用した綿棒は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)社製のジョンソン綿棒であった。擦る回数は往復10回とし、擦る強さは100g荷重とした。
評価基準は下記のとおりである。AA、A、及びBが実用上許容される範囲である。評価結果を下記表3及び表4に示す。
AA:タックフリー時の照射エネルギー 150mJ/cm2以下、
A:タックフリー時の照射エネルギー 150mJ/cm2超200mJ/cm2以下、
B:タックフリー時の照射エネルギー 200mJ/cm2超300mJ/cm2以下、
C:タックフリー時の照射エネルギー 300mJ/cm2超400mJ/cm2以下。
インクジェットプリンターPX−G5000(セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製商品名)を用いて、上記の光硬化型インク組成物をそれぞれのノズル列に充填した。常温、常圧下でPETフィルム(ルミラー125E20〔商品名〕、東レ社製)上に、インクのドット径が中ドットで印刷物の膜厚が6μmとなるようなベタパターン画像(記録解像度720×720dpi)を印刷すると共に、キャリッジの横に搭載した紫外線照射装置内のUV−LEDから、照射強度が60mW/cm2であり、且つ波長が395nmである紫外線を200mJ/cm2照射してベタパターン画像を硬化させた。以上のようにして、PETフィルム上にベタパターン画像が印刷された記録物を作製した。
なお、タックフリー状態の確認方法、ベタパターン画像、並びに照射エネルギー及び照射強度の測定・算出については、上記「硬化性」評価の項で述べたとおりである。
硬化終了後のベタパターン画像の表面にどの程度シワが発生したかという指標で評価した。シワの発生の程度は目視で観察した。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記表3及び表4に示す。
A:硬化後の画像表面にシワは見られなかった。
B:硬化後の画像表面にシワが若干見られた。表面粗さRqは4以下であった。
C:硬化後の画像表面にシワが見られた。表面粗さRqは4を上回った。
30mL容のガラス瓶に上記の各インク組成物を24mLずつ投入し、60℃で1週間、遮光しながら放置した。放置前のインク粘度に対する放置後のインク粘度を測定することで、放置前後におけるインクの粘度上昇率を算出し、これによりインクの保存安定性を評価した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表3及び表4に示す。
A:粘度上昇率5%未満。
B:粘度上昇率5%以上10%未満。
C:粘度上昇率10%以上。
なお、PEAを含まない光硬化型インク組成物の場合(例2,12〜14)、光重合開始剤の溶解に時間がかかり、硬化速度に影響を及ぼすことも分かった。
Claims (8)
- 重合性化合物と光重合開始剤とを含有する光硬化型インク組成物であって、
前記重合性化合物は、該インク組成物の総質量に対して10質量%以上の下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートと、を含む、光硬化型インク組成物。 - 前記テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートは、該インク組成物の総質量に対して5〜50質量%含まれる、請求項1に記載の光硬化型インク組成物。
- 前記テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートは、該インク組成物の総質量に対して5〜40質量%含まれる、請求項1に記載の光硬化型インク組成物。
- 前記テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートは、該インク組成物の総質量に対して20〜50質量%含まれる、請求項1に記載の光硬化型インク組成物。
- 前記重合性化合物は、該インク組成物の総質量に対して10〜55質量%のフェノキシエチル(メタ)アクリレートをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化型インク組成物。
- 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、該インク組成物の総質量に対して10〜55質量%含まれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化型インク組成物。
- 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、該インク組成物の総質量に対して10〜30質量%含まれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化型インク組成物。
- 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類が、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光硬化型インク組成物。
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