JP2016147425A - 防護材料 - Google Patents

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泰功 河合
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Abstract

【課題】引張強度が高く、柔軟性に優れ、取り扱い性が良好で、積層加工などの加工性に富み、単位面積当たりの有機溶剤ガスに対する吸着性能が大きい繊維状活性炭多重織物に、軽量で高度な水蒸気透過性を有する透湿膜層を積層した防護材料を提供すること。【解決手段】乾燥目付が60〜250g/m2である繊維状活性炭多重織物と、厚さ3μm以上100μm以下の無孔質もしくは微多孔質のフィルムまたは無孔質もしくは微多孔質の被膜と厚さ0.05mm以上0.50mm以下の透湿性のある基材を複合した透湿膜層を、それぞれ少なくとも1層以上有する防護材料。【選択図】なし

Description

本発明は、ガス状有機化学物質からその取り扱い作業者を防護するために使用する、炭化可能な原料有機繊維の多重織物を炭化・賦活処理することによって得られる繊維状活性炭の多重織物に、軽量で高度な水蒸気透過性を有する透湿膜層を積層した防護材料に関するものである。
従来、炭化可能な原料有機繊維に炭化処理および賦活処理を施して繊維状活性炭を得ることが提案されている。特許文献1では編地状の繊維状活性炭編物が提案されている。これによると、柔軟で加工性に優れ、引張強度が高く、取り扱い性が良好な繊維状活性炭編物が得られる。しかしながら、昨今の活性炭布帛としての高性能化や他の材料との組み合わせにおける高次加工性といった高い要求を満足することはできないものであった。
特に、吸着性能と通気性、強度のバランスが十分ではないものであった。すなわち、単位面積当たりの有機溶剤ガスに対する吸着性能を増大しようとして繊維状活性炭編物の絶乾質量を増加させると、密度が増大し柔軟性が低下してしまう結果となった。
また、連続的な工業生産を想定した場合には、焼成時のコース方向の収縮によりテンションが掛かるために繊維状活性炭編物の強度が十分でない場合には、破れたり切れたりすることが考えられた。さらに両端部がカール状として捲れたり、幅方向の収縮が不安定で一定で安定した幅の繊維状活性炭編物を得ることが困難であり、収縮の変動が大きく、絶乾質量の変動が大きく、また編目曲がりが起こり、製品の品位が劣るものであった。
特開昭58−213615号公報
本発明は従来技術の問題を解決しようとするもので、引張強度が高く、柔軟性に優れ、取り扱い性が良好で、積層加工などの加工性に富み、単位面積当たりの有機溶剤ガスに対する吸着性能が大きい繊維状活性炭多重織物に、軽量で高度な水蒸気透過性を有する透湿膜層を積層した防護材料を提供しようとするものである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討の結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)乾燥目付が60〜250g/m2である繊維状活性炭多重織物と、厚さ3μm以上100μm以下の無孔質もしくは微多孔質のフィルムまたは無孔質もしくは微多孔質の被膜と厚さ0.05mm以上0.50mm以下の透湿性のある基材を複合した透湿膜層を、それぞれ少なくとも1層以上有する防護材料。
(2)繊維状活性炭多重織物の嵩密度が0.02〜0.19g/cm3である(1)に記載の防護材料。
(3)繊維状活性炭多重織物の引張強度が10N/5cm以上である(1)または(2)に記載の繊維状活性炭多重織物。
(4)透湿膜層の透湿度が60g/m2・h以上850g/m2・h以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の防護材料。
(5)透湿膜層がポリウレタンを含む(1)〜(4)のいずれかに記載の防護材料。
(6)透湿膜層が繊維状活性炭多重織物に対し、防護しようとするガス状有機化学物質で汚染された環境側に配置された(1)〜(5)のいずれかに記載の防護材料。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の防護材料を使用した防護衣服。
本発明は、炭化可能な原料有機繊維の多重織物を炭化・賦活処理することによって得られる繊維状活性炭の多重織物であって、引張強度が高く、柔軟性に優れ、取り扱い性が良好で、積層加工などの加工性に富み、有機ガスの吸着性能に優れた繊維状活性炭多重織物と、厚さ3μm以上100μm以下の無孔質もしくは微多孔質のフィルムまたは無孔質もしくは微多孔質の被膜と厚さ0.05mm以上0.50mm以下の透湿性のある基材を複合した透湿膜層を、それぞれ少なくとも1層以上有する防護材料であって、透湿膜層が繊維状活性炭多重織物に対し、防護しようとするガス状有機化学物質で汚染された環境側に配置されたことを特徴とする、有害ガスから身体を守る防護服、防護手袋、防護靴下、防護フード、フィルター、防護天幕、寝袋等に使用される防護材料に関する。詳しくは、特に、シート材料や成形品と積層、貼付等で組み合わせた加工を施す際に、破れや摩耗といった損傷が少なく、柔軟性の高い繊維状活性炭多重織物に、軽量で高度な水蒸気透過性を有する透湿膜層を積層した防護材料に関する。
図1は、耐ガス浸透性試験方法を示した概略図である。
本発明は、繊維状活性炭を、織組織を多重織とし、それにより柔軟性、引張強度、通気性、吸着性能等のバランスの良い繊維状活性炭シートを得る。織組織を多重織とした繊維状活性炭(以下、「繊維状活性炭多重織物」という場合がある)を得る工程については繊維状高分子前駆体の糸条をあらかじめ多重織にした後、炭化・賦活して繊維状活性炭多重織物とする方法が好ましい。活性炭繊維糸条を製織することにより、繊維状活性炭多重織物を得ることは、活性炭繊維糸条の強度が弱いため、工業的には製造することは極めて困難だからである。
柔軟性のある繊維状活性炭シートを得るためには、編地状の繊維状活性炭シートであることが好ましかったが、編地状であると引張強度が低く、破れや摩耗等が比較的発生しやすい。一方、織物状の繊維状活性炭シートは、引張強度は高いが、柔軟性に劣る上、単位面積当たりの有機溶剤ガスに対する吸着性能を増大しようとすると絶乾質量を増加させねばならず、その結果密度が増大し通気性、柔軟性が低下してしまう。
そこで、本発明では、繊維状活性炭を、織組織を多重織し、それにより柔軟性、引張強度、通気性、吸着性能等のバランスの良い繊維状活性炭シートにガス状有機化学物質に対して軽量で高度な水蒸気透過性を有する透湿膜層を積層した防護材料を得たものである。
本発明の繊維状活性炭多重織物の乾燥目付は、60〜250g/m2であり、70〜200g/m2が好ましい。乾燥目付が60g/m2未満では吸着性能が低くなり防護性が得られず好ましくなく、250g/m2を超えると通気性や柔軟性が低下したり、防護衣に使用した場合に生理負担が大きくなり好ましくない。
本発明の繊維状活性炭多重織物の引張強度は、10N/5cm以上が好ましい。引張強度が10N/5cm未満では、例えば織編物や不織布いった他の繊維集合体や透湿膜層等と工業的に積層加工する場合に該繊維状活性炭多重織物に加わる機械的応力により破れが生じ、生産性が大幅に低下し実用的でなくなる。引張強度の上限は特に限定されるものではないが、100N/5cm程度となる。
本発明の繊維状活性炭多重織物の嵩密度は0.02〜0.19g/cm3が好ましく、0.05〜0.18g/cm3がより好ましい。嵩密度が0.02g/cm3未満では製織困難であり、また製織できても目ズレを起こしやすく好ましくなく、0.19g/cm3を超えると柔軟性が低くなり好ましくない。
繊維状活性炭の前駆体繊維としてはフェノール系繊維、セルロース系繊維、ピッチ系繊維やPAN系繊維が知られているが、本発明の引張強度の高い繊維状活性炭多重織物を得るには、繊維状活性炭の前駆体繊維がフェノール系繊維であることが好ましい。
本発明の繊維状活性炭多重織物の厚さは、0.3〜3.0mmが好ましく、0.5〜2.5mmがより好ましい。厚さが0.3mm未満では通気性、柔軟性が低くなり好ましくなく、3.0mmを超えると防護衣に使用した場合に生理負担が大きくなり好ましくない。
本発明の繊維状活性炭多重織物の通気度は、100cm3/cm2・s以上が好ましい。通気度が100cm3/cm2・s未満では、フィルターに使用した場合には圧力損失の増大が、防護服に使用した場合には着用感の低下といった問題が起こり好ましくない。通気度の上限は特に限定されるものではないが、1000cm3/cm2・s以下が好ましい。1000cm3/cm2・sを超える多重織物は製織不可だからである。
本発明の繊維状活性炭多重織物の吸着性能としては、JIS K1477(2007)「繊維状活性炭試験方法」の7.8項に記載のトルエン吸着性能で30〜200g/m2が好ましく、33〜150g/m2がより好ましい。トルエン吸着性能が30g/m2未満である場合は、フィルターや防護服として使用した場合に実用性能を十分発揮できなくなる。一方、200g/m2を越えるトルエン吸着性能を有する多重織物で防護服のような衣服を成型すると、着用したときその重量により生理負担が大きくなってしまう。
本発明の繊維状活性炭多重織物を得る方法としては、以下の方法が一例として挙げられる。繊維状活性炭の前駆体繊維としてはフェノール系繊維を用い、前駆体繊維の糸条としては、ステープルから得られる紡績糸またはフィラメント糸条いずれの場合でも良く、また両者を混合した混繊糸条でもかまわない。前駆体繊維の単繊維繊度は1.1dtex〜5.5dtexが好ましく、前駆体繊維糸条の繊度は197〜885dtexが好ましく、295〜885dtexがより好ましい。糸条の繊度が197dtex未満であると、製織し炭化・賦活した後の繊維状活性炭の糸条の強度が低くなり、さらに柔軟性が不足して後加工時や使用時に裂けや破れの発生に繋がる。
前記糸条を用いて原料織地を製織するにあたって、繊維状活性炭にした後のシートの柔軟性を保持し、さらには吸着性能を保持するためには、織組織としては多重織とする必要がある。織組織が多重織ではなく平織物を重ね合わせた場合は、重ね合わせ面同士が擦れて活性炭粉末が脱落して穴が開き、実用に耐えないものとなる。摩耗性評価方法としては、JIS L1096(2010)の8.19.4 D法(アクセレロータ形法)により目視判定した。また、平織物を重ね合わせ、不織布状ホットメルト接着剤により積層加工したものは、接着加工しているため繊維状活性炭シートの柔軟性が大きく劣り、実用に耐えないものとなる。柔軟性としては、JIS L1096(2010)の8.21.2 B法(スライド法)による剛軟度が10mN・cm以下が好ましい。
得られた前駆体繊維からなる多重織物を活性炭にするには、バッチ式または連続式に炭化・賦活工程を施すことで得られる。得られる繊維状活性炭多重織物の生地特性や吸着性能の均一性を得ることや工業的生産性を考慮すると、炭化・賦活を連続的に行うことが好ましい。前駆体繊維からなる多重織物を350℃以上1000℃以下の温度の不活性雰囲気で炭化し、次いで500℃以上1000℃以下の温度で炭素と反応する水蒸気、酸素、二酸化炭素などを含む活性な雰囲気で賦活し、活性炭化する。また、場合によっては雰囲気条件を制御することにより炭化と賦活を同時に行うことも可能である。なお、賦活処理、すなわち活性炭化を行う際の最高到達温度が1000℃を越えると異常収縮などによりシワの発生を伴うことがあり、最高到達温度は1000℃以下にすることが好ましい。これにより、BET比表面積が1000〜2000m2/g未満である繊維状活性炭多重織物が得られる。
本発明の繊維状活性炭多重織物は、元来有するミクロポアの発達した細孔構造によりガスの吸着速度が速く、非常に大きな吸着性能を有するものである。しかし、フィルターや防護服として用いる場合に、本発明の繊維状活性炭多重織物が空気中の水分結露や汗等で濡れたとしても、高いガスバリア性を維持させるため、はっ水性を付与することが好ましい。水や汗等で濡れた場合の湿潤状態にも性能を維持させるためには、JIS L1092(2009)の7.2 はっ水度試験(スプレー法)によるはっ水度で2級以上の性能を有することが好ましく、4級以上を有することがより好ましい。はっ水性を付与する方法としては、はっ水剤をスプレー法により噴霧する方法やや含浸加工する方法等があり、特に限定されるものではない。はっ水剤としてはフッ素樹脂系、ワックス系、セルロース反応系、シリコン樹脂系等特に限定されるものではなく、添着量ははっ水剤固形分として好ましくは0.1〜15wt%、より好ましくは0.5〜5wt%である。添着量が0.1wt%未満でははっ水度が低く、15wt%を超えると吸着性能が低下するためである。
本発明の繊維状活性炭多重織物は、はつ油性を付与しても良い。その場合のはつ油度は、AATCC Test Method 118−2002による方法で2級以上の性能を有することが好ましく、3級以上を有することがより好ましい。2級を下回る場合、鉱物油や溶剤等で濡れたときに吸着性能が低下するためである。
本発明の繊維状活性炭多重織物は単層で使用しても良いが、繊維状活性炭多重織物を補強・保護するために両面に保護層を積層したり、さらに外層を積層したりして、吸着シートとして防護服等に使用することもできる。さらに繊維状活性炭多重織物に有機化学物質を酸化分解できる酸化剤や金属化合物触媒などを添着することも活性炭の寿命を延ばす上で有効である。前記使用法は、本発明の繊維状活性炭織物の特徴である通気性が高く、柔軟で引張強度が高く取り扱い性が良好で積層加工などの加工性に富み、有機ガスの吸着性能に優れるという特徴を有効に利用したものであり、好ましい実施形態であると言える。
本発明の透湿膜層を構成する無孔質もしくは微多孔質のフィルムまたは無孔質もしくは微多孔質の皮膜(以下、「透湿膜」という)を形成する樹脂は、公知のウレタン系樹脂であるが、他の樹脂としてはシリコン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリエステル、共重合ポリエステル、ポリオレフィン、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリビニルアルコール、セルロース、セルロース誘導体等の皮膜形成性能を有するポリマーで皮膜形成後に透湿性を有する材料でも構わない。
上記の透湿膜層を構成する透湿膜を形成する樹脂は、キャスト法、押出法、射出成型法等によりフィルムとして製膜する方法、メルトブローン法、フラッシュ紡糸法、エレクトロスピン法等による微細繊維不織布を膜とする方法、該樹脂の溶液あるいは低重合物を基材にコーティング、ディッピング等により塗工後に乾燥あるいは重合固化する方法などが挙げられる。
これらの材料を単独、混合、あるいは順次コーティングおよび積層して皮膜を形成しても構わない。また、本樹脂層中には、他の添加剤、例えば酸化チタン、シリカ等が添加されていても良い。
透湿膜層は透湿膜の補強または保護のために、透湿性のある基材と複合して形成する。強度を維持しながら軽量で柔軟な防護材料とするには、基材の厚さは0.05mm以上0.50mm以下、好ましくは0.07mm以上0.45mm以下である。基材にはシート状繊維集合体を好ましく用いることが出来る。
シート状繊維集合体としては綿、麻、毛、絹等の天然繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等の再生繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ナイロン、アラミド、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、アクリル系、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリクラール、ポリアリレート、ポリビニルアルコール、ポリベンザゾール、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド等の合成繊維からなる織物、編物、不織布等が挙げられる。これら繊維は単独あるいは混紡、交織、交編等により組み合わせてシート状繊維集合体としても良い。透湿性のある微多孔あるいは無孔質のフィルム又は膜としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、共重合ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、アクリレート等のシート状物が挙げられる。
透湿膜層は、透湿性の低下を防ぎ、材料の柔軟性を維持した上で透湿膜を基材にラミネート法およびコーティング法により積層することで得ることができる。ラミネート法では透湿膜と基材の間をポリウレタン系またはアクリル酸エステル系エマルジョンで接着する場合や、透湿膜または基材の一部を溶着または融着する場合は全面接着するのではなくドット状に部分接着することが好ましい。低融点の共重合ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンから成る低目付の不織布、網状体または粉体を介して熱接着することも可能である。
本発明では、上記の基材に後加工、例えば撥水撥油加工、難燃加工等を施しておいてもよい。撥水剤はフッ素系、ポリシロキサン系、パラフィン系等があげられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で使用する透湿膜の厚さとしては、3μm以上100μm以下、好ましくは5μm以上70μm以下である。3μm以下であると、十分な強度が得られなく、ピンホール、クラック等の問題が発生する。一方、100μmを超えると、透湿性が低下するうえ、材料が堅くなるためである。
透湿膜層の質量としては、200g/m2以下であることが好ましい。当該範囲であれば、本発明の目的とする軽量な防護材料を得ること可能だからである。より好ましくは150g/m2以下である。
透湿膜層の透湿性としては、好ましくは60g/m2・h以上850g/m2・h以下、より好ましくは70g/m2・h以上750g/m2・h以下、さらに好ましくは80g/m2・h以上500g/m2・h以下である。60g/m2・h以下では着用者から発する汗・蒸気を有効に外部へ放出できず、850g/m2・hを超えると耐久性に問題があるからである。
ここでいうガス状有機化学物質とは炭素元素を1つ以上持つガス状化合物のことである。50以上の比較的大きな分子量をもち、活性炭等のガス吸着性物質が吸着可能なガス状化学物質である。一例を挙げると、農薬、殺虫剤、除草剤に使用される有機リン系化合物や塗装作業などに使用されるトルエン、塩化メチレン、クロロホルムなどの一般的な有機溶剤があげられる。
透湿膜層と繊維状活性炭多重織物を積層する際には互いに重ね合わせるだけでも構わないが、柔軟性を維持したうえで接着剤を用いて貼り合わせても良い。
使用する接着剤としては、ウレタン系、ビニルアルコール系、エステル系、エポキシ系、塩ビ系、オレフィン系など挙げられるが、積層による透湿性の低下を抑制するためには透湿性の接着剤であるウレタン系、ビニルアルコール系、エステル系が好ましい。
また使用する接着剤のメルトインデックスとしては、100g/10min以下、好ましくは80g/10min以下であることが好ましい。100g/10min以下とすることにより接着の際、繊維状活性炭多重織物の表面を接着剤が被覆する面積が小さくなり積層によるガス吸着性能の低下を抑制することができる。
内層付加層と繊維状活性炭多重織物をあらかじめキルティングにより積層することは、積層によるガス吸着層の性能低下を抑え、より柔軟な積層材料を得るのに有効な手段である。前記2層をあらかじめキルティングにより積層した後、透湿膜層を接着剤により積層することにより防護材料を得ることもできる。
透湿膜層および繊維状活性炭多重織物の層数は、それぞれ少なくとも1層は必要であるが、柔軟性を高める目的や対象ガスが複数にわたるときなどは、透湿膜層と繊維状活性炭多重織物をそれぞれ必要数選定し重ね合わせて使用することは有効な手段である。
透湿膜層と繊維状活性炭多重織物の積層順序としては、繊維状活性炭多重織物の寿命を考えると、繊維状活性炭多重織物の外側、すなわち防護しようとするガス状有機化学物質で汚染された環境側(防護する環境側)に少なくとも1層の透湿膜層があることが好ましい。また、透湿膜層を複数用いる場合は、繊維状活性炭多重織物を保護するために、透湿膜層により挟み込む構造としてもよい。
全ての透湿膜層と繊維状活性炭多重織物の重量を合計した総質量としては、500g/m2以下が好ましく、さらに好ましくは450g/m2以下が好ましい。500g/m2を超えると衣服等にした場合、着用者への負荷が大きくなる。
透湿膜層と繊維状活性炭多重織物からなる防護材料の最も外側に外層付加層を設けてもよい。外層付加層の目的としては、外部から与えられる機械的な力から透湿膜層および繊維状活性炭多重織物を保護すること、機械的強度を補うことであり、撥水性と撥油性が付与されている織物、編物あるいは不織布などが好ましい。外層付加層としては、JIS L1092に記載の5.2スプレー試験を実施した場合の撥水度が3級以上、AATCC Test Method 118による撥油度が2級以上である織物、編物、または不織布などが好適に用いることができるが、柔軟性を考慮したものの使用が推奨される。
透湿膜層と繊維状活性炭多重織物からなる防護材料と外層付加層とは、あらかじめ接着剤により接着されている形態でもよいし、柔軟性を考慮し、接着せずに重ね合わせた状態でもよい。
透湿膜層と繊維状活性炭多重織物からなる防護材料の最も内側に内層付加層を設けてもよい。内層付加層としては、織物、編物、不織布、開孔フィルム等の材料があげられるが、透湿性、柔軟性の面から粗い密度で製織あるいは製編された織物あるいは編物が好ましい。
内層付加層の目的としては、外部から与えられる機械的な力から繊維状活性炭多重織物及び透湿膜層を保護する役割と、衣服等にした場合に着用者の汗によるべたつき感を抑制する役割である。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例はこの発明を制限するものではなく、前・後記の主旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。なお、本発明中における特性値の測定及び評価は下記のようにおこなった。
(繊度)
繊度は、JIS L1015(2010)の8.5.1(正量繊度)b)B法(簡便法)に記載の方法に準拠して求めた。ただし、表記はdtex(デシテックス)単位とした。
(目付)
目付は、JIS L1096(2010)の8.3.2(標準状態における単位面積当たりの質量)に記載の方法に準拠して測定した。
(乾燥目付)
乾燥目付は、目付をJIS L0105(2006)の5.3.2(試料又は試験片の絶乾状態)に記載の方法に準拠した条件で測定した。
(厚さ)
厚さは、JIS L1096(2010)の8.4(厚さ)a)A法(JIS法)に記載の方法に準拠して測定した。ただし、圧力は0.7kPaとした。
(嵩密度)
嵩密度は、JIS L1096(2010)の8.11(見掛比重及び気孔容積率)a)見掛比重に記載の方法に準拠して算出した。ただし、繊維状活性炭布帛の嵩密度は絶乾質量を用いて算出した。
(引張強さ)
引張強さは、JIS L1096(2010)の8.14.1(JIS法)に記載の方法に準拠して測定した。
織物の場合、たて方向とはたて糸方向をいい、よこ方向とはよこ糸方向をいう。また、編物の場合はそれぞれウェール方向、コース方向をいう。
(通気度)
通気度は、JIS L1096(2010)の8.26.1 A法(フラジール形法)に記載の方法に準拠して測定した。
(剛軟度)
剛軟度は、JIS L1096(2010)の8.21.2 B法(スライド法)に記載の方法に準拠して測定した。
(トルエン吸着性能)
トルエン吸着性能は、JIS K1477(2007)の7.8.2(平衡吸着量)に記載の方法に準拠して測定した。
(磨耗性(粉塵脱落性))
JIS L1096(2010)の8.19.4 D法(アクセレロータ形法)に記載の方法に準拠して防護材料の繊維状活性炭多重織物面を評価した。ただし、研磨紙としてCw−C−P1200を使用し、回転羽根を1000回/分の回転速度で2分間回転させたときのサンプル外観を目視判定した。(○:摩耗前後で外観に大きな変化なし、△:損傷が見られる、×:損傷が大きく、穴あきが多数見られる)
(透湿性)
JIS L1099(2012) 7.1.1 A−1法(塩化カルシウム法)に準拠して測定した。
(BET比表面積)
JIS K1477(2007)7.1に記載の方法に準拠して窒素吸着量を測定し、7.1.4b)の一点法に基づく計算により算出した。
(耐ガス浸透性試験)
耐ガス浸透性試験の説明図を図1に示す。内容積150ccの2つのガラスセルで試験品(防護衣材料)を挟み込み、周囲をパラフィンで密閉する。この試験容器の上方セル側から酢酸−3−メトキシブチルを20μLを試験品上に滴下し、素早くフタをする。これを25℃に設定した恒温ボックスに入れ、一定時間ごとに下方セル側の空気をシリンジでサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで試験品を透過したガス濃度を測定した。
(着用感)
試験品に外層付加層(綿平織物)と内層付加層(ナイロントリコット布)を重ね合わせ、この材料で防護衣服を縫製した。被験者にこの防護衣服を装着し、32℃、70%RHの恒温恒湿室内で10分間、速度5km/hrのトレッドミル上を歩行した時の心拍数、血圧、皮膚温、鼓膜温、衣服内温湿度の測定およびアンケート調査から総合的に評価し、○:着用感良好、×:着用感不良で判定した。
[製造例]
(透湿膜層製造例)
透湿膜層として、78デシテックス96フィラメントからなる60g/m2のナイロン平織物を定法により、精練、染色、撥水処理、乾燥させた後、コーターを使用してウレタン樹脂溶液をコーティングした。これを、20℃の水中で3分間凝固させた後、130℃のオーブンで乾燥し、樹脂層厚さが50μmの微多孔透湿膜を得た。得られた透湿膜層の厚さは0.21mm、質量は110g/m2、透湿度は418g/m2・hであった。
<実施例1>
単繊維繊度2.2dtex、糸条の繊度590dtexの群栄化学工業株式会社製カイノール紡績糸(品番KY−01、番手20/2Ne)を使用し、打ち込み密度経19、19本/2.54cm、緯19、19本/2.54cmの二重織物を製織した。この織物は、目付190g/m2、厚さ1.02mm、嵩密度0.19g/cm3、通気性252cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向361N/5cm、よこ方向348N/5cmであった。この織物を常温から890℃まで30分間、不活性雰囲気中で炭化させ、次に水蒸気12wt%を含有する雰囲気中890℃の温度で90分間賦活した。得られた繊維状活性炭二重織物は、絶乾質量113g/m2、厚さ0.95mm、嵩密度0.12g/cm3、通気性203cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向25N/5cm、よこ方向20N/5cmと強靱なものであった。また、トルエン吸着性能は52g/m2、BET比表面積は1321m2/gと高い吸着性能を有するものであり、剛軟度は8.3mN・cmと柔軟なものであった。この繊維状活性炭二重織物に上記の製造例にて得られた透湿膜層を積層し、防護材料を得た。この防護材料を用いた耐ガス浸透性や摩耗性(粉塵脱落性)は良好なものであった。
<実施例2>
単繊維繊度2.2dtex、糸条の繊度590dtexの群栄化学工業株式会社製カイノール紡績糸(品番KY−01、番手20/2Ne)を使用し、打ち込み密度経13、13本/2.54cm、緯12、12本/2.54cmの二重織物を製織した。この織物は、目付124g/m2、厚さ0.99mm、嵩密度0.13g/cm3、通気性497cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向242N/5cm、よこ方向226N/5cmであった。この織物を常温から890℃まで30分間、不活性雰囲気中で炭化させ、次に水蒸気12wt%を含有する雰囲気中890℃の温度で90分間賦活した。得られた繊維状活性炭二重織物は、絶乾質量72g/m2、厚さ0.95mm、嵩密度0.08g/cm3、通気性410cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向16N/5cm、よこ方向13N/5cmと強靱なものであった。また、トルエン吸着性能は34g/m2、BET比表面積は1350m2/gと高い吸着性能を有するものであり、剛軟度は5.4mN・cmと柔軟なものであった。この繊維状活性炭二重織物に上記の製造例にて得られた透湿膜層を積層し、防護材料を得た。この防護材料を用いた耐ガス浸透性や摩耗性(粉塵脱落性)は良好なものであった。
<実施例3>
単繊維繊度2.2dtex、糸条の繊度590dtexの群栄化学工業株式会社製カイノール紡績糸(品番KY−01、番手20/2Ne)を使用し、打ち込み密度経24、21、24本/2.54cm、緯23、20、23本/2.54cmの三重織物を製織した。この織物は、目付337g/m2、厚さ1.55mm、嵩密度0.22g/cm3、通気性205cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向647N/5cm、よこ方向626N/5cmであった。この織物を常温から890℃まで30分間、不活性雰囲気中で炭化させ、次に水蒸気12wt%を含有する雰囲気中890℃の温度で90分間賦活した。得られた繊維状活性炭三重織物は、絶乾質量202g/m2、厚さ1.50mm、嵩密度0.13g/cm3、通気性152cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向51N/5cm、よこ方向46N/5cmと強靱なものであった。また、トルエン吸着性能は94g/m2、BET比表面積は1350m2/gと高い吸着性能を有するものであり、剛軟度は8.8mN・cmと柔軟なものであった。この繊維状活性炭三重織物に上記の製造例にて得られた透湿膜層を積層し、防護材料を得た。この防護材料を用いた耐ガス浸透性や摩耗性(粉塵脱落性)は良好なものであった。
<実施例4>
単繊維繊度2.2dtex、糸条の繊度590dtexの群栄化学工業株式会社製カイノール紡績糸(品番KY−01、番手20/2Ne)を使用し、打ち込み密度経9、8、9本/2.54cm、緯9、9、9本/2.54cmの三重織物を製織した。この織物は、目付134g/m2、厚さ1.14mm、嵩密度0.12g/cm3、通気性471cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向236N/5cm、よこ方向247N/5cmであった。この織物を常温から890℃まで30分間、不活性雰囲気中で炭化させ、次に水蒸気12wt%を含有する雰囲気中890℃の温度で90分間賦活した。得られた繊維状活性炭三重織物は、絶乾質量79g/m2、厚さ1.1mm、嵩密度0.07g/cm3、通気性431cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向13N/5cm、よこ方向15N/5cmと強靱なものであった。また、トルエン吸着性能は43g/m2、BET比表面積は1550m2/gと高い吸着性能を有するものであり、剛軟度は5.1mN・cmと柔軟なものであった。この繊維状活性炭三重織物に上記の製造例にて得られた透湿膜層を積層し、防護材料を得た。この防護材料を用いた耐ガス浸透性や摩耗性(粉塵脱落性)は良好なものであった。
<比較例1>
単繊維繊度2.2dtex、糸条の繊度590dtexの群栄化学工業株式会社製カイノール紡績糸(品番KY−01、番手20/2Ne)を使用し、打ち込み密度経54本/2.54cm、緯54本/2.54cmの平織物を製織した。この織物は、目付268g/m2、厚さ0.63mm、嵩密度0.43g/cm3、通気性58cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向558N/5cm、よこ方向543N/5cmであった。この織物を常温から890℃まで30分間、不活性雰囲気中で炭化させ、次に水蒸気12wt%を含有する雰囲気中890℃の温度で90分間賦活した。得られた繊維状活性炭平織物は、絶乾質量162g/m2、厚さ0.58mm、嵩密度0.28g/cm3であり、引張強度はたて方向35N/5cm、よこ方向29N/5cmと強靱なものであった。また、トルエン吸着性能は71g/m2、BET比表面積は1318m2/gと高い吸着性能を有するものであった。しかし、平織物で嵩密度が大きいため通気性は38cm3/cm2・sと非常に低く、さらに剛軟度は12.1mN・cmと柔軟性にかけるものであった。この繊維状活性炭平織物に上記の製造例にて得られた透湿膜層を積層し、防護材料を得た。この防護材料を用いた耐ガス浸透性や摩耗性(粉塵脱落性)は良好なものであった。
<比較例2>
単繊維繊度2.2dtex、糸条の繊度590dtexの群栄化学工業株式会社製カイノール紡績糸(品番KY−01、番手20/2Ne)を使用し、打ち込み密度経18本/2.54cm、緯18本/2.54cmの平織物を製織した。この織物は、目付88g/m2、厚さ0.55mm、嵩密度0.16g/cm3、通気性701cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向173N/5cm、よこ方向161N/5cmであった。この織物を常温から890℃まで30分間、不活性雰囲気中で炭化させ、次に水蒸気12wt%を含有する雰囲気中890℃の温度で90分間賦活した。得られた繊維状活性炭平織物を2枚重ね合わせた。得られた繊維状活性炭平織物2枚重ね品は、絶乾質量104g/m2、厚さ1.0mm、嵩密度0.10g/cm3、通気性304cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向33N/5cm、よこ方向45N/5cmと強靱なものであった。また、トルエン吸着性能は46g/m2、BET比表面積は1264m2/gと高い吸着性能を有するものであり、剛軟度は5.3mN・cmと柔軟なものであった。この繊維状活性炭平織物を2枚重ね合わせ、さらに上記の製造例にて得られた透湿膜層を積層し、防護材料を得た。この防護材料を用いた耐ガス浸透性は良好なものであった。しかし、摩耗性(粉塵脱落性)については、活性炭平織物同士が擦れて活性炭粉末が摩耗脱落して穴が開き、実用に耐えないものであった。
<比較例3>
単繊維繊度2.2dtex、糸条の繊度590dtexの群栄化学工業株式会社製カイノール紡績糸(品番KY−01、番手20/2Ne)を使用し、打ち込み密度経18本/2.54cm、緯18本/2.54cmの平織物を製織した。この織物は、目付88g/m2、厚さ0.55mm、嵩密度0.16g/cm3、通気性701cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向173N/5cm、よこ方向161N/5cmであった。この織物を常温から890℃まで30分間、不活性雰囲気中で炭化させ、次に水蒸気12wt%を含有する雰囲気中890℃の温度で90分間賦活した。得られた繊維状活性炭平織物を2枚重ね合わせ、アミド系樹脂よりなる不織布状ホットメルト接着剤により積層加工した。得られた繊維状活性炭平織物2枚重ね接着品は、絶乾質量123g/m2、厚さ1.02mm、嵩密度0.12g/cm3、通気性285cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向41N/5cm、よこ方向75N/5cmと強靱なものであった。また、トルエン吸着性能は45g/m2、BET比表面積は1063m2/gと高い吸着性能を有するものであった。しかし、平織物を2枚接着加工しているため剛軟度は15.3mN・cmと高く、柔軟性に劣るものだった。この繊維状活性炭平織物2枚重ね接着品に上記の製造例にて得られた透湿膜層を積層し、防護材料を得た。この防護材料を用いた耐ガス浸透性や摩耗性(粉塵脱落性)については、良好なものであった。
<比較例4>
単繊維繊度2.2dtex、糸条の繊度295dtexの群栄化学工業株式会社製カイノール紡績糸(品番KY−04、番手20/1Ne)を使用し、22ゲージ両面丸編み機によりフライス編地を編成した。この編地は、目付230g/m2、厚さ1.60mm、密度15ウェール/2.54cm、34コース/2.54cm、嵩密度0.14g/cm3、通気性305cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向(ウェール方向)171N/5cm、よこ方向(コース方向)242N/5cmであった。この編地を常温から890℃まで30分間、不活性雰囲気中で炭化させ、次に水蒸気12wt%を含有する雰囲気中890℃の温度で90分間賦活した。得られた繊維状活性炭編物は、絶乾質量113g/m2、厚さ1.10mm、嵩密度0.10g/cm3、通気性346cm3/cm2・sであったが、引張強度はたて方向7N/5cm、よこ方向5N/5cmと小さいものであった。また、トルエン吸着性能は52g/m2、BET比表面積は1321m2/gと高い吸着性能を有するものであり、剛軟度は5.8mN・cmと柔軟なものであった。この繊維状活性炭編物に上記の製造例にて得られた透湿膜層を積層し、防護材料を得た。この防護材料を用いた耐ガス浸透性は良好なものであったが、摩耗性(粉塵脱落性)については、活性炭編物が脆く、活性炭粉末が摩耗脱落して実用上問題のあるものであった。
<比較例5>
単繊維繊度2.2dtex、糸条の繊度590dtexの群栄化学工業株式会社製カイノール紡績糸(品番KY−01、番手20/2Ne)を使用し、打ち込み密度経9、9本/2.54cm、緯9、9本/2.54cmの二重織物を製織した。この織物は、目付90g/m2、厚さ0.75mm、嵩密度0.12g/cm3、通気性883cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向174N/5cm、よこ方向163N/5cmであった。この織物を常温から890℃まで30分間、不活性雰囲気中で炭化させ、次に水蒸気12wt%を含有する雰囲気中890℃の温度で90分間賦活した。得られた繊維状活性炭二重織物は、絶乾質量52g/m2、厚さ0.68mm、嵩密度0.08g/cm3、通気性430cm3/cm2・sであったが、絶乾質量が小さいため引張強度はたて方向12N/5cm、よこ方向9.5N/5cmとやや劣るものであった。また、トルエン吸着性能は24g/m2、BET比表面積は1350m2/gであり、剛軟度は4.8mN・cmと柔軟なものであった。この繊維状活性炭二重織物に上記の製造例にて得られた透湿膜層を積層し、防護材料を得た。この防護材料は、繊維状活性炭二重織物の絶乾質量が小さく吸着性能が低いため、耐ガス浸透性に劣るものであった。しかし、摩耗性(粉塵脱落性)については、良好なものであった。
<比較例6>
単繊維繊度2.2dtex、糸条の繊度590dtexの群栄化学工業株式会社製カイノール紡績糸(品番KY−01、番手20/2Ne)を使用し、打ち込み密度経43、43本/2.54cm、緯44、44本/2.54cmの二重織物を製織した。この織物は、目付435g/m2、厚さ1.23mm、嵩密度0.35g/cm3、通気性82cm3/cm2・sであり、引張強度はたて方向841N/5cm、よこ方向788N/5cmであった。この織物を常温から890℃まで30分間、不活性雰囲気中で炭化させ、次に水蒸気12wt%を含有する雰囲気中890℃の温度で90分間賦活した。得られた繊維状活性炭二重織物は、絶乾質量260g/m2、厚さ1.20mm、嵩密度0.22g/cm3、引張強度はたて方向57N/5cm、よこ方向51N/5cmと強靭なものであったが、絶乾質量が大きいため通気性は40cm3/cm2・sと非常に低いものであった。また、トルエン吸着性能は117g/m2、BET比表面積は1292m2/gと高い吸着性能を有するものであった。しかし、絶乾質量が大きいため剛軟度は11.7mN・cmと高く、柔軟性に劣るものであった。この繊維状活性炭二重織物に上記の製造例にて得られた透湿膜層を積層し、防護材料を得た。この防護材料を用いた耐ガス浸透性や摩耗性(粉塵脱落性)については、良好なものであった。
表1には、上記の実施例1〜4と比較例1〜6の材料で作製した防護衣服の着用感を示した。
本発明の繊維状活性炭多重織物と透湿膜層を積層した防護材料は、柔軟性が高く、引張強度が高く、単位面積当たりの有機溶剤ガスに対する吸着性能が大きい防護材料を提供することが可能である。
さらには、工業生産時の連続的な炭化・賦活工程においても安定した収縮により、品質および品位の優れた繊維状活性炭多重織物を提供することが可能であり、産業界への寄与大である。
1:上方ガラスセル
2:下方ガラスセル
3:繊維状活性炭多重織物
4:透湿膜層
5:パラフィンシーリング
6:試験液
7:サンプリング口(シリコンキャップ)

Claims (7)

  1. 乾燥目付が60〜250g/m2である繊維状活性炭多重織物と、厚さ3μm以上100μm以下の無孔質もしくは微多孔質のフィルムまたは無孔質もしくは微多孔質の被膜と厚さ0.05mm以上0.50mm以下の透湿性のある基材を複合した透湿膜層を、それぞれ少なくとも1層以上有する防護材料。
  2. 繊維状活性炭多重織物の嵩密度が0.02〜0.19g/cm3である請求項1に記載の防護材料。
  3. 繊維状活性炭多重織物の引張強度が10N/5cm以上である請求項1または2に記載の繊維状活性炭多重織物。
  4. 透湿膜層の透湿度が60g/m2・h以上850g/m2・h以下である請求項1〜3のいずれかに記載の防護材料。
  5. 透湿膜層がポリウレタンを含む請求項1〜4のいずれかに記載の防護材料。
  6. 透湿膜層が繊維状活性炭多重織物に対し、防護しようとするガス状有機化学物質で汚染された環境側に配置された請求項1〜5のいずれかに記載の防護材料。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の防護材料を使用した防護衣服。
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