JP2016145140A - ガラスペーストの製造と製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決策】 熱分解で金属を析出する金属化合物、ないしは、複数種類の金属を同時に析出する複数種類の金属化合物をアルコールに分散し、アルコールより粘度が高い有機化合物と、粉末ガラスとを混合して少なくとも1種類のガラスペーストを製造する。この少なくとも1種類のガラスペーストを基材ないしは部品に、塗布ないしは印刷ないしは充填して熱処理し、金属化合物を熱分解する。これによって、少なくとも1種類の金属ないしは合金の微粒子の集まりが粉末ガラスの表面に析出し、金属ないしは合金の微粒子が金属結合することで粉末ガラスが結合され、少なくとも1種類の金属ないしは合金の性質を持つ導電性ガラス層が、基材ないしは部品に形成される。
【選択図】図1
Description
さらに、前記とは異なる金属が析出する金属化合物を用いて、ないしは、前記とは異なる複数の金属が同時に析出る複数種類の金属化合物を用いて、第二のガラスペーストを作成し、第一のガラスペーストと第二のガラスペーストとを、順番に基材ないしは部品の表面に塗布ないしは印刷ないしは充填して熱処理すれば、2層からなる導電性ガラス層が形成され、導電性ガラス層は、2種類の金属の性質、ないしは2種類の合金の性質を持つ。
なお、従来の導電性ガラスペーストは、有機ビヒクル中に導電性フィラーを分散した構成からなる。本発明のガラスペーストは、導電性フィラーを有機ビヒクル中に分散した構成でないため、ガラスペーストと記述した。また、粉粒状のガラスを、ガラスフリット、ガラス粒子、ガラス粉体と様々な呼称で呼ぶが、本発明では粉末ガラスとして記述する。
しかしながら、導電率が相対的に高い酸化バナジウムを主成分とする酸化物ガラスの導電率は、金属の導電率に比べると10桁以上も低い。従って、導電性フィラーとして導電性ガラス粉末を用いる限り、導電性ガラスの導電率を飛躍的に増大させることは困難である。
すなわち、導電性ガラスペーストを焼成すると、酸化銀(Ag2O)が銀に還元される(Ag2O→2Ag+1/2O2)。この際、放出した酸素ガスによって導電性ガラスペーストが発熱する。この発熱現象によって還元された銀の一部が銀イオンAg+として無鉛ガラス粒子に固溶する。発熱現象が終了すると、酸化銀から還元された銀粒子と、無鉛ガラス中に含まれる銀の飽和溶解度が低下して析出した銀微粒子とが、添加した銀粒子に結合し、銀に近い導電率を有する導電性ガラスが形成されるとの原理が記載されている。
しかしながら、酸化銀粒子の還元反応は、局所的で瞬間的な発熱現象である。従って、還元された銀が無鉛ガラス粒子に固溶するには、酸化銀粒子が無鉛ガラス粒子に接触していることが前提となる。いっぽう、無鉛ガラス粒子から析出した銀微粒子が添加された銀粒子に結合するには、無鉛ガラス粒子と添加された銀粒子とが接触していることが前提になる。さらに、添加された酸化銀粒子から還元された銀粒子が、添加された銀粒子に結合するには、添加された酸化銀粒子が添加された銀粒子に接触していることが前提になる。また、還元された銀粒子が添加された銀粒子に結合するには、添加された銀粒子は活性状態になければならない。つまり、酸化銀粒子が銀粒子に接触していることが前提となって、発熱現象で銀粒子が活性状態になる。しかしながら、酸化銀粒子が無鉛ガラス粒子と銀粒子とに接触し、さらに、銀粒子が無鉛ガラス粒子に接触する状態を同時に実現することは困難である。従って、析出した銀粒子で銀粒子同士が結合され、電子が連続して移動する経路が、導電性ガラス内部に形成することは困難で、銀に近い導電率は形成されない。また、導電性ガラスを構成する無鉛ガラスの導電率は、半導体の領域の導電率に過ぎない。このため、本発明で金属に近い導電性を持つ導電性ガラスの形成は難しい。
第一に、導電性ガラスペーストを基材や部品に印刷ないしは塗布ないしは充填すると、被膜ないしは充填層が形成されなければならない。従って、導電性ガラスペーストは粘度を持つことが必須になる。つまり、導電性フィラーを有機溶剤のみに分散させたペーストを印刷ないしは塗布ないしは充填してもペーストが流出し、被膜ないしは充填層が形成されない。このため、合成樹脂を有機溶剤で溶解させた有機ビヒクルで粘性を持たせる。
第二に、導電性ガラスペーストからなる被膜ないしは充填層に、導電性フィラーが含まれることが必須になる。つまり、有機ビヒクルが粘性を持つことで、固体の導電性フィラーが有機ビヒクルと共に、被膜ないしは充填層に運ばれる。従って、導電性ガラスペーストは、被膜ないしは充填層の厚みに応じた粘度を持ち、合成樹脂の溶解度を増大させてペーストの粘度を増やす。
第三に、導電性ガラスペーストからなる被膜ないしは充填層を熱処理すると、導電層を形成することが必須になる。つまり、有機ビヒクルにおける合成樹脂を熱融解させ、この後冷却して固化させ、固化した合成樹脂によって導電性フィラーが結合され、結合した導電性フィラーが通電経路を形成する。従って、合成樹脂は、導電性フィラーを運ぶビヒクルの役割と、導電性フィラーを結合させる2つの役割を兼備する。なお、導電性フィラーとして導電性ガラス粒子を用いる場合は、熱処理の際に導電性ガラス粉末が軟化される。
第四に、導電性ガラスペーストからなる被膜ないしは充填層は、合成樹脂の熱分解が始まる温度より低い温度で熱処理することが必須になる。つまり、合成樹脂の熱分解が始まると合成樹脂の性質が不可逆変化するため、熱分解の開始温度より低い温度で熱処理する。いっぽう、導電性フィラーとして導電性ガラス粉末を用いる場合は、導電性ガラス粉末が軟化し始める転移点は、多くの合成樹脂が熱分解を始める温度より高い。従って、合成樹脂の材質は耐熱性の合成樹脂に限定され、耐熱性合成樹脂を溶解する有機溶剤も限定される。これによって、導電性ペーストの原料費が高価になる。
なお、従来の導電性ガラスペーストには、前記した樹脂硬化型の導電性ペーストの他に、金属焼成型の導電性ペーストがある。この金属焼成型の導電性ペーストは、金属粉末からなる導電性フィラーとガラスフリットを有機ビヒクル中に分散させた構成からなり、熱硬化したガラスによって焼結した金属粉末を結合させ、結合した金属粉末が通電経路を形成する。樹脂硬化型は金属焼成型より、熱処理温度が600℃程度も低いことが大きな特徴であり、これによって、耐熱性の低い基材や部材に導電性ガラスが形成できる特徴を持つ。
いっぽう、ガラスペーストが、金属焼成型のペーストより熱処理温度が著しく低く、さらに、金属ないしは合金の性質、さらには、複数の金属ないしは複数の合金の性質付与できれば、汎用的な導電材料となる。このため、全く新たな材料構成からなるガラスペーストを用い、全く新たな通電経路からなる導電性ガラス層を実現することが求められている。
本発明が解決しようとする課題は、金属焼成型のペーストに比べ熱処理温度が著しく低く、金属ないしは合金の性質、さらには、複数の金属ないしは複数の合金の性質を持つ導電性ガラス層を形成する原料となるガラスペーストを実現することにある。これによって、電気回路の配線や電極の形成、電子部品の電極の形成、セラミックチップ部品などの内部電極や端子電極の形成、電磁波シールド膜の形成、鉛フリーの半田材料、透明導電性膜からなるタッチパネルなど様々な用途に、ガラスペーストを原料として用いことができる。
すなわち、本特徴手段で製造したガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、塗布ないしは印刷ないしは充填して熱処理する。最初にアルコールが気化し、次に有機化合物が気化し、この後、金属化合物が熱分解し、粉末ガラスの表面に、40nm〜60nmの大きさの粒状の金属微粒子の集まりが析出する。この際、金属微粒子は不純物を持たない活性状態にあるため、隣接する金属微粒子同士が接触部で金属結合し、金属結合した金属微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面を覆うとともに、粉末ガラス同士を結合する。この結果、金属微粒子の集まりで結合された粉末ガラスからなる導電性ガラス層が、基材ないしは部品の表面に形成される。従って、金属微粒子の集まりが、連続した通電経路を導電性ガラス層に形成するため、導電性ガラス層は金属の性質を持つ。このため、本特徴手段のガラスペーストは、金属の性質を持つ導電性ガラス層を形成する原料になる。なお、金属化合物の熱分解温度は、従来の樹脂硬化型の導電性ペーストにおける合成樹脂の熱融解温度より低い。また、金属焼成型の導電性ペーストの熱処理温度より600℃以上低い。
以上に説明したように、本特徴手段に依って製造したガラスペーストを用いることで、導電性ガラス層は金属の性質を示す。従って、6段落で説明した金属の性質を持つ導電性ガラス層を実現させる課題は、本特徴手段で解決された。
なお、ガラスの歪点より低い温度で粉末ガラスを加熱処理するため、熱処理後に粉末ガラスに歪は発生しない。このため、導電性ガラス層の性質が経時変化しない。また、粉末ガラスに残留する歪を除去するアニール処理は不要になる。つまり、ガラスペーストの原料となる粉末ガラスは、最も安価なミクロンサイズからなる粉体であり、かつ、化学的にも熱的にも安定な材料である。このため、粉末ガラスの混合割合に応じてガラスペーストの材料費が安価になる。なお、ガラスの歪点は、ガラスを加熱冷却した際に、ガラスに歪が発生しない温度を歪点と定義し、ガラスの徐冷における下限温度、つまり、アニール処理が不要になる温度を意味し、ガラスの粘性流動が起こらない温度であり、ガラスの粘度が1014.5ポアズに相当する温度でもある。特殊なガラスである高価な低融点ガラスを除くと、ガラスの歪点は金属化合物の熱分解温度より高い。このため、金属化合物を熱分解する熱処理を行なっても、多くの粉末ガラスは歪が発生しない。
いっぽう、一般的な粉末ガラスの大きさがミクロンサイズであり、金属微粒子は粉末ガラス粒子より2桁小さい。従って、ガラスペーストの熱処理後において、1個の粉末ガラスの体積収縮は、1個の金属微粒子より大きい。このため、熱処理後に、粉末ガラスの表面に空隙が形成される可能性がある。しかしながら、使用する金属化合物のモル数を、粉末ガラスのモル数より多くすれば、金属微粒子が粉末ガラスに比べて2桁小さいため、多量の金属微粒子が粉末ガラスに析出し表面を覆う。このため、熱処理後に空隙が形成されない。また、金属の熱膨張率に近い大きな熱膨張率を持つより安価な粉末ガラスを用いると、熱処理後に空隙が形成されす、併せて、金属化合物の使用量が減るため、ガラスペーストの材料費がさらに安価になる。なお、金属結合した金属微粒子の集まりは、温度変化対して、熱膨張と熱収縮との可逆変化を繰り返し、導電性ガラス層は経時変化しない。
ここで、本特徴手段における懸濁液の製造手順と、この製造方法によってもたらされる作用効果とを詳しく説明する。熱分解で金属を析出する金属化合物をアルコールに分散すると、金属化合物はアルコール中に分子状態で均一に分散する。なお、金属化合物を分散させる溶媒は、最も汎用的な有機溶剤であるアルコールが望ましい。また、金属化合物はアルコールに分子状態で分散するため、アルコールを気化させると、金属化合物の結晶が微細粉として析出する。この現象は、砂糖水から水を気化させると、砂糖の微細粉が析出する現象に類似している。いっぽう、金属化合物のアルコール分散液の粘度は、アルコールの粘度と同等である。従って、アルコール分散液に粉末ガラスを混合しても、粉末ガラスが固体であるため、混合液の粘度は増大しない。このため、アルコールに溶解ないしは混和する性質と、アルコール溶解液ないしはアルコール混和液が、アルコールより高い粘度を持つ性質とを兼備する有機化合物を、アルコール分散液に混合すると、有機化合物の混合割合に応じて混合液の粘度が高まる。このような混合液に粉末ガラスを混合して懸濁液を作成し、この懸濁液を基材ないしは部品の表面に、塗布ないしは印刷ないしは充填すると、粘度に応じた厚みからなる被膜ないしは充填層が、基材ないしは部品の表面に形成される。こうして形成した被膜ないしは充填層においては、金属化合物が分子状態で均一に分散され、粉末ガラスも均一に分散される。なお、被膜ないしは充填層の膜厚は、多くの用途では十から数十ミクロン程度の薄い膜厚からなる。従って、懸濁液の粘度は低い。
このような懸濁液を基材ないしは部品の表面に塗布ないしは印刷ないしは充填すると、懸濁液の一部は、ミクロンレベルの凹凸を持つ基材ないしは部品の表面に入り込み、表面に被膜ないしは充填層を形成する。この基材ないしは部品を熱処理すると、最初にアルコールが気化し、次に有機化合物が気化する。これによって、基材ないしは部品の表面の凹凸を含んだ表層に、金属化合物の結晶と粉末ガラスからなる薄い被膜ないしは薄い充填層が形成される。つまり、金属化合物の結晶と粉末ガラスからなる薄い被膜ないしは薄い充填層を、基材ないしは部品の表層に形成させるため、金属化合物をアルコール中に分子状態で均一に分散させ、この分散液に粉末ガラスを均一に分散させた。さらに昇温すると金属化合物が熱分解し、40nm〜60nmの大きさの粒状の金属微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面に析出して熱分解を終える。この際、析出した金属微粒子は不純物を持たない活性状態にあるため、隣接する金属微粒子同士が接触部で金属結合する。この結果、基材ないしは部品の表面の凹凸に、金属結合した金属微粒子が入り込み、基材ないしは部品の表面に、金属微粒子の集まりで結合された粉末ガラスからなる導電性ガラス層が形成される。このため、導電性ガラス層はアンカー効果で基材ないしは部品の表面から剥離しにくい。
以上に説明したように、本特徴手段に依って製造したガラスペーストを用いることで、導電性ガラス層は合金の性質を示す。従って、6段落で説明した合金の性質を持つ導電性ガラス層を実現させる課題は、本特徴手段で解決された。
いっぽう、本特徴手段のガラスペーストの製造において、複数種類の金属化合物における金属の組み合わせを変える、複数種類の金属化合物のモル数の比率を変えると、形成される導電性ガラス層は様々な合金の性質を示す。このように、本特徴手段に依って製造するガラスペーストは、導電性ガラス層の性質を様々な合金の性質に拡大させる原料になる。
すなわち、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する金属錯体を、還元雰囲気で熱処理すると、配位結合部が最初に分断され、無機物と金属とに分解される。さらに昇温すると、無機物が気化熱を奪って気化し、すべての無機物の気化が完了した後に金属が析出する。つまり、金属錯体を構成するイオンの中で、分子の中央に位置する金属イオンが最も大きい。このため、金属イオンと配位子との距離が最も長くなる。従って、金属錯体を還元雰囲気で熱処理すると、金属イオンが配位子と結合する配位結合部が最初に分断され、金属と無機物とに分解する。さらに温度が上がると、無機物が気化熱を奪って気化し、全ての無機物が気化した後に、金属微粒子が析出する。このような金属錯体として、アンモニアNH3が配位子となって金属イオンに配位結合するアンミン錯体、塩素イオンCl−が、ないしは塩素イオンCl−とアンモニアNH3とが配位子となって金属イオンに配位結合するクロロ錯体、シアノ基CN−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するシアノ錯体、臭素イオンBr−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するブロモ錯体、沃素イオンI−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するヨード錯体などの金属錯体が挙げられる。このような金属錯体の配位子は、低分子量の無機物からなるため、金属錯体は180℃〜220℃の低い温度で熱分解する。また、配位子の分子量が小さいため、合成が容易で最も安価な金属錯体である。
以上に説明したように、本特徴手段に依って製造したガラスペーストは、耐熱性が低い基材や部品の表面に金属の性質を持つ導電性ガラス層を形成する原料になる。
この結果、耐熱性が低い基材や部品の表面に、2種類の金属の性質を持つ導電性ガラス層が形成される。例えば、紙フェノール基板、紙エポキシ基板やガラスエポキシ基板などの表面に、2種類の金属の性質を持つ電気回路の配線や電極が形成され、また、電子機器のケースや電子部品の表面に、2種類の金属の性質を持つ電磁波シールド膜が形成される。また、錫鉛共晶半田の融点に近い熱処理温度からなる半田材料にもなる。
すなわち、2種類のガラスペーストは、同一の配位子が異なる金属イオンに配位結合する異なる金属錯体で構成される。このような2種類のガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、順番に塗布ないしは印刷ないしは充填し、2層からなる被膜ないしは充填層を形成する。その後、還元雰囲気で熱処理すると、2種類の金属錯体の配位結合部が同時に分断され、無機物と金属とに分解され、無機物の気化が完了した後に、各々の層の粉末ガラスの表面に、金属微粒子の集まりが同時に析出する。これら金属微粒子は不純物を持たない活性状態にあるため、隣接する金属微粒子同士が接触部で金属結合し、金属結合した金属微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面を覆うとともに、粉末ガラスを結合する。この結果、第一の金属微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第一層と、第二の金属微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第二層とからなる2重の導電性ガラス層が、基材ないしは部品の表面に形成される。また、第一層と第二層との境界部分は、活性状態にある第一の金属微粒子と、活性状態にある第二の金属微粒子とが反応して合金微粒子が形成される。これによって、基材ないしは部品に、2種類の金属の性質が新たに付与される。また、2種類の金属錯体における金属の組み合わせを変えれば、導電性ガラス層は様々な組み合わせからなる2種類の金属の性質を持つ。従って、本特徴手段に依って製造するガラスペーストは、導電性ガラス層を2種類の金属の性質に拡大させる原料になる。
以上に説明したように、本特徴手段に依って、6段落で説明した複数の金属の性質を持つ導電性ガラス層を実現させる課題が解決された。なお、本特徴手段に準じて3種類以上のガラスペーストを製造し、これら3種類以上のガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、順番に塗布ないしは印刷ないしは充填し、基材ないしは部品を熱処理すれば、基材ないしは部品の表面に、3種類以上の金属の性質を持つ導電層が形成される。
以上に説明したように、本特徴手段に依って製造したガラスペーストは、複数種類の金属の性質を持つ複数層からなる導電性ガラス層を形成する原料になる。
すなわち、複数種類の金属錯体は、同一の配位子が異なる金属イオンに配位結合する複数種類の金属錯体であるため、還元雰囲気で熱処理すると、複数種類の金属錯体の配位結合部が同時に分断され、無機物と複数の金属とに分解され、無機物の気化が完了した後に、金属錯体のモル濃度に応じて複数種類の金属が同時に析出し、これら金属は不純物を持たない活性状態にあるため、析出した複数種類の金属から構成されるとともに、金属錯体のモル濃度比率に応じた組成割合からなる合金が生成される。
いっぽう、本特徴手段のガラスペーストの製造において、複数種類の金属化合物における金属の組み合わせを変える、複数種類の金属化合物のモル数の比率を変えると、形成される導電性ガラス層は様々な合金の性質を示す。このように、本特徴手段に依って製造するガラスペーストは、耐熱性が低い基材や部品の表面に形成される導電性ガラス層の性質を、様々な合金の性質に拡大させる原料になる。
この結果、耐熱性が低い基材や部品の表面に2種類の合金の性質を持つ導電性ガラス層が形成される。例えば、プリント配線基板の表面に、2種類の合金の性質を持つ電気回路の配線や電極が形成され、また、電子機器のケースや電子部品の表面に、2種類の合金の性質を持つ電磁波シールド膜が形成される。また、錫鉛共晶半田の融点に近い熱処理温度からなる半田材料にもなる。
すなわち、2種類のガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、順番に塗布ないしは印刷ないしは充填し、2層からなる被膜ないしは充填層を形成する。その後、還元雰囲気で熱処理すると、第一の複数種類の金属錯体と第二の複数種類の金属錯体とは、いずれの金属錯体も同一の配位子を持つため、全ての金属錯体の配位結合部が同時に分断され、無機物と金属とに分解され、無機物の気化が完了した後に、各々の層の粉末ガラスの表面に異なる組成からなる合金微粒子の集まりが同時に析出する。これら合金微粒子は不純物を持たない活性状態にあるため、隣接する合金微粒子同士が接触部で金属結合し、金属結合した合金微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面を覆うとともに、粉末ガラスを結合する。この結果、第一の合金微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第一の層と、第二の合金微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第二の層とからなる2層の導電性ガラス層が、基材ないしは部品の表面に形成される。また、第一の層と第二の層との境界部分では、活性状態にある第一の合金微粒子と、活性状態にある第二の合金微粒子とが接触する部位で金属結合する。いっぽう、第一の複数種類の金属錯体と第二の複数種類の金属錯体とにおける金属の組み合わせを変える、また、第一の複数種類の金属錯体と第二の複数種類の金属錯体とにおける金属錯体のモル数の比率を変えれば、導電性ガラス層は様々な組成からなる2種類の合金の性質を持つ。これによって、本特徴手段に依って製造するガラスペーストは、耐熱性が低い基材や部品の表面に形成される導電性ガラス層の性質を、2種類の合金の性質に拡大させる。
以上に説明したように、本特徴手段に依って、6段落で説明した複数の合金の性質を持つ導電性ガラス層を実現させる課題が解決された。なお、本特徴手段に準じて3種類以上のガラスペーストを製造し、これら3種類以上のガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、順番に塗布ないしは印刷ないしは充填し、基材ないしは部品を熱処理すれば、基材ないしは部品の表面に、3種類以上の合金の性質を持つ導電層が形成される。
以上に説明したように、本特徴手段に依って製造した複数種類のガラスペーストは、複数種類の合金の性質を持つ複数層からなる導電性ガラス層を形成する原料になる。
従って、金属錯体のアルコール分散液に、本特徴手段におけるいずれかの有機化合物を混合すると、有機化合物の混合割合に応じて混合液の粘度が増大する。この混合液に粉末ガラスの集まりを混合すると懸濁液、つまりガラスペーストが製造できる。従って、本特徴手段における有機化合物は、ガラスペーストの粘度を調整する安価な調整剤になる。
すなわち、カルボン酸金属化合物を構成するイオンの中で、金属イオンが最も大きい。従って、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンと共有結合するカルボン酸金属化合物においては、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの距離が、他のイオン同士の距離より長い。こうした特徴を持つカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、カルボン酸の沸点で、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの結合部が分断されて、カルボン酸と金属とに分離する。さらに、カルボン酸が飽和脂肪酸から構成される場合は、炭素原子が水素原子に対して過剰となる不飽和構造を持たないため、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、全てのカルボン酸が気化した後に、金属微粒子が析出する。こうしたカルボン酸金属化合物として、オクチル酸金属化合物、ラウリン酸金属化合物、ステアリン酸金属化合物などが挙げられる。なお、不飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物は、飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物に比べて、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、熱分解によって金属酸化物、例えば、オレイン酸銅の場合は、酸化銅(I)Cu2Oと酸化銅(II)CuOとが同時に析出し、酸化銅(I)Cu2Oと酸化銅(II)CuOとを銅に還元するための処理費用を要する。特に、酸化銅(I)Cu2Oは、酸素ガスの割合が大気雰囲気よりリッチな雰囲気で一度酸化銅(II)CuOに酸化させた後に、再度、還元雰囲気で銅に還元させる必要があるため、処理費用がかさむ。
さらに、前記したカルボン酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、カルボン酸を強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。この後、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、様々な金属からなるカルボン酸金属化合物が合成される。従って、有機金属化合物の中で最も安価な有機金属化合物である。このため、12段落で説明した金属錯体より熱処理温度が高くはなるが、金属錯体より安価な金属化合物である。
以上に説明したように、本特徴手段に依って製造したガラスペーストは、基材や部品の表面に金属の性質を持つ導電性ガラス層を形成する安価な原料になる。
例えば、ガラスエポキシ基板やセラミック基板の表面に、2種類の金属の性質を持つ電気回路の配線や電極が形成され、また、電子機器のケースや電子部品の表面に、2種類の金属の性質を持つ電磁波シールド膜が形成される。また、半田材料にもなる。
すなわち、2種類のガラスペーストは、同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属イオンに共有結合する異なるカルボン酸金属化合物で構成される。このような2種類のガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、順番に塗布ないしは印刷ないしは充填し、2層からなる被膜ないしは充填層を形成する。その後、大気雰囲気で熱処理すると、飽和脂肪酸の沸点において、2種類のカルボン酸金属化合物が同時にカルボン酸と金属とに分解され、カルボン酸の気化が完了した後に、各々の層の粉末ガラスの表面に金属の金属微粒子の集まりが同時に析出する。これら金属微粒子は不純物を持たない活性状態にあるため、隣接する金属微粒子同士が接触部で金属結合し、金属結合した金属微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面を覆うとともに、粉末ガラスを結合する。この結果、第一の金属微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第一の層と、第二の金属微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第二の層とからなる2重の導電性ガラス層が、基材ないしは部品の表面に形成される。また、2種類のカルボン酸金属化合物における金属の組み合わせを変えれば、導電性ガラス層は様々な組み合わせからなる2種類の金属の性質を持つ。これによって、導電性ガラス層は2種類の金属の性質に拡大される。
なお、本特徴手段に準じて3種類以上のガラスペーストを製造し、これら3種類以上のガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、順番に塗布ないしは印刷ないしは充填し、基材ないしは部品を熱処理すれば、基材ないしは部品の表面に、3種類以上の金属の性質を持つ導電性ガラス層が形成される。
以上に説明したように、本特徴手段に依って製造した複数種類のガラスペーストは、複数種類の金属の性質を持つ複数層からなる導電性ガラス層を形成する安価な原料になる。
すなわち、同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属イオンに共有結合する複数種類のカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、カルボン酸の沸点において、複数種類のカルボン酸金属化合物は同時にカルボン酸と金属とに分解され、更に昇温すると、カルボン酸の気化が完了した後に、カルボン酸金属化合物のモル濃度に応じて複数種類の金属が同時に析出し、これらの金属はいずれも不純物を持たない活性状態にあるため、析出した複数種類の金属から構成されるとともに、カルボン酸金属化合物のモル濃度に応じた組成割合からなる合金が生成される。このため16段落で説明した複数種類の金属錯体より熱処理温度が高くはなるが、金属錯体より安価な金属化合物で様々な合金が生成される。
いっぽう、本特徴手段のガラスペーストの製造において、複数種類のカルボン酸金属化合物における金属の組み合わせを変える、複数種類の金属化合物のモル数の比率を変えると、形成される導電性ガラス層は様々な合金の性質を示す。このように、本特徴手段に依って製造するガラスペーストは、基材や部品の表面に形成される導電性ガラス層の性質を、様々な合金の性質に拡大させる安価な原料になる。
この結果、基材や部品の表面に、例えば、セラミック基板の表面に、2種類の合金の性質を持つ電気回路の配線や電極が、電子機器のケースや電子部品の表面に、2種類の合金の性質を持つ電磁波シールド膜が形成できる。
すなわち、2種類のガラスペーストにおける全てのカルボン酸金属化合物が、同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、金属イオンに共有結合する共通の性質を持つ。このような2種類のガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、順番に塗布ないしは印刷ないしは充填し、2層からなる被膜ないしは充填層を形成する。その後、大気雰囲気で熱処理すると、飽和脂肪酸の沸点において、全てのカルボン酸金属化合物が同時にカルボン酸と金属とに分解され、カルボン酸の気化が完了した後に、各々の層に組成の異なる合金微粒子の集まりが同時に析出する。これら合金微粒子は不純物を持たない活性状態にあるため、隣接する合金微粒子同士が接触部で金属結合し、金属結合した合金微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面を覆うとともに、粉末ガラスを結合する。この結果、第一の合金微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第一の層と、第二の合金微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第二の層とからなる2層の導電性ガラス層が、基材ないしは部品の表面に形成される。また、複数種類のカルボン酸金属化合物における金属の組み合わせを変える、また、複数種類のカルボン酸金属化合物におけるモル数の比率を変えれば、導電性ガラス層は様々な組成からなる2種類の合金の性質を持つ。これによって、導電性ガラス層は2種類の合金の性質に拡大される。なお、本特徴手段に準じて3種類以上のガラスペーストを製造し、これら3種類以上のガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、順番に塗布ないしは印刷ないしは充填し、基材ないしは部品を熱処理すれば、基材ないしは部品の表面に、3種類以上の合金の性質を持つ導電層が形成される。
以上に説明したように、本特徴手段に依って製造した複数種類のガラスペーストは、複数種類の合金の性質を持つ複数層からなる導電性ガラス層を形成する安価な原料になる。
従って、カルボン酸金属化合物のアルコール分散液に、本特徴手段のいずれかの有機化合物を混合すると、有機化合物の混合割合に応じて混合液の粘度が増大する。この混合液に粉末ガラスの集まりを混合すると懸濁液、つまり、ガラスペーストが製造できる。従って、本特徴手段の有機化合物は、ガラスペーストの粘度を調整する安価な調整剤になる。
第一の工程は、熱分解で金属を析出する金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、ガラスペーストは安価な製造費用で製造できる。
こうして製造したガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に塗布ないしは印刷ないしは充填し、この基材ないしは部品を熱処理すると、金属化合物が熱分解し、大きさが40nm〜60nmからなる粒状の金属微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面に多量に析出する。これによって、金属結合した金属微粒子で覆われた粉末ガラスの集まりからなる導電性ガラス層が形成される。従って、金属の性質を持つ導電性ガラス層を形成する費用も安価で済む。この結果、安価な原料を用いて安価な製造費用で、基材ないしは部品に、例えば、プリント配線基板の表面に電気回路の配線や電極を形成し、ないしは、電子機器のケースや電子部品の表面に、電磁波シールド膜を形成することができる。また、ガラスペーストは半田材料にもなる。
第一の工程は、複数種類の金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アリコール分散液に有機化合物を混合するだけの処理である。第三の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、ガラスペーストは安価な製造費用で製造できる。
こうして製造したガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に塗布ないしは印刷ないしは充填し、この基材ないしは部品を熱処理すると、複数種類の金属化合物が熱分解し、大きさが40nm〜60nmからなる粒状の合金微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面に多量に析出する。これによって、金属結合した合金微粒子で覆われた粉末ガラスの集まりからなる合金の性質を持つ導電性ガラス層が形成される。従って、導電性ガラス層を形成する費用も安価で済む。この結果、安価な原料を用いて安価な製造費用で、基材ないしは部品に、例えば、プリント配線基板の表面に、電気回路の配線や電極を形成し、ないしは、電子機器のケースや電子部品の表面に、電磁波シールド膜を形成することができる。また、ガラスペーストは半田材料にもなる。
第一の工程は、熱分解で金属を析出する金属錯体をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合するだけの処理である。第三の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理である。このため、ガラスペーストは安価な製造費用で製造できる。
こうして製造したガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に塗布ないしは印刷ないしは充填し、この基材ないしは部品を、還元雰囲気の180℃〜220℃の温度で短時間熱処理すると、大きさが40nm〜60nmからなる粒状の金属微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面に多量に析出する。これによって、金属結合した金属微粒子で覆われた粉末ガラスの集まりからなる導電性ガラス層が形成される。従って、金属の性質を持つ導電性ガラス層を形成する費用も安価で済む。
この結果、安価な原料を用いて安価な製造費用で、耐熱性が低い基材ないしは部品に、例えば、紙フェノール基板、紙エポキシ基板やガラスエポキシ基板などの表面に電気回路の配線や電極が形成され、電子機器のケースや電子部品の表面に電磁波シールド膜が形成される。また、ガラスペーストを電子部品の端子部に充填して熱処理すれば、電子部品と配線とが導通するため、錫鉛共晶半田の融点に近い熱処理温度からなる半田材料にもなる。
第一の工程は、熱分解で金属を析出する第一の金属錯体をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。第四の工程は、熱分解で金属を析出する第二の金属錯体をアルコールに分散するだけの処理である。第五の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第六の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、2種類のガラスペーストは安価な製造費用で製造できる。
このような2種類のガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、順番に塗布ないしは印刷ないしは充填し、2層からなる被膜ないしは充填層を形成する。その後、還元雰囲気の180℃〜220℃の温度で短時間熱処理すると、2種類の金属錯体が同時に分解され、各々の層に異なる金属の金属微粒子の集まりが粉末ガラスの表面に同時に析出する。これによって金属結合した金属微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面を覆うとともに、金属結合した金属微粒子の集まりで粉末ガラスが結合される。この結果、第一の金属微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第一の層と、第二の金属微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第二の層とからなる2層の導電性ガラス層が、基材ないしは部品の表面に形成される。これによって、2種類の金属の性質を持つ導電性ガラス層が形成される。従って、2種類の金属の性質を持つ導電性ガラス層を形成する費用も安価で済む。
この結果、安価な原料を用いて安価な製造費用で、耐熱性が低い基材ないしは部品に、例えば、紙フェノール基板、紙エポキシ基板やガラスエポキシ基板などの表面に、2種類の金属の性質を持つ電気回路の配線や電極が形成され、ないしは、電子機器のケースや電子部品の表面に、2種類の金属の性質を持つ電磁波シールド膜が形成される。また、ガラスペーストを電子部品の端子部に充填して熱処理すれば、電子部品と配線とが導通するため、錫鉛共晶半田の融点に近い熱処理温度からなる半田材料にもなる。
第一の工程は、複数種類の金属錯体をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合するだけの処理である。第三の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理である。このため、ガラスペーストは安価な製造費用で製造できる。
こうして製造したガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に塗布ないしは印刷ないしは充填し、この基材ないしは部品を、還元雰囲気の180℃〜220℃の温度で短時間熱処理すると、大きさが40nm〜60nmからなる粒状の合金微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面に多量に析出する。これによって、金属結合した合金微粒子で覆われた粉末ガラスの集まりからなる合金の性質を持つ導電性ガラス層が形成される。従って、導電性ガラス層を形成する費用も安価で済む。
この結果、安価な原料を用いて安価な製造費用で、耐熱性が低い基材や部品の表面に、例えば、紙フェノール基板、紙エポキシ基板やガラスエポキシ基板などの表面に、合金の性質を持つ電気回路の配線や電極が形成され、あるいは、電子機器のケースや電子部品に、合金の性質を持つ電磁波シールド膜が形成される。また、ガラスペーストを電子部品の端子部に充填して熱処理すれば、電子部品と配線とが導通するため、ガラスペーストは、錫鉛共晶半田の融点に近い熱処理温度からなる半田材料にもなる。
第一の工程は、熱分解で複数の金属を同時に析出する第一の複数種類の金属錯体をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。第四の工程は、熱分解で前記の複数の金属とは別の複数の金属を同時に析出する第二の複数種類の金属錯体をアルコールに分散するだけの処理である。第五の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第六の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、2種類のガラスペーストは安価な製造費用で製造できる。
このような2種類のガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、順番に塗布ないしは印刷ないしは充填し、2層からなる被膜ないしは充填層を形成する。その後、還元雰囲気の180℃〜220℃の温度で短時間熱処理すると、第一および第二の複数種類の金属錯体を構成する全ての金属錯体が、同一の配位子が金属イオンに配位結合する分子構造を有するため、全ての金属錯体が同時に分解され、各々の層に異なる組成からなる合金微粒子の集まりが粉末ガラスの表面に同時に析出する。これによって金属結合した合金微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面を覆うとともに、金属結合した合金微粒子の集まりで粉末ガラスが結合される。この結果、第一の合金微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第一の層と、第二の合金微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第二の層とからなる2層の導電性ガラス層が、基材ないしは部品の表面に形成される。従って、2種類の合金の性質を持つ導電性ガラス層を形成する費用も安価で済む。
この結果、安価な原料を用いて安価な製造費用で、耐熱性が低い基材ないしは部品に、例えば、紙フェノール基板、紙エポキシ基板やガラスエポキシ基板などの表面に、2種類の合金の性質を持つ電気回路の配線や電極が形成され、また、電子機器のケースや電子部品の表面に、2種類の合金の性質を持つ電磁波シールド膜が形成される。また、ガラスペーストを電子部品の端子部に充填して熱処理すれば、電子部品と配線とが導通するため、錫鉛共晶半田の融点に近い熱処理温度からなる半田材料にもなる。
第一の工程は、カルボン酸金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合するだけの処理である。第三の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理である。このため、ガラスペーストは安価な製造費用で製造できる。
こうして製造したガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に塗布ないしは印刷ないしは充填し、この基材ないしは部品を、大気雰囲気の290℃〜400℃の温度で短時間熱処理すると、大きさが40nm〜60nmからなる粒状の金属微粒子の集まりが粉末ガラスの表面に多量に析出する。これによって、金属結合した金属微粒子で覆われた粉末ガラスの集まりからなる導電性ガラス層が形成される。従って、金属の性質を持つ導電性ガラス層を形成する費用も安価で済む。
この結果、安価な原料を用いて安価な製造費用で、基材ないしは部品に、例えば、ガラスエポキシ基板やセラミック基板などの表面に電気回路の配線や電極が形成され、ないしは、電子機器のケースや電子部品の表面に電磁波シールド膜が形成される。また、ガラスペーストを電子部品の端子部に充填して熱処理すれば、電子部品と配線とが導通するため、ガラスペーストは半田材料になる。
第一の工程は、熱分解で複数の金属を析出する第一のカルボン酸金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。第四の工程は、熱分解で前記の金属とは別の金属を析出する第二のカルボン酸金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第五の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第六の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、2種類のガラスペーストは安価な製造費用で製造できる。
このような2種類のガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、順番に塗布ないしは印刷ないしは充填し、2層からなる被膜ないしは充填層を形成する。その後、大気雰囲気の290℃〜400℃の温度で短時間熱処理すると、2種類のカルボン酸金属化合物が同時に分解され、各々の層に異なる金属の金属微粒子の集まりが粉末ガラスの表面に同時に析出する。これによって金属結合した金属微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面を覆うとともに、金属結合した金属微粒子の集まりで粉末ガラスが結合される。この結果、第一の金属微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第一の層と、第二の金属微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第二の層とからなる2層の導電性ガラス層が、基材ないしは部品の表面に形成される。これによって、2種類の金属の性質を持つ導電性ガラス層が形成される。従って、2種類の金属の性質を持つ導電性ガラス層を形成する費用も安価で済む。
この結果、安価な原料を用いて安価な製造費用で、基材ないしは部品に、例えば、ガラスエポキシ基板やセラミック基板などの表面に、2種類の金属の性質を持つ電気回路の配線や電極が形成され、ないしは、電子機器のケースや電子部品の表面に、2種類の金属の性質を持つ電磁波シールド膜が形成される。また、ガラスペーストを電子部品の端子部に充填して熱処理すれば、電子部品と配線とが導通するため、半田材料にもなる。
第一の工程は、複数種類のカルボン酸金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合して撹拌するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理である。このため、ガラスペーストは安価な製造費用で製造できる。
こうして製造したガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に塗布ないしは印刷ないしは充填し、この基材ないしは部品を、大気雰囲気の290℃〜400℃の温度で短時間熱処理すると、大きさが40nm〜60nmからなる粒状の合金微粒子の集まりが多量に析出する。これによって、金属結合した合金微粒子で覆われた粉末ガラスの集まりからなる導電性ガラス層が形成される。従って、導電性ガラス層を形成する費用も安価で済む。
この結果、安価な原料を用いて安価な製造費用で、基材や部品の表面に、例えば、ガラスエポキシ基板やセラミック基板などの表面に、合金の性質を持つ電気回路の配線や電極が形成され、あるいは、電子機器のケースや電子部品に、合金の性質を持つ電磁波シールド膜が形成される。また、ガラスペーストを電子部品の端子部に充填して熱処理すれば、電子部品と配線とが導通するため、ガラスペーストは、半田材料にもなる。
第一の工程は、熱分解で複数の金属を同時に析出する第一の複数種類のカルボン酸金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第二の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第三の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。第四の工程は、熱分解で前記の複数の金属とは異なる複数の金属を同時に析出する第二の複数種類のカルボン酸金属化合物をアルコールに分散するだけの処理である。第五の工程は、アルコール分散液に有機化合物を混合して撹拌するだけの処理である。第六の工程は、混合液に粉末ガラスの集まりを混合するだけの処理である。いずれも極めて簡単な処理であるため、2種類のガラスペーストは安価な製造費用で製造できる。
このような2種類のガラスペーストを、基材ないしは部品の表面に、順番に塗布ないしは印刷ないしは充填し、2層からなる被膜ないしは充填層を形成する。その後、大気雰囲気の290℃〜400℃の温度で短時間熱処理すると、第一および第二の複数種類のカルボン酸金属化合物を構成する全てのカルボン酸金属化合物が、同一の飽和脂肪酸がカルボキシル基を構成する酸素イオンに共有結合する分子構造を有するため、全てのカルボン酸金属化合物が同時に分解され、各々の層に異なる組成からなる合金微粒子の集まりが粉末ガラスの表面に同時に析出する。これによって金属結合した合金微粒子の集まりが、粉末ガラスの表面を覆うとともに、金属結合した合金微粒子の集まりで粉末ガラスが結合される。この結果、第一の合金微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第一の層と、第二の合金微粒子の集まりで粉末ガラスが結合された第二の層とからなる2層の導電性ガラス層が、基材ないしは部品の表面に形成される。従って、2種類の合金の性質を持つ導電性ガラス層を形成する費用も安価で済む。
この結果、安価な原料を用いて安価な製造費用で、基材ないしは部品に、例えば、ガラスエポキシ基板やセラミック基板などの表面に、2種類の合金の性質を持つ電気回路の配線や電極が形成され、また、電子機器のケースや電子部品の表面に、2種類の合金の性質を持つ電磁波シールド膜が形成される。また、ガラスペーストを電子部品の端子部に充填して熱処理すれば、電子部品と配線とが導通するため、半田材料にもなる。
最初に、アルコールに分散する性質を持つ金属化合物を説明する。ここでは金属を銅とし、銅化合物を例として説明する。塩化銅、硫酸銅、硝酸銅などの無機銅化合物はアルコールに溶解し、銅イオンが溶出し、多くの銅イオンが銅微粒子の析出に参加できない。従って、銅化合物は溶剤に溶解せず、溶剤に分散する性質を持つことが必要になる。また、酸化銅、塩化銅、硫化銅などの無機銅化合物はアルコール類に分散しない。このため、前記した無機銅化合物は、アルコールに分散せず、銅化合物として適切でない。
次に、銅化合物は、銅を析出しなければならない。銅化合物から銅が生成される化学反応の中で、最も簡単な化学反応に熱分解反応がある。つまり、銅化合物を昇温するだけで、銅化合物が熱分解して銅が析出する。さらに、銅化合物の熱分解温度が低ければ、耐熱性が低い基材や部品に、電気回路の配線や電極、電磁波シールド膜などを形成することができる。また、鉛共晶半田に近い温度で半田層が形成できる。いっぽう、無機物からなる分子ないしはイオンが配位子となって、銅イオンに配位結合して銅錯イオンを形成する銅錯体は、配位子の分子量が小さければ、還元雰囲気での熱分解温度は、有機銅化合物が大気雰囲気で熱分解する温度より低い。このような銅錯体は、有機銅化合物より高価な物質であるが、より低い熱処理温度で銅を析出する。従って、銅錯体は、熱分解で銅を析出する有機銅化合物より耐熱性が低い基材や部品に、導電性ガラス層を形成する原料になる。また、配位子の分子量が小さいため、他の銅錯体より合成が容易で安価である。
すなわち、銅錯体を構成する分子の中で、銅イオンが最も大きい。ちなみに、銅原子の共有結合半径は132±4pmであり、一方、窒素原子の共有結合半径の71±1pmであり、酸素原子の共有結合半径は66±2pmである。このため、配位子が銅イオンに配位結合する配位結合部の距離が最も長い。従って、還元雰囲気の熱処理では、最初に配位結合部が分断され、金属と無機物とに分解し、無機物の気化が完了した後に銅が析出する。
このような銅錯体として、アンモニアNH3が配位子となって銅イオンに配位結合するアンミン錯体、塩素イオンCl−が、ないしは塩素イオンCl−とアンモニアNH3とが配位子となって銅イオンに配位結合するクロロ錯体は、他の銅錯体に比べて合成が容易であるため、銅錯体の中でも最も安価に製造できる。こうした銅錯体は、アンモニアガスや水素ガスなどの還元性雰囲気で熱処理すると、配位結合部位が最初に分断され、200℃程度の低い温度で熱分解が完了する。また、メタノールやn−ブタノールなどのアルコールに10重量%近くの分散濃度まで分散する。このような合成が容易な銅錯イオンとして、例えば、テトラアンミン銅錯イオン[Cu(NH3)4]2+ないしはヘキサアンミン銅錯イオン[Cu(NH3)6]2+があり、さらに、銅錯体として、例えば、テトラアンミン銅(II)硝酸塩[Cu(NH3)4](NO3)2ないしはヘキサアンミン銅(II)硫酸塩[Cu(NH3)6]SO4がある。
また、熱分解でニッケルを析出するニッケル錯体は、アンモニアNH3が配位子となってニッケルイオンに配位結合するヘキサアンミンニッケルイオン[Ni(NH3)6]2+からなるニッケル錯体は、他のニッケル錯体に比べて合成が容易であり、最も安価に製造できる。こうした分子量が小さい配位子からなるニッケル錯体は、アンモニアガスや水素ガスなどの還元性雰囲気で熱処理すると、配位結合部位が最初に分断され、200℃程度の低い温度で熱分解が完了する。また、メタノールやn−ブタノールなどのアルコールに10重量%近くの分散濃度まで分散する。このような合成が容易なニッケル錯錯体として、例えば、ヘキサアンミンニッケル(II)塩化物[Ni(NH3)6]Cl2がある。
以上に説明したように、耐熱性が低い基材や部品に導電性ガラス層を形成するガラスペーストの原料として金属錯体が望ましい。また合金の性質を持つ導電性ガラス層を形成する場合は、同一の配位子が異なる金属イオンに配位結合する複数種類の金属錯体を用いる。つまり、複数種類の金属錯体が同時に無機物と金属とに熱分解し、無機物が気化した後に、金属錯体のモル濃度に応じて複数種類の金属が析出する。複数種類の金属は不純物を持たない活性状態にあるため、複数種類の金属からなる合金が生成される。
最初に、金属をアルミニウムとし、アルコールに分散するアルミニウム化合物を説明する。塩化アルミニウムは水に溶け、水酸化アルミニウムと塩酸に加水分解する。また、水酸化アルミニウムはアルコールに分散しない。さらに、硫酸アルミニウムはアルコールに溶解し、アルミニウムイオンが溶出し、多くのアルミニウムイオンがアルミニウムの析出に参加できない。また、酸化アルミニウムはアルコールに分散しない。このため、このような無機アルミニウム化合物は、アルコールに分散する性質を持たない。
いっぽう、52段落で説明した分子量が小さい無機物の分子ないしはイオンが、アルミニウムイオンに配位結合するアルミニウム錯体として、水H2Oが配位子となってアルミニウムイオンに配位結合するアクアアルミニウム錯体があるが、アクアアルミニウム錯体は熱分解で酸化アルミニウムを析出する。このため、有機アルミニウム化合物が望ましい。
有機アルミニウム化合物は、導電性ガラス層を形成するため、アルミニウムを析出する。有機アルミニウム化合物からアルミニウムが生成される化学反応の中で、最も簡単な化学反応に熱分解反応がある。つまり、有機アルミニウム化合物を大気雰囲気で昇温するだけで、熱分解してアルミニウムが析出する。さらに、合成が容易でれば、有機アルミニウム化合物が安価に製造できる。こうした性質を有する有機アルミニウム化合物にカルボン酸アルミニウム化合物がある。
つまり、カルボン酸アルミニウム化合物を構成するイオンの中で、最も大きいイオンはアルミニウムイオンである。従って、カルボン酸アルミニウム化合物におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、アルミニウムイオンに共有結合すれば、アルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとの距離が、イオン同士の距離の中で最も長い。こうしたカルボン酸アルミニウム化合物を大気雰囲気で昇温させると、カルボン酸アルミニウム化合物を構成するカルボン酸の沸点において、カルボン酸とアルミニウムとに分解する。さらに昇温すると、カルボン酸が飽和脂肪酸で構成されれば、カルボン酸が気化熱を伴って気化し、カルボン酸の気化した後にアルミニウムが析出する。なお、還元雰囲気でのカルボン酸アルミニウム化合物の熱分解は、大気雰囲気での熱分解より高温側で進むため、大気雰囲気での熱分解のほうが熱処理費用は安価で済む。なお、カルボン酸が不飽和脂肪酸であれば、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、不飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物が熱分解すると、酸化アルミニウムが析出する。また、カルボン酸アルミニウム化合物の中で、カルボキシル基を構成する酸素イオンが配位子となってアルミニウムイオンに近づいて配位結合するカルボン酸アルミニウムでは、アルミニウムイオンと酸素イオンとの距離が短くなり、反対に、酸素イオンがアルミニウムイオンと反対側で結合するイオンとの距離が最も長くなる。このようなカルボン酸アルミニウム化合物の熱分解反応では、酸素イオンがアルミニウムイオンと反対側で結合するイオンとの結合部が最初に分断され、この結果、酸化アルミニウムが析出する。
また、カルボン酸アルミニウム化合物は合成が容易で、最も安価な有機アルミニウム化合物である。つまり、カルボン酸を水酸化ナトリウムなどの強アルカリ溶液中で反応させると、カルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。このカルボン酸アルカリ金属化合物を、硫酸アルミニウムなどの無機アルミニウム化合物と反応させると、カルボン酸アルミニウム化合物が生成される。従って、有機アルミニウム化合物の中で最も安価である。
次に、カルボン酸アルミニウム化合物の実施形態を説明する。カルボン酸アルミニウム化合物の組成式はAl(COOR)3で表わせられる。Rは炭化水素で、この組成式はCmHnである(ここでmとnとは整数)。カルボン酸アルミニウム化合物を構成する物質の中で、組成式の中央に位置するアルミニウムイオンAl3+が最も大きい物質になる。従って、アルミニウムイオンAl3+とカルボキシル基を構成する酸素イオンO−とが共有結合する場合は、アルミニウムイオンAl3+と酸素イオンO−との距離が最大になる。この理由は、アルミニウムイオン原子の共有結合半径は121±4pmであり、酸素イオン原子の共有結合半径は66±2pmであり、炭素原子の共有結合半径は73pmであることによる。このため、アルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとが共有結合するカルボン酸アルミニウム化合物は、カルボン酸の沸点において、結合距離が最も長いアルミニウムイオンとカルボキシル基を構成する酸素イオンとの結合部が最初に分断され、アルミニウムとカルボン酸とに分離する。さらに昇温すると、カルボン酸が飽和脂肪酸であれば、カルボン酸が気化熱を伴って気化し、カルボン酸の気化した後にアルミニウムが析出する。こうしたカルボン酸アルミニウム化合物として、オクチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウムなどがある。このようなカルボン酸アルミニウム化合物の多くは、金属石鹸として市販されている安価な工業用薬品である。
さらに、飽和脂肪酸で構成されるカルボン酸アルミニウム化合物について、飽和脂肪酸の沸点が低ければ、カルボン酸アルミニウム化合物は低い温度で熱分解し、アルミニウムを析出させる熱処理費用が安価で済む。飽和脂肪酸を構成する炭化水素が長鎖構造である場合は、長鎖が長いほど、つまり、飽和脂肪酸の分子量が大きいほど、飽和脂肪酸の沸点が高くなる。ちなみに、分子量が200.3であるラウリン酸の大気圧での沸点は296℃であり、分子量が284.5であるステアリン酸の大気圧での沸点は361℃である。従って、飽和脂肪酸の分子量が相対的に小さい飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物は、熱分解温度が低くなるので、アルミニウムを析出する原料として望ましい。
また、飽和脂肪酸が分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸である場合は、直鎖構造の飽和脂肪酸より鎖の長さが短く、沸点がさらに低くなる。これによって、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物は、さらに低い温度で熱分解温度する。また、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸は極性を持つため、分岐鎖構造を有する飽和脂肪酸からなるカルボン酸アルミニウム化合物も極性を持ち、アルコールなどの極性を持つ有機溶剤に相対的に高い割合で分散する。このような分岐構造の飽和脂肪酸としてオクチル酸がある。オクチル酸は構造式がCH3(CH2)3CH(C2H5)COOHで示され、CHでCH3(CH2)3とC2H5とのアルカンに分岐され、CHにカルボキシル基COOHが結合する。オクチル酸の大気圧での沸点は228℃であり、ラウリン酸より沸点が68℃低い。このため、アルミニウムを析出する原料として、オクチル酸アルミニウムが望ましい。オクチル酸アルミニウムは、大気雰囲気において290℃で熱分解が完了してアルミニウムが析出し、メタノールやn−ブタノールなどに10重量%近く分散する。
また、同様に、銅を析出する原料としてオクチル酸銅が、鉄を析出する原料としてオクチル酸鉄が、ニッケルを析出する原料としてオクチル酸ニッケルが、最も熱分解が低く、アルコールに分散する性質を持つカルボン酸金属化合物として望ましい。
いっぽう、合金を生成する原料として、オクチル酸から構成される複数種類のオクチル酸金属化合物が望ましい。つまり、複数種類のオクチル酸金属化合物は、オクチル酸の沸点で複数種類のオクチル酸金属化合物が同時に熱分解し、オクチル酸の気化が完了した後に、オクチル酸金属化合物のモル濃度に応じて複数種類の金属が析出する。複数種類の金属は不純物を持たない活性状態にあるため、複数種類の金属からなる合金が生成される。
カルボン酸エステル類には、酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類、酪酸エステル類、ビバリン酸エステル類、カプロン酸エステル類、カプリル酸エステル類、カプリン酸エステル類、ラウリン酸エステル類、ミリスチン酸エステル類、パルミチン酸エステル類、ステアリン酸エステル類などからなる飽和カルボン酸とのエステル類と、アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、メタクリル酸エステル類、オレイン酸エステル類などからなる不飽和カルボン酸とのエステル類と、安息香酸エステル類、フタル酸エステル類などからなる芳香族カルボン酸とのエステル類など、多くのカルボン酸エステル類がある。
さらに、分子量が小さい酢酸エステル類には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸オクチル、酢酸ヘプチル、酢酸ベンジル、酢酸フェニル、酢酸ビニルなどの酢酸エステル類がある。酢酸メチルを除く酢酸エステル類は、メタノールより沸点が高く、n−ブタノールより沸点が低い。また、メタノールに溶解し、メタノール溶解液は、メタノールより粘度が高い。このため、銅錯体ないしはカルボン酸アルミニウム化合物をメタノールに分散し、この分散液に酢酸メチルを除く酢酸エステル類のいずれかを混合すれば、ガラスペーストが製造される。
例えば、酢酸ビニル(モノマー)はメタノールに溶解し、メタノールより高い粘性を持ち、沸点がメタノールの沸点より高い72.7℃である。従って、銅錯体ないしはカルボン酸アルミニウム化合物をメタノールに分散し、この分散液に酢酸ビニルを混合すると、混合した酢酸ビニルの量に応じて分散液の粘度が増大する。なお、酢酸ビニルは、ポリ酢酸ビニルの合成に用いる原料として用いられる汎用的な有機化合物である。
また、分子量が大きいラウリン酸エステル類に、ラウリン酸メチルがある。ラウリン酸メチルはn−ブタノールに溶解し、n−ブタノールより高い粘性を持ち、沸点はn−ブタノールの沸点より高く、銅錯体が熱分解する温度より高く、かつ、カルボン酸アルミニウム化合物が熱分解する温度より低い262℃である。従って、カルボン酸アルミニウム化合物をn−ブタノールに分散し、この分散液にラウリン酸メチルを混合すると、混合したラウリン酸メチルの量に応じて分散液の粘度が増大する。なお、ラウリン酸メチルは、合成繊維油剤、金属油剤、合成潤滑剤、合成樹脂用、化粧品用、界面活性剤の原料として用いられる汎用的な有機化合物である。
以上に、飽和脂肪酸エステル類について、分子量が小さい酢酸エステル類と、分子量が大きいラウリン酸エステル類とを代表させて説明した。分子量が小さい飽和脂肪酸エステル類の多くは、メタノールに溶解し、メタノールより高い粘性を持ち、沸点がメタノールの沸点より高く、銅錯体が熱分解する温度より低い性質を持つ。また、分子量が大きい飽和脂肪酸エステル類の多くは、n−ブタノールに溶解し、n−ブタノールより高い粘性を持ち、沸点がn−ブタノールの沸点より高く、銅錯体が熱分解する温度より高いが、カルボン酸アルミニウム化合物が熱分解する温度より低い性質を持つ。
いっぽう、分子量が小さい不飽和カルボン酸であるアクリル酸からなるアクリル酸エステル類には、沸点が80℃のアクリル酸メチル、沸点が100℃のアクリル酸エチル、沸点が132℃のアクリル酸イソブチル、沸点が148℃のアクリル酸ブチル、沸点が214℃のアクリル酸2−エチルヘキシルなどがある。アクリル酸メチルとアクリル酸エチルとは、メタノールに溶解し、メタノールより高い粘性を持ち、沸点はメタノールの沸点より高い。このため、銅錯体ないしはカルボン酸アルミニウム化合物をメタノールに分散し、この分散液にアクリル酸メチルないしはアクリル酸エチルを混合すると、粘度が増大する。また、アクリル酸ブチルとアクリル酸イソブチルの沸点は、n−ブタノールの沸点より高く、銅錯体が熱分解される温度より低い。このため、銅錯体ないしはカルボン酸アルミニウム化合物をn−ブタノールに分散し、この分散液にアクリル酸ブチルないしはアクリル酸イソブチルを混合すると、粘度が増大する。
なお、アクリル酸ブチルは、繊維処理剤、粘接着剤、塗料、合成樹脂、アクリルゴム、エマルションの原料として使用される安価な有機化合物である。
また、アクリル酸より分子量が大きい不飽和カルボン酸であるクロトン酸およびメタクリル酸とのエステル類は、前記したアクリル酸エステル類と同様の性質を持つ。
いっぽう、グリコール類には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどがある。
エチレングリコールは、メタノールおよびn−ブタノールに溶解し、沸点が197℃の液状モノマーである。さらに、ジエチレングリコールは、メタノールおよびn−ブタノールに溶解し、沸点が244℃の液状モノマーである。さらに、プロピレングリコールは、メタノールおよびn−ブタノールと混和し、沸点が188℃の液状モノマーである。さらに、ジプロピレングリコールは、メタノールおよびn−ブタノールと混和し、沸点が232℃の液状モノマーである。また、トリプロピレングリコールは、メタノールおよびn−ブタノールと混和し、沸点が265℃の液状モノマーである。このように、グリコール類の沸点は、銅錯体が熱分解する温度より高く、カルボン酸アルミニウム化合物の熱分解温度より低い。従って、カルボン酸アルミニウム化合物を原料とするガラスペーストを構成する。グリコール類は、樹脂の中間原料として用いるほか、溶剤としての性質に優れ、さらに湿潤作用、保湿作用、保存作用、乳化作用、高沸点、低凝固点などの特長を活かして、食品、医薬品、化粧品、熱媒、冷媒、不凍液などに幅広く用いられる汎用的な有機化合物である。
いっぽう、グリコールエーテル類は、エチレングリコール系エーテルと、プロピレングリコール系エーテルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールの末端の水素をアルキル基で置換したジアルキルグリコールエーテルがある。
さらに、エチレングリコール系エーテルは、メチルグリコール、メチルジグリコール、メチルトリグリコール、メチルポリグリコール、イソプロピルグリコール、イソプロピルジグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ブチルトリグリコール、イソブチルグリコール、イソブチルジグリコール、ヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール、2−エチルヘキシルグリコール、2−エチルヘキシルジグリコール、アリルグリコール、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコールなどがある。
このうち、沸点が125℃であるメチルグリコール、沸点が142℃であるイソプロピルグリコール、沸点が171℃であるブチルグリコール、沸点が161℃であるイソブチルグリコール、沸点が159℃であるアリルグリコールは、n−ブタノールに溶解し、n−ブタノールより高い粘性を持ち、n−ブタノールの沸点より高く、銅錯体が熱分解する温度より低い。このため、銅錯体ないしはカルボン酸アルミニウム化合物をn−ブタノールに分散し、さらにこれらのエチレングリコール系エーテルを混合すると、混合液の粘度が増大する。
また、前記した5種類のエチレングリコール系エーテルを除くエチレングリコール系エーテルは、n−ブタノールに溶解し、n−ブタノールより高い粘性を持ち、n−ブタノールの沸点より高く、銅錯体の熱分解温度より高いが、カルボン酸アルミニウム化合物の熱分解温度より低い。このため、カルボン酸アルミニウム化合物をn−ブタノールに分散し、さらにこれらのエチレングリコール系エーテルを混合すると、混合液の粘度が増大する。
また、ブチルトリグリコール(以下ではBTGと記す)は、n−ブタノールに溶解し、沸点はカルボン酸アルミニウム化合物が熱分解する温度より低い271℃である。従って、カルボン酸アルミニウム化合物をn−ブタノールに分散し、この分散液にBTGを混合すると、混合液の粘度が増大する。なお、BTGは、塗料、インキ、染料、写真複写液、洗浄剤、電解液、ソリュブルオイル、作動油、ブレーキ液、冷媒、凍結防止剤などの原料として用いられる汎用的な有機化合物である。
また、プロピレングリコール系エーテルには、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレンジグリコール、メチルプロピレントリグリコール、プロピルプロピレングリコール、プロピルプロピレンジグリコール、ブチルプロピレングリコール、ブチルプロピレンジグリコール、ブチルプロピレントリグリコール、フェニルプロピレングリコール、メチルプロピレングリコールアセテートなどがある。
このうち、沸点が121℃であるメチルプロピレングリコール、沸点が150℃であるプロピルプロピレングリコール、沸点が170℃であるブチルプロピレングリコール、沸点が146℃であるメチルプロピレングリコールアセテートは、n−ブタノールに溶解し、n−ブタノールより高い粘性を持ち、n−ブタノールの沸点より高く、銅錯体の熱分解温度より低い。従って、銅錯体ないしはカルボン酸アルミニウム化合物のn−ブタノール分散液に、これらのエチレングリコール系エーテルを混合すると、混合液の粘度が増大する。
また、前記した4種類のプロピレングリコール系エーテルを除くプロピレングリコール系エーテルは、n−ブタノールに溶解し、n−ブタノールより高い粘性を持ち、n−ブタノールの沸点より高く、銅錯体の熱分解温度より高いが、カルボン酸アルミニウム化合物の熱分解温度より低い。従って、カルボン酸アルミニウム化合物のn−ブタノール分散液に、これらのエチレングリコール系エーテルのいずれかを混合すると、粘度が増大する。
さらに、ジアルキルグリコールエーテルには、ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコール、メチルエチルジグリコール、ジエチルジグリコール、ジブチルジグリコール、ジメチルプロピレンジグリコールなどがある。このうち、ジメチルグリコールは、メタノールに溶解し、メタノールより高い粘性を持ち、沸点がメタノールより高い85℃である。このため、銅錯体ないしはカルボン酸アルミニウム化合物をメタノールに分散し、さらにジメチルグリコールを混合すると、粘度が増大する。また、沸点が162℃であるジメチルジグリコールと沸点が176℃であるジメチルプロピレンジグリコールとは、n−ブタノールに溶解し、n−ブタノールより高い粘性を持ち、n−ブタノールの沸点より高く、銅錯体の熱分解温度より低い。このため、銅錯体ないしはカルボン酸アルミニウム化合物をn−ブタノールに分散し、さらにこれらのジアルキルグリコールエーテルを混合すると、粘度が増大する。さらに、前記した3種類のジアルキルグリコールエーテルを除くジアルキルグリコールエーテルは、n−ブタノールに溶解し、n−ブタノールより高い粘性を持ち、n−ブタノールの沸点より高く、銅錯体の熱分解温度より高いが、カルボン酸アルミニウム化合物の熱分解温度より低い。このため、カルボン酸アルミニウム化合物をn−ブタノールに分散し、さらにこれらのジアルキルグリコールエーテルのいずれかを混合すると、混合液の粘度が増大する。
なお、エチレングリコール系エーテルとプロピレングリコール系エーテルとは、塗料、インキ、染料、写真複写液、洗浄剤、電解液、ソリュブルオイル、作動油、ブレーキ液、冷媒、凍結防止剤などの原料として用いられる汎用的な有機化合物である。また、ジアルキルグリコールエーテルは、前記の用途に加え、反応溶剤、分離抽出剤、重合溶剤、分解防止及び安定剤、電池やコンデンサの電解液などの原料として用いられる汎用的な有機化合物である。
以上に説明したように、カルボン酸エステル類、グリコール類、ないしは、グリコールエーテル類の中には、冒頭の3つの性質を兼備する多くの有機化合物が存在し、銅錯体のアルコール分散液、ないしはカルボン酸アルミニウム化合物のアルコール分散液と共にガラスペーストを構成し、ガラスペーストの粘度を調整する調整剤になる。
いっぽう、ガラスと金属との間には熱膨張率に差があり、多くのガラスの線膨張係数は金属より小さい。つまり、熱膨張率が大きいガラスは、耐熱性が低く、熱衝撃に弱いため、ガラスの主成分によって熱膨張率を下げる。また、一般的な粉末ガラスは、粒子の大きさがミクロンサイズである。いっぽう、金属ないしは合金の微粒子は40nm〜60nmの大きさからなり、粉末ガラスに比べて2桁近く小さい。このため、金属化合物の熱処理後において、1個の粉末ガラスの体積収縮は1個の金属微粒子に比べて大きい。従って、熱分解で析出する金属微粒子が少なければ、粉末ガラスの表面に空隙が形成される。しかし、使用する金属化合物のモル数を、使用する粉末ガラスのモル数より多くすれば、金属微粒子の大きさが粉末ガラスに比べて2桁近く小さいため、析出する金属微粒子が過多となって粉末ガラスの表面に析出する。このため、粉末ガラスの表面に空隙が形成されない。さらに、粉末ガラスの熱膨張係数が金属の熱膨張係数に近ければ、金属化合物のモル数を減らすことができ、ガラスペーストの材料費が安価で済む。
熱膨張係数が大きいガラスとして、転移点が355℃で主成分がBi2O3とB2O3とからなる粉末ガラスの線膨張係数は12.0×10−6/℃であり、転移点が373℃で主成分がSiO2とB2O3とROとからなる粉末ガラスの線膨張係数は12.9×10−6/℃であり、転移点が404℃で主成分がSiO2とB2O3とR2Oからなる粉末ガラスの線膨張係数は15.0×10−6/℃で、転移点が570℃で主成分がSiO2とTiO2とからなる粉末ガラスの線膨張係数が11.2×10−6/℃である。なお、ROはアルカリ土類金属の酸化物で、MgO、CaO、SrO、BaOなどからなる。また、R2Oはアルカリ金属の酸化物で、Li2O、Na2O、K2Oなどからなる。また、線膨張係数は、転移点より低い50℃〜350℃における平均値である。なお、導電性ガラス層では、粉末ガラスが熱的な損傷を受けても、金属微粒子の集まりで覆われるため、導電性ガラス層の金属の性質に影響しない。いっぽう、金属の線膨張率は、銀が19.7×10−6/℃で、銅が16.5×10−6℃で、アルミニウムが23.9×10−6/℃であり、ニッケルが12.8×10−6/℃である。これに対し、合金の線膨張率は、例えば、初透磁率が大きい鉄ニッケル合金のPBパーマロイは7.7×10−6/℃、熱膨張率が小さい鉄ニッケル合金の42アロイは4.2×10−6/℃で、さらに、低熱膨張で高強度の鉄ニッケル合金のインバーは1.5×10−6/℃であり、金属の熱膨張率より小さい。
なお、ガラス成分におけるSiO2は、ガラスの網目構造を作り、軟化温度が高く、熱膨張係数が小さく、化学的に安定である性質をもたらす。また、酸化硼素B2O3は、ガラスの網目構造を作り、軟化温度を下げる性質をもたらす。さらに、TiO2は、結晶化を促進し、軟化温度を上げる性質を持ち、これに対し、Al2O3は結晶化を抑制し、軟化温度を上げる性質をもたらす。いっぽう、Na2Oは、軟化温度を下げ、熱膨張係数を大きくするが、耐水性に劣る、これに対して、K2OはNa2Oと同様の性質を持つが、K+がNa+より1.4倍大きいため移動しにくく耐水性をもたらす。
以上に説明したように、本発明におけるガラスペーストを構成する粉末ガラスは、歪点が290℃以上の第一の性質と、線膨張係数が金属ないしは合金の線膨張係数に近い第二の性質とからなる、これら2つの性質を兼備する粉末ガラスを使用するのが望ましい。
なお、銅微粒子を直径が50nmの球状微粒子とすると、2モルのテトラアンミン銅硝酸塩から析出する銅微粒子は、21.7×1016個に相当する。また、粉末ガラスを直径が8μmの球状粒子とすると、0.1モルの粉末ガラスは3.28×1010個に相当する。この結果、直径が50nmの銅微粒子の21.7×1016個分が占める体積は、直径が8μmの粉末ガラスの3.28×1010個分が占める体積の1.6倍になる。従って、1個の粉末ガラスの表面に多数の銅微粒子が析出し、粉末ガラスの表面全体を覆うことになる。さらに、銅微粒子の集まりが金属結合することで粉末ガラスが結合され、導電性ガラス層が形成される。これによって、導電性ガラス層の4割に近い体積を粉末ガラスが占め、粉末ガラスの体積割合に応じて、ガラスペーストの原料費が安価になる。
最初に、テトラアンミン銅(II)硝酸塩の510g(2モルに相当)が10重量%になるようにメタノールに分散し、この分散液に、酢酸ビニル(モノマー)が10重量%になるように混合した。この混合液を超音波バス(例えば、日本エマンソン株式会社の超音波洗浄器Model 8800‐J)に投入する。さらに、超音波バスに粉末ガラスの5.3g(0.1モルに相当)を混合し、超音波バスを10分間稼働させ、混合液を撹拌しガラスペーストを作成した。
次に、このガラスペーストを短冊状のガラスエポキシ基板にスクリーン印刷し、水素ガス雰囲気で焼成した。なお、スクリーン印刷は、メッシュの厚みが62μmで開口率が30%のマイクロテック社の印刷装置MT−320TVを用いて、基板の表面に5mmの幅でガラスペースト印刷した。最初に75℃に昇温してメタノールと酢酸ビニルとを気化した。次に、200℃に5分間放置し、テトラアンミン銅硝酸塩を熱分解した。
次に、製作した試料を、表面と切断した複数の断面について、電子顕微鏡で観察した。電子顕微鏡は、JFEテクノリサーチ株式会社が所有する極低加速電圧SEMを用いた。この装置は100Vからの極低加速電圧による表面観察が可能で、さらに導電性の被膜を形成せずに直接試料の表面が観察できる。
最初に、試料の表面と複数の断面の様々な部位からの反射電子線について、900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。試料表面はいずれの部位も、40nm〜60nmの大きさからなる粒状微粒子が、表面全体に形成されていた。試料断面はいずれの部位も、大小2種類の粒子の集まりが観察された。このうち小さい微粒子は、表面で観察された粒状微粒子で、多数の粒状微粒子が大きい粒子を覆っていた。大きい粒子は、様々な大きさからなり、形状も非対称な様々な形状を有した。
次に、試料の表面と複数の断面との様々な部位からの反射電子線について、900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡で粒子の材質の違いを観察した。粒状微粒子には濃淡が認められず、大きい粒子には濃淡が認められた。
さらに、試料の表面と複数の断面との様々な部位からの特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒子を構成する元素の種類を分析した。粒状微粒子は銅原子のみで構成されていたため、銅の粒状微粒子である。いっぽう、大きい粒子は、酸素原子が最も多く、次に、ケイ素原子とマグネシウム原子が多く、わずかな硼素原子が確認された。このため、大きい粒子は粉末ガラスである。
以上の観察結果から、粉末ガラスが多数の銅微粒子で囲まれ、銅微粒子の集まりで粉末ガラスが結合されていることが分かった。この結果を図1に模式的に示した。1は導電性ガラス層で、2は粉末ガラスで、3は銅微粒子である。また、ガラスエポキシ基板の表面に導電性ガラス層が形成された状態を図2に模式的に示した。4は導電性ガラス層で、5はガラスエポキシ基板である。
また、試料表面の表面抵抗値を表面抵抗計によって測定した(例えば、シムコジャパン株式会社の表面抵抗計ST‐4)。表面抵抗値は、1×103Ω/□未満であったため、試料は銅に近い表面抵抗を有する。
さらに、作成した被膜のガラスエポキシ基板への結合力を、JIS Z0237に規定された粘着力の試験方法に基づいて測定した結果、400gの荷重に耐えた。
以上の結果から、本実施例で製造した銅微粒子の集まりで結合された粉末ガラスの集まりからなる導電性ガラス層は、例えば、プリント配線板の配線パターンや電極を形成する。また、電子部品と配線パターンとの接続部に充填して熱処理すれば、半田の機能を持つ。
なお、ニッケル微粒子が直径50nmの球状微粒子とすると、2モルのオクチル酸ニッケルから析出するニッケル微粒子は20.1×1016個に相当する。また、粉末ガラスを直径が1μmの球状粒子とすると、0.1モルの粉末ガラスは1.0×1013個の粉末ガラスに相当する。この結果、直径が50nmからなるニッケル微粒子の20.1×1016個分が占める体積は、直径が1μmからなる粉末ガラスの1.0×1013個分が占める体積の2.5倍になる。従って、1個の粉末ガラスの表面に多数のニッケル微粒子が析出し、粉末ガラスの表面全体を覆うことになる。さらに、ニッケル微粒子の集まりが金属結合することで粉末ガラスが結合され、導電性ガラス層が形成される。これによって、導電性ガラス層の3割に近い体積を粉末ガラスが占め、粉末ガラスの体積割合に応じて、ガラスペーストの原料費が安価になる。
最初に、オクチル酸ニッケルの690g(2モルに相当)が10重量%になるようにメタノールに分散し、この分散液に、酢酸ビニル(モノマー)が10重量%の割合になるように混合した。この混合液を実施例1と同様に、超音波バスに投入した。さらに、超音波バスに粉末ガラスの35g(0.1モルに相当)を混合し、超音波バスを10分間稼働させ、混合液を撹拌しガラスペーストを作成した。
次に、このガラスペーストを短冊状のアルミナ基板に、実施例1と同様にスクリーン印刷して大気雰囲気で焼成した。最初に75℃に昇温してメタノールと酢酸ビニルとを気化した。次に、290℃に1分間放置し、オクチル酸ニッケルを熱分解した。
前記の条件で製作した試料について、表面と切断した複数の断面との双方を、実施例1と同様に電子顕微鏡で観察した。
最初に、試料の表面と複数の断面との様々な部位からの反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。試料表面はいずれの部位も、40nm〜60nmの大きさからなる粒状粒子が、表面全体に形成されていた。試料断面はいずれの部位も、大小2種類の粒子の集まりが観察された。このうち小さい微粒子は、表面で観察された粒状微粒子で、多数の粒状微粒子が大きい粒子を覆っていた。大きい粒子は、様々な大きさからなり、形状も非対称な様々な形状を有する。
次に、試料の表面と複数の断面との様々な部位からの反射電子線の900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡で微粒子の材質の違いを観察した。粒状微粒子には濃淡が認められず、大きい粒子には濃淡が認められた。
さらに、試料の表面と複数の断面との様々な部位からの特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒子を構成する元素の種類を分析した。粒状微粒子はニッケル原子のみで構成されていたため、ニッケルの粒状微粒子である。いっぽう、大きい粒子は、酸素原子が最も多く、次にビスマス原子が多く、さらに、硼素原子が確認された。このため、大きい粒子は粉末ガラスである。
以上の観察結果から、粉末ガラスが多数のニッケル微粒子で囲まれ、ニッケル微粒子の集まりで粉末ガラスが結合されていることが分かった。なお、粉末ガラスの表面に多数のニッケル微粒子が析出する状態は、実施例1と同様であるため図示しない。実施例3以降も同様に図示しない。
また、試料表面の表面抵抗値を、実施例1と同様に表面抵抗計によって測定した。表面抵抗値は、1×103Ω/□未満であったため、試料は金属に近い表面抵抗を有する。
さらに、作成した被膜のアルミナ基板への結合力を、実施例1と同様にJIS Z0237に規定された粘着力の試験方法に基づいて測定した結果、400gの荷重に耐えた。
本実施例で製造したニッケル微粒子の集まりで結合された粉末ガラスの集まりからなる導電性ガラス層は、例えば、チップコンデンサ、チップインダクタ、チップバリスタなどを構成するセラミック基板の内部電極を形成する。また、電子部品と配線パターンとの接続部に充填して熱処理すれば、電子部品と配線パターとを導通する半田の機能を持つ。
銀の原料として、最も合成が容易である銀錯イオンの一つである2個のアンミンが銀イオンAg+に配位結合したジアンミン銀(I)イオン[Ag(NH3)2]+1の塩化物であるジアンミン銀(I)塩化物[Ag(NH3)2]Cl(例えば、田中貴金属販売株式会社の製品)を用いた。また、銅の原料として、最も合成が容易である銅錯イオンの一つである4個のアンミンが銅イオンCu2+に配位結合したテトラアンミン銅イオン[Cu(NH3)4]2+の硝酸塩であるテトラアンミン銅(II)硝酸塩[Cu(NH3)4](NO3)2(例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用いた。有機化合物として、実施例1の酢酸ビニル(モノマー)を用いた。また、粉末ガラスとして、実施例1の粉末ガラスを用いた。この粉末ガラスの線膨張係数が12.9×10−6/℃で、銀の線膨張率18.9×10−6/℃に近い。
なお、銀−銅合金からなる微粒子が直径50nmの球状微粒子とし、粉末ガラスを直径が8μmの球状粒子とすれば、実施例1で記載したように、1個の粉末ガラスの表面に多数の銀−銅合金の微粒子が析出し、粉末ガラスの表面全体を覆い、合金微粒子が金属結合することで粉末ガラスが結合され、導電性ガラス層が形成される。この結果、導電性ガラス層を占める粉末ガラスの体積割合に応じて、ガラスペーストの原料費が安価になる。
最初に、ジアンミン銀塩化物の320g(1.8モルに相当)とテトラアンミン銅硝酸塩の50g(0.2モルに相当)とを、10重量%になるようにメタノールに分散し、この分散液に、酢酸ビニル(モノマー)が10重量%の割合になるように混合した。この混合液を、実施例1と同様に超音波バスに投入する。さらに、超音波バスに粉末ガラスの5.3g(0.1モルに相当)を混合し、超音波バスを10分間稼働させ、混合液を撹拌しガラスペーストを作成した。
次に、このガラスペーストを、実施例1と同様に、短冊状のガラスエポキシ基板にスクリーン印刷して水素ガス雰囲気で焼成した。最初に75℃に昇温してメタノールと酢酸ビニルとを気化した。次に、210℃に5分間放置し、ジアンミン銀塩化物とテトラアンミン銅硝酸塩とを熱分解した。
前記の条件で製作した試料について、表面と切断した複数の断面との双方を、実施例1と同様に、電子顕微鏡で観察した。
最初に、試料の表面と複数の断面との様々な部位について、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。試料表面はいずれの部位も、40nm〜60nmの大きさからなる粒状微粒子が、表面全体に形成されていた。試料断面はいずれの部位も、大小2種類の粒子の集まりが観察された。このうち小さい微粒子は、表面で観察された粒状微粒子で、多数の粒状微粒子が大きい粒子を覆っていた。大きい粒子は、様々な大きさからなり、形状も非対称な様々な形状を有した。
次に、試料の表面と複数の断面との様々な部位について、反射電子線の900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡で微粒子の材質の違いを観察した。粒状微粒子と大きい粒子との双方は濃淡が認められた。
さらに、試料の表面と複数の断面との様々な部位について、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒子を構成する元素の種類を分析した。粒状微粒子は多くの銀原子と少ない銅原子で構成されていたため、銀−銅合金の粒状微粒子である。いっぽう、大きい粒子は、酸素原子が最も多く、次に、ケイ素原子とマグネシウム原子が多く、わずかな硼素原子が確認された。このため、大きい粒子は粉末ガラスである。
以上の観察結果から、粉末ガラスが多数の銀−銅合金の微粒子で囲まれ、銀−銅合金の微粒子の集まりで粉末ガラスが結合されていることが分かった。
また、試料表面の表面抵抗値を表面抵抗計によって測定した(例えば、シムコジャパン株式会社の表面抵抗計ST‐4)。表面抵抗値は、1×103Ω/□未満であったため、試料は金属に近い表面抵抗を有する。
さらに、作成した被膜のガラスエポキシへの結合力を、JIS Z0237に規定された粘着力の試験方法に基づいて測定した結果、400gの荷重に耐えた。
以上の結果から、本実施例で製造した銀−銅合金の微粒子の集まりで結合された粉末ガラスの集まりからなる導電性ガラス層は、例えば、プリント配線板の配線パターンや電極を形成する。また、電子部品と配線パターンとの接続部に充填して熱処理すれば、電子部品と配線パターとを導通する半田の機能を持つ。
銅の原料はオクチル酸銅Cu(C7H15COO)2(例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)であり、ニッケルの原料は実施例2で用いたオクチル酸ニッケルNi(C7H15COO)2であり、有機化合物として、実施例1の酢酸ビニル(モノマー)を用いた。また、粉末ガラスとして、実施例2の粉末ガラスを用いた。この粉末ガラスの線膨張係数が12.0×10−6/℃で、銅の線膨張率16.5×10−6/℃に近い。
なお、銅−ニッケル合金の微粒子が直径50nmの球状微粒子とし、粉末ガラスを直径が1μmの球状粒子とすると、実施例2で記載したように、1個の粉末ガラスの表面に多数の銅−ニッケル合金の微粒子が析出して粉末ガラスを覆い、合金微粒子が金属結合することで粉末ガラスが結合され、導電性ガラス層が形成される。この結果、導電性ガラス層を占める粉末ガラスの体積割合に応じて、ガラスペーストの原料費が安価になる。
最初に、オクチル酸銅の660g(1.9モルに相当)とオクチル酸ニッケルの41.5g(0.12モルに相当)とを、10重量%になるようにメタノールに分散し、この分散液に、酢酸ビニル(モノマー)が10重量%の割合になるように混合した。この混合液を実施例1と同様に、超音波バスに投入する。さらに、超音波バスに粉末ガラスの35g(0.1モルに相当)を混合し、超音波バスを10分間稼働させ、混合液を撹拌しガラスペーストを作成した。
次に、このガラスペーストを短冊状のアルミナ基板に、実施例2と同様にスクリーン印刷して大気雰囲気で焼成した。最初に75℃に昇温してメタノールと酢酸ビニルとを気化した。次に、290℃に1分間放置し、オクチル酸銅とオクチル酸ニッケルとを熱分解した。
前記の条件で製作した試料について、表面と切断した複数の断面との様々な部位について、実施例1と同様に電子顕微鏡で観察した。
最初に、試料の表面と複数の断面との様々な部位について、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。試料表面はいずれの部位も、40nm〜60nmの大きさからなる粒状微粒子が、表面全体に形成されていた。試料断面はいずれの部位も、大小2種類の粒子の集まりが観察された。このうち小さい微粒子は、表面で観察された粒状の微粒子で、多数の粒状微粒子が大きい粒子を覆っていた。大きい粒子は、様々な大きさからなり、形状も非対称な様々な形状を有する。
次に、試料の表面と複数の断面との様々な部位について、反射電子線の900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡で微粒子の材質の違いを観察した。粒状微粒子と大きい粒子との双方は濃淡が認められた。
さらに、試料の表面と複数の断面との様々な部位について、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒子を構成する元素の種類を分析した。粒状微粒子は多くの銅原子と僅かなニッケル原子で構成されていたため、銅−ニッケル合金の粒状微粒子である。いっぽう、大きい粒子は、酸素原子が最も多く、次にビスマス原子が多く、さらに、硼素原子が確認された。このため、大きい粒子は粉末ガラスである。
以上の観察結果から、粉末ガラスが多数の銅−ニッケル合金の微粒子で囲まれ、銅−ニッケル合金の微粒子の集まりで粉末ガラスが結合されていることが分かった。
また、試料表面の表面抵抗値を表面抵抗計によって測定した(例えば、シムコジャパン株式会社の表面抵抗計ST‐4)。表面抵抗値は、1×103Ω/□未満であったため、試料は金属に近い表面抵抗を有する。
さらに、作成した被膜のガラスエポキシへの結合力を、JIS Z0237に規定された粘着力の試験方法に基づいて測定した結果、400gの荷重に耐えた。
以上の結果から、本実施例で製造した銅−ニッケル合金の微粒子の集まりで結合された粉末ガラスの集まりからなる導電性ガラス層は、例えば、チップコンデンサ、チップインダクタ、チップバリスタなどの端子電極を形成する。また、電子部品と配線パターンとの接続部に充填して熱処理すれば、電子部品と配線パターとを導通する半田の機能を持つ。
鉄微粒子の原料としてオクチル酸鉄Fe(C7H15COO)3(例えば、日本化学産業株式会社の製品)を用い、銅微粒子の原料として実施例4のオクチル酸銅Cu(C7H15COO)2を用い、有機化合物として実施例1と同様に酢酸ビニル(モノマー)を用いた。また、粉末ガラスは実施例1の粉末ガラスを用いた。この粉末ガラスの線膨張係数は12.0×10−6/℃で粉末ガラスの線膨張率としては大きい。
最初に、オクチル酸鉄の680g(2モルに相当)を、10重量%になるようにメタノールに分散し、この分散液に、酢酸ビニル(モノマー)が20重量%の割合になるように混合した。この混合液を実施例1と同様に、超音波バスに投入する。さらに、超音波バスに粉末ガラスの35g(0.1モルに相当)を混合し、超音波バスを10分間稼働させ、混合液を撹拌し第一のガラスペーストを作成した。
次に、オクチル酸銅の700g(2モルに相当)を、10重量%になるようにメタノールに分散し、この分散液に、酢酸ビニル(モノマー)が20重量%の割合になるように混合した。この混合液を実施例1と同様に、超音波バスに投入する。さらに、超音波バスに粉末ガラスの35g(0.1モルに相当)を混合し、超音波バスを10分間稼働させ、混合液を撹拌し第二のガラスペーストを作成した。
次に、短冊状のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂の基板に、第二のガラスペーストを実施例1と同様にスクリーン印刷し、さらに、その上に第一のガラスペーストをスクリーン印刷した。この後、大気雰囲気で焼成した。最初に75℃に昇温してメタノールと酢酸ビニルとを気化した。次に、290℃に1分間放置し、オクチル酸銅とオクチル酸鉄とを同時に熱分解した。なお、基板の材質は合成樹脂に限らずセラミックスでもよい。
つまり、オクチル酸金属化合物は290℃での短時間の熱処理で熱分解するため、合成樹脂の熱分解が290℃で起こらなければ、合成樹脂の性質は不可逆変化しない。すなわち、合成樹脂を昇温すると、所定の温度から合成樹脂の分子構造の変化が現れ、次第に低分子量の合成樹脂となり、合成樹脂の性質が不可逆変化する。このような合成樹脂における分子構造の変化が開始される温度は、合成樹脂の重量変化が始まる温度であり、熱重量分析(Thermogravimetory略してTG)によって測定される。従って、合成樹脂を高温にさらしても、重量変化が起こらなければ、合成樹脂の性質は変わらない。ちなみに、PET樹脂の熱分解が始まる温度が440℃である。また、PET樹脂に限らず、380℃で熱分解が始まるポリプロピレン樹脂、400℃で熱分解が始まる低密度ポリエチレン樹脂、480℃で熱分解が始まるポリエーテルサルフォンPES樹脂、同じく480℃で熱分解が始まるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、500℃で熱分解が始まるポリカーボネート樹脂の基板でも構わない。さらに、無延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリスチレンフィルム、PETフィルム、PESフィルム、PTFEフィルム、ポリカーボネートフィルムなどからなる透明フィルムを用いることもできる。
前記の条件で製作した試料について、表面と切断した複数の断面との様々な部位を、実施例1と同様に電子顕微鏡で観察した。
最初に、試料の表面と複数の断面との様々な部位について、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。試料表面はいずれの部位も、40nm〜60nmの大きさからなる粒状微粒子が、表面全体に形成されていた。試料断面はいずれの部位も、大小2種類の粒子の集まりが観察された。このうち小さい微粒子は、表面で観察された粒状の微粒子で、多数の粒状微粒子が大きい粒子を覆っていた。大きい粒子は、様々な大きさからなり、形状も非対称の様々な形状を有した。
次に、試料の表面と複数の断面との様々な部位について、反射電子線の900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡で微粒子の材質の違いを観察した。粒状の小さい微粒子には濃淡が認められず、同一の原子から構成されていた。いっぽう、大きい粒子には濃淡が認められた。
さらに、試料の表面と複数の断面との様々な部位について、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒子を構成する元素の種類を分析した。粒状の小さい微粒子は、内側の層が銅原子のみで構成され、外側の層が鉄原子のみで構成されていたため、銅の粒状微粒子が内側の層に存在し、鉄微粒子が外側の層に存在した。いっぽう、大きい粒子は、酸素原子が最も多く、次にビスマス原子が多く、さらに、硼素原子が確認された。このため、大きい粒子は粉末ガラスである。
以上の観察結果から、内側の層は銅微粒子の集まりで粉末ガラスが結合され、外側の層は鉄微粒子の集まり粉末ガラスが結合された2層の構造が形成されていることが分かった。
また、試料表面の表面抵抗値を、実施例1と同様に表面抵抗計によって測定した。表面抵抗値は、1×103Ω/□未満であったため、試料は金属に近い表面抵抗を有する。
さらに、作成した被膜のアルミナ基板への結合力を、実施例1と同様にJIS Z0237に規定された粘着力の試験方法に基づいて測定した結果、300gの荷重に耐えた。
本実施例で製造した2層からなる導電性ガラス層を、基材ないしは部品に形成すれば、外部からの高周波の電磁波の多くを外側の層で吸収し、吸収しきれなかった電磁波を内側の層で反射する電磁波シールド膜になる。
また、本実施例とは反対に、内側の層は鉄微粒子の集まりで粉末ガラスが結合し、外側の層は銅微粒子の集まり粉末ガラスが結合された2層の導電性ガラス層を、基材ないしは部品に形成すれば、外部からの高周波の電磁波の多くを外側の層で反射し、反射しきれなかった電磁波を内側の層で吸収する電磁波シールド膜になる。また、基材ないしは部品の内部においては、内部からの高周波の電磁波の多くを吸収することになる。
さらに、本実施例では短冊状の基板に導電性ガラス層を形成したが、ガスケットの形状を持つ基板に、内側の層は鉄微粒子の集まりで、外側の層は銅微粒子の集まりで2層の導電性ガラス層を形成し、このガスケットをシールドケースに挟み込めば、ケースの繋ぎ目からの高周波の電磁波の漏れを防ぐガスケットになる。
また、無延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリスチレンフィルム、PETフィルム、PESフィルム、PTFEフィルム、ポリカーボネートフィルムなどからなる透明フィルムに、内側の層は銅微粒子の集まりで、外側の層は鉄微粒子の集まりで2層の導電性ガラス層を形成し、この透明電磁波シールド膜を板ガラスの表面に接着すれば、外部からの高周波の電磁波の多くを外側の層で反射し、反射しきれなかった電磁波を内側の層で吸収する電磁波シールド機能を持ったガラスになる。
導電性ガラス層が透明体であるためには、入射光が高い透過率で導電性ガラス層に透過しなければならない。いっぽう、導電性ガラス層に光が入射する際に、空気の屈折率との差によって表面反射が生じる。導電性ガラス層は金属微粒子と粉末ガラスとで構成されるが、実施例1から4の導電性ガラス層の形成で説明したように、表面は金属微粒子の集まりで覆われる。従って、導電性ガラス層に光が入射する際に、金属微粒子の集まりが表面反射をもたらす。表面反射率と全光線透過率とについては、下記の62段落で説明するが、表面反射率は、金属微粒子を構成する金属と空気との屈折率の差を両者の和で割った値の2乗になる。例えば、屈折率が1.48のアルミニウムで金属微粒子を構成する場合は、表面反射率が3.7%になる。これによって、96.3%の光が導電性ガラス層に入射する。入射する光の割合は全光線透過率で表され、全光線透過率は、入射光の全体を1とした場合、1から表面反射率を差し引いた値の2乗になる。このため、全光線透過率が93%となる。最も一般的なフロートガラスの2mmの板厚の全光線透過率が90%であるため、導電性ガラス層は入射光に対する高い透過率を持つ。
次に、表面を透過した光は、導電性ガラス層に入り込んで光が散乱する。導電性ガラス層が透明体であるためには光の散乱が起こりにくい、つまり、散乱係数が小さいことが必要になる。光の散乱はレイリー散乱に基づき、レイリー散乱式に関する説明は下記の63段落で行うが、粉末ガラスを構成するガラスの屈折率に対する金属微粒子を構成する金属の屈折率の比率mについて、レイリー散乱係数は{(m2−1)/(m2+1)}2に比例する。例えば、屈折率が1.48のアルミニウムで金属微粒子を構成し、屈折率が1.51のガラスで粉末ガラスを構成すれば、比率mは0.98になり、{(m2−1)/(m2+1)}2は4×10−4となり、散乱係数は極めて小さく、導電性ガラス層は光の散乱が起こりにくく、入射した光が透過する。
以上に説明したように、空気に近い屈折率を持つ金属で金属微粒子を構成し、金属に近い屈折率を持つガラスで粉末ガラスを構成し、これによって導電性ガラス層を形成すれば、導電性ガラス層は透明体になる。このため、透明フィルムの表面に導電性ガラス層を形成すればタッチパネルになる。以下に、タッチパネルの製造に係わる実施例を説明する。
本実施例では、58段落で説明した480℃で熱分解が始まるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂からなる透明フィルムを用いる。また、アルミニウム化合物は、53段落で説明したアオクチル酸アルミニウムAl(C7H15COO)3(例えば、ホープ製薬株式会社の製品)を用いる。有機化合物は、実施例1と同様に酢酸ビニル(モノマー)を用いた。なお、透明フィルムはPET樹脂に限られず、60段落で説明した熱分解が始まる温度が290℃以上の様々な透明フィルムが使用できる。
また、粉末ガラスは、主成分がSiO2とB2O3とR2Oからなる粉末ガラス(例えば、旭硝子株式会社の製品で品名が1991Y10)を用いた。この粉末ガラスは線膨張係数が15.0×10−6/℃で、粉末ガラスの線膨張率としては大きな値を持つ。また、比重が2.8で、転移点が404℃で、中心粒径が4.0μmで、屈折率は1.51である。なお、アルミニウムの線膨張率は23×10−6/℃である。
最初に、オクチル酸アルミニウムの630g(2モルに相当)が、10重量%になるようにメタノールに分散し、この分散液に、酢酸ビニル(モノマー)が10重量%の割合になるように混合した。この混合液を実施例1と同様に超音波バスに投入する。さらに、超音波バスに粉末ガラスの7.4g(0.1モルに相当)を混合し、超音波バスを10分間稼働させ、混合液を撹拌しガラスペーストを作成した。
次に、このガラスペーストを短冊状のPETフィルムに、実施例1と同様にスクリーン印刷して大気雰囲気で焼成した。最初に75℃に昇温してメタノールと酢酸ビニルとを気化した。次に、290℃に1分間放置し、オクチル酸アルミニウムを熱分解した。
前記の条件で製作した試料について、表面と切断した複数の断面との様々な部位について、実施例1と同様に電子顕微鏡で観察した。
最初に、試料の表面と複数の断面との様々な部位について、反射電子線の900V〜1kVの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。試料表面はいずれの部位も、40nm〜60nmの大きさからなる粒状微粒子が、表面全体に形成されていた。試料断面はいずれの部位も、大小2種類の粒子の集まりが観察された。このうち小さい微粒子は、表面で観察された粒状の微粒子で、多数の粒状微粒子が大きい粒子を覆っていた。大きい粒子は、様々な大きさからなり、形状も非対称な様々な形状を有する。
次に、試料の表面と複数の断面との様々な部位からの反射電子線の900V〜1kVの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡で微粒子の材質の違いを観察した。粒状微粒子には濃淡が認められず、大きい粒子には濃淡が認められた。
さらに、試料の表面と複数の断面との様々な部位について、特性X線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒子を構成する元素を分析した。粒状微粒子はアルミニウム原子のみで構成されていたため、アルミニウムの粒状微粒子である。いっぽう、大きい粒子は、酸素原子が最も多く、次にケイ素原子とカリウム原子が多く、さらに、微量の硼素原子が確認された。このため、大きい粒子はSiO2とK2OとB2O3とからなる粉末ガラスである。
以上の観察結果から、粉末ガラスが多数のアルミニウム微粒子で囲まれ、アルミニウム微粒子の集まりで粉末ガラスが結合されていることが分かった。
また、試料表面の表面抵抗値を、実施例1と同様に表面抵抗計によって測定した。表面抵抗値は、1×103Ω/□未満であったため、試料は金属に近い表面抵抗を有する。
さらに、全光線透過率をヘーズメータによって測定した(例えば、日本電色工業株式会社の分光ヘーズメータ型式NDH7000)。使用したPETフィルムは、380nm以上の可視光の波長領域で93%の全光線透過率を持つが、作成した試料では91%の全光線透過率を示した。
また、作成した被膜のPETフィルムへの結合力を、実施例1と同様にJIS Z0237に規定された粘着力の試験方法に基づいて測定した結果、400gの荷重に耐えた。
以上に説明した観察と測定の結果から、粉末ガラスの表面に析出したアルミニウム微粒子が金属結合して粉末ガラスを結合した透明導電性膜が、透明フィルムの表面に形成された。この透明導電性膜は、ガラスに近い全光線透過率を持ち、金属に近い導電性を持った。従って、タッチパネルとして用いることができる。
5 ガラスエポキシ基板
Claims (22)
- 導電性ガラス層を形成する原料となるガラスペーストの製造は、
熱分解で金属を析出する金属化合物をアルコールに分散してアルコール分散液を作成し、前記アルコールに溶解ないしは混和する第一の性質と、アルコール溶解液ないしはアルコール混和液は前記アルコールより高い粘度を有する第二の性質と、前記金属化合物が熱分解する温度より沸点が低い第三の性質とからなる、これら3つの性質を兼備する有機化合物を、前記アルコール分散液に混合して混合液を作成し、前記金属化合物が熱分解する温度より歪点が高い性質を有する粉末ガラスを、前記混合液に混合して懸濁液を作成する、これによって、前記懸濁液からなるガラスペーストを製造することを特徴とするガラスペーストの製造。 - 請求項1のガラスペーストの製造に準じた第二のガラスペーストの製造は、請求項1における金属化合物として、熱分解で複数の金属を同時に析出する複数種類の金属化合物を用い、請求項1のガラスペーストの製造に準じてガラスペーストを製造することを特徴とする、請求項1のガラスペーストの製造に準じた第二のガラスペーストの製造。
- 請求項1のガラスペーストの製造に準じた第三のガラスペーストの製造は、請求項1における金属化合物として、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する金属錯体を用い、請求項1における有機化合物として、前記金属錯体が熱分解する温度より沸点が低い性質を持つ有機化合物を用い、請求項1における粉末ガラスとして、前記金属錯体が熱分解する温度より歪点が高い性質を持つ粉末ガラスを用い、請求項1のガラスペーストの製造に準じてガラスペーストを製造することを特徴とする、請求項1のガラスペーストの製造に準じた第三のガラスペーストの製造。
- 請求項3のガラスペーストの製造に準じた第二のガラスペーストの製造は、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する第一の金属錯体を用い、請求項3のガラスペーストの製造に準じて第一のガラスペーストを製造する、さらに、前記配位子が、前記金属イオンとは異なる金属イオンに配位結合した異なる金属錯イオンを有する第二の金属錯体を用い、請求項3のガラスペーストの製造に準じて第二のガラスペーストを製造する、これによって、請求項3のガラスペーストの製造に準じて2種類のガラスペーストを製造することを特徴とする、請求項3のガラスペーストの製造に準じた第二のガラスペーストの製造。
- 請求項3のガラスペーストの製造に準じた第三のガラスペーストの製造は、無機物の分子ないしはイオンからなる同一の配位子が、異なる金属イオンに配位結合した異なる金属錯イオンを有する複数種類の金属錯体を用い、請求項3のガラスペーストの製造に準じてガラスペーストを製造することを特徴とする、請求項3のガラスペーストの製造に準じた第三のガラスペーストの製造。
- 請求項3のガラスペーストの製造に準じた第四のガラスペーストの製造は、無機物の分子ないしはイオンからなる同一の配位子が、異なる金属イオンに配位結合した異なる金属錯イオンを有する第一の複数種類の金属錯体を用い、請求項3のガラスペーストの製造に準じて第一のガラスペーストを製造する、さらに、前記異なる金属イオンのうち少なくとも一つの金属イオンが、別の金属イオンからなる新たな異なる金属イオンが、前記同一の配位子に配位結合した新たな異なる金属錯イオンを有する第二の複数種類の金属錯体を用い、請求項3のガラスペーストの製造に準じて第二のガラスペーストを製造する、これによって、請求項3のガラスペーストの製造に準じて2種類のガラスペーストを製造することを特徴とする、請求項3のガラスペーストの製造に準じた第四のガラスペーストの製造。
- 請求項3における有機化合物は、カルボン酸エステル類ないしはグリコールエーテル類からなるいずれかの有機化合物であることを特徴とする、請求項3に記載した有機化合物。
- 請求項1のガラスペーストの製造に準じた第四のガラスペーストの製造は、請求項1における金属化合物として、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とからなる、これら2つの特徴を兼備するカルボン酸金属化合物を用い、請求項1における有機化合物として、前記カルボン酸金属化合物が熱分解する温度より沸点が低い性質を持つ有機化合物を用い、請求項1における粉末ガラスとして、前記カルボン酸金属化合物が熱分解する温度より歪点が高い性質を持つ粉末ガラスを用い、請求項1のガラスペーストの製造に準じてガラスペーストを製造することを特徴とする、請求項1のガラスペーストの製造に準じた第四のガラスペーストの製造。
- 請求項8のガラスペーストの製造に準じた第二のガラスペーストの製造は、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とからなる、これら2つの特徴を兼備する第一のカルボン酸金属化合物を用い、請求項8のガラスペーストの製造に準じて第一のガラスペーストを製造する、さらに、カルボキシル基を構成する酸素イオンが前記金属イオンとは異なる金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が前記飽和脂肪酸からなる第二の特徴とからなる、これら2つの特徴を兼備する第二のカルボン酸金属化合物を用い、請求項8のガラスペーストの製造に準じて第二のガラスペーストを製造する、これによって、請求項8のガラスペーストの製造に準じて2種類のガラスペーストを製造することを特徴とする、請求項8のガラスペーストの製造に準じた第二のガラスペーストの製造。
- 請求項8のガラスペーストの製造に準じた第三のガラスペーストの製造は、同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属イオンに共有結合した複数種類のカルボン酸金属化合物を用い、請求項8のガラスペーストの製造に準じてガラスペーストを製造することを特徴とする、請求項8のガラスペーストの製造に準じた第三のガラスペーストの製造。
- 請求項8のガラスペーストの製造に準じた第四のガラスペーストの製造は、同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属イオンに共有結合した第一の複数種類のカルボン酸金属化合物を用い、請求項8のガラスペーストの製造に準じて第一のガラスペーストを製造する、さらに、前記異なる金属イオンのうち少なくとも一つの金属イオンが、別の金属イオンからなる新たな異なる金属イオンが、前記同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンに共有結合した第二の複数種類のカルボン酸金属化合物を用い、請求項8のガラスペーストの製造に準じて第二のガラスペーストを製造する、これによって、請求項8のガラスペーストの製造に準じて2種類のガラスペーストを製造することを特徴とする、請求項8のガラスペーストの製造に準じた第四のガラスペーストの製造。
- 請求項8における有機化合物は、カルボン酸エステル類、グリコールエーテル類、ないしは、グリコール類からなるいずれかの有機化合物であることを特徴とする、請求項8に記載した有機化合物。
- 導電性ガラス層を形成する原料となるガラスペーストを製造する第一の製造方法は、熱分解で金属を析出する金属化合物をアルコールに分散してアルコール分散液を作成する第一の工程と、前記アルコールに溶解ないしは混和する第一の性質と、アルコール溶解液ないしはアルコール混和液は前記アルコールより高い粘度を有する第二の性質と、前記金属化合物が熱分解する温度より沸点が低い第三の性質とからなる、これら3つの性質を兼備する有機化合物を、前記第一の工程で作成したアルコール分散液に混合して混合液を作成する第二の工程と、前記金属化合物が熱分解する温度より歪点が高い性質を有する粉末ガラスを、前記第二の工程で作成した混合液に混合する第三の工程とからなり、これら3つの工程を連続して実施する製造方法が、ガラスペーストを製造する製造方法であることを特徴とする、ガラスペーストを製造する第一の製造方法。
- ガラスペーストを製造する第二の製造方法は、請求項13の製造方法に準じて第二のガラスペーストを製造する製造方法であって、該製造方法は、熱分解で複数の金属を同時に析出する複数種類の金属化合物を用い、請求項13の製造方法に準じてガラスペーストを製造する製造方法であることを特徴とする、請求項13の製造方法に準じて第二のガラスペーストを製造する製造方法。
- ガラスペーストを製造する第三の製造方法は、請求項13の製造方法に準じて第三のガラスペーストを製造する製造方法であって、該製造方法は、請求項13における金属化合物として、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する金属錯体を用い、請求項13における有機化合物として、前記金属錯体が熱分解する温度より沸点が低い性質を持つ有機化合物を用い、請求項13における粉末ガラスとして、前記金属錯体が熱分解する温度より歪点が高い性質を持つ粉末ガラスを用い、請求項13の製造方法に準じてガラスペーストを製造する製造方法であることを特徴とする、請求項13の製造方法に準じて第三のガラスペーストを製造する製造方法。
- ガラスペーストを製造する第四の製造方法は、請求項15の製造方法に準じて第二のガラスペーストを製造する製造方法であって、該製造方法は、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する第一の金属錯体を用い請求項15の製造方法に準じて第一のガラスペーストを製造する、さらに、前記配位子が、前記金属イオンとは異なる金属イオンに配位結合した異なる金属錯イオンを有する第二の金属錯体を用い、請求項15の製造方法に準じて第二のガラスペーストを製造する、これらの製造工程を連続して実施する製造方法が、請求項15の製造方法に準じて2種類のガラスペーストを製造する製造方法であることを特徴とする、請求項15の製造方法に準じて第二のガラスペーストを製造する製造方法。
- ガラスペーストを製造する第五の製造方法は、請求項15の製造方法に準じて第三のガラスペーストを製造する製造方法であって、該製造方法は、無機物の分子ないしはイオンからなる同一の配位子が、異なる金属イオンに配位結合した異なる金属錯イオンを有する複数種類の金属錯体を用い、請求項15の製造方法に準じてガラスペーストを製造する製造方法であることを特徴とする、請求項15の製造方法に準じて第三のガラスペーストを製造する製造方法。
- ガラスペーストを製造する第六の製造方法は、請求項15の製造方法に準じて第四のガラスペーストを製造する製造方法であって、該製造方法は、無機物の分子ないしはイオンからなる同一の配位子が、異なる金属イオンに配位結合した異なる金属錯イオンを有する第一の複数種類の金属錯体を用い、請求項15の製造方法に準じて第一のガラスペーストを製造する、さらに、前記異なる金属イオンのうち少なくとも一つの金属イオンが、別の金属イオンからなる新たな異なる金属イオンが、前記同一の配位子に配位結合した新たな異なる金属錯イオンを有する第二の複数種類の金属錯体を用い、請求項15の製造方法に準じて第二のガラスペーストを製造する、これらの製造工程を連続して実施する製造方法が、請求項15の製造方法に準じて2種類のガラスペーストを製造する製造方法であることを特徴とする、請求項15の製造方法に準じて第四のガラスペーストを製造する製造方法。
- ガラスペーストを製造する第七の製造方法は、請求項13の製造方法に準じて第四のガラスペーストを製造する製造方法であって、該製造方法は、請求項13における金属化合物として、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とからなる、これら2つの特徴を兼備するカルボン酸金属化合物を用い、請求項13における有機化合物として、前記カルボン酸金属化合物が熱分解する温度より沸点が低い性質を持つ有機化合物を用い、請求項13における粉末ガラスとして、前記カルボン酸金属化合物が熱分解する温度より歪点が高い性質を持つ粉末ガラスを用い、請求項13の製造方法に準じてガラスペーストを製造する製造方法であることを特徴とする、請求項13の製造方法に準じて第四のガラスペーストを製造する製造方法。
- ガラスペーストを製造する第八の製造方法は、請求項19の製造方法に準じて第二のガラスペーストを製造する製造方法であって、該製造方法は、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が飽和脂肪酸からなる第二の特徴とからなる、これら2つの特徴を兼備する第一のカルボン酸金属化合物を用い、請求項19の製造方法に準じて第一のガラスペーストを製造する、さらに、カルボキシル基を構成する酸素イオンが前記金属イオンとは異なる金属イオンに共有結合する第一の特徴と、カルボン酸が前記飽和脂肪酸からなる第二の特徴とからなる、これら2つの特徴を兼備する第二のカルボン酸金属化合物を用い、請求項19の製造方法に準じて第二のガラスペーストを製造する、これらの製造工程を連続して実施する製造方法が、請求項19の製造方法に準じて2種類のガラスペーストを製造する製造方法であることを特徴とする、請求項19の製造方法に準じて第二のガラスペーストを製造する製造方法。
- ガラスペーストを製造する第九の製造方法は、請求項19の製造方法に準じて第三のガラスペーストを製造する製造方法であって、該製造方法は、同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属イオンに共有結合した複数種類のカルボン酸金属化合物を用い、請求項19の製造方法に準じてガラスペーストを製造する製造方法であることを特徴とする、請求項19の製造方法に準じて第三のガラスペーストを製造する製造方法。
- ガラスペーストを製造する第十の製造方法は、請求項19の製造方法に準じて第四のガラスペーストを製造する製造方法であって、該製造方法は、同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンが、異なる金属イオンに共有結合した第一の複数種類のカルボン酸金属化合物を用い、請求項19の製造方法に準じて第一のガラスペーストを製造する、さらに、前記異なる金属イオンのうち少なくとも一つの金属イオンが、別の金属イオンからなる新たな異なる金属イオンが、前記同一の飽和脂肪酸におけるカルボキシル基を構成する酸素イオンに共有結合した第二の複数種類のカルボン酸金属化合物を用い、請求項19の製造方法に準じて第二のガラスペーストを製造する、これらの製造工程を連続して実施する製造方法が、請求項19の製造方法に準じて2種類のガラスペーストを製造する製造方法であることを特徴とする、請求項19の製造方法に準じて第四のガラスペーストを製造する製造方法。
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