JP2016142514A - 蓄熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蓄熱材として硫酸ナトリウム水溶液を使用し、効率良く、安定して、長期間使用できる新規な蓄熱装置の開発・実用化を技術課題とする。
【解決手段】 本発明の蓄熱装置1は、硫酸ナトリウム水溶液を、蓄熱材Hとして蓄熱槽2に収容し、且つ蓄熱槽2と目的の熱交換器3との間で、水やブライン等の熱媒体Bを循環させ、熱媒体Bを介して蓄熱材Hに熱を蓄えたり、蓄えた熱を蓄熱材Hから回収するものであり、蓄熱材Hを、複数の容器4に充填・密閉した状態で蓄熱槽2に収容し、また容器4は、蓄熱材Hが個々の容器表面に接触しながら流動するように蓄熱槽2に収容することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、氷蓄熱装置のように液体が固体に相変化するとき熱を発生し、固体が液体に相変化するとき熱を吸熱する現象を水のように0℃で行うのではなく、効率良く冷房・暖房を実施するのに都合の良い温度帯(約10℃〜32℃)とするための蓄熱装置に係るものである。
従来、冷房用に使用されていた氷蓄熱装置は、単価の安い夜間電力を使用するため電力料金を抑えることはできるが、蒸発温度が−10℃程度と低く、効率が非常に悪いものであった。これに対し、他の蓄熱材、例えば硫酸ナトリウムは、次のような種々の利点を有し有効な蓄熱材として利用し得る。すなわち、硫酸ナトリウムは、水酸化ナトリウムを煙突排煙の脱硫に使用した際に生成される産業廃棄物を精製したものから得ることができ、ほぼ中性の塩であり、食品添加物になるほど無害で、腐食性も弱く、化学的に安定しており、扱い易い。また、当該硫酸ナトリウムは産業廃棄物で、廃棄場所に困るような品物であるため、価格も非常に安価であり、水分の調整と極わずかの添加物により凝固・融解の温度域を約10℃から32℃の範囲で自由に設定できる。例えば、冷房用に硫酸ナトリウム水溶液の凝固点を10℃程度に設定し、当該硫酸ナトリウム水溶液の蓄熱槽の蒸発器(コイル)を蒸発温度5℃程度で冷却するようにすれば、熱を放出し凝固して冷熱を蓄積してくれる。その状態で、液体状で残っている水やブライン等の熱媒体を蓄熱槽下部からポンプでエアハンドリングユニットに送り、空気を冷却して温まった戻り液を蓄熱槽の上部に供給すれば固体状の硫酸ナトリウムを融解して、自身は冷やされ蓄熱槽の下部に降下し、ポンプに吸引されて再びエアハンドリングユニットに送られ、冷房を行うことができる。
このように硫酸ナトリウム水溶液の蓄熱材は、安価且つ安全で腐食性が弱く化学的にも安定しており、しかも広い温度範囲(10℃〜32℃)で使用できる上、約40〜60kcal/kg の大きな凝固・融解潜熱を持っている。そのため比較的小さな蓄熱装置で大きな容量の冷暖房に効率良く利用することができる。
しかしながら、このような方法で蓄熱操作を繰り返すと硫酸ナトリウムの結晶が分離し蓄熱槽の底に沈殿して、設定した凝固温度を外れてしまい、目的の冷房装置に不都合な状況となる(例えば特許文献1参照)。また、硫酸ナトリウム水溶液は、腐食性が弱いとはいえ、全く腐食性がないわけではなく、熱交換器が長時間継続して使用できない可能性がある。
特開2006−225474号公報(特に段落〔0011〕)
本発明は、このような背景を認識してなされたものであって、非常に良い特徴を持つ蓄熱材である硫酸ナトリウム水溶液を使用して、効率良く、安定して、長期間使用できる新規な蓄熱装置の開発・実用化を技術課題としたものである。
すなわち請求項1記載の蓄熱装置は、
硫酸ナトリウムを主成分とする水溶液を、蓄熱材として蓄熱槽に収容し、且つ当該蓄熱槽と目的の熱交換器との間で、水またはブラインを循環させ、水またはブラインを介して蓄熱材に熱を蓄えたり、蓄えた熱を蓄熱材から回収するようにした蓄熱装置において、
前記蓄熱材は、複数の容器に充填・密閉された状態で蓄熱槽に収容されるものであり、また当該容器は、水またはブラインが個々の容器表面に接触しながら流動するように蓄熱槽に収容されることを特徴として成るものである。
また、請求項2記載の蓄熱装置は、前記請求項1記載の要件に加え、
前記蓄熱材は、大きさ、形状、材質、厚み、数量等を異ならせた複数の容器に充填・密閉された状態で蓄熱槽に収容されることを特徴として成るものである。
また、請求項3記載の蓄熱装置は、前記請求項1または2記載の要件に加え、
前記蓄熱材は、使用目的により容器群ごとまたは容器ごとに濃度が異なるように調整され、一つの蓄熱槽が複数の相変化温度を有するように構成されることを特徴として成るものである。
また、請求項4記載の蓄熱装置は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、
前記容器に充填・密閉された蓄熱材を融解させる際には、温水または温ブラインを蓄熱槽の上部から供給し、蓄熱槽内で熱交換した水またはブラインを蓄熱槽の下部から取り出すものであり、
一方、前記蓄熱材を凝固させる際には、冷水または冷ブラインを蓄熱槽の下部から供給し、蓄熱槽内で熱交換した水またはブラインを蓄熱槽の上部から取り出すようにしたことを特徴として成るものである。
また、請求項5記載の蓄熱装置は、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、
前記蓄熱槽内の水またはブラインの循環経路に、加熱または冷却の熱源用熱交換器を直接、設けたことを特徴として成るものである。
また、請求項6記載の蓄熱装置は、前記請求項1、2、3、4または5記載の要件に加え、
前記蓄熱槽内の水またはブラインの一部または全部を、直接、冷房・暖房用熱交換器に送って循環させ、冷房・暖房に使用するようにしたことを特徴として成るものである。
また、請求項7記載の蓄熱装置は、前記請求項1、2、3、4、5または6記載の要件に加え、
前記蓄熱槽に蓄えられた温熱または冷熱は、水またはブラインの循環により取り出し、ヒートポンプの熱源として暖房または冷房に利用するようにしたことを特徴として成るものである。
まず請求項1記載の発明によれば、硫酸ナトリウムを主成分とする水溶液(以下、単に「硫酸ナトリウム水溶液」とする)を容器に詰め、これを蓄熱材とするため、熱容量の大小に容易に対応することができる。また、蓄熱材容器の表面積や熱媒体(水またはブライン)の流路も自在に調整できるため、効率、イニシャルコスト、使い勝手等に適した蓄熱装置を設計することができる。また、蓄熱材の単位ボリューム(単位底面積当たりの体積)を小さくすることで、結晶の塊の大きさを小さくすることができ、再融解の条件を緩和することができる。
また本発明により適宜の温度の冷水や温水を安定して得ることができる。例えば、本蓄熱装置を冷房用に使用するときには、10℃で相変化する濃度の硫酸ナトリウム水溶液を容器に入れて使用し、容器の全表面積を充分にとって蓄熱槽中の熱媒体(水)を撹拌すれば、8℃程度の冷水を供給して、蓄冷することができ、12℃程度の冷水を安定して得ることができる。また暖房用に使用するときには、32℃で相変化する濃度の硫酸ナトリウム水溶液を容器に入れて使用し、34℃程度の温水を供給して蓄熱することができ、30℃程度の温水を安定して得ることができる。
また請求項2記載の発明によれば、蓄熱材が充填される容器は、大きさ、形状、材質、厚み、数量等を異ならせた複数のものが適用されるため、蓄熱槽の熱応答性を様々な状態に制御でき、急速な熱の出し入れと、穏やかな熱の出し入れとの両方を行うことができる。すなわち、サイズが小さくて表面積の割合が大きな容器に詰めた蓄熱材は、成分が同じでも融解速度が速く、短時間で大きな熱量を吸収することができる。このため、例えば夏期の早朝に、あたかも蒸し風呂のように暑くなった部屋を、短時間で目的の冷房温度にしたいときには、このような容器に詰めた蓄熱材を主に作用させることで、部屋を速やかに冷却することができ(その後は通常の穏やかな冷却を行う)、目的の冷房温度に冷却するまでの時間を短縮することができる。一方、大きな容器に入っており球形に近く、重量に対して相対的に表面積の小さい蓄熱材は、融解するのに時間が掛かり、安定した負荷状態で長い時間、冷却能力を保つことができる。
また請求項3記載の発明によれば、蓄熱材は、使用目的により容器群ごとまたは容器ごとに濃度が異なるように調整され、一つの蓄熱槽が複数の相変化温度を有するように構成されるため、一つの蓄熱槽で冷房と暖房に対応することができる。例えば相変化温度を10℃と32℃の二種類の蓄熱材を使用すれば、冷房と暖房を一つの蓄熱槽で行うことができる。
また、相変化温度を、蓄熱槽内に設置される容器の高さ方向において徐々に異ならせるようにした場合には、蓄熱槽内における融解・凝固を均一に近い状態で行うことができ、効率の良い熱交換が行える。
因みに、上記「使用目的」とは、例えば上述したように冷房と暖房を一つの蓄熱槽で行う場合や、蓄熱槽内における融解・凝固を均一に近い状態で行う場合等を総称するものである。
また請求項4記載の発明によれば、蓄熱材に熱を蓄える際や、蓄熱材から熱を回収する際の、蓄熱槽内における熱媒体(水またはブライン)の流動方向を特定するため、水またはブラインを循環させるときのポンプやアジテータの動力を倹約することができる。
すなわち、循環する水またはブラインは、原則として温度の低下とともに比重が大きくなり、自然に沈降する力が働く(例外的に水の場合、約4℃〜0℃の間で逆の現象がおきるが、本発明の使用範囲では4℃以下の状態で使用する可能性はほとんどない)。ここで例えば蓄熱槽(蓄熱材)に熱を蓄える際、蓄熱槽の上部から温水または温ブライン(ここでの「温」は蓄熱材の相変化温度と比較して「温かい」という意味)を供給すると、温水または温ブラインは蓄熱材を温めて、自らは冷却される。このため冷却された水またはブラインは、比重が大きくなり、自然に蓄熱槽の下部(底)に降下するようになる。従って、冷却により沈降してきた水またはブラインを蓄熱槽の下部(底)から取り出す本発明は、水またはブラインを有効に冷却することになり、また水またはブラインの循環に要する動力も少なくて済むものである。一方、蓄熱槽から熱を回収する際には、低温の水またはブラインを蓄熱槽の下部(底)から供給して、温まった水またはブラインを蓄熱槽の上部から回収するため、同様に効率の良い熱回収が図れる。
また、蓄熱槽への蓄熱や蓄熱槽からの熱回収時に、蓄熱槽内における熱媒体(水またはブライン)の流動方向を特定することにより、蓄熱材容器の隙間にできる循環流路に水またはブラインを均一に行き渡らせることができ、水またはブラインの温度ムラを少なくして、蓄熱材の使用効率を向上させることができる。
また請求項5記載の発明によれば、蓄熱槽の水またはブラインの循環経路に直接、熱源用熱交換器(ヒートポンプの蒸発器、凝縮器やボイラーの温水熱交換器等)を取り付けるため、熱の供給、取り出しを効率よく行うことができる。
すなわち、水またはブラインは、上述したように温めれば比重が小さくなり、冷やせば比重が大きくなるので、蓄熱槽内で水またはブラインが上下方向に流動する経路(図4参照)に、上記熱交換器を設ければ、比重差に基づく上昇作用や下降作用を、水またはブラインの循環に利用することができ、より効率よく水またはブラインを循環させることができる。
また請求項6記載の発明によれば、蓄熱材の相変化温度を最終使用目的を果たせる温度に調整して、循環する水またはブライン(一部または全部)を直接、エアハンドリングユニット等の目的の熱交換器に送り、目的の冷房や暖房に供することができ、非常に効率のよい冷房・暖房を行うことができる。具体的には、例えば約32℃に相変化温度を調整した蓄熱材を使用して床暖房に使用するとき、30℃で床パネルに温水を供給し、28℃で蓄熱槽に帰し、蓄熱槽で熱回収して30℃に昇温させ、再び床パネルに送ると、非常に効率のよい暖房が行える。
また請求項7記載の発明によれば、循環する水またはブラインの一部または全部をポンプにより取り出して、複数のヒートポンプの蒸発器または凝縮器の熱源として有効に使用することができる。すなわちヒートポンプの熱源として使用するとき、例えば相変化温度を約17℃に調整した蓄熱材を使用して、暖房に使用するときは、蒸発器の熱源として14℃の水またはブラインを蓄熱槽から取り出し、蒸発器で熱を回収して、10℃に冷却した水またはブラインを蓄熱槽に戻す。また冷房に使用するときは、凝縮器の熱源として20℃の水またはブラインを蓄熱槽から取り出し、凝縮器で熱を放出して、25℃に加温した水またはブラインを蓄熱槽に戻す。このようにすれば、冷暖房に必要な冷凍機の動力を大きく低減できる。なお蓄熱槽に必要な冷熱や温熱は夜間電力や太陽光を利用して経済的に得ることが可能である。
本発明の蓄熱装置の一例を示す説明図(a)、並びに本蓄熱装置による冷房運転及び暖房運転とにおいて熱媒体(水またはブライン)の循環状況を示す説明図(b)・(c)である。 蓄熱槽に収容する蓄熱材容器の配置状況の一例(二種)を示す平面図である。 蓄熱槽に収容する蓄熱材容器の他の配置例(改変例)を示す平面図である。 蓄熱槽内に、熱媒体を上下方向に流動させる側部流路スペースを形成し、この側部流路スペースにアジテータを設け、更に当該側部流路スペースに、加熱または冷却の熱源用熱交換器を直接、設けた様子を示す説明図である。
本発明を実施するための形態は、以下の実施例に述べるものをその一つとするとともに、更にその技術思想内において改良し得る種々の手法を含むものである。
本発明の蓄熱装置1は、一例として図1(a)に示すように、蓄熱材Hを収容する蓄熱槽2と、目的の冷房や暖房等を行う熱交換器3とを具えて成るものであり、蓄熱槽2は、断熱施工(防熱施工)された槽内に、硫酸ナトリウムを主成分とする蓄熱材Hを、多数の容器4に充填・密閉した状態(詰めた状態)で収容するものである。
また蓄熱槽2には、当該容器4の表面に接触するように水またはブラインを流し(流動させ)、水またはブラインを介して蓄熱材Hに熱を蓄えたり、蓄えた熱を蓄熱材Hから回収するものである。このため本明細書では水またはブラインを総じて熱媒体Bとする。
なお、蓄熱槽2に容器4を収容する際には、容器4が熱媒体Bに浸かるように(水没するように)設置するものであり、具体的な収容形態(設置態様)については後述する。
また蓄熱槽2の上部や下部には容器4を収容せず、できる限り容器4内の熱媒体Bが均一に流動(循環)できるようなスペースを確保する(これについても後述)。
そして、蓄熱材Hへの蓄熱及び蓄熱材Hからの熱回収は、上述したように熱媒体B(水またはブライン)を、蓄熱槽2と目的の熱交換器3との間で循環させ、熱媒体Bを介して、熱の出し入れ行うものである。
なお、蓄熱材Hとして硫酸ナトリウムを主成分とする水溶液(硫酸ナトリウム水溶液)を適用するのは、凝固温度(相変化温度)を約10℃〜32℃に調整でき、冷房・暖房が効率よく行えるためである。
また、このようなことから上記図1に示す蓄熱装置1は、蓄熱槽2と熱交換器3との間で熱媒体Bを循環させるためのポンプPを具えて成るものである。更に、図中符号V1〜V4は、蓄熱装置1の経路中に設けられ、熱媒体Bの流れを制御するためのバルブである。
蓄熱材Hを充填・密閉する容器4は、プラスチック、金属、ガラス、ゴム等の材料で製作された薄い肉厚の容器4が好ましく、熱媒体Bと硫酸ナトリウム水溶液(蓄熱材H)に耐久性のあるものが選択される。
また容器4の形状は、蓄熱槽2に容器4を多数詰め込んでも容器4と容器4の間に隙間ができるような形状、例えば球形、円筒形、七角柱等のようにすることが好ましい。これは、上記形状の容器4を蓄熱槽2に多数詰め込んでも、容器4同士の間に形成される隙間によって、熱媒体B(水またはブライン)が容器4に接触しながら、容易に循環できるためである。
また容器4の大きさは、凝固・融解の操作が繰り返され、硫酸ナトリウムの結晶が乖離(分離)しても、次のサイクルで融解して硫酸ナトリウム水溶液の濃度が変化しないような大きさにすることが好ましい。
また、容器4については、大きさ、材質、厚み(肉厚)、数量等を異ならせた複数の容器4を用いることが好ましく、これにより全く同じ成分の蓄熱材Hを充填しても、相変化速度を異ならせることができる。そして、相変化速度を異ならせることで、急速な熱の出し入れと穏やかな熱の出し入れの両方を行うことが可能となる。すなわち、小さくて表面積の割合が大きな容器4(単位重量当たりの表面積が大きい容器4)に入っている蓄熱材Hは、成分が同じでも、融解・凝固速度が速く、短時間で大きな熱量を吸収・放出することができる。このため、例えば夏期の早朝に、あたかも蒸し風呂のように暑くなった部屋を、早急に冷却したい場合には、このような容器4に詰めていた蓄熱材Hを主に作用させることで、速やかに目的の冷房温度まで部屋を冷却することができる(その後は、通常の冷房運転に戻す)。
また、大きな容器4に入っており球形に近く、重量に対して相対的に表面積の小さい蓄熱材Hは、融解・凝固するのに時間が掛かるため、主にこれを通常の冷房運転時に作用させれば、安定した負荷状態で長い時間、冷却・加熱能力を保つことができる。
なお蓄熱槽2の熱容量は、蓄熱材Hの重量と、単位重量当たりの融解・凝固熱との積であり、蓄熱速度と熱の取出し速度は、容器4の形状・大きさと表面積の総計に左右される。相似形の容器4を使用するとき、蓄熱材Hの全重量が同じであれば、蓄熱槽2の熱容量は、容器4の代表寸法の二乗の逆数に近い数字に比例する。従って、蓄熱容量は、充填する蓄熱材Hの総量により決定され、吸熱・放熱の速度は容器4の形状、大きさ、表面積により決定される。そのため、蓄熱装置1の容量と性格は、蓄熱材Hの総量と容器4の形状、大きさ、総表面積により、最も目的に沿ったものにすることが好ましい。
また図1に示す実施例は、上述したように水またはブライン等の熱媒体Bを、蓄熱槽2と目的の熱交換器3との間で循環させる蓄熱装置1の一例であり、複数設けたバルブV1〜V4の操作により、目的の熱交換器3において冷房と暖房とが選択的に行えるようにした回路構成となっている。具体的には、当該蓄熱装置1によって冷房と暖房の運転が行える。
なお、図1(b)・(c)において、白抜きしたバルブ記号は、開放状態(熱媒体Bの連通状態)を示し、黒塗りしたバルブ記号は、閉鎖状態(熱媒体Bの非連通状態)を示す。
以下、冷房と暖房の運転状況について説明する。
まず、冷房の運転状況から説明する。
冷房運転を実施するには、一例として図1(b)に示すように、バルブV1を閉鎖し、バルブV2を開放する一方、バルブV3を開放し、バルブV4を閉鎖する。因みに、バルブV1とバルブV2は、いずれか一方が開放なら他方は閉鎖するように制御されるものであり、これはバルブV3とバルブV4においても同様である。
冷房運転の場合、熱媒体Bは、目的の熱交換器3において室内空気を冷却することで、室内空気から熱を奪い、自らは加熱される(温まる)。なお、ここでの「加熱」や「温」は、蓄熱材Hの相変化温度と比較して温かいことを示す。そして、この温まった熱媒体Bが、ポンプPの駆動により、バルブV2を経由して蓄熱槽2に供給される。この際、熱媒体Bは、蓄熱槽2の上部から供給される。
そして、蓄熱槽2に送り込まれた熱媒体Bは、蓄熱槽2内を下降して行きながら、蓄熱材Hが充填・密閉された容器4の表面に接触し、容器表面を介して蓄熱材Hと熱交換を行う。すなわち、この場合には、熱媒体Bは、蓄熱材Hを温めることで、自らは冷却される。一方、蓄熱材Hは、熱媒体Bから熱が加えられて徐々に融解する。
そして、蓄熱槽2内で冷却された熱媒体Bは、ポンプPの作用により、蓄熱槽2の下部(底)から取り出され、次いで、バルブV3を経由してポンプPに流入する(このような循環経路となる)。
なお、目的の熱交換器3で冷房を行う上記の場合、すなわち蓄熱槽2内の蓄熱材Hを融解させる場合(蓄熱槽2に熱を蓄える場合)に、水またはブライン等の熱媒体Bを蓄熱槽2の上部から供給し、蓄熱槽2内を下降させながら容器4と接触させることにより冷却し、この冷却された熱媒体Bを蓄熱槽2の下部(底)から取り出す上記構成は、熱媒体Bを循環させるポンプPの動力を低減することができる。
すなわち、循環する水またはブライン等の熱媒体Bは、原則として温度の低下とともに比重が大きくなり、自然に沈降する力が働く(例外的に水の場合、約4℃〜0℃の間で逆の現象が起きるが、本発明の使用範囲では4℃以下の状態で使用する可能性はほとんどない)。そのため冷却を受けて自然に沈降してくる熱媒体B(冷水または冷ブライン)を、蓄熱槽2の下部(底)から取り出すようにすれば、熱媒体Bが有効に冷却されるとともに循環に要するポンプPの動力も少なくて済むものである。
また、このように熱媒体Bを循環させると、容器4の隙間にできる循環流路に熱媒体Bを均一に行き渡らせることができ、熱媒体Bの温度ムラを少なくして、蓄熱材Hの使用効率を向上させることができる。
なお、この冷房運転は、目的の熱交換器3の作用に着眼した表現であるが、蓄熱槽2の作用に着眼すると蓄熱(暖房時のための蓄熱)と言える。
次に、暖房の運転状況について説明する。
暖房運転を実施するには、一例として図1(c)に示すように、バルブV1を開放し、バルブV2を閉鎖する一方、バルブV3を閉鎖し、バルブV4を開放する。
熱媒体Bは、目的の熱交換器3において、室内空気に熱を与え、室内空気を加熱することで、自らは冷却される(冷やされる)。この冷やされた熱媒体B(冷水または冷ブライン)が、ポンプPの駆動により、バルブV4を経由して蓄熱槽2に供給される(流入する)。この際、熱媒体Bは、蓄熱槽2の下部(底)から供給される。
そして、蓄熱槽2に送り込まれた熱媒体Bは、蓄熱槽2内を上昇して行く間に、蓄熱材Hが充填・密閉された容器4の表面に接触し、容器表面を介して蓄熱材Hと熱交換を行う。すなわち、この場合には、熱媒体Bは、蓄熱材Hから熱を奪い加熱される。一方、蓄熱材Hは、熱媒体Bに熱が奪われるため、徐々に冷却され凝固して行く。
また蓄熱槽2内で加熱された熱媒体B(温水または温ブライン)は、ポンプPの作用により、蓄熱槽2の上部から取り出され、バルブV1を経由してポンプPに流入する(循環する)。
なお、目的の熱交換器3で暖房を行う上記の場合、すなわち容器4に充填・密閉された蓄熱材Hを凝固させる場合(蓄熱槽2から熱を取り出す場合)に、低温状態の熱媒体Bを蓄熱槽2の下部から槽内に供給し、蓄熱槽2内を上昇する間に容器4と接触し、温められた熱媒体B(温水または温ブライン)を蓄熱槽2の上部から取り出すようにした上記構成であれば、熱媒体Bを循環させるときのポンプPの動力が倹約できること等は上記冷房の場合と同様である。すなわち循環する熱媒体B(水またはブライン)は、原則として温度の上昇とともに比重が小さくなり、自然に上昇する力が働く。そのため加熱されて上昇してきた熱媒体Bを蓄熱槽2の上部から取り出すと、熱媒体Bが有効に加熱されるとともに循環に要する動力も少なくて済む。
なお、この暖房運転は、目的の熱交換器3の作用に着眼した表現であるが、蓄熱槽2の作用に着眼すると蓄熱(冷房時のための蓄熱)と言える。
次に容器4を蓄熱槽2内に収容する仕方(収容態様)について説明する。
蓄熱材Hを詰めた容器4は蓄熱槽2に密に収容されるが、その際、容器4と容器4の間に隙間を設けるように収容するものである。これは容器4と容器4の間に形成される隙間が熱媒体Bの流路となり、熱媒体Bを各容器4の表面に満遍なく接触させながら流動(循環)させるためである。つまり容器4と容器4の間に形成される隙間が、熱媒体Bを各容器4に接触させながら流す際の流路となるのである。
以下、更に、蓄熱材Hを充填した容器4を蓄熱槽2内に収容する一例について説明する。
例えば図1(a)に示すように、蓄熱槽2内を、容器4を収容する収容スペース21と、容器4を収容しないことにより熱媒体Bの流動(循環)を促進させる流路スペース22とに分ける(循環促進用スペース)。すなわち流路スペース22は、収容スペース21に収容した容器4に、熱媒体Bをできる限り満遍なく接触させながら、熱媒体Bを槽全体に効率良く循環させるようにしたスペースと言える。ここで流路スペース22は、蓄熱槽2の上部、下部に形成されるものに分けられ、これらを区別したい場合には、各々、上部流路スペース22U、下部流路スペース22Dとする。
具体的には、上記図1(a)に併せ示すように、蓄熱槽2の上下方向に、いわゆるパンチングメタル23を複数設置することで、収容スペース21を形成し(区画し)、その上下の領域を流路スペース22(上部流路スペース22U、下部流路スペース22D)とする。
もちろん、このようなパンチングメタル23は、熱媒体Bの通過を許容しながら、一方では容器4を載置するものであるから(特に上部に設置するパンチングメタル23以外)、容器4を載せても容器4が落下貫通しないサイズに開孔される。また、パンチングメタル23は、熱媒体Bに浸かるため、熱媒体Bに腐食されない耐久性を有する。
なお、図1(a)では、五枚のパンチングメタル23を高さ方向に適宜の間隔で設置し、容器4を上下方向に四段積めるようにしている。そして、各段に複数の容器4を並べるものであり、以下、この並べ方の一例について説明する。
まず、図2(a)は、各々の容器4を円筒状もしくは球形状として平面的に示した図である。ここでは本図に示すように、一つの容器4を取り囲むように、六個の容器4を配置している(放射状配置)。つまり計七個の容器4を一つのユニット(単位)とし、その外接ラインが、平面視、正六角形を描くように配置する(いわゆるハニカム状)。なお、容器4は、このようなユニット毎に、紐やワイヤ等で括るようにしてもよい。
そして、一枚のパンチングメタル23の上に、上記のように容器4を、くまなく並べるように配置すると、容器4と容器4の間には確実に隙間が形成され、熱媒体Bの流動経路を確実に確保することができる。すなわち、このような配置態様によれば、容器4を密に収容しながらも、容器4と効率的に接触させながら熱媒体Bを流動させることができるものである。逆に言えば、例えば立方体状に形成した容器4を、面接触状態でいちめんに配置してしまうと、各容器4の間に隙間が形成されず、熱媒体Bが効率的に容器4と接触できないものである。
なお、上記図2(a)は、全て同じ容器4を配置する様子を示したが、容器4の大きさ等は必ずしも揃える必要はなく、異ならせても構わない。具体的には、例えば図2(b)に示すように、上記図2(a)においてハニカム状ユニットの真ん中の容器4を、七個の小さい容器4で置換することが可能である。この場合も、容器4をぎっしり並べながらも、各容器4間に確実に隙間を形成することができ、熱媒体Bを効率的に循環させることができる。
また、図3に示す実施例は、容器4の形状(平面視形状)を異ならせた例であり、容器4の配置をユニットで捉えた場合、ユニットの中央に位置する真ん中の容器4を平面視円形とし四つ外接状態に配置し、それらを更に四方から取り囲むように丸みを帯びた十字状容器4(言わばヒダ付き容器4)を配置したものである。この場合も、中央の四つの各容器4(平面視円形)は、周囲の容器4(平面視十字状ヒダ付き容器4)と点接触状態で接触することになり(平面から視た場合)、各容器4間に確実に隙間(流路)を形成することができる。因みに、ヒダを有した平面視十字状の容器4は、熱媒体Bとの熱交換により、中心部よりも外表面に近いヒダ部から融解または凝固し易いものである。
また、容器4は、大きさや形状以外にも材質、厚み、数量等を異ならせることも可能であり、これにより上述したように、蓄熱槽2の熱応答性を様々な状態に制御でき、例えば急速な熱の出し入れと、穏やかな熱の出し入れとの両方を行うことができる。
また蓄熱材Hは、蓄熱槽2(収容スペース21)内に設置される高さ方向において相変化温度を徐々に異ならせるように調整すると、蓄熱槽内における融解・凝固を均一に近い状態で行うことができ、効率の良い熱交換が行える。
すなわち蓄熱槽2(収容スペース21)を通過する熱媒体Bの流れ方向(上下方向)において蓄熱材Hの相変化温度を徐々に異ならせるように設定した場合、具体的には例えば図1(a)の最下段に設置する蓄熱材Hの凝縮温度(融解温度)を13.5℃、下から二段目に設置する蓄熱材Hの凝縮温度を14.0℃、上から二段目に設置する蓄熱材Hの凝縮温度を14.5℃、最上段に設置する蓄熱材Hの凝縮温度を15.0℃に設定し、冷温の熱媒体Bを蓄熱槽2(収容スペース21)の下部から供給した場合には、熱媒体Bは収容スペース21内で、まず最下段の蓄熱材Hを通過する際に当該蓄熱材Hによって温められ、この温められた熱媒体Bが、更に下から二段目の蓄熱材Hを通過する際に当該蓄熱材Hによって温められ、順次、このような加熱を繰り返し受けながら上昇する。このため蓄熱槽2内を上昇する熱媒体Bは、この流れ方向で見た場合、順次、各段に設置された蓄熱材Hによって温められるものである。なお、この状況は、蓄熱槽2を全体的に見ると、各段を通過する熱媒体Bが、各段に設置された蓄熱材Hによって同時に(均一に)温められ(各段に設置された蓄熱材Hによる熱媒体Bの加熱が蓄熱槽2内で同時に行われ)、熱媒体Bを効率的に温めることができるものである(効率的な熱交換)。
もちろん、上記のような設定であれば、蓄熱槽2の上部から温かい熱媒体Bを供給し、この熱媒体Bを冷却しながら下降させる場合も、同様に効率的な熱交換が行える。
また、一つの蓄熱槽2に複数の相変化温度を持たせることにより、一つの蓄熱槽2で冷房と暖房に対応することができる。例えば相変化温度を10℃と32℃の二種類の蓄熱材Hを使用すれば、冷房・暖房を一つの蓄熱槽2で行うことができる。
因みに、蓄熱材Hの相変化温度を異ならせるには、容器4に充填される硫酸ナトリウムの濃度や他の成分等によって調整することが可能である。
また、蓄熱槽2には、例えば図4に示すように、収容スペース21の側方に、上下方向の立壁24を形成し、この立壁24と蓄熱槽2の壁面とによって側部流路スペース22Sを形成することが可能である。なお、側部流路スペース22Sは、熱媒体Bを上下方向に流動させる流路スペースであるため(いわゆる煙突状)、立壁24そのものは熱媒体Bの通過を阻止するよう無開孔状に形成される。
また、この側部流路スペース22SにはアジテータAを設け、更には加熱または冷却の熱源用熱交換器、例えばヒートポンプの蒸発器や凝縮器、あるいはボイラーの温水熱交換器等を直接、設けることが可能である。
これにより蓄熱槽2内を流動する熱媒体Bの循環方向をコントロールすることができる。すなわち、例えばアジテータAを正転させた場合に、側部流路スペース22S内を流れる熱媒体Bを上から下向きに流動させるのであれば、この正転操作により収容スペース21では熱媒体Bを下から上向きに流動(循環)させることができる。一方、アジテータAを逆転させた場合に、側部流路スペース22S内を流れる熱媒体Bを下から上向きに流動させるのであれば、この逆転操作により収容スペース21では熱媒体Bを上から下向きに流動(循環)させることができる。
このようにすることで、熱の供給、取り出しを効率よく行うことができる。すなわち、熱媒体Bは、上述したように温めれば比重が小さくなり、冷やせば比重が大きくなるため、側部流路スペース22Sに上記熱交換器を設ければ、比重差に基づく上昇作用や下降作用を、熱媒体Bの循環に利用することができ、より効率的に熱媒体Bを循環させることができる。
また蓄熱槽2内の熱媒体Bは、一部または全部を、直接、冷房・暖房用熱交換器に送って循環させ、冷房・暖房に使用することも可能である。これにより蓄熱材Hの相変化温度を最終使用目的を果たせる温度に調整して、循環する熱媒体B(一部または全部)を直接、エアハンドリングユニット等の目的の熱交換器に送り、目的の冷房や暖房に供することができ、非常に効率のよい冷房・暖房を行うことができる。具体的には、例えば約32℃に相変化温度を調整した蓄熱材Hを使用して床暖房に使用するとき、30℃で床パネルに温水を供給し、28℃で蓄熱槽2に帰し、蓄熱槽2で熱回収して30℃に昇温させ、再び床パネルに送ると、非常に効率のよい暖房が行える。
また蓄熱槽2に蓄えられた温熱または冷熱を、熱媒体Bの循環により取り出し、ヒートポンプの熱源として暖房または冷房に利用することも可能である。これにより循環する熱媒体Bの一部または全部をポンプPにより取り出して、複数のヒートポンプの蒸発器または凝縮器の熱源として有効に使用することができる。すなわちヒートポンプの熱源として使用するとき、例えば相変化温度を約17℃に調整した蓄熱材Hを使用して、暖房に使用するときは、蒸発器の熱源として14℃の熱媒体Bを蓄熱槽2から取り出し、蒸発器で熱を回収して、10℃に冷却した熱媒体Bを蓄熱槽2に戻す。また冷房に使用するときは、凝縮器の熱源として20℃の熱媒体Bを蓄熱槽2から取り出し、凝縮器で熱を放出して、25℃に加温した水またはブラインを蓄熱槽2に戻す。このようにすれば、冷暖房に必要な冷凍機の動力を大きく低減できる。また蓄熱槽2に必要な冷熱や温熱は夜間電力や太陽光を利用して経済的に得ることが可能である。
以上述べたように硫酸ナトリウム水溶液は、空調用に都合の良い温度帯(約10℃〜32℃)で凝固・融解作用があり、濃度を調整すれば最も効率の良い温度で蓄熱と放熱を行うことができる。このことにより従来行われていた、氷蓄熱と比較して2倍以上の効率を実現することも可能である。また蓄熱材Hを小さな容器4に充填し、蓄熱槽2の中に大量に収容し、熱媒体Bに浸して循環させて蓄熱と放熱を行うようにすれば、容器4の形状、大きさ、総量、組み合わせ等を変えることにより、蓄熱量、蓄熱・放熱速度及び速度変化などを設定できる。また、熱媒体Bである水またはブライン水溶液をヒートポンプの熱源としてエアハンドリングユニットに送り直接その熱源とすることもできる。
1 蓄熱装置
2 蓄熱槽
3 熱交換器(目的の熱交換器)
4 容器

2 蓄熱槽
21 収容スペース
22 流路スペース
22U 上部流路スペース
22D 下部流路スペース
22S 側部流路スペース
23 パンチングメタル
24 立壁

A アジテータ
P ポンプ
V1 バルブ
V2 バルブ
V3 バルブ
V4 バルブ
B 熱媒体(水またはブライン)
H 蓄熱材(硫酸ナトリウム水溶液)

Claims (7)

  1. 硫酸ナトリウムを主成分とする水溶液を、蓄熱材として蓄熱槽に収容し、且つ当該蓄熱槽と目的の熱交換器との間で、水またはブラインを循環させ、水またはブラインを介して蓄熱材に熱を蓄えたり、蓄えた熱を蓄熱材から回収するようにした蓄熱装置において、
    前記蓄熱材は、複数の容器に充填・密閉された状態で蓄熱槽に収容されるものであり、また当該容器は、水またはブラインが個々の容器表面に接触しながら流動するように蓄熱槽に収容されることを特徴とする蓄熱装置。
  2. 前記蓄熱材は、大きさ、形状、材質、厚み、数量等を異ならせた複数の容器に充填・密閉された状態で蓄熱槽に収容されることを特徴とする請求項1記載の蓄熱装置。
  3. 前記蓄熱材は、使用目的により容器群ごとまたは容器ごとに濃度が異なるように調整され、一つの蓄熱槽が複数の相変化温度を有するように構成されることを特徴とする請求項1または2記載の蓄熱装置。
  4. 前記容器に充填・密閉された蓄熱材を融解させる際には、温水または温ブラインを蓄熱槽の上部から供給し、蓄熱槽内で熱交換した水またはブラインを蓄熱槽の下部から取り出すものであり、
    一方、前記蓄熱材を凝固させる際には、冷水または冷ブラインを蓄熱槽の下部から供給し、蓄熱槽内で熱交換した水またはブラインを蓄熱槽の上部から取り出すようにしたことを特徴とする請求項1、2または3記載の蓄熱装置。
  5. 前記蓄熱槽内の水またはブラインの循環経路に、加熱または冷却の熱源用熱交換器を直接、設けたことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の蓄熱装置。
  6. 前記蓄熱槽内の水またはブラインの一部または全部を、直接、冷房・暖房用熱交換器に送って循環させ、冷房・暖房に使用するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の蓄熱装置。
  7. 前記蓄熱槽に蓄えられた温熱または冷熱は、水またはブラインの循環により取り出し、ヒートポンプの熱源として暖房または冷房に利用するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の蓄熱装置。
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