JP2016141583A - 流体用整流部材 - Google Patents
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Abstract
Description
繊維強化セラミック複合材料の用途として、高い耐熱性、強度を利用して、高温、高速の流体の流体用整流部材として用いられている。
繊維強化セラミック複合材料は、セラミックよりなる母材(マトリックス)に、骨材としてセラミック繊維を加えた材料である。母材であるセラミックは、耐熱性、強度を備えているものの、弾性率が高いセラミック材料の特徴により脆い素材である。繊維強化セラミック複合材料は、さらにセラミック繊維を複合させることによってセラミックの母材の弱点である脆性を改良した素材である。
このガス整流部材は、半導体製造装置において、導入部を介して導入される不活性ガスを整流して石英るつぼ内にそれを確実に導くための部材である。
このため、耐熱性、強度、化学的安定性を有している上に、半導体に対して不純物となる元素が含まれていないので、半導体製造装置用のガス整流部材として好適に用いられている。
逆に、全体で糸の密度が大きく強度が過剰であると、流体に近い層の糸の破損は防止できるが、流体から遠い層の糸の強度が無駄になるとともに、全体として無駄に重くなる。
ここで、ストランド間密度とは、単位セラミック繊維を束ねたストランドの密度を云う。また、ストランド間密度を高密度にすることは、同一繊維径(束径)のストランドの軸線間の距離を小さくして密集させることにより達成できる。あるいは、ストランドの軸線間の距離が同じで、単位セラミック繊維の本数を増加してストランドの繊維径(束径)を太くすることにより達成できる。
なお、流体の流れとは、流体用整流部材に対して相対的に流体が移動する場合をいい、流体用整流部材に対して流体が流れる場合および流体中を流体用整流部材が移動する場合を含む。
(1)前記最表層セラミック繊維層を構成するストランドと、前記中心軸を含む平面と、のなす角度が80度〜90度である。
このため、本発明の流体用整流部材は、中心軸を含む平面と最表層セラミック繊維層を構成するストランドとのなす角度が80度〜90度であると、ストランドに沿って気流がスムーズに流れることができる。
また、ストランドの太さに起因する凹凸は、1/sin20度倍(2.92倍)以上に中心軸方向に引き伸ばされるので、流体の乱れを小さくでき、抵抗を小さくできる。これにより、最表層セラミック繊維層の強度を一層増すことができる。
本発明の流体用整流部材は、筒状部の中心軸に沿った両端部が開口しているので、筒状部の外周面および内周面に沿って流体をスムーズに流すことができる。このため、本発明の流体用整流部材は、内部に流体を流す配管や、流体内を移動する飛翔体、推進体などとして使用することができる。
本発明の流体用整流部材は、筒状部の、中心軸に沿った両端部の少なくとも一方に蓋部を有し閉口しているので、筒状部の外周面に沿って流体をスムーズに流すことができる。このため、本発明の流体用整流部材は、流体内を移動する飛翔体などとして使用することができる。
筒状部は、一方の端面輪郭形状よりも他方の端面輪郭形状が大きい形状を呈しているので、本発明の流体用整流部材は、例えば円錐や円錐台等に類似した形状となっている。このような形状は滑らかに断面積が変化するので、渦流の発生を抑え、流体の流れをスムーズすることができる。このように一方の端面輪郭形状よりも他方の端面輪郭形状が大きい形状に沿って流体が流れる場合には、筒状部の一方と他方の間で流体の流速が異なり、弾性流体においてはさらに密度も異なるようになる。このため、流体と接する筒状部の内側面または外側面は、流体との相互作用が強く、特に流体の乱れを生成させやすい。本発明の流体用整流部材における筒状部は、一方の端面輪郭形状よりも他方の端面輪郭形状が大きいので、流体の流れに乱れを生成させにくくすることができる。このため、本発明の流体用整流部材は、配管や流体内を移動する飛翔体、推進体などとして好適に利用することができる。
SiCは、高強度であるので、流体用整流部材の強度を増すことができる。また、SiCは、耐蝕性、耐酸化性にも優れ、セラミックマトリックスにSiCを用いることにより、流体用整流部材を高温、腐食性雰囲気でも好適に利用できる。
SiC繊維は、耐蝕性、耐酸化性が優れ、高強度であるので、支持材にSiCを用いることにより、高温、腐食性雰囲気でセラミックマトリックスが損傷した場合でも、単位セラミック繊維がクラックの進展を止め、安全に使用することができる。
中心軸を流体の流れ方向に配置することにより、中心軸を包囲する筒状部も流体の流れ方向に配置されるので、流体の流れを乱さない。
このため、本発明によれば、重量増を抑えて最表層セラミック繊維層の強度を増すので支持材の強度を充分に発揮することができ、高強度の繊維強化セラミック複合材料から構成される流体用整流部材が得られる。
ここで、ストランド間密度とは、単位セラミック繊維を束ねたストランドの密度を云う。また、ストランド間密度を高密度にすることは、同一繊維径(束径)のストランドの軸線間の距離を小さくして密集させることにより達成できる。あるいは、ストランドの軸線間の距離が同じで、単位セラミック繊維の本数を増加してストランドの繊維径(束径)を太くすることにより達成できる。
なお、流体の流れとは、流体用整流部材に対して相対的に流体が移動する場合をいい、流体用整流部材に対して流体が流れる場合および流体中を流体用整流部材が移動する場合を含む。
(1)前記最表層セラミック繊維層を構成するストランドと、前記中心軸を含む平面と、のなす角度が80度〜90度である。
このため、本発明の流体用整流部材は、中心軸を含む平面と最表層セラミック繊維層を構成するストランドとのなす角度が80度〜90度であると、ストランドに沿って気流がスムーズに流れることができる。
また、ストランドの太さに起因する凹凸は、1/sin20度倍(2.92倍)以上に中心軸方向に引き伸ばされるので、流体の乱れを小さくでき、抵抗を小さくできる。これにより、最表層のセラミック繊維層の強度を一層増すことができる。
本発明の流体用整流部材は、筒状部の中心軸に沿った両端部が開口しているので、筒状部の外周面および内周面に沿って流体をスムーズに流すことができる。このため、本発明の流体用整流部材は、内部に流体を流す配管や、流体内を移動する飛翔体、推進体などとして使用することができる。
本発明の流体用整流部材は、筒状部の、中心軸に沿った両端部の少なくとも一方に蓋部を有し閉口しているので、筒状部の外周面に沿って流体をスムーズに流すことができる。このため、本発明の流体用整流部材は、流体内を移動する飛翔体などとして使用することができる。
筒状部は、一方の端面輪郭形状よりも他方の端面輪郭形状が大きい形状を呈しているので、本発明の流体用整流部材は、例えば円錐や円錐台等に類似した形状となっている。このような形状は滑らかに断面積が変化するので、渦流の発生を抑え、流体の流れをスムーズすることができる。このように一方の端面輪郭形状よりも他方の端面輪郭形状が大きい形状に沿って流体が流れる場合には、筒状部の一方と他方の間で流体の流速が異なり、弾性流体においてはさらに密度も異なるようになる。このため、流体と接する筒状部の内側面または外側面は、流体との相互作用が強く、特に流体の乱れを生成させやすい。本発明の流体用整流部材における筒状部は、一方の端面輪郭形状よりも他方の端面輪郭形状が大きいので、流体の流れに乱れを生成させにくくすることができる。このため、本発明の流体用整流部材は、配管や流体内を移動する飛翔体、推進体などとして好適に利用することができる。
SiCは、高強度であるので、流体用整流部材の強度を増すことができる。また、SiCは、耐蝕性、耐酸化性にも優れ、セラミックマトリックスにSiCを用いることにより、流体用整流部材を高温、腐食性雰囲気でも好適に利用できる。
SiC繊維は、耐蝕性、耐酸化性が優れ、高強度であるので、支持材にSiCを用いることにより、高温、腐食性雰囲気でセラミックマトリックスが損傷した場合でも、ストランドがクラックの進展を止め、安全に使用することができる。
中心軸を流体の流れ方向に配置することにより、中心軸を包囲する筒状部も流体の流れ方向に配置されるので、流体の流れを乱さない。
本発明の第1実施形態について以下説明する。
本発明の流体用整流部材の製造方法は、支持材形成工程と、マトリックス形成工程と、芯抜工程とからなる。最初に支持材を形成した後に、芯抜工程およびマトリックス形成工程を行う。芯抜工程とマトリックス形成工程の順序は特に限定されず、芯抜工程の前後にマトリックス形成工程を行ってもよい。
図7(A)〜図7(C)は本発明の第1実施形態の流体用整流部材の製造工程を示す。図7(A)は支持材形成工程、マトリックス形成工程、芯抜工程の順に製造する製造工程、図7(B)は支持材形成工程、芯抜工程、マトリックス形成工程の順に製造する製造工程、図7(C)は支持材形成工程、マトリックス形成工程、芯抜工程、マトリックス形成工程の順に製造する製造工程を示す。
図8(A)〜図8(C)は、本発明の第1実施形態の流体用整流部材の支持材形成工程の詳細な製造工程を示す。
図8(B)は、巻回工程が最初にあり、最後にはない製造工程であり、この製造方法により、支持材の内層セラミック繊維層の内側面を覆う最表層セラミック繊維層が中心軸に対して直交して配向しているストランドによって流体用整流部材を構成することができる。
図8(C)は、巻回工程が最後にあり最初にはない製造工程であり、この製造方法により、支持材の内層セラミック繊維層の外側面を覆う最表層セラミック繊維層が中心軸に対して直交して配向しているストランドによって流体用整流部材を構成することができる。最初または最後の巻回工程の間は、ストランドの配置、巻回方法、回数、順序は限定されず、自由に組み合わせることができる。
このとき、最初と最後の巻回工程では、その間の工程で用いるストランド間密度よりも高密度でストランドを巻回する。また、最初または最後の巻回工程の間は、ストランドの配置、巻回方法、回数、順序は限定されず、自由に組み合わせることができる。
セラミックマトリックスはどのようなものでもよく特に限定されない。例えば、SiC、アルミナ、Si3N4、B4Cなどを利用できる。セラミックマトリックスはどのような方法で形成してもよい。例えば、有機物である前駆体(プレカーサ)を熱分解させセラミックのマトリックスを得るプレカーサ法、原料ガスを熱分解させセラミックマトリックスを得るCVD法などが利用できる。またこれらを併用してもよい。
プレカーサ法では、熱分解によりセラミックが得られる前駆体を適宜選定する。プレカーサ法では、液体の前駆体を支持体に塗布または含浸したのち、加熱処理し、最終的に焼成することによりセラミックマトリックスを得る。加熱処理では、前駆体の形態によってさまざまな処理が行われる。前駆体が溶液である場合には溶媒の乾燥、前駆体がモノマー、ダイマーまたはオリゴマーなどの場合には重合反応、前駆体がポリマーである場合には熱分解反応の処理が行われる。
前駆体は、例えば次のようなものが利用できる。前駆体が炭素の場合は、フェノール樹脂、フラン樹脂などが利用できる。前駆体がSiCの場合はポリカルボシラン(PCS:Polycarbosilane)などが利用できる。これらの樹脂をストランド間に浸透させて、熱分解することによりセラミックマトリックスを得ることができる。
また、プリカーサ法は支持材形成工程のなかで軸方向配置工程が最後にあり、軸方向に並んだストランドが最表層にある場合に、単位セラミック繊維の脱落や毛羽立ちを防止するためのバインダーとすることもできる。この場合には、前駆体が、乾燥、重合または熱分解する過程で、ストランド同士を結合させた状態を維持することができるので、好適に利用することができる。
CVD法で使用する原料ガスは、セラミックマトリックスの種類によって適宜選択する。
目的とするセラミックマトリックスがSiCの場合には、炭化水素ガスと、シラン系ガスの混合ガス、炭素と珪素を有する有機シラン系ガスなどが利用できる。これらの原料ガスは、水素がハロゲンで置換されたガスも利用することができる。シラン系ガスとしては、クロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン、有機シラン系ガスの場合には、メチルトリクロロシラン(Methyltrichlorosilane)、メチルジクロロシラン(Methyldichlorosilane)、メチルクロロシラン(Methylchlorosilane)、ジメチルジクロロシラン(Dimethyldichlorosilane)、トリメチルジクロロシラン(Trimethyldichlorosilane)などが利用できる。またこれらの原料ガスを適宜混合して用いてもよく、さらに水素、アルゴンなどのキャリアガスとしても用いることもできる。キャリアガスとして水素を用いた場合には、平衡の調整に関与することができる。
CVDの温度は、原料ガスの分解温度、分解速度に応じて適宜選定することができ、例えば800〜2000℃である。CVDの圧力は、セラミックマトリックスの沈着の状態に応じて適宜選択することができる。使用できる範囲は、例えば0.1〜100kPaの減圧CVD法、また圧力を制御しない常圧CVD法でもよい。
芯抜工程の位置によって3つのパターンが存在する。
芯抜工程が、マトリックス形成工程の後の場合、支持材形成工程、マトリックス形成工程、芯抜工程の順に製造する(図7(A))。
芯抜工程が、マトリックス形成工程の前の場合、支持材形成工程、芯抜工程、マトリックス形成工程の順に製造する(図7(B))。
芯抜工程が、マトリックス形成工程の中にある場合、支持材形成工程、マトリックス形成工程、芯抜工程、マトリックス形成工程の順に製造する(図7(C))。
芯抜工程が、マトリックス形成工程の中にある場合には、支持体のストランド間にセラミックマトリックスが形成されセラミック繊維強化セラミック複合材料になった後に芯材が抜かれるので、芯材が抜かれた後に変形しにくくすることができる。
流体用整流部材10Aの製造方法は、柱状に形成された芯材11の中心軸CLに対する周方向に沿ってストランド21を巻回する巻回工程と、芯材11の中心軸CLに対して平行にストランド21を配置する軸方向配置工程を有する。
なお、ストランド21は、単位セラミック繊維を束ねて構成されている。
図1(A)はフープ巻きによるストランド21の巻回工程を示し、図1(B)はヘリカル巻きによるストランド21の巻回工程の往路を示し、図1(C)はヘリカル巻きによるストランド21の巻回工程の復路を示す。
なお、図1(C)に示すヘリカル巻きによるストランド21の巻回工程の復路では、ストランド21を収容するロール211を、芯材11の他端側(図1(C)において左端側)から一端側(図1(C)において右端側)へ移動させる(矢印B参照)。
すなわち、送り速度を遅くしてストランド21で覆われた分だけロール211を送り、ストランド21を輪のよう巻く巻回方法をフープ巻きといい、ストランド間密度が高密度となる。また、送り速度を速くしてストランド21に間隔が空くようにロール211を送り、ストランド21を螺旋のよう巻く巻回方法をヘリカル巻きという。この場合には、ストランド間密度が低密度となる。
なお、筒状部が略円錐形状である場合、芯材11の回転速度とロール211の送り速度とを適宜調整することによって、ヘリカル巻きの螺旋角度を80〜90度にすることができる。
これに対して、ヘリカル巻きでは1回の送りでは芯材11の全外周面を覆うことができないので、ロール211を何往復も繰り返し送りながら芯材11の外周面にセラミック繊維層22を形成する。
これに対しヘリカル巻きでは、1単位のストランド21では、芯材11の全外周面を覆い尽くすことができないので、任意の単位のストランド21は前後それぞれ複数の単位のストランド21と接触する。
なお、図面においては、わかりやすくするために、隣接するストランド21同士の間隔を大きく表示している。
これを芯材11の外側面に沿って全周に実施する。このとき、ストランド21は、係止部212、213の太さ、配置によっては、中心軸CLを含む平面に対し、斜めに配置されることもあるが、隣接するストランド21同士は非常に近接しているので、中心軸CLに対して平行に配置されると言える。なお、図1(D)においては、わかりやすくするために、隣接するストランド21同士の間隔を大きく表示している。
例えば、巻回工程と軸方向配置工程とを1回ずつ交互に実施することができるが、巻回工程および軸方向配置工程を各々複数回ずつ実施して交互に実施することもできる。また、巻回工程には、ヘリカル巻き、フープ巻きがある。このため、ヘリカル巻きによる巻回工程(ヘリカル巻き工程)、フープ巻きによる巻回工程(フープ巻き工程)、軸方向配置工程の3つの工程を適宜選択しながらセラミック繊維層22を積層し、筒状部20Aを構成することができる(図8参照)。
この際、基材23において芯材11の側面111から最も離れた最外側セラミック繊維層222において、中心軸CLに対して直交する平面PL(図3参照)にストランド21が沿う(平行となる)ように基材23を製造する。このとき、最外側セラミック繊維層222を形成するのに、最外側セラミック繊維層222の内層の内層セラミック繊維層223を形成するストランド215のストランド間密度よりも高密度なストランド間密度となるように、ストランド214を巻回する。
あるいは、図4(C)に示すように、ストランド214、215の軸線間距離D1、D2が同じで、最外側セラミック繊維層222のストランド214の繊維径を、内層セラミック繊維層223のストランド215の繊維径よりも大きくする。
なお、内層セラミック繊維層223を形成するストランド215の方向は、最外側セラミック繊維層222を形成するストランド214と交差するのが望ましい。
これに限定されず、筒状部20Aを芯材11から分離する工程は、セラミックマトリックスを形成する前、形成した後、セラミックマトリックスを形成する途中段階のいずれであってもよい(図7参照)。
一方の端面が閉じている場合には、例えば、筒状部20Aと、蓋部とを有する基材23を用い、セラミックマトリックスを沈着する方法、後から蓋部を組み合わせる方法などが利用できる。
図3(A)に示すように、流体用整流部材10Aは、中心軸CLを包囲する筒状部20Aを有する。流体用整流部材10Aは、例えば、中心軸CLを流体の流れ方向(図2(B)中矢印F参照)に配置することにより使用することができる。
筒状部20Aは、一方の端面203の輪郭形状よりも他方の端面204の輪郭形状の方を大きく形成することもできる。また、筒状部20Aは、一方の端面203および他方の端面204が開口している。なお、筒状部20Aを、両端が開口した円柱形状とすることもできる(図示省略)。
ここで、ストランド間密度を高密度にするには、前述したように、巻回工程において同一径のストランド21を用いて軸線間距離を調整することにより、行うことができる。
あるいは、ストランド21は、単位セラミック繊維を束ねて構成されているので、束ねる単位セラミック繊維の本数を変えることによりストランド21の外径や強度を調整してストランド間密度を高密度にすることができる。
すなわち、図3(A)に示すように、中心軸CLを含む仮想の平面PL2によって切断される筒状部20Aの断面を、平面PL2に沿って観ると(図3(A)中矢印C参照)、図3(B)に示すように平面PL2に対してストランド214は、角度θで交差する。
第1実施形態の流体用整流部材10Aによれば、最外側セラミック繊維層222のストランド間密度は、最外側セラミック繊維層222の内層の内層セラミック繊維層223のストランド間密度よりも高密度である。
このため、無駄な重量増を防止して最外側セラミック繊維層222の強度を増すことができるので支持材の強度を充分に発揮することができ、高強度の繊維強化セラミック複合材料から構成される流体用整流部材10Aが得られる。
さらに、ストランド21は複数の単位セラミック繊維を束ねて構成されているので、個々の繊維が突出する毛羽立ちを少なくすることができ、より気流の乱れを抑えて、抵抗を少なくすることができる。
また、ストランド21の太さに起因する凹凸は、1/sin20度倍(2.92倍)以上に中心軸CL方向に引き伸ばされるので、流体の乱れを小さくでき、抵抗を小さくできる。
そして、端面輪郭形状が小さい一方の端面203が開口していない場合には、一方の端面203から相対的に流れてくる流体を、筒状部20Aの最外側セラミック繊維層222による抵抗を小さくすることができる。また、一方の端面203も開口している場合には、筒状部20Aの最外側セラミック繊維層222および最内側セラミック繊維層221に沿って流体を流すことができるので、外周面および内周面に沿って流れてくる流体の抵抗を小さくすることができる。このため、流体用整流部材10Aは、配管や流体内を移動する飛翔体として利用することができる。
SiCは、耐蝕性、耐酸化性が優れ、高強度であるので、セラミックマトリックスにSiCを用いることにより、流体用整流部材を高温、腐食性雰囲気でも好適に利用できる。
SiC繊維は、耐蝕性、耐酸化性が優れ、高強度であるので、支持材にSiCを用いることにより、高温、腐食性雰囲気でセラミックマトリックスが損傷した場合でも安全に使用することができる。
中心軸CLを流体の流れ方向に配置することにより、中心軸CLを包囲する筒状部20Aも流体の流れ方向に配置されるので、流体の抵抗を小さくすることができる。
セラミックマトリックスはどのようなものでもよく特に限定されない。例えば、SiC、アルミナ、Si3N4、B4Cなど利用できる。セラミックマトリックスはどのような方法で形成してもよい。例えば、有機物である前駆体(プレカーサ)を熱分解させセラミックのマトリックスを得るプレカーサ法、原料ガスを熱分解させセラミックマトリックスを得るCVD法などが利用できる。
プレカーサ法では、熱分解によりセラミックが得られる前駆体を適宜選定する。プレカーサ法では、液体の前駆体を支持体に塗布または含浸したのち、加熱処理しセラミックマトリックスを得る。加熱処理では、前駆体の形態によってさまざまな処理が行われる。
前駆体が溶液である場合には溶媒の乾燥、前駆体がモノマー、ダイマーまたはオリゴマーなどの場合には重合反応の後に熱分解反応、前駆体がポリマーである場合には熱分解反応の処理が行われる。
前駆体は、液体の形態で使用する。液体であるとは、前駆体を溶媒に溶かした溶液、液状の前駆体、固体の前駆体を加熱して溶融した液状の前駆体などが利用できる。なお、プレカーサ法では、最終的に前駆体を焼成し、セラミックマトリックスを生成させる。
次に、芯材11から筒状部20Aを脱型させる。これにより、流体用整流部材を製造することができる。
次に、第2実施形態について説明する。
なお、前述した第1実施形態の流体用整流部材10Aと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図5に示すように、第2実施形態の流体用整流部材10Bでは、筒状部20Bの最内側セラミック繊維層221および最外側セラミック繊維層222は、ストランド21が中心軸CLに対して直交する仮想の平面PL(図3(A)参照)に沿うように形成されたセラミック繊維層22となっている。
また、最内側セラミック繊維層221のストランド間密度および最外側セラミック繊維層222のストランド間密度は、内層セラミック繊維層223(図4(A)参照)のストランド間密度よりも高密度である。
また、流体の流れを阻害する起伏が出来にくく、流体に乱れが生じにくいので抵抗を小さくできる。ここで、流体の流れとは、流体用整流部材10Bに対して相対的に流体が移動する場合をいい、流体用整流部材10Bに対して流体が流れる場合および流体中を流体用整流部材10Bが移動する場合を含む。
なお、流体用整流部材10Bの製造方法は、第1実施形態において説明した製造方法を用いることができる。これは、巻回工程が支持材形成工程の最初と最後にあることにより得ることができる。
次に、第3実施形態について説明する。
なお、前述した第1実施形態の流体用整流部材10Aおよび第2実施形態の流体用整流部材10Bと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図6(A)および図6(B)に示すように、第3実施形態の流体用整流部材10Cでは、筒状部20Cの一方の端面203に蓋部を有しており、中心軸CL方向に貫通していない。このため、筒状部20Cでは、最外側セラミック繊維層222のストランドのみが中心軸CLに対して直交する仮想の平面PL(図3(A)参照)に沿うように形成されたセラミック繊維層22となっていればよい。なお、最内側セラミック繊維層(最表層)221のストランドも中心軸CLに対して直交する仮想の平面PL(図3(A)参照)に沿うように形成することも可能である。
なお、流体用整流部材10Cの製造方法は、第1実施形態において説明した製造方法を用いることができる。
すなわち、前述した各実施形態においては、最表層のセラミック繊維層22が、中心軸CLに直交する方向に巻回されたストランド21によって形成されている場合について例示したが、最表層のセラミック繊維層22が、中心軸CLに沿った方向に配向されたストランド21によって形成される場合にも適用可能である。
図9に示すシリコン単結晶引上げ装置300は、シリコン材料を加熱していったん溶融させた後、シリコンを単結晶として引き上げることにより、高純度のシリコンインゴットを得るためのものである。
本発明の流体用整流部材は、このようなシリコン単結晶引上げ装置300のガス整流部材312への適用も可能である。
次に、流体用整流部材の具体例を示す。ここでは、一方の端部の直径が5cmで、他方の端部の直径が10cmで、長さが10cmのガス整流部材312(図9参照)のミニチュアを作製した。また、ストランドとして、単位セラミック繊維を束ね、束ねた単位セラミック繊維の間隔によってストランド間密度を調整して、最内側セラミック繊維層を高密度にしている。
まず、フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を横糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて最も内側の層を構成する。
次いで、フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を斜め糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から2番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を横糸として用い、1.0mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から3番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を斜め糸として用い、1.0mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から4番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を横糸として用い、1.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から5番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を斜め糸として用い、1.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から6番目の層を構成する。
次に、流体用整流部材の具体例を示す。ここでは、一方の端部の直径が5cmで、他方の端部の直径が10cmで、長さが10cmのガス整流部材312(図9参照)のミニチュアを作製した。また、ストランドとして、単位セラミック繊維を束ね、束ねた単位セラミック繊維の間隔によってストランド間密度を調整して、最外側セラミック繊維層を高密度にしている。
まず、フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を横糸として用い、1.5mm間隔でフィラメントワインディングにて最も内側の層を構成する。
次いで、フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を斜め糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から2番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を横糸として用い、1.0mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から3番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を斜め糸として用い、1.0mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から4番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を横糸として用い、1.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から5番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を斜め糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から6番目(最外側)の層を構成する。
次に、流体用整流部材の具体例を示す。ここでは、一方の端部の直径が5cmで、他方の端部の直径が10cmで、長さが10cmのガス整流部材312(図9参照)のミニチュアを作製した。また、ストランドとして、単位セラミック繊維を束ね、束ねた単位セラミック繊維の間隔によってストランド間密度を調整して、最外側セラミック繊維層および最内側セラミック繊維層を高密度にしている。
まず、フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を横糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて最も内側の層を構成する。
次いで、フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を斜め糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から2番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を横糸として用い、1.0mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から3番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を斜め糸として用い、1.0mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から4番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を横糸として用い、1.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から5番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を斜め糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から6番目(最外側)の層を構成する。
次に、流体用整流部材の比較例を示す。ここでは、ここでは、一方の端部の直径が5cmで、他方の端部の直径が10cmで、長さが10cmのガス整流部材312(図9参照)のミニチュアを作製した。また、全ての層において、ストランドの間隔を0.5mmとした。
まず、フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を横糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて最も内側の層を構成する。
次いで、フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を斜め糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から2番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を横糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から3番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を斜め糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から4番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を横糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から5番目の層を構成する。
フィラメント径が7.5μmで1600本/束の繊維束で構成される糸を斜め糸として用い、0.5mm間隔でフィラメントワインディングにて内側から6番目の層を構成する。
前述した実施例1のように、最内側セラミック繊維層のみを高密度にすることにより、比較例1と比較して重量を25%低減することができた。また、実施例1および比較例1をシリコン単結晶引上げ装置300のガス整流部材312として実際に用いた場合に、ガス整流部材312の内側面における損傷度合いに差異が確認できなかった。
また、前述した実施例2のように、最外側セラミック繊維層のみを高密度にすることにより、を構成することにより、比較例1と比較して重量を23%低減することができた。
さらに、前述した実施例3のように、最内側セラミック繊維層および最外側セラミック繊維層を高密度にすることにより、比較例1と比較して重量を20%低減することができた。
20A、20B、20C 筒状部
203 一方の端面(両端部)
204 他方の端面(両端部)
21 ストランド
22 セラミック繊維層
221 最内側セラミック繊維層(最表層)
222 最外側セラミック繊維層(最表層)
223 内層セラミック繊維層
CL 中心軸
PL 平面
Claims (8)
- 中心軸を包囲する筒状部を有する流体用整流部材であって、
前記筒状部は、内層のセラミック繊維層と最表層のセラミック繊維層とからなる支持材と、前記支持材を覆うセラミックマトリックスと、からなり、
前記セラミック繊維層を複数の単位セラミック繊維を束ねたストランドで構成するとともに、前記支持材の外側面および/または内側面における最表層の最表層セラミック繊維層における前記ストランドの軸線間の距離であるストランド間密度は、前記最表層セラミック繊維層の内層の内層セラミック繊維層のストランド間密度よりも高密度である流体用整流部材。 - 請求項1に記載の流体用整流部材であって、
前記最表層セラミック繊維層を構成する前記ストランドと、前記中心軸を含む平面と、のなす角度が80度〜90度である流体用整流部材。 - 請求項1または請求項2に記載の流体用整流部材であって、
前記筒状部の、前記中心軸に沿った両端部が開口している流体用整流部材。 - 請求項1または請求項2に記載の流体用整流部材であって、
前記筒状部の、前記中心軸に沿った両端部の少なくとも一方に蓋部を有し閉口している流体用整流部材。 - 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の流体用整流部材であって、
前記筒状部の、一方の端面輪郭形状よりも他方の端面輪郭形状が大きい流体用整流部材。 - 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1項に記載の流体用整流部材であって、
前記セラミックマトリックスは、SiCである流体用整流部材。 - 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1項に記載の流体用整流部材であって、
前記単位セラミック繊維は、SiC繊維である流体用整流部材。 - 請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1項に記載の流体用整流部材であって、
前記中心軸は、流体の流れ方向に配置されることを特徴とする流体用整流部材。
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-
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