JP2016140173A - 振動型駆動装置およびこれを駆動源とする装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動型駆動装置において、弾性部材と電気−機械エネルギ変換素子との接合の信頼性を確保しつつ、良好な駆動効率を得る。【解決手段】振動型駆動装置10は、電気−機械エネルギ変換素子2および弾性部材1を含む振動体を有し、弾性部材に振動を励起して、振動体と接触体3とを相対移動させる。弾性部材は、突起部1b1,1b2を有するとともに、該突起部の先端に接触体に接触する凸部1c1,1c2を有する。振動体と接触体との相対移動方向において、突起部の中心Bが、振動の節D1,D2よりも弾性部材の端部D3,D4から遠い位置に位置し、凸部の中心Cが突起部の中心よりも節に近い位置に位置する。【選択図】図1
Description
本発明は、電気−機械エネルギ変換素子により振動体を振動させることにより駆動力を得る振動型駆動装置に関する。
上記のような振動型駆動装置として、例えば特許文献1にて開示されたものがある。この振動型駆動装置は、矩形の平板部の2箇所に突起部が設けられた振動板(弾性部材)と、該振動板のうち突起部とは反対側の裏面に接着等により接合された圧電素子(電気−機械エネルギ変換素子)とにより構成される振動体を有する。振動板の突起部の先端は、摩擦部材(接触体)に接触する。振動板には、圧電素子への交番電圧の印加により、該振動板の短辺方向には1次モードの曲げ振動が励起され、長辺方向には2次モードの曲げ振動が励振される。これにより突起部の先端が楕円運動し、該突起部の先端に接触する摩擦部材と振動体とが振動板の長辺方向に相対移動する。
特許文献1にて開示された振動型駆動装置のように、振動板に突起部を設ける場合、通常は、プレス加工によって平板部と突起部とが一体に成形される。しかしながら、特許文献1にて開示されているように突起部を2次モードの曲げ振動の節の位置に設けると、平板部の裏面において、該平板部の長辺方向の端と突起部のプレス加工により形成された凹部の縁との間の距離が短くなる。つまりは、平板部の裏面のうち圧電素子との接合(接着)に使用可能な領域が小さくなる。このため、振動板に対する圧電素子の接合の信頼性が低くなる。
本発明は、弾性部材と電気−機械エネルギ変換素子との接合の信頼性を確保しつつ、良好な駆動効率が得られるようにした振動型駆動装置およびこれを駆動源とする装置を提供する。
本発明の一側面としての振動型駆動装置は、電気−機械エネルギ変換素子および弾性部材を含む振動体を有し、電気−機械エネルギ変換素子により弾性部材に振動を励起することで、振動体と弾性部材に接触する接触体とを相対移動させる。弾性部材は、突起部を有するとともに、該突起部の先端に接触体に接触する凸部を有する。そして、振動体と接触体との相対移動方向において、突起部の中心が、振動の節よりも弾性部材の端部から遠い位置に位置し、凸部の中心が突起部の中心よりも節に近い位置に位置することを特徴とする。
なお、上記振動型駆動装置と、該振動型駆動装置の駆動力により駆動される被駆動部材とを有する各種装置も、本発明の他の一側面を構成する。
本発明では、突起部の中心を振動の節よりも弾性部材の端部から遠い位置に位置させる。これにより、弾性部材の端部付近に電気−機械エネルギ変換素子の接合に十分な領域を設けることができ、該接合の信頼性を確保することができる。しかも、本発明では、凸部の中心を突起部の中心よりも振動の節に近い位置に位置させる。これにより、弾性部材に励起された振動により凸部に生じる運動の軌跡を良好な形状とすることや、弾性部材の両端付近に2つの突起部と凸部が設けられている場合において該2つの凸部の運動の軌跡を互いに近づける又は等しくすることができる。したがって、振動型駆動装置として良好な駆動効率を得ることができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の実施例である振動型駆動装置としての振動型モータ10の構成を示している。図1(a)は平面図、図1(b)は正面図、図1(c),(d)は側面図、図1(e)は底面図である。1は弾性部材としての振動板である。2は電気−機械エネルギ変換素子としての圧電素子である。
以下の説明において、振動板1と後述する接触体としての摩擦部材との相対移動方向(振動板1の長辺方向)をX方向とし、該相対移動方向に直交する方向(相対移動方向とは異なる方向であり、振動板1の短辺方向)をY方向とする。また、振動板1における後述する平板部の厚さ方向をZ方向とする。Z方向において、振動板1から摩擦部材に向かう方向(振動板1の摩擦部材に対する圧接方向)を+Z方向とし、その反対方向を−Z方向とする。
振動板1は、Z方向視において矩形形状を有する平板部1aと、該平板部1aにおけるX方向の2箇所、具体的には平板部1aの中央部Aを挟んだ両側に設けられた突起部(第1の突起部および第2の突起部)1b1,1b2とを有する。突起部1b1,1b2は、圧電素子2によって平板部1aに励起された振動を拡大するために設けられている。また、突起部1b1,1b2上には、図3に符号3を付して示す摩擦部材に加圧状態にて接触する、すなわち圧接する凸部(第1の凸部および第2の凸部)1c1,1c2がそれぞれ設けられている。平板部1a、突起部1b1,1b2および凸部1c1,1c2は、プレス加工(プレス絞り加工等)によって一体成形される。ただし、凸部1c1,1c2を有する突起部1b1,1b2を、平板部1aに接着等により接合してもよい。
圧電素子2は、振動板1の平板部1aにおける突起部1b1,1b2の突出側とは反対側の面に接着等により接合される。圧電素子2は、X方向における2つの領域2a,2bが互いに同じ方向に分極され、領域2aがA相に、領域2bがB相にそれぞれ割り当てられる。分極されていない領域2cは、圧電素子2の裏面2eの全面電極から側面2dの電極を経由して導通されたグランド電極として使用される。振動板1と圧電素子2により振動体が構成される。さらに、本実施例では、振動体が振動型モータ10に相当する。
振動板1は、X方向における平板部1aの両側に連結部1d,1eを有する。連結部1d,1eは、振動板1を保持する振動板保持部材(図3にて符号4を付す)に対して直接または間接に連結される。連結部1d,1eは、振動体の振動において変位が少ない部分に設けられ、かつ十分に剛性が低いので、振動体の振動にほとんど影響を与えない。
不図示の駆動回路から圧電素子2のA相(2a)とB相(2b)に位相差が+90°から+270°まで変化する交番電圧を印加することによって、圧電素子2に高周波振動を発生させることができる。そして、この高周波振動によって、平板部1aには、互いに方向が異なる2つの振動モードの振動が励起される。具体的には、X方向における2次の固有振動モードの曲げ振動(以下、2次曲げ振動という)と、Y方向における1次の固有振動モードの曲げ振動(以下、1次曲げ振動という)とが励振される。
振動板1を−Z方向に向かって見た図である図1(e)において、D1,D2は、X方向の2次曲げ振動により形成される3つの節である第1の節、第2の節およびこれら第1および第2の節の間の第3の節のうち第1の節と第2の節である。また、Eは、Y方向の1次曲げ振動により生ずる2つの節の間の腹を示している。
X方向において、突起部1b12は、その中心Bが2次曲げ振動の節D1よりも平板部1aの一方の端部(第1の端部)D3から遠い位置に位置する。また、突起部1b2は、その中心Bが、2次曲げ振動の節D2よりも平板部1aの他方の端部(第2の端部)D4から遠い位置に位置する。言い換えれば、突起部1b1,1b2の中心Bがそれぞれ、2次曲げ振動の節D1,D2よりも振動板1の中央部A(第3の節)に近い位置に位置する。
一方、Y方向において、突起部1b1,1b2は、それらの中心Bがそれぞれ、1次曲げ振動の腹Eに位置するように設けられている。ここにいう「腹Eに位置する」は、腹Eに対して許容される範囲で位置誤差(ずれ)を有する場合も含む。
また、X方向において、凸部1c1,1c2は、それらの中心Cがそれぞれ、突起部1b1,1b2の中心Bよりも2次曲げ振動の節D1,D2に近い位置、望ましくは節D1,D2に位置するように設けられている。一方、Y方向において、凸部1c1,1c2は、それらの中心Cがそれぞれ、突起部1b1,1b2の中心Bと同じく、1次曲げ振動の腹Eに位置するように設けられている。ここにいう「節D1,D2に位置する」および「腹Eに位置する」は、節D1,D2および腹Eに対して許容される範囲で位置誤差(ずれ)を有する場合も含む。
X方向において、振動板1の中央部Aから2次曲げ振動の節D1,D2までの距離をL1とし、振動板1の中央部Aから突起部1b1,1b2の中心Bまでの距離をL2とし、振動板1の中央部Aから凸部1c1,1c2の中心Cまでの距離をL3とする。このとき、距離L2は距離L1より短く、距離L3は距離L2より長い。また、距離L1と距離L3とは互いに同じである(ただし、許容される範囲で誤差を含んでもよい)。
図2には、圧電素子2のA相の位相に対してB相の位相を約+90°遅らせてA相とB相に交番電圧を印加した場合の振動体(振動板1)の振動の様子を示している。図2(a)は圧電素子2のA相とB相に印加される交番電圧の変化を示す。図2(b),(c),(d)はそれぞれ、図1(b),(c),(d)に対応した正面図および2つの側面図であり、図2(a)に示す交番電圧の位相(つまりは時刻)P1〜P4に対して所定の遅れを有する時刻P1′〜P4′での振動体の振動状態を示している。なお、図2(b),(c),(d)では、圧電素子2、連結部1d,1eおよび摩擦部材の図示を省略している。
A相とB相に互いに同符号の電圧が印加される時刻P2′と時刻P4′では、A相とB相が同方向に伸縮することにより、振動体にはY方向の1次曲げ振動が励振され、凸部1c1,1c2の−/+Z方向での振幅ZAが最大となる。逆にA相とB相に互いに異符号の電圧が印加される時刻P1′と時刻P3′では、A相とB相が逆方向に伸縮することにより、X方向の2次曲げ振動が励振され、凸部1c1,1c2のX方向での振幅XAが最大となる。このようにA相に印加される交番電圧の位相に対してB相に印加される交番電圧の位相を+90°遅らせた結果、凸部1c1,1c2にはそれぞれ曲線矢印で示すような楕円運動が発生する。この楕円運動する凸部1c1,1c2が摩擦部材に圧接することで、振動体と摩擦部材との間にこれらを相対移動させる駆動力が発生する。なお、図では振動体が摩擦部材に対して+X方向に移動する場合を示している。
また、A相に印加される交番電圧の位相に対してB相に印加される交番電圧の位相を+270°遅らせた場合は、凸部1c1,1c2にそれぞれ曲線矢印とは反対方向の楕円運動が発生し、振動体は摩擦部材に対して−X方向に移動する。
図3には、本実施例の振動型モータ10(振動板1および圧電素子2)を駆動源として用いたリニア駆動装置20の構成を示している。図3(a)はリニア駆動装置20をX方向から見て示しており、図3(b)は図3(a)に示したA−A線での断面を示す。摩擦部材(接触体)3の上面(接触面)には、凸部1c1,1c2が接触している。振動板保持部材4は、中間部材4aを介して振動板1の連結部1d,1eを保持するとともに、ローラ保持部4bにて摩擦部材3の裏面に接触するローラ41を回転可能に保持している。
42は加圧ばねであり、その上端が振動板保持部材4に当接するとともにその下端4cが圧電素子2に当接することで、振動型モータ(振動体)10を摩擦部材3の方向に付勢する。これにより、振動板1の凸部1c1,1c2が摩擦部材3の接触面に圧接する。
このような構成のリニア駆動装置20では、圧電素子2に交番電圧が印加され、凸部1c1,1c2に前述した楕円運動が生じると、該圧電素子2を含む振動型モータ10およびこれを保持する振動板保持部材4が摩擦部材3に対して+/−X方向に駆動される。なお、ローラ41は、振動型モータ10との間で摩擦部材3を挟み込んで常時凸部1c1,1c2を摩擦部材3に圧接させる役割を有し、リニア駆動装置20の駆動時に摩擦部材3との間に摺動抵抗が生じないように転動可能となっている。
図4には、図3に示したリニア駆動装置20を用いたレンズ駆動機構の構成を示している。このレンズ駆動機構は、レンズ鏡筒を有するカメラや交換レンズ等の光学装置において変倍や焦点調節に際してレンズを駆動するために用いられる。図4(a)はレンズ駆動装置をレンズ鏡筒の光軸方向(X方向)から見て示しており、図4(b)はレンズ駆動装置の光軸方向に沿った断面を示している。なお、図4(b)には、リニア駆動装置20として、振動板1のみを示している。
レンズ52を保持した被駆動部材としてのレンズ保持部材53は、光軸方向に延びるように鏡筒本体51により保持されたガイドバー54に光軸方向に移動可能に係合している。摩擦部材3は、このガイドバー54に平行に(つまりは光軸方向に延びるように)配置されて鏡筒本体51により保持されている。また、レンズ保持部材53は、光軸方向に延びる回転止めバー55にも光軸方向に移動可能に係合しており、これによりレンズ保持部材53のガイドバー54を中心とした回転が阻止される。43は駆動伝達部であり、リニア駆動装置20の駆動力をレンズ保持部材53に伝達するよう振動板保持部材4とレンズ保持部材53とを連結している。
不図示の制御回路からの移動命令に従って圧電素子2に交番電圧が印加され、凸部1c1,1c2に楕円運動が生じると、レンズ駆動装置20とともにレンズ保持部材53が、例えば実線で示した位置と点線で示した位置との間で光軸方向に移動する。
次に、本実施例の振動型モータ10における前述した突起部1b1,1b2および凸部1c1,1c2の中心B,Cの位置の技術的意義について、従来の振動型モータおよび比較例としての振動型モータと対比しながら説明する。
まず、図5を用いて従来の振動型モータ110の構成について説明する。図5(a)〜(e)はそれぞれ、図1(a)〜(e)に対応した図である。従来の振動型モータ110においても、振動板101は、平板部101aと、平板部101a上におけるX方向の2箇所に設けられた突起部101b1,101b2と、突起部101b1,101b2の先端に設けられた凸部101c1,101c2とを有する。そして、振動板101に接合された圧電素子102への交番信号の印加によって、X方向に2次曲げ振動が励起され、Y方向に1次曲げ振動が励起される。
図5(e)に示すように、X方向において、突起部101b1,101b2は、それらの中心Bがそれぞれ、2次曲げ振動の節D1,D2に位置するように設けられている。一方、Y方向において、突起部101b1,101b2は、それらの中心Bがそれぞれ1次曲げ振動の腹Eに位置するように設けられている。
また、X方向において、凸部101c1,101c2は、それらの中心Cがそれぞれ、突起部101b1,101b2の中心Bに一致する、すなわち2次曲げ振動の節D1,D2に位置するように設けられている。一方、Y方向において、凸部101c1,101c2は、それらの中心Cがそれぞれ、突起部101b1,101b2の中心Bと同じく、1次曲げ振動の腹Eに位置するように設けられている。したがって、図1において説明した距離L2,L3はともに距離L1と同じである。
この構成では、凸部101c1,101c2がX方向にて2次曲げ振動の節に設けられ、かつY方向において1次曲げ振動の腹に設けられているため、凸部101c1,101c2に互いに等しい(又はほぼ等しい)軌跡の楕円運動を生じさせることができる。これにより、両凸部の楕円運動の軌跡が互いに異なる場合に比べて、振動型モータ110の駆動効率を高めることができる。
ただし、この構成には以下のような問題がある。図6(b)は振動板101の底面を示し、図6(a)は振動型モータ110(振動板101および圧電素子102)の図6(b)におけるA−A線での断面を示している。振動板101は、プレス加工によって成形される。このため、振動板101の平板部101aにおける突起部101b1,101b2の突出側とは反対側の裏面には、両突起部101b1,101b2の内側の凹部Sが開口する。したがって、圧電素子102は、平板部101aの裏面のうち、X方向における両突起部101b1,101b2の内側凹部Sの開口縁と平板部101aの両端部D3,D4との間の領域F1に接合される。
しかしながら、X方向において突起部101b1,101b2の中心Bが2次曲げ振動の節D1,D2に位置すると、突起部101b1,101b2の内側凹部Sの開口縁が平板部1aの両端部D3,D4に近いために、領域F1が狭くなる。つまり、平板部101aの両端部D3,D4付近において圧電素子102との接合に使用可能な領域F1が狭いために、接合が剥がれやすく、振動板101に対する圧電素子102の接合の信頼性が低くなる。
図7を用いて比較例の振動型モータ210の構成について説明する。図7(a)〜(e)はそれぞれ、図1(a)〜(e)に対応した図である。比較例の振動型モータ210においても、振動板201は、平板部201aと、平板部201a上におけるX方向の2箇所に設けられた突起部201b1,201b2と、突起部201b1,201b2の先端に設けられた凸部201c1,201c2とを有する。そして、振動板201に接合された圧電素子202への交番信号の印加によって、X方向に2次曲げ振動が励起され、Y方向に1次曲げ振動が励起される。
図7(e)に示すように、X方向において、突起部201b1,201b2は、実施例と同様に、それらの中心Bがそれぞれ、2次曲げ振動の節D1,D2よりも振動板1の中央部Aに近い位置に位置するように設けられている。一方、Y方向において、突起部201b1,201b2は、それらの中心Bがそれぞれ1次曲げ振動の腹Eに位置するように設けられている。
また、X方向において、凸部201c1,201c2は、それらの中心Cがそれぞれ突起部201b1,201b2の中心Bに一致する、すなわち2次曲げ振動の節D1,D2よりも振動板1の中央部Aに近い位置に位置するように設けられている。一方、Y方向においては、凸部201c1,201c2は、それらの中心Cがそれぞれ、突起部201b1,201b2の中心Bと同じく、1次曲げ振動の腹Eに位置するように設けられている。したがって、図1において説明した距離L2,L3はともに距離L1より短い。
図8(b)は振動板201の底面を示し、図8(a)は振動型モータ210(振動板201および圧電素子202)の図8(b)におけるA−A線での断面を示している。振動板201は、プレス加工によって成形される。このため、従来の振動型モータ110と同様に、振動板201の平板部201aにおける突起部201b1,201b2の突出側とは反対側の裏面には、両突起部201b1,101b2の内側の凹部Sが開口する。したがって、圧電素子202は、平板部201aの裏面のうち、X方向における両突起部201b1,201b2の内側凹部Sの開口縁と平板部201aの両端部D3,D4との間の領域F2に接合される。
この構成では、図5および図6に示した構成に比べて、両突起部201b1,201b2の内側凹部Sの開口縁が平板部201aの両端部D3,D4から離れており、領域F2が広い。つまり、平板部201aのX方向両端付近において圧電素子202との接合に使用可能な領域F2が広いために、接合が剥がれにくく、振動板201に対する圧電素子202の接合の信頼性を高くすることができる。
しかしながら、この構成では、図7(e)に示したように、X方向にて凸部201c1,201c2の中心Cが2次曲げ振動の節D1,D2からずれて位置する。この場合、図9(a)に示すように、圧電素子202のA相とB相に互いに同符号の電圧が印加される時刻P2′と時刻P4′においては、凸部201c1,201c2のZ方向での振幅は互いに等しい。ところが、圧電素子202のA相とB相に互いに異符号の電圧が印加される時刻P1′と時刻P3′においては、凸部201c1,201c2にZ方向での振幅差ΔZA1,ΔZA3(≠ΔZA1)が生じる。このため、図9(b)に示すように、凸部201c1,201c2に生じる楕円運動の軌跡が互いに異なる。これにより、両凸部の楕円運動の軌跡が互いに等しい場合に比べて振動型モータ210の駆動効率が低くなる。
そこで、本実施例では、前述したように、X方向において、突起部1b1,1b2を、それらの中心Bがそれぞれ2次曲げ振動の節D1,D2よりも振動板1(平板部1a)の端部D3,D4から離れた位置(中央部Aに近い位置)に位置するように設けている。さらに、凸部1c1,1c2を、それらの中心Cがそれぞれ、突起部1b1,1b2の中心Bよりも節D1,D2に近い位置(望ましくは節D1,D2に)位置するように設けている。
図10(b)は本実施例における振動板1の底面を示し、図10(a)は本実施例の振動型モータ10(振動板1および圧電素子2)の図10(b)におけるA−A線での断面を示している。前述したように、振動板201は、プレス加工によって成形される。このため、従来および比較例の振動型モータ110,210と同様に、振動板1の平板部1aにおける突起部1b1,1b2の突出側とは反対側の裏面には、両突起部1b1,1b2の内側の凹部Sが開口する。そして、圧電素子2は、平板部1aの裏面のうち、X方向における両突起部1b1,1b2の内側凹部Sの開口縁と平板部1aの両端部D3,D4との間の領域F2に接合される。
本実施例では、比較例の振動型モータ210と同様に、図5および図6に示した構成に比べて、両突起部1b1,1b2の内側凹部Sの開口縁が平板部1aの両端部D3,D4から離れており、領域F2が広い。つまり、平板部1aのX方向両端付近において圧電素子2との接合に使用可能な領域F2が広いために、接合が剥がれにくく、振動板1に対する圧電素子2の接合の信頼性を高くすることができる。
さらに、本実施例では、凸部1c1,1c2を、それらの中心Cがそれぞれ、突起部1b1,1b2の中心Bよりも節D1,D2に近い位置に位置する(または節D1,D2に位置する)ように設けている。この場合、図11(a)に示すように、圧電素子2のA相とB相に互いに同符号および異符号の電圧が印加される時刻P1′〜P4′において、凸部1c1,1c2のZ方向での振幅は互いにほぼ等しい(または等しい)。これにより、図11(b)に示すように、凸部1c1,1c2に互いにほぼ等しい(または等しい)軌跡の楕円運動を生じさせることができる。しかも、各凸部の楕円運動の軌跡を、図9(b)に示した歪んだ楕円軌跡に比べて良好な楕円形状とすることができる。したがって、本実施例によれば、比較例の振動型モータ210に比べて、本実施例の振動型モータ10の駆動効率を高めることができる。
以上説明したように、本実施例では、X方向において、振動板1の突起部1b1,1b2の中心Bをそれぞれ、2次曲げ振動の節D1,D2よりも平板部1aの端部D3,D4から遠い位置に位置させた。これにより、平板部1aの両端付近に対する圧電素子2の接合の信頼性を確保することができる。さらに、凸部1c1,1c2の中心Cをそれぞれ、突起部1b1,1b2の中心Bよりも節D1,D2に近い位置に位置させた。これにより、振動型モータ10として良好な駆動効率を得ることができる。
なお、上記実施例では、突起部1b1,1b2および凸部1c1,1c2を円筒形状に形成した場合について説明したが、これらの形状は円筒形状以外の形状であってもよい。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
1 振動板
1b1,1b2 突起部
1c1,1c2 凸部
2 圧電素子
3 摩擦部材
1b1,1b2 突起部
1c1,1c2 凸部
2 圧電素子
3 摩擦部材
Claims (6)
- 電気−機械エネルギ変換素子および弾性部材を含む振動体を有し、前記電気−機械エネルギ変換素子により前記弾性部材に振動を励起することで、前記振動体と前記弾性部材に接触する接触体とを相対移動させる振動型駆動装置であって、
前記弾性部材は、突起部を有するとともに、該突起部の先端に前記接触体に接触する凸部を有し、
前記振動体と前記接触体との相対移動方向において、
前記突起部の中心が、前記振動の節よりも前記弾性部材の端部から遠い位置に位置し、
前記凸部の中心が前記突起部の中心よりも前記節に近い位置に位置することを特徴とする振動型駆動装置。 - 前記弾性部材は、前記相対移動方向における両側の前記端部としての第1の端部の側および第2の端部の側にそれぞれ、前記突起部としての第1の突起部および第2の突起部を有するとともに、前記第1の突起部および前記第2の突起部のそれぞれの先端に前記接触体に接触する前記凸部としての第1の凸部および第2の凸部を有しており、
前記相対移動方向において、
前記振動は、前記第1の端部の側および前記第2の端部の側にそれぞれ前記節としての第1の節および第2の節を有し、
前記第1の突起部の中心が前記第1の節よりも前記第1の端部から遠い位置に位置するとともに、前記第2の突起部の中心が前記第2の節よりも前記第2の端部から遠い位置に位置し、
前記第1の凸部の中心が前記第1の突起部の中心よりも前記第1の節に近い位置に位置するとともに、前記第2の凸部の中心が前記第2の突起部の中心よりも前記第2の節に近い位置に位置することを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置。 - 前記凸部の中心が、前記節に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の振動型駆動装置。
- 前記弾性部材における前記突起部の突出側とは反対側の裏面に、前記突起部の内側の凹部が開口しており、
前記相対移動方向において、前記電気−機械エネルギ変換素子は、前記弾性部材の前記裏面のうち前記凹部の開口縁と前記弾性部材の前記端部との間の領域に接合されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の振動型駆動装置。 - 前記弾性部材に、前記相対移動方向において2次の振動モードの振動が励起されるとともに、前記相対移動方向とは異なる方向において1次の振動モードの振動が励起され、
前記突起部の中心および前記凸部の中心はいずれも、前記1次の振動モードの振動の腹に位置することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の振動型駆動装置。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の振動型駆動装置と、
該振動型駆動装置の駆動力により駆動される被駆動部材とを有することを特徴とする装置。
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JP2015013481A JP2016140173A (ja) | 2015-01-27 | 2015-01-27 | 振動型駆動装置およびこれを駆動源とする装置 |
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