JP2016139606A - 飛行時間計測型質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高スループットで試料の質量分析を行うことができる。【解決手段】当該TOF-MSは、イオンを加速させる加速部と、加速後のイオンが到達する事象を検出する検出器と、イオンの飛行時間に基づいて試料の質量分析を行う分析部と、を備える。検出器の第1構造は、MCP、ダイノードおよびアノードを含む。第1構造において、ダイノードの電位は、MCP出力面より高い電位に設定される。アノードは、MCPとダイノードの中間位置または該中間位置よりもダイノード側に配置される。アノードは、複数の開口を有し、ダイノードの電位より高い電位に設定される。【選択図】図2

Description

本発明は、飛行時間計測型質量分析装置(Time-of-Flight Mass Spectrometer、以下、「TOF−MS」と記す)に関するものである。
TOF−MSは、例えば特許文献1に記載されたように、試料から発生したイオンを電界により加速させ、そのイオンが検出器に到達するまでの飛行時間に基づいて試料の質量分析を行うことができる。
TOF-MSは、タンパク質などの巨大分子を直接イオン化する方法が見出されたことにより、ライフサイエンス分野に留まらず工業材料および食品など、その応用範囲が拡大しつつある。TOF-MSは、高感度の計測が可能である点に最大の特長を有し、フェムトmol程度の微小量の試料があれば該試料に含まれる組成を質量という化学量を基に分析することが可能である。TOF-MSでは、試料から生成されたイオンが全て検出器へ入射するので、低分子から巨大分子までの網羅的解析が可能である。
TOF-MSでは、レーザ光などのイオン化プローブおよび直交加速などをトリガーとしてイオンを飛行させ、イオン源から一定距離だけ離れた位置に配置された検出器へイオンを到達させる。検出器にイオンが到達すると、その検出器から電気パルス信号が出力される。イオンが電界により加速された後の飛行速度は該イオンの質量電荷比に依存するので、検出器到達(パルス信号出力時)までの飛行時間に基づいて試料の質量分析を行うことができる。
検出器からの出力信号として各イオンの数(計数値)に応じたパルス波高が、オシロスコープなどにより波形データとして記録する。パーソナルコンピュータなどの演算器を用いて、記録された波形データに基づいて飛行時間から質量電荷比へ変換し、質量電荷比とパルス波高出力をプロットすることで、質量スペクトル(mass spectrum)を作成することができる。この質量スペクトルから、分析対象の試料内に含まれている分子種の存在比率が定性・定量情報として得られる。
日本国特許第5049174号公報
発明者らは従来のTOF−MSについて詳細に検討した結果、以下のような課題を発見した。すなわち、従来のTOF-MSでは、イオンが検出器に到達したという事象を検出器により高感度に検出することが重要である。従来のTOF-MSのほとんどでは、マイクロチャネルプレート(Micro-Channel Plate、以下「MCP」と記す)を含む検出器が用いられている。MCPは、他の二次電子増倍器に比べ、大きな有効径および優れた高速応答特性を有することから、TOF-MSだけでなく飛行時間計測法などサブナノ秒の時間分解能を必要とする分析装置における検出器として使用されている。
近年、電子部品の性能やイオン化技術の向上により、TOF-MSには、これまでの微量サンプル中に含まれる物質の網羅解析だけでなく、大量のサンプルを高速に解析する為に高スループット化が求められている。この結果、検出器に多大な負担が掛り、検出器性能が高スループット化のボトルネックになりつつある。上記第1特許文献に記載された装置を含め従来のTOF-MSのスループットは十分ではなく、更なる高スループット化が望まれる。
本発明は、上述のような課題を解消する為になされたものであり、高スループットで試料の質量分析を行うことができる飛行時間計測型質量分析装置(TOF-MS)を提供することを目的としている。
本実施形態に係るTOF−MS(飛行時間計測型質量分析装置)は、加速部と、検出器と、分析部と、を備える。加速部は、試料から発生したイオンを電界により加速させる。検出器は、加速部を通過した後の加速されたイオンの飛行経路上に設けられ、イオンが到達する事象を検出する。分析部は、検出器による事象の検出時刻までのイオン飛行時間に基づいて試料の質量分析を行う。特に、検出器は、試料で発生したイオンの入射に応じて発生した電子を増倍するMCP(マイクロチャネルプレート)と、ダイノードと、アノードにより構成された第1構造、または、MCPと、アノードと、電極により構成された第2構造を有する。
第1構造を有する検出器において、MCPは、イオンが到達する位置に設けられた入力面と、該入力面に対向する出力面を有する。この出力面は、増倍された電子を出力する。ダイノードは、MCPの出力面から出力された電子を増倍する。ダイノードは、MCPの出力面に対して該MCPの入力面とは反対側に設けられる。また、ダイノードは、MCPの出力面の電位よりも高い電位に設定される。アノードは、ダイノードにより増倍された電子を収集するため、ダイノードからMCPの出力面および該ダイノード間の中間位置までの空間内に設けられる。また、アノードは、MCPの出力面から出力された電子をダイノードへ通過させる開口を有する。さらに、アノードは、ダイノードの電位よりも高い電位に設定される。
一方、第2構造を有する検出器では、MCPは、イオンが到達する位置に設けられた入力面と、該入力面に対向する出力面を有する。この出力面は、増倍された電子を出力する。アノードは、MCPの出力面から出力された電子を収集するため、MCPの出力面に対してMCPの入力面とは反対側に設けられる。また、アノードは、MCPの出力面の電位よりも高い電位に設定される。第2構造における電極は、アノードからMCPの出力面および該アノード間の中間位置までの空間内に設けられる。この電極は、MCPの出力面から出力された電子をアノードへ通過させる開口を有する。また、この電極は、アノードの電位よりも高い電位に設定される。
なお、本発明に係る各実施形態は、以下の詳細な説明及び添付図面によりさらに十分に理解可能となる。これら実施例は単に例示のために示されるものであって、本発明を限定するものと考えるべきではない。
また、本発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明及び特定の事例はこの発明の好適な実施形態を示すものではあるが、例示のためにのみ示されているものであって、本発明の範囲における様々な変形および改良はこの詳細な説明から当業者には自明であることは明らかである。
本実施形態によれば、高スループットで試料の質量分析を行うことができる。
第1実施形態に係るTOF−MS(飛行時間計測型質量分析装置)の概略構成を示す図である。 第1構造を有する検出器の断面構造を示す図である。 図2に示された検出器(第1構造)における電極それぞれを所定電位に設定するための具体的な構造および各電極における電位設定状態を示す図である。 図2に示された検出器(第1構造)のゲイン特性を示すグラフである。 図2に示された検出器(第1構造)のリニアリティ特性を示すグラフである。 図2に示された検出器(第1構造)において、アノードの開口率を変えながら測定された、ダイノード電位と相対ゲインとの関係を示すグラフである。 第2構造を有する検出器の断面構造を示す図である。 図7に示された検出器(第2構造)における電極それぞれを所定電位に設定するための具体的な構造および各電極における電位設定状態を示す図である。 図7に示された検出器(第2構造)のリニアリティ特性を示すグラフである。 第2実施形態に係るTOF−MS(飛行時間計測型質量分析装置)の概略構成を示す図である。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容をそれぞれ個別に列挙して説明する。
(1)本実施形態に係るTOF−MS(飛行時間計測型質量分析装置)は、その一態様として、加速部と、検出器と、分析部と、を備える。加速部は、試料から発生したイオンを電界により加速させる。検出器は、加速部を通過した後の加速されたイオンの飛行経路上に設けられ、イオンが到達する事象を検出する。分析部は、検出器による事象の検出時刻までのイオン飛行時間に基づいて試料の質量分析を行う。特に、検出器は、試料で発生したイオンの入射に応じて発生した電子を増倍するMCP(マイクロチャネルプレート)と、ダイノードと、アノードにより構成された第1構造、または、MCPと、アノードと、電極により構成された第2構造を有する。
第1構造を有する検出器において、MCPは、イオンが到達する位置に設けられた入力面と、該入力面に対向する出力面を有する。この出力面は、増倍された電子を出力する。ダイノードは、MCPの出力面から出力された電子を増倍する。ダイノードは、MCPの出力面に対して該MCPの入力面とは反対側に設けられる。また、ダイノードは、MCPの出力面の電位よりも高い電位に設定される。アノードは、ダイノードにより増倍された電子を収集するため、ダイノードからMCPの出力面および該ダイノード間の中間位置までの空間内に設けられる。また、アノードは、MCPの出力面から出力された電子をダイノードへ通過させる開口を有する。さらに、アノードは、ダイノードの電位よりも高い電位に設定される。
一方、第2構造を有する検出器では、MCPは、イオンが到達する位置に設けられた入力面と、該入力面に対向する出力面を有する。この出力面は、増倍された電子を出力する。アノードは、MCPの出力面から出力された電子を収集するため、MCPの出力面に対してMCPの入力面とは反対側に設けられる。また、アノードは、MCPの出力面の電位よりも高い電位に設定される。第2構造における電極は、アノードからMCPの出力面および該アノード間の中間位置までの空間内に設けられる。この電極は、MCPの出力面から出力された電子をアノードへ通過させる開口を有する。また、この電極は、アノードの電位よりも高い電位に設定される。
(2)第1構造を有する検出器では、本実施形態の一態様として、アノードの開口率は、90%以下であるのが好ましい。また、本実施形態の一態様として、アノードは、二次元的に配列された複数の開口を有するのが好ましい。さらに、本実施形態の一態様として、ダイノードは、二次電子放出効率を高める膜がコーティングされた金属平板からなるのが好ましい。
(3)一方、第2構造を有する検出器では、本実施形態の一態様として、MCP−アノード間に配置された電極の開口率は、90%以下であるのが好ましい。また、本実施形態の一態様として、この電極は、二次元的に配列された複数の開口を有するのが好ましい。さらに、アノードは、金属平板からなるのが好ましい。
以上、この[本願発明の実施形態の説明]の欄に列挙された各態様は、残りの全ての態様のそれぞれに対して、または、これら残りの態様の全ての組み合わせに対して適用可能である。
[本願発明の実施形態の詳細]
本願発明に係るTOF−MSの具体例を、以下に添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、これら例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図されている。また、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、本発明を想到するに至った経緯について説明する。TOF-MSにおいて検出器として用いられるMCPは、二次元配列され互いに独立した複数のマイクロチャンネル構造を有する二次電子増倍器である。MCPは、入力面に対して出力面が高電位とされることで電子増倍することができる。すなわち、各チャネルの内壁面に荷電粒子が衝突すると二次電子が放出され、その電子は電位勾配によって加速されてチャネルの内壁面に衝突する。このような過程が各チャネル内で繰り返されて、増倍された多数の電子が出力面から出力される。
MCPの電子増倍機能は、各チャンネルの内壁部が電荷飽和することで制限される。この電荷飽和の抑制には、チャンネル壁部を流れるストリップ電流による電子供給が有効である。これまで、MCPの抵抗を下げることによりストリップ電流を増やす試みが行なわれてきた。MCPの低抵抗化による取り出し電荷の線形範囲(リニアリティ)の拡大は有効な手段である。しかし、その一方で、MCP抵抗は負の温度係数を持ち、また放熱が困難な高真空中でMCPが使用されることから、MCP自身のストリップ電流による発熱が原因でワーミングや放電現象を引き起こす可能性がある。現状のTOF-MSに使用されているMCP検出器には充分に低抵抗化対策が施されており、これ以上の低抵抗化は実用上困難である。
また、TOF-MSの最大の特長である高感度測定において、一価の素電荷しか持たないイオンを検出器により電気パルス信号へ変換するには、105〜106程度の増倍率(ゲイン)が必要である。ゲインは高S/Nを達成するために必須である。高スループット化により一定時間内に大量のサンプルを測定する場合、実質的に生成されるイオンの量が増加するTOF-MSでは、飛行時間が短い低質量域の分子イオンは高S/Nで測定することができるが、飛行時間が長い高質量域の分子イオンはMCPのリニアリティの上限を超えてしまうと低S/Nとなる。つまり、MCP抵抗によって決まるリニアリティの上限により、入射イオン最大量とゲインとは、以下の式(1)で表されるトレードオフの関係を有する。
(MCPリニアリティ上限)=(入射イオン最大量)×(ゲイン) …(1)
本発明は、以上のような本発明者らによる検討に基づいて、高スループットで試料の質量分析を行うことができるTOF-MSを提供するものであり、特に検出器の構成に特徴を有する。以下に、本発明のTOF-MSの実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図は、第1実施形態に係るTOF-MS(飛行時間計測型質量分析装置)1の概略構成を示す図である。TOF-MS1は、真空容器を構成する筐体10、分析部16を備える。筐体10は、3つの真空チャンバ11〜13で構成され、最終段の真空チャンバ13に検出器14、15が設けられている。
第1真空チャンバ11内には分析対象の試料が配置され、その試料にパルスレーザ光が照射されることでイオンが発生する。第2真空チャンバ12内には、マスフィルタおよびトランスファーイオンオプティクス等が設けられており、試料から発生したイオンを電界により加速させる加速部として作用する。
第2真空チャンバ12と第3真空チャンバ13との間には一対のスリットが設けられている。第1真空チャンバ11から第2真空チャンバ12へ進んだイオンは、特定の質量を超えるものがマスフィルタにより選択されて電界により加速される。その加速されたイオンは、トランスファーイオンオプティクスおよび一対のスリットを経て、第3真空チャンバ13内に進む。
第3真空チャンバ13内に入ったイオンは、検出器(リニア検出器)14に到達することができる。或いは、第3真空チャンバ13内に入ったイオンは、第3真空チャンバ13内に設けられた静電イオンミラーの作用により進路を曲げられて検出器(リフレクトロン検出器)15に到達することもできる。
検出器14、15は、加速部をつかした後の加速されたイオンの飛行経路上に設けられており、イオンが到達する事象を検出して電気パルス信号を出力する。分析部16は、検出器14または検出器15へのイオン到達事象の検出時刻までのイオンの飛行時間に基づいて試料の質量分析を行う。
図2および図3(a)は、図1のTOF−MSに適用可能な検出器100Aの構成を示す図である。この検出器100Aは、図1中の検出器14,15として用いられる。検出器100Aは、第1構造として、MCP111およびMCP112からなる積層体(以下「MCP積層体」と記す)、アノード120A、ダイノード130A、外部電源300Aに接続されたブリーダ回路200Aを含む。ブリーダ回路200Aは、図3(b)に示された例のような電位勾配を形成させるため、各電極に所定電圧を印加する。
この第1構造を有する検出器100Aにおいて、MCP111、112それぞれは、二次元配列され互いに独立した複数のマイクロチャンネル構造を有する二次電子増倍器である。各チャネルは、10μm程度の内径を有し、MCP積層体の入力面(以下「MCP入力面」と記す)の鉛直方向(イオン入射方向に一致)に対して10°程度傾斜している。ただし、MCP111とMCP112とでは各チャネルの傾斜方向が相違している。MCP入力面には、イン電極(以下、「MCP−IN電極)と記す)113を介してブリーダ回路200Aから伸びたリード線114が接続されている。同様に、MCP積層体の出力面(以下「MCP出力面」と記す)には、アウト電極(以下、「MCP−OUT電極」と記す)115を介してブリーダ回路200Aから伸びたリード線116が接続されている。すなわち、ブリーダ回路200Aからリード線114、116を介してMCP−IN電極113およびMCP−OUT電極115それぞれに所定電圧が印加されることにより、MCP入力面およびMCP出力面それぞれが所定電位に設定される。MCP積層体は、入力面に対して出力面が高電位とされることで、入力面へのイオンの到達に応じて発生した電子を増倍し、出力面から増倍された電子を出力する。
ダイノード130Aは、MCP出力面の側(MCP出力面に対してMCP入力面とは反対側)に設けられ、MCP出力面から出力された電子を増倍する。ダイノード130Aには、リード線131Aを介してブリーダ回路200Aが接続されており、ブリーダ回路200Aからダイノード130Aに所定電圧が印加されることにより、ダイノード130Aの電位がMCP出力面より高い電位に設定される。ダイノード130Aは、MCP出力面に平行に配置された金属平板(例えばSUS平板)である。ダイノード130Aは、その金属平板の表面(MCP出力面に対面した面)に高δ膜(二次電子放出効率が高い膜)がコーティングされているのが好ましい。高δ膜は、例えばアルカリ金属膜であり、好適にはMgF膜である。
アノード120Aは、ダイノード130AからMCP出力面およびダイノード130A間の中間位置までの空間内に、MCP出力面に平行に設けられている。なお、アノード120Aは、MCP出力面およびダイノード130Aの中間位置に配置されてもよい。アノード120Aは、MCP出力面から出力された電子をダイノード130Aへ通過させる開口を有する。アノード120Aは、リード線121Aに接続されており、アノード120Aから出力された電気パルス信号は増幅器(Amp)250により増幅される。また、アノード120Aの電位は、ダイノード130Aより高い電位に設定されており、ダイノード130Aにより増倍された電子を収集する。アノード120Aの開口率は90%以下であるのが好ましい。また、アノード120Aは、二次元配列された複数の開口を有するメッシュ形状であるのが好ましい。
アノード120Aはセラミック板141とセラミック板142との間に挟まれている。ダイノード130Aはセラミック板142とセラミック板143との間に挟まれている。MCP−IN電極113、MCP−OUT電極115およびセラミック板141〜143それぞれは、円環形状を有する。MCP−IN電極113、MCP−OUT電極115およびセラミック板141〜143の相対的位置関係はネジ151、152により固定され、これにより第1構造を有する検出器100Aが組み立てられている。
この検出器100Aでは、MCP入力面からMCP出力面へ向かう方向に沿って順にアノード120Aおよびダイノード130Aが配置されている。また、MCP出力面の電位よりもダイノード130Aの電位が高く、ダイノード130Aの電位よりもアノード120Aの電位が高くなるよう、ブリーダ回路200Aが、リード線114、116、121A(図2、図3(a)および図3(b)の例ではグランド電位)、131Aを介してこれら電極に所定電圧を印加している(図3(a)および図3(b)参照)。MCP入力面にイオンが到達すると、イオン到達に応答して発生した電子がMCP111、112において増倍される。その増倍された多数の電子はMCP出力面から出力される。MCP出力面から出力された多数の電子の殆どはアノード120Aの開口を通過してダイノード130Aに衝突し、この衝突により更に多数の電子がダイノード130Aで発生する。ダイノード130Aで発生した多数の電子は、アノード120Aにより収集される。すなわち、MCP入力面にイオンが到達すると、そのイオン数に応じた波高値を有する電気パルス信号がアノード120Aから出力される。
図3(b)に示された電位勾配の一例は、MCP入力面(MCP−IN電極113)の電位V1が−2500V、MCP出力面MCP−OUT電極115)の電位V2が−500V、アノード120Aの電位V3が0V(グランド電位)にそれぞれ設定され、ダイノード130Aの電位V4はV2〜V3の範囲(V4設定レンジ)内の負電位に設定されている。なお、MCP−IN電極113〜アノード120Aまでの電位勾配は、MCP―IN電極113の電位V1が0V(グランド電位)に設定されてもよい。この場合、例えば、MCP−IN電極113の電位V1が0V(グランド電位)、MCP−OUT電極115の電位V2が+2000V、アノード120Aの電位V3が+2500Vにそれぞれ設定され、ダイノード130Aの電位V4はV2〜V3の範囲(V4設定レンジ)内の正電位に設定される。また、アノード120Aが正電位に設定される構成では、信号出力レベルをグランドレベルにするためのコンデンサがアノード120Aと増幅器250の間に設けられる。
図4は、検出器100Aのゲイン特性を示すグラフである。横軸はゲインであり、縦軸はMCP出力面から出力された電子の計数値(パルスカウント)である。第1構造を有する検出器100Aおよび比較例の何れにおいても、MCP出力面とアノード120Aとの間の距離は1mm、アノード120Aとダイノード130Aとの間の距離は1mmである。ダイノード130AはMgF膜がコーティングされたSUS板である。MCP入力面の電位V1は−2500V、MCP出力面の電位V2は−500V、アノード120Aの電位V3は0V(グランド電位)である。比較例では、ダイノード130Aの電位V4は0V(グランド電位)に設定され、アノード120Aとダイノード130Aとを束ねて、MCPからの出力電子を全て検出した。本実施形態に適用される検出器100Aでは、ダイノード130Aの電位V4が−250Vに設定されたときのアノード120Aで電子を検出した。
図4から分るように、比較例のゲインと比べて、検出器100Aのゲインは6.3倍程度であった。検出器100Aのゲイン特性において比較例のゲインピーク位置にサブピークが認められるが、これは、MCP出力面から出力された多数の電子の一部がダイノード130Aに到達することなくアノード120Aにより直接に捕捉されたことを表している。なお、以下では、比較例(アノード120Aとダイノード130Aとを束ねてアノード120Aとダイノード130Aとが等電位に設定された場合)のゲインに対する検出器100A(ダイノード130Aの電位V4よりもアノード120Aの電位V3が高く設定された場合)のゲインの比を「相対ゲイン」という。
図5は、検出器100Aのリニアリティ特性を示すグラフである。横軸はアノード120Aからの出力電流値(A)であり、縦軸は規格化ゲインである。規格化ゲインは、出力電流値が小さいときのゲインを100としている。なお、図5において、記号「●」はダイノード130Aの電位V4がアノード120Aの電位V3と同電位に設定されたときのリニアリティ特性、記号「■」はダイノード130Aの電位V4がアノード120Aの電位V3に対して−100Vに設定されたときのリニアリティ特性、記号「◆」はダイノード130Aの電位V4がアノード120Aの電位V3に対して−200Vに設定されたときのリニアリティ特性、記号「▲」はダイノード130Aの電位V4がアノード120Aの電位V3に対して−300Vに設定されたときのリニアリティ特性、「*」と「−」の合成記号はダイノード130Aの電位V4がアノード120Aの電位V3に対して−400Vに設定されたときのリニアリティ特性、記号「×」はダイノード130Aの電位V4がアノード120Aの電位V3に対して−500Vに設定されたときのリニアリティ特性をそれぞれ示す。この測定に用いられた検出器100Aおよび比較例の何れも、MCP出力面とアノード120Aとの間の距離は1mm、アノード120Aとダイノード130Aとの間の距離は1mmである。ダイノード130AはMgF膜がコーティングされたSUS板である。MCP入力面の電位V1は−2500V、MCP出力面の電位V2は−500V、アノード120Aの電位V3は0V(グランド電位)とした。比較例では、ダイノード130Aの電位V4は0Vに設定され、ダイノード130Aとアノード120Aとが束ねられた。図5から分るように、比較例と比べて、ダイノード130Aの電位V4がアノード120Aの電位V3に対して−200Vに設定された検出器100Aでは、DCリニアリティが約7倍程度拡大した。
図4および図5から、比較例に対して本実施形態に適用される検出器100Aではゲインの増倍分だけリニアリティも拡大されることが分かる。
図6は、アノード120Aの開口率を変えながら測定された、検出器100Aのダイノード電位V4と相対ゲインとの関係を示すグラフである。図6(a)は、アノード120Aの開口率が81%である場合の関係を示す。図6(b)は、アノード120Aの開口率が90%である場合の関係を示す。図6(c)は、アノード120Aの開口率が96%である場合の関係を示す。この測定に用いられた検出器100Aにおいて、ダイノード130Aは高δ膜がコーティングされていないSUS板である。MCP入力面の電位V1は−2500V、MCP出力面の電位V2は−500V、アノード120Aの電位V3は0V(グランド電位)である。変動させたダイノード130Aの電位範囲は−50V〜−500Vである。また、図6(a)〜図6(c)それぞれには、MCP出力面とダイノード130Aとの間の距離を2.0mmとして、MCP出力面とアノード120Aとの間の距離d1およびアノード120Aとダイノード130Aとの間の距離d2の比d1/d2が、それぞれ0.5mm/1.5mm、1.0mm/1.0mm、1.5mm/0.5mmに設定された構成での測定値が示されている。
これら図6(a)〜図6(c)から分るように、アノード120Aとダイノード130Aとの間の距離d2が1.5mmの場合より、距離d2が1.0mmの場合に相対ゲインが大きく、距離d2が0.5mmの場合に更に相対ゲインが大きい。したがって、ダイノード130AからMCP出力面およびダイノード130A間の中間位置までの空間にアノード120Aが配置されると(アノード120AはMCP出力面およびダイノード130A間の中間位置に配置されてもよい)、相対ゲインを大きくすることができて好ましい。また、相対ゲインの差は、アノード120Aとダイノード130Aとの電位差が小さい場合に顕著であり、アノード120Aの開口率が小さい場合に顕著である。したがって、アノード120Aの開口率は90%以下であるのが好ましい。
次に、図1のTOF−MS1に適用可能な、第2構造を有する検出器100Bについて、図7、図8(a)〜図8(b)および図9を参照して説明する。図7および図8(a)は、図1のTOF−MS1の検出器14,15に適用可能な検出器100Bの構成を示す図である。この検出器100Bは、第2構造として、MCP111およびMCP112からなるMCP積層体、アノード120B、電極130B、外部電源300Bに接続されたブリーダ回路200Bを含む。ブリーダ回路200Bは、図8(b)に示された例のような電位勾配を形成させるため、各電極に所定電圧を印加する。
この第2構造を有する検出器100Bにおいて、MCP111、112それぞれは、二次元配列され互いに独立した複数のマイクロチャンネル構造を有する二次電子増倍器である。各チャネルは、10μm程度の内径を有し、MCP入力面の鉛直方向に対して10°程度傾斜している。ただし、MCP111とMCP112とでは各チャネルの傾斜方向が相違している。MCP入力面には、MCP−IN電極113を介してブリーダ回路200Bから伸びたリード線114が接続されている。同様に、MCP出力面には、MCP−OUT電極115を介してブリーダ回路200Bから伸びたリード線116が接続されている。すなわち、ブリーダ回路200Bからリード線114、116を介してMCP−IN電極113およびMCP−OUT電極115それぞれに所定電圧が印加されることにより、MCP入力面およびMCP出力面それぞれが所定電位に設定される。MCP積層体は、入力面に対して出力面が高電位とされることで、入力面へのイオンの到達に応じて発生した電子を増倍し、出力面から増倍された電子を出力する。
アノード120Bは、MCP出力面の側(MCP出力面に対してMCP入力面とは反対側)に設けられている。アノード120Bには、リード線121Bを介してブリーダ回路200Bが接続されており、ブリーダ回路200Bからアノード120Bに所定電圧が印加されることにより、アノード120Bの電位がMCP出力面より高い電位に設定される。アノード120Bは、MCP出力面に平行に配置された金属平板(例えばSUS平板)であり、MCP出力面より高い電位に設定されることにより、MCP出力面から出力された電子を収集する。また、アノード120Bから出力された電気パルス信号は増幅器(Amp)250により増幅される。
電極130Bは、アノード120BからMCP出力面およびアノード120B間の中間位置までの空間内に、MCP出力面に平行に設けられている。なお、電極130Bは、MCP出力面およびアノード120Bの中間位置に配置されてもよい。電極130Bは、MCP出力面から出力された電子をアノード120Bへ通過させる開口を有する。電極130Bは、リード線131Bに接続されており、電極130Bの電位は、アノード120Bより高い電位に設定される。電極130Bの開口率は90%以下であるのが好ましい。また、電極130Bは、二次元配列された複数の開口を有するメッシュ形状であるのが好ましい。
電極130Bはセラミック板141とセラミック板142との間に挟まれている。アノード120Bはセラミック板142とセラミック板143との間に挟まれている。MCP−IN電極113、MCP−OUT電極115およびセラミック板141〜143それぞれは、円環形状を有する。MCP−IN電極113、MCP−OUT電極115およびセラミック板141〜143の相対的位置関係はネジ151、152により固定され、これにより第2構造を有する検出器100Bが組み立てられている。
この検出器100Bでは、MCP入力面からMCP出力面へ向かう方向に沿って順に電極130Bおよびアノード120Bが配置されている。また、MCP出力面の電位よりもアノード120Bの電位が高く、アノード120Bの電位よりも電極130Bの電位が高くなるよう、ブリーダ回路200Bが、リード線114、116、121B(図7、図8(a)および図8(b)の例ではグランド電位)、131B(図7、図8(a)および図8(b)の例では正電位)を介してこれら電極に所定電圧を印加している(図8(a)および図8(b)参照)。MCP入力面にイオンが到達すると、イオン到達に応答して発生した電子がMCP111、112において増倍される。その増倍された多数の電子はMCP出力面から出力され、電極130Bによりアノード120Bへ向かって加速される。その結果、MCP出力面から出力された多数の電子の殆どは電極130Bの開口を通過してアノード120Bにより収集される。すなわち、MCP入力面にイオンが到達すると、そのイオン数に応じた波高値を有する電気パルス信号がアノード120Bから出力される。
図8(b)に示された電位勾配の一例は、MCP入力面(MCP−IN電極113)の電位V1が−2300V、MCP出力面(MCP−OUT電極115)の電位V2が−500V、アノード120Bの電位V3が0V(グランド電位)にそれぞれ設定され、電極130Bの電位V4はV2を超える範囲(V4設定レンジ)の正電位(例えば+500V)に設定されている。なお、MCP−IN電極113〜アノード120Bまでの電位勾配は、MCP−IN電極113の電位V1が0V(グランド電位)に設定されてもよい。この場合、例えば、MCP−IN電極113の電位V1が0V(グランド電位)、MCP−OUT電極115の電位V2が+500V、アノード120Bの電位V3が+2000Vにそれぞれ設定され、電極130Bの電位V4はV3を超える範囲(V4設定レンジ)の正電位(例えば+2500V)に設定される。また、アノード120Bが正電位に設定される構成では、信号出力レベルをグランドレベルにするためのコンデンサがアノード120Bと増幅器250の間に設けられる。
図9は、検出器100Bのリニアリティ特性を示すグラフである。横軸はアノード120Bからの出力電流値(A)であり、縦軸は規格化ゲインである。規格化ゲインは、出力電流値が小さいときのゲインを100としている。なお、図9において、記号「◆」は電極130Bの電位V4がアノード120Bの電位V3と同電位に設定されたときのリニアリティ特性、記号「■」は電極130Bの電位V4がアノード120Bの電位V3に対して+100Vに設定されたときのリニアリティ特性、記号「▲」は電極130Bの電位V4がアノード120Bの電位V3に対して+200Vに設定されたときのリニアリティ特性、記号「×」は電極130Bの電位V4がアノード120Bの出にV3に対して+300Vに設定されたときのリニアリティ特性、記号「*」は電極130Bの電位V4がアノード120Bの電位V3に対して+400Vに設定されたときのリニアリティ特性をそれぞれ示す。この測定に用いられた検出器100Bでは、MCP出力面と電極130Bとの間の距離は1mm、電極130Bとアノード120Bとの間の距離は1mmである。アノード120BはSUS板である。MCP入力面の電位V1は−2300V、MCP出力面の電位V2は−1500V、アノード120Bの電位V3は0V(グランド電位)とした。図9から分るように、第2構造を有する検出器100Bによっても、電極130B−アノード120B間の電位差を例えば200V以上確保することによりDCリニアリティが拡大した。また、図5の比較例に対して本実施形態に適用される検出器100Bでもゲインの増倍分だけリニアリティも拡大されることが分かる。
第1実施形態のTOF-MS1の検出器14、15には、上述のような構造を有する検出器100Aまたは検出器100Bが適用される。したがって、検出器100Aまたは検出器100Bへの入射イオン量が増加しても、MCP111、112のゲインの増大を抑えつつ、検出器全体のゲインを大きくすることができる。したがって、TOF-MS1は、高スループットで試料の質量分析を行うことができる。また、検出器100Aおよび検出器100Bは、何れもMCP111,112のゲインを低く抑えることができることから、MCP積層体の入力面と出力面との間に印加する電圧を低くすることができ、寿命特性が改善する。検出器100Aは、MCP積層体とダイノード130Aとの間にアノード120Aが挿入された構成を有し、また、検出器100Bは、MCP積層体とアノード120Bとの間に電極130Bが挿入された構成を有することから、従来の構成のものと比べて大型化が抑制される。
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係るTOF−MS(飛行時間計測型質量分析装置)2の概略構成を示す図である。TOF-MS2は、真空容器を構成する筐体20と、分析部26を備える。筐体20は、3つの真空チャンバ21〜23により構成され、最終段の真空チャンバ23には検出器24が設けられている。なお、この第2実施形態に係るTOF−MS2には、上述の第1構造を有する検出器100A(図2および図3(a))および第2構造を有する検出器100B(図7および図8(a))の何れも適用可能である。
第1真空チャンバ21内には分析対象の試料が配置され、その試料にレーザ光が照射されることでイオンが発生する。レーザ光は連続光であってもよい。第2真空チャンバ22内には、マスフィルタおよびトランスファーイオンオプティクス等が設けられている。
第2真空チャンバ22と第3真空チャンバ23との間には1対のスリットが設けられている。第1真空チャンバ21から第2真空チャンバ22へ進んだイオンのうちマスフィルタにより選択され特定の質量を超えるイオンが電界により加速される。その加速されたイオンは、トランスファーイオンオプティクスおよび1対のスリットを経て、第3真空チャンバ23内に進む。
第3真空チャンバ23内に入ったイオンには、第3真空チャンバ23内に設けられたイオンパルサの作用により、これまでの進行方向に対して垂直な方向に加速度が与えられる。続いて、加速されたイオンは、第3真空チャンバ23内に設けられた静電イオンミラーの作用により進路を曲げられた後に検出器(リフレクトロン検出器)24に到達する。イオンパルサは、試料から発生したイオンを電界により加速させる加速部として作用する。
検出器24は、加速部を通過した後の加速されたイオンの飛行経路上に設けられており、イオンが到達する事象を検出する(アノードからの電気パルス信号の出力)。分析部26は、検出器24へのイオン到達事象の検出時刻までのイオンの飛行時間に基づいて試料の質量分析を行う。
第2実施形態に係るTOF-MS2の検出器24には、前述した第1構造を有する検出器100Aまたは第2構造を有する検出器100Bが適用される。第2実施形態に係るTOF-MS2は、第1実施形態に係るTOF−MS1と同様の効果を奏する。
以上のように本実施形態に係るTOF−MSによれば、高スループットで試料の質量分析を行うことができる。
以上の本発明の説明から、本発明を様々に変形しうることは明らかである。そのような変形は、本発明の思想および範囲から逸脱するものとは認めることはできず、すべての当業者にとって自明である改良は、以下の請求の範囲に含まれるものである。
1,2…飛行時間計測型質量分析装置(TOF-MS)、10…筐体、11〜13…真空チャンバ、14,15…検出器、16…分析部、20…筐体、21〜23…真空チャンバ、24…検出器、26…分析部、100A、100B…検出器、111,112…MCP(マイクロチャネルプレート)、113…MCP−IN電極、115…MCP−OUT電極、120A,120B…アノード、130A…ダイノード、130B…電極。

Claims (8)

  1. 試料から発生したイオンを電界により加速させる加速部と、
    前記加速部を通過した後の加速された前記イオンの飛行経路上に設けられ、前記イオンが到達する事象を検出する検出器と、
    前記検出器による前記事象の検出時刻までの前記イオンの飛行時間に基づいて前記試料の質量分析を行う分析部と、を備え、
    前記検出器は、
    前記イオンの到達に応じて発生した電子を増倍するマイクロチャネルプレートであって、前記イオンが到達する位置に設けられた入力面と、前記入力面に対向する、増倍された前記電子を出力する出力面と、を有するマイクロチャネルプレートと、
    前記出力面に対して前記入力面とは反対側に設けられ、前記出力面から出力された電子を増倍するダイノードであって、前記出力面の電位よりも高い電位に設定されたダイノードと、
    前記ダイノードから前記出力面および前記ダイノード間の中間位置までの空間内に設けられた、前記ダイノードにより増倍された電子を収集するアノードであって、前記出力面から出力された電子を前記ダイノードへ通過させる開口を有するとともに、前記ダイノードの電位よりも高い電位に設定されたアノードと、を含むことを特徴とする飛行時間計測型質量分析装置。
  2. 前記アノードの開口率は、90%以下であることを特徴とする請求項1に記載の飛行時間計測型質量分析装置。
  3. 前記アノードは、二次元的に配列された複数の開口を有することを特徴とする請求項1または2に記載の飛行時間計測型質量分析装置。
  4. 前記ダイノードは、二次電子放出効率を高める膜がコーティングされた金属平板からなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の飛行時間計測型質量分析装置。
  5. 試料から発生したイオンを電界により加速させる加速部と、
    前記加速部を通過した後の加速された前記イオンの飛行経路上に設けられた、前記イオンが到達する事象を検出する検出器と、
    前記検出器による前記事象の検出時刻までの前記イオンの飛行時間に基づいて前記試料の質量分析を行う分析部と、
    を備え、
    前記検出器は、
    前記イオンの到達に応じて発生した電子を増倍するマイクロチャネルプレートであって、前記イオンが到達する位置に設けられた入力面と、前記入力面に対向する、増倍された前記電子を出力する出力面と、を有するマイクロチャネルプレートと、
    前記出力面に対して前記入力面とは反対側に設けられた、前記出力面から出力された電子を収集するアノードであって、前記出力面の電位よりも高い電位に設定されたアノードと、
    前記アノードから前記出力面および前記アノード間の中間位置までの空間内に設けられた電極であって、前記出力面から出力された電子を前記アノードへ通過させる開口を有するとともに、前記アノードの電位よりも高い電位に設定された電極と、を含むことを特徴とする飛行時間計測型質量分析装置。
  6. 前記電極の開口率は、90%以下であることを特徴とする請求項5に記載の飛行時間計測型質量分析装置。
  7. 前記電極は、二次元的に配列された複数の開口を有することを特徴とする請求項5または6に記載の飛行時間計測型質量分析装置。
  8. 前記アノードは、金属平板からなることを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の飛行時間計測型質量分析装置。
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