JP2016136009A - 風車の耐雷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】落雷によるレセプター自体の溶融を防止することにより落雷被害を防止するもので、特に落雷時のレセプターの発熱に対し、この熱を効果的に分散放熱することにより、レセプター及びレセプター近傍の損傷を防止することを課題としている。【解決手段】風車のブレード6の表面に露出させてレセプター7を設け、該レセプター7をダウンコンダクタ11に接続し、上記レセプター7として金属と炭素材料とを焼結させて得られる複合材からなるプレートを用い、該プレートの裏面を上記ブレード6の表面に沿って固着し、受雷によって生じる発熱を上記プレートの平面的な広がり方向に沿って放熱させる。【選択図】図3

Description

この発明は主として風力発電用の風車、その他動力源として用いられる風車の耐雷装置に関する。
風力発電等に用いる風車は、風力を得るために一般に地上の高所位置に突出させて設置されるほか、そのブレードはFRP等の非導電材料で作られているが、雨水を伴う落雷時には落雷の被害を受け易い。特に、冬季の沿岸部等では、上空の寒気と海面の温度差が大きいため、強い雷が発生し、その被害が大きくなる。
この対策として、風車のブレード表面に導電体からなる受雷部(レセプター)を露出させて設け、この受雷部を、引き下げ導線(ダウンコンダクタ)に接続した特許文献1に示す風車の耐雷装置が公知である。
上記文献の図1,2に示す通り、ブレード内部に接地(GND接続)された金属ブロックを収容し、レセプターとなる金属ボルトを前記ブレードの表面に露出させた状態で上記金属ブロックに締着固定した場合、この露出した金属ボルトが落雷電流により溶融することがある。
これを防止するため、同文献では、図5に示す通り、棒状のレセプターロッドの先端をブレード表面に露出させるように、地上から操作してロッドパイプでガイドさせながら挿入・突出させてブレード面に多数箇所配置し、高所作業を伴わないで交換できるとともにブレードの多数位置で受雷できる機構としている。
また、ブレードの先端部に点状にレセプターを設置し、該ブレードにおけるレセプター以外の位置に落雷した場合に、これをレセプター側に導くことを目的として、該ブレードの表面に、レセプターに向かって延びる誘導テープを貼着又は誘導溝を形成した特許文献2に示す風車の耐雷装置も公知になっている。
しかし、特許文献1のものは受雷部を点在させて広範囲での耐雷を実現し、又はレセプターの交換作業を容易にすることは可能であるが、レセプターの溶融そのものを防止するものではなく、特許文献2のものは少ないレセプターで広範囲の耐雷はできるが、レセプター自体の溶融を防止するものではなく、そのような効果も期待できない。
特開2009−250040号公報 特開2012−149569号公報
本発明は上記課題に対し、落雷によるレセプター自体の溶融を防止することにより落雷被害を防止するもので、特に落雷時のレセプターの発熱に対し、この熱を効果的に分散放熱することにより、レセプター及びレセプター近傍の損傷を防止することを目的としている。
上記課題を解決するための本発明は、第1に、風車のブレード6の表面には、受雷部の少なくとも一部を構成するレセプター7を、露出させた状態で設け、該レセプター7をダウンコンダクタ11に接続した風車の耐雷装置において、上記レセプター7として金属と炭素材料とを焼結させて得られる複合材からなるプレートを用い、該プレートの裏面を上記ブレード6の表面に沿って固着し、受雷によって生じる発熱を上記プレートの平面的な広がり方向に沿って放熱させることを特徴としている。
第2に、前記複合材に含まれる炭素材料は、該複合材の総体積を基準として20〜80体積%含まれ、該複合材は理想密度の95%以上まで焼結されてなることを特徴としている。
第3に、前記炭素材料には鱗状黒鉛粉末が含まれ、該鱗状黒鉛粉末には、熱伝導容易面の法線ベクトルに対して、傾きが20°以上となる法線ベクトルによって規定される鱗状面を有する第1鱗状黒鉛粉末と、傾きが10°以下となる法線ベクトルによって規定される鱗状面を有する第2鱗状黒鉛粉末との少なくとも2種類が含まれ、前記第1鱗状黒鉛粉末の鱗状黒鉛粉末の全体に対しての含有率は12%以下であり、前記第2鱗状黒鉛粉末の鱗状黒鉛粉末の全体に対しての含有率は55%以上であることを特徴としている。
第4に、ブレード6の内部に芯材8を収容し、該芯材8に対して受雷部を兼ね導電性材料よりなるボルト9によって、前記プレートを締着固定したことを特徴としている。
第5に、プレートの外周面とブレード6の表面との間に形成される段差部のコーナーにパテを充填してレセプター7の周縁部12を形成してなることを特徴としている。
本発明は以上のように構成されるので、プレートからなるレセプターに受雷させると、該プレートで発生する熱は、プレート自体の高い熱伝導性によって、プレートの面に沿って平面的に広がり、短時間で拡散放熱するので、レセプターの溶融やスパークによる損傷を防止できるとともに、ブレードに対する発熱の影響を最大限防止でき、ブレードの損傷も防止できる。
またプレートはブレード表面に沿って固着されているので、ブレード自体の発熱もプレートによって放熱され且つ受熱面積も大きく、熱を受けてもプレートによるカバーの効果もあいまって部分的な溶解や変形焼失等が防止できる利点があるほか、ブレード自体が芯材に締着固定されることによって機械的強度が高められる効果がある。
風車の設置状態を示す全体正面図である。 ブレードの先端部を示す部分拡大正面図である。 図2のA−A拡大断面図である。 実験例1で用いた塗装前の銅板及び複合材からなる試料の平面写真である。 針電極と平板(試料)電極を放電側とGND側に使用した実験例1での実験方法を示す説明図である。 図5に示す実験におけるサーモグラフィーカメラによる測定方法を示す説明図である。 サーモグラフィーカメラによる熱画像のサンプル図である。 直径100mmの2種類の平板試料の放電直下の時間変化に対する温度(To)の変化特性を示すグラフである。 同じく直径50mmの平板試料の放電直下の時間−温度(To)の変化特性を示すグラフである。 同じく直径100mmの2種類の平板試料の放電位置から10mm離れた位置の温度(T1)の変化特性を示すグラフである。 同じく直径50mmの場合の温度(To)−時間特性を示すグラフである。 直径100mmの2種類の平板試料への放電後の冷却(放熱)状態の変化を示すサーモグラフィーの熱画像である。 複合材平板試料の直径を変化させた場合の放電直下における温度(To)の時間−温度特性の比較を示すグラフである。 同じく複合材平板試料の直径毎の温度(T')の時間−温度特性の比較を示すグラフである。 直径10mmと同100mmの複合材平板試料の放電直下位置の冷却(放熱)状態の変化を示すサーモグラフィーの熱画像である。 直径100mmの2種類の平板試料の放電直下位置の温度(To)の累乗近似曲線図である。 実験例2における100mm径のレセプター(平板試料)の解析モデルの説明図である。 同例における銅製平板試料の時間経過毎の温度分布図である。 同例における複合材平板試料の時間経過毎の温度分布図である。
図1及び図2は本発明を適用した耐雷装置を設置されたプロペラ型の風力発電装置の全体正面図及び部分拡大正面であり、図3は、図2のA−A拡大断面図である。風力発電に用いる風車は、地上の基礎1上に立設して内部に空洞を有するタワー2と、該タワー2の上端に設置されて前後方向(ここでは、便宜上、ナセル3の形成方向を前後方向と定義する)に延びるボックス状のナセル3と、該ナセル3の前面から前方に突出するハブ(回転軸)4を中心にして放射状に該ナセル3に取り付けられた複数のブレード6とを備えている。
複数のブレード6は、ナセル3の全長方向に形成されたハブ4の軸回りに所定間隔毎に並べられている。各ブレード6は、軽量な絶縁性の材料(例えばFRP等の合成樹脂)から構成され、このブレード6は、前後につぶれた凸レンズ状の断面形状を有し、内部に空洞が形成され、この空洞が各種部品を設置する設置スペース6aになる。
また、ブレード6の基端部から中途部に至る範囲は断面積が拡大し且つ中途部から先端部に向かって断面積が縮小した形状に成形され、この先端部は断面積が最小に設定されている。
各ブレード6が、風力により、上記回転軸を中心として回転作動すると、その動力によって、ナセル3内の図示しない発電機が発電作動される。この発電機は、ナセル3内からワター2内に至る範囲に配線された図示しない電力ケーブルを介して、バッテリや、外部の送電線に接続される。
このような風車及び発電機等から構成される風力発電装置には、落雷時の破損を防止するため、耐雷装置が設けられている。
この風車の耐雷装置は、上記ブレード6の先端部の前後両面(外面)に、面状に接当させた状態でそれぞれ設置された平板状のプレートからなるレセプター7と、ブレード6内(具体的には、設置スペース6a)に収容されて導電体からなるブロック状且つ金属製の芯材8と、レセプター7を芯材8に締着固定するようにブレード6の先端部の挿入される導電性のボルト9と、前記レセプター7及びボルト9等から構成される受雷部をグランド接続(アース)する引き下げ導線(ダウンコンダクタ)11とを備えている。
引き下げ導線11は、ブレード6内からナセル3内及びタワー2内を経て地中まで配線され、受雷部6、9からの受雷電流を地中に放電させる。ちなみに、引き下げ導線は、受雷部6,9からの雷電流を安全に地方に放電できる導体で構成されている。
芯材8は、設置スペース6aにおけるブレード6の先端寄り部分に嵌合状態で設置可能な直方体形状に成形され、受雷部6,9及び引き下げ導線11と電気的に接続されている。
レセプター7は、円盤状に形成されている。このレセプター7の材料としては、金属と、炭素材料とを焼成させて得られる複合材を用いる。具体的には、銅、アルミ又はこれらの合金等の金属と、黒鉛(具体的には黒鉛粉末、更に具体的には鱗状黒鉛粉末)とを加圧焼結させて得られる。
この鱗状黒鉛粉末の平均アスペクト比は、10〜100(好ましくは30〜100)であり、平均粒子サイズは、50〜1000(好ましくは80〜500)μmである。ここで、平均アスペクト比とは、粒子の厚さに対する鱗状面の代表長さの比の平均を意味し、平均粒子径とは、粒子の鱗状面の平均代表長さを意味している。
加圧方向は、レセプター7を構成するプレートの板厚方向に設定され、これよって、鱗状黒鉛粉末が上記プレートの面方向に整列され、このプレートの面が、炭素原子からなるグラファイト構造と平行であって且つ熱を容易に伝導する熱伝導容易面となる。この熱伝導容易面の法線ベクトルに対して、鱗状黒鉛粉末の鱗状面の法線ベクトルが必要以上に傾いていると、熱伝導性が悪化するが、このような鱗状黒鉛粉末の含有率を低下させることにより、熱伝導性を良好に保持できる。
このため、前記複合材に含まれる炭素材料(具体的には、無数の鱗状黒鉛粉末)は、上記複合材の総体積を基準として20〜80体積%含まれ、該複合材は理想密度の95%以上まで焼結される。また、レセプター7(プレート)に含まれる鱗状黒鉛粉末には、上記熱伝導容易面の法線ベクトルに対して法線ベクトルが20°以上傾いた鱗状面を有する第1鱗状黒鉛粉末と、上記熱伝導容易面の法線ベクトルに対して法線ベクトルの傾きが10°以下になる鱗状面を有する第2鱗状黒鉛粉末とが存在し、前記第1鱗状黒鉛粉末の鱗状黒鉛粉末の全体に対しての含有率は12%以下であり、前記第2鱗状黒鉛粉末の鱗状黒鉛粉末の全体に対しての含有率は55%以上である。
この複合材から構成されたレセプター7は、本例では、50〜100mm径で2mm前後の板厚を有する円形のプレート状に成形されている。なお、レセプターのサイズや板厚はブレード6の寸法等により選択されるが、基本的には、直径20〜300mm、板厚0.5〜40mmの範囲内で設定される。
レセプター7はその中心位置に挿通される金属製等の導電材料からなるボルト9により、内臓された同じく導電性材料製の芯材8に対して締着固定されており、レセプター7とブレード6,芯材8とは締着によりできるだけ密着させることにより、レセプター7の落雷による発熱をより効率的に放熱できるほか、レセプター7の固定性が確保される。また放熱性を高めるためには芯材8やボルト9の材質も熱伝導性に優れたものを用いることが望ましい。
またレセプター7の外周面とブレード6の表面の段差部のコーナーはシール性の高いパテを充填してコーティングすることにより周縁部12を形成し、この周縁部12のパテを導電性を有し熱伝導性の高いものを用いること又はFRPに使用するプラスチック材の使用も可能である。
次に本発明の複合材によるレセプター7の放熱特性を、プレート状の複合材と銅板に対する放電時における熱伝導特性評価実験(<実験例1>)と、熱伝導方程式を用いた数値解析によるシミュレーション(<実験例2>)とにより確認したので以下これらの評価結果を示す。ちなみに、この実験例1,2で用いたレセプター7の複合材は、上記黒鉛粉末(鱗状黒鉛粉末)は、複合材の総体積を基準として70体積%含まれ、板厚が2mmに設定され、板の面方向(上述した熱伝導容易面であり、以下「XY方向」と称する)への熱伝導率が630W/m/K、厚み方向(以下「Z方向」と称する)への熱伝導率が35W/m/Kに設定されている。
<実験例1>
1.試料
レセプター7の試料には、先に述べた複合材(図面中では「STC」の符号で示す)と銅の2種類を用いた。複合材は銅とグラファイトの合金である。
円板状プレートの試料を、それぞれ直径10mm,30mm,50mm,100mmの4種類のサイズに同じ製法で成形した。代表的な試料を図4に示す。また、熱画像を撮る際に、熱の反射をなくしより正確な温度変化を見るため、試料表面を耐熱塗料で黒く塗装した。ここで用いる銅のXY方向への熱伝導率は約400[W/m・K]である。
2.実験方法
実際のプレート状の風車のレセプターでは、沿面放電によって外側から電流が流れてきて、そこから熱がレセプター全体に広がっていく。しかし今回の実験では、試料の特性を調べるために図5のように試料の中心に電圧を印加して熱の広がり方を検証する。
電極系として針―平板電極系を用い、ギャップ長は1mmとし、針電極を高電圧側,平板電極をGNDとした。
本実験では室温状態(約20℃)で交流電圧を印加させ、放電する直前から図6に示すような測定系でサーモグラフィーカメラ(TVS−8500)によって連続撮影した。カメラの時間分解能は1/120秒毎に熱画像を1枚連続撮影でき、温度分解能は−40℃〜900℃の範囲、0.025℃刻みで温度測定できる。空間分解能は10μm刻みで温度計測が可能で、撮影した熱画像は熱画像解析ソフトウェア(PE Professional)で読み込み、放電した位置の温度Toの平均と標準偏差を求めた。また、放電した位置から5mm離れた位置の温度T'とし、10mmずつ離れた位置の温度T1,T2,T3,T4の平均と標準偏差を求めた。
サーモグラフィーカメラの熱画像のサンプルを図7に示す。試料の撮影方向側には針の熱が反射して試料の温度と重なり正確な温度が測れないため、図7に示す通り各点の温度は横方向に測定した。
3.実験結果
3.1 熱拡散実験
図8に時間に対する温度変化特性を示し、これによれば各試料の放電直下におけるの温度Toは、時間が経過するに伴って低下した。この時温度変化は複合材の方が銅に比べ傾きが大きいことが分かる。これは複合材の方が銅に比べて熱を拡散する能力に優れているためと考えられる。また、図9に示すように複合材の直径が違う場合でも同様の結果が得られた。
3.2 熱伝導実験
図10に時間に対する温度変化特性を示す。図10に示すように各試料の温度Toから10mm離れた位置の温度T1は、放電直後複合材の方が銅に比べて高くなりその後低下している。複合材の熱伝導性が銅よりも大きいため金属内部で温度が伝導し、周辺の温度が高くなったと考えられる。また図11に示すように複合材の直径が違う場合でも同様の結果が得られた。
このことは図12に示すサーモグラフィーカメラの熱画像からも確認できる。図12は放電してから熱が冷めていく5秒間を1秒毎に時系列に並べたもので、直径100mmの銅と複合材を比較した図であり、それぞれの温度ToとT1を右上に記し、直径を分かりやすくするために試料の外径に線を引いた。
3.3 複合材自体の直径の大小による比較実験
図13,図14は複合材の直径を変化させたときの温度変化特性である。図13に示すように放電直下では温度にそれほど大きな差は現れなかった。一方、図14すように5mm離れた点では直径が大きい方が周辺の温度の上昇が小さく、温度が下がりやすいことが分かった。試料が小さい場合は試料内部に熱がこもり、飽和したことが原因と考えられる。このことは図15に示すサーモグラフィーカメラの熱画像からも確認できる。図15は放電してから熱が冷めていく5秒間を1秒毎に時系列に並べたもので、複合材の直径10mmと100mmを比較した図である。それぞれの温度ToとT'を右上に記しており、直径を分かりやすくするために試料の外径に線を引いた。
4.考察
4.1 試料の発熱
以上の結果から、放電した瞬間放電直下で雷電流によってレセプターは発熱するが、複合材や銅などのレセプターの材質の違いによる発熱効果は小さく、同じ放電電圧,放電時間,放電電流であるため、銅と複合材の違いによる発熱の差は誤差程度と考えられる。銅や複合材のどちらの場合でもレセプターはGNDにつながる導電路の一部であり、レセプターよりも導電路の影響が大きい。また落雷による放電に伴い熱が飽和しない限りレセプターが溶けることはないため、熱の拡散性や伝導性の高いものがレセプターとして適していると考えられる。
4.2 試料の放熱
直径100mmの試料では熱の広がりは飽和状態にないと考えられるため、温度Toの累乗近似を行った結果を図16に示す。この図より各試料の累乗近似式から、放電して温度上昇してから室温状態である20℃まで下がるために要する時間を求めた。銅は9.9sかかるのに対して複合材は7.5sとなった。これより気温にまで下がるために要する時間は複合材の方が銅に比べて早いということが分かった。
5.まとめ
温度Toの温度低下は複合材の方が銅に比べて大きいことから複合材の方が熱拡散能力に優れていると分かった。また放電した位置より離れた点では放電直後の温度が複合材の方が銅に比べて大きいことも分かった。これより複合材の方が熱伝導能力に優れていると考えられ、複合材の方が銅よりも温度が下がるために要する時間が早いといえる。
また複合材の直径の大きさの違いを比較した場合、直径が大きい方が周辺の温度の上昇が小さく直径が小さい方が周辺の温度の上昇が大きくなることが分かった。試料が小さいと試料内部に熱がこもり飽和したことが原因と考えられる。したがって複合材の直径は大きい方が温度が下がりやすいといえる。
これらの結果から複合材の方が銅に比べて落雷時の温度上昇を低減させることができ、温度特性の観点からはレセプターとして用いるのに適していると考えられる。またその際のレセプターには、放電した際に熱の広がりを充分に吸収できるよう表面積を広くすることが望ましい。
<実験例2>
1.シミュレーション方法
このシミュレーションでは、熱伝導方程式の数値解析により、このレセプターに銅の1.5倍の熱伝導率を持つ複合材(以下図面中では「STC」の符号で表わす)を使用した場合の有効性について検討した。数値解析には二次元場の有限要素法を用い、結果を時刻毎の温度分布で表した。
2.熱伝導方程式と有限要素法解析
二次元場の熱伝導方程式は、絶対温度関数uを用いて次式で表せる。
Figure 2016136009
ここで、k、cおよびρは、それぞれ熱伝導率(W/mK)、比熱(J/kg)および比重(kg/m3)である。有限要素法は、解析領域を三角形の微小領域に分割して、境界条件の下に要素内の温度を要素の頂点(節点)の温度を用いて内挿し、時間微分項は時間差分を用いる。各節点で(1)式を適用し左辺と右辺の差を残差とし、残差の総和が領域全体で零になる様にすると、各節点の温度関数に関する多元連立方程式が立てられ、これをガウスの消去法で解くと、各節点の温度が求められる。材料定数のk、cおよびρは要素毎に与えることができる。
3.解析モデルと解析結果
図17にレセプターの解析モデルを示す。直径100mmのレセプターに幅10mmの強化プラスチック(FRP)をつけている。解析は、対称性から右半分の領域で行った。FRPの熱伝導はレセプターに比べて小さいので外周は外気温度10℃一定と仮定し、レセプターの一部に1000℃(一定)を与えた。
図18,図19に、レセプターが銅と複合材の場合について、レセプターの一部を外気温10℃から1000℃を与えたときの各時刻の温度分布を示す。また解析に用いた材料定数は表1の通りである。
Figure 2016136009
4.むすび
レセプターの熱伝導解析を行った結果、熱伝導率の大きい複合材の方が銅よりも早く温度上昇することが確かめられた。
6 ブレード
7 レセプター(プレート,受雷部)
8 芯材
9 ボルト(受雷部)
11 引き下げ導線(ダウンコンダクタ)
12 周縁部

Claims (5)

  1. 風車のブレード(6)の表面には、受雷部の少なくとも一部を構成するレセプター(7)を、露出させた状態で設け、該レセプター(7)をダウンコンダクタ(11)に接続した風車の耐雷装置において、上記レセプター(7)として金属と炭素材料とを焼結させて得られる複合材からなるプレートを用い、該プレートの裏面を上記ブレード(6)の表面に沿って固着し、受雷によって生じる発熱を上記プレートの平面的な広がり方向に沿って放熱させる風車の耐雷装置。
  2. 前記複合材に含まれる炭素材料は、該複合材の総体積を基準として20〜80体積%含まれ、該複合材は理想密度の95%以上まで焼結されてなる請求項1に記載の風車の耐雷装置。
  3. 前記炭素材料には鱗状黒鉛粉末が含まれ、該鱗状黒鉛粉末には、熱伝導容易面の法線ベクトルに対して、傾きが20°以上となる法線ベクトルによって規定される鱗状面を有する第1鱗状黒鉛粉末と、傾きが10°以下となる法線ベクトルによって規定される鱗状面を有する第2鱗状黒鉛粉末との少なくとも2種類が含まれ、前記第1鱗状黒鉛粉末の鱗状黒鉛粉末の全体に対しての含有率は12%以下であり、前記第2鱗状黒鉛粉末の鱗状黒鉛粉末の全体に対しての含有率は55%以上である請求項2に記載の風車の耐雷装置。
  4. ブレード(6)の内部に芯材(8)を収容し、該芯材(8)に対して受雷部を兼ね導電性材料よりなるボルト(9)によって、前記プレートを締着固定した請求項1乃至3の何れかに記載の何れかに記載の風車の耐雷装置。
  5. プレートの外周面とブレード(6)の表面との間に形成される段差部のコーナーにパテを充填してレセプター(7)の周縁部(12)を形成した請求項1乃至4の何れかに記載の風車の耐雷装置。
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