JP2016135718A - 発泡パーライトを混入したモルタル組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】断熱性及び強度に優れ、比較的容易に製造可能な発泡パーライトを軽骨材として混入したモルタル組成物の提供。
【解決手段】セメントと、発泡パーライト及びフライアッシュを含む細骨材とを混合してなるモルタル組成物において、発泡パーライトは、大分県安心院地方で産出される、ガラス質黒曜石の小粒体がおこし状に固結した斑状組織をなす安心院産黒曜石原石を、粒状に粉砕して生成される黒曜石粒体を、加熱し発泡させてなる発泡パーライトであって、篩分級による粒度が5mm以下であり、単位容積質量0.1g/cm3以上0.3g/cm3以下であり、平均気孔率が70体積%以上76体積%以下であり、熱伝導率が0.068W/mK以上0.075W/mK以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】セメントと、発泡パーライト及びフライアッシュを含む細骨材とを混合してなるモルタル組成物において、発泡パーライトは、大分県安心院地方で産出される、ガラス質黒曜石の小粒体がおこし状に固結した斑状組織をなす安心院産黒曜石原石を、粒状に粉砕して生成される黒曜石粒体を、加熱し発泡させてなる発泡パーライトであって、篩分級による粒度が5mm以下であり、単位容積質量0.1g/cm3以上0.3g/cm3以下であり、平均気孔率が70体積%以上76体積%以下であり、熱伝導率が0.068W/mK以上0.075W/mK以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、断熱性に優れ、軽量でありかつ高強度のモルタル組成物に関する。
従来、断熱性・軽量性に優れるモルタル組成物として、セメント中に発泡パーライトのような軽骨材を混入したモルタル組成物が知られている。斯かるモルタル組成物又は軽骨材として用いる発泡パーライトとしては、特許文献1−8に記載のものが公知である。
特許文献1には、構成成分として、発泡パーライト(建材用パーライト)とセメントとを容量比0.5:1〜5:1の割合で含むモルタル組成物が記載されている。実施例に於いて記載されている発泡パーライトは、松脂岩,真珠岩,黒曜石の何れかを原料とし、内部気泡の最大径が300μm以下(実施例は76〜245μm)、平均径が100μm以下(実施例は12〜89μm)、地盤工学会基準「土の保水性試験方法」(JGS0151-2000)の遠心法による保水率が35%以下(実施例は10.7〜25.1%)、直径40mm,高さ80mmの円筒容器を用いて60N/mm2の圧力を加える圧縮試験による圧縮率が70%以下(実施例は51.5〜62.1%)である。また、このモルタル組成物の28日養生後硬化体の物性の測定例として、密度1.377〜1.423g/cm3,曲げ強さ4.5〜5.0N/mm2,圧縮強さ24.8〜25.7N/mm2が記載されている。特許文献1には、発泡パーライトの粒度が開示されていないが、同文献の図1〜図11の写真から、粒度はおよそ0.2〜1mm程度であると推測される。
特許文献2には、流紋岩質(実施例Aでは含水量2wt%以下の黒曜石)の非造粒岩石粒を原料とする発泡体であって、平均粒径5mm以下、真球度0.7以上(実施例A,表1では0.75〜0.92)、圧縮強度(静水圧)25N/mm2以上(実施例A,表1では25.0〜65.0N/mm2),容重(嵩比重)0.35〜0.48kg/L(実施例A,表1),比重0.72〜0.95kg/L(実施例A,表1)の硬質発泡パーライトが記載されている。
特許文献3には、セメントに発泡パーライトを混合したモルタル組成物であって、発泡パーライトは、単位容量質量が0.10〜0.26kg/L,平均粒径D50が0.06〜0.48mm,粒径比D90/D10が1.862〜20.004,浮水率が37〜93vol%であるモルタル組成物が記載されている(特許文献3,表1)。ここで、D90−D50=D50−D10と仮定して粒度範囲(D10〜D90)を換算すると、特許文献3,表1の発泡パーライトの粒度は0.007〜0.86mmであると推測される。
芙蓉パーライト株式会社HP,"黒曜石パーライトと真珠岩パーライトの特性の違い",[online],[平成25年1月22日検索],インターネット<URL:http://www.fuyo-p.co.jp/paraito/kokusindef01.html>.
高速道路総合技術研究所,「NEXCO試験方法」,第6版,日本,高速道路総合技術研究所,2013年7月.
長瀧重義,山本康彦,「図解コンクリート用語辞典」,株式会社山海堂,2000年5月,p.460.
従来の発泡パーライトを混入したモルタル組成物(以下「パーライトモルタル」と呼ぶ。)では、軽量化のため細骨材として嵩比重の小さい発泡パーライトを使用すると、モルタル混練中に発泡パーライト粒子の一部が潰れて内部の気泡が圧潰するという問題があった。これにより、発泡パーライトの断熱性が低下し、モルタル全体の断熱性も低下する。
そこで、圧潰防止のため高硬度の発泡パーライトを使用することが考えられる。発泡パーライトの硬度を向上させるには、発泡パーライトの粒度を小さくして圧縮強度を高めるか、発泡パーライトの発泡度を低くして圧縮強度を高めることが考えられる。
しかし、発泡パーライトの粒度を小さくした場合、パーライト粒子内の平均気泡径が小さくなるため、パーライトモルタルの熱伝導率が大きくなる。また、熱はパーライト粒子間に充填されるセメントを伝達しやすいため、発泡パーライトの粒度が小さいと、マトリックスとしてのセメントの連続性が向上し、熱伝導率が大きくなる。従って、断熱性の観点から発泡パーライトの粒度はできるだけ大きくするほうが好ましい。特許文献1,3に開示の発泡パーライトは、粒度が1mm以下と推定され非常に小さく、パーライトモルタルの骨材として用いた場合、断熱性が低くなると推測される。
一方、発泡パーライトの発泡度を低くした場合、発泡パーライトの嵩比重が大きくなるため、モルタル全体の比重も大きくなり、軽量化に逆行する。また、実際の発泡パーライトの製造過程に於いては、原石(黒曜石)の温度を上昇させると、ある温度を超えると原石は急激に発泡する。従って、発泡パーライトの発泡度は、原石の含水状態や性状に大きく依存することとなり、実際の製造上の問題として発泡度を、断熱性及び強度のバランスのとれたパーライトモルタルに適したものに調製するのはかなり難しいという問題がある。
特許文献2に記載の発泡パーライトは、嵩比重が0.35〜0.48kg/Lと大きく、発泡度が低いと推測される。従って、パーライトモルタルの骨材として用いた場合、断熱性が低くなると推測される。
そこで、本発明の目的は、断熱性及び強度に優れると共に、製造を比較的容易に行うことが可能な発泡パーライトが軽骨材として混入されたモルタル組成物を提供することにある。
本発明に係るモルタル組成物は、発泡パーライト及びフライアッシュを含む骨材と、セメントとを混合してなるモルタル組成物において、
前記発泡パーライトは、大分県安心院地方で産出される、ガラス質黒曜石の小粒体がおこし状に固結した斑状組織をなす安心院産黒曜石原石を、粒状に粉砕して生成される黒曜石粒体を、加熱し発泡させてなる発泡パーライトであって、
篩分級による粒度が5mm以下であり、
単位容積質量0.1g/cm3以上0.3g/cm3以下であり、
平均気孔率が70体積%以上76体積%以下であり、
熱伝導率が0.068W/mK以上0.075W/mK以下であることを特徴とする。
前記発泡パーライトは、大分県安心院地方で産出される、ガラス質黒曜石の小粒体がおこし状に固結した斑状組織をなす安心院産黒曜石原石を、粒状に粉砕して生成される黒曜石粒体を、加熱し発泡させてなる発泡パーライトであって、
篩分級による粒度が5mm以下であり、
単位容積質量0.1g/cm3以上0.3g/cm3以下であり、
平均気孔率が70体積%以上76体積%以下であり、
熱伝導率が0.068W/mK以上0.075W/mK以下であることを特徴とする。
また、本発明に係るモルタル組成物において、前記発泡パーライトは、前記安心院産黒曜石原石を、粉砕し分級することにより粒度0.5〜30mmの黒曜石粒体を生成し、
前記黒曜石粒体を、外熱式ロータリー・キルンにより温度1000〜1200℃で10〜20分間焼成することにより発泡させて生成され、冷却後に分級選別することにより製造されたものとすることができる。
前記黒曜石粒体を、外熱式ロータリー・キルンにより温度1000〜1200℃で10〜20分間焼成することにより発泡させて生成され、冷却後に分級選別することにより製造されたものとすることができる。
また、本発明に係るモルタル組成物において、前記発泡パーライトは、
内径φ41.8mm、高さ80mmの円筒に前記発泡パーライトを充填し載荷加重6N/mm2で圧縮する圧縮試験による体積減少率が、
粒度1〜5mmに対して、73.1vol%以上81.3vol%以下のものとすることができる。
内径φ41.8mm、高さ80mmの円筒に前記発泡パーライトを充填し載荷加重6N/mm2で圧縮する圧縮試験による体積減少率が、
粒度1〜5mmに対して、73.1vol%以上81.3vol%以下のものとすることができる。
本発明によれば、断熱性及び強度に優れたモルタル組成物を提供することができる。また、発泡パーライトの原料として、大分県安心院地方で産出される、ガラス質黒曜石の小粒体がおこし状に固結した斑状組織をなす安心院産黒曜石原石を粒状に粉砕して生成される黒曜石粒体を使用することで、圧縮強度が高く熱伝導率が低い発泡パーライトを比較的容易に製造することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
〔1〕構成材料
本発明に係るモルタル組成物は、発泡パーライト,セメント,フライアッシュ,及びその他の混和剤又は骨材を原料とし、これらを混合することにより生成され、主に骨材として混合される発泡パーライトに特徴を有する。以下、それぞれの構成材料について説明する。
(1)発泡パーライト
(1.1)原料
本発明のモルタル組成物に使用する発泡パーライトは、大分県安心院地方(宇佐市安心院町南畑周辺)で産出する黒曜石(以下「安心院産黒曜石」という。)を原料として製造される。安心院産黒曜石の原石は、約38万年前の九州北部の火山活動によって生成されたものであり、西ノ台という台地を形成しており、地層学的には比較的新しく劣化が少なく良質であるという特徴を有する。
本発明に係るモルタル組成物は、発泡パーライト,セメント,フライアッシュ,及びその他の混和剤又は骨材を原料とし、これらを混合することにより生成され、主に骨材として混合される発泡パーライトに特徴を有する。以下、それぞれの構成材料について説明する。
(1)発泡パーライト
(1.1)原料
本発明のモルタル組成物に使用する発泡パーライトは、大分県安心院地方(宇佐市安心院町南畑周辺)で産出する黒曜石(以下「安心院産黒曜石」という。)を原料として製造される。安心院産黒曜石の原石は、約38万年前の九州北部の火山活動によって生成されたものであり、西ノ台という台地を形成しており、地層学的には比較的新しく劣化が少なく良質であるという特徴を有する。
図1は、安心院産黒曜石の原石の外観写真((a)は全体写真、(b)は斑状組織の拡大写真)、図2は、長野県産の黒曜石の原石の外観写真である。(図1〜5において、スケールの単位はmm。)安心院産黒曜石は、ガラス質黒曜石の小粒体がおこし状に固結した斑状組織をなすことを特徴としている。通常広く知られている黒曜石は、図2のように、全体が連続した大きなガラス塊状で、化学組成上は流紋岩(まれにデイサイト)で、石基はほぼガラス質であり、少量の斑晶を含むこともある。一方、安心院産黒曜石は、見かけ上もこれとは大きく異なり、図1の通りガラス質黒曜石の小粒体がおこし状に固結した斑状組織をなしており、指で擦ったり軽く衝撃を与えたりすることによって容易に小粒体に崩壊させることができる。
図3は、安心院産黒曜石の精石(分別生成した原石)の外観写真である。図3(a)は全体写真、図3(b)は1個の粒体の拡大写真である。精石は、図1の原石をクラッシャーにより破砕し、水で洗浄することで生成される。
表1に安心院産黒曜石の成分分析結果を示す。
代表的な化学成分においては、安心院産黒曜石は一般の黒曜石と大差はない。表2に安心院産黒曜石の物性の測定結果を示す。
(1.2)発泡パーライトの製造方法
1.安心院産黒曜石の精石を粉砕し、篩分級し、粒度30mm以下の原料粒体とする。なお、本明細書において「粒度」とは、粒子を篩分法で分級した際の篩径をいう。例えば、粒度1.0〜3.0mmの粒子とは、篩分級において篩径3.0mmのメッシュを通過し、篩径1.0mmのメッシュを通過しない粒径の粒子を指す。
1.安心院産黒曜石の精石を粉砕し、篩分級し、粒度30mm以下の原料粒体とする。なお、本明細書において「粒度」とは、粒子を篩分法で分級した際の篩径をいう。例えば、粒度1.0〜3.0mmの粒子とは、篩分級において篩径3.0mmのメッシュを通過し、篩径1.0mmのメッシュを通過しない粒径の粒子を指す。
2.原料粒体を、外部加熱式の乾燥用ロータリー・キルンに投入し、約200℃の温度に加熱して乾燥させる。乾燥時間は5〜20分である。
3.乾燥させた原料粒体を、約200℃の高温状態のまま、外部加熱式の焼成用ロータリー・キルンに投入し、1000℃〜1200℃の温度で焼成する。尚、1000℃以下では、原料粒体は十分に発泡しない。1200℃以上で原料粒体の融解が多くなり、1500℃以上では原料粒体は全体が融解する。焼成時間は10〜20分である。
実際の運転条件としては、1000℃〜1060℃とするのが好適である。温度上限を1060℃としたのは、これ以上温度を上げると、原料粒体が部分的に融解し、焼成用ロータリー・キルンの内部に付着し連続運転に困難を来す傾向があるからである。
4.焼成により発泡した粒体(発泡パーライト)を搬送管の外側から水冷し強制冷却させる(又は、送風により自然冷却させる)とともに、分級機で各サイズに分級する。
図4に、上記製造方法により製造された発泡パーライトの外観写真を示す。図4(a)は各粒度範囲の発泡パーライトの全体写真、図4(b)は1個の粒体の外観拡大写真である。従来の黒曜石発泡パーライトと比較するため図21に市販の黒曜石発泡パーライトの粒体の外観拡大写真を示す図20及び図5の粒体の外観拡大写真から分かるように、市販の黒曜石発泡パーライトは、連続気泡が多く、粒体表面から内部奥深くまで気泡同士が連通している。また、気泡と気泡とを離隔する隔壁が全体的に薄く(シャボン膜状に隔壁が形成されている。)圧潰しやすい。それに対して、本発明で使用する発泡パーライトは、市販の黒曜石発泡パーライトに比べて連続気泡が少なく独立気泡が多い。そのため、粒体表面に開口する開口気孔(open pore)が市販の黒曜石発泡パーライトに比べ少ない。また、それぞれの気泡が市販の黒曜石発泡パーライトに比べて全体的に緻密である(多数の微細泡の集合体)。そのため、本発明で使用する発泡パーライトは、市販の黒曜石発泡パーライトに比べて圧潰しにくい。また、表面に開口気孔が少なく滑らかであるため、粒体同士の擦れ合いによる微粉化が生じにくく、また、粒体同士が噛合結合した二次粒子が生じにくい。
図6は、本発明で使用する発泡パーライトの表面の拡大写真である。図6において、矢印で示したものが開口気孔である。従来の黒曜石発泡パーライトと比較するため図23に、市販の黒曜石発泡パーライトの表面の拡大写真を示す。図6及び図7は、ともに倍率50倍の光学顕微鏡により表面を反射光で観測したものである。尚、市販の黒曜石発泡パーライトの開口気孔の多い表面部分は凹凸が大きく、被写界深度の浅い顕微鏡での撮影は困難であったため、図7では、比較的滑らかな開口気孔の少ない表面部分を選択して撮影している。
市販の黒曜石発泡パーライトは図23から分かるように、内部の気泡が大きく、各気泡を隔てる隔壁はシャボン泡膜状の薄膜で形成されていることが分かる。従って、表面に形成される開口気孔も大きく多い(図7(a)(d)参照)。それに対して、本発明で使用する発泡パーライトは、市販の黒曜石発泡パーライトに比べて気泡が緻密であり、そのため各気泡を隔てる隔壁の間隔が狭く、開口気孔も小さく少ない。
このように、安心院産黒曜石の主要な化学成分(表1)は一般の黒曜石と大差がないにも関わらず、本発明で使用する発泡パーライトと従来の黒曜石発泡パーライトとで、焼成後の気泡の性状に大きな違いが生じるのは、原料である黒曜石の内部に含まれる水の含有量と分布状態の違いに起因すると推測される。
(1.3)発泡パーライトの特性
(A)単位容積質量
表3に、本発明で使用する発泡パーライトの単位容積質量の測定結果を示す。単位容量質量の測定は、「JIS A 5007 パーライト」による(以下同じ)。従来の通常の黒曜石発泡パーライト(市販品)は、非特許文献1に記載によれば、単位容積質量0.08〜0.3kg/L程度であり、本発明で使用する発泡パーライトは、従来の通常の黒曜石発泡パーライトの単位容積質量と同程度で、0.1〜0.3g/cm3の範囲である。
(A)単位容積質量
表3に、本発明で使用する発泡パーライトの単位容積質量の測定結果を示す。単位容量質量の測定は、「JIS A 5007 パーライト」による(以下同じ)。従来の通常の黒曜石発泡パーライト(市販品)は、非特許文献1に記載によれば、単位容積質量0.08〜0.3kg/L程度であり、本発明で使用する発泡パーライトは、従来の通常の黒曜石発泡パーライトの単位容積質量と同程度で、0.1〜0.3g/cm3の範囲である。
(B)内部気泡状態
次に、本発明で使用する発泡パーライトの内部気泡の状態について測定を行った結果について説明する。
次に、本発明で使用する発泡パーライトの内部気泡の状態について測定を行った結果について説明する。
発泡パーライトは、内部の隔壁が薄いため、そのまま切断すると隔壁が破壊されて正確な内部状態を測定するのが困難である。上述の特許文献1においては、発泡パーライトを内径20mm×高さ30mmの樹脂製容器に充填して、樹脂及び樹脂硬化剤を流入して硬化させ、硬化体を厚さ5mmに切断して走査型顕微鏡により断面を撮影し、断面画像を解析する手法を採っているが、ここでは、発泡パーライト内部の状態を直接観察できるX線CT装置を用いた。具体的には、発泡パーライトの断面をマイクロフォーカスX線CT装置(株式会社島津製作所製 inspeXio SMX-225CT)により撮影し、撮影された断面画像を画像解析することにより、発泡パーライトの内部気泡の状態について測定を行った。
図8は、本発明で使用する発泡パーライトのX線CT画像の一例である。図8(a)は粒度1〜3mmのサンプルの一断面、図8(b)は粒度3〜5mmのサンプルの一断面の画像である。実際の測定では、サンプルの断面を一定間隔ごとに複数箇所で撮影し、3次元データが得られる。
比較のため、黒曜石を原料とする市販の発泡パーライト2種類(太平洋セメント株式会社(T社)製(3号,M1(原石:北海道奥尻産)),芙蓉パーライト株式会社(F社)製(FL2号,VL5号)(原石:長野県産))を用意し同一の条件により断面撮影を行った。図9は比較例1,2(図9(a)T社製 粒度1〜3mm及び図9(b)T社製 粒度1〜3mm)の発泡パーライトのX線CT画像、図10は比較例3,4(図10(a)F社製 粒度1〜3mm及び図10(b)F社製 粒度1〜3mm)の発泡パーライトのX線CT画像である。
サンプルによってバラツキがあるが、全体的な傾向として、本発明で使用する発泡パーライトは、各比較例のものと比べて、内部隔壁の厚みが厚くCT画像においてはっきりと写る傾向が見られた。
図11は、本発明で使用する発泡パーライトのX線CT画像に基づく内部気孔の孔径分布の測定結果を表す図である。図11は粒度1〜3mmのサンプルについて測定した。CT画像より各気孔の面積を算出し、当該面積から円形換算直径を算出した。測定したサンプルに於いて、気孔の平均径0.16mm,標準偏差0.18mm,最大径1.15mmであった。しかしながら、気孔の平均径及び最大径は、サンプルの粒度に依存する。即ち、粒度の小さいサンプルほど、気孔径の分布範囲の上限が限定されるため、気孔の平均径及び最大径は小さくなる。非特許文献1はサンプルの粒度が記載されていないため、比較することはできないが、非特許文献1に掲載の写真から、サンプルの粒度は200μm〜1000μm程度であると推測される。従って、本発明で使用する発泡パーライト(粒度1〜3mm,3〜5mm)とは、気孔径のみをもって単純に比較することはできない。実際に断面画像による気孔径の測定を行ったところ、断面の取り方(位置)により見かけの気孔径にバラツキが生じることが見られた。また、特にX線CT画像では図24〜図10のように、画像ノイズや擦れが多いため、測定される気孔径の誤差が大きい。従って、内部気泡の状態を表す指標としては、気孔径はあまり良い指標ではないと考えられる。
そこで、本測定では、粒子全体の体積に対する気孔体積の割合である気孔率を指標として使用する。気孔率では、気孔形状が粒子全体で平均化されるため、気孔径に比べて粒度や断面位置の影響が小さい指標であると考えられる。気孔率測定は、X線CT画像をエッジ保存平滑化フィルタにより平滑化し、ノイズ除去処理を行った後、輪郭抽出によって隔壁(白い部分)の輪郭を抽出して面積を求め、得られた隔壁面積と粒子全体の面積(動的輪郭検出アルゴリズムにより計算)を用いて計算することにより行った。X線CT画像は複数の位置の断面画像が得られるため、これら複数の画像のそれぞれについて気孔率測定を行い、統計データを得た。
従来技術で挙げた各特許文献に係る試料は入手が困難なため、本測定では、本発明で使用する発泡パーライトと、入手可能な市販の発泡パーライト(比較例1〜4)を用いて、内部気泡の状態の比較を行った。表4に測定結果を示す。
表4において、サンプルロッド名AJ13,AJ35が本発明で使用する発泡パーライト、サンプルロッド名T13,T35が比較例1,2の発泡パーライト、サンプルロッド名F13,F35が比較例3,4の発泡パーライトである。また、σ,Min.,Max.はそれぞれ気孔率の測定値の標準偏差,最小値,最大値を表す。本発明で使用する発泡パーライトの気孔率は、平均値が70〜76%であり、比較例の従来品と比べて気孔率が低いことが分かる。
(C)硬度
(C.1)圧縮試験1(低圧試験)
本発明で使用する発泡パーライトは、従来の黒曜石発泡パーライトと比較して硬度が高いことが特徴である。そこで、従来の黒曜石発泡パーライトと本発明で使用する発泡パーライトとの硬度の比較試験を行った。従来の黒曜石発泡パーライトは発泡体が破壊点が低く極めて圧潰しやすいため、通常の圧縮試験では測定が難しい。そこで、測定方法として、内径φ150mm、高さ175mmの円筒状のモールドの筒内に供試体である発泡パーライトを充填し、その上面から各重量の載荷荷重を加えたときに上面がどの程度沈下するか圧縮沈下距離Ds[mm]を測定し、圧縮沈下距離Dsを最初の供試体の層厚(175mm)で割った値の百分率Rs=Ds/175×100[%]を圧縮沈下率とし、この圧縮沈下率により硬度の比較を行った。この測定法は、Nexco規格におけるJHS−109(破砕率試験)に準拠している(非特許文献2参照)。表5に測定結果を示す。表5において「市販品」は市販の従来の黒曜石発泡パーライトのデータを表す。
(C.1)圧縮試験1(低圧試験)
本発明で使用する発泡パーライトは、従来の黒曜石発泡パーライトと比較して硬度が高いことが特徴である。そこで、従来の黒曜石発泡パーライトと本発明で使用する発泡パーライトとの硬度の比較試験を行った。従来の黒曜石発泡パーライトは発泡体が破壊点が低く極めて圧潰しやすいため、通常の圧縮試験では測定が難しい。そこで、測定方法として、内径φ150mm、高さ175mmの円筒状のモールドの筒内に供試体である発泡パーライトを充填し、その上面から各重量の載荷荷重を加えたときに上面がどの程度沈下するか圧縮沈下距離Ds[mm]を測定し、圧縮沈下距離Dsを最初の供試体の層厚(175mm)で割った値の百分率Rs=Ds/175×100[%]を圧縮沈下率とし、この圧縮沈下率により硬度の比較を行った。この測定法は、Nexco規格におけるJHS−109(破砕率試験)に準拠している(非特許文献2参照)。表5に測定結果を示す。表5において「市販品」は市販の従来の黒曜石発泡パーライトのデータを表す。
図28は、従来の黒曜石発泡パーライトと本発明で使用する発泡パーライトとの圧縮沈下率を比較した結果である。図12(a)〜(c)は、それぞれ、粒度1.0−3.0mm,3.0−5.0mm,5.0−25.0mmの供試体における載荷荷重と圧縮沈下率との関係である。図12(d)は、載荷荷重が50kN/m2及び100kN/m2の場合における平均粒度と圧縮沈下率との関係(本発明で使用する発泡パーライトのみ)を示す図28において、「本発明」は本発明で使用する発泡パーライト、「市販品」は市販の従来の黒曜石発泡パーライトのデータを表す。供試体は、篩分級により各粒度範囲(1.0−3.0mm,3.0−5.0mm,5.0−25.0mm)に選別し、測定を行った。また図28(d)の3点は、それぞれ粒度範囲1.0−3.0mm,3.0−5.0mm,5.0−25.0mmのデータである。
表5及び図12から明らかなように、従来の黒曜石発泡パーライトと比べ、本発明で使用する発泡パーライトは、圧縮沈下率Rsが極めて小さく、硬度が大きいことが分かる。特に、供試体の粒度が大きくなるほどその違いは顕著となる。
従来の黒曜石発泡パーライトは、スポンジ状であり、指で挟んで押圧することで容易に圧潰する程度の硬度であった。従って、従来の黒曜石発泡パーライトは、耕地に混合した後に、耕耘などで土壌の攪拌を繰り返すと、発泡体が圧潰して耕地の物理性改善効果が維持できないという欠点があった。それに対し、本発明で使用する発泡パーライトは、従来の黒曜石発泡パーライトに比べて約2倍の強度があり、長期に亘る耕地の物理性改善効果が期待される。
尚、本発明で使用する発泡パーライトと非特許文献2に記載の硬質発泡パーライト(以下「文献2発泡パーライト」という。)との比較について検討する。文献2発泡パーライトの単位容積質量と硬度データについては、非特許文献2の表1に掲載されている。同表のサンプルNo.1〜16が高硬度サンプルと考えられる。非特許文献2では「圧縮強度」は、「発泡パーライトを水中に浸して静水圧を加え、40wt%が圧潰せずに残存するときの圧力」と定義されており、本明細書に記載した破砕率試験の測定方法(JHS−109(Nexco規格))とは測定法が異なるため単純に強度の比較はできない。一方、文献2発泡パーライトの単位容積質量は0.72〜0.95(kg/L)であり本発明で使用する発泡パーライトや通常の黒曜石発泡パーライト(非特許文献1)の単位容積質量の2倍以上である。従って、文献2発泡パーライトは、発泡を一定程度抑制することによって内部の気孔体積を小さくし、強度を上げていると考えられる。それに対し、本発明では通常の黒曜石発泡パーライトと同程度の単位容積質量(例えば、非特許文献1に記載の従来の黒曜石発泡パーライトは単位容積質量0.08〜0.3kg/L)であるにも関わらず、強度的に従来の黒曜石発泡パーライトよりも高強度を達成していることが特徴である。
(C.2)圧縮試験2(高圧試験)
次に、測定条件を変えて圧縮試験を行った結果について説明する。上記(A)の圧縮試験1においては、一般の土木資材で用いられる試験条件であり、試験に使用するモールド筒の内径・高さとも大きなものを使用し、比較的低い載荷加重(最大100kN/m2=0.1N/mm2)において試験を行った。そこで、圧縮試験2では、内径φ41.8mm、高さ96mmの円筒状の金属製モールドを使用し、高さ80mmまで試料を充填した状態で加圧蓋(直径41.2mm)を被せ、加圧蓋の上部から加圧棒により6N/mm2の高い載荷加重を加えて圧縮率の測定を行った。尚、上記表5に示した通り、発泡パーライトは粒度が小さいほど充填率が高くなるため、発泡パーライトの圧縮強度は粒度が小さいほど高く潰れにくくなる。そこで、本測定では、各種粒度に分級した試料を用いて圧縮試験を行った。表6にその結果を示す。
次に、測定条件を変えて圧縮試験を行った結果について説明する。上記(A)の圧縮試験1においては、一般の土木資材で用いられる試験条件であり、試験に使用するモールド筒の内径・高さとも大きなものを使用し、比較的低い載荷加重(最大100kN/m2=0.1N/mm2)において試験を行った。そこで、圧縮試験2では、内径φ41.8mm、高さ96mmの円筒状の金属製モールドを使用し、高さ80mmまで試料を充填した状態で加圧蓋(直径41.2mm)を被せ、加圧蓋の上部から加圧棒により6N/mm2の高い載荷加重を加えて圧縮率の測定を行った。尚、上記表5に示した通り、発泡パーライトは粒度が小さいほど充填率が高くなるため、発泡パーライトの圧縮強度は粒度が小さいほど高く潰れにくくなる。そこで、本測定では、各種粒度に分級した試料を用いて圧縮試験を行った。表6にその結果を示す。
表6において、製品種類AJが本発明で使用する発泡パーライト、製品種類TがT社製発泡パーライト、製品種類FがF社製発泡パーライトを表す。粒度の欄に於いて「混合(7:3)」は、粒度の小さい試料(粒度1〜3又は1.2〜2.5)と粒度の大きい試料(粒度3〜5又は2.5〜5)を7:3の割合で混合したことを表す。また、「圧縮率」は体積減少の割合を表す。平均値を比較すると、従来の発泡パーライトの圧縮率は、T社製が84.2〜86.6vol%,F社製が90.2〜94.2vol%であるのに対し、本発明で使用する発泡パーライトの圧縮率は73.1〜81.3vol%であり、圧縮強度が高いことが分かる。
図29に、発泡パーライトの単位容量質量と圧縮試験2における圧縮率との関係を示す。図13より、高圧試験における圧縮率(体積減少率)は単位容量質量にほぼ比例していることが分かる。
図14に、圧縮試験2における荷重−変位(沈下距離)曲線の一例を示す。図14において、A,Bが本発明に係る発泡パーライト、C,Dが比較に使用したT社及びF社が市販の発泡パーライトのデータを示す。各試料A〜Dの詳細については表7に示す。
いずれの試料でも載荷荷重が1〜2kN付近で曲線の傾きが急激に増加する。これは、載荷を行うことで最初は発泡パーライト内部の空隙が潰れてゆくが、それがある程度進行すると円筒容器内で骨材が圧密された状態となり、荷重が急激に増加すると解釈される。荷重−変位曲線の初期勾配及び載荷終了時(8kN)における変位に於いて、発泡パーライトの種類によって明確な違いが認められる。尚、試験条件は表6の場合と同様であり、載荷荷重8kNは6N/mm2に相当する。
図14において、初期勾配は発泡パーライトの硬さを表していると考えられる。そこで、この初期勾配がほぼ直線となる区間(変位10〜30mm)における傾きを求めた。表7に各発泡パーライトの初期勾配の傾きを示す。表7において、「浮粒率」は水に浮く粒子の割合である。浮粒率の測定は「JIS A 1143 軽量粗骨材の浮粒率の試験方法」による(以下同じ)。「体積減少率」は最大荷重(6N/mm2)におけるものである。体積減少率の測定は、「パーライトの品質向上技術に関する考察(太平洋セメント研究報告書、第162号)」による。表7より、単位容積質量が大きいほど初期勾配の傾きは大きくなり、より硬い粒子であることが分かる。
最後に、特許文献1に記載の発泡パーライトとの比較について考察する。特許文献1の表1に、黒曜石を原料とする発泡パーライトの圧縮試験結果が記載されている。特許文献1の圧縮試験は、上記の高圧圧縮試験と略同一条件であり、圧縮率(体積減少率)は62.1〜80.1vol%と比較的高い強度値が示されている。しかしながら、特許文献1においては試料の粒度の情報が開示されていない。表6及び図13から分かるように、試料の粒度が小さいほどモールド内における試料の充填率が高くなり、それに伴い圧縮強度も高くなる。特許文献1の発泡パーライトは、同文献の図1〜図11の写真より、200μm〜1000μm程度であると推測され、上記本明細書で示した発泡パーライトの試料よりも粒度が小さいと推測される。従って、本明細書における圧縮試験よりも圧縮率は小さめの値が得られていると推測される。何れにしても、試験に使用した試料の粒度に関する情報が開示されていない以上、特許文献1に記載された試験結果についてはそのまま比較することはできない。
(D)破砕率
上記(3.3)(A)の圧縮試験1と同様の方法により低圧圧縮試験を行い、供試体の破砕率の測定を行った。ここで、破砕率の測定は、以下の手順で行う。
(S1)圧縮試験前の供試体の質量w0を測定する。
(S2)上記(3.2)と同様の方法により、各載荷荷重により圧縮試験を行う。
(S3)供試体をモールドの筒内から取り出した後、篩分級によりもとの供試体の粒度範囲より小さい破砕した供試体を選別してその質量w1を測定する。
(S4)破砕率Rc=w1/w0×100[wt%]を算出する。
(D)破砕率
上記(3.3)(A)の圧縮試験1と同様の方法により低圧圧縮試験を行い、供試体の破砕率の測定を行った。ここで、破砕率の測定は、以下の手順で行う。
(S1)圧縮試験前の供試体の質量w0を測定する。
(S2)上記(3.2)と同様の方法により、各載荷荷重により圧縮試験を行う。
(S3)供試体をモールドの筒内から取り出した後、篩分級によりもとの供試体の粒度範囲より小さい破砕した供試体を選別してその質量w1を測定する。
(S4)破砕率Rc=w1/w0×100[wt%]を算出する。
表8に測定結果を示す。表8において「市販品」は市販の従来の黒曜石発泡パーライトのデータを表す。
図15は、従来の黒曜石発泡パーライトと本発明で使用する発泡パーライトとの破砕率を比較した結果である。図15(a)〜(c)は、それぞれ、粒度1.0−3.0mm,3.0−5.0mm,5.0−25.0mmの供試体における載荷荷重と破砕率との関係である。図15(d)は、載荷荷重が50kN/m2及び100kN/m2の場合における平均粒度と破砕率との関係(本発明で使用する発泡パーライトのみ)を示す。図15において、「本発明」は本発明で使用する発泡パーライト、「市販品」は市販の従来の黒曜石発泡パーライトのデータを表す。供試体は、篩分級により各粒度範囲(1.0−3.0mm,3.0−5.0mm,5.0−25.0mm)に選別し、測定を行った。また、図15(d)の3点は、それぞれ粒度範囲1.0−3.0mm,3.0−5.0mm,5.0−25.0mmのデータである。
表8及び図15から明らかなように、従来の黒曜石発泡パーライトと比べ、本発明で使用する発泡パーライトは、極めて破砕率Rcが小さく、微粉化し難いことが分かる。特に、供試体の粒度が大きくなるほどその違いは顕著となり、載荷荷重が50kN/m2の場合において、粒度範囲3.0−5.0mmでは(本発明)Rc=0.8%,(市販品)−10.4%、粒度範囲5.0−25.0mmでは(本発明)Rc=1.5%,(市販品)22.4%である。
(E)透水性及び含水比及び浮粒率
図4及び図5の外観写真から明らかなとおり、本発明で使用する発泡パーライトと従来の黒曜石発泡パーライトとは、開口気孔体積が大きく相違している。そこで、開口気孔の定量測定を行うべく吸着法による比表面積の測定を実施したところ、極めてイレギュラな値が得られ、通常の測定方法では比表面積の測定は困難であった。そこで、開口気孔体積の定量評価を行うため、保水性の測定を行った。具体的には、本発明で使用する発泡パーライトと従来の黒曜石発泡パーライトのそれぞれの供試体について、初期質量w0を測定しておき、JIS−A−1218に規定の室内透水試験(変水位法)を行い、供試体の開口気孔内に十分に水を侵入させた後、排水し30分間放置した後に再び質量w1の測定を行う。質量の増加分は開口気孔内に侵入した水の質量なので、含水比rwはrw=w1/w0により計算できる。尚、排水後30分間放置したのは、発泡パーライトの粒体間に表面張力により付着している水を十分に乾燥又は流去させるためである。表9に測定結果を示す。
(E)透水性及び含水比及び浮粒率
図4及び図5の外観写真から明らかなとおり、本発明で使用する発泡パーライトと従来の黒曜石発泡パーライトとは、開口気孔体積が大きく相違している。そこで、開口気孔の定量測定を行うべく吸着法による比表面積の測定を実施したところ、極めてイレギュラな値が得られ、通常の測定方法では比表面積の測定は困難であった。そこで、開口気孔体積の定量評価を行うため、保水性の測定を行った。具体的には、本発明で使用する発泡パーライトと従来の黒曜石発泡パーライトのそれぞれの供試体について、初期質量w0を測定しておき、JIS−A−1218に規定の室内透水試験(変水位法)を行い、供試体の開口気孔内に十分に水を侵入させた後、排水し30分間放置した後に再び質量w1の測定を行う。質量の増加分は開口気孔内に侵入した水の質量なので、含水比rwはrw=w1/w0により計算できる。尚、排水後30分間放置したのは、発泡パーライトの粒体間に表面張力により付着している水を十分に乾燥又は流去させるためである。表9に測定結果を示す。
表9より、本発明で使用する発泡パーライトの含水比は、従来の黒曜石発泡パーライトの含水比の0.23〜0.66倍であることが分かる。発泡パーライトに保水された水がほぼすべて開口気孔内にトラップされているものと考えれば、含水比は開口気孔体積にほぼ比例していると推定される。従って、本発明で使用する発泡パーライトの開口気孔体積は、従来の黒曜石発泡パーライトの約0.23〜0.66倍であると見積もることができる。本発明で使用する発泡パーライトの単位容積質量は、市販の黒曜石発泡パーライトの単位容積質量とほぼ同じことから(表3)、バルク全体の気孔体積(開口気孔と非開口気孔との合計体積)は、本発明で使用する発泡パーライトと市販の黒曜石発泡パーライトとであまり違いはないと考えられる。従って、本発明で使用する発泡パーライトでは、開口気孔が少なく、内部に独立気泡が多いことが確認された。
このように、本発明で使用する発泡パーライトは開口気孔が少なく、内部に独立気泡が多いことから、吸水水量が少ない。従って、モルタルの材料として使用する場合、発泡パーライトに吸水・拘束される水(拘束水)の量が、従来の発泡パーライトよりも少ないことから、モルタル施工時の水配合量の調製が容易となる。
次に、浮粒率をJIS A 1143(軽量粗骨材の浮粒率の試験方法)により測定した。従来の発泡パーライトは、T社製のものが「混合(7:3)」で84.1%、F社製のものが「混合(7:3)」で91.0%であった。それに対して、本発明で使用する発泡パーライトの浮粒率は、粒度5mm以下のもので59.8%,「混合(7:3)」で76.1%であった。従って、本発明で使用する発泡パーライトは、従来製品と比較して浮粒率が小さく、モルタル骨材として混練が容易であるといえる。
(F)熱伝導率
最後に、本発明で使用する発泡パーライトの熱伝導率について測定した結果について説明する。熱伝導率の測定は、福岡県工業技術センターの熱定数測定システム(NETZSCH)により行った。表10に測定結果を示す。尚、「製品種類」及び「粒度」の欄の記載方法については、表6と同様である。
(F)熱伝導率
最後に、本発明で使用する発泡パーライトの熱伝導率について測定した結果について説明する。熱伝導率の測定は、福岡県工業技術センターの熱定数測定システム(NETZSCH)により行った。表10に測定結果を示す。尚、「製品種類」及び「粒度」の欄の記載方法については、表6と同様である。
従来の発泡パーライトは、熱伝導率が、0.58〜0.60W/mK(T社製)及び0.52〜0.54W/mK(F社製)であるのに対し、本発明で使用する発泡パーライトは、0.68〜0.75W/mKであり、従来のものと比較して高い熱伝導率を示す。図16に、単位容量質量と熱伝導率との関係を示す。単位容量質量に対して熱伝導率は略比例関係を示している。粒子内において熱は主に粒子内の隔壁を通じて伝導する。単位容量質量が大きいほど、粒子内部の隔壁の体積が大きいため、熱伝導率が大きくなると考えられる。
(2)セメント
本発明においては、セメントは、通常の市販のセメント(普通ポルトランドセメントやアルミナセメント)を使用する。しかしながら、本発明のモルタル組成物では、主に耐熱性・耐火性が重視する観点から、特にアルミナセメントを使用するのが好適である。
本発明においては、セメントは、通常の市販のセメント(普通ポルトランドセメントやアルミナセメント)を使用する。しかしながら、本発明のモルタル組成物では、主に耐熱性・耐火性が重視する観点から、特にアルミナセメントを使用するのが好適である。
(3)フライアッシュ
フライアッシュは、石炭を燃焼する際に生じる灰であり、燃焼時に燃焼ガスとともに吹き上げられて電気集塵機などで回収されるものである。フライアッシュは、耐熱性・耐火性材料である。本発明に於いて、フライアッシュの成分については特に限定しないが、加熱時の温度上昇抑制効果の観点から、改質フライアッシュ(Carbon-free Fly Ash:CfFA)を使用するのが好適である。「改質フライアッシュ」とは、フライアッシュ中の未燃カーボンを強熱減量換算で1wt%以下に削減したものをいう。フライアッシュ中に未燃カーボンが含まれていると、加熱時に未燃カーボンの自燃によりモルタル内の温度上昇が生じ耐火性が低下する。改質フライアッシュは、斯かる自燃効果が少なく、モルタル内の温度上昇の抑制に効果的である。
フライアッシュは、石炭を燃焼する際に生じる灰であり、燃焼時に燃焼ガスとともに吹き上げられて電気集塵機などで回収されるものである。フライアッシュは、耐熱性・耐火性材料である。本発明に於いて、フライアッシュの成分については特に限定しないが、加熱時の温度上昇抑制効果の観点から、改質フライアッシュ(Carbon-free Fly Ash:CfFA)を使用するのが好適である。「改質フライアッシュ」とは、フライアッシュ中の未燃カーボンを強熱減量換算で1wt%以下に削減したものをいう。フライアッシュ中に未燃カーボンが含まれていると、加熱時に未燃カーボンの自燃によりモルタル内の温度上昇が生じ耐火性が低下する。改質フライアッシュは、斯かる自燃効果が少なく、モルタル内の温度上昇の抑制に効果的である。
また、フライアッシュは、ポゾラン効果(水酸化カルシウムと化合して、不溶性かつ硬化性を有する化合物を生成する効果)を有し、長期に亘るモルタルの強度上昇の効果を有する。
(4)その他
その他、セメントの分散効果を高めるために、減水剤を使用するのが好ましい。また、船舶の艤装材(耐火性床材など)や建築物の耐火材として本発明に係るモルタル組成物使用する場合には、鋼板などへの接着性を付与するために合成樹脂ポリマーを添加する。
その他、セメントの分散効果を高めるために、減水剤を使用するのが好ましい。また、船舶の艤装材(耐火性床材など)や建築物の耐火材として本発明に係るモルタル組成物使用する場合には、鋼板などへの接着性を付与するために合成樹脂ポリマーを添加する。
〔2〕モルタル組成物の調整手順と割合
まず、モルタル組成物の各構成成分の適度な調合割合を調べるため、水−セメント比、水−粉体比等を変えたサンプルを複数作成し、それぞれのサンプルについてフレッシュ性状及び硬化体の性状を調査した。
まず、モルタル組成物の各構成成分の適度な調合割合を調べるため、水−セメント比、水−粉体比等を変えたサンプルを複数作成し、それぞれのサンプルについてフレッシュ性状及び硬化体の性状を調査した。
図17に、本発明の実施例に係るモルタル組成物の嵩容積調合を示す。また、各構成材料の配合比を表11に示す。表11において、「C」はセメント、「S」は細骨材(発泡パーライト)、「CfFA」は改質フライアッシュ、「P」は粉体(結合材(C+ CfFA))を表す。「W/C」は水-セメント比(質量%)、「W/P」は水-紛体比(質量%)、「CfFA/P」はフライアッシュ-紛体比(質量%および嵩容量%)、「S/C」はセメントに対する細骨材の嵩容積比、S/Pは粉体に対する細骨材の質量比を表す。「単位容量質量」は、モルタル組成物の単位容量当たりに含まれる質量である。
表11に、今回実験を行った各実施例のモルタル組成物の配合比率を示す。W/Pは45,55,65%の3水準とし、パーライト混入率はセメントの嵩に対するパーライトの嵩(以下、S/C嵩比)を0,1,2,3の4水準とした計12調合とした。CfFA混入率も嵩比を用い、粉体量の25%とした。
表11の各実施例において、細骨材である発泡パーライトには、安心院産黒曜石を原料とする実施例1の発泡パーライトのうち、粒度が1〜3mmと粒度が3〜5mmのものを質量比7:3で混合したものを使用した。単位容積質量(嵩密度)はJIS A 5007「パーライト」に準じて求めた。セメントは普通ポルトランドセメントを使用し、フライアッシュには未燃カーボンを強熱減量換算で1%以下に削減した改質フライアッシュを使用した。実験に使用した普通ポルトランドセメントは、密度3.16g/cm3,嵩密度1.67kg/L、CfFAは、密度2.21g/cm3,嵩密度1.22kg/Lであった。なお、ここでいう「嵩密度」の値は、試料を容器にゆるく充填した場合の「ゆるみ嵩密度」の値である。
発泡パーライトの表乾状態を作製すること、またその状態を保持することが困難であったことから、調合設計を行うに当たり、パーライトを気乾状態で使用し、調合に嵩比を用いた。その理由は、実際にパーライトを使用する場合の多くが気乾状態であること、また、パーライトの表乾状態の判定が難しいため正確な密度および吸水率を求めることができず、容積調合が困難であることによる。
〔3〕モルタル製品の特性
〔3.1〕供試体の製造及び試験方法
表12にモルタル製品の特性試験の試験項目を示す。表12において、試験方法についてはJIS規格に規定されており、その規格番号を掲載している。
〔3.1〕供試体の製造及び試験方法
表12にモルタル製品の特性試験の試験項目を示す。表12において、試験方法についてはJIS規格に規定されており、その規格番号を掲載している。
供試体の練混ぜは、容量5リットルのモルタルミキサを使用し、セメント,CfCA,細骨材(発泡パーライト)の順に練り鉢に入れ、空練りを低速で15秒行い、そこに水を加えて低速で120秒練って行った。供試体は、すべて材齢1日で脱型し、気中養生を行った。なお、練混ぜ及び各養生は、恒温恒湿室内(20±1℃,65±5%R.H.)にて行った。
圧縮強度試験用供試体はφ50×100mmのプラスチック製型枠を用いて成型した。曲げ強度試験および熱伝導率試験用供試体は250×250×25mmの木製型枠を用いて成型し、脱型後に40×12.5×25mmに切り出して作製した。
圧縮強度試験は、上面に硫黄キャッピングを施し、材齢7,28日に各4体ずつ実施し、歪みも測定しヤング係数を算出した。曲げ強度試験は、材齢7、28日に各3体を用いて、スパン100mm三点曲げ載荷によって行った。なお、各強度試験は、何れも容量250kN変位制御型試験機を用いて実施した。
熱物性試験は、迅速熱伝導率計(熱線法)を使用し、熱伝導率を測定した。
〔3.2〕試験結果及び考察
(1)フレッシュ性状
表13に、表11の各実施例のモルタル組成物のフレッシュ性状の測定結果を示す。
(1)フレッシュ性状
表13に、表11の各実施例のモルタル組成物のフレッシュ性状の測定結果を示す。
表13において、空気量はモルタル用エアメータを用いて測定したが、機器の上限が20vol%のため、実施例3,4,7,8,11,12については測定できなかった。
図18にS/C嵩比とフロー値比の関係を示し、図19にS/C嵩比とフロー値比の関係を示す。図18より、全体的にはS/C嵩比の増加に伴いフロー値の低下が見られ、特にS/C嵩比3においてS/C嵩比2と比べて著しい低下が認められる。また、図19より、フロー値の低下率は、W/Pが異なっても大きな差はないことが分かる。
図20にS/C嵩比と単位容積質量の関係を示す。図より、練上がり時の単位容積質量は、W/P45%のS/C嵩比3を除き、S/C嵩比の増加に伴い低下することが分かった。また、W/P45%のS/C嵩比3の単位容積質量が高くなった原因としては、S/C嵩比3はパーライトの量が多いため、練混ぜ時にパーライトが摩耗あるいは破砕し、骨材容積が減少した可能性が考えられる。
(2)圧縮強度
表14に、表11の各実施例のモルタル組成物を硬化させた状態における圧縮強度試験の測定結果を示す。
表14に、表11の各実施例のモルタル組成物を硬化させた状態における圧縮強度試験の測定結果を示す。
図21にS/C嵩比と圧縮強度の関係を示し、図22にS/C嵩比とヤング係数の関係を示す。図より、S/C嵩比の増加に伴い圧縮強度およびヤング係数は低下した。また、W/Pが高いほどその低下はゆるやかになる傾向を示した。これは、W/Pが高いほどペースト強度が小さくなり、パーライトの強度との相対性な差が小さくなるためと考えられる。
図23にS/C嵩比と圧縮供試体の単位容積質量との関係を示す。図より、S/C嵩比の増加に伴い単位容積質量は低下した。また、ペーストに比べS/C嵩比が1増加すると、単位容積質量は1割ほど低下することが分かる。
図24に単位容積質量と圧縮強度の関係を示す。図より、単位容積質量の増加に伴い圧縮強度が高くなる傾向を示した。また、W/P65%の相関係数(R)が低いものの、W/Pごとにおおむね単位容積質量と圧縮強度とは直線関係にあることが分かる。
図25にS/C嵩比と曲げ強度の関係を、図26に単位容積質量と曲げ強度の関係を示す。両者の関係は圧縮強度と同様の傾向を示した。
図27に、単位容量質量と曲げ強度との関係を示す。図27より、単位容量質量と曲げ強度とは、養生条件の違いによる影響は殆ど無く、ほぼ比例関係にあることが分かる。
(4)熱物性
表16に、モルタル組成物を硬化・養生した状態(気中養生,材齢7,28日)における熱物性試験結果を示す。
表16に、モルタル組成物を硬化・養生した状態(気中養生,材齢7,28日)における熱物性試験結果を示す。
図28にS/C嵩比と熱伝導率の関係を示し、図29に単位容積質量と熱伝導率の関係を示す。図28より、S/C嵩比の増加に伴い熱伝導率は低下する傾向を示した。また、図29より、単位容積質量の低下に伴い熱伝導率も低くなる傾向を示した。単位容積質量と熱伝導率の関係は、S/C嵩比にかかわらず一つの直線で近似できることが分かる。
〔3.3〕従来例との比較
次に、本発明のモルタル組成物と従来のモルタル組成物との比較試験を行った結果について説明する。
次に、本発明のモルタル組成物と従来のモルタル組成物との比較試験を行った結果について説明する。
表17に、比較試験に使用した細骨材(発泡パーライト)の性状を示す。表17において、A(製造者「安心院」)が本発明で使用する安心院産黒曜石を原料とする発泡パーライト(以下「安心院パーライト」という。)、B(製造者「T社」)がT社製の市販の発泡パーライト(以下「太平洋パーライト」という。)、C(製造者「F社」)がF社製の市販の発泡パーライト(以下「芙蓉パーライト」という。)である。A〜Cのそれぞれの細骨材は、粒度1〜3mmと粒度3〜5mmのものを質量比7:3の割合で混合したものを使用した。
表18に、比較用の各供試体を作成するために使用した原料の密度及び嵩密度を示す。比較のため、細骨材(発泡パーライト)のみを変更した3種類の供試体を作成した。
表19に、比較試験において作製したモルタル組成物の配合比率を示す。「種類」の欄は、細骨材の種類であり、表17のA〜Cに対応する。尚、「ペースト」は、細骨材が入っていないモルタルペーストである。表19における各記号は、表11と同様である。この配合においては、使用する発泡パーライトの物性が大きく異なり、また、吸水率と密度が測定できないことから、モルタルの軟らかさ(フロー値)が0打フロー値で200mm程度になるように配合比率を決定している。その際、W/Pを質量パーセントで55.0%に、CfFA/Pの嵩容積比率を0.25に固定してフロー値を求めたことから、S/Cの嵩容積比が使用した発泡パーライトによって異なる結果となっている。
表20に、比較試験における各モルタル組成物のフレッシュ性状の測定結果を示す。表20における各記号は、表11と同様である。また、各測定項目の測定方法については、表12で説明した通りである。表から分かるように、発泡パーライトの種類に関わらず0打フロー値は200mm程度となっている。
供試体の練混ぜは、容量5リットルのモルタルミキサを使用し、セメント,CfCA,細骨材(発泡パーライト)の順に練り鉢に入れ、空練りを低速で15秒行い、そこに水を加えて低速で120秒練って行った。供試体は、すべて材齢1日で脱型し、気中養生を行った。なお、練混ぜ及び各養生は、恒温恒湿室内(20±1℃,65±5%R.H.)にて行った。
圧縮強度試験用供試体はφ50×100mmのプラスチック製型枠を用いて成型した。曲げ強度試験および熱伝導率試験用供試体は250×250×25mmの木製型枠を用いて成型し、脱型後に40×12.5×25mmに切り出して作製した。
表21に、比較試験における各モルタル組成物の硬化性状の測定結果を示す。表21における各記号は、表11と同様である。また、各測定項目の測定方法については、表12で説明した通りである。
図30に単位容積質量と圧縮強度の関係、図31に単位容積質量と曲げ強度の関係を示す。安心院パーライトを用いたモルタルに対して、芙蓉パーライトは骨材自体の単位容積質量が小さいこともあってモルタルの強度は低くなっている。太平洋パーライトは骨材自体の単位容積質量は安心院パーライトよりも小さいが、モルタルのフロー値を同じにした場合はS/Cの嵩容積比が若干大きくなっているものの強度は同等か若しくは若干小さくなっていることが分かる。
図32は圧縮強度とヤング係数の関係であるが、骨材の種類や材齢に関わらず、両者には相関があることが分かる。
図33に単位容積質量と熱伝導率の関係を示す。単位質量が大きくなれば熱伝導率も大きくなり、両者には骨材の種類に関わらず相関関係が認められる。また、材齢の影響は僅かに認められる程度である。安心院パーライトを用いたモルタルに対して,太平洋パーライトの場合は若干大きく,芙蓉パーライトの場合は小さくなっていることが分かる。
Claims (3)
- 発泡パーライト及びフライアッシュを含む骨材と、セメントとを混合してなるモルタル組成物において、
前記発泡パーライトは、大分県安心院地方で産出される、ガラス質黒曜石の小粒体がおこし状に固結した斑状組織をなす安心院産黒曜石原石を、粒状に粉砕して生成される黒曜石粒体を、加熱し発泡させてなる発泡パーライトであって、
篩分級による粒度が5mm以下であり、
単位容積質量0.1g/cm3以上0.3g/cm3以下であり、
平均気孔率が70体積%以上76体積%以下であり、
熱伝導率が0.068W/mK以上0.075W/mK以下であることを特徴とするモルタル組成物。 - 前記発泡パーライトは、前記安心院産黒曜石原石を、粉砕し分級することにより粒度0.5〜30mmの黒曜石粒体を生成し、
前記黒曜石粒体を、外熱式ロータリー・キルンにより温度1000〜1200℃で10〜20分間焼成することにより発泡させて生成され、冷却後に分級選別することにより製造されたものであることを特徴とする請求項1記載のモルタル組成物。 - 前記発泡パーライトは、
内径φ41.8mm、高さ80mmの円筒に前記発泡パーライトを充填し載荷加重6N/mm2で圧縮する圧縮試験による体積減少率が、
粒度1〜5mmに対して、73.1vol%以上81.3vol%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のモルタル組成物。
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