JP2016130838A - 頭部装着型表示装置、表示方法 - Google Patents

頭部装着型表示装置、表示方法 Download PDF

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Ikue Kawashima
伊久衞 川島
平野 成伸
Shigenobu Hirano
成伸 平野
片野 泰男
Yasuo Katano
泰男 片野
愛乃 長谷川
Yoshino Hasegawa
愛乃 長谷川
祐馬 臼井
Yuma Usui
祐馬 臼井
大島 淳
Atsushi Oshima
淳 大島
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Abstract

【課題】供給する映像のコントラストを向上すると共に、供給する映像以外の視覚情報の視認性の低下を抑制可能な頭部装着型表示装置を提供すること。
【解決手段】本頭部装着型表示装置は、装着者の視野範囲にある視覚情報を収集する視覚情報収集手段と、前記視覚情報の中から予め設定された対象情報を抽出し、前記対象情報が存在する視野領域を特定する視野領域特定手段と、前記対象情報と関連する関連情報を、前記装着者の視野範囲に映像として供給する映像供給手段と、外部から入射する光の透過率を変化させる調光フィルタと、前記調光フィルタの前記透過率を制御し、前記関連情報が供給される視野領域に存在する前記関連情報以外の視覚情報を、元の明るさよりも暗い視覚情報とする調光手段と、を有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、頭部装着型表示装置、及び頭部装着型表示装置に映像を表示する表示方法に関する。
従来、使用者の頭部に装着され、表示した映像の光と外界からの光を眼に導いて、映像と外界の像を提供する頭部装着型表示装置(所謂、ヘッドマウントディスプレイ)が知られている。
このような頭部装着型表示装置の一例として、周囲の景色と一対の小型ディスプレイに映し出される映像とを、一対の反射ミラーと一対の接眼レンズと偏光ビームスプリッタからなる光学系を介して光学的に重ねて見えるように構成した装置が挙げられる。この装置では、偏光ビームスプリッタの前方に、透過率を可変できる減光シャッタが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記の装置では、装置を装着した状態で周囲の明るさが明るい場合は、減光シャッタ全体の透過率を下げる必要があり、映像のコントラストは高くできても、映像と一緒に装着者の視野領域全体が暗くなる。そのため、映像以外の視覚情報の視認性が低下してしまう。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、供給する映像のコントラストを向上すると共に、供給する映像以外の視覚情報の視認性の低下を抑制可能な頭部装着型表示装置を提供することを目的とする。
本頭部装着型表示装置は、装着者の視野範囲にある視覚情報を収集する視覚情報収集手段と、前記視覚情報の中から予め設定された対象情報を抽出し、前記対象情報が存在する視野領域を特定する視野領域特定手段と、前記対象情報と関連する関連情報を、前記装着者の視野範囲に映像として供給する映像供給手段と、外部から入射する光の透過率を変化させる調光フィルタと、前記調光フィルタの前記透過率を制御し、前記関連情報が供給される視野領域に存在する前記関連情報以外の視覚情報を、元の明るさよりも暗い視覚情報とする調光手段と、を有することを要件とする。
開示の技術によれば、供給する映像のコントラストを向上すると共に、供給する映像以外の視覚情報の視認性の低下を抑制可能な頭部装着型表示装置を提供できる。
第1の実施の形態に係る表示装置の外観を例示する斜視図である。 装着者が表示装置を装着した様子を例示する左側面図である。 装着者が表示装置を装着した様子を例示する平面図である。 第1の実施の形態に係る表示装置の構成を部分的に例示する模式図である。 調光フィルタの構造を例示する断面図である。 第1の実施の形態に係る対象情報及び関連情報の表示について説明する模式図である。 第1の実施の形態に係る表示装置の情報処理の流れを例示する図である。 第1の実施の形態に係る表示装置の制御部の機能ブロックを例示する図である。 第1の実施の形態の変形例1に係る表示装置の情報処理の流れを例示する図である。 第1の実施の形態の変形例2に係る対象情報及び関連情報の表示について説明する模式図である。 外光の光強度A、透過光の光強度B、及び映像の光強度Cの関係について説明する図である。 調光フィルタの透過率と映像表示部のディスプレイ輝度の調節について説明する図である。 調光フィルタの透過率の変化を例示する図である。 視認性の官能評価の一例の結果を示す図である。 図14を光強度比に対する映像の視認性レベルとしてプロットし直した図である。 映像の種類による光強度比に対する映像の視認性レベルのカーブの違いを例示する図である。 映像表示部の光源の駆動電圧と光強度検出手段の検出値との関係を例示する図である。 制御部に予め記憶された調節テーブルの例である。 外光の明るさとセンサの出力電圧との関係を例示する図である。 調光フィルタの駆動電圧と調光フィルタの透過率との関係を例示する図である。 自動調節を行う制御部のブロックを例示する図である。 階調数を下げた場合の効果について説明する写真の例である。
以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置の外観を例示する斜視図である。図2は、装着者が表示装置を装着した様子を例示する左側面図である。図3は、装着者が表示装置を装着した様子を例示する平面図である。図4は、第1の実施の形態に係る表示装置の構成を部分的に例示する図である。
図1〜図4を参照するに、表示装置1は、主に、映像表示部10と、光学部20と、導光板30と、調光フィルタ40と、ハーフミラー50と、センサ60と、制御部70とを有しており、人間(装着者100)の頭部に装着可能な頭部装着型表示装置である。表示装置1は、例えば、眼鏡に類する形状とすることができる。
表示装置1は、左右に1組ずつ略対称に設けられたフロント1a及びテンプル1bにより構成されている。フロント1aは、例えば、導光板30により構成することができ、映像表示部10、光学部20、制御部70等は、例えば、テンプル1bに内蔵することができる。なお、図4では、左眼用の構成を例示しているが、表示装置1は右眼用としても同様の構成を有している。
表示装置1は、調光フィルタ40を介して外部から入射する光(外界の映像)をハーフミラー50を透過させて、表示装置1の装着者100に視認させると共に、それに重畳させて映像表示部10からの映像を装着者100に視認させることが可能な装置である。以下、表示装置1の各構成要素について説明する。
映像表示部10は、例えば、液晶表示素子であり、光源から赤色光、緑色光及び青色光を含む光を発生させ、光源からの光を拡散させて光学部20に向けて出射する。映像表示部10が液晶表示素子である場合、例えば、映像表示部10の背面側(光学部20側とは反対側)にはバックライト80(映像表示部10の光源)が配される。バックライト80の発する光の強さを制御部70で制御することで、映像表示部10に表示させる映像の光強度(輝度)を調節することができる。
なお、映像表示部10に表示させる映像は、例えば、表示装置1の外部から有線や無線で供給することができる。或いは、表示装置1に着脱可能な記憶部(メモリーカード等)を設け、記憶部を介して映像を供給する構成にしてもよい。
光学部20は、映像表示部10から出射された光を導光板30に導く部分であり、例えば、レンズ21やミラー22を有している。光学部20は、複数のレンズを有する構成としてもよいし、プリズム等を用いる構成としてもよい。
導光板30は、光学部20から出射された光を内壁面で反射させながらハーフミラー50に導光する部分である。導光板30は、光学部20から出射された光の波長に対して透過性を有する樹脂等により形成されている。ハーフミラー50は、導光板30からの光を表示装置1の背面側に反射し、表示装置1の装着者100の眼(図4では左眼100L)の方向に出射する部分である。
調光フィルタ40は、外部から表示装置1に入射する光の透過率を電気的に変化させる部分であり、例えば、導光板30の前面(装着者100の眼とは反対側)に、装着者100の視野を覆う形で設けられている。調光フィルタ40は、例えば、エレクトロクロミック素子を用いて構成できる。エレクトロクロミック素子は、例えば、可視光に対して透明なガラス基板上若しくはプラスチック基板上に形成することができる。調光フィルタ40としてエレクトロクロミック素子を用いることで、透過率を電気的に制御可能とすると共に、液晶と偏向子を調光フィルタとして用いる場合に比べ、透過率が高い領域の範囲を広げ、後述する関連情報の視認性を損うことを防止できる。
ここで、図5を参照しながら、調光フィルタ40の構造の一例について説明する。調光フィルタ40は、表示基板41上に酸化チタン粒子膜42及び表示層43を形成し、10μm程度のスペーサ44を介して対向基板45を貼り合わせたセル構造とすることができる。セル構造内には、電解液として、例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・テトラシアノボレートが封入されている。
表示基板41としては、例えば、150mm×80mm程度のITO導電膜付きフィルム基板を用いることができる。酸化チタン粒子膜42は、例えば、表示基板41上に酸化チタンナノ粒子分散液をスピンコート法等により塗布し、120℃程度の温度で15分間程度アニール処理を行うことによって形成できる。
表示層43は、例えば、酸化チタン粒子膜42上に下記の構造式(化1)で示される化合物の1wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液を塗布液としてスピンコート法等により塗布する。そして、120℃程度の温度で10分間程度アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜42を構成する酸化チタン粒子表面にエレクトロクロミック化合物を吸着させて形成できる。
調光フィルタ40は、調光フィルタ40内の任意の位置や大きさの透過率を制御部70により可変制御できるよう構成されている。この機能は、例えば、対向基板45として透過率の高い薄膜トランジスタアレイを用いることで実現できる。例えば、装着者100の視野領域を複数の画素に分割し、各画素に対応する薄膜トランジスタを備えた薄膜トランジスタアレイを対向基板45として用いる。そして、調光フィルタ40の表示層43への電力供給を各薄膜トランジスタにより個別に制御することで、任意の位置や大きさで表示層43の透過率を可変制御可能となる。
或いは、粗い制御でもよい仕様であれば、例えば、対向基板45を装着者100の視野領域に対応する数個程度の領域(セグメント)に分割し、各セグメントに対して個別配線を設けてもよい。個別配線への電力供給を制御することで、セグメント毎に表示層43の透過率を可変制御可能となる。この方法は、対向基板45として薄膜トランジスタアレイのような高価な部品を用いなくて良い点で好適である。
図1〜図4の説明に戻り、センサ60は、表示装置1の装着者100の視野範囲にある視覚情報を収集するセンサである。センサ60としては、例えば、ノートパソコンやスマートフォン等に使用される小型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラを用いることができる。センサ60としてCCD(Charge Coupled Device)カメラ等を用いても構わない。センサ60は、例えば、フロント1a上に取り付けることができる。センサ60は、本発明に係る視覚情報収集手段の代表的な一例である。
制御部70は、装着者100の視覚情報の処理や調光フィルタ40の透過率の調節等を行う部分である。制御部70は、これ以外の様々な機能を有していても構わない。制御部70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、メインメモリ等を含むように構成することができる。
この場合、制御部70の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現できる。制御部70のCPUは、必要に応じてRAMからデータを読み出したり、格納したりできる。但し、制御部70の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、制御部70は、物理的に複数の装置等により構成されてもよい。
電源90は、映像表示部10、調光フィルタ40及び制御部70等に電力を供給する部分である。電源90としては、例えば、ボタン電池等を用いることができる。なお、映像表示部10を駆動させるための電源(バックライト80を駆動させるための電源も含む)と、調光フィルタ40を駆動させるための電源に同一の電源90を用いることにより、表示装置1を軽量化することができる。但し、電源90を表示装置1に内蔵せずに、表示装置1の外部から電源を供給する構成にしてもよい。
次に、図6を参照しながら、表示装置1における対象情報と関連情報について説明する。対象情報とは、表示装置1に予め設定された(例えば、制御部70のRAM等に登録された)情報であり、関連情報を供給する対象となる情報である。関連情報とは、対象情報と関連する情報である。対象情報は、例えば、装着者100の視野領域に存在する視覚情報の内、表示装置1で関連情報を映像として供給した場合に、装着者100の行動の質の向上や、行動の時間の短縮等に貢献できる情報とすることができる。
例えば、小売業等において、来店した人の顔を認識し、これまでの来店記録や来店した人の好み等を映像で提示することができれば効率的に接客が可能となる。この場合、対象情報として『人の顔』を設定すると好適である。これにより、例えば、図6に示すように、装着者100の視野領域200に『人の顔』が存在すると、表示装置1が『人の顔』を対象情報300や310として認識する。そして、表示装置1は、関連情報400や410として、例えば、『これまでの来店記録や来店した人の好み等』を映像として表示する。
或いは、対象情報として『商品のバーコード』を登録しておけば、装着者100の視野領域に『商品のバーコード』が存在すると、表示装置1が『商品のバーコード』を対象情報として認識する。そして、表示装置1は、関連情報として、例えば、『製品情報、入荷日時、出荷予定日時、出荷予定先等』を映像として表示する。
通常、バーコードはスキャナ等で読み取り、読み取った情報をディスプレイ等に表示させるが、表示装置1を用いることで、バーコードが装着者100の視野領域に入った際に、そのバーコードに関連する情報を即座に認識することができる。その結果、在庫の棚卸し等の効率を大幅に向上できる。
なお、図6の例では、装着者100の視野領域200の左上に対象情報300及び関連情報400が存在し、かつ、装着者100の視野領域200の右下に対象情報310及び関連情報410が存在するが、これには限定されない。又、対象情報の設定は、装着者100自身が行ってもよいし、表示装置1の管理者(例えば、小売業者を束ねる代表者)が行ってよい。
次に、図6から図8を参照しながら、対象情報が『人の顔』である場合の、表示装置1による情報処理方法の一例について説明する。なお、図7は情報処理の流れを例示する図であり、図8は制御部70の機能ブロックを例示する図である。
まず、ステップS501では、表示装置1のセンサ60は、表示装置1の装着者100の視野範囲にある視覚情報を収集し、収集した視覚情報を制御部70に送信する。例えば、センサ60は、図6の視野領域200内の視覚情報を収集し、収集した視覚情報を制御部70に送信する。
次に、ステップS502では、制御部70の視野領域特定手段71は、センサ60が収集した視覚情報の中から、予め設定された対象情報を抽出する。そして、ステップS503では、制御部70の視野領域特定手段71は、対象情報が存在する視野領域を特定する。
例えば、視野領域特定手段71は、センサ60が収集した視覚情報の中から、図6の対象情報300を抽出し、対象情報300が存在する視野領域300aを特定する。又、図6の対象情報310を抽出し、対象情報310が存在する視野領域310aを特定する。なお、対象情報が人の顔である場合には、視野領域特定手段71は、例えば、制御部70のROM等に記録された顔検出ソフトを用いて対象情報を抽出することができる。又、視野領域の特定は、例えば、装着者100の視野領域200を予め複数の画素に分割し、視野領域特定手段71が各画素のアドレスを予め認識しておくことで特定できる。
ここで、対象情報が存在する視野領域の特定とは、センサ60で撮影した映像のどの領域に対象情報が存在するかを特定する作業を示す。具体的には、対象情報が人の顔である場合には、対象情報が存在する視野領域として、例えば、人の顔の輪郭に隣接する長方形の領域を特定する。又、バーコードやQRコード(登録商標)の場合には、対象情報が存在する視野領域として、例えば、コードが存在する領域に隣接する長方形若しくは正方形の領域を特定する。対象情報が存在する視野領域は、どこの視野領域に関連情報を供給するかの基準となる。
次に、ステップS504では、制御部70の関連情報生成手段72は、抽出した対象情報と関連する関連情報を検索し、装着者100に映像として供給するのが適切な情報を生成する。例えば、対象情報が人の顔である場合には、抽出した人の顔の特徴点を検出して予めデータベースに蓄えられた顔の情報と照合して人物を特定し、特定した人物について、映像として供給するのが適切な情報(来店履歴、好み等)を生成する。
人の顔の特徴点は、例えば、制御部70のROM等に記録された顔認識ソフトを用いて検出することができる。ここで、適切な情報とは、その情報を映像として供給することで、装着者100の行動の質の向上や、行動の時間の短縮等に貢献できる情報を指す。なお、ステップS503の処理とステップS504の処理とは、並行して行われても構わない。
次に、ステップS505では、制御部70の映像供給手段73は、対象情報が存在する視野領域と適切な位置関係に、関連情報を映像として供給する視野領域を特定する。ここで、適切な位置関係とは、供給する関連情報が対象情報と関連することを直感的に理解させることが可能な位置関係を示す。具体的には、対象情報が存在する視野領域と隣接又は重畳し、視認性等の観点から適切な大きさと形状の領域を、関連情報を供給する視野領域とする。
なお、図6は、映像供給手段73が、対象情報300が存在する視野領域300aと一部が重畳するように、関連情報を供給する視野領域400aを特定した例である。又、対象情報310が存在する視野領域310aと一部が重畳するように、関連情報を供給する視野領域410aを特定した例である。
次に、ステップS506では、制御部70の映像供給手段73は、関連情報が供給される視野領域と全部又は一部を重畳させる形で、関連情報以外の視覚情報の明るさを制御する領域(暗い視覚情報を装着者100に視認させる視野領域)を特定する。明るさを制御する領域は、供給する関連情報のコントラストを向上させる目的で決定されるため、関連情報が供給される視野領域と全部又は一部が重畳していることが好ましい。例えば、明るさを制御する領域は、関連情報が供給される視野領域と一致させることができる。
なお、図6は、関連情報を供給する視野領域400aと明るさを制御する領域とを一致させ、関連情報を供給する視野領域410aと明るさを制御する領域とを一致させた例である。すなわち、関連情報を供給する視野領域400a=明るさを制御する領域、関連情報を供給する視野領域410a=明るさを制御する領域とした例である。
次に、ステップS507では、制御部70の映像供給手段73は、関連情報を、装着者100の視野範囲に映像として供給する。次に、ステップS508では、制御部70の調光手段74は、調光フィルタ40の透過率を制御し、明るさを制御する領域(すなわち、関連情報が供給される視野領域)に存在する関連情報以外の視覚情報を、元の明るさよりも暗い視覚情報とする。ステップS507とS508とは略同時に実行される。
例えば、映像供給手段73は、図6の視野領域400aに関連情報400を供給する。そして、調光手段74は、図6の明るさを制御する領域(すなわち、視野領域400a)に存在する関連情報400以外の視覚情報を、元の明るさよりも暗い視覚情報とする。なお、関連情報の視認性が損なわれなければ、明るさを制御する領域に存在する関連情報400以外の視覚情報の一部のみを、元の明るさよりも暗い視覚情報としてもよい。
又、映像供給手段73は、図6の視野領域410aに関連情報410を供給する。そして、調光手段74は、図6の明るさを制御する領域(すなわち、視野領域410a)に存在する関連情報410以外の視覚情報を、元の明るさよりも暗い視覚情報とする。なお、関連情報の視認性が損なわれなければ、明るさを制御する領域に存在する関連情報410以外の視覚情報の一部のみを、元の明るさよりも暗い視覚情報としてもよい。
なお、調光フィルタ40の透過率は、制御部70の調光手段74から調光フィルタ40に定電圧を印加する時間により調節できる。つまり、定電圧を印加する時間により、調光フィルタ40の表示層43の電荷量(電流の時間積算)を制御して表示層43の着色度を変えることで、調光フィルタ40の透過率を調節できる。例えば、制御部70の調光手段74から調光フィルタ40に2Vの定電圧を1.5秒印加すれば調光フィルタ40の透過率が30%となり、2Vの定電圧を5秒印加すれば調光フィルタ40の透過率が10%となる。もちろん、印加する定電圧及び印加時間と透過率との関係は、調光手段74の仕様により異なる。
但し、調光フィルタ40の透過率は時間とともに変化する場合がある。そのため、調光フィルタ40の透過率を検知する透過率検知手段を設け、制御部70の調光手段74は、透過率検知手段の検知結果に基づいて、調光フィルタ40の透過率を所望の値に自動修正することが好ましい。これにより、長時間同じ周囲の明るさでも、表示装置1の視認性を変化させずに映像を表示できる。透過率検知手段による検知及び制御部70による自動修正は、例えば、一定時間間隔で行うことができる。透過率検知手段としては、例えば、フォトダイオード等を用いることができる。
このように、表示装置1において、関連情報以外の視覚情報の明るさを制御することにより、関連情報の視野領域の背景が明るい場合においても、映像として供給する関連情報のコントラストを向上する(高くする)ことができる。又、明るさを制御するのは関連情報の周辺部のみであり、装着者の視野領域全体を暗くするのではないため、映像として供給する関連情報以外の視覚情報の視認性の低下を抑制可能となり、装着者の視野領域全体において良好な視認性を維持できる。
又、対象情報の視野領域と関連情報が供給される視野領域とを一部若しくは全部重畳させることにより、関連情報が対象情報と関連づけられることを、表示装置1の装着者に直感的に感じさせることができる。
又、調光フィルタにおいて、暗い視覚情報を装着者に視認させる視野領域の位置及び面積、明るさの程度は、調光手段により電気的に制御される。これにより、対象情報が視野領域のどの位置にどのような大きさで存在したとしても、又、関連情報を供給する位置の背景の明るさが明るい場合においても、対象情報と関連情報の視認性を両立できる。
なお、装着者の視野領域内で対象情報が移動した場合には、それに追従するように関連情報を移動させてもよいし、関連情報を移動させることなく暫く表示した後に関連情報の供給を終了させてもよい。
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、表示装置1による情報処理方法の他の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図6及び図9を参照しながら、対象情報が『人の顔』である場合の、表示装置1による情報処理方法の他の例について説明する。なお、図9は情報処理の流れを例示する図である。
第1の実施の形態の変形例1では、第1の実地の形態と同様にステップS501からステップS506の処理を全て実行する。その後、ステップS601では、制御部70の映像供給手段73は、明るさを制御する領域の明るさの計測をする。そして、ステップS602では、制御部70の映像供給手段73は、ステップS601での明るさの計測結果に基づいて、関連情報の明るさを決定する。
関連情報の明るさ(映像輝度)は、例えば、バックライト80の発する光の強さを制御部70の映像供給手段73で制御することで調節できる。例えば、バックライト80としてLED(Light Emitting Diode)を用い、PWM(Pulse Width Modulation)調光する場合を考える。この場合には、制御部70の映像供給手段73からの指令によりLEDをON/OFFするパルス幅(デューティ比)を変えることで、関連情報の明るさを調節できる。
なお、明るさを制御する領域の明るさは、例えば、センサ60(CMOSカメラ等)が測定するホワイトバランスから計測することができる。又、センサ60とは別に、明るさを制御する領域の明るさを計測するための光センサ(フォトダイオード等)を設けてもよい。
その後、ステップS507では、制御部70の映像供給手段73は、関連情報を、ステップS601で決定した明るさで、装着者100の視野範囲に映像として供給する。次に、ステップS508では、制御部70の調光手段74は、調光フィルタ40の透過率を制御し、関連情報が供給される視野領域に存在する関連情報以外の視覚情報を、元の明るさよりも暗い視覚情報とする。この際、調光手段74は、調光フィルタ40の透過率を、関連情報の明るさ及び関連情報が供給される視野領域に存在する関連情報以外の視覚情報の明るさに基づいて制御する。
このように、明るさを制御する領域の明るさの計測し、計測結果に基づいて、関連情報の明るさと、明るさを制御する領域の調光フィルタの透過率を制御する。これにより、明るさを制御する領域の明るさを暗くすると共に、良好なコントラストが確保できる範囲で関連情報の明るさを暗めに調節できるため、関連情報を投影するための電力消費を抑え、表示装置1の電池による連続駆動時間を長くすることができる。更に、関連情報の明るさを抑えることにより、表示装置1を長時間装着した場合においても、装着者の眼精疲労を少なくすることができる。
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、対象情報が存在する視野領域と隣接するように、関連情報を供給する視野領域を特定する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図6では、映像供給手段73が、対象情報が存在する視野領域と一部が重畳するように、関連情報を供給する視野領域を特定した。これに代えて、映像供給手段73が、対象情報が存在する視野領域と隣接するように、関連情報を供給する視野領域を特定してもよい。
例えば、図10では、映像供給手段73が、対象情報300が存在する視野領域300aと隣接するように、関連情報400を供給する視野領域400aを特定している。又、対象情報310が存在する視野領域310aと隣接するように、関連情報410を供給する視野領域410aを特定している。
このように、対象情報が存在する視野領域と隣接するように、関連情報を供給する視野領域を特定してもよい。これにより、図6の場合と同様に、関連情報が対象情報と関連づけられることを、表示装置1の装着者に直感的に感じさせることができる。
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、センサで外光の光強度をモニタし、モニタ結果を制御部に入力し、制御部が、センサのモニタ結果と、制御部のRAM等に予め記録された調節テーブルとに基づいて、調光フィルタの透過率と映像の光強度とを同時に自動調節する。その際に、所定の式に基づいて調節テーブルを簡単かつ正確に作成する例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
第2の実施の形態に係る表示装置2は、センサ60がセンサ60Aに置換され、制御部70が制御部70Aに置換された点が、表示装置1(図1等参照)と相違する。
本実施の形態で用いるセンサ60Aは、外光の光強度(表示装置2の周囲の明るさ)を検出するセンサ(光強度検出手段)である。光強度を測定する物理量としては、照度と輝度があり、本実施の形態では、センサ60Aとして照度センサ又は輝度センサを用いることができる。具体的には、センサ60Aとしては、例えば、フォトダイオード等を用いることができる。センサ60Aは、例えば、フロント1a上に取り付けることができる。
図11は、外光の光強度A、調光フィルタ40で減光された透過光の光強度B、及び映像表示部10から送られた映像の光強度Cの関係を示している。透過光の光強度Bに比べて映像の光強度Cが大きいほど、表示される映像は見やすくなる。但し、透過光の光強度Bが小さくなりすぎると周辺の実像が見えにくくなる。
そこで、表示装置2では、図12に示すように、センサ60Aで外光の光強度Aをモニタし、モニタ結果を制御部70Aに入力する。そして、制御部70Aは、センサ60Aのモニタ結果と、制御部70AのRAM等に予め記録された調節テーブルとに基づいて、調光フィルタ40の透過率(これにより透過光の光強度Bを調節)と、映像表示部10の映像輝度(映像の光強度C)とを同時に自動調節する。
調光フィルタ40の透過率は、制御部70Aから調光フィルタ40に定電圧を印加する時間により調節できる。つまり、定電圧を印加する時間により、調光フィルタ40の表示層43の電荷量(電流の時間積算)を制御して表示層43の着色度を変えることで、調光フィルタ40の透過率を調節できる。
図13は、調光フィルタ40の透過率の変化を例示する図である。図13では、2Vの定電圧を印加して調光フィルタ40の表示層43を発色させている。図13より、例えば、調光フィルタ40の透過率を30%にしたければ、2Vの定電圧を1.5秒間印加すればよいことがわかる。又、調光フィルタ40の透過率を10%にしたければ、2Vの定電圧を5秒間印加すればよいことがわかる。
但し、調光フィルタ40の透過率は時間とともに変化する場合がある。そのため、調光フィルタ40の透過率を検知する透過率検知手段を設け、制御部70Aは、透過率検知手段の検知結果に基づいて、調光フィルタ40の透過率を所望の値に自動修正することが好ましい。これにより、長時間同じ周囲の明るさでも、表示装置2の視認性を変化させずに映像を表示できる。透過率検知手段による検知及び制御部70Aによる自動修正は、例えば、一定時間間隔で行うことができる。透過率検知手段としては、例えば、フォトダイオード等を用いることができる。
一方、映像表示部10の映像輝度(映像の光強度C)は、バックライト80の発する光の強さを制御部70Aで制御することで調節できる。例えば、バックライト80としてLED(Light Emitting Diode)を用い、PWM(Pulse Width Modulation)調光する場合を考える。この場合には、制御部70Aからの指令によりLEDをON/OFFするパルス幅(デューティ比)を変えることで、映像輝度を調節できる。
次に、調光フィルタ40の透過率と映像表示部10の映像輝度の調節例について説明する。
発明者らは、下記の式(1)及び(2)を導いた。以下では、式(1)及び(2)の導出と、式(1)及び(2)の技術的意義を中心に説明する。
T=(C×k)/(D×A)・・・(1)
D=−log((Lmax−L0)/(Lmax−Lmin))・・・(2)
但し、式(1)及び(2)において、T:調光フィルタ40の透過率、C:映像の光強度、A:表示装置2の入射面での外光の光強度、Lmax:見やすさレベルの最大値、Lmin:見やすさレベルの最小値、L0:見やすさレベルの閾値、k:映像係数、である。
まず、図11に示した表示装置2を用い、多数の被験者に対して、様々な明るさの外光環境のもと、調光フィルタ40の透過率を変えながら、文字映像や写真映像に対して、5段階で視認性の官能評価を実施した。
図14は、視認性の官能評価の一例の結果を示す図である。図14は、外光12000ルクスの環境で、表示装置2を用いて、調光フィルタ40の透過率を5%、10%、15%に変化させたときの文字映像の視認性の結果を示したものであり、映像の視認性レベルを縦軸、映像の光強度を横軸としている。
図14に示すように、映像の光強度が高いほど映像の視認性レベルは高く、かつ、調光フィルタ40の透過率を低くして外光を遮蔽するほど映像の視認性レベルは高い。この結果から、本発明者らは、図11で説明した透過光の光強度Bと映像の光強度Cとの比が、映像の視認性に依存すると考えた。
そこで、映像の光強度C(映像光量)と、透過光の光強度B(表示装置2を透過後の外光の光強度)との光強度比を『光強度比=映像の光強度C/透過光の光強度B』と定義した。なお、夫々の光強度は照度センサの計測値若しくは輝度センサの計測値とした。又、映像の光強度は、白ベタ映像のときの光強度とした。
図15は、図14を光強度比に対する映像の視認性レベルとしてプロットし直した図である。図15に示すように、調光フィルタ40の各透過率(5%、10%、15%)での視認性レベルは同一カーブに全て乗り、光強度比により視認性レベルは一意的に決まる。これは、本発明者らが発見したものである。
更に、外光1000ルクスから50000ルクスの環境でも同様の実験を行った。そして、外光1000ルクスから50000ルクスの範囲内の、どの外光の明るさでも図15の光強度と映像の視認性レベルのカーブに一致し、外光がどの明るさであっても、視認性は、本発明者らが定義した光強度比で決まることを確認した。
又、図16に示すように、文字映像のように2階調しかない映像と、写真映像のように多階調からなる中間調映像では、光強度比に対する映像の視認性レベルのカーブが異なり、視認性を上げるには、中間調映像の方が光強度比を高くする必要があることがわかった。
発明者らは、これらの視認性官能評価実験に基づいて、図14や図15のグラフが式(3)及び(4)として表されることを導き出した。
L=Lmax−(Lmax−Lmin)×exp(−k×光強度比)・・・(3)
光強度比=C/(A×T)・・・(4)
但し、式(3)及び(4)において、T:調光フィルタ40の透過率、C:映像の光強度、A:表示装置2の入射面での外光の光強度、L:映像の見やすさレベル、Lmax:見やすさレベルの最大値、Lmin:見やすさレベルの最小値、k:映像係数、である。
式(3)及び(4)から、Lの値として、映像の視認性レベルの閾値L0を選ぶことで、逆に、視認性に必要な調光フィルタ40の透過率を求めることができる。それが、上記の式(1)及び(2)となる。
式(1)及び(2)において、映像の光強度Cは、導光板30の眼と対向する面での光強度検出手段の検出値を意味する。しかし、光強度検出手段が眼に干渉するため、導光板30の眼と対向する面に光強度検出手段を常時設けるのは困難である。そこで、図17に示すように、予め、全面白ベタ映像の表示時に、導光板30の眼と対向する面に光強度検出手段を設置して、映像表示部10の光源の駆動電圧と光強度検出手段の検出値との関係を測定した。なお、光強度検出手段としては、照度センサが適するが、輝度センサを用いても構わない。
これにより、導光板30の眼と対向する面に光強度検出手段を常時設けなくても、光源の駆動電圧の値から映像表示部10の映像の光強度Cの値を算出することができる。つまり、図17をテーブルデータとして、演算回路において、映像表示部10の光源の電圧値から映像表示部10の映像の光強度Cを算出することができる。但し、図17を作成する場合、外光の光強度を検出するセンサ60Aと全く同じセンサを用いる必要がある。
式(1)及び(2)において、映像の視認性レベルは、5段階でも10段階でも構わない。例えば、5段階では、映像の視認性レベルの最大値は「5」で、最小値は「1」となる。映像の視認性レベルの閾値は、概ね、最大値の80%が適し、映像の視認性レベルが5段階の場合には閾値は「4」程度が好ましい。
式(1)及び(2)の映像係数kは、表示する映像により決める係数であり、文字映像では概ね「15〜50」、写真映像等の中間調映像では概ね「5〜15」の値とすることが好ましい。
このように、式(1)及び(2)を用いることで、光強度検出手段の検出値と映像表示部10の光源の駆動電圧の値とをマトリックスとする調光フィルタ40の透過率を決定する調節テーブルを簡単かつ正確に作成することができる。これにより、視認性の改善が可能となる。
本発明者らは、式(1)及び(2)で算出した調光フィルタ40の透過率に対して、±20%の範囲で値が増減しても、視認性に問題がないことを確認した。従って、作成された調節テーブルにおいて、調光フィルタ40の透過率は、式(1)及び(2)で算出された値に完全に一致する必要はなく、式(1)及び(2)で算出された透過率に対して、±20%の誤差の範囲内の透過率が適する。
[実施例2−1]
以下の条件により、図11の構成の表示装置2を作製した。
・表示装置本体(フロント1a、テンプル1b):moverio BT−200(エプソン社)
・調光フィルタ40:図13の特性を有するエレクトロクロミック素子
・センサ60A:アナログ照度センサIC(BH1600FVC ローム社)
・表示映像:白色の文字の画像(20ポイント文字)
式(1)及び(2)で、A=センサ60Aの信号電圧値、Lmax=5、Lmin=1、L0=4、k=40、C=光強度検出手段としてセンサ60Aと同じものを用いて図17を作成し、映像表示部10の光源の駆動電圧の値から換算したセンサ60Aの信号電圧値、とした。外光の光強度(センサ信号60Aの電圧値)と映像の光強度(映像表示部10の光源の駆動電圧の値)とのマトリックスからなる調光フィルタ40の透過率の調節テーブル(図18)を作成し、図12に示す制御部70Aの調節テーブルとした。図18において、EC駆動電圧とは、調光フィルタ40の駆動電圧である。
なお、図19に、市販照度計(コニカミノルタ社製)を用いて測定した外光の明るさに対するセンサ60Aの出力電圧値の関係を示す。又、図20に、今回作製したエレクトロクロミック素子による調光フィルタ40の駆動電圧と透過率の関係を示す。これら、図19及び図20も制御部70A内においてテーブルデータとして用いた。
図12に示す制御部70Aを備えた表示装置2を用い、作成した図18の調節テーブルに基づいて制御を行い、1万ルクスの屋外において、文字映像を表示したところ、外光の光強度に基づいて調光フィルタ40が作動し、文字をはっきり視認できた。
[実施例2−2]
式(1)及び(2)において『k=10』とし、表示映像は、風景画像(256階調)とした以外は、実施例2−1と同様とした。
そして、実施例2−1と同様にして調節テーブルを作成し、図12に示す制御部70Aを備えた表示装置2を用い、作成した調節テーブルに基づいて制御を行い、1万ルクスの屋外において、風景画像を表示した。その結果、外光の光強度に基づいて調光フィルタ40が作動し、風景画像をはっきり視認できた。
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、式(1)及び(2)に基づいてセンサ60Aからの信号により演算回路において調節テーブルを随時作成する。そして、作成された調節テーブルに基づいて映像の視認性レベル(見やすさレベル)が閾値以上となるように調光フィルタ40の透過率と映像の光強度を自動調節する例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図21は、自動調節を行う制御部のブロックを例示する図であり、式(1)及び(2)に基づいて、センサ60Aの光強度検出値と、その検出値から映像表示部10の光源の光強度を決めるための電圧と、調光フィルタ40の透過率を決めるための電圧を制御する回路構成の例である。
制御部70Aは、センサ電圧検知回路75と、映像認識処理回路76と、光源電圧制御回路77と、調光フィルタ電圧制御回路78と、演算回路79とを有する。センサ電圧検知回路75は、表示装置2のセンサ60Aの光強度に応じた信号電圧値を検知し、検知結果を演算回路79に出力する回路である。
映像認識処理回路76は、映像データに基づいて映像の種類(文字映像、写真映像、動画映像等)を認識し、その種類を演算回路79に出力する回路である。光源電圧制御回路77は、演算回路79の指令に基づいて、映像表示部10の光源の駆動電圧を制御する回路である。調光フィルタ電圧制御回路78は、演算回路79の指令に基づいて、調光フィルタ40の駆動電圧を変えて透過率を制御する回路である。
演算回路79は、センサ電圧検知回路75と映像認識処理回路76からの入力信号に基づいて、式(1)及び(2)に基づく演算を行い、最適な映像表示部10の光源の駆動電圧と調光フィルタ40の駆動電圧を算出して随時調節テーブルを作成する。そして、作成した調節テーブルに基づいて、光源電圧制御回路77と調光フィルタ電圧制御回路78に指令を送る。光源電圧制御回路77は映像表示部10の光源の光強度を多段階で自動調節し、調光フィルタ電圧制御回路78は調光フィルタ40の透過率を多段階で自動調節する。
本実施の形態によれば、センサ60Aから外光の光強度Aの情報を取得し、式(1)及び(2)に基づいて調節テーブルを随時作成し、作成した調節テーブルに基づいて、調光フィルタ40の透過率と映像の光強度を自動調節する。これにより、外光の光強度に応じた膨大な複数の調節テーブルを用意する必要がなくなり、制御部70Aの記憶容量を小さくすると共に、処理回路を小型化できる。又、調光フィルタ40の透過率と映像表示部10の映像の光強度を自動調節する処理速度が格段に速くなる。
[実施例3−1]
図21の制御部70Aを表示装置2に用いた以外は、実施例2−1と同様とした。具体的には、センサ60Aからの入力信号値及び映像認識処理回路76からの入力信号値に基づいて、演算回路79において、外光に最も適する視認性を得るための調光フィルタ40の駆動電圧と映像表示部10の光源の駆動電圧を算出した。そして、演算回路79において、各々最適な調光フィルタ40の透過率と映像の明るさとに調整した。なお、演算に際して、図19及び図20のデータをテーブルデータとして参照するようにプログラミングした。
1000ルクスの室内、1万ルクスの木陰、4万ルクスの炎天下において、文字映像を表示したところ、外光の光強度に基づいて調光フィルタ40の透過率と映像の明るさが自動的に調整され、その明るさの下でも、文字をはっきり視認できた。
[実施例3−2]
式(1)及び(2)において『k=10』とし、表示映像は、風景画像(256階調)とした以外は、実施例3−1と同様とした。
1000ルクスの室内、1万ルクスの木陰、4万ルクスの炎天下において、文字映像を表示したところ、外光の光強度に基づいて調光フィルタ40の透過率と映像の明るさが自動的に調整され、その明るさの下でも、風景画像をはっきり視認できた。
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、映像表示部に映像を表示する前に調光フィルタの制御を開始する例を示す。なお、第4の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
人の眼には、暗順応と明順応とがある。暗順応は、明るい環境から暗い環境に変化した場合、明るい環境での眼の感度を暗い環境での眼の感度に順応させることである。これは、瞳孔の対光反射と網膜の光感度に起因し、暗順応には一定の時間がかかる。このため、明るい場所から暗い場所に急に移動した場合、暗い場所の様子が認識できないことがある。
晴天の屋外において常時表示装置2を着用する場合、常に調光フィルタ40が作動して、眼に強い光が入射しない場合は、映像の視認性は良好である。しかし、例えば、晴天の屋外に長時間滞在し、時折、表示装置2を使用する場合、眼の暗順応に時間がかかるため、調光フィルタ40が作動しても暫くの時間は映像がよく認識できないおそれがある。
明るい環境で、時折、表示装置2を利用する場合のこの問題を解決するため、表示装置2の利用時に表示装置2のスイッチを入れると、まず、暗い条件に眼の感度が順応する時間内は、映像を表示せずに調光フィルタ40のみを制御して作動させる。その後、映像を表示させる。これらの機能を表示装置2の制御部70Aに組み込む。
表示装置2を装着した時点で、調光フィルタ40のみ制御する時間は概ね1分くらいが適する。そのとき、調光フィルタ40の透過率は最小になることが望ましく、2%〜5%になるよう制御する。調光フィルタ40のみを制御する時間が過ぎた後は、外光の光強度に基づいて、映像が視認できるよう調光フィルタ40と映像表示部10の光源の光強度を最適な値に制御する。
本実施の形態によれば、調光フィルタ40が先に機能して、眼に入射する外光を遮光し、暗いところに眼が慣れてくるタイミングで映像を表示するため、人の眼の暗順応に対処し、夏の晴天のように非常に明るい環境での映像の視認性を改善することができる。
[実施例4−1]
演算回路79に、ユーザが表示装置2を装着してメインスイッチを入れると、自動的に調光フィルタ40が透過率5%で1分間作動するようにプログラムした以外は、実施例3−1と同様とした。
外光の明るさ5万ルクスの晴天下で、表示装置2を装着し、メインスイッチを入れると、直ちに調光フィルタ40が作動し、1分間映像が出ない状態で、少し濃いサングラスのように外光を遮光した。1分後、外光の光強度に基づいて調光フィルタ40の透過率と映像表示部10の光源の光強度が調整された状態で写真映像が表示され、映像をはっきり認識できた。
なお、比較のため、メインスイッチを入れても調光フィルタ40が直ちに作動しないようにして、上記と同じく、外光の明るさ5万ルクスの晴天下で、表示装置2を装着した。その場合、スイッチを入れると、暫くして、外光の光強度に基づいて調光フィルタ40の透過率と映像表示部10の光源の光強度が調整され、写真映像を表示したが、10分間は写真映像がよく視認できなかった。
〈第5の実施の形態〉
第5の実施の形態では、外光の光強度と調光フィルタの透過率とに基づいて映像表示部に表示する映像の階調数を変化させる例を示す。なお、第5の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
夏の晴天のように非常に明るい環境下では、表示装置2において、映像を視認するためには、調光フィルタ40の透過率を相当小さくする必要がある。例えば、6万ルクスの環境下では、調光フィルタ40の透過率を2%程度にしないと一般の写真映像は視認できないことを本発明者らは視認性実験から掴んでいる。
しかし、調光フィルタ40の透過率2%では、映像は視認できるが、逆に、周りの外部環境が見えづらくなり、歩行や映像を見ながらの作業に支障をきたすおそれがある。一方、6万ルクスの環境下で、文字映像の場合、調光フィルタ40の透過率が10%でも文字の視認が可能なことを、本発明者らは視認性実験から掴んでいる。透過率10%なら、歩行や作業に全く支障がない。
上記の違いは、文字映像の場合、2値階調であるのに対し、写真映像は256階調等の多階調であり、階調数の多さである。階調数が多いと映像のコントラストが下がり、視認性が低くなる。この問題を解決するため、本実施の形態では、表示装置2の制御部70Aに、外光の光強度Aと調光フィルタ40の透過率に基づいて映像表示部10が表示する映像のガンマ値を補正する映像補正手段を設ける。
表示装置2で写真やグラフィック映像を視る目的が、歩行中の地図によるナビゲーションや作業指示の確認である場合、映像の再現性は意味がなく、例えば目的地までのルートのポイント地点や作業指示ポイント部分が認識できればよいことになる。本発明者らはこの点に着目し、写真やグラフィックのコントラストを極端に高くして、例えば、256階調を3階調から5階調程度まで下げることで、調光フィルタ40の透過率10%でも6万ルクスの晴天で、映像の中でポイントとなる部分を視認できることを見出した。
図21の映像認識処理回路76に、外光の光強度Aと調光フィルタ40の透過率に基づいて、映像の階調数を変化させる機能を持たせる。例えば、外光の光強度Aが1万ルクスであり、調光フィルタ40の透過率が10%で、元の映像の階調数が256の場合、映像認識処理回路76により階調数を10に下げる処理を行う。又、外光の光強度Aが6万ルクスであり、調光フィルタ40の透過率が5%で、元の映像の階調数が256の場合、映像認識処理回路76により階調数を4に下げる処理を行う。外光の光強度A、調光フィルタ40の透過率、及び下げるべき階調数との関係は、例えば、テーブルとして記憶しておけばよい。
本実施の形態によれば、外部が見える範囲の調光フィルタ40の透過率(5%以上)で、非常に明るい外光下での中間調映像の視認性が改善し、外部の視認性と映像の視認性が両立可能となる。
[実施例5−1]
映像認識処理回路76に、外光の明るさに基づいて、表示する映像の階調数を変えるプログラムを組み込んだ以外は、実施例3−1と同様とした。
図22(a)に示す写真は、オリジナルの写真(階調数256)で、所定の明るさの環境下で、破線Dの枠内の部分を表示装置2において認識できればOKとする。
図22(b)は、外光5万ルクスの環境下で、センサ60Aからの信号に基づいて、映像認識処理回路76において階調数を40に下げた写真である。外光の明るさ5万ルクスの晴天下で、表示装置2を装着し、映像を表示したところ、外光の光強度に基づいて調光フィルタ40の透過率と映像表示部10の光源の光強度が調整された状態で図22(b)に示す写真映像が表示され、破線Dの枠内の部分をはっきり認識できた。
又、比較のため、外光の明るさ5万ルクスの晴天下で、図22(a)の状態で映像を表示した場合、破線Dの枠内に何が写っているのかはっきり認識できなかった。
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
1 表示装置
1a フロント
1b テンプル
10 映像表示部
20 光学部
21 レンズ
22 ミラー
30 導光板
40 調光フィルタ
41 表示基板
42 酸化チタン粒子膜
43 表示層
44 スペーサ
45 対向基板
50 ハーフミラー
60、60A センサ
70、70A 制御部
71 視野領域特定手段
72 関連情報生成手段
73 映像供給手段
74 調光手段
75 センサ電圧検知回路
76 映像認識処理回路
77 光源電圧制御回路
78 調光フィルタ電圧制御回路
79 演算回路
80 バックライト
90 電源
100 装着者
100L 左眼
200 視野領域
300、310 対象情報
300a、310a 対象情報が存在する視野領域
400、410 関連情報
400a、410a 関連情報を供給する視野領域
特許第3371156号

Claims (9)

  1. 装着者の視野範囲にある視覚情報を収集する視覚情報収集手段と、
    前記視覚情報の中から予め設定された対象情報を抽出し、前記対象情報が存在する視野領域を特定する視野領域特定手段と、
    前記対象情報と関連する関連情報を、前記装着者の視野範囲に映像として供給する映像供給手段と、
    外部から入射する光の透過率を変化させる調光フィルタと、
    前記調光フィルタの前記透過率を制御し、前記関連情報が供給される視野領域に存在する前記関連情報以外の視覚情報を、元の明るさよりも暗い視覚情報とする調光手段と、を有する頭部装着型表示装置。
  2. 前記暗い視覚情報を前記装着者に視認させる視野領域は、前記関連情報が供給される視野領域と、全部又は一部が重畳している請求項1記載の頭部装着型表示装置。
  3. 前記調光手段は、前記調光フィルタの透過率を、前記関連情報の明るさ、及び前記関連情報が供給される視野領域に存在する前記関連情報以外の視覚情報の明るさに基づいて制御する請求項1又は2記載の頭部装着型表示装置。
  4. 前記関連情報が供給される視野領域は、前記対象情報が存在する視野領域と重畳する請求項1乃至3の何れか一項記載の頭部装着型表示装置。
  5. 前記関連情報が供給される視野領域は、前記対象情報が存在する視野領域と隣接する請求項1乃至3の何れか一項記載の頭部装着型表示装置。
  6. 前記調光フィルタにおいて、前記暗い視覚情報を前記装着者に視認させる視野領域の位置及び面積が電気的に制御される請求項1乃至5の何れか一項記載の頭部装着型表示装置。
  7. 前記調光フィルタにおいて、前記関連情報以外の視覚情報を視認させる明るさの程度が電気的に制御される請求項1乃至6の何れか一項記載の頭部装着型表示装置。
  8. 前記調光フィルタは、エレクトロクロミック素子を備えている請求項1乃至7の何れか一項記載の頭部装着型表示装置。
  9. 頭部装着型表示装置に映像を表示する表示方法であって、
    装着者の視野範囲にある視覚情報を収集するステップと、
    前記視覚情報の中から予め設定された対象情報を抽出し、前記対象情報が存在する視野領域を特定するステップと、
    前記対象情報と関連する関連情報を、前記装着者の視野範囲に映像として供給するステップと、
    外部から入射する光の透過率を変化させる調光フィルタの前記透過率を制御し、前記関連情報が供給される視野領域に存在する前記関連情報以外の視覚情報を、元の明るさよりも暗い視覚情報とするステップと、を有することを特徴とする表示方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112946885A (zh) * 2019-12-10 2021-06-11 财团法人金属工业研究发展中心 近眼显示与取像头戴装置
US11143870B2 (en) 2017-02-17 2021-10-12 Ricoh Company, Ltd. Display apparatus and display method
WO2022122145A1 (en) * 2020-12-09 2022-06-16 Innotonix Gmbh Increased optical performance of head-mounted displays inside laser safety eyewear

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