JP2016129155A - 燃料電池システムの起動方法および燃料電池システム - Google Patents

燃料電池システムの起動方法および燃料電池システム Download PDF

Info

Publication number
JP2016129155A
JP2016129155A JP2016073522A JP2016073522A JP2016129155A JP 2016129155 A JP2016129155 A JP 2016129155A JP 2016073522 A JP2016073522 A JP 2016073522A JP 2016073522 A JP2016073522 A JP 2016073522A JP 2016129155 A JP2016129155 A JP 2016129155A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
fuel cell
cell system
battery stack
fuel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016073522A
Other languages
English (en)
Inventor
年坊 万
Nianfeng Wan
年坊 万
健太 奥
Kenta Oku
健太 奥
祐樹 森松
Yuki Morimatsu
祐樹 森松
振 郭
Shin Kaku
振 郭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Ltd
Priority to JP2016073522A priority Critical patent/JP2016129155A/ja
Publication of JP2016129155A publication Critical patent/JP2016129155A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

【課題】システム起動時において短時間で稼働温度に達することができる燃料電池システムの起動方法を提供する。
【解決手段】膜電極接合体131を含む電池スタック13と、前記電池スタックのアノードに液体燃料を供給する燃料供給手段113と、前記電池スタックのカソードに酸化剤を供給する酸化剤供給手段117と、前記電池スタックの温度を検出する温度検出手段126と、前記燃料供給手段及び前記酸化剤供給手段に電力を供給するバッテリ14と、を備える燃料電池システム1に対し、前記燃料電池システムの起動時に前記電池スタックの温度が所定温度未満である場合には、少なくとも前記電池スタックの温度が前記所定温度に達するまで、前記電池スタックの実発電電圧を定格発電電圧より低い電圧に制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池システムの起動方法および燃料電池システムに関するものである。
固体高分子形燃料電池(PEFC, Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、イオン交換膜を挟んで、カソードに空気などの酸化剤を供給し、アノードに水素ガスなどの還元燃料を供給することにより発電するが、発電停止後に燃料電池内に水素が残留すると凍結が発生するため、発電停止時には、アノード又はカソードの一方又は両方のに窒素ガスを流して水をパージするものが知られている(特許文献1)。
特開2011−151043号公報
ところで、メタノールを燃料として発電するダイレクトメタノール燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)などにおいては、燃料電池温度が低いと出力電力も低いことから、燃料電池温度(システム稼働温度)は60〜85℃であることが好ましいとされる。しかしながら、燃料電池温度が低いシステム起動時にこの稼働温度まで達していないと、燃料電池の反応廃熱による暖機運転が必要となり、稼働温度に達するまでの時間が長いほど大容量の補助バッテリを要するという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、燃料電池システム起動時において短時間で稼働温度に達することができる燃料電池システムの起動方法および燃料電池システムを提供することである。
本発明は、膜電極接合体を含む電池スタックと、前記電池スタックのアノードに液体燃料を供給する燃料供給手段と、前記電池スタックのカソードに酸化剤を供給する酸化剤供給手段と、前記電池スタックの温度を検出する温度検出手段と、前記燃料供給手段及び前記酸化剤供給手段に電力を供給するバッテリと、を備える燃料電池システムに対し、
前記燃料電池システムの起動時に前記電池スタックの温度が所定温度未満である場合には、少なくとも前記電池スタックの温度が前記所定温度に達するまで、前記電池スタックの実発電電圧を定格発電電圧より低い電圧に制御することによって、上記課題を解決する。
燃料電池におけるエネルギ変換効率ηは電圧効率ηvと電流効率ηとの積によって表されるが、電圧効率ηvは理論発電電圧Vtに対する実発電電圧Vwの比であるから、実発電電圧が理論発電電圧に近いほどエネルギ変換効率は100%に近づく。このことは、実発電電圧が低いほど、エネルギ変換効率が低くなり、発電反応による発熱量が増加することを意味する。本発明によれば、燃料電池システムの起動時において電池スタックが低温である場合には、所定温度に昇温するまで電池スタックの実発電電圧を定格発電電圧より低い電圧に維持するので、発電反応の発熱を効率的に電池スタックの昇温に利用することができ、その結果、電池スタックは短時間で稼働温度に達することになる。これにより、起動時に用いられる補助バッテリを最小容量のものとすることができる。
本発明の一実施の形態に係る燃料電池システムを示すブロック図である。 図1の制御装置における処理手順を示すフローチャートである。 ダイレクトメタノール形燃料電池の28℃における電流密度に対する発電電圧及び電力密度の関係を示すグラフである。 本発明の実施例1とその比較例1における起動時間と発電電力との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施の形態に係る燃料電池システム1は、メタノールを液体燃料として発電するダイレクトメタノール燃料電池システムであり、図1に示すように、液体燃料を供給する供給装置11と、制御装置12と、燃料電池13、バッテリ14とを備え、電力負荷2に対して電力を供給するものである。以下、図1を参照して、それぞれの構成について説明する。
燃料電池13は、膜電極接合体(MEA:Membrane-electrode assembly)131と、膜電極接合体131を挟む板状のアノードセパレータ135およびカソードセパレータ136を備える。膜電極接合体131は、水素イオン(陽イオン)伝導性を有する略矩形の高分子電解質膜132と、略矩形のアノード触媒層133と、カソード触媒層134を含み、さらに図示は省略するが、略矩形のアノードガス拡散層とカソードガス拡散層を含む。アノード触媒層133とアノードガス拡散層がアノード(燃料極)を構成し、カソード触媒層134とカソードガス拡散層がカソード(空気極)を構成する。
高分子電解質膜132としては、特に限定されるものではなく、通常の高分子電解質形燃料電池に搭載される高分子電解質膜を使用することができる。例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(商品名)、旭化成(株)製のAciplex(商品名)、ジャパンゴアテックス(株)製のGSIIなど)を使用することができる。
アノード触媒層133およびカソード触媒層134は、例えば白金系の金属触媒などの電極触媒と、当該電極触媒を担持する導電性炭素粒子(カーボン粉末)と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質とで構成されている。
アノード触媒層133およびカソード触媒層134における担体である導電性炭素粒子としては、導電性を有する細孔の発達したカーボン材料を用いるのが好ましく、例えばカーボンブラック、活性炭、カーボンファイバーおよびカーボンチューブなどを使用することができる。カーボンブラックとしては、例えばチャネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックおよびアセチレンブラックなどが挙げられる。また、活性炭は、種々の炭素原子を含む材料を炭化処理および賦活処理することによって得ることができる。
アノード触媒層133およびカソード触媒層134における電極触媒としては、白金または白金合金を用いるのが好ましい。白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、鉄、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛およびスズからなる群より選択される1種以上の金属と、白金との合金であるのが好ましい。また、上記白金合金には、白金と上記金属との金属間化合物が含有されていてもよい。さらに、白金からなる電極触媒と白金合金からなる電極触媒を混合して得られる電極触媒混合物を用いてもよく、アノード側とカソード側に同じ電極触媒を用いても異なる電極触媒を用いてもよい。
アノード触媒層133およびカソード触媒層134の外側に配置されるアノードガス拡散層およびカソードガス拡散層(いずれも図示を省略する)としては、当該分野において公知の種々のガス拡散層を用いることができる。これらのガス拡散層を構成する基材としては、ガス透過性を持たせるために、発達したストラクチャー構造を有するカーボン微粉末、造孔材、カーボンペーパーまたはカーボンクロスなどを用いて作製された、導電性多孔質基材を用いることができる。また、排水性を向上させるために、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などのフッ素樹脂を代表とする撥水性材料(高分子)を上記基材の内部に分散させて、上記基材は撥水処理を施されていてもよい。さらに、電子伝導性を持たせるために、カーボン繊維、金属繊維またはカーボン微粉末などの電子伝導性材料で上記基材を構成してもよい。なお、カソード側およびアノード側において同じガス拡散層を用いても異なるガス拡散層を用いてもよい。
一対のアノードセパレータ135およびカソードセパレータ136は、膜電極接合体131の外側に配置されて、膜電極接合体131を機械的に固定するための部材である。アノードセパレータ135のうちの膜電極接合体131と接触する面には、アノードに液体燃料であるメタノールを供給し、電極反応生成物、未反応のメタノールを含む物質を反応場から外部に運び去るためのアノード流路(不図示)が形成され、同様に、カソードセパレータ136のうちの膜電極接合体131と接触する面には、カソードに酸化剤となる酸素(空気)を供給し、電極反応生成物、未反応のメタノールを含む物質を反応場から外部に運び去るためのカソード流路(不図示)が形成されている。
こうしたアノード流路およびカソード流路は、図示はしないが、それぞれアノードセパレータ135およびカソードセパレータ136の表面に常法により溝を設けることによって形成されている。特に制限されるものではないが、アノード流路およびカソード流路は、例えば複数の直線状溝部と、隣接する直線状溝部を上流から下流へと連結する複数のターン状溝部とで構成されたサーペンタイン形状を有する。
以上のように構成された燃料電池13において、上述したアノードセパレータ135のアノード供給部135Aに第1流路112を介してメタノールを供給し、カソードセパレータ136のカソード供給部136Aに第3流路116を介して空気を供給すると、アノードにおいては、
[数1]
CHOH+HO→CO+6H+6e
という化学反応が生じ、カソードにおいては、
[数2]
3/2O+6H+6e→3H
という化学反応が生じる。これによりアノードとカソードとの間に電流が流れることになる。
なお、アノードで生成した二酸化炭素ガスと、反応に寄与しなかった未反応メタノールは、アノード排出部135Bから第2流路114を介して第1タンク111に戻される。同様に、カソードで生成した水と、膜電極接合体131を透過(クロスオーバ)した未反応メタノールは、カソード排出部136Bから第4流路118及び凝縮器119を介して第3タンク120へ戻される。
なお、図示する燃料電池13は、一つの膜電極接合体131により構成した例を示すが、電力負荷2に要求される電力やバッテリ14の定格電力に応じて、複数の膜電極接合体131を直列及び/又は並列に積層して電池スタックとしてもよい。以下、一つ又は複数の膜電極接合体131を含む燃料電池を電池スタック13と総称する。
燃料供給手段である燃料供給装置11は、第1タンク111と、第2タンク123と、第3タンク120とを備え、第1タンク111には、燃料電池13に供給されるメタノール水溶液が貯蔵され、第2タンク123には、第1タンクに貯蔵されたメタノール水溶液の濃度よりも濃度が高いメタノール水溶液又はメタノール原液が貯蔵され、第3タンク120には、上述したように燃料電池13のカソードから戻されて液化された水(一部にメタノールを含む)が貯蔵されている。
第1タンク111に貯蔵されたメタノール水溶液は、配管などの第1流路112を介して当該第1流路112に設けられた第1ポンプ113により燃料電池13のアノード供給部135Aに供給される。第1ポンプ113はバッテリ14又は燃料電池13から供給される電力によって作動し、その作動及び停止は、制御装置12からの制御信号によって制御される。図1の二点鎖線は電力の供給線を示し、点線は制御信号の信号線を示す。なお、後述する第2流路114,第3流路116,第4流路118,第5流路121,第6流路124を含めて、これらの流路112,114,116,118,121,124は、燃料電池システム1の大きさやレイアウトなどに応じて、配管又は通路などの具体的構造を採用することができる。また、燃料電池13のアノード排出部135Bから第2流路114を介して未反応メタノールと二酸化炭素ガスが第1タンク111へ戻されるが、気相の二酸化炭素ガスは液面に浮上するので、この第1タンク111により液相のメタノールと気相の二酸化炭素が概ね分離され、二酸化炭素ガスは図示しない排気流路を介して燃料電池システム1外へ排出される。
第2タンク123に貯蔵されたメタノール原液又は高濃度メタノール水溶液(以下、追加メタノールともいう。)は、第2タンク123と第1タンク111との間に設けられた配管などの第6流路124を介して当該第6流路124に設けられた第2ポンプ125により第1タンク111へ供給される。第2ポンプ125はバッテリ14又は燃料電池13から供給される電力によって作動し(電力供給線の図示は省略)、その作動及び停止は、制御装置12からの制御信号によって制御される。また、第3タンク120に貯蔵された水(一部にメタノールを含む)は、第3タンク120と第1タンク111との間に設けられた配管などの第5流路121を介して当該第5流路121に設けられた第3ポンプ122により第1タンク111へ供給される。第3ポンプ122はバッテリ14又は燃料電池13から供給される電力によって作動し(電力供給線の図示は省略)、その作動及び停止は、制御装置12からの制御信号によって制御される。
燃料電池13のカソード供給部136Aには、配管又は通路などの第3流路116が設けられ、当該第3流路116を介して当該第3流路116に設けられたブロア117により外部の空気(酸化剤となる酸素)が吸入される。なお、この第3流路116には空気に含まれる塵埃等を除去するフィルタ115が設けられている。したがって、ブロア117やフィルタ115はカソードに酸化剤を供給する酸化剤供給手段である。ブロア117はバッテリ14又は燃料電池13から供給される電力によって作動し、その作動及び停止は、制御装置12からの制御信号によって制御される。
なお、燃料電池13のカソード排出部136Bと第3タンク120との間に設けられた第4流路118には、カソードで生じた水蒸気を液化して第3タンク120へ戻す機能を司る凝縮器119が設けられている。
電池スタック13の各膜電極接合体131には温度検出手段として温度センサ126が設けられ、各膜電極接合体131の温度を検出し、その検出信号を制御装置12へ出力する。制御装置12は、読み出した検出信号に基づく各膜電極接合体131の温度の平均値又は最低温度を演算する。なお、全ての膜電極接合体131に温度センサ126を設けずに、主要な膜電極接合体131にのみ設けたり、所定間隔で膜電極接合体131に設けたりしてもよい。
バッテリ14は、たとえば二次電池であって、後述するように燃料電池システム1の起動時に第1ポンプ113及びブロア117に電力を供給するとともに、起動時及び定常稼働時において燃料電池13からの発電電力では不足する電力を補填する機能を司る。バッテリ14は第2ポンプ125及び第3ポンプ122に電力を供給してもよい。バッテリ14は、燃料電池13が定常稼働している場合に、余剰電力があるときは、燃料電池13からの余剰電力が供給されることにより充電される。
電力負荷2は、並列接続された燃料電池13及びバッテリ14からの電力により駆動する負荷であり、燃料電池13を主たる電源としバッテリ14を従たる電源とするように、電力負荷2への電力供給線に電力切換スイッチを設け、制御装置12により当該切換スイッチを制御してもよい。
制御装置12は、入力部として燃料電池13の起動及び停止スイッチを備え、起動スイッチがONになる(停止スイッチはOFF)と、第1ポンプ113及びブロア117を作動する制御信号をそれぞれに出力する。また、停止スイッチがONになる(起動スイッチはOFF)と、第1ポンプ113及びブロア117を停止する制御信号をそれぞれに出力する。なお、制御装置12は図示しない電池などの電源により作動する。具体的な制御手順は以下のとおりである。
図2は、本例の燃料電池システム1の制御装置12で実行される制御手順を示すフローチャートであり、予め設定された時間間隔で一連の処理を繰り返す。なお、図示する制御手順は本例の燃料電池システム1の起動時及び停止時の手順のみを示し、定常稼働中の濃度管理その他の制御手順については省略するものとする。
まずステップST1において、制御装置12に起動スイッチのON信号が入力されるとステップST2へ進み、温度センサ126からの検出信号を読み込み、電池スタック13の検出温度が、稼働温度の下限値である60℃未満であるか否かを判断する。なお、本例の燃料電池システム1においては、定常稼働温度を60℃〜85℃とするが、これに限定される趣旨ではない。ステップST2において電池スタック13の検出温度が60℃以上である場合は、ステップST3において起動条件による作動を行うことなくステップST5へ進む。燃料電池システム1を停止してから間もなく再起動した場合など、電池スタック13の温度降下が大きくなく定常稼働条件を満たす場合はエネルギ変換効率が低い起動条件を適用する意義がないからである。なお、図示は省略するが、検出温度が定常稼働温度の上限値である85℃を超えている場合は、何らかの異常があると判断して燃料電池システム1の起動を禁止するステップを設けてもよい。
これに対してステップST2において電池スタック13の検出温度が60℃未満である場合は、ステップST3に進み、第1ポンプ113及びブロア117へ起動条件による作動信号を出力する。ここで本例の起動条件と定常稼働条件に付いて説明する。
燃料電池におけるエネルギ変換効率ηは、電圧効率ηvと電流効率ηとの積によって表される。
[数3]
η=ηv×η
上記電圧効率ηvは、理論発電電圧Vtに対する実発電電圧Vwの比であるから(ηv=Vw/Vt)、実発電電圧Vwを用いてエネルギ変換効率ηを表すと、
[数4]
η=(Vw/Vt)×η
すなわち、実発電電圧Vwが理論発電電圧Vtに近いほどエネルギ変換効率ηは100%に近づく。このことは、実発電電圧Vwが低いほど、エネルギ変換効率ηが低くなり、上記数1及び数2の発電反応による発熱量が増加することを意味する。すなわち、本例の燃料電池システム1においては、電池スタック13の温度が60℃未満である場合には、故意にエネルギ変換効率が低い条件で燃料電池システム1を起動し、発電反応による発熱を電池スタック13の暖機運転時の昇温エネルギとして有効に活用する。
具体的には、定常稼働運転時(定常稼働条件)の実発電電圧Vwを0.4V〜0.5Vで制御する場合に、暖機運転時の起動条件としての実発電電圧Vwをこれより低い0.2V〜0.4V、好ましくは0.25V〜0.35Vとする。
図3は、ダイレクトメタノール形燃料電池の28℃における電流密度(A/cm)に対する発電電圧(V)及び電力密度(mW/cm)の関係を示すグラフ、下記表1は室温における発電電圧(V)と電力密度(mW/cm)との関係例を示す表である。
Figure 2016129155
図3及び表1に示すように、電流密度が増加すると、発電電圧は減少し、電力密度は増加するが、上述した数4の関係式のとおり発電電圧が減少するとエネルギ変換効率も減少するので、燃料電池システム1の定常稼働条件の設定に際しては、エネルギ変換効率と電力密度との均衡を考慮する必要があり、したがって本例の定常稼働条件としては、実発電電圧Vwを上記のとおり0.4V〜0.5Vに設定している。このため、起動条件の実発電電圧Vwとして当該定常稼働条件より低い0.2V〜0.4V、好ましくは0.25V〜0.35Vとする。0.2Vより低いと触媒の劣化が生じるおそれがある一方で、0.4Vを超えると暖機速度が遅くなるからである。
実発電電圧Vwを定常稼働条件より低い0.2V〜0.4Vとする起動条件で燃料電池システム1を作動するには、たとえば第1ポンプ113によるメタノール水溶液の流量及び/又はブロア117による空気の流量を、定常稼働条件のそれらより減少させればよい。これにより、第1タンク111に貯蔵されたメタノール水溶液が第1流路112を介して燃料電池13のアノードに供給されるとともに、外部の空気が第3流路116及びフィルタ115を介して燃料電池13のカソードに供給され、燃料電池13による発電が開始する。ただし、エネルギ変換効率が低い条件で燃料電池システム1が作動するので、上述したとおり膜電極接合体131における発電反応の発熱量が定常稼働時よりも増加し、これにより電池スタック(燃料電池)13の温度上昇時間を短縮することができる。
図2に戻り、ステップST4においては、再度温度センサ126からの検出信号を読み込み、電池スタック13の検出温度が、稼働温度の下限値である60℃未満であるか否かを判断する。そして、電池スタック13の検出温度が60℃以上となるまでステップ3の起動条件での作動及びステップST4の温度確認を繰り返す。なお、図示は省略するが、検出温度が定常稼働温度の上限値である85℃を超えている場合は、何らかの異常があると判断して燃料電池システム1の起動を禁止するステップを設けてもよい。
ステップST4において、電池スタック13の検出温度が60℃以上に達したらステップST5へ進み、定常稼働条件での燃料電池システム1の作動に移行する。具体的には、たとえば第1ポンプ113によるメタノール水溶液の流量及び/又はブロア117による空気の流量を、起動条件のそれらより増加させればよい。これにより、エネルギ変換効率と電力密度がバランスした状態で燃料電池システム1が作動することになる。
燃料電池システム1が作動中のステップST6において、制御装置12に停止スイッチのON信号が入力されるとステップST7へ進み、第1ポンプ113及びブロア117へ停止信号を出力する。これにより、アノードへのさらなるメタノール水溶液の供給が停止されるとともに、カソードへのさらなる空気の供給が停止される。
以上のとおり、本例の燃料電池システム1によれば、当該燃料電池システム1の起動時においては、電池スタック13の実発電電圧Vwが定常稼働時の発電電力より低くなるように作動制御するので、膜電極接合体131による発熱量が定常稼働時より増加し、短時間で定常稼働時の温度まで昇温することができる。その結果、電力負荷2に供給すべき総電力を補填するためのバッテリ14の容量を最小限のものとすることができる。
次に、本発明の燃料電池システム1の起動手順が、燃料電池システム1の起動時間の短縮に寄与することを、さらに具体化した実施例と、当該実施例に対する比較例を挙げて説明する。ただし、以下の実施例の数値や材質などの諸条件は本発明の単なる一例であって本発明を何ら限定するものではない。
《実施例1》
高分子電解質膜132として、厚さ125μmのパーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜(米国DuPont社製のNafion(商品名,登録商標))を用い、一方の主面に、白金−ルテニウム触媒(白金・ルテニウム担持量50重量%)のペーストを印刷し、面積180cm,厚さ40μmのアノード触媒層133を形成した。また、他方の主面には、カソード触媒層134として、面積180cm,厚さ20μmの白金触媒(白金担持量が70重量%)を用い、アノードガス拡散層及びカソードガス拡散層として、厚さ235μmの黒鉛繊維不織布(MFCテクノロジー社製カーボンファイバペーパSIGRACET GDL25BC)を用いた。
この膜電極接合体131を70枚直列に積層したものを用いて電池スタック(燃料電池)13を組み立て、組み立てられた電池スタック(燃料電池)に、電池スタック(燃料電池)13の温度が室温の状態から、実発電電圧が0.3Vに固定されるように、2.5〜3重量%のメタノール水溶液と空気を供給して、発電電力が1200Wに達するまでの時間を測定したところ、0.36時間であった。この結果を図4に示す。
《比較例1》
実施例1の比較例として、実施例1と同じ燃料電池システム1を用い、当該燃料電池システム1の起動時において、実発電電圧を0.45Vに固定したこと以外は実施例1と同じ条件で燃料電池システム1を起動し、発電電力が1200Wに達するまでの時間を測定したところ、0.5時間であった。この結果を図4に示す。
《考察》
図4の結果から、比較例1の燃料電池システムの起動方法では、目的とする発電電力1200Wに達するまで0.5時間を要し、この間に不足する電力量としては278Whとなる。これに対して、実施例1の燃料電池システムの起動方法では、目的とする発電電力1200Wに0.36時間で達し、この間に不足する電力量は162Whと、比較例1に比べて42%減少することが確認できた。
1…燃料電池システム
11…燃料供給装置
111…第1タンク
112…第1流路
114…第2流路
116…第3流路
118…第4流路
121…第5流路
124…第6流路
113…第1ポンプ
115…フィルタ
117…ブロア
119…凝縮器
120…第3タンク
122…第3ポンプ
123…第2タンク
125…第2ポンプ
126…温度センサ
12…制御装置
13…燃料電池(電池スタック)
131…膜電極接合体
132…高分子電解質膜
133…アノード触媒層
134…カソード触媒層
135…アノードセパレータ
135A…アノード供給部
135B…アノード排出部
136…カソードセパレータ
136A…カソード供給部
136B…カソード排出部
14…バッテリ
2…電力負荷

Claims (4)

  1. 膜電極接合体を含む電池スタックと、
    前記電池スタックのアノードに液体燃料を供給する燃料供給手段と、
    前記電池スタックのカソードに酸化剤を供給する酸化剤供給手段と、
    前記電池スタックの温度を検出する温度検出手段と、
    前記燃料供給手段及び前記酸化剤供給手段に電力を供給するバッテリと、を備える燃料電池システムに対し、
    前記燃料電池システムの起動時に前記電池スタックの温度が所定温度未満である場合には、少なくとも前記電池スタックの温度が前記所定温度に達するまで、
    前記電池スタックの実発電電圧を定格発電電圧より低い電圧に制御する燃料電池システムの起動方法。
  2. 前記電池スタックの温度が前記電池スタックの定常稼働温度の上限値以上である場合、前記燃料電池システムの起動を禁止することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システムの起動方法。
  3. 膜電極接合体を含む電池スタックと、
    前記電池スタックのアノードに液体燃料を供給する燃料供給手段と、
    前記電池スタックのカソードに酸化剤を供給する酸化剤供給手段と、
    前記電池スタックの温度を検出する温度検出手段と、
    前記燃料供給手段及び前記酸化剤供給手段に電力を供給するバッテリと、
    前記燃料電池システムの起動時に前記電池スタックの温度が所定温度未満であるか否かを判断し、前記電池スタックの温度が所定温度未満であると判断される場合には、少なくとも前記電池スタックの温度が前記所定温度に達するまで、前記電池スタックの実発電電圧を定格発電電圧より低い電圧に制御する制御装置と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  4. 前記制御装置は、前記電池スタックの温度が前記電池スタックの定常稼働温度の上限値以上であるか否かを判断し、前記電池スタックの温度が前記定常稼働温度の上限値以上であると判断される場合、前記燃料電池システムの起動を禁止することを特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。
JP2016073522A 2016-03-31 2016-03-31 燃料電池システムの起動方法および燃料電池システム Pending JP2016129155A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016073522A JP2016129155A (ja) 2016-03-31 2016-03-31 燃料電池システムの起動方法および燃料電池システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016073522A JP2016129155A (ja) 2016-03-31 2016-03-31 燃料電池システムの起動方法および燃料電池システム

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014147412A Division JP2016024924A (ja) 2014-07-18 2014-07-18 燃料電池システムの起動方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016129155A true JP2016129155A (ja) 2016-07-14

Family

ID=56384387

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016073522A Pending JP2016129155A (ja) 2016-03-31 2016-03-31 燃料電池システムの起動方法および燃料電池システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016129155A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113675441A (zh) * 2021-08-09 2021-11-19 武汉船用电力推进装置研究所(中国船舶重工集团公司第七一二研究所) 一种用于燃料电池的吹扫保护装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61131372A (ja) * 1984-08-27 1986-06-19 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd 液体燃料電池
JP2009245641A (ja) * 2008-03-28 2009-10-22 Toshiba Corp 燃料電池システム
JP2014026849A (ja) * 2012-07-27 2014-02-06 Panasonic Corp 直接酸化型燃料電池システム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61131372A (ja) * 1984-08-27 1986-06-19 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd 液体燃料電池
JP2009245641A (ja) * 2008-03-28 2009-10-22 Toshiba Corp 燃料電池システム
JP2014026849A (ja) * 2012-07-27 2014-02-06 Panasonic Corp 直接酸化型燃料電池システム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113675441A (zh) * 2021-08-09 2021-11-19 武汉船用电力推进装置研究所(中国船舶重工集团公司第七一二研究所) 一种用于燃料电池的吹扫保护装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5151074B2 (ja) 固体高分子電解質膜,膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池
JP4973949B2 (ja) 燃料電池及び燃料電池運転方法
JP2010525535A (ja) 電気化学的改質器および燃料電池を備える、電気エネルギーを発生させるためのシステム
JP2019183259A (ja) 水素供給システム
JP2016024924A (ja) 燃料電池システムの起動方法
JP2007265921A (ja) 燃料電池システムおよび燃料電池セルの運転方法
JPWO2006085619A1 (ja) 燃料電池
JP4733788B2 (ja) 燃料電池システム
JP2016129155A (ja) 燃料電池システムの起動方法および燃料電池システム
JP2011171301A (ja) 直接酸化型燃料電池
JP2010536151A (ja) 直接酸化型燃料電池の炭化水素系膜電極接合体用電極
WO2007034756A1 (ja) 燃料電池
JP2019021578A (ja) 燃料電池システム
JP2009146864A (ja) 燃料電池
JP2010277782A (ja) 膜電極接合体及び燃料電池並びにそれらの製造方法
JP2017068907A (ja) 燃料電池システム
JPWO2008068887A1 (ja) 燃料電池
JP2008276990A (ja) 燃料電池用電極および燃料電池
WO2013080415A1 (ja) 燃料電池システム
JP4863099B2 (ja) スタック型燃料電池発電装置
JP2011096466A (ja) 燃料電池
JP2011096468A (ja) 燃料電池
WO2013046519A1 (ja) 燃料電池システム
JP6639994B2 (ja) 燃料電池システム
KR101125651B1 (ko) 연료전지용 고분자 막/전극 접합체 및 이를 포함하는연료전지

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170627

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180605

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20181211