以下、図面に基づいて第一の実施の形態を説明する。図1は、第一の実施の形態における情報処理システムの構成例を示す図である。図1に示される情報処理システム1において、外部装置20は、各種の機器にネットワークN1を介して通信可能に接続される。ネットワークN1は、例えば、LAN(Local Area Network)、インターネット、又はUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等である。各種の機器の一例として、図1には、1以上の画像形成装置10、1以上のプロジェクタ50、1以上のデジタルカメラ60、1以上のテレビ会議システム70、及び1以上の電子黒板80が示されている。
画像形成装置10は、例えば、スキャナ、プリンタ、又は複合機等である。本実施の形態において、画像形成装置10は、紙文書をスキャンすることによって入力される画像データに関して画像処理を実行する。また、画像形成装置10は、例えば、画像形成装置10に入力された画像データに関する一部又は全部の画像処理について、外部装置20に要求又は委譲(以下、「要求」で統一する)する。画像処理が外部装置20へ要求されるか否かは、画像処理の内容や外部装置20の状態等に応じて変化する。各画像形成装置10は、同一のオフィス又は学校等に設置されてもよいし、異なるオフィス又は学校等において設置されてもよい。なお、画像形成装置10以外の機器が、外部装置20に処理を要求してもよい。例えば、プロジェクタ50、デジタルカメラ60、テレビ会議システム70、電子黒板80、又は他の機器が、外部装置20に処理を要求してもよい。
外部装置20は、画像形成装置10から要求された処理を実行するコンピュータ等である。外部装置20の処理性能は、処理の要求元である画像形成装置10よりも高いことが好ましい。画像形成装置10より処理性能の高いコンピュータが、外部装置20として利用されることにより、画像形成装置10に対して入力された画像データに関する全ての画像処理を画像形成装置10が実行する場合よりも、当該画像処理の一部又は全部を、外部装置20に要求する方が、処理時間が短縮されることを期待することができる。なお、外部装置20は、クラウドサービス、Webサービス、又はアプリケーションプロバイダ等の形態によってサービスを提供するコンピュータ又はコンピュータシステムであってもよいし、画像形成装置10が設置されている企業等の組織と同じ組織に設置されているPC(Personal Computer)等のコンピュータ又はコンピュータシステムであってもよい。
図2は、第一の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。図2において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、操作パネル15、ネットワークインタフェース16、及びSDカードスロット17等のハードウェアを有する。
コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、HDD114、及びNVRAM115等を有する。ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記憶される。NVRAM115には、各種の設定情報等が記憶される。
スキャナ12は、紙文書より画像データを読み取るためのハードウェア(画像読取手段)である。プリンタ13は、印刷データを印刷用紙に印刷するためのハードウェア(印刷手段)である。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル15は、ユーザからの入力の受け付けを行うためのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段等を備えたハードウェアである。液晶パネルは、タッチパネル機能を有していてもよい。この場合、当該液晶パネルは、入力手段の機能をも兼ねる。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード18に記憶されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記憶されたプログラムだけでなく、SDカード18に記憶されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。なお、他の記録媒体(例えば、CD−ROM又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等)によってSDカード18が代替されてもよい。すなわち、SDカード18の位置付けに相当する記録媒体の種類は、所定のものに限定されない。この場合、SDカードスロット17は、記録媒体の種類に応じたハードウェアによって代替されればよい。
図3は、第一の実施の形態における外部装置のハードウェア構成例を示す図である。図3の外部装置20は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置200と、補助記憶装置202と、メモリ装置203と、CPU204と、インタフェース装置205とを有する。
外部装置20での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体201によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体201がドライブ装置200にセットされると、プログラムが記録媒体201からドライブ装置200を介して補助記憶装置202にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体201より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置202は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置203は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置202からプログラムを読み出して格納する。CPU204は、メモリ装置203に格納されたプログラムに従って外部装置20に係る機能を実行する。インタフェース装置205は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
なお、外部装置20は、図3に示されるようなハードウェアを有する複数のコンピュータによって構成されてもよい。すなわち、後述において外部装置20が実行する処理は、複数のコンピュータに分散されて実行されてもよい。
図4は、第一の実施の形態における情報処理システムの機能構成例を示す図である。図4において、画像形成装置10には、スキャンアプリ121がインストールされている。スキャンアプリ121は、原稿からの画像データの読み取りと、読み取られた画像データに関する画像処理(例えば、OCR(Optical Character Recognition)処理)と、画像処理の結果として得られるデータの配信処理とを構成要素として含む処理フローを、画像形成装置10に実行させるアプリケーションプログラムである。本実施の形態において、スキャンアプリ121は、画像形成装置10のCPU111を、読取制御部131、処理経路照会部132、画像処理部133、外部連携部134、及び配信部135として機能させる。すなわち、画像形成装置10は、これら各部を有する。また、画像形成装置10は、処理設定記憶部141を利用する。処理設定記憶部141は、HDD114、又は画像形成装置10にネットワークを介して接続される記憶装置等を用いて実現可能である。
読取制御部131は、画像形成装置10にセットされた原稿からの画像データの読み取り(スキャン)を制御する。以下、原稿から読み取られた画像データを、「スキャン画像」という。処理経路照会部132は、スキャン画像に関する処理経路を外部装置20に照会する(問い合わせる)。処理経路とは、スキャン画像に関する処理フローを構成する各処理(各段階)の要求先(すなわち、当該処理の実行者)の識別情報が、各処理の実行順に並べられた情報をいう。本実施の形態では、スキャン画像に対する画像処理及び配信処理のうち、配信処理の要求先(実行者)が、動的に変化する。したがって、処理経路の照会は、画像処理の要求先の照会に相当する。但し、配信処理の要求先が動的に変更されてもよい。
画像処理部133は、スキャン画像の要求先が画像形成装置10である場合に、スキャン画像に対して画像処理を実行する。例えば、画像処理部133は、スキャン画像のPDF(Portable Document Format)への変換、スキャン画像に対するOCRの実行、及びOCRによって抽出されるテキストデータのPDFへの合成等を実行する。この場合、テキスト付きPDFが生成される。但し、OCR処理のみが実行されてもよいし、他の画像処理が実行されてもよい。また、画像処理部133は、画像処理の所要時間を予測する。所要時間の予測値は、画像処理の要求先の判定における判定材料として用いられる。
外部連携部134は、画像処理の要求先が外部装置20である場合に、外部装置20に対してスキャン画像に対する画像処理を要求する。配信部135は、画像処理によって生成されるデータを、所定の配信先に配信する。
処理設定記憶部141には、スキャン画像の読み取りに関する設定情報の既定値や、画像処理に関する設定情報の既定値や、配信処理に関する設定情報の既定値等を含む情報(以下、「処理設定」という。)が記憶されている。
外部装置20は、処理経路生成部21及び画像処理部22等を有する。処理経路生成部21は、スキャン画像に関する処理経路の照会に応じ、処理設定等(すなわち、処理の内容)等に基づいて、処理経路を生成する。画像処理部22は、画像処理の要求先が外部装置20であると判定された場合に、スキャン画像に対して画像処理を実行する。また、画像処理部22は、画像処理の所要時間を予測する。所要時間の予測値は、画像処理の要求先の判定における判定材料として用いられる。なお、画像処理部22は、基本的には、画像処理部133よりも処理速度が高いのが望ましい。また、品質(例えば、OCRの認識精度等)に関しても、画像処理部22の方が画像処理部133よりも有利であってもよい。但し、外部装置20の状態(例えば、負荷状態)や、処理の内容によっては、画像処理部133の方が、所要時間が短い可能性が有る。
以下、情報処理システム1が実行する処理手順について説明する。図5は、第一の実施の形態における情報処理システムがスキャンアプリに関して実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図5において、ユーザは、画像形成装置10を操作する。
ステップS101において、ユーザは、画像形成装置10の操作パネル15を介して、原稿の読み取り指示を入力する。この際、処理設定記憶部141に記憶されている既定の処理設定が操作パネル15に表示される。ユーザは、必要に応じて、既定の処理設定の一部又は全部を変更することができる。例えば、読み取り設定や、配信先等が変更されうる。
続いて、読取制御部131は、ユーザによってセットされている原稿からの画像データの読み取りをスキャナ12に実行させる(S102)。読み取り処理によって生成されるスキャン画像は、処理設定の内容に従う。続いて、読取制御部131は、処理設定と、生成されたスキャン画像とを指定して、処理の実行を処理経路照会部132に要求する(S103)。
続いて、処理経路照会部132は、スキャン画像と処理設定とを指定して、当該スキャン画像に対する画像処理の所要時間の予測(見積もり)を画像処理部133に要求する(S104)。画像処理部133は、スキャン画像のメタ情報や、処理設定における画像処理に関する設定情報等に基づいて、画像処理部133による画像処理の所要時間の予測値を生成する(見積もる)。スキャン画像のメタ情報とは、スキャン画像のデータサイズ、解像度、ページ数、白黒/カラーの別等、スキャン画像の属性情報である。なお、所要時間の予測の要求には、スキャン画像の代わりにスキャン画像のメタ情報が指定されてもよい。以下、所要時間の予測値を「予測時間」という。
予測時間は、例えば、予め設定されている計算式に基づいて算出(生成)されてもよい。当該計算式は、解像度及びページ数等のメタ情報や画像処理に関する設定情報等、画像処理の内容を構成する項目のうち、所要時間に影響を与える項目の値が変数とされているものであってもよい。この場合、画像処理部133は、メタ情報や処理設定等に基づいて各変数に値を当てはめることにより、予測時間を算出(生成)することができる。又は、上記計算式における各変数の値の組み合わせごとに、予測時間が予め記憶されていてもよい。また、画像処理部133の状態を示すパラメータが、上記計算式等の変数に含まれてもよい。例えば、画像処理部133に対して要求されている画像処理の蓄積量(例えば、ジョブキューに対するジョブの蓄積量)等が、上記変数に含まれてもよい。そうすることで、現在の負荷状態に対応した予測時間が得られる可能性を高めることができる。
また、要求された画像処理を仮実行することにより、予測時間が生成されてもよい。仮実行の内容は、例えば、当該画像処理の一部を実行するものであってもよいし、当該画像処理の各段階の内容を簡略化したものであってもよい。いずれの場合であっても、仮実行の所要時間は、実際の画像処理の所要時間に対して十分に短いことが望ましい。仮実行の所要時間が、そのまま予測時間とされてもよいし、仮実行の所要時間と所定の係数との積が、画像処理の予測時間とされてもよい。
更に、画像処理の所要時間の予測に関する他の公知の方法を用いて、予測時間が算出又は生成されてもよい。
続いて、画像処理部133は、予測時間を処理経路照会部132に返信する(S105)。以下、画像処理部133によって生成された予測時間を「予測時間A」という。処理経路照会部132は、スキャン画像のメタ情報、処理設定、及び予測時間Aを指定して、処理経路の照会要求を、外部装置20の処理経路生成部21に送信する(S106)。なお、スキャン画像が指定されないのは、処理経路の照会に関するネットワーク負荷をできるだけ小さくして、ユーザに対する応答性の低下を回避するためである。
処理経路生成部21は、当該照会要求に応じ、メタ情報と処理設定とを指定して、当該スキャン画像に対する画像処理の所要時間の予測を画像処理部22に要求する(S107)。画像処理部22は、当該メタ情報や、処理設定における画像処理に関する設定情報等に基づいて、画像処理部22による画像処理の所要時間の予測値(予測時間)を生成する。予測時間は、画像処理部133と同様の方法で生成されてもよいし、異なる方法で生成されてもよい。特に、外部装置20では、複数の画像形成装置10等からの要求が受信される可能性が高いため、画像処理の要求がジョブキューに蓄積される可能性が高い。したがって、画像処理部22による予測時間の生成においては、外部装置20の負荷状態(ジョブキューの蓄積量)等に対して、重み付けが大きくされてもよい。また、画像処理部22と画像処理部133との性能が異なる場合、計算式又は計算式の係数は、画像処理部133のものと異なってもよい。
続いて、画像処理部22は、予測時間を処理経路生成部21に返信する(S108)。以下、画像処理部22によって生成される予測時間を「予測時間B」という。続いて、処理経路生成部21は、処理経路の生成を実行する(S109)。まず、処理経路生成部21は、予測時間Aと予測時間Bとを比較して、画像処理の要求先を判定する。本実施の形態では、予測時間Aの方が小さければ、画像処理(例えば、OCR処理)の要求先は、画像形成装置10であると判定される。一方、予測時間Bの方が小さければ、画像処理の要求先は、外部装置20であると判定される。なお、処理経路の判定において、画像形成装置10と外部装置20との間のネットワークの負荷(すなわち、通信時間)が考慮されてもよい。すなわち、外部装置20において画像処理が実行される場合には、画像形成装置10から外部装置20に対してスキャン画像が転送される必要が有る。この転送の所要時間(転送時間)が、予測時間Bに加算されて、予測時間Aとの比較が行われてもよい。例えば、当該ネットワークの通信速度が予め計測されており、スキャン画像のメタ情報にデータサイズが含まれていれば、スキャン画像の転送時間は、以下の式によって算出可能である。
スキャン画像の転送時間=スキャン画像のデータサイズ÷通信速度
当該通信時間は、ネットワーク負荷が小さいときに計測されてもよい。そうすることにより、最低限の転送時間を得ることができる。また、可能であれば、現時点の通信速度が計測されてもよい。更に、画像処理によって生成されるデータが、外部装置20から画像形成装置10へ返信される際の転送時間が、予測時間Bに加算されてもよい。この場合、画像処理によって生成されるデータのサイズには、予測値が用いられればよい。
処理経路生成部21は、画像処理の要求先の判定結果に基づいて、処理経路を生成し、生成された処理経路を処理経路照会部132に返信する(S110)。画像処理の要求先が画像形成装置10である場合、処理経路の内容は、例えば、「画像処理[画像形成装置]→配信処理[画像形成装置]」となる。また、画像処理の要求先が外部装置である場合、処理経路の内容は、例えば、「画像処理[外部装置]→配信処理[画像形成装置]」となる。すなわち、括弧内は、当該括弧の直前に示されている処理の要求先の識別情報を示す。なお、本実施の形態において、配信処理は、固定的に画像形成装置10において実行されるため、いずれの処理経路においても、要求先は、画像形成装置10とされる。
続いて、処理経路照会部132は、処理経路における先頭の処理の要求先に、処理の実行要求を行う(S111)。当該実行要求には、スキャン画像と、処理設定と、処理経路とが指定される。図5では、当該要求先が画像形成装置10である例が示されている。したがって、画像形成装置10内の画像処理部133に対して処理の実行が要求されている。
処理経路照会部132は、また、読取制御部131に対して処理経路を通知する(S121)。本実施の形態において、読取制御部131は、スキャンアプリ121のユーザインタフェースの制御も担当するからである。続いて、読取制御部131は、読み取りの完了と処理経路とをユーザに通知する(S122)。例えば、読取制御部131は、読取完了画面を操作パネル15に表示して、読み取りの完了と処理経路とをユーザに通知する。
図6は、第一の実施の形態における読取完了画面の表示例を示す図である。図6において、読取完了画面510には、読み取りの完了を示す文字列(「読み取り完了」)と、処理経路とが含まれている。処理経路において、「当機」とは、画像形成装置10のことを意味する。また、読取完了画面510には、所要時間が含まれている。当該所要時間は、予測時間Aであってもよいし、配信処理の所要時間の予測値が予測時間Aに加算された値であってもよい。なお、仮に、画像処理の要求先が外部装置20である場合、所要時間は、例えば、予測時間B、又は予測時間Bに配信処理の所要時間が加算された値である。
一方、処理経路照会部132から処理の実行要求を受けた画像処理部133は、当該実行要求に指定されているスキャン画像に関して、画像処理を実行する(S112)。画像処理の内容は、当該実行要求に指定されている処理設定における画像処理に対する設定情報に従う。続いて、画像処理部133は、当該実行要求に指定されている処理経路において、「画像処理」の次の処理に対応する配信部135に、配信の実行要求を行う(S113)。当該実行要求には、処理設定及び処理経路に加え、画像処理の実行結果が指定される。例えば、当該画像処理によってテキスト付きPDFが生成された場合、当該テキスト付きPDFが当該実行要求に指定される。
続いて、配信部135は、当該実行要求に指定された画像処理の実行結果について、配信処理を実行する(S114)。配信先等は、当該実行要求に指定された処理設定にしたがう。配信部135は、自らが実行する処理が処理経路において末端であることを確認すると、配信処理の実行結果を画像処理部133に通知する(S115)。
なお、ステップS110において、画像処理の要求先が外部装置20であることを示す処理経路が返信された場合、処理経路照会部132は、ステップS111と同様の画像処理の実行要求を、外部連携部134を介して外部装置20の画像処理部22に送信する。画像処理部22は、当該実行要求に指定されているスキャン画像に対して画像処理を実行する。画像処理部22は、当該実行要求に指定されている処理経路に基づいて、配信処理の要求先が画像形成装置10であることを確認すると、画像形成装置10の外部連携部134を介して、ステップS113と同様の配信処理の実行要求を配信部135に送信する。
上述したように、第一の実施の形態によれば、画像形成装置10は、スキャン画像に対する処理経路を外部装置20に照会し、照会結果に応じて、処理の要求先を切り替える。したがって、画像形成装置10と外部装置20との間の処理の連携に関する柔軟性を向上させることができる。
また、要求先が動的に変更される処理(本実施の形態では画像処理)については、要求先の各候補における予測時間に基づいて、要求先が決定される。したがって、ユーザに対する処理の応答性を向上させることもできる。
なお、画像処理部133及び画像処理部22によって生成される予測値は、必ずしも、絶対的な所要時間でなくてもよい。例えば、所要時間を5段階によって評価した相対値でもよい。また、予測時間の代わりに処理速度が生成されてもよい。処理速度についても、絶対値であってもよいし、相対値であってもよい。すなわち、予測値は、所要時間に相関を有する指標値であればどのような値であってもよい。なお、予測値が処理速度である場合、処理経路生成部21は、予測値が小さい方を要求先として選択すればよい。予測値については、以降の実施の形態でも同様である。
次に、第二の実施の形態について説明する。第二の実施の形態では第一の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第一の実施の形態と同様でもよい。
図7は、第二の実施の形態における情報処理システムがスキャンアプリに関して実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図7中、図5と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
図7では、ステップS109、S110、S121、S122が、ステップS109a、S110a、S121a、S122aに置換されている。
ステップS109aにおいて、処理経路生成部21は、予測時間Aと予測時間Bとを比較して、画像形成装置10と外部装置20とのうち、画像処理の要求先として推奨する方を判定する。また、処理経路生成部21は、実現可能な処理経路の全てについて、処理経路を生成する。したがって、本実施の形態では、「画像処理[画像形成装置]→配信処理[画像形成装置]」と「画像処理[外部装置]→配信処理[画像形成装置]」との双方の処理経路が生成される。
ステップS110a及びステップS121aでは、生成された全て処理経路が伝達される。この際、推奨される処理経路がいずれであるかが区別されてもよい。例えば、各処理経路を要素とする処理経路の配列内において、推奨される処理経路が先頭の要素とされてもよい。ステップS122aにおいて、読取制御部131は、各処理経路を選択肢として含む読取完了画面を表示する。
図8は、第二の実施の形態における読取完了画面の表示例を示す図である。図8に示される読取完了画面520には、本実施の形態において実現可能な2通りの処理経路が選択肢として含まれている。すなわち、矩形領域521及び矩形領域522は、それぞれ選択可能な領域である。
このように、第二の実施の形態では、全ての処理経路がユーザに提示され、ユーザによって処理経路の選択が行われる。したがって、ステップS111は実行されない。
ユーザによって、矩形領域521及び522のいずれか一方が選択されると(S131)、読取制御部131は、選択された矩形領域に係る処理経路と、スキャン画像と、処理設定とを指定して、当該処理経路における先頭の処理の要求先に、処理の実行要求を行う(S132)。図7では、矩形領域521が選択された例が示されている。したがって、画像形成装置10内の画像処理部133に対して処理の実行が要求されている。
以降は、図5と同様である。なお、仮に、矩形領域522が選択された場合、読取制御部131は、ステップS132と同様の画像処理の実行要求を、外部連携部134を介して外部装置20の画像処理部22に送信する。画像処理部22は、当該実行要求に指定されているスキャン画像に対して画像処理を実行する。画像処理部22は、当該実行要求に指定されている処理経路に基づいて、配信処理の要求先が画像形成装置10であることを確認すると、画像形成装置10の外部連携部134を介して、ステップS113と同様の配信処理の実行要求を配信部135に送信する。
上述したように、第二の実施の形態によれば、処理経路の選択の機会をユーザに与えることができる。したがって、例えば、予測時間では画像形成装置10の方が有利な場合であっても、ユーザが画像形成装置10の利用を継続するために画像形成装置10の負荷を軽くしておきたい場合等に、画像形成装置10の負荷が小さくなるような処理経路をユーザに選択させることができる。
次に、第三の実施の形態について説明する。第三の実施の形態では第一の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第一の実施の形態と同様でもよい。
図9は、第三の実施の形態における情報処理システムの機能構成例を示す図である。図9中、図4と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図9において、外部装置20は、更に、処理履歴記憶部211を利用する。処理履歴記憶部211は、スキャンアプリ121に関する処理フローの実行について、過去の実績情報等の履歴を記憶する。実績情報には、例えば、画像処理の所要時間の実績値等が含まれる。なお、処理履歴記憶部211は、補助記憶装置202、又は外部装置20にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
図10は、第三の実施の形態における情報処理システムがスキャンアプリに関して実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図10中、図5と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
図10では、ステップS104及びS105は実行されない。すなわち、画像処理部133による、予測時間Aの生成は行われない。したがって、ステップS106aにおける照会要求には予測時間Aは指定されない。また、ステップS107及びS108も実行されない。すなわち、画像処理部22による、予測時間Bの生成も行われない。
ステップS106aに続いて、処理経路生成部21は、処理履歴記憶部211から処理履歴を取得する(S141、S142)。
図11は、処理履歴記憶部の構成例を示す図である。図11において、処理履歴記憶部211は、スキャンアプリ121に関する処理フローの実行ごとに、レコードを記憶する。各レコードは、処理履歴ID、生成日時、テナントID、機器ID、配信先、ページ数、ファイル形式、OCR言語、OCR処理時間(機器)、OCR処理時間(外部)、及び結果等の項目を含む。
「処理履歴ID」は、レコードごとの識別情報である。以下、各レコードを、「処理履歴」という。「生成日時」は、処理履歴が生成された日時である。「テナントID」は、外部装置20が提供するサービスの利用契約をしている企業等のテナントごとの識別情報である。「機器ID」は、画像形成装置10の各機体を情報処理システム1において識別するための識別情報である。「配信先」は、当該処理履歴に係る処理フローの配信処理における配信先の識別情報である。「ページ数」は、当該処理フローにおけるスキャン画像のページ数である。「ファイル形式」は、当該スキャン画像に対する画像処理によって生成されたデータのファイル形式である。OCR言語は、当該処理フローに対する処理設定のうち、OCR処理に対する設定項目の一つである、抽出対象とする言語の指定である。OCR処理時間(機器)は、当該処理フローにおけるOCR処理についての、画像形成装置10による所要時間の実績値である。OCR処理時間(外部)は、当該処理フローにおけるOCR処理についての、外部装置20による所要時間の実績値である。なお、1回の処理フローにおいて、OCR処理は、画像形成装置10及び外部装置20のいずれか一方で実行されるため、各処理履歴において、OCR処理時間(機器)及びOCR処理時間(外部)の値のいずれかは空になっている。また、図11は、画像処理部133及び画像処理部22によって実行される画像処理が、OCR処理である例に基づいている。「結果」は、処理フローの実行の成否を示す情報である。
ステップS141及びS142では、複数の処理履歴の中から、例えば、「ページ数」、「ファイル形式」、及び「OCR言語」等、画像処理に関連する項目の値が、今回の処理フローに係るページ数、ファイル形式、及びOCR言語に一致又は類似する処理履歴が取得される。今回の処理フローに係るページ数及びファイル形式は、例えば、ステップS106aにおいて受信されるメタ情報から取得可能である。今回の処理フローに係るOCR結果は、ステップS106aにおいて受信される処理設定から取得可能である。
画像処理に関連する項目の値の類似は、任意の方法で判定されてもよい。例えば、「ページ数」の値の差分が2ページ以内であることが条件とされてもよい。また、取得対象が、「結果」の値が成功である処理履歴に限定されてもよい。また、「OCR結果処理時間(機器)」の値を有する処理履歴については、「テナントID」及び「機器ID」の値が、照会要求の送信元の画像形成装置10に係るテナントID及び機器IDに一致する処理履歴に、取得対象が限定されてもよい。この場合、照会要求には、テナントID及び機器IDが指定されればよい。
続いて、処理経路生成部21は、取得された処理履歴に基づいて、処理経路を生成する(S109b)。まず、処理経路生成部21は、取得された処理履歴に基づいて、画像形成装置10で画像処理を実行した場合の所要時間の予測値(予測時間A)と、外部装置20で画像処理を実行した場合の所要時間の予測値(予測時間B)とを生成する。予測時間Aの生成には、取得された処理履歴のうち、「OCR処理時間(機器)」の値を有する処理履歴が利用される。例えば、該当する全レコードの「OCR処理時間(機器)」の平均値、最大値、又は最小値が、予測時間Aとされてもよい。又は、該当する全レコードに関する他の統計処理によって、予測時間Aが生成されてもよい。予測時間Bの生成については、取得された処理履歴のうち、「OCR処理時間(外部)」の値を有する処理履歴が利用される点を除いて、処理時間Aと同様の方法によって生成されてもよい。処理経路生成部21は、予測時間Aと予測時間Bとを比較して、処理経路を判定又は選択する。なお、この際、予測時間Bに対して、スキャン画像等の転送時間が加算されてもよいのは、上記の各実施形態と同様である。
続いて、ステップS115までは、図5と同様でもよい。ステップS115に続いて、画像処理部133は、処理履歴を生成し、当該処理履歴を外部装置20に送信する(S151)。当該処理履歴の「生成日時」には、現在日時が適用される。「テナントID」及び「機器ID」には、当該画像形成装置10に予め記憶されているテナントID及び機器IDが適用される。「送信先」、「ファイル形式」、及び「OCR言語」には、処理設定に含まれている値が適用される。「ページ数」には、スキャン画像のページ数が適用される。「OCR処理時間(機器)」には、画像処理部133による画像処理の所要時間の実績値が適用される。すなわち、第三の実施の形態において、画像処理部133は、自らの処理の所要時間を計測する。「結果」には、配信処理及び画像処理の結果のAND(論理積)が適用される。すなわち、双方が成功の場合、「結果」の値は「成功」であり、少なくともいずれか一方が失敗している場合、「結果」の値は「失敗」である。
外部装置20は、処理履歴を受信すると、当該処理履歴を処理履歴記憶部211に記憶する(S152)。この際、当該処理履歴に対して処理履歴IDが割り当てられる。
なお、仮に、画像処理部22によって画像処理が実行された場合、処理履歴は、配信部135によって生成され、配信部135によって外部装置20に送信されてもよい。画像処理部22は、配信部135に対する配信処理の実行要求に対して、自らによる処理の所要時間の実績値を指定する。すなわち、第三の実施の形態において、画像処理部22は、自らの処理の所要時間を計測する。配信部135は、当該所要時間を、処理履歴の「処理時間(外部)」に適用する。
上述したように、第三の実施の形態によれば、過去に実行された画像処理のうち、今回実行すべき画像処理と同一又は類似した条件に係る画像処理の所要時間の実績値に基づいて、予測時間A及び予測時間Bを生成することができる。
なお、第一及び第二の実施の形態における、画像処理部133及び画像処理部22による予測時間の生成方法は、第三の実施の形態と同様でもよい。すなわち、画像処理部133及び画像処理部22のそれぞれは、過去に自らが実行した処理時間の履歴を記録しておき、当該履歴を利用して予測時間を生成してもよい。
次に、第四の実施の形態について説明する。第四の実施の形態では第一の実施の形態又は第三の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第一の実施の形態又は第三の実施の形態と同様でもよい。
図12は、第四の実施の形態における情報処理システムの機能構成例を示す図である。図12中、図4と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図12において、情報処理システム1は、更に、画像処理装置30及び管理者端末90含む。画像処理装置30は、例えば、画像形成装置10が属する企業等のイントラネット内において、画像形成装置10にLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続される機器である。画像処理装置30は、画像形成装置10と同様の画像形成装置であってもよいし、PC(Personal Computer)等のコンピュータであってもよい。画像処理装置30の処理能力は、画像形成装置10よりも高性能であるのが好適である。
画像処理装置30は、画像処理部31を有する。画像処理部31は、画像処理部133や画像処理部22と同様の画像処理を実行可能である。また、画像処理部31による処理の精度等は、画像処理部133より高くてもよい。なお、画像処理部31は、画像処理装置30にインストールされた1以上のプログラムが、画像処理装置30のCPUに実行させる処理により実現される。すなわち、第四の実施の形態では、画像処理の要求先の候補として、画像処理装置30が追加される。なお、図12において、画像処理装置30は、一つの矩形によって表現されているが、複数の画像処理装置30が、ネットワークを介して画像形成装置10に接続されてもよい。
管理者端末90は、画像形成装置10が属する企業等におけるシステム管理者(以下、単に「管理者」という。)が利用するPC(Personal Computer)等の情報処理装置である。管理者端末90は、ネットワークN1を介して外部装置20と通信可能である。
図12において、外部装置20は、更に、候補情報記憶部212を利用する。候補情報記憶部212は、画像処理の候補となる機器に関する情報(以下、「候補情報」という。)を記憶する。候補情報記憶部212は、補助記憶装置202、又は外部装置20にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
図13は、候補情報の登録処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
ステップS201において、管理者は、管理者端末90に対して、候補情報の登録を指示する。当該指示において、画像処理の要求先の候補となる各画像処理装置30に関する候補情報と、外部装置20のURL(Uniform Resource Locator)とが入力される。管理者端末90は、入力されたURL宛に、入力された候補情報の登録要求を送信する(S202)。
当該登録要求は、外部装置20によって受信される。外部装置20は、当該登録要求に指定されている候補情報を、候補情報記憶部212に記憶する(S203)。
図14は、候補情報記憶部の構成例を示す図である。図14において、候補情報記憶部212は、画像処理の候補となる機器ごとに、候補情報を記憶する。候補情報は、機器ID、テナントID、機体番号、IPアドレス、OCR処理、及び地紋等の項目を含む。
「機器ID」は、各候補の機体を情報処理システム1において識別するための識別情報である。「テナントID」は、当該候補が属するテナントのテナントIDである。「機体番号」は、製造番号やシリアル番号等、当該候補の機体のハードウェアに紐付く識別情報である。「IPアドレス」は、当該候補のIPアドレスである。「OCR処理」は、OCR処理の実行の可否を示す情報である。「地紋」は、地紋処理の実行の可否を示す情報である。なお、OCR処理及び地紋以外の画像処理に関する項目が設けられてもよい。また、画像処理ごとに、1ページあたりの所要時間を示す項目が設けられてもよい。当該項目の値は、予測時間と同じ基準の指標値であるのが望ましい。
なお、各候補の機能構成が変化した場合には、適宜、候補情報の更新が行われてもよい。また、画像形成装置10及び外部装置20に関する候補情報は登録されなくてもよいし、登録されてもよい。
図15は、第四の実施の形態における情報処理システムがスキャンアプリに関して実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図15中、図10と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
ステップS106bにおいて、処理経路照会部132は、スキャン画像のメタ情報、処理設定、及びテナントIDが指定された、処理経路の照会要求を処理経路生成部21に送信する。テナントIDは、画像形成装置10に予め記憶されている値が指定される。なお、図15においても、画像処理部133及び画像処理部22による予測時間の生成は行われない。
ステップS106bに続いて、処理経路生成部21は、照会要求に指定されたテナントIDを含む候補情報の一覧を候補情報記憶部212から取得する(S161、S162)。すなわち、照会要求の送信元と同じ企業等に属する機器に関する候補情報が取得される。続いて、処理経路生成部21は、取得された候補情報(以下、「対象候補情報」という。)の一覧と、照会要求に指定された処理設定とに基づいて、処理経路を生成する(S109c)。例えば、処理経路照会部132は、対象候補情報の一覧の中から、処理設定における画像処理の設定情報が示す処理内容を実行可能な機器の候補情報を抽出する。例えば、当該処理内容がOCR処理であれば、「OCR処理」の値が「可能」である候補情報が抽出される。処理経路生成部21は、抽出された候補情報が一つであれば、当該候補情報に係る機器を画像処理の要求先として処理経路を生成する。この場合、当該候補情報の「IPアドレス」の値が、要求先の識別情報として処理経路に含められてもよい。
また、抽出された候補情報が複数であれば、過去の選択履歴に基づいて候補情報が選択されてもよい。具体的には、最後に選択された時期が最も古い候補情報が選択されてもよい。そうすることで、短期間に連続して同じ機器が選択されることによる、当該機器への負荷の集中を回避することができる。また、候補情報に所要時間を示す項目が含まれている場合、当該項目に基づいて候補情報が選択されてもよい。候補情報に所要時間を示す項目が含まれている場合、第一の実施の形態又は第三の実施の形態と同様に、画像形成装置10に関する予測時間Aと、外部装置20に関する予測時間Bとが生成されてもよい。予測時間Aと、予測時間Bと、抽出された各候補情報の所要時間とを比較して、画像処理の要求先が判定されてもよい。この場合、画像形成装置10と外部装置20との候補情報は登録されていなくてもよい。
ここでは、画像処理の要求先として画像処理装置30のIPアドレスが指定された処理経路が生成されたこととする。ステップS110において斯かる処理経路を受信した処理経路照会部132は、当該処理経路における先頭の処理の要求先に、処理の実行要求を行う(S171)。ここでは、画像処理装置30の画像処理部31に当該実行要求が送信される。なお、当該実行要求には、スキャン画像、処理設定、及び処理経路が指定される。
画像処理部31は、要求された画像処理を実行し、画像処理によって生成されたデータと処理の成否を示す処理結果とを、処理経路照会部132に返信する(S172)。続いて、処理経路照会部132cは、処理経路において、「画像処理」の次の処理に対応する配信部135に、配信の実行を要求する(S173)。ステップS173の内容は、ステップS113と同様でよい。その後、ステップS174及びS175において、ステップS114及びS115と同様の処理が実行される。
上述したように、第四の実施の形態によれば、画像形成装置10及び外部装置20以外の機器であって、画像形成装置10とネットワークを介して接続される機器にも、画像処理を実行させることができる。
次に、第五の実施の形態について説明する。第五の実施の形態では第一の実施の形態又は第四の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第一の実施又は第四の実施の形態と同様でもよい。
図16は、第五の実施の形態における情報処理システムの機能構成例を示す図である。図16中、図4と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図16において、情報処理システム1は、更に、外部装置40を含む。外部装置40は、LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワークを介して外部装置20に接続される。また、外部装置40は、ネットワークN1を介して、画像形成装置10に接続される。
外部装置40は、外部装置20と同じ運営者又は異なる運営者によって運営される情報処理装置である。例えば、外部装置20は、クラウドサービスを提供するコンピュータシステムであってもよい。
図16において、外部装置40は、情報提供部41及び画像処理部42等を有する。これら各部は、外部装置40にインストールされた1以上のプログラムが、外部装置40のCPUに実行させる処理により実現される。
情報提供部41は、外部装置40に関する情報を提供する。例えば、外部装置40によって画像処理を実行した場合の予測時間が、外部(本実施の形態では、外部装置20)に対して提供される。また、外部装置40の負荷状態(例えば、画像処理に関するジョブキューに対するジョブの蓄積量)等が、外部に対して提供されてもよい。
画像処理部42は、画像処理部22と同様の画像処理、又は画像処理部22が実行可能な画像処理に対して機能が追加された画像処理を実行可能である。
図17は、第五の実施の形態における情報処理システムがスキャンアプリに関して実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図17中、図15又は図10と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
ステップS106aに応じ、処理経路生成部21は、スキャン画像と処理設定とを指定して、当該スキャン画像に対する画像処理の所要時間の予測の要求を、外部装置40の情報提供部41に送信する(S181)。当該要求の内容は、例えば、図5のステップS109における要求と同様でもよい。続いて、情報提供部41は、当該要求を画像処理部22に転送する(S182)。画像処理部42は、スキャン画像のメタ情報や、処理設定における画像処理に関する設定情報等に基づいて、画像処理部42による画像処理の予測時間を生成する。予測時間の生成方法は、上記の各実施の形態において説明した方法のいずれが用いられてもよい。続いて、画像処理部42は、予測時間を情報提供部41に返信する(S183)。情報提供部41は、当該予測時間を処理経路生成部21に返信する(S184)。なお、予測時間と共に、画像処理部42の負荷状態を示す情報が返信されてもよい。以下、外部装置40から返信される予測時間を、「予測時間C」という。
なお、ステップS181~S184は、複数の外部装置20のそれぞれについて実行される。したがって、各外部装置40から予測時間C等が収集される。
続いて、処理経路生成部21は、処理経路を生成する(S109d)。例えば、処理経路生成部21は、各外部装置20からの予測時間Cの比較に基づいて、画像処理の要求先を判定する。また、画像形成装置10及び外部装置20も、画像処理の要求先の候補とする場合は、予測時間A及び予測時間Bが生成されてもよい。予測時間A及び予測時間Bは、上記の実施の形態において説明したいずれの方法を用いて生成されてもよい。この場合、処理経路生成部21は、予測時間A、予測時間B、及び各予測時間Cとの比較に基づいて、画像処理の要求先を判定する。処理経路生成部21は、判定結果に基づいて、処理経路を生成する。なお、画像形成装置10及び外部装置20が、画像処理の要求先の候補となる場合は、外部装置40は、一つであってもよい。
図17では、ステップS110に続いて、ステップS185が実行される。ステップS185において、処理経路照会部132は、ステップS110において受信された処理経路における先頭の処理の要求先に、処理の実行要求を行う。ここでは、外部装置40の画像処理部42に当該実行要求が送信される。なお、当該実行要求には、スキャン画像、処理設定、及び処理経路が指定される。
画像処理部42は、要求された画像処理を実行し、画像処理によって生成されたデータと処理の成否を示す処理結果とを、処理経路照会部132に返信する(S186)。続いて、図15において説明したステップS173以降が実行される。
上述したように、第五の実施の形態によれば、外部装置20と異なる外部装置40に、画像処理を実行させることができる。したがって、例えば、画像形成装置10は、複数のクラウドサービスの中から、応答性が相対的に高いクラウドサービスを利用して、処理フローを実行することができる。
次に、第六の実施の形態について説明する。第六の実施の形態では上記各実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、上記各実施の形態と同様でもよい。
図18は、第六の実施の形態における情報処理システムの機能構成例を示す図である。図18中、図9、図12、又は図16と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図18において、外部装置20は、選択条件記憶部213を更に利用する。選択条件記憶部213には、処理経路の生成時における、画像処理の要求先の選択に関する条件を示す情報(以下、「選択条件」という。)が予め記憶されている。選択条件の登録は、例えば、画像形成装置10が属する企業等におけるシステム管理者や、外部装置20の運営者等によって行われてもよい。
図19は、第六の実施の形態における情報処理システムがスキャンアプリに関して実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図17中、図5又は図10と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
ステップS106cにおいて、処理経路照会部132は、スキャン画像のメタ情報、処理設定、予測時間A、及びテナントIDを指定して、処理経路の照会要求を、外部装置20の処理経路生成部21に送信する。
ステップS191及びS192において、処理経路生成部21は、照会要求に指定されているテナントIDに対応付けられている選択条件を、選択条件記憶部213から取得する。
図20は、選択条件記憶部の構成例を示す図である。図20において、選択条件記憶部213は、選択条件ID及びテナントIDに対応付けて選択条件を記憶する。「選択条件ID」は、選択条件ごとの識別情報である。「テナントID」は、当該選択条件の登録元のテナントのテナントIDである。図20に示されるように、選択条件は、スキャン画像のメタ情報や処理設定等の画像処理の処理内容や、各候補の負荷状態等に対する条件として、画像処理の要求先を選択するための基準を示す。なお、「テナントID」の値が空である選択条件は、外部装置20の運営者によって登録された選択条件である。
なお、図19では、便宜上、省略されているが、処理履歴記憶部211(図11)からの処理履歴の取得(S3のS141、S142)、候補情報記憶部212(図14)からの候補情報の取得(図15のS161、S162)、及び外部装置40からの予測時間C(図17のS181~S184)等が行われてもよい。
続いて、処理経路生成部21は、処理経路を生成する(S109e)。この際、処理経路生成部21は、メタ情報、処理設定、予測時間A、予測時間B、及び予測時間C、候補情報、処理履歴、及び選択条件等に基づいて、画像処理の要求先を判定する。例えば、判定に対する各情報の優先度は適宜変更されてもよい。例えば、選択条件が最優先とされる場合、メタ情報及び処理設定を選択条件に当てはめて、複数の候補が抽出された場合に、他の情報を用いて候補の絞り込みが行われてもよい。又は、例えば、メタ情報、処理設定、及び候補情報に基づいて複数の候補が抽出された場合に、選択条件に基づいて、候補の絞り込みが行われてもよい。候補の絞り込みによっても、一つの候補が特定されない場合に、予測時間の比較に基づいて、一つの候補が選択されてもよい。
以降においては、既に説明した処理手順が実行される。
上述したように、第六の実施の形態によれば、予め設定された選択条件によって、画像処理の要求先の候補の判定に関して、ユーザの意図を判定させることができる。
なお、上記各実施の形態では、画像処理の要求先が判定される例について説明したが、画像処理以外の他の処理に関しても、要求先の判定が行われてもよい。
また、画像形成装置10以外機器が外部装置20と連携する場合について、上記各実施の形態が適用されてもよい。
なお、上記各実施の形態において、画像形成装置10は、機器の一例である。外部装置20は、情報処理装置の一例である。画像処理部133は、第1の生成部の一例である。処理経路照会部132は、第1の送受信部及び要求部の一例である。画像処理部22は、第二の生成部の一例である。処理経路生成部21は、判定部、送信部、請求項2における生成部、及び第2の送受信部の一例である。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。