JP2016124533A - 車両用の窓ガラス - Google Patents

車両用の窓ガラス Download PDF

Info

Publication number
JP2016124533A
JP2016124533A JP2015141492A JP2015141492A JP2016124533A JP 2016124533 A JP2016124533 A JP 2016124533A JP 2015141492 A JP2015141492 A JP 2015141492A JP 2015141492 A JP2015141492 A JP 2015141492A JP 2016124533 A JP2016124533 A JP 2016124533A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass plate
glass
conductive
functional liquid
shielding layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015141492A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6510919B2 (ja
Inventor
健司 藤原
Kenji Fujiwara
健司 藤原
陽太 矢野
Yota Yano
陽太 矢野
和久 大野
Kazuhisa Ono
和久 大野
寺西 豊幸
Toyoyuki Teranishi
豊幸 寺西
神谷 和孝
Kazutaka Kamiya
和孝 神谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sheet Glass Co Ltd filed Critical Nippon Sheet Glass Co Ltd
Publication of JP2016124533A publication Critical patent/JP2016124533A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6510919B2 publication Critical patent/JP6510919B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Abstract

【課題】低コストでかつ十分に導電性線条部の劣化を防止する技術を提供する。【解決手段】本発明の一側面に係る窓ガラスは、車両用の窓ガラスであって、ガラス板と、前記ガラス板のいずれかの面に導電性材料を所定のパターンを有するように積層することで形成される導電性線条部と、所定の機能を与えるための機能液を前記導電性線条部の積層された前記ガラス板の面に塗布することで、前記導電性線条部を被覆するよう構成された機能性被膜と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、車両用の窓ガラスに関する。
自動車に取り付けられる車両用の窓ガラス(特に、リアガラス)の表面には、結露を除去するため又は氷結を溶かすようワイパーを加熱するための熱線、所定の電波を受信するためのアンテナ等を構成するパターンを有する導電性線条部が設けられることがある。この導電性線条部は、例えば、導電性の銀ペーストを窓ガラスの表面上に印刷し焼成することにより形成される。
従来、この導電性線条部の摩耗劣化を防止する方法として、ガラス板の面上に積層された導電性線条部を緻密で硬度の大きい銅、ニッケル等で被覆する方法、導電性線条部の表面にガラス層を形成する方法が知られている。例えば、特許文献1では、導電性線条部を形成する導電性ペーストに低融点ガラスの粉末を含ませることで、低融点ガラスを滲出させ、導電性線条部の表面にガラス層を形成する方法が提案されている。
特開平11−322371号公報
しかしながら、導電性線条の表面に金属層を形成する方法及びガラス層を形成する方法では、共に、導電性線条部を被覆するための余計な材料を利用する。そのため、コストが高くなってしまうという問題点があった。また、導電性線条部をガラス層で被覆する方法では、ガラス成分の増加に伴い比抵抗が上昇するため、導電性線条部に流れる電流値が低下してしまい、高い発熱性能を得るのが困難になってしまうという問題点があった。更に、特許文献1で開示される方法では、低融点ガラスの滲出を精度よくコントロールするのが難しい。そのため、導電性線条部を十分に被覆するガラス層が形成されず、導電性線条部の劣化を十分に防止することができない可能性があるという問題点があった。
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストでかつ十分に導電性線条部の劣化を防止する技術を提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
すなわち、本発明の一側面に係る窓ガラスは、車両用の窓ガラスであって、ガラス板と、前記ガラス板のいずれかの面に導電性材料を所定のパターンを有するように積層することで形成される導電性線条部と、所定の機能を与えるための機能液を前記導電性線条部の積層された前記ガラス板の面に塗布することで、前記導電性線条部を被覆するよう構成された機能性被膜と、を備える。
当該構成によれば、ガラス板の面上に形成される導電性線条部は機能性被膜によって被覆される。すなわち、機能液を塗布することでガラス板に所定の機能を付与する機能性被膜を形成するとともに、その形成される機能性被膜で導電性線条部を被覆することによって、導電性線条部の劣化を防止することができる。換言すると、ガラス板に所定の機能を付与する役割を有する機能性被膜に、導電性線条部を保護する役割を追加的に担わせることができる。そのため、導電性線条部の劣化を低コストで防止することができる。また、機能液を塗布する領域を制御するのは非常に容易であるため、導電性線条部を十分に被覆する機能性被膜を容易に形成することができる。したがって、当該構成によれば、低コストでかつ十分に導電性線条部の劣化を防止することができる。
なお、導電性線条部の所定のパターンは、例えば、デフォッガ、デアイサー、アンテナ等の用途に応じて決定される。導電性材料は、例えば、銀、金、白金等であってもよく、導電性線条部の上記用途を達成可能であれば実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。
また、機能液は、ガラス板に付与する機能に応じて選択されてもよい。機能液は、例えば、紫外線カットコーティング液、赤外線(IR)カットコーティング液、防曇コーティング液、撥水コーティング液、防汚コーティング液、低反射コーティング液、電磁遮蔽コーティング液、着色コーティング液等である。機能性被膜の種類は、適用する機能液によって定まる。例えば、紫外線カットコーティング液を機能液として使用した場合には、機能性被膜は、紫外線をカットする機能を有する被膜となる。
また、上記一側面に係る窓ガラスの別の形態として、前記機能液はシラン化合物を含むものであってもよい。当該構成によれば、機能液に含まれるシラン化合物とガラス板に含まれるケイ素化合物とが反応して、ガラス板と機能液との界面でシロキサン結合(-Si-O-Si-)を形成する。これによって、機能性被膜は導電性線条部を含むガラス板表面を強固に被覆することができ、導電性線条部の劣化を十分に防止することができる。
また、上記一側面に係る窓ガラスの別の形態として、前記導電性線条部はガラス材料を含んでもよい。当該構成によれば、機能液に含まれるシラン化合物と導電性線条部のガラス材料に含まれるケイ素化合物とが反応して、機能液と導電性線条部との界面でシロキサン結合(-Si-O-Si-)を形成する。これによって、機能性被膜は導電性線条部を強固に被覆することができ、導電性線条部の劣化を十分に防止することができる。
また、上記一側面に係る窓ガラスの別の形態として、前記ガラス板の前記導電性線条部の形成される面の周縁部には、車外からの視野を遮蔽する遮蔽層が設けられてもよく、前記遮蔽層はガラス材料を含んでもよい。当該構成によれば、導電性線条部を囲むように遮蔽層が形成され、この遮蔽層はガラス材料を含む。そのため、機能液に含まれるシラン化合物と遮蔽層のガラス材料に含まれるケイ素化合物とが反応して、機能液と遮蔽層との界面でシロキサン結合(-Si-O-Si-)を形成する。これによって、機能性被膜は、導電性線条部の周囲を強固に被覆することができ、機能性被膜と遮蔽層の界面から雨等に含まれる硫黄等の進入を防止し、導電性線条部の劣化を十分に防止することができる。
また、上記一側面に係る窓ガラスの別の形態として、前記機能液は紫外線カットコーティング液であってもよい。当該構成によれば、車内に侵入する紫外線をカットするとともに、導電性線条部の劣化を低コストでかつ十分に防止することができる。
また、上記一側面に係る窓ガラスの別の形態として、前記導電性材料は銀を含んでもよい。銀は、導電性が高く、比較的に入手が容易で、低価格である。そのため、当該構成によれば、低コストで質のよい導電性線条部を形成することができる。更に、銀は、雨などに含まれる硫黄等と比較的に化学反応しやすいため、導電性線条部を形成する導電性材料が銀を含む場合には、機能性被膜で被覆することで雨などから導電性線条部を保護する本発明が重要な技術となる。
また、上記一側面に係る窓ガラスの別形態として、前記窓ガラスはリアガラスであってもよい。リアガラスには一般的に機能液は塗布されない。当該構成によれば、そのようなリアガラスに敢えて機能液を塗布することで、リアガラスに形成された導電性線条部の劣化を防止することができる。
また、本発明の一側面に係る車両用の窓ガラスの製造方法は、導電性材料で形成される導電性線条部及び/又は車外からの視野を遮蔽する遮蔽層がいずれかの面に積層したガラス板を形成する第1工程と、極性有機溶媒に有機酸を溶解した溶液で、前記ガラス板の面のうちの少なくとも前記導電性線条部及び/又は前記遮蔽層を含む領域を洗浄する第2工程と、前記第2工程の後に、前記導電性線条部及び/又は前記遮蔽層が積層した前記ガラス板の面に所定の機能を与えるための機能液を塗布することで、当該ガラス板の面に機能性被膜を形成する第3工程と、を含む。
従来、導電性線条部及び/又は遮蔽層がいずれかの面に積層したガラス板を形成した場合、当該ガラス板の面を洗浄水で洗浄する洗浄工程が実施される。具体的には、洗浄工程は、いわゆるセリコ洗浄として、酸化セリウムを主成分とする洗浄剤を水に分散した洗浄液を用いてガラス板の面を洗浄した後に、洗浄剤が残らないように当該ガラス板の面を水でよく洗浄することで行われる。本件発明者らは、この従来の洗浄工程では、次のような2つの問題点が生じることを見出した。
第1に、この洗浄工程の後に、洗浄水を乾燥する乾燥工程が実施されるところ、導電性線条部及び遮蔽層とガラス表面とは水濡れ性が異なり、導電性線条部及び遮蔽層は、一般的に水をはじく傾向にある。そのため、導電性線条部及び遮蔽層とガラス表面との境に洗浄水が溜まってしまい、当該洗浄水の乾燥に時間がかかってしまうという問題点が生じることを本件発明者らは見出した。
第2に、仮に、上記洗浄工程の後に、導電性線条部及び/又は遮蔽層が積層したガラス板の面に機能液を塗布して、当該ガラス板の面に機能性被膜を形成したとする。この場合に、機能液を乾燥する工程を実施すると、導電性線条部及び遮蔽層とガラス表面とは機能液の定着しやすさが異なるため、具体的には、導電性線条部及び遮蔽層の表面に機能液が定着しにくいため、導電性線条部及び/又は遮蔽層の領域で機能性被膜が剥離しうるという問題点が生じることを本件発明者らは見出した。
これに対して、上記構成に係る製造方法では、導電性線条部及び/又は遮蔽層が積層したガラス板の面に機能液を塗布する第3工程の前に、極性有機溶媒に有機酸を溶解した溶液で当該ガラス板の面を洗浄する第2工程が実施される。本件発明者らは、これによって、上記2つの問題点が解決することを見出した。したがって、上記構成によれば、窓ガラスの製造効率を高めることができ、かつ、導電性線条部及び/又は遮蔽層上の機能性被膜が剥がれるのを抑制することができる。
なお、本件発明者らは、極性有機溶媒に有機酸を溶解した溶液での洗浄を実施することで、上記2つの問題点が解決する理由を次のように考えている。
すなわち、導電性線状部及び遮蔽層の表面は、ガラス板表面と比べて微細な凹凸が形成されており、その凹凸に有機物を主成分とする汚れ成分が入り込んでいる。従来のいわゆるセリコ洗浄だけでは、凹凸内の汚れが充分除去できていないと想定され、その汚れにより洗浄水のはじきが生じやすく、また水がはじく部分は機能液もはじく傾向にあり、機能液が定着しにくい。それに対して、有機酸の極性溶媒溶液による洗浄を実施すると、有機溶媒は水と比べて表面張力が小さいので、有機酸の極性溶媒溶液は、導電性線状部及び遮蔽層の表面に形成された凹凸の奥まで浸透する。そして、有機酸が、汚れを除去し、また凹凸内に残留して汚れの再付着を防止する。そのため、その後のセリコ洗浄で汚れ成分を効率よく除去でき、これによって、水のはじきが生じ難くなり、かつ、導電性線状部及び遮蔽層の表面に機能液が定着しやすくなるため、上記2つの問題点が解決すると想定される。
なお、上記有機酸は、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、マレイン酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、及び乳酸のうち少なくとも1種以上で構成されてよい。
また、上記極性有機溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、又はそれらの混合溶媒であってよい。
本発明によれば、低コストでかつ十分に導電性線条部の劣化を防止することができる。
図1は、実施の形態に係る窓ガラスを模式的に例示する平面図である。 図2は、実施の形態に係る窓ガラスを模式的に例示する部分断面図である。 図3は、実施の形態に係る窓ガラスのシェーピング工程を模式的に例示する。 図4は、実施の形態に係る機能液の塗布システムを例示する。 図5は、実施の形態に係る塗布工程を例示する。 図6は、実施の形態に係るガラス板の右側辺部に機能液を塗布する際のガラス板の移動方向を例示する。 図7は、実施の形態に係るガラス板の上辺部に機能液を塗布する際のガラス板の移動方向を例示する。 図8は、実施の形態に係るガラス板の左側辺部に機能液を塗布する際のガラス板の移動方向を例示する。 図9は、他の形態に係る導電性線条部の断面を例示する。 図10は、実施例に係る導電性線条部の耐久性試験の結果を示す。 図11は、比較例に係る導電性線条部の耐久性試験の結果を示す。 図12は、実施例及び参考例に係る機能性被膜の品質結果を示す。
以下、本発明の一側面に係る実施の形態を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する各実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
§1 第1実施形態
§1.1 構成例
<窓ガラス>
まず、図1及び図2を用いて、第1実施形態に係る窓ガラス1について説明する。図1は、第1実施形態に係る窓ガラス1を模式的に例示する平面図である。また、図2は、第1実施形態に係る窓ガラス1を模式的に例示する部分断面図である。なお、説明の便宜のため、図1の上下方向を「上下」と、図1の左右方向を「左右」と称することとする。図1は、車内側から見た窓ガラス1を例示している。すなわち、図1の紙面奥側が車外側であり、図1の紙面手前側が車内側である。
第1実施形態に係る窓ガラス1は、自動車に取り付けられる車両用の窓ガラスであって、具体的には自動車のリアガラスである。ただし、本発明の窓ガラスの種類は、リアガラスに限定される訳ではなく、実施の形態に応じて適宜選択可能である。図1に例示されるように、第1実施形態に係る窓ガラス1は略台形状のガラス板10を備えており、垂直から傾けて自動車に取り付けられる。
そして、図2に例示されるように、このガラス板10は車内側の第1面11と車外側の第2面12とを有しており、車内側の第1面11の周縁部には、車外からの視野を遮蔽する遮蔽層4が設けられている。また、ガラス板10の車内側の第1面11における遮蔽層4上及び内側の領域には、所定のパターンを有する導電性線条部2が形成されている。そして、図2に例示されるように、この導電性線条部2を被覆するように機能性被膜3が第1面11に形成されている。以下、これらの各構成要素について説明する。
<ガラス板>
まず、ガラス板10について説明する。第1実施形態に係るガラス板10は、自動車の窓ガラスとして利用され、取り付けられる自動車の窓枠に応じた形状に構成される。第1実施形態では、ガラス板10は、平面視では略台形状であり、また、側面視では、第1面11側が凹となり、第2面12側が凸となるように、周縁部から中央部にかけて湾曲した形状に形成されている。
このようなガラス板10は、実施の形態に応じて、種々の構成が可能である。また、このガラス板10には自動車用の公知のガラス板を利用することができる。例えば、ガラス板10には、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラス若しくはグリーンガラス、又はUVグリーンガラスが利用されてもよい。ただし、このようなガラス板10は、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、日射吸収率、可視光線透過率などが安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラスの組成の一例と、熱線吸収ガラス組成の一例を示す。
(クリアガラス)
SiO2:70〜73質量%
Al23:0.6〜2.4質量%
CaO:7〜12質量%
MgO:1.0〜4.5質量%
2O:13〜15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23):0.08〜0.14質量%
(熱線吸収ガラス)
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23)の比率を0.4〜1.3質量%とし、CeO2の比率を0〜2質量%とし、TiO2の比率を0〜0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl23)をT−Fe23、CeO2およびTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
なお、ガラス板10の種類は、クリアガラス、熱線吸収ガラス等に限られず、実施の形態に応じて適宜選択可能である。例えば、ガラス板10は、アクリル系、ポリカーボネート系等の樹脂窓であってもよい。
また、第1実施形態に係る窓ガラス101の厚みは、特には限定されなくてもよい。ただし、軽量化の観点からは、窓ガラス101の厚みは、2.2〜5.1mmの範囲で設定されてもよく、2.4〜3.8mmの範囲で設定されてもよく、2.7〜3.2mmの範囲で設定されてもよい。更に、窓ガラス101の厚みは3.1mm以下となるように設定されてもよい。
<遮蔽層>
次に、遮蔽層4について説明する。図1に例示されるように、第1実施形態では、遮蔽層4は、ガラス板10の第1面11の周縁部に形成されている。遮蔽層4は、車外からガラス板10の取り付け部分等を見えないようにするために設けられる。
この遮蔽層4の材料は、車外からの視野を遮蔽可能であれば、実施の形態に応じて適宜選択されてもよく、黒色、茶色、灰色、濃紺等の濃色のセラミックを用いてもよい。例えば、黒色のセラミックをスクリーン印刷等によってガラス板10の車内側の第1面11上に積層し、ガラス板10と共に積層したセラミックを加熱する。これによって、窓ガラス1の周縁部に一層構造の遮蔽層4を形成することができる。なお、遮蔽層4に利用するセラミックは、種々の材料を利用することができる。例えば、以下の組成のセラミックを遮蔽層4に利用することができる。
Figure 2016124533
*1,主成分:酸化銅、酸化クロム、酸化鉄及び酸化マンガン
*2,主成分:ホウケイ酸ビスマス、ホウケイ酸亜鉛
なお、この遮蔽層4の厚みは適宜設定可能である。例えば、遮蔽層4の厚みは、10μm〜20μmの範囲で設定することができる。この遮蔽層4は、車外からの視野を遮蔽する他、紫外線をカットすることで、ガラス板10を車体に取り付けるための接着剤の劣化を防止することができる。
<導電性線条部>
次に、導電性線条部2について説明する。図1及び図2に例示されるように、第1実施形態に係る導電性線条部2は、自動車の車内側に向けられるガラス板10の第1面11に形成されている。そして、導電性線条部2は、ガラス板10(窓ガラス1)の結露を除去するための熱線を構成するパターンを有している。
具体的には、導電性線条部2は、左右方向に延びる複数本(図1では6本)の熱線部21と、熱線部21の両端部をそれぞれ連結するように上下方向の延びる一対のバスバー部22と、バスバー部22に接続端子を取り付けるための接続部23と、を備えている。ただし、熱線部21の形状及び本数、バスバー部の形状及び本数、並びに接続部23の位置は、このような例に限定される訳ではなく、実施の形態に応じて適宜設計可能である。なお、第1実施形態では、バスバー部22は遮蔽層4上に形成されており、熱線部21の殆どの部分は遮蔽層4の内側の領域に形成されている。
接続部23には所定の接続端子が半田付け等により取り付けられ、自動車の電源からの配線(不図示)が接続端子を介してバスバー部22に連結される。そのため、自動車の運転手は、操作パネル(不図示)を操作することによって、導電性線条部2に電気を供給することができる。
導電性線条部2に電気が供給されると、バスバー部22を介して各熱線部21に電流が生じる。そうすると、流れる電気のエネルギーによって各熱線部21は加熱され、この各熱線部21の形成された部分でガラス板10が温められる。これによって、ガラス板10の第1面11又は第2面12についた結露を除去することができる。
このような導電性線条部2は、ガラス板10の第1面11に導電性を有する導電性材料を所定のパターンを有するように積層することで形成される。導電性線条部2の材料は、導電性を有していればよく、実施の形態に適宜選択可能である。導電性線条部2の材料の一例として、銀、金、白金等を挙げることができる。例えば、導電性線条部2は、銀粉末、ガラスフリット等を含む導電性の銀ペーストをガラス板10の第1面11上に印刷し焼成することによって形成することができる。なお、銀は、導電性が高く、比較的に入手が容易で、低価格である。そのため、低コストで質のよい導電性線条部2を形成するためには、導電性材料は銀を含むのが好ましい。なお、銀は、雨などと比較的に化学反応しやすい。そのため、導電性線条部2を形成する導電性材料が銀を含む場合には、機能性被膜3で被覆することで雨などから導電性線条部2を保護する第1実施形態は重要な技術となる。
また、この導電性線条部2は所定の厚みに形成される。導電性線条部2の厚みは適宜設定可能である。ただし、導電性線条部2の厚みが大きすぎる場合には、後述する機能性被膜3によって導電性線条部2を被覆するのが困難になりうる。この観点から、導電性線条部2の厚みは、30μm以下が好ましく、25μm以下が更に好ましく、20μm以下が特に好ましい。
さらに、この導電性線条部2は所定の粗さに形成される。導電性線条部2の粗さは適宜設定可能である。ただし、この導電性線条部2の表面の粗さが比較的に低くすることで、機能液を流れやすくすることができ、これによって、導電性線条部2を機能性被膜3で被覆しやすいようにすることができる。この観点から、例えば、導電性線条部2の表面粗さRaは、1μm以下が好ましく、0.8μm以下が更に好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。なお、この表面粗さRaは、例えば、JIS B0601の規定に準拠して測定することができる。
<機能性被膜>
次に、機能性被膜3について説明する。図1及び図2に例示されるように、機能性被膜3は、導電性線条部2を被覆するように構成されている。具体的には、図2に例示されるように、機能性被膜3は、導電性線条部2が外部に露出しないように、導電性線条部2を第1面11との間で被覆している。これによって、機能性被膜3は、導電性線条部2が雨などに接触しないようにする。なお、図2では、導電性線条部2の部分として熱線部21が例示されているが、導電性線条部2の他の部分も機能性被膜3により被覆される。
ここで、機能液は、ガラス板10に機能を与えるための機能性材料の添加された液体である。例えば、ガラス板10に紫外線をカットする機能を与えるための紫外線カットコーティング液を機能液として用いるのが好ましい。また、その他に、赤外線(IR)カットコーティング液、防曇コーティング液、撥水コーティング液、防汚コーティング液、低反射コーティング液、電磁遮蔽コーティング液、着色コーティング液を機能液として用いることができる。機能液の組成は、実施の形態に応じて適宜設定することができる。以下の表2及び表3は、紫外線カットコーティング液の組成の一例を示す。
Figure 2016124533
Figure 2016124533
なお、混合溶媒AP−7は、エタノール85.5wt%、n-プロパノール8.6wt%、i-プロパノール4.8wt%の混合液である。GPTMSは、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。TEOSは、テトラエトキシシランである。また、「紫外線吸収剤TINUVIN360」は、紫外線吸収剤TINUVINを3.6wt%の濃度で水に分散させた液である。すなわち、上記各組成で構成される紫外線カットコーティング液は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のシラン化合物を含んでいる。
後述の方法によって、このような機能液を導電性線条部2の積層されたガラス板10の第1面11に塗布することで、機能性被膜3は形成される。このように形成される機能性被膜3の機能は、塗布した機能液によって定まる。例えば、紫外線カットコーティング液を機能液として使用した場合には、機能性被膜3は、紫外線をカットする機能を有する被膜となる。
なお、この機能性被膜3の膜厚は適宜設定可能である。ただし、機能性被膜3の膜厚が大きいほど、硫化物を含む雨等から導電性線条部2を十分に保護することが可能になる。この観点から、機能性被膜3の膜厚は、1μm以上が好ましく、1.5μm以上が更に好ましく、2μm以上が特に好ましい。
§1.2 製造方法
次に、第1実施形態に係る窓ガラス1の製造方法を説明する。第1実施形態の窓ガラス1は、平らなガラス板をシェーピング工程によって湾曲した後に、塗布工程によって機能液を塗布することで形成される。以下では、各製造工程について説明する。なお、以下で説明する窓ガラス1の製造工程は一例にすぎず、各製造工程は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する製造工程について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
[シェーピング工程]
まず、図3を用いて、第1実施形態に係るガラス板10のシェーピング工程を説明する。図3は、第1実施形態に係るガラス板10のシェーピング工程を模式的に例示する。図3に例示されるように、この製造ラインでは、上流から下流に向けて、加熱炉901及び成形装置902がこの順で配置されている。そして、加熱炉901から成形装置902及びその下流側に亘ってローラコンベア903が配置されており、加工対象となるガラス板10はこのローラコンベア903により搬送される。
ガラス板10は、加熱炉901に搬入される前には、平板状に形成されている。そして、黒色のセラミックをスクリーン印刷等によってガラス板10の第1面11の周縁部に積層し、200℃程度で20分程度の仮焼きが行われる。これによって、平板状のガラス板10の周縁部に遮蔽層4が形成される。また、遮蔽層4を形成した後には、銀粉末、ガラスフリット等を含む導電性の銀ペーストが、ガラス板10の第1面11上に印刷される。この後に、ガラス板10は、加熱炉901に搬入される。
加熱炉901は、種々の構成が可能であるが、例えば、電気加熱炉とすることができる。この加熱炉901は、上流側及び下流側の端部が開放する角筒状の炉本体を備えており、その内部に上流から下流へ向かってローラコンベア903が配置されている。炉本体の内壁面の上面、下面、及び一対の側面には、それぞれヒータ(図示省略)が配置されており、加熱炉901を通過するガラス板10を成形可能な温度、例えば、ガラスの軟化点付近まで加熱する。例えば、加熱炉901は、700℃程度でガラス板10を加熱する。これによって、ガラス板10は成形可能になり、また、銀ペーストが焼成されて導電性線条部2が形成される。
成形装置902は、上型921及び下型922によりガラス板をプレスし、所定の形状に成形するように構成されている。上型921は、ガラス板10の上面全体を覆うような下に凸の曲面形状を有し、上下動可能に構成されている。また、下型922は、ガラス板10の周縁部に対応するような枠状に形成されており、その上面は上型921と対応するように曲面形状を有している。この構成により、ガラス板10は、上型921と下型922との間でプレス成形され、最終的な曲面形状に成形される。また、下型922の枠内には、ローラコンベア903が配置されており、このローラコンベア903は、下型922の枠内を通過するように、上下動可能となっている。そして、図示を省略するが、成形装置902の下流側には、徐冷装置(図示省略)が配置されており、成形されたガラス板が冷却される。
[塗布工程]
次に、図4〜図8を用いて、成形したガラス板10に機能液を塗布する塗布工程について説明する。図4は、第1実施形態に係るガラス板10に機能液を塗布する塗布システム100を例示する。図5〜図8は、第1実施形態に係るガラス板10に機能液を塗布する塗布工程を例示する。
<塗布システム>
まず、塗布システム100について説明する。第1実施形態に係る塗布システム100は、導電性線条部2の形成されたガラス板10の第1面11に機能液を塗布することで、機能性被膜3が第1面11に積層したガラス板10を製造するシステムである。図4に例示されるように、塗布システム100は、ガラス板10を保持しながら移動させるロボットアーム7と、機能液を射出する射出部8と、を備える。
射出部8は、ガラス板10の方向を向くノズル82と、このノズル82を支持する基部81と、この基部81内に機能液を導入する連結部83と、を有している。そして、連結部83には機能液を供給するチューブ部材84が連結されている。チューブ部材84は、機能液を送り出すポンプ(不図示)等から配送される機能液を射出部8に供給する。そして、基部81を介してノズル82と連結部83とは貫通しており、チューブ部材84により供給される機能液は、連結部83を介して、ノズル82から射出される。
なお、チューブ部材84は、例えば、塩化ビニル、フッ素樹脂、ゴム等の軟質の素材で構成される。この場合、例えば、チューブ部材84内が汚れたとき等に、当該チューブ部材84を交換することが容易である。また、チューブ部材84のコストを抑えることができ、チューブ部材84を配設する自由度を高めることができる。ただし、チューブ部材84の素材は、軟質の素材に限定されなくてもよく、例えば、金属、樹脂等の硬質の素材で構成されてもよい。
図4に例示されるように、この射出部8は固定部材9で固定されている。固定部材9は、例えば、矩形状の第1板部材92及び第2板部材93で構成されており、逆L字状になっている。第1板部材92は垂直方向に延びる支柱となっており、その上端部に、水平方向に延びる第2板部材93の片方の端部が連結している。そして、射出部8は、第2板部材93の先端部付近に取り付けられている。
なお、第1板部材92と第2板部材93とが交差する付近には係止部91が設けられている。この係止部91にはチューブ部材84を係止させることができる。これにより、固定部材9の支柱としての第1板部材92にチューブ部材84の重みの一部を支えさせることができるため、機能液の搬送時におけるチューブ部材84の振動を低減することができる。
ロボットアーム7は、先端部分に、ガラス板10を吸着することのできる吸盤71を有している。そのため、ロボットアーム7は、この吸盤71によりガラス板10を保持し、固定された射出部8に対してこのガラス板10を移動させることができる。これによって、ノズル82から射出される機能液をガラス板10の第1面11の所定領域に塗布することができる。
なお、これらの構成要素は、例えば、制御部(不図示)によって、制御される。制御部は、例えば、1又は複数のプロセッサと、このプロセッサの処理に利用される周辺回路(ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、インタフェース回路等)を備え、ROM等の周辺回路に記憶されたプログラムに従い動作する。第1実施形態では、このような塗布システム100を用いることで、ガラス板10の第1面11に機能液を塗布することができる。
<塗布工程>
続いて、図5〜図8を用いて、上記塗布システム100によりガラス板10に機能液を塗布することで、機能性被膜3の積層されたガラス板10を製造する工程を説明する。図5は、第1実施形態に係る塗布システム100による機能液の塗布工程を例示する。図6は、ガラス板10の第1面11上において、右側辺部に沿って機能液を塗布する際のガラス板10の移動方向を例示する。図7は、ガラス板10を上から見た図であり、ガラス板10の第1面11上において、上辺部に沿って機能液を塗布する際のガラス板10の移動方向を例示する。図8は、ガラス板10の第1面11上において、左側辺部に沿って機能液を塗布する際のガラス板10の移動方向を例示する。
(前処理)
まず、機能液を塗布する対象となるガラス板10は立てられた状態で載置されており、機能液の塗布を開始する塗布開始領域Raがガラス板10の第1面11上で規定されている。この場合、塗布システム100は、導電性線条部2の形成されたガラス板10の第1面11に機能液を塗布する前に、立てられた状態で載置されているガラス板10の導電性線条部2の形成されていない第2面12を吸盤71で吸着する。これによって、ガラス板10をロボットアーム7で保持する。
ここで、第1実施形態に係るロボットアーム7は、ロボットアーム7の吸盤71が吸着する部分を基準として、車外側の第2面12が鉛直方向から角度d傾いた状態で、ガラス板10を保持する。図6に示されるとおり、右回りの角度を正、左回りの角度を負とすると、第1実施形態に係るロボットアーム7がガラス板10を保持する角度dは、例えば、−30度〜+30度の間で設定される。
すなわち、第1実施形態に係るロボットアーム7は、ガラス板10の第2面12と鉛直方向とのなす角度が30度以内となるように、ガラス板10を保持する。このガラス板10の保持状態を「鉛直方向に立てられた状態」と称してもよい。換言すると、ガラス板10が鉛直方向に立てられた状態には、ガラス板10と垂直方向とのなす角度が0度である状態の他、ガラス板10が鉛直方向に対して若干傾いた状態が含まれてもよい。
次に、塗布システム100は、ロボットアーム7を制御して、射出部8のノズル82から機能液を噴射させた場合に、塗布開始領域Raに機能液が当たる(射出される)位置までガラス板10を移動させる。塗布開始領域Raに機能液が射出される位置までガラス板10を移動させると、塗布システム100は、次に説明するステップS101〜S103の順で、機能液を噴射する。これにより、第1実施形態では、ガラス板10に当たらない余分な機能液の噴射を抑えることができるため、効率よく機能液をガラス板10に塗布することが可能になる。
(ステップS101)
ステップS101では、図5及び図6に例示されるように、塗布システム100は、ガラス板10の第1面11上において、右側辺部に沿って機能液を塗布する。具体的には、塗布システム100は、射出部8に機能液を供給して、射出部8のノズルから機能液を噴射させる。続いて、ノズル82から塗布開始領域Raへ機能液を噴射した後、ロボットアーム7を制御して、ガラス板10を下方向(図6の矢印U)に移動させる。そして、機能液の塗布位置が領域Rbに到達すると、塗布システム100は、次のステップS102に処理を進める。なお、矢印Gは、ノズル82から噴射される機能液の軌跡を示している。
ガラス板10を下方向に移動させると、第1面11上において、ノズル82から噴射される機能液の塗布位置が上方向に移動する。つまり、塗布システム100は、このようにガラス板10を下方向に移動させることで、ガラス板10の第1面11上において、右側辺部に沿って機能液を塗布することができる。なお、本ステップS101では、塗布システム100は、ノズル82から噴射される機能液が右側辺部から第2面12側に回り込まない程度に面方向内側に機能液を射出する。このとき、機能性被膜3は、第1面11の右側辺部にまで到達するように形成されてもよいし、第1面11の右側辺部から面方向内側(図5の左方向)の一領域に設けられないように形成されてもよい。
(ステップS102)
次のステップS102では、図5及び図7で例示されるように、塗布システム100は、ガラス板10の第1面11上において、上辺部に沿って機能液を塗布する。具体的には、塗布システム100は、チューブ部材84を介して供給される機能液をノズル82から噴射する状態を上記ステップS101から維持しつつ、ロボットアーム7を制御して、ガラス板10を右方向(図7の矢印V)に移動させる。そして、機能液の塗布位置が領域Rbから領域Rcに到達すると、塗布システム100は、次のステップS103に処理を進める。
ここで、本ステップS102では、塗布システム100は、ノズル82から噴射される機能液が上辺部から第2面12側に回り込まない程度に面方向内側に機能液を射出する。このとき、機能性被膜3は、第1面11の上辺部にまで到達するように形成されてもよいし、第1面11の上辺部から面方向内側(図5の下方向)の一領域に設けられないように形成されてもよい。
また、本ステップS102において上辺部に沿って射出された機能液は第1面11上を下方に流れ落ち、これによって、第1面11の上辺部から下方に機能液が塗布される。すなわち、第1実施形態では、いわゆるフローコート法によって、上辺部から下方の部分に機能液が塗布され、これによって、導電性線条部2を被覆するように機能性被膜3を形成することができる。そのため、本ステップS102では、導電性線条部2に機能液を直接射出しなくても、導電性線条部2の形成された領域に機能液を行き巡らせることができ、ガラス板10に機能液を塗布するのに用いる機能液の量を低減することができる。
ここで、上記のとおり、上記工程で形成される導電性線条部2の表面粗さRaを1μm以下となるようにすることで、機能液がこの導電性線条部2の領域を流れやすくすることができる。また、同様に、導電性線条部2の厚みを30μm以下にすることによっても、機能液が導電性線条部2の領域を流れやすくすることができる。そのため、導電性線条部2の表面粗さRa及び/又は厚みを上記の範囲で形成することで、導電性線条部2を機能性被膜3で被覆しやすいようにすることができる。
(ステップS103)
次のステップS103では、図5及び図8で例示されるように、塗布システム100は、ガラス板10の第1面11上において、左側辺部に沿って機能液を塗布する。具体的には、塗布システム100は、機能液をノズル82から噴射する状態をステップS102から維持しつつ、ロボットアーム7を制御して、ノズル82が機能液を射出する方向において、ノズル82に対してガラス板10を離間(図8の矢印Wの方向)させるように移動させる。
ガラス板10をノズル82から離間させる方向に移動させると、ノズル82とガラス板10との間の距離が拡がるため、図8の機能液の軌跡(矢印G)により示されるように、機能液が当たる塗布位置が第1面11上において下方に移動する。すなわち、塗布システム100は、ガラス板10を上方に移動させることなく、ガラス板10の第1面11上において、機能液を射出する位置を下方向に移動させることができる。
ここで、本ステップS103では、塗布システム100は、ノズル82から噴射される機能液が左側辺部から第2面12側に回り込まない程度に面方向内側に機能液を射出する。このとき、機能性被膜3は、第1面11の左側辺部にまで到達するように形成されてもよいし、第1面11の左側辺部から面方向内側(図5の右方向)の一領域に設けられないように形成されてもよい。
なお、ガラス板10を上方に移動させることなく、ガラス板10をノズル82から離間させる方向に移動させて、左側辺部に沿って機能液を塗布することにより次のような効果を得ることができる。すなわち、ガラス板10をノズル82から離間させる方向に移動させると、ノズル82とガラス板10との間の距離が拡がり、ガラス板10の第1面11に当たる直前の機能液の勢いは弱まる。そのため、機能液が第2面12に回り込むのを抑制することができる。
機能液の塗布位置が領域Rcから領域Rdに到達すると、第1実施形態におけるガラス板10に対する機能液の塗布は終了であり、塗布システム100は、射出部8からの機能液の射出を停止する。そして、塗布システム100は、ロボットアーム7を制御して、ガラス板10を所定の場所に載置し、本製造工程に係る処理を終了する。この後、塗布システム100は、再度動作を繰り返し、次のガラス板10に対して機能液を塗布してもよい。
[特徴]
第1実施形態に係る窓ガラス1では、ガラス板10の第1面11上に形成される導電性線条部2は機能性被膜3によって被覆される。すなわち、ガラス板10に所定の機能を付与するとともに、導電性線条部2を機能性被膜3で被覆することによって、導電性線条部2を機能性被膜3で保護し、導電性線条部2の劣化を防止することができる。そのため、導電性線条部2を被覆するための追加的な材料が不要であり、導電性線条部2の劣化を低コストで防止することができる。また、上記塗布工程において、機能液を塗布する領域を制御するのは非常に容易である。そのため、導電性線条部2を十分に被覆する機能性被膜3を容易に形成することができる。したがって、当該構成によれば、低コストでかつ十分に導電性線条部2の劣化を防止することができる。
また、第1実施形態では、上記機能液は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のシラン化合物を含んでいる。このシラン化合物は、ガラス板10、遮蔽層4に含まれるガラスバインダ、及び導電性線条部2に含まれるガラスフリットに含まれるケイ素化合物と反応して、各構成要素と機能液との界面でシロキサン結合(-Si-O-Si-)を形成する。これによって、機能性被膜3は、ガラス板10の第1面11、遮蔽層4、及び導電性線条部2と強固に接着することができる。そのため、機能性被膜3とガラス板10の第1面11との間に雨などが侵入するのを強固に妨げ、導電性線条部2の劣化を十分に防止することができる。なお、遮蔽層4に含まれるガラスバインダ及び導電性線条部2に含まれるガラスフリットは本発明のガラス材料に含まれる。ガラス材料は、ケイ素化合物を含むものであればよく、実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。
§1.3 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
(ガラス板)
例えば、ガラス板10の上記具体的な構成に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、変更、置換、及び追加が行われてもよい。例えば、上記ガラス板10は、前方側に湾曲した形状を有しているが、平らな形状であってもよい。また、上記ガラス板10は、自動車の前部又は後部のドアの窓に取り付けられる窓ガラスとして利用されるが、その他の車両の窓ガラスとして利用されるガラス板であってもよい。
ここで、上記実施形態では、ガラス板10(窓ガラス1)はリアガラスとして利用されている。このリアガラスは、フロントサイドガラスとは異なり、一般的には機能液を塗布しない。フロントサイドガラスは、法規制によって、可視光線透過率が70%以上であることが要求される。そのため、フロントサイドガラスには、ガラス組成上、紫外線及び赤外線の透過率の高いガラスが利用される。すなわち、フロントサイドガラスは、紫外線及び赤外線を遮断する能力が乏しい。これを補うため、フロントサイドガラスには機能液が塗布される。
一方、リアガラスにはそのような可視光線透過率の制限はない。そのため、リアガラスには、紫外線及び赤外線を遮断する能力の高いガラスが利用される。したがって、リアガラスには一般的に機能液を塗布しない。第1実施形態では、そのようなリアガラスに機能液を敢えて塗布することで、リアガラスに機能性被膜3を形成し、リアガラスに機能を付加するとともに、導電性線条部2を保護することができる。
なお、上記実施形態のようにガラス板10(窓ガラス1)をリアガラスとして利用する場合には、次のようなメリットがある。すなわち、リアガラスには、上記実施形態のように、導電性線条部2では、複数本の熱線部21が形成される。従来、このような複数本に分かれた線条を金属層又はガラス層で被覆するためには、金属材料又はガラス材料を個々に塗布していた。これに対して、上記実施形態によれば、フローコート法によって、導電性線条部2全体に一括で機能液を塗布することができる。そのため、当該構成によれば、導電性線条部2を被覆する工程の時間的なコストを大幅に短縮することができる。
また、リアガラスに機能性被膜3を形成することで、後部座席の乗員の快適性を向上することもできる。具体的には、紫外線カットコーティング液を機能液に利用した場合には、後部座席の乗員に対する紫外線照射を抑えることができる。この場合には、更に、後部座席付近の内装材が紫外線により劣化してしまうことを低減することができる。また、赤外線(IR)カットコーティング液を機能液に利用した場合には、後部座席の乗員に対する赤外線照射を抑えることができる。この場合には、更に、車内に入射する赤外線の量を抑えることで、車内全体の温度上昇を低減することができる。また、防曇コーティング液、撥水コーティング液又は防汚コーティング液を機能液に利用した場合には、後部座席の乗員及び運転者の後方視界を十分に確保することが可能になる。
また、上記ガラス板10は、1枚のガラス板により構成されている。しかしながら、上記ガラス板10は、外側ガラス板と内側ガラス板とを中間膜を介して互いに接合した合わせガラスにより構成されてもよい。更に、上記ガラス板10は略台形状に形成されている。しかしながら、ガラス板10の形状は、このような形状に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
更に、上記実施形態では、ガラス板10は自動車の窓ガラス1として利用される。しかしながら、本発明が適用可能な車両は、自動車に限定される訳ではなく、実施の形態に応じて適宜選択可能である。例えば、上記実施形態に係る窓ガラス1は、鉄道車両、建設機械の車両、農業機械の車両等に適用されてもよい。
(遮蔽層)
また、例えば、上記実施形態では、遮蔽層4は、窓ガラス1の周縁部に沿うように設けられている。しかしながら、遮蔽層4を設ける領域は、実施の形態に応じて適宜設定可能である。ただし、運転者の視野範囲に遮蔽層4が重なってしまうと、運転の際に遮蔽層4によって運転者の視界が妨げられてしまう。そのため、運転者の視野範囲に重ならないよう遮蔽層4の領域を設定するのが好ましい。なお、遮蔽層4は省略されてもよい。
また、例えば、上記実施形態では、遮蔽層4は一層構造である。しかしながら、遮蔽層4は、多層構造にすることができる。例えば、ガラス板10の車内側の第1面11にセラミックを積層することで第1セラミック層を形成する。次に、第1セラミック層の上に銀を積層することで銀層を形成する。更に、この銀層の上にセラミックを積層することで第2セラミック層を形成する。これによって、3層構造の遮蔽層4を形成することができる。この3層構造の遮蔽層4は、銀層によって電磁波を遮蔽することができる。なお、この銀層には以下の表2に示される組成の材料を利用することができる。
Figure 2016124533
*1,主成分:ホウケイ酸ビスマス、ホウケイ酸亜鉛
また、例えば、上記実施形態では、遮蔽層4は、ガラス板10の車内側の第1面11に積層されている。しかしながら、遮蔽層4を積層する面は、車内側の第1面11に限定されなくてもよく、車外側の第2面12であってもよい。また、ガラス板10が複数枚のガラス板で構成される場合には、遮蔽層4を積層する1又は複数の面は、複数枚のガラス板の面から適宜選択可能である。
なお、車内側の第1面11にセラミックを積層することによって、窓ガラス1を自動車に取り付ける際の接着性を高めることができる。また、この遮蔽層4がガラス板10と自動車の取り付け部分との間でクッションとなることによって、窓ガラス1が取り付け部分において割れやすくなるのを防止することができる。
(導電性線条部)
また、例えば、上記実施形態では、導電性線条部2は、結露を除去する熱線を構成する。しかしながら、導電性線条部2の用途は実施の形態に応じて適宜選択可能である。例えば、導電性線条部2は、氷結を溶かすようワイパーを加熱するための熱線として窓ガラス1の第1面11に形成されてもよい。また、例えば、導電性線条部2は、所定の電波を受信するためのアンテナとして窓ガラス1の第1面11に形成されてもよい。導電性線条部2のパターンは、導電性線条部2の用途に応じて適宜選択可能である。なお、導電性線条部2は、車外側の第2面12に形成されてもよい。
また、上記実施形態では、図2に例示されるように、導電性線条部2は断面矩形状に形成されている。しかしながら、導電性線条部2の断面形状は、矩形状に限定されず、実施の形態に応じて適宜選択可能である。
例えば、図9は、導電性線条部2の断面形状の他の形態を例示する。図9に例示されるように、導電性線条部2の断面形状を、ガラス板10の面と接する側が広く、ガラス板10と離れる側が狭くなるような勾配を有する形状に形成することができる。具体的に、図9では、上記のような勾配を有するように、導電性線条部2の断面形状は台形状に形成されている。そのため、導電性線条部2とガラス板10との境界部分の角度が鈍角となり、この境界部分で機能液が留まり難くすることができる。したがって、導電性線条部2の領域を機能液が流れやすいようにすることができ、これによって、導電性線条部2を機能性被膜3で被覆しやすいようにすることができる。このとき、導電性線条部2の線幅を700μm程度、厚みを10μm程度にすることで、機能性被膜3で導電性線条部2をより被覆しやすいようにすることができる。なお、そのような形状は台形に限定される訳ではなく、例えば、導電性線条部2の断面形状は円弧状に形成されてもよい。
また、上記実施形態では、フローコート法によって機能液を塗布する。そのため、導電性線条部2が断面矩形状に形成されている場合には、次のような不具合が生じる可能性がある。すなわち、熱線部21の領域は、熱線部21が延びる方向と垂直に機能液が流れる。そのため、熱線部21の一対の側面は、機能液の流れる方向を向いて配置されることになる。ここで、熱線部21が断面矩形状に形成される場合には、この熱線部21の各側面は、ガラス板の第1面11に対して垂直に起立した状態になる。そうすると、熱線部21の表面からガラス板の面(第1面11)に機能液が流れ落ちる際に、機能液が流れてくる方向とは反対側に位置する熱線部21の側面の付け根には機能液が十分に行き渡らない可能性がある。そのため、熱線部21の側面の一部に機能液が十分に塗布されていない領域が形成されてしまい、機能性被膜3による導電性線条部2の被覆が不十分になってしまう可能性がある。これに対して、上記のように、導電性線条部2の断面形状を台形等のように形成することによって、このような事態を避けることができ、導電性線条部2の領域を機能性被膜3で十分に被覆することができる。
(機能性被膜)
また、例えば、上記実施形態では、機能性被膜3は、車内側の第1面11に形成されている。ただし、導電性線条部2が車外側の第2面12に形成される場合には、機能性被膜3は、車外側の第2面12に形成される。すなわち、機能性被膜3は、導電性線条部2を被覆するように、導電性線条部2の形成される面と同じ面に形成される。しかしながら、導電性線条部2の形成される面と反対側の面に機能性被膜3を形成してはならない訳ではなく、ガラス板10の両面に機能性被膜3を形成してもよい。
(成形装置)
上記実施形態では、ガラス板10をプレス成型する成形装置902を説明した。しかしながら、窓ガラス1のガラス板10を成形する方法は、このような例に限られなくてもよく、例えば、ガラス板10の自重で曲げる自重曲げ工法によって成形してもよい。自重曲げ工法では、成形装置は、例えば、リング状(枠状)の成形型を有する。成形型は搬送台の上に配置されており、平板状のガラス板10は成形型の上に載置される。この状態で、搬送台は、加熱炉及び徐冷炉内を順に通過する。このとき、成形型はリング状であるため、ガラス板10は周縁部のみが支持された状態で加熱炉を通過する。そして、加熱炉内で軟化点温度付近まで加熱されると、ガラス板10は自重によって周縁部よりも内側が下方に湾曲し、曲面状に成形される。
(塗布システムの構成)
また、例えば、塗布システム100の上記具体的な構成に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、変更、置換、及び追加が行われてもよい。例えば、塗布システム100は、機能液を塗布している間に、既に塗布した機能液を乾燥させるため、ガラス板10に送風を行う1又は複数のファンで構成される送風ユニットを備えてもよい。また、ガラス板10を保持し移動させる手段として、ロボットアーム7以外の手段が用いられてもよい。更に、射出部8及びロボットアーム7は、1つの制御部によって制御されてもよいし、別々の制御部によって制御されてもよい。
(固定部材)
また、例えば、上記塗布システム100では、逆L字状の固定部材9によって射出部8が固定されている。しかしながら、固定部材9の構成及び形状は、上記構成及び上記形状に限定されなくてもよく、射出部8及びチューブ部材84が固定される限り、その他の構成及び形状であってもよい。射出部8を固定する方法は、実施の形態に応じて、適宜、選択されてよい。
(風乾工程)
また、例えば、上記塗布システム100は、ガラス板10への機能液の塗布が終了した後に、機能液を塗布した領域全体を乾燥させる風乾工程を行うための送風ユニットを更に備えてもよい。例えば、塗布システム100は、ガラス板10の全域に送風することのできる送風ユニットによって風乾工程を実施してもよい。当該風乾工程は、例えば、相対湿度40%未満又は30%以下に保持した雰囲気で実施することができる。この風乾工程は、5分程度実施してもよい。また、風乾工程を実施した後に、加熱を伴う加熱乾燥工程を実施してもよい。この加熱乾燥工程は、300℃以下、例えば、100℃〜200℃の雰囲気にガラス板10をさらすことで、実施することができる。この加熱乾燥工程は、15分〜60分程度実施してもよい。
(ガラス板の移動方向)
また、上記各ステップS101〜S103において、ガラス板10を移動させる方向は実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。例えば、ステップS101において、塗布システム100は、ガラス板10を射出部8に近接するように移動させてもよい。これにより、ノズル82とガラス板10との距離が短くなるため、ノズル82から射出される機能液が当たる塗布位置を第1面11上において上方向に移動させることができる。
(射出量の変動)
また、上記塗布システム100は、射出部8から機能液を射出する勢いを変更することで、ガラス板10の第1面11上において機能液を射出する位置を上下方向に移動させてもよい。例えば、塗布システム100は、射出部8から機能液を射出する勢いを弱めることで、第1面11上の機能液の塗布位置を下方向に移動させてもよい。また、塗布システム100は、射出部8から機能液を射出する勢いを強めることで、第1面11上の機能液の塗布位置を上方向に移動させてもよい。これによって、射出部8及びガラス板10を共に移動させなくても、機能液を射出する位置を上下方向に変更することができる。
(ガラス板の保持角度)
また、上記塗布システム100のロボットアーム7がガラス板10を保持する角度dは、上記のような角度でなくてもよく、例えば、垂直であってもよい。このようにすると、ガラス板10は、鉛直方向に立てられた状態で機能液を塗布される。そのため、ガラス板10の第1面11上に射出された機能液は流れ落ちやすくなるため、上記のようなフローコート法において、機能液の塗布にかかる時間を短くすることが可能になる。なお、上記実施形態では、ロボットアーム7の吸盤71が吸着する部分に基づいてガラス板10の角度を説明した。その他の基準に基づいて、ガラス板10の角度dが説明されてもよい。
(ガラス板の向き)
また、上記塗布システム100は、上記各ステップS101〜S103において、上辺部が鉛直上向きの状態でガラス板10を保持している。しかしながら、ガラス板10を保持する向きはこのような例に限られず、塗布システム100は、上辺部が鉛直下向きになるようにガラス板10を保持してもよい。
(ガラス板の移動)
また、上記実施形態では、射出部8を固定し、ガラス板10を移動させることで、ガラス板10の第1面11に機能性被膜3を積層した。しかしながら、ガラス板10は射出部8に対して相対的に移動すればよく、塗布システム100は、射出部8及びガラス板10を共に移動させてもよいし、ガラス板10を固定して、射出部8を移動させてもよい。
なお、上記実施形態のように射出部8を固定し、ガラス板10を移動させた場合には、次のような効果を得ることができる。すなわち、射出部8を移動させて機能液をガラス板10に塗布したとすると、配送する機能液の分だけ重くなったチューブ部材84が射出部8の移動に伴って振動してしまう。これによって、このチューブ部材84の振動が射出部8に伝達することによって、機能液は、射出部8に伝達した振動に応じて波打った状態でノズル82からガラス板10に向けて噴射される。
そうすると、上記ステップS101〜S103において、波打った塗布ラインが形成されてしまったり、第2面12側に機能液が回り込んでしまったりする等の不具合が生じてしまう可能性がある。特に、上記実施形態では、チューブ部材84は、軟質の素材で構成され、振動しやすくなっているため、そのような不具合の生じる可能性が高い。
これに対して、上記実施形態によれば、射出部8を移動させずに固定する。そのため、チューブ部材84で発生する振動を抑えて、機能液を塗布する際に生じる機能液のうねりを抑制することができ、これによって、上記のような不具合が生じるのを防止することができる。
(機能液の塗布領域)
上記実施形態では、ガラス板10の右側辺部、上辺部及び左側辺部に沿って機能液を塗布するフローコート法によって、ガラス板10の第1面11に機能性被膜3を形成している。すなわち、導電性線条部2の領域に機能液を直接塗布することなく、導電性線条部2を被覆する機能性被膜3を形成する。しかしながら、機能液を塗布する方法は、このような例に限られなくてもよく、導電性線条部2の形成された領域に機能液を直接塗布してもよい。
§2 第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、シェーピング工程と塗布工程との間に、導電性線条部2及び遮蔽層4を形成したガラス板10の第1面11を洗浄水で洗浄する洗浄工程を実施してもよい。洗浄工程は、例えば、次のようにして実施することができる。すなわち、酸化セリウム等を含む洗浄剤を用いてブラシ又はスポンジで第1面11を洗浄する。そして、第1面11に水(洗浄水)をかけて洗い流し、その後、所定の環境下で第1面11を乾燥させる。このようにして、シェーピング工程と塗布工程との間に、導電性線条部2及び遮蔽層4を形成した第1面11を洗浄する洗浄工程を実施することができる。なお、汚れの程度によっては、洗浄剤は用いられなくてもよい。
ただし、この場合には、上述のとおり、洗浄水の乾燥に時間がかかってしまい、かつ、導電性線条部2及び遮蔽層4上の機能性被膜3が剥離しうるという問題点が生じることを本件発明者らは見出した。そこで、そのような2つの問題点を解決すべく、本第2実施形態では、以下のようにして、上記窓ガラス1を製造する。なお、以下では、上記第1実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、適宜説明を省略した。
(形成工程)
まず、導電性線条部2及び/又は遮蔽層4が第1面11に積層したガラス板10を形成する形成工程を実施する。当該形成工程は、上記第1実施形態のシェーピング工程と同様に実施可能である。
すなわち、黒色のセラミックをスクリーン印刷などのよってガラス板10の第1面11の周縁部に積層し、200℃程度で20分程度の仮焼きを行うことで、ガラス板10の周縁部に遮蔽層4を形成することができる。また、銀粉末、ガラスフリット等を含む導電性の銀ペーストをガラス板10の第1面11に印刷し、ガラス板10を加熱炉901で加熱することで、ガラス板10の第11面に所定のパターンを有する導電性線条部2を形成することができる。以上により、導電性線条部2及び遮蔽層4が第1面11に積層したガラス板10を形成することができる。
なお、導電性線条部2及び遮蔽層4の材料についてはそれぞれ上記第1実施形態と同様である。また、本第2実施形態では、この形成工程において、導電性線条部2及び遮蔽層4のうち少なくとも一方の形成を省略してもよい。すなわち、この形成工程では、導電性線条部2及び遮蔽層4のいずれか一方のみを備えるガラス板10を形成してもよい。更に、導電性線条部2及び遮蔽層4は第2面12に積層されてもよい。この形成工程は、本発明の第1工程に相当する。
(洗浄工程)
次に、極性有機溶媒に有機酸を溶解した溶液(以下、「有機洗浄液」とも記載する)で、第1面11のうちの少なくとも導電性線条部2及び/又は遮蔽層4を含む領域を洗浄する。この洗浄工程は、本発明の第2工程に相当する。例えば、ガラス板10を有機洗浄液に浸漬させてもよい。また、例えば、導電性線条部2及び遮蔽層4を含む領域を、有機洗浄液を用いてブラシで洗浄してもよい。また、例えば、有機洗浄液を染み込ませた布などの塗布体で導電性線条部2及び遮蔽層4を含む領域を拭き上げてもよい。これらのうちのいずれかの方法によって、洗浄工程を実施することができる。
この洗浄工程の極性有機溶媒には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、又はそれらの混合溶媒を用いることができる。また、極性有機溶媒として、アルコールを用いるのが好ましく、水と混和するアルコールを用いるのが更に好ましい。この観点から、極性有機溶媒として、エタノールが用いられるのが好ましい。なお、極性有機溶媒としてエタノールを用いる場合、この極性有機溶媒としてのエタノール溶液には、水が含まれてもよい。例えば、エタノール溶液には、20wt%程度の水が含まれてもよい。ただし、作用性の観点から、エタノール溶液には、水が極力含まれない方が好ましい。例えば、エタノール溶液の水の含有量は、0.5wt%以下であるのが好ましい。
また、この洗浄工程の有機酸には、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族ヒドロキシ酸等を用いることができる。すなわち、有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、マレイン酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、及び乳酸のうち少なくとも1種以上で構成することができる。有機酸として、水に溶解する材料が用いられるのが好ましい。また、有機酸として、キレート剤が用いられるのが好ましい。この観点から、有機酸として、クエン酸が用いられるのが好ましい。なお、極性有機溶媒中の有機酸の濃度は、実施の形態に応じて適宜設定可能である。例えば、極性有機溶媒中の有機酸の濃度は、0.01〜1mol/Lの範囲で設定されてよい。
なお、極性有機溶媒に有機酸を溶解した溶液で第1面11を洗浄した後に、上記の洗浄水による洗浄工程と洗浄した領域を乾燥させる乾燥工程とを実施してもよい。すなわち、酸化セリウム等を含む洗浄剤を用いてブラシで第1面11を洗浄してもよい。そして、第1面11に水(洗浄水)をかけて洗い流し、その後、所定の環境下で洗浄した領域を乾燥させてもよい。
(塗布工程)
上記洗浄工程の後、導電性線条部2及び/又は遮蔽層4が積層した第1面11に所定の機能を与えるための機能液を塗布することで、当該第1面11に機能性被膜3を形成する塗布工程を実施する。この塗布工程は、本発明の第3工程に相当する。当該塗布工程は、上記第1実施形態の塗布工程と同様に実施することができる。すなわち、上記塗布システム100を用いて、フローコート法により機能液を第1面11に塗布することで、第1面11に機能性被膜3を形成することができる。なお、この塗布工程で利用可能な機能液の材料については、上記第1実施形態と同様である。例えば、機能液には、上記表2又は表3で示される組成の紫外線カットコーティング液が用いられてもよい。また、この塗布工程は、例えば、相対湿度40%未満又は30%以下に保持した雰囲気中で実施することができる。
(乾燥工程)
次に、機能液を塗布した第1面11を所定の方法で乾燥させる乾燥工程を実施する。これによって、導電性線条部2及び遮蔽層4を含む第1面11上に機能性被膜3が形成された窓ガラス1を製造することができる。なお、当該乾燥工程は、上記風乾工程及び加熱乾燥工程を含んでもよい。すなわち、乾燥工程として、まず、相対湿度40%未満又は30%以下に保持した雰囲気中で、機能液を塗布した領域全体に送風ユニットにより風を送ることで、風乾工程を実施してもよい。そして、風乾工程を実施した後に、300℃以下、例えば、100℃〜200℃の雰囲気にガラス板10をさらすことで、加熱乾燥工程を実施してもよい。
[特徴]
当該第2実施形態では、導電性線条部2及び/又は遮蔽層4が積層したガラス板10の第1面11に機能液を塗布する塗布工程の前に、極性有機溶媒に有機酸を溶解した溶液で当該第1面11を洗浄する洗浄工程が実施される。これによって、窓ガラス1の製造効率を高めることができ、かつ、導電性線条部2及び/又は遮蔽層4上の機能性被膜3が剥がれるのを抑制することができる。なお、これは、有機洗浄液によって、導電性線条部2及び遮蔽層4上に機能液が定着しやすくなることによる。そのため、機能性被膜3の膜厚及びガラス板10の寸法に影響をほぼ受けることなく、上記効果を得ることができる。すなわち、当該第2実施形態によれば、比較的に機能性被膜3の膜厚が厚く、かつ、ガラス板10の寸法が大きくても、窓ガラス1の製造効率を高めることができ、導電性線条部2及び/又は遮蔽層4上の機能性被膜3が剥がれるのを抑制することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明はこの実施例に限定される訳ではない。
(1)実施例1
ガラス板10に形成する導電性線条部2を機能性被膜3で被覆することにより、導電性線条部2の劣化がどの程度抑えることができるかを調べるために、以下の実施例1と比較例とを用意した。
まず、上記第1実施形態の製造工程によって、第1面において、周縁部に遮蔽層を形成し、遮蔽層上及び内側の領域に導電性線条部を形成したガラス板を用意した。ガラス板にはソーダライムシリカガラスを利用した。遮蔽層の形成には、上記表1に示される組成のセラミックを用いた。また、導電性線条部の形成には、銀粒子が70〜80質量%、ガラスバインダ及び遷移金属酸化物が各々1〜10質量%、樹脂が1〜10質量%、添加剤が1〜10質量%及び有機媒体が10〜20質量%となるように調合した銀ペーストを用いた。形成した導電性線条部の線幅は、熱線部の領域で0.1mm〜1.0mm、熱線同士が結合した接続部の領域で5mm程度であった。また、形成した導電性線条部の厚みは3〜30μm程度であった。そして、上記第1実施形態の塗布工程によって、上記の表2に示される紫外線カットコーティング液を導電性線条部の形成した第1面に塗布することで、導電性線条部を機能性被膜で被覆した実施例1に係る窓ガラスを得た。形成された機能性被膜の膜厚は1.5μm〜5.5μm程度であった。一方、上記第1実施形態の塗布工程を省略し、その他は実施例1と同様の方法により、比較例に係る窓ガラスを得た。すなわち、比較例に係る窓ガラスは、実施例1に係る窓ガラスから機能性被膜を省略した構成で形成した。
実施例1に係る窓ガラスと比較例に係る窓ガラスとをそれぞれ3枚ずつ用意し、常温(室温)で0.1(mol/リットル)の希硫酸に各窓ガラスを浸漬した。そして、4時間経過毎に各窓ガラスの導電性線条部の劣化具合を確認した。具体的には、次の2つの方法で導電性線条部の劣化具合を確認した。
1つ目の方法は、導電性線条部の抵抗値による。各窓ガラスの導電性線条部の抵抗値を測定し、導電性線条部の抵抗値の変化を確認することで導電性線条部の劣化具合を確認した。この方法では、抵抗値が上昇することにより、導電性線条部の劣化の進行が確認できる。すなわち、導電性線条部の酸化が進むと、導電性線条部に電気が流れにくくなり、導電性線条部の抵抗値が上がる。そのため、導電性線条部の抵抗値の上昇具合を確認することにより、導電性線条部の劣化の進行を確認することができる。
また、2つ目の方法(テープテスト)は、導電性線条部の物理的強度による。このテープテストは次のような方法で行った。すなわち、希硫酸に浸漬した各窓ガラスを取り出して水洗いした。次に、各窓ガラスを乾燥させ、乾燥した各窓ガラスの導電性線条部にテープ(商品名:ニチバンCT−18)を貼り付けた。そして、この密着させたテープを一気に引き剥がし、このテープを引き剥がした部分の状態を確認した。
上記の2つの方法による試験結果を図10及び図11に示す。図10は、実施例1に係る各窓ガラスの試験結果を示す。また、図11は、比較例に係る各窓ガラスの試験結果を示す。
図10に示されるように、実施例1に係る各窓ガラスでは、硫酸に96時間浸漬させても、導電性線条部の抵抗値の変化率は2.59%以下に抑えることができた。また、テープテストを行っても導電性線条部は剥離しなかった。一方、図11に示されるように、比較例では、硫酸に8時間浸漬させた時点で、導電性線条部の抵抗値の変化率が4.39%となる窓ガラスがあった。また、比較例では、テープテストによって導電性線条部が剥離し、断線する窓ガラスがあった。断線しなかった窓ガラスでも導電性線条部の一部は剥離し、導電性線条部の抵抗値が大きく上昇した。
したがって、実施例1と比較例とを比較すると、実施例1では導電性線条部の劣化が十分に抑えられていた。すなわち、導電性線条部を機能性被膜で被覆することで、導電性線条部の劣化を十分に抑えることができることが分かった。これは次のような作用によるものと推測される。実施例1で利用した紫外線カットコーティング液は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のシラン化合物を含んでいる。このシラン化合物は、ガラス板、遮蔽層に含まれるガラスバインダ、及び導電性線条部に含まれるガラスフリットに含まれるケイ素化合物と反応し、各構成要素と機能液との界面でシロキサン結合(-Si-O-Si-)を形成することができる。そのため、紫外線カットコーティングによる機能性被膜は、ガラス板、遮蔽層及び導電性線条部の表面と強固に接着し、機能性被膜とガラス板10の第1面との間に硫酸が侵入するのを防止し、導電性線条部の劣化を十分に抑えることができたと推測される。よって、紫外線カットコーティング液以外であっても、シラン化合物を含む機能液であれば、上記実施例1にように導電性線条部の劣化を十分に抑えることができるものと推測される。
なお、導電性線条部の段差により、機能性被膜の見栄えが悪くなることが懸念されたが、本実施例1では、機能性被膜の見栄えは、特に問題なく、良好であった。したがって、一般的なリアガラスに機能液を塗布して機能性被膜を形成しても、機能性被膜の見栄えは特に問題なく良好であることが確認された。
(2)実施例2
次に、有機洗浄液による洗浄の効果を確認するため、以下の実施例2及び参考例に係る製造工程を実施した。
まず、実施例2に係る製造工程として、上記第2実施形態の形成工程によって、第1面において、周縁部に遮蔽層を形成し、遮蔽層上及び内側の領域に導電性線条部を形成したガラス板を形成した。ガラス板にはソーダライムシリカガラスを利用した。遮蔽層の形成には、上記表1に示される組成のセラミックを用いた。また、導電性線条部の形成には、銀粒子が70〜80質量%、ガラスバインダ及び遷移金属酸化物が各々1〜10質量%、樹脂が1〜10質量%、添加剤が1〜10質量%及び有機媒体が10〜20質量%となるように調合した銀ペーストを用いた。形成した導電性線条部の線幅は、熱線部の領域で0.1mm〜1.0mm、熱線同士が結合した接続部の領域で5mm程度であった。また、形成した導電性線条部の厚みは3〜30μm程度であった。
次に、エタノールを主成分とする混合溶媒(上記AP−7)にクエン酸を溶解することで有機洗浄液を作製した。そして、ベンコット(旭化成せんい株式会社製、クリーンルーム用不織布ワイパー)に当該有機洗浄液5mlを染み込ませ、導電性線条部及び遮蔽層をベンコットで拭いた。このとき、導電性線条部及び遮蔽層それぞれの周辺のガラス表面もベンコットで拭いた。なお、有機洗浄液におけるクエン酸の濃度は、0.1mol/Lとした。
導電性線条部及び遮蔽層を上記有機洗浄液で洗浄した後、いわゆるセリコ洗浄を行った。すなわち、酸化セリウム洗浄剤を用いて、第1面をスポンジで洗浄した。その後、第1面に高圧の水を噴射して洗浄剤を除去し、純水ですすいだ後、自然乾燥させた。
更に、上記第2実施形態の塗布工程によって、上記の表2に示される紫外線カットコーティング液を導電性線条部及び遮蔽層を積層した第1面に塗布することで、導電性線条部及び遮蔽層を含む第1面上に機能性被膜を形成した。この塗布工程では、22℃、相対湿度27%RHの雰囲気中で実施した。
そして、上記第2実施形態の風乾工程及び加熱乾燥工程によって、機能性被膜を形成した第1面を乾燥させた。風乾工程では、上記雰囲気中で、風速1.5m/sの風を5分程度、第1面に当てた。その後、加熱乾燥工程では、予め200℃に昇温したオーブンにガラス板を投入し、このオーブンでガラス板を15分程度加熱した。以上のように、第2実施例に係る窓ガラスの製造工程を実施した。形成された機能性被膜の膜厚は1.5μm〜5.5μm程度であった。
一方、参考例に係る窓ガラスの製造工程では、上記第2実施例の製造工程において、有機洗浄液による洗浄工程と加熱乾燥工程とを省略した。すなわち、上記第2実施形態の形成工程によって、第1面において、周縁部に遮蔽層を形成し、遮蔽層上及び内側の領域に導電性線条部を形成したガラス板を形成した。次に、酸化セリウム洗浄剤を用いて第1面をブラシで洗浄した。続いて、第1面を水洗いし、乾燥させた。その後、上記第2実施形態の塗布工程によって、上記の表2に示される紫外線カットコーティング液を導電性線条部及び遮蔽層を積層した第1面に塗布することで、導電性線条部及び遮蔽層を含む第1面上に機能性被膜を形成した。そして、風乾工程によって、機能性被膜を形成した第1面を乾燥させた。このようにして、参考例に係る窓ガラスの製造工程を実施した。
図12は、上記実施例2及び参考例に係る製造工程により製造した窓ガラスの品質結果を示す。
図12に示されるように、実施例2に従って製造した窓ガラスでは、遮蔽層上及び導電性線条部上で機能性被膜の剥離は発生しなかった。また、導電性線条部上及びガラス表面上で機能性被膜のクラックも発生しなかった。更に、導電性線条部及び遮蔽層の下部において、機能性被膜のムラは発生しなかった。そして、有機洗浄液による洗浄工程の後に実施した水洗いにおいて、導電性線条部及び遮蔽層とガラス表面との境に水たまりは発生しなかった。そのため、セリコ洗浄後の自然乾燥は、10分程度で完了した。
一方、参考例に従って製造した窓ガラスでは、上記風乾工程後に、遮蔽層上及び導電性線条部上で機能液の剥離が生じた。すなわち、参考例では、加熱乾燥工程を実施するまでもなく、遮蔽層上及び導電性線条部上で機能液の剥離が生じた。また、参考例に係る製造工程では、ガラス板を形成後に実施した水洗いにおいて、導電性線条部及び遮蔽層とガラス表面との境に水たまりが発生した。そのため、セリコ洗浄後の自然乾燥には、60分程度の時間がかかった。
したがって、実施例2と参考例とを比較すると、実施例2では、機能液を塗布する前の水洗いにおいて、導電性線条部及び遮蔽層とガラス表面との境に水たまりが発生するのを十分に抑えられることが分かった。これにより、実施例2では、ガラス板の製造時間を50分程度短縮できることが分かった。また、実施例2では、導電性線条部上及び遮蔽層上の機能性被膜が乾燥工程によって剥がれるのを十分に抑えられることが分かった。よって、上記第2実施形態によれば、窓ガラスの製造工程を高めることができ、かつ、導電性線条部上及び遮蔽層上の機能性被膜が剥離するのを抑制することができることが確認された。
1…窓ガラス、
10…ガラス板、11…第1面、12…第2面、
2…導電性線条部、21…熱線部、22…バスバー部、23…接続部、
3…機能性被膜、
4…遮蔽層、
901…加熱炉、902…成形装置、921…上型、922…下型、
903…ローラコンベア、931…ローラ、
100…塗布システム、
7…ロボットアーム、71…吸盤、
8…射出部、81…基部、82…ノズル、83…連結部、84…チューブ部材、
9…固定部材、91…係止部、92…第1板部材、93…第2板部材

Claims (10)

  1. 車両用の窓ガラスであって、
    ガラス板と、
    前記ガラス板のいずれかの面に導電性材料を所定のパターンを有するように積層することで形成される導電性線条部と、
    所定の機能を与えるための機能液を前記導電性線条部の積層された前記ガラス板の面に塗布することで、前記導電性線条部を被覆するよう構成された機能性被膜と、
    を備える、
    窓ガラス。
  2. 前記機能液はシラン化合物を含む、
    請求項1に記載の窓ガラス。
  3. 前記導電性線条部はガラス材料を含む、
    請求項2に記載の窓ガラス。
  4. 前記ガラス板の前記導電性線条部の形成される面の周縁部には、車外からの視野を遮蔽する遮蔽層が設けられ、
    前記遮蔽層はガラス材料を含む、
    請求項2又は3に記載の窓ガラス。
  5. 前記機能液は紫外線カットコーティング液である、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の窓ガラス。
  6. 前記導電性材料は銀を含む、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の窓ガラス。
  7. 前記窓ガラスはリアガラスとして利用される、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の窓ガラス。
  8. 導電性材料で形成される導電性線条部及び/又は車外からの視野を遮蔽する遮蔽層がいずれかの面に積層したガラス板を形成する第1工程と、
    極性有機溶媒に有機酸を溶解した溶液で、前記ガラス板の面のうちの少なくとも前記導電性線条部及び/又は前記遮蔽層を含む領域を洗浄する第2工程と、
    前記第2工程の後に、前記導電性線条部及び/又は前記遮蔽層が積層した前記ガラス板の面に所定の機能を与えるための機能液を塗布することで、当該ガラス板の面に機能性被膜を形成する第3工程と、
    を含む、
    車両用の窓ガラスの製造方法。
  9. 前記有機酸は、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、マレイン酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、及び乳酸のうち少なくとも1種以上で構成される、
    請求項8に記載の車両用の窓ガラスの製造方法。
  10. 前記極性有機溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、又はそれらの混合溶媒である、
    請求項8又は9に記載の車両用の窓ガラスの製造方法。
JP2015141492A 2014-12-26 2015-07-15 車両用の窓ガラス Active JP6510919B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014264356 2014-12-26
JP2014264356 2014-12-26

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016124533A true JP2016124533A (ja) 2016-07-11
JP6510919B2 JP6510919B2 (ja) 2019-05-08

Family

ID=56358642

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015141492A Active JP6510919B2 (ja) 2014-12-26 2015-07-15 車両用の窓ガラス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6510919B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108454354A (zh) * 2017-02-21 2018-08-28 福特全球技术公司 窗口电端子
KR102436112B1 (ko) * 2021-11-19 2022-08-25 주식회사 서한공업 함정 조타실용 방탄 윈도우의 개량 구조

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH068799A (ja) * 1992-06-24 1994-01-18 Asahi Glass Co Ltd 自動車用窓ガラス
JPH0640252A (ja) * 1992-05-27 1994-02-15 Asahi Glass Co Ltd 自動車用窓ガラス
JPH0781979A (ja) * 1993-09-17 1995-03-28 Nippon Sheet Glass Co Ltd 防汚性ガラス物品
JPH08319135A (ja) * 1995-05-25 1996-12-03 Tatsuguchi Kogyo Glass Kk 硬化膜コートを形成したガラス及び導電ガラス

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0640252A (ja) * 1992-05-27 1994-02-15 Asahi Glass Co Ltd 自動車用窓ガラス
JPH068799A (ja) * 1992-06-24 1994-01-18 Asahi Glass Co Ltd 自動車用窓ガラス
JPH0781979A (ja) * 1993-09-17 1995-03-28 Nippon Sheet Glass Co Ltd 防汚性ガラス物品
JPH08319135A (ja) * 1995-05-25 1996-12-03 Tatsuguchi Kogyo Glass Kk 硬化膜コートを形成したガラス及び導電ガラス

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108454354A (zh) * 2017-02-21 2018-08-28 福特全球技术公司 窗口电端子
KR102436112B1 (ko) * 2021-11-19 2022-08-25 주식회사 서한공업 함정 조타실용 방탄 윈도우의 개량 구조

Also Published As

Publication number Publication date
JP6510919B2 (ja) 2019-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6633974B2 (ja) ウインドシールド
US20230227004A1 (en) Laminated glass
JP5468103B2 (ja) ウインドウウォッシャ装置
CA2958706C (en) Pane with an electrical heating region
CN112456811B (zh) 一种镀膜玻璃及其夹层玻璃
CN104756315B (zh) 车窗玻璃及其安装结构
EP3489053B1 (en) Windshield
CN105016624B (zh) 亲水性自洁镀膜液及镀膜方法
US20060186104A1 (en) Fluid deposition of electrically conductive strips and articles having solid electrically conductive strips obtained therefrom
CN110191799A (zh) 夹层玻璃及其制造方法
JP2023503364A (ja) 導電性パターンを備えたグレージングを得る方法
JP6610539B2 (ja) 窓枠付き車両窓部材およびその製造方法
KR940007220B1 (ko) 적외선반사성차폐물품 및 그 제조방법
CN112574614B (zh) 一种用于激光除膜的印刷组合物和夹层玻璃的制造方法
JP2016124533A (ja) 車両用の窓ガラス
JP2019520290A (ja) 機能層を有する積層グレージングのためのエナメル印刷方法
JP2022517948A (ja) 車両用ウィンドウ上の電気接続用の導電性バスバー
CN111470781A (zh) 一种玻璃加工方法和玻璃加工设备
CN102791647A (zh) 树脂膜的除去方法和层叠体的制造方法
US20210008844A1 (en) Heated laminate with improved aesthetic
JP2007137748A (ja) 塗布膜付きガラス板及びその製造方法
CN102909910A (zh) 一种自洁净钢化手机镜片
KR20160121345A (ko) 투명전도체가 형성된 자동차용 발열전면유리
CN106957153A (zh) 一种汽车玻璃镀膜的方法
JP2022183166A (ja) ウインドシールド

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181211

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190326

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190405

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6510919

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250