JP2016114568A - 道床形状計測方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、道床の「余盛り」が適正に隆起しているか確認する手法として、走行する軌道検測車からバラストを盛って形成した道床に向けてレーザスポットを投射して、そのレーザスポットを適当な時間間隔で撮像するとともに、レーザスポットを撮像した画像データと、距離マーク発生部による距離マークとをVTRのテープに並列に収録し、その収録した画像データを解析することによってバラストの断面形状、特に道床の余盛高さと道床の肩幅(図11参照)を計測する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この技術では、計測したバラストの断面形状から算出した断面尺度が基準値より大きい箇所を不良箇所として判定し、バラストの崩壊部分を検出するようになっている。
そのため、レーザ光を使用して計測を行うには軌道検測車を用いなければならず、営業車両を用いるなどして簡便に道床形状を計測することは難しかった。
バラストが盛られている道床に敷設された軌道上を走行可能な車両に設置した、ベースカメラ及び参照カメラと、3軸加速度センサと、距離センサとを備えた計測装置によって、前記道床の断面形状を計測する道床形状計測方法であって、
停車中の車両から前記ベースカメラによって撮像される前記軌道のレール上の異なる2点に向けられた2つのベクトル(例えば、ベクトルEn1とベクトルEn2)と、前記3軸加速度センサによる前記ベースカメラの重力軸方向のベクトル(例えば、ベクトルGn)とに基づき、軌道座標系に対する前記ベースカメラの姿勢に関する行列(例えば、行列R)を取得する工程と、
停車中の車両から前記ベースカメラによって撮像される前記軌道の基準点に向けられたベクトル(例えば、ベクトルN)と、前記距離センサによる前記ベースカメラから前記基準点までの距離と、前記行列(例えば、行列R)に基づき、軌道座標系に対する前記ベースカメラの位置情報を取得する工程と、
停車中の車両から前記ベースカメラによって撮像される前記軌道の基準点を含む仮想計測断面を軌道座標系にて設定する工程と、
前記軌道座標系の仮想計測断面を、カメラ座標系の仮想計測断面として前記ベースカメラ及び前記参照カメラの画像上に射影する工程と、
前記参照カメラの画像上に射影された仮想計測断面を、前記ベースカメラの画像上に射影された仮想計測断面に変換する第1のホモグラフィ行列(例えば、ホモグラフィ行列Hrb)と、前記ベースカメラの画像上に射影された仮想計測断面を、軌道座標系の仮想計測断面に変換する第2のホモグラフィ行列(例えば、ホモグラフィ行列Hbv)を取得する工程と、
前記ベースカメラ及び前記参照カメラによって前記軌道の道床を撮像し、前記参照カメラによる画像を前記第1のホモグラフィ行列によって変換した処理画像と前記ベースカメラによる画像とのマッチングを行い、前記ベースカメラによる画像上の前記道床の断面形状を特定し、その特定した断面形状を第2のホモグラフィ行列によって軌道座標系の計測断面に変換することで、前記道床の断面形状を検出する工程と、
を有するようにした。
特に、この道床形状計測方法では仮想計測断面を設定して、所望する断面形状のみを算出する2次元画像処理を行うようにすることで、計算量を削減することを可能にした。
具体的には、ホモグラフィ行列により画像を射影変換する技術と、ベースカメラと参照カメラによる画像をマッチングする技術とを併用する2次元画像処理を行うことで、断面形状の算出に要する計算量を大幅に削減して、道床の断面形状、特に道床の余盛高さと道床の肩幅を検出することを可能にした。
前記軌道上を走行中の車両から前記ベースカメラ及び前記参照カメラによって前記軌道の道床を撮像し、前記参照カメラによる画像を前記第1のホモグラフィ行列によって変換した処理画像と前記ベースカメラによる画像とのマッチングを行い、前記ベースカメラによる画像上の前記道床の断面形状を特定し、その特定した断面形状を第2のホモグラフィ行列によって軌道座標系の計測断面に変換することで、前記道床の断面形状を検出する工程を有するようにする。
例えば、夏期の晴天時にレール1の温度が著しく上昇して、そのレール1がふく進する際にレール1が座屈してしまう虞があるので、道床3に枕木2を埋めることにより、枕木2の横方向の移動に対する抵抗力(道床横抵抗力)を持たせて、レール1が座屈することを防いでいる。特に、道床3の両側の肩部にバラストを隆起させた「余盛り」を設けることで、枕木2の道床横抵抗力を増強している。
この道床3の「余盛り」が適正に隆起しているか否かを確認し、バラストの崩壊部分があれば補修するために、定期的に道床形状計測装置を用いて道床3の断面形状を計測するようになっている。
フレーム17には、カメラヘッド部10を車両の窓に取り付けるための吸盤18が配設されている。この吸盤18は角度調整可能にフレーム17に軸支されている。またフレーム17には、カメラヘッド部10を車両の窓に取り付ける際に、その窓に突き当てる脚部17aが設けられている。
また、制御回路部16にケーブル30が繋がれており、装置本体20とカメラヘッド部10の各部が接続されている。
距離センサ14は、カメラヘッド部10と軌道との距離を測定可能に設けられている。特に距離センサ14は、ベースカメラ11の固定位置に対応付けて配設されており、ベースカメラ11と、ベースカメラ11が撮像する軌道との距離を測定することができる。
GPS受信機15は、GPS衛星からの電波を受信して、緯度経度情報(位置情報)を取得する。このGPS受信機15が取得した位置情報は、道床形状計測装置100の位置情報(道床形状計測装置100を設置した車両の位置情報)として利用される。
このモニタ21を、液晶表示パネルにタッチパネルを搭載した構成にすれば、モニタ21を計測装置100の操作入力部として機能させることが可能になる。
この制御ユニット23は、後述する道床形状計測方法に応じた演算処理を行って、ベースカメラ11及び参照カメラ12が撮像した軌道の画像に基づき、道床の断面形状を検出する道床形状検出部としての機能を有する。
カメラヘッド部10を窓に固定する際、計測対象となる軌道の道床3の余盛り部分がレール1や枕木2とともにベースカメラ11及び参照カメラ12の視野に適正に入るように、カメラヘッド部10の向きをパン、チルトさせるように調整する。なお、ベースカメラ11及び参照カメラ12が撮像した軌道の画像は、モニタ21によって確認することができる。
このとき、3軸加速度センサ13によりカメラヘッド部10側での位置や姿勢を規定するカメラ座標系において、停車中の車両5に働いている加速度は重力加速度のみである。
ここで、ベースカメラ11の傾きは3軸加速度センサ13により重力加速度が分解された形で計測される。
例えば、ベースカメラ11の俯角θとロール角ωは、
θ=tan−1((y/z)−π)
ω=tan−1(x/(y+z))
として求められる。
但し、重力加速度軸周りの自由度が残ってしまうので、車両5の進行方向となるレール1の延在方向に基づき、カメラ座標系を決定する。
まず、3軸加速度センサ13によってカメラ座標系の重力軸方向上向きのベクトルGnを生成する。
次いで、停車中の車両5から撮像したベースカメラ11による画像Mb上のレール1の一端の座標に向かうベクトルEn1と、その画像Mb上のレール1の他端の座標に向かうベクトルEn2との外積から、画像Mb上のレール直線のベクトルRnを生成する。
次いで、ベクトルGnとベクトルRnの外積から、レール1の消失点に向かうベクトルVnを生成する。このベクトルVnは、カメラ座標系のレール1の延在方向を示している。
このベクトルGnと、ベクトルVnと、ベクトルGnとベクトルVnの外積で得られるベクトルPnとによって、カメラ座標系表現での軌道座標系の座標軸ベクトルを表すことができる(Gn/z:Vn/y:Pn/x)。
ここで、回転行列の3つの列ベクトルは、各座標系ベクトルがその回転行列により変換された結果を表す。よって、上記のように求めた3つのベクトル(Gn,Vn,Pn)を転置した列ベクトルを用いて作られる行列[Pn,Rn,Gn]は、カメラの3つの座標軸を軌道座標系座標軸の姿勢に回転する行列である。
つまり、カメラ姿勢は、この行列[Pn,Rn,Gn]の逆行列Rとなる。
こうして軌道座標系に対するベースカメラ11の姿勢に関する行列Rを取得する。
まず、停車中の車両5から撮像したベースカメラ11による画像Mb上の軌道の基準点(例えば、枕木の端部、或いはレールのエッヂ)の座標に向かうベクトルNを求める。
また、距離センサ14によってベースカメラ11から基準点Oまでの距離dを取得する。
そして、ベクトルNを距離倍し、ベクトルNの大きさを距離dとした距離ベクトルを得て、その距離ベクトルをカメラ姿勢に関する行列R(回転ベクトルR)で変換したものがカメラ位置となる。
こうして軌道座標系に対するベースカメラ11の位置情報を取得する。
例えば、ベースカメラ11による画像Mb上における枕木の端部に相当する基準点Oをマウス等で指定し、仮想計測断面Sの高さ及び幅を数値入力することで、仮想計測断面Sの設定を行うことができる。
ここで、軌道座標系に対するベースカメラ11の姿勢および位置を表す行列は行列Rであり、そのベクトルがベクトルtである。
また、ベースカメラ11に対する参照カメラ12の姿勢および位置を表す行列とベクトルは、それぞれRbr、tbrとする。なお、このRbr、tbrは、カメラ外部パラメータと呼ばれ、別途較正プログラムによって予め求められており、制御ユニット23のROMに格納されている。
そして、軌道座標系の仮想計測断面Sを行列Rとベクトルtで変換することで、ベースカメラ11の画像Mb上に射影仮想計測断面Sr1が合成される。
更に、ベースカメラ11の画像Mb上の射影仮想計測断面Sr1を行列Rbrとベクトルtbrで変換することで、参照カメラ12の画像Mr上に射影仮想計測断面Sr2が合成される。
なお、ベースカメラ11の画像Mb上の射影仮想計測断面Sr1の内側と、参照カメラ12の画像Mr上の射影仮想計測断面Sr2の内側がマスク有効領域となり、道床3の断面形状を検出する処理の対象となる。射影仮想計測断面Sr1と射影仮想計測断面Sr2の外側を無効領域とすることで、道床3の断面形状を検出する処理の計算量を削減し、処理時間の短縮を図ることが可能になる。
また、ベースカメラ11の画像Mb上に射影された射影仮想計測断面Sr1を、軌道座標系の仮想計測断面Sに変換する第2のホモグラフィ行列Hbvを算出して取得する。
このように、カメラヘッド部10を窓に取り付けた後、第1のホモグラフィ行列Hrbと第2のホモグラフィ行列Hbvを取得するまでが、車両5の停車中に行う道床形状計測装置100のキャリブレーションである。
まず、車両5を軌道に沿って走行させ、走行中の車両5からベースカメラ11及び参照カメラ12によって軌道の道床3を撮像する。
次いで、参照カメラ12による画像Mrを第1のホモグラフィ行列Hrbによって変換した処理画像とベースカメラ11による画像Mbとのマッチングを行う。
例えば、参照カメラ12による画像Mrを第1のホモグラフィ行列Hrbによって変換した処理画像のうち、仮想計測断面Sに相当する平面上の画像部分がベースカメラ11による画像Mbと一致し、仮想計測断面Sに相当する平面上ではない画像部分がベースカメラ11による画像Mbと不一致となるので、その一致した画像部分を抽出する処理を行うことで道床3の断面形状を検出することができる。
具体的には、参照カメラ12による画像Mrを第1のホモグラフィ行列Hrbによって変換した処理画像とベースカメラ11による画像MbとのSAD画像を計算し、そのSAD画像を解析する処理を行うことで道床3の断面形状を検出する。
ここでは、SAD画像を縦にサーチ(スキャン)し、相違度が最小(あるいは類似度が最大)となる位置を求め、その求めた位置を断面位置として確定し、道床3の断面形状を特定する。この特定した道床3の断面形状を第2のホモグラフィ行列Hbvによって軌道座標系の仮想計測断面Sに変換することで、道床3の断面形状を検出することができる。
図10に示すように、道床形状計測装置100のモニタ21に表示される処理画面21aには、ベースカメラ11により撮像された軌道の画像Mbと、参照カメラ12により撮像された軌道の画像Mrと、その撮像地点で検出された道床3の断面形状S3が表示される計測地点図Smと、GPS受信機15による撮像地点に関する位置情報(緯度経度情報;Lat Lon)などが含まれている。
作業者は、このような処理画面21aによって道床3の断面形状S3を実際に撮像された軌道の画像(Mb、Mr)とともに確認することができる。また、検出された道床3の断面形状に関するデータには、GPS受信機15による位置情報が対応付けられているので、作業者が処理画面21aに基づいてバラストの崩壊部分があることを認識した場合にはその地点を的確に把握することができ、その地点の補修を速やかに行うことが可能となる。
つまり、本実施形態の道床形状計測方法は、道床形状計測装置100を設置可能な車両5であれば、車両5を軌道のレール1上を走行させながら軌道の道床3を撮像することによって道床3の断面形状を検出することができるので、営業車両でも容易に実施することができる優れた手法であるといえる。
これに対し、本発明に係る道床形状計測方法では仮想計測断面を設定して、所望する断面形状のみを算出する2次元画像処理を行うようにすることで、計算量を大幅に削減することを可能にした。
それにより、ビデオフレームレート1/30秒間に所望する断面を算出する計算処理を終えることができるので、ビデオ撮影時にリアルタイムに断面形状を検出することが可能になる。リアルタイムに断面形状を検出することができれば、車両5を走行させながら撮像した画像データを記録しておき、後にその記録した画像データの画像処理を行って断面形状を算出する手間を省くことができる。また画像データは記録しておく必要がないため、データ容量も大幅に削減することができる。
また、2台の道床形状計測装置100を用いて、左右のレール1のそれぞれの道床3の余盛りの断面形状を検出するようにしてもよい。
2 枕木
3 道床
5 車両
10 カメラヘッド部
11 ベースカメラ
12 参照カメラ
13 3軸加速度センサ
14 距離センサ
15 GPS受信機
16 制御回路部
17 フレーム
18 吸盤
20 装置本体
21 モニタ
22 電源部
23 制御ユニット
30 ケーブル
100 道床形状計測装置
Claims (2)
- バラストが盛られている道床に敷設された軌道上を走行可能な車両に設置した、ベースカメラ及び参照カメラと、3軸加速度センサと、距離センサとを備えた計測装置によって、前記道床の断面形状を計測する道床形状計測方法であって、
停車中の車両から前記ベースカメラによって撮像される前記軌道のレール上の異なる2点に向けられた2つのベクトルと、前記3軸加速度センサによる前記ベースカメラの重力軸方向のベクトルとに基づき、軌道座標系に対する前記ベースカメラの姿勢に関する行列を取得する工程と、
停車中の車両から前記ベースカメラによって撮像される前記軌道の基準点に向けられたベクトルと、前記距離センサによる前記ベースカメラから前記基準点までの距離と、前記行列に基づき、軌道座標系に対する前記ベースカメラの位置情報を取得する工程と、
停車中の車両から前記ベースカメラによって撮像される前記軌道の基準点を含む仮想計測断面を軌道座標系にて設定する工程と、
前記軌道座標系の仮想計測断面を、カメラ座標系の仮想計測断面として前記ベースカメラ及び前記参照カメラの画像上に射影する工程と、
前記参照カメラの画像上に射影された仮想計測断面を、前記ベースカメラの画像上に射影された仮想計測断面に変換する第1のホモグラフィ行列と、前記ベースカメラの画像上に射影された仮想計測断面を、軌道座標系の仮想計測断面に変換する第2のホモグラフィ行列を取得する工程と、
前記ベースカメラ及び前記参照カメラによって前記軌道の道床を撮像し、前記参照カメラによる画像を前記第1のホモグラフィ行列によって変換した処理画像と前記ベースカメラによる画像とのマッチングを行い、前記ベースカメラによる画像上の前記道床の断面形状を特定し、その特定した断面形状を第2のホモグラフィ行列によって軌道座標系の計測断面に変換することで、前記道床の断面形状を検出する工程と、
を有することを特徴とする道床形状計測方法。 - 前記軌道上を走行中の車両から前記ベースカメラ及び前記参照カメラによって前記軌道の道床を撮像し、前記参照カメラによる画像を前記第1のホモグラフィ行列によって変換した処理画像と前記ベースカメラによる画像とのマッチングを行い、前記ベースカメラによる画像上の前記道床の断面形状を特定し、その特定した断面形状を第2のホモグラフィ行列によって軌道座標系の計測断面に変換することで、前記道床の断面形状を検出する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の道床形状計測方法。
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