JP2016114568A - 道床形状計測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軌道を走行する車両を用いて容易に実施することができる道床形状計測方法を提供する。【解決手段】ベースカメラ11及び参照カメラ12と、3軸加速度センサ13と距離センサ14とを備えた道床形状計測装置100を車両に設置し、その車両を軌道のレール上を走行させながら軌道の道床を撮像し、二眼視ステレオ法による形状計測を行って、道床の断面形状を検出する道床形状計測方法において、仮想計測断面を設定することで、所望する断面形状のみを算出する2次元画像処理を行う。2次元画像処理は、ホモグラフィ行列により画像を射影変換する技術と、ベースカメラと参照カメラによる画像をマッチングする技術とを併用することで、計算量を大幅に削減して道床の断面形状を検出する。【選択図】図1

Description

本発明は、形状計測方法に係り、バラストを盛って形成した道床の形状を計測するのに適した道床形状計測方法に関する。
夏期の晴天時に温度が著しく上昇したレールがふく進することに伴い、レールが座屈してしまうことを防ぐために枕木を道床に埋設し、枕木が横方向に移動することを規制している。その道床にはバラストを隆起させた「余盛り」が設けられている。
そして、道床の「余盛り」が適正に隆起しているか確認する手法として、走行する軌道検測車からバラストを盛って形成した道床に向けてレーザスポットを投射して、そのレーザスポットを適当な時間間隔で撮像するとともに、レーザスポットを撮像した画像データと、距離マーク発生部による距離マークとをVTRのテープに並列に収録し、その収録した画像データを解析することによってバラストの断面形状、特に道床の余盛高さと道床の肩幅(図11参照)を計測する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この技術では、計測したバラストの断面形状から算出した断面尺度が基準値より大きい箇所を不良箇所として判定し、バラストの崩壊部分を検出するようになっている。
特開平7−294443号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術の場合、太陽光の下で安定した計測を行うにはクラス3程度のレーザ光を出力するレーザ発生装置が必要となるので、安全確保のために装置の近くに作業者の立ち入りを制限する構造をとることで、計測装置が大掛かりになってしまう。
そのため、レーザ光を使用して計測を行うには軌道検測車を用いなければならず、営業車両を用いるなどして簡便に道床形状を計測することは難しかった。
本発明の目的は、軌道を走行する車両を用いて容易に実施することができる道床形状計測方法を提供することである。
上記目的を達成するため、この発明は、
バラストが盛られている道床に敷設された軌道上を走行可能な車両に設置した、ベースカメラ及び参照カメラと、3軸加速度センサと、距離センサとを備えた計測装置によって、前記道床の断面形状を計測する道床形状計測方法であって、
停車中の車両から前記ベースカメラによって撮像される前記軌道のレール上の異なる2点に向けられた2つのベクトル(例えば、ベクトルEnとベクトルEn)と、前記3軸加速度センサによる前記ベースカメラの重力軸方向のベクトル(例えば、ベクトルGn)とに基づき、軌道座標系に対する前記ベースカメラの姿勢に関する行列(例えば、行列R)を取得する工程と、
停車中の車両から前記ベースカメラによって撮像される前記軌道の基準点に向けられたベクトル(例えば、ベクトルN)と、前記距離センサによる前記ベースカメラから前記基準点までの距離と、前記行列(例えば、行列R)に基づき、軌道座標系に対する前記ベースカメラの位置情報を取得する工程と、
停車中の車両から前記ベースカメラによって撮像される前記軌道の基準点を含む仮想計測断面を軌道座標系にて設定する工程と、
前記軌道座標系の仮想計測断面を、カメラ座標系の仮想計測断面として前記ベースカメラ及び前記参照カメラの画像上に射影する工程と、
前記参照カメラの画像上に射影された仮想計測断面を、前記ベースカメラの画像上に射影された仮想計測断面に変換する第1のホモグラフィ行列(例えば、ホモグラフィ行列Hrb)と、前記ベースカメラの画像上に射影された仮想計測断面を、軌道座標系の仮想計測断面に変換する第2のホモグラフィ行列(例えば、ホモグラフィ行列Hbv)を取得する工程と、
前記ベースカメラ及び前記参照カメラによって前記軌道の道床を撮像し、前記参照カメラによる画像を前記第1のホモグラフィ行列によって変換した処理画像と前記ベースカメラによる画像とのマッチングを行い、前記ベースカメラによる画像上の前記道床の断面形状を特定し、その特定した断面形状を第2のホモグラフィ行列によって軌道座標系の計測断面に変換することで、前記道床の断面形状を検出する工程と、
を有するようにした。
かかる構成の道床形状計測方法によれば、ベースカメラ及び参照カメラと3軸加速度センサと距離センサとを備えた計測装置を用いて軌道の道床を撮像し、二眼視ステレオ法による形状計測を行って、道床の断面形状を検出することができる。
特に、この道床形状計測方法では仮想計測断面を設定して、所望する断面形状のみを算出する2次元画像処理を行うようにすることで、計算量を削減することを可能にした。
具体的には、ホモグラフィ行列により画像を射影変換する技術と、ベースカメラと参照カメラによる画像をマッチングする技術とを併用する2次元画像処理を行うことで、断面形状の算出に要する計算量を大幅に削減して、道床の断面形状、特に道床の余盛高さと道床の肩幅を検出することを可能にした。
また、望ましくは、
前記軌道上を走行中の車両から前記ベースカメラ及び前記参照カメラによって前記軌道の道床を撮像し、前記参照カメラによる画像を前記第1のホモグラフィ行列によって変換した処理画像と前記ベースカメラによる画像とのマッチングを行い、前記ベースカメラによる画像上の前記道床の断面形状を特定し、その特定した断面形状を第2のホモグラフィ行列によって軌道座標系の計測断面に変換することで、前記道床の断面形状を検出する工程を有するようにする。
かかる構成の道床形状計測方法によれば、ベースカメラ及び参照カメラと3軸加速度センサと距離センサとを備えた計測装置を設置した車両を軌道のレール上を走行させながら軌道の道床を撮像し、二眼視ステレオ法による形状計測を行って、道床の断面形状を検出することができる。つまり、計測装置を設置可能な営業車両によっても道床形状計測を容易に実施することができ、道床の断面形状を検出することができる。
本発明によれば、軌道を走行する車両を用いて容易に実施することができる道床形状計測方法が得られる。
また、基準点をマクラ木上面端に設定することにより、道床断面形状から道床の管理基準である「道床余盛り高さ」、「道床肩幅」を容易に求めることができる。
本実施形態の道床形状計測装置を示す概略図である。 道床形状計測装置を設置した車両に関する説明図である。 軌道座標系とカメラ座標系に関する説明図である。 カメラ座標系を決定する手順に関し、軌道座標系に対するベースカメラの姿勢を求める手順に関する説明図である。 カメラ座標系を決定する手順に関し、軌道座標系に対するベースカメラの位置を求める手順に関する説明図である。 停車中の車両から撮像したベースカメラによる画像上で、軌道の基準点を含む仮想計測断面を軌道座標系にて設定する処理に関する説明図である。 軌道座標系の仮想計測断面を、カメラ座標系の仮想計測断面としてベースカメラ及び参照カメラの画像上に射影する処理に関する説明図である。 道床の断面形状の検出に必要となる第1のホモグラフィ行列と第2のホモグラフィ行列を算出する処理に関する説明図である。 第1のホモグラフィ行列と第2のホモグラフィ行列を用いて道床の断面形状を検出する処理に関する説明図である。 道床形状計測装置を用いて行った道床形状計測の処理画面の一例を示す説明図である。 道床の余盛高さと道床の肩幅に関する説明図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る道床形状計測方法の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1は、本実施形態の道床形状計測装置を示す概略図である。この道床形状計測装置は、バラストが盛られている道床に敷設された軌道上を走行する車両に設置され、道床の断面形状の計測に用いられる。
軌道は、例えば図2に示すように、バラストが盛られた道床3に枕木2を埋設し、その枕木2上に載置したレール1を所定のレール支持部に締結するなどして敷設されている。
例えば、夏期の晴天時にレール1の温度が著しく上昇して、そのレール1がふく進する際にレール1が座屈してしまう虞があるので、道床3に枕木2を埋めることにより、枕木2の横方向の移動に対する抵抗力(道床横抵抗力)を持たせて、レール1が座屈することを防いでいる。特に、道床3の両側の肩部にバラストを隆起させた「余盛り」を設けることで、枕木2の道床横抵抗力を増強している。
この道床3の「余盛り」が適正に隆起しているか否かを確認し、バラストの崩壊部分があれば補修するために、定期的に道床形状計測装置を用いて道床3の断面形状を計測するようになっている。
道床形状計測装置100は、例えば図1に示すように、カメラヘッド部10と、装置本体20と、カメラヘッド部10と装置本体20とを接続するケーブル30等を備えている。
カメラヘッド部10は、ベースカメラ11及び参照カメラ12と、3軸加速度センサ13と、距離センサ14と、GPS受信機15と、それらを統合する制御回路部16と、上記各部が所定位置に固定されているフレーム17等を備えている。
フレーム17には、カメラヘッド部10を車両の窓に取り付けるための吸盤18が配設されている。この吸盤18は角度調整可能にフレーム17に軸支されている。またフレーム17には、カメラヘッド部10を車両の窓に取り付ける際に、その窓に突き当てる脚部17aが設けられている。
また、制御回路部16にケーブル30が繋がれており、装置本体20とカメラヘッド部10の各部が接続されている。
ベースカメラ11及び参照カメラ12は、二眼視ステレオ用のビデオカメラであり、ステレオ法による形状計測が可能となるよう、所定の角度で所定距離を開けた配置でフレーム17に固定されている。
3軸加速度センサ13は、カメラヘッド部10の3軸方向の加速度を測定し、例えばロール角やピッチ角に基づきカメラヘッド部10の姿勢を検知するいわゆる姿勢センサである。
距離センサ14は、カメラヘッド部10と軌道との距離を測定可能に設けられている。特に距離センサ14は、ベースカメラ11の固定位置に対応付けて配設されており、ベースカメラ11と、ベースカメラ11が撮像する軌道との距離を測定することができる。
GPS受信機15は、GPS衛星からの電波を受信して、緯度経度情報(位置情報)を取得する。このGPS受信機15が取得した位置情報は、道床形状計測装置100の位置情報(道床形状計測装置100を設置した車両の位置情報)として利用される。
装置本体20は、モニタ21と、電源部22と、計測装置100の各部を統括制御する制御ユニット23等を備えている。また、装置本体20にはマウスやキーボードなど図示しない操作・入力手段が設けられている。
モニタ21は、例えば、液晶表示パネルであり、ベースカメラ11及び参照カメラ12が撮像した軌道の画像や、後述する道床形状計測方法によって検出した道床の断面形状を表示する。
このモニタ21を、液晶表示パネルにタッチパネルを搭載した構成にすれば、モニタ21を計測装置100の操作入力部として機能させることが可能になる。
電源部22は、例えば、コンセント(アウトレット)に接続可能な電源ケーブルや、充電式電池を有しており、計測装置100を作動させる電源として機能する。
制御ユニット23は、例えば、各種の演算処理等を行うCPUと、CPUにより実行される各種制御プログラム及びデータ等が格納されるROM等を備えて構成されている。
この制御ユニット23は、後述する道床形状計測方法に応じた演算処理を行って、ベースカメラ11及び参照カメラ12が撮像した軌道の画像に基づき、道床の断面形状を検出する道床形状検出部としての機能を有する。
次に、本実施形態の道床形状計測装置100を用いた道床形状計測方法について説明する。
まず、図2に示すように、軌道のレール1上を走行する車両5(例えば営業車両)であって、レール1上で停車中の車両5の運転席前方の窓ガラスの内面に、道床形状計測装置100のカメラヘッド部10を吸盤18にて固定する。装置本体20は運転席の床面に設置する。
カメラヘッド部10を窓に固定する際、計測対象となる軌道の道床3の余盛り部分がレール1や枕木2とともにベースカメラ11及び参照カメラ12の視野に適正に入るように、カメラヘッド部10の向きをパン、チルトさせるように調整する。なお、ベースカメラ11及び参照カメラ12が撮像した軌道の画像は、モニタ21によって確認することができる。
そして、図3に示すように、軌道における位置や姿勢を規定する軌道座標系は、レール1の延在方向をy軸方向、レール1と直交する枕木2の長手方向をx軸方向、重力方向をz軸方向として設定することができる。
このとき、3軸加速度センサ13によりカメラヘッド部10側での位置や姿勢を規定するカメラ座標系において、停車中の車両5に働いている加速度は重力加速度のみである。
ここで、ベースカメラ11の傾きは3軸加速度センサ13により重力加速度が分解された形で計測される。
例えば、ベースカメラ11の俯角θとロール角ωは、
θ=tan−1((y/z)−π)
ω=tan−1(x/(y+z))
として求められる。
但し、重力加速度軸周りの自由度が残ってしまうので、車両5の進行方向となるレール1の延在方向に基づき、カメラ座標系を決定する。
カメラ座標系を決定する手順に関し、軌道座標系に対するベースカメラ11の姿勢を求める手順について、図4に基づき説明する。
まず、3軸加速度センサ13によってカメラ座標系の重力軸方向上向きのベクトルGnを生成する。
次いで、停車中の車両5から撮像したベースカメラ11による画像Mb上のレール1の一端の座標に向かうベクトルEnと、その画像Mb上のレール1の他端の座標に向かうベクトルEnとの外積から、画像Mb上のレール直線のベクトルRnを生成する。
次いで、ベクトルGnとベクトルRnの外積から、レール1の消失点に向かうベクトルVnを生成する。このベクトルVnは、カメラ座標系のレール1の延在方向を示している。
このベクトルGnと、ベクトルVnと、ベクトルGnとベクトルVnの外積で得られるベクトルPnとによって、カメラ座標系表現での軌道座標系の座標軸ベクトルを表すことができる(Gn/z:Vn/y:Pn/x)。
ここで、回転行列の3つの列ベクトルは、各座標系ベクトルがその回転行列により変換された結果を表す。よって、上記のように求めた3つのベクトル(Gn,Vn,Pn)を転置した列ベクトルを用いて作られる行列[Pn,Rn,Gn]は、カメラの3つの座標軸を軌道座標系座標軸の姿勢に回転する行列である。
つまり、カメラ姿勢は、この行列[Pn,Rn,Gn]の逆行列Rとなる。
こうして軌道座標系に対するベースカメラ11の姿勢に関する行列Rを取得する。
次いで、カメラ座標系を決定する手順に関し、軌道座標系に対するベースカメラ11の位置を求める手順について、図5に基づき説明する。
まず、停車中の車両5から撮像したベースカメラ11による画像Mb上の軌道の基準点(例えば、枕木の端部、或いはレールのエッヂ)の座標に向かうベクトルNを求める。
また、距離センサ14によってベースカメラ11から基準点Oまでの距離dを取得する。
そして、ベクトルNを距離倍し、ベクトルNの大きさを距離dとした距離ベクトルを得て、その距離ベクトルをカメラ姿勢に関する行列R(回転ベクトルR)で変換したものがカメラ位置となる。
こうして軌道座標系に対するベースカメラ11の位置情報を取得する。
このように軌道座標系に対するベースカメラ11の姿勢に関する行列Rと、ベースカメラ11の位置情報を得たことで、カメラ座標系情報を実際の物理量(軌道座標系情報)に変換することが可能になる。
次いで、図6に示すように、停車中の車両5から撮像したベースカメラ11による画像Mb上で、軌道の基準点Oを含む仮想計測断面Sを軌道座標系にて設定する。
例えば、ベースカメラ11による画像Mb上における枕木の端部に相当する基準点Oをマウス等で指定し、仮想計測断面Sの高さ及び幅を数値入力することで、仮想計測断面Sの設定を行うことができる。
次いで、図7に示すように、軌道座標系の仮想計測断面Sを、ベースカメラ11及び参照カメラ12の画像Mb,Mr上にカメラ座標系の仮想断面Sr1、Sr2としてそれぞれ射影する。
ここで、軌道座標系に対するベースカメラ11の姿勢および位置を表す行列は行列Rであり、そのベクトルがベクトルtである。
また、ベースカメラ11に対する参照カメラ12の姿勢および位置を表す行列とベクトルは、それぞれRbr、tbrとする。なお、このRbr、tbrは、カメラ外部パラメータと呼ばれ、別途較正プログラムによって予め求められており、制御ユニット23のROMに格納されている。
そして、軌道座標系の仮想計測断面Sを行列Rとベクトルtで変換することで、ベースカメラ11の画像Mb上に射影仮想計測断面Srが合成される。
更に、ベースカメラ11の画像Mb上の射影仮想計測断面Srを行列Rbrとベクトルtbrで変換することで、参照カメラ12の画像Mr上に射影仮想計測断面Srが合成される。
なお、ベースカメラ11の画像Mb上の射影仮想計測断面Srの内側と、参照カメラ12の画像Mr上の射影仮想計測断面Srの内側がマスク有効領域となり、道床3の断面形状を検出する処理の対象となる。射影仮想計測断面Srと射影仮想計測断面Srの外側を無効領域とすることで、道床3の断面形状を検出する処理の計算量を削減し、処理時間の短縮を図ることが可能になる。
次いで、図8に示すように、参照カメラ12の画像Mr上に射影された射影仮想計測断面Srを、ベースカメラ11の画像Mb上に射影された射影仮想計測断面Srに変換する第1のホモグラフィ行列Hrbを算出して取得する。
また、ベースカメラ11の画像Mb上に射影された射影仮想計測断面Srを、軌道座標系の仮想計測断面Sに変換する第2のホモグラフィ行列Hbvを算出して取得する。
こうして取得した第1のホモグラフィ行列Hrbと第2のホモグラフィ行列Hbvは、制御ユニット23のROMに格納する。この第1のホモグラフィ行列Hrbと第2のホモグラフィ行列Hbvは、車両5の窓に固定したカメラヘッド部10の位置や姿勢が変わるまで不変である。
このように、カメラヘッド部10を窓に取り付けた後、第1のホモグラフィ行列Hrbと第2のホモグラフィ行列Hbvを取得するまでが、車両5の停車中に行う道床形状計測装置100のキャリブレーションである。
次いで、取得した第1のホモグラフィ行列Hrbと第2のホモグラフィ行列Hbvを用いて、実際に軌道の道床3の断面形状を検出する処理について、図9に基づき説明する。
まず、車両5を軌道に沿って走行させ、走行中の車両5からベースカメラ11及び参照カメラ12によって軌道の道床3を撮像する。
次いで、参照カメラ12による画像Mrを第1のホモグラフィ行列Hrbによって変換した処理画像とベースカメラ11による画像Mbとのマッチングを行う。
例えば、参照カメラ12による画像Mrを第1のホモグラフィ行列Hrbによって変換した処理画像のうち、仮想計測断面Sに相当する平面上の画像部分がベースカメラ11による画像Mbと一致し、仮想計測断面Sに相当する平面上ではない画像部分がベースカメラ11による画像Mbと不一致となるので、その一致した画像部分を抽出する処理を行うことで道床3の断面形状を検出することができる。
具体的には、参照カメラ12による画像Mrを第1のホモグラフィ行列Hrbによって変換した処理画像とベースカメラ11による画像MbとのSAD画像を計算し、そのSAD画像を解析する処理を行うことで道床3の断面形状を検出する。
ここでは、SAD画像を縦にサーチ(スキャン)し、相違度が最小(あるいは類似度が最大)となる位置を求め、その求めた位置を断面位置として確定し、道床3の断面形状を特定する。この特定した道床3の断面形状を第2のホモグラフィ行列Hbvによって軌道座標系の仮想計測断面Sに変換することで、道床3の断面形状を検出することができる。
そして、検出した道床3の断面形状に関するデータは、GPS受信機15による位置情報と対応付けて制御ユニット23のROMに格納されるとともに、モニタ21に表示される。図10に、道床形状計測装置100を用いて行った道床形状計測の処理画面の一例を示す。
図10に示すように、道床形状計測装置100のモニタ21に表示される処理画面21aには、ベースカメラ11により撮像された軌道の画像Mbと、参照カメラ12により撮像された軌道の画像Mrと、その撮像地点で検出された道床3の断面形状Sが表示される計測地点図Smと、GPS受信機15による撮像地点に関する位置情報(緯度経度情報;Lat Lon)などが含まれている。
作業者は、このような処理画面21aによって道床3の断面形状Sを実際に撮像された軌道の画像(Mb、Mr)とともに確認することができる。また、検出された道床3の断面形状に関するデータには、GPS受信機15による位置情報が対応付けられているので、作業者が処理画面21aに基づいてバラストの崩壊部分があることを認識した場合にはその地点を的確に把握することができ、その地点の補修を速やかに行うことが可能となる。
以上のように、ベースカメラ11と参照カメラ12を備えた道床形状計測装置100を車両5に設置して、その車両5を軌道のレール1上を走行させながら軌道の道床3を撮像することによって二眼視ステレオ法による形状計測を行って、道床3の断面形状を検出することができるので、従来技術のようにレーザを使用する大掛かりな装置を用いることなく、比較的簡便に道床3の断面形状を計測することができる。
つまり、本実施形態の道床形状計測方法は、道床形状計測装置100を設置可能な車両5であれば、車両5を軌道のレール1上を走行させながら軌道の道床3を撮像することによって道床3の断面形状を検出することができるので、営業車両でも容易に実施することができる優れた手法であるといえる。
ところで、二眼視ステレオ法による形状計測の手法として、ベースカメラによる画像と参照カメラによる画像の対応点を3次元画像処理によって抽出して断面形状を算出する技術も知られているが、3次元画像処理には膨大な計算処理を要するため、短時間で断面形状を検出するには不向きな手法であった。
これに対し、本発明に係る道床形状計測方法では仮想計測断面を設定して、所望する断面形状のみを算出する2次元画像処理を行うようにすることで、計算量を大幅に削減することを可能にした。
それにより、ビデオフレームレート1/30秒間に所望する断面を算出する計算処理を終えることができるので、ビデオ撮影時にリアルタイムに断面形状を検出することが可能になる。リアルタイムに断面形状を検出することができれば、車両5を走行させながら撮像した画像データを記録しておき、後にその記録した画像データの画像処理を行って断面形状を算出する手間を省くことができる。また画像データは記録しておく必要がないため、データ容量も大幅に削減することができる。
なお、以上の実施の形態においては、ベースカメラ11と参照カメラ12を一対備えた道床形状計測装置100を車両5に設置して、一方のレール1側の道床3の余盛りの断面形状を検出するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ベースカメラ11と参照カメラ12を二対備えた道床形状計測装置を車両5に設置して、左右のレール1のそれぞれの道床3の余盛りの断面形状を検出するようにしてもよい。
また、2台の道床形状計測装置100を用いて、左右のレール1のそれぞれの道床3の余盛りの断面形状を検出するようにしてもよい。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
1 レール
2 枕木
3 道床
5 車両
10 カメラヘッド部
11 ベースカメラ
12 参照カメラ
13 3軸加速度センサ
14 距離センサ
15 GPS受信機
16 制御回路部
17 フレーム
18 吸盤
20 装置本体
21 モニタ
22 電源部
23 制御ユニット
30 ケーブル
100 道床形状計測装置

Claims (2)

  1. バラストが盛られている道床に敷設された軌道上を走行可能な車両に設置した、ベースカメラ及び参照カメラと、3軸加速度センサと、距離センサとを備えた計測装置によって、前記道床の断面形状を計測する道床形状計測方法であって、
    停車中の車両から前記ベースカメラによって撮像される前記軌道のレール上の異なる2点に向けられた2つのベクトルと、前記3軸加速度センサによる前記ベースカメラの重力軸方向のベクトルとに基づき、軌道座標系に対する前記ベースカメラの姿勢に関する行列を取得する工程と、
    停車中の車両から前記ベースカメラによって撮像される前記軌道の基準点に向けられたベクトルと、前記距離センサによる前記ベースカメラから前記基準点までの距離と、前記行列に基づき、軌道座標系に対する前記ベースカメラの位置情報を取得する工程と、
    停車中の車両から前記ベースカメラによって撮像される前記軌道の基準点を含む仮想計測断面を軌道座標系にて設定する工程と、
    前記軌道座標系の仮想計測断面を、カメラ座標系の仮想計測断面として前記ベースカメラ及び前記参照カメラの画像上に射影する工程と、
    前記参照カメラの画像上に射影された仮想計測断面を、前記ベースカメラの画像上に射影された仮想計測断面に変換する第1のホモグラフィ行列と、前記ベースカメラの画像上に射影された仮想計測断面を、軌道座標系の仮想計測断面に変換する第2のホモグラフィ行列を取得する工程と、
    前記ベースカメラ及び前記参照カメラによって前記軌道の道床を撮像し、前記参照カメラによる画像を前記第1のホモグラフィ行列によって変換した処理画像と前記ベースカメラによる画像とのマッチングを行い、前記ベースカメラによる画像上の前記道床の断面形状を特定し、その特定した断面形状を第2のホモグラフィ行列によって軌道座標系の計測断面に変換することで、前記道床の断面形状を検出する工程と、
    を有することを特徴とする道床形状計測方法。
  2. 前記軌道上を走行中の車両から前記ベースカメラ及び前記参照カメラによって前記軌道の道床を撮像し、前記参照カメラによる画像を前記第1のホモグラフィ行列によって変換した処理画像と前記ベースカメラによる画像とのマッチングを行い、前記ベースカメラによる画像上の前記道床の断面形状を特定し、その特定した断面形状を第2のホモグラフィ行列によって軌道座標系の計測断面に変換することで、前記道床の断面形状を検出する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の道床形状計測方法。
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