JP2016111801A - 回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハウジングに収容され、円環状に配置される複数の分割コアの外周面とハウジングの内周面との間のすき間へ伝熱体を注入し、分割コアで発生する熱を分割コアからハウジングに効率よく伝熱させる。【解決手段】円環状に配置される複数の分割コア31と、複数の分割コア31を収容する円筒状のハウジング23とを有する回転電機10であって、分割コア31は、分割コア31の外周面とハウジング23の内周面との間にすき間を有するようにハウジング23に収容され、分割コア31の外周面に、分割コア31の外周面とハウジング23の内周面との間のすき間へ伝熱体hを注入するための注入溝31eを形成する。【選択図】図5

Description

本発明は、円環状に配置される複数の分割コアを有する回転電機に関する。
従来、複数の分割コアにより形成された環状のステータコアと、ステータコアを保持するステータホルダと、ステータホルダを収容するハウジングとを備えた回転電機が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この回転電機は、ステータホルダの外周面部と、ハウジングの内周面部との間のすき間へ液体状の伝熱体が封入された冷却構造を有する。
特開2010−273423号公報
特許文献1に記載の回転電機では、ステータホルダに設けられた注入孔から注入される伝熱体は、オイルなどの流動性の高い液体で構成されるので、回転電機の設置環境によっては、伝熱体が一箇所に偏ってしまい、効率的に伝熱することができないといった不都合がある。
上記課題を解決するための本発明に係る回転電機は、円環状に配置される複数の分割コアと、前記複数の分割コアを収容する円筒状のハウジングとを有する回転電機であって、前記分割コアは、前記分割コアの外周面と前記ハウジングの内周面との間にすき間を有するように前記ハウジングに収容され、前記外周面に前記すき間へ伝熱体を注入するための注入溝を有する。
本発明に係る回転電機によれば、円環状に配置される複数の分割コアがハウジングに収容され、分割コアの外周面とハウジングの内周面との間のすき間へ注入溝から伝熱体が注入されるので、分割コアで発生した熱を分割コアとハウジングとの間で効率よく伝熱させることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る回転電機の断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る回転電機の各構成要素を分解した状態を示す断面図である。 図3は、本発明の実施形態に係る回転電機の本体の平面図である。 図4は、本発明の実施形態に係る回転電機の本体の断面図である。 図5は、本発明の実施形態に係る回転電機の本体の一部を拡大した平面図である。 図6は、本発明の実施形態に係る回転電機の分割コアを構成するコア積層板の平面図である。 図7は、図2に示すA部を拡大した部分拡大断面図である。 図8は、本発明の実施形態に係る回転電機のステータコアの平面図である。 図9は、本発明の実施形態の変形例に係る回転電機のステータコアとハウジングの部分拡大断面図である。 図10は、本発明の実施形態の変形例に係る回転電機の本体の一部を拡大した平面図である。
以下、本発明の回転電機を適用した実施形態に係る回転電機10について、図1〜図8を参照して説明する。
回転電機10は、図1、図2に示すように、本体11と、カバー12と、カバー12を本体11に固定する複数のボルト13とを有する。回転電機10は、分割コアを備えた構造のものであればよく、特に制限はないが、例えば、U相、V相及びW相の3相の交流電力により駆動する三相誘導モータや三相同期モータによって構成されている。
本体11は、図2に示すように、ステータコア21と、ロータ22と、ハウジング23と、インシュレータ25と、引き出し線26と、ステータコア21をハウジング23に固定する複数のボルト27とを含んで構成される。
ステータコア21は、図3、図4に示すように同一構造の12個の分割コア31で構成されており、各分割コア31は、互いに隣接して円環状に配置される。12個の分割コア31は、円環状に配置された各分割コア31の内径側の周壁もしくは、外径側の周壁を基準にして円形治具によって円環状に保持される。また、12個の分割コア31は、外径側の周壁を部分的に数箇所レーザ溶接することで円環状に保持されるようにしてもよく、各分割コア31の接触部分を接着によって結合することで、円環状に保持されるようにしてもよい。これにより、12個の分割コア31が一体化された円環状のステータコア21が形成される。
なお、ステータコア21は、同一構造の12個の分割コア31で構成されているが、これ以外の構造で構成されていてもよい。例えば、12個以外の個数、3個ないし20個程度の個数であってもよい。また、各分割コア31は同一構造ではなく、異なった構造のものでステータコア21と同様の円環状のステータコアを形成するようにしてもよい。
分割コア31は、図5に示すように、円弧部31aと、突出部31bと、位置決め溝31cと、位置決め突起31dと、注入溝31eと、貫通孔31fとからなるコア本体41と、突出部31bに巻きつけられたコイル巻線42とを有している。
円弧部31aは、ステータコア21の円環の一部を構成している。突出部31bはコイル巻線42が巻きつけられるよう、円弧部31aの内周部分から円弧の中心に向けて突出している。位置決め溝31cには、隣接する分割コア31の位置決め突起31dが嵌め込まれる。注入溝31eは、円弧部31aの外周面に形成され、ステータコア21とハウジング23との間のすき間と連通しており、注入溝31e内に伝熱体hが注入され、ステータコア21とハウジング23との間のすき間へ注入される。貫通孔31fは、円弧部31aの中心部分に形成され、ボルト27が通される。
伝熱体hは、液体状の熱媒体で構成されており、低い流動性を有し凝固する特性を有する。伝熱体hは、注入溝31eから注入された後、完全には凝固せずに、ある程度弾性を有する状態で固まり、注入溝31eおよびステータコア21とハウジング23との間のすき間に保持される。伝熱体hは、固まった後、ステータコア21で発生する熱をハウジング23に熱伝達する冷媒として機能する。伝熱体hは、具体的には、耐熱放熱グリスなどのグリスや液状のシリコーンで構成される。
12個の各分割コア31のコイル巻線42は、U相コイル、V相コイル及びW相コイルの三相コイルを構成しており、三相の交流電力の供給により三相コイルに磁界が形成される。
コア本体41は、図6に示すように、電磁鋼板などの磁性材料からなる一定の厚みのコア積層板45が積層され連結固定されて一体化された積層コアで形成されている。なお、このコア本体41は、圧粉磁性体によって形成されてもよい。
各コア積層板45は、円弧部45aと、突出部45bと、位置決め溝45cと、位置決め突起45dと、注入溝45eと、貫通孔45fとを有している。
各コア積層板45の、円弧部45a、突出部45b、位置決め溝45c、位置決め突起45d、注入溝45eおよび貫通孔45fは、複数個が積層されることで分割コア31の円弧部31a、突出部31b、位置決め溝31c、位置決め突起31d、注入溝31e、貫通孔31fをそれぞれ構成している。
コア本体41は、ハウジング23が有する熱膨張係数と異なった熱膨張係数を有する材料で形成されてもよく、ハウジング23が有する熱膨張係数と同じ熱膨張係数を有する材料で形成されてもよい。コア本体41は、回転電機10の温度が上昇した際に、ハウジング23に収容されるコア本体41の外周面とハウジング23の内周面との間のすき間が大きくなるよう、コア本体41の熱膨張係数はハウジング23の熱膨張係数よりも小さな値になる材料が好ましい。
コア本体41には、コア本体41を覆うよう形成された絶縁部材がコア本体41に嵌め込まれることにより絶縁性が高められている。または、コア本体41が、絶縁性樹脂のアウトサート成形により形成された絶縁部材で覆われることで絶縁性が高められている。
ロータ22は、図2に示すように、ステータコア21の内周側に配置されており、動力を出力するシャフト22aと、シャフト22aに固定されシャフト22aとともに回転する回転子22bとを有している。ロータ22は、さらに、本体11のハウジング23に収容される本体側ベアリング22cと、カバー12に収容されるカバー側ベアリング22dとにより、シャフト22aを回転自在に支持している。
ロータ22の外周面と、ステータコア21の内周面との間のすき間は、ロータ22がステータコア21内で抵抗なく滑らかに回転しうる程度のすき間であり、かつ中心線CLで表される回転軸を中心とする円周方向に均一になるようロータ22およびステータコア21が形成されている。
回転子22bには、図示しない複数の永久磁石が埋め込まれており、ステータコア21の三相コイルによって励起される磁界に回転子22b内の永久磁石が引かれることにより、回転子22bが回転駆動される。
他方、回転子22bの回転に伴って、回転子22bに設けられた永久磁石が回転軸を中心に回転すると、磁界が形成され、この磁界によりステータコア21の三相コイルに誘導電流が流れる。この誘導電流により、三相コイルの両端に電力が発生し、回転電機10は、発電機としても機能するようになっている。
この回転電機10は、回転子22bに永久磁石が埋め込まれている永久磁石同期電動機(Interior Permanent Magnet)からなり、例えば、可変電圧可変周波数制御(VVVF)インバータにより制御されるようになっている。なお、回転電機10は、永久磁石同期電動機以外の構成でもよい。すなわち、回転子22bが、永久磁石以外の構造、例えば、電磁石で構成されていてもよく、鉄心のみで構成されていてもよい。
ハウジング23は、図2、図3、図4に示すように、装着部51と、ベアリング収容部52と、コア収容部53と、接続部54と、カバー固定部55とを有しており、これらの各部は一体的に形成されている。
このハウジング23は、前述したように、分割コア31のコア本体41が有する熱膨張係数と異なった熱膨張係数を有する材料で形成されている。具体的には、回転電機10の温度が上昇した際に、ハウジング23に収容される分割コア31のコア本体41の外周面とハウジング23の内周面とのすき間が大きくなるよう、ハウジング23の熱膨張係数はコア本体41の熱膨張係数よりも大きな値になる材料が選択される。
装着部51は、図2に示すように、平坦に形成され、装着孔51a、51b、51c、51dを有しており、装着孔51a、51b、51c、51dには、図示しない装着ボルトが挿入され回転電機10が被装着部に装着されるようになっている。
ベアリング収容部52には、装着部51から内部に向かって突出部52aが形成されるとともに、突出部52aには本体側ベアリング22cを収容する凹部52bが形成されている。また、ベアリング収容部52には、凹部52bを貫通する貫通孔52cが形成されており、貫通孔52cにロータ22のシャフト22aが通されるようになっている。
コア収容部53は、ベアリング収容部52の突出部52aの突出方向と同方向に突出する円筒状に形成されており、円環状のステータコア21を環状に収容するよう、コア収容部53の横断面における内周面が、ステータコア21を収容した際のステータコア21の軸心と同一の軸心を中心とする円からなる断面形状を有する。コア収容部53のステータコア21を収容する内壁は、図7に示すように、ステータコア21の各分割コア31と接触する接触内壁53tと、ステータコア21の各分割コア31と接触しない非接触内壁53sとを有している。
本実施形態では、接触内壁53tおよび非接触内壁53sは、コア収容部53の前述の軸心を中心とした円周方向に連続する構造で形成されるが、他の実施形態では、前述の軸心を中心とした円周方向に部分的に形成される不連続な構造であってもよい。この場合、接触内壁53tによって、ステータコア21の各分割コア31を固定できればよく、例えば、略90°の間隔をおいて配置される4つの接触内壁53tを断続的に配置したり、略120°の間隔をおいて配置される3つの接触内壁53tを断続的に配置したりされる。
なお、不連続な構造であっても、非接触内壁53sの領域にある各分割コア31とコア収容部53との間のすき間は、分割コア31の注入溝31eと連通して形成されるので、注入溝31eから注入された伝熱体hは、各分割コア31とコア収容部53との間のすき間に注入される。
また、各分割コア31のコア本体41に対向するコア収容部53の内壁の軸線方向の長さをLとし、接触内壁53tの軸線方向の長さをLとし、非接触内壁53sの軸線方向の長さをLとすると、L=L+Lとなっており、長さLは、L<L×(1/2)、すなわち長さLは、長さLの半分を超えない範囲の任意の寸法、例えば、L×(1/2)からL×(1/5)の範囲内の寸法で形成される。
接触内壁53tにおいては、ステータコア21の外周面と、円筒の内周壁面との間に、例えば、JIS規格に基づく基準穴がH6、軸の交差がjs5やk5cからなる中間ばめ程度のすき間と同等のすき間が生ずるように、円筒の内周の直径が形成されている。
非接触内壁53sにおいては、ステータコア21の外周面と、円筒の内周壁面との間に、例えば、JIS規格に基づく基準穴がH9、軸の交差がc9からなるすき間ばめ程度のすき間と同等のすき間、またはこのすき間よりも僅かに大きなすき間が生ずるように、円筒の内周の直径が形成されている。この非接触内壁53sにおけるすき間に伝熱体hが注入される。
また、コア収容部53の下部には、各分割コア31に対応する位置にねじ穴53aが形成されており、ねじ穴53aにはボルト27がねじ結合するようになっている。
接続部54は、図2、図3、図4に示すように、コア収容部53から径方向外方に部分的に突出して形成された突出部54aと、引き出し線26の接続部分を収容するよう凹んで形成された凹部54bを有している。
ここで、径方向とは、分割コア31とハウジング23の径方向を示し、前述の12個の分割コア31で形成される円環の中心軸を中心とする半径方向を示す。
カバー固定部55は、コア収容部53から径方向外方に突出して形成されるとともに、複数のねじ穴55aが形成されており、ねじ穴55aにはボルト13がねじ結合し、カバー12が本体11に固定されるようになっている。
インシュレータ25は、プラスチックや陶磁器などの高い絶縁性を有する材料で円筒状に形成され、側壁には複数の貫通孔やスリットが形成されている。
このインシュレータ25は、ステータコア21の上側に配置され、ステータコア21を構成する分割コア31のコア本体41と、コア本体41に巻きつけられたコイル巻線42との間の絶縁をより確実にする機能を有しており、コイル巻線42を取り回した際にコイル巻線42の取り回し線がインシュレータ25内に確実に収まるよう、ストラップなどの保持部材で側壁の貫通孔やスリットに保持し得る機能も有している。
引き出し線26は、図2、図3、図4、図8に示すように、分割コア31のコア本体41に巻きつけられたコイル巻線42の各両端を、U相コイル、V相コイル、W相コイル及び中性点ごとに取りまとめたもので、先端に端子が設けられたU相引き出し線26a、V相引き出し線26b、W相引き出し線26cおよび中性点引き出し線26dからなる。
図8に示すように、U相引き出し線26a、V相引き出し線26b、W相引き出し線26cおよび中性点引き出し線26dは、順に配置されているが、この配置の順は任意の順であってもよい。これらのU相引き出し線26a、V相引き出し線26b、W相引き出し線26cおよび中性点引き出し線26dは、図示しないモータコントローラに電気的に接続されている。
このモータコントローラは、例えば、可変電圧可変周波数制御インバータを含んで構成されており、図示しない制御装置から送られる回転電機10が出力すべきトルク指令値に基づいて、トルクを出力するためのモータ制御電流を生成し、そのモータ制御電流を、引き出し線26を介して分割コア31のコイル巻線42に供給する。
カバー12は、図1、図2に示すように、カバー12を本体11のハウジング23に固定する固定部71と、ロータ22のカバー側ベアリング22dを収容するベアリング収容部72と、ベアリング収容部72の開口を閉塞する閉塞部73とを有しており、固定部71とベアリング収容部72とが一体的に形成されている。
固定部71には、貫通孔71aが形成されており、ボルト13が通されるようになっている。ベアリング収容部72には、内部に向かって突出部72aが形成されるとともに、突出部72aにはカバー側ベアリング22dを収容する凹部72bが形成されている。
また、ベアリング収容部72には、凹部72bを貫通する貫通孔72cが形成されており、貫通孔72cにロータ22のシャフト22aが通されるようになっている。
閉塞部73は、ベアリング収容部72の貫通孔72cを閉塞する蓋73aを有し、蓋73aは、ベアリング収容部72の突出部72aの反対側を閉塞している。
次に本実施形態の回転電機10のステータコア21をハウジング23に組み込む方法について簡単に説明する。
まず、図2、図8に示すステータコア21が用意される。
ステータコア21は、次のように形成される。一定の厚みのコア積層板45が積層され連結固定されて一体化され、積層コアでコア本体41が形成される。
次いで、コア本体41に、コア本体41を覆うよう形成した絶縁部材が嵌め込まれる。
そして、コア本体41の突出部31bに配線が巻きつけられてコイル巻線42が形成され、分割コア31が形成される。同様にして、絶縁部材が嵌め込まれたコア本体41にコイル巻線42が形成されて分割コア31が12個用意される。続いて、用意された12個の分割コア31が円環状に配置され、接触部分が互いに接着され、円環状のステータコア21が形成される。
次いで、ステータコア21を構成する各分割コア31の貫通孔31fにそれぞれボルト27が通されて、ボルト27と、各分割コア31に対応する位置に形成されたハウジング23のねじ穴53aとがねじ結合し、ステータコア21がハウジング23に固定される。
そして、ステータコア21の巻線から引き出された引き出し線26のU相引き出し線26a、V相引き出し線26b、W相引き出し線26cおよび中性点引き出し線26dがハウジング23の図2、図3、図4に示す接続部54にセットされる。接続部54に各引き出し線がセットされる。
次いで、図5に示す各分割コア31の注入溝31eへ伝熱体hが注入される。具体的には、伝熱体hが、液体を定量的に注入するディスペンサに充填され、ディスペンサのノズルなどの注入部に形成された注入口が、注入溝31eに当てられる。そして、ディスペンサにより、所定量の伝熱体hが注入溝31eへ注入される。
所定量の伝熱体hが注入されると、次の注入溝31eへ所定量の伝熱体hが注入され、すべての注入溝31eへ伝熱体hが注入されるまで、順次、所定量の伝熱体hが注入溝31eへ注入される。
伝熱体hの注入終了により、ステータコア21のハウジング23への組み込みが終了する。
以下に、本実施形態の回転電機10の効果について説明する。
本実施形態の回転電機10は、円環状に配置される12個の分割コア31と、円筒状のコア収容部53が形成されたハウジング23とを有し、各分割コア31の外周面とハウジング23の非接触内壁53sとの間のすき間へ伝熱体hを注入するための注入溝31eが分割コア31の外周面に形成される。
これにより、円環状に配置される12個の分割コア31の外周面とハウジング23の非接触内壁53sとの間のすき間へ注入溝31eから伝熱体hが注入され、分割コア31とハウジング23との間のすき間が伝熱体hで充填される。充填された伝熱体hは、冷媒として機能し、分割コア31で発生する熱は、伝熱体hを媒体としてハウジング23に効率よく伝熱される。
分割コア31の注入溝31eは、伝熱体hが分割コア31とハウジング23との間のすき間へ注入されるよう、このすき間と連通しており、注入溝31eへ注入された伝熱体hは、注入溝31eおよびこのすき間の全体に充填される。これにより、分割コア31で発生する熱は、伝熱体hを媒体としてハウジング23に、より効率よく伝熱される。
また、伝熱体hは、耐熱放熱グリスなどのグリスや液状のシリコーンからなる熱媒体で構成されており、低い流動性を有し凝固する特性を有する。これにより、伝熱体hは、注入溝31eから注入された後、完全には凝固せずに、ある程度弾性を有する状態で固まり、すき間内で偏ることなく、注入溝31eおよびステータコア21とハウジング23との間のすき間の全体に保持される。その結果、分割コア31で発生する熱は、伝熱体hを媒体としてハウジング23に効率よく伝熱される。
また、本実施形態の回転電機10は、12個の分割コア31と、各分割コア31を収容するコア収容部53が形成され、分割コア31と異なる熱膨張係数を有するハウジング23とを備え、コア収容部53が、複数の分割コア31と接触する接触内壁53tと、複数の分割コア31と接触しない非接触内壁53sとを有する。
本実施形態に係る回転電機10によれば、12個の分割コア31が、中間ばめのはめあい交差と同等に形成された接触内壁53tとすき間ばめのはめあい交差と同等に形成された非接触内壁53sとを有するコア収容部53に収容されるので、12個の分割コア31からなるステータコア21とコア収容部53との軸偏心が緩和される。すなわち、非接触内壁が形成されておらず、分割コアとコア収容部とのはめあいが、中間ばめを含む圧入やしまりばめを含む焼嵌めによって行われる構造と比較して、本実施形態に係る回転電機10は、接触内壁53tの寸法が、非接触内壁53sと接触内壁53tとの合計の寸法の1/2未満となっているので、軸偏心ができ難くなり、軸偏心が緩和される。
なお、はめあいの寸法公差については、前述のようにJIS規格で規定されているが、JIS規格では、すき間ばめ、中間ばめ、しまりばめが規定されており、本実施形態においても、JIS規格と同様のはめあいを用いる。本実施形態においては、すき間ばめは、高温時においてもすき間が確保されるものや、ガタがなく精密な運動が要求されるすき間のものまですき間が形成されるはめあいをいう。しまりばめは、圧入や焼嵌めが含まれ、例えばしまりばめをした部品を損傷しないで分解することが困難なはめあいをいう。中間ばめは、すき間ばめとしまりばめの中間のはめあいをいい、押し込みや軽い圧入が含まれ、部品を損傷しないで分解および組立てできるはめあいをいう。
また、本実施形態に係る回転電機10によれば、接触内壁53tがコア収容部53に部分的に形成されているので、ステータコア21をコア収容部53に嵌め込む際に、双方の軸心を一致させる位置決めが容易となる。すなわち、ステータコア21をコア収容部53に嵌め込む際に、コア収容部53の開口側の非接触内壁53sがすき間ばめのはめあい交差と同等に形成されているので、ステータコア21を簡単にコア収容部53に挿入することができ、さらに中間ばめのはめあい交差と同等に形成された接触内壁53tにステータコア21を押し込むだけで、容易にステータコア21をコア収容部53に嵌め込むことができる。
なお、ステータコア21は、コア収容部53の接触内壁53tに対して圧入や焼嵌めによって嵌め込まれる。
また、本実施形態に係る回転電機10によれば、回転電機10の温度上昇に伴って、接触内壁53tにおける分割コア31とコア収容部53の内壁との接触圧が低下するようハウジング23の熱膨張係数が分割コア31の熱膨張係数よりも大きくなるよう設定されている。これにより、回転電機10の温度上昇に伴って接触内壁53tにおける圧縮応力を低減することができる。その結果、ハウジング23におけるコア収容部53の内部のロータ22の回転振動やステータコア21の振動がハウジング23に伝達されることが抑制され振動や騒音の発生を抑制できるとともに、分割コア31の歪みの発生を抑制でき、鉄損の増加を抑制できる。
なお、本実施形態に係る回転電機10においては、コア収容部53を、ステータコア21の各分割コア31と接触する接触内壁53tと、ステータコア21の各分割コア31と接触しない非接触内壁53sとを有する構造で構成した場合について説明した。
しかしながら、本発明の回転電機は、実施形態に係る回転電機10と異なる構造で構成してもよい。例えば、図9に示すように、コア収容部53を、各分割コア31のコア本体41に対向するコア収容部53の内壁の軸線方向の長さLの全範囲について、ステータコア21の各分割コア31と接触しない非接触内壁53sで構成してもよい。
この場合、注入溝31eから注入された伝熱体hは、注入溝31eおよび長さLの全範囲のすき間の全体に充填される。これにより、分割コア31で発生する熱は、伝熱体hを媒体としてハウジング23に効率よく伝熱される。
なお、本実施形態に係る回転電機10においては、分割コア31の注入溝31eを円弧部31aの外周面に形成した場合について説明した。
しかしながら、本発明の回転電機における注入溝は、実施形態に係る回転電機10と異なる構造で構成してもよい。例えば、図10に示すように、分割コア31に注入溝31eを設けずに溝のない円弧部31hとし、ハウジング23のコア収容部53の内壁に、分割コア31の注入溝31eと同様の注入溝53mを形成してもよい。
この場合、実施形態に係る回転電機10と同様、注入溝53mから注入された伝熱体hは、注入溝53mおよび分割コア31とステータコア21との間のすき間の全体に充填される。これにより、分割コア31で発生する熱は、伝熱体hを媒体としてハウジング23に効率よく伝熱される。
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
10 回転電機
21 ステータコア(円環状に配置される複数の分割コア)
23 ハウジング
31 分割コア
31e 注入溝
53 コア収容部
53s 非接触内壁(ハウジングの内周面)
h 伝熱体

Claims (3)

  1. 円環状に配置される複数の分割コアと、
    前記複数の分割コアを収容する円筒状のハウジングとを有する回転電機であって、
    前記分割コアは、前記分割コアの外周面と前記ハウジングの内周面との間にすき間を有するように前記ハウジングに収容され、前記外周面に前記すき間へ伝熱体を注入するための注入溝を有することを特徴とする回転電機。
  2. 前記ハウジングは、前記注入溝を有する前記複数の分割コアが環状に収容されるコア収容部を有することを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記注入溝は、凝固する特性を有する前記伝熱体が前記すき間へ注入されるよう前記すき間と連通することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機。
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