JP2016109937A - 液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】配向膜を形成する工程を削減でき、フレキシブル化や、大画面化の容易な液晶表示素子を提供する。【解決手段】少なくとも一つの基板30と、基板に配置され、液晶組成物を芯成分とする鞘芯型の複合繊維である液晶内包複合繊維10を一軸配列させて形成した複合繊維集合体20と、基板に配置され、外部からの信号に基づき複合繊維集合体に電界を印加する電極と、を備える液晶表示素子100であって、液晶内包複合繊維の外殻をなす鞘成分が鞘成分形成材料を含み、鞘成分形成材料と液晶組成物とが実質的に分離している。【選択図】図2

Description

本発明は、液晶組成物が内包された鞘芯型の複合繊維、及び該複合繊維が一軸配列した複合繊維集合体を有する液晶表示素子に関する。
液晶表示素子は、薄型、軽量、低消費電力、低電力駆動などの利点を有しているため、腕時計、電卓、携帯電話、パソコン、テレビなどの表示媒体として、幅広く用いられている。
一般的な液晶表示素子では、液晶分子の配向を制御する手段が必要であり、配向膜を形成する手段が一般的に使用されている。例えば、ラビング処理を施した配向膜によって、基板に対して平行方向に液晶分子を配向制御する方法や、アルキル基やフッ素含有基などの疎水構造を配向膜に導入することによって、基板に対して垂直方向に液晶分子を配向制御する方法などが使用されている。
液晶表示素子には様々な種類のものがあるが、広視野角を達成し得る素子として、液晶分子を基板面に平行なままスイッチングするIPS(In-Plane Switching)方式の素子や、FFS(Fringe Field Switching)方式が知られている(特許文献1および2参照)。また、高速応答を達成し得る素子として、特にコレステリック液晶で見られるフレクソエレクトリック効果を利用したULH(Uniform Lying Helix)方式の素子が知られている(特許文献3、4参照)。
特許第2940354号公報 特開2002−82357号公報 特開2004−133464号公報 特表2009−540023号公報
近年、プラスチックフィルムなどを基板として使用するフレキシブル液晶表示素子が注目されている。このようなフレキシブル液晶表示素子は、従来のガラス基板を用いた液晶表示素子に比べて薄く、軽量であり、丸めて収納できて持ち運びに便利な表示素子として利用できる。しかしながら、配向膜を形成する際に高温プロセスを必要とするため、耐熱性の低いフレキシブル基板自体の使用が制限されるという問題がある。そのため、配向膜を形成することなく液晶分子の配向を制御する方法が求められている。
また、フレキシブル液晶表示素子を曲げた際、光が透過する液晶部分の厚みが変化するため、曲げの前後で明暗や色味が変化してしまう。そのような課題を解決する素子が求められている。
また、ULH方式の液晶表示素子の製造にあたっては、コレステリック相の螺旋軸を基板と平行に、かつ特定の方向に配置する必要があるが、らせん軸を一定方向に揃えることが難しく、十分な解決策が得られていない。このため、ULH方式の液晶表示素子の大型化(大画面化)は事実上困難となっており、大型化を達成し得る技術が求められている。
本発明は、製造をさらに容易にするとともに、大型化をも達成し得る液晶表示素子、さらにはフレキシブル液晶表示素子を提供する。
本発明は、以下の構成を有する。
[1] 少なくとも一つの基板と、前記基板に配置され、液晶組成物を芯成分とする鞘芯型の複合繊維である液晶内包複合繊維を一軸配列させて形成した複合繊維集合体と、前記基板に配置され、外部からの信号に基づき前記複合繊維集合体に電界を印加する電極と、を備える液晶表示素子であって、前記液晶内包複合繊維の外殻をなす鞘成分が鞘成分形成材料を含み、前記鞘成分形成材料と前記液晶組成物とが実質的に分離している、液晶表示素子。
[2] 前記液晶内包複合繊維は、前記鞘成分形成材料と前記液晶組成物が異なるノズルから吐出されることにより形成される、前記[1]に記載の液晶表示素子。
[3] 前記液晶組成物を駆動するために印加する電圧は、50V以下である、前記[1]に記載の液晶表示素子。
[4] 前記複合繊維集合体は、前記液晶内包複合繊維間に充填されたバインダを含む、前記[1]に記載の液晶表示素子。
[5] 前記液晶組成物がハロゲン系液晶化合物を含む、前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
[6] 前記液晶組成物がネマチック相または螺旋ピッチが10μmより長いキラルネマチック相を示す、前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
[7] 前記電極が、前記複合繊維集合体に対し、前記基板に実質的に平行な方向に電界を印加可能な横電界駆動用電極である、前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
[8] 前記液晶組成物の誘電率異方性値が+2以上または−2以下である、前記[5]〜[7]のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
[9] 前記液晶組成物がコレステリック相を示し、前記電極が、前記複合繊維集合体に対し、前記基板に実質的に垂直な方向に電界を印加可能な縦電界駆動用電極である、前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
[10] 前記コレステリック相の螺旋軸が繊維軸と実質的に平行である、前記[9]に記載の液晶表示素子。
[11] 前記液晶組成物が、式(1)で表される少なくとも一つの液晶化合物を含有する、前記[5]に記載の液晶表示素子。
式(1)において、Rは、炭素数1から12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、又は炭素数2〜12のアルケニルであり;環Aは、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;Zは、単結合、エチレン、カルボニルオキシ又はジフルオロメチレンオキシであり;X及びXはそれぞれ独立して、水素又はフッ素であり;Yは、フッ素、塩素、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルコキシ、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数2から12のアルケニルオキシであり;aは、1、2、3又は4である。なお、aが2以上の場合、複数ある環A、Zはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
[12] 前記液晶組成物が、式(3)で表される少なくとも一つの液晶化合物を含有する、前記[5]に記載の液晶表示素子。
式(3)において、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、炭素数2〜12のアルケニルオキシ、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキルであり;環D及び環Fはそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素又は塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;環Eは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、又は7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルであり;Z及びZはそれぞれ独立して、単結合、エチレン、カルボニルオキシ又はメチレンオキシであり;cは、1、2、又は3であり、dは、0又は1であり;cとdとの和は3以下である。なお、cが2以上の場合、複数ある環D、Zはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
[13] 前記液晶組成物が、さらに、式(2)の化合物を含有する、前記[11]または[12]に記載の液晶表示素子。
式(2)において、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキル、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルであり;環B及び環Cはそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、又は2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは、単結合、エチレン又はカルボニルオキシであり;bは、1、2、又は3である。なお、bが2以上の場合、複数ある環B、Zはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
[14] 前記液晶組成物が、式(6)で表される少なくとも一つの化合物を含有する、前記[10]に記載の液晶表示素子。
式(6)中、Rは、それぞれ独立して、シアン(CN)、フッ素、塩素又は基中の任意の−CH−が酸素、硫黄、−COO−、又は−OCO−で置き換えられていてもよい炭素数1〜10のアルキルであり、ただし、酸素が隣接することはなく、当該アルキルは、基の任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい。MGはそれぞれ独立して、メソゲンを表し、Spは炭素数5〜40のアルキレンであり、Xは、それぞれ独立して、−CO−O−、−O−CO−、−CH−O−、−O−CH−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−C≡C−、−CH(CH)−N=CH−又は単結合である。式(6)中、R、MG、Xは、同じでも異なっていてもよい。
本発明の複合繊維により、液晶表示素子の形成に配向膜が必要ないため、複雑なプロセスを経ることなく、生産性に優れる液晶表示素子を得ることが可能となる。さらに、配向膜形成プロセスにおける高温処理を必要としないため、プラスチック基板などを用いたフレキシブル液晶表示素子を得ることが可能となる。また、コレステリック液晶のらせん軸を一定方向に揃えることが容易となり、ULH方式の液晶表示素子の大型化(大画面化)を可能とする。
図1は、液晶内包複合繊維の斜視図である。 図2は、複合繊維集合体及び液晶表示素子の斜視図である。 図3は、2重管ノズルを用いた複合繊維製造装置の概略図である。 図4は、正の誘電率異方性を有する液晶組成物を使用した場合の、IPS型の液晶表示素子の動作を示す図であり、(a)、(b)は液晶表示素子の液晶(液晶分子)の動作を示す断面図であり、(c)、(d)は、液晶表示素子を上から見た平面図である。 図5は、ULH型の液晶表示素子における液晶内包複合繊維および複合繊維集合体の概念図を示す図であり、(a)は液晶内包複合繊維の平面図であり、(b)は複合繊維集合体の平面図である。 図6は、実施例1で得られた複合繊維の偏光顕微鏡写真である。 図7は、実施例1で得られた複合繊維の走査型電子顕微鏡写真である。 図8は、実施例2で得られた複合繊維の走査型電子顕微鏡写真である。 図9は、櫛型の電極が配置された液晶表示素子用の基板の平面図である。 図10は、液晶表示素子基板に矩形波を印加、除去した際の明暗のスイッチングを確認した走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の液晶表示素子の複数の実施形態を図示しながら詳細に説明するが、本発明の液晶表示素子の具体的な構成は、ここに図示するものに限定されない。
本発明の液晶表示素子は、一般的に使用される少なくとも一つの基板と、基板に配置され、液晶内包複合繊維を一軸配列させて形成した複合繊維集合体と、を備えている。
図1は、本発明で使用される液晶内包複合繊維10(以下、「複合繊維10」と言うこともある。)の斜視図である。液晶内包複合繊維10は液晶組成物を芯成分とする鞘芯型の複合繊維である。詳細には、液晶内包複合繊維10は、芯成分2を構成する液晶組成物2aと、芯成分2の外周に存在し、液晶内包複合繊維10の外殻である鞘成分4を構成する鞘成分形成材料4aとを含む。なお、液晶組成物2aは液晶分子配列を模式的に表しているが、図1のように液晶分子の長軸が繊維と平行であっても、液晶分子の長軸が繊維方向と直交していてもよい。
図2は、複合繊維集合体20及び液晶表示素子100の斜視図である。液晶表示素子100は、少なくとも一つの基板30と、基板30に配置され、液晶内包複合繊維10を一軸配列させて形成した複合繊維集合体20とを含む。複合繊維10を基板30上に複数配置し、複合繊維集合体20を形成することができる。この場合、バインダ40を充填することが好ましい。このようにして形成することにより、液晶表示素子100として使用できる。なお、鞘部分は電圧印加によってスイッチングしないため、図2のように、複合繊維10が複数の層を形成しているほうが、電圧印加によってスイッチングする面積が広くなるため好ましい。もちろん、複合繊維10が単層であっても、電圧印加によるスイッチングは可能である。すなわち、従来の様に配向膜を形成せずに、液晶層を基板上に形成することが可能となり、液晶表示素子の製造コストを大幅に抑制することが可能となる。また、基板30はガラス基板によっても作成可能であるが、曲げが可能な樹脂基板などにより作成することにより、液晶表示素子100を曲げが可能なフレキシブル液晶表示素子として構成することが可能である。さらに液晶表示素子100は、基板30に配置され、外部からの信号に基づき複合繊維集合体20に電界、電圧を印加する図示せぬ電極とを含む。液晶表示素子100には薄膜トランジスタ素子等、さらに他の部材が設けられ得る。
鞘成分4の鞘成分形成材料4aと、芯成分2の液晶組成物2aとは実質的に分離している。「実質的に分離」とは、両成分が境界面においてわずかに混じり合っている可能性があるが、一の成分が他の成分の内部に大量にまたは深く入り込んでいない状態を意味する。このような構成の下、芯成分2を構成する液晶組成物2aが、鞘成分4に妨げられずに円滑に動くことが可能となり、液晶表示素子100の表示特性が向上する。例えば、駆動電圧の低下を挙げることができる。
液晶内包複合繊維10は、鞘成分形成材料4aと液晶組成物2aが異なる吐出装置、すなわち異なるノズルから吐出されることにより形成される。すなわち、本実施形態の液晶内包複合繊維10においては、鞘成分形成材料4aと液晶組成物2aが一旦混ぜられた後に、鞘成分4と芯成分2に分離するのではない。最初から鞘成分形成材料4aと液晶組成物2aの各々が、個別に鞘成分4と芯成分2になるため、鞘成分形成材料4aと液晶組成物2aとは実質的に分離している状態が確保される。液晶内包複合繊維10の製造方法については後に説明する(図3)。
本例では、芯成分2の液晶組成物2aを構成する液晶分子2b(後述)が、鞘成分4に比較的に妨げられず、円滑に動くことが可能である。このため、電極が液晶組成物2aを駆動するために印加する電圧は、50V以下の範囲にすることが可能であり、低い値に抑えることが可能となる。好ましい印加電圧は30V以下、より好ましくは20V以下である。ここで印加電圧とは、十分な電圧印加により透過率が飽和した状態の透過率に対し、90%の透過率を得るために必要な電圧を表す。なお、なお、電圧印加条件は60Hz、矩形波で、電圧の値は実効値である。
さらに複合繊維集合体20において、各液晶内包複合繊維10間にはバインダ40が充填されていることが好ましい。バインダ40は、複合繊維集合体20を液晶内包複合繊維10の積層体の形状にすることにより、取り扱いを容易にするとともに液晶内包複合繊維10を保護する役割を果たす。また、液晶内包複合繊維10間の空隙を減らすことにより、光の散乱を抑制する。さらに、液晶表示素子100がフレキシブル液晶表示素子である場合、曲げた際もバインダ40の作用により複合繊維集合体20の厚みが変化しにくく、曲げの前後での発光色の変化を抑制することが可能である。バインダ40に用いられる材料としては、鞘成分と屈折率が近い材料が好ましく、最も好ましくは、鞘成分と屈折率が同一の材料であるが、特に限定はされない。
また、本発明に用いられる液晶組成物2aは、好ましくは2種類であり、一方は、ネマチック相あるいは、螺旋ピッチが10μmより長いキラルネマチック相で駆動される液晶組成物αであり、他方は、螺旋ピッチが1μmより短いコレステリック相で駆動される液晶組成物βである。まず、液晶組成物αは誘電率異方性値が+2以上あるいは−2以下であり、主に液晶組成物の誘電率異方性によって駆動される。一方、液晶組成物βは主にフレクソエレクトリック効果によって駆動される。液晶組成物α、βについては後に説明する。以下、液晶表示素子100を構成する各部材について個別に説明する。
<複合繊維>
図1は、本発明で使用される液晶内包複合繊維10(以下、「複合繊維10」と言うこともある。)の斜視図である。本発明における液晶内包複合繊維10は、液晶組成物2aを芯成分2とする鞘芯型の複合繊維10である。特に限定されないが、芯成分2において液晶組成物2aは連続的に分布していることが好ましい。ここで、連続的に分布している状態とは、液晶組成物2aが芯成分2の領域全体に亘って途切れることなく配置されていることを指し、液晶組成物2aが芯成分2の領域中で途切れている部分の長さの和が、複合繊維10の全体の長さの1%未満であることをいう。液晶組成物2aが不連続であれば、その部分において、電圧印加によって駆動しない部分が生じてしまうが、途切れることなく連続的に分布していれば、駆動しない部分が発生せず、駆動面積を大きくすることが可能である。
本発明における複合繊維10中の液晶組成物2aにおいてネマチック相を示す液晶組成物αの配向度は、特に限定されないが、0.5〜1.0の範囲であることが好ましく、0.8〜1.0の範囲であることがより好ましい。また、その配向方向は、特に限定されないが、繊維軸に対して、平行又は垂直であることが好ましい。このような配向方向であれば、光漏れが少なく、高コントラストの液晶表示素子100として好適に用いることができる。
液晶組成物2aが螺旋構造を有するコレステリック液晶又はキラルネマチック液晶である場合、その螺旋構造は、螺旋軸が繊維軸と平行であってもよいし、垂直であってもよい。螺旋構造が繊維軸と平行に螺旋軸をとる場合、例えば、ULH方式のような、超高速応答の液晶表示素子として好適に用いることができる。また、繊維軸と垂直に螺旋軸をとる場合、例えば、波長選択反射素子などとして好適に用いることができる。
本発明における複合繊維10の鞘成分4の鞘成分形成材料4aは、特に限定されないが、繊維形成性材料であることが好ましい。繊維形成材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース、セルロース誘導体、キチン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン及びこれらの共重合体などの高分子材料、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、ハイドロキシアパタイトなどの無機材料などを挙げることができる。これらの繊維形成材料は1種類で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。混合して使用する場合の混合率は、特に限定されるものではなく、得られる繊維の物性を鑑みて、適宜設定することができる。鞘成分4の鞘成分形成材料4aが透明性を有する非結晶性高分子であれば、光透過量を高くすることができるため、液晶素子として好適に用いることができるため好ましい。このような非結晶性高分子として、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ゼラチンなどを例示できる。
本発明の鞘成分4の鞘成分形成材料4aは、液晶組成物2aの屈折率と近い屈折率を有する成分であれば、界面での光散乱を小さくすることができるため好ましい。このような鞘成分4の鞘成分形成材料4aとして、ポリビニルピロリドンなどを例示できる。
本発明の複合繊維10の外径(図1のd)は、特に限定されるものではないが、平均外径が5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがさらに好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。平均外径が3μm以下であれば、繊維中の液晶組成物2aの配向度を高めることができ、1μm以下であればさらに配向度を高めることが可能となる。また、繊維中の液晶組成物の漏れを抑制する観点から、平均外径は50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることが好ましい。
複合繊維10の断面形状が楕円形の場合、特に限定されないが、外径の長軸の長さは7μm以下であることが好ましく、短軸の長さは3μm以下であることが好ましい。複合繊維10の断面積としては、特に限定されないが、20平方マイクロメートル以下であることが好ましく、8平方マイクロメートル以下であることがより好ましい。1平方マイクロメートル以下であることが特に好ましい。
本発明の複合繊維10の外径のばらつきは、特に限定されないが、外径の変動係数(CV値)が20%以下であることが好ましく、15%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることが特に好ましい。外径のCV値が20%以下であれば、繊維1本1本の光透過量や光反射量が均一になるため好ましい。ここで、外径のCV値とは、各繊維の外径の標準偏差を、その平均外径で除して百分率で表した値である。
本発明における複合繊維10の内径(すなわち、芯成分の外径であって図1のL)は、特に限定されないが、平均内径が4.0μm以下であることが好ましく、2.5μm以下であることがより好ましく、0.8μm以下であることがさらに好ましい。平均外径が4.0μm以下であれば、繊維中の液晶組成物2aの配向を均一にすることができ、2.5μm以下であればより均一に配向させることができ、0.8μm以下であればさらに均一に配向させることが可能となる。また、駆動面積を確保するという観点から、平均外径は10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。
複合繊維10の内径を測定する方法としては、偏光顕微鏡又は透過型電子顕微鏡により撮影した画像から、内径を測定する方法や、複合繊維10を繊維軸に対して垂直方向に切断し、その断面を走査型電子顕微鏡により撮影した画像から内径を測定する方法などが挙げられる。
本発明における鞘成分4の厚みは、特に限定されないが、0.1〜1.0μmの範囲であることが好ましく、0.2〜0.5μmの範囲であることがより好ましい。鞘成分の厚みが0.1μm以上であれば、内包された液晶組成物2aは繊維外へ漏れにくくなり、0.2μm以上であれば液晶の漏れを十分防ぐことができる。また、鞘成分4の厚みが1.0μm以下であれば、光散乱を低減することができ、0.5μm以下であれば十分光散乱を抑えることが可能である。ここで、鞘成分4の厚みは、複合繊維10の外径dと内径Lの和を、2で除することで求めることができる。
本発明の複合繊維10の断面形状としては、特に限定されないが、円形、楕円形、扁平形、半円形などを挙げることができる。複合繊維10の断面形状は、得られる繊維の物性や液晶成分の配向性を鑑みて、適宜設定することができる。
<複合繊維の製造方法>
本発明の複合繊維10の製造方法は、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、スパンボンド法、メルトブローン法、フラッシュ紡糸法、静電紡糸法、フォーススピニング法などを例示でき、均一かつ極細繊維が得られるという観点から、静電紡糸法が好ましい。以下では静電紡糸法について説明するが、これに限定されるものではない。
静電紡糸法とは、紡糸液を吐出させるとともに、電界を作用させて、吐出された紡糸液を繊維化し、コレクター上に繊維を得る方法である。例えば、紡糸液をノズルから押し出すとともに電界を作用させて紡糸する方法、紡糸液を泡立たせるとともに電界を作用させて紡糸する方法、円筒状電極の表面に紡糸液を導くとともに電界を作用させて紡糸する方法などを挙げることができる。この方法によれば、直径10nm〜10μmの均一な繊維を得ることができる。
本発明における複合繊維10の製造方法は、鞘溶液と液晶材料とを別々に2重管ノズルから吐出させて静電紡糸する方法、ポリマー、液晶材料及び溶媒が混合した紡糸液を静電紡糸するとともに相分離させる方法を挙げることができるが、液晶組成物の駆動しやすさから、鞘溶液と液晶組成物とを別々に2重管ノズルから吐出させて静電紡糸する方法が好ましい。ポリマー、液晶組成物及び溶媒が混合した紡糸液を静電紡糸するとともに相分離させる方法で作製された液晶内包複合繊維は、ポリマー成分が液晶材料と混合した状態を含んでしまうことから、液晶の配向が乱れ、液晶表示素子として良好な特性を得ることができない。
図3は、2重管ノズルを用いた複合繊維製造装置200の概略図である。複合繊維製造装置200は、2重管ノズル210を有し、2重管ノズル210の外側ノズル212が鞘成分形成材料4aである鞘溶液L1を吐出し、内側ノズル214が液晶組成物L2(2a)を吐出する。繊維を捕集するコレクター216が2重管ノズル210の下方に設けられている。また、電源218が、2重管ノズル210とコレクター216の間に電界を作用させ、吐出された紡糸液(鞘溶液L1と液晶組成物L2)を繊維化する。
先述した通り、本装置においては鞘成分形成材料4a(鞘溶液L1)と液晶組成物L2(2a)が、異なるノズル212、214から吐出される。この方法であれば、鞘成分形成材料4aと液晶組成物2aの各々が、個別に鞘成分4と芯成分2になりつつ、液晶内包複合繊維10が形成され、鞘成分形成材料4aと液晶組成物2aとが実質的に分離している状態が確保される。
鞘溶液としては、曳糸性を有するものであれば特に限定されないが、繊維形成材料(鞘成分形成材料4a)を溶媒に溶解させたものや、繊維形成材料を熱やレーザー照射によって溶融させたものなどを用いることができる。本発明で用いる鞘溶液として、繊維形成材料を溶媒に溶解させたものを用いることが、複合繊維10の直径の細さや均一性、液晶組成物2aの連続性や配向性を容易に制御できる点で好ましい。
繊維形成材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース、セルロース誘導体、キチン、キトサン、コラーゲン、及びこれらの共重合体などの高分子材料、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、ハイドロキシアパタイトなどの無機材料などを挙げることができる。これらの繊維形成材料は1種類で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。混合して使用する場合の混合率は、特に限定されるものではなく、得られる繊維の物性を鑑みて、適宜設定することができる。本発明の複合繊維10では、鞘成分4の鞘成分形成材料4aが非結晶性高分子であれば、光学デバイスとして好適に使用可能となるため好ましい。このような非結晶性高分子として、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリスチレンなどを例示できる。
繊維形成材料を溶解させる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、キシレン、ピリジン、蟻酸、酢酸、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロベンゼン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、及びこれらの混合物などを挙げることができる。これらの混合物を使用することにより、液晶組成物2aの連続性や配向性、複合繊維10の直径などを容易に制御することができるため好ましい。混合物の組成としては、特に限定されないが、極性溶媒と非極性溶媒との混合物であることが好ましい。極性溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンなどを例示でき、非極性溶媒として、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロベンゼンなどを例示できる。また、混合比は、特に限定されるものではなく、例えば、2種類の溶媒を混合する場合、重量比で5:95〜95:5の範囲を例示できる。
静電紡糸の安定性や繊維形成性を向上させる目的で、鞘溶液中にさらに添加剤を含有させてもよい。添加剤は、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、臭化テトラブチルアンモニウムなどの陽イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタモンモノラウレートなどの非イオン性界面活性剤、塩化ナトリウムなどの無機塩などを挙げることができる。添加剤の濃度は、繊維形成材料に対して0.1〜5重量%の範囲であることが好ましく、0.2〜2重量%であることがより好ましい。0.1重量%以上であれば、使用に見合う効果が得られ、5重量%以下であれば、液晶駆動に及ぼす影響が小さくなるため好ましい。
本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、上記以外の成分も鞘溶液の成分として含んでもよい。
鞘溶液の調製方法は、特に限定されず、撹拌や超音波処理などの方法を挙げることができる。また、混合の順序も特に限定されず、同時に混合しても、逐次に混合してもよい。撹拌により鞘溶液を調製する場合の撹拌時間は、繊維形成材料が溶媒に均一に溶解していれば特に限定させず、例えば、1〜24時間程度撹拌してもよい。
静電紡糸により繊維を得るためには、鞘溶液の粘度を、10〜5,000mPa・sの範囲に調整することが好ましく、50〜2,000mPa・sの範囲に調整することがより好ましい。粘度が10mPa・s以上であると、繊維を形成するための曳糸性が得られ、5,000mPa・s以下であると、鞘溶液を吐出させるのが容易となる。粘度が50〜2,000mPa・sの範囲であれば、広い紡糸条件範囲で良好な曳糸性が得られるので好ましい。液晶組成物2aと鞘溶液の粘度比(液晶組成物の粘度÷鞘溶液の粘度)は、特に限定されないが、0.02〜2.00の範囲であることが好ましく、0.05〜0.5の範囲であることがより好ましい。粘度比が0.02以上であると、液晶組成物2aと鞘溶液との界面の安定性が優れるため、液晶の連続性や配向性に優れた複合繊維10が得られ易くなるため好ましく、2.00以下であれば、鞘溶液の曳糸性を十分満足できるとともに、液晶組成物2aの粘度を低く抑えることができるため、液晶表示素子100として良好な特性を満たすことが出来る。鞘溶液の粘度は、繊維形成性材料の分子量、濃度や溶媒の種類や混合率を適宜変更することで、調整することができる。
静電紡糸により得られる複合繊維10において、液晶組成物2aの連続性や配向性に優れた繊維を得るためには、鞘溶液の導電率を、0.1〜10.0mS/mの範囲に調整することが好ましく、0.5〜2.0mS/mの範囲に調整することがより好ましい。鞘溶液の導電率が0.1mS/m以上であると、電界によって引き出される速度が速くなるため、液晶組成物2aの連続性や配向性に優れた複合繊維10が得られ易くなるとともに、複合繊維10の直径を細くすることが可能である。溶液の導電率が10.0mS/m以下であれば、紡糸中の電場干渉を低くすることができ、安定的に均一な繊維を得ることが可能である。鞘溶液の導電率は、溶媒の種類や混合率、添加剤の種類や濃度を適宜変更することで、調整することができる。
紡糸液の温度は、常温で紡糸することもできるし、加熱・冷却して紡糸してもよい。紡糸液を吐出させる方法としては、例えば、ポンプを用いてシリンジに充填した紡糸液をノズルから吐出させる方法などが挙げられる。ノズルの内径としては、特に限定されないが、0.1〜1.5mmの範囲であるのが好ましい。また、2重管ノズルを用いる場合、芯側のノズルの内径は、0.1〜0.5mmの範囲であることが好ましく、0.1〜0.3mmであることがより好ましい。鞘側のノズルの内径は、0.2〜1.5mmの範囲であることが好ましく、0.2〜0.8mmの範囲であることがより好ましい。
紡糸液の吐出量としては、特に限定されないが、0.1〜15ml/hrであるのが好ましい。また、鞘溶液と液晶組成物2aを別々に吐出させる場合、鞘溶液の吐出量としては、0.5〜15mL/hrの範囲であることが好ましく、1.0〜8.0mL/hrの範囲であることがより好ましい。液晶組成物2aの吐出量としては、0.1〜3mL/hrの範囲であることが好ましく、0.1〜1.0mL/hrの範囲であることがより好ましい。
また、液晶組成物2aと鞘溶液の吐出量の比(液晶組成物の吐出量÷鞘溶液の吐出量)は、0.01〜1.00の範囲であることが好ましく、0.05〜0.30の範囲であることがより好ましい。液晶組成物2aと鞘溶液の吐出量の比が0.01以上であれば、液晶組成物2aの連続性を高めることができ、0.05以上であれば連続性を十分なものとすることが可能である。また、1.00以下であれば、液晶組成物2aが繊維から漏れにくくなり、0.30以下であれば、十分漏れにくくなるとともに、複合繊維10の外形及び内径を細くすることができるという効果も奏する。
電界を作用させる方法としては、ノズルとコレクターに電界を形成させることができれば特に限定されるものではなく、例えば、ノズルに高電圧を印加させ、コレクターを接地してもよい。印加させる電圧は、繊維が形成されれば特に限定されないが、5〜50kVの範囲であるのが好ましい。また、ノズルとコレクターとの距離は、繊維が形成されれば特に限定されないが、5〜30cmの範囲であるのが好ましい。コレクターは、紡糸された繊維を捕集できるものであればよく、その素材や形状などは特に限定させるものではない。コレクターの素材としては、金属等の導電性材料が好適に用いられる。コレクターの形状としては、特に限定されないが、例えば、平板状、コンベア状、ドラム状、ディスク状、格子状などを挙げることができる。
本発明における複合繊維10の捕集方法としては、特に限定されないが、ドラム状又はディスク状のコレクターを高速回転させる方法、格子状のコレクターを用いる方法が好ましい。このような捕集方法を用いれば、繊維を任意の方向に配列させることが可能となる。ドラム状又はディスク状のコレクターの回転速度としては、特に限定されないが、その周速度としては、50〜2,000m/minの範囲であることが好ましく、100〜1,000m/minの範囲であることがより好ましい。周速度が50m/min以上であれば、複合繊維10を回転方向に沿って配列させることが可能であり、100m/min以上であれば配列が十分なものとなる。また、2,000m/min以下であれば、回転により生じる気流の影響を低減することが可能であり、1,000m/min以下であれば十分低減でき、安定に捕集することが可能となる。格子状コレクターを用いる場合、格子の間隔としては、例えば、10〜200mmの範囲を例示できる。また格子の形状としては、正方形、長方形、ひし形、正三角形、正六角形、波形などを例示することができる。
<複合繊維集合体>
本発明における複合繊維集合体20は、特に限定されないが、液晶を内包した複合繊維10が一軸配列していることが好ましい。複合繊維10が一軸配列している場合には、複合繊維10の有する種々の特性が異方的に発現させることができ、例えば、高コントラストの液晶表示素子として好適に用いることができる。複合繊維10の配列の程度は、繊維配列角度の標準偏差によって評価することができ、繊維配列角度の標準偏差が小さければ、配列度が高いといえる。繊維配列角度の標準偏差が20°以下であることが好ましく、15°以下であることがさらに好ましい。
また、複合繊維10はランダムに配置されていてもよい。ランダムに配置されている場合には、種々の特性を等方的に発現させることが可能である。
複合繊維集合体20の厚みは、特に限定されないが、1〜20μmの範囲であることが好ましく、2〜10μmの範囲であることがさらに好ましい。厚みが1μm以上であれば、液晶素子としての機能を十分に満足することができ、厚みが20μm以下であれば、光透過量を十分に高くするが可能となる。
複合繊維集合体20における複合繊維10が占める面積率は、80%以上であることが好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
複合繊維10を基板30上に複数配置し、バインダ40を充填することにより複合繊維集合体20が形成可能である。すなわち、従来の様に配向膜を形成せずに、液晶層を基板30上に形成することが可能となり、液晶表示素子の製造コストを大幅に抑制することが可能となる。
本発明における複合繊維10は、液晶が繊維内部で連続に分布しているため、ディスプレイ用液晶素子や波長選択反射用液晶素子として好適に用いることができる。
<第1の実施形態>
次に、図4を用いて本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態の液晶表示素子は、広視野角を達成し得る素子として、液晶分子を基板面に実質的に平行なままスイッチングするIPS(In-Plane Switching)方式の素子に関する。
図4(a)、(b)は本実施形態の液晶表示素子100の液晶(液晶分子)の動作を示す断面図を、図4(c)、(d)は、液晶表示素子を上から見た平面図を表す。図4では、図2で示したバインダ40や、薄膜トランジスタ素子等の他の部材の図示は省略されている。電界・電圧無印加時の断面図を図4(a)に、その時の平面図を図4(c)に示す。透明な一対の基板30(30a、30b)があり、基板30bの内側に線状の電極25、26が形成されている。図4(a)、(b)に示すように、一対の基板30(30a、30b)の外側には、一対の偏光板50a、50bが設けられている(図4(c)、(d)では省略)。尚、本実施形態では電極として線状の電極25、26を示したが、電極の形状は特に限定はされず、平面視において、くの字形状(V字形状)やジグザグ形状等、種々の形状をとることができる。また、断面視においても平面のみならず、隆起した形状や凹凸形状であってもよく、特に限定はされない。基板に実質的に平行な電界を印加可能な任意の電極を採用することができる。したがって、たとえば、フリンジフィールドスイッチングモード(Fringe Field Switching Mode)液晶表示装置も適用可能である。
本実施形態の液晶表示素子100の基本構成は、図2に示した例と同様である。そして、電極25および電極26の間で電界(電圧)が印加され、基板30(30a、30b)に実質的に平行な方向(図4(a)、(b)の左右方向)で電界が発生する。この結果、液晶内包複合繊維10内の液晶組成物2aを構成する液晶分子2bが、基板30(30a、30b)に実質的に平行な面内で回転し、スイッチング動作が行われる。
本実施形態において、液晶組成物2aを構成する液晶分子2bは、電界無印加時には電極25、26の長手方向(図4(c)の上下方向)に対して若干の角度、典型的には45°前後をもつように配向されている。次に、電極25および電極26が電界Eを印加すると、液晶組成物2aの誘電率異方性値が正である場合は、図4(b)、(d)に示すように電界方向に液晶分子2bがその向きを変える。液晶組成物2aの誘電率異方性値が負である場合は、電界方向に垂直な方向に液晶分子2bがその向きを変える。電極の形状が任意であるのと同様に、電界無印加時・印加時の液晶分子2bの向きも本実施形態のものには限定されない。電界無印加時と印加時の間で、液晶分子2bの向きが変わり、光透過率を変更することができればよい。
電極25および電極26は、基板30(30a、30b)に実質的に平行な方向(図4(a)、(b)の左右方向)に電界、電圧を印加することが可能であり、いわゆる横電界駆動用電極と呼ばれるものである。このような形式の液晶表示素子100はIPS(In-Plane Switching)型の液晶表示素子と呼ばれ、視野角依存性が小さく、広視野角を達成し得る液晶表示素子である。
二つの偏光板50a、50bを所定角度に配置することで電界印加によって光透過率を変えることが可能となる。尚、図4(a)〜(d)の各々では、便宜のため二列の液晶内包複合繊維10が示されているが、実際はより多くの液晶内包複合繊維10が高さ方向(図4(a)、(b)の上下方向)および面内方向(図4(c)、(d)の左右方向)に配置される。
図4では電極25、26を上下基板30a、30bに分けて形成したが、一方の基板のみに形成してもよい。また、液晶組成物2aの誘電率異方性値Δεは、+2以上(Δε≧+2)または−2以下(Δε≦−2)に設定するのが望ましい。
上記のような実施形態によれば、配向膜は不要であり、耐熱性の低いフレキシブル基板を利用したフレキシブル液晶表示素子も容易に製造することが可能となる。IPS型のフレキシブル液晶表示素子は薄く、軽量であり、丸めて収納できて持ち運びに便利であるとともに、広視野角を確保可能である。また、バインダ40で複合繊維集合体20を固めることにより、曲げても光が透過する液晶部分の厚みの変化が抑制されるため、さらにフレキシブル液晶表示素子が容易に実現されることとなる。
上述したように、本発明に用いられる液晶組成物は、好ましくは2種類であり、一方は、ネマチック相あるいは、螺旋ピッチが10μmより長いキラルネマチック相で駆動される液晶組成物αであり、他方は、螺旋ピッチが1μmより短いコレステリック相で駆動される液晶組成物βである。まず、液晶組成物αは誘電率異方性値が+2以上あるいは−2以下であり、主に液晶組成物の誘電率異方性によって駆動される。誘電率異方性値は、正の液晶においては、好ましくは、+5以上、より好ましくは、+10以上であり、負の液晶においては、好ましくは−3以下、より好ましくは−4以下である。一方、液晶組成物βは主にフレクソエレクトリック効果によって駆動される。
<液晶組成物α>
まずは、本実施形態の液晶表示素子、すなわちIPS型の液晶表示素子に好適に用いられる液晶組成物αについて説明する。液晶組成物αとして、下記の式(1)から式(3)で表される液晶化合物を含み、かつ少なくとも、式(1)または式(3)で表される少なくとも一つのハロゲン系液晶化合物を含む液晶組成物を挙げることができる。
式(1)において、Rは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、又は炭素数2〜12のアルケニルであり;環Aは、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;Zは、単結合、エチレン、カルボニルオキシ又はジフルオロメチレンオキシであり;X及びXはそれぞれ独立して、水素又はフッ素であり;Yは、フッ素、塩素、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルコキシ、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルオキシであり;aは、1、2、3又は4である。なお、aが2以上の場合、複数ある環A、Zはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(2)において、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキル、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルであり;環B及び環Cはそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、又は2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは、単結合、エチレン又はカルボニルオキシであり;bは、1、2、又は3である。なお、bが2以上の場合、複数ある環B、Zはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(3)において、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、炭素数2〜12のアルケニルオキシ、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキルであり;環D及び環Fはそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素又は塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;環Eは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、又は7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルであり;Z及びZはそれぞれ独立して、単結合、エチレン、カルボニルオキシ又はメチレンオキシであり;cは、1、2、又は3であり、dは、0又は1であり;cとdとの和は3以下である。なお、cが2以上の場合、複数ある環D、Zはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(1)で表されるハロゲン系液晶化合物としては、例えば、式(1−1)から式(1−34)で表される化合物を挙げることができる。なお、式(1−1)から式(1−34)において、Rは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、又は炭素数2〜12のアルケニルである。
式(2)で表される液晶化合物としては、例えば、式(2−1)から式(2−13)で表される化合物を挙げることができる。式(2−1)から式(2−13)において、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキル、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルである。
式(3)で表されるハロゲン系液晶化合物としては、例えば、式(3−1)から式(3−19)で表される化合物を挙げることができる。式(3−1)から式(3−19)において、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、炭素数2〜12のアルケニルオキシ、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキルである。
液晶組成物αは上記式(1)で表されるハロゲン系液晶化合物(以下、化合物(1)ともいう。)、上記式(2)で表される液晶化合物(以下、化合物(2)ともいう。)、及び上記式(3)で表されるハロゲン系液晶化合物(以下、化合物(3)ともいう。)から選択された化合物の他に、その他の液晶性化合物、添加物などをさらに含有してもよい。「その他の液晶性化合物」は、化合物(1)、化合物(2)及び化合物(3)とは異なる液晶性化合物である。このような化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。添加物は、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤などである。
次に、成分化合物である化合物(1)〜(3)の主要な特性、及びこの化合物が液晶組成物の特性に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の効果に基づいて下記表にまとめる。表の記号において、Lは大きい又は高い、Mは中程度の、Sは小さい又は低い、を意味する。記号L、M、Sは、成分化合物の間の定性的な比較に基づいた分類であり、0(ゼロ)は、値がほぼゼロであることを意味する。
成分化合物を液晶組成物に混合したとき、成分化合物が液晶組成物の特性に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は誘電率異方性を上げる。化合物(2)は、粘度を下げる、又は上限温度を上げる。化合物(3)は短軸方向における誘電率を上げる。
液晶組成物αにおける成分化合物の好ましい組み合わせは、化合物(1)、化合物(3)、化合物(1)+化合物(2)、化合物(2)+化合物(3)、化合物(1)+化合物(3)、又は化合物(1)+化合物(2)+化合物(3)である。さらに好ましい組み合わせは、化合物(1)+化合物(2)、化合物(2)+化合物(3)である。
化合物(1)の誘電率異方性は正であり、化合物(3)の誘電率異方性は負である。一方、化合物(2)の誘電率異方性はほぼ零であり、誘電率異方性以外の特性を調整するのに用いられる。液晶表示素子を低い電圧で駆動させるためには、誘電率異方性の絶対値を確保することが望まれるため、化合物(1)+化合物(2)または化合物(2)+化合物(3)の組み合わせが望まれる。化合物(1)+化合物(2)の組成物は誘電率異方性が正になり、化合物(2)+化合物(3)の組成物は誘電率異方性が負になる。
液晶化合物α中、化合物(1)の好ましい割合は、誘電率異方性を上げるために約10重量%以上であり、下限温度を下げるために、又は粘度を下げるために約90重量%以下である。さらに好ましい割合は約15重量%から約75重量%の範囲である。特に好ましい割合は約20重量%から約65重量%の範囲である。
液晶化合物α中、化合物(2)の好ましい割合は、上限温度を上げるために、又は粘度を下げるために約10重量%以上であり、誘電率異方性を上げるために約90重量%以下である。さらに好ましい割合は約20重量%から約85重量%の範囲である。特に好ましい割合は約30重量%から約80重量%の範囲である。
液晶化合物α中、化合物(3)の好ましい割合は、誘電率異方性を上げるために約3重量%以上であり、下限温度を下げるために約30重量%以下である。さらに好ましい割合は約3重量%から約25重量%の範囲である。特に好ましい割合は約5重量%から約20重量%の範囲である。
次に、成分化合物の好ましい形態を説明する。
式(1)から式(3)において、R〜R、環A〜環F、Z〜Z、X〜X
及びa〜dは次のとおりである。
は、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、又は炭素数2〜12のアルケニルである。好ましいRは、紫外線又は熱に対する安定性を上げるために、炭素数1〜12のアルキルである。R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキル、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルである。好ましいR及びRは、粘度を下げるために、炭素数2〜12のアルケニルであり、安定性を上げるために炭素数1〜12のアルキルである。R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、炭素数2〜12のアルケニルオキシ、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキルである。好ましいR及びRは、安定性を上げるために炭素数1〜12のアルキルであり、誘電率異方性を上げるために炭素数1〜12のアルコキシである。好ましいハロゲンはフッ素又は塩素であり、さらに好ましいハロゲンはフッ素である。
好ましいアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル又はオクチルである。さらに好ましいアルキルは、粘度を下げるためにエチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘプチルである。
少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルキルの好ましい例は、フルオロメチル、2−フルオルエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシル、7−フルオロヘプチル、又は8−フルオロオクチルである。さらに好ましいアルキルは、しきい値電圧を下げるために2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル又は5−フルオロペンチルである。
好ましいアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ又はヘプチルオキシである。粘度を下げるために、さらに好ましいアルコキシは、メトキシ又はエトキシである。
好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル又は5−ヘキセニルである。さらに好ましいアルケニルは、粘度を下げるためにビニル、1−プロペニル、3−ブテニル又は3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。粘度を下げるためなどから1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。これらのアルケニルにおいては、分岐よりも直鎖のアルケニルが好ましい。
好ましいアルケニルオキシは、ビニルオキシ、アリルオキシ、3−ブテニルオキシ、3−ペンテニルオキシ又は4−ペンテニルオキシである。粘度を下げるために、さらに好ましいアルケニルオキシは、アリルオキシ又は3−ブテニルオキシである。
少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルケニルの好ましい例は、2,2−ジフルオロビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、5,5−ジフルオロ−4−ペンテニル又は6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニルである。さらに好ましい例は、粘度を下げるために2,2−ジフルオロビニル又は4,4−ジフルオロ−3−ブテニルである。
環Aは、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイルである。好ましい環Aは、光学異方性を上げるために1,4−フェニレン又は2−フルオロ−1,4−フェニレンである。環B及び環Cはそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、又は2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。好ましい環B又は環Cは、粘度を下げるために1,4−シクロへキシレンであり、又は光学異方性を上げるために1,4−フェニレンである。環D及び環Fはそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素又は塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイルである。好ましい環D又は環Fは、粘度を下げるために1,4−シクロヘキシレンであり、誘電率異方性を上げるためにテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり、光学異方性を上げるために1,4−フェニレンである。環Eは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、又は7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルである。好ましい環Eは、誘電率異方性を上げるために2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。テトラヒドロピラン−2,5−ジイルは、
は、単結合、エチレン、カルボニルオキシ又はジフルオロメチレンオキシである。好ましいZは、粘度を下げるために単結合であり、誘電率異方性を上げるためにジフルオロメチレンオキシである。Zは、単結合、エチレン又はカルボニルオキシである。好ましいZは、粘度を下げるために単結合である。Z及びZはそれぞれ独立して、単結合、エチレン、カルボニルオキシ又はメチレンオキシである。好ましいZ又はZは、粘度を下げるために単結合であり、誘電率異方性を上げるためにメチレンオキシである。
及びXはそれぞれ独立して、水素又はフッ素である。好ましいX及びXは、誘電率異方性を上げるためにフッ素である。
は、フッ素、塩素、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルコキシ、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルオキシである。好ましいYは、下限温度を下げるためにフッ素である。
少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルキルの好ましい例は、トリフルオロメチルである。少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルコキシの好ましい例は、トリフルオロメトキシである。少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルケニルオキシの好ましい例は、トリフルオロビニルオキシである。
aは、1、2、3又は4である。好ましいaは、下限温度を下げるために2であり、誘電率異方性を上げるために3である。bは、1、2又は3である。好ましいbは、粘度を下げるために1であり、上限温度を上げるために2又は3である。cは、1、2又は3であり、dは、0又は1であり、cとdとの和は3以下である。好ましいcは粘度を下げるために1であり、上限温度を上げるために2又は3である。好ましいdは粘度を下げるために0であり、下限温度を下げるために1である。
なお、式(1)〜(3)において、a〜cが2以上の場合は、複数ある環A、環B、環D、Z〜Zはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
化合物(1)は、誘電率異方性が正に大きな化合物である。好ましい化合物(1)は、上記化合物(1−1)から化合物(1−34)である。これらの化合物において、化合物(1)の少なくとも1つが、化合物(1−4)、化合物(1−12)、化合物(1−14)、化合物(1−15)、化合物(1−17)、化合物(1−18)、化合物(1−23)、化合物(1−27)、化合物(1−28)又は化合物(1−29)であることが好ましい。化合物(1)の少なくとも2つが、化合物(1−12)及び化合物(1−15)、化合物(1−14)及び化合物(1−27)、化合物(1−18)及び化合物(1−24)、化合物(1−18)及び化合物(1−28)、化合物(1−24)及び化合物(1−28)、又は化合物(1−28)及び化合物(1−29)の組み合わせであることが好ましい。
化合物(2)は、誘電率異方性が小さな化合物である。好ましい化合物(2)は、上記化合物(2−1)から化合物(2−13)である。これらの化合物において、化合物(2)の少なくとも1つが、化合物(2−1)、化合物(2−3)、化合物(2−5)、化合物(2−6)又は化合物(2−7)であることが好ましい。化合物(2)の少なくとも2つが、化合物(2−1)及び化合物(2−3)、又は化合物(2−1)及び化合物(2−5)の組み合わせであることが好ましい。
化合物(3)は、誘電率異方性が負に大きな化合物である。好ましい化合物(3)は、上記化合物(3−1)から化合物(3−19)である。これらの化合物において、化合物(3)の少なくとも1つが、化合物(3−1)、化合物(3−3)、化合物(3−4)、化合物(3−6)、化合物(3−8)又は化合物(3−13)であることが好ましい。化合物(3)の少なくとも2つが、化合物(3−1)及び化合物(3−6)、化合物(3−1)及び化合物(3−13)、化合物(3−3)及び化合物(3−6)、化合物(3−3)及び化合物(3−13)、化合物(3−4)及び化合物(3−6)、又は化合物(3−4)及び化合物(3−8)の組み合わせであることが好ましい。
液晶組成物αに添加してもよい添加物は、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤などである。液晶のらせん構造を誘起してねじれ角を与える目的で光学活性化合物が液晶組成物αに添加される。このような化合物の例は、下記に示す化合物(4−1)から化合物(4−5)である。式中、*は不斉炭素を表す。
光学活性化合物の好ましい割合は約5重量%以下である。さらに好ましい割合は約0.01重量%から約2重量%の範囲である。
素子を長時間使用したあと、室温だけではなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を維持するために、酸化防止剤が液晶組成物αに添加される。酸化防止剤の好ましい例は、下記に示す化合物(5)などである。式中、zは1から9の整数である。
化合物(5)において、好ましいzは、1、3、5、7、又は9である。さらに好ましいzは7である。zが7である化合物(5)は、揮発性が小さいので、素子を長時間使用したあと、室温だけではなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を維持するのに有効である。酸化防止剤の好ましい割合は、この効果を得るために約50ppm以上であり、上限温度を下げないように、又は下限温度を上げないように約600ppm以下である。さらに好ましい割合は、約100ppmから約300ppmの範囲である。
紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。立体障害のあるアミンのような光安定剤もまた好ましい。これらの吸収剤や安定剤における好ましい割合は、この効果を得るために約50ppm以上であり、上限温度を下げないように、又は下限温度を上げないために約10000ppm以下である。さらに好ましい割合は約100ppmから約10000ppmの範囲である。
GH(guest host)モードの素子に適合させるために、アゾ系色素、アントラキノン系色素などのような二色性色素(dichroic dye)が液晶組成物αに添加される。色素の好ましい割合は、約0.01重量%から約10重量%の範囲である。泡立ちを防ぐために、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどの消泡剤が組成物に添加される。消泡剤の好ましい割合は、この効果を得るために約1ppm以上であり、表示不良を防ぐために約1000ppm以下である。さらに好ましい割合は、約1ppmから約500ppmの範囲である。
成分化合物である化合物(1)〜(3)は既知の方法によって合成できる。例えば、化合物(1−2)及び化合物(1−8)は、特開平2−233626号公報に記載された方法で合成できる。化合物(2−1)は、特開昭59−176221号公報に記載された方法で合成する。化合物(3−1)及び化合物(3−6)は、特表平2−503441号公報に掲載された方法で合成できる。式(5)のzが1である化合物は、アルドリッチ(Sigma-Aldrich Corporation)から入手できる。zが7である化合物(5)などは、米国特許3660505号明細書に記載された方法によって合成できる。
合成法を記載しなかった化合物は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載された方法によって合成できる。液晶組成物は、このようにして得た化合物から公知の方法によって調製される。例えば、成分化合物を混合し、そして加熱によって互いに溶解させる。
この液晶組成物αは主として、約−10℃以下の下限温度、約70℃以上の上限温度、そして約0.07から約0.20の範囲の光学異方性を有する。この液晶組成物αを含有する素子は大きな電圧保持率を有する。この液晶組成物αはAM(アクティブマトリックス)素子に適する。この液晶組成物αは透過型のAM素子に特に適する。成分化合物の割合を制御することによって、又はその他の液晶性化合物を混合することによって、約0.08から約0.25の範囲の光学異方性を有する組成物、さらには約0.10から約0.30の範囲の光学異方性を有する組成物を調製してもよい。この組成物は、ネマチック相を有する組成物としての使用、光学活性化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用が可能である。
<第2の実施形態>
次に、図5を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の液晶表示素子は、高速応答を達成し得る素子として、特にコレステリック液晶で見られるフレクソエレクトリック効果を利用したULH(Uniform Lying Helix)方式の素子が知られている。
図5(a)に示すように、液晶内包複合繊維10における液晶組成物2aとしては、上述した螺旋ピッチが1μmより短いコレステリック相で駆動される液晶組成物βが好適に用いられ、主にフレクソエレクトリック効果によって駆動される。液晶分子2bがらせん軸AXの周りを旋回するように配置され、電極による電界印加時には、らせん軸が基板面内で傾くことによりスイッチング動作が行われる。
図5(b)に示すように、図示せぬ基板上に複数の液晶内包複合繊維10を平面状、好ましくは高さ方向(紙面の表側と裏側の方向)にも並べることにより、複合繊維集合体20が形成される。従前の配向膜を使用する製造方法では、液晶組成物βのらせん軸を一定の方向に向かせるのは困難であった。本実施形態においては、液晶内包複合繊維10を平面状に並べるため、液晶組成物2aを容易に一方向に並べることが可能となる。よって、ULH方式の液晶表示素子の大型化(大画面化)を達成すること可能となる。
図5(b)で図示せぬ基板および電極は、複合繊維集合体20の上下(紙面の表側と裏側)に形成され、電極は基板に実質的に垂直な方向に電圧を印加可能な縦電界駆動用電極として構成される。
<液晶組成物β>
次いで、液晶組成物βについて説明する。
本願の液晶組成物βの螺旋ピッチは、1μm以下であり、好ましくは500nm未満、より好ましくは、400nm未満、最も好ましくは300nm以下である。
液晶組成物βの螺旋軸は、ファイバーの方向と平行であることが好ましく、この場合、螺旋軸と垂直な方向の電場によって駆動されることが好ましい。
液晶組成物βはキラルな化合物からなる組成物であってもよいが、このましくは、アキラル成分Tとキラル剤からなる。
アキラル成分Tとして好ましくは、2個のメソゲンがスペーサーによって連結され、当該スペーサーは、基中に原子数3以上かつ奇数個の原子を有するビメソゲン性化合物を1種以上含む。
アキラル成分Tは好ましくは、下記式(6)で表されるビメソゲン性化合物を含む。
式(6)中、Rは、それぞれ独立して、シアン(CN)、フッ素、塩素又は基中の任意の−CH−が酸素、硫黄、−COO−、−OCO−で置き換えられていてもよい炭素数1〜10のアルキルであり、ただし、酸素が隣接することはなく、当該アルキルは、基の任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい。
MGはそれぞれ独立して、メソゲンを表し、Spは炭素数5〜40のアルキレンであり、Xは、それぞれ独立して、−CO−O−、−O−CO−、−CH−O−、−O−CH−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−C≡C−、−CH(CH)−N=CH−又は単結合であり、好ましくは単結合である。
式(6)中、R、MG、Xは、同じでも異なっていてもよい。
キラル剤
本発明の液晶組成物βが含有してもよいキラル剤は光学活性化合物である。
本発明の液晶組成物βに用いられるキラル剤としては、ねじり力(Helical Twisting Power,HTP)が大きい化合物が好ましい。ねじり力が大きい化合物は所望のピッチを得るために必要な添加量が少なくできるので、駆動電圧の上昇を抑えられ、実用上有利である。具体的には、化合物(K1)〜(K7)で表される化合物が好ましい。なお、化合物(K4)〜(K7)は、ビナフチル、オクタヒドロナフチルが光学活性部位であり、かつ、キラル剤の掌性は問わない。
(上記式中、Rはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、−C≡N、−N=C=O、−N=C=Sまたは炭素数1〜20のアルキルであり、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられもよく、当該アルキル中の少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
はそれぞれ独立して、芳香族性の6〜8員環、非芳香族性の3〜8員環、または、炭素数9以上の縮合環であり、これらの環の少なくとも1つの水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、環の−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のハロアルキル、芳香族性の6〜8員環、非芳香族性の3〜8員環、または、炭素数9以上の縮合環であり、これらの環の少なくとも1つの水素がハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、当該アルキル中の−CH−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
はそれぞれ独立して、単結合、炭素数1〜8のアルキレンであり、当該アルキレン中の少なくとも1つの−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−または−N=CH−で置き換えられてもよく、当該アルキレン中の少なくとも1つの−CH−CH−は−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、当該アルキレン中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
はそれぞれ独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−CHCH−であり;
mKはそれぞれ独立して、1〜4の整数である。)
これらの化合物の中で、液晶組成物に添加されるキラル剤としては、化合物(K4−1)〜(K4−6)、(K5−1)〜(K5−3)、(K6−1)〜(K6−6)、及び(K7−1)〜(K7−2)が好ましく、化合物(K4−5)、(K5−1)〜(K5−3)、(K6−5)〜(K6−6)、及び(K7−1)〜(K7−2)がさらに好ましい。
(式中、Rは独立して、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシであり、アルキル中またはアルコキシ中の少なくとも1以上の−CH−CH−は、−CH=CH−で置き換えられてもよい。)
液晶組成物に含有されるキラル剤として1つの化合物を用いても、複数の化合物を用いてもよい。
液晶組成物βを所望の螺旋ピッチにするために、本発明の液晶組成物βの全重量に対して、キラル剤を1〜40重量%含有することが好ましく、1〜10重量%含有することがさらに好ましく、2〜8重量%含有することが特に好ましい。
液晶組成物βに添加してもよい添加物としては、上記液晶組成物αの項で述べた添加物を例示することができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。尚、実施例中に示した物性値の測定方法又は定義を以下に示す。
1)複合繊維中のハロゲン系液晶化合物を含む液晶組成物の連続性
株式会社ニコン製の偏光顕微鏡を用い、クロスニコル状態で複合繊維を観察し、ハロゲン系液晶化合物を含む液晶組成物の連続性を確認した。
2)複合繊維中のハロゲン系液晶化合物を含む液晶組成物の配向状態
株式会社ニコン製の偏光顕微鏡を用い、クロスニコル状態で複合繊維を回転させて観察し、複合繊維の光透過量の変化を観察した。
3)複合繊維の平均外径及び外径の標準偏差
走査型電子顕微鏡を用い、複合繊維を倍率500〜5,000倍で観察して得られた画像から、50本の外径を測定し、平均値及び標準偏差を算出した。
(実施例1、2で用いた液晶組成物A)
液晶組成物Aの組成は以下の通りである。
(実施例1)
ポリビニルピロリドン(Mw:1,300,000 Sigma−Aldrich社製)10重量部、エタノール(一級;ナカライテスク株式会社製)36重量部、クロロホルム(一級;ナカライテスク株式会社製)54重量部からなる粘度360mPa・sの鞘溶液を作製した。
次いで、シリンジポンプにより内径0.22mmのノズルに、粘度20mPa・sの液晶組成物Aを0.2mL/hr、内径0.8mmのノズルに鞘溶液を6.0mL/hrで押し出すと共に、ノズルに20kVの電圧を印加し、接地されたコレクターに複合繊維をランダムに捕集した。ニードルとコレクターの距離は23cmとした。得られた複合繊維の偏光顕微鏡写真を図6に示す。
図6から明らかなように、複合繊維中の液晶組成物は連続的に分布していた。また、複合繊維を回転させて観察したところ、光透過量の変化が確認されたことから、複合繊維中の液晶は繊維軸に対して、垂直方向又は平行方向に配向していることが示唆された。
また、複合繊維の走査型電子顕微鏡写真を図7に示す。図7から、得られた複合繊維の平均外径は3.64μm、外径の標準偏差は0.42μmであり、外径のCV値は12%であった。
(実施例2)
ポリビニルピロリドン(Mw:1,300,000 Sigma−Aldrich社製)10重量部、エタノール(一級;ナカライテスク株式会社製)36重量部、クロロホルム(一級;ナカライテスク株式会社製)54重量部、酢酸アンモニウム(ナカライテスク株式会社製)0.1重量部からなる粘度360mPa・sの鞘溶液を作製した。次いで、シリンジポンプにより内径0.22mmのノズルに粘度20mPa・sの液晶組成物Aを0.4mL/hr、内径0.8mmのノズルに鞘溶液を2.0mL/hrで押し出すと共に、ノズルに15kVの電圧を印加し、接地されたコレクターに複合繊維をランダムに捕集した。ニードルとコレクターの距離は20cmとした。得られた複合繊維中の液晶組成物は連続に分布しており、複合繊維を回転させることにより、大きな光透過量の差を確認された。また、複合繊維の走査型電子顕微鏡写真を図8に示す。
図8から、得られた複合繊維の平均外径は1.60μm、外径の標準偏差は0.25μmであり、外径のCV値は16%であった。
次に、実施例1、2で得られた複合繊維を図9に示す基板上に配置し、液晶表示素子100を作製した。本例の基板30には、いわゆる櫛型の電極が配置され、左側から伸びる電極27と右側から伸びる電極28が交互に配置される。したがって、電極27と電極28との間に電位差がある場合、上方向と下方向の2つの方向の電界が存在する状態を提供できる。すなわち、基板30に実質的に平行な方向に電界を印加可能となる。なお、複合繊維の配置方向は、概ね、櫛型電極の線方向に対して、45°となるようにした。
上述の液晶表示素子100を光学系にセットし、電気光学特性を測定した。光源として偏光顕微鏡(ニコン製 エクリプス LV100POL)の白色光源を用い、セルへの入射角度がセル面に対して垂直となるようにし、二つの電極27、28の長手方向が二枚の偏光板に対してそれぞれ45°となるように前記セルを光学系にセットした。測定温度は常温(約25℃)とした。
上記基板に、60Hz、23Vの矩形波を印加、除去したところ、図10に示すように明確な明暗のスイッチング(OFFで暗、ONで明)が確認され、23Vにおいて、透過率は概ね飽和していた
本発明によって、現在の液晶表示素子の製造工程において、配向膜を形成する工程を簡略化でき、製造コストを抑えることができる。本発明によって、液晶表示素子のフレキシブル化を達成するとともに、容易に大画面化を達成することができる。
2 芯成分
2a 液晶組成物
2b 液晶分子
4 鞘成分
4a 鞘成分形成材料
10 液晶内包複合繊維(複合繊維)
20 複合繊維集合体
30 基板
40 バインダ
100 液晶表示素子
200 複合繊維製造装置
210 2重管ノズル
212 外側ノズル
214 内側ノズル
216 コレクター
218 電源
d 外径
L 内径(芯成分の外径)
L1 鞘溶液
L2 液晶組成物

Claims (14)

  1. 少なくとも一つの基板と、
    前記基板に配置され、液晶組成物を芯成分とする鞘芯型の複合繊維である液晶内包複合繊維を一軸配列させて形成した複合繊維集合体と、
    前記基板に配置され、外部からの信号に基づき前記複合繊維集合体に電界を印加する電極と、
    を備える液晶表示素子であって、
    前記液晶内包複合繊維の外殻をなす鞘成分が鞘成分形成材料を含み、前記鞘成分形成材料と前記液晶組成物とが実質的に分離している、液晶表示素子。
  2. 前記液晶内包複合繊維は、前記鞘成分形成材料と前記液晶組成物が異なるノズルから吐出されることにより形成される、請求項1に記載の液晶表示素子。
  3. 前記液晶組成物を駆動するために印加する電圧は、50V以下である、請求項1に記載の液晶表示素子。
  4. 前記複合繊維集合体は、前記液晶内包複合繊維間に充填されたバインダを含む、請求項1に記載の液晶表示素子。
  5. 前記液晶組成物がハロゲン系液晶化合物を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  6. 前記液晶組成物がネマチック相または螺旋ピッチが10μmより長いキラルネマチック相を示す、請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  7. 前記電極が、前記複合繊維集合体に対し、前記基板に実質的に平行な方向に電界を印加可能な横電界駆動用電極である、請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  8. 前記液晶組成物の誘電率異方性値が+2以上または−2以下である、請求項5から7のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  9. 前記液晶組成物がコレステリック相を示し、
    前記電極が、前記複合繊維集合体に対し、前記基板に実質的に垂直な方向に電界を印加可能な縦電界駆動用電極である、請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  10. 前記コレステリック相の螺旋軸が繊維軸と実質的に平行である、請求項9に記載の液晶表示素子。
  11. 前記液晶組成物が、式(1)で表される少なくとも一つの液晶化合物を含有する、請求項5に記載の液晶表示素子。
    式(1)において、Rは、炭素数1から12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、又は炭素数2〜12のアルケニルであり;環Aは、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;Zは、単結合、エチレン、カルボニルオキシ又はジフルオロメチレンオキシであり;X及びXはそれぞれ独立して、水素又はフッ素であり;Yは、フッ素、塩素、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルコキシ、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数2から12のアルケニルオキシであり;aは、1、2、3又は4である。なお、aが2以上の場合、複数ある環A、Zはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
  12. 前記液晶組成物が、式(3)で表される少なくとも一つの液晶化合物を含有する、請求項5に記載の液晶表示素子。
    式(3)において、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、炭素数2〜12のアルケニルオキシ、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキルであり;環D及び環Fはそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素又は塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;環Eは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、又は7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルであり;Z及びZはそれぞれ独立して、単結合、エチレン、カルボニルオキシ又はメチレンオキシであり;cは、1、2、又は3であり、dは、0又は1であり;cとdとの和は3以下である。なお、cが2以上の場合、複数ある環D、Zはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
  13. 前記液晶組成物が、さらに、式(2)の化合物を含有する、請求項11または12に記載の液晶表示素子。
    式(2)において、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数1〜12のアルキル、又は少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルであり;環B及び環Cはそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、又は2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは、単結合、エチレン又はカルボニルオキシであり;bは、1、2、又は3である。なお、bが2以上の場合、複数ある環B、Zはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
  14. 前記液晶組成物が、式(6)で表される少なくとも一つの化合物を含有する、請求項10に記載の液晶表示素子。
    式(6)中、Rは、それぞれ独立して、シアン(CN)、フッ素、塩素又は基中の任意の−CH−が酸素、硫黄、−COO−、又は−OCO−で置き換えられていてもよい炭素数1〜10のアルキルであり、ただし、酸素が隣接することはなく、当該アルキルは、基の任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい。MGはそれぞれ独立して、メソゲンを表し、Spは炭素数5〜40のアルキレンであり、Xは、それぞれ独立して、−CO−O−、−O−CO−、−CH−O−、−O−CH−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−C≡C−、−CH(CH)−N=CH−又は単結合である。
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