JP2016107333A - 非鉄金属溶解炉、非鉄金属溶解方法、及び非鉄金属溶解設備 - Google Patents

非鉄金属溶解炉、非鉄金属溶解方法、及び非鉄金属溶解設備 Download PDF

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慎一郎 白岩
庄司 多津男
Tatsuo Shoji
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Abstract

【課題】鋳造機に隣接して設置可能な小型に構成でき、かつ、生成される非鉄金属溶湯の品質が高く、かつ、加熱効率が高い非鉄金属溶解炉、非鉄金属溶解方法、及び非鉄金属溶解設備を提供することである。【解決手段】非鉄金属溶解炉1は、誘導磁界を用いて直接加熱することが可能な体積抵抗率となる温度である誘導磁界有効温度以上のアルミニウム溶湯(非鉄金属溶湯)Yを保持するとともにアルミニウム溶解原料(非鉄金属溶解原料)であるアルミインゴットGが投入された溶解容器10と、溶解容器を直接加熱することなく、溶解容器内における誘導磁界有効温度以上のアルミニウム溶湯及び誘導磁界有効温度以上のアルミインゴットを誘導磁界を用いて直接加熱する誘導加熱コイル60と、を有している。【選択図】図4

Description

本発明は、アルミニウムもしくはマグネシウムもしくは亜鉛のいずれかの非鉄金属、またはアルミニウムもしくはマグネシウムもしくは亜鉛のいずれかの合金である非鉄合金、を溶解するとともに上記の非鉄金属または上記の非鉄合金を溶解して得られる非鉄金属溶湯を保持する非鉄金属溶解炉、及びこの非鉄金属溶解炉を用いた非鉄金属溶解方法、及びこの非鉄金属溶解炉を用いた非鉄金属溶解設備に関する。
特許文献1には、大型集中炉を利用した金属供給システムが開示されている。この技術においては、大型集中炉でアルミニウム溶湯を大量に生成し、そのアルミニウム溶湯を要求に応じて各鋳造機に配送する。この種の溶湯供給方式には、つぎのような問題点がある。まず、アルミニウム溶湯を配送する際の溶湯からの放熱で多大なエネルギーロスが生じる。また、大型集中炉においてはスタートアップ時に多大な加熱エネルギーを要することから連続運転が基本であり、その連続運転に係るエネルギー消費が大きい。また、大型集中炉を建設する広大な敷地や溶湯の配送経路が必要であり、敷地の確保や設備の建設に多大な費用がかかる。
上述の問題点を解消するため、各鋳造機に隣接して設置可能な小型のアルミニウム溶解炉が提案されており、その例として特許文献2,3を挙げることができる。特許文献2に開示されたアルミニウム溶解炉では、耐熱性を有する溶解室にアルミニウム溶解原料を保持し、そのアルミニウム溶解原料にガスバーナの燃焼ガスを当てて当該アルミニウム溶解原料を溶解する。
特許文献3に開示された誘導加熱式アルミ溶解炉では、ステンレス製の釜にアルミニウム溶解原料を収容し、その釜の外周に誘導加熱コイルを巻回している。そして、誘導加熱コイルによって釜に誘導磁界を作用させて当該釜を加熱し、当該釜の熱によってアルミニウム溶解原料を加熱溶解する。
特開2002−205162号公報 特開2005−69581号公報 特開2011−220598号公報
上述したように、特許文献1に開示された金属供給システムにおいては、溶湯配送時のエネルギーロスや連続運転によるエネルギー消費が大きく、また、敷地の確保や配送路の建設など設備コストがかさむ。そして、これらの問題点を解決した小型のアルミニウム溶解炉に関して、特許文献2に開示されたアルミニウム溶解炉においては、アルミニウム溶解原料が酸素や水分を含む燃焼ガスに曝されることで、溶け出したアルミニウム溶湯においては酸化物(皮膜)が生成したり水素ガスが混入したりして、溶湯の品質劣化を招く。また、特許文献3に開示された誘導加熱式アルミ溶解炉においては、アルミニウム溶解原料が燃焼ガスにさらされることを回避して溶湯の品質を高めることができるが、アルミニウム溶解原料が、誘導磁界で直接加熱されるのではなく釜を介して加熱されるため、加熱効率に欠ける。
本発明は、このような課題を解決しようとするものであって、その目的は、鋳造機に隣接して設置可能な小型に構成でき、かつ、生成される非鉄金属溶湯の品質が高く、かつ、加熱効率が高い非鉄金属溶解炉、非鉄金属溶解方法、及び非鉄金属溶解設備を提供することである。
本発明は、上述の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
本発明の非鉄金属溶解炉は、誘導磁界を用いて、アルミニウムもしくはマグネシウムもしくは亜鉛のいずれかの非鉄金属、またはアルミニウムもしくはマグネシウムもしくは亜鉛のいずれかの合金である非鉄合金、で構成された溶解原料である非鉄金属溶解原料を溶解するとともに非鉄金属溶解原料を溶解して得られる溶湯である非鉄金属溶湯を保持する非鉄金属溶解炉であって、誘導磁界を用いて直接加熱することが可能な体積抵抗率となる温度である誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶湯を保持するとともに、当該非鉄金属溶湯に少なくとも一部が浸された状態となるように固体状態の非鉄金属溶解原料が投入され、かつ、誘導磁界にて直接加熱されることがない材質で形成された溶解容器と、溶解容器に配置され、誘導磁界を用いて、溶解容器を直接加熱することなく、溶解容器内における誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶湯、または、溶解容器内における誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶湯及び誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶解原料、を直接加熱する誘導加熱コイルと、を有する。
この構成においては、誘導磁界を用いて非鉄金属溶解原料を溶解することによって、非鉄金属溶解原料及びそこから溶け出した非鉄金属溶湯が例えばガスバーナの燃焼ガスに曝されることを回避して、非鉄金属溶湯の品質を高めることができる。また、非鉄金属溶解原料が浸されることで当該非鉄金属溶解原料の加熱源となっている非鉄金属溶湯、または、この非鉄金属溶湯及び溶解対象である非鉄金属溶解原料そのものを、誘導磁界を用いて直接加熱するため、誘導磁界によるこれらの非鉄金属溶湯及び非鉄金属溶解原料に対する加熱効率を高めることができ、結果として非鉄金属溶解原料を効率的に加熱溶解できる。
また、上述の構成においては、非鉄金属溶湯及び非鉄金属溶解原料を、誘導磁界を用いて直接加熱することから、加熱に必要な設備は誘導磁界を形成するための誘導加熱コイル及び当該誘導加熱コイルに電力を供給するための電源装置のみでよく、複雑な設備構成を要する等による加熱設備の大型化を回避できる。そのため、本発明の非鉄金属溶解炉は、鋳造機に隣接して設置可能な小型に構成できる。
本発明の非鉄金属溶解炉において、より好ましくは、つぎのような構成を採用することである。溶解容器の上部に設けられた開口である加熱用開口部と、加熱用開口部を覆うように配置された蓋であって、誘導磁界を透過するとともに誘導磁界にて直接加熱されることがない材質で形成された蓋である加熱用開口蓋と、加熱用開口蓋の上側に配置されるとともに加熱用開口蓋と一体とされて加熱用開口部を覆う誘導加熱コイルと、誘導加熱コイルと加熱用開口蓋とが一体とされた第1コイルユニットを加熱用開口部に対して上下方向に移動させる上下移動手段と、を有する。
この構成においては、誘導加熱コイルが加熱用開口部に対して上下方向に移動可能であることから、誘導加熱コイルを移動させて当該誘導加熱コイルを溶解容器内の非鉄金属溶湯及び非鉄金属溶解原料に近い位置に配置して誘導磁界を形成できる。そのため、非鉄金属溶湯及び非鉄金属溶解原料に対する加熱効率を高めることができる。また、この構成において、加熱用開口部には加熱用開口蓋が設けられていることから、上述のようにして加熱効率を高めた上で尚且つ溶解容器内を保温できる。さらに、加熱用開口蓋を設けることで、非鉄金属溶湯が外部の空気に曝されることが防止されることから、当該溶湯における酸化物の生成及び水素ガスの混入を抑えて当該溶湯の品質を高めることができる。
本発明の非鉄金属溶解炉において、より好ましくは、つぎのような構成を採用することである。第1コイルユニットと溶解容器内の非鉄金属溶湯の溶湯面との間の距離を検出する対溶湯面距離計測手段と、対溶湯面距離計測手段を用いて検出した距離に基づいて上下移動手段を制御して、溶湯面と第1コイルユニットとの上下方向の間隔を所定間隔に保持する制御手段と、を有する。
この構成においては、非鉄金属溶湯の溶湯面と誘導加熱コイルとの間に所定の間隔を保ったまま当該誘導加熱コイルを当該溶湯面に追従させることができることから、当該溶湯面の高さに関わらず、同一の供給電力においては同一の誘導磁界を非鉄金属溶湯に作用させることができる。そのため、誘導磁界を通じてなされる非鉄金属溶湯の湯温調整に際する供給電力のコントロールが容易である。
本発明の非鉄金属溶解炉において、より好ましくは、つぎのような構成を採用することである。誘導加熱コイルへの電力を制御する制御手段を有する。また、溶解容器内に配置されるとともに、セラミックにて形成された筒体内に誘導加熱コイルを収容しかつ収容した誘導加熱コイルによる誘導磁界にて筒体を直接加熱することなく、溶解容器内における誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶湯、または、溶解容器内における誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶湯及び誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶解原料、を直接加熱する、単数または複数の第2コイルユニットを有する。
この構成においては、誘導加熱コイルがセラミックの筒体に収容されていることから、誘導加熱コイルを筒体ごと非鉄金属溶湯に浸漬させて、非鉄金属溶湯の表面からではなく、非鉄金属溶湯の内部から非鉄金属溶湯に誘導磁界を作用させて非鉄金属溶湯を加熱することができる。したがって、非鉄金属溶湯及びそれに浸される非鉄金属溶解原料に対する加熱効率を高めることができる。
本発明の非鉄金属溶解炉において、より好ましくは、つぎのような構成を採用することである。誘導加熱コイルへの電力を制御する制御手段を有する。また、絶縁体の支持部材に支持されて溶解容器の外周部に誘導加熱コイルが配置された第3コイルユニットを有する。第3コイルユニットは、誘導加熱コイルによる誘導磁界にて、支持部材を直接加熱することなく、溶解容器内における誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶湯、または、溶解容器内における誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶湯及び誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶解原料、を直接加熱する。
この構成においては、溶解容器の外周部に誘導加熱コイルが配置されていることから、例えば誘導加熱コイルを溶解容器の側方部の全周に亘って巻回状態に配置すれば、非鉄金属溶湯に対してその側方部の全周から誘導加熱を作用させて当該溶湯を加熱することができる。したがって、溶解容器の側方の全周からの誘導加熱によって、非鉄金属溶湯及びそれに浸される非鉄金属溶解原料に対する加熱効率を高めることができる。
本発明の非鉄金属溶解炉において、より好ましくは、つぎのような構成を採用することである。溶解容器内の非鉄金属溶湯の温度を検出する温度検出手段を備え、制御手段は、温度検出手段を用いて検出した温度が、誘導磁界有効温度以上の温度に設定された溶湯保持温度を維持するように、誘導加熱コイルへの電力を制御する。
この構成においては、誘導磁界有効温度以上の温度に設定された溶湯保持温度を維持するように誘導加熱コイルへの電力が制御されることから、例えば非鉄金属溶解原料を非鉄金属溶湯に投入した場合に、非鉄金属溶湯よりも低温である非鉄金属溶解原料が非鉄金属溶湯の温度を下げるように作用しても、非鉄金属溶湯の温度は溶湯保持温度に保たれる。
本発明の非鉄金属溶解炉において、より好ましくは、つぎのような構成を採用することである。溶解容器は、非鉄金属溶解原料が投入される原料投入容器部と、誘導加熱コイルが配置される誘導加熱容器部と、非鉄金属溶湯が汲出される溶湯汲出容器部とを有し、原料投入容器部と誘導加熱容器部とが連通され、誘導加熱容器部と溶湯汲出容器部とが連通されている。
この構成においては、原料投入容器部と誘導加熱溶器部と溶湯汲出容器部とが個別に設けられていることから、非鉄金属溶解原料の投入と、誘導加熱コイルによる非鉄金属溶解原料の加熱溶解と、非鉄金属溶湯の汲出しとを並行して行うことができる。そのため、例えば連続的に非鉄金属溶湯を生成する場合において、非鉄金属溶解原料を投入しながら当該非鉄金属溶解原料の加熱溶解と非鉄金属溶湯の汲出しとができ、作業効率がよい。
本発明の非鉄金属溶解炉において、より好ましくは、つぎのような構成を採用することである。原料投入容器部及び溶湯汲出容器部は、誘導加熱コイルによる誘導磁界にて直接加熱される範囲である有効作用範囲から外れた位置に配置されている。
この構成においては、原料投入容器部及び溶湯汲出容器部が誘導磁界の作用しない位置に配置されていることから、非鉄金属溶解原料の投入及び非鉄金属溶湯の汲出しを行う作業員の人体に対して磁界が影響しない。そのため、作業員の作業環境が安全である。
本発明の非鉄金属溶解炉において、より好ましくは、つぎのような構成を採用することである。原料投入容器部は、その上部に設けられた開口である投入用開口部を有し、投入用開口部には、断熱材で形成された蓋である投入用開口蓋が設けられ、溶湯汲出容器部は、その上部に設けられた開口である汲出用開口部を有し、汲出用開口部には、断熱材で形成された蓋である汲出用開口蓋が設けられている。
この構成においては、投入用開口部と汲出用開口部とにそれぞれ蓋が設けられていることから、これらの蓋によって溶解容器内を保温でき、かつ、溶解容器内の非鉄金属溶湯が外部の空気に曝されることを回避して当該溶湯の品質を高めることができる。
本発明の非鉄金属溶解炉において、より好ましくは、つぎのような構成を採用することである。溶解容器は、原料投入容器部と、誘導加熱容器部と、溶湯汲出容器部と、の少なくとも2つの容器部が共通の容器部とされており、誘導加熱容器部と原料投入容器部とが共通の容器部とされている場合、あるいは、誘導加熱容器部と溶湯汲出容器部とが共通の容器部とされている場合、あるいは、誘導加熱容器部と原料投入容器部と溶湯汲出容器部とが共通の容器部とされている場合、共通の容器部の位置に対する誘導加熱コイルの位置を相対的に移動させる相対移動手段を備えている。
この構成においては、原料投入容器部と、誘導加熱容器部と、溶湯汲出容器部と、の少なくとも2つの容器部が共通化されていることから、その分、容器部が少なくとも1つ削減される。したがって、溶解容器をコンパクトにできる。
本発明の非鉄金属溶解炉において、より好ましくは、つぎのような構成を採用することである。溶解容器は、内壁から外壁に向かって内壁層、中間層、外壁層、の3層を少なくとも有しており、内壁層は、セラミックにて形成され、中間層は、断熱材にて形成され、外壁層は、鉄よりも体積抵抗率が小さな金属または合金で形成されている。
この構成においては、セラミックにて形成された内壁層によって、非鉄金属溶湯に対する耐熱性が確保される。また、断熱材にて形成された中間層によって、非鉄金属溶湯の熱を溶解容器の外部と遮断できる。そして、万一、内壁層と中間層とにヒビが入って非鉄金属溶湯が漏れ出した場合でも、鉄よりも抵抗値の小さい金属または合金で形成された外壁層によって、溶解容器の外部に非鉄金属溶が湯漏れ出すことが防止される。なお、外壁層は、体積抵抗率が鉄よりも小さいため、誘導磁界の作用で加熱されることがない。
本発明の非鉄金属溶解炉において、より好ましくは、つぎのような構成を採用することである。誘導加熱コイルは、内部が空洞とされたパイプ状の金属または合金にて形成されている。また、誘導加熱コイルの内部に冷却媒体を循環させる冷却媒体循環手段を備えている。
この構成においては、誘導加熱コイルの内部に冷却媒体を循環させるため、誘導加熱コイルの温度上昇を抑制し、当該誘導加熱コイルの体積抵抗値の増加に伴うエネルギー効率の低下や誘導加熱コイルの破損を回避できる。
本発明の非鉄金属溶解方法は、上述した非鉄金属溶解炉を用いたものである。この非鉄金属溶解方法は、溶解容器内における誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶湯の量が所定量未満である場合、誘導加熱コイルとは異なる加熱手段を用いて誘導磁界有効温度以上に加熱した非鉄金属溶解原料を溶解容器内に投入する、あるいは、溶解容器内に投入した非鉄金属溶解原料を誘導加熱コイルとは異なる加熱手段を用いて誘導磁界有効温度以上に加熱する、非誘導磁界加熱ステップと、誘導加熱コイルを用いて、溶解容器内における誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶解原料、または溶解容器内における誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶解原料及び誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶湯を、誘導磁界を用いて直接加熱する、誘導磁界直接加熱ステップと、を有する。
この構成においては、非鉄金属溶解原料の加熱源となる誘導磁界有効温度以上の非鉄金属溶湯の量が少ない場合、誘導加熱コイルとは異なる加熱手段を用いて非鉄金属溶解原料を予め誘導磁界加熱温度以上に加熱した上で、この非鉄金属溶解原料を、誘導磁界を用いて直接加熱することから、誘導磁界による非鉄金属溶解原料に対する加熱効率を高めることができる。そのため、非鉄金属溶解原料を効率的に加熱溶解できる。
本発明の非鉄金属溶解方法において、より好ましくは、つぎのような構成を採用することである。溶解容器内に所定量以上の非鉄金属溶湯を種湯として残し、この種湯を、溶解容器内にて誘導磁界有効温度以上となるように誘導加熱コイルによる誘導磁界にて直接加熱して保持する。そして、非鉄金属溶解原料を加熱することなく種湯に投入して溶解させる。
この構成においては、非鉄金属溶解原料の加熱源となる非鉄金属溶湯が種湯として残され、かつ、当該種湯が、誘導磁界が作用する状態に保持されていることから、次回の溶解工程においては非鉄金属溶解原料を誘導磁界有効温度以上に加熱する工程が省かれる。そのため、例えば間欠的に非鉄金属溶湯を生成する場合においては、このようにして種湯を残すようにすれば、2回目以降の溶解処理のスタートアップを短縮でき、作業効率がよい。
本発明の非鉄金属溶解設備は、上述の非鉄金属溶解炉を用いたものである。この非鉄金属溶解設備においては、非鉄金属溶湯を供給するべき鋳造機のそれぞれに対して、単数または複数の非鉄金属溶解炉が、それぞれの鋳造機に隣接する位置に配置されている。
この構成においては、適宜の個数の非鉄金属溶解炉がそれぞれの鋳造機に隣接して配置されることから、例えば複数の非鉄金属溶解炉を特定の鋳造機に隣接して配置し、それらの非鉄金属溶解炉で並行、かつ連続して非鉄金属溶湯を生成し、生成した溶湯をすぐに隣り合った当該特定の鋳造機に供給することで、当該特定の鋳造機で必要となる非鉄金属溶湯を当該特定の鋳造機に対して効率よく供給できる。
アルミニウム及び鉄に関して、体積抵抗率と温度との関係の例を表した図。 非鉄金属溶解炉を表した斜視図。 非鉄金属溶解炉を表した上面図。 図3におけるIV-IV矢視方向の断面図。 図3におけるV-V矢視方向の断面図。 非鉄金属溶解炉を有する非鉄金属溶解設備の例を表した上面図。 非鉄金属溶解炉の変更例を表した斜視図。 非鉄金属溶解炉の変更例を表した斜視図。 非鉄金属溶解炉の変更例を表した断面図。 図9に示す非鉄金属溶解炉を表した上面図。 図9の仮想線XIの領域を拡大して表した図。 非鉄金属溶解炉の変更例を表した断面図。 非鉄金属溶解炉の変更例を表した断面図。 非鉄金属溶解炉の変更例を表した断面図。 非鉄金属溶解炉の変更例を表した断面図。 誘導加熱コイルの詳細構造を表した図。 誘導加熱コイルの構造の変更例を表した図。 誘導加熱コイルの構造の変更例を表した図。 誘導加熱コイルの構造の変更例を表した図。 図9の仮想線XXの領域を拡大して表した図。 アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及び鉄鋼に関して、体積抵抗率と温度との関係の例を表した図。
本発明の非鉄金属溶解炉においては、アルミニウムもしくはマグネシウムもしくは亜鉛のいずれかの非鉄金属、または、アルミニウムもしくはマグネシウムもしくは亜鉛のいずれかの合金である非鉄合金、で構成された溶解原料である非鉄金属溶解原料が溶解されるとともに、この非鉄金属溶解原料を溶解して得られる溶湯である非鉄金属溶湯が保持される。以下では、非鉄金属であるアルミニウムによって構成された非鉄金属溶解原料であるアルミニウム溶解原料及び当該アルミニウム溶解原料を溶解して得られる非鉄金属溶湯であるアルミニウム溶湯を例として、非鉄金属溶解炉を説明する。
●[アルミニウムにおける体積抵抗率と温度との関係(図1)]
図1は、アルミニウム及び鉄における体積抵抗率と温度との関係の例を示すグラフである。図1からわかるように、鉄の常温(約25[℃])での体積抵抗率は約12[μΩcm]である。この体積抵抗率においては誘導磁界が有効に作用する(誘導磁界を用いて直接加熱することができる)ため、鉄は、誘導加熱コイルを用いたIH調理器具等にて広く利用されている。一方、アルミニウムの常温での体積抵抗率は約2[μΩcm]であり、鉄と比較して非常に小さい。この体積抵抗率においては誘導磁界が有効に作用しない(誘導磁界を用いて直接加熱することが非常に困難である)ため、アルミニウムは、IH調理器具等にて利用されていない。このように、一般的には、鉄は誘導磁界で直接加熱できるが、アルミニウムは誘導磁界で直接加熱することができない、と考えられている。
しかし図1に示すように、アルミニウムは、その体積抵抗率が常温では小さいが、加熱されると徐々にその体積抵抗率が増加する。そして、アルミニウムは、約400[℃]まで加熱されると、常温での鉄に近い約8[μΩcm]程度まで体積抵抗率が上昇し、誘導磁界が有効に作用するようになる(誘導磁界を用いて直接加熱できるようになる)。アルミニウムは、約500[℃]まで加熱されると、常温での鉄と同等の約12[μΩcm]の体積抵抗率となり、常温の鉄と同様、誘導磁界で直接加熱することが充分にできる。
本実施形態では、アルミニウムが約400[℃]まで加熱されると誘導磁界が有効に作用する(誘導磁界を用いて直接加熱できる)性質を利用して、約400[℃]以上の温度に加熱したアルミニウムを誘導加熱コイルからの誘導磁界にて直接加熱する(後述参照)。なお、約400[℃]未満の温度のアルミニウムには誘導磁界が有効に作用しない(誘導磁界で直接加熱することは非常に困難である)ので、この場合は、後で説明するように、ガスバーナ等の誘導加熱コイルとは異なる加熱手段を用いて、あるいは、図2〜図5を用いて説明する原料投入容器部20の予熱作業(後述参照)を通じて、アルミニウムを例えば400[℃]程度まで加熱する。そして約400[℃]程度まで加熱した後は、ガスバーナ等を停止して、誘導加熱コイルによって加熱する。
なお、純粋なアルミニウムの融点は約660[℃]であるが、アルミダイキャストで用いるアルミニウムには許容範囲内の不純物が含有されており、約620[℃]で融解する。そこで、例えば400[℃]以上にガスバーナ等で加熱したアルミニウムを、誘導加熱コイルを用いて約620[℃]以上に加熱してアルミニウム溶湯にする。なお、酸化等の品質劣化を回避するために、アルミニウム溶湯は620[℃]以上かつ720[℃]以下の温度に維持することが好ましい。
以下の説明においては、誘導磁界が有効に作用する(誘導磁界にて直接加熱できる)体積抵抗率となるアルミニウムの温度(例えば約400[℃])を、誘導磁界有効温度と記す。なお、誘導磁界有効温度は、約400[℃]に限定されるものではなく、誘導磁界を用いてアルミニウムを直接加熱することができる約400[℃]〜約720[℃]の範囲の温度であればよい。上述のように、アルミダイキャストで用いるアルミニウムには許容範囲内の不純物が含有されており、誘導磁界有効温度となる約400[℃]でアルミニウムはバター状(半凝固状態)である。
●[非鉄金属溶解炉の構成(図2〜図5)]
図2に示す非鉄金属溶解炉1は、個々の鋳造機に隣接して設置できる小型サイズに構成されている。この非鉄金属溶解炉1は、溶解容器10、誘導加熱コイル60、高周波交流電源装置90、溶湯面追従装置70、ガスバーナB(図4参照)、温度センサT(図4,5参照)等を備えている。
溶解容器10は、例えば耐火モルタルといった断熱材で形成され、誘導磁界が有効に作用しない材質(誘導磁界にて直接加熱されることがない材質)で形成されている。この溶解容器10は、誘導磁界有効温度以上の温度のアルミニウム溶湯Y(図4,5参照)を保持可能である。また、この溶解容器10には、アルミニウム溶湯Yに少なくとも一部が浸された状態となるように例えばアルミインゴットG(図4参照)といった固体状態のアルミニウム溶解原料が投入される。なお、この溶解容器10の外形寸法は、幅、奥行き、高さに関してそれぞれ約1〜2m程度である。
溶解容器10は、アルミニウム溶解原料が投入される原料投入容器部20と、投入されたアルミニウム溶解原料を誘導加熱する誘導加熱容器部30と、アルミニウム溶湯Yが汲出される溶湯汲出容器部40と、を有している(図2〜図5参照)。そして、原料投入容器部20と誘導加熱容器部30とは第1連通路52によって連通され、誘導加熱容器部30と溶湯汲出容器部40とは第2連通路54によって連通されている。なお、第1連通路52及び第2連通路54によって繋がれた原料投入容器部20と誘導加熱容器部30と溶湯汲出容器部40とは、平面視で略U字状に構成され、誘導加熱容器部30は原料投入容器部20と溶湯汲出容器部40とに対してU字の底位置に配置されている(図3参照)。
例えば、誘導加熱容器部30の底部は原料投入容器部20の底部よりも低く設定されている(図4参照)。そして、原料投入容器部20と第1連通路52との底部は誘導加熱容器部30の底部に向けて連続的に傾斜している。また、溶湯汲出容器部40の底部は誘導加熱容器部30の底部よりも低く設定されている(図5参照)。そして、誘導加熱容器部30と第2連通路54との底部は溶湯汲出容器部40に向けて連続的に傾斜している。誘導加熱容器部30の底部は、原料投入容器部20側が略水平であり(図4参照)、溶湯汲出容器部40側が傾斜している(図5参照)。なお、いずれの容器部も、底部の高さを同等に設定してもよい。
原料投入容器部20は、その上部に設けられた開口である投入用開口部22を有し(図2参照)、この投入用開口部22には、例えば耐火モルタルといった断熱材で形成された蓋である投入用開口蓋28が設けられている(図3,4参照)。また、溶湯汲出容器部40は、その上部に設けられた開口である汲出用開口部42を有し(図2参照)、この汲出用開口部42には、例えば耐火モルタルといった断熱材で形成された蓋である汲出用開口蓋48が設けられている(図3,5参照)。これらの各開口蓋28,48は各開口部22,42を個々に開閉可能である。なお、図2においては、投入用開口蓋28及び汲出用開口蓋48の図示を省略している。
誘導加熱容器部30は、その上部に設けられた開口である加熱用開口部32を有し(図2〜図5参照)、この加熱用開口部32には、当該加熱用開口部32を覆うように配置され尚且つ誘導磁界が有効に作用しない材質(誘導磁界を透過するとともに誘導磁界にて直接加熱されることがない材質)で形成された蓋である加熱用開口蓋38と、この加熱用開口蓋38の上側に配置され尚且つ当該加熱用開口蓋38と一体とされて加熱用開口部32を覆う誘導加熱コイル60と、が設けられている(図4,5参照)。なお、誘導加熱コイル60と加熱用開口蓋38とは一体とされて第1コイルユニットUを形成している。加熱用開口蓋38は例えば耐火モルタルといった断熱材で形成され、例えば厚さが約50mmである。
誘導加熱コイル60は、給電線92を通じて高周波交流電源装置90に接続されている(図3〜図5参照)。この高周波交流電源装置90から誘導加熱コイル60への電力供給をオンにすると、誘導加熱コイル60は図3の仮想線で示す有効作用範囲Aに誘導磁界を形成する。そして後述するように、誘導加熱コイル60は、この有効作用範囲Aにある誘導磁界有効温度以上のアルミニウム溶湯Y、または、当該アルミニウム溶湯Y及び誘導磁界有効温度以上のアルミインゴットGを、誘導磁界を用いて直接加熱する。
誘導加熱コイル60は、高周波交流電源装置90から延びる給電線92が後述のようにして上下移動するのに伴って、加熱用開口部32を覆ったまま加熱用開口蓋38とともに加熱用開口部32を通じて上下に移動可能である。この移動によって、誘導加熱コイル60は、溶解容器10内におけるアルミニウム溶湯Yの溶湯面に近い位置に移動でき、その近い位置で誘導磁界を形成できる。これによって、アルミニウム溶湯Yに対する加熱の効率を高めることができる。
高周波交流電源装置90は溶解容器10に隣接して配置されている(図2〜図5参照)。高周波交流電源措置90は、その外形寸法が、幅、奥行き、高さに関してそれぞれ約1〜2m程度である。高周波電源装置90から供給する電力の周波数は例えば10KHzであり、この周波数においては誘導加熱コイル60が形成する誘導磁界によって適切な表皮効果を得ることができる。なお、図2〜図5及び後で説明する図6において、高周波交流電源装置90はその一部のみが図示されている。なお、高周波交流電源装置90から加熱コイル60に供給される電力は、後述する制御手段72にて制御される。
溶湯面追従装置70(図3〜図5参照)は、例えば加熱用開口蓋38の下面に取付けられた対溶湯面距離計測手段である液面センサKと、給電線92及び第1コイルユニットUを加熱用開口部30に対して上下方向に移動可能に支持する上下移動手段である可動支持体80と、この可動支持体80を通じて給電線92及び第1コイルユニットUの上下方向の位置を制御する制御手段72と、を備えている。この溶湯面追従装置70では、第1コイルユニットUがアルミニウム溶湯Yの溶湯面に追従するように設定されている。詳述すると、この溶湯面追従装置70では、液面センサKが自身と溶湯面との間の距離を計測する(なお、液面センサからの検出信号に基づいて制御手段にて距離に換算してもよい)。そして、計測した距離に基づいて、制御手段72が可動支持体80を通じて給電線92及び第1コイルユニットUを上下動させる。なお、制御手段72は、誘導加熱コイル60の底面とアルミニウム溶湯Yの溶湯面との間の距離を例えば150〜200mmの寸法に保つように給電線92及び第1コイルユニットUを移動させる。
溶湯面追従装置70において、可動支持体80と制御手段72とは、例えば高周波交流電源装置90に取付けられている。これらの可動支持体80と制御手段72との設置位置、及び、液面センサKの設置位置は、上述の設置位置に限定されるものではなく、上述と同様に機能すれば何処に設置されていてもよい。
ガスバーナBは、誘導加熱コイル60とは異なる加熱手段であり、例えば原料投入容器部20に設けられている(図4参照)。
温度検出手段である温度センサTは、原料投入容器部20、誘導加熱容器部30、及び溶湯汲出容器部40にそれぞれ設けられている(図4,5参照)。これらの温度センサTは、アルミニウム溶湯Yの湯温を計測可能である。そして上述の制御手段72は、温度センサTを用いて検出したアルミニウム溶湯Yの温度が目標温度(溶湯保持温度に相当し、例えば640[℃])となるように、誘導加熱コイル60に供給する電力を制御する。
非鉄金属溶解炉1は以上のように構成されている。この構成においては、後述の非鉄金属溶解方法で説明するように、誘導磁界を用いてアルミインゴットG(アルミニウム溶解原料)を溶解することによって、アルミインゴットG及びそこから溶け出したアルミニウム溶湯Yが例えばガスバーナの燃焼ガスに曝されることを回避して、アルミニウム溶湯Yの品質を高めることができる。また、アルミニウム溶解原料が常温等の比較的低温である場合、当該アルミニウム溶解原料は誘導磁界で直接加熱することができないが、当該アルミニウム溶解原料は誘導磁界有効温度以上のアルミニウム溶湯に浸すことで、そのアルミニウム溶湯からの熱伝達を通じて加熱することができる。そしてアルミニウム溶湯にて誘導加熱温度以上に加熱されたアルミニウム溶解原料は、やがて誘導磁界にて直接加熱されるようになる。このように、釜(溶解容器)を加熱することなく、アルミニウムを誘導加熱にて直接加熱するので、誘導磁界にて釜を加熱して釜の熱でアルミニウムを溶解している特開2011−220598号公報と比較して、より効率よく加熱することができる。
また、非鉄金属溶解炉1の構成においては、アルミニウム溶湯Y及びアルミインゴットGに対して直接誘導磁界を作用させる(誘導磁界にて直接加熱する)ことから、加熱に必要な設備は誘導磁界を形成するための誘導加熱コイル60及び当該誘導加熱コイル60に電力を供給するための高周波交流電源装置90のみでよく、複雑な設備構成を要する等による加熱設備の大型化を回避できる。そのため、この非鉄金属溶解炉1は、鋳造機に隣接して設置可能な小型に構成できる。
●[非鉄金属溶解方法(図1〜図5)]
つづいて、非鉄金属溶解炉1を用いた非鉄金属溶解方法について説明する。いま、溶解容器10(図2参照)内にはアルミニウム溶湯Yが皆無であるものとする。この状態において、まず、ガスバーナB(図4参照)を作動させて、原料投入容器部20を予熱する。この予熱が、前述した原料投入容器部20の予熱作業である。原料投入容器部20と、この後投入するアルミインゴットGとでは、熱膨張率が異なるため、原料投入容器部20の予熱を行うことなくアルミインゴットGを原料投入容器部20に投入すると、アルミインゴットGが延びて突っ張り、原料投入容器部20を破壊する可能性がある。そのため、原料投入容器部20を予熱して膨張させておくことが好ましい。
原料投入容器部20を予熱した後、当該原料投入容器部20に固体状態にある例えば約10kg程度のアルミインゴットG(図4参照)を手動もしくは自動で投入する。
この後、原料投入容器部20でガスバーナB(図4参照)を作動させて、アルミインゴットGをアルミニウムの融点である620[℃]以上に加熱し当該インゴットGを溶解させる。アルミインゴットGは、ガスバーナBの熱と、予熱された原料投入容器部20の熱とで加熱される。アルミインゴットGから溶け出したアルミニウム溶湯Yは、原料投入容器部20から誘導加熱容器部30へ流れ、さらに溶湯汲出容器部40へと流れていくが、嵩が増えるにつれて徐々に原料投入容器部20にも溜まる。こうして溶解容器10内に溜まったアルミニウム溶湯Yは、この後投入される生産用のアルミインゴットGを溶解させる種湯となる。溶解容器10内に投入したアルミインゴットGを誘導加熱コイル60とは異なる加熱手段(ガスバーナB等)を用いて誘導磁界有効温度以上に加熱するこのステップが、本発明の「誘導磁界直接加熱ステップ」に相当する。なお、アルミインゴットGを溶解させた後(種湯を生成した後)、ガスバーナBは停止される。
この後、制御手段72を介して高周波交流電源装置90からの電力供給をオンにし、誘導加熱コイル60によって誘導磁界を形成する。誘導加熱コイル60は、誘導加熱容器部30を含んだ有効作用範囲A(図3参照)に誘導磁界を形成する。これにより、有効作用範囲A内のアルミニウム溶湯Yが誘導磁界にて直接加熱され、上述のようにして得られたアルミニウム溶湯Y(種湯)の湯温が維持される。
こうしてアルミニウム溶湯Y(種湯)の湯温を維持した状態で、例えば約25kg程度のアルミインゴットG(図4参照)を原料投入容器部20に投入する。投入されたアルミインゴットGは、その各々のインゴット塊の少なくとも一部がアルミニウム溶湯Yに浸された状態になる。なお、これら投入されたアルミインゴットGは溶解容器10内のアルミニウム溶湯Yよりも温度が低いため、当該アルミニウム溶湯Yの温度を下げるように作用する。そのため、アルミインゴットGの投入に際しては、供給電力を適宜変更してアルミニウム溶湯Yが誘導磁界有効温度よりも下がらないように注意するべきであるが、溶湯保持温度を維持するように制御手段が自動的に供給電力を制御するので、作業員は特に心配する必要は無い。なお、アルミインゴットGを予め誘導磁界有効温度以上まで加熱してから原料投入容器部20に投入してもよい。
原料投入容器部20に投入されたアルミインゴットGは、当該原料投入容器部20に溜まっているアルミニウム溶湯Yによって加熱される。アルミニウムは熱伝導率が高いことから、アルミインゴットGはその一部のみがアルミニウム溶湯Yに浸った状態であっても当該インゴットGは全体が効率よく加熱され溶解に至る。なお、原料投入容器部20に投入されるアルミインゴットGの中には、溶解に至る前に有効作用範囲Aにある第1連通路52部分もしくは誘導加熱容器部30まで押し込まれ、それらの個所(有効作用範囲Aにある第1連通路52部分もしくは誘導加熱容器部30)にてアルミニウム溶湯Yによって誘導磁界有効温度以上まで加熱されるものもある。このようなアルミインゴットGは、それ自体が誘導加熱コイル60の誘導磁界にて直接加熱される。
このようにしてアルミインゴットGの加熱源であるアルミニウム溶湯Y及び溶解対象であるアルミインゴットGそのものに対して直接誘導磁界を作用させる(誘導磁界にて直接加熱する)ことで、誘導磁界によるこれらのアルミニウム溶湯Y及びアルミインゴットGに対する加熱効率を高めることができ、結果としてアルミインゴットGを効率的に加熱溶解できる。なお、誘導加熱コイル60を用いて、溶解容器10内における誘導磁界有効温度以上のアルミインゴットG及びアルミニウム溶湯Yに誘導磁界を直接作用させる(誘導磁界にて直接加熱する)ステップが、本発明の「誘導磁界直接加熱ステップ」に相当する。
上述したアルミインゴットGの加熱溶解においては、アルミニウム溶湯Yの湯温を調整しつつ当該加熱溶解を継続する。アルミインゴットGが加熱溶解されてアルミニウム溶湯Yの嵩が増える際、制御手段72は、アルミニウム溶湯Yの溶湯面と、誘導加熱コイル60(第1コイルユニットU)との間隔が、例えば150〜200[mm]に維持されるように、溶湯面追従装置70の可動支持体80(図4,図5参照)を制御する。これにより、アルミニウム溶湯Yの嵩が増えても、同一の供給電力においては同一の誘導磁界をアルミニウム溶湯Yに作用させることができる。また、アルミニウム溶湯Yの温度は、制御手段72によって溶湯保持温度に自動的に調整される。
アルミインゴットGの溶解後においては、アルミニウム溶湯Yを汲出しに適した湯温に調整しつつ、当該アルミニウム溶湯Yを溶湯汲出容器部40から例えばラドルで汲出して鋳造機(図示省略)に供給する。アルミニウム溶湯Yを汲出すことで当該溶湯Yの嵩が減る際も、制御手段が、アルミニウム溶湯Yの溶湯面と、誘導加熱コイル60(第1コイルユニットU)との間隔が、例えば150〜200[mm]に維持されるように、溶湯面追従装置70(図4、5参照)を制御する。また、アルミニウム溶湯Yの温度は、制御手段72によって溶湯保持温度に自動的に調整される。
なお、アルミニウム溶湯Yは全てを汲出さず一部(所定量以上)を種湯として残し、当該残したアルミニウム溶湯Yを誘導磁界有効温度以上となるように誘導磁界にて加熱し保持することが好ましい。種湯として残したアルミニウム溶湯Yは、次回のアルミインゴットGの溶解を行うために用いられる。所定量以上の種湯を残している場合では、次回のアルミインゴットGを投入する際、アルミインゴットGをガスバーナ等の誘導加熱コイル60とは異なる加熱手段を用いて誘導磁界有効温度以上に加熱する工程が省かれ、常温のアルミインゴッドGが加熱されることなく種湯に投入される。投入されたアルミインゴットは、上述したように、種湯によって誘導磁界有効温度以上となるまで加熱された後、誘導磁界によって直接加熱される。例えば、間欠的にアルミニウム溶湯Yを生成する場合においては、このようにして種湯を残すようにすれば、溶解処理のスタートアップを短縮でき作業効率がよい。
以上が本発明の非鉄金属溶解方法における溶解工程である。なお、アルミニウム溶湯Yを次回の種湯として残す場合、当該アルミニウム溶湯Yは誘導磁界有効温度以上(400[℃]以上)で管理しておけばよく、完全な溶解状態(620[℃]以上)で管理する必要はない。アルミニウム溶湯Yを誘導磁界有効温度近傍にて管理すれば、当該アルミニウム溶湯Yを完全な溶解状態で管理する場合に比べて高周波交流電源装置90からの供給電力を節約できる。
上述した一連の溶解工程において、アルミインゴットGの溶解容器10への投入に際しては、投入用開口部22にて投入用開口蓋28(図4参照)を開けてアルミインゴットGを投入した後、当該投入用開口蓋28を閉めることが好ましい。また、生成されたアルミニウム溶湯Yの汲出しに際しては、汲出用開口部42にて汲出用開口蓋48(図5参照)を開けてアルミニウム溶湯Yを汲出した後、当該汲出用開口蓋48を閉めることが好ましい。このようにして常時各蓋28,48を閉めておくことで、溶解容器10内を保温でき、かつ、アルミニウム溶湯Yが外部の空気に曝されることを防止して当該アルミニウム溶湯Y中に酸化物や水素化合物が生成されるのを抑えることができる。なお、これらの投入用開口部22及び汲出用開口部42に加え、加熱用開口部32においても加熱用開口蓋38による閉鎖が施されていることから、溶解容器10内の保温と、アルミニウム溶湯Yの品質維持とがより一層図られる。
アルミニウム溶湯Yの品質維持に関して、アルミインゴットGの溶解途中もしくは溶解後に投入用開口部22から溶解容器10内に窒素やアルゴン等の不活性ガスを投入してもよい。これによって、アルミニウム溶湯Y中に酸化物や水素化合物が生成されることを抑制し、さらに当該アルミニウム溶湯Yの品質を維持することができる。不活性ガスが投入される際、第1連通路52の上壁52a(図4参照)、加熱用開口蓋38の下面、第2連通路54の上壁54a(図5参照)、及び汲出用開口蓋48の下面と、アルミニウム溶湯Yの溶湯面と、の間に不活性ガスが通過可能な隙間があれば、当該不活性ガスがこの隙間を通ってアルミニウム溶湯Yの溶湯面全体に行きわたり、当該不活性ガスの投入がより効果的である。
なお、図2〜図5に示すように、非鉄金属溶解炉1においては原料投入容器部20と誘導加熱容器部30と溶湯汲出容器部40とが個別に設けられていることから、当該非鉄金属溶解炉1ではアルミインゴットGの投入と、誘導加熱コイル60によるアルミインゴットGの加熱溶解と、アルミニウム溶湯Yの汲出しとを並行して行うことができる。そのため、例えば連続的にアルミニウム溶湯Yを生成する場合においては、アルミインゴットGを投入しながら当該アルミインゴットGの加熱溶解とアルミニウム溶湯Yの汲出しとができ、作業効率がよい。なお、図3に示すように、原料投入容器部20及び溶湯汲出容器部40は誘導磁界が作用しない位置(誘導磁界にて直接加熱される範囲である有効作用範囲Aから外れた位置)に配置されていることから、誘導加熱コイル60が誘導磁界を形成したままであっても、アルミインゴットGの投入及びアルミニウム溶湯Yの汲出しを行う作業員の人体に対して磁界が影響しない。そのため、作業員の作業環境は安全である。
ところで、上述した溶解工程初期のように溶解容器10内に種湯となるアルミニウム溶湯Yが皆無である場合はもちろん、アルミニウム溶湯Yを次回の溶解工程の種湯として残した場合であっても、当該アルミニウム溶湯YがアルミインゴットGの加熱源として機能するのに十分な量だけ溶解容器10内に保持されていない場合には、まず種湯となるアルミニウム溶湯Yを生成する必要がある。上述の溶解工程においては、アルミインゴットGをその融点温度以上までガスバーナBで加熱して種湯を生成していた。しかし、アルミインゴットGを誘導磁界有効温度までガスバーナBで加熱し、その後、誘導加熱コイル60による誘導磁界を当該アルミインゴットGに直接作用させて種湯となるアルミニウム溶湯Yを生成してもよい。また、ガスバーナ等、誘導加熱コイルとは異なる加熱手段にて予め誘導磁界有効温度以上に加熱されたアルミインゴットGを原料投入容器部20へ投入し、当該アルミインゴットGを有効作用範囲Aまで押し込んで、誘導加熱コイル60による誘導磁界を当該アルミインゴットGに直接作用させて種湯となるアルミニウム溶湯Yを生成してもよい。これらの工程において、溶解容器10内に投入したアルミインゴットGを誘導加熱コイル60とは異なる加熱手段(例えばガスバーナB)を用いて誘導磁界有効温度以上に加熱する、あるいは、誘導加熱コイル60とは異なる加熱手段を用いて誘導磁界有効温度以上に加熱したアルミインゴットGを溶解容器10内に投入するステップが、本発明の「非誘導磁界直接加熱ステップ」に相当する。そしてその後、誘導磁界有効温度以上に加熱したアルミインゴットG、または当該アルミインゴットG及びそこから溶け出したアルミニウム溶湯Y、に対して誘導磁界を直接作用させてアルミニウム溶湯Yを生成するステップが、本発明の「誘導磁界直接加熱ステップ」に相当する。
●[非鉄金属溶解設備(図6)]
つぎに、非鉄金属溶解炉1を用いた非鉄金属溶解設備について、図6を主に用いて説明する。図6に示す非鉄金属溶解設備400においては、アルミニウム溶湯Y(図4参照)を供給するべき鋳造機100に対して2つの非鉄金属溶解炉1が当該鋳造機100に隣接して配置されている。なお、図6において、図2〜図5と同一もしくは均等な構成・機能を有すると考えられる部分には、図2〜図5と同一の符号を付すことで重複する説明は省略する。
この非鉄金属溶解設備400においては、各非鉄金属溶解炉1の原料投入容器部20に自動でアルミインゴットG(図4参照)を投入可能な原料投入装置200が個別に設けられている。また、この非鉄金属溶解設備400においては、各非鉄金属溶解炉1の溶湯汲出容器部40から自動でアルミニウム溶湯Y(図4参照)を汲出し、かつ、鋳造機100の溶湯供給部110に自動でアルミニウム溶湯Yを供給できる溶湯汲出装置300が、2つの非鉄金属溶解炉1に対して単一に設けられている。この溶湯汲出装置300のアーム320は、本体部310を支点として各溶湯汲出容器部40と鋳造機100の溶湯供給部110との間を自在に回転移動でき、かつ、その先端に取付けられた例えばラドルによって既に述べたアルミニウム溶湯Yの汲出しと当該アルミニウム溶湯Yの供給のための動作が可能である。
この非鉄金属溶解設備400においては、上述した非鉄金属溶解方法によって、2つの非鉄金属溶解炉1で並行、かつ連続してアルミニウム溶湯Y(図4参照)を生成し、生成したアルミニウム溶湯Yをすぐに鋳造機100に供給することで、当該鋳造機100で必要となるアルミニウム溶湯Yを当該鋳造機100に対して効率よく供給できる。なお、個々の非鉄金属溶解炉1において、投入用開口蓋28及び汲出用開口蓋48は自動もしくは手動で開閉される。
図6に示す例では、鋳造機100に対して2つの非鉄金属溶解炉1を隣接させたが、鋳造機100が必要とするアルミニウム溶湯の量に応じて適切な数の非鉄金属溶解炉1を鋳造機100に隣接して配置してよい。本実施形態の非鉄金属溶解炉1は非常にコンパクトであるので、既存の鋳造機100に隣接する位置に複数台が必要であっても容易に設置することができる。
●[変更・変形例]
なお、上述の実施形態において、アルミニウム溶解原料はアルミインゴットGに限定されるものではなく、例えばアルミニウムの切り粉やスクラップ等でもよい。また、上述の実施形態では誘導加熱コイル60とは異なる加熱手段としてガスバーナを例として説明したが、ガスバーナ以外の加熱手段を用いてもよい。
図7に示す非鉄金属溶解炉1aは、台500と、台500に載置された溶解容器10aと、台500に設けられて溶解容器10aを旋回させる回転軸体Z1(相対移動手段に相当)にて構成されている。そして溶解容器10aは、誘導加熱容器部と原料投入容器部とを共通とした加熱・投入・容器部320(共通の容器部に相当)と、溶湯汲出容器部40との2つの容器部にて構成されており、加熱・投入・容器部320と溶湯汲出容器部40は互いに連通されている。また、回転軸体Z1は、例えば電動モータにて駆動される。そして作業者は、溶湯汲出容器部40からアルミニウム溶湯の汲出しを所望する場合、回転軸体Z1を操作して、加熱・投入・容器部320が誘導加熱コイル60の下方の位置(図7において溶解容器10aが実線で示されている位置)となるように、加熱・投入・容器部320の位置に対する誘導加熱コイル60の位置を、相対的に移動させる。また作業者は、加熱・投入・容器部320へのアルミニウム溶解原料の投入を所望する場合、回転軸体Z1を操作して、誘導加熱コイル60の有効作用範囲A(図3参照)から外れた位置(図7において溶解容器10aが二点鎖線で示されている位置)へと加熱・投入・容器部320を相対的に移動させる。
また図7の構成において、溶解容器10aを、誘導加熱容器部と溶湯汲出容器部とを共通とした加熱・汲出・容器部(共通の容器に相当)と、原料投入容器部との2つの容器部にて構成してもよい(加熱・汲出・容器部と原料投入容器部は互いに連通されている)。この場合、作業者は、アルミニウム溶解原料を原料投入容器部に投入する場合、回転軸体Z1を操作して、加熱・汲出・容器部が誘導加熱コイル60の下方の位置(図7において溶解容器10aが実線で示されている位置)となるように、加熱・汲出・容器部の位置に対する誘導加熱コイル60の位置を、相対的に移動させる。また作業者は、加熱・汲出・容器部からのアルミニウム溶湯の汲出しを所望する場合、回転軸体Z1を操作して、誘導加熱コイル60の有効作用範囲A(図3参照)から外れた位置へと加熱・汲出・容器部を相対的に移動させる。
なお図7の構成において、溶解容器10aを、原料投入容器部と溶湯汲出容器部とを共通とした投入・汲出・容器部(共通の容器に相当)と、誘導加熱容器部との2つの容器部にて構成してもよい(投入・汲出・容器部と誘導加熱容器部は互いに連通されている)。この場合、誘導加熱コイル60の下方の位置に誘導加熱容器部が位置している際、投入・汲出・容器部が誘導加熱コイル60の有効作用範囲A(図3参照)から外れた位置となるように配置すれば、回転軸体Z1を省略することができる。
図8に示す非鉄金属溶解炉1bは、ベルトコンベアZ2(相対移動手段に相当)と、ベルトコンベアZ2に載置された溶解容器10bとにて構成されている。そして溶解容器10bは、原料投入容器部と誘導加熱容器部と溶湯汲出容器部とを共通とした投入・加熱・汲出・容器部330(共通の容器部に相当)にて構成されている。またベルトコンベアZ2は、例えば電動モータにて駆動される。そして作業者は、投入・加熱・汲出・容器部330からアルミニウム溶湯の汲出しを所望する場合、あるいは投入・加熱・汲出・容器部330へアルミニウム溶解原料の投入を所望する場合、ベルトコンベアZ2を操作して、誘導加熱コイル60の有効作用範囲A(図3参照)から外れた位置(図8において溶解容器10bが二点鎖線で示されている位置)へと投入・加熱・汲出・容器部330を相対的に移動させる。また作業者は、投入も汲出しも所望しない場合、ベルトコンベアZ2を操作して、投入・加熱・汲出・容器部330が誘導加熱コイル60の下方の位置(図8において溶解容器10bが実線で示されている位置)となるように、誘導加熱コイル60に対して投入・加熱・汲出・容器部330を相対的に移動させる。
本発明の「相対移動手段」に相当する回転軸体Z1(図7参照)及びベルトコンベアZ2(図8参照)は、これらの両者Z1,Z2に限定されるものではなく、各容器部の位置に対する誘導加熱コイル60の位置を相対的に移動させる構成であれば、どのようなものであってもよい。なお、図7,8において、図2〜図6と同一もしくは均等な構成・機能を有する箇所には同一の符号を付すことで、重複した説明を省略する。
●[コイルユニットの変更例1(図9〜図13)]
コイルユニットは、図2〜図8に示す第1コイルユニットUに代えて、図9〜図11に示す第2コイルユニットU2を採用してもよい。なお、図9〜図11において、図2〜図8と同一もしくは均等な構成・機能を有する箇所には同一の符号を付すことで、重複した説明を省略する。
図9に示す非鉄金属溶解炉1cの溶解容器10cは、例えば、既に説明した投入・加熱・汲出・容器部330(共通の容器部に相当)を有する。この投入・加熱・汲出・容器部330の上部に設けられた開口であり、投入用開口部と加熱用開口部と汲出用開口部とを共通した共通開口部332は、投入用開口蓋と加熱用開口蓋と汲出用開口蓋とを共通した保温蓋44cで覆われている。保温蓋44cは、共通開口部332を開閉可能である。なお、保温蓋44cは、当該保温蓋44cを厚み方向に略垂直に貫通した貫通孔45cを有する。貫通孔45cは、溶解容器10cと対向する面の側へ径が縮まるテーパー状に構成されている。
非鉄金属溶解炉1cは、図9に示すように、第2コイルユニットU2を有する。第2コイルユニットU2は、セラミックにて形成された筒体62と、筒体62に収容された誘導加熱コイル60と、を有する。筒体62は、その一方端が開放されている。誘導加熱コイル60は、筒体62の開放口から当該筒体62の外部へ延びて、高周波交流電源装置90に接続されている。高周波交流電源装置90から誘導加熱コイル60に供給される電力は、制御手段72にて制御される。なお、筒体62の一方端が開放されていることにより、高周波交流電源装置90からの電力供給時に例えば約30[℃]程度まで上昇する誘導加熱コイル60の熱が筒体62から開放される。
筒体62は、図9に示すように、保温蓋44cの貫通孔45cに挿通されている。筒体62における開放口近傍の外周面は、当該開放口側へ向けて径が拡がるテーパー部62aとなっている。このテーパー部62aは、貫通孔45cに嵌り込み、貫通孔45cの内壁で受け支えられている。なお、筒体62は略垂直に配置されている。また、筒体62は、溶解容器10cの内部において、アルミニウム溶湯Yに浸漬されている。
誘導加熱コイル60は、金属または合金を素材とした部材で形成されている。誘導加熱コイル60は、図9,図11に示すように、筒体62の軸線方向に直線状に延びた軸部60aと、軸部60aを螺旋状に取り巻く螺旋部60bと、を有する。軸部60aは、コイル軸60Jを形成し、略垂直に延びている。螺旋部60bは、アルミニウム溶湯Yの内部に位置している。
誘導加熱コイル60は、図11に示すように、螺旋部60bと対応する箇所にて磁力線Mfを形成する。磁力線Mfは、螺旋部60bをコイル軸60J方向に通り抜けて筒部62の外周側へ環を描くように形成されている。高周波交流電源装置90から供給される電力の周波数が例えば約13[KHz]の場合、誘導加熱コイル60が形成する誘導磁界の有効作用範囲Aは、筒体62の外周面から例えば約5[cm]程度離れた領域に及ぶ。そして、この有効作用範囲Aのうち、筒体62の外周面から所定距離離れた領域は、有効作用範囲Aにおいて最も効果的に誘導加熱が行われる、特定加熱領域Aspとなっている。特定加熱領域Aspは、筒体62の筒壁の肉厚に関わらず、例えば約13[KHz]の周波数の電力に対して約2〜3[mm]の範囲で形成される。
誘導加熱コイル60は、セラミックで形成された筒体62を直接加熱することなく、溶解容器10c内における誘導磁界有効温度以上のアルミニウム溶湯Y及び誘導磁界有効温度以上のアルミインゴットGを直接加熱する。
以上に説明した第2コイルユニットU2においては、誘導加熱コイル60がセラミックの筒体62に収容されていることから、誘導加熱コイル60を筒体62ごとアルミニウム溶湯Yに浸漬させて、当該溶湯Yの表面からではなく、当該溶湯Yの内部から当該溶湯Yに誘導磁界を作用させて当該溶湯Yを加熱することができる。したがって、アルミニウム溶湯Y及びそれに浸されるアルミインゴットGに対する加熱効率を高めることができる。
なお、図10に示すように、非鉄金属溶解炉1cは第2コイルユニットU2を例えば3個有する。非鉄金属溶解炉1cは、個々の第2個イルユニットU2が挿通された貫通孔45cを個別に有する。また、非鉄金属溶解炉1cは、個々の第2個イルユニットU2に電力を供給する高周波交流電源装置90を個別に有する。また、非鉄金属溶解炉1cは、個々の第2個イルユニットU2への電力の供給を制御する制御手段72を個別に有する。なお、第2コイルユニットU2は、溶解容器10cの容量や、高周波交流電源装置90の出力等に応じて、単数または複数の適切な数が設けられる。
ところで、溶解容器10cの周囲は、耐火モルタル等の断熱部材10zにて覆われている。図2〜図8の溶解容器10,10a,10bの周囲も、溶解容器10cと同様にして、耐火モルタル等の断熱部材(図示省略)にて覆われている。溶解容器10c及び、つぎに説明する溶解容器10d(図12参照)の構成は、図2〜図5の溶解容器10のように、原料投入容器部20,誘導加熱容器部30,容湯汲出容器部40等に分けてもよいし、図7の溶解容器10aのように、少なくとも2つの容器部を共通の容器部としてもよい。また、溶解容器10c,10dは、既に説明した相対移動手段を備えてもよい。
第2コイルユニットU2は、図12の非鉄金属溶解炉1dのように、斜めに傾斜して配置してもよい。この場合、保温蓋44dは、当該保温蓋44dを厚み方向に斜めに貫通した貫通孔45dを有する。そして、この貫通孔45dに、第2コイルユニットU2の筒体62が挿通されている。貫通孔45dは、図9に示す貫通孔45cと同様に、溶解容器10dと対向する面の側へ径が縮まるテーパー状に形成されている。そして、筒体62のテーパー部62aが、貫通孔45dの内壁で受け支えられている。誘導加熱コイル60のコイル軸60Jは、水平面に対して所定角度θ2で傾斜している。
非鉄金属溶解炉1dの構成においては、例えば溶解容器10dの側面が図12に示すように傾斜状に形成されることで、第2コイルユニットU2を垂直に配置できない場合でも、筒体62をアルミニウム溶湯Yの内部に浸漬させることができる。これによって、筒体62に収容された誘導加熱コイル60にて、アルミニウム溶湯Yの内部から当該溶湯Yに誘導磁界を作用させて当該溶湯Yを加熱することができる。したがって、アルミニウム溶湯Y及びそれに浸されるアルミインゴットGに対する加熱効率を高めることができる。なお、図12において、図2〜図11と同一もしくは均等な構成・機能を有する箇所には同一の符号を付すことで、重複した説明を省略する。
図9〜図12に示す第2コイルユニットU2に代えて、図13の非鉄金属溶解炉1cAが有する第2コイルユニットU2Aを採用してもよい。第2コイルユニットU2Aの筒体62は、保温蓋44cの貫通孔45cに挿通されて略垂直に配置される上側筒部63と、上側筒部63の下方にて垂直方向から水平方向に屈曲するとともに、溶解容器10cの底面に沿って延びる下側筒部64と、を有する。上側筒部63と下側筒部64とはそれぞれ、互いが対向する側の端部にフランジFrを有する。両筒部63,64は、互いのフランジFrが適宜の結合部材FrHで一体に結合されることで、一つながりに繋がれている。なお、上側筒部63は、その両端部が開放されている。下側筒部64は、上側筒部63と接続された側の端部のみが開放されている。上側筒部63及び下側筒部64は、例えばセラミックで構成されている。
図13に示すように、誘導加熱コイル60のコイル軸60Jは、溶解容器10cの底面に沿って水平に延びている。なお、図13において、図2〜図12と同一もしくは均等な構成・機能を有する箇所には同一の符号を付すことで、重複した説明を省略する。
非鉄金属溶解炉1cAの構成においては、誘導加熱コイル60が筒体62ごとアルミニウム溶湯Yに浸漬されているとともに、当該誘導加熱コイル60が溶解容器10cの底面に沿って配置されている。したがって、アルミニウム溶湯Yの内部から誘導磁界を作用させてアルミニウム溶湯Yを加熱することができるとともに、下方からアルミニウム溶湯Yが加熱されることで、加熱されたアルミニウム溶湯Yが上昇し、また、その上昇を相殺するように上方側のアルミニウム溶湯Yが下降して、アルミニウム溶湯Yの対流運動が促進される。この結果、アルミニウム溶湯Yが効率よく混合されることとなり、アルミニウム溶湯Y及びそれに浸されるアルミインゴットGに対する加熱効率を高めることができる。
●[コイルユニットの変更例2(図14,図15)]
コイルユニットとして、図14に示す非鉄金属溶解炉1eが有する第3コイルユニットU3を採用してもよい。なお、図14において、図2〜図13と同一もしくは均等な構成・機能を有する箇所には同一の符号を付すことで、重複した説明を省略する。
非鉄金属溶解炉1eは、当該非鉄金属溶解炉1eに対して、取付けと取外しとが可能に構成された溶解容器10eを有する。溶解容器10eの内部は、既に説明した投入・加熱・汲出・容器部330(共通の容器部に相当)となっている。投入・加熱・汲出・容器部330の共通開口部332は、保温蓋44eで覆われている。保温蓋44eは、ヒンジ軸HJ回りの回転によって、共通開口部332を開閉可能である。
溶解容器10eは、図14に示すように、ロボットハンドにて把持可能なロボット把持部46eを有する。例えばロボットハンドは、ロボット把持部46eを把持して溶解容器10eを非鉄金属溶解炉1eから取外し、溶解容器10e内のアルミニウム溶湯Yを鋳造機に流し込む。また、例えばロボットハンドを用いて溶解容器10eを外部に取外し、非鉄金属溶解炉1eの外部にて溶解容器10eにアルミインゴットGを投入した後、溶解容器10eを非鉄金属溶解炉1eに再度取付けて、つぎに説明する第3コイルユニットU3によってアルミインゴットGを誘導加熱してもよい。
溶解容器10eは、図14に示すように、収納空間14eに配置されている。収納空間14eの側方周りには、第3コイルユニットU3が配置されている。第3コイルユニットU3は、収容空間14eに配置された溶解容器10eの側方外周部(外周部)12eを螺旋状に周回する誘導加熱コイル60と、誘導加熱コイル60を支持する支持部材66と、を有する。支持部材66は絶縁体で構成されている。誘導加熱コイル60は、例えば、支持部材66の中に埋め込まれている。
誘導加熱コイル60は、支持部材66を直接加熱することなく、溶解容器10e内における誘導磁界有効温度以上のアルミニウム溶湯Y及び誘導磁界有効温度以上のアルミインゴットG、を直接加熱する。
以上に説明した第3コイルユニットU3の構成においては、誘導加熱コイル60が溶解容器10eの側方外周部12eの全周に亘って配置されていることから、溶解容器10e内のアルミニウム溶湯Yに対して、溶解容器10eを加熱することなく、その側方の全周から誘導加熱を作用させて当該溶湯Yを加熱することができる。したがって、溶解容器10eの側方の全周からの誘導加熱によって、アルミニウム溶湯Y及びそれに浸されるアルミインゴットGに対する加熱効率を高めることができる。
図14に示す第3コイルユニットU3に代えて、図15の非鉄金属溶解炉1eAが有する第3コイルユニットU3Aを採用してもよい。第3コイルユニットU3Aでは、図15に示すように、誘導加熱コイル60が溶解容器10eの下方外周部(外周部)13eに配置されている。詳述すると、誘導加熱コイル60は、溶解容器10eの下面に沿って、例えば渦巻き形状で配置されている。誘導加熱コイル60は、絶縁体である支持部材66aによって支持されている。なお、図15において、図2〜図14と同一もしくは均等な構成・機能を有する箇所には同一の符号を付すことで、重複した説明を省略する。
非鉄金属溶解炉1eAの構成においては、下方からアルミニウム溶湯Yが加熱されることで、加熱されたアルミニウム溶湯Yが上昇し、また、その上昇を相殺するように上方側のアルミニウム溶湯Yが下降して、アルミニウム溶湯Yの対流運動が促進される。この結果、アルミニウム溶湯Yが効率よく混合されることとなり、アルミニウム溶湯Y及びそれに浸されるアルミインゴットGに対する加熱効率を高めることができる。
●[誘導加熱コイルの構造(図16〜図19)]
誘導加熱コイル60の構造について、第2コイルユニットU2(図9,図12,図13参照)を構成する誘導加熱コイル60を例として説明する。誘導加熱コイル60は、内部が空洞とされたパイプ状の金属または合金を変形させて形成されている。誘導加熱コイル60の両端部は、冷却媒体循環手段である冷却媒体循環装置74に繋がれている。この冷却媒体循環装置74は、誘導加熱コイル60の内部に、冷却媒体(例えば水)を循環させる。誘導加熱コイル60の内部に冷却媒体を循環させることで、誘導加熱コイル60の温度上昇を抑制し、当該誘導加熱コイル60の体積抵抗値の増加に伴うエネルギー効率の低下や、当該誘導加熱コイル60の破損を回避できる。冷却媒体循環装置74は、例えば高周波交流電源装置90に取付けられている。冷却媒体循環装置74は、制御手段72に制御されて、誘導加熱コイル60内部に冷却媒体を循環させる。
図2〜図8に示す第1コイルユニットUおよび、図14,図15に示す第3コイルユニットU3においても、第2コイルユニットU2と同様にして、冷却媒体循環装置74によって誘導加熱コイル60の内部に冷却媒体を循環させている。
なお、第2コイルユニットを構成する誘導加熱コイル60の形状は、図11に示す形状に限定されるものではなく、例えば図17〜図19に示す形状に構成してもよい。図17に示す誘導加熱コイル60は、筒体62の側壁に沿って延びる2つの直線部601と、両直線部601の間を螺旋状に横切る螺旋部602と、を有する。図18に示す誘導加熱コイル60は、筒体62の軸線方向に延びる直線部611と、直線部611の先端において、その先端回りに渦巻いた渦巻き部612と、を有する。図19に示す誘導加熱コイル60は、筒体62の側壁に沿って延びる2つの直線部621と、両直線部621の間を筒体62の軸線方向に波打つ波打ち部622と、を有する。
●[溶解容器の構造(図20)]
溶解容器の壁部の構造について、図9の非鉄金属溶解炉1cを例として説明する。図20の拡大図に示すように、溶解容器10cの壁部は少なくとも3層を有する構造となっている。つまり、溶解容器10cは、内壁から外壁に向かって内壁層10s、中間層10t、外壁層10uの少なくとも3層を有する。内壁層10sは、例えばセラミックで形成されている。中間層10tは、例えば耐火モルタルといった断熱材で形成されている。外壁層10uは、鉄よりも体積抵抗率が小さな金属または合金で形成されている。
図20の構成においては、セラミックにて形成された内壁層10sによって、非常に高温であるアルミニウム溶湯Yに対する耐熱性が確保されている。また、断熱材にて形成された中間層10tによって、アルミニウム溶湯Yの熱を溶解容器10cの外部と遮断できる。そして、万一、内壁層10sと中間層10tとにヒビが入ってアルミニウム溶湯Yが漏れ出した場合でも、鉄よりも体積抵抗率の小さい金属または合金で形成された外壁層10uによって、溶解容器10cの外部にアルミニウム溶湯Yが漏れ出すことが防止される。なお、外壁層10uは、鉄よりも小さな体積低効率の金属または合金であるため、誘導磁界の作用で加熱されることがない。また、外壁層10uは、金属または合金であるので、衝撃に対して割れることなく変形する。したがって、溶解容器10cに衝撃が加わった場合でも、内部のアルミニウム溶湯Yが漏れないので安全である。
以上に説明した溶解容器の壁部の構造は、図2〜図8の溶解容器10,10a,10b及び、図12〜図15の溶解容器10c,10d,10eにおいて適用されている。
●[非鉄金属溶解原料及び非鉄金属溶湯の変更例(図21)]
図21は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及び家庭の調理器具に用いる鉄鋼、のそれぞれの体積抵抗率を示すグラフであり、縦軸は温度[℃]、横軸は体積抵抗率[μΩcm]を示している。なお、図1のアルミニウムと図21のアルミニウムとは、純度が異なるため、体積抵抗率の値が異なっている。また、図21の鉄鋼は、図1の鉄ではなく、IH調理器具等で使用する鉄鋼である。
例えば、家庭用調理器具の体積抵抗率は、図21のグラフ中の鉄鋼における0[℃]〜250[℃]の領域である約10〜12[μΩcm]である。したがって、体積抵抗率が10[μΩcm]以上の領域であれば、誘導磁界を用いて直接加熱することができる。
アルミニウム、マグネシウム、亜鉛のそれぞれは、それぞれに適した誘導磁界有効温度があり、それぞれの溶湯の目標温度が設定されている。例えばアルミニウムの純金属または合金の場合、誘導磁界有効温度は例えば約400[℃]以上であり、目標温度は約660[℃]の近傍の温度に設定することが好ましい。例えばマグネシウムの純金属または合金の場合、誘導磁界有効温度は例えば約300[℃]以上であり、目標温度は約650[℃]の近傍の温度に設定することが好ましい。例えば亜鉛の純金属または合金の場合、誘導磁界有効温度は例えば約200[℃]以上であり、目標温度は約420[℃]の近傍の温度に設定することが好ましい。
非鉄金属溶解原料及び非鉄金属溶湯の変更例についてさらに詳しく述べる。図1〜図20を用いて説明した実施形態において、非鉄金属溶解原料は、非鉄金属であるアルミニウムによって構成されたアルミニウム溶解原料であり、非鉄金属溶湯はアルミニウム溶解原料から生成されたアルミニウム溶湯であった。しかし、非鉄金属溶解原料は、非鉄合金であるアルミニウム合金(ジュラルミン系合金、Al−Mg系合金、Al−Si系合金、Al−Mn系合金、Al−Cu−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金、Al−Zn−Mg系合金など)によって構成されたアルミニウム合金溶解原料でもよく、非鉄金属溶湯は、アルミニウム合金溶解原料から溶け出して形成されたアルミニウム合金溶湯でもよい。なお、アルミニウム合金溶湯を液体状態に保持する温度である溶湯保持温度は例えば約670[℃]に設定される。ただし、溶湯保持温度は、アルミニウム合金の種類に応じて適切な温度に設定してよい。また、誘導磁界が有効に作用する温度である誘導磁界有効温度も、アルミニウム合金の種類に応じて適切な温度に設定される。
非鉄金属溶解原料は、非鉄金属であるマグネシウムによって構成された例えばマグネシウムインゴットといったマグネシウム溶解原料でもよく、非鉄金属溶湯は、マグネシウム溶解原料から溶け出して形成されたマグネシウム溶湯でもよい。図21からわかるように、マグネシウムの常温での体積抵抗率は約4[μΩcm]であり、鉄鋼と比較して非常に小さい。この体積抵抗率においては誘導磁界が有効に作用しない(誘導磁界を用いて直接加熱することが非常に困難である)。
しかし図21に示すように、マグネシウムは、加熱されると徐々にその体積抵抗率が増加する。そして、マグネシウムは、約300[℃]まで加熱されると、常温での鉄鋼に近い程度まで体積抵抗率が上昇し、誘導磁界が有効に作用するようになる(誘導磁界を用いて直接加熱できるようになる)。マグネシウムは、約350[℃]まで加熱されると、約12[μΩcm]の体積抵抗率となり、誘導磁界で直接加熱することが充分にできる。
そこで、非鉄金属溶解原料として、マグネシウム溶解原料を用いる場合には、誘導磁界有効温度が例えば約300[℃]以上である。また、非鉄金属溶湯であるマグネシウム溶湯を液体状態に保持する温度である溶湯保持温度は例えば約650[℃]に設定される。なお、マグネシウム溶解原料に関する誘導磁界有効温度及びマグネシウム溶湯の溶湯保持温度は、マグネシウム溶解原料に許容範囲内で含まれる不純物の量に応じて適切な温度に設定される。
非鉄金属溶解原料は、非鉄合金であるマグネシウム合金によって構成されたマグネシウム合金溶解原料でもよく、非鉄金属溶湯は、マグネシウム合金溶解原料から溶け出して形成されたマグネシウム合金溶湯でもよい。なお、マグネシウム合金溶湯を液体状態に保持する温度である溶湯保持温度は例えば約680[℃]に設定される。ただし、溶湯保持温度は、マグネシウム合金の種類に応じて適切な温度に設定してよい。また、マグネシウム合金溶解原料に関する誘導磁界有効温度も、マグネシウム合金の種類に応じて適切な温度に設定される。
非鉄金属溶解原料は、非鉄金属である亜鉛によって構成された例えば亜鉛インゴットといった亜鉛溶解原料でもよく、非鉄金属溶湯は、亜鉛溶解原料から溶け出して形成された亜鉛溶湯でもよい。図21からわかるように、亜鉛の常温での体積抵抗率は約6[μΩcm]であり、鉄鋼と比較して非常に小さい。この体積抵抗率においては誘導磁界が有効に作用しない(誘導磁界を用いて直接加熱することが非常に困難である)。
しかし図21に示すように、亜鉛は、加熱されると徐々にその体積抵抗率が増加する。そして、亜鉛は、約200[℃]まで加熱されると、常温での鉄鋼に近い程度まで体積抵抗率が上昇し、誘導磁界が有効に作用するようになる(誘導磁界を用いて直接加熱できるようになる)。亜鉛は、約300[℃]まで加熱されると、約12[μΩcm]の体積抵抗率となり、誘導磁界で直接加熱することが充分にできる。
そこで、非鉄金属溶解原料として、亜鉛溶解原料を用いる場合には、誘導磁界有効温度が例えば約200[℃]以上である。また、非鉄金属溶湯である亜鉛溶湯を液体状態に保持する温度である溶湯保持温度は例えば約420[℃]に設定される。なお、亜鉛溶解原料に関する誘導磁界有効温度及び亜鉛溶湯の溶湯保持温度は、亜鉛溶解原料に許容範囲内で含まれる不純物の量に応じて適切な温度に設定される。
非鉄金属溶解原料は、非鉄合金である亜鉛合金によって構成された亜鉛合金溶解原料でもよく、非鉄金属溶湯は、亜鉛合金溶解原料から溶け出して形成された亜鉛合金溶湯でもよい。なお、亜鉛合金溶湯を液体状態に保持する温度である溶湯保持温度は例えば約430[℃]に設定される。ただし、溶湯保持温度は、亜鉛合金の種類に応じて適切な温度に設定してよい。また、亜鉛合金溶解原料に関する誘導磁界有効温度も、亜鉛合金の種類に応じて適切な温度に設定される。
なお、以上の説明においては、非鉄金属溶解炉、非鉄金属溶解方法、及び非鉄金属溶解設備が、鋳造工程、つまり、アルミインゴットを含む、アルミニウムまたはマグネシウムまたは亜鉛の非鉄金属、あるいは、アルミニウムまたはマグネシウムまたは亜鉛の合金である非鉄合金の溶解に際して適用されていた。しかし、非鉄金属溶解炉、非鉄金属溶解方法、及び非鉄金属溶解設備は、上記の非鉄金属、または上記の非鉄合金そのもの(地金)を製造する際の溶解作業に適用することもできる。この場合、非鉄金属溶解設備は、鋳造機に代えて、上記の非鉄金属、または上記の非鉄合金そのものを製造するための金型を有する。
1,1a,1b,1c,1cA,1d,1e,1eA 非鉄金属溶解炉
10,10a,10b,10c,10d,10e 溶解容器
10s 内壁層
10t 中間層
10u 外壁層
12e 側方外周部(外周部)
13e 下方外周部(外周部)
20 原料投入容器部
22 投入用開口部
28 投入用開口蓋
30 誘導加熱容器部
32 加熱用開口部
38 加熱用開口蓋
40 溶湯汲出容器部
42 汲出用開口部
48 汲出用開口蓋
60 誘導加熱コイル
62 筒体
66,66a 支持部材
72 制御手段
74 冷却媒体循環装置(冷却媒体循環手段)
80 可動支持体(上下移動手段)
100 鋳造機
320 加熱・投入・容器部
330 投入・加熱・汲出・容器部
400 非鉄金属溶解設備
A 有効作用範囲
G アルミインゴット(非鉄金属溶解原料)
K 液面センサ(対溶湯面距離計測手段)
T 温度センサ(温度検出手段)
U 第1コイルユニット
U2 第2コイルユニット
U3 第3コイルユニット
Y アルミニウム溶湯(非鉄金属溶湯)
Z1 回転軸体(相対移動手段)
Z2 ベルトコンベア(相対移動手段)

Claims (15)

  1. 誘導磁界を用いて、アルミニウムもしくはマグネシウムもしくは亜鉛のいずれかの非鉄金属、またはアルミニウムもしくはマグネシウムもしくは亜鉛のいずれかの合金である非鉄合金、で構成された溶解原料である非鉄金属溶解原料を溶解するとともに前記非鉄金属溶解原料を溶解して得られる溶湯である非鉄金属溶湯を保持する非鉄金属溶解炉であって、
    誘導磁界を用いて直接加熱することが可能な体積抵抗率となる温度である誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶湯を保持するとともに、当該非鉄金属溶湯に少なくとも一部が浸された状態となるように固体状態の前記非鉄金属溶解原料が投入され、かつ、誘導磁界にて直接加熱されることがない材質で形成された溶解容器と、
    前記溶解容器に配置され、誘導磁界を用いて、前記溶解容器を直接加熱することなく、前記溶解容器内における前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶湯、または、前記溶解容器内における前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶湯及び前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶解原料、を直接加熱する誘導加熱コイルと、を有する、
    非鉄金属溶解炉。
  2. 請求項1に記載された非鉄金属溶解炉であって、
    前記溶解容器の上部に設けられた開口である加熱用開口部と、
    前記加熱用開口部を覆うように配置された蓋であって、誘導磁界を透過するとともに誘導磁界にて直接加熱されることがない材質で形成された蓋である加熱用開口蓋と、
    前記加熱用開口蓋の上側に配置されるとともに前記加熱用開口蓋と一体とされて前記加熱用開口部を覆う前記誘導加熱コイルと、
    前記誘導加熱コイルと前記加熱用開口蓋とが一体とされた第1コイルユニットを前記加熱用開口部に対して上下方向に移動させる上下移動手段と、を有する、
    非鉄金属溶解炉。
  3. 請求項2に記載された非鉄金属溶解炉であって、
    前記第1コイルユニットと、前記溶解容器内の前記非鉄金属溶湯の溶湯面との間の距離を検出する対溶湯面距離計測手段と、
    前記対溶湯面距離計測手段を用いて検出した距離に基づいて前記上下移動手段を制御して、前記溶湯面と前記第1コイルユニットとの上下方向の間隔を所定間隔に保持する制御手段と、を有する、
    非鉄金属溶解炉。
  4. 請求項1に記載された非鉄金属溶解炉であって、
    前記誘導加熱コイルへの電力を制御する制御手段と、
    前記溶解容器内に配置されるとともに、セラミックにて形成された筒体内に前記誘導加熱コイルを収容しかつ収容した前記誘導加熱コイルによる誘導磁界にて前記筒体を直接加熱することなく、前記溶解容器内における前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶湯、または、前記溶解容器内における前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶湯及び前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶解原料、を直接加熱する、単数または複数の第2コイルユニットと、を有する、
    非鉄金属溶解炉。
  5. 請求項1に記載された非鉄金属溶解炉であって、
    前記誘導加熱コイルへの電力を制御する制御手段と、
    絶縁体の支持部材に支持されて前記溶解容器の外周部に前記誘導加熱コイルが配置され、前記誘導加熱コイルによる誘導磁界にて、前記支持部材を直接加熱することなく、前記溶解容器内における前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶湯、または、前記溶解容器内における前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶湯及び前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶解原料、を直接加熱する第3コイルユニットと、を有する、
    非鉄金属溶解炉。
  6. 請求項3〜5のいずれか一項に記載された非鉄金属溶解炉であって、
    前記溶解容器内の前記非鉄金属溶湯の温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記温度検出手段を用いて検出した温度が、前記誘導磁界有効温度以上の温度に設定された溶湯保持温度を維持するように、前記誘導加熱コイルへの電力を制御する、
    非鉄金属溶解炉。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載された非鉄金属溶解炉であって、
    前記溶解容器は、前記非鉄金属溶解原料が投入される原料投入容器部と、前記誘導加熱コイルが配置される誘導加熱容器部と、前記非鉄金属溶湯が汲出される溶湯汲出容器部とを有し、前記原料投入容器部と前記誘導加熱容器部とが連通され、前記誘導加熱容器部と前記溶湯汲出容器部とが連通されている、
    非鉄金属溶解炉。
  8. 請求項7に記載された非鉄金属溶解炉であって、
    前記原料投入容器部及び前記溶湯汲出容器部は、前記誘導加熱コイルによる誘導磁界にて直接加熱される範囲である有効作用範囲から外れた位置に配置されている、
    非鉄金属溶解炉。
  9. 請求項7または8に記載された非鉄金属溶解炉であって、
    前記原料投入容器部は、その上部に設けられた開口である投入用開口部を有し、前記投入用開口部には、断熱材で形成された蓋である投入用開口蓋が設けられ、
    前記溶湯汲出容器部は、その上部に設けられた開口である汲出用開口部を有し、前記汲出用開口部には、断熱材で形成された蓋である汲出用開口蓋が設けられている、
    非鉄金属溶解炉。
  10. 請求項7に記載された非鉄金属溶解炉であって、
    前記溶解容器は、前記原料投入容器部と、前記誘導加熱容器部と、前記溶湯汲出容器部と、の少なくとも2つの容器部が共通の容器部とされており、
    前記誘導加熱容器部と前記原料投入容器部とが前記共通の容器部とされている場合、
    あるいは、前記誘導加熱容器部と前記溶湯汲出容器部とが前記共通の容器部とされている場合、
    あるいは、前記誘導加熱容器部と前記原料投入容器部と前記溶湯汲出容器部とが前記共通の容器部とされている場合、
    前記共通の容器部の位置に対する前記誘導加熱コイルの位置を相対的に移動させる相対移動手段を備えている、
    非鉄金属溶解炉。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載された非鉄金属溶解炉であって、
    前記溶解容器は、内壁から外壁に向かって内壁層、中間層、外壁層、の3層を少なくとも有しており、
    前記内壁層は、セラミックにて形成され、
    前記中間層は、断熱材にて形成され、
    前記外壁層は、鉄よりも体積抵抗率が小さな金属または合金で形成されている、
    非鉄金属溶解炉。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載された非鉄金属溶解炉であって、
    前記誘導加熱コイルは、内部が空洞とされたパイプ状の金属または合金にて形成されており、
    前記誘導加熱コイルの内部に冷却媒体を循環させる冷却媒体循環手段を備えている、
    非鉄金属溶解炉。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載された非鉄金属溶解炉を用いた非鉄金属溶解方法であって、
    前記溶解容器内における前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶湯の量が所定量未満である場合、
    前記誘導加熱コイルとは異なる加熱手段を用いて前記誘導磁界有効温度以上に加熱した前記非鉄金属溶解原料を前記溶解容器内に投入する、あるいは、前記溶解容器内に投入した前記非鉄金属溶解原料を前記誘導加熱コイルとは異なる加熱手段を用いて前記誘導磁界有効温度以上に加熱する、非誘導磁界加熱ステップと、
    前記誘導加熱コイルを用いて、前記溶解容器内における前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶解原料、または前記溶解容器内における前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶解原料及び前記誘導磁界有効温度以上の前記非鉄金属溶湯を、誘導磁界を用いて直接加熱する、誘導磁界直接加熱ステップと、を有する、
    非鉄金属溶解方法。
  14. 請求項13に記載された非鉄金属溶解方法であって、
    前記溶解容器内に所定量以上の前記非鉄金属溶湯を種湯として残し、前記種湯を、前記溶解容器内にて前記誘導磁界有効温度以上となるように前記誘導加熱コイルによる誘導磁界にて直接加熱して保持し、前記非鉄金属溶解原料を加熱することなく前記種湯に投入して溶解させる、
    非鉄金属溶解方法。
  15. 請求項1〜12のいずれか一項に記載された非鉄金属溶解炉を用いた非鉄金属溶解設備であって、
    前記非鉄金属溶湯を供給するべき鋳造機のそれぞれに対して、単数または複数の前記非鉄金属溶解炉が、それぞれの前記鋳造機に隣接する位置に配置されている、
    非鉄金属溶解設備。

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