JP2016101617A - 作業機 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、作業状況に応じた制御を実行可能な打撃作業機を提供する。【解決手段】モータのトルクを変速装置を介して作業工具に伝達するドライバ10であって、作業者により操作されて動作するシフトノブ41と、シフトノブ41の動作力が伝達されて動作し、かつ、変速装置の変速比を第1変速比から第2変速比に切り替えるスライドギヤと、変速装置のトルク伝達経路に配置され、受け持つトルクが所定値以下である場合は停止し、かつ、受け持つトルクが基準トルクを超えると回転してシフトノブ41を動作させる第1リングギヤR1と、を備えている。【選択図】図4

Description

本発明は、モータから作業工具に至るトルク伝達経路に変速装置が配置されている作業機に関する。
モータから作業工具に至るトルク伝達経路に変速装置が配置された作業機が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された作業機は、電動ドライバであり、電動モータのトルクが工具保持部材に伝達される。電動モータから工具保持部材に至るトルク伝達経路に変速装置が設けられている。
変速装置は、第1遊星歯車機構〜第2遊星歯車機構を有する。第1遊星歯車機構は、電動モータの回転軸に連結された第1サンギヤと、第1サンギヤと同心状に配置された第1リングギヤと、第1サンギヤ及び第1リングギヤに噛み合う複数の第1ピニオンギヤを自転及び公転可能に支持する第1キャリヤと、を備えている。第1リングギヤは、電動モータの出力軸の軸線を中心として所定角度内で回動可能である。
第2遊星歯車機構は、第1キャリヤと一体回転する第2サンギヤと、第2サンギヤと同心状に配置され、かつ、軸線方向に移動可能な第2リングギヤと、第2サンギヤ及び第2リングギヤに噛み合う複数の第2ピニオンギヤを自転及び公転可能に支持する第2キャリヤと、を備えている。第2リングギヤは、作業者が操作するシフトノブに接続されており、作業者がシフトノブを操作すると第2リングギヤが軸線方向に移動して、第1キャリヤに対して係合または解放される。
第3遊星歯車機構は、第2キャリヤと一体回転する第3サンギヤと、第3サンギヤと同心状に配置された第3リングギヤと、第3サンギヤ及び第3リングギヤに噛み合う複数の第3ピニオンギヤを自転及び公転可能に支持する第3キャリヤと、を備えている。第3キャリヤは、工具保持部材に連結されている。さらに、第3リングギヤの回転を規制する第2ブレーキが設けられている。
また、第1リングギヤ及び第2リングギヤに、第1リングギヤが受けるトルクで、第2リングギヤを軸線に沿った方向に移動させるカム機構が設けられている。さらに、第2リングギヤが第1キャリヤから解放された状態で、第2リングギヤの回転を防止する第1ブレーキが設けられている。さらに、第2リングギヤを第1キャリヤに係合させた状態に保持する弾性体が設けられている。
特許文献1に記載された作業機において、シフトノブが高速側に設定されていると、弾性体の力で、第2リングギヤは第1キャリヤに係合された状態にある。電動モータのトルクが第1サンギヤに伝達されると、第1リングギヤが反力要素となり、第1キャリヤからトルクが出力される。第2リングギヤは、第2ピニオンギヤに常時噛み合い、かつ、第1キャリヤに係合されている。このため、第2遊星歯車機構を構成する3つの回転要素は一体回転し、第2キャリヤからトルクが出力される。
特許文献1に記載された作業機において、作業工具の締め付けに必要なトルクが増加して、第1リングギヤが受け持つ反力トルクが増加すると、第1リングギヤは弾性体の力に抗して所定角度回転し、カム機構の作用で第2リングギヤが軸線方向に動作する。すると、第2リングギヤは第1キャリヤから解放され、かつ、第2ブレーキは第2リングギヤを停止する。
特開2000−254870号公報
しかしながら、特許文献1に記載された作業機は、変速装置の変速比を自動的に切り替えるために、専用の部品として弾性体を設けなければならず、部品点数が増加する問題があった。
本発明の目的は、部品点数を増加することなく、変速装置の変速比を自動的に変更することの可能な、作業機を提供することにある。
一実施形態の作業機は、モータのトルクを変速装置を介して作業工具に伝達する作業機であって、作業者により操作されて動作する操作部材と、前記操作部材の動作力が伝達されて動作し、かつ、前記変速装置の変速比を第1変速比から第2変速比に切り替える動作部材と、前記変速装置のトルク伝達経路に配置され、受け持つトルクが基準トルク以下である場合は停止し、かつ、受け持つトルクが基準トルクを超えると回転して前記操作部材を動作させる回転要素と、を備えている。
他の実施形態の作業機は、モータのトルクを変速装置を介して作業工具に伝達する作業機であって、前記変速装置を収容するケーシングと、前記変速装置のトルク伝達経路に配置され、かつ、受け持つトルクが基準トルクより大きくなると回転する回転要素と、作業者により操作されて動作するとともに、前記回転要素と接触する傾斜面を有し、かつ、前記回転要素の回転に連動して動作する操作部材と、を備え、前記傾斜面に作用するトルクによって前記操作部材と前記回転要素とが連動して動作すると前記変速装置の変速比を第1変速比から第2変速比に切り替える。
他の実施形態の作業機は、モータのトルクを変速装置を介して作業工具に伝達する作業機であって、前記変速装置を収容するケーシングと、前記変速装置のトルク伝達経路に配置され、かつ、受け持つトルクが基準トルクより大きくなると回転する回転要素と、作業者により操作されて動作するとともに、前記回転要素の回転に連動して動作する操作部材と、を備えている。
本発明では、変速装置の変速比を自動的に切り替えるために、専用の部品を設けずに済み、部品点数が増加することを抑制できる。
本発明の実施の形態であるドライバの正面断面図である。 図1のドライバに設けられた変速機で第1変速比が設定されている状態を示す正面断面図である。 (A),(B)は、図2の変速機のスケルトン図である。 図1のドライバの部分的な左側面断面図である。 図1のドライバの部分的な底面図である。 (A),(B)は、図1のドライバの部分的な正面断面図である。 図2の変速機で第1変速比が設定されている状態を示す共線図である。 図2の変速機で第2変速比が設定されている状態を示す共線図である。 図1のドライバの部分的な左側面断面図である。 図1のドライバの部分的な底面図である。 図1のドライバに設けられた変速機で第2変速比が設定されている状態を示す正面断面図である。 図1のドライバに設けられた変速機の特性を示す線図である。 図1のドライバの部分的な左側面断面図である。 図1のドライバの部分的な底面図である。 図1のドライバに緩衝機構を設けた部分的な左側面断面図である。 図1のドライバに緩衝機構を設けた部分的な左側面断面図である。 図1のドライバに緩衝機構を設けた部分的な底面図である。
以下、本発明の実施の形態であるドライバを図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すドライバ10は、外殻要素11と、外殻要素11内に設けられた電動モータ12と、外殻要素11の外に配置され、かつ、電動モータ12のトルクが伝達されるチャック13と、を備えている。チャック13に作業工具としてのドライバビットが取り付けられる。外殻要素11は、ケーシング14と、ケーシング14に連続するグリップ15と、を備えている。グリップ15におけるケーシング14とは反対の端部に装着部16が設けられ、電池パック17を装着部16に取り付けまたは取り外し可能である。
電池パック17は、電池セルを収容したケースである。電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池等を用いることができる。装着部16内に制御部18が設けられており、制御部18は、電池パック17から電動モータ12に印加する電圧、電流の向きを制御する。この制御により、電動モータ12の回転軸21の回転方向、回転数、トルクが制御される。
電動モータ12は、ケーシング14に固定されたステータ19と、ケーシング14内に回転可能に設けられたロータ20と、を有する。ステータ19は永久磁石を備え、ロータ20は、電圧が印加されるコイルを有する。ロータ20と共に一体回転する回転軸21が、ケーシング14内に設けられている。回転軸21を回転可能に支持する2個の軸受22,23がケーシング14内に設けられている。回転軸21の回転中心は軸線A1である。
ケーシング14の開口端14Aに取り付けられたクラッチダイヤル24が設けられている。クラッチダイヤル24は筒形状であり、チャック13はクラッチダイヤル24の外に配置される。ケーシング14内にフロントケース25が設けられ、ケーシング14内からクラッチダイヤル24内に亘ってリヤケース26が設けられている。リヤケース26は、軸線A1に沿った方向で電動モータ12とフロントケース25との間に配置されている。ケーシング14内に隔壁27が設けられており、隔壁27は、軸線A1に沿った方向で、電動モータ12とリヤケース26との間に配置されている。
フロントケース25及びリヤケース26は、ケーシング14に対して回転しない。フロントケース25及びリヤケース26は、共に筒形状であり、フロントケース25内及びリヤケース26内に亘って、変速装置28が配置されている。変速装置28は、回転軸21の回転数とチャック13の回転数との比を変更する動力伝達装置である。
変速装置28は、図2及び図3のように、第1遊星歯車機構29〜第3遊星歯車機構31を有する。第1遊星歯車機構29〜第3遊星歯車機構31は、変速装置28のトルク伝達経路を形成する。第1遊星歯車機構29は、回転軸21の外周面に設けた第1サンギヤS1と、第1サンギヤS1と同心状に配置された第1リングギヤR1と、第1サンギヤS1及び第1リングギヤR1に噛み合う複数の第1ピニオンギヤP1を自転、かつ、公転可能に支持する第1キャリヤC1と、を備えている。第1リングギヤR1は、リヤケース26の内周面に取り付けられ、かつ、軸線A1を中心として所定角度内で回動可能である。第1リングギヤR1を、所定角度内で回動可能とする構造は後述する。
第2遊星歯車機構30は、第1キャリヤC1にトルク伝達可能に接続された第2サンギヤS2と、第2サンギヤS2と同心状に配置された第2リングギヤR2と、第2サンギヤS2及び第2リングギヤR2に噛み合う複数の第2ピニオンギヤP2を自転、かつ、公転可能に支持する第2キャリヤC2と、を備えている。第2サンギヤS2は、第1キャリヤC1と共に一体回転する。リヤケース26内にスライドリング34が設けられている。スライドリング34は、軸線A1に沿った方向に移動可能であり、かつ、軸線A1を中心として回転可能である。第2リングギヤR2は、スライドリング34の内周面に形成されている。
第1キャリヤC1にアウターギヤ32が設けられ、スライドリング34の外周面にアウターギヤ35が設けられており、リヤケース26の内周面にブレーキギヤ36が設けられている。第2リングギヤR2は、軸線A1方向におけるスライドリング34の位置に関わりなく、第2ピニオンギヤP2と常時噛み合う。第2リングギヤR2は、スライドリング34が軸線A1方向に移動すると、アウターギヤ32に係合または解放される。アウターギヤ35は、スライドリング34が軸線A1方向に移動すると、ブレーキギヤ36に係合または解放される。
具体的に説明すると、第2リングギヤR2が、図3(A)のようにアウターギヤ32に係合すると、アウターギヤ35は、ブレーキギヤ36から解放される。これに対して、第2リングギヤR2が、図3(B)のようにアウターギヤ32から解放されると、アウターギヤ35は、ブレーキギヤ36に係合する。
第3遊星歯車機構31は、第2キャリヤC2と一体回転する第3サンギヤS3と、第3サンギヤS3と同心状に配置された第3リングギヤR3と、第3サンギヤS3及び第3リングギヤR3に噛み合う複数の第3ピニオンギヤP3を自転、かつ、公転可能に支持する第3キャリヤC3と、を備えている。第3キャリヤC3は、スピンドル33を介してチャック13にトルク伝達可能に接続されている。フロントケース25は、大径部25a及び小径部25bを備え、大径部25aの外径は小径部25bの外径よりも大きい。第3リングギヤR3は、大径部25a内に配置されている。このように、第1遊星歯車機構29〜第3遊星歯車機構31は、全てシングルピニオン型の遊星歯車機構である。
図4は、第1リングギヤR1を回動可能とする構造を示す。第1リングギヤR1の外周面に突起37,38が設けられている。突起37,38は、第1リングギヤR1の外周面から、径方向で外側に向けて突出されている。突起37は、第1リングギヤR1の円周方向に間隔をおいて複数箇所、具体的には、3箇所に設けられている。突起38は1箇所に設けられ、第1リングギヤR1の外周面に対する突起38の突出量は、第1リングギヤR1の外周面に対する突起37の突出量よりも長い。
リヤケース26の内周面にガイド溝39が設けられている。ガイド溝39は、リヤケース26の内周面に間隔をおいて3箇所に設けられている。3箇所のガイド溝39は、リヤケース26の円周方向に沿って、それぞれ円弧形状に設けられている。3箇所の突起37は、3箇所のガイド溝39内へ別々に配置されている。リヤケース26を径方向に貫通するガイド部40が設けられている。ガイド部40は、リヤケース26の円周方向に沿って円弧形状に設けられている。突起38は、ガイド部40内へ配置されている。突起38の先端は、リヤケース26の径方向で、リヤケース26の外周面よりも外側に配置されている。
第1リングギヤR1にトルクが加わると、突起38がガイド部40内で移動し、かつ、突起37がガイド溝39内で移動する。つまり、第1リングギヤR1はリヤケース26に対して回転する。そして、突起38がガイド部40の内壁に接触するか、または、突起37がガイド溝39の内壁に接触すると、第1リングギヤR1は停止する。このように、第1リングギヤR1は、リヤケース26に対して、円周方向に所定角度内で回動可能である。第1リングギヤR1が回動可能な所定角度は、リヤケース26の円周方向におけるガイド溝39の範囲、または、ガイド部40の範囲のうち、いずれか短い方の範囲により決定される。なお、ガイド溝39の範囲、または、ガイド部40の範囲は、同じでもよい。
一方、ケーシング14にシフトノブ41が取り付けられている。シフトノブ41は合成樹脂製である。シフトノブ41は、作業者の操作力または第1リングギヤR1のトルクで動作する。図5のように、ケーシング14に一対のガイド溝42が設けられている。一対のガイド溝42は互いに平行であり、かつ、軸線A1に沿って配置されている。一対のガイド溝42に2つの凹部43,44がそれぞれ設けられている。凹部43,44は、軸線A1に沿った方向で異なる位置に配置されている。
シフトノブ41は、互いに平行な一対の縁部45を備え、一対の縁部45は、一対のガイド溝42内へ別々に配置されている。また、一対の縁部45には突起46がそれぞれ設けられている。軸線A1に対して直角な方向で、一対のガイド溝42同士の間隔は、一対の突起46の先端同士の長さよりも短い。軸線A1に対して直角な方向で、一対の縁部45同士の幅は、一対のガイド溝42同士の間隔よりも短い。さらに、シフトノブ41に摘み47が設けられている。
ケーシング14に開口部48が設けられており、開口部48はケーシング14の内部と外部とをつなぐ。シフトノブ41はケーシング14内に配置され、摘み47は開口部48からケーシング14の外部に露出している。シフトノブ41に軸線A1方向の外力が加わると、加わった外力と、突起46とガイド溝42との接触箇所における摩擦力と、に基づいて、シフトノブ41が停止または移動する。
さらに、シフトノブ41において、ケーシング14内に配置されてる箇所に、ガイド壁49が設けられている。ガイド壁49は、シフトノブ41の表面から第1リングギヤR1に向けて突出されており、ガイド壁49に傾斜面50が設けられている。傾斜面50は、第1リングギヤR1の円周方向で、ガイド部40が設けられている範囲内に配置されている。つまり、第1リングギヤR1の径方向で、ガイド部40と開口部48との間に、傾斜面50が配置されている。傾斜面50は、シフトノブ41の底面視で直線状であり、傾斜面50は軸線A1に対して所定角度傾斜している。傾斜面50が軸線A1に対して傾斜する所定角度の技術的意味は後述する。
シフトノブ41の動作力をスライドリング34に伝達する機構は、図6(A),(B)に示されている。ケーシング14内にレバー51が設けられており、レバー51はリヤケース26に設けた支持軸52を支点として動作可能である。リヤケース26に開口部53が設けられており、レバー51の第1端部は開口部53に挿入され、かつ、スライドリング34の外周面に連結されている。レバー51の第2端部はシフトノブ41に連結されている。このため、シフトノブ41が軸線A1方向に動作すると、シフトノブ41の動作力は、支持軸52を支点とする梃子の原理でスライドリング34に伝達され、スライドリング34は、軸線A1方向に移動する。なお、シフトノブ41の動作力をスライドリング34に伝達する構成としては、支点を設けずに、シフトノブ41の移動によってスライドリング34を引っ張る構成や押す構成としてもよい。
さらに、図2に示すように、スピンドル33の出力トルクを調節する調節機構66が設けられている。小径部25bの外周面に雄ねじ54が設けられ、雄ねじ54に噛み合う雌ねじを有するナット55が設けられている。クラッチダイヤル24は、軸線A1を中心としてケーシング14に対して回転可能に取り付けられている。ナット55はクラッチダイヤル24内に配置されている。ナット55はクラッチダイヤル24に対して軸線A1に沿った方向に移動可能に、かつ、クラッチダイヤル24と一体回転するように設けられている。このため、作業者がクラッチダイヤル24を回転させると、ナット55は小径部25bの外周面に沿って軸線A1方向に移動する。
クラッチダイヤル24内にプレート56が設けられている。プレート56は環状であり、プレート56の内径は、小径部25bの外径よりも大きく、かつ、大径部25aの外径よりも小さい。プレート56は、小径部25bの外周に配置されており、ナット55とプレート56との間に、弾性部材としての圧縮ばね57が配置されている。
また、フロントケース25は、軸線A1を中心とする円周方向に間隔をおいて配置した複数の保持孔58を備えている。複数の保持孔58にそれぞれスチールボール59が配置されている。スチールボール59は、プレート56に接触する。さらに、フロントケース25とリヤケース26との間に、金属製のプレート60が介在されている。プレート60は環状であり、プレート60は第2キャリヤC2の外側に設けられている。プレート60は軸線A1方向に固定されており、第3リングギヤR3は、軸線A1に沿った方向でプレート60とスチールボール59との間に配置されている。
調節機構66は、クラッチダイヤル24、ナット55、圧縮ばね57、スチールボール59、プレート56,60により構成されている。圧縮ばね57の力は、プレート56、スチールボール59を介して第3リングギヤR3に伝達され、第3リングギヤR3はプレート60に押し付けられる。つまり、第3リングギヤR3は、軸線A1方向において、プレート60とスチールボール59とにより挟まれて、第3リングギヤR3に制動力が加えられる。第3リングギヤR3に加えられる制動力は、軸線A1方向におけるナット55の位置に応じた値となる。ナット55が軸線A1方向で第3リングギヤR3に近づくほど、第3リングギヤR3に加えられる制動力が増加する。
次に、ドライバ10の使用例を説明する。便宜上、クラッチダイヤル24を操作して第3リングギヤR3に加わる制動力が増加し、第3リングギヤR3が固定されているものとする。また、電動モータ12の回転軸21の回転方向を、正回転と逆回転とに切り替える切り替えスイッチが、外殻要素11に設けられている。切り替えスイッチは作業者により操作され、切り替えスイッチの操作信号は制御部18へ入力される。制御部18は、電動モータ12のロータ20に供給する電流の向きを変更して、回転軸21の回転方向を切り替える。なお、電動モータ12がブラシレスモータや誘導モータとした場合、ステータに供給する電流の向きを変更することで回転軸21の回転方向を切り替える。
さらに、図1のように、グリップ15にトリガ61が設けられており、作業者がトリガ61を操作すると、トリガスイッチ62がオンまたはオフされ、トリガスイッチ62から出力された信号は、制御部18へ入力される。制御部18は、電動モータ12のステータに電流を供給する経路を、接続または遮断する制御信号を出力する。
(ドライバ10の作用1)
まず、作業者が変速装置28の変速比を第1変速比に設定し、かつ、回転軸21が正回転してねじ部材を締め付けている場合に、変速装置28の変速比が自動的に切り替えられる作用を説明する。回転軸21の正回転は、図4における時計回りである。作業者は手でシフトノブ41を軸線A1方向に動作させて、変速装置28の変速比を設定する。作業者が、図2及び図6(A)のように、シフトノブ41を軸線A1方向で右側に停止させると、突起46は図4のように凹部43内に位置する。また、変速装置28は、図3(A)のように、第2リングギヤR2がアウターギヤ32と係合し、かつ、アウターギヤ35がブレーキギヤ36から解放され、スライドリング34が停止している。
ここで、電動モータ12の回転軸21が正回転する場合を、図7を参照して説明する。電動モータ12のトルクが第1サンギヤS1に入力されると、第1リングギヤR1が反力トルクを受け持ち、第1キャリヤC1からトルクが出力される。第2リングギヤR2は、第2ピニオンギヤP2に常時噛み合い、かつ、アウターギヤ32に係合され、アウターギヤ35はブレーキギヤ36から解放されている。このため、第2遊星歯車機構30を構成する第2サンギヤS2及び第2キャリヤC2及び第2リングギヤR2は、同一回転数である。
第2遊星歯車機構30から出力されたトルクが、第3遊星歯車機構31の第3サンギヤS3に伝達されると、固定されている第3リングギヤR3が反力トルクを受け持ち、第3キャリヤC3からトルクが出力される。第3キャリヤC3のトルクがスピンドル33を介してチャック13に伝達され、ねじ部材が締め付けられる。変速装置28の変速比は、入力要素である第1サンギヤS1の回転数と、出力要素である第3キャリヤC3の回転数と、から定まる第1変速比である。
ところで、回転軸21が正回転してねじ部材を締め付けている間、第1遊星歯車機構29の第1リングギヤR1は、図4で反時計回りの反力トルクT1を受け持つ。このため、第1リングギヤR1が受け持つ反力トルクT1に応じて、図5に示すように、突起38を傾斜面50に押し付ける力F1が生じる。シフトノブ41は、力F1の分力で軸線A1方向の力F2を受ける。力F2が、突起46と凹部43との係合力以下であると、シフトノブ41は図2の位置に停止している。つまり、スライドリング34は軸線A1方向に移動せず、変速装置28の変速比は、第1変速比に維持される。
一方、ねじ部材を締め付けるために必要なトルクが増加して、第1リングギヤR1が受け持つ反力トルクT1が増加すると、突起38を傾斜面50に押し付ける力F1も増加する。そして、シフトノブ41が受ける力F2が、突起46と凹部43との係合力を超えると、第1リングギヤR1が図4で反時計回りに回動し、かつ、シフトノブ41は図2で左へ向けて移動する。つまり、第1リングギヤR1が回動する動作に連動して、シフトノブ41が移動する。そして、突起38が、図9のようにガイド部40の内壁に接触して第1リングギヤR1が停止し、かつ、突起46が、図10のように凹部44に没入し、シフトノブ41が、図11の位置で停止する。
シフトノブ41が図2で左方向へ移動する動作力は、レバー51を経由してスライドリング34に伝達され、スライドリング34は図2で右方向に移動し、図11の位置で停止する。スライドリング34が図11の位置で停止した状態では、図3(B)のように、アウターギヤ35とブレーキギヤ36とが係合し、かつ、第2リングギヤR2はアウターギヤ32から解放される。
このように、アウターギヤ35とブレーキギヤ36とが係合し、かつ、第2リングギヤR2はアウターギヤ32から解放されると、第2遊星歯車機構30は、第2リングギヤR2が反力要素となり、第2サンギヤS2へ入力されたトルクは、第2キャリヤC2から出力される。ここで、図8のように、第2キャリヤC2の回転数は、第2サンギヤS2の回転数よりも低い。また、第3遊星歯車機構31において、第3サンギヤS3の回転数は、第2サンギヤS2の回転数と同じであり、第3キャリヤC3の回転数は、第3サンギヤS3の回転数よりも低い。
変速装置28の変速比は、第1変速比よりも大きい第2変速比であり、電動モータ12のトルクに対するねじ部材の締め付けトルクの増幅割合が増加する。なお、第1リングギヤR1が受け持つ反力トルクT1が増加して、第1リングギヤR1が図4で反時計回りに所定角度回動する作用は、便宜上、図7及び図8に示されていない。
このように、ドライバ10は、回転軸21が正回転してねじ部材を締め付けている場合に、第1リングギヤR1で受け持つ反力トルクT1が増加して、第1リングギヤR1が図4で反時計回りに回動すると、第1リングギヤR1のトルクがレバー51を介してスライドリング34に伝達され、スライドリング34が軸線A1に沿った方向に移動する。その結果、変速装置28の変速比が、第1変速比から第2変速比へ切り替わる。つまり、作業者がシフトノブ41を手で操作することなく、また、電動モータ12を一旦停止させることなく、変速装置28の変速比を第1変速比から第2変速比へ切り替えることができ、作業性が向上する。
また、変速装置28で第2変速比が設定されると、第1リングギヤR1で受け持つ反力トルクT1が変化しても、シフトノブ41が図10で右方向に動作することはなく、変速装置28の第2変速比が維持される。このため、変速装置28で第2変速比が設定され、かつ、回転軸21が正回転してねじ部材を締め付けている場合に、ねじ部材を締め付けるために必要なトルクが増加しても、スライドリング34が図3(B)の位置から左方向へ移動することを防止できる。
(ドライバ10の作用2)
次に、作業者が手でシフトノブ41を軸線A1方向に動作させて、変速装置28の変速比を切り替える作業を説明する。作業者が、図2及び図6(A)のように、シフトノブ41を軸線A1方向で右側に停止させると、突起46は図4のように凹部43内に位置する。また、変速装置28は、図3(A)のように、第2リングギヤR2がアウターギヤ32と係合し、かつ、アウターギヤ35がブレーキギヤ36から解放される。つまり、変速装置28の変速比は第1変速比である。
これに対して、作業者がシフトノブ41を手で操作して、図2の位置から左方向に移動させる。すると、シフトノブ41の動作力がレバー51を介してスライドリング34に伝達され、スライドリング34は図2で左方向に動作し、スライドリング34は図11の位置で停止する。スライドリング34が図11の位置で停止すると、図3(B)のように、アウターギヤ35とブレーキギヤ36とが係合し、かつ、第2リングギヤR2はアウターギヤ32から解放される。つまり、変速装置28の変速比は第2変速比である。
なお、変速装置28の変速比を第2変速比から第1変速比へ切り替える場合、作業者がシフトノブ41を手で図11の右方向へ動作させる。すると、シフトノブ41の動作力がレバー51を経由してスライドリング34に伝達され、スライドリング34が図11で左方向へ移動し、図2の位置で停止する。その結果、変速装置28の変速比が第2変速比から第1変速比へ切り替わる。シフトノブ41を図11の位置から図2の位置へと移動させる過程で、傾斜面50が突起38に押し付けられる。このため、第1リングギヤR1は、シフトノブ41の動作力に応じて生じる分力で、図9の時計回りに所定角度回動し、図4の位置に戻り停止する。また、突起38と傾斜面50との位置関係は、図5に示す状態となる。
本実施形態のドライバ10は、変速装置28の変速比を手動で切り替えるために、シフトノブ41、スライドリング34、レバー51を備えている。また、電動モータ12の負荷、つまり、ねじ部材を締め付けるために必要なトルクに応じて変速装置28の変速比を切り替える場合、第1リングギヤR1の動作力が、シフトノブ41、レバー51を経由してスライドリング34に伝達され、変速装置28の変速比が第1変速比から第2変速比へ切り替えられる。つまり、既存の部品を用いて変速装置28の変速比を自動で切り替えることができ、新たに部品を追加する必要もない。したがって、ドライバ10の製造コストが上昇することを抑制できる。
(変速装置28の変速時期)
図12は、電動モータ12の回転数及びトルクの特性を示す線図である。第1特性線D1は、第1変速比における電動モータ12の特性を表し、第2特性線D2は、第2変速比における電動モータ12の特性を表す。2つの特性線は、共に回転数が低いほど、高トルクである。回転数Nmであり、かつ、トルクTmに、第1特性線D1と第2特性線D2との交点Q1がある。回転軸21のトルクがトルクTm未満における第1特性線D1の回転数は、第2特性線D2の回転数よりも高い。これに対して、回転軸21のトルクがトルクTmを超えると、第1特性線D1の回転数は、第2特性線D2の回転数よりも低い。
このため、変速装置28で第1変速比を設定し、かつ、回転軸21を正回転させてねじ部材を締め付ける場合に、回転軸21の回転数が低下して、回転軸21のトルクがトルクTmとなった時点で、変速装置28の変速比が第1変速比から第2変速比に切り替わる。したがって、変速装置28の変速比の切り替わりに伴うチャック13の回転数の急変動を抑制でき、作業者が違和感を持つことを回避できる。
ドライバ10において、変速装置28の変速比が第1変速比から第2変速比に切り替わる時期は、以下のようにして設計可能である。本実施形態において、第1リングギヤR1が受け持つ反力トルクT1で第1リングギヤR1が回動し、シフトノブ41が軸線A1方向に動作して変速装置28の変速比を第1変速比から第2変速比に切り替える場合、シフトノブ41を動作させるために必要な力F2は、突起46と凹部43との係合力と、力F1の分力と、に基づいて決定される。突起46と凹部43との係合力が大きいほど、必要な力F2が大きくなる。また、力F1の分力は、傾斜面50の角度θ1に応じた値となる。角度θ1は、傾斜面50と、ガイド溝42の平行な直線との間における鋭角側の角度であり、この角度θ1が大きいほど、大きい分力が生じる。
したがって、回転軸21を正回転させてねじ部材を締め付けている場合に、回転軸21のトルクがトルクTmとなった時点で、変速装置28の変速比が第1変速比から第2変速比に自動的に切り替わるように、突起46と凹部43との係合力、傾斜面50の角度θを、設計すればよい。
(ドライバ10の作用3)
次に、ドライバ10を用いてねじ部材を緩める場合の操作及び作用を説明する。まず、作業者は切り替えスイッチを操作して、電動モータ12の回転軸21を逆回転に設定する。また、作業者は、シフトノブ41を図2に示す位置へ操作して、変速装置28の変速比を第1変速比に設定できる。そして、トリガスイッチ62がオンされて電動モータ12の回転軸21が逆回転すると、第1遊星歯車機構29の第1サンギヤS1及び第1キャリヤC1、第2遊星歯車機構30の回転要素、第3遊星歯車機構31の第3サンギヤS3及び第3キャリヤC3は、全て逆回転し、チャック13は第3キャリヤC3のトルクで逆回転し、ねじ部材が緩められる。
図4に示す回転軸21が、反時計回りに逆回転してねじ部材を緩める場合、第1リングギヤR1が受け持つ反力トルクT2は時計回りである。つまり、突起38に対して図5に示すように力F3が加わる。この力F3は、力F1とは逆向きであり、かつ、傾斜面50から離れる向きである。このため、力F3が生じても、シフトノブ41に力F1が加わることはなく、スライドリング34は図2の位置に停止している。したがって、変速装置28の変速比は第1変速比に維持される。
一方、電動モータ12の回転軸21を逆回転させる場合は、予め、作業者が手でシフトノブ41を図11で示す位置へ操作して、変速装置28の変速比を第1変速比から第2変速比に切り替えることができる。
また、回転軸21が図13において反時計回りに逆回転してねじ部材を緩める場合、変速装置28の変速比に関わりなく、第1リングギヤR1が受け持つ反力トルクT2は時計回りである。このため、突起38に図14のように力F4が加わる。力F4は、力F1と逆向きであり、かつ、傾斜面50から離れる向きである。したがって、第1リングギヤR1が受け持つ反力トルクT2に関わりなく、変速装置28の変速比は第2変速比に維持される。なお、回転軸21を逆回転させる場合、作業者は、予め、シフトノブ41を手で操作して、変速装置28の変速比を第2変速比から第1変速比に切り替えることができる。
(ドライバ10の作用4)
調節機構66は、作業者がクラッチダイヤル24を操作して、ナット55をプレート56に近づける向きで移動させると、第3リングギヤR3に加わる制動力が増加する。これに対して、ナット55をプレート56から離れる向きで移動させると、第3リングギヤR3に加わる制動力が低下する。回転軸21を逆回転してねじ部材を締め付ける場合に、第3リングギヤR3に加わる制動力を調整して、第3リングギヤR3が反力トルクで逆回転するようにしてもよい。
回転軸21の回転数が同じであれば、第3リングギヤR3が逆回転する場合における変速装置28の変速比は、第3リングギヤR3が停止している場合における変速装置28の変速比よりも大きくなる。したがって、ねじ部材を締め付けるトルクを一層増加できる。
(ドライバ10に緩衝機構を設ける例)
図15は、ドライバ10に緩衝機構を設けた例を示す。この緩衝機構は、回転軸21の回転方向を正回転から逆回転に切り替えた場合に、第1リングギヤR1の回動で生じる振動を低減する。変速装置28で第2変速比が設定され、かつ、電動モータ12の回転軸21が正回転した後に停止すると、図9に示す軸線A1を中心とする回転方向で、突起38はガイド部40の内壁に接触し、かつ、突起37はガイド溝39の内壁に接触している。
そして、変速装置28で第2変速比が設定されている状態で、切り替えスイッチが操作されて回転軸21が逆回転、つまり、反時計回りに回転すると、第1サンギヤS1の反力トルクを受け持つ第1リングギヤR1は、停止している状態から時計回りに所定角度回動して停止する。第1リングギヤR1が時計回りに回転した後に突起38が接触するガイド部40の内壁に緩衝材63が取り付けられ、第1リングギヤR1が時計回りに回転した後に突起37が接触するガイド溝39の内壁に緩衝材64が取り付けられている。
ここで、回転軸21が逆回転した場合に突起38が接触するガイド部40の内壁は、回転軸21が停止している場合に突起38が接触するガイド部40の内壁に対して、軸線A1を中心とする回転方向で反対に位置する。また、回転軸21が逆回転した場合に突起37が接触するガイド溝39の内壁は、回転軸21が停止している場合に突起37が接触するガイド溝39の内壁に対して、軸線A1を中心とする回転方向で反対に位置する。
このため、図9で第1リングギヤR1が時計回りに回転すると、図15のように、突起38が緩衝材63に接触し、かつ、突起37が緩衝材63に接触して、第1リングギヤR1が停止する。したがって、第1リングギヤR1の回動で生じる振動を、緩衝材63,64が弾性変形して緩和する。
図16及び図17は、ドライバ10に緩衝機構を設けた例を示す。この緩衝機構は、図13のように、回転軸21が正回転し、かつ、変速装置28で第1変速比が設定されている場合に、ねじ部材の締め付けに必要なトルクが増加して、第1リングギヤR1が図13の反時計回りに回動した場合に生じる振動を低減する。
図16及び図17に示すように、傾斜面50に緩衝材65が固定されている。このため、第1リングギヤR12が図12に示す位置から反時計回りに回動すると、突起38は、図16及び図17のように緩衝材65に接触し、第1リングギヤR1が停止する。緩衝材63,64,65としては、バネ、または合成ゴムを用いることができる。
ここで、本実施形態で説明した事項と、本発明の構成との対応関係を説明すると、ドライバ10が、本発明の作業機に相当し、電動モータ12が、本発明のモータに相当し、変速装置28が、本発明の変速装置に相当し、シフトノブ41が、本発明の操作部材に相当し、スライドリング34が、本発明の動作部材に相当する。
また、第1遊星歯車機構29が、本発明の第1遊星歯車機構に相当し、第2遊星歯車機構30が、本発明の第2遊星歯車機構に相当し、第3遊星歯車機構31が、本発明の第3遊星歯車機構に相当し、第1リングギヤR1が、本発明の回転要素及び反力要素に相当し、第1サンギヤS1が、本発明の入力要素に相当し、第1キャリヤC1が、本発明の出力要素に相当する。また、第1サンギヤS1が、本発明の第1サンギヤに相当し、第1リングギヤR1が、本発明の第1リングギヤに相当し、第1キャリヤC1が、本発明の第1キャリヤに相当する。
さらに、第2サンギヤS2が、本発明の第2サンギヤに相当し、第2リングギヤR2が、本発明の第2リングギヤに相当し、第2キャリヤC2が、本発明の第2キャリヤに相当する。さらに、第3サンギヤS3が、本発明の第3サンギヤに相当し、第3リングギヤR3が、本発明の第3リングギヤに相当し、第3キャリヤC3が、本発明の第3キャリヤに相当する。さらに、アウターギヤ32が、本発明のアウターギヤに相当し、ブレーキギヤ36が、本発明のブレーキギヤに相当する。
さらにまた、調節機構66が、本発明の調節機構に相当し、ケーシング14が、本発明のケーシングに相当する。さらに、本発明の動作力決定機構は、凹部43、突起46、傾斜面50を含む。さらに、第1リングギヤR1が図4で反時計回りに回転する直前の反力トルクT1が、本発明の基準トルクに相当する。なお、本発明における基準トルクは、突起46と凹部43との係合力、傾斜面50の角度θ1に応じて変更できる。さらに、緩衝材63,64,65が、本発明の緩衝材に相当する。第1特性線D1が、本発明の第1特性線に相当し、第2特性線D2が、本発明の第2特性線に相当し、交点Q1が、本発明の交点に相当する。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、シフトノブ41の操作に必要な力を決定する突起及び凹部は、突起をケーシングに設け、凹部をシフトノブ41に設けてもよい。作業工具にトルクを伝達するモータは、電動モータの他、油圧モータ、空気圧モータ、内燃機関を含む。モータとして電動モータを用いる場合、電動モータに電流を供給する電源は、直流電源または交流電源のいずれでもよい。直流電源は、装着部に着脱される電池パックを含む。交流電源を用いる場合、電動モータと交流電源とを接続する電力ケーブルを、外殻要素に設ける。また、電動モータは、ブラシ付きの整流子モータ、ブラシレスモータ、誘導モータのいずれでもよい。
また、変速機を構成する遊星歯車機構は、シングルピニオン型の遊星歯車機構に代えて、ダブルピニオン型の遊星歯車機構を用いてもよい。緩衝材は、突起37、または突起38に取り付けることも可能である。また、緩衝材は、図16で第1リングギヤR1が反時計回りに回転した後に突起38が接触するガイド部40の内壁や、第1リングギヤR1が反時計回りに回転した後に突起37が接触するガイド溝39の内壁に取り付けることも可能である。本発明の作業機は、作業工具が着脱可能である構造、作業工具が取り付けられている構造を含む。
10…ドライバ、12…電動モータ、14…ケーシング、28…変速装置、29…第1遊星歯車機構、30…第2遊星歯車機構、31…第3遊星歯車機構、32…アウターギヤ、34…スライドリング、36…ブレーキギヤ、41…シフトノブ、43…凹部、46…突起、50…傾斜面、63,64,65…緩衝材、66…調節機構、C1…第1キャリヤ、C2…第2キャリヤ、C3…第3キャリヤ、D1…第1特性線、D2…第2特性線、Q1…交点、R1…第1リングギヤ、R2…第2リングギヤ、R3…第3リングギヤ、S1…第1サンギヤ、S2…第2サンギヤ、S3…第3サンギヤ。

Claims (14)

  1. モータのトルクを変速装置を介して作業工具に伝達する作業機であって、
    作業者により操作されて動作する操作部材と、
    前記操作部材の動作力が伝達されて動作し、かつ、前記変速装置の変速比を第1変速比から第2変速比に切り替える動作部材と、
    前記変速装置のトルク伝達経路に配置され、受け持つトルクが基準トルク以下である場合は停止し、かつ、受け持つトルクが基準トルクを超えると回転して前記操作部材を動作させる回転要素と、
    を備えている、作業機。
  2. 前記第2変速比は、前記第1変速比よりも大きい、請求項1に記載の作業機。
  3. 前記変速装置は、
    前記モータからトルクが入力される入力要素と、
    前記入力要素に入力されたトルクの反力トルクを受け持つ反力要素と、
    前記入力要素に入力されたトルクを前記作業工具へ伝達する出力要素と、
    を備えた第1遊星歯車機構を含み、
    前記反力要素が、前記回転要素である、請求項1または2に記載の作業機。
  4. 前記第1遊星歯車機構は、
    互いに同心状に配置された第1サンギヤ及び第1リングギヤと、
    前記第1サンギヤ及び第1リングギヤに噛み合う第1ピニオンギヤを、自転、かつ、公転可能に支持する第1キャリヤと、
    を備え、
    前記第1サンギヤが、前記入力要素であり、
    前記第1リングギヤが、前記反力要素であり、
    前記第1キャリヤが、前記出力要素である、請求項3に記載の作業機。
  5. 前記変速装置を収容したケーシングが設けられ、
    前記変速装置は、第2遊星歯車機構及び第3遊星歯車機構を備え、
    前記第2遊星歯車機構は、
    互いに同心状に配置された第2サンギヤ及び第2リングギヤと、
    前記第2サンギヤ及び第2リングギヤに噛み合う第2ピニオンギヤを、自転、かつ、公転可能に支持する第2キャリヤと、
    を備え、
    前記第3遊星歯車機構は、
    互いに同心状に配置された第3サンギヤ及び第3リングギヤと、
    前記第3サンギヤ及び第3リングギヤに噛み合う第3ピニオンギヤを、自転、かつ、公転可能に支持する第3キャリヤと、
    を備え、
    前記第2サンギヤが、前記第1キャリヤにトルク伝達可能に接続され、
    前記第3キャリヤが、前記作業工具にトルク伝達可能に接続され、
    前記動作部材は、前記モータの回転中心である軸線に沿った方向に動作可能であり、
    前記第1キャリヤに、アウターギヤが設けられ、
    前記第2リングギヤは、前記動作部材に設けられ、
    前記ケーシングに固定されたブレーキギヤが設けられ、
    前記変速装置は、前記動作部材が動作して前記第2リングギヤが前記アウターギヤに係合され、かつ、前記動作部材が前記ブレーキギヤから解放されて第1変速比となり、
    前記変速装置は、前記動作部材が動作して前記第2リングギヤが前記アウターギヤから解放され、かつ、前記動作部材が前記ブレーキギヤに係合して第2変速比となる、請求項4に記載の作業機。
  6. 前記第3リングギヤの回転数を調整する調節機構が設けられている、請求項5に記載の作業機。
  7. 前記操作部材は、前記ケーシングに動作可能に取り付けられ、
    前記操作部材の操作に必要な動作力を決定する動作力決定機構が設けられている、請求項5または6に記載の作業機。
  8. 前記動作力決定機構は、前記操作部材に設けられ、かつ、前記回転要素が接触する傾斜面を含む、請求項7に記載の作業機。
  9. 前記動作力決定機構は、前記操作部材及び前記ケーシングに設けられ、かつ、互いに係合する突起及び凹部を含む、請求項7または8に記載の作業機。
  10. 停止している前記回転要素が受け持つトルクが基準トルクを超えて回転し、その後に前記回転要素が停止する際の振動を低減する緩衝材が設けられている、請求項7〜9のいずれか1項に記載の作業機。
  11. 前記第1変速比から前記第2変速比への切り替えは、前記モータの回転数が、前記第1変速比における前記モータの回転数及びトルクの特性を表す第1特性線と、前記第2変速比における前記モータの回転数及びトルクの特性を表す第2特性線との交点に相当する回転数になると行われる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の作業機。
  12. モータのトルクを変速装置を介して作業工具に伝達する作業機であって、
    前記変速装置を収容するケーシングと、
    前記変速装置のトルク伝達経路に配置され、かつ、受け持つトルクが基準トルクより大きくなると回転する回転要素と、
    作業者により操作されて動作するとともに、前記回転要素と接触する傾斜面を有し、かつ、前記回転要素の回転に連動して動作する操作部材と、
    を備え、
    前記傾斜面に作用するトルクによって前記操作部材と前記回転要素とが連動して動作すると前記変速装置の変速比を第1変速比から第2変速比に切り替える、作業機。
  13. モータのトルクを変速装置を介して作業工具に伝達する作業機であって、
    前記変速装置を収容するケーシングと、
    前記変速装置のトルク伝達経路に配置され、かつ、受け持つトルクが基準トルクより大きくなると回転する回転要素と、
    作業者により操作されて動作するとともに、前記回転要素の回転に連動して動作する操作部材と、
    を備えている、作業機。
  14. 前記操作部材は、前記回転要素と接触する傾斜面を有し、
    前記回転要素の回転によって前記傾斜面にトルクが作用すると前記操作部材が動作して前記変速装置の変速比を第1変速比から第2変速比に切り替える、請求項13に記載の作業機。
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