この発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。この発明に係る眼科撮影装置は、被検眼の光コヒーレンストモグラフィ(OCT)を実行する。このOCTは、たとえば眼底や前眼部など、被検眼の任意の部位に対して実行される。
この明細書では、OCTによって取得される画像をOCT画像と総称することがある。また、この明細書において引用された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として援用することが可能である。
以下の実施形態では、フーリエドメインタイプのOCTを実行可能な眼科撮影装置について説明する。特に、実施形態に係る眼科撮影装置は、スウェプトソースタイプのOCTの手法を適用可能である。なお、スウェプトソースタイプ以外のタイプ、たとえばスペクトラルドメインタイプのOCTを実行可能な眼科撮影装置に対して、この発明に係る構成を適用することも可能である。また、以下の実施形態ではOCT装置と眼底カメラとを組み合わせた装置について説明するが、眼底カメラ以外のモダリティ、たとえばSLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡などに、実施形態に係る構成を有するOCT装置を組み合わせることも可能である。また、実施形態に係る構成を、単体のOCT装置に組み込むことも可能である。
[構成]
図1に示すように、眼科撮影装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100および演算制御ユニット200を含んで構成される。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット100には、OCTを実行するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
〔眼底カメラユニット〕
図1に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。撮影画像は、たとえば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、または近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、たとえばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。
眼底カメラユニット2には、被検者の顔を支持するための顎受けや額当てが設けられている。さらに、眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの測定光を被検眼Eに導くとともに、被検眼Eを経由した測定光をOCTユニット100に導く。
照明光学系10の観察光源11は、たとえばハロゲンランプまたはLED(Light Emitting Diode)により構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。さらに、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19およびリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。さらに、この眼底反射光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、たとえば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系30のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
撮影光源15は、たとえばキセノンランプまたはLEDにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置3と撮影画像を表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。また、撮影光源としてLEDを用いることも可能である。
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底撮影時やOCT時などに使用される。
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー33Aにて反射され、ミラー32に反射され、合焦レンズ31およびダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、たとえば従来の眼底カメラと同様に、眼底Efの黄斑を中心とする画像を取得するための位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置や、黄斑と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。また、固視標の表示位置を任意に変更することも可能である。
さらに、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、被検眼Eに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53およびリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に投影される。
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46および上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を通過し、ミラー32により反射され、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。さらに、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して合焦レンズ31およびフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路からOCT用の光路を分岐させている。ダイクロイックミラー46は、OCTに用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、バリアブルクロスシリンダーレンズ(以下、VCCレンズ)47と、光スキャナ42と、合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。
光路長変更部41は、図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT用の光路の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、たとえばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
光スキャナ42は、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置に配置されている。光スキャナ42は、OCT用の光路を通過する光(測定光LS)の進行方向を変更する。それにより、被検眼Eを測定光LSで走査することができる。光スキャナ42は、たとえば、測定光LSをx方向に走査するガルバノミラーと、y方向に走査するガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、測定光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。
〔OCTユニット〕
OCTユニット100の構成の一例を図2に示す。OCTユニット100には、被検眼EのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスウェプトソースタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、波長走査型(波長掃引型)光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光を検出する干渉光学系である。干渉光学系による干渉光の検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを示す信号であり、演算制御ユニット200に送られる。
光源ユニット101は、一般的なスウェプトソースタイプのOCT装置と同様に、出射光の波長を走査(掃引)可能な波長走査型(波長掃引型)光源を含んで構成される。光源ユニット101は、人眼では視認できない近赤外の波長帯において、出力波長を時間的に変化させる。
光源ユニット101から出力された光L0は、光ファイバ102により偏波コントローラ103に導かれてその偏光状態が調整される。偏波コントローラ103は、たとえばループ状にされた光ファイバ102に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ102内を導かれる光L0の偏光状態を調整する。
偏波コントローラ103により偏光状態が調整された光L0は、光ファイバ104によりファイバカプラ105に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
参照光LRは、光ファイバ110によりコリメータ111に導かれて平行光束となる。平行光束となった参照光LRは、光路長補正部材112および分散補償部材113を経由し、コーナーキューブ114に導かれる。光路長補正部材112は、参照光LRの光路長(光学距離)と測定光LSの光路長とを合わせるための遅延手段として作用する。分散補償部材113は、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるための分散補償手段として作用する。
コーナーキューブ114は、コリメータ111により平行光束となった参照光LRの進行方向を逆方向に折り返す。コーナーキューブ114に入射する参照光LRの光路と、コーナーキューブ114から出射する参照光LRの光路とは平行である。また、コーナーキューブ114は、参照光LRの入射光路および出射光路に沿う方向に移動可能とされている。この移動により参照光LRの光路の長さが変更される。
なお、図1および図2に示す構成においては、測定光LSの光路(測定光路、測定アーム)の長さを変更するための光路長変更部41と、参照光LRの光路(参照光路、参照アーム)の長さを変更するためのコーナーキューブ114の双方が設けられているが、これらのうちのいずれか一方が設けられていてもよい。また、これら以外の光学部材を用いて、測定光路長と参照光路長との差を変更することも可能である。
コーナーキューブ114を経由した参照光LRは、分散補償部材113および光路長補正部材112を経由し、コリメータ116によって平行光束から集束光束に変換されて光ファイバ117に入射し、偏波コントローラ118に導かれて参照光LRの偏光状態が調整される。
偏波コントローラ118は、たとえば、偏波コントローラ103と同様の構成を有する。偏波コントローラ118により偏光状態が調整された参照光LRは、光ファイバ119によりアッテネータ120に導かれて、演算制御ユニット200の制御の下で光量が調整される。アッテネータ120により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ121によりファイバカプラ122に導かれる。
一方、ファイバカプラ105により生成された測定光LSは、光ファイバ127により導かれ、コリメータレンズユニット40により平行光束とされる。平行光束にされた測定光LSは、光路長変更部41、光スキャナ42、合焦レンズ43、ミラー44、およびリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に到達する。そして、測定光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて被検眼Eに照射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。このような後方散乱光を含む測定光LSの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ105に導かれ、光ファイバ128を経由してファイバカプラ122に到達する。
ファイバカプラ122は、光ファイバ128を介して入射された測定光LSと、光ファイバ121を介して入射された参照光LRとを合成して(干渉させて)干渉光を生成する。ファイバカプラ122は、所定の分岐比(たとえば1:1)で、測定光LSと参照光LRとの干渉光を分岐することにより、一対の干渉光LCを生成する。ファイバカプラ122から出射した一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバ123、124により検出器125に導かれる。
検出器125は、たとえば一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらによる検出結果の差分を出力するバランスドフォトダイオード(Balanced Photo Diode)である。検出器125は、その検出結果(検出信号)を演算制御ユニット200に送る。演算制御ユニット200は、たとえば一連の波長走査毎に(Aライン毎に)、検出器125により得られた検出結果に基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成する。さらに、演算制御ユニット200は、各Aラインプロファイルを画像化することにより画像データを形成する。
この実施形態ではマイケルソン型の干渉光学系を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉光学系を採用することが可能である。
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、検出器125から入力される検出信号を解析して被検眼EのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のスウェプトソースタイプのOCT装置と同様である。
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3およびOCTユニット100の各部を制御する。たとえば演算制御ユニット200は、被検眼EのOCT画像を表示装置3に表示させる。
また、眼底カメラユニット2の制御として、演算制御ユニット200は、観察光源11、撮影光源15およびLED51、61の動作制御、LCD39の動作制御、合焦レンズ31、43の移動制御、反射棒67の移動制御、フォーカス光学系60の移動制御、光路長変更部41の移動制御、光スキャナ42の動作制御などを行う。
また、OCTユニット100の制御として、演算制御ユニット200は、光源ユニット101の動作制御、コーナーキューブ114の移動制御、検出器125の動作制御、アッテネータ120の動作制御、偏波コントローラ103、118の動作制御などを行う。
演算制御ユニット200は、たとえば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼科撮影装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、たとえばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
眼底カメラユニット2、表示装置3、OCTユニット100および演算制御ユニット200は、一体的に(つまり単一の筺体内に)構成されていてもよいし、2つ以上の筐体に別れて構成されていてもよい。
〔制御系〕
眼科撮影装置1の制御系の構成について図3を参照しつつ説明する。なお、図3においては、眼科撮影装置1のいくつかの構成要素が省略されており、この実施形態を説明するために特に必要な構成要素が選択的に示されている。
(制御部)
眼科撮影装置1の制御系は、制御部210を中心に構成される。制御部210は、たとえば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部210には、主制御部211と記憶部212が設けられている。
(主制御部)
主制御部211は前述の各種制御を行う。特に、図3に示すように、主制御部211は、眼底カメラユニット2のCCDイメージセンサ35および38、撮影合焦駆動部31A、光路長変更部41、光スキャナ42およびOCT合焦駆動部43A、並びに、OCTユニット100の光源ユニット101、参照駆動部114Aおよび検出器125を制御する。
撮影合焦駆動部31Aは、合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。なお、主制御部211は、図示しない光学系駆動部を制御して、眼底カメラユニット2に設けられた光学系を3次元的に移動させることができる。この制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの運動に合わせて装置光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとピント合わせが実行される。トラッキングは、被検眼Eを動画撮影して得られる画像に基づき被検眼Eの位置や向きに合わせて装置光学系をリアルタイムで移動させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。
OCT合焦駆動部43Aは、測定光路の光軸に沿って合焦レンズ43を移動させる。それにより、測定光LSの合焦位置が変更される。測定光LSの合焦位置は、測定光LSのビームウェストの深さ位置(z位置)に相当する。
参照駆動部114Aは、参照光路に設けられたコーナーキューブ114を移動させる。それにより、参照光路の長さが変更される。なお、前述したように、光路長変更部41と、コーナーキューブ114および参照駆動部114Aとのいずれか一方のみが設けられた構成であってもよい。
図3に示すように、主制御部211には、条件制御部2111と、表示制御部2112とが設けられている。
(条件制御部)
条件制御部2111は、OCTに関する条件の制御を行う。OCTに関する条件としては、測定光LSのスキャンに関する条件(スキャン条件)や、測定光LSのフォーカスに関する条件(フォーカス条件)、測定光LSと参照光LRとの干渉状態に関する条件(干渉条件)などがある。スキャン条件には、光スキャナ42の制御に関するスキャンパターンやスキャン間隔などがある。スキャンパターンは、スキャンの形状を表す条件であり、その具体例として、線分状のラインスキャン、円形状のサークルスキャン、ラスタースキャンなどがある。フォーカス条件には、合焦レンズ43(OCT合焦駆動部43A)等の制御に関する測定光LSの合焦位置などがある。干渉条件は、合焦レンズ43(OCT合焦駆動部43A)やコーナーキューブ114(参照駆動部114A)や偏波コントローラ118やアッテネータ120の制御に関する。条件制御部2111は、設定された条件に基づいて制御を実行する。条件制御部2111は、「走査制御部」および「条件制御部」として機能する。なお、OCTに関する条件はこれらに限定されず、たとえば被検眼Eのディオプタに応じた視度補正などがある。
(表示制御部)
表示制御部2112は、各種の情報を表示部241に表示させる。表示制御部2112が実行する処理については後述する。
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部212には、眼科撮影装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
(画像形成部)
画像形成部220は、検出器125からの検出信号に基づいて、眼底Efの断面像の画像データを形成する。すなわち、画像形成部220は、干渉光学系による干渉光LCの検出結果に基づいて被検眼Eの画像データを形成する。この処理には、従来のスウェプトソースタイプのOCTと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。このようにして取得される画像データは、複数のAライン(被検眼E内における各測定光LSの経路)における反射強度プロファイルを画像化することにより形成された一群の画像データを含むデータセットである。
画質を向上させるために、同じパターンでのスキャンを複数回繰り返して収集された複数のデータセットを重ね合わせる(加算平均する)ことができる。
画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。また、被検眼Eの部位とその画像とを同一視することもある。
(データ処理部)
データ処理部230は、画像形成部220により形成されたOCT画像に対して各種のデータ処理(画像処理)や解析処理を施す。たとえば、データ処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の補正処理を実行する。また、データ処理部230は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施す。
データ処理部230は、断面像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行することにより、被検眼Eのボリュームデータ(ボクセルデータ)を形成することができる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像を形成する。
データ処理部230は、眼底像とOCT画像との位置合わせを行うことができる。眼底像とOCT画像とが並行して取得される場合には、双方の光学系が同軸であることから、(ほぼ)同時に取得された眼底像とOCT画像とを、撮影光学系30の光軸を基準として位置合わせすることができる。また、眼底像とOCT画像との取得タイミングに関わらず、OCT画像のうち眼底Efの相当する画像領域の少なくとも一部をxy平面に投影して得られる正面画像と、眼底像との位置合わせをすることにより、そのOCT画像とその眼底像とを位置合わせすることも可能である。この位置合わせ手法は、眼底像取得用の光学系とOCT用の光学系とが同軸でない場合においても適用可能である。また、双方の光学系が同軸でない場合であっても、双方の光学系の相対的な位置関係が既知であれば、この相対位置関係を参照して同軸の場合と同様の位置合わせを実行することが可能である。
以上のように機能するデータ処理部230は、たとえば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。
(ユーザインターフェイス)
ユーザインターフェイス240には、表示部241と操作部242とが含まれる。表示部241は、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部242は、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部242には、眼科撮影装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。また、表示部241は、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
なお、表示部241と操作部242は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部242は、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部242に対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部241に表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作部242とを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
[動作例]
眼科撮影装置1の動作について説明する。
(ライブスキャンにおけるスキャンパターンに関する動作例)
ライブスキャンでは、同じスキャンパターンでのOCTスキャンを繰り返し実行する。このとき、被検眼Eに対して固視標が提示される。それにより、実質的に一定の断面が繰り返しOCTスキャンされ、それにより得られる当該断面の動画像をリアルタイムで表示することができる。
以下の動作例では、2つの走査線(第1走査線L1および第2走査線L2)からなるスキャンパターンが適用される。スキャン時には、第1走査線L1に沿う第1走査と、第2走査線L2に沿う第2走査とが交互に実行される。なお、「第1走査と第2走査とを交互に実行する」とは、1回の第1走査と1回の第2走査とを交互に実行する場合だけでなく、1回以上の第1走査と1回以上の第2走査とを交互に実行する場合も含む概念である。また、3以上の走査線からなるスキャンパターンが適用される場合、第1〜第3走査線を所定の順序で巡回的に実行する動作もこの概念に含まれる。
スキャンパターンの典型的な例を図4A〜図4Eに示す。それぞれの矢印はスキャンの向きを示している。また、それぞれの矢印の長さはスキャンの長さを示している。
図4Aに示すスキャンパターンは、水平方向(x方向)に延びる線分状の第1走査線L1と、垂直方向(y方向)に延びる線分状の第2走査線L2とからなる。第1走査線L1と第2走査線L2は、互いの中央位置で直交している。すなわち、図4Aに示すスキャンパターンは、互いの中央位置にて直交する2つの線分状の走査線からなる十字型のスキャンパターンである。第1走査線L1と第2走査線L2との交差位置は、たとえば眼底Efの注目部位(黄斑(中心窩)、視神経乳頭等)に配置される。
図4Bに示すスキャンパターンは、水平方向に延びる線分状の第1走査線L1と、垂直方向に延びる線分状の第2走査線L2とからなる。第1走査線L1と第2走査線L2は、互いの中央位置以外の位置で直交している。一般に、第1走査線と第2走査線との交差位置は任意に設定可能である。
図4Cに示すスキャンパターンは、水平方向に延びる線分状の第1走査線L1と、垂直方向に延びる線分状の第2走査線L2とからなる。第1走査線L1と第2走査線L2は、互いに垂直であるが、交差はしていない。一般に、第1走査線と第2走査線との相対位置は任意に設定可能である。
図4Dに示すスキャンパターンは、斜め方向に延びる線分状の第1走査線L1と、垂直方向に延びる線分状の第2走査線L2とからなる。第1走査線L1と第2走査線L2は、互いに垂直以外の角度で交差している。一般に、第1走査線と第2走査線との相対角度は任意である。特に、第1走査線と第2走査線とが交差する場合、それらの交差角度は任意に設定可能である。
図4Eに示すスキャンパターンは、水平方向に延びる線分状の第1走査線L1と、垂直方向に延びる線分状の第2走査線L2とからなる。第1走査線L1と第2走査線L2は、互いの中央位置で直交している。第1走査線L1は第2走査線L2より短い。一般に、第1走査線の長さおよび第2走査線の長さは任意に設定可能である。
(表示に関する動作例)
情報の表示に関する一例を図5に示す。本例では、図4Aに示すスキャンパターンが適用される場合について説明するが、他のスキャンパターンが適用される場合にも同様の表示処理を実行することが可能である。
図5に示す表示画面300は、表示制御部2112により表示部241に表示される。表示画面300には、第1動画像表示領域301と、第2動画像表示領域302と、正面画像表示領域303とが設けられている。
正面画像表示領域303には、眼底Efの観察画像Hが表示される。観察画像Hは、赤外動画像である。正面画像表示領域303にはさらに、第1走査線L1を表す画像(第1走査線画像)と、第2走査線L2を表す画像(第2走査線画像)とが表示される。第1走査線画像および第2走査線画像は、図5においてそれぞれ第1走査線L1および第2走査線L2と同じ符号で示されている。前述したように、本例では図4Aに示す第1走査線L1および第2走査線L2からなるスキャンパターンが適用される。よって、図5に示す第1走査線画像L1および第2走査線画像L2は、互いの中央位置にて直交する2つの線分状の走査線である。第1走査線画像L1および第2走査線画像L2はそれぞれ矢印状の画像であり、それぞれ走査線L1および走査線L2におけるスキャンの方向を表している。また、本例では、第1走査線画像L1および第2走査線画像L2は観察画像H上に表示される。符号Rは、第1走査線画像L1および第2走査線画像L2により張られる2次元領域の外縁を示す。外縁Rは表示されてもよいし、表示されなくてもよい。
第1動画像表示領域301には、第1走査線L1を繰り返し走査することにより得られる動画像(第1動画像)G1が表示される。第2動画像表示領域302には、第2走査線L2を繰り返し走査することにより得られる動画像(第2動画像)G2が表示される。前述したように、本例では、第1走査線L1に沿う第1走査と、第2走査線L2に沿う第2走査とが交互に実行される。
表示制御部2112は、このような交互スキャンにおいて反復的に実行される第1走査により得られるデータから画像形成部220が逐次に形成する断面像を所定のフレームレート(たとえば、第1走査の反復レートに等しい、またはその整数倍)で第1動画像表示領域301に表示させることにより、第1動画像G1を表示させる。同様に、表示制御部2112は、交互スキャンにおいて反復的に実行される第2走査により得られるデータから画像形成部220が逐次に形成する断面像を所定のフレームレート(たとえば、第2走査の反復レートに等しい、またはその整数倍)で第2動画像表示領域302に表示させることにより、第2動画像G2を表示させる。
第1動画像表示領域301は、第1走査線L1(第1走査線画像L1)に対応する向きに配置されている。本例では、第1動画像表示領域301は矩形であり、その上辺および下辺の向きと第1走査線画像L1の向きとが一致している。つまり、図5において、第1走査線画像L1は左右方向に延びる線分(矢印)であり、第1動画像表示領域301の上辺および下辺は左右方向に延びている。なお、観察画像Hにおいて、左右方向がx方向に相当し、上下方向がy方向に相当する。また、第1動画像表示領域301において、上辺および下辺の向き(左右方向)がx方向に相当し、左辺および右辺(上下方向)がz方向に相当する。よって、観察画像H上に表示される第1走査線画像L1の向き(x方向)と、第1動画像表示領域301に表示される第1動画像G1の断面の向き(x方向)とが一致している。
同様に、第2動画像表示領域302は、第1走査線L2(第1走査線画像L2)に対応する向きに配置されている。本例では、第2動画像表示領域302は矩形であり、その左辺および右辺の向きと第2走査線画像L2の向きとが一致している。つまり、図5において、第2走査線画像L2は上下方向に延びる線分(矢印)であり、第2動画像表示領域302の左辺および右辺は上下方向に延びている。なお、上記のように、観察画像Hにおいて、左右方向がx方向に相当し、上下方向がy方向に相当する。また、第2動画像表示領域302において、左辺および右辺の向き(上下方向)がy方向に相当し、上辺および下辺(左右方向)がz方向に相当する。よって、観察画像H上に表示される第2走査線画像L2の向き(y方向)と、第2動画像表示領域302に表示される第2動画像G2の断面の向き(y方向)とが一致している。
また、第1走査線L1(第1走査線画像L1)と第1動画像G1との対応を表す情報(第1対応情報)と、第2走査線(第2走査線画像L2)と第2動画像G2との対応を表す情報(第2対応情報)とを表示させることができる。本例においては、第1および第2対応情報として表示色が用いられる。具体的には、表示制御部2112は、第1走査線画像L1と第1動画像G1の枠(第1動画像表示領域301の枠)とを第1色で表示させ、かつ、第2走査線画像L2と第2動画像G2の枠(第2動画像表示領域302の枠)とを第1色と異なる第2色で表示させる。
第1動画像表示領域301の左側には測定光LSの合焦位置を表すマーカ304が設けられている。測定光LSの合焦位置は、合焦レンズ43の位置に対応する。合焦レンズ43は、OCT合焦駆動部43Aによって移動される。表示制御部2112は、現在の合焦レンズ43の位置(つまり、OCT合焦駆動部43Aに対する制御状態)に基づいてマーカ304を表示させる。なお、合焦位置はz方向に変化し、第1動画像表示領域301の左辺に沿う方向(上下方向)がz方向に相当する。よって、マーカ304の位置は、左辺に沿って変化する。
さらに、ユーザは、マーカ304を移動させることができる。そのための操作は、表示部241がタッチパネルの場合には所望の位置をタッチするタッチ操作により行われる。また、表示部241がタッチパネルでない場合には、ユーザは操作部242を操作する。この操作は、たとえば、所望の位置をクリックする操作、または、マーカ304をドラッグする操作である。マーカ304が移動されると、主制御部211は、移動後のマーカ304の位置に基づいてOCT合焦駆動部43Aを制御することで、移動後のマーカ304の位置に対応する位置に合焦レンズ43を移動する。
なお、表示画面300に設けられる領域は図5に示すものに限定されない。典型的な例として、被検者や被検眼Eに関する情報が表示される領域や、被検眼Eの前眼部像が表示される領域(前眼部像表示領域)や、各種のソフトウェアキーなどが表示画面300に設けられていてよい。
前眼部像の表示およびそれに伴い実行される処理に関する例を説明する。本例に係る眼科撮影装置は、被検眼Eの前眼部の映像を取得するための一対のビデオカメラを備える。一対のビデオカメラは、前眼部を異なる方向から同時に撮影する。表示制御部2112は、第1のビデオカメラにより得られる映像の上半分の画像領域(上半領域)と、第2のビデオカメラにより得られる映像の下半分の画像領域(下半領域)とを上下に並べて前眼部像表示領域に表示させる。制御部210(またはデータ処理部230)は、上半領域および下半領域をそれぞれ解析することで特定部位(瞳孔、虹彩等)の画像(特定部位画像)を検出し、上半領域中の特定部位画像と下半領域中の特定部位画像との変位を算出し、この変位をキャンセルするように光学系(OCT用光学系、眼底カメラ用光学系)を移動する。これにより、被検眼Eに対する光学系のアライメントを行うことができる。さらに、一対のビデオカメラにより逐次に取得されるフレームに基づいて上記処理をリアルタイムで繰り返し実行することで、被検眼Eの動きに光学系を追従させるトラッキングを実行しつつ、眼底EfのOCTや撮影や観察を行うことが可能である。
(その他の動作例)
本実施形態により実行可能な他の動作例を説明する。
設定されたスキャン位置を変更することができる。スキャン位置の変更は、手動または自動で行われる。手動操作の場合、ユーザは、観察画像H上の所望の位置をタッチする。或いは、ユーザは、操作部242を用いて所望の位置をタッチし、または、操作部242を用いて第1および第2走査線画像L1およびL2をドラッグする。一方、自動制御の場合、条件制御部2111(またはデータ処理部230)は、観察画像Hを解析して特定部位(黄斑、中心窩、視神経乳頭、血管、疾患部なと)の位置を特定し、この特定部位を通過するようにスキャン位置を設定する。このとき、たとえば、第1および第2走査線L1およびL2の交差位置を上記解析により特定部位に一致させるように、スキャン値が設定される。
スキャン位置の変更には、平行移動および回転移動の少なくとも一方が含まれる。このような移動において、第1走査線L1と第2走査線L2との相対位置は維持される。たとえば、図4Aに示すスキャンパターンが適用される場合、平行移動および/または回転移動の前後において、第1走査線L1(第1走査線画像L1)および第2走査線L2(第2走査線画像L2)は、互いの中央位置において直交する。
このようなスキャン位置の移動制御は、条件制御部2111が、スキャン位置の変更内容(移動方向および移動量)に応じて第1走査線L1と第2走査線L2とを同じ方向に同じ量(同じ距離)だけ移動させるように、光スキャナ42を制御するための設定を変更することにより実行される。
第1動画像G1および第2動画像G2の一方または双方に対し、OCTの条件の変更入力を行えるように構成されていてよい。OCTの条件の例として、前述した合焦位置の変更(たとえばマーカ304を用いる制御)がある。
他の例として、測定光LSの光路長および/または参照光LRの光路長がある。測定光LSの光路長の変更は、光路長変更部41を制御することにより行われる。参照光LRの光路長の変更は、コーナーキューブ114(参照駆動部114A)を制御することにより行われる。測定光LSおよび/または参照光LRの光路長が変更されると、測定光LSと参照光LRとの間の光路長差が変化し、その結果、第1動画像L1および第2動画像G2のフレームにおける眼底組織の描出位置がz方向に移動する。このような描出位置の変更入力は、たとえば、動画像上の所望の位置をタッチすることにより、またはマーカ304と同様のマーカを用いることにより行われる。或いは、条件制御部2111(またはデータ処理部230)が、眼底Efの特定部位(眼底表面、所定の層組織など)を特定し、この特定部位をフレームの所定のz位置に配置させるように制御を行うように構成することも可能である。なお、OCTの条件は以上に例示したものには限定されない。
上記の例では、2つの走査線(L1およびL2)に沿う2つの動画像(G1およびG2)がリアルタイムで表示される。しかし、3つ以上の走査線に沿う3つ以上の動画像を取得するように構成することも可能である。この場合、並行して取得される全ての動画像を並べて表示させることもできるが、表示スペースを考慮して一部の動画像を選択的に表示させるように構成することが可能である。この場合、3つ以上の走査線が巡回的にスキャンされる。さらに、表示制御部2112は、3つ以上の走査線により逐次に取得されるデータに基づく3つ以上の動画像のうちの2以上の動画像を並べて表示させる。
ユーザは、表示させる動画像を選択することができる。この選択操作は、たとえば、観察画像上に表示された3つ以上の走査線画像のうち所望のものを指定することにより実行される。また、いくつかの動画像が選択されたことに対応し、この動画像にあらかじめ対応付けられた他の動画像を自動で選択し、これら動画像を並べて表示させるように構成することができる。対応する動画像は、たとえば、先に選択された動画像の走査線に直交する走査線における動画像である。
[作用・効果]
この実施形態に係る眼科撮影装置のいくつかの作用および効果について説明する。
実施形態の眼科撮影装置は、OCTを用いて被検眼を走査することにより断面像を取得する。さらに、眼科撮影装置は、データ取得部と、表示制御部とを含む。
データ処理部は、被検眼における第1走査線(L1)に沿う第1走査と、第1走査線(L1)と向きが異なる第2走査線(L2)に沿う第2走査とを交互に実行してデータを取得する。データ取得部は、OCT用の光学系を含む。上記実施形態において、OCT用の光学系は、OCTユニット100に含まれる光学系と、眼底カメラユニット2のうち測定光LSの経路に配置された光学系とを含む。さらに、データ処理部は、OCT用の光学系により取得されたデータを処理する構成要素を含んでいてよい。上記実施形態において、この構成要素は、少なくとも画像形成部200を含む。
表示制御部(2112)は、第1走査により逐次に取得されるデータに基づく第1動画像(G1)を第1走査線に対応する向きで表示手段に表示させる。さらに、表示制御部(2112)は、第2走査により逐次に取得されるデータに基づく第2動画像(G2)を第2走査線に対応する向きで第1動画像(G1)と並べて表示させる。
表示手段は、眼科撮影装置に設けられていてもよいし(表示部241)、眼科撮影装置に接続された表示デバイスであってもよい。
上記実施形態において、データ取得部によるデータの取得と、表示制御部による動画像の表示とは、並行して実行される。それにより、第1走査線に沿う断面を表す第1動画像と、第2走査線に沿う断面を表す第2動画像とをリアルタイムで観察することが可能である。
このような実施形態によれば、向きが異なる2つ(以上)の断面を表す2つ(以上)の動画像を同時に観察することが可能である。すなわち、向きが異なる2つ(以上)の断面が2つ(以上)の動画像にどのように描出されているかを同時に把握することができる。したがって、OCTによる計測範囲の3次元的なずれを容易に把握することが可能である。なお、特許文献1に記載の技術では、深さ方向(z方向)における計測範囲のずれしか容易に把握することができない。よって、実施形態の眼科撮影装置によれば、たとえば、動画像の観察の後に実行されるOCTによる計測範囲を容易に最適化することが可能である。また、走査線の向きに対応する向きで動画像を表示させることで、2つ(以上)の走査線と2つ(以上)の動画像との対応関係を容易に把握できるとともに、動画像に描出されている組織断面がどのような向きであるかを容易に認識することが可能である。
第1走査線および第2走査線を含むスキャンパターンは任意に設定可能である。たとえば次のような態様のスキャンパターンを適用可能である。第1の態様として、第1走査線(L1)と第2走査線(L2)とが交差しているスキャンパターンを適用することができる(たとえば図4A、図4B、図4D、図4Eを参照)。第1の態様において、第1走査線(L1)と第2走査線(L2)は互いの中央位置で交差していてよい(たとえば図4A、図4Eを参照)。第2の態様として、第1走査線(L1)および第2走査線(L2)のそれぞれは線分状であり、第1走査線(L1)と第2走査線(L2)とが互いに垂直であってよい(たとえば図4A、図4B、図4C、図4Eを参照)。
計測対象に応じてスキャンパターンを設定することができる。たとえば、計測モードや解析モードや固視位置などの条件と、スキャンパターンとをあらかじめ関連付けておき、設定された条件に対応するスキャンパターンを選択的に適用することが可能である。また、スキャンパターンのサイズを任意に変更可能に構成してもよい。
実施形態の眼科撮影装置は、被検眼を撮影して正面画像を取得する撮影部を備えていてよい。上記実施形態において、撮影部は、眼底カメラユニット2に格納された眼底撮影用の光学系を含み、特に、観察画像(赤外動画像)を取得するための光学系を含む。表示制御部(2112)は、撮影部により取得された正面画像(H)を第1動画像(G1)および第2動画像(G2)と並べて表示させる。さらに、表示制御部(2112)は、第1走査線(L1)を表す第1走査線画像(L1)と、第2走査線(L2)を表す第2走査線画像(L2)とを正面画像(H)とともに表示させる。
このような構成によれば、第1走査線および第2走査線が被検眼のどの部位に設定されているか容易に把握することができる。つまり、被検眼のどの部位をスキャンするか容易に把握することができる。さらに、このような情報を第1動画像および第2動画像に並べて表示させることで、被検眼のどの部位が実際にスキャンされているか把握しつつ、そのスキャンにより得られる2つ(以上)の動画像を観察することが可能である。
実施形態において、表示制御部(2112)は、第1走査線(L1)と第1動画像(G1)との対応を表す第1対応情報と、第2走査線(L2)と第2動画像(G2)との対応を表す第2対応情報とを表示させることができる。第1対応情報および第2対応情報の例として表示色がある。たとえば、第1対応情報として、第1走査線画像(L1)と第1動画像(G1)の枠とを第1色で表示させ、かつ、第2対応情報として第2走査線画像(L2)と第2動画像(G2)の枠とを第1色と異なる第2色で表示させることができる。
このような構成によれば、2つ(以上)の走査線と2つ(以上)の動画像との対応関係を容易に認識することが可能である。特に、表示色を用いて走査線と動画像とを対応付けることで、それらの対応関係を直感的に把握することができる。
実施形態の眼科撮影装置は、第1操作部と、走査制御部とをさらに含んでいてよい。上記実施形態において、第1操作部は操作部242(ユーザインターフェイス240)を含み、走査制御部は条件操作部2111を含む。第1操作部は、被検眼の走査位置を変更するための操作に用いられる。走査制御部は、第1操作部を用いて走査位置が変更されたときに、その変更内容に応じて第1走査線(L1)および第2走査線(L2)を同じ方向に同じ量だけ移動させるようにデータ取得部を制御する。上記実施形態において、この制御は、光スキャナ42の制御に相当する。
このような構成によれば、被検眼をスキャンする位置を任意に変更したり調整したりすることが可能である。また、第1走査線と第2走査線とを同じ方向に同じ量だけ移動させるように構成されているので、第1走査線と第2走査線との相対位置を維持しつつ(つまりスキャンパターンを維持しつつ)走査位置を変更することが可能である。それにより、同じスキャンパターンで被検眼の所望の位置を所望の向きで走査することができる。なお、第1走査線と第2走査線との相対位置を変更可能に構成されてもよい。たとえば、一方の走査線を固定した状態で他方の走査線を移動するよう構成することができる。
実施形態の眼科撮影装置は、第2操作部と、条件制御部とをさらに含んでいてよい。上記実施形態において、第2操作部は操作部242(ユーザインターフェイス240)を含み、条件制御部は条件操作部2111を含む。第2操作部は、第1動画像(G1)および/または第2動画像(G2)に対してOCTの条件の変更入力を行うために用いられる。条件制御部は、第2操作部を用いてOCTの条件が変更されたときに、その変更内容に応じてデータ取得部を制御する。上記実施形態において、この制御は、光路長変更部41の制御、光スキャナ42の制御、合焦レンズ43(OCT合焦駆動部43A)の制御、およびコーナーキューブ114(参照駆動部114A)の制御のいずれかを含んでよい。なお、OCTの条件の制御はこれらに限定されない。たとえば、OCTに用いられる光の特性(たとえば波長)を変更するための光源ユニット101の制御を実行可能に構成してよい。
実施形態において、データ取得部は、第1走査線(L1)および第2走査線(L2)を含む3以上の走査線に対する走査を巡回的に実行することができる。すなわち、適用されるスキャンパターンを構成する走査線の数は2つには限定されず3つ以上でもよい。表示制御部(2112)は、これら3以上の走査線により逐次に取得されるデータに基づく3以上の動画像のうちの2以上の動画像を並べて表示させることができる。2以上の動画像は、デフォルトで選択され、或いはユーザにより任意に選択できる。
このような構成によれば、3以上の走査線に沿う3以上の動画像のうち2つ以上の動画像を同時に観察することができる。また、表示される動画像(走査線、断面)を変更したり、動画像の表示サイズを変更したり、表示される動画像の数を変更したりできるように構成してよい。それにより、被検眼を観察するための自由度の向上を図ることができる。
[変形例]
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。適用される構成は、たとえば目的に応じて選択される。また、適用される構成に応じ、当業者にとって自明の作用効果や、本明細書において説明された作用効果が得られる。
上記の実施形態では、第1動画像を第1走査線に対応する向きで表示させ、かつ、第2動画像を第2走査線に対応する向きで表示させることにより、ユーザが第1動画像と第2動画像とを互いに識別できるように提示している。しかし、第1動画像と第2動画像とを互いに識別可能に提示するための構成はこれに限定されない。
たとえば、第1動画像と第2動画像とを同じ向きで表示させるとともに、第1走査線と第1動画像との対応を表す第1対応情報と、第2走査線と第2動画像との対応を表す第2対応情報とを表示させることが可能である。この場合、第1対応情報は、第1走査線画像および第1動画像の枠の表示色(第1色)であってよく、かつ、第2対応情報は、第2走査線画像と第2動画像の枠の表示色(第2色)であってよい。
このような実施形態によれば、ユーザは、第1動画像および第2動画像とともに提示される第1対応情報および第2対応情報により第1動画像と第2動画像とを容易に識別することができ、さらに、第1動画像が表す断面の向きと第2動画像が表す断面の向きとを容易に把握することができる。
なお、第1対応情報および第2対応情報は表示色には限定されない。たとえば、走査線の向き(断面の向き)を表す文字列情報や画像情報を第1対応情報および/または第2対応情報として用いることが可能である。具体例として、走査線の向きを表す文字列「水平」や「垂直」を動画像上にまたは動画像の近傍に表示させることが可能である。他の例として、走査線の向きを表す矢印画像を動画像上にまたは動画像の近傍に表示させることが可能である。