JP2016099188A - フィルタ、フィルタの製造方法及び検査用カートリッジ - Google Patents

フィルタ、フィルタの製造方法及び検査用カートリッジ Download PDF

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光市 氏家
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Abstract

【課題】より簡便に製造でき、かつより確実に多孔質性を有さない部分が形成されたフィルタを提供する。【解決手段】疎水性多孔質膜からなる基体部と、前記基体部に設けられた2以上の通気部と、を有し、前記基体部の前記通気部以外の部分は孔に熱可塑性樹脂が充填されており、各通気部が相互に独立しているフィルタを提供する。【選択図】図1

Description

本技術は、フィルタ、該フィルタの製造方法及び前記フィルタを備える検査用カートリッジに関する。より詳しくは、疎水性多孔質膜を備えるフィルタ等に関する。
臨床検査など、特に微量の試料を用いて行う検査では、試料を通流させたり収容するための微細構造が形成された装置内に試料を導入して、試料の分析や検査が行われてきた。これらの装置は、カートリッジやマイクロチップなどとも呼ばれる。しかし、これらのカートリッジ等においては、要求される流路にのみ試料や試薬溶液を送液するために、弁を用いたりする必要が生じ、装置の構造が複雑なものとなっていた。
そこで、例えば、特許文献1には、「核酸を含む試料中の核酸を核酸捕捉物質に捕捉させ、その後核酸捕捉物質に捕捉した核酸を溶出して核酸増幅反応槽に移送した後、該核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジ」が開示されている。当該カートリッジは、試料注入口または試料槽と連通する少なくとも1つの排出口または廃液槽と、少なくとも2つの核酸増幅反応用リザーバーの、各々に、ベント構造が備えられている。そして、移動先に至るキャピラリ(溝)の中の空気を、流路外へ排出する「ベント構造」を有することにより、試料や試薬溶液をカートリッジ外にあふれさせることなく、要求される流路に送液することができる。
一方、隣接する複数のリザーバーに対するベント構造が一つの膜で形成されている場合、ベント用の膜内で、膜の厚み方向と交わる方向に空気の透過が起きてしまい、要求される流路以外の流路にまで試料や試薬溶液が送液されてしまうという問題があった。これに対して、例えば、特許文献2には、「複数のリザーバと、これらリザーバ間を連通するキャピラリとを有する分析用カートリッジであって、前記リザーバの少なくとも一つに該分析用カートリッジの外部へ通じる開口部を設け、該開口部の少なくとも一つを気体は透過し液体は透過しないベントで覆うとともに、分析に使用する試薬を該分析用カートリッジ内に備えることを特徴とする分析用カートリッジ」が開示されている。当該分析用カートリッジでは、加圧されることにより多孔質性を有していない状態となった環状部分がベント用の膜に形成されることで、ラテラル方向への空気の透過が妨げられる。
特開2006−149215号公報 国際公開第01/13127号
上述したように、特許文献2に開示された分析用カートリッジでは、ベント用の膜の一部を加圧することで、多孔質性を有していない部分を膜に形成している。しかし、多孔質膜へ加圧した場合、加圧を止めると、膜が再び多孔質性を有する状態に戻ってしまうおそれがあった。また、多孔質膜の孔の孔径によっては、加圧では気体の透過を妨げる程度にまで多孔質性を有さない状態とすることが困難となる場合があった。このため、より簡便に製造でき、かつより確実に多孔質性を有さない部分が形成されたフィルタが求められている。
そこで、本開示は、より簡便に製造でき、かつより確実に多孔質性を有さない部分が形成されたフィルタ等を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本開示は、疎水性多孔質膜からなる基体部と、前記基体部に設けられた2以上の通気部と、を有し、前記基体部の前記通気部以外の部分は孔に熱可塑性樹脂が充填されており、各通気部が相互に独立しているフィルタを提供する。
前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂とすることができる。
また、前記疎水性多孔質膜は、フッ素系樹脂により形成されていてもよい。
さらに、前記フィルタは、検査用カートリッジに取り付けられてもよく、その場合、前記通気部を介して前記検査用カートリッジ内の気体が前記検査用カートリッジの外部へ排出されてもよい。
本開示はまた、基体部となる疎水性多孔質膜の片面又は両面に、通気部に相当する位置に開口が形成された熱可塑性樹脂シートを熱圧着し、前記基体部の前記通気部以外の部分の孔に熱可塑性樹脂を充填するフィルタの製造方法を提供する。
本開示はさらに、前記フィルタを備える検査用カートリッジをも提供する。
本開示により、より簡便に製造でき、かつより確実に多孔質性を有さない部分が形成されたフィルタ等が提供される。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載された何れかの効果であってもよい。
本開示に係る検査用カートリッジの構成例を示す模式図であり、Aは平面図であり、BはAに示すP1−P1線の断面図である。 A〜Cは、本開示に係るフィルタにおける気体の流れを示す模式図である。 通気部以外の部分の孔に熱可塑性樹脂が充填されていないフィルタにおける気体の流れを示す模式図である。 A及びBは、本開示に係るフィルタの製造方法の工程を説明するための模式図である。 実験例1で用いたフィルタの構成を示す模式図であり、Aは平面図であり、BはAに示すP4−P4線の断面図である。 実験例1で用いた測定装置の構成を示す模式図である。 実験例1の結果を示す図面代用グラフである。
以下、本開示を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本開示の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本開示の範囲が狭く解釈されることはない。説明は以下の順序で行う。

1.本開示に係る検査用カートリッジ
2.本開示に係るフィルタの製造方法
1.本開示に係る検査用カートリッジ
先ず、本開示に係る検査用カートリッジについて説明する。図1に本開示に係る検査用カートリッジの構成例を模式的に示す。図1Aは、符号1で示す検査用カートリッジの平面図であり、図1Bは、図1Aに示すP1−P1線の断面図である。図1A及び図1Bに示すように、検査用カートリッジ1は、フィルタ2を備える。以下、検査用カートリッジ1及びフィルタ2について順に説明する。
(1)検査用カートリッジ
検査用カートリッジ1(以下、単にカートリッジとも称する)は、検査対象の液体を収容するための構成である。図1A及び図1Bに示すように、カートリッジには、液体を収容する空間(液体収容部11)が、複数設けられている。また、複数の液体収容部11の各々には、流路13や液体収容部11に存在する気体を排出するために開口部111が形成されている。なお、図1において、カートリッジ1は6つの液体収容部を有するが、本開示に係るカートリッジにおいて、液体収容部の数はこれに限定されるものではなく、2以上であれば、検査の目的等に応じて自由に設計することができる。
また、カートリッジ1には、検査に用いられる液体をカートリッジ1内に導入するための導入部12が設けられていてもよい。さらに、導入部12は、流路13を介して液体収容部11と連通していてもよい。
本開示において、カートリッジ1内へ導入される液体は、検査に用いられる液体であればその組成は限定されない。また、粘性を有する液体についても、本開示に係るカートリッジを用いた検査に用いることができる範囲の粘性であれば、本開示における液体に含まれる。液体としては、例えば、生体由来の試料やその希釈液などが挙げられる。
カートリッジ1には、上述した構成の他、目的とする検査等に応じて、必要な構成を適宜設けることができる。例えば、核酸検出を目的とする検査であれば、核酸増幅反応や核酸検出に用いられる試薬類を収容する試薬保持部などが設けられていてもよい。
カートリッジ1は、液体収容部11を複数備え、かつ後述するフィルタ2を備えることができる限り、カートリッジ1の構成は、目的とする検査等に合わせて、公知の検査用カートリッジの構成の中から自由に設計することができる。例えば、図1Bに示すように、カートリッジ1は、複数の基板層14を貼り合わせることにより形成することもできる。また、基板層14の材質についても、金属、ガラス、各種プラスチック類など、公知の材料の中から、検査手法や液体の性質等に応じて、自由に選択することができる。
接着部15は、後述するフィルタ2をカートリッジ1に接着するための構成である。接着部15は、両面テープや接着剤など公知の材料の中から、基板層14の材質等に応じて適宜選択することができる。また、図1に示すカートリッジ1は、接着部15を備える構成であるが、本開示に係るカートリッジは、接着部15を備えず、例えば、両面テープを別に用意して、カートリッジにフィルタを貼り付けることもできる。
(2)フィルタ
上述したように、本開示に係るカートリッジは、フィルタを備えるものである。また、同様に、本開示に係るフィルタは、検査用カートリッジに取り付けられて用いることができる。
フィルタ2は、疎水性多孔質膜からなる基体部21と、基体部21に設けられた2以上の通気部22と、を有する(図1A及び図1B参照)。また、基体部21の通気部22以外の部分は孔に熱可塑性樹脂が充填されており、各通気部22が相互に独立している。
通気部22は、疎水性多孔質膜から形成されているため、通気部22では、液体が透過されず、気体のみが透過される。また、複数の通気部22の各々は、上述したカートリッジ1の液体収容部11に設けられた開口部111に合わせた位置に設けられている。このため、図1Bに示すように、フィルタ2がカートリッジ1に貼り付けられた状態では、開口部111は、通気部22に覆われる。そして、通気部22を介してカートリッジ1内の気体がカートリッジ1の外部へ排出される。
一方、フィルタ2の通気部22以外の部分は、孔に熱可塑性樹脂が充填されているため、液体と気体のいずれも透過できない部分となっている。なお、図1Bに示すフィルタ2においては、基体部21に熱可塑性樹脂層23が積層されているが、本開示に係るフィルタでは、多孔質膜の孔に熱可塑性樹脂が充填されていればよく、熱可塑性樹脂層23は必須の構成ではない。
基体部21を構成する疎水性多孔質膜には、例えば、ウレタン樹脂、PET樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等を採用することができる。これらの中でも、生体との反応性が低く、耐熱性や耐久性に優れ、かつ、臨界表面張力が極めて低い、即ち、疎水性が高いとの理由から、疎水性多孔質膜は、フッ素系樹脂により形成されていることが好ましい。
また、基体部21の厚みは、フィルタ2に十分な強度を与え、かつフィルタ2における気体の透過速度を十分に確保するために、20〜300μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等が挙げられる。また、工業的に入手が容易であり、耐熱性、防湿性、耐水性に優れているため、CPP(無延伸ポリプロピレン)や、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)等のポリプロピレン系樹脂が好ましい。
疎水性多孔質膜の孔の孔径については、カートリッジ1内へ導入される液体や通気部22を透過する気体の性質等に合わせて自由に設計することができる。例えば、疎水性多孔質膜として、平均孔径が0.01μm〜10μmのものを用いることができる。
(3)フィルタにおける気体の流れ
図2及び図3を参照しながら、本開示に係るフィルタにおける気体の流れについて説明する。図2は、上述したカートリッジ1を模式的に示す。図2Aは、カートリッジ1の平面図であり、図2Bは、図2Aに示すP2−P2線の断面図である。同様に、図2Cは、図2Aに示すP3−P3線の断面図である。なお、図2及び図3においては、互いに隣り合う通気部を区別するために便宜的に、符号22a、22b及び符号22cを付す。液体収容部11、開口部111及び流路13についても同様に符号を付す。
カートリッジ1からカートリッジ1の外部への気体の送流は、ポンプなどを用いて行うことができる(図2及び図3においてポンプは不図示)。また、フィルタ2が貼り付けられたカートリッジ1においては、通気部22a,22b,22cにバルブ付き連結具V1,V2,V3を連結することにより、バルブ付き連結具V1,V2,V3を介して図示しないポンプと連結させることができる。なお、本開示において、気体とは、大気であってもよく、不活性ガス等、大気以外の気体であってもよく、その組成は限定されない。
カートリッジ1の導入部12へ液体が導入された後、バルブ付き連結具V1のバルブを開けた状態で、ポンプによって導入部12内の液体へ加圧する(図2B、矢印F1)。圧力が加えられた液体は、流路13aを介して液体収容部11aへ送流される。また、バルブ付き連結具V1のバルブが開けられた状態であるため、液体収容部11a内の気体は、開口部111aから通気部22aを透過して、カートリッジ1の外部へ排出される(図2B、矢印F2)。
この時、バルブ付き連結具V2とバルブ付き連結具V3のバルブが閉じていると、これらのバルブ付連結具V2,V3と接する通気部22b,22cは、閉塞状態となる。さらに、フィルタ2では、隣り合う通気部22aと通気部22b、及び通気部22aと22cの間の部分では、多孔質膜の孔に熱可塑性樹脂が充填されているため、フィルタ2の厚み方向と交わる方向に空気が透過できない。このため、カートリッジ1において、液体導入部12が複数の液体収容部11a,11b,11cと連通する構成であっても、液体収容部11b及び液体収容部11cに存在する気体は、開口部111b,111cを経てカートリッジ1の外部へ排出されない。その結果、液体収容部11bと液体収容部11cに液体は送流されない(図2C参照)。
図3は、図2Cと同じく、カートリッジの、図2Aに示すP3−P3線に相当する断面を示す。しかし、フィルタ5は、本開示に係るフィルタと異なり、基体部21の通気部22以外の部分において、多孔質膜の孔に熱可塑性樹脂が充填されていない。即ち、互いに隣接する通気部22aと通気部22b、及び通気部22aと通気部22cの間の部分において、多孔質性を有している。このため、導入部12において液体に圧力が加えられると、バルブ付連結具V2,V3のバルブが閉じた状態であっても、通気部22aから、気体がフィルタの厚み方向と交わる方向に透過してしまい、気体の流れが生じてしまう(図3、矢印F3参照)。この結果、バルブ付連結具V2,V3のバルブを閉じた状態にしても、液体収容部11aへの送流に伴い、液体収容部11b,11cへ液体が送液されてしまう。
上述したように、本開示に係るフィルタでは、通気部以外の部分において、孔に熱可塑性樹脂が充填されていることにより、複数の通気部が互いに独立した状態となっている。このため、本開示に係るフィルタにおいては、フィルタの厚み方向と交わる方向における気体の透過が防止される。この結果、検査用カートリッジにおいて液体へ加圧して液体を送流する場合に、所望の液体収容部にのみ液体を送流することができる。従って、所望の液体収容部以外の空間に、液体が送流されることによる汚染が防止され、検査用カートリッジを用いてより精度高く検査を行うことができる。
また、本開示に係るフィルタにおいては、厚み方向と交わる方向における気体の透過が防止されるため、液体を導入するための液体導入部を液体収容部の数に応じて複数設ける必要がない。このため、カートリッジの構造を単純化することもできる。
さらに、本開示に係るフィルタの通気部は、気体が透過して液体が透過しない疎水性多孔質膜で構成されているため、液体がカートリッジの外部へ排出されることが防止される。このため、ポンプ装置やポンプへの連結具などへ液体を介した汚染物質の漏洩も防止できる。
なお、本開示に係るフィルタは、上述した検査用カートリッジ以外に、液体の透過を抑制して気体の透過するフィルタを備える機器や部品についても好適に用いられるものである。
2.本開示に係るフィルタの製造方法
次に、本開示に係るフィルタの製造方法について説明する。即ち、上述したフィルタの製造法について述べる。
図4A及び図4Bに、本開示に係るフィルタの製造工程を模式的に示す。図4Aに示すように、本開示に係るフィルタの製造方法では、基体部21となる疎水性多孔質膜211と、通気部22に相当する位置に開口が形成された熱可塑性樹脂シート231a、231bを用いる。そして、疎水性多孔質膜211の両面に、熱可塑性樹脂シート231a、231bを熱圧着し(図4A矢印X1,X2参照)、基体部21の通気部22以外の部分の孔に熱可塑性樹脂を充填する(図4B参照)。
なお、図4A及び図4Bにおいては、熱可塑性樹脂シート231a、231bを疎水性多孔質膜211の両面に熱圧着する場合を例示している。しかし、一の面に熱可塑性樹脂シート231aを熱圧着することにより、通気部22以外の部分に熱可塑性樹脂が充填され、複数の通気部22が互いに独立した状態となる限り、片面だけに熱可塑性樹脂シート231aの熱圧着を行ってもよい。
疎水性多孔質膜211の膜厚の好適な範囲は上述した通りである。また、疎水性多孔質膜211の孔の孔径については、液体や気体の性質等に合わせて自由に設計することができ、例えば、平均孔径が0.01μm〜10μmとすることができる。
疎水性多孔質膜211において、通気部22以外の部分に熱可塑性樹脂を充填するための、熱可塑性樹脂シート231a,231bを熱圧着する条件は、疎水性多孔質膜211の膜厚と平均孔径、及び熱圧着する圧力に依存する(実験例1参照)。また、通気部22以外の部分に熱可塑性樹脂を充填するための、熱可塑性樹脂シート231a,231bを熱圧着する条件は、熱可塑性樹脂シート231a,231bの材質と膜厚や、熱圧着する温度及び時間とも関係する。このため、熱可塑性樹脂の熱圧着の条件は、疎水性多孔質膜211の膜厚及び平均孔径、並びに熱可塑性シート231a,231bの材質及び膜厚に合わせてプレスする圧力、温度及び時間の各条件を適宜設定すればよい。
一例として、熱可塑性樹脂シートとして、アルミ箔に厚さ30μmのポリプロピレン樹脂フィルムをラミネートしたCPP(無延伸ポリプロピレン)を用い、熱圧着の温度を200℃、熱圧着の時間を60秒とした場合の圧着力について述べる。平均孔径4μm以下の疎水性多孔質膜への圧着力は、3.0N/mm以上が好ましい。また、平均孔径10μm以下の疎水性多孔質膜への圧着力は、0.5N/mm以上が好ましい。このような条件で熱圧着することにより、疎水性多孔質膜の孔に熱可塑性樹脂を充填することができる。
本開示に係るカートリッジの製造方法では、上述したように、熱可塑性樹脂シートを熱圧着することで、フィルタの厚み方向と交わる方向における気体の透過が防止されるフィルタを製造することができる。このため、簡便に上述した機能を備えるフィルタを製造することができる。
また、本開示に係るフィルタの製造においては、疎水性多孔質膜と、カートリッジの液体収容部における開口部に対応する部分が取り除かれた熱可塑性樹脂シートのみから構成することもできる。このため、フィルタの構造をより単純化でき、フィルタをより安価に製造することも可能である。
さらに、本開示に係るフィルタの製造方法によれば、例えば、平均孔径10μmの疎水性多孔質膜を用いて、フィルタを製造することもできる。上述した特許文献2では、多孔質膜において、多孔質性を有していない部分が加圧により形成されている。しかし、特許文献2において用いられた多孔質膜の孔の平均孔径は0.1μmであり、例えば、平均孔径が10μm程度の多孔質膜を用いた場合では、加圧が失われると多孔質性が回復してしまうおそれがある。これに対して、本開示に係るフィルタの製造方法では、熱可塑性樹脂を疎水性多孔質膜の孔に充填するため、より平均孔径の大きい疎水性多孔質膜を用いることもできる。このため、本開示に係るフィルタの製造方法においては、疎水性多孔質膜の平均孔径の選択に関して、より自由度を高めて、フィルタを製造することができる。
なお、上記に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
本開示は、以下のような構成もとることができる。
(1)疎水性多孔質膜からなる基体部と、前記基体部に設けられた2以上の通気部と、
を有し、前記基体部の前記通気部以外の部分は孔に熱可塑性樹脂が充填されており、各通気部が相互に独立しているフィルタ。
(2)前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂である上記(1)に記載のフィルタ。
(3)前記疎水性多孔質膜は、フッ素系樹脂により形成されている上記(1)又は(2)に記載のフィルタ。
(4)検査用カートリッジに取り付けられ、前記通気部を介して前記検査用カートリッジ内の気体が前記検査用カートリッジの外部へ排出される上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルタ。
(5)基体部となる疎水性多孔質膜の片面又は両面に、通気部に相当する位置に開口が形成された熱可塑性樹脂シートを熱圧着し、前記基体部の前記通気部以外の部分の孔に熱可塑性樹脂を充填するフィルタの製造方法。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルタを備える検査用カートリッジ。
1.実験例1
本実験例では、熱可塑性フィルムの圧着条件について検討した。
(1)材料及び方法
本実験例1では、熱可塑性樹脂シートとして、アルミ箔に厚さ30μmのポリプロピレン樹脂フィルムをラミネートしたCPP(無延伸ポリプロピレン)フィルムを用いた。
また、疎水性多孔質膜には、下記の2種類の多孔質PTFE材料を用いた。
フィルタ61:POREX社製、製造品番PM23J:厚さ250μm、平均孔径4μm
フィルタ62:POREX社製、製造品番PM3V:厚さ180μm、平均孔径10μm
図5A及び図5Bに、本実験例で作製したフィルタ61の構造を模式的に示す。なお、フィルタ61とフィルタ62は、採用した疎水性多孔質膜のみ異なり、構成は同じであるため、フィルタ62の図示は省略する。図5Aは、フィルタ61の平面図であり、図5Bは、図5Aに示すP4−P4線の断面図である。図5A及び図5Bに示すように、アルミ箔232にラミネートした熱可塑性樹脂シート231a,231bに、2mmの間隔(図5AL1参照)となるように、直径3mmの孔22d,22eを設けた。そして、上述した疎水性多孔質膜211に、温度200℃、時間60秒の条件で、熱可塑性樹脂シートを熱圧着させた。また、熱圧着における加圧条件は、0.1、0.5、1.5、3.0N/mmと変化させた。
作製されたフィルタの評価は、図6に示す測定装置を用いて行った。図6に示すように開口を有する試料台31に、フィルタ61を固定し、試料台31の内部を真空に排気しフィルタ61の外部よりヘリウムを吹き付けた。隣り合う通気部22d,22eの間を透過して(矢印F4参照)、ヘリウム検出器41へ達したヘリウム(矢印F5参照)を検出した。ヘリウム検出器41として、島津エミット社製のヘリウムリークディテクタMSE−2000Rを用いた。そして、疎水性多孔質膜211を通過したヘリウムの量を測定し、フィルタ61の性能を評価した。フィルタ62についても同様の測定を行い、フィルタ62の性能を評価した。
(2)結果
本実験例の結果を図7及び表1に示す。図7の縦軸は上述した装置で測定されたヘリウム量を示し、横軸は熱圧着時の圧力を示す。また、表1は、0.1、0.5、1.5、3.0N/mmの、各加圧条件におけるヘリウムの測定量を示す。
Figure 2016099188
図7及び表1に示すように、フィルタ61とフィルタ62を比較すると、平均孔径が大きく厚みが薄いフィルタ62の方が、同じ加圧力の場合、ヘリウムの通過量が少ないことが示された。また、フィルタ62の場合、0.5N/mmの圧力で、ヘリウムの測定量が9.0×10−10Pa・m/sまで低下することが示された。一方、フィルタ61の場合、フィルタ62と同等のヘリウムの測定量を得るためには、3.0N/mm以上の圧力が必要なことが示された。この結果は、平均孔径が大きいと低い圧力でも熱可塑性樹脂が充填され易いことを示している。また、疎水性多孔質膜の厚みが薄い方が、熱可塑性樹脂が充填され易いことを示している。
本実験例の結果から、平均孔径4μm以下の疎水性多孔質膜への圧着力は、3.0N/mm以上が好ましいことが示された。また、平均孔径10μm以下の疎水性多孔質膜への圧着力は、0.5N/mm以上が好ましいことが示された。また、平均孔径がより大きい、10μmの疎水性多孔質膜を用いた場合であっても、熱可塑性樹脂を熱圧着させることにより、フィルタの厚み方向と交わる方向における気体の通過が防止されたフィルタを製造できることが示された。
V1,V2,V3:バルブ付き連結具
1:検査用カートリッジ
11,11a,11b,11c:液体収容部
111,111a,111b,111c:開口部
12:導入部
13,13a,13b,13c:流路
14:基板層
15:接着部
2:フィルタ
21:基体部
211:疎水性多孔質膜
22,22a,22b,22c,22d,22e:通気部
23:熱可塑性樹脂層
231a,231b:熱可塑性樹脂シート
232:アルミ箔
31:試料台
41:ヘリウム検出器
5:フィルタ
61:フィルタ
62:フィルタ

Claims (6)

  1. 疎水性多孔質膜からなる基体部と、
    前記基体部に設けられた2以上の通気部と、
    を有し、
    前記基体部の前記通気部以外の部分は孔に熱可塑性樹脂が充填されており、各通気部が相互に独立しているフィルタ。
  2. 前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂である請求項1に記載のフィルタ。
  3. 前記疎水性多孔質膜は、フッ素系樹脂により形成されている請求項1に記載のフィルタ。
  4. 検査用カートリッジに取り付けられ、前記通気部を介して前記検査用カートリッジ内の気体が前記検査用カートリッジの外部へ排出される請求項1に記載のフィルタ。
  5. 基体部となる疎水性多孔質膜の片面又は両面に、通気部に相当する位置に開口が形成された熱可塑性樹脂シートを熱圧着し、前記基体部の前記通気部以外の部分の孔に熱可塑性樹脂を充填するフィルタの製造方法。
  6. 請求項1に記載のフィルタを備える検査用カートリッジ。
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