JP2016096119A - ブレーカー及びそれを備えた安全回路並びに2次電池回路。 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気機器が強い衝撃を受けた場合であっても、接点間の導通の瞬断を防止できるブレーカーを提供する。
【解決手段】ブレーカー1は、固定接点21を有する固定片2と、可動接点41が先端部に設けられ、温度変化に伴って変形することにより可動接点41を固定接点21から離隔させる可動片4と、固定接点21から可動接点41が離隔しているときに、可動片4と固定片2を導通させるPTCサーミスター6と備える。可動片4は、弾性変形することにより可動接点41を固定接点21の側に押圧する弾性部43と、PTCサーミスター6と当接し、PTCサーミスター6を固定片2の側に押圧するサーミスター押圧部45と、可動片4の厚さ方向に貫通し、弾性部43とサーミスター押圧部45とを分離する貫通溝46とを有する。サーミスター押圧部45は、弾性部43に対して固定片2の側に突出している。
【選択図】図1
【解決手段】ブレーカー1は、固定接点21を有する固定片2と、可動接点41が先端部に設けられ、温度変化に伴って変形することにより可動接点41を固定接点21から離隔させる可動片4と、固定接点21から可動接点41が離隔しているときに、可動片4と固定片2を導通させるPTCサーミスター6と備える。可動片4は、弾性変形することにより可動接点41を固定接点21の側に押圧する弾性部43と、PTCサーミスター6と当接し、PTCサーミスター6を固定片2の側に押圧するサーミスター押圧部45と、可動片4の厚さ方向に貫通し、弾性部43とサーミスター押圧部45とを分離する貫通溝46とを有する。サーミスター押圧部45は、弾性部43に対して固定片2の側に突出している。
【選択図】図1
Description
本発明は、電気機器の2次電池パック等に内蔵される小型のブレーカー等に関するものである。
従来、各種電気機器の2次電池やモーター等の保護装置(安全回路)としてブレーカーが使用されている。ブレーカーは、充放電中の2次電池の温度が過度に上昇した場合、又は自動車、家電製品等の機器に装備されるモーター等に過電流が流れた場合等の異常が生じた際に、2次電池やモーター等を保護するために電流を遮断する。このような保護装置として用いられるブレーカーは、機器の安全を確保するために、温度変化に追従して正確に動作する(良好な温度特性を有する)ことと、通電時の抵抗値が安定していることが求められる。
ブレーカーには、温度変化に応じて動作し、電流を導通又は遮断する熱応動素子が備えられている。特許文献1には、熱応動素子としてバイメタルを適用したブレーカーが示されている。バイメタルとは、熱膨張率の異なる2種類の板状の金属材料が積層されてなり、温度変化に応じて形状を変えることにより、接点の導通状態を制御する素子である。同文献に示されたブレーカーは、固定片、可動片、熱応動素子、PTCサーミスター等の部品が、ケースに収納されてなり、固定片及び可動片の端子が電気機器の電気回路に接続されて使用される。上記特許文献1に示されたブレーカーにおいては、ブレーカーの温度上昇に伴い、バイメタルがスナップ変形(反転)し、固定接点から可動接点が離隔する。このとき、僅かな漏れ電流がバイメタル及びPTCサーミスターを通して流れ、PTCサーミスターを発熱させることにより、バイメタルの変形状態が維持される(同文献の段落(0039)等参照)。
上記特許文献1に示されるブレーカーでは、バイメタル及びPTCサーミスターが強固に拘束されていない。そのため、例えば、ユーザーが誤って電気機器に強い衝撃を加えた場合にあっては、PTCサーミスターが跳ね上がってバイメタル及び可動片を押し上げ、固定接点と可動接点との間での導通の瞬断を起こすおそれがある。かかる瞬断は、固定接点と可動接点との突発的な離隔であるので、動作中の電気機器のシステムが停止する弊害の他、各接点に負担となる。
また、上記特許文献1に示されたブレーカーにあっては、バイメタルの中央部が図3の上方に突出する状態から図4の下方に突出する状態に移行する際に、バイメタルが平面状となる状態を経る。このとき、バイメタルとPTCサーミスターとが衝撃に対して不安定となり、両者が瞬間的に離隔すると、その間でサージが発生し、PTCサーミスターの表面が損傷を受けるおそれがある。
そして、PTCサーミスターの表面が損傷した場合、バイメタルとの接触抵抗が大きくなり、PTCサーミスターの内部を流れる電流が不十分となる。このため、PTCサーミスターの発熱量が低下して、バイメタルの変形状態を維持できなくなり、その結果、固定接点及び可動接点が導通/非導通を繰り返すいわゆるチャタリング現象が発生し、電気機器を適切に保護できないおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、強い衝撃を受けた場合であっても、固定接点と可動接点との間での導通の瞬断を防止でき、かつ、PTCサーミスターの損傷を抑制できるブレーカーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接触して導通する可動接点と、前記可動接点が先端部に設けられ、温度変化に伴って変形することにより前記可動接点を前記固定接点から離隔させる可動片と、前記固定接点から前記可動接点が離隔しているときに、前記可動片と前記固定片とを導通させる正特性サーミスターとを備えたブレーカーにおいて、前記可動片は、弾性変形することにより前記可動接点を前記固定接点の側に押圧する弾性部と、前記正特性サーミスターと当接し、該正特性サーミスターを前記固定片の側に押圧するサーミスター押圧部と、前記可動片の厚さ方向に貫通し、前記弾性部と前記サーミスター押圧部とを分離する貫通溝とを有し、前記サーミスター押圧部は、前記弾性部に対して前記固定片の側に突出していることを特徴とする。
本発明に係る前記ブレーカーにおいて、前記弾性部には、前記正特性サーミスターとは反対の側に突出する突出部が形成されていることが望ましい。
本発明に係る前記ブレーカーにおいて、前記貫通溝は、平面視で前記突出部の外側領域に形成されていることが望ましい。
本発明に係る前記ブレーカーにおいて、前記弾性部は、少なくとも前記固定接点から前記可動接点が離隔しているときに、前記正特性サーミスターから離隔していることが望ましい。
本発明に係る前記ブレーカーにおいて、前記可動片に導通される端子片をさらに備え、前記可動片は、前記サーミスター押圧部の近傍を含む領域で前記端子片と溶接されていることが望ましい。
本発明に係る前記ブレーカーにおいて、前記正特性サーミスターは、円柱状に形成されていることが望ましい。
本発明の電気機器用の安全回路は、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする。
本発明の2次電池回路は、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする。
本発明のブレーカーによれば、サーミスター押圧部は、弾性部に対して固定片の側に突出し、正特性サーミスターを固定片の側に押圧する。これにより、正特性サーミスターが固定片とサーミスター押圧部とによって挟まれて拘束され、電気機器が強い衝撃を受けた際の正特性サーミスターの跳ね上がりが抑制される。また、貫通溝によって、弾性部とサーミスター押圧部とが分離されているので、サーミスター押圧部が正特性サーミスターから力を受け変形する場合であっても、その変形は、弾性部に伝わらない。従って、固定接点と可動接点との導通状態は維持され、電気機器のシステム停止及び各接点の負担が抑制されうる。
温度変化によって可動片の弾性部が変形し、可動接点を固定接点から離隔させる状態にあっても、サーミスター押圧部は、弾性部の変形とは独立して正特性サーミスターを固定片の側に押圧し続ける。これにより、サーミスター押圧部、正特性サーミスター及び固定片間の接触は維持され、サージによる正特性サーミスターの損傷が抑制されうる。
本発明の一実施形態によるブレーカーについて図面を参照して説明する。図1乃至図3は、ブレーカーの構成を示している。ブレーカー1は、固定接点21を有する固定片2と端子が形成されている端子片3と、先端部に可動接点41を有し、温度変化に伴って変形する可動片4と、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスター6と、固定片2、端子片3と、可動片4及びPTCサーミスター6を収容するケース7等によって構成されている。ケース7は、ケース本体(第1ケース)71とケース本体71の上面に装着される蓋部材(第2ケース)81等によって構成されている。
固定片2は、例えば、銅等を主成分とする金属板(この他、銅−チタン合金、洋白、黄銅などの金属板)をプレス加工することにより形成され、ケース本体71にインサート成形により埋め込まれている。固定片2の一端には外部回路と電気的に接続される端子22が形成され、他端側には、PTCサーミスター6を支持する支持部23が形成されている。PTCサーミスター6は、固定片2の支持部23に3箇所形成された凸状の突起(ダボ)24の上に載置されて、突起24に支持される。
固定接点21は、銀、ニッケル、ニッケル−銀合金の他、銅−銀合金、金−銀合金などの導電性の良い材料のクラッド、メッキ又は塗布等により可動接点41に対向する位置に形成され、ケース本体71の内部に形成されている開口73aの一部から露出されている。端子22はケース本体71の端縁から外側に突き出されている。支持部23は、ケース本体71の内部に形成されている開口73dから露出されている。
本出願においては、特に断りのない限り、固定片2において、固定接点21が形成されている側の面(すなわち図1において上側の面)を表(おもて)面、その反対側の面を裏(うら)面として説明している。他の部品、例えば、可動片4等についても同様である。
端子片3は、固定片2と同様に、銅等を主成分とする金属板をプレス加工することにより形成され、ケース本体71にインサート成形により埋め込まれている。端子片3の一端には外部回路と電気的に接続される端子32が形成され、他端側には、可動片4と電気的に接続される接続部33が形成されている。端子32はケース本体71の端縁から外側に突き出されている。接続部33は、ケース本体71の内部に設けられた開口73bから露出し、可動片4と電気的に接続される。
可動片4は、板状の金属材料をプレス加工することにより、長手方向の中心線に対して対称なアーム状に形成されている。可動片4は、熱膨張率の異なる薄板材を積層することにより形成されている。例えば、高膨脹側に銅−ニッケル−マンガン合金又はニッケル−クロム−鉄合金、低膨脹側に鉄−ニッケル合金をはじめとする、洋白、黄銅、ステンレス鋼など各種の合金からなる熱膨張率の異なる2種類の材料を積層したものが、所要条件に応じて組み合わせて使用される。
可動片4の先端部には、可動接点41が形成されている。可動接点41は、固定接点21と同等の材料によって形成され、溶接の他、クラッド、かしめ(crimping)等の手法によって可動片4の先端部に接合されている。
可動片4の基端部には、端子片3の接続部33と電気的に接続される接続部42が形成されている。端子片3の接続部33と可動片4の接続部42とは、例えば、溶接によって固着されている。
可動片4は、可動接点41と接続部42との間に、弾性部43を有している。弾性部43は、接続部42から可動接点41の側に延出されている。接続部42において端子片3の接続部33と固着されることにより可動片4が固定され、弾性部43が弾性変形することにより、その先端に形成されている可動接点41が固定接点21の側に押圧されて接触し、固定片2と可動片4とが通電可能となる。可動片4と端子片3とは、電気的に接続されているので、固定片2と端子片3とが通電可能となる。
弾性部43には、表面側すなわちPTCサーミスター6とは反対の側に突出する突出部44が形成されている。図2に示されるように、突出部44は、断面で円弧状に湾曲した初期形状をなしている。図3に示されるように、過熱により可動片4の動作温度に達すると、突出部44の湾曲形状は、スナップモーションを伴って逆反りし、突出部44は、PTCサーミスター6の側に突出する。突出部44の逆反り形状は、可動片4が冷却され、その温度が復帰温度を下回ると復元する。突出部44の上記初期形状は、プレス加工により形成することができる。突出部44の突出量は、例えば、可動片4の動作温度及び復帰温度等に応じて適宜設定される。
可動片4は、PTCサーミスター6と当接し、PTCサーミスター6を固定片2の側に押圧するサーミスター押圧部45を有している。サーミスター押圧部45は、接続部42を基端として弾性部43の内側に形成されている。
PTCサーミスター6は、固定片2と可動片4との間に配設されている。すなわち、PTCサーミスター6を挟んで、固定片2は可動片4の直下に位置している。可動片4の逆反り動作により固定片2と可動片4との通電が遮断されたとき、PTCサーミスター6に流れる電流が増大する。
PTCサーミスター6は、温度上昇と共に抵抗値が増大して電流を制限する正特性サーミスターであれば、動作電流、動作電圧、動作温度、復帰温度などの必要に応じて種類を選択でき、その材料及び形状はこれらの諸特性を損なわない限り特に限定されるものではない。本実施形態では、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム又はチタン酸カルシウムを含むセラミック焼結体が用いられる。セラミック焼結体の他、ポリマーにカーボン等の導電性粒子を含有させたいわゆるポリマーPTCを用いてもよい。PTCサーミスター6は、偏平な円柱状に形成されている。このようなPTCサーミスター6は、薄型化と共に平面視でPTCサーミスター6の中心から端縁までの最大距離を小さくして小型化を図りつつ、耐電圧を高めることが可能となる。
ケース7を構成するケース本体71及び蓋部材81は、難燃性のポリアミド、耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの熱可塑性樹脂により成形されている。上述した樹脂と同等以上の特性が得られるのであれば、樹脂以外の材料を適用してもよい。
ケース本体71には、可動片4、及びPTCサーミスター6などを収容するための収容凹部73が形成されている。収容凹部73は、可動片4の先端部及び可動接点41を収容するための開口73a、可動片4の接続部42を収容するための開口73b、可動片4の弾性部43を収容するための開口73c、並びに、PTCサーミスター6を収容するための開口73d等を有している。なお、本実施形態では、固定片2の支持部23の裏面にもケース本体71を構成する樹脂が充填されている形態であるが、支持部23の裏面がケース本体71の外底面側に露出している形態であってもよい。
蓋部材81には、カバー片9がインサート成形によって埋め込まれている。カバー片9は、上述した銅等を主成分とする金属板又はステンレス鋼等の金属板をプレス加工することにより形成される。カバー片9は、図2及び図3に示すように、可動片4の表面と適宜当接し、可動片4の動きを規制すると共に、蓋部材81のひいては筐体としてのケース7の剛性・強度を高めつつブレーカー1の小型化に貢献する。カバー片9の外面側には、樹脂が配されている。
図1に示すように、固定片2、可動片4及びPTCサーミスター6等を収容したケース本体71の開口73a、73b、73c等を塞ぐように、蓋部材81が、ケース本体71に装着される。ケース本体71と蓋部材81とは、例えば超音波溶着によって接合される。ケース本体71と蓋部材81とは、互いの外端縁で全周に亘って接合され、ケース7の気密性が高められる。
図2は、通常の充電又は放電状態におけるブレーカー1の動作を示している。通常の充電又は放電状態においては、可動片4の突出部44は断面が湾曲した初期形状を維持し(逆反り前であり)、固定接点21と可動接点41は接触し、可動片4の弾性部43などを通じてブレーカー1の両端子22、32間は導通している。可動片4のサーミスター押圧部45とPTCサーミスター6とは接触しており、可動片4、PTCサーミスター6及び固定片2は、回路として導通している。しかし、PTCサーミスター6の抵抗は、可動片4の抵抗に比べて圧倒的に大きいため、PTCサーミスター6を流れる電流は、固定接点21及び可動接点41を流れる量に比して実質的に無視できる程度である。
図3は、過充電状態又は異常時などにおけるブレーカー1の動作を示している。過充電又は異常により高温状態となると、動作温度に達した可動片4の弾性部43は逆反りし、可動片4の先端部が押し上げられて固定接点21と可動接点41とが離隔する。このとき、固定接点21と可動接点41の間を流れていた電流は遮断される一方で、サーミスター押圧部45とPTCサーミスター6との接触状態は維持される。その結果、僅かな漏れ電流がPTCサーミスター6を通して流れることとなる。PTCサーミスター6は、このような漏れ電流の流れる限り発熱を続ける。PTCサーミスター6が発生させる熱は、サーミスター押圧部45及び接続部42を順次介して弾性部43に伝わり、弾性部43を逆反り状態に維持させつつPTCサーミスター6自身の抵抗値を激増させる。従って、電流は固定接点21と可動接点41の間の経路を流れず、上述の僅かな漏れ電流のみが存在する(自己保持回路を構成する)。この漏れ電流は電気機器の他の機能に充てることができる。
過充電状態を解除し、又は異常状態を解消すると、PTCサーミスター6の発熱も収まり、可動片4は復帰温度に戻り、元の初期形状に復元する。そして、可動片4の弾性部43の弾性力によって可動接点41と固定接点21とは再び接触し、回路は遮断状態を解かれ、図2に示す導通状態に復帰する。
図4は、可動片4を示している。可動接点41、弾性部43、サーミスター押圧部45及び接続部42は、可動片4の長手方向の中心線に沿って対称に形成されている。弾性部43には、断面が円弧状に突出する突出部44が形成されている。突出部44は、初期形状で可動片4の表面側すなわち蓋部材81(図1及び図2参照)の側に突出する。突出部44によって、可動片4は動作温度の前後又は復帰温度の前後で、スナップモーションを伴い変形する。突出部44は、動作温度に達すると、初期形状から反転した形状となり、可動片4の裏面側すなわちPTCサーミスター6(図1及び図3参照)の側に突出する。なお、突出部44は、図4に示される湾曲形状の他、屈曲形状にて形成されていてもよい。
弾性部43は、突出部44が形成されている領域で、ブレーカー1の短手方向に幅広に形成されている。これにより、弾性部43に平面視で大きな突出部44が形成される。このような突出部44によって、可動片4の動作温度及び復帰温度のばらつきが抑制される。
本実施形態では、突出部44の周辺で弾性部43は、平面状に形成されている。固定接点21に対する可動接点41の接触圧力を調整するために、弾性部43が突出部44の周辺で湾曲又は屈曲されていてもよい。
図4(a)、(b)に示されるように、可動片4には、可動片4の厚さ方向に貫通する貫通溝46が形成されている。貫通溝46は、弾性部43とサーミスター押圧部45とを分離する。貫通溝46は、平面視で略U字状に形成されている。このような貫通溝46によって、舌片状のサーミスター押圧部45が形成される。
貫通溝46の形状は、平面視で略U字状の形態に限られることなく、例えば、略V字状、略W字状又は略H字状等であってもよい。このような貫通溝46によって、サーミスター押圧部45が複数個設けられていてもよい。また、貫通溝46の形状を変形することにより、サーミスター押圧部45の形状を任意とすることができる。
本実施形態では、サーミスター押圧部45は、基端部45aにおいて接続部42から連続して形成されている。接続部42の側にサーミスター押圧部45の基端部45aが設けられることにより、可動片4ひいてはブレーカー1の小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、基端部45aが接続部42の側に設けられると共に、弾性部43とサーミスター押圧部45とが貫通溝46によって突出部44の側で分離されているので、弾性部43の変形は直接的にサーミスター押圧部45には伝わらず、接続部42を介してサーミスター押圧部45に伝わる。そうしたところ、接続部42と端子3の接続部33とが溶接によって強固に固着されているので、接続部42はほとんど変形しない。従って、弾性部43の変形がサーミスター押圧部45に影響を及ぼすことが、より一層効果的に抑制されうる。
サーミスター押圧部45は、裏面側に突出するように、基端部45aにおいて屈曲又は湾曲されている。すなわち、図4(c)に示されるように、サーミスター押圧部45は、突出部44とは反対の側に突出して設けられている。これにより、図1に示されるように、可動片4がケース本体71に組み込まれたとき、サーミスター押圧部45は、固定片2の側に突出し、可動片4の裏面側でPTCサーミスター6と当接する。従って、PTCサーミスター6は、固定片2の支持部23の側に押圧され、支持部23とサーミスター押圧部45とによって挟み込まれて強固に拘束される。
可動片4に貫通溝46が形成されていることによって、図3に示されるように、弾性部43は、サーミスター押圧部45から独立して変形可能となる。換言すると、サーミスター押圧部45は、弾性部43の変形の影響を受けることなく、PTCサーミスター6を拘束する。
可動片4は、接続部42の裏面において、端子片3の接続部33と溶接により固着されている。従って、接続部42は、端子片3の接続部33と溶接される溶接部47を含んでいる。溶接部47は、接続部42の裏面に設けられている。
図4(c)に示されるように、可動片4は、第1熱膨張率層51と、第2熱膨張率層52とを有するバイメタル構造である。第1熱膨張率層51の外側又は第2熱膨張率層52の外側に別の層が設けられていてもよい。可動片4は、第1熱膨張率層51を構成する材料及び第2熱膨張率層52を構成する材料を、圧延等の手法を用いて貼り合わせ、プレス加工等によって打ち抜かれて形成される。
第1熱膨張率層51は、第1熱膨張率の材料によってなる。第1熱膨張率層51の材料としては、例えば、鉄−ニッケル合金をはじめとする、洋白、黄銅、ステンレス鋼など各種の合金が用いられている。
第2熱膨張率層52は、第1熱膨張率より大きい第2熱膨張率の材料によってなる。第2熱膨張率層52の材料としては、例えば、銅−ニッケル−マンガン合金又はニッケル−クロム−鉄合金など各種の合金が用いられている。これらの金属材料のうち、マンガンを含有する合金は、鉄、ニッケル、銅などの金属に比べて熱膨張率が大きく、可動片4が小型化された場合であっても、優れた温度特性を維持すると共に、熱変形時すなわち電流遮断時において可動接点41を持ち上げて保持する力を十分に発生させることができ、ブレーカー1による電流の遮断状態を確実なものとすることができる。
本実施形態では、可動片4の表面側に第1熱膨張率層51が設けられ、裏面側に第2熱膨張率層52が設けられている。従って、第1熱膨張率層51が設けられている側に突出部44が突出し、第2熱膨張率層52が設けられている側にサーミスター押圧部45が突出している。
サーミスター押圧部45による押圧力は、サーミスター押圧部45の弾性部43に対する突出量hによって適宜設定できる。例えば、サーミスター押圧部45の突出量hを十分に大きく設定することにより、PTCサーミスター6を強固に拘束できる。これにより、ブレーカー1に強い衝撃が付与された場合であっても、PTCサーミスター6の跳ね上がりが抑制され、衝撃の際に弾性部43がPTCサーミスター6に押し上げられることが抑制される。
上述したように、可動片4は、熱膨張の異なる第1熱膨張率層51と、第2熱膨張率層52とを有しているため、温度上昇によってサーミスター押圧部45が変形し、突出量hに影響を及ぼすおそれがある。そのため、サーミスター押圧部45の常温時の突出量hは、サーミスター押圧部45の熱による変形を考慮して設定される。
図5は、固定片2及び端子片3がインサートされたケース本体71を示している。収容凹部73は、図4に示される可動片4と平面視で相似形になるように形成されている。これにより、ケース本体71と蓋部材81との接合面の面積が大きくなり、ケース7の剛性・強度が高められる。PTCサーミスター6を収容するための開口73dは、端子片3の接続部33に近接して設けられている。これにより、サーミスター押圧部45を短く設定でき、大きい力でPTCサーミスター6を押圧すると共に、ブレーカー1の小型化を図ることができる。端子片3の接続部33は、可動片4の接続部42と溶接される溶接部34を含んでいる。
図6は、PTCサーミスター6及び可動片4が組み込まれたケース本体71を示している。可動片4は、PTCサーミスター6の表面を被うようにケース本体71に組み込まれる。これにより、可動片4の接続部42と端子片3の接続部33とが当接され、それぞれの溶接部34(図5参照)と溶接部47とが溶接されることにより、可動片4が端子片3に固着される。溶接部34と溶接部47との溶接には、例えば、レーザー溶接等が適用される。
ところで、図4に示されるように、可動片4に貫通溝46が設けられているブレーカーにあっては、貫通溝46の形状をPTCサーミスター6に対応させることにより、又はPTCサーミスター6の形状を貫通溝46に対応させることにより、貫通溝46からPTCサーミスター6の一部を可動片4の表面側に突出させる構成とすることができる。上記いずれの構成においても、サーミスター押圧部45は、可動片4の表面側に突出され、弾性部43に対して蓋部材81(図1乃至3参照)の側でPTCサーミスター6と当接する。しかしながら、前者の場合は、貫通溝46が大きくなるため、可動片4ひいてはブレーカーの小型化を図ることができない。特に、図1に示されるような円柱状のPTCサーミスター6が適用される場合、可動片4の短手方向で貫通溝46が肥大するため、ブレーカーの幅寸法を抑制するのが困難となる。一方、後者の場合は、PTCサーミスター6のサイズが制約され、PTCサーミスター6の耐電圧を十分に高めることができないおそれがある。
本実施形態では、図2乃至4に示されるように、サーミスター押圧部45は、弾性部43に対して固定片2の支持部23の側に突出している。これにより、サーミスター押圧部45は、弾性部43に対して支持部23の側でPTCサーミスター6と当接する。従って、貫通溝46からPTCサーミスター6の一部を可動片4の表面側に突出させる必要がなくなり、貫通溝46の形状及びPTCサーミスター6の形状をそれぞれ独立して設定できる。これにより、PTCサーミスター6の耐電圧を十分に確保しながら、ブレーカー1の小型化を図ることが可能となる。
図4に示されるように、貫通溝46は、平面視で突出部44の外側領域に形成されている。このような貫通溝46は、図2及び3に示される突出部44の変形に影響を及ぼさない。従って、可動片4の動作温度及び復帰温度が安定する。
図2に示されるように、固定接点21と可動接点41とが接触しているときに、弾性部43は、PTCサーミスター6から離隔している。これにより、弾性部43の内部には、PTCサーミスター6からの加圧による応力は生じない。従って、可動片4の動作温度が安定する。
また、図3に示されるように、固定接点21から可動接点41が離隔しているときに、弾性部43は、PTCサーミスター6から離隔している。これにより、上記と同様に、弾性部43の内部には、PTCサーミスター6からの加圧による応力は生じない。従って、可動片4の復帰温度が安定する。
図4及び6に示されるように、可動片4の溶接部47と端子片3の溶接部34とが溶接によって固着される。可動片4の溶接部47は、接続部42のうち、サーミスター押圧部45の基端部45aの近傍を含む領域に設けられている。すなわち、可動片4は、サーミスター押圧部45の基端部45aの近傍を含む領域で、端子片3と溶接されている。これにより、可動片4がサーミスター押圧部45の基端部45aの近傍で端子片3に強固に固着されるので、サーミスター押圧部45が大きな押圧力でPTCサーミスター6を押圧できるようになる。従って、PTCサーミスター6を強固に拘束できる。これにより、ブレーカー1に強い衝撃が付与された場合であっても、PTCサーミスター6の跳ね上がりが抑制され、衝撃の際に弾性部43がPTCサーミスター6に押し上げられることが抑制される。
また、可動片4の溶接部47と端子片3の溶接部34とが溶接される際には、その溶接に伴う熱によって、可動片4が変形する。本実施形態では、可動片4に貫通溝46が形成されているので、溶接部47に付与される熱は、貫通溝46を迂回して弾性部43及び突出部44に伝わる。このため、溶接時に弾性部43及び突出部44の温度は抑制され、弾性部43及び突出部44の熱変形が抑制される。換言すると、弾性部43及び突出部44は、溶接時における熱的に大きな負荷に耐えることができるため、可動片4の溶接部47と端子片3の溶接部34とを強固に固着することが可能となる。
図6に示されるように、サーミスター押圧部45は、先端部45bでPTCサーミスター6と当接する。先端部45bの中央部分は、平面視で固定片2の突起24に囲まれた領域(図中破線ハッチングで示される領域25)内に配設されている。これにより、サーミスター押圧部45に押圧されるPTCサーミスター6の姿勢が安定し、PTCサーミスター6と固定片2との接触状態が安定する。従って、固定片2と可動片4との間で安定した導通が得られる。
以上のように、本実施形態のブレーカー1によれば、サーミスター押圧部45は、弾性部43に対して固定片2の側に突出し、PTCサーミスター6を固定片2の側に押圧する。これにより、電気機器が強い衝撃を受けた際のPTCサーミスター6の跳ね上がりが抑制される。また、貫通溝46によって、弾性部43とサーミスター押圧部45とが分離されているので、サーミスター押圧部45がPTCサーミスター6から力を受け変形する場合であっても、その変形は、弾性部43に伝わらない。従って、固定接点21と可動接点41との導通状態は維持され、電気機器のシステム停止及び各接点21,41の負担が抑制されうる。
温度変化によって可動片4の弾性部43が変形し、可動接点41を固定接点21から離隔させる状態にあっても、サーミスター押圧部45は、弾性部43の変形とは独立してPTCサーミスター6を固定片2の支持部23側に押圧し続ける。これにより、サーミスター押圧部45、PTCサーミスター6及び固定片2間の接触は維持され、サージによるPTCサーミスター6の損傷が抑制されうる。
ところで、近年、生産効率の向上を狙って、ブレーカーを回路基板に直接的に実装する形態が検討されており、さらには、ブレーカーの端子と回路基板のランドとの接続にリフロー方式のはんだ付けを用いることが検討されている。
しかしながら、特許文献1に示される形態のブレーカーにおいては、リフローに伴うブレーカーの過熱によって、バイメタルが、同文献中図4に示される状態からさらに過剰に逆反り変形し、PTCサーミスターを介して固定片を大きな力で下方に押圧する。このような場合、固定片が変形するおそれがある。
一方、バイメタル構造によって可動片4が構成されている本実施形態では、図3に示されるように、固定接点21から可動接点41が離隔しているときに、弾性部43は、PTCサーミスター6から離隔している。これにより、リフロー時に弾性部43が逆反り変形する場合にあっても、PTCサーミスター6は、弾性部43から離隔し続け、サーミスター押圧部45のみによって押圧される。しかも、サーミスター押圧部45の押圧力は、サーミスター押圧部45自身の熱変形によって緩和される。従って、固定片2の支持部23が大きな力で下方に押圧されるおそれがなく、固定片2の変形が防止されうる。
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも、温度変化に伴って変形することにより可動接点41を固定接点21から離隔させる可動片4と、固定接点21から可動接点41が離隔しているときに、可動片4と固定片2とを導通させるPTCサーミスター6とを備え、可動片4は、弾性変形することにより可動接点41を固定接点21の側に押圧する弾性部43と、PTCサーミスター6と当接し、PTCサーミスター6を固定片2の側に押圧するサーミスター押圧部45と、可動片4の厚さ方向に貫通し、弾性部43とサーミスター押圧部45とを分離する貫通溝46とを有し、サーミスター押圧部45は、弾性部43に対して固定片2の側に突出していればよい。
ケース7は、二次的なインサート成形等により、樹脂等で密封されていてもよい。この場合、固定片2の端子22及び端子片3の端子32が、回路基板等のランドに固定され導通可能なように、ケース7の外側に形成された樹脂から露出していればよい。
また、ケース本体71と蓋部材81との接合手法は、超音波溶着に限られることなく、両者が強固に接合される手法であれば、適宜適用することができる。例えば、液状又はゲル状の接着剤を塗布・充填し、硬化させることにより、両者が接着されてもよい。また、ケース7は、ケース本体71と蓋部材81等によって構成される形態に限られることなく、2個以上の部品によって構成されていればよい。
また、固定片2、端子片3、可動片4、PTCサーミスター6及び収容凹部73等の形状も、図1等に示したものに限られず、適宜変更可能である。
また、上記特許文献1に示されるような、端子片3と可動片4とが一体に形成されている形態に、本発明を適用してもよい。この場合、一体化された端子片3及び可動片4は、例えば、ケース本体71と蓋部材81とによって挟み込まれて溶着される。サーミスター押圧部45は、例えば、同文献中「固定部33(ケースに固定されて変形しない部位)」を基端として「弾性部34(弾性変形によって、接点の接触又は離隔を司る部位)」の側に設けることができる。
また、本発明のブレーカー1は、2次電池パック、電気機器用の安全回路等にも広く適用できる。図7は2次電池パック500を示す。2次電池パック500は、2次電池501と、2次電池501の出力端回路中に設けたブレーカー1とを備える。図8は電気機器用の安全回路502を示す。安全回路502は2次電池501の出力回路中に直列にブレーカー1を備えている。ブレーカー1を備えた2次電池パック500又は安全回路502によれば、電気機器が強い衝撃を受けた場合であっても、接点間の導通の瞬断を防止できる2次電池パック500又は安全回路502を製造できる。
1 ブレーカー
2 固定片
21 固定接点
3 端子片
4 可動片
41 可動接点
43 弾性部
44 突出部
45 サーミスター押圧部
46 貫通溝
6 PTCサーミスター(正特性サーミスター)
501 2次電池
502 安全回路
2 固定片
21 固定接点
3 端子片
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41 可動接点
43 弾性部
44 突出部
45 サーミスター押圧部
46 貫通溝
6 PTCサーミスター(正特性サーミスター)
501 2次電池
502 安全回路
Claims (8)
- 固定接点を有する固定片と、
前記固定接点に接触して導通する可動接点と、
前記可動接点が先端部に設けられ、温度変化に伴って変形することにより前記可動接点を前記固定接点から離隔させる可動片と、
前記固定接点から前記可動接点が離隔しているときに、前記可動片と前記固定片とを導通させる正特性サーミスターとを備えたブレーカーにおいて、
前記可動片は、弾性変形することにより前記可動接点を前記固定接点の側に押圧する弾性部と、前記正特性サーミスターと当接し、該正特性サーミスターを前記固定片の側に押圧するサーミスター押圧部と、前記可動片の厚さ方向に貫通し、前記弾性部と前記サーミスター押圧部とを分離する貫通溝とを有し、
前記サーミスター押圧部は、前記弾性部に対して前記固定片の側に突出していることを特徴とするブレーカー。 - 前記弾性部には、前記正特性サーミスターとは反対の側に突出する突出部が形成されている請求項1記載のブレーカー。
- 前記貫通溝は、平面視で前記突出部の外側領域に形成されている請求項2記載のブレーカー。
- 前記弾性部は、少なくとも前記固定接点から前記可動接点が離隔しているときに、前記正特性サーミスターから離隔している請求項1乃至3のいずれかに記載のブレーカー。
- 前記可動片に導通される端子片をさらに備え、
前記可動片は、前記サーミスター押圧部の近傍を含む領域で前記端子片と溶接されている請求項1乃至4のいずれかに記載のブレーカー。 - 前記正特性サーミスターは、円柱状に形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載のブレーカー。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載のブレーカーを備えたことを特徴とする電気機器用の安全回路。
- 請求項1乃6のいずれかに記載のブレーカーを備えたことを特徴とする2次電池回路。
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JP2014233055A JP2016096119A (ja) | 2014-11-17 | 2014-11-17 | ブレーカー及びそれを備えた安全回路並びに2次電池回路。 |
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JP2019114368A (ja) * | 2017-12-21 | 2019-07-11 | ボーンズ株式会社 | ブレーカー及びそれを備えた安全回路 |
-
2014
- 2014-11-17 JP JP2014233055A patent/JP2016096119A/ja active Pending
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JP7017922B2 (ja) | 2017-12-21 | 2022-02-09 | ボーンズ株式会社 | ブレーカー及びそれを備えた安全回路 |
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