JP2016094336A - ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子 - Google Patents

ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】光学系の作製に好適な、高屈折率低分散ガラスを提供する。【解決手段】ガラス組成として、B2O3+SiO2、La2O3+Y2O3+Gd2O3+Yb2O3、Nb2O5+TiO2+Ta2O5+WO3、ZrO2、のそれぞれの合計含有量が特定の範囲内に有り、下記の含有量の比、(La2O3+Y2O3+Gd2O3+Yb2O3)/(B2O3+SiO2)、(Nb2O5+TiO2+Ta2O5+WO3)/(B2O3+SiO2)、La2O3+Y2O3+Gd2O3+Yb2O3)/ZnO、La2O3+Y2O3+Gd2O3+Yb2O3)/La2O3、(La2O3+Y2O3+Gd2O3+Yb2O3)/Y2O3、(La2O3+Y2O3+Gd2O3+Yb2O3)/Gd2O3、Nb2O5+TiO2+WO3)/Nb2O5、(Nb2O5+TiO2+Ta2O5+WO3)/Ta2O5、がそれぞれ特定の範囲内にある組成とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子に関する。
高屈折率低分散ガラスからなるレンズは、超低分散ガラスからなるレンズ等と組み合わせて接合レンズとすることにより、色収差を補正しつつ光学系のコンパクト化を可能にすることができる。そのため、高屈折率低分散ガラスは、撮像光学系やプロジェクタなどの投射光学系を構成する光学素子として非常に重要な位置を占めている。そのような高屈折率低分散ガラスが、例えば特許文献1〜20に記載されている。
特開2007−063071号公報 特開2007−230835号公報 特開2007−249112号公報 特開2007−261826号公報 特開2003−267748号公報 特開2009−203083号公報 特開2011−230992号公報 特開2012−025638号公報 特開昭54−090218号公報 特開昭56−160340号公報 特開2001−348244号公報 特開2008−001551号公報 特表2013−536791号公報 WO10/053214 特開2012−180278号公報 特開2012−236754号公報 特開2014−084235号公報 特開2014−062025号公報 特開2014−062026号公報 特開2011−93780号公報
光学素子用のガラスについては、光学特性の分布を示すために、光学特性マップ(またはアッベ図表とも呼ばれる)が広く使用されている。光学特性マップは、横軸にアッベ数νd、縦軸に屈折率ndを取り、アッベ数νdは横軸の右側から左側に向かうにしたがい増加し、屈折率は縦軸の下方から上方に向かうにしたがい増加するように作成される。なお以下において、屈折率、アッベ数は、特記しない限り、ヘリウムのd線(波長587.56nm)に対する屈折率nd、ヘリウムのd線(波長587.56nm)に対するアッベ数νdをいうものとする。
光学特性マップでは、高屈折率低分散ガラス(高nd高νdガラス)の光学特性は、アッベ数が小さくなると屈折率が増加し、アッベ数が増加すると屈折率が低下する、いわゆる右肩上がりの分布を一般に示す。これは、以下の理由によるものと考えられる。
高屈折率低分散ガラスは、酸化ホウ素および酸化ランタンなどの希土類酸化物を含有しているものが多い。このようなガラスにおいて、アッベ数を減少させずに屈折率を高めるには、希土類酸化物の含有量を高めることになる。しかし、従来の高屈折率低分散ガラスにおいて希土類酸化物の含有量を高めると、ガラスの熱的安定性が低下しガラスを製造する過程でガラスが失透傾向を示してしまう。そのため、従来の高屈折低分散ガラスでは、光学素子材料として使用すべくガラスの失透を抑制しつつ、アッベ数と屈折率を共に高めることは困難であった。この点が、従来の高屈折率低分散ガラスが、光学特性マップにおいて、上記のような分布を示す理由と考えられる。
一方、光学系の設計において、屈折率が高く、アッベ数も大きい(分散の低い)ガラスは、色収差の補正、光学系の高機能化、コンパクト化のために極めて有効な光学素子用の材料である。したがって、光学特性マップ上で右肩上がりの直線を設定し、この直線上および直線よりも屈折率が高い(マップ上、直線よりも左側の領域に位置する)ガラスを提供することの意義は非常に大きい。
以上の点から、アッベ数νdが39.5〜41.5であり、このアッベ数に対し、屈折率ndが2.0927−0.0058×νdで求まる値以上であるガラス、すなわちnd≧2.0927−0.0058×νdの関係を満たすガラスは、光学系において有用な高屈折率低分散ガラスである。
これに対し、特許文献1〜20に記載されているガラスの中で、アッベ数νdが39.5〜41.5の範囲にあり、nd≧2.0927−0.0058×νdの関係を満たす高屈折率低分散ガラスは、Gd、Taのいずれかの成分を含んでいる。しかるに、Gd、Taとも、希少価値の高い元素であるものの各種産業分野での需要が近年増加しているため、市場における需要に対して供給が不足している。そのため高屈折率低分散ガラスの安定供給の観点からは、高屈折率低分散ガラスにおいて、GdやTaの含有量を低減することが望ましい。
他方、従来の高屈折率低分散ガラスのガラス組成において、GdやTaの含有量を低減しつつ、光学特性と熱的安定性をともに維持しようとすると、ガラスの短波長側の光吸収端が長波長化し、紫外線の透過率が大きく低下する傾向がある。
ところで、色収差の補正のために、それぞれ異なる光学特性を有するガラスを用いて複数のレンズを作り、これらのレンズを貼り合わせ、接合レンズを作る方法が知られている、接合レンズを作る過程で、レンズ同士を貼り合わせるために、通常、紫外線硬化型接着剤が用いられる。詳しくは、次の通りである。レンズ同士を貼り合せる面に紫外線硬化型接着剤を塗布し、レンズを貼り合わせる。このとき、通常、レンズ間に紫外線硬化型接着剤の極めて薄い塗布層が形成される。次いで、上記塗布層に対して、レンズを通して紫外線を照射し紫外線硬化型接着剤を硬化する。したがって、レンズの紫外線の透過率が低いと、レンズを通して上記塗布層に十分な光量の紫外線が届かず、硬化が不十分になってしまう。または硬化に長時間を要してしまう。
また、紫外線硬化型接着剤を用いて、レンズ鏡筒等にレンズを接着し固定する場合にも、同様に、レンズの紫外線透過率が低いと、硬化が不十分になるか、または硬化に長時間を要してしまう。
したがって、光学系の作製に好適な透過率特性を有するガラスとするためには、ガラスの短波長側の光吸収端の長波長化を抑制することが望ましい。
本発明の一態様は、アッベ数νdが39.5〜41.5であり、nd≧2.0927−0.0058×νdの関係を満たし、安定供給が可能であり、かつ光学系の作製に好適なガラスを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、質量%表示にて、
とSiOとの合計含有量が17.5〜35%、
La、Y、GdおよびYbの合計含有量が45〜70%、
Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量が3〜16%、
ZrO含有量が2〜10%、
La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するBとSiOとの合計含有量の質量比{(B+SiO)/(La+Y+Gd+Yb)}が0.2〜0.5、
Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するBとSiOとの合計含有量の質量比{(B+SiO)/(Nb+TiO+Ta+WO)}が2.8以下、
La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するZnO含有量の質量比{ZnO/(La+Y+Gd+Yb)}が0.10未満、
La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するLa含有量の質量比{La/(La+Y+Gd+Yb)}が0.55〜0.98、
La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するY含有量の質量比{Y/(La+Y+Gd+Yb)}が0.02〜0.45、
La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するGd含有量の質量比{Gd/(La+Y+Gd+Yb)}が0.10以下、
Nb、TiOおよびWOの合計含有量に対するNb含有量の質量比{Nb/(Nb+TiO+WO)}が0.81以上、
Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するTa含有量の質量比{Ta/(Nb+TiO+Ta+WO)}が0.3以下、
であり、アッベ数νdが39.5〜41.5の範囲であり、かつ屈折率ndがアッベ数νdに対して下記(1)式:
nd≧2.0927−0.0058×νd ・・・ (1)
を満たす酸化物ガラスであるガラス、
に関する。
上記ガラスは、アッベ数νdが39.5〜41.5の範囲においてnd≧2.0927−0.0058×νdの関係を満たすガラスであって、Gdを含む各種成分(すなわちLa、Y、Gd、Yb)の合計含有量およびTaを含む各種成分(すなわちNb、TiO、Ta、WO)の合計含有量が上記範囲の中で、Gd、Taを分母または分子に含む上記質量比を満たす。したがって、ガラス組成においてGd、Taが占める比率が低減されている。上記ガラスは、かかる合計含有量および質量比を満たす組成の中で、上述の含有量、合計含有量および質量比を満たす組成調整が行われていることにより、高い熱的安定性(失透しにくい性質)の実現と短波長側の光吸収端の長波長化の抑制とを両立することができる。
本発明の一態様によれば、光学系において有用な光学特性を有し、安定供給が可能であり、かつ光学系の作製に好適な透過率特性を有するガラスを提供することができる。更に、本発明の一態様によれば、上記ガラスからなるプレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子を提供することができる。
図1は、比較例6で評価したガラスの写真である。
[ガラス]
本発明の一態様にかかるガラスは、上記ガラス組成を有し、アッベ数νdが39.5〜41.5の範囲であり、かつ屈折率ndがアッベ数νdに対して上記(1)式を満たす酸化物ガラスである。以下、上記ガラスの詳細について説明する。
本発明では、ガラスのガラス組成を、酸化物基準で表示する。ここで「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されてガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいうものとする。また、特記しない限り、ガラス組成は質量基準(質量%、質量比)で表示するものとする。
本発明におけるガラス組成は、例えばICP−AES(Inductively Coupled Plasma - Atomic Emission Spectrometry)などの方法により定量することができる。ICP−AESにより求められる分析値は、分析値の±5%程度の測定誤差を含んでいることがある。また、本明細書および本発明において、構成成分の含有量が0%または含まないもしくは導入しないとは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、この構成成分の含有量が不純物レベル程度以下であることを指す。
以下では、数値範囲に関して、(より)好ましい下限および(より)好ましい上限を、表に示して記載することがある。表中、下方に記載されている数値ほど好ましく、最も下方に記載されている数値が最も好ましい。また、特記しない限り、(より)好ましい下限とは、記載されている値以上であることが(より)好ましいことをいい、(より)好ましい上限とは、記載されている値以下であることが(より)好ましいことをいう。表中の(より)好ましい下限の列に記載されている数値と(より)好ましい上限の列に記載されている数値とを、任意に組み合わせて数値範囲を規定することができる。
<ガラス組成>
、SiOは、ガラスのネットワーク形成成分である。BとSiOとの合計含有量(B+SiO)が17.5%以上であると、ガラスの熱的安定性が向上し、製造中のガラスの結晶化を抑制することができる。一方、BとSiOとの合計含有量が35%以下であると、屈折率ndの低下を抑制することができるため、上記した光学特性を有するガラスの作製が可能となる。したがって、上記ガラスにおけるBとSiOとの合計含有量は、17.5〜35%の範囲とする。BとSiOとの合計含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
La、Y、GdおよびYbは、アッベ数νdの減少を抑えつつ屈折率を高める働きを有する成分である。また、これらの成分は、ガラスの化学的耐久性、耐候性を改善し、ガラス転移温度を高める働きも有する。
La、Y、GdおよびYbの合計含有量(La+Y+Gd+Yb)が45%以上であると、屈折率ndの低下を抑制することができるため、上記した光学特性を有するガラスの作製が可能となる。更に、ガラスの化学的耐久性や耐候性の低下を抑制することもできる。なお、ガラス転移温度が低下すると、ガラスを機械的に加工(切断、切削、研削、研磨など)するときにガラスが破損しやすくなる(機械加工性の低下)が、La、Y、GdおよびYbの合計含有量が45%以上であると、ガラス転移温度の低下を抑制することができるため、機械加工性を高めることもできる。一方、La、Y、GdおよびYbの各成分の含有量の合計が70%以下であれば、ガラスの熱的安定性を高めることができるため、ガラスを製造するときの結晶化の抑制や、ガラスを熔融するときの原料の熔け残りを低減することもできる。また、比重の上昇を抑制することもできる。したがって、上記ガラスにおいて、La、Y、GdおよびYbの合計含有量は、45〜70%の範囲とする。La、Y、GdおよびYbの合計含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Nb、TiO、TaおよびWOは、屈折率を高める働きのある成分であり、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量(Nb+TiO+Ta+WO)が3%以上であれば、熱的安定性を維持しつつ上記した光学特性を実現することができる。一方、Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量が16%以下であれば、熱的安定性の低下およびアッベ数νdの低下を抑制することができる。また、後述する着色度λ5の増加を抑制してガラスの紫外線透過率を高めることもできる。したがって、上記ガラスでは、Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量を、3〜16%の範囲とする。Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
ZrOは、屈折率を高める働きのある成分であり、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。また、ZrOは、ガラス転移温度を高めることにより機械的な加工時にガラスが破損しにくくする働きも有する。これらの効果を良好にえるために、上記ガラスでは、ZrOの含有量を2%以上とする。一方、ZrOの含有量が10%以下であれば、ガラスの熱的安定性を改善することができるため、ガラス製造時の結晶化やガラス熔融時の熔け残りの発生を抑制することができる。したがって、上記ガラスにおけるZrO含有量は、2〜10%の範囲とする。ZrO含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
ガラスの熱的安定性を改善しつつ、アッベ数νdが39.5〜41.5であり屈折率ndとアッベ数νdが上記(1)式の関係を満たす光学特性を実現するために、上記ガラスにおいて、La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するBとSiOとの合計含有量の質量比{(B+SiO)/(La+Y+Gd+Yb)}を0.2〜0.5とする。質量比{(B+SiO)/(La+Y+Gd+Yb)}が0.2以上であれば、ガラスの熱的安定性を改善することができるため、ガラスの失透を抑制することができる。また、ガラスの比重の増大を抑制することもできる。ガラスの比重が増大すると、このガラスを用いて作製される光学素子が重くなる。その結果、この光学素子を組み込んだ光学系が重くなる。例えば、オートフォーカス式のカメラに重い光学素子を組み込むとオートフォーカスを駆動する際の消費電力が増加し、早く電池が消耗してしまう。ガラスの比重の増大を抑制できることは、このガラスを用いて作製される光学素子およびこの光学素子を組み込んだ光学系の軽量化の低減の観点から好ましい。一方、質量比{(B+SiO)/(La+Y+Gd+Yb)}が0.5以下であれば、上記の光学特性を実現することができる。質量比{(B+SiO)/(La+Y+Gd+Yb)}の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
ガラスの熱的安定性を改善しつつ、屈折率ndの低下を抑制し上記した光学特性を実現するために、上記ガラスでは、Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するBとSiOとの合計含有量の質量比{(B+SiO)/(Nb+TiO+Ta+WO)}を2.8以下とする。
アッベ数νdの減少を抑制しつつ、ガラスの熱的安定性を改善するために、質量比{(B+SiO)/(Nb+TiO+Ta+WO)}を1.2以上にすることが好ましい。更に、質量比{(B+SiO)/(Nb+TiO+Ta+WO)}を1.2以上にすることは、ガラスの短波長側の光吸収端の長波長化をより一層抑制するために好ましい。その結果、紫外線硬化型接着剤を用いてガラス製レンズを接合するとき、レンズを通して紫外線が接着剤の塗布層により届きやすくなる。これにより、紫外線照射によって接着剤をより硬化しやすくなる。
質量比{(B+SiO)/(Nb+TiO+Ta+WO)}のより好まし下限および好ましい上限を、下記表に示す。
ガラスの熱的安定性を改善し、上記した光学特性を実現するために、上記ガラスでは、La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するZnO含有量の質量比{ZnO/(La+Y+Gd+Yb)}を0.10未満とする。質量比{ZnO/(La+Y+Gd+Yb)}の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
希土類元素であるLa、Y、GdおよびYbの中で、Gdは重希土類元素に属し、ガラスの安定供給の観点から、ガラス中の含有量を低減することが求められる成分である。また、Gdは原子量が大きく、ガラスの比重を増加させる成分でもある。
Ybも重希土類元素に属し、かつ原子量が大きい。また、Ybは近赤外域に吸収を有する。一方、一眼レフカメラ用の交換レンズや監視カメラのレンズは、近赤外域の光線透過率が高いことが望ましい。そのため、これらレンズの作製に有用なガラスとするためには、Ybの含有量を低減することが望ましい。
これに対し、La、Yは、近赤外域の光線透過率に悪影響を及ぼすことがなく、希土類元素の合計含有量に対して適量を配分することにより、熱的安定性を改善しつつ、比重の増大を抑制し、高屈折率低分散ガラスを提供するうえで有用な成分である。
そこで上記ガラスでは、Laについては、La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するLa含有量の質量比{La/(La+Y+Gd+Yb)}を、0.55〜0.98の範囲とする。質量比{La/(La+Y+Gd+Yb)}の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
また、Yについては、La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するYの含有量の質量比{Y/(La+Y+Gd+Yb)}を0.02〜0.45の範囲とする。質量比{Y/(La+Y+Gd+Yb)}の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Gdは、先に記載した通り、ガラスの安定供給の観点から、ガラス中の含有量を低減すべき成分である。上記ガラスにおいて、Gdの含有量は、La、Y、Gd、Ybの合計含有量と、この合計含有量に対するGd含有量により定まる。上記ガラスでは、上記した光学特性を有する高屈折率低分散ガラスを安定供給する上から、La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するGdの含有量の質量比{Gd/(La+Y+Gd+Yb)}を0.10以下とする。なお上記質量比を満たすことは、ガラスの低比重化にも寄与し得る。質量比{Gd/(La+Y+Gd+Yb)}の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
La、Y、GdおよびYbの合計含有量、ならびにこの合計含有量に対するLa含有量、Y含有量、Gd含有量の質量比については、上述の通りである。La、Y、Gd、Ybの各成分の含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。なおY含有量については、ガラスの熱的安定性および熔融性の改善の観点からも、下記表に示す下限が好ましい。
Nb、Ti、TaおよびWは、適量を含有させることにより、屈折率を高め、ガラスの熱的安定性を改善する働きをする。ただし、TiやWの含有量を高めると、可視域の短波長側の吸収端が長波長側にシフトする。その結果、ガラスの短波長側の光吸収端が長波長化してしまう。そこで上記光学ガラスにおいては、ガラスの熱的安定性を改善しつつ、ガラスの短波長側の光吸収端の長波長化を抑制するために、Nb、Ti、Ta、Wの各性質を考慮したうえで、これらの含有量の比率が定められる。詳しくは、以下の通りである。
Nbは、ガラスの比重、着色、製造コストを増大させずに、屈折率ndを高め、ガラスの熱的安定性を改善する働きがある。また、Nbは、Ti、Wと比較し、ガラスの短波長側の吸収端を長波長化させにくい成分でもある。ガラスの短波長側の吸収端は、周知のように、λ5と呼ばれている指標により表すことができる。つまり、Nbは、Ti、Wと比較し、λ5を増加させにくい成分である。λ5については、詳細は後述する。
一方、Tiの含有量が多くなると、λ5が増加する。また、ガラスの可視域の透過率が低下して、ガラスの着色が増大する傾向がある。
Taは、屈折率を高める働きを有し、さらにNb、Ti、Wと比較し、ガラスの短波長側の吸収端を長波長化させにくい成分でもあるものの、極めて高価な成分である。そのため、ガラスの安定供給の観点から、Ta5+を積極的に使用することは好ましくない。また、Taの含有量が多いと、ガラスを熔融するときに原料が熔け残りやすくなる。また、ガラスの比重が増加する。
Wについては、その含有量が多くなると、λ5が増加する。また、可視域における透過率が減少し、比重が増大する。
上述のように、Taは、含有量を低減すべき成分である。そのため、Taを積極的に使用することは好ましくない。熱的安定性を改善し、短波長側の光吸収端の長波長化を抑制する(好ましくはλ5を小さくする)ために、上記ガラスでは、Nb、TiO、Ta、WOの中でTaを除外したNb、TiOおよびWOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比{Nb/(Nb+TiO+WO)}を0.81以上とする。質量比{Nb/(Nb+TiO+WO)}の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Taについては、ガラスの熱的安定性を改善しつつ、高屈折率低分散化とTaの使用量削減を図るため、Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するTaの含有量の質量比{Ta/(Nb+TiO+Ta+WO)}を0.3以下とする。質量比{Ta/(Nb+TiO+Ta+WO)}の好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
また、Nbについては、ガラスの安定供給を可能とするためにGd、Taの含有量を低減しつつ、望ましくはGd、TaとともにYbの含有量を低減しつつ、短波長側の光吸収端の長波長化を抑制し(好ましくはλ5を小さくし)、熱的安定性に優れる高屈折率低分散ガラスを提供するために、Nb、Ti、Ta、Wの上記作用を考慮したうえで、Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するNbの含有量の質量比{Nb/(Nb+TiO+Ta+WO)}を0.5以上とすることが好ましい。また、短波長側の光吸収端の長波長化をより抑制するためには、質量比{Nb/(Nb+TiO+Ta+WO)}は大きくすることが好ましい。質量比{Nb/(Nb+TiO+Ta+WO)}のより好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
さらに、短波長側の光吸収端の長波長化をより抑制し(好ましくはλ5の増加をより抑制し)、紫外線照射による紫外線硬化型接着剤の硬化を促進させる上から、Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するTiO含有量の質量比{TiO/(Nb+TiO+Ta+WO)}を0.40以下にすることが好ましい。質量比{TiO/(Nb+TiO+Ta+WO)}の好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
同様に、短波長側の光吸収端の長波長化をより抑制する(好ましくはλ5の増加をより抑制する)上から、Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するWO含有量の質量比{WO/(Nb+TiO+Ta+WO)}を0.3以下にすることが好ましい。質量比{WO/(Nb+TiO+Ta+WO)}の好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Nb、Ti、Wの中で、Tiはガラスの着色を増大させる傾向が強く、また、λ5を増加させる作用も比較的強い。λ5の増加を抑える上で、Nb、TiOおよびWOの合計含有量(Nb+TiO+WO)に対するTiOの含有量の質量比{TiO/(Nb+TiO+WO) }の上限を、下記表に示す好ましい上限の値にすることが好ましい。なお、質量比{TiO/(Nb+TiO+WO) }を0にすることもできる。
ガラスの熱的安定性を維持しつつ、アッベ数νdの低下を抑える上で、Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量(Nb+TiO+Ta+WO)に対するLa、Y、GdおよびYbの合計含有量(La+Y+Gd+Yb)の質量比{(La+Y+Gd+Yb)/(Nb+TiO+Ta+WO)}の下限を、下記表に示す好ましい下限の値にすることが好ましい。
一方、屈折率の低下を抑えつつ、ガラスの熱的安定性を維持する上で、質量比{(La+Y+Gd+Yb)/(Nb+TiO+Ta+WO)}の上限を、下記表に示す好ましい上限の値にすることが好ましい。
上記ガラスのガラス組成について、以下に更に説明する。
ガラスのネットワーク形成成分であるBとSiOとの合計含有量等については、先に記載した通りである。BとSiOについて、Bは、SiOよりも熔融性を改善する働きが優れているが、熔融時に揮発しやすい。一方、SiOは、ガラスの化学的耐久性、耐候性、機械加工性を改善したり、熔融時のガラスの粘性を高める働きを有する。
一般に、BとLa等の希土類元素を含む高屈折率低分散ガラスでは、熔融時のガラスの粘性が低い。しかし、熔融時のガラスの粘性が低いと結晶化しやすくなる。ガラス製造時の結晶化は、アモルファス状態(非晶質状態)よりも結晶化したほうが安定であり、ガラスを構成するイオンがガラス中を移動して結晶構造をもつように配列することにより生じる。したがって、熔融時の粘性が高くなるようにBとSiOの各成分の含有量の比率を調整することにより、上記イオンを結晶構造をもつように配列しにくくして、ガラスの結晶化を更に抑制しガラスの耐失透性を一層改善することができる。
以上の観点から、BとSiOとの合計含有量に対するB含有量の質量比{B/(B+SiO)}の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。下記表に示す下限以上とすることは、ガラスの熔融性改善の観点からも好ましい。また、下記表に示す上限以下とすることは、熔融時のガラスの粘性を高めるうえで好ましい。更に、下記表に示す上限以下とすることは、熔融時の揮発によるガラス組成の変動およびこれによる光学特性の変動を低減するために、またガラスの化学的耐久性、耐候性および機械加工性の1つ以上の改善の観点からも好ましい。
含有量、SiO含有量のそれぞれについて、ガラスの耐失透性、熔融性、成形性、化学的耐久性、耐候性、機械加工性等を改善する上から好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
ZnOは、ガラスを熔融するときに、ガラス原料の熔融を促進する働き、すなわち、熔融性を改善する働きを有する。また、屈折率ndやアッベ数νdを調整したり、ガラス転移温度を低下させる働きも有する。ZnOの含有量をBとSiOとの合計含有量で除した値、すなわち、質量比{ZnO/(B+SiO)}は、アッベ数νdの低下の抑制、ガラスの熱的安定性の改善、ガラス転移温度の低下抑制(これによる機械加工性の改善)の観点から、0.30以下とすることが好ましい。なお上記ガラスにおいてZnOは含まれていてもよく含まれていなくてもよい任意成分であるため、質量比{ZnO/(B+SiO)}は0以上であることが好ましいが、熔融性を向上させ、均質なガラスを容易に作製するためにはZnを含有させて質量比{ZnO/(B+SiO)}を0超とすることがより好ましい。質量比{ZnO/(B+SiO)}のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
ガラスの熔融性、熱的安定性、成形性、機械加工性等を改善し、上記した光学特性を実現する上から、ZnO含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
ガラスの熱的安定性の更なる改善、ガラス転移温度の低下抑制(これによる機械加工性の改善)、化学的耐久性の改善の観点から、Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するZnO含有量の質量比{ZnO/(Nb+TiO+Ta+WO)}は、0.61未満であることが好ましい。一方、ZnOは任意成分であるため、質量比{ZnO/(Nb+TiO+Ta+WO)}の下限は0が好ましいが、熔融性の向上、短波長側の光吸収端の長波長化の更なる抑制する(好ましくはλ5の増加の更なる抑制)の観点から、0超とすることがより好ましい。以上の点を考慮すると、質量比{ZnO/(Nb+TiO+Ta+WO)}のより好ましい下限およびより好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Nb、TiO、Ta、WOについて、上記作用・効果を考慮したうえで、Nb、TiO、Ta、WOの各成分の含有量の好ましい範囲を、下記表に示す。
次に、以上説明した成分以外の任意成分について説明する。
LiOは、ガラス転移温度を低下させる作用が強いため、その含有量が多くなると機械加工性が低下傾向を示す。また、化学的耐久性や耐候性も低下傾向を示す。したがって、LiO含有量を5%以下とすることが好ましい。LiOの含有量の好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。LiOの含有量は0%としてもよい。
NaO、KO、RbO、CsOは、いずれも、ガラスの熔融性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性、機械加工性が低下傾向を示す。したがって、NaO、KO、RbO、CsOの各含有量の下限および上限は、それぞれ下記表に示す通りとすることが好ましい。
ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性、機械加工性を維持しつつ、ガラスの熔融性を改善する上から、LiO、NaOおよびKOの合計含有量(LiO+NaO+KO)の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
MgO、CaO、SrO、BaOは、いずれもガラスの熔融性を改善させる働きを有する成分である。ただし、これら成分の含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性が低下し、失透傾向を示す。したがって、これら成分のそれぞれの含有量は、それぞれ下記に示す下限以上とすることが好ましく、上限以下とすることが好ましい。
また、ガラスの熱的安定性を維持する上から、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量(MgO+CaO+SrO+BaO)は、下記表に示す下限以上とすることが好ましく、上限以下とすることが好ましい。
Alは、ガラスの化学的耐久性、耐候性を改善する働きを有する成分である。ただし、Alの含有量が多くなると、屈折率ndの低下傾向、ガラスの熱的安定性の低下傾向、熔融性の低下傾向がみられることがある。以上の点を考慮し、Al含有量は、下記表に示す下限以上であることが好ましく、上限以下であることが好ましい。
Ga、In、Sc、HfOは、いずれも屈折率ndを高める働きを有する。ただし、これらの成分は高価であり、上記光学ガラスを得るうえで必須の成分ではない。したがって、Ga、In、Sc、HfOの各含有量は、下記表に示す下限以上とすることが好ましく、上限以下とすることが好ましい。
Luは、屈折率ndを高める働きを有するが、ガラスの比重を増加させる成分でもある。また、LuはGd、Ybと同様、重希土類元素であることから、Luの含有量を低減することは好ましい。以上の点から、Lu含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
GeOは、屈折率ndを高める働きを有するが、一般的に使用されるガラス成分の中で、突出して高価な成分である。ガラスの製造コストを低減する上から、GeO含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Biは、屈折率ndを高めるとともに、アッベ数νdを低下させる成分である。また、ガラスの着色を増大させやすい成分でもある。上記した光学特性を有し、かつ着色の少ないガラスを作製するうえで、Bi含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
以上説明した各種作用・効果を良好に得るうえで、以上記載したガラス成分の各含有量の合計(合計含有量)は、95%よりも多くすることが好ましく、98%よりも多くすることがより好ましく、99%よりも多くすることがさらに好ましく、99.5%よりも多くすることが一層好ましい。
以上記載したカガラス成分以外のガラス成分の中で、Pは、屈折率ndを低下させる成分であり、ガラスの熱的安定性を低下させる成分でもあるが、極少量の導入であればガラスの熱的安定性を向上させることがある。上記した光学特性を有するとともに、熱的安定性が優れたガラスを作製するうえで、P含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
TeOは、屈折率ndを高める成分であるが、毒性を有する成分であることから、TeOの含有量を少なくすることが好ましい。TeO含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
なお上記の各表において(より)好ましい下限または上限に0%が記載されている成分は、含有量が0%であることも好ましい。複数成分の合計含有量についても同様である。
Pb、As、Cd、Tl、Be、Seは、それぞれ毒性を有する。そのため、これらの元素を含有させないこと、すなわち、これら元素をガラス成分としてガラス中に導入しないことか好ましい。
U、Th、Raはいずれも放射性元素である。そのため、これらの元素を含有させないこと、すなわち、これら元素をガラス成分としてガラス中に導入しないことか好ましい。
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pr,Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ceは、ガラスの着色を増大させたり、蛍光の発生源となり、光学素子用のガラスに含有させる元素としては好ましくない。そのため、これらの元素を含有させないこと、すなわち、これら元素をガラス成分としてガラス中に導入しないことか好ましい。
Sb、Snは清澄剤として機能する任意に添加可能な元素である。
Sbの添加量は、Sbに換算し、Sb以外のガラス成分の含有量の合計を100質量%としたとき、0〜0.11質量%の範囲にすることが好ましく、0.01〜0.08質量%の範囲にすることがより好ましく、0.02〜0.05質量%の範囲にすることがさらに好ましい。
Snの添加量は、SnOに換算し、SnO以外のガラス成分の含有量の合計を100質量%としたとき、0〜0.5質量%の範囲にすることが好ましく、0〜0.2質量%の範囲にすることがより好ましく、0質量%の範囲にすることがさらに好ましい。
<ガラス特性>
(ガラスの光学特性)
上記ガラスは、アッベ数νdが39.5〜41.5の範囲であり、かつ屈折率ndがアッベ数νdに対して下記(1)式を満たすガラスである。
nd≧2.0927−0.0058×vd ・・・ (1)
アッベ数νdが39.5以上のガラスは、光学素子の材料として色収差の補正に有効である。他方、アッベ数νdが41.5より大きくなると、屈折率を低下させないとガラスの熱的安定性が著しく低下し、ガラスを製造する過程で失透しやすくなる。アッベ数νdの好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
上記ガラスは、屈折率ndが、アッベ数νdに対して(1)式を満たす。アッベ数νdが39.5〜41.5の範囲であり、かつ屈折率ndが(1)式を満たすガラスは、光学系の設計において、利用価値の高いガラスである。
屈折率ndの上限は、ガラス組成により自ずと定まる。熱的安定性を改善し失透しにくいガラスを得るためには、屈折率ndが下記(2)式を満たすことが好ましい。
nd≦2.1270−0.0058×vd ・・・ (2)
アッベ数νdに対する屈折率ndの好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
また、屈折率ndは、下記表に示す下限以上であることも好ましく、上限以下であることも好ましい。
(部分分散特性)
色収差補正の観点から、上記ガラスは、アッベ数νdを固定したとき、部分分散比が小さいガラスであることが好ましい。
ここで、部分分散比Pg,Fは、g線、F線、c線における各屈折率ng、nF、ncを用いて、(ng−nF)/(nF−nc)と表される。
高次の色収差補正に好適なガラスを提供する上から、上記ガラスの部分分散比Pg,fの好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
(ガラス転移温度)
上記ガラスのガラス転移温度は、特に限定されないが、好ましくは640℃以上である。ガラス転移温度を640℃以上にすることにより、切断、切削、研削、研磨などガラスを機械的に加工する時に、ガラスを破損しにくくすることができる。また、ガラス転移温度を低下させる働きの強いLi、Znなどの成分を多量に含有させなくてもよいため、Gd、Taの含有量を少なくしても、更にはYbの含有量も少なくしても、熱的安定性を向上しやすくなる。
一方、ガラス転移温度を高くし過ぎると、ガラスを高温でアニールしなければならなくなり、アニール炉が著しく消耗する。また、ガラスを成形するときに、高い温度で成形を行わなければならず、成形に使用する型の消耗が著しくなる。
機械加工性の改善、アニール炉や成形型への負担軽減から、ガラス転移温度の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
(ガラスの光線透過性)
ガラスの光線透過性、詳しくは、短波長側の光吸収端の長波長化が抑制されていることは、着色度λ5により評価することができる。着色度λ5とは、紫外域から可視域にかけて、厚さ10mmのガラスの分光透過率(表面反射損失を含む)が5%となる波長を表す。後述の実施例に示すλ5は、250〜700nmの波長域において測定された値である。分光透過率とは、例えばより詳しくは、10.0±0.1mmの厚さに研磨された互いに平行な平面を有するガラス試料を用い、上記研磨された面に対して垂直方向から光を入射して得られる分光透過率、すなわち、上記ガラス試料に入射する光の強度をIin、上記ガラス試料を透過した光の強度をIoutとしたときのIout/Iinのことである。
着色度λ5によれば、分光透過率の短波長側の吸収端を定量的に評価することができる。前述の通り、接合レンズ作製のためにレンズ同士を紫外線硬化型接着剤により接合する際など、光学素子を通して接着剤に紫外線を照射し接着剤を硬化させることが行われる。効率よく紫外線硬化型接着剤の硬化を行う上から、分光透過率の短波長側の吸収端が短い波長域にあることが好ましい。この短波長側の吸収端を定量的に評価する指標として、着色度λ5を用いることができる。上記ガラスは、先に記載した組成調整により、好ましくは335nm以下、より好ましくは332nm以下、更に好ましくは330nm以下、一層好ましくは328nm以下、より一層好ましくは326nm以下のλ5を示すことができる。λ5の下限は、一例として、315nmを目安とすることができるが、低いほど好ましく特に限定されるものではない。
一方、ガラスの着色度の指標としては、着色度λ70が挙げられる。λ70は、λ5について記載した方法で測定される分光透過率が70%となる波長を表す。着色の少ないガラスとする上から、λ70の好ましい範囲は420nm以下、より好ましい範囲は400nm以下、一層好ましい範囲は390nm以下、より一層好ましい範囲は380nm以下である。λ70の下限の目安は350nmであるが、低いほど好ましく特に限定されるものではない。
また、ガラスの着色度の指標としては、着色度λ80も挙げられる。λ80は、λ5について記載した方法で測定される分光透過率が80%となる波長を表す。着色の少ないガラスとする上から、λ80の好ましい範囲は550nm以下、より好ましい範囲は500nm以下、一層好ましい範囲は490nm以下、より一層好ましい範囲は480nm以下である。λ80の下限の目安は355nmであるが、低いほど好ましく特に限定されるものではない。
(ガラスの比重)
光学系を構成する光学素子(レンズ)では、レンズを構成するガラスの屈折率とレンズの光学機能面(制御しようとする光線が入射、出射する面)の曲率によって、屈折力が決まる。光学機能面の曲率を大きくしようとすると、レンズの厚みも増加する。その結果、レンズが重くなる。これに対し、屈折率の高いガラスを使用すれば、光学機能面の曲率を大きくしなくても大きな屈折力を得ることができる。
以上より、ガラスの比重の増加を抑えつつ、屈折率を高めることができれば、一定の屈折力を有する光学素子の軽量化が可能となる。
屈折率ndの屈折力への寄与に関しては、ガラスの屈折率ndから真空中の屈折率である1を引いた値(nd―1)に対してガラスの比重dの比を取ることにより、光学素子の軽量化を図る際の指標とすることができる。すなわち、d/(nd−1)を光学素子の軽量化を図る際の指標とし、この値を低減することにより、レンズの軽量化を図ることができる。
上記ガラスは、比重の増加を招くGd、Taの占める比率が少なく、またYbの占める比率を少なくすることもできるので、高屈折率低分散ガラスでありながら、低比重化が可能である。したがって、上記ガラスのd/(nd−1)は、例えば5.70以下であることができる。ただし、d/(nd−1)を過剰に減少させると、ガラスの熱的安定性が低下傾向を示す。そのため、d/(nd−1)は、5.00以上とすることが好ましい。 d/(nd−1)のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
更に、上記ガラスの比重dの好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。比重dを下記表に示す上限以下にすることは、このガラスからなる光学素子の軽量化の観点から好ましい。また、比重を下記表に示す下限以上にすることは、ガラスの熱的安定性をより改善する上で好ましい。
(液相温度)
ガラスの熱的安定性の指標の一つに液相温度がある。ガラス製造時の結晶化、失透を抑制する上から、液相温度LTが1300℃以下であることが好ましく、1250℃以下であることがより好ましい。液相温度LTの下限は、一例として1100℃以上であるが、低いことが好ましく特に限定されるものではない。
以上説明した本発明の一態様にかかるガラスは、屈折率ndおよびアッベ数νdが大きく、光学素子用のガラス材料として有用である。更に、先に記載した組成調整により、ガラスの均質化および着色低減も可能である。したがって上記ガラスは、光学ガラスとして好適である。
<ガラスの製造方法>
上記ガラスは、目的のガラス組成が得られるように、原料である酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物などを秤量、調合し、十分に混合して混合バッチとし、熔融容器内で加熱、熔融し、脱泡、攪拌を行い均質かつ泡を含まない熔融ガラスを作り、これを成形することによって得ることができる。具体的には公知の熔融法を用いて作ることができる。上記ガラスは、上記した光学特性を有する高屈折率低分散ガラスでありながら、熱的安定性が優れているため、公知の熔融法、成形法を用いて、安定的に製造することができる。
[プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、およびそれらの製造方法]
本発明の他の一態様は、
上述のガラスからなるプレス成形用ガラス素材;
上述のガラスからなる光学素子ブランク、
に関する。
本発明の他の一態様によれば、
上述のガラスをプレス成形用ガラス素材に成形する工程を備えるプレス成形用ガラス素材の製造方法;
上述のプレス成形用ガラス素材を、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する工程を備える光学素子ブランクの製造方法;
上述のガラスを光学素子ブランクに成形する工程を備える光学素子ブランクの製造方法、
も提供される。
光学素子ブランクとは、目的とする光学素子の形状に近似し、光学素子の形状に研磨しろ(研磨により除去することになる表面層)、必要に応じて研削しろ(研削により除去することになる表面層)を加えた光学素子母材である。光学素子ブランクの表面を研削、研磨することにより、光学素子が仕上げられる。一態様では、上記ガラスを適量熔融して得た熔融ガラスをプレス成形する方法(ダイレクトプレス法と呼ばれる。)により、光学素子ブランクを作製することができる。他の一態様では、上記ガラスを適量熔融して得た熔融ガラスを固化することにより光学素子ブランクを作製することもできる。
また、他の一態様では、プレス成形用ガラス素材を作製し、作製したプレス成形用ガラス素材をプレス成形することにより、光学素子ブランクを作製することができる。
プレス成形用ガラス素材のプレス成形は、加熱して軟化した状態にあるプレス成形用ガラス素材をプレス成形型でプレスする公知の方法により行うことができる。加熱、プレス成形は、ともに大気中で行うことができる。プレス成形後にアニールしてガラス内部の歪を低減することにより、均質な光学素子ブランクを得ることができる。
プレス成形用ガラス素材は、そのままの状態で光学素子ブランク作製のためのプレス成形に供されるプレス成形用ガラスゴブと呼ばれるものに加え、切断、研削、研磨などの機械加工を施してプレス成形用ガラスゴブを経てプレス成形に供されるものも含む。切断方法としては、ガラス板の表面の切断したい部分にスクライビングと呼ばれる方法で溝を形成し、溝が形成された面の裏面から溝の部分に局所的な圧力を加えて、溝の部分でガラス板を割る方法や、切断刃によってガラス板をカットする方法などがある。また、研削、研磨方法としてはバレル研磨などが挙げられる。
プレス成形用ガラス素材は、例えば、熔融ガラスを鋳型に鋳込みガラス板に成形し、このガラス板を複数のガラス片に切断することにより作製することができる。または、適量の熔融ガラスを成形してプレス成形用ガラスゴブを作製することもできる。プレス成形用ガラスゴブを、再加熱、軟化してプレス成形して作製することにより、光学素子ブランクを作製することもできる。ガラスを再加熱、軟化してプレス成形して光学素子ブランクを作製する方法は、ダイレクトプレス法に対してリヒートプレス法と呼ばれる。
[光学素子およびその製造方法]
本発明の他の一態様は、
上述のガラスからなる光学素子
に関する。
上記光学素子は、上述のガラスを用いて作製される。上記光学素子において、ガラス表面には、例えば、反射防止膜等の多層膜等、一層以上のコーティングが形成されていてもよい。
また、本発明の一態様によれば、
上述の光学素子ブランクを研削および/または研磨することにより光学素子を作製する工程を備える光学素子の製造方法、
も提供される。
上記光学素子の製造方法において、研削、研磨は公知の方法を適用すればよく、加工後に光学素子表面を十分洗浄、乾燥させるなどすることにより、内部品質および表面品質の高い光学素子を得ることができる。このようにして、上記ガラスからなる光学素子を得ることができる。光学素子としては、球面レンズ、非球面レンズ、マイクロレンズなどの各種のレンズ、プリズムなどを例示することができる。
また、上記ガラスからなる光学素子は、接合光学素子を構成するレンズとしても好適である。接合光学素子としては、レンズ同士を接合したもの(接合レンズ)、レンズとプリズムを接合したものなどを例示することができる。例えば、接合光学素子は、接合する2つの光学素子の接合面を形状が反転形状となるように精密に加工(例えば、球面研磨加工)し、接合レンズの接着に使用される紫外線硬化型接着剤を塗布し、貼り合わせてからレンズを通して紫外線を照射し接着剤を硬化させることで作製することができる。このように接合光学素子を作製するために、上記ガラスは好ましい。接合する複数個の光学素子を、アッベ数νdが相違する複数種のガラスを用いてそれぞれ作製し、接合することにより、色収差の補正に好適な素子とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づき更に説明する。但し本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。
(実施例1)
下記の表に示す組成を有するガラスが得られるように、原料として酸化物、ホウ酸などの化合物を秤量し、充分、混合してバッチ原料を作製した。
このバッチ原料を白金坩堝中に入れ、1350〜1450℃の温度に坩堝ごと加熱し、2〜3時間かけてガラスを熔融、清澄した。熔融ガラスを攪拌して均質化した後、予熱した成形型に熔融ガラスを鋳込み、ガラス転移温度付近まで放冷してから直ちに、成形型ごとガラスをアニール炉内に入れた。それから、ガラス転移温度付近で約1時間アニールした。アニールした後、アニール炉内で室温まで放冷した。
このようにして作製したガラスを観察したところ、結晶の析出、泡、脈理、原料の熔け残りは認められなかった。このようにして、均質性の高いガラスを作ることができた。
(比較例1〜4)
下記の表に示す比較例1〜4の各組成を有するガラスが得られるように、原料として酸化物、ホウ酸などの化合物を秤量し、充分、混合してバッチ原料を作製した点以外、実施例1と同様の方法でガラスを得た。
比較例1の組成は、特許文献20のガラスNo.11の組成、
比較例2は、特許文献20のガラスNo.25の組成、
比較例3は、特許文献20のガラスNo.45の組成、
比較例4は、特許文献20のガラスNo.49の組成、
である。
得られたガラスのガラス特性を、以下に示す方法で測定した。測定結果を下記の表に示す。
(1)屈折率nd、nF、nc、ng、アッベ数νd
降温速度−30℃/時間で降温して得たガラスについて、日本光学硝子工業会規格の屈折率測定法により、屈折率nd、nF、nc、ngを測定した。屈折率nd、nF、ncの各測定値を用いて、アッベ数νdを算出した。
(2)ガラス転移温度Tg
示差走査熱量分析装置(DSC)を用いて、昇温速度を10℃/分にして測定した。
(3)比重
アルキメデス法により測定した。
(4)着色度λ5、λ70、λ80
互いに対向する2つの光学研磨された平面を有する厚さ10±0.1mmのガラス試料を用い、分光光度計により、研磨された面に対して垂直方向から強度Iinの光を入射し、ガラス試料を透過した光の強度Ioutを測定し、分光透過率Iout/Iinを算出し、分光透過率が5%になる波長をλ5、分光透過率が70%になる波長をλ70、分光透過率が80%になる波長をλ80とした。
(5)部分分散比Pg,F
上記(1)で測定したnF、nc、ngの値から算出した。
(6)液相温度
ガラスを所定温度に加熱された炉内に入れて2時間保持し、冷却後、ガラス内部を100倍の光学顕微鏡で観察し、結晶の有無から液相温度を決定した。
(実施例2)
実施例1で得られた各種ガラスを使用し、プレス成形用ガラス塊(ガラスゴブ)を作製した。このガラス塊を大気中で加熱、軟化し、プレス成形型でプレス成形し、レンズブランク(光学素子ブランク)を作製した。作製したレンズブランクをプレス成形型から取り出し、アニールし、研磨を含む機械加工を行い、実施例1で作製した各種ガラスからなる球面レンズを作製した。
(実施例3)
実施例1において作製した熔融ガラスを所望量、プレス成形型でプレス成形し、レンズブランク(光学素子ブランク)を作製した。作製したレンズブランクをプレス成形型から取り出し、アニールし、研磨を含む機械加工を行い、実施例1で作製した各種ガラスからなる球面レンズを作製した。
(実施例4)
実施例1において作製した熔融ガラスを固化して作製したガラス塊(光学素子ブランク)アニールし、研磨を含む機械加工を行い、実施例1で作製した各種ガラスからなる球面レンズを作製した。
(実施例5)
実施例2〜4において作製した球面レンズを、他種のガラスからなる球面レンズと貼り合せ、接合レンズを作製した。実施例2〜4において作製した球面レンズの接合面は凸面、他種の光学ガラスからなる球面レンズの接合面は凹面であった。上記2つの接合面は、互いに曲率半径の絶対値が等しくなるように作製した。接合面に光学素子接合用の紫外線硬化型接着剤を塗布し、2つのレンズを接合面同士で貼り合せた。その後、実施例2〜4において作製した球面レンズを通して、接合面に塗布した接着剤に紫外線を照射し、接着剤を固化させた。
上記のようにして接合レンズを作製した。接合レンズの接合強度は充分高く、光学性能も充分なレベルのものであった。
(比較例5)
特開2014−62026号公報の表8に示されているNo.51のガラス(以下、ガラスIと呼ぶ。)を再現した。特開2014−62026号公報表8に記載されているガラスIのλ5は337nmである。
次に、上記実施例5と同様に、ガラスIからなる球面レンズを作製し、作製した球面レンズを用いて接合レンズの作製を試みた。しかし、接合面に塗布した紫外線硬化型接着剤に、ガラスIからなるレンズを通して紫外線を照射したところ、ガラスIの紫外線透過率が低いため、接着剤を充分に硬化することができなかった。
(比較例6)
本発明の一態様にかかるガラスは、質量比{ZnO/(La+Y+Gd+Yb)}が0.10未満である。
これに対し、特開2014−62026号公報の表1に示されているNo.6のガラスの上記質量比は、0.325である。この特開2014−62026号公報の表1に示されているNo.6のガラスのガラス組成を、上記質量比が0.10未満のものとなるようにするために、ZnOを減量し、減量分を他成分の含有量のバランスが大きく変わらないよう他成分に配分して、下記表61中に示すように組成調整してガラスを作製した。表61中のガラス成分同士の比は、酸化物基準のガラス組成における各成分の含有量の質量比である。具体的には、ガラス原料を調合し、白金坩堝中に調合原料170gを入れて1400℃で2時間、熔融、清澄した。熔融ガラスを攪拌して均質化した後、予熱した成形型に熔融ガラスを鋳込み、ガラス転移温度付近まで放冷してから直ちに、成形型ごとガラスをアニール炉内に入れた。それから、ガラス転移温度付近で約1時間アニールした。アニールした後、アニール炉内で室温まで放冷した。
その後、ガラスの内部を観察した。
図1は、比較例6で評価したガラスの写真である。図1より明らかなように、ガラス中には多数の結晶が析出し、白濁して透明性が失われていた。
これに対し、本発明の一態様にかかるガラスにおいては、先に詳述した組成調整が行われていることにより、結晶析出の抑制が可能である。
最後に、前述の各態様を総括する。
一態様によれば、質量%表示にて、BとSiOとの合計含有量が17.5〜35%、La、Y、GdおよびYbの合計含有量が45〜70%、Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量が3〜16%、ZrO含有量が2〜10%、La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するBとSiOとの合計含有量の質量比{(B+SiO)/(La+Y+Gd+Yb)}が0.2〜0.5、Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するBとSiOとの合計含有量の質量比{(B+SiO)/(Nb+TiO+Ta+WO)}が2.8以下、La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するZnO含有量の質量比{ZnO/(La+Y+Gd+Yb)}が0.10未満、La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するLa含有量の質量比{La/(La+Y+Gd+Yb)}が0.55〜0.98、La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するY含有量の質量比{Y/(La+Y+Gd+Yb)}が0.02〜0.45、La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するGd含有量の質量比{Gd/(La+Y+Gd+Yb)}が0.10以下、Nb、TiOおよびWOの合計含有量に対するNb含有量の質量比{Nb/(Nb+TiO+WO)}が0.81以上、Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するTa含有量の質量比{Ta/(Nb+TiO+Ta+WO)}が0.3以下であり、アッベ数νdが39.5〜41.5の範囲であり、かつ屈折率ndがアッベ数νdに対して上記の(1)式を満たす酸化物ガラスであるガラスを提供することができる。
上記ガラスは、(1)式を満たすガラスであり、光学系において有用な高屈折率低分散ガラスである。上記ガラスは、ガラス組成においてGd、Taが占める割合が低減されているため安定供給可能であり、かつ上述の含有量、合計含有量および質量比を満たすことにより、高い熱的安定性を得ることができ、かつ短波長側の光吸収端の長波長化を抑制することができる。
一態様では、ガラスの安定供給の観点から、上記ガラスにおけるGdの含有量は、6質量%以下であることが好ましい。
一態様では、ガラスの安定供給の観点から、上記ガラスにおけるTa含有量は、5質量%以下であることが好ましい。
一態様では、上記ガラスは、着色度λ5が335nm以下となるようにガラスの短波長側の光吸収端の長波長化が抑制されていることが好ましい。
以上説明したガラスから、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子を作製することができる。即ち、他の態様によれば、上記ガラスからなるプレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子が提供される。
また、他の態様によれば、上記ガラスをプレス成形用ガラス素材に成形する工程を備えるプレス成形用ガラス素材の製造方法も提供される。
さらに他の態様によれば、上記プレス成形用ガラス素材を、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する工程を備える光学素子ブランクの製造方法も提供される。
さらに他の態様によれば、上記ガラスを光学素子ブランクに成形する工程を備える光学素子ブランクの製造方法も提供される。
さらに他の態様によれば、上記光学素子ブランクを研削および/または研磨することにより光学素子を作製する工程を備える光学素子の製造方法も提供される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上述の例示されたガラス組成に対し、明細書に記載の組成調整を行うことにより、本発明の一態様にかかるガラスを得ることができる。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組み合わせることは、もちろん可能である。
本発明は、各種光学素子の製造分野において有用である。

Claims (7)

  1. 質量%表示にて、
    とSiOとの合計含有量が17.5〜35%、
    La、Y、GdおよびYbの合計含有量が45〜70%、
    Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量が3〜16%、
    ZrO含有量が2〜10%、
    La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するBとSiOとの合計含有量の質量比{(B+SiO)/(La+Y+Gd+Yb)}が0.2〜0.5、
    Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するBとSiOとの合計含有量の質量比{(B+SiO)/(Nb+TiO+Ta+WO)}が2.8以下、
    La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するZnO含有量の質量比{ZnO/(La+Y+Gd+Yb)}が0.10未満、
    La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するLa含有量の質量比{La/(La+Y+Gd+Yb)}が0.55〜0.98、
    La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するY含有量の質量比{Y/(La+Y+Gd+Yb)}が0.02〜0.45、
    La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するGd含有量の質量比{Gd/(La+Y+Gd+Yb)}が0.10以下、
    Nb、TiOおよびWOの合計含有量に対するNb含有量の質量比{Nb/(Nb+TiO+WO)}が0.81以上、
    Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するTa含有量の質量比{Ta/(Nb+TiO+Ta+WO)}が0.3以下、
    であり、アッベ数νdが39.5〜41.5の範囲であり、かつ屈折率ndがアッベ数νdに対して下記(1)式:
    nd≧2.0927−0.0058×νd ・・・ (1)
    を満たす酸化物ガラスであるガラス。
  2. Gdの含有量が6質量%以下である請求項1に記載のガラス。
  3. Ta含有量が5質量%以下である請求項1または2に記載のガラス。
  4. 着色度λ5が335nm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスからなるプレス成形用ガラス素材。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスからなる光学素子ブランク。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスからなる光学素子。
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