JP2016090880A - 学習支援装置、学習支援方法及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】運動中に学習を行う場合において、運動時の自らの脳の状態を知ることができるようにする。
【解決手段】学習支援装置200は、ユーザの運動時に学習コンテンツを出力する装置であって、ユーザの運動状態に基づいて脳の状態を推定する推定手段201と、推定手段201により推定された脳の状態に応じた情報を学習コンテンツとともに出力する出力手段203とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、運動中の学習を支援するための技術に関する。
運動と脳の活動との間には関連があり、運動しながら勉強すると学習効果が向上する場合があると言われている。例えば、特許文献1には、いわゆるランニングハイ(ランナーズハイ)の状態で物事を記憶すると、運動中でないときに記憶した場合よりも学習効果が高いという知見に基づいて、暗記の対象である音声をランニングハイ状態において再生するための技術が記載されている。
特開2010−079069号公報
しかし、特許文献1に記載の技術においては、運動(ジョギング)の開始後約15分経過後から徐々にランニングハイ状態が始まることを前提としているため(段落0127参照)、運動しているユーザが実際にランニングハイ状態であるときに音声が再生されているか否かは定かではない。なぜならば、運動に伴う身体の生理的変化には、実際には個人差があるからである。
そこで、本発明は、運動中に学習を行う場合において、運動時の自らの脳の状態を知ることができるようにすることを目的とする。
本発明は、ユーザの運動時に学習コンテンツを出力する学習支援装置において、前記ユーザの運動状態に基づいて脳の状態を推定する推定手段と、前記推定手段により推定された脳の状態に応じた情報を、前記学習コンテンツとともに出力する出力手段とを備える構成を提供する。
前記推定手段は、脳の状態が学習に適している度合いを算出する算出手段を含み、前記出力手段は、前記算出手段による算出結果を前記学習コンテンツとともに出力してもよい。
前記算出手段は、前記ユーザの個人データを用いて前記度合いを算出してもよい。
前記学習支援装置は、前記推定手段により推定された脳の状態に応じて前記ユーザに対する運動負荷を制御する負荷制御手段を備えてもよい。
前記出力手段は、出力する前記学習コンテンツを前記推定手段により推定された脳の状態に応じて変更してもよい。
前記出力手段は、前記ユーザの運動状態又は脳の状態と、運動時に出力された前記学習コンテンツとを時系列的に対応付けて表示する表示手段を含んでもよい。
前記学習支援装置は、運動を優先するモードと学習を優先するモードとを切り替える切替手段を備えてもよい。
前記学習コンテンツは、対話者が使用する端末を介して前記ユーザが前記対話者と対話することにより学習するためのコンテンツであり、前記出力手段は、前記推定手段により推定された脳の状態に応じた情報を前記端末に送信する送信手段を含んでもよい。
また、本発明は、ユーザの運動時に学習コンテンツを出力する学習支援システムにおいて、前記ユーザの運動状態に基づいて脳の状態を推定するステップと、前記推定された脳の状態に応じた情報を、前記学習コンテンツとともに出力するステップとを実行する学習支援方法を提供する。
また、本発明は、コンピュータに、ユーザの運動状態に基づいて脳の状態を推定するステップと、前記推定された脳の状態に応じた情報を、前記ユーザの運動時に学習コンテンツとともに出力するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
本発明によれば、運動中に学習を行う場合において、運動時の自らの脳の状態を知ることができるようになる。
学習支援システムの全体構成を示すブロック図 運動機器のハードウェア構成の一例を示すブロック図 運動機器の機能的構成を示すブロック図 運動機器が実行する処理を例示するフローチャート 表示画面の一例を示す図 表示画面の一例を示す図
[実施例]
図1は、本発明の一実施例に係る学習支援システム10の全体構成を示すブロック図である。学習支援システム10は、ユーザの学習をサポートするための情報処理システムである。ここでいう学習は、例えば、語学学習や試験勉強である。学習支援システム10の特徴の一つは、ユーザが運動をしながら行う学習を支援する点にある。そのため、学習支援システム10の構成要素の一部は、スポーツジムなどの所定の施設900に設けられている。施設900には、運動するためのスペースのほか、商品(飲料、サプリメントなど)を販売するための販売スペースがある。
学習支援システム10は、ユーザ端末100と、運動機器200と、店舗端末300と、サーバ装置400と、通信端末500とを備え、ネットワーク600を介してこれらを接続した構成である。また、施設900には、運動機器200及び店舗端末300のほか、照明器具910、アロマディフューザ920、プロジェクタ930、スピーカ940及びディスプレイ950が設置されている。
なお、図1に示された各構成要素は、その数が限定されない。例えば、ユーザ端末100や通信端末500は複数あってもよく、また、施設900も複数あってもよい。さらに、一の施設900に運動機器200や店舗端末300が複数設置されていてもよい。
ユーザ端末100は、施設900を利用するユーザが所持する通信端末である。ユーザ端末100は、本実施例においては、ユーザの個人データを記憶し、運動機器200とデータ通信を行う。ユーザ端末100は、例えばスマートフォンであるが、眼鏡型、腕時計型などのいわゆるウェアラブル端末であってもよい。ユーザ端末100は、NFC(Near Field Communication)などの通信機能を有し、運動機器200などと通信可能である。また、ユーザ端末100は、ユーザの心拍数を測定し、運動機器200に送信する機能を有していてもよい。
本実施例において、個人データとは、各ユーザの属性を示すデータをいう。個人データには、例えば、ユーザの性別、年齢、慎重、体重、目標体重といった、あらかじめ測定ないし設定された情報が含まれる。また、ここでいう属性には、運動に関する属性(運動を行う頻度、直近の所定期間に行った運動の履歴など)が含まれる。以下においては、この属性のことを「運動属性」という。また、個人データは、ユーザを識別するID(例えば、施設900における会員番号)を含んでもよい。
本実施例の運動属性は、説明の便宜上、「レベル1(体力不足)」、「レベル2(普通)」、「レベル3(アスリート)」の3段階にレベル分けされるものとする。「レベル1」に分類されるユーザは、日常的な運動が不足し、軽度の運動でも疲れやすいようなユーザである。一方、「レベル3」に分類されるユーザは、十分な運動能力を有するようなユーザである。なお、「レベル2」に分類されるユーザは、レベル1とレベル3の中間に属するユーザである。
運動機器200は、ユーザの運動を補助する電子機器である。運動機器200は、例えば、トレッドミルや自転車エルゴメータである。本実施例の運動機器200は、ユーザに運動負荷を与える機能に加え、当該ユーザの運動中の学習を支援する機能を有する。具体的には、運動機器200は、運動中に所定の学習コンテンツを出力し、ユーザに音声や映像を視聴させる機能を有する。
ここにおいて、学習コンテンツとは、学習を支援するデジタルコンテンツをいう。学習コンテンツには、あらかじめ用意された問題に対して回答するタイプのコンテンツのほか、他のユーザとリアルタイムに会話することができるコンテンツも含まれる。なお、学習コンテンツは、難易度別に用意されていてもよい。また、ここでいう会話は、音声通話に限らず、テキストベースのチャットであってもよい。
図2は、運動機器200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、同図に例示された運動機器200は、自転車エルゴメータである。運動機器200は、制御部210と、通信部220と、ペダル部230と、心拍計240と、操作パネル250と、音声入出力部260とを備える。
制御部210は、運動機器200の各部の動作を制御する手段である。制御部210は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置と揮発性及び不揮発性のメモリとを備え、所定のプログラムを実行することによって運動機器200の動作を制御する。制御部210が実行するプログラムには、ユーザの運動状態に基づいて脳の状態を推定し、推定した脳の状態に基づいて情報の出力や運動負荷を制御するためのプログラムが含まれる。
通信部220は、他の装置との間でデータを送受信する手段である。通信部220は、ネットワーク600を介してサーバ装置400や通信端末500と通信可能である。また、通信部220は、ユーザ端末100と通信し、個人データなどを受信することも可能である。
ペダル部230は、運動負荷を発生させる手段である。ペダル部230は、自転車と同様のペダルと、永久磁石や電磁石によりペダルの回転に対する負荷を発生させる手段とを備える。ユーザは、このペダルを回転させることによって運動を行う。また、ペダル部230は、運動負荷を段階的に調節する機能を有してもよい。
心拍計240は、ユーザの心拍数を計測する手段である。心拍計240は、ユーザの所定の部位(胸、腕、耳など)に装着される心拍センサを備える。この心拍センサは、運動機器200の本体と有線又は無線で接続される構成であってもよい。なお、心拍計240は、上述したようにユーザ端末100で代用することも可能であり、この場合には運動機器200自体に備わっていなくてもよい。
操作パネル250は、情報を表示するとともに、ユーザの操作を受け付ける手段である。操作パネル250は、液晶などの表示素子を用いた表示パネルと、ボタン、レバースイッチなどの入力手段とを備える。なお、この表示パネルは、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。
音声入出力部260は、音声入力を受け付けるとともに、音声を再生する手段である。音声入出力部260は、例えば、マイクロホンとスピーカを備える。あるいは、音声入出力部260は、ヘッドセットとの間で音声データを送受信する構成であってもよいし、ユーザ端末100に音声を入出力する機能がある場合には、ユーザ端末100との間で音声データを送受信してもよい。
店舗端末300は、施設900に設けられたコンピュータ装置であり、例えばパーソナルコンピュータやタブレットコンピュータである。店舗端末300は、例えば、施設900のスタッフやインストラクターに用いられる。店舗端末30は、照明器具910、アロマディフューザ920、プロジェクタ930、スピーカ940及びディスプレイ950と有線又は無線で接続し、これらの動作を制御することが可能である。以下においては、店舗端末300に接続されるこれらの機器のことを総称して「周辺機器」という。
照明器具910は、施設900の内部に設置された照明を含む。照明器具910は、例えばLED(Light Emitting Diode)照明のような調光及び調色機能を有する照明を含んで構成され、光の明るさや色を変えることが可能である。
アロマディフューザ920は、エッセンシャルオイルなどを用いて芳香を発生させる装置である。アロマディフューザ920は、目的に応じた複数種類の芳香(ラベンダー、ローズマリー、グレープフルーツなど)を選択的に発生させることができる。アロマディフューザ920は、例えば、運動意欲を高めるための香り、集中力を高めるための香り、心身をリラックスさせるための香りなどを発生させることができる。
プロジェクタ930は、施設900の壁面やスクリーンに映像を投写する装置である。プロジェクタ930は、出力される学習コンテンツに応じた映像を投写したり、アロマディフューザ920から発生している香りに応じた映像を投写したりすることによって、ユーザエクスペリエンスの向上に寄与する。スピーカ940は、プロジェクタ930により投写される映像に応じた音声やBGM(background music)を再生する。
ディスプレイ950は、施設900内の販売スペースに設けられた表示装置である。ディスプレイ950は、ユーザ端末100と通信可能に構成され、個々のユーザに応じた商品をレコメンド(推薦)するために当該商品の商品情報を表示する。なお、ディスプレイ950は、商品の自動販売機と連動し、レコメンドした商品をユーザの操作に応じて販売するように構成されてもよい。
サーバ装置400は、学習支援システム10において用いられるデータを管理するコンピュータ装置である。サーバ装置400は、ユーザ端末100、運動機器200、店舗端末300などから各種のデータを受信する。なお、サーバ装置400は、学習コンテンツを記憶し、運動機器200に供給するよう構成されてもよい。また、サーバ装置400は、後述するように運動機器200や店舗端末300が実行する処理の一部を代わりに実行するよう構成されてもよい。
通信端末500は、運動機器200のユーザの会話の相手(すなわち対話者)が使用するコンピュータ装置である。運動機器200のユーザは、一部の学習コンテンツにおいて講師(教師)とリアルタイムに会話することができる。このような学習コンテンツとしては、例えば外国語会話(英会話)がある。運動機器200のユーザは、例えば、ビデオチャット(テレビ電話)と同様の要領で講師と会話することができるが、映像を伴わない音声のみの会話を行うことも可能である。なお、あるユーザに対する講師は、あらかじめ決められていてもよいし、サーバ装置400によってマッチングが行われてもよい。
ネットワーク600は、運動機器200、店舗端末300、サーバ装置400及び通信端末500を接続する通信ネットワークである。ネットワーク600は、例えばインターネットであるが、他の通信ネットワークを含んで構成されてもよい。
学習支援システム10の全体構成は、以上のとおりである。ユーザは、学習支援システム10を用いて、運動中に学習することが可能である。具体的には、ユーザは、運動機器200に乗ってペダルを漕ぎながら、学習コンテンツを視聴することができる。ユーザは、あらかじめ自らが決めておいた特定の学習コンテンツを視聴してもよいし、いくつかの学習コンテンツの中から所望するものを選択して視聴してもよい。
店舗端末300は、ユーザの状態(運動状態又は脳の状態)や出力されている学習コンテンツに応じて、周辺機器を制御することができる。例えば、店舗端末300は、アロマディフューザ920によってユーザの周囲に当該ユーザの脳の状態に応じた芳香を発生させたり、プロジェクタ930によって学習コンテンツと連動する映像を再生したりすることが可能である。
また、運動機器200は、ユーザの運動時に学習コンテンツを出力することに加え、ユーザの運動状態に応じた情報を出力することが可能である。より詳細には、運動機器200は、ユーザの運動状態に基づいて脳の状態を推定し、推定した脳の状態に応じた情報を出力することが可能である。ここにおいて、脳の状態とは、脳が学習に適した状態であるか否かを意味し、身体の運動によって脳が活性化された状態になったか否かを意味する。
図3は、運動機器200の機能的構成を示すブロック図である。運動機器200は、制御部210が所定のプログラムを実行することによって、推定手段201、算出手段202、出力手段203、負荷制御手段204及び切替手段205として機能することができる。
推定手段201は、ユーザの脳の状態を推定する手段である。推定手段201は、ユーザの運動状態を示す運動データを取得し、取得した運動データに基づいて脳の状態を推定する。本実施例の運動データは、心拍計240により計測された心拍数を表すデータである。推定手段201は、算出手段202を含む。
算出手段202は、脳の状態が学習に適している度合い(以下「学習適合度」という。)を算出する手段である。本実施例において、学習適合度は、脳の状態が学習に適していることを示す「1」とそうでないことを示す「0」の2段階のレベルで表されるとするが、より多段階のレベルで表されてもよい。
本実施例において、学習適合度が「1」である状態は、ユーザの心拍数が最大心拍数の60〜70%を維持する状態である。ここにおいて、最大心拍数とは、各人の心拍数の最大値をいい、一般的には、「220−年齢」程度であるとされている。算出手段202は、ユーザの個人データに基づいて年齢を特定し、この数式に年齢を代入することによって最大心拍数をあらかじめ決定しておく。その後、算出手段202は、実際に計測されたユーザの心拍数が最大心拍数の60〜70%を維持している場合に、学習適合度を「0」から「1」にする。
なお、学習適合度が切り替わる条件(閾値)は、ユーザの運動属性に応じて変化してもよい。例えば、運動属性が「レベル1」であるユーザに対しては、運動属性が「レベル2」又は「レベル3」であるユーザよりも低い心拍数(例えば、最大心拍数の50〜60%)で学習適合度が「0」から「1」に切り替わるようにしてもよい。
出力手段203は、情報を出力する手段である。ここでいう出力は、文字や画像の表示、音声の再生のほか、データの送信や信号の供給を含む。すなわち、出力手段203は、概念的には、情報を表示する表示手段、情報を音声として再生する再生手段及び情報を送信する送信手段の少なくともいずれかを含む。表示手段、再生手段及び送信手段は、それぞれ、本実施例においては操作パネル250、音声入出力部260及び通信部220である。なお、出力手段203は、本実施例の学習適合度のような単純な情報であれば、所定のランプを点灯させたりバイブレータを振動させたりすることによってこれを通知してもよい。
負荷制御手段204は、運動機器200によるユーザへの運動負荷を制御する手段である。本実施例において、負荷制御手段204は、ペダル部230によって発生する運動負荷を制御する。具体的には、負荷制御手段204は、推定手段201によって推定された脳の状態に応じて運動負荷を制御する。
切替手段205は、運動機器200の動作モードを切り替える手段である。本実施例において、運動機器200の動作モードには、運動を優先する第1のモードと学習を優先する第2のモードとがある。出力手段203は、適用されている動作モードに応じて出力する情報を異ならせることができる。例えば、第1のモードにおいては、出力手段203が学習コンテンツを出力せず、ユーザが運動のみに集中できるようにしてもよい。また、第2のモードにおいては、負荷制御手段204が(学習に支障が生じないように)運動負荷を調整してもよい。
図4は、運動機器200が実行する処理を例示するフローチャートである。このフローチャートは、動作モードが第2のモード、すなわち運動よりも学習を優先する場合の処理を例示している。ユーザは、この処理が実行されるとき、運動機器200を用いて運動を行っている。このとき、運動機器200は、ユーザ端末100から個人データを取得し、当該ユーザを識別する。
また、この例において、ユーザは、2つの学習コンテンツを用いて学習を行う。以下においては、これらのコンテンツをそれぞれ「第1のコンテンツ」、「第2のコンテンツ」という。これらのコンテンツは、あらかじめユーザによって決められていればよいが、例えば、第2のコンテンツは第1のコンテンツよりも重要な(ユーザにとって集中して学習したい)コンテンツや、学習に記憶力が要求されるコンテンツである。なお、学習コンテンツは、運動機器200がネットワーク600を介して受信してもよいが、ユーザ端末100から受信してもよい。
運動機器200は、ユーザが使用を開始すると、第1のコンテンツを出力する(ステップS1)。ユーザは、第1のコンテンツを視聴しながら運動を続ける。その後、運動機器200は、心拍数に基づいて学習適合度を算出することにより、所定のタイミングで脳の状態を推定する(ステップS2)。以降、運動機器200は、ステップS3、S8の判断を実行するために、学習適合度の算出を繰り返し(例えば1分毎に)実行する。
学習適合度を算出したら、運動機器200は、ユーザの脳の状態が学習に適した状態であるか否かを判断する(ステップS3)。すなわち、運動機器200は、学習適合度が「1」であるか否かを判断する。運動機器200は、この判断結果に応じてその後の処理を異ならせる。
ユーザの脳の状態が学習に適した状態でない場合、運動機器200は、その旨を示すメッセージを第1のコンテンツとともに出力する(ステップS6)。このとき、運動機器200は、ユーザの心拍数が所定範囲(本実施例においては、最大心拍数の60〜70%)より多い場合と少ない場合とで異なるメッセージを出力する。例えば、心拍数が所定範囲より少ない場合のメッセージは、「学習に適した状態ではありません。もう少しペースを上げましょう!」といったものである。一方、心拍数が所定範囲より多い場合のメッセージは、「学習に適した状態ではありません。もう少しペースを下げましょう!」といったものである。
また、運動機器200は、メッセージを出力するとともに、ペダル部230によって付与される運動負荷を調整する(ステップS7)。このとき、運動機器200は、ユーザの心拍数が所定範囲より少ない場合には運動負荷を多くし、心拍数が上がりやすい状態にする一方、ユーザの心拍数が所定範囲より多い場合には運動負荷を少なくし、心拍数が下がりやすい状態にする。
その後、運動機器200は、ステップS2、S3の処理を再度実行し、ユーザの脳の状態が学習に適した状態であるか否かを判断する。運動機器200は、学習適合度が「1」になるまで、ステップS6、S7の処理を終了させずに続行する。ステップS3の処理は、学習適合度が「1」になるまで、所定のタイミング(例えば、1分間に1回)で繰り返し実行される。
一方、学習適合度が「1」になったら、運動機器200は、その旨を示すメッセージを出力するとともに、出力する学習コンテンツを第1のコンテンツから第2のコンテンツに切り替える(ステップS4、S5)。この場合、運動機器200は、「学習に適した状態になりました。このペースを維持してください。」といったメッセージを出力する。また、運動機器200は、メッセージによって学習コンテンツを変更することを通知してもよい。あるいは、運動機器200は、学習コンテンツを切り替えるか否かをユーザに問い合わせるダイアログボックスを表示し、必要に応じてユーザが第1のコンテンツでの学習を続けることができるようにしてもよい。
運動機器200は、その後も、ユーザの脳の状態が学習に適した状態であるか否かの判断を繰り返す(ステップS8)。そして、ユーザの脳の状態が学習に適した状態でなくなったら、その旨を示すメッセージを出力し(ステップS9)、ユーザに警告する。ユーザは、このメッセージを参考に、運動のペースを調節する。あるいは、運動機器200は、ステップS6、S7の場合と同様に、学習適合度が「1」に戻りやすくなるように運動負荷を調整してもよい。
運動機器200は、図4に示す一連の処理を終了するか否かを判断し(ステップS10)、必要に応じてステップS8以降の処理を繰り返す。例えば、運動機器200は、ユーザから所定の操作を受け付けた場合に処理を終了する。あるいは、運動機器200は、ユーザが運動を止めた場合に、運動及び学習を続けるか否かをユーザに問い合わせてもよい。また、運動機器200は、学習適合度が「0」である状態が所定の時間以上継続した場合には、学習コンテンツを第2のコンテンツから第1のコンテンツに再び切り替えてもよい。
図5は、本実施例における表示画面の一例を示す図である。この例において、運動機器200は、運動状態に関する情報(心拍数、消費カロリー、学習適合度など)を第1の領域A1に表示し、学習コンテンツを第2の領域A2に表示する。第1の領域A1と第2の領域A2は、同一の画面(表示装置)に表示されてもよいし、それぞれ異なる画面(表示装置)に表示されてもよい。
以上のように、本実施例の学習支援システム10によれば、ユーザは、運動時に自らの脳の状態を容易に知ることが可能になる。したがって、ユーザは、自らが行っている運動に対して必要以上の注意を向けなくても、その運動が学習に適した状態であるか否かを把握することが可能である。
また、本実施例によれば、ユーザは、自らの脳の状態に応じた学習コンテンツを利用することが可能である。ユーザは、例えば、脳が学習に適した状態にあるときにはウォーミングアップ時やクールダウン時と異なる学習コンテンツで学習する、といったように、学習コンテンツを学習の目的や内容に応じて使い分けることが可能である。
なお、ユーザは、必ずしも複数の学習コンテンツを利用しなくてもよい。例えば、運動機器200は、学習適合度が「0」の場合には学習コンテンツを出力せずに、学習適合度が「1」になったら学習コンテンツの出力を開始するようにしてもよい。この場合、ユーザは、学習適合度が「0」のときには運動のみを行い、学習適合度が「1」になったら学習を開始する。
また、図4に示した処理は、動作モードが第2のモードである場合のものである。運動機器200は、第1のモードにおいては、学習よりも運動を優先するように動作する。例えば、運動機器200は、第1のモードにおいては、脳の状態に応じて運動負荷を(脳が学習に適した状態になるように)調整せずに、ユーザによって事前に設定された運動負荷で動作する。また、運動機器200は、第1のモードにおいては、第2のモード時と異なるメッセージを出力してもよいし、脳の状態に関するメッセージを表示しなくてもよい。あるいは、運動機器200は、第1のモードにおいては、学習コンテンツを出力しないようにしてもよい。
[変形例]
本発明は、上述した実施例の態様に限らず、他の態様でも実施することが可能である。以下に示すのは、本発明の他の実施形態の一例である。なお、これらの変形例は、必要に応じて、各々を適宜組み合わせることも可能である。
(1)運動機器200は、ユーザの脳の状態(又は運動状態)と、運動時に出力された学習コンテンツとを時系列的に対応付けて表示してもよい。このようにすれば、ユーザは、自身がどのような状態にあったときにどの学習コンテンツを視聴していたかを容易に把握することが可能である。
図6は、本変形例に係る表示画面を例示する図である。この例において、領域B1は、これまでに出力され、又はこれから出力される学習コンテンツを示す領域であり、時間の変化を横方向(左から右)で表している。また、領域B2は、学習適合度を表示する領域であり、ここではハッチングの有無により「1」又は「0」を表している。この表示例は、学習適合度が「0」である時期に「英単語レッスン」という学習コンテンツが出力され、その後、学習適合度が「1」に切り替わってからは「ビジネス英会話」という学習コンテンツが出力されることを示している。
(2)各ユーザが運動機器200によって行った運動や学習の履歴は、学習支援システム10において管理されてもよい。これらの履歴は、例えば、ユーザの個人データに含まれてもよく、例えば、運動及び学習の終了後にユーザ端末100に記録されてもよい。
また、学習支援システム10は、このような個人データを用いてユーザに商品(又はサービス)をレコメンドすることも可能である。ここでいうレコメンドは、施設900の販売スペースにおいて、ディスプレイ950に商品情報を表示したりすることによって、ユーザに商品の購入や試用を促すものである。例えば、店舗端末300は、ユーザの個人データ(体重、目標体重、消費カロリーなど)に基づいて、運動後に摂取することが望ましいサプリメント(栄養補助食品)や飲料を特定し、特定した商品の商品情報をディスプレイ950に表示することができる。また、店舗端末300は、各ユーザの個人データに基づいて、各人が摂取することが望ましい栄養素に応じた食事メニューを特定し、ユーザにレコメンドしてもよい。なお、これらの商品情報や食事メニューは、ユーザ端末100や運動機器200に表示されてもよい。
(3)運動機器200は、当該機器を使用中のユーザの脳の状態を通信端末500に通知することも可能である。例えば、運動機器200が学習適合度を通信端末500に送信し、通信端末500がこれを表示することによって、通信端末500のユーザに運動機器200のユーザの脳が学習に適した状態になっているか否かを知らせることが可能である。
(4)個人データは、IC(Integrated Circuit)カードなどの所定の記録媒体に記録されていてもよい。すなわち、上述した実施例におけるユーザ端末100は、個人データを供給する機能以外の機能を特に要しない場合であれば、このような記録媒体で代用可能である。このような記録媒体としては、例えば、施設900(スポーツジムなど)の会員証などが考えられる。
(5)本発明に係る運動状態及び脳の状態は、心拍数によって求められるものに限定されない。本発明に係る運動状態及び脳の状態は、ユーザが運動を実施することによって変化し、脳の状態と相関を有するさまざまな数値によって求めることが可能である。
なお、脳の状態の推定に心拍数を用いる場合、最大心拍数は、他の計算式によって算出されてもよいし、最大運動負荷試験を実施して得られる実測値を用いてもよい。最大心拍数を求める計算式としては、上述した「220−(年齢)」のほか、「204−(0.69×(年齢))」、「1.1×(安静時心拍数)+115」などが知られている。
(6)上述した運動属性は、一定の値ではなく、ユーザの生活習慣に応じて変更されるものであってもよい。例えば、ユーザの日々の生活において行われた活動(運動、消費カロリーなど)を記録する機能をユーザ端末100が有する場合、ユーザ端末100は、記録したユーザの活動に基づいて運動属性を決定してもよい。この場合、ユーザ端末100は、ユーザの生活習慣に変化があれば、運動属性を更新してもよい。なお、運動属性は、上述した実施例においては3段階であるが、より多くの段階(レベル)に分けられてもよい。
(7)上述した実施例において、本発明に係る学習支援装置に相当する構成は、運動機器200である。しかし、本発明に係る学習支援装置は、運動機器200そのものではなく、運動機器200と通信可能なコンピュータ装置によって実現されてもよい。また、本発明に係る学習支援装置は、運動機器200のように屋内で利用する据置型の機器に限らず、運動時に装着可能なウェアラブル端末によって実現されてもよい。
また、本発明に係る学習支援装置は、単一の装置ではなく、複数の装置の協働によって実現することも可能である。例えば、上述した実施例において、本発明に係る学習支援装置(すなわち、図3に示された各構成)は、その一部がユーザ端末100によって実現可能である。具体的には、推定手段201や算出手段202がユーザ端末100において実現されてもよいし、図5に例示した表示画面の一部がユーザ端末100において表示されてもよい。また、本発明は、負荷制御手段204や切替手段205を設けない形態で実施することも可能である。
(8)本発明は、学習支援装置のほか、学習支援装置を少なくとも含む学習支援システム、コンピュータ(CPU等)を学習支援装置として機能させるためのプログラム、ユーザの運動時における学習を支援する方法などの形態でも提供可能である。また、このプログラムは、光ディスクなどの記録媒体に記録した形態や、インターネットなどのネットワークを介して所定の装置にダウンロードされ、これをインストールすることで利用可能になる形態などでも提供可能である。
10…学習支援システム、100…ユーザ端末、200…運動機器、201…推定手段、202…算出手段、203…出力手段、204…負荷制御手段、205…切替手段、210…制御部、220…通信部、230…ペダル部、240…心拍計、250…操作パネル、260…音声入出力部、300…店舗端末、400…サーバ装置、500…通信端末、600…ネットワーク、900…施設、910…照明器具、920…アロマディフューザ、930…プロジェクタ、940…スピーカ、950…ディスプレイ

Claims (10)

  1. ユーザの運動時に学習コンテンツを出力する学習支援装置において、
    前記ユーザの運動状態に基づいて脳の状態を推定する推定手段と、
    前記推定手段により推定された脳の状態に応じた情報を、前記学習コンテンツとともに出力する出力手段と
    を備える学習支援装置。
  2. 前記推定手段は、脳の状態が学習に適している度合いを算出する算出手段を含み、
    前記出力手段は、前記算出手段による算出結果を前記学習コンテンツとともに出力する
    請求項1に記載の学習支援装置。
  3. 前記算出手段は、前記ユーザの個人データを用いて前記度合いを算出する
    請求項2に記載の学習支援装置。
  4. 前記推定手段により推定された脳の状態に応じて前記ユーザに対する運動負荷を制御する負荷制御手段を備える
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の学習支援装置。
  5. 前記出力手段は、出力する前記学習コンテンツを前記推定手段により推定された脳の状態に応じて変更する
    請求項1ないし4のいずれか1項に記載の学習支援装置。
  6. 前記出力手段は、前記ユーザの運動状態又は脳の状態と、運動時に出力された前記学習コンテンツとを時系列的に対応付けて表示する表示手段を含む
    請求項1ないし5のいずれか1項に記載の学習支援装置。
  7. 運動を優先するモードと学習を優先するモードとを切り替える切替手段を備える
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載の学習支援装置。
  8. 前記学習コンテンツは、対話者が使用する端末を介して前記ユーザが前記対話者と対話することにより学習するためのコンテンツであり、
    前記出力手段は、前記推定手段により推定された脳の状態に応じた情報を前記端末に送信する送信手段を含む
    請求項1ないし7のいずれか1項に記載の学習支援装置。
  9. ユーザの運動時に学習コンテンツを出力する学習支援システムにおいて、
    前記ユーザの運動状態に基づいて脳の状態を推定するステップと、
    前記推定された脳の状態に応じた情報を、前記学習コンテンツとともに出力するステップと
    を実行する学習支援方法。
  10. コンピュータに、
    ユーザの運動状態に基づいて脳の状態を推定するステップと、
    前記推定された脳の状態に応じた情報を、前記ユーザの運動時に学習コンテンツとともに出力するステップと
    を実行させるためのプログラム。
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