JP2016087647A - 耐圧容器、鋳型、容器側体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐圧容器10は、凸状のキャップ部26を有する鋳造製の容器側体20を構成部品に含む。キャップ部26は、頂部に湯口部22を有し、湯口部22の下流にキャップ終端部26Eを有する。湯口部22は、コネクタ取付面22Aと、コネクタ取付面22Aから容器側体20の内部に貫通する貫通孔25とを有する。更に本発明による耐圧容器10は、キャップ部26の周囲における湯口部肉厚をtM(mm)、キャップ終端部肉厚をtm(mm)とした場合に、tm≧4であって、減厚比tM/tmが、1≦tM/tmである。
【選択図】図1
Description
図1は、本発明の第1の実施形態に係る耐圧容器10の外観斜視図である。図2は、図1に示す容器側体20の断面図である。
鋳造は、精度が良好で型代も安価なロストワックス鋳造法を用いることが好ましい。ロストワックス鋳造法では、先ず容器側体20の形状に相当するワックスモデルを成形するための金型(キャビティ)を制作し、製品毎にワックスモデルを成形する。このワックスモデルにおいて、容器側体20の湯口部22の周囲における湯口部肉厚tM(mm)と、キャップ終端部肉厚tm(mm)の肉厚との関係、及び必要に応じてキャップ終端部26Eから立壁終端部27Eまでの立壁長Lと立壁終端部肉厚tnとの関係を予め成形しておく。
次に、必要に応じてワックスモデルのツリーを制作し、ワックスモデルにセラミックスラリー、セラミックパウダー、セラミックサンド等を複数回コーティングして鋳型40を制作する。容器側体20の素材に反応性の高い金属(チタン合金等)を用いる場合には、鋳型40の初層にイットリアを塗布しておくと良い。次に、ワックスモデルを溶かして脱蝋して、鋳型40の焼成を行う。
次に、重力鋳造又は遠心鋳造等により鋳型40内のキャビティに溶融金属を流入させて押し湯を行い、容器側体20を成形する。容器側体20の材質に反応性の高い金属(チタン合金等)を用いる場合には、真空環境下や不活性ガス環境下で鋳込みを行うことが好ましい。
鋳込みが終了し、鋳型40の内部の溶融金属が凝固したら、鋳型40を壊して容器側体20を取り出し、ブラスト処理を行って鋳型40の砂を落とす。
鋳造後の容器側体20に対して目視検査やX線検査、染色探傷検査等を行って、外引け、引け巣、湯境い、内部欠陥等の検査項目について、許容値を下回っているか否かの判断を行う。
次に、鋳造後の容器側体20に対して溶体化処理、時効処理(エージング ageing)を行って強度を上昇させ、形状を安定化させる。このとき、治具を用いて容器側体20の裾部29を固定し、形状を矯正することもできる。溶体化処理は、素材にTi−6Al−4Vを用いた場合に、例えば926℃で30分保持した後に水冷を行う。この条件で圧縮強度1260MPaを得ることができるので、耐圧容器10の素材に要求される性能を満たすことができる。
次に、容器側体20における裾部29端部の切除部24を切除する加工を行って、接合部21を成形する。接合部21は、他の容器側体20の接合部21と接合して、気密を保つ部分である。
次に、押し湯を行うために形成してあった湯口部22のうち、不要な切除部24を切除する加工を行う(図4参照)。この加工により、湯口部直径GDのコネクタ取付面22Aが形成される(図3、図4参照)。
次に、切除した湯口部22の表面(コネクタ取付面22A)から容器側体20の内部空間23に貫通する貫通孔25を開設する。そして、必要に応じて貫通孔25の側壁に水中コネクタ12(図1、図2参照)を螺合させるための螺子部25Aを形成する。
組立工程においては、パッキン13を水中コネクタ12のパッキン溝に配置して、水中コネクタ12を貫通孔25の螺子部25Aに螺合する(図2参照)。パッキン13は、水中コネクタ12の螺合によってパッキン溝とコネクタ取付面22Aとの間で潰れて水密性を確保する。このようにして、図2に示す容器側体20が完成する。次に、水中コネクタ12に対して結線を行い、内部空間23に所定の電子機器19(図1参照)を配置し、パッキン溝14Aにパッキン14を配置する。そして、他の容器側体20を接合部21にて接合し、ボルト孔18Aにボルト18を挿通して螺合し、二つの容器側体20同士を結合する。このようにして、図1に示す耐圧容器10の組立が終了する。
次に、耐圧容器10の外部に圧力を加えて、加圧による耐圧試験を行う。耐圧試験に合格すると、耐圧容器10が完成する。
次に、鋳造時における湯流れの流動解析及び凝固解析の結果について、図5及び図6を用いて説明する。
図6に示すように、キャップ終端部肉厚tm≧4の場合には、減厚比tM/tm≧1の場合に、キャップ部26の湯口部22から下流のキャップ終端部26Eまで、分岐点SPを発生することなく鋳造を行うことができる。従って、湯まわり不良や外引け、引け巣、湯境いなどの欠陥が少ない容器側体20を製造することができる。
図6に示すように、キャップ終端部肉厚tm≧4であって、減厚比tM/tmが、1.3≦tM/tm≦2の場合には、少なくとも20mmの立壁長Lを有する容器側体20を鋳造することができる。
図6に示すように、キャップ終端部肉厚tm≧5であって、減厚比tM/tmが、1.4≦tM/tm≦1.8の場合には、少なくとも40mmの立壁長Lを有する容器側体20を鋳造することができる。
図6に示すように、キャップ終端部肉厚tm≧6であって、減厚比tM/tmが、1.15≦tM/tm≦1.95の場合には、少なくとも40mmの立壁長Lを有する容器側体20を鋳造することができる。
図6に示すように、キャップ終端部肉厚tm≧6であって、減厚比tM/tmが、1.35≦tM/tm≦1.7の場合には、少なくとも60mmの立壁長Lを有する容器側体20を鋳造することができる。
図6に示すように、キャップ終端部肉厚tm≧7であって、減厚比tM/tmが、1.3≦tM/tm≦1.85の場合には、少なくとも60mmの立壁長Lを有する容器側体20を鋳造することができる。
図6に示すように、キャップ終端部肉厚tm≧7であって、減厚比tM/tmが、1.4≦tM/tm≦1.65の場合には、少なくとも80mmの立壁長Lを有する容器側体20を鋳造することができる。
図6に示すように、キャップ終端部肉厚tm≧8であって、減厚比tM/tmが、1≦tM/tmの場合には、少なくとも80mmの立壁長Lを有する容器側体20を鋳造することができる。
図6に示すように、キャップ終端部肉厚tm≧8であって、減厚比tM/tmが、1.5≦tM/tm≦2の場合には、少なくとも100mmの立壁長Lを有する容器側体20を鋳造することができる。
上述の第1の実施形態では、二つの容器側体20から構成されている耐圧容器10の構成例について説明した。これに対し第2の実施形態では、二つの容器側体20及び容器胴体30から構成される耐圧容器10Aの構成について説明する。図7は、二つの容器側体20の間に容器胴体30を配置した耐圧容器10Aの構成例を説明する図である。なお、図1に示した部位と同一の機能を有する部位については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
上述の第1の実施形態では、立壁部27を有する容器側体20から構成されている耐圧容器10の構成例について説明した。これに対し第3の実施形態では、二つの容器側体20Bがキャップ部26及びフランジ28から構成される耐圧容器10Bについて説明する。図8は、二つの容器側体20Bから構成される耐圧容器10Bの構成例を説明する図である。なお、図1に示した部位と同一の機能を有する部位については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
上述の第1乃至3の実施形態では、容器側体20、20Bの裾部29にフランジ28を形成して容器側体20、20B同士を結合する実施例について説明した。これに対し第4の実施形態は、接合部21に対して垂直な接合部21Aを用いて、容器側体20Cと容器胴体30C(又は他の容器側体20D)とを結合する実施形態である。図9は、接合部21に対して垂直な接合部21Aを有する容器側体20Cを用いた耐圧容器10Cにおける一部断面図である。なお、図1に示した部位と同一の機能を有する部位については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
12...水中コネクタ
13、14...パッキン
14A...パッキン溝
18...ボルト
18A...ボルト孔
19...電子機器
20、20B、20C、20D...容器側体
21、21A...接合部
22...湯口部
22C...湯口部キャビティ
22A...コネクタ取付面
23...内部空間
24...切除部
25...貫通孔
25A...螺子部
26...キャップ部
26C...キャップ部キャビティ
26E...キャップ終端部
27...立壁部
27C...立壁部キャビティ
27E...立壁終端部
28...フランジ
29...裾部
30、30C...容器胴体
40...鋳型
GD...湯口部直径
ID...内部空間内法
L...立壁長
Lm...最小流動限界長
SA...特異範囲
SL...螺合部
SP...分岐点
tM...湯口部肉厚
tm...キャップ終端部肉厚
tn...立壁終端部肉厚
Claims (17)
- 鋳造製の容器側体を含む耐圧容器であって、
前記容器側体は、凸状のキャップ部を有し、
前記キャップ部は、頂部に湯口部と、前記湯口部の下流にキャップ終端部とを有し、
前記湯口部は、コネクタ取付面と、前記コネクタ取付面から前記容器側体の内部に貫通する貫通孔とを有し、
前記キャップ部における湯口部肉厚をtM(mm)、キャップ終端部肉厚をtm(mm)とした場合に、
tm≧4であって、減厚比tM/tmが、1≦tM/tmである
耐圧容器。 - 耐圧容器を構成する鋳造製の容器側体であって、
前記容器側体は、凸状のキャップ部を有し、
前記キャップ部は、頂部に湯口部と、前記湯口部の下流にキャップ終端部とを有し、
前記キャップ部における湯口部肉厚をtM(mm)、キャップ終端部肉厚をtm(mm)とした場合に、
tm≧4であって、減厚比tM/tmが、1≦tM/tmである
容器側体。 - 耐圧容器を構成する鋳造製の容器側体であって、
前記容器側体は、凸状のキャップ部と、筒状の立壁部とを有し、
前記キャップ部は、頂部に湯口部と、前記湯口部の下流にキャップ終端部とを有し、
前記立壁部は、前記キャップ終端部から下流に延出するものであり、
前記キャップ部における湯口部肉厚をtM(mm)、キャップ終端部肉厚をtm(mm)、前記キャップ終端部から立壁終端部までの長さを立壁長Lとした場合に、
tm≧4であって、減厚比tM/tmが、1.3≦tM/tm≦2であって、少なくとも20(mm)の立壁長Lを有している
容器側体。 - 耐圧容器を構成する鋳造製の容器側体であって、
前記容器側体は、凸状のキャップ部と、筒状の立壁部とを有し、
前記キャップ部の頂部には、湯口部を有し、
前記キャップ部における前記湯口部の下流には、キャップ終端部を有し、
前記立壁部は、前記キャップ終端部から下流に延出するものであり、
前記キャップ部における湯口部肉厚をtM(mm)、キャップ終端部肉厚をtm(mm)、前記キャップ終端部から立壁終端部までの長さを立壁長Lとした場合に、
tm≧5であって、減厚比tM/tmが、1.4≦tM/tm≦1.8であって、少なくとも40(mm)の立壁長Lを有している
容器側体。 - 耐圧容器を構成する鋳造製の容器側体であって、
前記容器側体は、凸状のキャップ部と、筒状の立壁部とを有し、
前記キャップ部の頂部には、湯口部を有し、
前記キャップ部における前記湯口部の下流には、キャップ終端部を有し、
前記立壁部は、前記キャップ終端部から下流に延出するものであり、
前記キャップ部における湯口部肉厚をtM(mm)、キャップ終端部肉厚をtm(mm)、前記キャップ終端部から立壁終端部までの長さを立壁長Lとした場合に、
tm≧6であって、減厚比tM/tmが、1.35≦tM/tm≦1.7であって、少なくとも60(mm)の立壁長Lを有している
容器側体。 - 耐圧容器を構成する鋳造製の容器側体であって、
前記容器側体は、凸状のキャップ部と、筒状の立壁部とを有し、
前記キャップ部の頂部には、湯口部を有し、
前記キャップ部における前記湯口部の下流には、キャップ終端部を有し、
前記立壁部は、前記キャップ終端部から下流に延出するものであり、
前記キャップ部における湯口部肉厚をtM(mm)、キャップ終端部肉厚をtm(mm)、前記キャップ終端部から立壁終端部までの長さを立壁長Lとした場合に、
tm≧7であって、減厚比tM/tmが、1.4≦tM/tm≦1.65であって、少なくとも80(mm)の立壁長Lを有している
容器側体。 - 耐圧容器を構成する鋳造製の容器側体であって、
前記容器側体は、凸状のキャップ部と、筒状の立壁部とを有し、
前記キャップ部の頂部には、湯口部を有し、
前記キャップ部における前記湯口部の下流には、キャップ終端部を有し、
前記立壁部は、前記キャップ終端部から下流に延出するものであり、
前記キャップ部における湯口部肉厚をtM(mm)、キャップ終端部肉厚をtm(mm)、前記キャップ終端部から立壁終端部までの長さを立壁長Lとした場合に、
tm≧8であって、減厚比tM/tmが、1≦tM/tmであって、少なくとも80(mm)の立壁長Lを有している
容器側体。 - 前記立壁部の下流側に立壁終端部を有し、
前記立壁終端部の立壁終端部肉厚をtn(mm)とした場合に、
前記立壁部における肉厚の傾斜は、0〜1°の断面形状(tm≧tn)である
請求項3乃至7のいずれかに記載の容器側体。 - 前記容器側体における前記湯口部には、コネクタ取付面と、前記コネクタ取付面から前記容器側体の内部に貫通する貫通孔と
を有する請求項2乃至8のいずれかに記載の容器側体。 - 前記キャップ部の外形は、半球形、皿形、半楕円体又は錐体である
請求項2乃至9のいずれかに記載の容器側体。 - 前記キャップ部又は前記立壁部における裾部にフランジを形成した
請求項2乃至10のいずれかに記載の容器側体。 - 前記キャップ部又は前記立壁部における裾部の全周に水密性又は気密性を確保する接合部を有する
請求項2乃至11のいずれかに記載の容器側体。 - 前記容器側体は、チタン又はチタンを主成分とする合金により鋳造される
請求項2乃至12のいずれかに記載の容器側体。 - 前記容器側体は、ロストワックス鋳造により成形される
請求項2乃至13のいずれかに記載の容器側体。 - 請求項2乃至14のいずれかに記載の容器側体を備える耐圧容器。
- 耐圧容器を構成する容器側体の鋳造に用いる鋳型であって、
前記鋳型は、
前記容器側体における凸状のキャップ部を成形するキャップ部キャビティと、
前記キャップ部の頂部に湯口部を成形する湯口部キャビティと、
を有し、
前記キャップ部キャビティにおける湯口部肉厚をtM(mm)、下流側のキャップ終端部肉厚をtm(mm)とした場合に、
tm≧4であって、減厚比tM/tmが、1≦tM/tmである
ロストワックス鋳造用の鋳型。 - 凸状のキャップ部を有し、
前記キャップ部の頂部には湯口部と、前記湯口部の下流側にはキャップ終端部とを有し、
前記キャップ部における湯口部肉厚をtM(mm)、キャップ終端部肉厚をtm(mm)とした場合に、tm≧4であって、減厚比tM/tmが、1≦tM/tmであるワックス型を成形する工程と、
前記ワックス型を用いてロストワックス鋳造用の鋳型を製造する工程と、
不活性ガス環境下又は真空環境下において、前記鋳型に溶融したチタン又はチタン合金を流し込む鋳込工程と、
溶体化処理及び時効処理を行う処理工程と、
前記湯口部に対して切削加工を行い、コネクタ取付面と、前記コネクタ取付面から前記容器側体の内部に貫通する貫通孔とを形成する加工工程と
を含む容器側体の製造方法。
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