JP2016084445A - 紫外線吸収剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線吸収性能が高い紫外線吸収剤の製造方法を提供する。【解決手段】紫外線吸収剤の製造方法は、回動可能に略水平方向に軸支された容器11を備えるスパッタリング装置10により、金属ケイ素を含む被覆層で母粒子Mを被覆する。容器11内に平均粒径が0.5μm以上200μm以下の母粒子Mを供給し、この容器11内に供給した母粒子Mを、容器11を支軸周りに回転又は揺動させることにより撹拌すると共にスパッタリングを行って金属ケイ素を含む被覆層で被覆する。【選択図】図1

Description

本発明は、紫外線吸収剤の製造方法に関する。
地表に届く太陽光に含まれる紫外線は、皮膚に対して紅斑や浮腫等の炎症を起こさせ、また、皮膚の老化や発ガンの原因になると言われている。更に、紫外線は、皮膚以外の多くの物質、例えば、プラスチック、繊維、紙、木材、食品、毛髪等にも変色や劣化といった損傷を与えることが知られている。そこで、これらのものを紫外線から防御することを目的として、紫外線を散乱する紫外線散乱剤や紫外線を吸収する紫外線吸収剤が用いられる。
紫外線散乱剤としては、酸化チタンや酸化亜鉛の粉体がよく知られている。ところが、酸化チタンや酸化亜鉛は、例えば化粧料に配合する場合、高い紫外線防御性能を得るためには、多量に配合しなければならない。また、粒子径の大きい粉体を用いると、化粧料に粉体に由来する濁りが生じてしまう一方、濁りが生じにくいように粒子径の小さい微粉体を用いると、酸化チタンや酸化亜鉛には光触媒活性があることから、比表面積の増大に伴って光触媒活性が増すため、不活性物質による表面被覆等の対策が必要となる。
また、紫外線吸収剤として金属ケイ素を用いることが公知である。
例えば、特許文献1には、直径120nm以下のケイ素過剰のケイ素化合物の微粒子であって、表面に特定の厚さの酸化物層を有するものが紫外線吸収性能を有し、それを化粧料等に配合できることが開示されている。
特許文献2には、Pt、Au、Ti、Si、Al、Fe、Ag、Cu及びW等の金属、並びに、金属酸化物、金属炭化物及び金属窒化物等の超微粒子がスパッタリングにより付着して形成された薄膜で、雲母等の微粒子の表面が被覆された被覆微粒子が紫外線を散乱又は反射する材料であり、それを化粧料等に配合できることが開示されている。
また、非特許文献1に開示された方法による計算結果によれば、金属ケイ素の吸収スペクトルが紫外線波長領域において強い吸収を示すことを予測することができる。
特表2001−510496号公報 特開2006−22176号公報
Edward D. Palik編 Handbook of Optical Constants of Solids
特許文献1には、粒子径が20〜50nmの金属ケイ素微粒子のMie散乱理論から予測される吸収スペクトルが開示されている。しかしながら、その紫外線吸収強度は、非特許文献1で予測された光の波長よりも十分大きいサイズの金属ケイ素(以下「バルク金属ケイ素」という。)よりも低い。つまり、金属ケイ素は、微粒子化されると、その紫外線吸収性能が低下するということになる。
特許文献2には、スパッタリングで得られる金属ケイ素の被膜の紫外線吸収性能について開示も示唆も何等ない。
本発明の課題は、紫外線吸収性能が高い紫外線吸収剤の製造方法を提供することである。
本発明は、回動可能に略水平方向に軸支された容器を備えるスパッタリング装置により、金属ケイ素を含む被覆層で母粒子を被覆する紫外線吸収剤の製造方法であって、前記容器内に平均粒径が0.5μm以上200μm以下の母粒子を供給し、前記容器内に供給した母粒子を、前記容器を支軸周りに回転又は揺動させることにより撹拌すると共にスパッタリングを行って金属ケイ素を含む被覆層で被覆するものである。
本発明によれば、容器内に供給した母粒子を、容器を支軸周りに回転又は揺動させることにより攪拌すると共にスパッタリングを行って金属ケイ素を含む被覆層で被覆するので、母粒子が十分に攪拌されながら表面に被覆層が均一に付着し、その結果、高い紫外線吸収性能を有し、且つ外観の均一性に優れる紫外線吸収剤を得ることができる。
スパッタリング装置の構成を示す図である。 (a)及び(b)は、内壁の内郭形状が円形である容器の回転又は揺動による母粒子の攪拌態様を示す説明図である。 (a)〜(c)は、内壁の内郭形状が正六角形である容器の回転又は揺動による母粒子の攪拌態様を示す説明図である。
以下、実施形態について詳細に説明する。
実施形態に係る紫外線吸収剤の製造方法では、平均粒径が0.5μm以上200μm以下の母粒子を、特定のスパッタリング装置により、金属ケイ素を含む被覆層で被覆する。そのスパッタリング装置は、回動可能に略水平方向に軸支された容器を備える。そして、このスパッタリング装置を用い、容器内に供給し、容器内に供給した母粒子を、前記容器を支軸周りに回転又は揺動させることにより攪拌すると共にスパッタリングを行って金属ケイ素を含む被覆層で被覆する。
上述した通り、一般的に、金属ケイ素微粒子の吸収スペクトルは、バルク金属ケイ素の吸収スペクトルとは異なり、紫外線波長領域において、金属ケイ素の単位質量当たりの光吸収強度が小さい。つまり、金属ケイ素は、微粒子化されると、その紫外線吸収性能が低下する。
これに対し、本発明者は、平均粒径が0.5μm以上200μm以下の母粒子の表面上に金属ケイ素を含む被覆層を形成した複合粒子では、金属ケイ素の単位質量当たりの紫外線吸収性能が、金属ケイ素微粒子に比べて著しく高く、バルク金属ケイ素の紫外線吸収性能に近くなることを見出した。詳細なる理由は不明であるが、粒子の大きさが波長よりも十分大きいために粒子がMie散乱理論に従わず、バルク金属ケイ素と同様の光学特性を示すようになったものと考えられる。かかる事実に基づく実施形態に係る方法で製造した紫外線吸収剤によれば、平均粒径が0.5μm以上200μm以下の母粒子の表面上に金属ケイ素を含む被覆層が形成された複合粒子であり、それによってバルク金属ケイ素に近い紫外線吸収性能を得ることができる。しかも、容器内に供給した母粒子を、容器を支軸周りに回転又は揺動させることにより攪拌すると共にスパッタリングを行って金属ケイ素を含む被覆層で被覆するので、母粒子が十分に攪拌されながら表面に被覆層が均一に付着し、その結果、非常に高い紫外線吸収性能有し、且つ外観の均一性に優れる紫外線吸収剤を得ることができる。
また、金属ケイ素の単位質量当たりの紫外線吸収性能が高くなるので、例えば化粧料等に配合する場合、その使用量を少なくすることができ、使用感の向上、他成分の配合の自由度の向上、紫外線吸収剤による皮膚への負担の低減、化粧料全体の透明性の向上等の様々な効果を得ることができる。更に、母粒子の表面上に形成した金属ケイ素を含む被覆層は光触媒活性が弱いことから、化粧料等に配合する場合でも、特別な表面被覆を必要としないという付加的な効果も得ることができる。
以上のことから、実施形態に係る方法で製造した紫外線吸収剤は、UVA領域(320〜400nm)やUVB領域(280〜320nm)の紫外光を効果的に吸収する例えば日焼け止め化粧料等に好適に配合されて用いられる。
<母粒子>
[母粒子の形状]
母粒子の形状としては、例えば、球状、棒状、板状が挙げられる。化粧料等の用途で基剤に配合して塗膜として用いる場合には、塗膜によって薄く且つ均一に被覆すると共に透明性を得る観点からは、母粒子の形状は、棒状、板状が好ましく、板状がより好ましい。
[母粒子の平均粒径]
母粒子の平均粒径は0.5μm以上200μm以下であるが、紫外線吸収剤の凝集物の生成を防ぐ観点から、好ましくは0.6μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは10μm以上、より更に好ましくは20μm以上、より更に好ましくは30μm以上、より更に好ましくは35μm以上、より更に好ましくは40μm以上であり、また、高い紫外線吸収性能及び可視領域における紫外線吸収剤の透明性を得る観点並びに紫外線吸収剤のギラツキを抑える観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下、更に好ましくは55μm以下、より更に好ましくは50μm以下、より更に好ましくは35μm以下、より更に好ましくは25μm以下、より更に好ましくは20μm以下である。ここで、平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計によって測定される母粒子の、体積基準50%メジアン径である。
実施形態に係る紫外線吸収剤の製造方法によれば、上記の範囲の平均粒径を有する母粒子を、特定のスパッタリング装置を用いて、金属ケイ素を含む被覆層で被覆することで、高い紫外線吸収性能を有し、且つ外観の均一性に優れる紫外線吸収剤を得ることができる。更に、得られた紫外線吸収剤を含む化粧料組成物やプラスチック組成物も、同様の効果を有する。特に、得られた紫外線吸収剤を含有する化粧料組成物は、皮膚に塗布しても、酸化チタンのように肌が白く見えることもないため、化粧料組成物として極めて有用なものとなる。
[母粒子の平均厚さ]
板状の母粒子の平均厚さは、高い紫外線吸収性能を得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、また、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.5μm以下、より更に好ましくは0.2μm以下である。母粒子の平均厚さは、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡により観察して測定した10〜50個の母粒子の厚さを数平均して求めることができる。
[母粒子のアスペクト比]
板状の母粒子のアスペクト比(平均粒径/平均厚さ)は、高い紫外線吸収性能と化粧料への分散性等の好ましい粉体物性を得る観点から、好ましくは5以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは30以上、より更に好ましくは60以上であり、また、好ましくは1000以下、より好ましくは200以下、更に好ましくは150以下、より更に好ましくは110以下である。
[母粒子の材質]
母粒子の材質は、特に限定されるものではないが、表面に被覆層を形成する観点から、例えば、無機素材、高分子素材が挙げられる。これらのうち熱安定性及び耐光性を向上させる観点から無機素材が好ましい。
無機素材としては、例えば、熱安定性及び耐光性が優れる無機酸塩、酸化物、又はこれらを構成成分とした鉱物が挙げられる。これらのうち無機酸塩又は酸化物を構成成分とした鉱物が好ましい。
無機酸塩としては、例えば、皮膚への適合性が優れるケイ酸塩が挙げられる。
酸化物としては、例えば、熱安定性及び耐光性が優れる亜鉛、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、又はチタンの酸化物、これらの複合酸化物が挙げられる。これらのうち亜鉛、ケイ素、アルミニウム、又はマグネシウムの酸化物、これらの複合酸化物が好ましく、酸化亜鉛がより好ましい。
無機酸塩又は酸化物を構成成分とした鉱物としては、例えば、皮膚への適合性、熱安定性及び耐光性が優れる粘土鉱物が挙げられる。好ましい粘土鉱物としては、例えば、マイカ、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、モンモリロナイト、ベントナイトが挙げられる。これらのうちより、熱安定性及び耐光性を向上させる観点から、マイカ、タルクが好ましく、マイカがより好ましい。マイカは、天然マイカであっても、合成マイカであっても、どちらでもよいが、入手容易性の観点から、より好ましくは合成マイカである。
母粒子は、単一種のみで構成されていても、また、複数種を含んで構成されていても、どちらでもよい。
[母粒子の撥水性]
母粒子は、均一な外観を有する紫外線吸収剤を得る観点から、撥水性を有することが好ましい。母粒子に撥水性を持たせることで、母粒子の撹拌による母粒子同士の凝集がより低減される。このため、より均一な外観を有する紫外線吸収剤を得ることができる。なお、母粒子の撥水性の有無は、後述の実施例に記載の方法で確認できる。
[母粒子の撥水化処理工程]
母粒子は、撥水性を有するように、撥水化処理剤による撥水化処理されていることが好ましい。従って、実施形態に係る紫外線吸収剤の製造方法は、前記容器内に供給する前の母粒子に撥水化処理を行うことが好ましい。ここで、「撥水化処理剤による撥水化処理」とは、母粒子の表面に撥水化処理剤を付着させる処理であり、「撥水化処理工程」とは「撥水化処理剤による撥水化処理」を行う工程である。典型的には、母粒子を撥水化処理剤溶液に浸漬した後に乾燥させる処理が挙げられる。
(前処理)
母粒子が粘土鉱物である場合には、高い撥水度を得る観点から、撥水化処理剤による撥水化処理の前に、母粒子に対してカチオン界面活性剤による前処理を行うことが好ましい。
ここで、「カチオン界面活性剤による前処理」とは、母粒子の表面にカチオン界面活性剤を付着させる処理であり、典型的には、母粒子をカチオン界面活性剤水溶液に浸漬した後に乾燥させる処理が挙げられる。この処理により、粘土鉱物の層剥離を起こし、粘土鉱物が撥水化処理剤溶液中で分散しやすくなると考えられる。
前処理に用いるカチオン界面活性剤としては、例えば、炭素数8以上22以下のアルキル基若しくはアルケニル基を有する第1級乃至第3級アルキルアミン型又は第4級アンモニウム型の界面活性剤が挙げられる。
(撥水化処理剤)
撥水化処理剤は、特に限定されるものではないが、高い撥水度を得る観点から、有機ケイ素、脂肪酸、脂肪酸塩、又は炭素数が12以上22以下の高級アルコールが好ましく、有機ケイ素がより好ましい。
有機ケイ素は、高い撥水度を得る観点から、アルコキシシラン、シロキサン、シラザンが好ましく、アルコキシシラン、シロキサンがより好ましく、シロキサンが更に好ましい。
アルコキシシランとしては、高い撥水性を得る観点から、下記一般式(1)で示される化合物が好ましい。
(RSiY3−n (1)
[式中、Rは炭素数6以上18以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基であり、Yは炭素数1以上3以下のアルコキシル基であり、nは0以上2以下の整数である。]
のアルキル基の炭素数は、高い撥水性を得る観点から、好ましくは6以上、より好ましくは7以上であり、また、同様の観点から、好ましくは18以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。Rは、高い撥水性を得る観点及び入手が容易な観点から、直鎖状であることが好ましい。Rは、高い撥水性を得る観点及び入手が容易な観点から、メチル基、エチル基が好ましい。Yは、高い撥水性を得る観点から、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。nは、高い撥水性を得る観点から、0が好ましい。
炭素数6以上18以下のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランは、高い撥水性を得る観点から、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシランが好ましい。
シロキサンは、高い撥水性を得る観点から、Si−H基を有することが好ましい。Si−H基を有するシロキサンは、高い撥水性を得る観点、入手が容易な観点及び取扱い性が容易な観点から、好ましくはポリシロキサンである。ポリシロキサンにおいて、[Si(RO]単位/[SiH(R)O]単位のモル比は、高い撥水性を得る観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上であり、また、同様の観点から、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.3以下である。Rは、オルガノハイドロジェンポリシロキサンに通常使用される一価炭化水素基であり、例えば炭素数1以上6以下の炭化水素基が挙げられる。Rは、入手が容易な観点から、メチル基、フェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。このようなシロキサンとして、例えば、下記一般式(2)で示されるメチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
Figure 2016084445
[式中、m+n=10以上100以下であり、m:n比が1:0.01〜1:1である。]
<被覆層>
[被覆性]
スパッタリングにより、母粒子の表面上に、金属ケイ素を含む被覆層が形成される。該被覆層は、母粒子の表面全体を被覆していても、また、表面を部分的に被覆していても、どちらでもよいが、高い紫外線吸収性能を得る観点からは、前記被覆層は母粒子表面全体を均一に被覆していることが好ましい。
前記被覆層が母粒子表面の全体を均一に被覆しているとは、紫外線吸収剤の色相の濃淡及び紫外線吸収剤の塊が、目視によって把握されないこととする。また、母粒子の表面の光沢に起因した紫外線吸収剤のギラツキが目視で認められないことが好ましい。
[被覆層の厚さ]
被覆層の厚さは、高い紫外線吸収性能を得る観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上であり、また、紫外線吸収剤の可視領域における透明性を得る観点から、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、更に好ましくは40nm以下である。被覆層の厚さは、紫外線吸収剤の複合粒子の割断面を、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡により観察して測定することができる。なお、被覆層の厚さは、均一であることが好ましいが、分布を有していてもよい。
[被覆層の被覆量]
母粒子1g当たりの被覆層の被覆量は、高い紫外線吸収性能を得る観点から、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.1g以上、更に好ましくは0.2g以上であり、また、紫外線吸収剤の可視領域における透明性を得る観点から、好ましくは5g以下、より好ましくは3g以下、更に好ましくは1.5g以下である。
[被覆層中のケイ素濃度]
被覆層は金属ケイ素を含むが、その含有量の被覆層中の酸素以外の元素の合計量に対する割合は、高い紫外線吸収性能を得る観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。なお、被覆層は、金属ケイ素以外に、例えば、ゲルマニウム、酸化ケイ素等を含んでいてもよい。
[被覆層中のケイ素の平均酸化度]
被膜層中のケイ素の平均酸化度は、高い紫外線吸収性能を得る観点から、好ましくは1以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.8以下、より更に好ましくは0.7以下であり、所望の酸化度の被膜が容易に得られる観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上、より更に好ましくは0.6以上である。
ここで、「ケイ素の平均酸化度」とは、被膜層中の金属ケイ素及び酸化ケイ素の混合物を下記組成式(3)で表した場合のxの値であり、ケイ素原子に対する酸素原子の原子比をいう。
SiOx (3)
このケイ素の平均酸化度は、X線光電子分光装置によるケイ素の結合エネルギーの測定結果を用いて、後述の実施例に記載の方法により算出することができる。
[被覆層中の金属ケイ素の結晶性]
被覆層中の金属ケイ素の状態は、特に限定されるものではなく、アモルファスであっても、結晶であっても、どちらでもよい。被覆層中の金属ケイ素の状態は、製造の容易さやコストの観点から、アモルファスであることが好ましい。
[被覆層の位置]
被覆層は、紫外線吸収剤の最外層であってもよいが、その表面が更に被覆されていてもよい。例えば、被覆層の表面上に、水素原子、水酸基、炭化水素基等の官能基を有する化合物の層が積層されていてもよい。このような層として、具体的には、例えば、ゾル−ゲル法によるシリカ被膜や上記撥水化処理剤による被膜が挙げられる。かかる被覆層を覆う層により、耐候性の向上や配合時の基剤への分散性の向上を図ることができる。
<紫外線吸収剤>
[紫外線吸収剤の平均粒径等]
紫外線吸収剤では、母粒子の大きさが被覆層の大きさに比べて十分に大きいので、その平均粒径、形状、平均厚さ、及びアスペクト比の構成及び測定方法は、母粒子の構成と実質的に同一であり、また、測定方法も同一である。
<紫外線吸収剤の製造方法>
実施形態に係る紫外線吸収剤の製造方法では特定のスパッタリング装置を用いる。この特定のスパッタリング装置は、回動可能に略水平方向に軸支された容器を備え、前記容器内に供給した母粒子を、前記容器を支軸周りに回転又は揺動させることにより攪拌すると共にスパッタリングを行うことができる装置である。このようなスパッタリング装置でスパッタリングを行って金属ケイ素を含む被覆層で母粒子を被覆することで得られた紫外線吸収剤は、高い紫外線吸収性能有し、且つ外観の均一性に優れる紫外線吸収剤を得ることができる。その詳細なる理由は不明であるが、スパッタリングの際に、母粒子を含む容器を支軸周りに回転又は揺動させることにより攪拌させるために、母粒子が十分に攪拌されながら表面に被覆層が均一に付着するためではないかと考えられる。
[スパッタリング装置]
図1は、実施形態に係る紫外線吸収剤の製造に用いるスパッタリング装置10の一例を示す。なお、同じスパッタリング装置10について、特許文献2に具体的な構成が開示されている。
このスパッタリング装置10は、母粒子Mを供給するための容器11を備える。容器11は、回動可能に略水平方向に軸支されている。ここで「略水平方向」とは、容器11の支軸と水平面との交角が0°以上10°以下となる方向をいう。この交角は、後述の母粒子Mの撹拌効率を高め、均一な被覆層を得る観点及び装置の運転の安定性を高める観点から、好ましくは0°以上10°以下、より好ましくは0°以上1°以下、更に好ましくは0°以上0.1°以下である。
容器11は、直径200mmの円筒部11aとその内部に設置されたバレル11bとを有する。容器11のバレル11bの支軸に対して垂直な断面における内壁の内郭形状は正六角形である。この正六角形の内郭形状は支軸方向に沿って均一であり、従って、容器11内には、両側の面が正六角形であって、それらの重心(中心)間を結ぶ軸が容器11の支軸に一致した正六角柱空間が構成されている。
容器11には、図示しない回転機構が設けられており、この回転機構により容器11を図1における時計回りに回転させること、反時計回りに回転させること、及び回転方向に揺動させること、並びにそれらの組み合わせが可能に構成されている。
ここで、図2(a)及び(b)に示すような、容器11’のバレル11b’の支軸に対して垂直な断面における内壁の内郭形状が円形であるスパッタリング装置10’と比較すると、このスパッタリング装置10では、容器11のバレル11bの支軸に対して垂直な断面における内壁の内郭形状が正六角形であるので、容器11に供給した母粒子Mは、容器11の回転又は揺動により、図3(a)〜(c)に示すように、バレル11bの内壁を構成する平坦面の傾斜角度が変動するために、底側に配置される平坦面への移動を繰り返して十分な攪拌がなされるので好ましい。
容器11には、内部の支軸上の位置に、スパッタリングにより母粒子Mを被覆する被覆層を形成するための金属ケイ素のスパッタリングターゲット12が設けられている。このスパッタリング装置10では、バレル11bとスパッタリングターゲット12との間に高周波電圧を印加するための図示しない高周波印加機構が設けられており、また、バレル11bとスパッタリングターゲット12との間に直流電圧を印加することができるようにも構成されている。スパッタリングターゲット12は、その向きを自由に変えられるように構成されている。これによりスパッタリングターゲット12を母粒子Mが存在する方向に向けることができるので、スパッタリング効率を向上させることができる。
容器11には、排気用ポンプ13から延びる排気用配管Pが接続されている。排気用配管Pには、容器11側から順に間隔をおいて第1バルブ141、ターボ分子ポンプ15、及び第2バルブ142が介設されている。また、排気用配管Pにおける排気用ポンプ13及び第2バルブ142間の部分と第1バルブ141及び容器11間の部分とを連結するようにバイパス配管Pが設けられている。バイパス配管Pには第3バルブ143が介設されている。容器11には、内部圧力を測定するための圧力計16が設けられている。
容器11には給気用配管Pが接続されており、この給気用配管Pは、第4〜6バルブ144〜146を介して分岐し、窒素源、アルゴン源、及び反応性スパッタリングを行うためのガス源のそれぞれに配管が接続されている。
容器11には、容器11内の母粒子Mを直接的に加熱するための第1ヒータ171が設けられている。また、容器11内のスパッタリングターゲット12には、容器11内の母粒子Mを間接的に加熱するための第2ヒータ172が設けられている。容器11には、容器11に振動を与えて母粒子Mを攪拌するためのバイブレータ18が設けられている。
なお、上記スパッタリング装置10では、容器11の形状について、容器11のバレル11bの支軸に対して垂直な断面における内壁の内郭形状が正六角形である構成としたが、特にこれに限定されるものではない。容器11は、母粒子Mの撹拌効率を高め、均一な被覆層を得る観点から、好ましくは容器11が支軸周りに回転又は搖動したときに、内壁面が底側に配置されると共に傾斜角度が変動する平坦面を含むものであり、より好ましくは支軸に対して垂直な断面における内壁の内郭形状が多角形である。容器11のバレル11bの支軸に対して垂直な断面における内壁の内郭形状は、母粒子Mの凝集を防ぐ観点及び母粒子Mの撹拌効率を高め、均一な被覆層を得る観点から、好ましくは直線を含む形状又は楕円、より好ましくは直線を含む形状、更に好ましくは多角形であり、母粒子Mの凝集を防ぐ観点から、好ましくは四角形以上、より好ましくは五角形以上であり、また、母粒子Mの撹拌効率を高め、均一な被覆層を得る観点から、好ましくは十二角形以下、より好ましくは十一角形以下である。この多角形は、母粒子Mの凝集を防ぐ観点及び母粒子Mの撹拌効率を高め、均一な被覆層を得る観点から、正多角形であることが好ましい。また、この多角形は、同様の観点から、支軸方向に沿って均一であることが好ましい。
バレル11bの支軸に対して垂直な断面における内壁の内郭形状が多角形である容器11は、母粒子Mの撹拌効率を高め、均一な被覆層を得る観点から、両側の面が当該多角形であって、それらの重心間を結ぶ軸が容器11の支軸に一致した多角柱空間を有することが好ましい。この多角柱空間の両側の面の面積、つまり、多角柱空間における支軸に対して垂直な断面積は、母粒子Mの撹拌効率を高め、均一な被覆層を得る観点から、好ましくは0.01m以上、より好ましくは0.02m以上、更に好ましくは0.025m以上であり、また、同様の観点から、好ましくは0.05m以下、より好ましくは0.03m以下である。多角柱空間を構成する両側の面の重心を結ぶ軸と容器11の支軸とは必ずしも一致していなくてもよいが、それらの交角は、母粒子Mの撹拌効率を高め、均一な被覆層を得る観点及び装置の運転の安定性を高める観点から、好ましくは0°以上10°以下、より好ましくは0°以上1°以下、更に好ましくは0°以上0.1°以下である。
また、容器11の形状について、容器11を支軸周りに揺動させるのみであれば、容器11のバレル11bの支軸に対して垂直な断面における内壁の内郭形状は、上側半分が円形で且つ下側半分が多角形又は正多角形であってもよい。
[スパッタリングによる被覆層の形成]
実施形態に係る紫外線吸収剤の製造では、上記のスパッタリング装置10を用い、容器11内に平均粒径が0.5μm以上200μm以下の母粒子Mを供給し、容器11内に供給した母粒子Mを、容器11を支軸周りに回転又は揺動させることにより攪拌すると共にスパッタリングを行って金属ケイ素を含む被覆層で被覆する。母粒子Mの撹拌効率を高め、均一な被覆層を得る観点及び装置の運転の安定性を高める観点から、容器11を支軸周りに揺動させることにより攪拌すると共にスパッタリングを行うことが好ましい。
(容器の角速度)
容器11を回転又は揺動させるときの角速度は、母粒子Mの撹拌効率を高め、均一な被覆層を得る観点から、好ましくは0.05ラジアン/sec以上、より好ましくは0.1ラジアン/sec以上、更に好ましくは0.2ラジアン/sec以上であり、また、経済性の観点から、好ましくは10ラジアン/sec以下、より好ましくは5ラジアン/sec以下、更に好ましくは1ラジアン/sec以下である。
(容器の揺動角)
容器11を揺動させる場合、その揺動角は、母粒子Mの撹拌効率を高め、均一な被覆層を得る観点から、鉛直下向き方向に対する交角が、好ましくは1°以上、より好ましくは40°以上、更に好ましくは70°以上であり、また、好ましくは90°以下、より好ましくは80°以下である。揺動は、鉛直下向き方向に対して片側のみに振れてもよいが、鉛直下向き方向を中心として両側に同じ角度だけ振れることが好ましい。
(母粒子を供給した容器内の温度)
母粒子Mを供給した容器内の温度は、母粒子Mの温度を調整し、母粒子Mの表面上にアモルファスの被覆層を形成する観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは15℃以上であり、また、好ましくは250℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは100℃以下、より更に好ましくは50℃以下である。
(スパッタリングの電力量)
スパッタリングの電力量は、成膜速度と装置コストとのバランスの観点から、好ましくは20W以上、より好ましくは100W以上、更に好ましくは150W以上であり、また、スパッタリングターゲット12及び製品へのダメージを抑える観点から、好ましくは1kW以下、より好ましくは500W以下、更に好ましくは250W以下である。
(スパッタリングの時間)
スパッタリングの時間は、十分に被覆層を形成させる観点から、好ましくは1分間以上、より好ましくは10分間以上、更に好ましくは50分間以上であり、また、経済性の観点から、好ましくは5時間以下、より好ましくは4時間以下、更に好ましくは3時間以下である。
実施形態に係る紫外線吸収剤の製造方法においては、容器内に供給した母粒子を、前記容器を支軸周りに回転又は揺動させることにより撹拌すると共にスパッタリングを行うが、非常に高い紫外線吸収性能有し、且つ外観の均一性に優れる紫外線吸収剤を得るという効果を損しない範囲で、撹拌を停止してスパッタリングを行ってもよい。
実施形態に係る方法で製造した紫外線吸収剤は、高い紫外線吸収性能を有し、且つ外観の均一性に優れる紫外線吸収剤を有することから、紫外線防御を必要とする皮膚化粧料や、プラスチック、繊維、紙、木材、食品等の添加剤として有用である。また、実施形態に係る方法で製造した紫外線吸収剤を含有した皮膚化粧料、プラスチック組成物、繊維組成物は、紫外線防御効果に優れ、外観にも優れる。このことから、実施形態に係る方法で製造した紫外線吸収剤は、紫外線防御効果と外観均一性、透明性が求められる皮膚化粧料に有用である。
皮膚化粧料とする場合、実施形態に係る方法で製造した紫外線吸収剤以外に、通常化粧品や医薬部外品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、油分、潤滑油、他の紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、金属封鎖剤、香料、水、アルコール、増粘剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
ここで、皮膚化粧料の剤型は任意であり、パウダー状、クリーム状、ペースト状、スチック状、液状、乳液状、ゼリー状等、何れの剤型でもかまわない。また、乳化化粧料としては、W/O型およびO/W型でもかまわない。
皮膚化粧料中の紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収効果を向上させる観点、ギラツキ性を抑制する観点及び、外観均一性を向上させる観点から、上記の剤型によっても異なるが、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上20質量%以下、更に好ましは0.4質量%以上15質量%以下、更により好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
<1.評価方法>
(1)母粒子の平均粒径について
母粒子の粉末試料について、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用い、撥水度のない粉末に対しては溶媒を脱イオン水、撥水性のある粉末に対しては溶媒を95%エタノール水溶液とし、且つ透過率70〜95%、攪拌速度レベル5、及び屈折率1.16の条件にて、体積基準50%メジアン径を平均粒径として測定を行った。
(2)母粒子の撥水性について
水30mlを張った100mlのビーカーにミクロスパーテル一杯(5〜15mg)の粉末を自然落下させ、1時間後にすべての粉末が沈殿した場合を撥水度無し、沈殿せずに残った場合を撥水性有とした。
(3)紫外線防御材の360nm吸光度について
紫外線吸収剤の粉末試料15mg及び5gの脱イオン水をバイアルに充填した後、ボルテックスミキサー「TTM−1」(柴田科学社製)を用い、最大出力で10秒間撹拌することにより、分散液を調製した。分散液を光路長1mmの石英セルに充填し、分光光度計「UV−3600」(島津製作所社製)を用い、スキャンスピード中速、サンプリングピッチ1nm、及び積分球モードの条件にて透過率測定を行った。
波長360nmでの透過率Tについて、脱イオン水の透過率を100%として規格化した後、式A=−log(T)により吸光度Aを算出し、紫外線防御能を評価した。なお、紫外線防御能が高いほど、波長360nmでの吸光度は高くなる。
(4)紫外線吸収剤の外観の均一性について
紫外線吸収剤の粉末試料について目視を行い、色相に濃淡がなく且つ塊のないものを均一と評価した。
(5)紫外線吸収剤のギラツキについて
紫外線吸収剤の粉末試料について目視を行い、光沢を有する粉末が認められるものをギラツキありと評価した。
(6)被覆層中のケイ素の平均酸化度について
紫外線吸収剤の粉末試料について、X線光電子分光装置「ESCA 5400」(アルバック・ファイ社製)を用い、加速電圧1253.6eV及にて被覆層中のケイ素の2p軌道の結合エネルギーを測定した。結合エネルギー=98〜105eVに現れたピークをSi2p由来のピークと帰属した。その中で、結合エネルギー=99eV近傍に現れたピークを0価のSiと帰属した。そして、測定で得られたピーク面積から下記の式に従って平均酸化度を算出した。
1−(0価のSiに由来するピーク面積)/(Si2pに由来する全ピーク面積)
<2.製造例>
製造例に用いた板状の母粒子は以下の通りである。それらの特性を表1に示す。
・撥水化合成マイカA:「PDM−10L(S)」(トピー工業社製)、前処理に用いた撥水化処理剤:ジメチルポリシロキサン/メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体
・撥水化合成マイカB:「PDM−20L(S)」(トピー工業社製)、前処理に用いた撥水化処理剤:ジメチルポリシロキサン/メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体
・合成マイカA:「PDM−10L」(トピー工業社製)
・合成マイカB:「PDM−40L」(トピー工業社製)
・撥水化タルク:「SI-NMR」(浅田製粉社製)、撥水化処理剤:ジメチルポリシロキサン/メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体
・撥水化酸化亜鉛:「XZ−1000F−LP」(堺化学社製)、撥水化処理剤:ジメチルポリシロキサン/メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体
Figure 2016084445
[実施例1]
容器の支軸に対して垂直な断面における内壁の内郭形状が正六角形(断面積:0.02595m)である図1に示すのと同様の構成のスパッタリング装置(容器の支軸と水平面との交角:0°)を用いて母粒子の表面をケイ素濃度100質量%の被覆層で被覆した粉末状の紫外線吸収剤の複合粒子を作製した。具体的には、スパッタリングターゲットとしてSiターゲットをセットすると共に、容器に母粒子として撥水化合成マイカAを2.0g供給し、容器内を排気して1.5×10−3Paまで減圧した後、アルゴンガスを容器内の圧力が1.0Paとなるまで充填し、揺動回数を0.44ラジアン/sec及び揺動角を鉛直下向き方向を中心として両側に75°として容器を揺動させて母粒子を攪拌すると共にスパッタリングを1時間行った。スパッタリング後、容器内の圧力を大気圧まで昇圧し、容器内から紫外線吸収剤の粉末を取り出した。なお、スパッタリングでは、高周波電圧を印加し、電力量を200W(母粒子1.0g当たり100W)とした。また、スパッタリング時における母粒子の加熱及び冷却は行わなかった。実施例1の結果を表2に記す。
[実施例2]
容器の支軸に対して垂直な断面における内壁の内郭形状が正十角形(断面積:0.0294m)であるスパッタリング装置を用いたことを除いて実施例1と同様に紫外線吸収剤の粉末を作製した。実施例2の結果を表2に記す。
[実施例3及び4]
容器の揺動回数を、実施例3では0.22ラジアン/sec及び実施例4では0.88ラジアン/secとしたことを除いて実施例1と同様に紫外線吸収剤の粉末を作製した。実施例3及び4の結果を表2に記す。
[比較例1]
容器を揺動させなかったことを除いて実施例1と同様に紫外線吸収剤の粉末を作製した。比較例1の結果を表2に記す。
Figure 2016084445
[実施例5]
母粒子として合成マイカAを用いたことを除いて実施例1と同様に紫外線吸収剤の粉末を作製した。実施例5の結果を実施例1の結果と共に表3に記す。
Figure 2016084445
[実施例6〜9]
母粒子として、表4に示す母粒子を用いたことを除いて実施例1と同様に紫外線吸収剤の粉末を作製した。実施例6〜9の結果を実施例1の結果と共に表4に記す。
Figure 2016084445
[実施例10]
スパッタリングの時間を3時間としたことを除いて実施例1と同様に紫外線吸収剤の粉末を作製した。実施例10の結果を実施例1の結果と共に表5に記す。
Figure 2016084445
[実施例11]
実施例1と同様にして得られた粒子を、600℃、常圧(101.3kPa)大気雰囲気下で、3時間、加熱することによって、紫外線吸収剤の粉末を作製した。被覆層中のケイ素の平均酸化度は0.89であった。実施例11の結果を実施例1の結果と共に表6に記す。
Figure 2016084445
(処方例1)
皮膚化粧料の処方例1を表7に示す。
Figure 2016084445
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルシクロポリシロキサン、メチルポリシロキサン、及びジカプリン酸ネオペンチルグリコールを混合して均一にした。次いで、得られた混合溶液にSi被覆マイカ(実施例1)を添加して均一に分散させた後、エタノール、グリセリン、及び水を加え、アジホモミキサーにて高速攪拌を行うことによってW/O型乳化物の皮膚化粧料を得た。
得られた皮膚化粧料は、紫外線吸収性能に優れ、ギラツキもなく、外観均一性に優れていた。
本発明は、紫外線吸収剤の製造方法について有用である。
10 スパッタリング装置
11 容器
11a 円筒部
11b バレル
12 スパッタリングターゲット
13 排気用ポンプ
141〜146 第1〜第6バルブ
15 ターボ分子ポンプ
16 圧力計
171,172 第1及び第2ヒータ
18 バイブレータ
M 母粒子
排気用配管
給気用配管
バイパス配管

Claims (8)

  1. 回動可能に略水平方向に軸支された容器を備えるスパッタリング装置により、金属ケイ素を含む被覆層で母粒子を被覆する紫外線吸収剤の製造方法であって、
    前記容器内に平均粒径が0.5μm以上200μm以下の母粒子を供給し、前記容器内に供給した母粒子を、前記容器を支軸周りに回転又は揺動させることにより撹拌すると共にスパッタリングを行って金属ケイ素を含む被覆層で被覆する、紫外線吸収剤の製造方法。
  2. 前記容器内に供給する前の母粒子に撥水化処理を行う、請求項1に記載の紫外線吸収剤の製造方法。
  3. 前記容器の内壁面が、前記容器が支軸周りに回転又は揺動したときに底側に配置されると共に傾斜角度が変動する平坦面を含む、請求項1又は2に記載の紫外線吸収剤の製造方法。
  4. 前記容器の支軸に対して垂直な断面における内壁の内郭形状が多角形である、請求項1乃至3のいずれかに記載の紫外線吸収剤の製造方法。
  5. 前記母粒子が板状である、請求項1乃至4のいずれかに記載の紫外線吸収剤の製造方法。
  6. 前記母粒子がケイ酸塩を含有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の紫外線吸収剤の製造方法。
  7. 支軸周りに回転又は揺動させたときの前記容器の角速度が0.05ラジアン/sec以上10ラジアン/sec以下である、請求項1乃至6のいずれかに記載の紫外線吸収剤の製造方法。
  8. 前記被覆層中のケイ素の平均酸化度が0.1以上1以下である、請求項1乃至7のいずれかに記載の紫外線吸収剤の製造方法。
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