JP2016082540A - クレストファクタ低減回路及びクレストファクタ低減方法 - Google Patents

クレストファクタ低減回路及びクレストファクタ低減方法 Download PDF

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Abstract

【課題】閾値を超えるピークが連続して発生しても、信号品質の劣化の少ないクレストファクタ低減回路を提供する。【解決手段】セレクタ13、14により、ピーク検出器11で生成したピーク信号のピーク数をピークカウンタ12でカウントしたカウンタ値が、予め対応付けられた値と一致する場合はピーク信号、一致しない場合は所定値が選択されてフィルタ15、16に出力される。フィルタ15、16の出力信号のうち、最も値の大きい出力信号が結合信号として出力され、入力信号を遅延器18で所定時間遅延させた信号と結合信号とをもとに所定演算が行われる。つまり、ピーク信号をピーク毎に異なるフィルタでフィルタリングした信号から生成された結合信号が、ピーク信号をフィルタリングした信号相当として用いられて、閾値までクレストファクタを低減する演算が行われる。【選択図】 図1

Description

本発明は、信号のピーク値が一定でない送信信号について、波形のピーク値と実効値との比で定義されるクレストファクタを所望の値へ抑え込むための、クレストファクタ低減回路及びクレストファクタ低減方法に関するものである。
データ通信量の増大に伴い、通信システムの高速化・広帯域化が進み、通信機器の低消費電力化が課題となっている。送信信号におけるクレストファクタの低減は、その解決策の一つとなる。
近年採用されているWCDMA(登録商標)(Wideband Code Division Multiple Access)やOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)といった通信方式は、送信信号が、図6に示すような、信号の振幅が一定でない非定包絡線である、という特徴を持つ。この非定包絡線を増幅器等で処理する場合、信号の歪みを防ぐために最大振幅に合わせた電源電圧を設定するが、振幅が小さい時には無駄な電力が消費されることになるため、高い電力効率を得ることができない。解決策として、信号の包絡線に電源電圧をトラッキングさせるEnvelope−Trackingという方式があるが、高度な電源設計が要求されて複雑になる。
信号のクレストファクタそのものを低減することができれば、より効率の良い状態で増幅器を動作させることが可能になり、低消費電力化につながる。ただし、クレストファクタの低減は、隣接チャネルに対するノイズ規定すなわちAdjacent Channel Leakage Ratio(ACLR)や、変調誤差すなわちError Vector Magnitude(EVM)といった信号品質の劣化につながるため、信号品質の劣化が少ないクレストファクタの低減方法が望まれている。
このようなクレストファクタの低減方法として、例えば図7に示す、クレストファクタ低減回路が提案されている(例えば、非特許文献1、2参照)。
図7に示すクレストファクタ低減回路1は、入力信号XIと閾値THとが入力されピーク信号XPを出力するピーク検出器2と、ピーク信号XPが入力され信号XFを出力するフィルタ3と、入力信号XIが入力され信号XDを出力する遅延器4と、信号XDと信号XFが入力され出力信号XOを出力する乗算器5と、を備える。
次に、図7及び図8を用いて、クレストファクタ低減回路1の動作を説明する。
図8は、図7における各信号の波形を表す。なお、図8では、簡略化のため各信号の遅延分は無視している。
図8において、横軸は時間、縦軸は電圧を表す。また、図8(a)において実線は入力信号XIを表し、一点鎖線は閾値THを表し、破線は出力信号XOを表す。図8(b)において、実線は信号XFを表し、一点鎖線はピーク信号XPを表し、破線は後述のフィルタリングによって膨らむ抑圧成分を示す。
ピーク検出器2は、入力信号XIとクレストファクタの上限を定める閾値THとから、次式(1)で表されるピーク信号XPを生成する。
XI>THのとき、XP=1−(TH/XI)
XI≦THのとき、XP=0 ……(1)
ピーク信号XPはフィルタ3によって帯域外ノイズが抑圧され、信号XFとなる。
一方、入力信号XIは遅延器4によって信号XFと遅延が揃えられて信号XDとなる。図8では、簡略化のため各信号の遅延分は無視しているため、入力信号XIと信号XDとは同一波形としている。
実際には、図9に示すように、入力信号XIがピーク検出器2とフィルタ3を通過して信号XFが生成されるまでの所要時間相当だけ、遅延器4で入力信号XIに遅延が付加されて信号XDとなる。なお、図9において、横軸は時間、縦軸は電圧であり、(a)は、入力信号XIを示し、(b)は信号XDを示す。
乗算器5は、次式(2)の演算を行い、閾値THまでクレストファクタが低減された出力信号XOを生成する。
XO=XD×(1−XF) ……(2)
図7に示すクレストファクタ低減回路1の特徴は、クリッピングに用いるピーク信号XPをフィルタリングして帯域外ノイズを抑えることで、クリッピングによるACLRの劣化を低減させることにある。しかしながら、ACLRの劣化を低減させるためにフィルタの時定数を大きくすると、広範囲で信号が抑圧されることになりEVMは劣化する。つまり、ACLRとEVMの間にはトレードオフの関係が成り立つ。
米国特許第7634024号明細書
「Effect of Clipping in Wideband CDMA System and Simple Algorithm for Peak Windowing」 Olli Vaananen, Jouko Vankka, and Kari Halonen − Helsinki University of Technology, Finland, Digital Synthesizers and Transmitters for Software Radio, 2005, pp 327−338 「DIGITAL MODULATORS WITH CREST FACTOR REDUCTION TECHNIQUES」, Olli Vaananen, Helsinki University of Technology, Electronic Circuit Design Laboratory, Report 42, Espoo 2006
しかしながら、図7に示すように、クリッピングに用いるピーク信号XPを、フィルタリングして帯域外ノイズを抑えるようにした場合、図8(a)の領域Aに示すように、閾値THを超えるピークが連続して発生したときには、図8(b)に破線で示すように、フィルタリングによって膨らむピークの抑圧成分が複数重なり、その結果、過度な信号の抑圧が生じてしまい、出力信号XOが過度に抑圧されてしまうことから、EVMの瞬間的な劣化を引き起こすことがある。
また、入力信号XIから抽出したピーク信号XPの大きさに応じて、抑圧関数の係数を変える従来技術もあるが(例えば、特許文献1参照)、抑圧関数の係数を可変にすることは計算コストが高くなるデメリットを持つ。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、閾値を超えるピークが連続して発生しても、信号品質の劣化の少ない、効果的なクレストファクタ低減回路及びクレストファクタの低減方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によるクレストファクタの低減回路は、入力信号と閾値とをもとに前記入力信号のピークを表すピーク信号を生成するピーク検出器と、同一特性を有する複数のフィルタと、前記ピークの発生状況に応じて出力先を切り替えて前記複数のフィルタのうちのいずれかに前記ピーク信号を出力する切り替え制御部と、前記複数のフィルタから出力されるフィルタリング後の前記ピーク信号のうち、最も値の大きい信号を結合信号として出力する結合器と、前記入力信号を所定時間遅延させる遅延器と、前記遅延器で遅延させた信号と前記結合信号とをもとに前記入力信号のクレストファクタを低減する演算を行う乗算器と、を備えることを特徴としている。
また、本発明の他の態様によるクレストファクタの低減方法は、入力信号と閾値とをもとに前記入力信号のピークを表すピーク信号を生成し、前記ピークの発生状況に応じて出力先を切り替えて、複数のフィルタのうちのいずれかに前記ピーク信号を出力し、前記複数のフィルタから出力されるフィルタリング後のピーク信号のうち、最も値の大きい信号を結合信号とし、当該結合信号と前記入力信号を所定時間遅延させた信号とをもとに前記入力信号のクレストファクタを低減する演算を行うことを特徴としている。
本発明によれば、ピークの発生状況に応じて異なるフィルタを用いてピーク信号をフィルタ処理し、複数のフィルタの出力信号を結合してフィルタリングしたピーク信号を得るようにしたため、入力信号のピークの抑圧成分が重なることを抑制することができ、入力信号が過度に抑圧されることを回避することができる。そのため、EVMの瞬間的な劣化などを抑制し信号品質の劣化の少ない、クレストファクタ低減回路を実現することができる。
第1実施形態におけるクレストファクタ低減回路の一例を示す構成図である。 クレストファクタ低減回路の各部の波形の一例である。 クレストファクタ低減回路の各部の波形の一例である。 第2実施形態におけるクレストファクタ低減回路の一例を示す構成図である。 クレストファクタ低減回路における処理手順の一例を示すフローチャートである。 WCDMA(登録商標)やOFDM等の通信方式による送信信号に特徴的な非定包絡線の一例である。 従来のクレストファクタ低減回路の一例を示す構成図である。 従来のクレストファクタ低減回路の各部の波形の一例である。 入力信号と遅延器の出力信号との関係を示す波形の一例である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態におけるクレストファクタ低減回路10の一例を示す構成図である。
クレストファクタ低減回路10は、図7に示す従来のクレストファクタ低減回路1において、さらにピーク信号XPをカウントするピークカウンタ12を備えると共に、2つのフィルタ15、16と、ピークカウンタ12のカウント信号に応じてフィルタ15、16への出力を切り替える2つのセレクタ13、14と、を備えている。
具体的には、クレストファクタ低減回路10は、ピーク検出器11と、ピークカウンタ12と、第一セレクタ13と、第二セレクタ14と、第一フィルタ15と、第二フィルタ16と、結合器17と、遅延器18と、乗算器19と、を備える。ピークカウンタ12、第一セレクタ13及び第二セレクタ14が切り替え制御部に対応している。
ピーク検出器11は、従来のクレストファクタ低減回路1におけるピーク検出器2と同一構成を有し、入力信号XIとクレストファクタの上限を定める閾値THとが入力され、入力信号X1が、閾値THを超えるか否かに応じて、前記(1)式で表されるピーク信号XPを生成する。
ピークカウンタ12は、ピーク信号XPが入力され、ピーク信号XPがピーク基準値(例えばゼロ)から正の値に切り替わるタイミングをカウントし、カウント信号XCを出力する。カウント信号XCは、「1及び2」の2値をとり、カウントするに応じて「1、2、1、2、…」というように、交互にカウント信号XCの値が変化する。
なお、ここでいうピーク基準値とは、(1)式で示すXI≦THのときに設定されるXPの値を言う。(1)式では、ピーク基準値を「ゼロ」としているが、「ゼロ」に限るものではなく任意の値に設定することができる。
第一セレクタ13は、ピーク信号XPと固定値(例えばゼロ)とカウント信号XCとが入力され、セレクタ信号XS1を出力する。第二セレクタ14は、ピーク信号XPと固定値(例えばゼロ)とカウント信号XCとが入力され、セレクタ信号XS2を出力する。
第一セレクタ13及び第二セレクタ14は、割り当てカウント値として、第一セレクタ13には「1」、第二セレクタ14には「2」が割り当てられている。第一セレクタ13は、カウント信号XCが、割り当てカウント値である「1」と一致するときにピーク信号XPをセレクタ信号XS1として出力し、一致しないときには固定値をセレクタ信号XS1として出力する。同様に、第二セレクタ14は、カウント信号XCが、割り当てカウント値である「2」と一致するときにピーク信号XPをセレクタ信号XS2として出力し、一致しないときには固定値をカウンタ信号XS1として出力する。
これにより、ピークカウンタ12がカウントする度に、ピーク信号XPを選択するセレクタが、第一セレクタ13と第二セレクタ14とで順次切り替わる。
第一フィルタ15及び第二フィルタ16は同一特性を有し、第一フィルタ15は、第一セレクタ13からのセレクタ信号XS1が入力され、セレクタ信号XS1の帯域外ノイズを抑圧して信号XF1として出力する。
第二フィルタ16は、第二セレクタ14からのセレクタ信号XS2が入力され、セレクタ信号XS2の帯域外ノイズを抑圧して信号XF2として出力する。
結合器17は、第一フィルタ15からの信号XF1と第二フィルタ16からの信号XF2とが入力され、信号XF1とXF2との大小比較を行い、いずれか大きい方を選択して信号XMとして出力する。
遅延器18は、入力信号XIが入力され、所定時間だけ入力信号XIを遅延させて信号XDとして出力する。遅延器18の遅延時間は、ある時点の入力信号XIが、結合器17の出力である信号XMとして出力されるまでの所要時間相当に設定される。
乗算器19は、遅延器18からの信号XDと結合器17からの信号XMとが入力され、次式(3)の演算を行い、演算結果を、クレストファクタ低減回路10の出力信号XOとして出力する。
XO=XD×(1−XM) ……(3)
次に、図1、図2及び図3を用いて、クレストファクタ低減回路10の動作を説明する。
図2及び図3は、図1における各信号の波形を表す。なお、図2では、簡略化のため各信号の遅延分は無視している。実際には、前述の図9に示すように、ある時点における入力信号XIと、このある時点における入力信号を処理して得た信号XMとをもとに、乗算器19において演算が行われるように入力信号XIを遅延させる。
図2及び図3において、横軸は時間、縦軸は電圧を表す。
図2(a)において実線は入力信号XIを表し、一点鎖線は閾値THを表し、破線は出力信号XOを表す。図2(b)において、実線は信号XMを表し、一点鎖線はピーク信号XPを表し、破線は後述のフィルタリングによって膨らむ抑圧成分を示す。
なお、前述のように、簡略化のため各信号の遅延分は無視しているため、入力信号XIと信号XDとは同一波形としている。
図3(a)において、実線はピーク信号XPを表し、図3(b)において、実線は第一セレクタ13の出力である信号XS1を表し、破線は第一フィルタ15の出力である信号XF1を表す。図3(c)において、実線は第二セレクタ14の出力である信号XS2を表し、破線は第二フィルタ16の出力である信号XF2を表す。
ピーク検出器11は、入力信号XIとクレストファクタの上限を定める閾値THとから、前記(1)式で表されるピーク信号XPを生成する。
例えば図2(a)に示す入力信号XIが入力された場合には、時点t1で、入力信号XIが閾値THを跨いで上回り、ピーク信号XPがゼロから正の値に切り替わると、ピークカウンタ12はこの切り替わりをカウントし、カウント信号XC=1を出力する(領域T1)。図3に示すように、領域T1では、第一セレクタ13はXS1=XPを出力し、第二セレクタ14はXS2=0を出力する。
続いて時点t2で、入力信号XIが閾値THを跨いで上回り、ピーク信号XPがゼロから正の値に切り替わると、ピークカウンタ12はこれをカウントし、カウント信号XC=2を出力する(領域T2)。領域T2では、第一セレクタ13はXS1=0を出力し、第二セレクタ14はXS2=XPを出力する。
続いて時点t3で、入力信号XIが閾値THを跨いで上回り、ピーク信号XPがゼロから正の値に切り替わると、ピークカウンタ12はこれをカウントし、カウント信号XC=1を出力する(領域T3)。領域T3では、第一のセレクタ13はXS1=XPを出力し、第二セレクタ14はXS2=0を出力する。
第一、第二フィルタ15、16は、セレクタ信号XS1、XS2をそれぞれフィルタリングして、帯域外ノイズを抑圧した信号XF1、XF2を出力する。結合器17は、入力される信号XF1、XF2のうち、大きい方を選択して信号XMとして出力する(図2(b))。
図2の領域Aに示すように、閾値THを跨いで上回る入力信号XIが連続して発生した場合であっても、図3に示すように、入力信号XIから生成されるピーク信号XPは、ピークカウンタ12と第一、第二セレクタ13、14によって、第一フィルタ15と第二フィルタ16の別々のフィルタに振り分けられる。そのため、ピーク信号XPは、互いに干渉することなく、個別のフィルタで、個別にフィルタリングされる。そして、個別にフィルタリングされたピーク信号XPのうち、大きい方が選択されて、ピーク信号XPをフィルタリングした信号相当として、信号XMが生成される。
そのため、図8に示す、従来のクレストファクタ低減回路1で生成されるピーク信号XPをフィルタリングした信号である信号XFと比べて、第1実施形態における図2で示される信号XMは、抑圧成分が重なり合って増大することはない。したがって、この信号XMに基づき、閾値THまでクレストファクタを低減した出力信号XOを演算することによって、EVMの瞬間的な劣化が抑制されることになる。
なお、第1実施形態では、第一、第二フィルタ15、16の入力側に、第一、第二セレクタ13、14を設けて、第一、第二セレクタ13、14を、ピークカウンタ12の出力であるカウント信号XCにより制御する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、第一、第二セレクタ13、14の代わりに、フィルタのフィルタ係数やフィルタのパワーダウン制御などをカウント信号XCにより制御する構成とした場合であっても同等の作用効果を得ることができる。
つまり、フィルタのパワーダウン制御を行う場合には、第一、第二セレクタ13、14の代わりに、例えば、第一、第二フィルタ15、16のパワーダウン制御を行う制御部を設ける。そして、制御部により、カウント信号XCが「1」の場合には、第一フィルタ15にはパワーアップ状態とする制御信号、第二フィルタ16にはパワーダウン状態とする制御信号を出力し、カウント信号XCが「2」の場合には、第一フィルタ15にはパワーダウン状態とする制御信号、第二フィルタ16にはパワーアップ状態とする制御信号を出力する。
第一フィルタ15、第二フィルタ16は、パワーダウン状態のときにはゼロを出力し、パワーアップ状態のときにはピーク信号XPをフィルタリングして出力する構成とする。
このような構成とすることによっても、第1実施形態と同等の動作を行うことができるため、この場合も第1実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
また、フィルタの係数を制御する場合には、第一、第二セレクタ13、14の代わりに、例えば、第一、第二フィルタ15、16のフィルタ係数を切り替える制御部を設ける。そして、制御部により、カウント信号XCが「1」の場合には、第一フィルタ15のフィルタ係数を、予め設定したフィルタ係数に設定することで、ピーク信号XPがフィルタリングされた信号が出力されるようにし、第二フィルタ16のフィルタ係数を、第二フィルタ16の出力がゼロとなるようなフィルタ係数に設定する。カウント信号XCが「2」の場合には、第一フィルタ15のフィルタ係数として、第一フィルタ15の出力がゼロとなるようなフィルタ係数を設定し、第二フィルタ16のフィルタ係数として、予め設定したフィルタ係数に設定することで、第二フィルタ16の出力が、ピーク信号XPがフィルタリングされた信号となるようにする。
このような構成とすることによっても、第1実施形態と同等の動作を行うことができるため、第1実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
また、結合器17や、乗算器19によって生じる帯域外ノイズを抑圧するために、結合器17の出力側や、乗算器19の出力側にさらにフィルタを挿入し、これによって、信号XMや出力信号XOに含まれるノイズを抑圧するようにしてもよい。
また、第一、第二セレクタ13、14では、固定値として「0」を設定する場合について説明したが、これに限るものではなく、任意の基準値であればよい。その際は各信号に補正を加えてもよい。補正の方法としては、例えば、ピーク信号XPを次式(4)にしたがって補正する。(4)式中の、Aは任意の基準値であって、例えば、ピーク信号XP´がAより小さい値になることを防止できるように、任意の値に設定される。
そして、(4)式に基づいて求めた信号XP′を、ピーク信号XP相当値として用いてもよい。
XP>Aのとき、XP′=XP
XP≦Aのとき、XP′=A ……(4)
別な例として、結合器17の出力である信号XMを次式(5)にしたがって補正する。すなわち、信号XM′を、補正値Bを用いて演算する。
XM′=XM−B ……(5)
そして、求めた信号XM′を、信号XM相当値として用いてもよい。
また、別な例として、第一、第二フィルタ15、16の出力である信号XF1、XF2を、次式(6)、(7)にしたがって、補正する。すなわち、信号XF1′、XF2′を、補正値Bを用いて演算する。補正値Bは、例えば、任意の基準値Aによる変化分をキャンセルしたり、第一及び第二フィルタ15、16のゲインによる信号の変化分をキャンセルしたりすることができるように、任意の値に設定される。
XF1′=XF1−B ……(6)
XF2′=XF2−B ……(7)
そして、求めた信号XF1′、XF2′を、第一、第二フィルタ15、16の出力である信号XF1相当値、XF2相当値として用いてもよい。
また、ピークカウンタ12は、ピーク信号XPのゼロから正の値への切り替わりをカウントしたが、正からゼロの値への切り替わりをカウントしてもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図4は、第2実施形態におけるクレストファクタ低減回路20の一例を示す構成図である。
クレストファクタ低減回路20は、図7に示す従来のクレストファクタ低減回路1において、さらに、ピーク信号XPをカウントするピークカウンタ22を備えると共に、N個のフィルタ24−k(1≦k≦N)と、ピークカウンタ22のカウント信号に応じてフィルタ24−k(1≦k≦N)への出力を切り替えるN個のセレクタ23−k(1≦k≦N)とを備えている。
具体的には、クレストファクタ低減回路20は、ピーク検出器21と、ピークカウンタ22と、N個のセレクタ23−k(1≦k≦N)と、セレクタ23−k(1≦k≦N)のそれぞれに対応して設けられるN個のフィルタ24−k(1≦k≦N)と、結合器25と、遅延器26と、乗算器27と、を備える。ピークカウンタ22及びセレクタ23−k(1≦k≦N)が切り替え制御部に対応している。
ピーク検出器21は、従来のクレストファクタ低減回路1におけるピーク検出器2と同一構成を有し、入力信号XIとクレストファクタの上限を定める閾値THとが入力され、入力信号X1が、閾値THを超えるか否かに応じて、前記(1)式で表されるピーク信号XPを生成する。
ピークカウンタ22は、ピーク信号XPが入力され、ピーク信号XPがゼロから正の値に切り替わるタイミングをカウントし、カウント信号XCを出力する。カウント信号XCは、例えば「1、2、…、N」までのN値をとり、カウントに応じて1、2、…、Nと順次値を変化させ、N値全ての値を取り終えると、また初めからカウントを開始する。
第一から第Nまでの各セレクタ23−k(1≦k≦N)は、例えば1からNまでの番号が割り当てカウント値として設定され、カウント信号XCの値と割り当てカウント値とが一致したときにはピーク信号XPを出力し、一致しないときには固定値(例えばゼロ)を出力する。これにより、ピークカウンタ22がカウントする度に、ピーク信号XPを選択するセレクタは順次切り替わる。
第一から第Nまでの各フィルタ24−k(1≦k≦N)は同一特性を有し、セレクタ23−k(1≦k≦N)から入力される信号XSk(1≦k≦N)に対して、帯域外ノイズを抑圧し、信号XFk(1≦k≦N)として出力する。
結合器25は、各フィルタ24−k(1≦k≦N)から、N個の信号XFk(1≦k≦N)を入力し、N個の信号XFk(1≦k≦N)のうちで最も大きい信号を選択し、これを信号XMとして出力する。
遅延器26は、入力信号XIが入力され、所定時間だけ入力信号XIを遅延させて信号XDとして出力する。遅延器26の遅延時間は、ある時点の入力信号XIが、結合器25の出力である信号XMとして出力されるまでの所要時間相当に設定される。
乗算器27は、遅延器26からの信号XDと結合器25からの信号XMとが入力され、前記(3)式の演算を行い、閾値THまでクレストファクタが低減された演算結果を、クレストファクタ低減回路20の出力信号XOとして出力する。
ここで、閾値THを跨いで上回る入力信号XIが連続して発生しても、生成されるピーク信号XPは、ピークカウンタ22とN個のセレクタ23−k(1≦k≦N)とによって別々のフィルタ24−k(1≦k≦N)に振り分けられる。そのため、上記第1実施形態と同様に、ピーク信号XPどうしの干渉はなく、個別のセレクタにより個別にフィルタリングされる。その結果、従来のクレストファクタ低減回路1により生成される信号XFと比べて、第2実施形態におけるクレストファクタ低減回路20で生成される信号XMは抑圧成分が重なり合って増大することはなく、そのため、EVMの瞬間的な劣化を抑制することができる。
なお、この第2実施形態においては、フィルタ24−k(1≦k≦N)の入力側にセレクタ23−k(1≦k≦N)を設けピークカウンタ22のカウント信号XCで、フィルタ24−k(1≦k≦N)を切り替える場合について説明したが、第2実施形態においても、第1実施形態で説明したように、セレクタ23−k(1≦k≦N)の代わりにフィルタのフィルタ係数やフィルタのパワーダウン制御等をピークカウンタ22のカウント信号XCに応じて制御しても、同等の作用効果を得ることができる。
また、結合器25や乗算器27により生じる帯域外ノイズを抑圧するために、結合器25の出力側や乗算器27の出力側にさらにフィルタを追加し、信号XMや出力信号XOに含まれる帯域外ノイズを抑圧することも可能である。
また、セレクタ23−k(1≦k≦N)では、固定値として「0」を用いる場合について説明したが、これに限るものではなく、任意の基準値であればよい。この場合も、上記第1実施形態で説明したように、前記(1)式、(3)式に対して補正を行えばよい。
また、ピークカウンタ22は、ゼロから正の値への切り替わりをカウントしたが、正からゼロの値への切り替わりをカウントしてもよい。
<クレストファクタ低減回路における処理手順>
次に、上記第1、第2実施形態におけるクレストファクタ低減回路10、20における処理手順の一例を、図5に示すフローチャートにしたがって説明する。
なお、第1実施形態におけるクレストファクタ低減回路10は、第2実施形態におけるクレストファクタ低減回路20において、N=2である場合の回路であるため、ここでは、第2実施形態におけるクレストファクタ低減回路20での処理手順について説明する。
クレストファクタ低減回路20では、入力信号XIが入力されると、入力信号XIとクレストファクタの上限を定める閾値THとから、前記(1)式にしたがってピーク信号XPを生成する。(ステップS1)。
ステップS1の次に、ピーク信号XPがゼロから正の値に切り替わるかどうかを確認する(ステップS2)。ピーク信号XPがゼロから正の値に切り替わるときには、ステップS2からステップS3に移行し、N値を上限としてカウントするピークカウンタ22は、ピーク信号XPのゼロから正の値への切り替わりをカウントし、カウント信号XCとして出力する。一方、ピーク信号XPがゼロから正の値に切り替わらないときはピークカウンタ22はカウントしない。
ステップS2又はステップS3の次に、ピークカウンタ22のカウント信号XCに対応した、それぞれ異なる割り当てカウント値が設定されたN個のセレクタ23−k(1≦k≦N)のそれぞれでは、割り当てカウント値とカウント信号XCとが一致する場合、そのセレクタはピーク信号XPを選択し、ピーク信号XPをセレクタ信号XSk(1≦k≦N)として出力する(ステップS4、S5)。
一方、セレクタ23−k(1≦k≦N)に設定された割り当てカウント値とカウント信号XCとが一致しない場合、そのセレクタは固定値(ゼロ)を選択し、セレクタ信号XSk(1≦k≦N)として出力する。(ステップS4、S6)。
ステップS5又はステップS6の次に、セレクタ信号XSk(1≦k≦N)は、N個のセレクタ23−k(1≦k≦N)それぞれに対応して設けられたN個のフィルタ24−k(1≦k≦N)でそれぞれフィルタリングされて帯域外ノイズが抑圧され、信号XFk(1≦k≦N)として出力される(ステップS7)。
ステップS7の次に、結合器25ではN個の信号XFkの大小比較を行い、最も大きい値を信号XMとして出力する(ステップS8)。
ステップS8に続いて最後に、入力信号XIは遅延器26により、信号XMとタイミングが一致するように遅延されて信号XDとなり、乗算器27で前記(3)式の演算が行われ、閾値THまでクレストファクタが抑圧された出力信号XOが出力される(ステップS9)。
なお、クレストファクタ低減回路20は、上記のフローチャートを実行するように、CPU等を有するコンピュータによって構成されてもよい。この場合、クレストファクタ低減回路20は、プログラムを読み込むことによって、ピーク検出器21、フィルタ24−k(1≦k≦N)、遅延器26、乗算器27、ピークカウンタ22、セレクタ23−k(1≦k≦N)、結合器25として機能する。さらに、ピーク検出器21、フィルタ24−k(1≦k≦N)、遅延器26、乗算器27、ピークカウンタ22、セレクタ23−k(1≦k≦N)、結合器25のいずれかを回路によって構成し、残りをプログラムによって機能させることで、回路とコンピュータとを含んでクレストファクタ低減回路20を構成してもよい。
なお、上記実施形態においては、ピークカウンタのカウント値とフィルタとを一対一に対応付け、ピークカウンタのカウント値に応じてピーク信号をフィルタリングするフィルタを切り替える場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、カウント値が偶数の場合と、奇数の場合とで、2つのフィルタを切り替えるように構成してもよく、或いは、カウント値をフィルタの数で割り算した余りに応じて、複数のフィルタを切り替えるようにしてもよい。
また、ピークカウンタを設けずに、例えば、ピーク信号の立ち上がり或いは立ち下がりを検出する毎に、出力先のフィルタを順に切り替えるように構成してもよい。また、連続してピークが生じるときにのみ、フィルタを切り替えればよいため、例えば、ピーク信号の立ち上がり又は立ち下がりの間隔が予め設定した閾値よりも大きいときにはフィルタを切り替えずに継続して同一のフィルタにピーク信号を出力し、閾値以下のときにのみフィルタを切り替えるように構成してもよい。
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
10、20 クレストファクタ低減回路
11、21 ピーク検出器
12、22 ピークカウンタ
13 第一セレクタ
14 第二セレクタ
15 第一フィルタ
16 第二フィルタ
17、25 結合器
18、26 遅延器
19、27 乗算器
23−k(1≦k≦N) セレクタ
24−k(1≦k≦N) フィルタ

Claims (8)

  1. 入力信号と閾値とをもとに前記入力信号のピークを表すピーク信号を生成するピーク検出器と、
    同一特性を有する複数のフィルタと、
    前記ピークの発生状況に応じて出力先を切り替えて前記複数のフィルタのうちのいずれかに前記ピーク信号を出力する切り替え制御部と、
    前記複数のフィルタから出力されるフィルタリング後の前記ピーク信号のうち、最も値の大きい信号を結合信号として出力する結合器と、
    前記入力信号を所定時間遅延させる遅延器と、
    前記遅延器で遅延させた信号と前記結合信号とをもとに前記入力信号のクレストファクタを低減する演算を行う乗算器と、を備えることを特徴とするクレストファクタ低減回路。
  2. 前記切り替え制御部は、
    前記ピーク信号に基づき前記ピークの数をカウントするピークカウンタを有し、
    前記ピークカウンタのカウンタ値に応じて前記ピーク信号の出力先のフィルタを切り替える請求項1記載のクレストファクタ低減回路。
  3. 前記ピーク信号は、前記入力信号が前記閾値以下のとき予め設定した固定値となり、前記入力信号が前記閾値より大きいとき前記入力信号に応じた値となる信号であって、
    前記ピークカウンタは、前記ピーク信号の立ち上がりまたは立ち下がりのタイミングをカウントする請求項2記載のクレストファクタ低減回路。
  4. 前記切り替え制御部は、
    前記複数のフィルタそれぞれに対応して設けられたセレクタを有し、
    前記セレクタは、前記ピークカウンタのカウンタ値が、前記複数のフィルタ毎に異なる値に設定された所定値であるとき、当該セレクタに対応付けられたフィルタに前記ピーク信号を出力し、前記所定値でない場合には予め設定した固定値を表す信号を出力する請求項2又は請求項3記載のクレストファクタ低減回路。
  5. 前記複数のフィルタは入力されるパワーダウン制御信号に応じてパワーアップ状態又はパワーダウン状態に切り替わり、
    前記切り替え制御部は、
    前記ピークカウンタのカウンタ値が、前記複数のフィルタ毎に異なる値に設定された所定値であるとき、当該所定値に対応付けられたフィルタに、当該フィルタをパワーアップ状態とするパワーダウン制御信号を出力し、
    前記所定値でないとき、パワーダウン状態とするパワーダウン制御信号を出力する請求項2又は請求項3記載のクレストファクタ低減回路。
  6. 前記複数のフィルタは入力されるフィルタ係数制御信号に応じてフィルタ係数が切り替わり、
    前記切り替え制御部は、
    前記ピークカウンタのカウンタ値が、前記複数のフィルタ毎に異なる値に設定された所定値であるとき、当該所定値に対応付けられたフィルタに、当該フィルタのフィルタ係数を所定の帯域を制限する係数値とするフィルタ係数制御信号を出力し、
    前記所定値でないとき、予め設定した固定値を出力する係数値とするフィルタ係数制御信号を出力する請求項2又は請求項3記載のクレストファクタ低減回路。
  7. 前記結合器の後段または前記乗算器の後段の少なくとも一方にさらにフィルタを備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のクレストファクタ低減回路。
  8. 入力信号と閾値とをもとに前記入力信号のピークを表すピーク信号を生成し、
    前記ピークの発生状況に応じて出力先を切り替えて、複数のフィルタのうちのいずれかに前記ピーク信号を出力し、
    前記複数のフィルタから出力されるフィルタリング後のピーク信号のうち、最も値の大きい信号を結合信号とし、当該結合信号と前記入力信号を所定時間遅延させた信号とをもとに前記入力信号のクレストファクタを低減する演算を行うクレストファクタの低減方法。
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