JP2016080680A - 信号検出方法、検量線作成方法、定量方法、信号検出装置、および計測装置 - Google Patents

信号検出方法、検量線作成方法、定量方法、信号検出装置、および計測装置 Download PDF

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興子 清水
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Abstract

【課題】計測信号に微量に含まれる目的成分に係る信号を高精度に検出可能とする新たな技術を提案すること。【解決手段】信号検出方法は、計測信号取得部20により、目的成分の信号である第1信号と妨害成分の信号である第2信号とを含む計測信号を取得する工程と、第1目的成分信号検出部316或いは第2目的成分信号検出部322により、計測信号を第2信号に対して直交化させる直交演算を行う工程とを含む。【選択図】図2

Description

本発明は、信号検出方法、検量線作成方法、定量方法、信号検出装置、および計測装置に関する。
計測信号(生体からの信号)に含まれる所定成分の信号を分析する技術として、種々の技術が知られている。中でも代表的な技術の1つとして、独立成分分析(或いは独立成分解析とも呼ばれる)が知られている。
例えば、特許文献1には、計測信号(生体からの信号)である観測信号について独立成分分析を行い、算出された独立成分を基本関数として、観測信号を基本関数の線形和で表すことで、観測信号に含まれる目的成分の濃度などを解析する技術が開示されている。
また、特許文献2には、計測信号(生体からの信号)である観測データについて独立成分分析を行い、観測データに含まれる目的成分に対する混合係数を求め、元の観測データの目的成分の含有量と混合係数とから検量線を求める技術が開示されている。
特開2007−44104号公報 特開2013−36973号公報
理想的には、独立成分に係る信号は、唯一固有の成分の信号であるため、他成分の影響が無く、他成分に対して“独立”である。しかしながら、現実には、独立成分分析によって混合成分から抽出された独立成分1つ1つは、完全に“独立”とは言えない場合があった。そうした場合には、例えば、計測対象物に含まれる0.01%以下といった1%以下の僅かな微量成分の濃度を検出すべく、計測対象物を対象に独立成分分析を行っても、微量成分の濃度を精度よく検出することは困難であった。
本発明は、上述した事情に鑑みて考案されたものであり、その目的とするところは、計測信号(例えば、生体からの信号等)に含まれる微量成分に係る信号を高精度に検出可能とする新たな技術を提案することである。
[適用例1]本適用例に係る信号検出方法は、第1信号と、前記第1信号とは異なる第2信号と、を含む計測信号を取得する工程と、前記計測信号を前記第2信号に対して直交化させる直交演算を行う工程と、を含むことを特徴とする。
本願発明者が鋭意研究したところによると、第1信号を表すベクトルは第2信号を表すベクトルに直交し、第1信号と第2信号とは直交ベクトル空間を構成すると考えても構わないことが判明した。従って、本適用例の信号検出方法によれば、第2信号に対して計測信号を直交化させて第1信号に相当する信号を得る直交演算を行うので、第1信号と第2信号とを含む計測信号から第2信号を除去して第1信号を高精度に検出することができる。これにより、第1信号に係る成分と第2信号に係る成分とを含む試料における第1信号に係る成分の濃度を精度良く検出することが可能となる。
[適用例2]上記適用例に係る信号検出方法であって、前記直交演算には、前記第2信号に係る成分を含み前記第1信号に係る成分を含まない試料を計測した第2試料信号を多変量解析処理して得られる第2特徴信号(第2試料特徴信号)を用いることを含むことが好ましい。
本適用例の信号検出方法によれば、第2信号に係る成分を含み、第1信号に係る成分を含まない試料を計測した第2試料信号を多変量解析処理することで、第2信号に係る成分の特徴量である第2特徴信号(第2試料特徴信号)を抽出できる。そして、得られた第2特徴信号(第2試料特徴信号)に対して計測信号を直交化させて直交演算を行うので、第1信号に係る成分と第2信号に係る成分とを含む試料を計測した計測信号から第2信号を効果的に除去することができる。
[適用例3]上記適用例に係る信号検出方法であって、前記多変量解析処理は独立成分分析であることが好ましい。
本適用例の信号検出方法によれば、第2試料信号に対する多変量解析処理として独立成分分析処理を用いるので、特に第2信号に係る成分が高割合成分である場合に、直交性が強く誤差が少ない第2特徴信号(第2試料特徴信号)を検出することができる。
[適用例4]上記適用例に係る信号検出方法であって、前記直交演算は、前記第2特徴信号(第2試料特徴信号)によって張られる空間に直交する空間に前記計測信号を射影させる射影演算であってもよい。
本適用例の信号検出方法によれば、第2特徴信号(第2試料特徴信号)によって張られる空間に直交する空間に計測信号を射影する射影演算を行うことで、第1信号と第2信号とを含む計測信号から第2信号を除去して第1信号を高精度に検出することができる。
[適用例5]上記適用例に係る信号検出方法であって、前記射影演算は、前記計測信号を計測ベクトルMにて表し、前記第1信号を第1ベクトルM0にて表し、前記第2特徴信号(第2試料特徴信号)をγ個の妨害単位ベクトルPkにて表し、前記第2特徴信号(第2試料特徴信号)によって張られる空間を前記妨害単位ベクトルPkから構成される行列Pにて表し、前記行列Pの疑似逆行列をP+にて表し、単位行列をEにて表した際に、数式(1)で表されることが好ましい。
Figure 2016080680
本適用例の信号検出方法によれば、数式(1)で表される射影演算を行うことにより、計測ベクトルMで表される計測信号に含まれる第1信号(第1ベクトルM0)を高精度に検出することができる。
[適用例6]上記適用例に係る信号検出方法であって、前記直交演算は、前記計測信号に対して、前記第2特徴信号(第2試料特徴信号)を用いたグラム・シュミットの直交化法を適応してもよい。
本適用例の信号検出方法によれば、計測信号に対して第2特徴信号(第2試料特徴信号)を用いたグラム・シュミットの直交化法を適応することで、第1信号と第2信号とを含む計測信号から第2信号を除去して第1信号を高精度に検出することができる。
[適用例7]上記適用例に係る信号検出方法であって、前記グラム・シュミットの直交化法は、前記計測信号を計測ベクトルMにて表し、前記第1信号を第1ベクトルM0にて表し、前記第2特徴信号(第2試料特徴信号)をγ個の妨害単位ベクトルPkにて表し、γ個の中間ベクトルをWkにて表し、前記中間ベクトルWkの転置ベクトルをWk Tにて表した際に、第1中間ベクトルW1を第1妨害単位ベクトルP1として、数式(2)と数式(3)とで表されることが好ましい。
Figure 2016080680
Figure 2016080680
本適用例の信号検出方法によれば、数式(2)と数式(3)とで表されるグラム・シュミットの直交化法により、γ個の中間ベクトルWkを順次直交化させているので、計測ベクトルMは、γ個の中間ベクトルWkのそれぞれに直交し、その結果、第2信号全体に対して直交化されることになる。これにより、計測ベクトルMで表される計測信号に含まれる第1信号(第1ベクトルM0)を高精度に検出することができる。
[適用例8]上記適用例に係る信号検出方法であって、前記第1信号が前記計測信号に占める割合は、1%以下であってもよい。
本適用例の信号検出方法によれば、第1信号に係る成分が微量であって、第1信号が1%以下の割合で計測信号に含まれている場合でも、計測信号において微量成分の第1信号を高精度に検出することができる。
[適用例9]本適用例に係る検量線作成方法は、前記第1信号に係る物理量が既知である基準試料に対して、上記適用例の信号検出方法を実行して得られた前記第1信号と、前記第1信号の単位信号と、の内積値を計算し、前記第1信号に係る物理量と前記内積値との関係を示す検量線を作成することが好ましい。
本適用例の検量線作成方法によれば、計測信号から第1信号を高精度に検出することが可能な信号検出方法を実行して得られた第1信号と、第1信号の単位信号との内積値を計算して検量線を作成するので、精度が高い検量線を作成することができる。
[適用例10]本適用例に係る定量方法は、上記適用例の信号検出方法によって得られた前記第1信号と、前記第1信号の単位信号と、の内積値を計算する工程を含むことが好ましい。
本適用例の定量方法によれば、計測信号から第1信号を高精度に検出することが可能な信号検出方法を実行して得られた第1信号と、第1信号の単位信号との内積値を取るので、ベクトル空間における第1信号の大きさ(スカラー量)を精度良く求めることができる。
[適用例11]上記適用例に係る定量方法であって、前記内積値と検量線とを参照して物理量を定量化する工程をさらに含むことが好ましい。
本適用例の定量方法によれば、第1信号と第1信号の単位信号との内積値と、第1信号に係る物理量と内積値との関係を示す検量線とを参照するので、第1信号に係る成分と第2信号に係る成分とを含む試料における第1信号に係る成分の物理量を正確に定量化することができる。
[適用例12]上記適用例に係る定量方法であって、前記検量線は、上記適用例の検量線作成方法にて得られることが好ましい。
本適用例の定量方法によれば、第1信号に係る物理量と内積値との関係を示す検量線を用いるので、計測対象物に含まれる第1信号に係る成分の物理量を精度良く定量化することが可能となる。
[適用例13]上記適用例に係る定量方法であって、前記物理量は血液中のグルコース濃度であってもよい。
本適用例の定量方法によれば、血液中に高割合で含まれる水(第2信号に係る成分)に対して微量に含まれるグルコース(第1信号に係る成分)の物理量を高精度に定量化することができる。
[適用例14]本適用例に係る信号検出装置は、第1信号に係る成分と、前記第1信号とは異なる第2信号に係る成分と、を含む計測対象物を計測した計測信号を取得する取得部と、前記計測信号を前記第2信号に対して直交化させる直交演算を行う演算処理部と、備えたことを特徴とする。
本適用例の構成によれば、取得部で、第1信号に係る成分と第2信号に係る成分とを含む計測対象物を計測した計測信号を取得する。そして、演算処理部で、第1信号を表すベクトルに対して第2信号を表すベクトルが直交しているベクトル空間を形成し、このベクトル空間にて第2信号に対して計測信号を直交化させる直交演算を行う。そのため、第1信号と第2信号とを含む計測信号から第2信号を除去して、第1信号を高精度に検出することが可能な信号検出装置を実現できる。
[適用例15]本適用例に係る計測装置は、第1信号に係る成分と、前記第1信号とは異なる第2信号に係る成分と、を含む計測対象物を計測した計測信号を取得する取得部と、前記計測信号を前記第2信号に対して直交化させる直交演算を行い、前記直交演算の結果を用いて物理量を定量する演算処理部と、を備えたことを特徴とする。
本適用例の構成によれば、取得部で、第1信号に係る成分と第2信号に係る成分とを含む計測対象物を計測した計測信号を取得する。そして、演算処理部で、第1信号を表すベクトルに対して第2信号を表すベクトルが直交しているベクトル空間を形成し、このベクトル空間にて第2信号に対して計測信号を直交化させる直交演算を行い、その演算結果を用いて物理量を定量する。そのため、第1信号と第2信号とを含む計測信号から第2信号を除去して第1信号を検出し、第1信号に係る成分の物理量を高精度に定量することが可能な計測装置を実現できる。
また、上述の課題を解決するための第1の発明は、高割合成分の信号である第2信号(妨害信号)と微量成分の信号である第1信号(目的信号)とを含む所定の計測対象物を計測した計測信号(生体からの信号)を取得することと、各成分の信号を表すベクトルが互いに直交しているベクトル空間において、前記計測信号(生体からの信号)を前記第2信号(妨害信号)に対して直交化させる直交演算を行うことと、を含む信号検出方法である。
第1の発明によれば、各成分の信号を表すベクトルが互いに直交しているベクトル空間において、高割合成分の信号である第2信号(妨害信号)に対して計測信号(生体からの信号)を直交化させる直交演算を行うことで、高割合成分を取り除いた信号を得ることが可能となる。高割合成分の信号が取り除かれるため、計測信号(生体からの信号)においては微量成分であった第1信号(目的信号)を高精度に検出することが可能となる。
第2の発明は、第1の発明において、前記第1信号(目的信号)が前記計測信号(生体からの信号)に占める割合は、1%以下である、信号検出方法である。
この第2の発明によれば、第1信号(目的信号)が1%以下の割合で僅かに計測信号(生体からの信号)に含まれている場合であっても、第1の発明の作用効果を発揮し得る。
この場合、第3の発明として、第1又は第2の発明において、第2信号(妨害信号)が前記計測信号(生体からの信号)に占める割合が3%以上の信号検出方法を構成することとしてもよい。
第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明において、前記直交演算を行うことは、前記第2信号(妨害信号)に係る成分を含み、前記第1信号(目的信号)に係る成分を含まない所定の試料を計測した第2試料信号(妨害成分だけの信号)を独立成分分析することで得られた信号を用いて、前記直交演算を行うことを含む、信号検出方法である。
この第4の発明によれば、第2信号(妨害信号)に係る成分を含み、第1信号(目的信号)に係る成分を含まない所定の試料を計測した第2試料信号(妨害成分だけの信号)を多変量解析分析することで得られた信号を用いて直交演算を行うことができるため、第2信号(妨害信号)に係る成分を効果的に除去することができる。多変量解析分析としては独立成分分析や主成分分析などの各種解析手法を用いることができる。これらの内でも、独立性が一番強い独立成分分析を多変量解析分析として使用するのが、微量成分に係る信号を高精度に検出する上で最も好ましい。
なお、前記直交演算を行うことは、具体的には、例えば、第5の発明として、前記第2信号(妨害信号)に直交する所定の直交部分空間に前記計測信号(生体からの信号)を射影する射影演算を行うことを含む、こととしてもよい。
また、第6の発明として、前記直交演算を行うことは、グラム・シュミットの直交化法により前記計測信号(生体からの信号)を前記第2信号(妨害信号)に対して直交化させることを含む、こととしてもよい。
第7の発明は、第1〜第6の何れかの発明において、前記計測対象物の前記高割合成分は水であり、前記計測信号(生体からの信号)を取得することは、前記計測信号(生体からの信号)をスペクトルデータとして取得することを含む、信号検出方法である。
この第7の発明によれば、高割合成分が水である計測対象物の計測信号(生体からの信号)をスペクトルデータとして取得することができる。
第8の発明は、第7の発明において、前記スペクトルデータを取得することは、異なる温度における前記計測対象物のスペクトルデータを取得することを含む、信号検出方法である。
この第8の発明によれば、例えば、水のスペクトルデータ(または特徴量の構成比)には温度特性があるため、温度特性を考慮して第1信号(目的信号)を検出することができる。
第9の発明は、前記第1信号(目的信号)に係る成分濃度が異なる複数の前記計測対象物について、第1〜第8の何れかの発明の信号検出方法を実行し、前記第1信号(目的信号)に係る成分濃度に対する検量線を作成する検量線作成方法である。
この第9の発明によれば、計測対象物に含まれる第1信号(目的信号)に係る成分濃度の検量線を作成することができる。
第10の発明は、前記第1信号(目的信号)に係る成分濃度が未知の前記計測対象物について、第1〜第7の何れかの発明の信号検出方法を実行し、検出された信号と、第9の発明の検量線作成方法を実行することによって作成された検量線とを用いて、前記未知の成分濃度を測定する濃度測定方法である。
この第10の発明によれば、第9の発明によって作成された検量線を用いることで、計測対象物に含まれる第1信号(目的信号)に係る成分濃度を精度良く求めることが可能となる。
第11の発明は、高割合成分の信号である第2信号(妨害信号)と微量成分の信号である第1信号(目的信号)とを含む所定の計測対象物を計測した計測信号(生体からの信号)を取得する取得部と、各成分の信号を表すベクトルが互いに直交しているベクトル空間において、前記計測信号(生体からの信号)を前記第2信号(妨害信号)に対して直交化させる直交演算を行う演算処理部と、を備えた信号検出装置である。
この第11の発明によれば、第1の発明と同様の作用効果を発揮する信号検出装置を実現することができる。
本実施形態の概念を説明する図。 本実施形態に係る信号検出装置の構成を説明するブロック図。 第1実施形態に係る妨害成分特徴量抽出処理の流れを示すフローチャート。 第1実施形態に係る妨害成分特徴量抽出処理で得られたデータを示す図。 第1実施形態に係る検量線作成処理の流れを示すフローチャート。 第1実施形態に係る検量線作成処理で得られたデータを示す図。 第1実施形態に係る検量線作成処理で作成された検量線の一例を示す図。 第1実施形態に係る射影演算により得られる直交化基準ベクトルを説明する図。 第1実施形態に係る濃度測定処理の流れを示すフローチャート。 第2実施形態に係る検量線作成処理で得られたデータを示す図。 変形例1に係る計測装置の構成を説明するブロック図。 独立成分分析を行った場合の比較データを示す図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。まず、本実施形態の原理について説明し、次いで本実施形態の具体例として幾つかの実施形態を説明する。
〔原理〕
本発明では、計測対象の物理量は、様々な物理量の線形和で表されるベクトルと考える。すなわち、計測対象物を計測した計測信号(例えば、生体からの信号)には2つ以上の物理量成分が含まれ、各物理量成分の信号の線形和によって当該計測信号が表現されると考える。さらに、本発明では、計測信号は第1信号である目的信号と第2信号である妨害信号との線形和にて表現され、第1信号は第2信号に対して直交していると考える。
本願発明者が鋭意研究したところによると、本来、第1信号と第2信号とは独立であるはずであるから、計測信号を第2信号に対して直交化させた信号は第1信号になると考えるのが妥当である。従って、計測信号を第2信号に対して直交化させれば、精度良く第1信号に相当する信号を取り出せるはずである。
本願の計測対象には、電気信号や音声信号、電磁波信号等が考えられ、これらの信号に含まれる特定の信号成分を計測する場合や、気体や液体等の物質を計測対象物として、これらの計測対象物に含まれる特定成分の濃度や質量を計測する場合に本発明が適応され得る。以下の実施形態では、計測対象となる物理量成分の一例として濃度を用いて本発明を説明しているが、以下の実施形態において、物理量成分とは、濃度に限らず変動パラメーター全般(濃度・温度・気圧など)であっても構わない。
また、本発明では、各物理量成分の信号の線形和によって計測信号が表されると考えるため、各物理量成分の信号をベクトルで表せば、目的の物理量成分を表すベクトル(第1信号を表すベクトル)に対して妨害物の物理量成分を表すベクトル(第2信号を表すベクトル)が直交したベクトル空間を定義することができ、計測信号ベクトルは、このベクトル空間上に定義することができる。なお、ベクトル空間の次元数は、計測信号に含まれる独立した物理量成分の数となる。
図1は、本発明の概念を説明する図である。図1には、簡略化されたベクトル空間と計測信号を表すベクトル(計測ベクトルMと称する)等が描かれている。図1の例では、計測対象から得られる計測ベクトルMが、1つの微量成分で目的信号である第1信号と、2つの高割合成分で妨害信号である第2信号との線形和として表現されている。第1信号とは、計測信号に含まれる目的物理量を表す信号であり、図1の例では第1ベクトルM0にて表されている。一方、第2信号とは、計測信号の妨害信号を表す信号であり、図1の例では、第1妨害ベクトルμ11と第2妨害ベクトルμ22とのベクトル和で表されている。
第1信号(第1ベクトルM0)は、第2信号(第1妨害ベクトルμ11と第2妨害ベクトルμ22とのベクトル和)に対して直交化されている。このように、本発明では、計測信号を表す計測ベクトルMは、目的物理量を表す第1信号(第1ベクトルM0)と、妨害物理量を表す第2信号(第1妨害ベクトルμ11や第2妨害ベクトルμ22等の妨害ベクトル全体のベクトル和)との線形和にて表現され、第1信号と第2信号とは直交していると考える。
図1では、計測信号に含まれる独立成分が3つの場合を例示しているため、計測ベクトルMが定義されるベクトル空間は、3次元空間として表される。具体的に図1の例では、第1高割合成分で第1妨害成分を表す第1妨害ベクトルμ11と、第2高割合成分で第2妨害成分を表す第2妨害ベクトルμ22と、微量成分で目的成分を表す第1ベクトルM0との線形和が、計測ベクトルMを表す。
なお、図1の例では、第1妨害ベクトルμ11と第2妨害ベクトルμ22とが直交して描かれているが、個々の妨害ベクトル同士が互いに直交している必要はない。第2信号である妨害ベクトル全体(図1の例では、第1妨害ベクトルμ11と第2妨害ベクトルμ22とのベクトル和)に対して第1信号(第1ベクトルM0)を直交化させていればよい。
例えば、第1妨害ベクトルμ11と第2妨害ベクトルμ22とが斜交座標系をなしていても、妨害ベクトル全体が張る空間(図1の例では、第1妨害ベクトルμ11と第2妨害ベクトルμ22とで定まる平面)に対して、第1信号(第1ベクトルM0)が直交化されてしていればよい。本発明では、このように妨害ベクトル全体が張る空間に直交したベクトルを第1ベクトルM0と考える。
以下の実施形態では、微量成分を「目的成分」とし、計測信号(生体からの信号)の中から微量成分に係る信号を正確に検出することを目的としている。したがって、計測信号(生体からの信号)を表す計測ベクトルMのうち、微量成分の第1ベクトルM0を検出することが目的となる。これに対して、高割合成分は、計測信号(生体からの信号)の中から微量成分に係る信号を検出することを阻害する成分といえるため、「妨害成分」と呼ぶ。
ところで、各成分がどのくらい含有されているかを分析する信号処理の手法として、独立成分分析が知られている。独立成分分析を用いて計測対象物に含まれる特定成分の量(割合或いは濃度でもよい)を測定しようとする場合、問題が生じる場合がある。具体的には、計測対象物に占める特定成分の割合が、他成分の割合に比べて極端に小さい微量成分の場合は、独立成分分析では、その微量成分の含有量(割合或いは濃度でもよい)を正確に判定することが困難であるという問題である。
独立成分分析は、確率変数を用いた統計的手法により、含有成分の数およびその量を推定する技術である。そのため、計測信号(生体からの信号)に占める1つの独立成分の割合が1%以下であるような微量成分であった場合には、その微量成分を正確に計測することが困難となる場合がある。
図1は本発明の原理を説明する図であるが、図1を参照して、本願発明者が見出した独立成分分析による定量化の課題を説明する。2つの高割合成分に対し1つの微量成分が完全に独立している場合には、第1妨害ベクトルμ11と第2妨害ベクトルμ22とのベクトル和に対して、微量成分の第1ベクトルM0は直交する。すなわち、各目的成分量を、その大小に関わらず正確に計測できる。
しかし、現実の独立成分分析では、妨害成分(2つの高割合成分)に対して1つの微量の目的成分を完全に独立と分離することができず、通常は、目的成分が僅かに妨害成分の誤差を含む状態を独立とみなしていることを本願発明者は見出した。これは、独立成分分析が、確率変数を用いた統計的手法による分析だからである。
独立成分分析で、妨害成分に対して目的成分を厳密に独立と分離できていないことは、目的成分である第1信号と妨害成分である第2信号との直交度に表れて来ると考えて差し支えない。例えば、図1の例を用いて独立成分分析で直接得られる信号を説明すると、第1妨害ベクトルμ11と第2妨害ベクトルμ22とで定まる平面の法線に対して、独立成分分析で直接得られる目的信号は法線からずれて傾いていることを意味する。
目的信号の直交度のずれ(目的信号の妨害成分の法線に対する傾き)が、たとえ1/100程度の僅かな誤差であったとしても、目的成分は微量であるために、妨害成分の影響を無視し得なくなる。目的成分である第1信号が妨害成分である第2信号に対して完全に直交していれば、目的成分量はその大小に関わらず厳密に計測可能である。
しかしながら、独立成分分析で直接得られる目的信号は妨害成分に対して完全に直交していないために、僅かに含んだ高割合成分の大きさ(量)が微量成分の大きさ(量)に影響を与えることになる。これに対して、本発明は、計測信号のうち妨害成分に直交している成分を第1信号と考えるので、おのずから妨害成分の影響を従来よりも著しく小さく出来るのである。
結局、独立成分分析による定量化では、抽出された高割合成分の含有量に若干の誤差があっただけでも、その誤差分が微量成分の含有量に効いてくるため、微量成分にとっては大きな変化となるのである。したがって、微量成分の量(割合或いは濃度でもよい)の判断手法として、独立成分分析単独での定量化は微小量の検出には不適であると言える。
なお、高割合成分とは、独立成分分析によって、その成分量(割合或いは濃度でもよい)を高精度に判断できる成分のことであり、計測信号に占める割合が、例えば3%以上の成分である。
以上の問題点を解決するため、本実施形態では、信号処理の一手法である直交化(本実施形態では「直交演算」ともいう)を用いて、微量成分である目的成分の信号を検出する。具体的には、高割合成分である妨害成分の第2信号を表すベクトル(第1妨害ベクトルμ11と第2妨害ベクトルμ22とのベクトル和)に対して計測ベクトルMを直交させることで、微量成分である目的成分の第1信号(第1ベクトルM0)を検出する。
ここで、妨害成分の第2信号は、計測信号(生体からの信号)に十分に含まれている高割合成分の信号であるため、独立成分分析が有効に働く。そこで、計測対象物のうちの妨害成分を含み目的成分を含まない試料を用意し、この試料の計測信号を独立成分分析で分析することで、試料に含まれる妨害成分の独立成分である妨害成分特徴量(図1の第1妨害単位ベクトルP1や第2妨害単位ベクトルP2等)を求めることができる。
〔信号検出装置〕
次に、本発明を適用した信号検出装置の構成例を説明する。図2は、本実施形態に係る信号検出装置の構成を説明するブロック図である。本実施形態に係る信号検出装置1は、信号検出装置、検量線作成装置、および計測装置の機能を内包しているため、検量線作成装置或いは計測装置ということもできる。また、信号検出装置1は、吸光度計測装置6と別体に構成することとして説明するが、信号検出装置1が吸光度計測装置6を具備する構成としてもよい。
信号検出装置1は、処理部10と、記憶部50と、操作部70と、表示部80と、通信部90とを備えた一種のコンピューターシステムである。処理部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphic Processor Unit)等のマイクロプロセッサーや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、IC(Integrated Circuit)メモリーなどの電子部品によって実現される。そして、処理部10は、各機能部との間でデータの入出力制御を行い、所定のプログラムやデータ、操作部70からの操作入力信号、吸光度計測装置6の計測結果等に基づいて各種の演算処理を実行して、計測対象物に含まれる目的成分の濃度を算出する。
処理部10は、取得部としての計測信号取得部20と、演算処理部30とを有する。計測信号取得部20は、吸光度計測装置6との間で所定通信を行うことで吸光度計測装置6を制御し、吸光度計測装置6で計測された結果を計測信号として取得する。計測信号はアナログ信号であってもよいが、その場合は計測信号取得部20によってデジタル信号である計測信号データに変換されるものとする。吸光度計測装置6は、計測対象物に対して、波長の異なる様々な光を入射し、計測対象物を透過した透過光を受光して各光の波長に対する吸光度を表した吸光度スペクトルを計測する装置である。すなわち、計測信号は吸光度スペクトルとして表される。
吸光度計測装置6の計測対象物には、目的成分を含まない妨害成分の試料である妨害成分試料と、目的成分の濃度が既知或いは別途の計測で判定される試料である濃度既知試料と、目的成分の濃度が未知であり、濃度を測定する対象となる濃度測定対象物との3つがある。計測された吸光度スペクトルは、計測信号取得部20によって、それぞれ、妨害成分試料計測信号データ531、濃度既知試料計測信号データ532、濃度測定対象物計測信号データ533として、記憶部50に記憶される。
演算処理部(信号処理部)30は、計測信号取得部20によって取得された計測信号に対して種々のデジタル信号処理を行う処理部であり、一種の信号処理部と言える。演算処理部30は、検量線作成部310と、濃度測定部320とを有する。
検量線作成部310は、記憶部50に記憶された検量線作成プログラム510に従って検量線作成処理(図3参照)を実行する機能部であり、濃度測定対象物に含まれる目的成分の濃度を算出するための検量線を作成する。検量線作成部310は、妨害成分特徴量抽出部312と、成分分析部314と、第1目的成分信号検出部316とを有する。
妨害成分特徴量抽出部312は、検量線作成プログラム510のサブルーチンプログラムである妨害成分特徴量抽出プログラム512に従って妨害成分特徴量抽出処理を実行する機能部である。成分分析部314は、計測信号に対して妨害成分の成分分析処理(多変量解析処理)を施す機能部である。第1目的成分信号検出部316は、検量線作成プログラム510のサブルーチンプログラムである目的成分信号検出プログラム514に従って、濃度が既知の試料から目的成分の信号を検出する目的成分信号検出処理を実行する機能部である。
濃度測定部320は、濃度測定プログラム520に従って濃度測定処理を実行する機能部である。具体的には、濃度測定部320は、検量線作成部310によって作成された検量線を用いて、濃度測定対象物に含まれる目的成分の濃度を測定する。濃度測定部320は、第2目的成分信号検出部322を有する。第2目的成分信号検出部322は、濃度測定プログラム520のサブルーチンプログラムである目的成分信号検出プログラム522に従って、濃度測定対象物に含まれる目的成分の信号、即ち、第1信号(第1ベクトルM0)を検出する目的成分信号検出処理を実行する機能部である。
なお、計測信号取得部20および演算処理部30は、上述のようにプログラムを実行することによって実現されるソフトウェア的な機能部としてではなく、信号処理を行う電子回路で構成することとしてもよい。また、第1目的成分信号検出部316と、第2目的成分信号検出部322とを別々の機能部として説明したが、共用の機能部として設計することとしてもよい。
記憶部50は、ICメモリーやハードディスク、光学ディスクなどの記憶媒体により実現され、各種プログラムや、処理部10の演算過程のデータなどの各種データを記憶する。処理部10と記憶部50との接続は、装置内の内部バス回路による接続に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの通信回線で実現してもよい。その場合、記憶部50は、信号検出装置1とは別の外部記憶装置により実現されることとしてもよい。
記憶部50には、検量線作成プログラム510と、濃度測定プログラム520とが記憶されている。検量線作成プログラム510は、サブルーチンプログラムとして、妨害成分特徴量抽出処理を実行するための妨害成分特徴量抽出プログラム512と、検量線を作成するための目的成分信号検出プログラム514とを含む。濃度測定プログラム520は、サブルーチンプログラムとして、濃度測定対象物の濃度を測定するための目的成分信号検出プログラム522を含む。
また、記憶部50は、妨害成分特徴量抽出処理、検量線作成処理、および濃度測定処理の実行時に算出される、妨害成分試料計測信号データ531と、濃度既知試料計測信号データ532と、濃度測定対象物計測信号データ533と、妨害成分特徴量データ541と、目的成分特徴量データ543と、検量線データ545とを記憶する。記憶部50は、これら以外にも各処理の実行時に算出される一時データなどを適宜記憶することができる。
操作部70は、ユーザーによる各種操作入力を受け付け、操作入力に応じた操作入力信号を処理部10へ出力する。操作部70は、例えば、ボタンスイッチやレバースイッチ、ダイヤルスイッチ、トラックパッド、マウス、キーボード、タッチパネルなどにより実現できる。
表示部80は、処理部10による演算結果の表示や、操作手順を示すガイダンス表示などを表示する。表示部80は、例えば、液晶ディスプレイやタッチパネルなどにより実現できる。
通信部90は、信号検出装置1を外部装置と接続して互いにデータをやり取りするための通信機能を実現する。通信形態は有線であってもよいし、無線であってもよい。また、インターネット回線や公衆通信網に接続可能な構成としてもよい。
〔信号検出方法、検量線作成方法、および定量方法〕
<第1実施形態>
次に、第1実施形態に係る信号検出方法、検量線作成方法、および定量方法を説明する。第1実施形態に係る信号検出方法、検量線作成方法、および定量方法は、妨害成分特徴量抽出処理と、検量線作成処理と、濃度測定処理とを含む。
まず、第1実施形態に係る妨害成分特徴量抽出処理について説明する。図3は、第1実施形態に係る妨害成分特徴量抽出処理の流れを示すフローチャートである。図4は、第1実施形態に係る妨害成分特徴量抽出処理で得られたデータを示す図である。詳しくは、図4(a)は妨害成分試料から取得した吸光度スペクトルの一例を示す図であり、図4(b)は独立成分分析処理により取得した妨害単位ベクトルのスペクトルの一例を示す図である。
第1実施形態では、信号検出装置1により、濃度が未知のグルコース水溶液に含まれるグルコース濃度の算出を例として、第1信号の取得方法を説明する。計測対象物のグルコース水溶液は、目的成分(目的物理量)としてのグルコースを1%以下の濃度で含み、妨害成分(妨害物理量)としての水を3%以上となる90%以上の濃度で含む。従って、目的成分のグルコースは微量成分であり、妨害成分の水は高割合成分である。
妨害成分特徴量抽出処理とは、第2信号に係る妨害成分を含み第1信号に係る目的成分を含まない妨害成分試料の計測信号(第2試料信号)から、妨害成分の特徴量を抽出する処理である。本実施形態では、妨害成分試料は、目的成分であるグルコース以外の成分、すなわち高割合成分である水である。妨害成分特徴量抽出処理は、図2に示す検量線作成プログラム510に含まれるサブルーチンプログラムである妨害成分特徴量抽出プログラム512を実行することで実現される。
図3に示すステップS01では、第2信号に係る妨害成分を含み第1信号に係る目的成分を含まない妨害成分試料を複数用意する。妨害成分試料である水は、温度に応じてスペクトルデータ(または特徴量の構成比)が変化するため、温度を変えた複数個(β個、βは2以上の整数)の水を妨害成分試料として用意する。
続いて、ステップS02では、温度の異なるβ個の水のそれぞれの計測信号(第2試料信号)を取得する。ここでは、妨害成分試料である水の計測信号として、吸光度スペクトルを取得する。妨害成分試料の吸光度スペクトルは、図2に示す計測信号取得部20を介して吸光度計測装置6から取得され、記憶部50に妨害成分試料計測信号データ531として記憶される。これを、β個の妨害成分試料の計測が終了するまで繰り返し実行する(ステップS03:NO〜ステップS02)。
全て(β個)の妨害成分試料について計測が終了すると(ステップS03:YES)、その結果、妨害成分試料から妨害成分である水の吸光度スペクトルのデータが得られる。図4(a)に、妨害成分試料(水)から取得した吸光度スペクトルを示す。図4(a)において、横軸は光の波長に対応した測定点(i:1〜α、αは2以上の整数)であり、縦軸は吸光度スペクトルの強度である。
ここでは、一例として、妨害成分試料(水)の水準数(j:1〜β)を、水温が30℃から40℃まで1℃の間隔で11個に設定した。すなわち、j=1が30℃、j=2が31℃、というように、j=β=11となる40℃までの11個の試料を計測した。また、ここでは、測定点(i:1〜α)を波長が800nmから1245nmまで5nmの間隔で90点に設定した。すなわち、β個の試料のそれぞれについて、i=1が波長800nm、i=2が波長805nm、というように、i=α=90となる1245nmまでの90点で測定した。
続いて、図3に示すステップS04では、妨害成分試料(水)から取得した吸光度スペクトルのデータに基づいて、第2試料信号(第2試料ベクトルQj)が形成される。第2試料信号(第2試料ベクトルQj)は、図1の計測信号(計測ベクトルM)に相当し、濃度既知の妨害成分の計測信号である。第2試料ベクトルQjは、測定点i(1≦i≦α)により、数式(4)に示すように、α行1列の列ベクトルで表され、水準数の個数であるβ個形成される。
具体的に、例えば、j番目の水準の第2試料ベクトルQjの一行目の要素Q1jは、j番目の水温におけるi=1の波長800nmの吸光度である。また、例えば、第2試料ベクトルQjのα行目の要素Qαjは、j番目の水温に於けるi=αの波長(今の例では、α=90で波長1245nm)の吸光度である。このように、αβ個の計測データをα行1列の列ベクトルβ個にて表現する。測定されたスペクトルデータから形成された第2試料ベクトルQjは、記憶部50に第2試料信号(妨害成分試料計測信号データ531)として記憶される。
Figure 2016080680
続いて、ステップS05では、ステップS04で取得した第2試料信号(第2試料ベクトルQj)に対して、図2に示す成分分析部314により成分分析処理(多変量解析処理)を行い、ステップS06に示される妨害成分特徴量を取得する。多変量解析処理としては、独立成分分析処理や主成分分析処理などの各種解析処理を用いることができる。これらの中でも、独立成分分析処理は、得られる妨害ベクトルの直交性が強く誤差低減に優れているので、高割合成分の信号を高精度に検出する上で好適である。
ステップS05で第2試料信号(第2試料ベクトルQj)に対して独立成分分析処理を施すことにより、第2試料特徴信号(第2特徴信号)である妨害成分特徴量(妨害単位ベクトルPk)が得られる(ステップS06)。妨害単位ベクトルPk(k=1〜γの整数)はα行1列の列ベクトルであり、γは第2試料ベクトルQjから形成される独立成分の数である。ここでは、独立成分が3つであったので、γ=3である。
図4(b)に、ステップS06で取得した妨害単位ベクトルPkを示す。図4(b)において、横軸は光の波長に対応して800nmから1245nmまで5nmの間隔で90点に設定された妨害単位ベクトルPkの各要素(i:1〜α)であり、縦軸は吸光度スペクトルの強度である。上述したようにγ=3であるので、妨害成分である水に含まれる3つの独立成分として、第1妨害単位ベクトル(第1妨害成分特徴量)P1と第2妨害単位ベクトル(第2妨害成分特徴量)P2と第3妨害単位ベクトル(第3妨害成分特徴量)P3とが抽出されている。γ個の妨害単位ベクトルPkは、図2に示す記憶部50に妨害成分特徴量データ541として記憶される。
第2試料ベクトルQjは、数式(5)に示すように、妨害単位ベクトルPkの線形和で表される。μkjは係数である。例えば、水温が30℃(j=1)の場合の1水準目の第2試料ベクトルQ1は、数式(6)に示すように、第1妨害単位ベクトルP1と第2妨害単位ベクトルP2と第3妨害単位ベクトルP3との線形和で表される。
Figure 2016080680
Figure 2016080680
以上で、図3に示す妨害成分特徴量抽出処理を終了する。
次に、第1実施形態に係る検量線作成処理について説明する。図5は、第1実施形態に係る検量線作成処理の流れを示すフローチャートである。図6は、第1実施形態に係る検量線作成処理で得られたデータを示す図である。詳しくは、図6(a)は濃度既知試料から取得した吸光度スペクトルの一例を示す図であり、図6(b)は目的成分特徴量のスペクトルの一例を示す図である。図7は、第1実施形態に係る検量線作成処理で作成された検量線の一例を示す図である。図8は、第1実施形態に係る射影演算により得られる直交化基準ベクトルの概念を説明する図である。図12は、独立成分分析だけによる定量化を行った場合の比較データを示す図である。
検量線作成処理は、目的成分の濃度を測定するための検量線を作成する処理である。したがって、後述する濃度測定処理を実行する前に、検量線を予め作成しておく必要がある。また、検量線作成処理を実行する前に、妨害成分特徴量が予め取得されている必要がある。
そこで、まず図5に示すステップS11で、妨害成分特徴量が妨害成分特徴量データ541として記憶されていない場合は(ステップS11:NO)、ステップS12の妨害成分特徴量抽出処理を実行する。図3に示す妨害成分特徴量抽出処理が、ステップS12に相当する。ステップS11にて、妨害成分特徴量が取得され妨害成分特徴量データ541として記憶されていれば(ステップS11:YES)、目的成分の信号を検出する目的成分信号検出処理を行う(ステップS13〜ステップS17)。
ステップS13では、第1信号に係る目的成分の物理量が既知である基準試料を準備する。本実施形態の例では、目的成分はグルコースであり、目的成分の物理量は水溶液中のグルコース濃度である。したがって、基準試料はグルコース濃度が既知の濃度既知試料となる。具体的には、目的成分であるグルコースの濃度が既知であって互いに異なる複数(δ個、δは2以上の整数)の水溶液を濃度既知試料(計測対象物)として用意する。妨害成分である水は、温度に応じてスペクトルデータ(または特徴量の構成比)が変化するため、濃度既知試料として、濃度が異なる試料の他に、温度も変えた複数の試料を用意することが好ましい。
目的成分は濃度1%以下の微量成分であるため、何れの濃度既知試料も、グルコース濃度を1%以下とする。これは生体で計測したいグルコース濃度の範囲が50mg/dlから600mg/dl程度であるためである。血液の比重は水と同程度で1g/ccと考えて差しさわりなく、1dl(1デシリットル)は100gであり、グルコース濃度は1000mg/dl以下なので、グルコース濃度を1%以下とする。
続いて、ステップS14では、濃度既知試料である濃度の異なるδ個のグルコース水溶液のそれぞれの計測信号を取得する。ここでは、濃度既知試料の計測信号として、妨害成分試料の場合と同様に、吸光度スペクトルを取得する。濃度既知試料の吸光度スペクトルは、図2に示す計測信号取得部20を介して吸光度計測装置6から取得され、記憶部50に濃度既知試料計測信号データ532として記憶される。これを、δ個の濃度既知試料の計測が終了するまで繰り返し実行する(ステップS15:NO〜ステップS14)。
全て(δ個)の濃度既知試料について計測が終了すると(ステップS15:YES)、その結果、濃度既知試料であるグルコース水溶液の吸光度スペクトルのデータが得られる。図6(a)に、濃度既知試料(グルコース水溶液)から取得した吸光度スペクトルを示す。図6(a)において、横軸は光の波長に対応した測定点(i:1〜α)であり、縦軸は吸光度である。
ここでは、グルコース水溶液の水準数δを、濃度が25mg/dlから700mg/dlまで25mg/dlの間隔で28個に設定した。すなわち、g=1が濃度25mg/dl、g=2が濃度50mg/dl、というように、g=δ=28となる700mg/dlまでの28個の試料を計測した。図6(a)では、濃度が異なる28個のグルコース水溶液の吸光度スペクトルが重ねて描画されている。測定点(i:1〜α)は、波長が800nmから1245nmまで5nmの間隔で90点に設定されている。
続いて、図5に示すステップS16では、濃度既知試料(グルコース水溶液)から取得した吸光度スペクトルのデータに基づいて、目的成分の基準ベクトルRg(g:1〜δ)を取得する。基準ベクトルRgは、δ=28個の濃度既知試料のそれぞれについて得られる。基準ベクトルRgは、測定点i(1≦i≦α)と水準数g(1≦g≦δ)とにより、数式(7)に示すように、α行1列の列ベクトルがδ個で表される。取得した基準ベクトルRgは、図2に示す記憶部50に濃度既知試料計測信号データ532として記憶される。
Figure 2016080680
続いて、ステップS17では、濃度既知試料の計測信号(即ち、基準ベクトルRg)を、妨害成分である水の信号に直交する直交処理(直交演算)を行う。第1実施形態では、直交演算として射影演算を用いる。図8に示すように、濃度既知試料の計測信号(基準ベクトルRg)を、γ個の妨害単位ベクトルの全体に対して直交化したものを目的成分の直交化基準ベクトルSgとし、この直交化基準ベクトルSgの大きさ(直交化基準ベクトルSgの絶対値)が濃度に対応する。先の例では、妨害単位ベクトルPkはγ=3個であったが、図8では、概念だけを判り易く説明するために、妨害単位ベクトルPkは、妨害単位ベクトルP1と妨害単位ベクトルP2との2個だけが描かれている。
第1実施形態では、濃度既知試料の計測信号(基準ベクトルRg)を、第2試料特徴信号(第2特徴信号、妨害単位ベクトルPk)によって張られる直交部分空間に射影する射影演算を行って、目的成分の直交化基準ベクトルSgを求める。目的成分の直交化基準ベクトルSgは、数式(8)で求められる。
Figure 2016080680
数式(8)において、Eはα行α列の単位行列であり、数式(9)で表される。なお、δijはデルタ関数である。
Figure 2016080680
また、数式(8)において、Pはα行γ列の妨害行列であり、数式(10)で表されるように、γ個の妨害単位ベクトルPkによって張られる空間である。
Figure 2016080680
また、数式(8)において、P+は妨害行列Pの疑似逆行列であり、数式(11)で求められる。
Figure 2016080680
数式(11)において、PTは妨害行列Pの転置行列であり、数式(12)で求められる。なお転置行列PTは、γ行α列の行列となる。
Figure 2016080680
これら数式(8)に示される射影演算を行うことで、基準ベクトルRgを第2試料特徴信号(第2特徴信号、妨害単位ベクトルPk)によって張られる直交部分空間に射影して、直交化基準ベクトルSgが得られる。直交化基準ベクトルSgは、δ=28個の濃度既知試料のそれぞれについて得られる。直交化基準ベクトルSgは、妨害単位ベクトルPkに直交しているので、妨害成分はほとんど含まれていない。
直交化基準ベクトルSgは、測定点i(1≦i≦α)と水準数g(1≦g≦δ)とにより、数式(13)に示すように、δ個のα行1列の列ベクトルで表される。取得された直交化基準ベクトルSgは、図2に示す記憶部50に濃度既知試料計測信号データ532として記憶される。
Figure 2016080680
なお、目的成分信号検出処理(ステップS13〜ステップS17)は、図2に示す第1目的成分信号検出部316により、検量線作成プログラム510のサブルーチンプログラムである目的成分信号検出プログラム514に従って実行される。
続いて、図5に示すステップS18では、直交処理(射影演算)によって取得した目的成分の直交化基準ベクトルSgに対して、図2に示す成分分析部314により成分分析処理(多変量解析処理)を行う。多変量解析処理としては、独立成分分析処理や主成分分析処理などの各種解析処理を用いることができるが、本実施形態では独立成分分析処理を施した。ステップS18で直交化基準ベクトルSgに対して成分分析処理を施すことにより、目的成分特徴量(第1信号の単位信号である目的単位ベクトルI)が得られる(ステップS19)。
目的単位ベクトルIは、各妨害単位ベクトルPkが互いに直交していない場合であっても、妨害単位ベクトルPkの全体が張る空間(図1の例では、第1妨害単位ベクトルP1と第2妨害単位ベクトルP2とで定まる平面)に対して、直交している。目的成分(グルコース)は1つであるため、成分分析処理によって抽出される目的成分特徴量も1つである。目的単位ベクトルIは、測定点i(1≦i≦α)に対応して、数式(14)に示すように、α行1列の列ベクトルで表される。
Figure 2016080680
図6(b)に、ステップS19で得られた目的成分特徴量(目的単位ベクトルI)のスペクトルの一例を示す。図6(b)において、横軸は光の波長に対応した測定点(i:1〜α)に対応し、縦軸はスペクトル強度である。取得した目的単位ベクトルIは、図2に示す記憶部50に目的成分特徴量データ543として記憶される。
続いて、図5に示すステップS20では、図2に示す検量線作成部310により、数式(15)に示すように、直交化基準ベクトルSgと目的単位ベクトルIとの内積を取る内積計算を行う。直交化基準ベクトルSgは数式(13)に示すようにα行1列の列ベクトルで表されるが、その転置行列である1行α列の行ベクトルと、数式(14)に示すようにα行1列の列ベクトルで表される目的単位ベクトルIとの内積を計算する。この内積計算により、直交化基準ベクトルSgの大きさがスカラー量として定まる。
Figure 2016080680
グルコース水溶液の濃度に対応する各水準(gは1〜δの整数、今の例ではδ=28)のそれぞれについて数式(15)のように計算することで、表1に示すように、各水準の内積値が得られる。例えば、濃度既知試料(グルコース水溶液)の濃度が25mg/dlであるg=1の場合の内積値は、数式(16)のように計算される。
Figure 2016080680
Figure 2016080680
続いて、図5に示すステップS21では、目的成分の物理量(この例では既知のグルコース濃度)とステップS20で得られた内積値との関係を示す検量線を、図2に示す検量線作成部310により作成する。ステップS21で作成された検量線は、図2に示す記憶部50に検量線データ545として記憶される。図7に、ステップS21で作成された検量線の一例を示す。
図7において、横軸は表1のグルコース濃度であり、縦軸は表1の内積値である。ひし形、四角、三角や丸などで示された各点は得られた検量線データを示し、これらの検量線データに対する近似直線も描かれている。近似直線は最小二乗法によって得られ、図7には得られた近似直線の数式と寄与率R2とが記載されている。寄与率R2とは、相関係数Rの二乗である。
図7に示すように、検量線データは近似直線上に乗り、近似直線の数式の切片は誤差範囲で原点を通っており、寄与率R2=1となっている。これにより、本実施形態で得られた検量線データは、濃度既知試料の温度に係らず、濃度と内積値とが極めて強い正の相関を示していることが分かる。このことは、本実施形態による目的成分の物理量の定量方法が極めて高精度であることを物語っている。したがって、ステップS21で得られた検量線も極めて高精度であり、本実施形態の検量線を用いれば、目的成分の物理量が未知の計測対象物に対しても、高精度に目的物理量を定量できることになる。
比較例として、濃度既知試料の吸光度スペクトルを独立成分分析の手法を用いて定量化した場合の結果を図12(a)に示す。図12(a)に示す例では、J1〜J4の4つの成分が抽出され、各成分のスペクトルが算出されている。J1〜J4のうち、目的成分であるグルコースに近い波形を示した成分J2のスペクトルを目的成分特徴量データと仮定し、検量線を作成するために成分J2と基準ベクトルRgとの内積値を算出してプロットした図が図12(b)である。図12(b)に示すように、独立成分分析の手法を用いて定量化した場合では、プロットを通る直線を描けず、検量線の作成は不可能である。これは、独立成分分析では、微量の目的成分を独立に分離できないことを示している。
同時に、本実施形態に記載されているように、基準ベクトルRgを第2特徴信号(妨害単位ベクトルPkの全体によって張られる直交部分空間)に直交化させる演算を行って、目的成分の直交化基準ベクトルSgを求め、この直交化基準ベクトルSgから目的単位ベクトルIを求め、基準ベクトルRgと目的単位ベクトルIとの内積計算を取る方法が、微量成分の定量に極めて優れていることを物語っている。
次に、第1実施形態に係る濃度測定処理について説明する。図9は、第1実施形態に係る濃度測定処理の流れを示すフローチャートである。濃度測定処理は、濃度が未知の計測対象試料から微量成分である目的成分の濃度を測定する処理である。濃度測定処理では、目的成分の濃度を測定するための検量線を参照する。したがって、濃度測定処理を実行する前に、予め上述の検量線作成処理を実行して検量線を作成しておく必要がある。
図9に示すステップS31〜ステップS34は、濃度が未知の計測対象試料から目的成分の信号を検出する目的成分信号検出処理を行うステップである。まず、ステップS31では、濃度が未知の計測対象試料を用意する。本実施形態では、目的成分であるグルコースの濃度が未知の水溶液を計測対象試料として用意する。
続いて、ステップS32では、計測対象試料(濃度が未知のグルコース水溶液)の計測信号を取得する。計測信号としては、濃度既知試料の場合と同様に、計測対象試料の吸光度スペクトルを取得する。計測対象試料には、目的成分であるグルコースと、妨害成分である水とが含まれている。したがって、計測信号は、目的成分の信号(第1信号)と妨害成分の信号(第2信号)とを含んでいる。計測対象試料の吸光度スペクトルは、図2に示す計測信号取得部20を介して吸光度計測装置6から取得され、記憶部50に濃度測定対象物計測信号データ533として記憶される。
続いて、ステップS33では、図2に示す第2目的成分信号検出部322により、計測対象試料(濃度が未知のグルコース水溶液)から取得した吸光度スペクトルのデータに基づいて計測ベクトルMを取得する。計測ベクトルMは、測定点i(1≦i≦α)により、数式(17)に示すように、α行1列の列ベクトルで表される。
Figure 2016080680
続いて、ステップS34では、図2に示す第2目的成分信号検出部322により、計測対象試料(濃度が未知のグルコース水溶液)の計測信号を、妨害成分である水の信号に直交化させる直交処理(直交演算)を行う。ここでは、検量線作成処理におけるステップS17と同様に、直交演算として、第2特徴信号(妨害単位ベクトルPkの全体によって張られる直交部分空間)に直交化させる射影演算を用いる。
図1に示すように、計測対象試料の計測信号(計測ベクトルM)は、目的成分の第1信号(第1ベクトルM0)と、妨害成分のγ個の妨害成分特徴量(γ個の妨害単位ベクトル、図1の例では第1妨害単位ベクトルP1と第2妨害単位ベクトルP2)との線形和として表現されている。
そこで、計測対象試料の計測信号(計測ベクトルM)を、第2信号(妨害単位ベクトルPk)によって張られる直交部分空間に直交化させる射影演算を行って、目的成分の第1信号(第1ベクトルM0)を求める。目的成分の第1信号(第1ベクトルM0)は、数式(18)で求められる。数式(18)において、E、Pはそれぞれ上述の数式(9)、数式(10)で表され、P+は、上述の数式(11)および数式(12)にて表されている。
Figure 2016080680
これにより、計測対象試料の計測信号(計測ベクトルM)から目的成分の第1信号(第1ベクトルM0)を取得する(ステップS35)。第1ベクトルM0は、各妨害単位ベクトルPkが互いに直交していない場合であっても、γ個の妨害単位ベクトル全体が張る空間(図1の例では、第1妨害単位ベクトルP1と第2妨害単位ベクトルP2とで定まる平面)に対しては、直交している。なお、ここで算出される目的成分の第1信号(第1ベクトルM0)は、波長毎の強度を示すスペクトルデータとなる。
続いて、ステップS36では、図2に示す濃度測定部320により、数式(19)に示すように、ステップS35で取得した目的成分の第1ベクトルM0と、図2に示す記憶部50に目的成分特徴量データ543として記憶された目的単位ベクトルIとの内積を取る内積計算を行う。この内積計算により、図1に示すように、第1ベクトルM0の絶対値がスカラー量m0として求められる。
Figure 2016080680
次に、ステップS37では、図2に示す濃度測定部320により、ステップS36で得られた内積値m0に対応する濃度を、記憶部に記憶された検量線データ545(図7に示す検量線)と照合して、計測対象試料のグルコース濃度を判定する(ステップS38)。より具体的には、図7に示す検量線において、ステップS36で算出した内積値を縦軸の値としたときの横軸の値が求めるグルコース濃度となる。これにより、計測対象試料に含まれる目的成分であるグルコースの濃度を測定できる。
以上説明したように、第1実施形態に係る信号検出装置1と、信号検出方法、検量線作成方法、および定量方法とによれば、計測対象物に含まれる目的成分であるグルコースに係る第1信号(第1ベクトルM0)を、計測対象物を計測した計測信号(計測ベクトルM)から高精度に検出することができる。また、目的成分特徴量(目的単位ベクトルI)の検出を利用して、検量線を正確に作成することができる。このため、計測対象物に微量成分として含まれる目的成分の濃度を正確に測定することが可能となる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、信号検出装置1の構成は第1実施形態と同じであり、信号検出方法、検量線作成方法、および定量方法は、検量線作成処理および濃度測定処理における直交演算としてグラム・シュミットの直交化法を用いる点が異なる以外は、第1実施形態とほぼ同じである。ここでは、第2の実施形態に係る直交演算の方法について、第1の実施形態との相違点を説明する。
第2実施形態の検量線作成処理においては、図5に示すステップS17の直交処理において、濃度既知試料の基準ベクトルRgを妨害単位ベクトルPkによって張られる直交部分空間に射影する射影演算を行う代わりに、濃度既知試料の基準ベクトルRgに対して妨害単位ベクトルPkを用いたグラム・シュミットの直交化法を適応する。
第2実施形態では、妨害成分特徴量抽出処理で抽出された妨害成分特徴量(図4(b)に示す妨害単位ベクトルPk)を順次直交化させて、中間ベクトルWkを形成する。k(k=1〜γ)は、第1実施形態と同様に、妨害単位ベクトルの数である。第1妨害単位ベクトルP1からグラム・シュミットの直交化法で得られる第1中間ベクトルW1は数式(20)で表される。
Figure 2016080680
そして、第1中間ベクトルW1に対して第2妨害単位ベクトルP2に対応する第2中間ベクトルW2を直交化させ、第1中間ベクトルW1と第2中間ベクトルW2とに対して第3妨害単位ベクトルP3に対応する第3中間ベクトルW3を直交化させる、というように順次直交化させる。したがって、各中間ベクトルWkは互いに直交している。妨害単位ベクトルPtに対応する中間ベクトルWt(t=2〜γ)は、数式(21)で表される。
Figure 2016080680
独立成分が3つ(γ=3)の場合を例示すると、数式(21)より、第2中間ベクトルW2は数式(22)で表され、第3中間ベクトルW3は数式(23)で表される。
Figure 2016080680
Figure 2016080680
グラム・シュミットの直交化法では、図5に示すステップS17で得られる直交化基準ベクトルSgは、数式(24)で表される。直交化基準ベクトルSgは、各中間ベクトルWkに対して直交しており、当然ながら、各中間ベクトルWkの線形和に対しても直交化されている。
Figure 2016080680
以降は、第1実施形態と同様に、図5に示すステップS18で直交化基準ベクトルSgに対して成分分析処理(多変量解析処理)を施すことにより、目的成分特徴量(目的単位ベクトルI)が得られる(ステップS19)。各妨害単位ベクトルPkが互いに直交していない場合であっても、各中間ベクトルWkは互いに直交しており、目的単位ベクトルIは、妨害単位ベクトルPkの全体が張る空間(即ち、中間ベクトルWkの全体が張る空間)に対して直交している。
図10は、第2実施形態に係る検量線作成処理で得られたデータを示す図である。図10(a)に、第2実施形態のステップS19で得られた目的成分特徴量(目的単位ベクトルI)のスペクトルを示す。図10(a)において、横軸は光の波長に対応した測定点(i:1〜α)であり、縦軸はスペクトル強度である。図10(a)に示すように、第2実施形態においても図6(b)に示す第1実施形態で得られたスペクトルと同様のスペクトルが得られた。
続いて、図5に示すステップS20で、直交化基準ベクトルSgと目的単位ベクトルIとの内積を取る内積計算を行う。そして、内積計算で得られた内積値に基づいて、検量線を作成する(ステップS21)。
図10(b)に、第2実施形態のステップS21で作成した検量線を示す。図10(b)には、検量線データに対して最小二乗法によって得られた近似直線の数式と寄与率R2とが記載されている。図10(b)に示すように、検量線データは近似直線上に乗り、近似直線の数式の切片は誤差範囲で原点を通っており、寄与率R2=1となっている。したがって、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、極めて高精度な検量線が得られたことが分かる。
次に、第2実施形態の濃度測定処理においては、図9に示すステップS34の直交処理において、妨害単位ベクトルPkによって張られる直交部分空間に計測ベクトルMを射影する射影演算を行う代わりに、計測対象試料の計測ベクトルMに対して妨害単位ベクトルPkを用いたグラム・シュミットの直交化法を適応する。
中間ベクトルWkは、上述の数式(20)〜数式(23)で求められる。ステップS34でグラム・シュミットの直交化法により得られる第1ベクトルM0は、数式(25)で表される。第1ベクトルM0は、各中間ベクトルWkに対して直交している。また、各妨害単位ベクトルPkが互いに直交していない場合であっても、第1ベクトルM0は、γ個の妨害単位ベクトルPkが全体で張る空間に対して直交している。
Figure 2016080680
一例として、妨害単位ベクトルPkの数が3つ(γ=3)の場合の第1ベクトルM0を数式(26)に記載する。
Figure 2016080680
以降は、第1実施形態と同様に、図9に示すステップS35〜ステップS38を実行することにより、計測対象試料に含まれる目的成分であるグルコースの濃度を測定することができる。
以上説明したように、第2実施形態においても、計測対象物に含まれる目的成分であるグルコースに係る第1信号(第1ベクトルM0)を、計測対象物を計測した計測信号(計測ベクトルM)から高精度に検出することができる。また、目的成分特徴量(目的単位ベクトルI)の検出を利用して、検量線を正確に作成することができる。このため、計測対象物に微量成分として含まれる目的成分の濃度を正確に測定することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、信号検出装置の構成と、信号検出方法、検量線作成方法、および定量方法と、は第1実施形態や第2実施形態と同様であるが、その用途が異なっている。
すなわち、第3実施形態では、人間の体液を計測対象物とし、体液中の特定の微量成分の濃度を測定する。体液としては、例えば、血液、リンパ液、組織液、汗、尿などとすることができる。濃度の測定対象となる目的成分(微量成分)としては、体液が血液の場合は血糖やコレステロール、中性脂肪とすることができ、体液が尿の場合は尿酸や糖などとすることができる。
第3実施形態においても、計測対象物に含まれる妨害成分は水とすることができる。よって、妨害成分試料は水である。また、濃度既知試料は、濃度の測定対象となる目的成分の濃度が異なる複数の試料である必要がある。そこで、例えば、日常生活における様々な時間・場所・体調において採取された体液を濃度既知試料とする。
体液に含まれる高割合成分である水は温度によってスペクトルデータ(または特徴量の構成比)が変化する特性を有するため、採取された体液の温度を変化させた複数の濃度既知試料を更に用意することが好ましい。例えば、計測対象物である体液を血液、目的成分を血糖とするのであれば、食事の前後や運動の前後、就寝の前後などの血液を採取し、血糖値を別の測定装置で測定することで濃度既知試料とすることができる。
なお、第3実施形態において、濃度既知試料を、実際に採取した体液としたが、体液を模擬した試料を作成して、これを利用することとしてもよい。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
<変形例1>
上述の実施形態では、信号検出装置1が信号検出装置、検量線作成装置、および計測装置の機能を内包している構成であったが、本発明は上述の実施形態に限られるものではない。妨害成分特徴量抽出処理および検量線作成処理を別途行うのであれば、上述の実施形態の信号検出装置1から信号検出装置および検量線作成装置の機能を省き、濃度測定処理に特化した計測装置を提供することもできる。図11は、変形例1に係る計測装置の構成を説明するブロック図である。
図11に示すように、計測装置2は、処理部10Aと、記憶部50Aと、操作部70と、表示部80と、通信部90とを備えている。処理部10Aは、計測信号取得部20と、演算処理部30Aとを有する。演算処理部30Aは濃度測定部320を有し、上述の実施形態の演算処理部30に対して検量線作成部310が省かれている。記憶部50Aは、濃度測定プログラム520が記憶され、検量線作成プログラム510は省かれている。また、記憶部50Aは、予め取得された妨害成分特徴量データ541(妨害単位ベクトルPk)と目的成分特徴量データ543(目的単位ベクトルI)と検量線データ545とを記憶しており、濃度測定処理の実行時に算出される濃度測定対象物計測信号データ533を記憶する。
計測信号取得部20は、図9に示すステップS32とステップS33とを実行する。第2目的成分信号検出部322は、妨害成分特徴量データ541を用いて、図9に示すステップS34とステップS35とを実行する。濃度測定部320は、目的成分特徴量データ543を用いて図9に示すステップS36を実行した後に、検量線データ545を用いて図9に示すステップS37とステップS38とを実行して、濃度を計測する。計測された濃度は、表示部80に表示され、或いは、通信部90を介して他の電子機器(例えば、スマートフォンやサーバーなどの大規模記憶装置)に転送される。
変形例1に示す計測装置2の構成によれば、計測対象物と、その計測対象物に含まれる目的成分および妨害成分とが特定できる場合に、より低コストで計測対象物に含まれる目的成分の濃度を測定することが可能な装置を提供できる。
<変形例2>
本発明を適用可能な例は、上述の実施形態に限られるものではない。例えば、医薬品の原薬に含まれ得る微量成分である不純物質の濃度或いは量を測定する実施形態や、電波の中に含まれ得る振幅が微小な周波数信号を検出する実施形態、地磁気等の妨害成分の磁気がある環境下で微量成分である人の心磁を検出する実施形態、血液の脈波信号に埋もれた微小な異常振幅信号を検出する実施形態、などにも適用することができる。また、ディスプレイの検査装置として不良画素を検出する際に、画面全体の表示(妨害成分)の中から、不良画素の信号を検出する方法にも適用することができる。さらに、沢山の指紋の中から特定人物の指紋を検出するアルゴリズムにも適用することができる。
<変形例3>
上述の実施形態では、ステップS17およびステップ34の直交処理における直交演算の例として、第1実施形態では射影演算を、第2実施形態ではグラム・シュミットの直交化法を挙げたが、反復法による対称的直交化法など、他の直交化法を用いて直交演算を実現してもよい。
<変形例4>
上述の実施形態では、ステップS05およびステップS18の成分分析処理に独立成分分析を用いたが、成分分析処理は、多変量解析であれば、独立成分分析に限られるものではない。例えば、主成分分析やフーリエ変換等であっても構わない。第1実施形態で詳述したように、妨害成分の全体に対して目的成分が直交化されるので、個々の妨害ベクトルが互いに直交している必要性はない。しかしながら、独立成分分析にて得られる妨害ベクトルは互いに直交性が強いので、誤差低減には独立成分分析が最も優れている。
1…信号検出装置、2…計測装置、6…吸光度計測装置、10,10A…処理部、20…計測信号取得部(取得部)、30,30A…演算処理部(信号処理部)、310…検量線作成部、320…濃度測定部、50,50A…記憶部、510…検量線作成プログラム、520…濃度測定プログラム、531…妨害成分試料計測信号データ、532…濃度既知試料計測信号データ、533…濃度測定対象物計測信号データ、541…妨害成分特徴量データ、543…目的成分特徴量データ、545…検量線データ、70…操作部、80…表示部、90…通信部。

Claims (15)

  1. 第1信号と、前記第1信号とは異なる第2信号と、を含む計測信号を取得する工程と、
    前記計測信号を前記第2信号に対して直交化させる直交演算を行う工程と、
    を含むことを特徴とする信号検出方法。
  2. 前記直交演算には、前記第2信号に係る成分を含み前記第1信号に係る成分を含まない試料を計測した第2試料信号を多変量解析処理して得られる第2特徴信号を用いることを含むことを特徴とする請求項1に記載の信号検出方法。
  3. 前記多変量解析処理は独立成分分析であることを特徴とする請求項2に記載の信号検出方法。
  4. 前記直交演算は、前記第2特徴信号によって張られる空間に直交する空間に前記計測信号を射影させる射影演算であることを特徴とする請求項2または3に記載の信号検出方法。
  5. 前記射影演算は、前記計測信号を計測ベクトルMにて表し、前記第1信号を第1ベクトルM0にて表し、前記第2特徴信号をγ個の妨害単位ベクトルPkにて表し、前記第2特徴信号によって張られる空間を前記妨害単位ベクトルPkから構成される行列Pにて表し、前記行列Pの疑似逆行列をP+にて表し、単位行列をEにて表した際に、数式(1)で表されることを特徴とする請求項4に記載の信号検出方法。
    Figure 2016080680
  6. 前記直交演算は、前記計測信号に対して、前記第2特徴信号を用いたグラム・シュミットの直交化法を適応することを特徴とする請求項2または3に記載の信号検出方法。
  7. 前記グラム・シュミットの直交化法は、前記計測信号を計測ベクトルMにて表し、前記第1信号を第1ベクトルM0にて表し、前記第2特徴信号をγ個の妨害単位ベクトルPkにて表し、γ個の中間ベクトルをWkにて表し、前記中間ベクトルWkの転置ベクトルをWk Tにて表した際に、第1中間ベクトルW1を第1妨害単位ベクトルP1として、数式(2)と数式(3)とで表されることを特徴とする請求項6に記載の信号検出方法。
    Figure 2016080680
    Figure 2016080680
  8. 前記第1信号が前記計測信号に占める割合は、1%以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の信号検出方法。
  9. 前記第1信号に係る物理量が既知である基準試料に対して、請求項1から8のいずれか一項に記載の信号検出方法を実行して得られた前記第1信号と、前記第1信号の単位信号と、の内積値を計算し、前記第1信号に係る物理量と前記内積値との関係を示す検量線を作成することを特徴とする検量線作成方法。
  10. 請求項1から8のいずれか一項に記載の信号検出方法によって得られた前記第1信号と、前記第1信号の単位信号と、の内積値を計算する工程を含むことを特徴とする定量方法。
  11. 前記内積値と検量線とを参照して物理量を定量化する工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の定量方法。
  12. 前記検量線は、請求項9に記載の検量線作成方法にて得られることを特徴とする請求項11に記載の定量方法。
  13. 前記物理量は血液中のグルコース濃度であることを特徴とする請求項11または12に記載の定量方法。
  14. 第1信号に係る成分と、前記第1信号とは異なる第2信号に係る成分と、を含む計測対象物を計測した計測信号を取得する取得部と、
    前記計測信号を前記第2信号に対して直交化させる直交演算を行う演算処理部と、
    を備えたことを特徴とする信号検出装置。
  15. 第1信号に係る成分と、前記第1信号とは異なる第2信号に係る成分と、を含む計測対象物を計測した計測信号を取得する取得部と、
    前記計測信号を前記第2信号に対して直交化させる直交演算を行い、前記直交演算の結果を用いて物理量を定量する演算処理部と、
    を備えたことを特徴とする計測装置。
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