JP2016078549A - 車両停止保持装置およびこれを備える車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単かつ確実に車両の坂道発進を行うことができると共に、走行中の変速時における運転性の低下を確実に防止できる車両停止保持装置を提供する。
【解決手段】自動車1を停車するに際してクラッチペダルCPを踏み込み操作すると、アウター部材64がインナー部材62に係合された状態で、フォーク側フランジ部材52がアウター部材64に摩擦係合されて、カウンタ軸24の回転が抑止されるため、クラッチペダルの踏み込み操作のみで、クラッチの切断と、車両の停止保持を実現できる。一方で、自動車1が走行中に変速操作を行うに際してクラッチペダルCPを踏み込み操作すると、アウター部材64のインナー部材62への係合が解除された状態で、フォーク側フランジ部材52がアウター部材64に摩擦係合されるため、カウンタ軸24の回転が抑止されない。これにより、自動車1が走行中に変速操作を行う度に車軸10の回転が抑止されることを防止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、変速装置によって変速可能な変速比をもって動力源からの動力を車軸に伝達することにより走行する車両を停止状態に保持可能な車両停止保持装置に関する。
従来、この種の車両停止保持装置としては、クラッチペダルの踏み込み操作に対応してブレーキペダルの踏み込みストロークの保持および保持解除を行う保持部材と、クラッチペダルと保持部材との接続および切断を行う断続切替機構とを備える構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この車両停止保持装置では、断続切替機構を操作してクラッチペダルと保持部材とを接続すると、クラッチペダルの踏み込みに伴いブレーキペダルのストロークが保持されると共に、クラッチペダルの踏み込みの解除に伴いブレーキペダルのストロークの保持が解除されるため、車両の坂道発進操作を容易に行うことができる。一方、断続切替機構を操作してクラッチペダルと保持部材との接続を解除すると、クラッチペダルが踏み込まれてもブレーキペダルのストロークが保持されないため、走行中の変速時における運転性の低下を防止することができる。
実公平3−51252号公報
しかしながら、上述した車両停止保持装置は、運転者が断続切替機構の切換え操作を間違えたり、切換え操作を忘れたりすると、坂道発進時に車両が後退したり、走行中の変速時にブレーキが保持された状態が発生することとなり、信頼性という点において、なお改良の余地がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、簡単かつ確実に車両の坂道発進を行うことができると共に、走行中の変速時における運転性の低下を確実に防止できる車両停止保持装置を提供することを目的とする。
本発明の車両停止保持装置およびこれを備える車両は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る車両停止保持装置の好ましい形態によれば、クラッチと、当該クラッチを介して動力源に接続される入力軸と、車軸に接続される駆動軸と、入力軸と駆動軸とを接続可能なギヤ機構と、クラッチの接続および切断を行うクラッチレリーズレバー部材と、から構成され、変速可能な変速比をもって動力源からの動力を車軸に伝達する変速装置を備える車両を、停止状態に保持可能な車両停止保持装置が構成される。当該車両停止保持装置は、駆動軸の回転数が所定回転数よりも小さいときには、クラッチレリーズレバー部材のクラッチを切断する方向への作動に応じて、駆動軸の回転を抑止するとともに、クラッチレリーズレバー部材のクラッチを接続する方向への作動に応じて、駆動軸の回転抑止動作を解除し、駆動軸の回転数が所定回転数以上の場合には、クラッチレリーズレバー部材がクラッチを切断する方向へ作動されても駆動軸の回転を許容するよう構成されている。
本発明における「回転を抑止する」態様としては、駆動軸が回転していないときには、当該回転停止状態を保持する態様が該当し、駆動軸が回転しているときには、当該回転を停止させつつ停止状態を保持する態様を包含する。する本発明における「車軸に接続された駆動軸」とは、駆動軸が車軸に直接的に接続される態様の他、駆動軸が車軸に間接的に接続される態様を好適に包含する。なお、駆動軸が車軸に間接的に接続される態様としては、例えば、駆動軸が副軸やプロペラシャフトなどの他の部材を介して車軸に接続される態様が考えられる。また、本発明における「所定回転数」は、単一の回転数値として設定される態様の他、所定の幅を持った回転数領域として設定される態様を好適に包含する。
本発明によれば、駆動軸の回転数が所定回転数よりも小さいとき、具体的には、車両が停止ないし停止直前の状態であるときには、クラッチの切断操作に応じて駆動軸の回転が抑止されると共に、クラッチの接続操作に応じて駆動軸の回転抑止動作が解除される構成であるため、クラッチの操作のみによって車両の停止状態の保持および保持解除を行うことができる。これにより、車両を坂道発進させる際には、クラッチを切断状態から接続状態に操作しながらアクセル操作するのみという簡単な操作で、車両を後退させることなく確実に発進させることができる。一方、駆動軸の回転数が所定回転数以上のとき、具体的には、車両が走行中のときには、クラッチを切断操作しても駆動軸の回転が許容される構成であるため、車両の走行中における変速操作に伴うクラッチの切断操作の度に駆動軸の回転が抑止されることを確実に防止できる。これにより、走行中の変速時における運転性の低下を確実に防止できる。
本発明に係る車両停止保持装置の更なる形態によれば、クラッチレリーズレバー部材に取り付け固定された第1部材と、第1部材に対向するよう駆動軸に取り付け固定された第2部材と、第1部材と第2部材との間に配置され第1部材と第2部材との接続および接続の解除を行う第3部材と、を備えている。そして、第3部材は、クラッチレリーズレバー部材のクラッチを切断する方向への作動に応じて第1部材と係合し、クラッチレリーズレバー部材のクラッチを接続する方向への作動に応じて第1部材との係合が解除されよう構成されている。また、第3部材は、駆動軸の回転数が所定回転数よりも小さいときには第2部材と係合し、駆動軸の回転数が所定回転数以上のときには第2部材との係合が解除されるよう構成されている。
本形態によれば、クラッチレリーズレバー部材に取り付け固定された第1部材と、駆動軸に取り付け固定された第2部材と、クラッチレリーズレバー部材の作動に応じて第1部材に係合および係合解除されると共に、駆動軸の回転数に応じて第2部材に係合および係合解除される第3部材と、を備えるのみという簡易な構成でありながら、確実に車両の坂道発進を行うことができると共に、走行中の変速時における運転性の低下を確実に防止することができる。
本発明に係る車両停止保持装置の更なる形態によれば、第2部材は、軸状部材として構成されており、軸方向一端側が第1部材に対向するよう軸方向他端側が駆動軸の先端部に取り付け固定されている。また、第2部材の軸方向一端側の外周面には、凹部が形成されている。さらに、第3部材は、第2部材の前記軸方向一端側の少なくとも一部を覆うように当該軸方向一端側の外周面に配置される円筒状本体部と、当該円筒状本体部の内周面から出没して凹部と係合可能な係合部を有する係合部材と、係合部を円筒状本体部の内周面から突出する方向に付勢する付勢部材と、を備えている。付勢部材の付勢力は、駆動軸の回転数が所定回転数よりも小さい領域では、駆動軸の回転に起因する係合部材の遠心力よりも大きく、駆動軸の回転数が所定回転数以上となる領域では、当該遠心力よりも小さくなるように構成されている。そして、円筒状本体部に対向する第1部材の面と、第1部材に対向する円筒状本体部の面とを当接させることにより、第1部材と第3部材とが係合されるよう構成されている。付勢部材は、典型的には、コイルスプリングや板バネなどのバネ部材がこれに該当するが、ゴムなどの弾性部材を好適に包含する。
本形態によれば、付勢部材の付勢力によって係合部材の係合部を凹部に係合保持することで第2部材と第3部材との係合を行い、駆動軸の回転に起因する遠心力によって付勢力に抗して係合部の凹部に対する係合を解除することで第2部材と第3部材との係合を解除する構成であるため、付勢部材の荷重特性を変更することによって、第2部材と第3部材との係合および係合解除を切り替える駆動軸の回転数を容易に調整することができる。また、第1部材と第3部材とは、互いに対向する面を当接させるのみという非常に簡易な構成で、互いに係合させることができる。
本発明に係る車両停止保持装置の更なる形態によれば、凹部は、第2部材の軸方向一端側の外周面に複数設けられている。
本形態によれば、複数の係合部材の係合部と複数の凹部とが係合する構成であるため、駆動軸の回転をより確実に抑止することができる。
本発明に係る車両停止保持装置の更なる形態によれば、凹部は、第2部材の軸方向一端側の外周面に周方向に沿って複数設けられている。
本形態によれば、係合部材の係合部が、第2部材の外周面に周方向に沿って設けられた複数の凹部のいずれかと係合可能な構成であるため、駆動軸の回転数が所定回転数よりも小さくなった際に、係合部材の係合部を凹部に迅速に係合させることができる。即ち、駆動軸の回転数が所定回転数よりも小さくなった際に、第2部材と第3部材との係合を迅速に行うことができる。これにより、車両が停車した際における停止保持状態を迅速に達成することができる。
本発明に係る車両停止保持装置の更なる形態によれば、凹部は、周方向に均等配置されている。
本形態によれば、係合部材の係合部と凹部との係合確率を、駆動軸の回転位置(回転角度)によらず均一なものとすることができる。これにより、車両が坂道で停車した場合における車両停止保持状態完了までの時間を、停車時における車軸の回転位置(回転角度)によらず均一なものとすることができる。
本発明に係る車両停止保持装置の更なる形態によれば、係合部材は、凹部の数に対応した数だけ設けられている。
本形態によれば、複数の係合部材の係合部と複数の凹部とが係合する構成であるため、駆動軸の回転をより確実に抑止することができる。
本発明に係る車両停止保持装置の更なる形態によれば、係合部材は、長手方向一端部に係合部を有すると共に、長手方向他端部が円筒状本体部に揺動自在に取り付けられた揺動レバー部材として構成されている。
本形態によれば、係合部材が、揺動支点となる長手方向他端部よりも、係合部を有する長手方向一端部の方が重量が大きい構成となるため、駆動軸の回転に起因する遠心力に対して係合部材が揺動し易いものとなる。したがって、係合部の凹部への係合と係合解除とを切り替え易いものとなる。また、揺動支点と係合部との距離や係合部の重量を変更するのみで係合部材の揺動し易さを変更できるため、係合部の凹部への係合および係合解除を切り替える駆動軸の回転数(所定回転数)を調整し易いものとなる。
本発明に係る車両停止保持装置の更なる形態によれば、長手方向一端部に係合部を有すると共に、長手方向他端部に付勢部材からの付勢力を受ける受け部を有する円柱状駒部材として構成されている。
本形態によれば、係合部の軸線上において付勢部材の付勢力を作用させることができるため、係合部の凹部への係合を確実に保持することができる。
本発明に係る車両停止保持装置の更なる形態によれば、円筒状本体部に対向する第1部材の面および第1部材に対向する円筒状本体部の面には、それぞれ摩擦材が設けられている。そして、第1部材および第3部材は、摩擦材同士の当接により摩擦係合するよう構成されている。
本形態によれば、第1部材および第3部材の摩擦材同士を当接させることによる摩擦係合という簡単な構成で、第1部材と第3部材とを係合させることができる。
本発明に係る車両の好ましい形態によれば、動力源としてのエンジンからの動力を変速可能な変速比をもって車軸に伝達することにより走行する車両が構成される。当該車両では、上述したいずれかの態様の本発明に係る車両停止保持装置を用いて車両の停止状態を保持可能なように構成されている。
本発明によれば、上述したいずれかの態様の本発明に係る車両停止保持装置を備えるから、本発明の車両停止保持装置が奏する効果と同様の効果、例えば、簡単かつ確実に車両の坂道発進を行うことができると共に、走行中の変速時における運転性の低下を確実に防止できる効果などを奏することができる。
本発明によれば、簡単かつ確実に車両の坂道発進を行うことができると共に、走行中の変速時における運転性の低下を確実に防止できる。
本発明の実施の形態に係る車両停止保持装置50を搭載した自動車1の構成の概略を示す構成図である。 変速機4の構成の概略を示す断面図である。 クラッチレリーズフォーク32の正面図である。 クラッチレリーズフォーク32の側面図である。 フォーク側フランジ部材52の側面図である。 フォーク側フランジ部材52を矢印V側から見た正面図である。 フォーク側フランジ部材52の摩擦材55の正面図である。 フォーク側フランジ部材52がクラッチレリーズフォーク32に取り付けられた状態を示す説明図である。 軸側フランジ部材54の分解斜視図である。 一部が断面図で示された軸側フランジ部材54の正面図である。 軸側フランジ部材54のX−X断面図である。 軸側フランジ部材54のY−Y断面図である。 軸側フランジ部材54がカウンタ軸24に取り付けられた状態を示す説明図である。 第2実施例の車両停止保持装置500の一部を断面で示した正面図である。 駒部材740の外観図である。 本発明の変形例に係る車両停止保持装置500を搭載した自動車100の構成の概略を示す構成図である。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
本発明の実施の形態に係る車両停止保持装置50を搭載した自動車1は、図1に示すように、縦置きされたエンジン2と、エンジン2に接続された変速機4と、クラッチCLに接続されたクラッチ作動機構30と、変速機4にプロペラシャフト6およびディファレンシャル装置8を介して接続された車軸10と、車軸10に取り付けられた車輪12と、後述する変速機4の変速機ケース14内に収容された本発明の実施の形態に係る車両停止保持装置50と、を備える。自動車1は、本発明における「車両」に対応する実施構成の一例である。また、変速機4は、本発明における「変速装置」に対応する実施構成の一例である。
エンジン2は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料を燃焼爆発させることにより、図示しないピストンを復運動させると共に、当該ピストンの往復運動を図示しないクランクシャフトによって回転運動させることによって、動力を出力する内燃機関として構成されている。
変速機4は、フロントエンジンリアドライブ(FR)型の変速機として構成されており、図2に示すように、エンジン2のクランクシャフト(図示せず)にクラッチCLを介して接続される入力軸22と、入力軸22に平行配置されたカウンタ軸24と、入力軸22に同軸状に配置された出力軸26と、入力軸22とカウンタ軸24および出力軸26およびカウンタ軸24と出力軸26を接続するギヤ機構GMと、これらを収容する変速機ケース14と、を備える。カウンタ軸24は、本発明における「駆動軸」に対応する実施構成の一例である。
カウンタ軸24のクラッチCLが配置された側(図2の左側)の先端部には、図2に示すように、スプライン凹条を有するスプライン孔24aが形成されている。カウンタ軸24は、ギヤ機構GM(後述する出力駆動ギヤOGおよび出力被駆動ギヤOG’)、出力軸26、プロペラシャフト6およびディファレンシャル装置8を介して車軸10に接続されている。
ギヤ機構GMは、図2に示すように、主に、入力軸22上に固定ないし遊転配置された複数の駆動ギヤGと、カウンタ軸24上に固定ないし遊転配置されると共に駆動ギヤGと噛み合う複数の被駆動ギヤG’と、カウンタ軸24上に固定配置された出力駆動ギヤOGと、出力軸26上に固定配置されると共に出力駆動ギヤOGと噛み合う出力被駆動ギヤOG’と、入力軸22ないしカウンタ軸24上に遊転配置された駆動ギヤGないし被駆動ギヤG’を入力軸22ないしカウンタ軸24上に選択的に固定可能な複数のシンクロ機構Sと、から構成されている。
なお、シンクロ機構Sの1つは、入力軸22と出力軸26とを直結するためにも用いられる。ギヤ機構GMは、エンジン2のクランクシャフト(図示せず)からクラッチCLを介して入力軸22に入力された動力を、駆動ギヤGと被駆動ギヤG’の噛み合いにより構成されるギヤ比をもって変速して出力軸26に出力する。
クラッチ作動機構30は、図1に示すように、軸方向一端部がクラッチCLに接続されると共に軸方向摺動可能に入力軸22上に配置されたレリーズベアリングRBと、一端が当該レリーズベアリングRBに接続されると共に、他端が変速機ケース14の外部に突出するように配置されたクラッチレリーズフォーク32と、クラッチペダルCPと、クラッチペダルCPに接続されたマスタシリンダ34と、クラッチレリーズフォーク32の他端部と当接するプッシュロッド36aを有するクラッチレリーズシリンダ36と、マスタシリンダ34とクラッチレリーズシリンダ36とを油圧接続するフレキシブルホース38と、を備える。クラッチレリーズフォーク32は、本発明における「クラッチレリーズレバー部材」に対応する実施構成の一例である。
クラッチ作動機構30は、クラッチペダルCPの踏み込みに応じた油圧をマスタシリンダ34により発生させ、当該発生された油圧をフレキシブルホース38を介してクラッチレリーズシリンダ36に伝達させる。そして、当該伝達された油圧によってプッシュロッド36aを駆動することにより、クラッチレリーズフォーク32を揺動させる。
これにより、レリーズベアリングRBがクラッチCL側(図1における左側)に軸方向移動して、クラッチCLが切断状態となる。なお、クラッチペダルCPの踏み込み操作が解除されると、油圧の低下とともに各部(例えば、クラッチレリーズフォーク32やクラッチレリーズシリンダ36)に設けたリターンスプリングのスプリング力により、クラッチレリーズフォーク32が、初期状態、即ち、クラッチペダルCPを踏み込む前の状態に戻り、これにより、クラッチCLが接続状態となる。
クラッチレリーズフォーク32は、図3に示すように、長尺状のレバー部材として構成されており、長尺方向の一端部(図3における上側)に二股状に形成されたフォーク部32aと、当該フォーク部32aから長尺方向他端部(図3における下側)に向かって延出する桿状部32bと、を備える。
クラッチレリーズフォーク32は、図4に示すように、桿状部32bにおけるフォーク部32aとの接続部132を支点とした揺動が可能なように、変速機ケース14に固定されたフォークサポート39によって支持されている。
フォーク部32aは、図3に示すように、2本のアーム42を有し、当該2本のアーム42の間でレリーズベアリングRBを挟むように保持する。フォーク部32aとレリーズベアリングRBとは、例えば、クリップ(図示せず)などを用いて2本のアーム42とレリーズベアリングRBのアウターレースとを係止することにより結合される。
桿状部32bは、図3および図4に示すように、長尺方向一端部、即ち、フォーク部32aとの接続部132および長尺方向他端部それぞれに半球状凹部44,46が形成されている。半球状凹部44は、フォークサポート39の凸球面部39aが摺動する摺動面を構成する。また、半球状凹部46は、クラッチレリーズシリンダ36のプッシュロッド36aの先端部が摺動する摺動面を構成する。
半球状凹部44および半球状凹部46は、それぞれ、開口が互いに反対方向を向くように形成されている。即ち、半球状凹部44は、開口がギヤ機構GM側(図1における右側、図4における左側)を向くように桿状部32bに形成され、半球状凹部46は、開口がクラッチCL側(図1における左側、図4における右側)を向くように桿状部32bに形成されている。
また、桿状部32bのうち半球状凹部44と半球状凹部46とが形成された部分の中間に相当する位置には、図3および図4に示すように、段付き孔48が形成されている。段付き孔48は、図4に示すように、半球状凹部44の開口が向く方向寄り(図4の左側)に形成された大径孔48aと、半球状凹部46の開口が向く方向寄り(図4の右側)に形成された小径孔48bと、から構成されている。大径孔48aには、キー溝49が形成されている。
本実施の形態に係る車両停止保持装置50は、図2に示すように、クラッチレリーズフォーク32側に取り付け固定されたフォーク側フランジ部材52と、カウンタ軸24側に取り付け固定された軸側フランジ部材54と、から構成されている。フォーク側フランジ部材52は、本発明における「第1部材」に対応し、軸側フランジ部材54は、本発明における「第2部材」および「第3部材」に対応する実施構成の一例である。
フォーク側フランジ部材52は、図5に示すように、段付き形状に形成された段付き円柱部材として構成されており、小径部52aと、中径部52bと、大径部52cとを備える。小径部52aの外周面には、図5および図6に示すように、キー溝53が形成されている。
また、小径部52aの中径部52bが接続された端面とは軸方向において反対側の端面152aの中心には、ねじ孔154が形成されている。大径部52cの中径部52bが接続された端面とは軸方向において反対側の端面152cは、図5に示すように、小径部52aのキー溝53が形成された周方向位置に対応する周方向位置152c1から、当該周方向位置152c1と周方向において対向する周方向位置152c2に向かって下り傾斜となる傾斜面となるように構成されている。
即ち、端面152cは、周方向位置152c1における軸方向長さが最も長く、当該周方向位置152c1から周方向位置152c2に向かうに伴って軸方向長さが漸減する傾斜面となるよう構成されている。ここで、詳細は後述するが、フォーク側フランジ部材52は、クラッチレリーズフォーク32に取り付けられて、クラッチレリーズフォーク32の揺動と共に揺動しながら軸側フランジ部材54側に接近する。
端面152cの傾斜角度は、フォーク側フランジ部材52が揺動しながら軸側フランジ部材54に接近して当接する際に、軸側フランジ部材54の軸線に対して直角となるような値に設定されている。また、端面152cには、摩擦材55が貼り付けられている。摩擦材55は、図7に示すように、円環状に形成されている。
フォーク側フランジ部材52は、図8に示すように、小径部52aがクラッチレリーズフォーク32における桿状部32bに形成された段付き孔48の大径孔48aに挿入された状態で、クラッチレリーズフォーク32に取り付け固定される。
具体的には、フォーク側フランジ部材52は、段付き孔48の小径孔48bから挿入されるボルトBLTを、小径部52aの端面152aに形成されたねじ孔154にねじ係合させることによって、クラッチレリーズフォーク32に締め付け固定される。ここで、キー溝53とキー溝49との間には、キー部材58が介在されており、これにより、フォーク側フランジ部材52のクラッチレリーズフォーク32に対する相対回転が防止されている。
なお、中径部52bにおける小径部52aが接続される側の端面152bが、クラッチレリーズフォーク32の側面に当接することによって、フォーク側フランジ部材52のクラッチレリーズフォーク32に対する軸方向における位置決めがなされる。
軸側フランジ部材54は、図9に示すように、インナー部材62と、アウター部材64と、から構成されている。インナー部材62は、スプライン軸部162と、フランジ部164と、カム軸部166と、を備える。
スプライン軸部162の外周面にはスプライン突条が形成されている。フランジ部164は、スプライン軸部162およびカム軸部166の外周面よりも径方向外方に張り出す外周面を有している。カム軸部166は、図9および図10に示すように、外周面に複数のカム凹部166aが形成されている。カム凹部166aは、カム軸部166の外周面の周方向に均等に配置されている。
本実施の形態では、カム凹部166aは、カム軸部166の外周面の周方向に45°間隔に8か所配置するものとした。また、カム凹部166aは、カム軸部166の軸方向に沿う線条に形成されている。インナー部材62は、本発明における「第2部材」に対応し、アウター部材64は、本発明における「第3部材」に対応する実施構成の一例である。また、カム凹部166aは、本発明における「凹部」に対応する実施構成の一例である。
アウター部材64は、図9ないし図11に示すように、略円筒状に形成された本体部72と、本体部72に取り付けられたレバー部材74と、レバー部材74を付勢するコイルスプリング76と、を備えている。本体部72の内周面は、インナー部材62のカム軸部166の外径とほぼ同じ大きさの内径を有している。
本体部72の内周面には、軸方向中央部に環状溝72aが形成されている。本体部72には、外周面から環状溝72aまで径方向に貫通する2つの貫通孔72bと、本体部72の軸方向両端面から環状溝72aまで軸方向に貫通する2つの貫通孔72cとが形成されている。
2つの貫通孔72bは、互いに対向する位置、即ち、本体部72の周方向において180°間隔に配置されている。貫通孔72cは、貫通孔72bの軸中心線Clから所定距離オフセットした位置に形成される。ここで、所定距離は、レバー部材74の揺動半径、即ち、レバー部材74の揺動中心から後述する係合突起74aの中心74cまでの距離と等しい距離に設定される。
また、本体部72の軸方向一端面172には、摩擦材75が貼り付けられている。摩擦材75は、摩擦材55と同形状の円環状に形成されている。本体部72は、本発明における「円筒状本体部」に対応し、レバー部材74は、本発明における「係合部材」および「揺動レバー部材」に対応し、コイルスプリング76は、本発明における「付勢部材」に対応する実施構成の一例である。
レバー部材74は、図10に示すように、長手方向一端に係合突起74aを有し、長手方向他端に貫通孔74bが形成されている。係合突起74aは、長手方向に直交する方向に突出しており、突出端が曲面形状に形成されている。貫通孔74bは、レバー部材74の長手方向および係合突起74aの突出方向の両方に直交する方向を向いている。
レバー部材74は、図10ないし図12に示すように、本体部72の貫通孔72cから挿入されるピン72dが貫通孔74b内に挿通されることにより、ピン72dを揺動中心とした揺動が可能な状態で、環状溝72a内に収容される。このとき、レバー部材74は、係合突起74aの中心74cが、本体部72の貫通孔72bの軸中心線Cl上に来るように配置されている。
なお、レバー部材74は、本体部72の中心に関して点対称の関係で、本体部72の2か所に取り付けられる。係合突起74aは、本発明における「係合部」に対応する実施構成の一例である。
図10および図11に示すように、2つの係合突起74aをカム軸部166の2つのカム凹部166aに係合させた状態で、レバー部材74が取り付けられた本体部72をカム軸部166に挿通することで、アウター部材64がインナー部材62に取り付けられる。そして、貫通孔72bからコイルスプリング76を挿入し、プラグPを貫通孔72bにねじ込むことにより、レバー部材74の係合突起74aがカム凹部166aに付勢力をもって係合される。
ここで、コイルスプリング76は、アウター部材64の回転数(カウンタ軸24の回転数)が所定回転数よりも小さい領域では、アウター部材64の回転(カウンタ軸24の回転)に起因してレバー部材74に発生する遠心力よりも大きなスプリング力、具体的には、係合突起74aのカム凹部166aへの係合状態を確実に保持することができる程度のスプリング力を発生し、アウター部材64の回転数(カウンタ軸24の回転数)が所定回転数以上の領域では、当該アウター部材64の回転(カウンタ軸24の回転)に起因してレバー部材74に発生する遠心力よりも小さなスプリング力、具体的には、係合突起74aのカム凹部166aの係合が解除される程度のスプリング力を発生するような荷重特性を有するように構成されている。
なお、所定回転数には、自動車1が停車中ないし停車直前の状態であるか、あるいは、走行中の状態であるかを確実に区別することができる値ないし領域が適用されるものであり、本実施の形態では、200〜250rpmを適用するものとした。
このように構成された軸側フランジ部材54は、図13に示すように、スプライン軸部162がカウンタ軸24のスプライン孔24aにスプライン圧入により嵌合されることにより、カウンタ軸24に取り付け固定される。
なお、フランジ部164の外周面と、変速機ケース14に形成された軸側フランジ部材挿入用孔114の内周面との間には、オイルシールOSが介在されており、これにより、変速機ケース14内の潤滑油が外部へ漏れ出ることを防止している。
次に、こうして構成された自動車1の動作、特に、車両停止保持装置50による自動車1の停止保持動作ないし停止保持解除動作について説明する。まず、停車中の自動車1が発進される際の車両停止保持装置50の動作について説明する。なお、ここでは、特に、自動車1が登り坂で停車される直前から坂道発進される場合について説明する。
自動車1を停車する際には、運転者は一方の足で図示しないブレーキペダルの踏み込み操作を行うと共に、他方の足でクラッチペダルCPの踏み込み操作を行う。当該クラッチペダルCPの踏み込み操作により、クラッチレリーズフォーク32の下端部(図1および図2の下側)がクラッチレリーズシリンダ36のプッシュロッド36aによって右方向(図1および図2の右側)に押されて、接続部132を揺動支点として反時計回りに揺動する。
これにより、フォーク部32aがレリーズベアリングRBをクラッチCL側(図1および図2の左側)に移動させる。レリーズベアリングRBがクラッチCL側へ移動することで、クラッチCLが切断状態となり、クランクシャフト(図示せず)と入力軸22との接続が切断される。
また、クラッチレリーズフォーク32の反時計回りの揺動により、フォーク側フランジ部材52が、クラッチCLとは反対側(図1および図2の右側)に移動されて、フォーク側フランジ部材52の摩擦材55と、軸側フランジ部材54の摩擦材75とが当接する。
ここで、端面152cは、摩擦材55と摩擦材75とが当接する際に、軸側フランジ部材54の軸線に対して直角となるような傾斜角度に設定されているため、摩擦材55と摩擦材75とを確実に面接触させることができる。
また、自動車1が停車中あるいは停車直前である場合には、カウンタ軸24の回転数が200〜250rpmまで下がっているため、アウター部材64のコイルスプリング76のスプリング力がカウンタ軸24の回転によりレバー部材74に発生する遠心力よりも大きくなっており、レバー部材74の係合突起74aが、本体部72の内周面より突出して、インナー部材62におけるカム軸部166のカム凹部166aに確実に係合された状態で保持される(図10の実線)。
このように、自動車1を停車するに際してクラッチペダルCPが踏み込み操作されると、フォーク側フランジ部材52が軸側フランジ部材54のアウター部材64に摩擦係合されると共に、係合突起74aのカム凹部166aへの係合によってアウター部材64とインナー部材62とが一体的に結合される。
即ち、自動車1を停車するに際してクラッチペダルCPが踏み込み操作されると、フォーク側フランジ部材52と軸側フランジ部材54とによってカウンタ軸24の回転、延いては、車軸10の回転が抑止されるとともに停止状態に保持される。したがって、登り坂で停車している自動車1を発進させるべく、他方の足でクラッチペダルCPの踏み込み操作を維持したまま、一方の足によるブレーキペダルの踏み込み操作を解除しても(一方の足をブレーキペダルから離しても)、自動車1が後退することがない。
この状態で、一方の足によるアクセルペダル(図示せず)の踏み込み操作を開始しながら、他方の足によるクラッチペダルCPの踏み込み操作を徐々に解除させることで、自動車1を後退させることなく確実に坂道発進を行うことができる。
続いて、自動車1が走行中に変速操作された際の車両停止保持装置50の動作について説明する。自動車1が走行中に変速操作を行う際には、運転者はクラッチペダルCPの踏み込み操作を行う。
当該クラッチペダルCPの踏み込み操作により、上述した自動車1を停車する場合と同様、クラッチレリーズフォーク32が接続部132を揺動支点として反時計回りに揺動し、フォーク部32aによってレリーズベアリングRBがクラッチCL側(図1および図2の左側)に移動されることによりクラッチCLが切断状態となると共に、フォーク側フランジ部材52が、クラッチCLとは反対側(図1および図2の右側)に移動されて、フォーク側フランジ部材52の摩擦材55と、軸側フランジ部材54の摩擦材75とが当接する。
ここで、自動車1が走行中である場合には、カウンタ軸24の回転数が200〜250rpm以上に上昇しているため、カウンタ軸24の回転によりレバー部材74に発生する遠心力が、アウター部材64のコイルスプリング76のスプリング力よりも大きくなり、レバー部材74の係合突起74aが、本体部72の内周面より引っ込み(レバー部材74が本体部72の環状溝72a内に収容され)、インナー部材62におけるカム軸部166のカム凹部166aとの係合が解除される(図10の二点鎖線)。
このように、自動車1が走行中に変速操作を行うに際してクラッチペダルCPが踏み込み操作されると、フォーク側フランジ部材52が軸側フランジ部材54のアウター部材64に摩擦係合される一方、係合突起74aのカム凹部166aへの係合の解除に伴いアウター部材64とインナー部材62との結合が解除される。
即ち、自動車1が走行中に変速操作を行うに際してクラッチペダルCPが踏み込み操作されても、カウンタ軸24の回転、延いては、車軸10の回転が抑止されない。したがって、自動車1が走行中に変速操作を行う際における運転性の低下を確実に防止することができる。
以上説明した本発明の実施の形態に係る車両停止保持装置50によれば、自動車1を停車するに際してクラッチペダルCPが踏み込み操作されると、アウター部材64がインナー部材62に係合された状態で、フォーク側フランジ部材52がアウター部材64に摩擦係合される構成であるため、カウンタ軸24の回転、延いては、車軸10の回転を抑止するとともに停止状態に保持することができる。
これにより、登り坂で停車している自動車1を発進させる際に、他方の足でクラッチペダルCPの踏み込み操作を維持したまま、一方の足によるブレーキペダルの踏み込み操作を解除しても(一方の足をブレーキペダルから離しても)、自動車1が後退するようなことが生じないため、一方の足によるアクセルペダル(図示せず)の踏み込み操作を開始しながら、他方の足によるクラッチペダルCPの踏み込み操作を徐々に解除させるという簡単な操作で、自動車1を後退させることなく確実に坂道発進を行うことができる。
一方で、自動車1が走行中に変速操作を行うに際してクラッチペダルCPが踏み込み操作されると、アウター部材64のインナー部材62への係合が解除された状態で、フォーク側フランジ部材52がアウター部材64に摩擦係合される構成であるため、カウンタ軸24の回転、延いては、車軸10の回転が抑止されない。
これにより、自動車1が走行中に変速操作を行う度にカウンタ軸24(車軸10)の回転が抑止されるようなことも生じないため、自動車1の走行中における変速操作の際の運転性の低下を確実に防止することができる。
次に、第2実施例の車両停止保持装置500について説明する。図14に示すように、第2実施例の車両停止保持装置500は、軸側フランジ部材54の構成部品としてアウター部材64を用いる代わりにアウター部材640が用いられている点を除いて第1実施例の車両停止保持装置50と同一の構成をしている。したがって、第2実施例の車両停止保持装置500のうち第1実施例の車両停止保持装置50と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。なお、明示しない限り第1実施例の説明の際に用いた符号はそのまま同じ意味で用いる。
第2実施例の車両停止保持装置500における軸側フランジ部材54の構成部品として用いられるアウター部材640は、図14に示すように、略円筒状に形成された本体部720と、本体部720に収容された駒部材740と、駒部材740を付勢するコイルスプリング76と、を備えている。
本体部720の内周面は、インナー部材62のカム軸部166の外径とほぼ同じ大きさの内径を有している。本体部720には、外周面から内周面まで径方向に貫通する4つの貫通孔720aが形成されている。
貫通孔720aは、本体部720の外周面寄りに形成されたストレート孔721と、当該ストレート孔721に連続して形成されると共に本体部720の内周面寄りに形成されたテーパー孔722とから構成されている。
テーパー孔722は、本体部720の内周面側に向かうに伴い孔径が漸減するようなテーパー角を有している。また、貫通孔720aは、本体部720の周方向に等間隔に4つ形成されている。
即ち、4つの貫通孔720aは、本体部720の周方向において90°間隔に配置されている。なお、本体部720の軸方向一端面には、摩擦材75が貼り付けられている点は、第1実施例と同様である。本体部720は、本発明における「円筒状本体部」に対応し、駒部材740は、本発明における「係合部材」および「円柱状駒部材」に対応する実施構成の一例である。
駒部材740は、図15に示すように、概ね円柱状に形成されており、長手方向一端側(図15の上側)から順に、円柱部741、テーパー状部742および半球状部743を備える。円柱部741の外径は、本体部720における貫通孔720aのうちストレート孔721の内径と概ね同径ないし若干小さい径に形成されている。
また、円柱部741の長手方向一端側(図15の上側)の端面741aの中央部には、凹部741bが形成されている。凹部741bは、軸線方向に見て円形状に形成されており、コイルスプリング76の一端が挿入される。テーパー状部742は、本体部720におけるテーパー孔722と概ね同じテーパー角を有するよう構成されている。
半球状部743は、インナー部材62におけるカム軸部166のカム凹部166aの曲率と概ね同じ曲率を有するように形成されている。半球状部743は、本発明における「係合部」に対応する実施構成の一例である。
軸側フランジ部材54の組み立て、より具体的には、アウター部材640のインナー部材62への組み付けは、以下のように行われる。インナー部材62のカム軸部166にアウター部材640の本体部720を挿通する。
次に、半球状部743が本体部720の内周側を向いた状態で貫通孔720a内に駒部材740を収容する。そして、駒部材740における円柱部741の端面741aに形成された凹部741bに嵌まるようにコイルスプリング76を貫通孔720aから挿入して、プラグPを貫通孔720aにねじ込む。
これにより、駒部材740の半球状部743がカム凹部166aに付勢力をもって係合された状態、即ち、アウター部材640とインナー部材62とが係合した状態で、アウター部材640のインナー部材62への組み付けが完了する。
ここで、コイルスプリング76は、アウター部材640の回転数(カウンタ軸24の回転数)が所定回転数よりも小さい領域では、アウター部材640の回転(カウンタ軸24の回転)に起因して駒部材740に発生する遠心力よりも大きなスプリング力、具体的には、半球状部743のカム凹部166aへの係合状態を確実に保持することができる程度のスプリング力を発生し、アウター部材640の回転数(カウンタ軸24の回転数)が所定回転数以上の領域では、当該アウター部材640の回転(カウンタ軸24の回転)に起因して駒部材740に発生する遠心力よりも小さなスプリング力、具体的には、半球状部743のカム凹部166aへの係合が解除される程度のスプリング力を発生するような荷重特性を有するように構成されている。
なお、所定回転数には、実施例1と同様、自動車1が停車中ないし停車直前の状態であるか、あるいは、走行中の状態であるかを確実に区別することができる値ないし領域が適用されるものであり、本実施の形態では、200〜250rpmを適用するものとした。
以上説明した第2実施例に係る車両停止保持装置500でも、自動車1を停車するに際してクラッチペダルCPが踏み込み操作されると、アウター部材640がインナー部材62に係合された状態で、フォーク側フランジ部材52がアウター部材640に摩擦係合される構成であるため、カウンタ軸24の回転、延いては、車軸10の回転を抑止するとともに停止状態に保持することができる。
これにより、登り坂で停車している自動車1を発進させる際に、他方の足でクラッチペダルCPの踏み込み操作を維持したまま、一方の足によるブレーキペダルの踏み込み操作を解除しても(一方の足をブレーキペダルから離しても)、自動車1が後退するようなことが生じないため、一方の足によるアクセルペダル(図示せず)の踏み込み操作を開始しながら、他方の足によるクラッチペダルCPの踏み込み操作を徐々に解除させるという簡単な操作で、自動車1を後退させることなく確実に坂道発進を行うことができる。
一方で、自動車1が走行中に変速操作を行うに際してクラッチペダルCPが踏み込み操作されると、アウター部材640のインナー部材62への係合が解除された状態で、フォーク側フランジ部材52がアウター部材640に摩擦係合される構成であるため、カウンタ軸24の回転、延いては、車軸10の回転が抑止されない。
これにより、自動車1が走行中に変速操作を行う度にカウンタ軸24(車軸10)の回転が抑止されるようなことも生じないため、自動車1の走行中における変速操作の際の運転性の低下を確実に防止することができる。しかも、駒部材740には、コイルスプリング76のスプリング力が軸線上において作用するため、半球状部743をカム凹部166aに確実に係合保持することができる。これにより、登り坂で停車している自動車1を発進する際の自動車1の後退を確実に防止することができる。
実施例1の車両停止保持装置50や実施例2の車両停止保持装置500では、カム軸部166に複数のカム凹部166aを形成する構成としたが、カム凹部166aは1つであっても構わない。この場合、レバー部材74や駒部材740もカム凹部166aに対応して1つ設けるものとすれば良い。
実施例1の車両停止保持装置50や実施例2の車両停止保持装置500では、カム凹部166aは、カム軸部166の外周面の周方向に沿って均等配置する構成としたが、各カム凹部166aの間隔は均等でなくても良い。
実施例1の車両停止保持装置50や実施例2の車両停止保持装置500では、カム凹部166aの数に比べてレバー部材74や駒部材740の数が少ない構成としたが、レバー部材74や駒部材740をカム凹部166aの数と同数設ける構成としても構わない。当該構成によれば、カウンタ軸24の回転、延いては車軸10の回転をより確実に抑止することができる。
実施例1の車両停止保持装置50や実施例2の車両停止保持装置500では、複数のカム凹部166aをカム軸部166の外周面の周方向に沿って配置する構成としたが、これに限らない。例えば、カム凹部166aをカム軸部166の外周面の軸方向に沿って配置する構成としても良い。
実施例1の車両停止保持装置50や実施例2の車両停止保持装置500では、カム凹部166aに係合突起74aや半球状部743を係合する凹凸係合によりインナー部材62とアウター部材64,640とを係合する構成としたが、これに限らない。例えば、インナー部材62とアウター部材64,640とを摩擦係合により係合する構成としても良い。
実施例1の車両停止保持装置50や実施例2の車両停止保持装置500では、フロントエンジンリアドライブ(FR)型の変速機4を搭載した自動車1に適用する構成としたが、図16の変形例の自動車100に例示するように、入力軸220と、出力軸260と、入力軸220および出力軸260を接続するギヤ機構GM’とを備えるフロントエンジンフロントドライブ(FF)型の変速機400を搭載した自動車100に適用する構成としても構わない。この場合、軸側フランジ部材54は、出力軸260に取り付け固定するものとすれば良い。なお、出力軸260は、ディファレンシャル装置8を介して車軸10に接続されている。出力軸260は、本発明における「駆動軸」に対応する実施構成の一例である。
実施例1の車両停止保持装置50や実施例2の車両停止保持装置500では、自動車1に適用するものとしたが、これに限りらない。例えば、作業車両や自動二輪車に適用しても良い。
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
1,100 自動車(車両)
2 エンジン(エンジン)
4,400 変速機(変速装置)
6 プロペラシャフト
8 ディファレンシャル装置
10 車軸
12 車輪
14 変速機ケース
22,220 入力軸(入力軸)
24 カウンタ軸(駆動軸)
24a スプライン孔
26 出力軸
30 クラッチ作動機構
32 クラッチレリーズフォーク(クラッチレリーズレバー部材)
32a フォーク部
32b 桿状部
34 マスタシリンダ
36 クラッチレリーズシリンダ
36a プッシュロッド
38 フレキシブルホース
39 フォークサポート
39a 凸球面部
42 アーム
44 半球状凹部
46 半球状凹部
48 段付き孔
48a 大径孔
48b 小径孔
49 キー溝
50,500 車両停止保持装置(車両停止保持装置)
52 フォーク側フランジ部材(第1部材)
52a 小径部
52b 中径部
52c 大径部
53 キー溝
54 軸側フランジ部材(第2部材、第3部材)
55 摩擦材
58 キー部材
62 インナー部材(第2部材)
64,640 アウター部材(第3部材)
72,720 本体部(円筒状本体部)
72a 環状溝
72b 貫通孔
72c 貫通孔
72d ピン
74 レバー部材(係合部材、揺動レバー部材)
74a 係合突起(係合部)
74b 貫通孔
74c 中心
75 摩擦材
76 コイルスプリング(付勢部材)
114 軸側フランジ部材挿入用孔
132 接続部
152a 端面
152b 端面
152c 端面
152c1 周方向位置
152c2 周方向位置
154 ねじ孔
162 スプライン軸部
164 フランジ部
166 カム軸部
166a カム凹部(凹部)
172 軸方向一端面
260 出力軸(駆動軸)
720a 貫通孔
721 ストレート孔
722 テーパー孔
740 駒部材(係合部材、円柱状駒部材)
741 円柱部
741a 端面
741b 凹部
742 テーパー状部
743 半球状部(係合部)
CL クラッチ(クラッチ)
GM,GM’ ギヤ機構
G 駆動ギヤ
G’ 被駆動ギヤ
OG 出力駆動ギヤ
OG’ 出力被駆動ギヤ
S シンクロ機構
RB レリーズベアリング
CP クラッチペダル
P プラグ
Cl 軸中心線
BLT ボルト
OS オイルシール

Claims (11)

  1. クラッチと、該クラッチを介して動力源に接続される入力軸と、車軸に接続される駆動軸と、前記入力軸と前記駆動軸とを接続可能なギヤ機構と、前記クラッチの接続および切断を行うクラッチレリーズレバー部材と、から構成され、変速可能な変速比をもって前記動力源からの動力を前記車軸に伝達する変速装置を備える車両を、停止状態に保持可能な車両停止保持装置であって、
    前記駆動軸の回転数が所定回転数よりも小さいときには、前記クラッチレリーズレバー部材の前記クラッチを切断する方向への作動に応じて前記駆動軸の回転を抑止するとともに、前記クラッチレリーズレバー部材の前記クラッチを接続する方向への作動に応じて前記駆動軸の回転抑止動作を解除し、前記駆動軸の回転数が所定回転数以上の場合には、前記クラッチレリーズレバー部材が前記クラッチを切断する方向へ作動されても前記駆動軸の回転を許容するよう構成されている
    車両停止保持装置。
  2. 前記クラッチレリーズレバー部材に取り付け固定された第1部材と、前記第1部材に対向するよう前記駆動軸に取り付け固定された第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間に配置され前記第1部材と前記第2部材との接続および接続の解除を行う第3部材と、を備え、
    前記第3部材は、前記クラッチレリーズレバー部材の前記クラッチを切断する方向への作動に応じて前記第1部材と係合し、前記クラッチレリーズレバー部材の前記クラッチを接続する方向への作動に応じて前記第1部材との係合が解除されよう構成されると共に、前記駆動軸の回転数が所定回転数よりも小さいときには前記第2部材と係合し、前記駆動軸の回転数が所定回転数以上のときには前記第2部材との係合が解除されるよう構成されている
    請求項1に記載の車両停止保持装置。
  3. 前記第2部材は、軸状部材として構成されており、軸方向一端側が前記第1部材に対向するよう軸方向他端側が前記駆動軸の先端部に取り付け固定されていると共に、前記軸方向一端側の外周面には、凹部が形成されており、
    前記第3部材は、前記第2部材の前記軸方向一端側の少なくとも一部を覆うように該軸方向一端側の外周面に配置される円筒状本体部と、該円筒状本体部の内周面から出没して前記凹部と係合可能な係合部を有する係合部材と、前記係合部を前記円筒状本体部の内周面から突出する方向に付勢する付勢部材と、を備え、
    前記付勢部材の付勢力は、前記駆動軸の回転数が前記所定回転数よりも小さい領域では、前記駆動軸の回転に起因する前記係合部材の遠心力よりも大きく、前記駆動軸の回転数が前記所定回転数以上となる領域では、前記遠心力よりも小さくなるよう構成されており、
    前記円筒状本体部に対向する前記第1部材の面と、前記第1部材に対向する前記円筒状本体部の面とを当接させることにより、前記第1部材と前記第3部材とが係合されるよう構成されている
    請求項2に記載の車両停止保持装置。
  4. 前記凹部は、前記第2部材の前記軸方向一端側の外周面に複数設けられている請求項3に記載の車両停止保持装置。
  5. 前記凹部は、前記第2部材の前記軸方向一端側の外周面に周方向に沿って複数設けられている請求項4に記載の車両停止保持装置。
  6. 前記凹部は、前記周方向に均等配置されている請求項5に記載の車両停止保持装置。
  7. 前記係合部材は、前記凹部の数に対応した数だけ設けられている請求項3ないし6いずれか1項に記載の車両停止保持装置。
  8. 前記係合部材は、長手方向一端部に前記係合部を有すると共に、長手方向他端部が前記円筒状本体部に揺動自在に取り付けられた揺動レバー部材として構成されている
    請求項3ないし7いずれか1項に記載の車両の停止保持装置。
  9. 前記係合部材は、長手方向一端部に前記係合部を有すると共に、長手方向他端部に前記付勢部材からの付勢力を受ける受け部を有する円柱状駒部材として構成されている
    請求項3ないし7いずれか1項に記載の車両の停止保持装置。
  10. 前記円筒状本体部に対向する前記第1部材の面および前記第1部材に対向する前記円筒状本体部の面には、それぞれ摩擦材が設けられており、
    前記第1部材および前記第3部材は、前記摩擦材同士の当接により摩擦係合するよう構成されている請求項2ないし9のいずれか1項に記載の車両停止保持装置。
  11. エンジンからの動力を変速可能な変速比をもって車軸に伝達することにより走行する車両であって、
    請求項1ないし10のいずれか1項に記載の車両停止保持装置を用いて前記車両の停止状態を保持可能な車両。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6121660U (ja) * 1984-07-13 1986-02-07 マツダ株式会社 自動車の停止保持装置
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