図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機1(遊技機)は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠3(台枠)とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。また、図1の右下に、パチンコ遊技機1に関する座標系を定義しておく。パチンコ遊技機1を正面からみたとき、左方向をX軸正の方向、上方向をY軸正の方向、手前から奥に貫く方向をZ軸正の方向である。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の右側方)には、第1特別図柄表示装置9Aと、第2特別図柄表示装置9Bとが設けられている。第1特別図柄表示装置9Aと第2特別図柄表示装置9Bはそれぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)等から構成され、可変表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(可変表示)される。例えば、第1特別図柄表示装置9Aと第2特別図柄表示装置9Bはそれぞれ、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を可変表示する。なお、第1特別図柄表示装置9Aや第2特別図柄表示装置9Bにおいて表示される特別図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成されるものに限定されず、例えば7セグメントのLEDにおいて点灯させるものと消灯させるものとの組合せを異ならせた複数種類の点灯パターンが、複数種類の特別図柄として予め設定されていればよい。
複数種類の特別図柄には、それぞれに対応した図柄番号が付されている。一例として、「0」〜「9」を示す数字それぞれには、「0」〜「9」の図柄番号が付され、「−」を示す記号には、「10」の図柄番号が付されていればよい。以下では、第1特別図柄表示装置9Aにおいて可変表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示装置9Bにおいて可変表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
第1特別図柄表示装置9Aと第2特別図柄表示装置9Bはともに、例えば方形状に形成されている。なお、第1特図の種類と第2特図の種類は同じ(例えば、ともに「0」〜「9」を示す数字、及び、「−」を示す記号)であってもよいし、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示装置9Aと第2特別図柄表示装置9Bはそれぞれ、例えば「00」〜「99」を示す数字(あるいは2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
遊技盤2における遊技領域の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置9Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置9Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。
一例として、画像表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている。そして、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置9Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示装置9Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)が停止表示される。
このように、画像表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示装置9Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示装置9Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の飾り図柄の可変表示を行い、可変表示結果となる確定飾り図柄を導出表示(あるいは単に「導出」ともいう)する。なお、例えば特別図柄や飾り図柄といった、各種の表示図柄を導出表示するとは、飾り図柄等の識別情報を停止表示(完全停止表示や最終停止表示ともいう)して可変表示を終了させることである。これに対して、飾り図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでの可変表示中には、飾り図柄の変動速度が「0」となって、飾り図柄が停留して表示され、例えば微少な揺れや伸縮などを生じさせる表示状態となることがある。このような表示状態は、仮停止表示ともいい、可変表示における表示結果が確定的に表示されていないものの、スクロール表示や更新表示による飾り図柄の変動が進行していないことを遊技者が認識可能となる。なお、仮停止表示には、微少な揺れや伸縮なども生じさせず、所定時間(例えば1秒間)よりも短い時間だけ、飾り図柄を完全停止示することなどが含まれてもよい。
「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて可変表示される飾り図柄には、例えば8種類の図柄(英数字「1」〜「8」あるいは漢数字や、英文字、所定のモチーフに関連する8個のキャラクタ画像、数字や文字あるいは記号とキャラクタ画像との組合せなどであればよく、キャラクタ画像は、例えば人物や動物、これら以外の物体、もしくは、文字などの記号、あるいは、その他の任意の図形を示す飾り画像であればよい)で構成される。飾り図柄のそれぞれには、対応する図柄番号が付されている。例えば、「1」〜「8」を示す英数字それぞれに対して、「1」〜「8」の図柄番号が付されている。なお、飾り図柄は8種類に限定されず、大当り組合せやハズレとなる組合せなど適当な数の組合せを構成可能であれば、何種類であってもよい(例えば7種類や9種類など)。
飾り図柄の可変表示が開始された後、可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでには、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて、例えば図柄番号が小さいものから大きいものへと順次に上方から下方へと流れるようなスクロール表示が行われ、図柄番号が最大(例えば「8」)である飾り図柄が表示されると、続いて図柄番号が最小(例えば「1」)である飾り図柄が表示される。あるいは、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rのうち少なくともいずれか1つ(例えば「左」の飾り図柄表示エリア5Lなど)において、図柄番号が大きいものから小さいものへとスクロール表示を行って、図柄番号が最小である飾り図柄が表示されると、続いて図柄番号が最大である飾り図柄が表示されるようにしてもよい。
画像表示装置5の表示領域には、始動入賞記憶表示エリア5Hが配置されている。始動入賞記憶表示エリア5Hでは、特図ゲームに対応した可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。ここで、特図ゲームに対応した可変表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく可変表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、可変表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する可変表示の保留が行われる。
図1に示す例では、始動入賞記憶表示エリア5Hとともに、第1特別図柄表示装置9A及び第2特別図柄表示装置9Bの上部に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。第1特図保留記憶数は、第1特図を用いた特図ゲームの実行が保留されている記憶数である。第2特図保留記憶数は、第2特図を用いた特図ゲームの実行が保留されている記憶数である。第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数とを加算した可変表示の保留記憶数は、特に、合計保留記憶数ともいう。単に「特図保留記憶数」というときには、通常、第1特図保留記憶数、第2特図保留記憶数及び合計保留記憶数のいずれも含む概念を指すが、特に、これらの一部(例えば第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数を含む一方で合計保留記憶数は除く概念)を指すこともあるものとする。
画像表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図2に示す普通電動役物用となるソレノイド81によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)第2始動入賞口を形成する。
一例として、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しがたい通常開放状態となる。その一方で、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となる傾動制御により、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすい拡大開放状態となる。なお、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態であるときでも、第2始動入賞口には遊技球が進入可能であるものの、拡大開放状態であるときよりも遊技球が進入する可能性が低くなるように構成してもよい。あるいは、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態において、例えば第2始動入賞口を閉鎖することなどにより、第2始動入賞口には遊技球が進入しないように構成してもよい。このように、第2始動領域としての第2始動入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすい拡大開放状態と、遊技球が通過(進入)しにくいまたは通過(進入)できない通常開放状態とに変化する。
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば、図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出される。第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。なお、第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数と、第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数は、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、図2に示す大入賞口扉用となるソレノイド82によって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。
一例として、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド82がオフ状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)できなくする。その一方で、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド82がオン状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)しやすくする。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。なお、遊技球が大入賞口を通過(進入)できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が大入賞口を通過(進入)しにくい一部開放状態を設けてもよい。
大入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば、図2に示すカウントスイッチ23によって検出される。カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置7において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口や第2始動入賞口といった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の左側方)には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、第1特別図柄表示装置9Aや第2特別図柄表示装置9Bと同様に7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成され、特別図柄とは異なる複数種類の識別情報である普通図柄(「普図」あるいは「普通図」ともいう)を変動可能に表示(可変表示)する。このような普通図柄の可変表示は、普図ゲーム(「普通図ゲーム」ともいう)と称される。
普通図柄表示器20の上方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート26を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、第1始動入賞口、第2始動入賞口及び大入賞口とは異なる入賞口として、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる単一または複数の一般入賞口が設けられてもよい。この場合には、一般入賞口のいずれかに進入した遊技球が所定の一般入賞球スイッチによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払い出されればよい。遊技領域の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており、さらに遊技領域周辺部には、遊技効果ランプ10が設けられている。パチンコ遊技機1の遊技領域における各構造物(例えば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置7等)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。例えば、打球操作ハンドルは、遊技者等による操作量(回転量)に応じて遊技球の弾発力を調整する。打球操作ハンドルには、打球発射装置が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、タッチリング(タッチセンサ)が設けられていればよい。
遊技領域の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持(貯留)する上皿(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿が設けられている。
下皿を形成する部材には、例えば下皿本体の上面における手前側の所定位置(例えば下皿の中央部分)などに、遊技者が把持して傾倒操作が可能なスティックコントローラ31が取り付けられている。スティックコントローラ31は、遊技者が把持する操作桿31Aを有して構成されている。操作桿31Aは、下方を軸として前後左右に傾倒させることが可能であり、操作桿31Aの下部(下皿の本体内部など)には、操作桿31Aの傾倒方向を検出する傾倒方向センサユニットが設けられている。例えば、傾倒方向センサユニットは、パチンコ遊技機1と正対する遊技者の側からみて操作桿31Aの中心位置よりも左側で遊技盤2の盤面と平行に配置された2つの透過形フォトセンサ(平行センサ対)と、この遊技者の側からみて操作桿の中心位置よりも右側で遊技盤2の盤面と垂直に配置された2つの透過形フォトセンサ(垂直センサ対)とを組み合わせた方向スイッチ31Dを含んで構成される。
操作桿31Aの上部には、遊技者が押圧操作するための前ボタン31Bと後ボタン31Cが設けられている。前ボタン31Bは、例えば遊技盤2の座標形上、Z軸正の方向側に位置し、遊技者が操作桿31Aを把持したときに操作手の人差し指が掛かる位置に設けられている。一方、後ボタン31Cは、例えば遊技盤2の座標形上、Y軸正の方向側に位置し、遊技者が操作桿31Aを把持したときに操作手の親指が届く位置に設けられている。操作桿31Aの内部には、前ボタン31B、後ボタン31Cに対する押圧操作などによる所定の指示操作を検知する押圧検出センサがそれぞれ内蔵されている。
図2には、パチンコ遊技機に搭載された各種の制御基板などを示す構成図が示されている。遊技制御基板11は、パチンコ遊技機1における遊技の進行全体の流れを制御するための制御基板であり、CPU(Central Processing Unit)103、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)101、I/O(Input / Output)ポート104を含む1チップマイクロコンピュータからなる基本回路100を搭載している。また、遊技制御基板11は、スイッチ回路110、ソレノイド回路111、情報出力回路112を搭載している。
CPU103は、計時機能、タイマ割り込み機能、及び乱数発生機能を備え、ROM101に記憶されたプログラムを実行して、遊技の進行に関する制御を行うと共に、パチンコ遊技機1の制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。CPU103は、プログラムを実行する際において、I/Oポート104から種々のコマンドを演出制御基板108に送信する機能を有する。RAM102は、CPU103がプログラムを実行する際の作業領域として使用される。ROM101は、CPU103が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート104は、基本回路100に接続された各回路との間でコマンドを含む制御信号を入出力する。
スイッチ回路110は、通過ゲート26を通過した遊技球を検出するためのゲートスイッチ21、普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過した遊技球を検出する第1始動口スイッチ22A、普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過する遊技球を検出する第2始動口スイッチ22B、特別可変入賞球装置7に形成された大入賞口を通過した遊技球を検出するためのカウントスイッチ23に接続されている。
スイッチ回路110は、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23から出力されてくる入力信号を、ローパスフィルタ等を通してパルス波として整形した後に、バッファゲート等によって増幅し、I/Oポート104に出力して、CPU103に入力させる。
ソレノイド回路111は、第2始動入賞口に設けられた可動翼片を動作させるためのソレノイド81、特別可変入賞球装置7に設けられ、大入賞口扉を開閉動作させるためのソレノイド82に接続されている。ソレノイド回路111は、I/Oポート104から出力される制御信号に基づいて、ソレノイド81、82に駆動制御信号(励磁信号)を出力する。
情報出力回路112は、I/Oポート104から出力された制御信号に基づいて、大当たりの発生により大当たり制御が行われていることを示す大当たり情報、確率変動制御が行われていることを示す確変情報、特図ゲームの始動に関する情報である始動情報、支払われた賞球に関する情報である賞球情報等の各種情報を、端子(図示せず)に挿入されたケーブルを介して、製品検査用のコンピュータやパチンコホール(遊技店)の管理コンピュータに対して出力する。
演出制御基板108は、CPU、RAM及びROMを含む制御部を有し、遊技制御基板11から送られてくるコマンドに基づいて、特図ゲーム及び普図ゲームを含む各種の演出を制御する。演出制御基板108は、画像表示装置5に接続されており、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rに特図ゲームにおける画像を表示させ、始動入賞記憶表示エリア5Hに保留記憶の表示をさせる。演出制御基板108は、入出力ドライバ基板109に接続されており、入出力ドライバ基板109に対してその他の演出を制御するための制御信号を出力する。演出制御基板108の詳細については後述する。
入出力ドライバ基板109は、スティックコントローラ31の方向スイッチ31D、前ボタン31B、後ボタン31Cに接続されており、遊技者の操作によって検出された検出信号を演出制御基板108に出力する。また、入出力ドライバ基板109は、また、スピーカ8R、8L、遊技効果ランプ10に接続されており、演出制御基板108からの制御信号に従ってこれらを制御する。
払出制御回路106は、球払出装置107に接続されており、球払出装置107に貸し出された遊技球または入賞により賞球として払い出される遊技球を払い出させるための制御回路を備えている。
次に、演出制御基板108について詳しく説明する。図3は、演出制御基板108上の構成要素を詳細に示す図である。図示するように、演出制御基板108には、RAM122を含むCPU121、プログラムROM123、3つのデータROM124−1〜124−3、アトリビュートRAM125aを含むVDP(ビデオプロセッサ)125、VRAM(ビデオRAM)126、ワークRAM127aを含むADP(オーディオプロセッサ)127が搭載されている。演出制御基板108上には、また、遊技制御基板11からのケーブルを挿入し、両者を物理的に接続するためのコネクタ120が搭載されている。
CPU121、プログラムROM123、データROM124−1〜124−3、VDP125、VRAM126、ADP127は、それぞれ個別の半導体チップによって構成され、そのピンが演出制御基板108上に予め形成されたソケットに勘合されることで、演出制御基板108上に搭載される。データROM124−1〜124−3は、いずれも22ピンで対称形状である半導体チップであり、外形形状が同じであるが、内部に記憶されるデータが異なっている。その他のチップは、互いにピン数や外形形状が異なっている。
演出制御基板108上には、プリント配線が、エッチングまたは印刷処理などによって形成されている。このプリント配線を介して、コネクタ120、CPU121、プログラムROM123、データROM124−1〜124−3、VDP125、VRAM126、ADP127間において、図3の構成要素間の矢印で示すようにデータ(信号)が授受される。
CPU121は、プログラムROM123に記憶されたプログラムを実行して、演出の実行に関する処理を行うと共に、演出制御基板108内の各回路及びこれに接続された各回路を制御する。CPU121は、内部タイマを有している。CPU121のプログラムカウンタには、実行中のプログラムに従って、任意の特定の値(実行すべき命令が格納されているアドレス)をセットすることができる。もっとも、プログラムカウンタの値は、通常は1ずつ増加される。
CPU121は、また、プログラムROM123に記憶されたプログラムを実行して、演出制御基板108内の各回路のテストを行う。演出及びテストの実行は、次に示す制御データキューに設定された制御データに基づいて行われる。制御データキューへの制御データの設定は、CPU121が遊技制御基板11から受信したコマンドに基づいて、或いは電源投入から所定時間経過しても初期化コマンドの受信がないことに基づいて行われる。
RAM122は、CPU121がプログラムを実行する際の作業領域として使用される。RAM122には、上記の制御データを設定するための先入れ先出し方式の制御データキューが設けられる。説明の便宜上、制御データキューの大きさは無限であるものとする。制御データが設定されるとき、その制御データは制御データキューの最後尾に追加され、CPU121が制御データに基づく処理を終了すると、次の制御データが取り出されて、該制御データに基づく処理が続けて行われる。プログラムROM123は、CPU121が実行するプログラムを記憶している。
データROM124−1〜124−3は、演出を実行するための固定的なデータを記憶している。データROM124−1〜124−3のうちで、データROM124−1、124−2は、画像表示装置5に画像を表示するための画像データを、データROM124−3は、スピーカ8R、8Lから音声を出力するための音声データ、並びに遊技効果ランプ10を発光させるためのランプデータを記憶している。
VDP125は、CPU121からの指示に従って、画像データをデータROM124−1、124−2からアトリビュートRAM125aに読み出し、アトリビュートRAM125aに読み出された画像データに基づいてVRAM126に画像を展開する。VDP125は、VRAM126に展開した画像に同期信号を付したビデオ信号を画像表示装置5に出力し、画像表示装置5に画像を表示させる。
ADP127は、CPU121からの指示に従って、音声データをデータROM124−3からワークRAM127aに読み出し、ワークRAM127aに一時格納された音声データに基づいて音声信号を生成し、入出力ドライバ基板109のドライバ回路によりスピーカ8R、8Lから音声を出力させる。ADP127は、また、CPU121からの指示に従って、ランプデータをデータROM124−3からワークRAM127aに読み出し、ワークRAM127aに一時格納されたランプデータに基づいて入出力ドライバ基板109のドライバ回路に制御信号を出力し、遊技効果ランプ10を発光させる。
CPU121は、データROM124−1〜124−3に記憶されたデータを直接読み込むことができないが、VDP125のアトリビュートRAM125aまたはADP127のワークRAM127aに一時記憶されたデータであれば読み込むことができる。後述するデータチェックにおいてデータROM124−1〜124−3のデータを読み出す必要がある場合は、詳細を後述するように、CPU121は、アトリビュートRAM125aまたはワークRAM127aを利用するものとなっている。
パチンコ遊技機1では、製造コストの削減、廃棄パーツの削減を目的として、パチンコ遊技機1で使用する各種パーツのリサイクル(再利用)が行われている。ここでは、パチンコ遊技機1の演出制御基板108で使用しているデータROM124−1〜124−3のリサイクルについて説明する。このリサイクルは、店舗において利用を終えた機種を回収し、データROM124−1〜124−3を回収した後、別機種のパチンコ遊技機1のデータに書き換え、新たなパチンコ遊技機1として店舗に出荷することで行われる。画像データや音声データ等を記憶する各データROM124−1〜124−3には、大容量のものが必要となる。通常、大容量のメモリは高価格であるため、データROM124−1〜124−3をリサイクルすることで、パチンコ遊技機1におけるリサイクル効率の向上を図ることが予想される。なお、遊技制御基板11にて使用するROM101等、パチンコ遊技機1で使用する各種メモリについても、データROM124−1〜124−3と同様の手法でリサイクルを行うこととしてもよい。
本実施形態のデータROM124−1〜124−3には、データ書込装置としてのROMライタにて、データを書き換えることのできるNAND−ROMを使用している。NAND−ROMは、読み出しや書き込みを重ねることで不良領域が発生することが知られている。そのため、NAND−ROMでは、不良領域によるデータの損失を防ぐため、ECC(Error Correction Code)機能を設けることで、データエラーの訂正を図ることが前提となっている。また、通常の記憶領域とは別に冗長領域を設け、データエラーが発生した領域を冗長領域で代行することも行われている。
本実施形態における遊技機のリサイクルでは、この冗長領域をリサイクルに関する履歴情報の記憶領域として使用することとしており、冗長領域に履歴情報を書き込むことのできる専用のデータ書込装置4を使用している。このような構成を採用することで、従来のリサイクル管理と比較して、データROM124−1〜124−3にバーコードを貼付する等、外部に識別情報を付与する必要が無く、識別情報が剥がれ落ちること等によるリサイクル管理上の問題を抑制することが可能となる。また、遊技機を取り扱う業界では、公正性を担保するため、出荷する製品(機種)毎にデータROM124−1〜124−3に記憶内容が同一であることが必要である。本実施形態では、通常のデータ領域とは異なる冗長領域を履歴情報の記憶領域として使用することで、製品(機種)毎にデータROM124−1〜124−3の記憶内容を同一とすることが可能となる。
図4は、本実施形態におけるパチンコ遊技機1のリサイクル工程を模式的に示したものである。市場に出荷された後、店舗において使用期間の終了した使用済みパチンコ遊技機1aは、業者によって回収され、リサイクルに必要とされる単位のパーツに分解される。図4には、本実施形態においてリサイクル対象となるデータROM124−1〜124−3の何れか1つについて図示したものである。なお、リサイクル対象とするデータROM124−1〜124−3については、例えば、データROM124−1と使用したものを、データROM124−2としてリサイクルする等、他の種としてリサイクルすることが可能であるため、リサイクル行程では、データROM124−1〜124−3の下位の符号を取って、データROM124と記載する。なお、パチンコ遊技機1のリサイクルは、データROM124のみならず、他のパーツについても同様にリサイクル対象とすることが可能である。
回収されたデータROM124は、新規のパチンコ遊技機1bに搭載するため、記憶しているプログラム、データの書き換えが行われる。本実施形態では、データ書込装置4(ROMライタ)によって、プログラム、データの書込処理が実行される。書込処理の完了したデータROM124は、新規のパチンコ遊技機1bに搭載され、市場に出荷される。このような一連の処理を繰り返すことで、データROM124に関するリサイクルが行われる。
前述したようにNAND−ROMでは、読み出し、書き込みによる劣化が生じることが知られている。劣化したデータROM124を使用し続けた場合、動作中に支障を生じることが考えられる。顧客が遊技を楽しむパチンコ遊技機1では、このような支障を避ける必要があるため、データROM124の稼働実績を適切に把握し、リサイクル可能か否かを判断することが重要となる。本実施形態では、図4に示すデータROM124のリサイクルにおいて、データROM124に対して書込処理を実行する際、併せてデータROM124の冗長領域に履歴情報を書き込むこととしている。通常、データROM124の冗長領域は、データ領域中の不良領域に代えて使用される領域であるため、通常のROMライタでは書き込みを行うことはできない。本実施形態では、データROM124の冗長領域に対してデータ(履歴情報)を書き込むことのできる専用のデータ書込装置4が使用される。専用のデータ書込装置4を使用することで、リサイクルに関連する業者以外の者に、いたずらに冗長領域が使用されることを防止することが可能となる。また、履歴情報の信頼性を担保し、適正なリサイクルを行うことが可能となる。
なお、データROM124における履歴情報の書き込みは、必ずしも新規のパチンコ遊技機1bにて使用されるプログラムやデータの書き込みと一緒に行う必要は無く、データROM124が使用済みのパチンコ遊技機1aから回収されてから、新規のパチンコ遊技機1に搭載されるまでの期間において適宜、行うことが可能である。
図5(a)〜(c)は、それぞれデータROM124−1〜124−3に記憶されたデータの構成を示す図である。図5(a)には、データROM124−1に記憶する画像データのデータ構成が示されており、X番地からX+n番地に、管理テーブルと画像データを記憶している。図5(b)には、データROM124−2に記憶する画像データのデータ構成が示されており、Y番地からY+m番地に、管理テーブルと画像データを記憶している。図5(c)には、データROM124−3に記憶する音声データ、ランプデータのデータ構成が示されており、Z番地からZ+i番地に、管理テーブルと音声データ、ランプデータを記憶している。各データROM124−1〜124−3のアドレスは重複しないように構成されている。各データROM124−1〜124−3に記憶する管理テーブルは、画像データ、音声データ、ランプデータについて、データ毎の格納位置(格納アドレス)を記憶したテーブルである。この管理テーブルを参照することで、指定された画像データ、音声データ、ランプデータを読み出すことが可能となる。
また、図6には、本実施形態においてリサイクルの対象となるデータROM124(データROM124−1〜124−3の何れか)の記憶領域124aを模式的に示した図である。本実施形態のデータROM124は、記憶領域124aを有して構成されている。本実施形態の記憶領域121aは、3つの領域(データ領域、制御領域、冗長領域)を有して構成されている。図5で説明した管理テーブルと各種データ(画像データ、音声データ、ランプデータ)は、図6中の、データ領域と冗長領域に記憶される。
データ領域は、データROM124の通常アクセスに使用される領域であり、パチンコ遊技機1にて使用されるプログラムやデータは、アクセスに支障が無い限り、このデータ領域に書き込まれて使用される。冗長領域は、データ領域において、記録、読み出しに支障のあるエリア(不良エリア)に取って代わるための領域である。データ領域中、アクセスに支障があると判断された不良エリアは使用禁止とされ、不良エリアに記憶すべきデータは冗長領域内のエリア(代替エリア)に記憶される。
制御領域は、データ領域中の不良エリアと冗長領域中の代替エリアの関係(対応関係情報)を記憶する領域である。本実施形態では、データ領域のアドレスと冗長領域のアドレスの関係を規定した配置情報として記憶している。データ領域のアドレスと冗長領域のアドレスは、それぞれ開始アドレスと終了アドレスをもって規定されている。データ領域のアドレスと冗長領域のアドレスは、ページ、ブロックで規定することも可能である。例えば、ページにて規定する場合、開始ページを示すアドレスとページ数で規定することで、不良エリア、代替エリアの位置を規定することが可能である。
図6の模式図では、データ領域中、3つの不良エリアA、B、Dが存在している。この場合、冗長エリアには、これら不良エリアA、B、Dに代える代替エリアA、B、Dが設けられる。制御領域には、不良エリアA、B、Dと代替エリアA、B、Dの関係を規定する配置情報A、B、Dが記憶される。図6において不良エリア、代替エリア、配置情報の末尾に示すアルファベットA〜Dは、それぞれが対応関係にあることを示している。各配置情報A、B、Dには、データ領域中における不良エリアのアドレス、そして、冗長領域中における代替エリアのアドレスが記憶される。
記憶領域121aに対するデータの読み出しは、データROM124の外部に設けられた制御手段(図3の場合、CPU121)、あるいは、データROM124−1〜124−3の内部に別途設けたメモリ制御部によって実行される。制御手段は、制御領域中の配置情報を参照し、データ領域中のデータを読み出すか、冗長領域中、代替エリアに記憶しているデータを読み出すかを判定する。例えば、読み出し対象となるデータが配置情報Aに記憶されているデータである場合、CPU121は、本来であれば、データ領域内の不良エリアAに記憶されているデータを読み出してデータに基づく各種処理を実行するところ、これに代えて冗長領域内の代替エリアAに記憶されているデータを読み出し、読み出したデータに基づいて各種処理を実行する。このように本実施形態のデータROM124は、冗長領域を設けたことでデータ領域中に不良エリアが発生した場合においても信頼性の高いデータ読み出しを可能としている。
以上、説明したように冗長領域は、本来、データ領域中の不良エリアに代えて使用する代替エリアのための領域である。本実施形態では、この冗長領域に履歴情報を書き込むこととしている。履歴情報は、データROM124のリサイクルに関する情報であり、日付情報、使用されたパチンコ遊技機1の機種識別情報等を含んで構成される。この他、パチンコ遊技機1が導入された店舗の識別情報、あるいは、パチンコ遊技機1が導入された地域を示す識別情報を有してもよい。パチンコ遊技機1のリサイクル時には、この履歴情報を読み出して参照することで、データROM124を再利用することが可能(記憶するデータを書き換えて使用する)か、あるいは、再利用できないか(廃棄対象とする)を判定することが可能となる。
図6の例では、冗長領域中に履歴情報Cを記憶している。また、制御領域には、この履歴情報Cに対応して配置情報Cが記憶されている。配置情報Cは、不良エリアと代替エリアの関係を示す他の配置情報と異なり、履歴情報に関する配置情報であることを示す履歴フラグと、履歴情報を記憶している冗長領域内のアドレスにて構成されている。このアドレスは、開始アドレスと終了アドレスで規定する、あるいは、開始アドレスとページ数(あるいはブロック数)で規定するなど各種形態を採用することが可能である。履歴情報を読み出す場合、この制御領域中、履歴フラグが立っている配置情報を見つけ、当該配置情報のアドレスを参照することで、冗長領域中の履歴情報を読み出すことが可能となる。
このように本実施形態では、代替エリアが設けられる冗長領域中に履歴情報を記憶することで、データ領域には手を加えること無く、データROM124のリサイクル管理を行うことが可能となる。したがって、データROM124の外部にバーコードを貼付する等、煩雑な管理を行う必要が無く、データROM124に記憶する履歴情報として正確にリサイクル管理を行うことが可能となる。また、データ領域には履歴情報が記憶されないため、同じ機種のパチンコ遊技機1では、データ領域中に記憶するデータの同一性を維持することが可能となる。したがって、データROM124あるいはパチンコ遊技機1の出荷時における検査では、同じ機種について、データ領域中のプログラム、データの同一性を判断することで公正な製品であることを立証することが可能となる。
以上、本実施形態では、データROM124の記憶領域内に配置情報を記憶することで、不良エリアと代替エリアの配置関係、並びに、冗長領域内における履歴情報の配置を管理することとしているが、この制御領域は記憶領域124a以外で管理することとしてもよい。例えば、データROM124にこの記憶領域124aとは別途設けられたメモリ制御部にて管理することとしてもよい。また、本実施形態では、冗長領域に記憶している履歴情報の配置を制御領域に記憶しているが、配置情報を使用することなく履歴情報を管理する変形例としてもよい。例えば、履歴情報に履歴情報であることを示すヘッダ情報を付与して管理することが考えられる。履歴情報を読み出す際には、冗長領域中、このヘッダ情報を探すことで履歴情報を読み出すことが可能となる。
図7には、データROM124等に対してプログラムやデータを書き込むためのデータ書込装置4の構成が示されている。本実施形態では、データROM124に再利用対象となるパチンコ遊技機1のプログラム、データを書き込むとともに、リサイクルに関する履歴情報を書き込むこととしている。
データ書込装置4は、装置全体を統括制御するCPU41、書込処理等、各種処理を実行するために必要なプログラムやデータを記憶したROM42、各種処理を実行する際、データを一時的に記憶するRAM43、日付情報を計時する計時部44、書込対象となるデータROM124を接続するためのコネクタ47、外部記憶媒体52を接続するためのコネクタ48、データ書込装置4に対してユーザが指示を行うための操作部51、視覚的な情報を形成するための表示処理部45、視覚的な情報を表示出力する表示部54を備えて構成されている。
外部記憶媒体52には、新たに再生利用対象となるパチンコ遊技機1のプログラム、データを記憶している。また、本実施形態では、データROM124の稼働実績を判定するため、市場データである機種稼働情報を外部記憶媒体52に記憶している。機種稼働情報は、所定期間(例えば、1週間毎)にパチンコ遊技機1の稼働状況を機種別に集計した情報であり、市場調査を行う業者から店舗に配布される情報である。店舗では、この機種稼働情報に基づいて、パチンコ遊技機1の機種の入れ換え等、機種毎の台数管理を行う。機種稼働情報は、遊技機の機種毎の市場稼働台数、集計対象期間における稼働時間、打ち込んだ球数(アウトとも呼ばれる)、売上等を記憶している。通常、店舗ではこの機種稼働情報に基づいてパチンコ遊技機1の人気度合い、集客度合いを判定し、店舗におけるパチンコ遊技機1の台数管理を実施する。本実施形態では外部記憶媒体52を使用して、外部から必要な情報(プログラム、データ、機種稼働情報)を取得しているが、情報取得の形態はこれに限らず、通信を介して取得する等、各種形態を採用することが可能である。
書込対象となるデータROM124をコネクタ47に接続し、外部記憶媒体52中、再生利用対象となるパチンコ遊技機1のプログラム、データを選択することで、データROM124に対する書込処理が実行される。図8は、データ書込装置4で実行する書込処理を示すフロー図である。データROM124をコネクタ47に接続した上で、書込処理を開始すると、まず、データROM124の冗長領域に記憶する履歴情報が読み出される(S501)。
図9には、本実施形態の履歴情報について、そのデータ構成が示されている。本実施形態では、これまでの書込処理が行われた際に記憶した履歴情報であって、日付情報、使用されたパチンコ遊技機1の機種を示す機種識別情報、パチンコ遊技機1が導入された店舗識別情報を含んで構成されている。この履歴情報に基づき、データROM124がパチンコ遊技機1のどの機種に使用されたかを判定することが可能である。また、日付情報間の間隔に各機種の使用期間を判定することも可能である。例えば、機種Aについては、2013年10月1日に機種Aに関するプログラム、データが書き込まれ、2013年12月15日に機種Bに関するプログラム、データが書き込まれている。したがって、機種Aに使用された期間は2013年10月1日から2013年12月15日までと判定することができる。また、直近に使用対象となった機種における使用期間は、その日付情報から現在までの期間が使用期間として判定される。
書込処理では、次に外部記憶媒体52から機種稼働情報が読み出される(S502)。図10には、本実施形態の機種稼働情報について、そのデータ構成が示されている。本実施形態の機種稼働情報は、機種識別情報、集計期間、集計期間毎の稼働状況であるパチンコ遊技機1の稼働時間を含んで構成されている。この稼働時間は全国平均としているが、より詳細に地域毎あるいは店舗毎の稼働時間としてもよい。
データROM124から読み出した履歴情報と、外部記憶媒体52から読み出した機種稼働情報に基づいて稼働実績情報が算出される(S503)。本実施形態の稼働実績情報は、データROM124がパチンコ遊技機1に搭載されて使用された稼働時間である。図9で説明したように履歴情報には、データROM124がこれまで使用された機種を示す機種識別情報が含まれている。また、図10で説明したように機種稼働情報には、パチンコ遊技機1について集計期間毎の稼働時間が含まれている。履歴情報に基づいて、データROM124が使用されたパチンコ遊技機1の機種、並びに、使用期間を判定することができるが、機種稼働情報に基づき、機種毎の使用期間における稼働時間を累計することで、対象としているデータROM124の稼働時間(稼働実績情報)が算出される。なお、パチンコ遊技機1は、同時期に同じ機種が出荷、回収されることが多いため、パチンコ遊技機1の機種を特定することで、おおよその使用期間を推定することも可能である。したがって、履歴情報には、少なくとも機種識別情報を含めることで使用期間を判定することが可能である。
本実施形態では、データ書込装置4において、データROM124の稼働実績情報が許容範囲か否か、すなわち、データROM124が再利用に耐えうるか否かを判定している(S504)。本実施形態では基準となる稼働時間と比較してその判定を行うこととしている。稼働実績情報が基準となる稼働時間を超過する場合(S504:No)には、データ書込装置4は、表示部53に新たにプログラム、データを書き込むことが不可能であることを表示する(S512)。図11には、書込処理時におけるデータ書込装置4の表示部54の様子が示されている。図11(B)がデータ書き込み不可とする場合であり、「書き込み不可。廃棄対象のROMです。」なるメッセージが表示部53に表示されている。
一方、稼働実績情報が基準となる稼働時間(許容範囲)を超過していない場合(S504:Yes)には、図11(A)に表示するメッセージ、並びに、書き込み指示のカーソルを表示部53に表示して、操作部51からのユーザの指示を待つ。ユーザにより書き込み指示が入力された場合(S505:Yes)には、新たに使用対象となるパチンコ遊技機1のプログラム、データがデータROM124のデータ領域に書き込まれる(S506)。書き込みの際、データ領域内の不良エリアは、冗長領域内の代替エリアに代えて使用される。新規プログラム、データの書き込み終了後には、間違いなく書き込まれていることを確認するベリファイ処理を行うこととしてよい。また、本実施形態では、S506にてデータROM124のデータ領域に記憶させた新規プログラムとデータについて、データ書込装置4の外部記憶媒体52に記憶しているマスタープログラム、マスターデータと照合する照合処理を実行する(S307)。この照合処理は、データROM124の記憶領域124a中のデータ領域に記憶するプログラム、データを対象とした処理であり、遊技機における公正な運用を担保するために実行される。この照合処理では、冗長領域中、代替エリア以外の領域は照合対象としない。したがって、冗長領域に記憶している履歴情報は、照合処理の対象とならない。照合処理の結果、一致していない場合(S508:No)には、データ書込装置4は、表示部53にエラー表示を行う(図示せず)。エラー表示されたデータROM124は、出荷の対象から除外され、再度、書込処理を行う、あるいは、廃棄処分となる。
一方、照合処理の結果、一致していると判定された場合(S508:Yes)、データ書込装置4は、データROM124の冗長領域に履歴情報を書き込む(S509)。図9で説明したように、本実施形態の履歴情報は、日付情報と、機種識別情報と、店舗識別情報を有して構成されている。このうち日付情報は、データ書込装置4の計時部44で計時した現在の日付が使用される。本実施形態では、日付情報として年月日を採用しているが、より詳細に時分を含むこととしてもよい。なお、日付情報としては、履歴情報を書き込み時点での日付に限らず、実際に店舗で使用開始となる日付を使用してもよい。その場合、操作部51を使用してユーザにより日付を入力する、あるいは、外部記憶媒体52に予め記憶されている日付情報が使用されることとなる。
本実施形態では、新たに使用対象となるパチンコ遊技機1のプログラム、データをデータROM124に書き込む際、履歴情報を書き込むこととしている。したがって、データROM124に書き込むプログラム、データを選択した際、それに対応する機種識別情報を自動選択し、履歴情報に書き込むことが可能である。このようにデータROM124に対してプログラム、データを書き込む際、合わせて履歴情報内の機種識別情報を書き込むことで、両者の整合性を保つことが可能となっている。なお、履歴情報として書き込む機種識別情報は、ユーザが操作部51から入力したものを使用することとしてもよい。
また、本実施形態では、データROM124を導入する店舗が事前に分かっていることを前提としており、履歴情報には店舗識別情報を書き込むこととしている。この店舗識別情報は、操作部51から入力された情報を使用する、あるいは、外部記憶媒体52に記憶されている情報を使用することが可能である。
履歴情報の書き込み(S509)が終了後、データ書込装置4は、表示部53に書込終了表示を表示(S510)して一連の書込処理を終了する。図11(C)には、表示部53に表示される書込終了表示が示されている。本実施形態では、プログラムやデータだけでなく、履歴情報を書き込んだ後、このような書込終了表示を表示することで、データROM124に確実に履歴情報を書き込むことが可能となり、履歴情報に基づくデータROM124のリサイクル管理を精度高いものとすることが可能となる。
以上、本実施形態のデータROM124のリサイクルについて書込処理を説明したが、新規プログラム、データの書き込みと、履歴情報の書込は別工程として行うこととしてもよい。また、パチンコ遊技機1をリサイクルする際、データROM124には新規プログラムを書き込まない場合がある。例えば、機種のバージョンを変更する場合がそれに相当する。機種のバージョン変更は、予定されたものであり、予め各バージョンに必要なプログラム、データがデータROM124に記憶された状態となっている。リサイクルの際には、遊技盤2の絵柄を変更する等の変更が行われ、データROM124に対する新たなプログラム、データの書き込みは行われない。このような機種のバージョン変更を行う場合においても、データROM124の冗長領域に対する履歴情報の書き込みは行うことが好ましい。パチンコ遊技機1のバージョンが変わった場合、稼働実績情報上では異なる機種として取り扱われることがある。このような場合、履歴情報にバージョン変更された機種識別情報が記憶されることにより、データROM124の稼働実績をより正確に把握し、適切なリサイクル管理を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、履歴情報に記憶している機種識別情報に基づいて、データROM124の稼働実績情報を算出しているが、履歴情報に記憶している店舗識別情報を使用することとしてもよい。その場合、機種稼働情報についても店舗別の集計期間、稼働時間が必要となる。店舗識別情報を使用することで、さらに精度の高い稼働実績情報を算出することが可能となる。履歴情報、機種稼働情報には、このように店舗単位での稼働実績情報を算出する形態の他、パチンコ遊技機1が導入された地域毎に稼働実績情報を算出することも考えられる。その場合、履歴情報には、パチンコ遊技機1の導入地域に関する情報が含められるとともに、機種稼働情報には、導入地域毎の集計期間、稼働時間が必要となる。
また、本実施形態では、履歴情報と機種稼働情報に基づき、データROM124の稼働実績情報を算出し、再利用可能か否かを自動判定しているが、データROM124の再利用可能か否かの判断は、人(ユーザ)が判断することとしてもよい。例えば、データROM124の履歴情報を読み出して表示部に表示させ、表示部に表示される履歴情報に基づいて人(ユーザ)が再利用か否かを判断することが考えられる。あるいは、書込処理で説明した稼働実績情報の算出を装置の処理として実行し、稼働実績情報を人が判断することとしてもよい。
以上、本実施形態においてリサイクル対象となるデータROM124は、本来、不良エリアに代えてデータを記憶するための冗長領域を使用することで、データROM124のデータ領域に影響を及ぼすこと無く履歴情報を記憶し、データROM124のリサイクルを適切に行うことが可能となる。特に、遊技機の業界では、公正性の観点から、同じ機種間においてデータROM124が記憶するプログラム、データの同一性が必要であるため、データROM124の利用状況によって異なる履歴情報を冗長領域に記憶することで、通常使用するデータ領域に履歴情報による記憶情報の相違を生じさせないことはデータROM124のリサイクルを適切に管理する上で重要である。
次に、データROM124−1〜124−3のデータチェックについて説明する。データROM124−1〜124−3のデータチェックは、演出制御基板108のデータROM124−1〜124−3搭載用の各ソケットに正しい位置で、データROM124−1〜124−3が挿入されているかどうか、さらには各ソケットに搭載されたデータROM124−1〜124−3に記憶するデータが正しいかどうかをチェックするものである。本実施形態では、データのチェックに各データROM124−1〜124−3の所定アドレス範囲のデータを加算し、チェックサムデータと照合するチェックサム方式を使用している。データのチェックには、本実施形態のチェックサム方式に代え、他の方式を使用することも可能である。なお、図6等を用いて説明したように、データ領域中に不良領エリアが存在する場合、不良領域エリアに記憶されていた冗長領域の代替エリアに記憶される。したがって、パチンコ遊技機1に搭載されたデータROM124−1〜124−3に対してデータチェックを行う場合、データ領域中の不良エリアは、代替エリアのデータに読み替えられる。
以下、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1の動作について説明する。図12は、遊技制御基板11の基本回路100内のCPU103が実行する処理を示すフロー図である。パチンコ遊技機1の電源が投入されると、図12(a)に示すメイン処理が実行されることとなる。
メイン処理では、まず初期設定処理が行われる(ステップS11)。初期設定処理では、後述する割り込み処理を実行するタイミングを規定するタイマ割り込み時間(例えば、2msec)をCPU103に設定する処理が行われる。これにより、電源投入等によるリセット後、最初の割り込み処理が実行されるタイミングを規定するための計時が開始される。また、初期設定処理においては、種々のタイマをセットするための処理も行われる。
初期設定処理が終了すると、この電源投入前に生じた電源エラーによる電源遮断時における状態のバックアップがされていないかどうかを判定する(ステップS12)。電源遮断時における状態のバックアップがされていれば、バックアップされていた状態を復元して、電源エラーの前の状態に復帰する。この際、演出制御基板108、払出制御回路106などのサブ基板に、まず電源復旧コマンドを送信する。さらに必要に応じて電源エラー前の状態から処理を再開させるための各種コマンドを送信する(ステップS13)。そして、復帰した電源エラーの前の状態からの処理(ステップS16、S17)を継続して行う。
電源遮断時における状態のバックアップがされていなければ、RAM102を初期化すること、及び各種フラグの初期化などの処理が行われる(ステップS14)。次に、演出制御基板108、払出制御回路106などのサブ基板などに初期化コマンドを送信し、これらのサブ基板の状態を初期化させる(ステップS15)。
サブ基板の初期化が行われると、確定図柄(予定停止図柄)を決定するための表示図柄乱数、及び特図ゲームの変動表示パターンを決定するための変動パターン決定用乱数を更新する処理が行われる(ステップS16)。さらに、特図ゲームで大当たりとするかどうかを決定するための大当たり乱数に設定すべき初期値を決定する初期値決定用乱数を更新する処理が行われる(ステップS17)。ステップS15でサブ基板の初期化が終了した後には、ステップS16及びS17の処理が無限ループで繰り返して実行されることとなる。この間にタイマ割り込みが入ると、図12(b)のタイマ割り込み処理が実行され、タイマ割り込み処理が終了すると、再度ステップS16及びS17の無限ループの処理が実行されることとなる。
タイマ割り込み処理では、まずゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23等の状態を入力し、各入賞口や通過ゲートに対する入賞があったか否かを判定するスイッチ処理を行う(ステップS21)。第1始動口スイッチ22Aにより始動入賞が検出された場合には、このスイッチ処理において始動記憶処理が実行される。具体的には、第1始動口スイッチ22Aにより始動入賞が検出されると、そのタイミングで大当たり判定用の乱数値が抽出され、始動記憶用の特別図柄判定用バンクにその抽出値が記憶される。これにより始動記憶がなされる。始動記憶用の特別図柄判定用バンクは、第0バンク〜第3バンクの4カ所から構成されており、この4カ所のバンクによって最大4個の始動記憶が可能となる。よって、始動入賞が検出された際に全てのバンクに記憶がある場合には、その始動入賞が無効とされる。
次に、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断を行い、その結果に応じて必要ならば警報を発生させる等の処理を含むエラー処理を行う(ステップS22)。
さらに、大当たり乱数を更新する処理が行われ(ステップS23)、初期値決定用乱数を更新する処理が行われ(ステップS24)、表示図柄乱数及び変動パターン決定用乱数を更新する処理が行われる(ステップS25)。ここで、初期値決定用乱数は、大当たり乱数の値が周期的に更新されるのを避けるために、例えば大当たり乱数の値が最大値に達した後に最初に行われるタイマ割り込み処理で、大当たり乱数の値として設定する初期値を決定するための乱数である。
ステップS23〜S25における各種の乱数値の更新が終了すると、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。この特別図柄プロセス処理では、入賞確認処理が行われた後に、上記した各種の乱数を抽出して、特図ゲームの結果を大当たり表示態様とするか、特図ゲームにおける確定図柄をどの種類の図柄とするか、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示パターンをどのパターンとするか、などを抽選によって決定する処理、そして、変動表示パターンによって特別図柄を変動表示させる処理、変動表示された特別図柄を停止し、大当たりを実行する処理等が含まれる。
次に、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。この普通図柄プロセス処理では、普通図柄を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。具体的には、普通図柄を所定の順序で変動表示し、普通図柄の変動表示が当たりとなった場合、普通可変入賞球装置6Bの可動翼片を一定期間開いた状態にする。普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
次に、特別図柄コマンド処理を行う(ステップS28)。この特別図柄コマンド処理は、ステップS26において特別図柄表示用のコマンドが生成されていれば、これを基本回路100から演出制御基板108へ伝送する処理である。ここで伝送されるコマンドは、変動表示パターンや確定図柄に関する情報を含んでいる。次に、普通図柄コマンド処理を行う(ステップS29)。この普通図柄コマンド処理は、普通図柄を表示制御するためのコマンドを基本回路100から演出制御基板108へ伝送する処理である。
次に、情報出力回路112を介して確変情報、大当たり情報、始動情報、賞球情報等の情報を外部に出力する情報出力処理を行う(ステップS30)。次に、ソレノイド81、82を励磁制御するための制御信号をソレノイド回路111に出力するソレノイド出力処理を行う(ステップS31)。次に、基本回路100から払出制御回路106に賞球個数信号と賞球可能信号とを送信して、賞球の払出指令を行うための賞球処理を行う(ステップS32)。
次に、保留記憶処理を行う(ステップS33)。この保留記憶処理は、例えば、第1始動入賞口に遊技球の入賞があって保留記憶が増加した場合や特別図柄の変動が開始されて保留記憶が減少した場合などの保留記憶数が変化した場合に、保留記憶数の表示変更を指示するための保留記憶数コマンドを基本回路100から演出制御基板108へ伝送する処理である。このステップS33の処理が終了すると、前述したステップS16及びS17のループの処理に戻る。
以上示した処理により、遊技制御基板11の側では、特図ゲームによって抽選を行い、その結果が大当たりとなった場合に、大当たり制御として特別可変入賞球装置7を一定期間断続的に開放させる。また、入賞によって、遊技球の払い出し、遊技状態を大当たり制御が行われる特定遊技状態や確率変動大当たりに基づく確率変動状態に移行させている。
以上の図12に示した処理は、パチンコ遊技機1が出荷された後に遊技店に設置され、遊技者が遊技を行うべく運用される場合において行われる処理である。これに対して、パチンコ遊技機1が工場などから出荷される前においては、各種の製品のテストが行われることとなる。以下に、演出制御基板108に搭載されたデータROM124−1〜124−3に対するデータチェック、すなわち、データROM124−1〜124−3が演出制御基板108上の正しいソケットに搭載されているか、また、データROM124−1〜124−3に記憶するデータが正しいかどうかをチェックするテストについて説明する。
本実施形態において、データROM124−1〜124−3に対するデータチェックは、演出制御基板108のコネクタ120に遊技制御基板11が接続されていない状態で行われる。すなわち、データチェックを行う場合、演出制御基板108のコネクタ120には、遊技制御基板11からのケーブルは抜かれた状態となる。パチンコ遊技機1を検査する検査者は、演出制御基板108のコネクタ120にケーブルが接続されていないことを確認し、パチンコ遊技機1の電源を投入する。
演出制御基板108のCPU121は、遊技時には、遊技制御基板11から送られてくるコマンドに基づいて、遊技に関する演出を制御することになるが、テスト時には、演出制御基板108の側で独自のテストを行う。電源投入時においては、特有の処理が行われる。図13は、パチンコ遊技機1の電源が投入された時点において、演出制御基板108のCPU121が実行する電源投入時処理を示すフロー図である。
電源投入時処理においては、最初に内部タイマにより計時を開始する(ステップS101)。計時を開始した後、ステップS15において遊技制御基板11から送信される初期化コマンド、またはステップS13において遊技制御基板11から送信される電源復旧コマンドを受信したかどうかを判定する(ステップS102)。初期化コマンドと電源復旧コマンドのいずれも受信していなければ、内部タイマの計時開始から所定時間を経過したかどうかを判定する(ステップS103)。計時開始から所定時間を経過していなければ、ステップS102の処理に戻り、初期化コマンドまたは電源復旧コマンドを受信するか、所定時間を経過するまで、ステップS102、S103の処理を繰り返す。
初期化コマンドまたは電源復旧コマンドを受信することなく内部タイマの計時開始から所定時間を経過した場合には、コネクタ120に遊技制御基板11からのケーブルが接続されていないものと判断し、データチェック用の制御データを制御データキューに設定する。電源投入時、制御データキューは空となっているため、ここでデータチェック用の制御データは、制御データキューの先頭に入れられることとなる(ステップS104)。そして、電源投入時処理を終了する。本実施形態では、コネクタ120に遊技制御基板11からのケーブルが接続されていないときに、データチェック用の制御データを制御データキューに設定して、データチェック処理を実行することとしているが、データチェック処理を開始する条件としては、このような形態以外に、演出制御基板108(例えば、コネクタ120)にテスト基板を接続し、テスト基板から所定の信号を受信することでデータチェック処理を開始することや、通常の使用状態(遊技制御基板11と演出制御基板108とがケーブルで接続されている状態)において、遊技機1の電源投入毎に行われることとしてもよい。あるいは、通常の使用状態において、データチェック処理を開始するための操作部を設け、操作部が操作されることで開始することとしてもよい。これら各種データチェック処理の開始条件は、複数併存させること、あるいは、何れかに設定可能とすることとしてもよい。
内部タイマの計時開始から所定時間を経過するまでに初期化コマンドまたは電源復旧コマンドを受信した場合には、CPU121の内部レジスタやRAM122は初期化され、さらにCPU121からの指示により、VDP125、VRAM126及びADP127も初期化される(ステップS105)。電源復旧コマンドであった場合もこのような初期化処理を行うのは、遊技制御基板11側における処理と演出制御基板108側における処理とに矛盾が生じることがないようにするためである。そして、電源投入時処理を終了する。
電源投入時処理を終了すると、CPU121は、通常の処理を行うものとなる。図14は、電源投入時処理の終了後において、演出制御基板108のCPU121が実行する処理を示す図である。CPU121は、図14(a)に示すコマンド受信待機処理と、図14(b)に示す制御データチェック処理とを並行して行うものとなる。これらの処理は、例えば、タイマ割り込みなどによって一定時間毎に切り替えて実行される。
図14(a)のコマンド受信待機処理においては、CPU121は、遊技制御基板11から送られてくるコマンドを受信したかどうかを判定している(ステップS201)。コマンドを受信するまでは、ステップS201の処理を繰り返し、コマンドの受信を待機している状態にある。なお、初期化コマンド及び電源復旧コマンドは、それに基づく処理がステップS102で行われるため、ここでの判定対象とはならない。もっとも、電源復旧コマンドに続けて送信される各種コマンドは、ここでの判定対象となる。遊技制御基板11からいずれかのコマンドを受信すると、受信したコマンドに応じた制御データを制御データキューの最後尾に設定する。
図14(b)の制御データチェック処理においては、CPU121は、制御データキューをチェックし、いずれかの制御データが設定されているかどうかを判定している(ステップS251)。制御データキューに制御データが設定されるまでは、ステップS251の処理を繰り返し、制御データが設定されるのを待機する。制御データキューに制御データが設定されていると、設定されている制御データの内、先頭の制御データを取り出す(ステップS252)。そして、取り出した制御データの種類が何であるかを判定する(ステップS253)。
取り出した制御データがデータチェック用の制御データであった場合には、詳細を後述するデータチェック処理を行って、演出制御基板108のデータROM124−1〜3を搭載すべき各ソケットに、データROM124−1〜3が正しく搭載されているか、及び搭載されたデータROM124−1〜3のデータが正しいかどうかをチェックするデータチェック処理を行う(ステップS254)。データチェック処理が終了すると、ステップS251の処理に戻る。
取り出した制御データがその他の種類の制御データであった場合には、それぞれの制御データの種類に応じた処理を実行する。すなわち、データチェック用以外のテストに関する制御データであれば、当該制御データが示すテストを実行する。演出に関する制御データであれば、当該制御データに従ってVDP125および/またはADP127に指示を送り、データROM124−1〜124−3に記憶されたデータを用いて演出を実行させる(ステップS255)。その後、ステップS251の処理に戻る。
次に、ステップS254のデータチェック処理について詳しく説明する。図15は、データチェック処理を詳細に示すフロー図である。本実施形態のデータチェック処理では、データROM124−1〜124−3に記憶している各種データ(画像データ、音声データ、ランプデータ、管理テーブル)が正常であるか否かを判定する判定処理と、データROM124−1〜124−2に記憶する画像データを画像表示装置5に表示する再生処理と、を並行して行うこととしている。従来のデータチェック処理では、データチェックの対象となるパチンコ遊技機1では、データチェックのみが行われていた。現在、データROM124−1〜124−2に記憶する画像データは、データ量が大きい、また、画像データ数も多いことを理由として、データチェック処理には相当の時間が必要となる。検査者は、データチェック処理の期間中、操作する必要も無いため、ただ、データチェック処理の終了を待つ必要があった。
本実施形態のデータチェック処理は、このような従来の状況を鑑みたものであり、データチェック処理の期間中、データチェック処理の対象となる画像データを画像表示装置5にて再生可能とすることで、検査者は、画像表示装置5にて再生される画像データを視認しつつ、データチェック処理の終了を待つことが可能となっている。また、検査者は、データチェック処理の対象となる画像データを、目視にて確認することが可能となり、画像データの表示上の不具合を確認することが可能となる。
データチェック処理が開始すると、まず、モード判定(ステップS301)が行われる。本実施形態では、画像データの再生を優先して行う画像再生優先モードと、データチェック優先モードを選択することが可能である。画像再生優先モードは、データチェックよりも画像データの再生を優先するモードである。データチェックは、CPU121における画像データ再生の余力を使用して実行される。一方、データチェック優先モードでは、CPU121は、終始データチェックを実行する。
モードの選択は、データチェック処理の期間中、パチンコ遊技機1に設けた操作部から検査者等の入力を受け付けることで行われる。パチンコ遊技機1を起動した直後の、初期状態としては、画像再生優先モード、データチェック優先モードのどちらに設定されていてもよい。操作部による検査者等の操作により、初期状態として設定されていたモードを変更することが可能である。本実施形態では、遊技時において、遊技者が操作する操作部を使用して、データチェック処理における各種入力を行うことが可能である。本実施形態では、操作部としてスティックコントローラ31を使用している。操作部には、スティックコントローラ31の他、遊技者が遊技時に使用する各種スイッチ、ハンドル等を使用することが可能である。データチェック処理時に使用する入力部として、遊技者が遊技時に使用する操作部を使用することで、データチェック処理専用の入力部など、余分な入力部を設ける必要が無い。また、遊技時に使用する操作部は、画像表示装置5側に設けられているため、データチェック処理時には、遊技時と同様、検査者は画像表示装置に対峙した状態で、操作部を操作することが可能である。
図17には、データチェック処理時における画像表示装置5の様子が示されている。画像表示装置5の画面には、全体進行状況501、モード設定欄502、カーソル503、個別進行状況504、操作案内505が表示されている。全体進行状況は、3つのデータROM124−1〜124−3について、データチェックの完了率を示している。モード設定欄502は、現在設定されているモード(図17の場合、データチェック優先モードに設定)が表示されている。モードの設定は、スティックコントローラ31を使用して行われる。本実施形態では、画像再生優先モードを選択した場合、再生する画像データを選択することが可能となっている(図17の場合、データチェック優先モードであるため、画像データの選択はできない状態となっている)。
個別進行状況504には、各データROM124−1〜124−3のデータチェックの完了率が表示される。操作案内505は、スティックコントローラ31による操作方法が表示されている。本実施形態では、スティックコントローラ31の操作桿31Aを奥行き方向、手前方向に傾倒することでカーソル503を、メニュー上下に移動させることが可能となっている。また、前ボタン31Bを操作することでモード変更することが可能となっている。なお、操作案内505中、データチェック処理の入力に関与しない操作については、破線枠で示されている。
図17に示すようにデータチェック優先モードに設定されている場合(S301:データチェック優先)、データROM124−1〜124−3に記憶しているデータが正常であるか否かを判定する判定処理を実行する(ステップS400)。本実施形態では、判定処理にチェックサム処理を採用している。図16には、判定処理としてのチェックサム処理(ステップS400)が示されている。データチェック処理においては、まず、中断状態か否かが判定される(ステップS401)。中断状態、及び、その再開については、後ほど、説明を行う。中断状態ではない場合、すなわち、始めてチェックサム処理が行われる場合(ステップS401:No)には、各データROM124−1〜124−3に対してループ処理を行う(ステップS402〜S414)。例えば、データROM124−1を判定対象とする場合、変数MにX(データROM124−1の先頭アドレス)の値が代入される(ステップS403)。そして、M番地のデータがデータROM124−1から読み出される(ステップS405)。読み出されたデータは、VDP125のアトリビュートRAM125aを介して、RAM122に格納される。CPU121は、読み出されたデータについて、当該データを構成するワード列を加算した値(チェックサム)を算出する(ステップS406)。
一方、CPU121は、M番地に対応するチェックサムデータをプログラムROM123から読み出す(ステップS407)。チェックサムデータは、予め、プログラムROM123に記憶されたデータであって、データROM124−1〜124−3の記憶内容を判定するための基準となるデータである。ステップS406で算出されたチェックサムが、このチェックサムデータと一致したことを条件として、データROM124−1〜124−3に記憶しているデータが正常であると判定される。ステップS408では、プログラムROM123から読み出したM番地に該当するチェックサムデータと、M番地から読み出して算出したチェックサムとを比較して判定を行う。
データは正常である、すなわち、チェックサムデータとチェックサムとが一致した場合(ステップS409:Yes)、変数Mを1つ歩進して、次の番地の判定にすすむ(ステップS411:Yes)。このとき、対象となるデータROM124−1〜124−3の最終アドレスまで判定が終了した場合(ステップS413:Yes)には、判定の対象となるデータROM124−1〜124−3を変更し、変更したデータROM124−1〜124−3を対象として、ステップS402〜S414のループを実行する。また、最後のデータROM124−1〜124−3の判定が終了した場合(ステップS414)には、ループを抜け、チェックサム処理を終了する。
一方、データに異常がある、すなわち、チェックサムデータとチェックサムとが不一致の場合(ステップS409:No)、M番地のデータ異常をRAM122に記憶する(ステップS410)。データ異常があった場合、本実施形態では、その旨を画像データ等のファイル単位で、画像表示装置5に表示して通知することとしている。なお、本実施形態では、データ異常があった場合、判定対象としているデータROM124−1〜124−3の残るデータについても継続して判定を行うこととしているが、データ異常があったデータROM124−1〜124−3については、異常が見つかった時点で判定を中止することとしてもよい。
ステップS402〜S414のループ中において、ユーザの操作により、モード変更が行われた場合、CPU121は、変数MをRAM122に記憶してチェックサム処理を一次、中断する。中断状態の場合(ステップS401:Yes)、記憶した変数Mを読み出し(ステップS404)、M番地からチェックサムの算出、チェックサムとの比較が再開される。
以上、チェックサム処理では、判定対象となるデータROM124−1〜124−3について、記憶しているデータのチェックサムを計算し、チェックサムデータと比較することで、記憶しているデータが正常か否かを判定することを可能としている。本実施形態では1番地のデータ毎にチェックサムを計算しているが、チェックサムの計算単位は、このように1番地のみならず、複数番地のデータについてチェックサムを計算する、あるいは、データROM124−1〜124−3に記憶する画像データ、音声データ、ランプデータの単位でチェックサムを計算する等、各種形態を採用することが可能である。また、データの判定手法については、チェックサム処理のみならず、各種方式を採用することも可能である。
次に、画像再生優先モードが指定されている場合(ステップS301:画像再生優先)の処理について説明する。本実施形態では、画像データの再生を行う画像再生優先モードにおいて、検査者等のユーザによる操作により、再生する画像データを選択することが可能となっている。図18には、データチェック処理時における画像表示装置5の様子が示されている。この状態は、モード設定欄502に表示されているように画像再生優先モードに設定された状態である。この画像再生優先モードでは、検査者等のユーザは、カーソルを移動させることで、各データROM124−1〜124−3に記憶された画像データ、音声データ、ランプデータを再生することが可能となっている。ユーザは、再生させたいデータROM124−1〜124−3に、操作桿31Aを奥行き方向、手前方向に操作することで、カーソル503を合わせ、操作桿31Aを右方向に操作することで、当該データROM124−1〜124−3に記憶するデータ(ファイル名)を確認、指定することが可能である。
図19には、データチェック処理時の画像データ選択画面が示されている。この画像データ選択画面は、データROM124−1内の画像データを選択する画面である。ちょうど、図18のカーソル503位置で、下層へ下りたときの状態である。この画像データ選択画面では、データROM124−1に記憶する画像データ(ファイル単位)を指定することが可能である。この画像データ選択画面には、ファイル選択欄506が設けられ、データROM124−1内に記憶する画像データがファイル単位で表示されている。また、ファイル選択欄506には、各画像データについて、チェック状況、すなわち、チェックサム処理の状況(完了もしくは未完了、完了したものについては異常の有無)が表示されている。ユーザは、再生する画像データを指定することが可能である。本実施形態では、操作桿31Aを奥行き方向、手前方向に操作することで、再生したい画像データのファイル名にカーソル503を合わせ、前ボタン31Bを操作することで、当該画像データを再生し、画像表示装置5に表示する。特に、本実施形態では、ファイル選択欄506にチェック状況が表示されているため、ユーザはチェック状況を参照し、再生する画像ファイルを選択することが可能である。例えば、チェックサム処理が完了し、データ的には異常の無い画像データを対象として再生を行い、目視による確認を行う、あるいは、異常のあった画像データを対象として再生を行い、視覚上どのような異常があるのかを確認することが可能である。なお、このように検査者等のユーザに画像データを選択することに代え、画像データを所定の順番で順次再生する、あるいは、ランダムに再生する等、各種再生の形態を採用することが可能である。
図20には、画像データ選択画面において、前ボタン31Bの操作により画像データの再生が指定され、画像データの再生が開始された状態が示されている。本実施形態では、画像表示装置5上に再生された画像データ上に、画像データ選択画面を構成する各種文字を重畳して表示させている。図20では、文字を識別しやすいように再生された画像データを破線で示している。このように、画像データを選択するためのインターフェイスと、再生される画像データを同じ画面上で表示する場合、重畳して表示させる、あるいは、領域を分けて表示する等、画像データの表示上の制約が生じることになる。そのため、本実施形態では、画像データを選択するためのインターフェイス(画像データ選択画面)を、後ボタン31Cを操作することで消去可能としている。
図21には、後ボタン31Cの操作により、画像データ選択画面中の文字等が非表示となり、再生された画像データのみが表示された画像表示装置5の様子が示されている。このように、画像データのみを表示することで、ユーザは、再生された画像データを、画像データ選択画面の文字等で遮られることなく確認することが可能である。画像データ選択画面を再度表示させたい場合には、再度、後ボタン31Cを操作することで、図20の画面状態に復帰することが可能である。
なお、画像再生処理において、再生の対象とする画像データは、チェックサム処理の完了した画像データのみとすることとしてもよい。チェックサム処理の完了していない画像データに対しては、カーソル503が移動しない、あるいは、前ボタン31Bを操作しても再生が開始しないようなインターフェイスとすることが考えられる。
このように画像再生優先モードにおいて、画像データの指定が行われた場合(ステップS302:Yes)、指定された画像データを再生する画像再生処理が実行される(ステップS303)。指定された画像データの再生が終了した場合(ステップS304:Yes)、チェックサム処理の完了を判定し(ステップS307)、まだ、チェックサム処理が完了していない場合(ステップS307:No)には、データチェック処理の先頭に戻って処理を継続する。なお、本実施形態では指定された画像データを再生が終了するまで、継続して再生することとしているが、画像データの再生は、スティックコントローラ31等の操作によって途中で中断させることも可能である。ところで、画像データを再生する画像再生処理では、その実行中にチェックサム処理を行うための空き時間の確認を行う(ステップS305)。画像データには、静止画、動画のどちらであってもよいが、静止画の場合には、一旦、画像データの読み出しを完了した場合には空き時間が発生する。また、動画の場合においても、MP4規格等により圧縮された画像データでは、前の画像に対する差分によって画像を構成するため、動画が静止状態にある場合等には空き時間が発生する。
本実施形態では、画像再生処理中に空き時間が発生した場合(ステップS305:Yes)、前述したチェックサム処理(ステップS400)を実行する。チェックサム処理(ステップS400)では、空き時間が終了したことを判断した場合(S412:Yes)、変数MをRAM122に記憶(ステップS415)して、チェックサム処理を中断する。また、チェックサム処理の再開時(ステップS401:Yes)には、変数Mを読み出して、チェックサム処理を再開する。一方、画像データ選択画面等において、画像データが指定されていない場合(ステップS302:No)には、チェックサム処理(ステップS400)を実行する。このように、画像再生優先モードでは、画像データの再生を優先させることで、画像データの再生と、チェックサム処理(ステップS400)とを、画像データの再生に支障なく、並行して進行させることが可能となっている。
チェックサム処理(ステップS400)が完了した場合(ステップS306:Yes)には、画像表示装置5にチェックサム処理の結果を表示する(ステップS307)。図22には、チェックサム処理の結果表示画面が示されている。結果表示画面には、全体進行状況501の他、3つのデータROM124−1〜124−3のそれぞれについて、異常の有無を示す結果表示欄507が示されている(この例では全て異常なし)。検査者等のユーザは、この結果表示画面を視認することで、各データROM124−1〜124−3に異常があるかないかを確認することが可能である。この結果表示画面は、ユーザによる指示(前ボタン31Bの操作)があるまで、継続して表示される。前ボタン31Bの操作による終了指示を検出した場合(ステップS308:Yes)、一連のデータチェック処理を終了する。本実施形態では、チェックサム処理の完了後、すぐに、データチェック処理を完了し、チェックサム処理の結果を表示させることとしているが、データチェック処理では、チェックサム処理が完了した場合においても画像再生処理を継続して行うことを可能としてもよい。このような形態では、チェックサム処理の完了後に、検査者がスティックコントローラ31等の操作部を使用して、結果表示を指示することで、チェックサム処理の結果を表示することが、画像再生処理で再生されている画像データの視認上、邪魔にならないため好ましい。
以上、本実施形態のパチンコ遊技機1において実行するデータチェック処理では、画像データが正常か否かを判定する判定処理と、画像データを再生する再生処理とを並行して実行することで、判定処理が完了するまでの期間中、画像データを再生して画像表示装置5に表示することが可能となり、検査者等のユーザは、判定処理の完了を待つ間、再生された画像を視認、確認することが可能となる。なお、本実施形態では、再生処理として遊技時の演出のための画像データのみを再生対象としているが、データROM134−3には、演出に使用する音声データ、ランプデータが格納されている。再生処理には、画像データのみならず、音声データ、ランプデータを再生対象としてもよい。検査者は、音声データを再生した場合には、スピーカ8R、8Lから放音される音声を聴取して確認を行い、ランプデータを再生した場合には、ランプデータに従って点灯する遊技効果ランプ10を視認して確認を行う。また、遊技時には、画像データ、音声データ、ランプデータを組み合わせた演出を行う場合がある。再生処理では、複数のデータ(画像データ、音声データ、ランプデータの内の少なくとも2つのデータ)を組み合わせて再生し、実際の演出を確認できるようにしてもよい。
また、本実施形態では、データチェック処理の開始時において、図17で説明した各種メニューを表示する画面を表示しているが、データチェック処理の開始時には、このような画面を表示せずに、従来のデータチェック処理と同様、画像表示装置5には、何も表示しない、あるいは、データチェックの進行状況を示す数値、記号などのみを表示する形態としてもよい。このような形態では、スティックコントローラ31等の操作部に所定の操作を行うことで、図17に示す各種メニューを表示する画面が表示されることになる。
また、本実施形態では、操作によって指定された画像データを再生することとしているが、画像データの指定を行うことなく、例えば、あらかじめ定められた順番、あるいは、ランダムに、データROM124に記憶している画像データを再生してもよい。また、チェックサム処理が完了した画像データを再生することとしてもよい。所定数の画像データのチェックサム処理が完了する毎に、当該チェックサム処理の完了した画像データを再生すること等が考えられる。このように画像データを指定することなく自動的に選択して再生する形態では、データチェック処理時において、画像表示処理と、チェックサム処理とを一定期間毎、あるいは、所定の割合で交互に実行する等することで、画像表示処理とチェックサム処理を並行して行うことが可能である。
また、本実施形態では、変形例として以下の構成を採用することも可能である。上記実施の形態においては、変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを演出制御基板12に通知するために、変動を開始するときに1つの変動パターンコマンドを送信する例を示したが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御基板12に通知する様にしてもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、遊技制御用マイクロコンピュータ100は、1つ目のコマンドでは擬似連の有無、滑り演出の有無等、リーチとなる以前(リーチとならない場合には所謂第2停止の前)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無等、リーチとなった以降(リーチとならない場合には所謂第2停止の後)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信する様にしてもよい。この場合、演出制御基板12の側では、2つのコマンドの組合せから導かれる変動時間にもとづいて変動表示における演出制御を行うようにすればよい。尚、遊技制御用マイクロコンピュータ100の方では2つのコマンドのそれぞれにより変動時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な変動態様については演出制御基板12の方で選択を行う様にしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信する様にしてもよく、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(例えば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信する様にしてもよい。尚、それぞれのコマンドで示される変動態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知する様にすることで、変動パターンコマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
その他にも、パチンコ遊技機1の装置構成、データ構成、フローチャートで示した処理、画像表示装置5の表示領域における演出画像の表示動作を含めた各種の演出動作などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変更及び修正が可能である。加えて、本発明の遊技機は、入賞球の検出に応答して所定数の賞球を払い出す払出式遊技機に限定されるものではなく、遊技球を封入し入賞球の検出に応答して得点を付与する封入式遊技機、または、特定の通過ゲートを通過した場合に大当り遊技状態に制御する遊技機にも適用することができる。この場合、当該通過ゲートを通過したことにより連続して大当り遊技状態となった回数を、連続大当り回数報知演出として報知すればよい。さらには遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、可変表示装置で導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンにも適用することができる。
例えば、スロットマシンにおける遊技状態には、例えばレギュラーボーナス、ビッグボーナス、通常遊技状態があり、その他にも、通常遊技状態よりも遊技者にとって有利度が高い遊技状態として、例えば、リールの導出条件(例えば停止順や停止タイミング)が満たされることを条件に発生する報知対象入賞の導出条件を満たす操作手順が報知される遊技状態(いわゆるアシストタイムあるいはAT)や、特定の入賞(例えばリプレイ入賞やシングルボーナス入賞等)の発生が許容される確率が高まる遊技状態(いわゆるリプレイタイムあるいはRTや集中状態)、さらには、これらを組み合わせた遊技状態などがある。加えて、リプレイタイムとなった後、所定の転落役に当選して該転落役に対応する終了図柄組合せが導出されることによりリプレイタイムを終了させる場合に、リプレイタイムとなってから終了図柄組合せが導出されることなく所定数のゲームを消化したことを条件として、転落役に当選したときに当該転落役を回避するための情報を報知する報知期間(ART)に制御してもよい。あるいは、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが終了した後、直ちにARTへの制御が開始されてもよい。そして、上記実施の形態で示した連続大当り回数報知演出を、例えば、レギュラーボーナスまたはビッグボーナスなどの特別遊技状態に移行した回数としてもよいし、また、10回を1セットとしたART制御が何回連続して行われているかなどを表示する演出として実行してもよい。
本発明を実現するためのプログラム及びデータは、パチンコ遊技機1に含まれるコンピュータ装置などに対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置などの有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採っても構わない。さらに、本発明を実現するためのプログラム及びデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採っても構わない。
そして、ゲームの実行形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラム及びデータを、内部メモリ等に一旦格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。さらには、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行うことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。