JP2016077755A - 皮膚のタルミ度合いの評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
タルミ度合いの評価としては基準写真による専門家の判定やモアレ画像による判定方法が知られている(非特許文献1、非特許文献2)。タルミ度合いを評価する方法として特許文献1には仰臥位と座位との重力方向の差による顔面皮膚の位置変異量の差を指標とした皮膚タルミ量測定装置が開示されている。特許文献2には非接触型三次元形状計測装置を用いて、施術前後や日内変動における、顔の立体形状の変化量を計測して評価を行う技術も開示されている。
また、特許文献3には簡便且つ客観的なタルミ度合の評価方法として衝撃波の伝搬時間を指標とした評価方法が記載されている。
皮下脂肪は、組織に対する衝撃の緩和や保温機能等を有している。また、皮膚支帯は線維成分からなる網目構造を形成し、真皮と筋膜を結合させ皮下組織の構造維持に働いている。形成外科分野において、皮膚支帯の存在は知られていたが、その組成や形成メカニズムは不明であった。そのため、皮下組織の構造情報と視覚的な皮膚のタルミとの関係については未だにまったく知られていない。
本願発明の皮下組織の構造情報と皮膚のタルミ度合いの関係性が明らかにできれば、皮下組織の構造を改善できる有効成分や施術等の「皮膚のタルミ度合い」をより客観的かつ精度よく評価できることが期待される。そのため、皮下組織の構造情報に基づいた皮膚のタルミ度合いを推定可能な、客観的でより精度の高い方法が切望されていた。
(1)皮下組織構造情報を指標として皮膚のタルミ度合いを推定することを特徴とする
皮膚のタルミ度合いの評価方法。
(2)前記皮下組織構造情報が、皮膚支帯構造の疎密性、本数及び太さから選択される皮下組織構造情報特徴量の1種又は2種以上で表される請求項1に記載の評価法。
(3)前記皮下組織構造情報特徴量が、MRI(核磁気共鳴画像法)を用いて計測された
ものである請求項1又は2に記載の評価法。
本発明の皮膚のタルミ度合いの評価法は、皮下組織の構造情報を指標として皮膚のタルミ度合いを推定することを特徴とする。
本明細書において皮下組織の構造情報とは、例えば皮下組織中の皮膚支帯の状態や配置等を特徴づける皮膚支帯構造の疎密性、本数及び太さなどの皮下組織構造特徴量で表される。本発明の評価法においては、通常には、上記皮下組織構造特徴量の1種又は2種以上を指標として用いる。
皮下組織構造を観察する方法としては、MRI(核磁気共鳴画像法)を用いてパラメータを計測する方法が挙げられる。MRIは鮮明な断面画像が得られるだけでなく非侵襲的に観察を行えるため有用である。MRIとしては、フィリップス社、東芝メディカルシステムズ株式会社、日立メディコ社等から市販されているものを特に制限なく使用できる。
皮膚支帯構造の疎密性とは皮膚支帯構造が密であるか疎であるかの程度を表す。通常には皮膚支帯を同一条件で撮像した場合の撮像範囲における平均値で表すことができる。
皮膚のタルミ度合いが少ない場合には皮膚支帯構造は密であるが、皮膚のタルミ度合いの大きい場合には皮膚支帯構造は疎である。
測定対象者の測定部位について一定基準で選定した「特定の深さ平面」を、MRIで撮像し、撮像範囲内の任意数をサンプリングし、皮下組織領域の断面積に対する皮膚支帯の断面積の割合を測定することにより、皮膚支帯の疎密性を測定することができる。また、全測定対象者で前記平均値を並び替えたときの順位を断面積の相対スコアとして本発明に用いる指標とすることもできる。これら平均値が大きいことやスコア値が良いことは、皮膚のタルミ度合いが少ない状態であることを示す。
皮膚のタルミ度合いが少ない場合には皮膚支帯の本数は多いが、皮膚のタルミ度合いの大きい場合には皮膚支帯の本数は少なくなる。
測定対象者の測定部位について一定基準で選定した「特定の深さ平面」を、MRIで撮像し、撮像範囲内の任意数をサンプリングし、皮下組織領域の断面積に対する皮膚支帯の断面の粒子個数とすることができる。また、全測定対象者で前記平均値を並び替えたときの順位を皮膚支帯の本数の相対スコアとして本発明に用いる指標とすることもできる。これら平均値が大きいことやスコア値が良いことは、皮膚のタルミ度合いが少ない状態であることを示す。
皮膚のタルミ度合いが少ない場合には皮膚支帯は太いが、皮膚のタルミ度合いの大きい場合には皮膚支帯は細い。
測定対象者の測定部位について一定基準で選定した「特定の深さ平面」を、MRIで撮像し、撮像範囲内の任意数をサンプリングし、皮膚支帯の断面における各粒子の中心線に対する垂直方向の平均幅の平均値を皮膚支帯の太さとすることができる。また、全測定対象者で前記平均値を並び替えたときの順位を皮膚支帯の太さの相対スコアとして本発明に用いる指標とすることもできる。これら平均値が大きいことやスコア値が良いことは、皮膚のタルミ度合いが少ない状態であることを示す。
(1)皮下組織領域断面積に対する皮膚支帯断面積の測定
ア.測定範囲の設定
20代〜50代の日本人女性10名の鼻翼下縁部横断面像を3.0T超伝導型MRI装置(Acheiva 3.0T TX、フィリップス社)を用いて取得した(図1)。画像処理ソフト(ImageJ 1.47v)を用いてMRI画像(DICOM形式)の明るさ/コントラストを自動最適化したのち、8bit(グレースケール)に変換し、輪郭を抽出したのちに四角選択ツールで頬部の皮下組織領域を選択し測定領域とした(図2)。この選択領域を用いて、図1の画像から選択範囲を切り出しTIFF形式で保存した(図3)。
イ.二値化処理
図3の画像に対し、バンドパスフィルターを用いて低周波ノイズを除去した。さらに、コントラスト強調、輝度平均化をしたのちノイズ除去を行い、自動二値化処理した(図4)。
ウ.皮下組織領域の抽出
図4の画像に対し、皮下組織以外の領域を黒で塗りつぶし(図5)、皮下組織の輪郭線を関心領域(ROI:region of interest)枠として設定した。
エ.計測(面積)
図4の画像に対し、ウ.で設定したROIより外側の領域を除去し、ROI内の黒領域の総面積(a値)を計測した(図6)。また、図6の画像に対し、ROIより内側の領域を黒で塗りつぶし、その面積(b値)を計測した(図7)。
皮下組織断面積に占める皮膚支帯断面積の割合(%)=(a値/b値)×100
(2)タルミ度合いの写真評価
斜め45°の角度から顔面を写真撮影し、非特許文献1に従い作成したタルミグレード基準(図9)を用いて頬上部のタルミをグレーディングし、その値を評価結果とした。
(3)解析
上記測定した皮膚支帯面積率と写真評価のグレーディング値を用いJMP ver.6.0(SAS)を使用して、相関分析を行った(図10)。これにより皮膚支帯面積率と写真評価のグレーディング値に負の相関関係が認められ、皮膚支帯面積率を指標とした皮膚のタルミ度合いの程度を評価できることが分かる。
<皮膚支帯の本数に基づくタルミ度合いの評価>
(1)皮下組織領域断面積に対する皮膚支帯の本数
実施例1(1)と同様の方法によりROIの設定を行い、図6の画像について粒子個数(c値)を計測した。
皮下組織断面積に対する皮膚支帯本数の割合(%)=(c値/b値)×100
(2)タルミ度合いの写真評価
斜め45°の角度から顔面を写真撮影し、非特許文献1に従い作成したタルミグレード基準(図9)を用いて頬上部のタルミをグレーディングし、その値を評価結果とした。
(3)解析
上記測定した皮膚支帯本数と写真評価のグレーディング値を用いて、JMP ver.6.0(SAS)を使用して、相関分析を行った(図11)。これにより皮膚支帯本数と写真評価のグレーディング値に負の相関関係が認められ、皮膚支帯本数を指標とした皮膚のタルミ度合いの程度を評価できることが分かる。
(1)皮膚支帯の太さ
実施例1(1)と同様の方法によりROIの設定を行い、図6の画像の各粒子に対し、面積(d値)を計測した。さらに、図6を細線化処理したのち(図8)、各粒子の中心線の長さ(e値)を計測し、平均幅(d値/e値)を求めた。皮下組織の断面における全粒子の平均幅を足し合わせ、粒子個数(c値)で割った値を皮膚支帯の太さとした。
(2)タルミ度合いの写真評価
斜め45°の角度から顔面を写真撮影し、非特許文献1に従い作成したタルミグレード基準(図9)を用いて頬上部のタルミをグレーディングし、その値を評価結果とした。
(3)解析
上記測定した皮膚支帯の平均太さと写真評価のグレーディング値を用いて、JMP ver.6.0(SAS)を使用して、相関分析を行った(図12)。これにより皮膚支帯の太さと写真評価のグレーディング値に負の相関関係が認められ、皮膚支帯の太さを指標とし皮膚のタルミ度合いの程度を評価できることが分かる。
Claims (3)
- 皮下組織構造情報を指標として皮膚のタルミ度合いを推定することを特徴とする皮膚のタルミ度合いの評価方法。
- 前記皮下組織構造情報が、皮膚支帯構造の疎密性、本数及び太さから選択される皮下組織構造特徴量1種又は2種以上で表される請求項1に記載の評価法。
- 前記皮下組織構造情報特徴量が、MRI(核磁気共鳴画像法)を用いて計測されたものである請求項1又は2に記載の評価法。
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JP2020156690A (ja) * | 2019-03-26 | 2020-10-01 | 富士フイルム株式会社 | 弛み評価方法、弛み評価装置、及び弛み評価プログラム |
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JP2009538826A (ja) * | 2006-05-11 | 2009-11-12 | レジェニクス エーエス | 若返り用の細胞および細胞抽出物の投与 |
JP2011101738A (ja) * | 2009-11-11 | 2011-05-26 | Pola Chemical Industries Inc | 皮膚内部構造の鑑別方法 |
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- 2014-10-21 JP JP2014214888A patent/JP6528228B2/ja active Active
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