JP2016077102A - 双方向dc−dcコンバータ - Google Patents

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Masaya Kachi
雅哉 加地
洋平 今井
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Abstract

【課題】本明細書が開示する技術は、昇圧動作を行うための下アームSW素子にもう一つのSW素子を直列に挿入した双方向コンバータの改良に関する。
【解決手段】双方向コンバータ12では、上アームSW素子THと下アーム第1SW素子TL1と下アーム第2SW素子TL2がこの順で直列に接続されている。リアクトル15は、一端が低電圧側端子LTに接続されており、他端が上アームSW素子と下アーム第1SW素子の間に接続されている。フィルタコンデンサ14は、低電圧側端子LTとグランド線NLの間に接続されている。スナバコンデンサ8は、一端が上アームSW素子THのコレクタ電極THCに接続されており、他端が下アーム第1SW素子TL1と下アーム第2SW素子TL2の間に接続されている。スナバコンデンサ8を含む閉ループは下アーム第2SW素子TL2を含まないので、その閉ループのインダクタンスが大きくならない。
【選択図】図1

Description

本発明が開示する技術は、低電圧側端子に印加された電圧を昇圧して高電圧側端子に出力する昇圧機能と、高電圧側端子に印加された電圧を降圧して低電圧側端子に出力する降圧機能を有する双方向DC−DCコンバータに関する。本明細書では、説明を簡単にするため、双方向DC−DCコンバータを単に双方向コンバータと称することがある。
双方向コンバータの一つの典型的な適用例は、電気自動車である。その電気自動車では、双方向コンバータの低電圧側端子にバッテリが接続され、高電圧側端子にインバータが接続される。双方向コンバータは、バッテリの電圧を昇圧してインバータに供給する昇圧機能と、インバータから供給される回生電力を降圧してバッテリを充電する降圧機能を備える。特許文献1に、そのような双方向コンバータとインバータを組み合わせた電力制御装置の例が開示されている。双方向コンバータは、上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子とリアクトルとフィルタコンデンサを含む。上アームスイッチング素子は、その高電圧側電極が双方向コンバータの高電圧側端子に接続されており、その低電圧側電極が下アームスイッチング素子に直列に接続されている。下アームスイッチング素子の低電圧側電極はグランド線に接続している。リアクトルは、その一端が双方向コンバータの低電圧側端子に接続されており、他端が上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子の間に接続されている。フィルタコンデンサは、その一端が低電圧側端子に接続されており、他端がグランド線に接続されている。
特開2013−188106号公報
本願の発明者の一人は、上記した双方向コンバータにおいて、下アームスイッチング素子にもう一つのスイッチング素子を直列に接続した双方向コンバータを発明した(特願2014−7443、2014年1月20日出願、本願出願時は未公開)。もう一つのスイッチング素子は、通常は導通状態に保持される。もう一つのスイッチング素子は、下アームスイッチング素子の短絡故障が検知されると開放される。その双方向コンバータは、下アームスイッチング素子が短絡故障した場合にバッテリの短絡を防止しつつ高電圧側端子にバッテリの電力を出力することができる。
本明細書が開示する技術は、もう一つのスイッチング素子を備えた双方向コンバータの改良に関する。本明細書は、スイッチング素子が発生するサージ電流を抑制するスナバコンデンサを導入するものであり、スナバコンデンサを含む閉ループのインダクタンスが大きくならないように、スナバコンデンサの接続箇所を工夫するものである。
本明細書が開示する双方向コンバータは、上アームスイッチング素子と、下アーム第1スイッチング素子と、下アーム第2スイッチング素子と、3個のダイオードと、リアクトルと、フィルタコンデンサと、スナバコンデンサを備える。上アームスイッチング素子の高電圧側電極は双方向コンバータの高電圧側端子に接続されている。下アーム第1スイッチング素子は、上アームスイッチング素子の低電圧側電極に直列に接続されている。下アーム第2スイッチング素子は、下アーム第1スイッチング素子の低電圧側電極に直列に接続されている。下アーム第2スイッチング素子の低電圧側電極は、グランド線に接続されている。3個のダイオードは、夫々が、上アームスイッチング素子と下アーム第1スイッチング素子と下アーム第2スイッチング素子の夫々に個別に逆並列に接続されている。リアクトルは、その一端が双方向コンバータの低電圧側端子に接続されており、他端が上アームスイッチング素子と下アーム第1スイッチング素子の間に接続されている。フィルタコンデンサは、一端が低電圧側端子に接続されており、他端がグランド線に接続されている。スナバコンデンサは、一端が上アームスイッチング素子の高電圧側電極に接続されており、他端が下アーム第1スイッチング素子と下アーム第2スイッチング素子の間に接続されている。
上記した双方向コンバータは、スナバコンデンサと上アームスイッチング素子と下アーム第1スイッチング素子と2個のダイオードでサージ電流吸収用の閉ループが構成される。上アームスイッチング素子または下アーム第1スイッチング素子が発するサージ電流は、下アーム第2スイッチング素子またはそれに逆並列に接続されているダイオードを通過せずにスナバコンデンサに吸収される。下アーム第2スイッチング素子またはそれに逆並列に接続されているダイオードを通過しない分だけ閉ループのインダクタンスの増加が抑制される。
実施例の双方向コンバータを含む電気自動車の電力系のブロック図である。 システム起動時の短絡対策処理のフローチャート図である。 走行時の短絡対策処理のフローチャート図である。
図面を参照して実施例の双方向コンバータを説明する。実施例の双方向コンバータは、電気自動車に搭載されたパワーコントロールユニットに実装されている。図1に電気自動車100の電力系のブロック図を示す。電気自動車100は、実施例の双方向コンバータ12を含むパワーコントロールユニット10を備える。電気自動車100は、バッテリ21の電力で走行用のモータ23を駆動し、走行する。パワーコントロールユニット10は、バッテリ21の電力をモータ駆動に適した電力に変換してモータ23に供給する。以下では、説明を簡略するため、パワーコントロールユニット10をPCU10と略称する。
PCU10は、システムメインリレー22を介してバッテリ21に接続されている。PCU10は、双方向コンバータ12とインバータ13を備えている。双方向コンバータ12は、バッテリ21の出力電圧を昇圧してインバータ13に供給する。インバータ13は、昇圧された電力を交流に変換してモータ23に供給する。
電気自動車100は、車両の減速エネルギを使ってモータ23で発電し、バッテリ21を充電する場合もある。その動作は回生と呼ばれている。回生では、インバータ13は、モータ23が発電した交流電力を直流に変換して双方向コンバータ12へ供給する。双方向コンバータ12は、インバータ13から供給された電力を降圧してバッテリ21へ送る。このように、双方向コンバータ12は、低電圧側端子LTに印加された電圧を昇圧して高電圧側端子HTに出力する昇圧機能と、高電圧側端子HTに印加された電圧を降圧して低電圧側端子LTに出力する降圧機能を有する。なお、低電圧側のグランド端子LGTは、高電圧側のグランド端子HGTと直結されている。低電圧側のグランド端子LGTと高電圧側のグランド端子HGTを結ぶ線を負極母線NLと称する。負極母線NLは、インバータ13の低電圧側にも繋がっている。以下では、負極母線NLをグランド線NLと称する場合がある。他方、高電圧側端子HTとインバータ13の高電圧側を結ぶ線を正極母線PLと称する。負極母線NLは、双方向コンバータ12のグランド線に相当する。
インバータ13について説明する。インバータ13は、2個のスイッチング素子の直列回路が3組(スイッチング素子T1とT4、T2とT5、T3とT6)並列に接続された回路構成を有している。各スイッチング素子には夫々個別に還流ダイオードD1−D6が逆並列に接続されている。2個のスイッチング素子の直列回路の中点から交流が出力される。スイッチング素子T1−T6は、コントローラ17からの制御信号により駆動される。スイッチング素子T1−T6はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であり、その制御信号はPWM(Pulse Width Moduration)信号である。
双方向コンバータ12について説明する。双方向コンバータ12は、上アームスイッチング素子TH、下アーム第1スイッチング素子TL1、下アーム第2スイッチング素子TL2、リアクトル15、3個の還流ダイオードD7、D8、D9、フィルタコンデンサ14、スナバコンデンサ8で構成されている。上アームスイッチング素子TH、下アーム第1スイッチング素子TL1、下アーム第2スイッチング素子TL2は、IGBTである。各スイッチング素子は、閾値以上のゲート電圧が印加されるとコレクタ電極からエミッタ電極へ向けて電流が流れる。従ってコレクタ電極が高電圧側電極に相当し、エミッタ電極が低電圧側電極に相当する。
上アームスイッチング素子TH、下アーム第1スイッチング素子TL1、下アーム第2スイッチング素子TL2は、この順で直列に接続されている。上アームスイッチング素子THのコレクタ電極THCは、双方向コンバータ12の高電圧側端子HTに接続されている。上アームスイッチング素子THのエミッタ電極THEには、下アーム第1スイッチング素子TL1のコレクタ電極L1Cが接続されている。下アーム第1スイッチング素子TL1のエミッタ電極L1Eには、下アーム第2スイッチング素子TL2のコレクタ電極L2Cが接続されている。下アーム第2スイッチング素子TL2のエミッタ電極L2Eは、負極母線NL(グランド線NL)に接続されている。即ち、上アームスイッチング素子THのエミッタ電極THEに下アーム第1スイッチング素子TL1が直列に接続されており、その下アーム第1スイッチング素子TL1のエミッタ電極L1Eに下アーム第2スイッチング素子TL2が直列に接続されている。各スイッチング素子TH、TL1、TL2には、夫々個別に還流ダイオードD7、D8、D9が逆並列に接続されている。具体的には、スイッチング素子のコレクタ電極にカソード電極が接続されており、エミッタ電極にアノード電極が接続されている。
リアクトル15は、その一端が双方向コンバータ12の低電圧側端子LTに接続されており、他端が上アームスイッチング素子THと下アーム第1スイッチング素子TL1の間に接続されている。別言すれば、リアクトル15の他端は上アームスイッチング素子THのエミッタ電極THEに接続されている。フィルタコンデンサ14は、低電圧側端子LTと低電圧側のグランド端子LGTの間に接続されている。
スナバコンデンサ8は、その一端が上アームスイッチング素子THのコレクタ電極THCに接続されており、他端が下アーム第1スイッチング素子TL1と下アーム第2スイッチング素子TL2の間に接続されている。別言すれば、スナバコンデンサ8の他端は下アーム第1スイッチング素子TL1のエミッタ電極L1Eに接続されている。
双方向コンバータ12の動作を概説する。上アームスイッチング素子TH、下アーム第1スイッチング素子TL1、下アーム第2スイッチング素子TL2は、コントローラ17から供給されるPWM信号によりそれらのスイッチング動作(ON/OFF動作)が制御される。以下では、スイッチング素子がONすることを、スイッチング素子が導通する、または、スイッチング素子を閉じる、と表現することがある。同様に、スイッチング素子がOFFすることを、スイッチング素子を遮断する、または、スイッチング素子を開放する、と表現することがある。
下アーム第1スイッチング素子TL1のスイッチング動作で昇圧動作が実現される。このとき、下アーム第2スイッチング素子TL2は常時導通状態に保持される。上アームスイッチング素子THは、導通状態であっても良いし遮断状態であってもよい。昇圧動作時は、還流ダイオードD7を通じて低電圧側端子LTから高電圧側端子HTへ向けて電流が流れる。昇圧動作では、下アーム第1スイッチング素子TL1がPWM信号に基づいて導通と遮断を繰り返す。下アーム第1スイッチング素子TL1と下アーム第2スイッチング素子TL2が共に導通状態になるとリアクトル15に電気エネルギが蓄積される。その後、下アーム第1スイッチング素子TL1が開放されると、リアクトル15に蓄えられた電気エネルギが放出され、高電圧側端子HTの電圧がブーストされる。コントローラ17は、下アーム第2スイッチング素子TL2を導通状態にしつつ下アーム第1スイッチング素子TL1の導通と遮断を繰り返すことで低電圧側端子LTに印加された電圧を昇圧する。
上アームスイッチング素子THのスイッチング動作で降圧動作が実現される。このとき、下アーム第1スイッチング素子TL1と下アーム第2スイッチング素子TL2は導通状態であってもよいし遮断状態であってもよい。降圧動作時は、還流ダイオードD8、D9を通じて電流が流れる。ここでは、降圧動作の際、下アーム第1スイッチング素子TL1と下アーム第2スイッチング素子TL2はいずれも導通状態に保持される。降圧動作では、上アームスイッチング素子THがPWM信号に基づいて導通と遮断を繰り返す。上アームスイッチング素子THが閉じられると、高電圧側端子HTから入力される電気エネルギの一部がリアクトル15に蓄積され、残りが低電圧側端子LTに供給される。こうして電圧が下がる。上アームスイッチング素子THが開放されると、リアクトル15とフィルタコンデンサ14と還流ダイオードD8、D9で構成される閉ループを、リアクトル15に蓄積された電気エネルギが還流する。この還流により、低電圧側端子LTの電圧が保持される。
下アーム第1スイッチング素子TL1の動作で昇圧動作が実現する。上アームスイッチング素子THの動作で降圧動作が実現する。先に述べたように、下アーム第2スイッチング素子TL2は、昇圧動作の間、導通状態に保持される。降圧動作の間は導通状態であっても遮断状態であってもよい。下アーム第2スイッチング素子TL2は、下アーム第1スイッチング素子TL1に短絡故障が検知されると開放される。下アーム第2スイッチング素子TL2の動作も、コントローラ17によって制御される。短絡対策用の動作については後に説明する。
スナバコンデンサ8の役割について説明する。スナバコンデンサ8は、上アームスイッチング素子THと下アーム第1スイッチング素子TL1のサージ電流を吸収するために備えられている。上アームスイッチング素子THで発生したサージ電流は、スナバコンデンサ8と還流ダイオードD8が作る閉ループを流れてスナバコンデンサ8に吸収される。下アーム第1スイッチング素子TL1で発生したサージ電流は、スナバコンデンサ8と還流ダイオードD7が作る閉ループを流れてスナバコンデンサ8に吸収される。図1の回路では、上アームスイッチング素子THまたは下アーム第1スイッチング素子TL1で発生したサージ電流は、下アーム第2スイッチング素子TL2と還流ダイオードD9のいずれにも流れない。
ところで、スナバコンデンサ8は、上アームスイッチング素子THと下アーム第1スイッチング素子TL1と下アーム第2スイッチング素子TL2の3個のスイッチング素子の直列回路に対して並列に接続された場合であってもサージ電流を吸収することはできる。しかし、その場合、サージ電流が流れる閉ループには、下アーム第2スイッチング素子TL2と還流ダイオードD9が含まれる。先に述べたように、図1の回路では、サージ電流は下アーム第2スイッチング素子TL2と還流ダイオードD9のいずれにも流れない。図1の回路は、サージ電流が流れる閉ループに余計なデバイス(下アーム第2スイッチング素子TL2)が接続されていないので、その閉ループのインダクタンスが大きくならない、という利点がある。
双方向コンバータ12の高電圧側端子HTと負極母線NLとの間には、平滑化コンデンサ16が接続されている。平滑化コンデンサ16は、双方向コンバータ12の高電圧出力に含まれる電流の脈動を抑制するために備えられている。平滑化コンデンサ16とスナバコンデンサ8の相違を説明しておく。スナバコンデンサ8のインピーダンスは、スナバコンデンサ8を含む閉ループの共振周波数より低い周波数領域では平滑化コンデンサ16のインピーダンスよりも高く、共振周波数よりも高い周波数領域では、平滑化コンデンサ16のインピーダンスよりも低い。共振周波数よりも低い周波数領域では、電流は、インピーダンスが低いスナバコンデンサ8よりも低い平滑化コンデンサ16へ流れて平滑化される。共振周波数よりも高い周波数領域、すなわち、サージ電流の周波数領域では、電流(即ちサージ電流)は、インピーダンスが平滑化コンデンサ16よりも低いスナバコンデンサ8へ流れて吸収される。なお、閉ループの共振周波数は、1/(2π・SQRT(L・C))で求められる。ここで、Lは閉ループのインダクタンス(寄生インダクタンス)であり、Cはスナバコンデンサ8の容量である。共振周波数は、概ね数十[kHz]から数百[kHz]の間である。また、スナバコンデンサ8の容量は1.0[μF]以下であるが、平滑化コンデンサ16の容量は、100[μF]以上である。
スナバコンデンサ8とフィルタコンデンサ14の相違についても同様である。フィルタコンデンサ14の容量も100[μF]以上である。また、スナバコンデンサ8のインピーダンスは、スナバコンデンサ8を含む閉ループの共振周波数より低い周波数領域ではフィルタコンデンサ14のインピーダンスよりも高く、共振周波数よりも高い周波数領域では、フィルタコンデンサ14のインピーダンスよりも低い。このようにスナバコンデンサ8と平滑化コンデンサ16(またはフィルタコンデンサ14)とは、インピーダンスの周波数特性と容量に大きさ相違がある。
先に述べたように、下アーム第2スイッチング素子TL2は常時導通状態に保持される。双方向コンバータ12において、下アーム第1スイッチング素子TL1が短絡故障を起こした場合、バッテリ21が短絡してしまう。そこで、コントローラ17は、下アーム第1スイッチング素子TL1に短絡故障が発見されると、下アーム第2スイッチング素子TL2を開放する。また、コントローラ17は、システム起動時に下アーム第1スイッチング素子TL1が短絡故障を起こしているか否かのチェックも行う。それら処理について説明する。なお、各スイッチング素子は、電流検出用のセンスエミッタ端子を有しており、コントローラ17は、このセンスエミッタ端子を用いてスイッチング素子の短絡を検出する。この技術はよく知られているので詳細な説明は省略する。
まず、図2を参照して、電気自動車100のシステム起動時にコントローラ17が行う短絡チェック処理(短絡対策処理)を説明する。図2(及び後述する図3)では、「スイッチング素子」を「SW素子」と表している。ユーザがイグニッションスイッチを入れると、コントローラ17は、システムメインリレー22を閉じる(S2)。これにより、バッテリ21からPCU10に電力が供給される。次に、コントローラ17は、下アーム第2スイッチング素子TL2を閉じる(S3)。次に、コントローラ17は、下アーム第1スイッチング素子TL1が短絡しているか否かを確認する(S4)。先に述べたように、コントローラ17は、スイッチング素子に設けられているセンスエミッタ端子を用いて短絡を検出する。コントローラ17は、下アーム第1スイッチング素子TL1のゲートに対してスイッチング素子を閉じるような信号を加えているにも関わらずコレクタ電極L1Cとエミッタ電極L1Eの間に所定値以上の電流が流れている場合に、下アーム第1スイッチング素子TL1が短絡故障していると判断する。
下アーム第1スイッチング素子TL1が短絡していない場合(S4:NO)、コントローラ17は、下アーム第2スイッチング素子TL2の導通を保持する(S5)。最後にコントローラ17は、走行モード判別フラグに「通常走行モード」を示す値を代入する(S6)。走行モード判定フラグは、下アーム第1スイッチング素子TL1の短絡故障に関してコントローラ17のソフトウエア内に設けられたフラグである。走行モード判定フラグには、「通常走行モード」を示す値と、「フェール走行モード」を示す値のいずれかが代入される。「フェール走行モード」では、コントローラ17は、モータ23の出力の制限を行う。コントローラ17は、モータ23に供給される電力の電圧がバッテリ21の出力電圧と同じ場合にPCU10が過負荷とならないようにモータ23の出力を制限する。通常走行モードは、そのようなモータの出力制限を設けない走行モードである。なお、下アーム第1スイッチング素子TL1の短絡故障とは別の要因でモータ23の出力が制限される場合があることに留意されたい。例えば、バッテリの残量が所定値以下の場合にコントローラ17はモータ23の出力を制限する場合がある。
下アーム第1スイッチング素子TL1に短絡故障が発見された場合(S4:YES)、コントローラ17は、下アーム第2スイッチング素子TL2を開放する(S7)。そうすると、バッテリ21の短絡が回避される。そして、コントローラ17は、フラグに「フェール走行モード」を示す値を代入する(S8)。
コントローラ17は、上記したシステム起動時の短絡対策処理とは別に、モータ23がアクセル開度に応じたパワーを出力を出するようにPCU10を制御する。具体的には、コントローラ17は、ユーザのアクセル開度に応じてモータ23の目標パワーを定め、目標パワーが実現されるように、PCU10の各スイッチング素子にPWM信号を供給する。
下アーム第1スイッチング素子TL1が短絡故障を起こすと、昇圧動作ができなくなる。下アーム第1スイッチング素子TL1で短絡故障が検知されると、ステップS7の処理により下アーム第2スイッチング素子TL2が開放される。下アーム第2スイッチング素子TL2を開放した場合、リアクトル15と正極母線PLの間に接続された還流ダイオードD7により、双方向コンバータ12の高電圧側端子HTには、バッテリ21の電力が直接に出力することになる。ユーザがアクセルを踏み込んでも、インバータ13には通常走行時よりも低い電圧の電力が供給される。先に述べたように、フラグにはフェール走行モードを示す値が代入されている。コントローラ17は、そのフラグに基づいて、モータ23の出力を制限しつつ、走行を継続する。
図3を参照して走行中の短絡対策処理を説明する。通常走行では、PCU10の内部で過電流(予定されている電流よりも大きい電流が流れること)が生じていないかコントローラ17が常に監視している。具体的には、コントローラ17は、先に述べたセンスエミッタを流れる電流を定期的にモニタしている。コントローラ17は、センスエミッタの電流値を計測し(S12)、下アーム第1スイッチング素子TL1が短絡故障を生じているか否かを確認する(S13)。ここでも、コントローラ17は、下アーム第1スイッチング素子TL1のゲートに対してスイッチング素子を閉じるような信号を加えているにも関わらずコレクタ電極L1Cとエミッタ電極L1Eの間に所定値以上の電流が流れている場合に、下アーム第1スイッチング素子TL1が短絡故障していると判断する。
下アーム第1スイッチング素子TL1が短絡故障を起こしていない場合(S13:NO)、コントローラ17は、下アーム第2スイッチング素子TL2の開放状態(導通状態)を継続する(S14)。この場合、電気自動車100の通常走行が継続される。一方、下アーム第1スイッチング素子TL1で短絡故障が検知された場合(S13:YES)、コントローラ17は、下アーム第2スイッチング素子TL2を開放する(S15)。そうすると、バッテリ21の短絡が回避される。また、コントローラ17は、フラグにフェール走行を示す値を代入する(S16)。以後の走行では、モータ23の出力が制限されるが、走行を継続することができる。
上記の処理により、下アーム第1スイッチング素子TL1が短絡した場合、バッテリ21の短絡を回避しつつ、走行を継続することができる。フェール走行モードにおいては、バッテリ21の電圧がダイレクトにモータ23に出力されるため、電気自動車100の走行性能は、通常走行のときと比較して劣ることになる。しかし、走行を続けることはできる。
実施例の双方向コンバータ12は、下アーム第1スイッチング素子TL1が短絡故障を起こした場合にバッテリ21の短絡を防止しつつ、高電圧側端子HTにバッテリ電圧を供給するスイッチング素子(下アーム第2スイッチング素子TL2)を備えている。コントローラ17は、下アーム第2スイッチング素子TL2を導通状態にしつつ下アーム第1スイッチング素子TL1の導通と遮断を繰り返すことで低電圧側端子LTに印加された電圧を昇圧する。そしてコントローラ17は、下アーム第1スイッチング素子TL1の短絡故障が検知された場合に下アーム第2スイッチング素子TL2を開く。
また、双方向コンバータ12は、上アームスイッチング素子THと下アーム第1スイッチング素子TL1のサージ電流を吸収するスナバコンデンサ8を備えている。スナバコンデンサ8は、下アーム第2スイッチング素子TL2とこれに対応する還流ダイオードD9を閉ループに含まない。それゆえ、双方向コンバータ12は、下アーム第2スイッチング素子TL2とこれに対応する還流ダイオードD9を閉ループに含む場合に比べて、サージ電流を吸収する閉ループのインダクタンスが小さい。
以下、実施例で示した技術に関する留意点を述べる。実施例のPCU10の特徴は、次の通り表すことができる。PCU10は、電気自動車においてバッテリ21の電力を変換してモータ23へ供給する機能と、モータ23が発電した交流回生電力を変換してバッテリ21を充電する機能を有している。PCU10は、双方向コンバータ12とインバータ13を備える。双方向コンバータ12の高電圧端子HTにインバータ13が接続されている。双方向コンバータ12の機能は前述した通りである。実施例の双方向コンバータ12は、電気自動車のほか、ハイブリッド車に適用することも好適である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
8:スナバコンデンサ
10:パワーコントロールユニット(PCU)
12:双方向コンバータ
13:インバータ
14:フィルタコンデンサ
15:リアクトル
16:平滑化コンデンサ
17:コントローラ
21:バッテリ
22:システムメインリレー
23:モータ
100:電気自動車
D1−D9:還流ダイオード
HGT、LGT:グランド端子
HT:高電圧側端子
THC、L1C、L2C:コレクタ電極
THE、L1E、L2E:エミッタ電極
LT:低電圧側端子
NL:負極母線(グランド線)
PL:正極母線
LT1:下アーム第1スイッチング素子
TL2:下アーム第2スイッチング素子
TH:上アームスイッチング素子
T1−T6:スイッチング素子

Claims (2)

  1. 低電圧側端子に印加された電圧を昇圧して高電圧側端子に出力する昇圧機能と、高電圧側端子に印加された電圧を降圧して低電圧側端子に出力する降圧機能を有する双方向DC−DCコンバータであり、
    高電圧側電極が前記高電圧側端子に接続されている上アームスイッチング素子と、
    前記上アームスイッチング素子の低電圧側電極に直列に接続されている下アーム第1スイッチング素子と、
    前記下アーム第1スイッチング素子の低電圧側電極とグランド線の間に直列に接続されている下アーム第2スイッチング素子と、
    前記上アームスイッチング素子と前記下アーム第1スイッチング素子と前記下アーム第2スイッチング素子の夫々に個別に逆並列に接続されている3個のダイオードと、
    一端が前記低電圧側端子に接続されており、他端が前記上アームスイッチング素子と前記下アーム第1スイッチング素子の間に接続されているリアクトルと、
    一端が前記低電圧側端子に接続されており、他端が前記グランド線に接続されているフィルタコンデンサと、
    一端が前記上アームスイッチング素子の高電圧側電極に接続されており、他端が前記下アーム第1スイッチング素子と前記下アーム第2スイッチング素子の間に接続されているスナバコンデンサと、
    を備えることを特徴とする双方向DC−DCコンバータ。
  2. 前記下アーム第1スイッチング素子と前記下アーム第2スイッチング素子を制御するコントローラをさらに備えており、当該コントローラは、
    前記下アーム第2スイッチング素子を導通状態にしつつ前記下アーム第1スイッチング素子の導通と遮断を繰り返すことで前記低電圧側端子に印加された電圧を昇圧し、前記下アーム第1スイッチング素子の短絡故障が検知された場合に前記下アーム第2スイッチング素子を開くことを特徴とする請求項1に記載の双方向DC−DCコンバータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020088945A (ja) * 2018-11-19 2020-06-04 三菱電機株式会社 電力変換装置

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