JP2016075504A - ヘモグロビンfの管理試料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヘモグロビンFの測定、特に定量、に際して、経時的に安定なヘモグロビンFの管理試料を提供すること。
【解決手段】 ヒト赤血球の溶血物とヒト臍帯血の混合溶血物に対して、スクロースが含有されているヘモグロビンFの管理試料を提供することにより、ヘモグロビンFが経時的に安定な状態で、サラセミア症候群等におけるヘモグロビンFの測定を行うことができることを見出した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特定物質の定量の際に標準として用いる管理試料に関する発明であり、より具体的には、安定性に優れたヘモグロビンF(HbF)の管理試料に関する発明である。
ヒトヘモグロビンは2本のα鎖と2本の非α鎖(β鎖、γ鎖、δ鎖)からなる四量体であり、それぞれのポリペプチド鎖に1個ずつのヘムが結合している。このポリペプチド鎖の種類により、正常人のヘモグロビンはHbA(α2β2)、HbA2(α2δ2)およびHbF(α2γ2)の3種類が存在する。α鎖は141個のアミノ酸でできており、非α鎖(β鎖、γ鎖、δ鎖)はすべて146個のアミノ酸からなる。このアミノ酸配列をヘモグロビンの一次構造と呼び、β鎖とδ鎖は10個のアミノ酸配列が異なり、β鎖とγ鎖は39個のアミノ酸配列が異なる。
このヘモグロビンの先天的な異常により惹起される血液性の疾患が存在する。例えば、βサラセミアは、グロビンのβ鎖の合成欠損により、正常成人HbA(HbA=α2β2)の産生異常を来す疾患である。この場合、β鎖の代わりにδ鎖やγ鎖の合成や、HbA2やHbFの値の上昇が認められる。しかしながらこのHbA2やHbFの産生増加も、HbAの産生欠損を補完するには不十分で、赤血球は小球性低色素性となる。さらに重症サラセミアによる貧血は、ヘモグロビン合成異常によるばかりでなく、骨髄内での赤芽球の形成不全や抹消での溶血もその原因となっている。過剰なα鎖が赤血球膜と接触すると、沈降により、赤血球が脆弱となる。
上記のような疾病原理から、HbFはサラセミア症候群、あるいは、異常ヘモグロビン症、先天性溶血性貧血等の診断の補助検査の指標として測定される。また、骨髄異形成症候群や白血病などの造血器腫瘍性疾患や再生不良性貧血に際してもHbFの高値がみられることがあり、病態把握の一手段として測定されることがある。
HbFの測定は高速液体クロマトグラフィー法(以下、HPLCともいう)を用いて 臨床的な検査が実施されている。
特許第3686482号公報
生体物質の測定、特に定量を行う場合は、標準を取るための管理試料(標準品)を可能な限り用いることが望ましい。その場合、管理試料の分析時の挙動が実際の検体と同等であることが要求される。
さらに管理試料においては、個々のロットの長期安定性が要求される。また、それらの凍結乾燥品では、凍結乾燥品自体の安定性のみならず 使用時に精製水等を加え復元した後の安定性が要求される。
これらの事項はヘモグロビンFの測定を行う際にも同様であり、Hb標準品や管理試料において、実際の検体と新鮮血液と分析時の挙動が同等であることが必要であり、さらに長期安定性と、凍結乾燥品の復元安定性が要求される。
ヘモグロビンは時間、温度等の付加によって、主に酸化による変性を起こすことが知られている。これは、酸化したメトヘモグロビンと酸化されていないオキシヘモグロビンとは、その電荷が異なるからである。一方、現在ヘモグロビンの測定に用いられているHPLC法は、ヘモグロビンの電荷の差により分離を行うもので、酸化によりメトヘモグロビンが含まれた血液を分析するとクロマトパターンが乱れ、新鮮血とは分離パターンが異なるものとなることが知られている。
このような中、ヘモグロビンFの測定、特に定量、に際しても、経時的に安定なヘモグロビンFの管理試料の提供が求められている。
本発明者らは、既にヘモグロビンのうち、ヘモグロビンA1c(HbA1c)をスクロースで安定化させた、主にHbA1cのHPLCによる定量の際に用いるヘモグロビンA1cの管理試料の発明を行い、既に特許となっている(特許文献1)。
しかしながら、ヘモグロビンFを安定化させるための安定化剤を考える場合には、数々の問題点が存在する。
(1)ヘモグロビンは、その種類によって分子の電荷等の状態が微妙に異なることが知られている。HPLCによるヘモグロビンの測定は、マイナスのイオン交換基を有するカチオンイオン(陽イオン)交換カラムを用いる。そのために、ヘモグロビン分子に伴う電荷はヘモグロビン同士の分離において重要な要素である。例えば、ヘモグロビンA1cよりもプラス電荷が大きいヘモグロビンはHbA1cよりも溶出が遅く、逆にヘモグロビンA1cよりもプラス電荷が小さいヘモグロビン、例えば、ヘモグロビンFはHbA1cよりも溶出が早くなる。このように電荷の違いが大きくHPLCの検出状態に影響を及ぼすところに添加する安定剤は、このようなヘモグロビンの電荷の状態に影響を与え難いことが一つの条件となるが、それをヘモグロビンの電荷の状態と安定剤として用いる糖類分子の相関から予測することは困難である。
(2)ヘモグロビンFの管理試料においては、当然相当量のヘモグロビンFが必要である。しかしながら健常成人の赤血球には殆ど認められないヘモグロビンFを、管理試料として使用可能な態様としてどのように確保するか、また、確保されたヘモグロビンFの含有物において、ヘモグロビンFをどのように安定化するかは、上記(1)の問題の存在を前提に、予測することはいっそう困難となる。
上述した技術的困難の中、本発明者は検討を重ねた結果、ヘモグロビンFの供給源として臍帯血が適切であり、かつ、ヘモグロビンFの管理試料の安定化剤としてスクロースが適切であることを見出した。すなわち本発明は、ヒト赤血球の溶血物とヒト臍帯血の混合溶血物に対して、スクロースが含有されていることを特徴とする、ヘモグロビンFの管理試料(以下、本発明の管理試料ともいう)を提供する発明である。「混合溶血物」とは、後述するように、ヒト赤血球の溶血物にヒト臍帯血をそのまま添加することにより、当該溶血物の低張性により、ヒト臍帯血の赤血球が自ずから溶血することにより得られる溶血物である。後述するように、通常のヒト赤血球と一緒に臍帯血に対して溶血処理を行っても、所望するようなヘモグロビンFの管理試料として用いることができる組成物を調製することはできない。すなわち、本発明のヘモグロビンFの管理試料の基礎的な部分は、「溶血物に血球を破壊する前の臍帯血を混合して調製する」もので、当初の溶血物のみから調製する既存のヘモグロビンA1cの管理試料とは全く異なるものである。
本発明の管理試料が上記のようなヒト臍帯血をそのまま添加する特殊な構成であること、さらに、ヘモグロビンFよりもヘモグロビンA1cに近い分子構造、すなわちヘモグロビンA1cに近似の電荷状態であるヘモグロビンA1A、さらにヘモグロビンA1cの一態様であるヘモグロビンLA1c+に対しては、実用に耐えるスクロースによる安定化効果が認められなかった(後述する実施例)ことからすると、当初このような構成の発明を見出すことについて、本発明者は全く予想をしていなかった。
本発明の管理試料におけるスクロースの含有量は、ヘモグロビン濃度10mg/mlの管理試料全体に対して5〜20質量%であることが好ましく、同6〜18質量%であることがさらに好ましく、同10〜15質量%であることが極めて好ましい。なお、管理試料中のヘモグロビン濃度は種々に設定可能であるが、本明細書においては標準的な製品のヘモグロビン濃度である「10mg/ml」を基準として、上記スクロースの含有量を規定している。当然に、異なるヘモグロビン濃度の製品であれば、そのヘモグロビン濃度に応じてスクロースの含有量も異なってくる。また、ヒト臍帯血は、希釈を行わないで用いることが極めて好適であり、その場合の無希釈のヒト臍帯血のヒト赤血球の溶解物に対する添加量は、ヒト赤血球の2倍容量希釈の当該混合物に対して0.05〜0.5質量%であることが好ましく、同0.05〜0.2質量%であることがさらに好ましく、同0.05〜0.1質量%であることが極めて好ましい。
本発明の管理試料は、その目的を問わず、血液検体中のヘモグロビンFの定量の際の管理試料として用いることが可能であり、典型的にはβサラセミア等のサラセミア症候群の補助検査としてのヘモグロビンFの定量に際しての管理試料として用いるものである。
本発明の管理試料は、液体の状態のまま用いることも可能であるが、通常は凍結乾燥品として用いる。この凍結乾燥品としての本発明の管理試料において、極めて良好な経時的安定性が認められる。
上述の通りに本発明は、本発明の管理試料を、血液検体中のヘモグロビンFをHPLCを用いて測定、特に定量する際の、ヘモグロビンFの標準として用いることを特徴とする、管理試料の使用方法を提供し、ヒト赤血球の溶血物とヒト臍帯血の混合物に対してスクロースを含有させる、当該混合物中のヘモグロビンFの安定化方法を提供する発明である。
さらに本発明は、ヒト赤血球の溶血物に対してヒト臍帯血を混合して、当該溶血物と臍帯血の混合物を調製し、当該混合物に対してスクロースを含有させることを特徴とする、ヘモグロビンFの管理試料の生産方法を提供する発明である。本発明の生産方法では、スクロースを含有させた、ヒト赤血球の溶血物とヒト臍帯血の混合物に対して、凍結乾燥処理を行うことも可能である。
本発明により、経時的安定性に優れたヘモグロビンFを測定する際の標準となる管理試料が提供される。また本発明により、当該管理試料の使用方法、ヘモグロビンFの安定化方法、及び、当該管理試料の生産方法が提供される。当該管理試料は、液剤形態及び凍結乾燥形態の双方を含むものである。
ヘモグロビンFについての加速試験の結果を示す図面である。 ヘモグロビンA1cについての加速試験の結果を示す図面である。 ヘモグロビンA1Aについての加速試験の結果を示す図面である。 図1−3の図面における、スクロース添加の結果を示す拡大図である。
(1)本発明の管理試料の生産
(a)ヒト赤血球の溶解物の調製
適宜保存用成分が含有されることが許容されるヒト全血から、遠心分離等の常法により赤血球を分離する。この工程を省略して、赤血球のみを入手して用いても良い。このようにして得られた赤血球を生理食塩水等で洗浄した後、低張液、典型的には精製水を加えて溶血を行い、遠心分離を行って得られる最下層の赤色画分(精製溶血液)が「ヒト赤血球の溶解物」である。精製水等の低張液の添加量は溶血を行う際の常法に従うもので、特に限定されるものではないが、赤血球の全体容積に対して概ね0.5〜1.5容量であり、好ましくは0.7〜1.2容量である。
(b)ヒト臍帯血の添加
上記(a)により得られたヒト赤血球の溶解物に、ヒト臍帯血を添加する。ヒト臍帯血は、胎児と母体を繋ぐ胎児側の組織であるへその緒(臍帯)の中に含まれる胎児血であり、臍帯血に含まれる赤血球にはヘモグロビンFが豊富に含まれている。ヒト臍帯血は、上記のヒト赤血球の溶解物に対して添加することが極めて好ましい。すなわち、上記(a)の段階で、ヒト全血とヒト臍帯血を混合しても、所望するヘモグロビンFが含まれる本発明の管理試料の中間体を調製することは困難である。上記のようなヒト赤血球の溶解物に対してヒト臍帯血を添加することで、当該溶解物の低張性により臍帯血中の赤血球は自ずと溶解することになる。ヒト臍帯血の添加量については上述した。
(c)スクロースの添加
上記(b)において得られた「ヒト赤血球の溶解物とヒト臍帯血の混合物」に対して、安定化剤であるスクロースを添加する。添加量については上述した通りである。この添加の際には、予め適切な濃度のスクロースの水溶液を調製して、これを所望のスクロース濃度となるように、上記混合物に対して添加することが好適である。ここで混合物のヘモグロビン濃度を測定して、当該濃度を所望の濃度に調整する。本実施例における当該ヘモグロビン濃度は10mg/mLであるが、これに限定されるものではない。当該ヘモグロビン濃度調整は、所望するスクロース濃度の水溶液を用いることが好適である。
この工程を経て得られる組成物が、本発明の管理試料(液剤段階)である。
(d)凍結乾燥
多くの場合、管理試料は凍結乾燥処理を施して用時調整を行って用いる形態とする。本発明の管理試料も同様である。凍結乾燥の方法は常法に従い、具体的には実施例において開示する。
(2)本発明の管理試料の使用
上述したように、本発明の管理試料は血液検体中のヘモグロビンFを定量する際の標準として用いることができる。本発明の管理試料を用いるヘモグロビンFの定量方法は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)である。
また、本発明の管理試料を標準として用いて、血液検体中のヘモグロビンFの定量を行う対象となる疾患は、その疾患により成人では本来殆ど認められないヘモグロビンFの高値、上昇、一過性の増加が認められる疾患であれば特に限定されない。ヘモグロビンFの高値を認める疾患として、βサラセミア、δβサラセミア等のサラセミア症候群、遺伝性高HbF症、若年性慢性骨髄性白血病等が挙げられる。上昇を認める疾患として、不安定Hb症、先天性溶血性貧血、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群等が挙げられる。一過性の増加を認める疾患として、再生不良性貧血、PNH、骨髄移植後等の著しい骨髄最盛期等が挙げられる。これらの中での典型例として、βサラセミア、δβサラセミア等のサラセミア症候群が挙げられる。
本発明の管理試料は、液剤としても、凍結乾燥品としても非常に優れた経時的安定性が認められ、上記のような血液検体中のヘモグロビンFの定量の際に用いる標準として極めて好適である。
以下、本発明の実施例を開示する。
[実施例1] 管理試料の調製
本発明の管理試料と、その比較例は下記の要領で調製した。
工程1
(1) 450mLのヒト全血をパック(クエン酸−リン酸−デキストロース−アデニン(CPDA)保存液を含む)に入ったまま転倒混和し均一にする。
(2) 450mLのヒト全血を50mL遠沈管に約45mLずつ分注し遠心分離器(3000rpm×5min,4℃)にかけ、上清の血漿、血小板、白血球を除去し赤血球を分離する。また,感染性否定試験用に15mL遠沈管に入れ遠心し、上清を試験に出す。
(3) 分離した赤血球に1/2倍容量の生理食塩水を加え混合し、遠心分離(3000rpm×5min,4℃)にかけ生理食塩水を除去する。この操作を8回繰り返す。ただし、8回目の遠心時間は、10分とする。
工程2
(1) 工程1で得た洗浄赤血球に1.0等容量の精製水を加え、震盪し、赤血球を溶血させる。
工程3
(1) 工程2で得た溶血液に1/4容量のトルエンを加え、激しく震盪(約5分間)し、遠心分離(3000rpm×30min,4℃)にかけ、3層に分離したうちの下層部分をパスツール等で試験管に回収する。
(2) (1)で回収した液は2回目の遠心分離(3000rpm×15min,4℃)にかけ、上層に浮くか又は底に沈殿した不溶解物を除き透明な部分のみをパスツール等で試験管に分けて回収する。
(3) この精製溶血液(約500mL)に1mLのヒト臍帯血を加え、混合する。
(4) (3)の精製溶血液を容量し、これに最終濃度が10%の安定化剤には1/4容量の50%濃度の安定剤を加え、5%の安定化剤には1/4容量の25%濃度の安定化剤を加え均一になるまで混合する。「安定化剤」は、スクロース、又は、比較例として用いる他の糖類である。
(5) ヘモグロビン濃度を測定して、10%の安定化剤を含む精製溶血液には10%安定化剤溶液で希釈して、10mg/mLに調整する。5%の安定化剤を含む精製溶血液には5%安定化剤溶液で希釈して、10mg/mLに調整する。これにより液剤段階の本発明の管理試料又はその比較例が調製された。
工程4
(1) 工程3の(5)において調製した10%安定化剤を含む液剤段階の管理試料各1mLを10mLバイアルビンにて分注して、凍結乾燥を行う。
(2) 凍結乾燥は、予備凍結:−30度・4時間、1次乾燥:−20℃・10時間、2次乾燥:−10℃・10時間、3次乾燥:−4℃・10時間、最終乾燥:4℃・60時間、の工程を経て行った。
(3) 窒素置換して、ゴム栓打栓後 フィリップキャップを締める。
これにより、凍結乾燥品としての本発明の管理試料又はその比較例が調製された。
[試験例1] 糖類添加試験
上記の実施例1において、安定化剤として、(1)マルトース、(2)スクロース、(3)ソルビトール、(4)アラビノース、(5)キシロース、を用い、これらの添加量を、それぞれ管理試料に対して10質量%として、工程3の凍結乾燥品を調製して、HPLCで、(a)ヘモグロビンF(HbF)、(b)ヘモグロビンA1c(HbA1c)、(c)ヘモグロビンA1A(HbA1A)についての、上記凍結乾燥前の存在量と、凍結乾燥後(精製水を凍結乾燥前と当容量となるように添加後)の存在量を比較した。その結果を表1(表1−1、1−2、1−3)に開示する。
HbFについては表1−1、HbA1cについては表1−2、HbA1Aについては表1−3に示した。
Figure 2016075504
Figure 2016075504
Figure 2016075504
これらの結果より、スクロースとソルビトールをヘモグロビンFの安定化剤の候補として、次に示す加速試験を行った。
[実施例2] 熱加速試験
熱加速試験は、被験試料(凍結乾燥品:スクロース又はソルビトールを5%又は10%添加したもの)を、37℃の条件下で試験直後から4週間放置し、それぞれ試験直後から1週間毎に、精製水を凍結乾燥前と当容量となるように添加後、ヘモグロビン量をHPLCにより定量し、その結果を表2(表2−1、2−2、2−3)と、図1(図1−1、1−2、1−3、1−4)に示す。(a)表2−1と図1−1はヘモグロビンF(HbF)、(b)表2−2と図1−2はヘモグロビンA1c(HbA1c)、(c)表2−3と図1−3、1−4はヘモグロビンA1A(HbA1A)についての結果を示すものであり。図1−4は、図1−3のスクロース添加の結果を示す拡大図である。
Figure 2016075504
Figure 2016075504
Figure 2016075504
これらの結果より、いずれのヘモグロビンに対してもソルビトールは、経時的に十分な安定化効果を付与するには至らないことが明らかになり、スクロースは、従来からの認識通りにヘモグロビンA1cについての優れた安定化効果を示すことと、本発明の主題であるヘモグロビンFに対しても優れた安定化効果を示すことが明らかになった。しかしながら、ヘモグロビンA1Aに対しては、実用に耐える安定化効果を付与するには至らないことが、特に図1−4において明らかになった。

Claims (8)

  1. ヒト赤血球の溶血物とヒト臍帯血の混合溶血物に対して、スクロースが含有されていることを特徴とする、ヘモグロビンFの管理試料。
  2. スクロースの含有量は、ヘモグロビン濃度10mg/mlの管理試料全体に対して5〜20質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の管理試料。
  3. サラセミア症候群の補助検査用の管理試料であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の管理試料。
  4. 凍結乾燥品であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の管理試料。
  5. 請求項1〜5のいずれかに記載の管理試料を、血液検体中のヘモグロビンFを高速液体クロマトグラフィーを用いて測定する際の、ヘモグロビンFの標準として用いることを特徴とする、管理試料の使用方法。
  6. ヒト赤血球の溶血物とヒト臍帯血の混合溶血物に対してスクロースを含有させる、当該混合物中のヘモグロビンFの安定化方法。
  7. ヒト赤血球の溶血物に対してヒト臍帯血を混合して、当該溶血物と臍帯血の混合物を調製して混合溶血物として、当該混合溶血物に対してスクロースを含有させることを特徴とする、ヘモグロビンFの管理試料の生産方法。
  8. スクロースを含有させた、ヒト赤血球の溶血物とヒト臍帯血の混合溶血物に対して、凍結乾燥処理を行うことを特徴とする、ヘモグロビンFの管理試料の生産方法。
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