JP2016075437A - ループ型ヒートパイプ及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】気泡による熱輸送能力の低下を回避できるループ型ヒートパイプを提供する。
【解決手段】ループ型ヒートパイプは、発熱部品から伝達される熱により作動流体を加熱して蒸気を発生させる蒸発部と、蒸発部で発生した蒸気を凝縮させる凝縮部と、蒸発部と凝縮部との間を連絡し液相の状態の作動流体が通流する液管と、蒸発部と凝縮部との間を連絡し気相の状態の作動流体が通流する蒸気管とを有する。蒸発部内には、液管側から蒸気管側に液相の状態の作動流体が通流する複数のマイクロ流路31が設けられており、各マイクロ流路31の蒸気管側の端部には凹凸31aが設けられている。
【選択図】図6
【解決手段】ループ型ヒートパイプは、発熱部品から伝達される熱により作動流体を加熱して蒸気を発生させる蒸発部と、蒸発部で発生した蒸気を凝縮させる凝縮部と、蒸発部と凝縮部との間を連絡し液相の状態の作動流体が通流する液管と、蒸発部と凝縮部との間を連絡し気相の状態の作動流体が通流する蒸気管とを有する。蒸発部内には、液管側から蒸気管側に液相の状態の作動流体が通流する複数のマイクロ流路31が設けられており、各マイクロ流路31の蒸気管側の端部には凹凸31aが設けられている。
【選択図】図6
Description
本発明は、ループ型ヒートパイプ及びそのループ型ヒートパイプを有する電子機器に関する。
高度情報化社会の到来に伴い、ノート型パソコン、スマートフォン及びタブレット等のモバイル型電子機器が広く使用されるようになった。それらの電子機器に使用されるCPU(Central Processing Unit)等の電子部品は、稼働に伴って熱を発生する。
CPU等の電子部品(以下、「発熱部品」という)の温度が許容上限温度を超えてしまうと、故障や誤動作、又は処理能力の低下などの不都合を引き起こす。そのため、発熱部品を冷却する手段が必要となる。
モバイル型電子機器用の冷却装置として、ループ型ヒートパイプが注目されている。ループ型ヒートパイプは、発熱部品と熱的に接続される蒸発部と、蒸発部から離れた場所に配置される凝縮部と、蒸発部と凝縮部との間を連絡する液管及び蒸気管とを有する(例えば、特許文献1参照)。ループ型ヒートパイプでは、作動流体が液相と気相とに変化しながら蒸発部と凝縮部との間を移動することで、蒸発部から凝縮部に熱を輸送する。
ループ型ヒートパイプでは、蒸発器内で発生する気泡により熱輸送効率が低下することがある。
開示の技術は、気泡による熱輸送能力の低下を回避できるループ型ヒートパイプを提供することを目的とする。
開示の技術の一観点によれば、発熱部品から伝達される熱により作動流体を加熱して蒸気を発生させる蒸発部と、前記蒸発部で発生した蒸気を凝縮させる凝縮部と、前記蒸発部と前記凝縮部との間を連絡し液相の状態の前記作動流体が通流する液管と、前記蒸発部と前記凝縮部との間を連絡し気相の状態の前記作動流体が通流する蒸気管とを有し、前記蒸発部内には、前記液管側から前記蒸気管側に前記液相の状態の作動流体が通流する複数のマイクロ流路が設けられ、前記マイクロ流路の前記蒸気管側の端部に凹凸が設けられているループ型ヒートパイプが提供される。
上記一観点に係るループ型ヒートパイプによれば、マイクロ流路の蒸気管側端部での蒸気発生量が多くなり、マイクロ流路の中央部では気泡が成長しにくくなる。これにより、気泡による熱輸送能力の低下が回避される。
以下、実施形態について説明する前に、実施形態の理解を容易にするための予備的事項について説明する。
図1は、ループ型ヒートパイプの一例を示す模式図である。
図1に示すループ型ヒートパイプ10は、蒸発部11と、凝縮部12と、それらの間を連絡する液管13及び蒸気管14とを有する。ループ型ヒートパイプ10の内部は減圧されており、作動流体が封入されている。作動流体には水やアルコールなど種々のものが使用される。
蒸発部11は、CPU等の発熱部品19と熱的に接続される。蒸発部11内では、発熱部品19から伝達される熱により作動流体が液相から気相に変化し、蒸気が発生する。蒸発部11で発生した蒸気は、蒸気管14を通って凝縮部12に移動する。図1中の符号15aは、気相の状態の作動流体を示している。
凝縮部12は、蒸発部11から離れた場所に配置される。一般的に、凝縮部12には放熱用のフィンや冷却ファンが設けられており、蒸気管14から凝縮部12内に移動した蒸気は、凝縮部12内で冷却されて液体となる。凝縮部12で液体となった作動流体は、液管13を通って蒸発部11に移動する。図1中の符号15bは、液相の状態の作動流体を示している。以下、液相の状態の作動流体を、作動液という。
図1に示すループ型ヒートパイプ10では、蒸発部11にマイクロ流路(図1中に符号17で示す)と呼ばれる多数の細い流路が設けられており、マイクロ流路17内で発生する毛細管力により液管13から蒸発部11内に作動液が移動する。すなわち、作動流体を蒸発部11と凝縮部12との間で循環させるために、マイクロ流路17で発生する毛細管力が大きな役割を果たしている。
図2(a)〜(d)は、図1に示すループ型ヒートパイプ10の問題点を示す模式図である。
正常な状態では、図2(a)に示すように、液管13側からマイクロ流路17内に進入した作動液15bは、マイクロ流路17内を液管13側から蒸気管14側に移動する間に温度が上昇して蒸発し、蒸気となって蒸気管14に移動する。
この場合、図2(b)に示すように、マイクロ流路17の途中で気泡18が発生することがある。気泡18が十分に成長しないうちに蒸気管14側に移動してしまえば問題はない。
しかし、図2(c)のように、マイクロ流路17の途中で気泡18がある程度まで成長すると、気泡18の成長速度が急速に増加する。これは、作動液に接触している部分ではマイクロ流路17の壁面の温度が比較的低く保たれるのに対し、気泡18の部分ではマイクロ流路17の壁面の温度が高くなり、気泡18と作動液15bとの境界部分で蒸気が発生しやすくなるためである。
そして、図2(d)に示すように、気泡18がマイクロ流路17の入口(液管側端部)に到達してしまうと、作動液15bがマイクロ流路17内に進入できなくなって、いわゆるドライアウトの状態になる。
蒸発部11内にはマイクロ流路17が多数あるため、1本のマイクロ流路17にドライアウトが発生しても、ループ型ヒートパイプ10の熱輸送能力がなくなるわけではない。しかし、ドライアウトが発生したマイクロ流路17の分だけループ型ヒートパイプ10の熱輸送能力が低下してしまう。
以下の実施形態では、気泡による熱輸送能力の低下を回避できるループ型ヒートパイプについて説明する。
(実施形態)
図3は、実施形態に係るループ型ヒートパイプを示す斜視図である。また、図4は、実施形態に係るループ型ヒートパイプを備えた電子機器の内部構造を示す模式図である。
図3は、実施形態に係るループ型ヒートパイプを示す斜視図である。また、図4は、実施形態に係るループ型ヒートパイプを備えた電子機器の内部構造を示す模式図である。
図3に示すように、本実施形態に係るループ型ヒートパイプ20は、蒸発部21と、凝縮部22と、蒸発部21と凝縮部22との間を連絡する液管23及び蒸気管24とを有する。
図4に示すように、ループ型ヒートパイプ20は、CPU25及びその他の電子部品が実装されたプリント基板26とともに、電子機器30の筐体30a内に配置される。そして、ループ型ヒートパイプ20の蒸発部21は伝熱部材27aを介してCPU25と熱的に接続され、凝縮部22は伝熱部材27bを介して冷却ファン28に接続される。
図5はループ型ヒートパイプ20の蒸発部21を示す模式図であり、図6は蒸発部21の内部を示す斜視図である。また、図7は、マイクロ流路31の蒸気管24側の端部(以下、単に「蒸気管側端部」という)を拡大して示す斜視図である。
蒸発部21の大きさは、例えば幅が35mm、長さが35mm、厚さが0.5mmである。この蒸発部21内には、図5,図6に示すように、液管23側から蒸気管24側に向けて直線状に延びる多数のマイクロ流路31が設けられている。マイクロ流路31の幅は例えば35μm、高さは例えば35μmである。
各マイクロ流路31の蒸気管側端部のCPU25に近い側の面には、図6,図7に示すように、多数の溝31aが設けられている。溝31aの幅は例えば3μm、長さは例えば27μm、深さは例えば27μmである。また、隣り合う溝31a間の間隔は、例えば3μmである。
本実施形態では、このようにマイクロ流路31の蒸気管側端部に溝31aを設けることにより、マイクロ流路31の蒸気管側端部における壁面と作動液との接触面積を大きくしている。なお、溝31aは凹凸の一例である。
図8は、凝縮部22の内部を示す模式図である。この図8のように、凝縮部22内には蒸気管24側から液管23側に延びる複数の壁22aが設けられている。蒸気管24から凝縮部22内に進入した作動流体の蒸気は、それらの壁22aの間を通る間に温度が低下して凝縮し、作動液となる。
本実施形態に係るループ型ヒートパイプ20は、例えば図9に示す2つの部材41,42を重ね合わせて製造される。
一方の部材41の蒸発部21となる部分にはマイクロ流路31が設けられており、凝縮部22となる部分には壁22aが設けられている。また、液管23となる部分及び蒸気管24となる部分には、それぞれ溝23a,24aが設けられている。
更に、他方の部材42の液管23となる部分及び蒸気管24となる部分には、それぞれ溝23b,24bが設けられている。
これらの2つの部材41,42を重ね合わせて作動流体を封入することで、本実施形態に係るループ型ヒートパイプ20が完成する。
以下、本実施形態に係るループ型ヒートパイプ20の動作について説明する。
CPU25(図4参照)が稼働していないときには、毛細管力により、マイクロ流路31内に作動液が保持されている。
稼働に伴ってCPU25が熱を発生すると、その熱が伝熱部材27aを介してループ型ヒートパイプ20の蒸発部21に伝達される。そして、マイクロ流路31内に保持されている作動液の温度が上昇して、蒸気が発生する。作動液が蒸発するときには、周囲から蒸発熱に相当する熱を吸収する。
本実施形態では、マイクロ流路31の蒸気管側端部に溝31aが設けられており、その部分でマイクロ流路31の壁面と作動液との接触面積が大きくなっている。そのため、マイクロ流路31の蒸気管側端部では、壁面から作動液への熱の移動が活発であり、多くの蒸気が発生する。
蒸発部21で発生した蒸気は、蒸気管24を通って凝縮部22に移動する。そして、凝縮部22で冷却されて凝縮し、液体となる。作動流体の蒸気が凝縮するときには、凝縮熱に相当する熱を放出する。この熱は凝縮部22の内側から外側に伝達され、冷却ファン28により電子機器30の筐体30aの外に排出される。
一方、凝縮部22で凝縮して液体となった作動流体(作動液)は、液管23を通って蒸発部21に移動する。
このようにして、本実施形態では、作動流体が液相と気相とに変化しながら蒸発部21と凝縮部22との間を移動することで、CPU25で発生した熱が蒸発部21から凝縮部22に輸送される。そして、凝縮部22に輸送された熱は、冷却ファン28により電子機器30の筐体30aの外に排出される。これにより、CPU25の温度が許容上限温度以下に保たれる。
ところで、マイクロ流路31には、マイクロ流路31の蒸気管側端部で発生した蒸気の分の作動液が液管側端部から流入する。本実施形態では、マイクロ流路31の蒸気管側端部に溝31aが設けられているため、前述したようにマイクロ流路31の蒸気管側端部で多くの蒸気が発生し、それに伴って多くの作動液がマイクロ流路31の液管側端部からマイクロ流路31内に流入する。このため、作動液は、マイクロ流路31内を液管側端部から蒸気管側端部に向けて比較的速い速度で移動する。
従って、マイクロ流路31の中央部で気泡が発生しても、気泡は十分成長しないうちにマイクロ流路31の蒸気管側端部まで移動し、マイクロ流路31の外に排出されてしまう。その結果、本実施形態に係るループ型ヒートパイプ20では、ドライアウトの発生が回避され、熱輸送能力が高い状態が維持されるという効果を奏する。
以下、溝31aの長さの好適な範囲について、図10を参照して説明する。
溝31aの壁面と作動液との接触面積を増やすという観点からは、溝31aの長さXを長くすることが好ましい。しかし、溝31aの長さXが長すぎると、溝31aの液管側端部で発生した気泡が蒸気管24側に移動しにくくなる。
図10に示すように、マイクロ流路31の流路径をDとすると、マイクロ流路31をふさぐ気泡38の半径はD/2となる。一方、マイクロ流路31の蒸気管側端部では、表面張力により作動液35bの液頭に凹み(メニスカス)が発生する。ここで、液頭の凹み量をaとする。
この場合、溝31aの長さXが(D/2)+a以下(すなわち、X≦(D/2)+a)であれば、溝31aの液管側端部で発生した気泡38は、蒸気管24側の空間と連絡して消滅する。従って、溝31の長さXは、((D/2)+a)以下とすることが好ましい。
例えば作動液とマイクロ流路の壁面との接触角θを30°の場合、作動液の液頭の凹み量は約10μmとなる。従って、溝31aの長さXは、27.5μm以下であればよいことになる。
10,20…ループ型ヒートパイプ、11,21…蒸発部、12,22…凝縮部、13,23…液管、14,24…蒸気管、15b,35b…作動液、17,31…マイクロ流路、18,38…気泡、19…発熱部品、25…CPU,26…プリント基板、30…電子機器、31a…溝。
Claims (4)
- 発熱部品から伝達される熱により作動流体を加熱して蒸気を発生させる蒸発部と、
前記蒸発部で発生した蒸気を凝縮させる凝縮部と、
前記蒸発部と前記凝縮部との間を連絡し液相の状態の前記作動流体が通流する液管と、
前記蒸発部と前記凝縮部との間を連絡し気相の状態の前記作動流体が通流する蒸気管とを有し、
前記蒸発部内には、前記液管側から前記蒸気管側に前記液相の状態の作動流体が通流する複数のマイクロ流路が設けられ、前記マイクロ流路の前記蒸気管側の端部に凹凸が設けられていることを特徴とするループ型ヒートパイプ。 - 前記凹凸が前記マイクロ流路の長手方向に延びる溝であり、前記マイクロ流路の幅方向に前記溝が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のループ型ヒートパイプ。
- 前記マイクロ流路の流路径をD、前記マイクロ流路の端部における前記作動流体の液頭の長さをaとしたときに、前記溝の長さXが、X≦((D/2)+a)であることを特徴とする請求項2に記載のループ型ヒートパイプ。
- 発熱部品とループ型ヒートパイプとを有する電子機器であって、
前記ループ型ヒートパイプは、
前記発熱部品から伝達される熱により作動流体を加熱して蒸気を発生させる蒸発部と、
前記蒸発部で発生した蒸気を凝縮させる凝縮部と、
前記蒸発部と前記凝縮部との間を連絡し液相の状態の前記作動流体が通流する液管と、
前記蒸発部と前記凝縮部との間を連絡し気相の状態の前記作動流体が通流する蒸気管とを有し、
前記蒸発部内には、前記液管側から前記蒸気管側に前記液相の状態の作動流体が通流する複数のマイクロ流路が設けられ、前記マイクロ流路の前記蒸気管側の端部に凹凸が設けられていることを特徴とする電子機器。
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CN106051955A (zh) * | 2016-07-11 | 2016-10-26 | 珠海格力电器股份有限公司 | 空调室外机的散热组件及空调室外机 |
WO2017203574A1 (ja) * | 2016-05-23 | 2017-11-30 | 富士通株式会社 | ループヒートパイプ及びその製造方法並びに電子機器 |
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2014
- 2014-10-08 JP JP2014206845A patent/JP2016075437A/ja not_active Withdrawn
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