JP2016075176A - スクリュポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】リークを抑えつつ、各スクリュの姿勢を安定して保つことが可能なスクリュポンプを提供する。【解決手段】外面に螺旋状のオス溝部が形成され、第1回転軸Rを中心として回転可能なオススクリュ5と、外面に螺旋状のメス溝部が形成され、第2回転軸Qを中心としてオススクリュ5に従動して回転するメススクリュ6と、ケース301とを備える。ケース301には、オススクリュ5を収容するオス側孔部314と、メススクリュ6を収容するメス側孔部315が形成される。メス側孔部315には、第1回転軸R及び第2回転軸Qに直交する径方向断面内で見たときオススクリュ5とメススクリュ6との噛み合い部7における回転方向の前方となる内面に、メス溝部と同一のリード角をなす複数のメス側ケース溝部317が形成される。以上の構成により、リークを抑えつつ、各スクリュ5,6の姿勢を安定して保つことができる。【選択図】図2
Description
本発明は、スクリュの回転によって流体を圧送するスクリュポンプに関する。
従来、例えば特許文献1に記載されるように、オススクリュ及びメススクリュが互いに噛み合いながら回転することにより低圧側から高圧側に流体を圧送するスクリュポンプが知られている。特許文献1に記載のスクリュポンプでは、各スクリュにスクリュ溝のねじれ方向に沿った微少深さの凹条を、スクリュ溝の全周に亘って形成している。
一般に、流体圧送時にスクリュの側面に作用する流体圧力は、スクリュの噛み合い部に対する回転方向の前方と後方とで差が生じるため、その圧力差、すなわち偏荷重によってスクリュが傾いてしまい、スクリュの姿勢が安定しないという問題があった。その点、特許文献1に記載の上記スクリュポンプでは、各スクリュに形成された凹条により圧力が均一化されるため、各スクリュの姿勢を比較的安定して保つことができるとされていた。
しかしながら、上記スクリュポンプでは、各スクリュのスクリュ溝の全周に亘って凹条が形成されているため、偏荷重は解消されたとしても、螺旋状に連続して形成される凹条によりリークが増大してしまい、ポンプ効率が低減するという問題が生じていた。こうした問題は、流体の種類や圧送条件によっては、さらに顕著となる虞がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リークを抑えつつ、各スクリュの姿勢を安定して保つことが可能なスクリュポンプを提供することにある。
本発明のスクリュポンプは、オススクリュ及びメススクリュが互いに噛み合いながら回転することにより低圧側の吸入口から高圧側の吐出口に流体を圧送する。スクリュポンプは、外面に螺旋状のオス溝部が形成され、第1回転軸を中心として回転可能なオススクリュと、外面に螺旋状のメス溝部が形成され、第2回転軸を中心としてオススクリュに従動して回転するメススクリュと、オススクリュ及びメススクリュを収容するケースとを備える。
ケースの内部には、オススクリュを収容するオス側孔部と、メススクリュを収容するメス側孔部とが形成される。さらに、メス側孔部には、第1回転軸及び第2回転軸に直交する径方向断面内で見たとき、オススクリュとメススクリュとの噛み合い部における回転方向の前方となる内面に、メス溝部と同一のリード角をなす複数のメス側ケース溝部が形成される。ここで、「同一」とは、厳密な意味での「同一」に限らず、当該技術分野の技術常識に照らして、通常、「同一」であると判断される範囲の同一性を有していれば、「同一」であると解釈する。
一般に、回転軸方向の同じ位置、すなわち、ケースの径方向断面内で見たとき、噛み合い部では、回転方向後方のメス溝部及びオス溝部内を流れる流体の圧力は、回転方向前方のメス溝部及びオス溝部内を流れる流体の圧力よりも高くなり、噛み合い部では回転方向後方から前方に向かって偏荷重が発生する。
本発明の構成によれば、メス側孔部において、噛み合い部における回転方向の前方、すなわち偏荷重が発生する方向側の内面に、メス溝部と同一リード角をなす複数のメス側ケース溝部が形成されているため、スクリュに作用する過剰な圧力を解消し、各スクリュの姿勢を安定して保つことができる。
例えば、偏荷重を受けてスクリュが傾くと、スクリュの山部とケースの孔部の内壁とが点接触する虞があり、その部位での荷重が大きくなってしまいフリクションが増加する。しかし、本構成によれば、ケース溝部を形成することで偏荷重を解消するため、スクリュの姿勢が安定し、結果的にフリクションを増大させることもなくポンプ効率を向上させることができる。
さらに、ケース溝部がケースの内面全周に亘って形成される場合や、スクリュ自体に溝を形成する場合と比較して、リークの発生を極力抑制することができる。
以下、本発明の複数の実施形態によるスクリュポンプを図面に基づいて説明する。複数の実施形態において実質的に同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
最初に、本発明の実施形態によるスクリュポンプが適用される燃料供給システムの全体構成、及び、スクリュポンプの概略構成について、図1〜図4を参照して説明する。
(第1実施形態)
最初に、本発明の実施形態によるスクリュポンプが適用される燃料供給システムの全体構成、及び、スクリュポンプの概略構成について、図1〜図4を参照して説明する。
図1に示すように、燃料供給システム90は、燃料タンク91内に設けられた液面センサ92、サクションフィルタ93、スクリュポンプ11、フューエルフィルタ(図中「F/F」と記す。)94、プレッシャレギュレータ95、及び、エンジン(図中「E/G」と記す。)98の近傍に設けられた高圧ポンプ96、燃料噴射装置97等を含み、ガソリン等の燃料Fを燃料タンク91からエンジン98に供給する。
スクリュポンプ11は、サクションフィルタ93で濾過された燃料タンク91の燃料Fを吸入口21から吸入し、昇圧して吐出口42から吐出する。吐出された燃料Fは、フューエルフィルタ94を経由して高圧ポンプ96へ圧送される。また、フューエルフィルタ94後の分岐経路に設けられたプレッシャレギュレータ95を通じて過剰圧力分の燃料Fが燃料タンク91に戻されることにより、吐出圧が調整される。
高圧ポンプ96は、スクリュポンプ11から圧送された燃料をさらに昇圧し、燃料噴射装置97に圧送する。燃料噴射装置97は、燃料噴射弁(インジェクタ)、及びその燃料噴射を制御する制御装置から構成されており、エンジン98の気筒や吸気通路へ高圧燃料を噴射する。
このように、本実施形態のスクリュポンプ11は、燃料供給システム90において燃料タンク91内に設けられ、従来、例えばインペラ式の燃料ポンプ等によって行われていた役割を担うものである。
図2に示すように、スクリュポンプ11は、ロアカバー2、ケース301、アッパーカバー4、オススクリュ5及びメススクリュ6等を有している。ロアカバー2は、一方の端部に吸入口21が開口しており、ケース301と吸入口21との間に受け板22を設けている。受け板22には、吸入口21とケース孔311とを連通する吸入通路23が形成されている。また、受け板22は、ケース孔311に収容されたオススクリュ5の先端59及びメススクリュ6の先端69を支持する。このとき、先端59,69と受け板22との点接触によるフリクションを低減するため、接触部が滑るようにすることが好ましい。
オススクリュ5及びメススクリュ6は、真っ直ぐケース孔311に挿入される。オススクリュ5の回転軸である第1回転軸R、及び、メススクリュ6の回転軸である第2回転軸Qは、互いに平行である。そして、オススクリュ5及びメススクリュ6は、第1回転軸Rと第2回転軸Qとの間の噛み合い部7で互いに噛み合っている。
アッパーカバー4は、ケース孔311に連通する吐出通路41、及び、吐出通路41に連通し外部に燃料を吐出する吐出口42が形成されている。また、アッパーカバー4の内部には、オススクリュ5の基端50に連結され、オススクリュ5を回転駆動するモータ等の駆動手段8が設けられている。
本実施形態では、駆動手段8により、アッパーカバー4側から見たとき反時計回り方向となる回転方向Rmにオススクリュ5を回転させる。これに従動してメススクリュ6は、アッパーカバー4側から見たとき時計回り方向となる回転方向Rfに回転する。
さらに図3に示すように、本実施形態では、オススクリュ5は二条ねじ、メススクリュ6は三条ねじで構成されている。すなわち、オススクリュ5は、第1山部51と第2山部52とが交互に第1回転軸Rを螺旋状に周回する。第1山部51と第2山部52との間、及び、第2山部52と第1山部51との間は、燃料が流入可能なオス溝部53,54となる。
なお、以下の説明において、第1山部51と第2山部52を総称して「オス山部」とも言う。オス山部51,52の幅は、オス溝部53,54の幅より相対的に狭く形成されている。また、本実施形態では、各オス山部51,52は、2.5周余り周回し、合計で軸方向に5山余りが形成されている。
メススクリュ6は、第1山部61、第2山部62及び第3山部63が交互に第2回転軸Qを螺旋状に周回し、各山部61、62、63の間には、各山部61,62,63の幅より相対的に幅の狭いメス溝部64,65,66が形成されている。なお、以下の説明において、第1山部61、第2山部62及び第3山部63を総称して「メス山部」とも言う。メススクリュ6のメス山部61,62,63は、オススクリュ5のオス溝部53,54に噛み合う。また、メス山部61,62,63の山幅は、オス山部51,52の山幅より相対的に広くなっている。
オススクリュ5及びメススクリュ6が互いに噛み合いながら回転することにより、スクリュポンプ11は、吸入口21側の低圧燃料を昇圧し吐出口42から吐出する。以下、ケース孔311のロアカバー2側を「低圧側」、ケース孔311のアッパーカバー4側を「高圧側」という。
次に、ケース301について説明する。図4、図5に示すように、ケース301は、軸方向に貫通しオススクリュ5及びメススクリュ6を収容するケース孔311を有している。図4に示す径方向断面において、ケース孔311は、オススクリュ5を収容するオス側孔部314と、メススクリュ6を収容するメス側孔部315とがダルマ形につながった形状を呈している。オス側孔部314は、メス側孔部315より内径が大きくなっている。ここで、ダルマ形状のくびれた部分であって、オス側孔部314とメス側孔部315との境目として軸方向に延びる部分を境界部316とする。また、ダルマ形の対称面に相当する仮想平面を「対称面V」と定義する。
図5は、ケース301の軸方向断面斜視図であって、ケース孔311の内面を模式的に示す図である。図5に示すように、メス側孔部315には、複数(本実施形態では5つ)のメス側ケース溝部317が形成されている。なお、本実施形態では、ケース溝部はメス側孔部315にのみ形成されており、第1実施形態中の以下の説明においては「メス側」を省略し、単に「ケース溝部」とも言う。
ケース溝部317の詳細について説明する。図6は、図2において一点鎖線で囲んだ部分を拡大して示す図であって、オススクリュ5は省略して示してある。図6に示すように、ケース溝部317は、軸方向断面形状が長方形状であって、メス溝部64,65,66のリード角α1と同一のリード角α2(=α1)をなし、メス溝部64,65,66と並行するように形成されている。その形成ピッチP2は、メス溝部64,65,66の形成ピッチP1と同じである。なお、メス溝部64,65,66のリード角α1とは、メス溝部64,65,66の巻線上の一点と、この一点を通り軸線と直交する平面とのなす角度である。
ケース溝部317の深さD2は、メス溝部64,65,66の深さD1の3分の1程度であり、メス溝部64,65,66の深さD1よりも小さくなっている。また、ケース溝部317の深さD2は、溝の延伸方向に亘って一定である。ケース溝部317の幅W1(軸方向長さ)は、メス山部61,62,63の幅W1の3分の1程度であり、メス山部61,62,63の幅W1よりも小さくなっている。
さらに、図4に示すように、ケース溝部317の径方向断面における周方向の形成角度Afは約120度であり、ケース溝部317は、対称面Vから、対称面Vに対して一方側(図4に示す上側)の境界部316の少し手前まで螺旋の一部を描くように凹設されている。形成角度Afは、メス溝部64,65,66の条数をN条とすると、360度を条数Nで割った値とする。すなわち、形成角度Afは、
Af=360/N ・・・式(1)
で表すことができ、式(1)により、形成角度Afを決定することができる。
Af=360/N ・・・式(1)
で表すことができ、式(1)により、形成角度Afを決定することができる。
なお、各スクリュ5,6の外周先端とケース孔311の内壁との間は、数十μm程度の微少な隙間が形成されたシール構造となっている。そして、各スクリュ5,6とケース孔311との間には、吸入口21から吸入した燃料Fを圧縮するための圧縮室318(図2参照)が形成されている。
再び、図4を参照すると、オススクリュ5及びメススクリュ6の噛み合い部7では、対称面Vに対し図の上方が回転方向の前方、図の下方が回転方向の後方となる。軸方向の同じ高さにおいて、回転方向後方の溝内を流れる燃料の圧力は、回転方向前方の溝に流れる燃料の圧力よりも高くなり、噛み合い部7では回転方向後方から前方に向かって偏荷重Lbが発生する。すなわち、ケース溝部317は、対称面Vに対して偏荷重Lbが作用する側の一方側であって、噛み合い部7において回転方向の前方に形成されている。
[作用]
次に、本実施形態のスクリュポンプ11の作動について説明する。一対のスクリュ5,6が、駆動手段8により同期回転されると、吸入口21から燃料Fが圧縮室318に吸い込まれる。このとき、圧縮室318は、一対のスクリュ5,6の回転とともに、ロアカバー2側からアッパーカバー4側に移動しながらその体積が縮小していくため、圧縮室318内の燃料Fは次第に加圧圧縮されながらアッパーカバー4側に移動していく。
次に、本実施形態のスクリュポンプ11の作動について説明する。一対のスクリュ5,6が、駆動手段8により同期回転されると、吸入口21から燃料Fが圧縮室318に吸い込まれる。このとき、圧縮室318は、一対のスクリュ5,6の回転とともに、ロアカバー2側からアッパーカバー4側に移動しながらその体積が縮小していくため、圧縮室318内の燃料Fは次第に加圧圧縮されながらアッパーカバー4側に移動していく。
そして、一対のスクリュ5,6の回転角が所定の角度に達すると、圧縮室318が吐出口42と連通し、それまで密閉されていた圧縮室318が吐出口42で開放された状態となるので、圧縮室318内の圧縮された燃料Fが吐出口42から吐出される。
図4に示す各スクリュ5,6の状態を基準回転位置とする。図4における基準回転位置では、ケース溝部317は、メス山部61の中央に位置しており完全にシールされる。上記したように、各スクリュ5,6は互いに噛み合いながら回転する。図7は、各スクリュ5,6が基準回転位置から36度回転した状態を示す図である。図7に示す状態では、ケース溝部317は、メス山部61とメス溝部66との間に位置しており線シールされる。
図8は、図7に示す状態から各スクリュ5,6がさらに回転し、基準回転位置からは72度回転した状態を示す図である。図8に示す状態では、ケース溝部317は、メス溝部66と重なるように位置し、メス溝部66の容積の一部となる。なお、図4、図7、図8を参照した上記説明においては、ケース溝部317と、メス山部61またはメス溝部66との関係を例示的に説明しているが、ケース溝部317はメス溝部64,65,66と同一のピッチP2で形成されているため、同図中、すなわちスクリュ5,6の回転角が同じ状態であれば、複数のいずれのケース溝部317においても、メス山部61,62,63またはメス溝部64,65,66との関係は同じである。
いずれの状態においても、ケース溝部317は、メス溝部64,65,66と同一のリード角α2をなし、螺旋状の一部が分断された形状であって、対称面Vに対して一方側にのみ形成されているため、ケース溝部317が隣の圧縮室318と繋がることはなく、リークは最大限に抑えられる。そして、ケース溝部317側へ作用する偏荷重Lbが、ケース溝部317によって解消される。
[効果]
(1)本実施形態では、メス側孔部315において、噛み合い部7における回転方向の前方、すなわち偏荷重Lbが発生する方向側の内面に、複数のケース溝部317が形成されているため、圧力が均一化されて、各スクリュ5,6に作用する偏荷重Lbをケース溝部317により解消し、各スクリュ5,6の姿勢を安定して保つことができる。
(1)本実施形態では、メス側孔部315において、噛み合い部7における回転方向の前方、すなわち偏荷重Lbが発生する方向側の内面に、複数のケース溝部317が形成されているため、圧力が均一化されて、各スクリュ5,6に作用する偏荷重Lbをケース溝部317により解消し、各スクリュ5,6の姿勢を安定して保つことができる。
例えば、偏荷重Lbを受けてスクリュ5,6が傾くと、スクリュ5,6の山部51,52,61,62,63とケース301のケース孔311の内壁とが点接触する虞があり、その部位での荷重が大きくなってしまいフリクションが増加する。しかし、本構成によれば、ケース溝部317を形成することで偏荷重Lbを解消するため、スクリュ5,6の姿勢が安定し、結果的にフリクションを増大させることもなくポンプ効率を向上させることができる。
(2)特に、本実施形態でのケース溝部317は、対称面Vに対して一方側にのみ形成されており、ケース溝部317が燃料Fの流路となることがないため、ケース溝部317がケース孔311の内面全周に亘って形成される場合や、スクリュ自体に溝を形成する場合と比較して、低圧側と高圧側とが連通することによるリークを抑制することができる。
(3)さらに、ケース溝部317は、メス溝部64,65,66の深さD1や、メス山部61,62,63の山幅W1と比較して3分の1程度の大きさであって相対的に小さく形成しているため、ケース溝部317を主たる流路としてではなく、圧力を均一化して偏荷重Lbを解消する溝部として確実に構成することができる。また、本実施形態のように液体燃料Fを作動流体とするスクリュポンプでは、一般にメススクリュ6の山幅はオススクリュ5の山幅より広く、メススクリュ6の方がオススクリュ5と比較して、ケース孔311の内壁面と対向する面積が大きい。このため、メス側孔部315にケース溝部317を形成する方が、シール面積を大きく確保できることからリークを抑えやすく、また、適当な大きさの溝を形成しやすいという利点がある。
〈第2実施形態〉
次に、本発明の第2実施形態のスクリュポンプ12について、図9を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。図9に示すように、ケース302に形成されるケース孔312は、オス側孔部314とメス側孔部321とで構成されている。メス側孔部321の内面には、アッパーカバー4寄りの高圧側にのみ複数(本実施形態では3つ)のメス側ケース溝部317が形成されている。ケース溝部317の形状については第1実施形態と同様である。
次に、本発明の第2実施形態のスクリュポンプ12について、図9を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。図9に示すように、ケース302に形成されるケース孔312は、オス側孔部314とメス側孔部321とで構成されている。メス側孔部321の内面には、アッパーカバー4寄りの高圧側にのみ複数(本実施形態では3つ)のメス側ケース溝部317が形成されている。ケース溝部317の形状については第1実施形態と同様である。
アッパーカバー4寄りの高圧側は、低圧側と比較して相対的に圧力が高く、偏荷重Lbの影響がより顕著である。また、メススクリュ6は、ロアカバー2側の受け板22を支点として片持ち支持されており、受け板22から遠い高圧側の方では、受け板22側を支点として偏荷重Lbの影響をより受けやすい。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、さらに偏荷重Lbの影響を受けやすい高圧側では、ケース溝部317によって確実に偏荷重Lbを解消ことができる。また、形成する溝の数が第1実施形態と比較して少ないため、ケース302の加工工数を低減でき、加工が容易となる。
〈第3実施形態〉
次に、本発明の第3実施形態のスクリュポンプ13について、図10〜図12を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。図10に示すように、ケース303に形成されるケース孔313は、オス側孔部322とメス側孔部315とで構成されている。本実施形態では、オス側孔部322に、オス側ケース溝部319が複数(本実施形態では5つ)形成されている点が、上記第1実施形態とは異なる。
次に、本発明の第3実施形態のスクリュポンプ13について、図10〜図12を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。図10に示すように、ケース303に形成されるケース孔313は、オス側孔部322とメス側孔部315とで構成されている。本実施形態では、オス側孔部322に、オス側ケース溝部319が複数(本実施形態では5つ)形成されている点が、上記第1実施形態とは異なる。
オス側ケース溝部319は、オス溝部53,54と同一のリード角をなし、オス溝部53,54と並行するように形成されており、その形成ピッチは、オス溝部53,54の形成ピッチと同じである。
さらに、図11に示すように、オス側ケース溝部319の径方向断面における周方向の形成角度Amは約120度であり、オス側ケース溝部319は、対称面Vから、対称面Vに対して一方側(図11に示す上側)の境界部316の少し手前まで螺旋の一部を描くように凹設されている。
また、図12に示すように、オス側ケース溝部319は、メス側ケース溝部317とは軸方向において若干互い違いとなるように形成されており、境界部316付近においてメス側ケース溝部317とは離間している。
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏し、さらに、ケース303のオス側孔部322においても偏荷重Lbを解消することができるため、さらに効果的にスクリュ5,6の姿勢を安定して保つこができる。
〈他の実施形態〉
・ 上記第1実施形態において、メス側ケース溝部317は、メス溝部64,65,66と同じピッチで形成したが、例えばメス溝部64,65,66のピッチP1の2倍等のピッチで形成しても良く、メス溝部64,65,66に沿う同一リード角であれば、必ずしも同一ピッチである必要はない。
・ 上記第1実施形態において、メス側ケース溝部317は、メス溝部64,65,66と同じピッチで形成したが、例えばメス溝部64,65,66のピッチP1の2倍等のピッチで形成しても良く、メス溝部64,65,66に沿う同一リード角であれば、必ずしも同一ピッチである必要はない。
・ 同様に、上記第2実施形態において、オス側ケース溝部319は、オス溝部53,54と同一のリード角であれば良く、必ずしも同一ピッチである必要はない。ここで、「同一」とは、厳密な意味での「同一」に限らず、当該技術分野の技術常識に照らして、通常、「同一」であると判断される範囲の同一性を有していれば、「同一」であると解釈する。
・ 上記各実施形態におけるケース溝部317,319は、軸方向断面形状が長方形状としたが、その他、正方形状や半円形状等変更可能である。この場合、ケース溝部317,319の幅及び深さ等がスクリュ5,6の溝部53,54,64,65,66の幅及び深さ等に対して相対的に小さい範囲で適宜調整することで、上記実施形態と同様にケース溝部が主たる流路の一部となることを回避できる。
・ 本発明の要部であるケース孔311,312,313のメス側ケース溝部317及びオス側ケース溝部319以外のスクリュポンプ11,12,13の構成に関しては、上記各実施形態に対し、形状、配置、数量等、適宜変更してよい。例えば駆動手段8が内蔵されるものに限らず、外部からの駆動力を受けてスクリュ5,6が回転するようにしてもよい。
・ 本発明のスクリュポンプが適用される流体は燃料Fに限らず、燃料F以外の液体や、空気等の気体に適用されてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
5 ・・・オススクリュ
6 ・・・メススクリュ
7 ・・・噛み合い部
11,12,13 ・・・スクリュポンプ
53,54 ・・・オス溝部
61,62,63 ・・・メス山部
64,65,66 ・・・メス溝部
301,302,303 ・・・ケース
311,312,313 ・・・ケース孔
314,322 ・・・オス側孔部
315,321 ・・・メス側孔部
317 ・・・メス側ケース溝部
319 ・・・オス側ケース溝部
6 ・・・メススクリュ
7 ・・・噛み合い部
11,12,13 ・・・スクリュポンプ
53,54 ・・・オス溝部
61,62,63 ・・・メス山部
64,65,66 ・・・メス溝部
301,302,303 ・・・ケース
311,312,313 ・・・ケース孔
314,322 ・・・オス側孔部
315,321 ・・・メス側孔部
317 ・・・メス側ケース溝部
319 ・・・オス側ケース溝部
Claims (8)
- オススクリュ(5)及びメススクリュ(6)が互いに噛み合いながら回転することにより低圧側の吸入口(21)から高圧側の吐出口(42)に流体を圧送するスクリュポンプ(11,12,13)であって、
外面に螺旋状のオス溝部(53,54)が形成され、第1回転軸(R)を中心として回転可能な前記オススクリュと、
外面に螺旋状のメス溝部(64,65,66)が形成され、第2回転軸(Q)を中心として前記オススクリュに従動して回転する前記メススクリュと、
前記オススクリュを収容するオス側孔部(314)、
前記メススクリュを収容し、前記第1回転軸及び前記第2回転軸に直交する径方向断面内で見たとき前記オススクリュと前記メススクリュとの噛み合い部(7)における回転方向の前方となる内面に、前記メス溝部と同一のリード角(α2)をなす複数のメス側ケース溝部(317)が形成されるメス側孔部(315)、
を内部に形成するケース(301,302,303)と、
を備えることを特徴とするスクリュポンプ。 - 複数の前記メス側ケース溝部は、前記メス溝部の形成ピッチ(P1)と同じピッチ(P2)で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクリュポンプ。
- 複数の前記メス側ケース溝部の深さ(D2)は、前記メス溝部の深さ(D1)よりも小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスクリュポンプ。
- 前記メス溝部の条数をN条とすると、
前記メス側ケース溝部は、周方向において(360/N)°以下の角度範囲に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のスクリュポンプ。 - 複数の前記メス側ケース溝部の前記第2回転軸の軸方向における幅(W2)は、隣り合う前記メス溝部の間に形成されるメス山部(61,62,63)の山幅(W1)よりも小さいことを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のスクリュポンプ。
- 複数の前記メス側ケース溝部は、前記メス側孔部における前記吐出口寄りの高圧側部位に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載のスクリュポンプ(12)。
- 前記ケース(303)は、
前記径方向断面内で見たとき前記噛み合い部(7)における回転方向の前方となる前記オス側孔部の内面に、前記オス溝部と同一のリード角をなす複数のオス側ケース溝部(319)が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載のスクリュポンプ(13)。 - 前記オス側ケース溝部は、前記メス側ケース溝部とは離間していることを特徴とする請求項7に記載のスクリュポンプ。
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JP2014204645A JP2016075176A (ja) | 2014-10-03 | 2014-10-03 | スクリュポンプ |
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Cited By (3)
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KR102648355B1 (ko) | 2022-11-03 | 2024-03-18 | 주식회사 코아비스 | 스크류 펌프 |
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JPH02191890A (ja) * | 1988-12-05 | 1990-07-27 | Ebara Corp | スクリュー圧縮機 |
-
2014
- 2014-10-03 JP JP2014204645A patent/JP2016075176A/ja active Pending
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