JP2016070868A - フランジ締付測定システム及びその方法 - Google Patents

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勇治郎 松田
Yujiro Matsuda
勇治郎 松田
古川 勝
Masaru Furukawa
勝 古川
下村 浩二
Koji Shimomura
浩二 下村
宏憲 安宅
Hironori Ataka
宏憲 安宅
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Abstract

【課題】ガスケットの圧縮量を正確に測定することができるフランジ締付測定システムを提供することを目的としている。
【解決手段】測長器Gにて測定した締結部材1001cによって仮締めされたガスケット1001bを備える一対のフランジ部1001a間の測定値と、測長器Gにて測定した締結部材1001cによって本締めされた一対のフランジ部1001a間の測定値を用いてガスケット1001bの圧縮量を記録装置PCにて自動で算出してなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、フランジとガスケットを備える配管系の接続時におけるガスケットの圧縮量を測定するためのフランジ締付測定システム及びその方法に関する。
原子力プラント等のフランジを備える配管系では、一対のフランジ間にガスケットを挟み込みボルト等の締結部材によってフランジを締付けるようにしている。これにより、ガスケットに所定圧力を越える圧力を加えてフランジに密着させることにより、フランジ接合部からの流体の漏れを防いでいる。
一般的に、任意圧力の各種流体の漏れを防ぐためのガスケットの圧縮量はガスケットメーカから提供されており、ガスケットの使用者はボルト締付時に必要な所定圧力を得られる圧縮量を管理することによって流体の漏れ防止を管理している。
従来、このガスケットの圧縮量を測定及び記録する方法として、例えばフランジ締付作業時に、作業者が、締付前と締付後にノギス等の測長器を使用して一対のブラケット間の寸法を測定し、紙に記入し、さらに、その紙に記入した測定値よりガスケットの圧縮量を検算し、もって、その検算した圧縮量を当該紙にさらに記入することで記録するという方法が採用されていた。
しかしながら、上記のような方法では、作業者の力量に依る所が大きく、測定誤差が頻繁に発生し、正確性に欠けるという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、ガスケットの圧縮量を正確に測定することができるフランジ締付測定システム及びその方法を提供することを目的としている。
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
請求項1の発明に係るフランジ締付測定システムによれば、通信手段(無線送信器19)を備える測長器(G)と、
前記測長器(G)にて測定した測定値を、通信ネットワークを介して受信し記録する記録装置(PC)と、を備えるフランジ締付測定システムであって、
前記記録装置(PC)は、
前記測長器(G)にて測定した締結部材(1001c)によって仮締めされたガスケット(1001b)を備える一対のフランジ部(1001a)間の測定値を記録する第1の記録手段(フランジ締付データ記憶部6b)と、
前記測長器(G)にて測定した前記締結部材(1001c)によって本締めされた前記一対のフランジ部(1001a)間の測定値を記録する第2の記録手段(フランジ締付データ記憶部6b)と、
前記第1の記録手段(フランジ締付データ記憶部6b)にて記録した測定値と前記第2の記録手段(フランジ締付データ記憶部6b)にて記録した測定値を用いて前記ガスケット(1001b)の圧縮量を算出する圧縮量算出手段(中央制御部2,ステップS7)と、
前記圧縮量算出手段(中央制御部2,ステップS7)にて算出された圧縮量を記録する第3の記録手段(フランジ締付データ記憶部6b)とを備えてなることを特徴としている。
また、請求項2の発明に係るフランジ締付測定システムによれば、上記請求項1に記載のフランジ締付測定システムにおいて、前記第1の記録手段(フランジ締付データ記憶部6b)は、前記測長器(G)にて測定した前記締結部材(1001c)によって仮締めされたガスケット(1001b)を備える一対のフランジ部(1001a)間の所要箇所毎の測定値を順に記録し、
前記第2の記録手段(フランジ締付データ記憶部6b)は、前記測長器(G)にて測定した前記締結部材(1001c)によって本締めされた前記一対のフランジ部(1001a)間の所要箇所毎の測定値を順に記録し、
前記圧縮量算出手段(中央制御部2,ステップS7)は、前記第1の記録手段(フランジ締付データ記憶部6b)にて記録した前記一対のフランジ部(1001a)間の所要箇所毎の測定値と、前記第2の記録手段(フランジ締付データ記憶部6b)にて記録した前記一対のフランジ部(1001a)間の所要箇所毎の測定値を用いて、前記一対のフランジ部(1001a)間に挟みこまれている前記ガスケット(1001b)の所要箇所毎の圧縮量を算出してなることを特徴としている。
さらに、請求項3の発明に係るフランジ締付測定システムによれば、上記請求項1又は2に記載のフランジ締付測定システムにおいて、前記一対のフランジ部(1001a)の情報が書き込まれている情報記憶手段(IDタグT,QRコード(登録商標))と、
前記情報記憶手段(IDタグT,QRコード(登録商標))の情報を読取可能であると共に、前記通信ネットワークを介して通信可能な情報読取器(IDリーダR,QRコード(登録商標)読取器)と、をさらに備えてなるフランジ締付測定システムであって、
前記記録装置(PC)は、
前記情報読取器(IDリーダR,QRコード(登録商標)読取器)にて読み取られた情報を、前記通信ネットワークを介して受信する受信手段(第2無線受信器4b)と、
前記受信手段(第2無線受信器4b)にて受信した情報に対応する前記一対のフランジ部(1001a)の記録情報を前記第1の記録手段(フランジ締付データ記憶部6b)及び/又は前記第2の記録手段(フランジ締付データ記憶部6b)及び/又は前記第3の記録手段(フランジ締付データ記憶部6b)より読み出す読出手段(中央制御部2,ステップS4)と、をさらに備えてなることを特徴としている。
一方、請求項4の発明に係るフランジ締付測定方法によれば、通信手段(無線送信器19)を備える測長器(G)と、
前記測長器(G)にて測定した測定値を記録する記録装置(PC)とが通信ネットワークを介して接続されてなるフランジ締付測定方法であって、
前記記録装置(PC)は、
前記測長器(G)にて測定した締結部材(1001c)によって仮締めされたガスケット(1001b)を備える一対のフランジ部(1001a)間の測定値を記録する第1のステップと(ステップS6)、
前記測長器(G)にて測定した前記締結部材(1001c)によって本締めされた前記一対のフランジ部(1001a)間の測定値を記録する第2のステップ(ステップS6)と、
前記第1のステップ(ステップS6)にて記録した測定値と前記第2のステップ(ステップS6)にて記録した測定値を用いて前記ガスケット(1001b)の圧縮量を算出する第3のステップ(ステップS7)と、
前記第3のステップにて算出された圧縮量を記録する第4のステップ(ステップS7)とを含んでなることを特徴としている。
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
請求項1及び4の発明によれば、作業者は、測長器(G)にて、締結部材(1001c)によって仮締めされたガスケット(1001b)を備える一対のフランジ部(1001a)間と、締結部材(1001c)によって本締めされた前記一対のフランジ部(1001a)間を測定するだけで、自動的にガスケット(1001b)の圧縮量が算出され、記録されることとなる。それゆえ、本発明によれば、ガスケットの圧縮量を正確に測定することができる。
また、請求項2の発明によれば、作業者は、測長器(G)にて、締結部材(1001c)によって仮締めされたガスケット(1001b)を備える一対のフランジ部(1001a)間の所要箇所毎、及び、締結部材(1001c)によって本締めされた前記一対のフランジ部(1001a)間の所要箇所毎を測定するだけで、自動的に順に所要箇所毎の測定値が記録されると共に、ガスケット(1001b)の圧縮量が自動的に算出され記録されることとなるため、作業効率が大幅に改善されることとなる。
さらに、請求項3の発明によれば、作業者は、一対のフランジ部(1001a)の情報が書き込まれている情報記憶手段(IDタグT,QRコード(登録商標))を情報読取器(IDリーダR,QRコード(登録商標)読取器)で読み取るだけで、前記一対のフランジ部(1001a)の測定情報が自動的に読み出されるため、作業効率がさらに大幅に改善されることとなる。
本発明の一実施形態に係るフランジ締付測定システムの概略構成図である。 同実施形態に係る記録装置のブロック図である。 同実施形態に係る測長器を示す側面図である。 同測長器の底面図である。 同測長器の要部の縦断面を示し、(a)は図3のX1−X1線の矢視断面図、(b)は図3のY1−Y1線の矢視断面図である。 同測長器の要部の縦断面を示し、(a)は図3のX2−X2線の矢視断面図、(b)は図3のY2−Y2線の矢視断面図である。 同測長器による配管のフランジ接続部の測定状態を、片側カバーを外した状態で示す縦断側面図である。 同測定状態を示す縦断正面図である。 同実施形態に係るフランジ締付測定システムの一使用例を示すフローチャート図である。 同実施形態に係るフランジ締付記録用プログラムの画面例を示し、(a)は、IDリーダ及び測長器の通信が不能である状態を示し、(b)は、IDリーダ及び測長器の通信が可能である状態を示す画面例である。 (a)は、同実施形態に係るフランジ締付記録ファイルに測定値が書き込まれていく順を示した画面例で、(b)は、同測長器を用いてフランジ接続部を測定する順序を示した説明図である。
以下、本発明に係るフランジ締付測定システムの一実施形態について、図1〜図11を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態における上下の方向は、フランジ接続部に測長器を挟み付ける際のフランジ部外周側を上、フランジ部中心側を下として便宜的に定めている。
図1は、フランジ締付測定システム1の概略構成図を示すもので、このフランジ締付測定システム1は、一対のフランジ部1001a,1001a間にガスケット1001bを挟み込みボルト・ナットの締結部材1001cによって締め付けられているフランジ接続部1001を備える配管1000と、フランジ接続部1001の一対のフランジ部1001a,1001a間の寸法を測定する際に用いる測長器Gと、この測長器Gにて測定された測定値を記録する記録装置PCと、IDタグTと、このIDタグTの情報を読み取ることができるIDリーダRとで構成されている。このIDタグTは、フランジ接続部1001の情報、すなわち、例えば、フランジ接続部1001が原子力プラント等のどこに設置されているかを示す番地、管理番号、及び、一対のフランジ部1001a,1001aを締付ける際に用いる締結部材1001cの本数が書き込まれている。例えば、フランジ接続部1001が原子力プラント等の15区間に配置されていれば、15番地という番地が、そして、管理番号が「1234」であれば、「1234」という管理番号が、締結部材1001cの本数が4本であれば、「4」という数字が、8本であれば「8」という数字が書き込まれている。
そして、このような情報が書き込まれているIDタグTは、図1に示すように、配管1000に取り付けられている。これにより、作業者は、IDリーダRを用いて、配管1000に取り付けられているIDタグTの情報を読み取ることができる。なお、本実施形態においては、IDタグTを配管1000に取り付ける例を示したが、それに限らず、フランジ接続部1001に取り付けるようにしても良い。
一方、記録装置PCは、一般に市販されているパーソナルコンピュータからなるもので、無線形式の通信部4が設けられている。この通信部4は、U−Wave(登録商標)等の無線器からなる第1無線受信器4aと、Bluetooth(登録商標)等の通信規格によって送信されてきたデータを受信可能な第2無線受信器4bとで構成されている。第1無線受信器4aは、測長器Gにて測定した測定値を受信可能なもので、第2無線受信器4bは、IDリーダRで読み取ったIDタグTの情報を受信可能なものである。
ここでさらに詳しく、図2を用いて記録装置PCについて説明する。この記録装置PCは、図2に示すように、CPU等からなる中央制御部2と、その中央制御部2にて処理したデータを一時的に記憶するRAM3と、上記説明した第1無線受信器4aと第2無線受信器4bとで構成される通信部4と、液晶ディスプレイ等からなる表示部5と、フラッシュメモリやハードディスク等からなる記憶部6と、キーボードやマウス等からなる入力部7とで構成されている。
ところで、この記憶部6は、フランジ締付記録用プログラム6aと、フランジ締付データ記憶部6bとで構成されている。フランジ締付記録用プログラム6aは、EXCEL(登録商標)等でプログラムされ、通信部4の第1無線受信器4a(図1参照)を用いて受信した測長器Gにて測定された測定値を自動で記録するプログラムとして構成されている。又、フランジ締付データ記憶部6bは、フランジ締付記録用プログラム6aを用いて記録した測定値を記憶している。さらに詳しく説明すれば、この記憶されている測定値は、通信部4の第2無線受信器4b(図1参照)を用いて受信したIDリーダRにて読み取った情報と対応付けて記憶されている。これにより、原子力プラント等のどこに設置されているフランジ接続部1001の測定値かが容易に分かるようになっている。
他方、測長器Gは、図3〜図7に示すように、前部ブロック10と後部ブロック11との間に帯板状のガイドレール12が架設され、該ガイドレール12に測定スライダー13とその後方に位置する基準スライダー14とが摺動自在に嵌装されている。その前部ブロック10には側面視略逆L字状の固定側当接片15が、測定スライダー13には側面視略L字状の可動側当接片131が、基準スライダー14には側面視略三角形で厚板状の支持片141が、それぞれ垂設されている。そして、これら垂設部分を除く上部側、つまり前部ブロック10の基体部100及び後部ブロック11とガイドレール12、並びに、測定スライダー13の基体部130,基準スライダー14の基体部140は、各々両端部を前後の両ブロック10,11にねじ止めした左右一対のコ字枠状のカバー16A,16Bによって被包されて、全体が角棒状の外観を呈している。なお、前部ブロック10の固定側当接片15は両カバー16A,16Bの下面側間に構成される前端開口部161より、測定スライダー13の可動側当接片131と基準スライダー14の支持片141は両カバー16A,16Bの下面側間の前部から後部にわたって構成される長孔状開口部162より、それぞれ垂下している。
前部ブロック10の固定側当接片15には、内面側に臨んで上下部に各々左右一対の当接ローラー20,20が回転自在に軸支されると共に、その基部15aにリング状の磁石21が下方に露呈する形でねじ止めされている。また、基部15aの磁石21をU字状に取り囲む表面は、フランジ当り面22として該磁石21の表面より僅かに高く設定されている。一方、基準スライダー14の支持片141には、その内面側に臨んで上下部に、各々左右一対の当接ローラー142,142がコ字形ブラケット143A,143Bを介して回転自在に軸支されている。そして、前部ブロック10側と基準スライダー14側の各々4個の当接ローラー20,142は、相互にローラー面が前後方向に対向するように配置している。
また、測定スライダー13の可動側当接片131は、基準スライダー14における上部側のコ字形ブラケット143Aの基部側と、該コ字形ブラケット143Aに一対の当接ローラー142,142を軸支する枢軸142aとの間を通って垂下し、その下端にねじ止めされた角軸状の接触子132が4個の当接ローラー142の配置中央部から前方へ突出している。そして、測定スライダー13は、図6(a)で示すように、その可動側当接片131の基部側後面に設けたばね受け孔133と、基準スライダー14の支持片141の前面に設けたばね受け孔144との間に嵌装した圧縮コイルスプリング17Aによって前方へ付勢され、常時は可動側当接片131が基準スライダー14の上部側の当接ローラー142,142を軸支する枢軸142aに押接しており、この押接状態で接触子132の先端132aが当接ローラー142よりも若干前方へ出るように設定されている。なお、接触子132は、先端132aが尖った形状をなし、その先端132aから下面に至る傾斜面132bを有している。
基準スライダー14における上下両側のコ字形ブラケット143A,143Bは、図6(b)の上部側の断面で代表して示すように、その後面中央に前端をねじ止め固着したスライド軸145が支持片141に穿設された前後方向のガイド孔146に摺動自在に挿嵌すると共に、このガイド孔146に同心に連通した後部側の径大孔146a内において、該スライド軸145の後端にガイド孔146より径大のストッパーリング145aがねじ止めされている。また、コ字形ブラケット143A,143Bの後面には該スライド軸145の左右両側にガイドピン147が固着され、各ガイドピン147が支持片141に穿設された前後方向のばね保持孔58に挿嵌し、各ガイドピン57の基端側とばね保持孔148の奥端部との間に圧縮コイルスプリング17Bが嵌装されている。この圧縮コイルスプリング17Bの付勢により、基準スライダー14側の上下各対の当接ローラー142,142は、常時はストッパーリング145aが径大孔146aの奥端に当接した前限位置に保持されるが、その付勢に抗してコ字形ブラケット143A,143Bの後面が支持片141の前面に当接する位置まで後退可能となっている。
そして、基準スライダー14は、基体部140にロックレバー149が両カバー16A,16Bの上面側端縁間に構成された前後方向の長孔163を通して螺着されており、該ロックレバー149を締付方向に捻回することにより、そのねじ部149aの先端がガイドレール12に押接して摺動不能にロックされる。そして、片側のカバー16Bの側面には目盛板18がねじ止めされており、支持片141の側面にねじ止めされた指針181による目盛板18の指示値により、測定対象とするフランジ接続部1001(図1参照)の基準厚みに対応して、固定側当接片15の当接ローラー20と可動側当接片131の接触子132との間隔を設定できるようになっている。
一方、測定スライダー13の基体部130には、そのガイドレール12上の位置に基づいて、接触子132と固定側当接片15の当接ローラー20との間隔、すなわち、測定値を電気信号に変換する測長ユニット134が付設されている。また、後部ブロック11の後端面には、測長ユニット134から配線134aを介して伝達される測定値を、記録装置PC(図1参照)へ送信するU−Wave(登録商標)等の無線器からなる無線送信器19が付設されている。
このように構成される測長器Gによる測定では、まず測定対象のフランジ部のサイズによって定まる基準の面間寸法に対応し、目盛板18の指示値に基づいて基準スライダー14の位置をスライド調整することにより、固定側当接片15の当接ローラー20と可動側当接片131の接触子132との間隔が基準の面間寸法よりも若干狭くなるように設定し、その設定位置で該基準スライダー14をロックレバー149にて固定する。そして、図5及び図6に示すように、固定側当接片15と可動側当接片131との間にフランジ接続部1001の一対のフランジ部1001a,1001aが入り込むように跨嵌させる。
この跨嵌操作では、一対のフランジ部1001a,1001aの外面に対し、両側の各当接ローラー20,142が転接すると共に、その一方側の各当接ローラー142が基準スライダー14側へ退行可能であり、また接触子132も測定スライダー13と一体に退行可能であるから、フランジ接続部1001は円滑に固定側当接片15と可動側当接片131との間に嵌入する。そして、図7に示すように、一側のフランジ部1001aの周面が固定側当接片15のフランジ当り面22に当接し、この当接状態が磁石21の磁気吸着力で安定に保持され、測定スライダー13が圧縮コイルスプリング17Aの付勢によって接触子132を他側のフランジ部1001aの外側面に当接した位置で停止するから、この停止位置に基づいてフランジ接続部1001の面間寸法が測長ユニット134にて測定され、測長ユニット134に備えられている図示しない確定ボタンを押すことにより、その測定値が電気信号に変換されて無線送信器19より記録装置PC(図1参照)へ送信される。
なお、このフランジ接続部1001の面間寸法の測定は、締結部材1001c締付箇所の数に対応した複数箇所について行う。例えば、図8で示すフランジ接続部1001では、フランジ部1001aに4個のボルト挿通孔1002を備え、各ボルト挿通孔1002にボルト・ナットの締結部材1001cを用いて締結するから、各隣接する締結部材1001c,1001c間の4箇所で各々上記測定を行うことになる。また、締結部材1001cを用いて8箇所締結していれば、8箇所で各々上記測定を行うことになる。
しかして、この測長器Gによる測定では、固定側当接片15が上下左右の4つの各当接ローラー20が一側のフランジ部1001aの外面に当接するから、フランジ軸線に対して該測長器Gの左右方向ならびに上下傾動方向の位置ずれがなく、これら位置ずれによる誤差を生じないため、操作に熟練を要することなく容易に極めて高精度の測定を行えるという利点がある。なお、接触子132は、測定前の状態で基準スライダー14の各当接ローラー142よりも前方へ突出しているが、測定時にはその先端132aから下面に至る傾斜面132bにフランジ部1001aの周端縁が接触し、その傾斜誘導によって自動的に当接ローラー142と同じ突出位置まで退行することになる。
なお、本実施形態において例示した測長器Gでは固定側当接片15が上下左右の当接ローラー20によって被測定物表面に当接する構成であるが、該当接ローラー20に代えて回転自在なボールを用いてもよい。また、測定時の左右方向ならびに上下傾動方向の位置ずれを防止する機能からは、例示した固定側における上下左右の4点当接に限らず、3点当接の構成も採用可能である。更に、可動側当接片131の接触子の先端側を回転自在なローラーやボールで構成し、基準スライダー14側の当接ローラー142を省略することも可能である。
次に、上記のように構成されるフランジ締付測定システム1の一使用例を図9〜図11を参照して説明する。
図9に示すように、まず、作業者は、記録装置PCの記憶部6(図2参照)に記憶されているフランジ締付記録用プログラム6aの起動を、入力部7を用いて指示する。これを受けて、中央制御部2は、フランジ締付記録用プログラム6aを起動し、表示部5にフランジ締付記録用プログラム6aの内容を表示させる。これにより、表示部5に、図10に示すような画像DAが表示されることとなる(ステップS1)。
次いで、作業者は、記録装置PCと、IDリーダR及び測長器Gとの無線通信を開始させるため、通信ポートを開放させる作業を行う(ステップS2)。具体的には、作業者は、記録装置PCの入力部7を用いて、表示部5に表示されている図10(a)に示す「開始」(画像D1参照)ボタンをクリックする。これを受けて、中央制御部2は、通信部4の通信ポートを開放し、IDリーダR及び測長器Gとの無線通信が可能な状態にする。そしてさらに、中央制御部2は、通信可能な状態であることを作業者に知らせる為に、表示部5に表示されている図10(a)に示す「Close」(画像D2参照)という表示を図10(b)に示す「Open」(画像D3参照)という表示に変化させる。これにより、作業者は、記録装置PCと、IDリーダR及び測長器Gとの無線通信が可能となったことを知ることができる。
次いで、作業者は、配管1000(図1参照)に取り付けられているIDタグT(図1参照)の情報を、IDリーダR(図1参照)を用いて読み取る(ステップS3)。そして、その読み取った情報は、IDリーダRに備えられている送信器(図示せず)によって、記録装置PCに送信される。記録装置PCは、通信部4の第2無線受信器4bにて送信されてきた情報を受信する。そして、記録装置PCの中央制御部2は、その受信した情報(フランジ接続部1001が原子力プラント等のどこに設置されているかを示す番地、管理番号、及び、一対のフランジ部1001a,1001aを締付ける際に用いる締結部材1001cの本数)を解析し、その情報に対応したフランジ締付記録ファイルを表示部5に表示させるため、フランジ締付データ記憶部6bに記憶されている情報を読み出し、表示部5に表示させる。これにより、表示部5に、図11(a)に示すような画像DBが表示されることとなる(ステップS4)。なお、上記解析した情報に対応するフランジ締付記録ファイルがフランジ締付データ記憶部6bに記憶されていなかった場合、中央制御部2は、新規に上記解析した情報に対応したフランジ締付記録ファイルを作成する。例えば、15区間に配置され、管理番号が「1234」であれば、「15−1234」というファイル名で自動生成される。
次いで、作業者は、測長器Gを用いてフランジ接続部1001の面間寸法を測定する(ステップS5)。具体的には、まず、作業者は、測長器Gの調整を行う。すなわち、測定対象のフランジ接続部1001によって定まる基準の面間寸法に対応し、目盛板18の指示値に基づいて基準スライダー14の位置をスライド調整し、もって、固定側当接片15の当接ローラー20と可動側当接片131の接触子132との間隔が基準の面間寸法よりも若干狭くなるように設定し、その設定位置で該基準スライダー14をロックレバー149にて固定する。そして、固定側当接片15と可動側当接片131との間にフランジ接続部1001の一対のフランジ部1001a,1001aが入り込むように跨嵌させる。これにより、図1及び図8に示す状態となる。この跨嵌操作を、締結部材1001c締付箇所の数に対応した複数箇所について行う。すなわち、図8に示すように、締結部材1001c締付箇所が4箇所であれば、図11(b)に示すように、測定位置(A)→測定位置(B)→測定位置(C)→測定位置(D)と時計回り(矢印YA方向)に、順に跨嵌操作を行っていくこととなる。その際、測定位置(A)〜(D)で跨嵌操作によって測定され、測長ユニット134に備えられている図示しない確定ボタンを押すことにより確定した測定値が、無線送信器19より記録装置PC(図1参照)へそれぞれ送信されることとなる。
ところで、作業者は、測長器Gを用いてフランジ接続部1001の面間寸法を測定するにあたって、次のような面間寸法を順に測定していく。すなわち、配管1000のフランジ接続部1001のガスケット1001b交換において、まず、開放前面間寸法(ガスケット1001b交換前の接続状態での一対のフランジ部1001a外面間寸法)を測定し、次いで、ゼロタッチ面間寸法(新しいガスケット1001bを一対のフランジ部1001aで挟み込み、ボルト・ナットの締結部材1001cを手回しで締め付けて仮締めし、ガスケット1001b両面が一対のフランジ部1001a内面に接した状態での同寸法)を測定し、次いで、締付後面間寸法(規定トルクで機械締めし、本締めした後の同寸法)を測定する。この際、作業者は、開放前面間寸法を測定位置(A)〜(D)で測定し、次いで、ゼロタッチ面間寸法を測定位置(A)〜(D)で測定し、締付後面間寸法を測定位置(A)〜(D)で測定するというように順番通りに測定しいく。
かくして、記録装置PCは、上記のように作業者が順番通りに測定したものとして、無線送信器19より測定値が送信されてくると、通信部4の第1無線受信器4aにて受信し、もって、中央制御部2によって、フランジ締付記録ファイルに、図11(a)に示すように、矢印YB方向に沿って順番に測定値を書込む処理を行う(ステップS6)。
次いで、中央制御部2は、フランジ締付記録ファイルに測定値を書込むと、測定位置(A)〜(D)それぞれのゼロタッチ面間寸法と締付後面間寸法との差を算出し、ガスケット1001bの圧縮量を算出する。そして、中央制御部2は、その算出したガスケット圧縮量を図11(a)に示すようなフランジ締付記録ファイルに書き込みする処理を行う(ステップS7)。これにより、作業者は、決められた順番に従って、測長器Gを用いて測定していくだけで、フランジ締付記録ファイルに測定値が自動的に書き込まれると共に、ガスケット1001bの圧縮量も自動的に算出され、記録されることとなるため、作業効率が大幅に改善されることとなる。なお、本実施形態においては、締結部材1001c締付箇所が4箇所である例を示したが、8箇所でも同様である。すなわち、作業者が時計回りに8箇所順に測定すると、その測定した測定値が順にフランジ締付記録ファイルに書き込まれ、その測定位置毎に圧縮量が算出されることとなる。それゆえ、測定箇所が増えるだけで、処理内容は同様である。
かくして、上記のような処理を終えた後、作業者は、記録装置PCの入力部7を用いて、表示部5に表示されている図10(b)に示す「終了」(画像D4参照)ボタンをクリックする。これを受けて、中央制御部2は、通信部4の通信ポートを閉止し、IDリーダR及び測長器Gとの無線通信を不能な状態にする。そしてさらに、中央制御部2は、通信不能な状態であることを作業者に知らせる為に、表示部5に表示されている図10(b)に示す「Open」(画像D3参照)という表示を図10(a)に示す「Close」(画像D2参照)という表示に変化させる。これにより、作業者は、記録装置PCと、IDリーダR及び測長器Gとの無線通信が不能となったことを知ることができる。
そしてさらに、中央制御部2は、フランジ締付記録ファイル(図11(a)参照)に書き込まれたデータをIDリーダRにて読み取った情報に対応付けて記憶部6のフランジ締付データ記憶部6bに記憶し、処理を終える(ステップS8)。このように、IDリーダRにて読み取った情報に対応付けてフランジ締付記録ファイルをフランジ締付データ記憶部6bに記憶しておけば、配管1000(図1参照)に取り付けられているIDタグT(図1参照)の情報を、IDリーダR(図1参照)にて読み取るだけで、該当するフランジ締付記録ファイルを直ちに読み出すことができる。これにより、作業効率がさらに大幅に改善されることとなる。すなわち、一般的に、フランジ接続部1001の面間寸法を測定するには、数日の作業を要するため、作業者にとって、フランジ締付記録ファイルの管理は重要になってくる。それゆえ、本実施形態のように、作業者が、配管1000(図1参照)に取り付けられているIDタグT(図1参照)の情報を、IDリーダR(図1参照)にて読み取るだけで、記録装置PCが該当するフランジ締付記録ファイルを自動的に表示するようにすれば、作業効率がさらに大幅に改善されることとなる。なお、本実施形態においては、IDタグT(図1参照)の情報を、IDリーダR(図1参照)にて読み取る例を示したが、それに限らず、IDタグT(図1参照)に代えQRコード(登録商標)を用いても良く、その際は、QRコード(登録商標)を読み取れるQRコード(登録商標)読取器(例えば、携帯端末等)を用いれば良い。
しかして、以上説明した本実施形態によれば、作業者が、測長器Gにて、フランジ接続部1001のゼロタッチ面間寸法(新しいガスケット1001bを一対のフランジ部1001aで挟み込み、ボルト・ナットの締結部材1001cを手回しで締め付けて仮締めし、ガスケット1001b両面が一対のフランジ部1001a内面に接した状態での一対のフランジ部1001a外面間寸法)と、締付後面間寸法(規定トルクで機械締めし、本締めした後の同寸法)を測定すれば、自動で、この測定値が記録され、さらには、ガスケット1001bの圧縮量が自動で算出され、記録されることとなるため、ガスケットの圧縮量を正確に測定することができる。
なお、本実施形態においては、測長器Gと記録装置PC及びIDリーダRと記録装置PCとの接続方式として無線方式である例を示したが、それに限らず、有線方式でも良く、どちらか一方が、無線方式、他方が、有線方式でも良い。
また、本実施形態にて例示した測長器Gはあくまで一例であり、フランジ接続部1001を両側から挟んで測定できるデジタルノギスでも良く、そのデジタルノギスにU−Wave(登録商標)等の無線器からなる無線送信器19を付設しておいても良い。しかしながら、本実施形態にて例示した測長器Gを用いた方が好ましい。位置ずれによる誤差が生じず、操作に熟練を要することなく容易に極めて高精度の測定が行えるためである。
1 フランジ締付測定システム
2 中央制御部(圧縮量算出手段、読出手段)
4 記憶部
4a 第1無線受信器
4b 第2無線受信器(受信手段)
6 記憶部
6a フランジ締付記録用プログラム
6b フランジ締付データ記憶部(第1の記録手段、第2の記録手段、第3の記録手段)
19 無線送信器(通信手段)
1001a フランジ部
1001b ガスケット
1001c 締結部材
G 測長器
PC 記録装置
T IDタグ(情報記憶手段)
R IDリーダ(情報読取器)

Claims (4)

  1. 通信手段を備える測長器と、
    前記測長器にて測定した測定値を、通信ネットワークを介して受信し記録する記録装置と、を備えるフランジ締付測定システムであって、
    前記記録装置は、
    前記測長器にて測定した締結部材によって仮締めされたガスケットを備える一対のフランジ部間の測定値を記録する第1の記録手段と、
    前記測長器にて測定した前記締結部材によって本締めされた前記一対のフランジ部間の測定値を記録する第2の記録手段と、
    前記第1の記録手段にて記録した測定値と前記第2の記録手段にて記録した測定値を用いて前記ガスケットの圧縮量を算出する圧縮量算出手段と、
    前記圧縮量算出手段にて算出された圧縮量を記録する第3の記録手段とを備えてなるフランジ締付測定システム。
  2. 前記第1の記録手段は、前記測長器にて測定した前記締結部材によって仮締めされたガスケットを備える一対のフランジ部間の所要箇所毎の測定値を順に記録し、
    前記第2の記録手段は、前記測長器にて測定した前記締結部材によって本締めされた前記一対のフランジ部間の所要箇所毎の測定値を順に記録し、
    前記圧縮量算出手段は、前記第1の記録手段にて記録した前記一対のフランジ部間の所要箇所毎の測定値と、前記第2の記録手段にて記録した前記一対のフランジ部間の所要箇所毎の測定値を用いて、前記一対のフランジ部間に挟みこまれている前記ガスケットの所要箇所毎の圧縮量を算出してなる請求項1に記載のフランジ締付測定システム。
  3. 前記一対のフランジ部の情報が書き込まれている情報記憶手段と、
    前記情報記憶手段の情報を読取可能であると共に、前記通信ネットワークを介して通信可能な情報読取器と、をさらに備えてなるフランジ締付測定システムであって、
    前記記録装置は、
    前記情報読取器にて読み取られた情報を、前記通信ネットワークを介して受信する受信手段と、
    前記受信手段にて受信した情報に対応する前記一対のフランジ部の記録情報を前記第1の記録手段及び/又は前記第2の記録手段及び/又は前記第3の記録手段より読み出す読出手段と、をさらに備えてなる請求項1又は2に記載のフランジ締付測定システム。
  4. 通信手段を備える測長器と、
    前記測長器にて測定した測定値を記録する記録装置とが通信ネットワークを介して接続されてなるフランジ締付測定方法であって、
    前記記録装置は、
    前記測長器にて測定した締結部材によって仮締めされたガスケットを備える一対のフランジ部間の測定値を記録する第1のステップと、
    前記測長器にて測定した前記締結部材によって本締めされた前記一対のフランジ部間の測定値を記録する第2のステップと、
    前記第1のステップにて記録した測定値と前記第2のステップにて記録した測定値を用いて前記ガスケットの圧縮量を算出する第3のステップと、
    前記第3のステップにて算出された圧縮量を記録する第4のステップとを含んでなるフランジ締付測定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107900945A (zh) * 2017-11-28 2018-04-13 中国冶集团有限公司 烟道法兰对中压紧装置及方法
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