JP2016068047A - ダイコート装置および透明導電基材の製造方法 - Google Patents

ダイコート装置および透明導電基材の製造方法 Download PDF

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Tatsuya Tsuboi
達也 坪井
小川 健一
Kenichi Ogawa
健一 小川
本間 聡
Satoshi Honma
聡 本間
健祐 大塚
Kensuke Otsuka
健祐 大塚
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Abstract

【課題】本発明は、金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を透明基材上に塗布して透明導電層を形成する際に、ダイヘッド表面での金属材料の凝集物の発生および固着を防止することが可能なダイコート装置、ならびに透明導電基材の製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、少なくとも金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を透明基材上に塗布して透明導電層を形成する際に用いられるダイコート装置であって、上記透明導電層形成用塗工液を吐出するダイヘッドと、上記透明導電層形成用塗工液を収容する塗液タンクと、上記塗液タンクから上記ダイヘッドへ上記透明導電層形成用塗工液を送液する送液経路とを有し、上記ダイヘッドは、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されていることを特徴とするダイコート装置を提供することで、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を透明基材上に塗布して透明導電層を形成する際に用いられるダイコート装置に関する。
従来より、LCD、PDP等のディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等の透明電極として、透明かつ導電性の薄膜からなる透明導電層が用いられている。この透明導電層を有する透明導電基材としては、例えば、透明樹脂基材上に酸化インジウムスズ(ITO)等の金属微粒子からなる透明導電層を積層したものがある。
また、近年では、透明性、低抵抗、フレキシブル性の観点から、ITOに代わる導電材料として金属繊維を用いた透明導電層が検討されている。例えば、特許文献1では、透明樹脂基材の表面に金属ナノワイヤおよび金属ナノワイヤを固定するバインダを含有する透明導電層が形成された透明導電基材が開示されている。
国際公開第2010/106899号パンフレット
金属微粒子や金属繊維等の金属材料を含有する透明導電層の製造方法としては、例えば、上記金属材料を含む導電性インクを用い、一方向に搬送される透明樹脂基材上にダイコーターを用いて導電性インクを吐出して塗布し、塗布層を乾燥させることで、透明樹脂基材上に透明導電層を形成する方法が用いられる。
しかし、金属材料を含有する導電性インクをダイヘッドから吐出させる場合、ナノサイズの金属材料は比表面積が大きいため凝集しやすく、金属材料の凝集物がダイヘッドの表面に固着しやすいという問題がある。そして、この凝集物が透明導電基材に付着することにより、透明導電基材の導電性にムラが生じてしまうという問題がある。
上記問題について、図を参照してさらに詳細に説明する。図5(a)は本発明の課題を説明するための説明図であり、図5(b)は図5(a)における空間Sの拡大図である。図5(a)、(b)で示すように、X’方向に搬送される透明基材42上にダイヘッド31から導電性インク50を吐出して塗布する場合、ダイヘッド31から吐出した導電性インク50は、ダイヘッド31表面および塗布層41Aで囲まれる空間Sに回り込みやすい。このとき、空間Sに回り込んだ導電性インク50中の溶媒が気化することで、金属材料51が凝集して凝集物51’となりダイヘッド31表面に固着する。そして、ダイヘッド31が塗布方向X(塗布方向Xは、透明基材42の搬送方向X’に相対する方向である。)に移動する際に、この凝集物51’が塗布層41A上に落下して付着する。これにより、得られる透明導電層上に筋ムラや異物欠陥等が生じ、導電性に差異が生じることとなる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を透明基材上に塗布して透明導電層を形成する際に、ダイヘッド表面での金属材料の凝集物の発生および固着を防止することが可能なダイコート装置、ならびに透明導電基材の製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を透明基材上に塗布して透明導電層を形成する際に用いられるダイコート装置であって、上記透明導電層形成用塗工液を吐出するダイヘッドと、上記透明導電層形成用塗工液を収容する塗液タンクと、上記塗液タンクから上記ダイヘッドへ上記透明導電層形成用塗工液を送液する送液経路とを有し、上記ダイヘッドは、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されていることを特徴とするダイコート装置を提供する。
本発明によれば、ダイヘッドの表面のうち、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されていることから、金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を塗布する際に、ダイヘッドの上記表面に金属材料の凝集物が発生し固着することを防ぐことができる。
このため、本発明のダイコート装置を用いて、金属材料の凝集物の付着による欠陥のない透明導電層を形成することができる。
また本発明は、透明基材と、上記透明基材上に形成され、少なくとも金属材料を含む透明導電層とを有する透明導電基材の製造方法であって、上記金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を、ダイコート装置を用いて上記透明基材上に塗布し、上記透明導電層を形成するための透明導電層形成層を形成する塗布工程を有し、上記ダイコート装置は、上記透明導電層形成用塗工液を吐出するダイヘッドと、上記透明導電層形成用塗工液を収容する塗液タンクと、上記塗液タンクから上記ダイヘッドへ上記透明導電層形成用塗工液を送液する送液経路とを有し、上記ダイヘッドは、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されていることを特徴とする透明導電基材の製造方法を提供する。
本発明によれば、塗布工程において用いるダイコート装置が、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されたダイヘッドを有することから、金属材料の凝集物の付着による欠陥のない透明導電層を有する透明導電基材を製造することができる。
上記発明においては、上記透明導電層形成用塗工液が、樹脂および上記金属材料として金属繊維を含有し、且つ、上記透明導電層形成用塗工液中の固形分濃度が0.1質量%〜5.0質量%の範囲内であることが好ましい。上記組成を有する透明導電層形成用塗工液を用いることで、本発明の製造方法を用いることによる効果が発揮されやすいからである。
本発明においては、金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を、ダイコート装置を用いて透明基材上に塗布し、透明導電層を形成するに際して、ダイヘッド表面での金属材料の凝集物の発生および固着を防止することが可能であるといった作用効果を奏する。
本発明のダイコート装置の一例を示す模式図である。 本発明におけるダイヘッドの一例を示す模式図である。 本発明の透明導電基材の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の透明導電基材の製造方法により得られる透明導電基材の一例を示す概略断面図および平面図である。 本発明の課題を説明するための説明図である。
以下、本発明のダイコート装置および透明導電基材の製造方法について詳細に説明する。
A.ダイコート装置
まず、本発明のダイコート装置について説明する。
本発明のダイコート装置は、少なくとも金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を透明基材上に塗布して透明導電層を形成する際に用いられるダイコート装置であって、上記透明導電層形成用塗工液を吐出するダイヘッドと、上記透明導電層形成用塗工液を収容する塗液タンクと、上記塗液タンクから上記ダイヘッドへ上記透明導電層形成用塗工液を送液する送液経路とを有し、上記ダイヘッドは、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されていることを特徴とする。
本発明のダイコート装置について、図を参照して説明する。図1は本発明のダイコート装置の一例を示す模式図である。
図1で例示するように、本発明のダイコート装置10は、少なくとも金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液30を吐出するダイヘッド1と、透明導電層形成用塗工液30を収容する塗液タンク2と、塗液タンク2からダイヘッド1へ上記透明導電層形成用塗工液30を送液する送液経路3とを有する。なお、図1で例示する送液経路3は、塗液タンク2およびダイヘッド1間を連結する配管4、ならびに一定量の透明導電層形成用塗工液30を送液するための送液ポンプ5を備える。
また、ダイヘッド1は、塗布方向Xと反対方向に位置する表面上に撥液領域Aが形成されている。
本発明によれば、ダイヘッドの、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されていることから、金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を塗布する際に、ダイヘッドの上記表面に金属材料の凝集物が発生し固着することを防ぐことができる。
このため、本発明のダイコート装置を用いて、金属材料の凝集物の付着による欠陥のない透明導電層を形成することができる。
以下、本発明のダイコート装置の各構成について説明する。
1.ダイヘッド
本発明におけるダイヘッドは、少なくとも金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液(以下、単に塗工液と略する場合がある。)を吐出するものであり、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されている。
ダイコート装置におけるダイヘッドは、一般に、図2で示すように内部構造として塗工液を吐出する吐出スリット21および、塗工液を一時的に溜めて吐出スリット21に供給するマニホールド部22を備える。
(1)撥液領域
本発明におけるダイヘッドは、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されていればよく、中でも図2で示すように、撥液領域Aがダイヘッド1の表面の全域に形成されていることが好ましい。塗布方向に関係なく、ダイヘッドの表面全体における金属材料の凝集物の発生および固着を防ぐことができるからである。なお、ダイヘッドの表面全域とは、ダイヘッドの外観上露出している面の全域をいい、吐出スリットおよびマニホールド部においては、その表面がダイヘッドの内部にあることから撥液領域は形成されないことが好ましい。
なお、塗布方向とは、透明基材上に塗工液を塗布する際に、ダイヘッドが透明基材に対して相対的に移動する方向をいう。
ダイヘッドの表面上に形成される撥液領域としては、所望の塗工液に対して撥液性を発揮できる領域であれば特に限定されない。ここで、撥液性とは、上記塗工液に対して撥水性および撥油性の少なくとも一方の機能を有していればよく、両方の機能を有していてもよい。
このような撥液領域としては、例えば、ダイヘッド表面にフッ素化合物を付着させてなるフッ素系撥液領域等が挙げられる。また、上記撥液領域は、フッ素樹脂系撥液層、シリコーン系撥液層、フッ素系高分子とニッケル等の金属との複合めっき層等の撥液層からなるものであってもよい。
フッ素系撥液領域を形成するフッ素化合物としては、フッ化炭素(CF)、窒化フッ素(NF)、フッ化硫黄(SF)、CCl、C、C等が挙げられる。
フッ素樹脂系撥液層を形成するフッ素樹脂としては、例えば、ポリビニルデンフルオライド(PvdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等が挙げられる。
シリコーン系撥液層を形成するシリコーン系樹脂としては、例えば、特開2003−311910号公報等に開示される樹脂を用いることができる。
複合めっき層を形成するフッ素系高分子としては、例えば上述のフッ素樹脂系撥液層を形成するフッ素樹脂が挙げられる。
一方、複合めっき層を形成する金属としては、例えばニッケルが挙げられる。
撥液領域の厚さについては、特に限定されず、撥液領域を形成する材料や形成方法等に応じて適宜設定することができる。
撥液領域の形成方法としては、ダイヘッド表面の所望の位置に形成可能な方法であれば特に限定されず、撥液領域の種類に応じて適宜選択することができる。
例えば、撥液領域がフッ素系撥液領域である場合、フッ素化合物の導入ガスを用いてプラズマを照射する方法を用いることができる。
また、撥液領域がフッ素樹脂系撥液層、シリコーン系撥液層から成るものである場合、スプレー法等の塗布方法、スパッタ法、プラズマCVD法やPVD法等の蒸着法、プラズマ重合法等を用いることができる。
さらに、撥液領域が複合めっき層から成るものである場合、金属イオンとフッ素系高分子の微粒子が分散するめっき液にダイヘッドを浸漬し、無電解めっき法によりダイヘッドの表面をめっきする方法を用いることができる。
(2)その他
ダイヘッドの外形および内部構造については、所望の塗工液を吐出することが可能であり、透明基材上に均一に塗布することが可能な形状であれば特に限定されず、適宜設計される。
また、ダイヘッドの材質としては、所望の塗工液の吐出が可能であり、撥液領域を形成可能な材質であれば特に限定されず、例えば、金属、セラミックス、シリコーン、ガラス、プラスチック等が挙げられる。
2.塗液タンク
本発明における塗液タンクは、上記塗工液を収容するものである。
塗液タンクは、所望の塗工液を収容することができ、送液経路を介して塗工液をダイヘッドへ供給可能なものであれば特に限定されるものではなく、一般的に公知の形状、材質からなるものを適宜選択して用いることができる。
塗液タンクには、収容する塗工液に含有される金属材料が凝集・沈降することを防止するため、金属材料の分散性を維持・向上する分散装置が設置されていてもよい。このような分散装置は、特に限定されず、例えば、攪拌機や超音波振動子を挙げることができる。
また塗液タンクは、内部が加圧されていても良い。塗液タンクの内部が加圧されていることにより、塗工液を送液経路へより安定的に供給できるからである。
3.送液経路
本発明における送液経路は、塗液タンクからダイヘッドへ上記塗工液を送液するものである。通常、塗液タンクおよびダイヘッド間を連結する配管、ならびに一定量の塗工液を送液するための送液ポンプを備える。
配管は、所望の塗工液を送液するに十分な耐圧性、および上記塗工液に対する耐久性、耐液性を有するものであれば特に限定されず、材質や形状等については特に限定されない。
送液ポンプは、塗工液の送液量が一定となるように制御する機能を有するものであれば特に限定されず、例えば、ダブルダイヤフラムポンプやチューブフラムポンプ、シリンジポンプ、ギアポンプ等の一般にダイコーターに用いられる送液ポンプを用いることができる。
4.その他
本発明のダイコート装置は、上述したダイヘッド、塗液タンク、および送液経路を有するものであればよく、必要に応じて任意の構成を有していても良い。
本発明のダイコート装置は、少なくとも金属材料を含有する塗工液を透明基材上に塗布して透明導電層を形成する際に用いることができる。中でも本発明のダイコート装置は、上記金属材料として金属繊維と樹脂とを含有し、且つ、固形分濃度が0.1質量%〜5.0質量%の範囲内である塗工液を塗布する際に好適に用いることができる。上記組成を有する塗工液は、ダイヘッドから吐出されると塗工液中の溶媒の気化が速く起こり、ダイヘッド表面において金属繊維の凝集物が発生し固着しやすい。このため、本発明のダイコート装置を用いることによる効果が発揮されやすいからである。
なお、本発明のダイコート装置に用いることが可能な塗工液については、「B.透明導電基材の製造方法」で詳細に説明する。
本発明のダイコート装置は、塗工液を塗布する際にダイヘッドが透明基材に対して相対的に移動する。ここで「ダイヘッドが透明基材に対して相対的に移動する」とは、ダイヘッドおよび透明基材の少なくとも一方が相対的に移動することをいう。
すなわち、本発明のダイコート装置を用いて透明基材上に塗工液を塗布する際に、透明基材が固定されている場合は、ダイヘッドは塗布方向に移動する。一方、透明基材が移動する場合は、ダイヘッドは固定されていてもよく、透明基材の搬送方向に相対する方向(すなわち塗布方向)にダイヘッドが移動してもよい。
B.透明導電基材の製造方法
次に、本発明の透明導電基材の製造方法について説明する。
本発明の透明導電基材の製造方法は、透明基材と、上記透明基材上に形成され、少なくとも金属材料を含む透明導電層とを有する透明導電基材の製造方法であって、上記金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を、ダイコート装置を用いて上記透明基材上に塗布し、上記透明導電層を形成するための透明導電層形成層を形成する塗布工程を有し、上記ダイコート装置は、上記透明導電層形成用塗工液を吐出するダイヘッドと、上記透明導電層形成用塗工液を収容する塗液タンクと、上記塗液タンクから上記ダイヘッドへ上記透明導電層形成用塗工液を送液する送液経路とを有し、上記ダイヘッドは、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されていることを特徴とする。
本発明の透明導電基材の製造方法について、図を参照して説明する。図3は本発明の透明導電基材の製造方法の一例を示す工程図である。図3で例示するように、まず、金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を準備する(図示せず)。次に、ダイコート装置10を用い、表面に撥液領域Aが形成されたダイヘッド1から透明導電層形成用塗工液30を吐出し、一方向X’に搬送される透明基材12上に透明導電層形成用塗工液30を塗布し(図3(a)、塗布工程)、透明導電層形成層を形成する。このときダイヘッド1は、少なくとも塗布方向Xと反対方向、すなわち透明基材12の搬送方向X’側に撥液領域Aが位置するようにしてセッティングされる。
次に、透明基材12上の透明導電層形成層11Aを所望の温度Tで乾燥させることで(図3(b)、乾燥工程)、透明導電層形成層11A中の溶媒が気化すると共に、金属材料同士が固定されて透明導電層11となり、透明導電基材20が得られる(図3(c))。
本発明によれば、塗布工程において用いるダイコート装置が、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されたダイヘッドを有することから、金属材料の凝集物の付着による欠陥のない透明導電層を有する透明導電基材を製造することができる。
以下、本発明の透明導電基材の製造方法における各工程について説明する。
1.塗布工程
本発明における塗布工程は、金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液(以下、単に塗工液と略する場合がある。)を、ダイコート装置を用いて透明基材上に塗布し、透明導電層を形成するための透明導電層形成層を形成する工程である。
(1)ダイコート装置
本工程において用いられるダイコート装置は、「A.ダイコート装置」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)透明導電層形成用塗工液
本発明において用いられる塗工液は、少なくとも金属材料を含有するものである。
(a)金属材料
塗工液に含有される金属材料としては、例えば金属微粒子、金属繊維等が挙げられる。
金属繊維としては、例えば、金属ナノワイヤ、金属マイクロワイヤ、金属ナノチューブ、金属マイクロチューブ等が挙げられる。中でも、透明性および導電性に優れることから、金属ナノワイヤが好ましい。
金属繊維を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物が挙げられる。具体的には、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、錫、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、またはこれらの合金等が挙げられる。また、ZnO等も挙げられる。金属繊維は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
また、金属ナノワイヤおよび金属マイクロワイヤはコアシェル構造を有するものであってもよい。例えば、銀をコア、金、白金、パラジウム、または銅をシェルとするものを挙げることができる。この場合、銀が上述したいずれかの金属で覆われているため、銀の酸化を抑制することができ、良好な導電性を得ることができる。さらに、金属繊維を構成する金属の種類にもよるが、金属繊維の表面は酸化されていてもよい。
金属繊維の平均直径としては、金属繊維の形態や透明導電基材の用途等に応じて適宜調整され、例えば0.1nm〜1mmの範囲内、中でも0.1nm〜100μmの範囲内であることが好ましい。金属ナノワイヤの場合、平均直径は1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、中でも10nm〜80nmの範囲内、特に20nm〜60nmの範囲内、さらには40nm〜60nmの範囲内であることが好ましい。金属繊維の直径が上記範囲内であれば、導電性および透明性を確保することができる。
また、金属繊維の平均長さとしては、金属繊維の平均直径よりも十分に大きければよく、金属繊維の形態や透明導電基材の用途等に応じて適宜調整される。金属ナノワイヤの場合、平均長さは50nm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、中でも50nm〜500μmの範囲内であることが好ましい。金属繊維の長さが長ければ、1本の金属繊維で長い導電パスを形成することができる。
また、金属繊維の平均アスペクト比(金属繊維の長さ/金属繊維の直径)としては、100〜5000の範囲内が好ましい。平均アスペクト比が上記範囲よりも小さい場合は、金属繊維同士の接点を効果的に形成することができず、得られる透明導電層が高い表面抵抗率を示すこととなる。また、得られる透明導電層の光吸収および反射成分が大きくなるため、光透過性が低下する傾向となる。一方、金属繊維のアスペクト比が上記範囲よりも大きい場合、ダイヘッドの吐出スリットにて詰まりが発生しやすくなるからである。
ここで、金属繊維の直径、長さおよびアスペクト比は、例えば透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
金属繊維の製造方法としては、公知の方法であればよく特に限定されるものではない。
一方、金属微粒子としては、導電率の高い金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、パラジウム等の金属、及び当該金属からなる合金、当該金属の金属酸化物、金属塩、有機金属化合物、金属錯体等からなる金属化合物微粒子が利用可能である。なお、導電率、安定性、及び価格の点から、銀、銅、銀化合物、及び銅化合物等が好ましい。銀化合物としては、塩化銀、硝酸銀、及び酢酸銀等の銀塩、脂肪酸銀塩等の有機銀化合物、または有機銀錯体、酸化銀等が使用可能である。
また、上述の金属微粒子の他、金属酸化物微粒子として、酸化スズ(SnO)、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)等を用いることも可能である。
金属微粒子の平均粒径は、レーザー回折法で計測して5mm〜5μmの範囲内であることが好ましい。なお、金属微粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡等により直接観察してもよい。また、金属微粒子の形状は、フレーク状、鱗片状、あるいはリーフ状であってもよい。例えば、厚みが0.1μm〜0.8μmの範囲内、長さが1μm〜5μmのフレーク状の金属微粒子が使用可能である。
塗工液に含有される金属材料の含有量としては、金属材料の分散安定性が良好であり、形成される透明導電層が所望の導電性を示すことが可能な量であればよい。具体的には、上記塗工液100質量%中に、0.1質量%〜2.5質量%の範囲内、中でも0.15質量%〜2.3質量%の範囲内、特に0.18質量%〜2.0質量%の範囲内であることが好ましい。塗工液中の金属材料の含有量が上記範囲よりも多いと、金属材料の凝集の発生や、薄膜塗工が必要となり塗布が困難となる場合があり、一方、上記範囲よりも少ないと、得られる透明導電基材が所望の導電性を示さない場合がある。
(b)樹脂
塗工液は、金属材料同士を結着させるための樹脂を含んでいても良い。金属材料同士を強固に固定することができるからである。
塗工液に含有される樹脂としては、絶縁性を有し、バインダとして機能するものであれば特に限定されるものではなく、例えば熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂等を挙げることができる。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂等が挙げられる。
上記樹脂は、安定剤、分散剤、酸化防止剤、粘度調整剤等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
塗工液中に樹脂が含まれる場合、樹脂の含有量としては、金属材料の含有量よりも少ないことが好ましい。具体的には、金属材料100質量部に対して、樹脂の含有量が100質量部以下であることが好ましく、中でも50質量部以下、特に30質量部以下であることが好ましい。金属材料に対する樹脂の含有量が上記範囲よりも大きいと、樹脂は絶縁性を示すことから電気抵抗が高くなり、得られる透明導電基材の導電性を低下させる場合があるからである。
(c)溶媒
塗工液は、通常、金属材料を分散させるための溶媒を含む。
塗工層に含有される溶媒としては、金属材料を分散または溶解させるものであればよく、例えば、水および/または有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)などのエーテル類;ヘキサン、デカン、ドデカン、テトラデカン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素などが挙げられる。
(d)その他の材料
塗工液は、例えば、界面活性剤、分散剤、増粘剤、導電剤等の材料を含有していてもよい。
(e)その他
塗工液中の固形分濃度としては、0.1質量%〜5.0質量%の範囲内であることが好ましく、中でも0.15質量%〜4.5質量%の範囲内、特に0.18質量%〜4.0質量%の範囲内であることが好ましい。固形分濃度が上記範囲よりも大きいと、塗工液中において金属材料等の流動および拡散がおきづらく、面内で表面抵抗率にばらつきが発生する場合があり、一方、上記範囲よりも少ないと、塗工液の溶媒比率が高く、金属材料等の凝集が発生しやすい場合がある。
なお、ここでいう塗工液中の固形分とは、塗工液中の溶媒を除く全固形分を意味する。
また、塗工液の粘度としては、透明基材上にムラ無く均一に塗布することができ、所望の膜厚の透明導電層を形成することが可能な粘度であればよく、例えば、25℃において0.3mPa・s〜10.0mPa・sの範囲内、中でも0.5mPa・s〜5.0mPa・sの範囲内であることが好ましい。塗工液の粘度が上記範囲よりも大きいと、金属材料等の十分な流動および拡散が起きず、面内で表面抵抗率にばらつきが生じる場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと金属材料の過剰な流動および拡散が起きやすくなり凝集が発生しやすい場合があるからである。
なお、上記粘度は、アントンパール社製「PHYSICA MCR301」により測定された値である。
本発明において用いられる塗工液は、少なくとも上述した金属材料を含有するものであればよいが、中でも塗工液が、樹脂および上記金属材料として金属繊維を含有し、且つ、上記塗工液中の固形分濃度が0.1質量%〜5.0質量%の範囲内であることが好ましい。上記組成および固形分濃度を有する塗工液を、ダイヘッドを用いて塗布する場合、ナノサイズの金属繊維は比表面積が大きいため、塗工液がダイヘッドと透明導電層形成層とで挟まれた空間内に回り込むことでダイヘッドの先端表面に金属繊維の凝集物が固着しやすく、この凝集物が塗布面に筋上の塗布ムラを生じさせることにより、透明導電基材の導電性にムラが生じる。また、このダイヘッド先端に固着し留まっていた凝集物が透明基材上に付着してしまうことにより、異物欠陥が生じるという問題がある。このため、本発明の製造方法を用いることによる効果が発揮されやすいからである。
(3)透明基材
本発明における透明基材は、所望の透明性を有し、透明導電層を支持することが可能なものであれば特に限定されず、例えば透明樹脂基材、透明無機基材等を用いることができる。また、透明基材は、剛性を有していてもよく柔軟性を有していてもよい。
透明樹脂基材を構成する樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリイミド、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等が挙げられる。
なお、透明樹脂基材は、必要に応じて添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、透明樹脂基材を構成する樹脂の種類等に応じて適宜選択されるものであり、例えば透明樹脂基材を構成する樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には重合開始剤が挙げられる。
一方、透明基材が透明無機基材である場合の材料としては、例えばソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等のガラス、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等が挙げられる。
透明基材は、上述した塗工液の濡れ性等を確保するために、表面処理が施されていてもよい。表面処理については一般的な方法を挙げることができる。
透明基材は、単層であってもよく、同一のまたは異なる材質の透明基材を二層積層させたものであってもよい。
透明基材の厚みとしては、本発明の製造方法により得られる透明導電基材の用途に応じて適宜選択される。例えば、透明導電基材をタッチパネルセンサに用いる場合には、透明基材の厚みは20μm〜1500μm程度で設定することができる。
透明基材は透明性を有するものである。ここで、「透明」または「透明性」とは、特段の断りがない限り、本発明の製造方法により得られる透明導電基材が用いられた製品の使用者が、画面または操作面からの視認を妨げない程度の透明性をいう。したがって、透明は、無色透明および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で規定されず、本発明の製造方法により得られる透明導電基材の用途等に応じて適宜決定することができる。
(4)塗布方法
本工程における塗布方法としては、「A.ダイコート装置」の項で説明したダイコート装置を用いて上述した塗工液を塗布することが可能であれば特に限定されない。
上記塗工液を吐出する際のダイヘッド内の圧力(吐出圧)としては、上記塗工液の組成等に応じて適宜設定することができる
ダイヘッドと搬送される透明基材との間隔としては、所望の膜厚の透明導電層形成層を形成することが可能な間隔であれば特に限定されず、上記塗工液の吐出圧や透明基材の搬送速度等に応じて適宜設定されるが、例えば10μm〜250μmの範囲内、中でも50μm〜150μmの範囲内が好ましい。ダイヘッドと搬送される透明基材との間隔が上記範囲よりも大きいと、塗工液と透明基材との接触が十分でなく、形成される透明導電層形成層にムラやかすれが発生する場合や、塗工液と透明基材とが接触せず、透明基材上に塗工液を塗布できない場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、ダイヘッドと透明基材とが過剰に接触し、ダイヘッドおよび透明基材が損傷する場合がある。
また、ダイヘッドと搬送される透明基材とが上記間隔を有して配置される場合、透明基材の搬送速度としては、例えば、3.0m/分〜50.0m/分の範囲内であることが好ましく、中でも5.0m/分〜30.0m/分の範囲内であることが好ましい。透明基材の搬送速度を上記範囲内に設定することで、ダイヘッドおよび透明基材間にインク溜まりが生じる場合であっても、インク溜まりの表面積を小さくすることができる。このため、インク溜まりの表面と空気との接触面積が小さくなり、インク溜まりに含まれる溶媒が蒸発しにくくなることで、金属材料の凝集が起こりにくくなり、ダイヘッド表面に金属材料の凝集物が固着しにくくなる。これにより、得られる透明導電基材において、金属材料の凝集物の付着による導電性のムラの発生を防ぐことができるからである。
このときダイヘッドからの塗工液の供給速度としては、透明基材の搬送速度や所望とする透明導電層形成層の膜厚等に応じて適宜設定することができる。
(5)透明導電層形成層
本工程において形成される透明導電層形成層は、乾燥等により透明導電層となる層である。
本工程により形成される透明導電層形成層の厚さとしては、得られる透明導電層が所望の導電性を有することが可能な厚さであればよく、所望の透明導電層の膜厚に応じて設定することができる。
2.任意の工程
本発明の透明導電基材の製造方法は、上述した塗布工程の他に、必要に応じて任意の工程を有することができる。
例えば、透明導電層形成層を乾燥させて透明導電層とする乾燥工程、透明導電層をパターン状に形成するパターニング工程、透明導電層を加熱焼成する焼成工程、圧着や加熱圧着により透明導電層の表面抵抗率を下げるための表面抵抗調整工程等が挙げられる。
(1)乾燥工程
乾燥工程は、透明導電層形成層を乾燥させて透明導電層とする工程である。
本工程における乾燥方法としては、透明導電層形成層中の溶媒を蒸発させることが可能な方法であれば特に限定されず、例えば、加熱、フラッシュ加熱、真空、減圧、気流等が挙げられる。また、乾燥方法としては、単一の方法に限られず、例えば透明導電層形成層中に残留する溶媒量に応じて順次乾燥方式を変化させる等の態様により、複数の乾燥方式を採用してもよい。
(2)パターニング工程
パターニング工程は、透明導電層をパターン状に形成する工程である。透明導電層を平面視上パターン状に形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば透明導電層上にレジストパターンを形成してエッチングする方法、透明基材上に形成された透明導電層を部分的に引き剥がす方法、透明基材上に形成された透明導電層をレーザーでパターニングする方法等が挙げられる。
また、「1.塗布工程」において透明導電層形成用塗工液をパターン状に塗布する方法であってもよい。この場合、パターニング工程は、塗布工程に含まれる。
なお、透明導電層をパターニングする際のレジストの形成方法およびエッチング方法については、一般的な方法を用いることができる。
透明導電層をパターン状に形成する場合のパターンの幅としては、所望の導電性を得ることができ、形成可能な幅であれば特に限定されるものではなく、例えば数十μm〜数百μm程度とすることができる。
本工程により形成される透明導電層のパターン形状としては、特に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。例えば、図4(a)、(b)で示すように、透明基材12の平面視上において長手方向および短手方向に直交するパターン形状が挙げられる。なお、図4(a)および(b)は、パターン状の透明導電層を有する透明導電基材の一例を示す概略断面図および平面図である。
(3)焼成工程
焼成工程は、透明導電層を加熱焼成する工程である。本工程により金属材料同士をより強固に固定させ、透明導電層の強度および導電性を向上させることができる。
本工程における加熱焼成の焼成温度としては、金属材料を焼結できる温度であれば特に限定されるものではなく、例えば60℃〜250℃の範囲内で設定することができる。
なお、本工程は乾燥工程後または乾燥工程と同時に行ってもよい。
3.透明導電基材
本発明の製造方法により得られる透明導電基材は、透明基材と、上記透明基材上に形成され、少なくとも金属材料を含む透明導電層と有する。
本発明における透明導電基材は、透明基材の少なくとも一方の表面に透明導電層を有するものであればよく、透明基材の両面に透明導電層を有していてもよい。
(1)透明導電層
透明導電層の厚さとしては、所望の導電性を発揮することが可能な大きさであればよく、例えば10nm〜5.0μmの範囲内、中でも20nm〜1.0μmの範囲内、特に30nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。透明導電層の厚さが上記範囲よりも薄いと導通が取り難く、製造も困難になる場合があり、一方、透明導電層の厚さが上記範囲よりも厚いと製造コストが高くなる場合がある。
透明導電層の表面抵抗率としては、透明導電基材に求められる導電性に応じて設定することができ、例えば10Ω/□〜500Ω/□の範囲内が好ましく、中でも25Ω/□〜400Ω/□の範囲内、特に50Ω/□〜300Ω/□の範囲内が好ましい。
ここで、表面抵抗率は、例えば(株)三菱化学アナリテック社製の抵抗率計ロレスタ「AX MCP−T370型」を用いて測定することができる。
透明導電層は、透明基材の一方の表面全域に形成されていてもよく、パターン状に形成されていてもよい。また、透明導電層は、後述する保護層に透明導電層を構成する金属繊維が包含されて成る態様であってもよい。
(2)その他
本発明の製造方法により得られる透明導電基材は、透明基材および透明導電層の他に、任意の部材を有していても良い。任意の部材としては、例えば、透明導電層を保護する保護層、透明導電層と透明基材との密着性を向上させるためのプライマー層、アンダーコート層等が挙げられる。
保護層としては、例えば特表2009―505358号公報で開示されるマトリクス材等が挙げられる。なお、透明導電層上に保護層が形成される場合、透明導電層の金属繊維が保護層内に包含されていてもよく、さらに金属繊維の一部が保護層の表面から突出していてもよい。
本発明の製造方法により得られる透明導電基材の用途としては、例えばタッチパネルセンサ、液晶表示装置やEL表示装置等の表示装置、電子ペーパー、太陽電池等の各種デバイスを挙げることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例]
ダイヘッド(DNK社製)の表面に、無電解めっきによりニッケルおよびポリテトラフルオロエチレンの複合めっき層からなる撥液領域を形成した。
PET透明基材(東洋紡社製A4100、幅300mm、長さ500m、厚み100μm)をライン速度40m/分で搬送させながら、ダイヘッドから下記組成の透明導電層形成用塗工液を吐出し、PET透明基材の一方の表面にウェット膜厚が15μmとなるように塗布した。塗布層を乾燥温度80℃で15秒間乾燥させて、透明基材上に透明導電層を有する透明導電基材を得た。
得られた透明導電基材は、全光線透過率が80%、表面抵抗率((株)三菱化学アナリテック社製の抵抗率計ロレスタ「AX MCP−T370型」を用いて測定。)が50Ω/□であった。
<透明導電層形成用塗工液>
・溶媒 … 100質量部(第1溶媒:イソプロピルアルコール … 40質量部、第2溶媒:n−ブタノール … 60質量部)
・銀ナノワイヤ(平均直径35nm、平均長15μm、Bluenano社製 SLV−NW−35)… 0.3質量部
・樹脂:エチルセルロース … 0.06質量部
[比較例]
ダイヘッドの表面に撥液領域を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして透明導電基材を得た。
[評価]
実施例により得られた透明導電基材は、透明導電層に塗布ムラ、筋状欠陥が確認されなかった。また、透明導電基材の面内における表面抵抗率のばらつきが、短手方向(300mm)および長手方向(400mm)において±10%以内に収まった。一方、比較例により得られた透明導電基材は、透明導電層に塗布ムラ、筋状欠陥の発生が確認された。また、透明導電基材の表面抵抗率は、オーバーレンジとなり測定不能であった。
1 … ダイヘッド
2 … 塗液タンク
3 … 送液経路
10 … ダイコート装置
A … 撥液領域
20 … 透明導電基材
11 … 透明導電層
11A … 透明導電層形成層
12 … 透明基材
30 … 透明導電層形成用塗工液

Claims (3)

  1. 少なくとも金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を透明基材上に塗布して透明導電層を形成する際に用いられるダイコート装置であって、
    前記透明導電層形成用塗工液を吐出するダイヘッドと、
    前記透明導電層形成用塗工液を収容する塗液タンクと、
    前記塗液タンクから前記ダイヘッドへ前記透明導電層形成用塗工液を送液する送液経路と
    を有し、
    前記ダイヘッドは、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されていることを特徴とするダイコート装置。
  2. 透明基材と、
    前記透明基材上に形成され、少なくとも金属材料を含む透明導電層と
    を有する透明導電基材の製造方法であって、
    前記金属材料を含有する透明導電層形成用塗工液を、ダイコート装置を用いて前記透明基材上に塗布し、前記透明導電層を形成するための透明導電層形成層を形成する塗布工程を有し、
    前記ダイコート装置は、前記透明導電層形成用塗工液を吐出するダイヘッドと、前記透明導電層形成用塗工液を収容する塗液タンクと、前記塗液タンクから前記ダイヘッドへ前記透明導電層形成用塗工液を送液する送液経路とを有し、
    前記ダイヘッドは、少なくとも塗布方向と反対方向に位置する表面上に撥液領域が形成されていることを特徴とする透明導電基材の製造方法。
  3. 前記透明導電層形成用塗工液が、樹脂および前記金属材料として金属繊維を含有し、且つ、前記透明導電層形成用塗工液中の固形分濃度が0.1質量%〜5.0質量%の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の透明導電基材の製造方法。
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