JP2016067490A - 末梢血管抵抗推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】推定精度を向上することができる末梢血管抵抗推定方法を提供する。【解決手段】電気回路モデルを用いて末梢血管抵抗を推定する末梢血管抵抗推定方法において、電気回路モデルの式の減衰定数α、角周波数ω、振幅係数B、時間係数tbの値を変化させて前記式を用いた計算により得た橈骨動脈圧vpの値と、測定により得た橈骨動脈圧vpの値と、を比較し、前記計算により得た橈骨動脈圧の値vpと前記測定により得た橈骨動脈圧の値vpとの平均二乗誤差を最小化する減衰定数α、角周波数ω、振幅係数B、時間係数tbの最適解を決定するにあたって、(i)前記α、ω、B、tbのそれぞれについて複数回の探索を行う、(ii)各回の探索では複数のサンプリング値を用いる、(iii)次回の探索では前回の探索よりも探索範囲を狭める、の処理を行う。【選択図】図6

Description

本発明は、生体の末梢血管抵抗を非侵襲にて推定する方法に関する。
末梢血管抵抗(TPR)は動脈硬化及び高血圧の基本的な指標である。血液が細動脈を通り抜けることに抵抗するTPRは、血管の硬さ及び直径に関連がある。血流に対するTPRは、主として細動脈にある。その血管の直径がわずかに変化しても抵抗が著しく変わり、循環系全抵抗に大きく響く。
従来、このようなTPRを非侵襲にて推定する方法及び装置が、例えば非特許文献1〜3に記載されている。これらの文献では、中枢側の血管抵抗、末梢側の血管抵抗、血液による慣性、及び、血管のコンプライアンス(粘弾性)の4要素を電気回路モデルに模してTPRの推定値を算出する方法が記載されている。さらに、上述の4要素に加えて、血管のコンプライアンスを中枢側と末梢側に分けることで要素数を1つ増やし、5要素を電気回路モデルに模してTPRの推定値を算出する方法が記載されている。
石山仁,天野和彦,笠原宏,上馬場和夫,許鳳浩: 橈骨動脈圧波形から構築した五要素電気回路モデルによる循環動態の非侵襲的評価法, 電子情報通信学会技術研究報告, Vol.97, No.215, MBE97-68, (1997-07). 石山仁,天野和彦,笠原宏,上馬場和夫: 五要素電気回路モデルによる大動脈圧波形の非侵襲的推定法, 電子情報通信学会技術研究報告, MBE98-55, (1998-07). 石山仁,笠原宏,児玉和夫,許鳳浩: 電気回路動脈系モデルを用いた橈骨動脈波形による循環動態パラメータの非観血的測定法, 電学論C, 113巻4号, 1993.
ところで、非特許文献1〜3に記載されているような、血管の要素を電気回路モデルに当てはめることでTPRを推定する方法は、非侵襲にてTPRを測定できるので、患者への負担も小さく、TPRを容易に得ることができるので大変便利である。
しかしながら、従来のこの種のTPR推定方法は、演算過程において各パラメータの最適解を求めることができなくなる場合が生じる欠点があった。また、推定精度の点で未だ不十分であった。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、血管の要素を電気回路モデルに当てはめることで末梢血管抵抗を推定する方法において、演算アルゴリズムを改良することで、より的確な演算を行って、推定精度を向上することができる末梢血管抵抗推定方法を提供する。
本発明の末梢血管抵抗推定方法の一つの態様は、
大動脈圧と、橈骨動脈圧と、動脈系中枢部での血管抵抗と、動脈系末梢部での血管抵抗と、血管のコンプライアンスと、血液の慣性と、を電気回路モデルに当てはめることで末梢血管抵抗を推定する末梢血管抵抗推定方法であって、
時間をt、大動脈圧の立ち上がりからその圧力が最低血圧値になるまでの時間をtP1、橈骨動脈の圧力すなわち橈骨動脈波をv、最低血圧値をEmin、橈骨動脈の圧力における振幅係数をB、橈骨動脈の圧力における時間係数をt、橈骨動脈の圧力における振動成分の第1の振幅係数をD、指数関数すなわちexpをe、減衰定数をα、角周波数をω、第1の位相をθ、1拍の時間をt、橈骨動脈の圧力における振動成分の第2の振幅係数をD、第2の位相をθとしたときに、これらの血管の要素を下記の数式4及び数式5のように電気回路モデルによって表し、
数式4及び数式5における減衰定数α、角周波数ω、振幅係数B、時間係数tの値を変化させて数式4及び数式5を用いた計算により得た橈骨動脈圧vの値と、測定により得た橈骨動脈圧vの値と、を比較し、前記計算により得た橈骨動脈圧の値vと前記測定により得た橈骨動脈圧の値vとの平均二乗誤差を最小化する減衰定数α、角周波数ω、振幅係数B、時間係数tの最適解を決定するにあたって、次の(i)、(ii)、(iii)の処理を含む。
(i)前記α、ω、B、tのそれぞれについて複数回の探索を行う。
(ii)各回の探索では、複数のサンプリング値を用いる。
(iii)次回の探索では前回の探索よりも探索範囲を狭める。
本発明によれば、より的確な演算を行うことができるので、末梢血管抵抗の推定精度を向上させることができるようになる。
実施の形態の末梢血管抵抗推定方法を実行するための測定システムの概略構成を示す図 デジタルデータに変換した血圧波形モデルを示す図 動脈系の四要素集中定数モデルに等価の、電気回路モデルを示す図 図4(a)は大動脈起始部の圧力波形を示す図であり、図4(b)はそれを近似した三角波を示す図 若年健常者の平均波形を示す図であり、図5(a)は10拍の脈波からの平均動脈圧波形を示す図、図5(b)は計算波形と平均した実測波形とを示す図 減衰定数αに関する探索例を示す図 4種のパラメータ(α,ω,B,t)の解の全てが各々の中域に含まれる場合の探索処理を示す図 4種のパラメータ(α,ω,B,t)の解の1つ以上が各々の中域に含まれない場合の探索処理を示す図 減衰定数αに関する探索終了例を示す図 橈骨動脈圧波形の加算平均実測波形と、近似式から計算した波形との比較を示す図 数式31の電気回路モデルを示す図 五要素集中定数動脈系電気回路モデルを示す図 正弦半波で近似した左心室圧波形を示す図 電気回路モデルにより推定算出されたTPRと、観血的測定によるTPRとの相関性を示す図 数式36により推定算出されたTPRと、観血的測定によるTPRとの相関性を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<1>測定システム
まず、本実施の形態の末梢血管抵抗推定方法を実行するための測定システムについて説明する。図1は、その測定システムの概略構成を示す。また、図1の測定システムを用いて、本実施の形態の末梢血管抵抗推定方法の推定結果の検証も行った。
心電計は、ベッド上であお向けの状態の患者の両手首と両足首との4箇所に貼り付けた表面電極を介して心電図波形を得る。本実施の形態の場合、心電図波形を約10[min]間測定する。また同時に、右橈骨動脈脈波に非侵襲なトノメトリー法血圧計のセンサを設置し、橈骨動脈圧波形を非観血的連続的に採取する。
データレコーダを用いて得られたアナログ信号は、オシロスコープにより波形確認を行った。そして、その信号を12[bit]A/Dコンバータを用いてデジタルデータに変換する。この血圧波形モデルを、図2に示す。波形1周期において、血圧値が最も急激に変化するDBPとSBPとの時間間隔は約0.1[s]である。この間隔内において50点サンプリングできればほぼ元の波形に再現できると考えたため、また心電図波形においてR波の時間位置を精度良く決めるため、サンプリング周期はΔt=0.002[s]とした。また、血圧(電圧)振幅値は12[bit]で量子化した。そのデジタルデータを計算機に取り込んで、計算機によって演算及び解析を実行した。
<2>電気回路モデル解析による循環動態の推定
循環器系の状態を診断する場合、最も一般的に測定されるのが血圧や心拍数である。さらに詳しい診断には、血管の粘性抵抗やコンプライアンス(粘弾性)を測定することが必要である。血管の粘性抵抗やコンプライアンスを表す時、動脈系の振る舞いを記述する代表的なモデルの1つである四要素集中定数モデルがよく用いられる。
このモデルは、循環器系を電気的な等価回路とみなすものであり、動脈系中枢部における血液による慣性、中枢部における血液粘性による血管抵抗(粘性抵抗)、中枢部における血管のコンプライアンス(粘弾性)、及び末梢部における血管抵抗(粘性抵抗)の4つのパラメータから構成されている。
しかしながら、これらのパラメータを算出するには、大動脈起始部と切痕部の圧力波形及び血流量を測定する必要がある。その測定法には、動脈にカテーテルを挿入し直接測定する方法や、超音波などで間接的に測定する方法があるが、前者の方法は侵襲的な大がかりな方法となり、後者では圧力波形までは求められない。
近年、非侵襲的に橈骨動脈の脈波を検出する装置や、血圧と1回拍出量を収縮期面積法により同時に測定できる装置(脈波・コロトコフ音記録計)が開発された。これらの装置は、小型で測定法が非侵襲的である点に特徴がある。現在、手軽で非侵襲的にしかも安価な装置により、循環動態パラメータの評価ができるシステムを開発することを目的として上記の装置を使用し、橈骨動脈の脈波形と1回拍出量を計測するだけで、四要素集中定数モデルのパラメータ値を循環動態のパラメータとして近似的に計算する方法が見い出されている(非特許文献1〜3参照)。
<2.1>四要素電気回路モデル
<2.1.1>動脈系モデルと橈骨動脈波の近似式
血管中の血流F、血圧差P及び流れに対する抵抗R、これら3つの量の関係は、次式に示すように、ちょうど電気回路における電流I、電圧(電位差)Eと電気抵抗Rとの間におけるオームの法則と類同である。
Figure 2016067490
1つの器官について言えば、その動脈と静脈における血圧の差をその器官内の血管の全抵抗で除すと、その器官の血流量が定まる。
動脈系の代表的なモデルの1つである四要素集中定数モデルは、動脈系を図3のような電気的な等価回路とみなすことにより仮定されるモデルであり、表1のように対応づけられる。なお、静電容量Cに対応づけたコンプライアンスは血管の軟度を表す量であり、粘弾性のことである。
Figure 2016067490
ここで、大動脈起始部の圧力波形は一般に図4(a)のような波形であるから、圧力波形を図4(b)の三角波で近似することにする。同図において近似波形の振幅と時間をE、E、t、tP1とすると、任意の時間tにおける大動脈圧eは次式で表される。ただし、Eは最低血圧、(E+E)は最高血圧であり、tは1拍の時間、tP1は大動脈圧の立ち上がりからその圧力が最低血圧値になるまでの時間である。
Figure 2016067490
Figure 2016067490
数式2と数式3の大動脈圧eを、図3の等価回路に入力して、橈骨動脈の圧力(橈骨動脈波)vを求めると、次式となる。
Figure 2016067490
Figure 2016067490
数式4と数式5が、動脈系を四要素集中定数モデルで表した時の橈骨動脈波の近似式である。ここで、次式
Figure 2016067490
とおけば、数式4と数式5の各定数α、ω、B、D、…などは次式のようになる。
Figure 2016067490
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Figure 2016067490
Figure 2016067490
ここで、v01とi01はt=0におけるvとiの初期値であり、v02とi02はt=tP1における初期値である。
<2.1.2> 循環動態パラメータ
数式7の角周波数ωより、中枢部における血管抵抗Rは、次式のようになる。
Figure 2016067490
が実数でかつ正となる条件は、次式の通りである。
Figure 2016067490
ここで、一般にRのオーダは10[dyn・s/cm]程度、Cは10−4[cm/dyn]程度であり、また、ωは脈波に重畳している振動成分の角周波数であるから10[rad/s]以上であるとみてよい。よって、数式19の上限はほぼ1/(ωC)とみなせることから、Lを簡略化のため近似的に、次式
Figure 2016067490
とおくと、Rは次式となる。
Figure 2016067490
また、数式20と数式21の関係により数式7の減衰定数αは、次式の通りとなる。
Figure 2016067490
数式20〜数式22の関係を用いて、αとω及び4つのパラメータのいずれか1つ、例えば、血液による慣性Lで残りのパラメータを表すと、次式のように表すことができる。
Figure 2016067490
Figure 2016067490
Figure 2016067490
上式より、モデルのパラメータはαとω及びLが定まれば求めることができる。αとωは橈骨動脈波の実測波形から、また、Lは図3の等価回路から計算した1回拍出量(数式26)を、測定した1回拍出量と一致するような値に設定することにより算出することができる。
図3の等価回路より、1回拍出量SVは、次式となる。
Figure 2016067490
そして、この式の単位を、MKSA単位系からCGS単位系に変換する。
<2.1.3> i初期値の算出法
循環動態パラメータの算出にあたって、まずiの初期値を定める。健常者の実測より、手首の橈骨動脈は半径r=1.3[mm]、最高速血流量(収縮期)は v01=0.904[m/s]、最低速血流量(拡張期)は v02=0.259[m/s]であった。血流量は、f0j=πr0j (j=1,2)である。図3の回路において、末梢側のCとRの電圧が等しいことから、次式が成立する。
Figure 2016067490
またiは、次式のように表される。
Figure 2016067490
数式27及び数式28よりiは、次式により表される。
Figure 2016067490
これらとi0j/Cにおいて、[dyn/s/cm]単位を[mmHg/s]に変換する係数a=1332[dyn/cm/mmHg]を用いると、i0j/Cは、次式により表される。
Figure 2016067490
ここで、i01/C及びi02/Cの算出段階においてはCを決定できないため、非特許文献3などでも説明されている標準的な算出値Cを用いた。
<2.1.4> 平均波形における特徴点の検出法
記録した橈骨動脈圧波形を1拍ごとに重ね合わせた。従来法では、1[min]間における1拍当たりの平均波形を求めていた。しかし、被検者によっては心拍数が異なり、心拍数が多い場合は平均波形が滑らかになる可能性がある。また、標準的な1[min]間の心拍数である70拍の平均波形では、血圧変動が激しい場合は、平均波形があまりにも滑らかになり、各パラメータの算出が困難なケースが生じた。近年の手法では、10拍の平均波形が利用されている点、また、この平均波形は元の波形と大きな相違がない点を考慮して、本実施の形態では、10拍の加算平均化波形を用いることにした。
図5は若年健常者の平均波形を示すものであり、図5(a)は10拍の脈波からの平均動脈圧波形を示し、図5(b)は計算波形と平均した実測波形とを示す。若年健常者の平均波形(図5(a))において、最大値(第1ポイント)の時間tと血圧値y、凹部(第2ポイント)の時間tと血圧値y、及び2番目のピーク(第3ポイント)の時間tと血圧値yを検出した。また、1拍の時間t、最低血圧値Emin(数式4と数式5の第1項目)を読み取った。抽出した値、及び1回拍出量SVの算出例を表2に示す。
Figure 2016067490
1回拍出量SVは、一般的に循環動態には影響が小さく、また簡易な測定法の開発という観点から、被検者に依存しない標準的な固定値とした。なお、凹部と2番目のピークがはっきりしないなだらかな脈波の場合には、第2と第3ポイントの時間をt=2t、t=3tとしてその点の血圧値を読み取った。
<2.1.5> α,ω,B,tの算出アルゴリズム
読み取ったデータを基にして、数式4のα,ω,B及びtを決定する。α,ω,B及びtを適当に変化させ、t=t,t,tにおける橈骨動脈波の圧力vP1,vP2,vP3を計算し、(y−vP1),(y−vP2),(y−vP3)が最小となるようなα,ω,B及びtを算出する。従来法では、第1ポイント〜第3ポイントの3点だけで実測の平均波形とモデルによる計算波形とを比較し、その平均二乗誤差を最小化していたが、次の2つの問題点があった。
1. 3点だけの比較では、平均波形と計算波形との一致が困難であり、大きな誤差が生じてしまう。
2. 高齢高血圧患者の場合では反射波が存在しないケースが多く、第2及び第3ポイントを的確に判定することができない。
そこで、本実施の形態では、計算量を考慮して Δt=0.01[s]ごとに平均波形と計算波形を比較し、その平均二乗誤差を最小化する手法を提案する。
また、α,ω,B及びtの従来の算出法では、4種のパラメータにおいて各々の指定範囲を設定し、その領域内における全ての場合について計算し、最適解を求めていた。この手法では、計算量が膨大であり、かつ設定した指定範囲に依存するため、循環器系疾患や刺激後の動脈圧波形の場合は、最適解を得ることができるとは限らない。
そこで、本実施の形態では、効率が良く、かつ安静状態の健常者以外の場合でも利用できる可変領域を用いるアルゴリズムを提案する。
本実施の形態による、α,ω,B,tの算出アルゴリズムは以下の通りである。
1) まず、α,ω,B,tの初期設定探索領域、最終探索サンプリング間隔Δα,Δω,ΔB,Δt、及び領域縮小率を表3のように定めた。表3に示す各パラメータの初期条件は、被検者データの分析、生理学的に適切な範囲内、算出誤差の低減、計算時間量の抑制などを考慮して、経験則に基づいて決定した。なお、初期設定探索領域は8回縮小した時に、探索サンプリング間隔が最終値に到達するように設定した。図6は、αに関する探索例を示す図である。
2) 1ブロックの探索において、1種のパラメータの比較可能ポイント数は7点とした。
3) 7通りの各々の組(α,ω,B,t)について、計算波形と平均波形との平均二乗誤差を求め、平均二乗誤差が最小となる解を算出する。
4) 4種のパラメータにおいて1ブロックの探索が完了した時、全てのパラメータにおいて各々の設定探索領域を左域・中域・右域と3等分に分割する。
5) その時に算出した解の全てが各々の中域に含まれる場合は、最適解の局所領域に順調に探索していると判断し、領域縮小率に従って設定探索領域を縮小し、次のブロックの探索をする。また、その時に算出した解の1つ以上が各々の中域に含まれない場合は、最適解の局所領域に到達していないと判断し、設定探索領域は算出した解を中心とする領域にそれぞれ移動させ、次の探索をする。図7は4種のパラメータ(α,ω,B,t)の解の全てが各々の中域に含まれる場合の探索処理を示す図であり、図8は4種のパラメータ(α,ω,B,t)の解の1つ以上が各々の中域に含まれない場合の探索処理を示す図である。
6) 前回の探索よりも次回の探索のサンプリング間隔を小さくするものとし、次回の探索のサンプリング間隔が既定の最終値に到達し、かつ次回の探索で求めた解の組が前回の探索で求めた解の組と一致した場合に、その解を最適解として、探索を終了する。図9は、αに関する探索終了例を示す図である。
Figure 2016067490
このようなアルゴリズムを利用して得られた各パラメータの算出例を下記に示す。
α=4.71[1/s],ω=18.328[rad/s],B=34.87[mmHg],t=0.974[s]
P1,E,Eは数式8、数式9、数式23〜数式25から求めることができる。その算出例は、次の通りである。
P1=0.948[s],E=36.17[mmHg],E=53.53[mmHg]
高齢高血圧患者は若年健常者に比べて、最低血圧Dとその直後の最高血圧SとのD−S時間間隔tが長いこと、そして、血圧単位のパラメータB及びEが大きい傾向が示された。tが長くなる原因としては、血管弾性力(瞬発力)の低下が考えられる。またB及びEが大きい原因としては、抵抗Rが増大しているためである。
<2.1.6> 循環動態パラメータの算出例
次に、数式26から計算する1回拍出量が、固定値と一致するような血液による慣性Lの値を算出した後、残りのパラメータ値を数式22により求める。そのパラメータの算出例は、以下の通りである。
C=2.407×10−4[cm/dyn],L=12.368[dyn・s/cm],R=58.29[dyn・s/cm],R=881.50[dyn・s/cm
また、直流的な総末梢血管抵抗(中枢部と末梢部の血管抵抗の和)TPRは、
TPR = R+R= 939.79[dyn・s/cm
である。確認のため、算出したパラメータで数式19を計算すると、12.167≦L≦12.368 となり、数式20の近似は妥当であるといえる。
図5(b)に、算出したパラメータを用いて計算した橈骨動脈波形(実線)と10拍分を平均した実測波形(破線)との比較を示す。この例では、計算した血圧波形は、実測波形とほぼ類似しているといえる。
3種類の特徴点だけを比較する従来法では、計算波形と実測波形との平均二乗誤差は、10.459[mmHg]であった。これに対し、本実施の形態によるΔt=0.01[s]ごとに計算波形と実測波形を比較し、その平均二乗誤差を最小化する方法による平均二乗誤差の算出結果は、2.664[mmHg]であり、大幅に誤差を低減させることができた。
<2.2> 五要素電気回路モデル
<2.2.1> 電気回路モデルの改善
前節では、動脈系の振る舞いを表す代表的なモデルの1つである動脈中枢側の血管抵抗、末梢側の血管抵抗、血液による慣性、血管のコンプライアンス(粘弾性)の4つの要素で構成された四要素集中定数モデルについて述べた。四要素集中定数モデルを電気回路に置き換え、入力電圧を三角波で近似した大動脈圧波形に、CR並列回路部の電圧を橈骨動脈圧波形に、平均電流を1[s]間当たりの心拍出量に対応させて4つのパラメータを非侵襲的に算出する方法を示した。
ところで、血管のコンプライアンスは、中枢側に向かうほど血管壁の組成がより弾性的になって大きくなるため、中枢側のコンプライアンスは、動脈系全体のコンプライアンスの中で大きな割合を占めている。四要素集中定数モデルでは、血管抵抗については動脈系の中枢側と末梢側に分離して示しているため両者を評価できるが、コンプライアンスについては血管抵抗のように分離されていないため、中枢側と末梢側に分離して評価することができない。
本実施の形態では、まず、コンプライアンスを中枢側と末梢側に分離して配置した動脈系電気回路モデルの回路構成を考える手がかりとして、橈骨動脈圧波形の近似式を実測波形より導出した。その近似式をもとに回路構成を考察した結果、中枢側コンプライアンスに相当する静電容量を電気回路モデルの入力端子に並列に、末梢側コンプライアンスに相当する静電容量を電気回路モデルの出力端子に並列に配置した五要素集中定数動脈系電気回路モデルを構築した。
<2.2.2> 橈骨動脈圧波形の近似式とその電気回路モデル
図10は、橈骨動脈圧波形の加算平均実測波形と、近似式から計算した波形との比較を示す図である。図10の点線は、実測した10拍の加算平均橈骨動脈圧波形である。同図より、橈骨動脈圧波形の前半では減衰を伴う振動成分が含まれているが、後半では振動成分がほとんど認められない単調で緩慢な減衰を示していることが分かる。そこで、橈骨動脈圧波形の近似式を次式のように表すことにする。
Figure 2016067490
波形の後半において、振動成分がほとんど認められない単調な減衰を示すためには、数式31の減衰定数α,βと角周波数ωは、それぞれα<<β,α<<(ω/2π)でなければならない。この条件下で数式31の各定数を適当に決定して計算した波形が図10の実線であり、実測波形とほぼ一致した波形が得られたため、数式31は橈骨動脈圧波形の近似式として妥当であると考えられる。この時の各定数は次の通りである。
α=0.548[s−1],β=5.159[s−1],ω=17.27[rad/s],K=−40.74[mmHg],K=87.06[mmHg]
数式31に基づいて電気回路モデルを考えると、まず、数式31の第1項は、図11(a)の抵抗R(=R)、インダクタンスL、静電容量Cの直列回路で表すことができる。第2項は、図11(b)の静電容量Cと抵抗R(=R)の放電回路で表すことができる。また、数式31が繰り返し持続するためには電源が必要である。動脈系で電源に相当するものは心臓であるから、本電気回路モデルでは左心室の圧力を電源とした。
電源を考慮して、図11(a)、図11(b)を重ね合わせて構成した回路が図12の五要素集中定数動脈系電気回路モデルである。C並列回路部の端子電圧を橈骨動脈圧波形に対応づけると、CとRは、末梢側におけるコンプライアンスと血管抵抗に相当し、電源側に並列に配置したCと電源と末梢側の間に直列に配置したRは、中枢側におけるコンプライアンスと血管抵抗に相当する。血管抵抗は末梢側にいくほど血管径が細くなるため、中枢側よりも末梢側の方が大きい。逆に、血管のコンプライアンスは中枢側にいくほど血管壁がより弾性的になるため、末梢側よりも中枢側の方が大きい。故に図12において、R<<R,C>>Cの関係が成り立つ。
図10の点線の前半部分は収縮期に当たり、波形の変化が大きい。この区間では図12のダイオードDは導通状態であり、Cは電源電圧で充電される。また、末梢側に流れる電流は変化が大きいから、主に電源→R→L→Cの経路で流れると考えられる。図10の点線の後半部分は拡張期に当たり、波形の変化は緩慢である。この区間ではダイオードDは阻止状態であり、Cは収縮期に充電した電荷を末梢側に放電するが変化が緩慢であるから、Lの効果は無視することができ、さらにR<<R,C>>Cであるから、ほぼCの時定数で放電すると考えられる。
以上のことから、図12は数式31の電気回路モデルとして妥当であると考えられる。ここで、図12の電気的要素と動脈系の要素との対応づけをまとめると表4のようになる。
Figure 2016067490
左心室圧波形を容易に、しかも安価な装置で非侵襲的に測定することは困難である。左心室圧波形は一般に図4(a)に示すような形状であるから、左心室圧波形を図13に示す正弦半波で近似することにした。ここで、図13は、正弦半波で近似した左心室圧波形を示すものであり、Eは左心室の最高血圧、tは左心室に圧力が印加されている間の時間(以下、加圧時間と呼ぶ)、tは収縮期開始時間、tは収縮期終了時間、tは1拍の時間である。図12より収縮期(t≦t≦t)では、(左心室圧)≧(大動脈圧)であるからダイオードDは導通状態であり、次式が成立する。
Figure 2016067490
ここで、ω=π/tである。拡張期(t≦t≦t+t)では、(左心室圧)≦(大動脈圧)であるからダイオードDは阻止状態であり、次式が成立する。
Figure 2016067490
数式32、数式33を解くと、収縮期と拡張期における橈骨動脈圧vは、次式となる。
Figure 2016067490
Figure 2016067490
ここで、数式34、数式35の角周波数ω,ω、減衰定数α,γ、係数B,B,B,B、位相角θ,θ,θはR,R,L,C,C,Eで決定される定数であり、t’=t−t,t”=t−tである。
<2.2.3> 循環動態パラメータの算出例
本実施の形態による、電気回路モデルにおけるパラメータを取得するための算出法を以下に示す。
α,β,ω,K,Kの初期設定探索領域、最終探索サンプリング間隔Δα,Δβ,Δω,ΔK,ΔK及び領域縮小率を表5に示す。これらの初期条件と数式31を用いることにより、計算波形を求めた。なお、その算出にあたっては前章で述べたα,ω,B,tの算出アルゴリズムと同様な手法を採用した。
Figure 2016067490
本実施の形態の電気回路モデルで決定しなければならないパラメータは、R,R,L,C,C,E,tの7つである。これを一度に決定するのは困難であるから、R,R,L,C,Eについては前節で提案した算出方法で求めた。
とtの算出にあたっては、従来、まず、tを(QT+0.1)[s]〜(QT+0.2)[s]の範囲で変化させて、各tに対して計算した橈骨動脈圧の最低血圧値が測定値と一致するようなCを求めていた。ここで、QTは心電図におけるQT間隔(電気的収縮時間)である。次に、各tとCの組の中で、橈骨動脈圧の計算波形と加算平均波形の平均誤差が最小となるtとCを本実施の形態の電気回路モデルのパラメータとして採用していた。しかしこの手法では、tとCとの理論的関係が曖昧であり、解が通常の範囲を越える場合があった。
そこで、本実施の形態では、数式33から一脈拍内におけるCの経時的変動を調べた。その結果、波形の前半ではCは激しく振動し、波形の後半ではCはほぼ中間に収束する傾向があることを示した。よって、その収束値をCの最適解とすることにした。またtは求めないこととした。
以下に算出した循環動態パラメータの例を示す。
=1.694×10−3[cm/dyn],C=2.407×10−4[cm/dyn],L=12.368[dyn・s/cm],R=58.289[dyn・s/cm],R=881.498[dyn・s/cm
図10は、橈骨動脈圧波形の加算平均実測波形(点線)と、算出したパラメータを用いて計算した波形(実線)とを比較したものである。両波形は、凹凸部を除いてほぼ類似している。Cの算出手法を改良した五要素モデルの平均誤差は、1.041[mmHg]であった。この数値は、前節で改良した四要素モデルの平均誤差(1.610[mmHg])及び、従来法の五要素モデルの平均誤差(2.490[mmHg])に比べて、大幅に改善されている。
このようにして、血管のコンプライアンスを中枢側と末梢側に分離して配置した動脈系電気回路モデルの回路構成を橈骨動脈圧波形の近似式に基づいて考察した結果、中枢側コンプライアンスに相当する静電容量を電気回路モデルの入力端子に並列に、末梢側コンプライアンスに相当する静電容量を電気回路モデルの出力端子に並列に配置した五要素集中定数動脈系電気回路モデルを構築することができた。
<2.3> 安静状態検査における循環動態評価
<2.3.1> 解析結果
まず、若年者と高齢者の各グループにおいて、前処理パラメータの平均値を算出した。その結果を表6に示す。
Figure 2016067490
これらの表における比較から、高齢者では以下のような特徴が考えられる。
1.数式4及び数式31におけるα,βが低いことから、SBP直後における減衰が緩やかである。
2.αが高いことから、波形の後半における減衰が急である。
3.ω,ωが低いことから、圧の振動性が小さく、弾力性に乏しい。
4.B,E,Eが高いことから、血圧が高い。
5.数式31におけるKが低くKが高いことから、圧の振動性の影響がわずかに作用するだけであり弾力性に乏しい。
次に、定常状態において、若年者と高齢者からそれぞれの循環動態パラメータの平均値を算出した。その結果を表7に示す。
Figure 2016067490
高齢高血圧患者は若年健常者に比べて、コンプライアンスC,Cが小さい、インダクタンスLが大きい、中枢部血管抵抗R(R)・末梢部血管抵抗R(R)・総末梢血管抵抗TPRが大きい傾向にあることがいえる。加齢に伴い血圧が上昇して動脈が硬くなると、血管弾性力Cが低減し、血液による慣性L及び血管抵抗Rが増大すると考えられる。従って、この電気回路動脈系モデルから得られる循環動態パラメータは、動脈硬化度の有効な定量的評価法につながる可能性があるといえる。また血圧波形測定は、非観血的かつ約1[min]間だけの短時間測定であるため、患者に負担を強いることがない。ただ、問題点としては、1回拍出量を測定しないため、1回拍出量の測定値SVを一定値にしたことである。
<2.3.2> 観血的TPR測定検査における循環動態評価
本実施の形態による電気回路モデルにより推定算出されたTPRの正確性を検証するため、観血的測定によるTPRとの相関性を調べた。その結果を図14に示す。モデル推定TPRは、観血的測定TPRより小さく推定する傾向があり、相関度が低いといえる(r=0.57, p<0.01)。モデル推定TPRの推定誤差は、次のような原因が考えられる。
1.血圧波形の測定時には同時に観血的カテーテル検査を施行していることから、波形に雑音が重畳されることが多い。
2.モデルに入力する血圧波形は10拍分の平均であることから、1対1の対応ではない。
3.このモデルは健常者を対象としたモデルであることから、血圧波形の形状に異常がある患者の場合には、循環動態に関わる理論式に適合するとは限らない。
4.図14より、このモデルにTPRの上限(飽和状態)があることから、TPRが極めて高い患者の場合でも、モデルTPRが2000[dyn・s/cm]を超えることは困難である。
このような観点から、モデルTPRの絶対値は的確であるとはいえない。
モデルTPRを観血的TPRに近づけるためには、モデルに入力する血圧波形においてTPRが高いと判断される異常な局所領域またはR,Rを検知し、その情報を何らかの基準から数値化してモデル理論式に付加する必要がある。そこで、本実施の形態では、既存の各種データを分析し、血圧波形の異常がR(動脈系中枢部での血管抵抗),R(動脈系末梢部での血管抵抗)に反映することを考慮し、モデルTPR(総末梢血管抵抗推定値)の推定式を、次式とすることを提案する。
Figure 2016067490
ここで、数式36の係数w,wは表8に従う。
Figure 2016067490
電気回路モデルの数式36により推定算出されたTPRの正確性を検証するため、観血的測定によるTPRとの相関性を調べた。その結果を図15に示す。モデル推定TPRは、観血的測定TPRと良好な直線的正相関を示す(r=0.77, p<0.001)。
<3>. 結論
上述の実施の形態では、心血行動態の各指標を分析する手法を提案し、循環動態指標を算出する電気回路モデル解析について述べた。
橈骨動脈の脈波形を計測するだけで、四要素集中定数モデルのパラメータ値を循環動態の指標として近似的に算出する方法について調べた。次に、橈骨動脈圧波形の近似式から、血管のコンプライアンスを動脈系の中枢側と末梢側に分離して配置した五要素集中定数動脈系電気回路モデルを、先に提案された方式と組み合わせて構築した。
このモデルの妥当性を検証するため、応用例として血管拡張剤投与検査等を行った。投与前後における橈骨動脈圧波形の測定及び記録は、非侵襲的な装置を用いた。次に、入力電圧を正弦半波で近似した左心室圧波形に、出力電圧を橈骨動脈圧波形に、平均電流を1[s]間当たりの心拍出量に対応させ、TPR誤差及び計算量の削減に重点を置いて、モデルに対するパラメータを算出した。その結果、橈骨動脈の平均血圧と脈圧及び1回拍出量の経時的変化をモデルにおける5種の循環動態パラメータの変化として、動脈系を中枢側と末梢側に分離して、定性的かつ定量的な評価に利用できることが確認された。従って本方式は、血管抵抗、コンプライアンス及び血液の慣性を明確に評価でき、特に血管抵抗を中枢部と末梢部に分離して評価できるという利点を最大限に発揮した。
従来の装置においてもTPRや動脈硬化度等を算出することができるが、本法は非侵襲的であり、苦痛が少なく容易に繰り返し測定可能な橈骨動脈圧波形だけで算出できるため、肉体的、精神的にも負担をかけない状態で、長時間にわたる循環動態の評価を可能にするものである。
この簡易な方法は、
(1)被検者に負担を与えない非侵襲的方法であること、
(2)一心拍ごとの値が得られる連続的方法であること、
等の特徴を有し、今後、血行動態力学に関する臨床研究の場で広範に応用可能であるといえる。
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明は、生体の末梢血管抵抗を非侵襲にて推定する場合に広く適用し得る。

Claims (5)

  1. 大動脈圧と、橈骨動脈圧と、動脈系中枢部での血管抵抗と、動脈系末梢部での血管抵抗と、血管のコンプライアンスと、血液の慣性と、を電気回路モデルに当てはめることで末梢血管抵抗を推定する末梢血管抵抗推定方法であって、
    時間をt、大動脈圧の立ち上がりからその圧力が最低血圧値になるまでの時間をtP1、橈骨動脈の圧力すなわち橈骨動脈波をv、最低血圧値をEmin、橈骨動脈の圧力における振幅係数をB、橈骨動脈の圧力における時間係数をt、橈骨動脈の圧力における振動成分の第1の振幅係数をD、指数関数すなわちexpをe、減衰定数をα、角周波数をω、第1の位相をθ、1拍の時間をt、橈骨動脈の圧力における振動成分の第2の振幅係数をD、第2の位相をθとしたときに、これらの血管の要素を次の数式1のように電気回路モデルによって表し、
    Figure 2016067490
    前記数式1における減衰定数α、角周波数ω、振幅係数B、時間係数tの値を変化させて前記数式1を用いた計算により得た橈骨動脈圧vの値と、測定により得た橈骨動脈圧vの値と、を比較し、前記計算により得た橈骨動脈圧の値vと前記測定により得た橈骨動脈圧の値vとの平均二乗誤差を最小化する減衰定数α、角周波数ω、振幅係数B、時間係数tの最適解を決定するにあたって、次の(i)、(ii)、(iii)の処理を含む、
    (i)前記α、ω、B、tのそれぞれについて複数回の探索を行う、
    (ii)各回の探索では、複数のサンプリング値を用いる、
    (iii)次回の探索では前回の探索よりも探索範囲を狭める、
    方法。
  2. さらに、次の(iv)、(v)の処理を含む、
    (iv)前記複数のサンプリング値を、値が小さいものから大きいものへと少なくとも左域、中域、右域の3つの領域に領域分けし、
    (v)ある回の探索において、前記α、ω、B、tの全ての解が中域に含まれる場合には、次回の探索をその中域を中心に狭めた探索範囲で行う一方、ある回の探索において、前記α、ω、B、tの解の1つ以上が中域に含まれない場合には、その解を中心とする領域に探索範囲を移動させて再度解の探索を行う、
    請求項1に記載の方法。
  3. さらに、次の(vi)の処理を含む、
    (vi)前回の探索よりも次回の探索のサンプリング間隔を小さくするものとし、前記次回の探索のサンプリング間隔が既定の最終値に到達し、かつ前記次回の探索で求めた解の組が前記前回の探索で求めた解の組と一致した場合に、その解を最適解として、探索を終了する、
    請求項2に記載の方法。
  4. 前記最適解を用いて推定した動脈系中枢部での血管抵抗をR、前記最適解を用いて推定した動脈系末梢部での血管抵抗をR、総末梢血管抵抗推定値をTPRとしたとき、前記総末梢血管抵抗推定値TPRを、係数w,wを用いて、次の数式2により求める、
    Figure 2016067490
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記係数w,wを、前記(R+R)の値の範囲に応じて変える、
    請求項4に記載の方法。
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