JP2016066043A - マイクロミラーデバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性及び歩留りを向上させたマイクロミラーデバイスを提供する。
【解決手段】本実施の形態のマイクロミラーデバイスは、梁部が、単結晶領域と、表面へのイオン注入により形成されるアモルファス領域と、を有することにより上記課題を解決する。
【選択図】図1
【解決手段】本実施の形態のマイクロミラーデバイスは、梁部が、単結晶領域と、表面へのイオン注入により形成されるアモルファス領域と、を有することにより上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
本発明は、マイクロミラーデバイスに関する。
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により、ミラーを備える可動部と、該可動部を所定の振角で揺動させる梁部とが、シリコン基板に一体形成され、光ビームを偏向・走査する手段として用いられるマイクロミラーデバイスが知られている。
アモルファスシリコンの結晶化誘起応力で得られる、引張応力の加わったシリコン材料を使用し、ミラーを支持するバネを柔らかくすることで、小さな駆動力でも回転できるマイクロミラーデバイスが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、梁部が単結晶シリコンのみで構成されると、マイクロクラック等の欠陥を起点として、脆性破壊が生じ易くなり、デバイスの信頼性及び歩留りが低下するという問題がある。
特許文献1に記載のマイクロミラーデバイスは、梁部がアモルファスシリコンのみで構成されるため、梁部の強度が低下し、製造プロセスが煩雑化する。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、信頼性及び歩留りを向上させたマイクロミラーデバイスを提供することを目的とする。
本実施の形態のマイクロミラーデバイスは、梁部が、単結晶領域と、表面へのイオン注入により形成されるアモルファス領域と、を有することを要件とする。
本実施の形態によれば、信頼性及び歩留りを向上させたマイクロミラーデバイスを提供することができる。
〈本実施の形態に係るマイクロミラーデバイスの構成〉
図1に、本実施の形態に係るマイクロミラーデバイス100の概略構成を示す。マイクロミラーデバイス100は、半導体製造技術を応用したマイクロマシニング技術、MEMS技術を用いて形成される。
図1に、本実施の形態に係るマイクロミラーデバイス100の概略構成を示す。マイクロミラーデバイス100は、半導体製造技術を応用したマイクロマシニング技術、MEMS技術を用いて形成される。
マイクロミラーデバイス100は、可動部110、梁部120、フレーム部130、等を含む。マイクロミラーデバイス100は、各部がシリコン基板に一体形成される構成を有していても良いし、各部がシリコン基板に分けて形成される構成を有していても良い。図1において、梁部120と垂直な方向をX軸方向、梁部120と平行な方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向と直交する方向をZ軸方向とする。
可動部110は、ミラーを備えており、梁部120を介して、フレーム部130に支持される。可動部110は、一対の梁部120を結ぶ回転軸を中心として、時計回りに(図2(A)参照)、又は、反時計回りに(図2(B)参照)、揺動する。
ミラーは、光を反射する反射面を有し、該反射面には、光の反射率を高めるための金属薄膜コーティング(ミラーコーティング)が施される。ミラーコーティングには、公知の高反射率材料を用いることができ、例えば、Au(金)、Al(アルミ)、ガラス、等が挙げられる。
梁部120は、例えば、シリコンにより形成され、所定の振角で、可動部110を揺動させる。梁部120は、単結晶シリコン領域と、アモルファスシリコン領域と、を含む。梁部120の表面に対して斜め方向から、イオン注入が施されることにより、表面付近の単結晶シリコンがアモルファス化する。これにより、梁部120は、表面付近(端部)にアモルファスシリコン領域を含み、中央部に単結晶シリコン領域を含む構成となる。
ここで、マイクロクラック等の欠陥が最大振角に与える影響について説明する。最大振角は、結晶の劈開が起こる角度(梁部が破壊する角度)であり、マイクロミラーデバイスの性能を判断する一つの指標となる。最大振角が大きい程、デバイス性能は高いことが知られている。梁部が、シリコンにより形成される場合、理想的には、最大振角はシリコン結晶の脆性破壊で定まるが、梁部にマイクロクラック等の欠陥が存在すると、捻り応力が最も大きくかかる箇所を起点に結晶破壊が生じるため、最大振角は極端に小さくなる。つまり、MEMS技術等を用いて、数10μm〜数100μmのシリコンに微細加工(例えば、深堀RIE(Reactive Ion Etching))を施す際、梁部に欠陥を生じさせてしまうと、最大振角の低下に伴って、デバイス性能が低下してしまい、デバイスを安定駆動させることで信頼性を確保しなければならない。
しかしながら、梁部120が上述のような構成を有することで、マイクロクラックが、アモルファスシリコン領域に取り込まれるため、欠陥ダメージの広がりを端部(アモルファスシリコン領域)のみに留め、結晶破壊を抑制することができる。又、中央部には、単結晶シリコン領域が残存するため、梁部120の強度を維持することができる。従って、梁部120にマイクロクラックが存在しても、最大振角の低下を抑制し、梁部120の耐性を維持できるため、デバイスを通常駆動させても、信頼性を確保できる。
フレーム部130は、XY平面と平行に形成され、フレーム部130の長手方向とY軸方向とが一致し、フレーム部130の短手方向とX軸方向とが一致するように、形成される。フレーム部130が、Y軸方向において、梁部120の一端を固定支持することで、X軸方向及びZ軸方向に、可動部110が揺動する。
本実施の形態に係るマイクロミラーデバイスによれば、梁部が、単結晶領域と、表面へのイオン注入により形成されるアモルファス領域と、を有することで、該デバイスの信頼性及び歩留りを向上させることができる。
〈イオン注入によるアモルファス化〉
図3及び図4に、従来のマイクロミラーデバイスの概略構成を示す。図3は、図4に示す鎖線A−A'に対応する断面図である。
図3及び図4に、従来のマイクロミラーデバイスの概略構成を示す。図3は、図4に示す鎖線A−A'に対応する断面図である。
従来のマイクロミラーデバイスでは、梁部が単結晶シリコンのみで構成される。従って、梁部にマイクロクラック等の欠陥(図3(A)参照)が生じると、該欠陥を起点として、単結晶シリコンが本来有する最大振角より小さい角度で、結晶の劈開が生じる(図3(B)参照)。梁部において、単結晶シリコンの脆性破壊が生じることで、マイクロミラーデバイスの性能は低下し、機能が失われる。
そこで、本実施の形態に係るマイクロミラーデバイス100では、図5に示すように、イオン注入により、梁部120における単結晶シリコンの一部をアモルファス化する。マイクロクラック等の欠陥が生じ易い梁部120の表面に着目し、表面付近の単結晶シリコンをアモルファス化することで、最大振角の低下、及び表面付近での欠陥ダメージの広がりを抑制する。
図5に示すように、可動部110の中心を通るZ軸を回転軸として、マイクロミラーデバイス100を、例えば、時計回りに回転させながら、梁部120の表面に対して、斜め方向から、高濃度イオンを注入する。高濃度の不純物が注入された梁部120の表面付近では、単結晶シリコンの格子が崩れ、単結晶シリコンがアモルファス化する。なお、マイクロミラーデバイス100を回転させることで、梁部の表面付近の単結晶シリコンを、均一にアモルファス化することができる。
注入イオンとしては、例えば、砒素(As)、リン(P)、ホウ素(B)、等を用いることができ、ドーズ量としては、例えば、5E15cm−2程度とすることができる。
注入エネルギーとしては、数keV〜数100keV程度とすることができる。注入エネルギーを、例えば、50keVとすると、注入イオンが砒素の場合、約0.05μmの単結晶シリコンがアモルファス化し、注入イオンがリンの場合、約0.1μmの単結晶シリコンがアモルファス化し、注入イオンがホウ素の場合、約0.2μmの単結晶シリコンがアモルファス化する。
図6及び図7に、欠陥を含む梁部120の様子を示す。図6は、図7に示す鎖線B−B'に対応する断面図である。
図6(A)は、イオン注入直後における、梁部120の様子である。梁部120における表面付近のアモルファスシリコン領域には、マイクロクラックが取り込まれている。なお、アモルファス領域の深さ(梁部表面からの垂直距離)は、注入エネルギーの大きさに依存するため、注入エネルギーを適宜変更することで、アモルファス領域の深さを制御できる。
図6(B)は、マイクロミラーデバイス100駆動直後における、梁部120の様子である。梁部120における表面付近のアモルファスシリコン領域には、マイクロクラックを起点として、欠陥ダメージの広がりが見られる。しかしながら、欠陥ダメージの広がりは、アモルファスシリコン領域に留まっており、単結晶シリコン領域までは進行していない。これは、アモルファスシリコンにおける最大振角が、単結晶シリコンにおける最大振角と比較して、大きいためである。
つまり、梁部120における表面付近をアモルファス化することで、欠陥ダメージの広がりを抑制し、結晶の脆性破壊を低減できる。これにより、梁部120は、破壊し難く、軽量でありながら、高い強度を有するという、機械材料としての特性を最大限に発揮することができる。
本実施の形態に係るマイクロミラーデバイスによれば、梁部表面へのイオン注入により、マイクロクラックが存在する梁部表面付近を部分的にアモルファス化することで、デバイスの破壊振角を改善して、製品信頼性を高め、製造歩留りを向上させることができる。
〈他の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスの構成〉
図8及び図9に、他の実施の形態に係るマイクロミラーデバイス200の概略構成を示す。図9は、図8に示す鎖線C−C'に対応する断面図である。他の実施の形態に係るマイクロミラーデバイス200は、梁部120が、単結晶シリコン領域と、単結晶シリコン領域の表面に形成されたポーラスシリコン領域と、を含む点で、前述したマイクロミラーデバイス100と異なる。以下、マイクロミラーデバイス200について、前述したマイクロミラーデバイス100と異なる点を中心に説明する。
図8及び図9に、他の実施の形態に係るマイクロミラーデバイス200の概略構成を示す。図9は、図8に示す鎖線C−C'に対応する断面図である。他の実施の形態に係るマイクロミラーデバイス200は、梁部120が、単結晶シリコン領域と、単結晶シリコン領域の表面に形成されたポーラスシリコン領域と、を含む点で、前述したマイクロミラーデバイス100と異なる。以下、マイクロミラーデバイス200について、前述したマイクロミラーデバイス100と異なる点を中心に説明する。
マイクロミラーデバイス200は、図8に示すように、可動部110、梁部120、フレーム部130、等を含む。
可動部110及びフレーム部130としては、前述した実施の形態と同様の構成とすることができる。
梁部120は、図9に示すように、単結晶シリコン領域と、ポーラスシリコン領域と、を含む。
ポーラスシリコン領域は、単結晶シリコン領域の表面に形成された複数の微細な穴を有する単結晶シリコンが多孔質(ポーラス)化された領域である。ポーラスシリコン領域は、例えば梁部120の単結晶シリコンの表面を陽極酸化することにより形成される。
具体的には、例えば図10に示すように、梁部120をフッ化水素(HF)水溶液51に浸し、梁部120を陽極、白金(Pt)電極52を陰極とし、HF水溶液中で通電を行う。これにより、数十mA/cm2程度の陽極電流密度で、梁部120の単結晶シリコンの表面から多孔質化が生じ、梁部120の単結晶シリコンの表面がポーラスシリコン領域に変化する。
陽極酸化の条件としては、梁部120に生じたマイクロクラックがポーラスシリコン領域に取り込まれるように電流印加時間を決定することが好ましい。例えば陽極電流密度を数mA/cm2とすると、1分程度で表面から数μmの深さまでポーラスシリコン領域が形成される。
ここで、MEMS技術等を用いて、数10μm〜数100μmのシリコンに微細加工(例えば、深堀RIE)を施す際、梁部120にマイクロクラック等の欠陥を生じさせてしまうと、最大振角の低下に伴って、デバイス性能が低下してしまう。
しかしながら、梁部120が上述のような構成を有することで、マイクロクラックがポーラスシリコン領域に取り込まれることで消滅するため、結晶破壊を抑制することができる。又、梁部120には、ポーラスシリコン領域で覆われた内部に単結晶シリコン領域が残存するため、梁部120の強度を維持することができる。従って、梁部120にマイクロクラックが存在しても、最大振角の低下を抑制し、梁部120の耐性を維持できるため、デバイスを通常駆動させても、信頼性を確保できる。
以上に説明したように、マイクロミラーデバイス200によれば、梁部120が、単結晶シリコン領域と、単結晶シリコン領域の表面に形成されたポーラスシリコン領域と、を有することで、該デバイスの信頼性及び歩留りを向上させることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
100、200 マイクロミラーデバイス
120 梁部
120 梁部
Claims (6)
- 梁部が、単結晶領域と、表面へのイオン注入により形成されるアモルファス領域と、を有する、マイクロミラーデバイス。
- 前記アモルファス領域には、マイクロクラックが存在する、請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
- 前記梁部は、シリコンである、請求項1又は2の何れか一項に記載のマイクロミラーデバイス。
- 前記表面に対して斜め方向から、イオンが注入される、請求項1乃至3の何れか一項に記載のマイクロミラーデバイス。
- 前記イオンは、高濃度である、請求項4に記載のマイクロミラーデバイス。
- 梁部が、単結晶シリコン領域と、前記単結晶シリコン領域の表面に形成されたポーラスシリコン領域と、を有する、マイクロミラーデバイス。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014189548 | 2014-09-18 | ||
JP2014189548 | 2014-09-18 |
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JP2016066043A true JP2016066043A (ja) | 2016-04-28 |
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JP2015023177A Pending JP2016066043A (ja) | 2014-09-18 | 2015-02-09 | マイクロミラーデバイス |
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Cited By (1)
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JP2022177047A (ja) * | 2017-05-31 | 2022-11-30 | マジック リープ, インコーポレイテッド | 光ファイバ結像システムにおける使用のための機械的継手 |
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2015
- 2015-02-09 JP JP2015023177A patent/JP2016066043A/ja active Pending
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JP2022177047A (ja) * | 2017-05-31 | 2022-11-30 | マジック リープ, インコーポレイテッド | 光ファイバ結像システムにおける使用のための機械的継手 |
JP7346684B2 (ja) | 2017-05-31 | 2023-09-19 | マジック リープ, インコーポレイテッド | 光ファイバ結像システムにおける使用のための機械的継手 |
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