JP2016061731A - 電気的特性測定装置及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】血液試料の電気的特性の測定の精度をより向上させる電気的特性測定装置を提供する。
【解決手段】血液試料の電気的特性を測定する測定部と、前記血液試料の測定中に前記血液試料における赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えた場合に警告信号を発する警告発生部と、を備える電気的特性測定装置を提供する。
【選択図】図1

Description

本技術は、電気的特性測定装置及びプログラムに関する。より詳しくは、血液試料の電気的特性の測定における精度を向上させる技術に関する。
血液に由来する試料の電気的特性を測定することにより、該試料を解析する方法が知られている。しかし、血漿等の液体成分と、赤血球等の血球成分と、を含む試料では、該試料の測定中に血球成分が沈降して測定容器等における相対位置が変化することによって、電気的特性の正確な測定が困難になる場合があった。
このような血球成分が沈降する問題に対して、例えば、特許文献1には、「液体状の生体試料を収容するための樹脂からなる生体試料保持部と、該生体試料保持部に固定された電気伝導部と、を少なくとも備え、前記電気伝導部の一部が前記生体試料保持部に埋入された状態で、前記生体試料保持部と前記電気伝導部が一体成形された液体状の生体試料の電気的測定用容器」が開示されている。当該電気的測定用容器では、例えば、電気伝導部に備えられる電極部を、測定時に底面となる部分から所定距離上側に位置するように配置することで、生体試料中で沈降性成分が沈降した場合であっても、途中までは測定値に影響を与えることなく正確な測定を行うことができる。
特開2014−115256号公報
上記特許文献1に記載された電気的測定用容器によって、血液試料の電気的特性を精度高く測定することができる。しかしながら、血液試料によっては血球成分の沈降速度が大きく異なる場合もあり、血液試料の電気的特性を精度高く測定するためには、さらなる改良が求められていた。
そこで、本開示は、血液試料の電気的特性の測定の精度をより向上させる電気的特性測定装置の提供を主な目的とする。
上記課題解決のため、本開示は、血液試料の電気的特性を測定する測定部と、前記血液試料の測定中に前記血液試料における赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えた場合に警告信号を発する警告発生部と、を備える電気的特性測定装置を提供する。
前記警告発生部は前記血液試料を測定して得られる電気的特性に基づき前記赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定してもよい。
また、前記警告発生部は前記電気的特性として一又は複数の、特定の周波数における誘電率を用いることもできる。
さらに、前記警告発生部は前記誘電率として前記血液試料の測定開始後の、特定の時点で測定される誘電率を用いてもよい。
この場合、前記警告発生部は前記誘電率として互いに異なる周波数における複数の誘電率を用い、前記複数の誘電率の関係に基づき前記赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定することもできる。
また、前記警告発生部は前記誘電率の経時変化に基づき前記赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定してもよい。
この場合、前記警告発生部は前記誘電率の一定時間当たりの増減に基づき前記赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定することもできる。
前記測定部は前記血液試料と接触する位置に少なくとも一対の電極を有していてもよい。
また、前記一対の電極は互いに対向して配設され、前記電極の互いに対向する面は前記血液試料内の赤血球の沈降する方向に沿っていてもよい。
前記電気的特性測定装置は、前記警告信号に基づき前記血液試料の測定中に警告を提示する第1警告提示部を有していてもよい。
また、前記測定部は前記警告信号に基づき前記血液試料の測定を停止することもできる。
さらに、前記電気的特性測定装置は、前記電気的特性を測定して得られたデータについて測定中に発生した前記警告信号の有無を提示する第2警告提示部を有していてもよい。
本開示はまた、血液試料の電気的特性を測定する測定機能と、前記血液試料の測定中に前記血液試料における赤血球沈降速度が予め定められた基準を超える場合に警告信号を発する警告発生機能と、を、コンピュータに実現させるためのプログラムを提供する。
本開示により、血液試料の電気的特性の測定の精度をより向上させる電気的特性測定装置等が提供される。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本開示の第1実施形態に係る電気的特性測定装置の構成を示す模式図である。 測定部に設けられる試料収容空間と電極対の一例を示す模式図である。 A〜Cは、第1実施形態に係る電気的特性測定装置の動作を示す模式図である。 A及びBは、第1実施形態の変形実施形態に係る電気的特性測定装置の動作を示す模式図である。 本開示の第2実施形態に係る電気的特性測定装置の構成を示す模式図である。 A〜Cは、第2警告提示部における警告の提示例を示す模式図である。 Aは実験例1で測定された健常者由来の血液試料における誘電スペクトルを示す図面代用グラフであり、BはAに示す誘電スペクトルのうち、各周波数における誘電率の経時変化を示す図面代用グラフである。 Aは実験例1で測定された、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料における誘電スペクトルを示す図面代用グラフであり、BはAに示す誘電スペクトルのうち、各周波数における誘電率の経時変化を示す図面代用グラフである。 Aは実験例1で測定された線溶系が亢進している血液試料における誘電スペクトルを示す図面代用グラフであり、BはAに示す誘電スペクトルのうち、各周波数における誘電率の経時変化を示す図面代用グラフである。 A及びBは実験例2の結果を示す図面代用グラフである。 A及びBは実験例3の結果を示す図面代用グラフである。 A及びBは実験例4の結果を示す図面代用グラフである。 A及びBは、実験例5において測定された10MHzにおける複素誘電率の経時変化を示す図面代用グラフであり、Aは実数部を示し、Bは虚数部を示す。
以下、本開示を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本開示の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本開示の範囲が狭く解釈されることはない。また、説明は以下の順序で行う。

1.第1実施形態(第1警告提示部を有する構成)
2.第1実施形態の変形実施形態(警告信号により測定部が測定を停止する構成)
3.第2実施形態(第2警告提示部を有する構成)
1.第1実施形態
本開示の第1実施形態に係る電気的特性測定装置について説明する。図1は、本実施形態の電気的特性測定装置の構成を示す模式図である。符号D1で示す電気的特性測定装置は、測定部1aと、警告発生部2と、を備える。また、電気的特性測定装置D1は、第1警告提示部31を有することが好ましい。この他、電気的特性測定装置D1には、表示部4や記憶部5が設けられていてもよい。電気的特性測定装置D1の各構成について順に説明する。
<測定部>
測定部1aは、電気的特性測定装置D1において、少なくとも、血液試料の電気的特性を測定する。測定部1aによって電気的特性として具体的に測定される値は、例えば、血液凝固能の解析等、血液試料の解析目的等に応じて適宜選択することができ、例えば、インピーダンスや誘電率等とすることもできる。また、測定部1aの構成は、血液試料に対して測定目的である電気的特性が測定可能となるように構成されている限り、自由に設計することができる。電気的特性として、例えば、インピーダンスや誘電率を測定する場合は、測定部1aとしてインピーダンスアナライザーやネットワークアナライザー等を採用することもできる。
なお、本開示において、「血液試料」とは、赤血球と血漿等の液体成分とを含む試料であればよく、血液自体に限定されるものではない。また、血液試料には、電気的特性の測定目的等に応じて試薬が所定の濃度で添加されていてもよい。試薬としては、例えば、抗凝固剤や抗凝固剤に対する薬剤等が挙げられる。これらの試薬としては、例えば、カルシウム水溶液、各種血液凝固因子、各種凝固試薬、ヘパリン中和剤、線溶系阻害剤、血小板阻害剤、血小板活性化剤等が挙げられる。
図2に測定部1aの構成の一例を模式的に示す。図2に示すように、測定部1aには、少なくとも血液試料を測定する間、血液試料を収容できる空間(試料収容空間11)が設けられている。試料収容空間11と外部とを隔てる部材は、絶縁材料であれば、公知の素材の中から適宜採用することができる。絶縁材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンなどの疎水性かつ絶縁性のポリマーやコポリマー、ブレンドポリマーなどが挙げられる。また、例えば、試料収容空間11を容器によって構成し、測定部1aから取り外しできるようにしてもよい。なお、測定部1aは、一つの血液試料の電気的特性を測定できるように構成されていてもよく、また、複数の血液試料に対して同時に電気的特性の測定を行うことができるように構成されていてもよい。
測定部1aは、血液試料と接触する位置に少なくとも一対の電極12,12を有することが好ましい。例えば、印加部6によって一対の電極12,12間に電圧を印加することで、血液試料の電気的特性を測定することができる。
電極12,12の材質は、血液試料への影響が少ない導電材料であれば、公知の素材の中から適宜選択することができる。電極12,12の材質としては、例えば、チタン、アルミニウム、ステンレス、白金、金、銅、黒鉛などが挙げられる。
測定部1aにおいて、一対の電極12,12は互いに対向して配設されていることが好ましい。さらに、電極12,12の互いに対向する面(対向面)S,Sは血液試料内の赤血球の沈降する方向(図2、矢印X1参照)に沿うことが好ましい。電極12,12の対向面S,Sが赤血球の沈降方向に沿って形成されていることにより、電極12,12の配置を調節することで、血液試料の測定中に生じる赤血球の沈降の影響をより受け難くすることができる。例えば、試料収容空間11の下方に電極12,12を形成することにより、赤血球の沈降が進行することによって生じる血漿層が電極12,12に達するまでの時間をより遅くして、より長時間、血液試料の電気的特性の測定に影響しないようにすることができる。一方、電極の対向面S,Sが赤血球の沈降方向と交わる方向に沿って形成されている場合、試料収容空間11の上方に配置された一の対向面Sが血液試料の実質的な最上面となり、赤血球の沈降による電気的特性の測定への影響をより早く受けてしまうおそれがある。
<警告発生部>
警告発生部2は、血液試料の測定中に血液試料における赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えた場合に警告信号を発する。「赤血球沈降速度」とは、血漿中を赤血球が沈降していく速度であり、「赤沈」や「血沈」とも呼ばれるものである。
本開示において、赤血球沈降速度に対する予め定められた基準とは、例えば、健常者由来の血液試料において測定される赤血球沈降速度に基づき決定することもできる。即ち、赤血球沈降速度が予め定められた基準を超える、とは、赤血球の沈降が健常者由来の血液試料に比べて速いことを意味する。また、上述した測定部1aにおける電気的特性の測定が適切に実施できる範囲の赤血球沈降速度の上限値を基準とすることもできる。
警告発生部2の構成は、赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えた場合に、警告信号を発せられるように構成されている限り特に限定されず、自由に設計することができる。例えば、警告発生部2をメモリやCPU等を備える汎用コンピュータで構成することもできる。
警告発生部2は、後述する電気的特性に基づいて赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えているか否か判定する場合には、例えば、測定部1aによる電気的特性の測定開始後、電気的特性の測定値等を連続的に取得してもよい。また、例えば、警告発生部2が、赤血球沈降速度の判定のために、測定開始後の所定の時点での測定結果を用いる場合には、警告発生部2は、測定開始後の所定の時点の電気的特性の測定値のみを取得してもよい。
<第1警告提示部>
第1警告提示部31は、警告信号に基づき血液試料の測定中に警告を提示する。第1警告提示部31は、警告信号に基づき、ユーザに向けて警告を提示する機能を備える限り、その構成は特に限定されず、自由に設計することができる。例えば、第1警告提示部31として、ディスプレイやプリンタ、スピーカー、照明等を採用することができる。また、例えば、第1警告提示部31には、携帯電話やスマートフォンなどのモバイル機器へ向けて、警告信号が発生したことを知らせるための電子メール等を送信するための通信機能を備える装置を採用することもできる。さらに、第1警告提示部31は、上述した機器類が組み合わせられていてもよい。
「警告の提示」は、例えば、文字や図形等をディスプレイに表示することや、プリンタで印字することにより行うことができる。この他、照明等を点灯したり、点滅したりすることにより、ユーザへ警告を示してもよい。さらに、ユーザへ警告を知らせるために、「警告の提示」として、警告音などを発してもよい。また、携帯電話やスマートフォンなどのモバイル機器への電子メール等の送信をユーザへの警告とすることもできる。「警告の提示」については、上述した、ユーザが警告信号の発生を認識することができるものが組み合わせられていてもよい。
<表示部>
表示部4は、測定部1aによって測定された電気的特性等を表示するための構成である。表示部4は、電気的特性の測定結果等を表示できれば、その構成は特に限定されない。表示部4には、例えばディスプレイやプリンタ等を採用することができる。
<記憶部>
記憶部5には、測定部1aによって測定されて電気的特性の測定結果等を保存するための構成である。また、電気的特性測定装置D1の動作プログラムなどが保存されていてもよい。記憶部5については、公知の記憶媒体の中から、電気的特性測定装置D1の構造等に合わせて適宜選択することができる。記憶媒体としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等が挙げられる。
電気的特性測定装置D1には、この他、電気的特性測定装置D1全体を制御するための制御部や、ユーザが電気的特性測定装置D1の動作プログラム等を入力する入力部などを設けることもできる(図1において、制御部及び入力部は不図示)。また、電気的特性測定装置D1全体を制御するための制御部にメモリやCPU等を備える汎用コンピュータを採用した場合には、上述した警告発生部2と制御部とを1台の汎用コンピュータで構成することもできる。
<動作>
以下、上述した電気的特性測定装置D1における測定部1a、警告発生部2及び第1警告提示部31の動作について説明する。図3は、電気的特性測定装置D1の動作を示す模式図である。
電気的特性測定装置D1では、先ず、測定部1aによる血液試料の電気的特性の測定が開始される(図3A参照)。また、後述するように、警告発生部2が血液試料の電気的特性に基づき、赤血球沈降速度と予め定められた基準と比較する場合には、警告発生部2は、測定部1aによる電気的特性の測定結果を、連続的、一定間隔、又は測定開始後の所定の時点で取得してもよい(図3A、矢印X2参照)。
血液試料における電気的特性の測定開始後、赤血球沈降速度について予め定められた基準を超えると、警告発生部2は警告信号を発する(図3B、矢印X3参照)。本実施形態に係る電気的特性測定装置D1は、第1警告提示部31を有しているため、第1警告提示部31は、警告発生部2から発せられた信号に基づき警告を提示する(図3C参照)。
また、例えば、電気的特性測定装置D1に複数の測定部1aが設けられ、同時に複数の血液試料を測定している場合には、赤血球沈降速度について予め定められた基準を超えた血液試料の番号やサンプル名、ID等が、警告と併せて提示されてもよい。なお、警告が提示される期間は、特に限定されない。例えば、警告の提示は、予め定められた期間継続していてもよく、血液試料の測定が終了するまで継続していてもよい。
警告発生部2による、赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えているか否かの判定は、赤血球沈降速度を評価可能ないずれの指標に基づいても行うことができる。また、警告発生部2は、血液試料を測定して得られる電気的特性に基づき、赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えているか否かの判定を行うことが好ましい。判定に、測定部1aが測定する電気的特性を用いることで、赤血球沈降速度を測定するための構成を、電気的特性測定装置D1に別に設ける必要がなく、装置の大きさを抑えることができる。
警告発生部2は、上述した電気的特性として、一又は複数の、特定の周波数における誘電率を用いることもできる。また、周波数は、測定部1aの構成や血液試料の特性、血液試料の解析目的等に応じて、適宜設定できる。さらに、上記誘電率は、測定部1aの構成等に応じて、誘電スペクトルとして測定されるものであってもよい。
以下、警告発生部2における、電気的特性に基づく赤血球沈降速度の判定について、誘電率を用いる場合を例に説明する。なお、赤血球沈降速度の判定に用いられる誘電率は、例えば、測定部1aよる電気的特性の測定開始後の、予め定められた時点において測定された値等で規格化された誘電率であってもよい。
例えば、警告発生部2は、上記誘電率として、血液試料の測定開始後の、特定の時点で測定される誘電率を用いることができる。この場合、警告発生部2は、特定の時点で測定される誘電率と予め設定されている閾値とを比較して、血液試料における赤血球沈降速度が、予め定められた基準を超えているか否かの判定を行うことができる。
なお、警告発生部2が用いる閾値については、例えば、予め、赤血球沈降速度が正常値の範囲内であることが確認されている血液試料の電気的特性を測定し、得られた測定結果から具体的な値を決定してもよい。この他、測定部1aにおいて適切に測定できることが確認されている血液試料を用いて電気的特性を測定し、得られた測定結果から具体的な値を決定してもよい。
警告発生部2は、上記誘電率として、互いに異なる周波数における、複数の誘電率を用いることもできる。この場合、警告発生部2は、複数の誘電率の関係に基づき、血液試料における赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定することができる。
複数の誘電率の関係を示すものについては、複数の誘電率の関係を示し、かつ、赤血球沈降速度を評価可能であれば、誘電率から算出されるいずれの値を採用することもできる。複数の誘電率の関係を示すものの具体例としては、例えば、差分や比率等が挙げられる。また、上記差分を赤血球沈降速度の判定に用いる場合、警告発生部2は、差分と予め設定した閾値とを比較して、血液試料における赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えているか否かの判定を行うことができる。
赤血球沈降速度の判定に誘電率を用いる場合、上述したように、測定開始後の特定の時点における測定値や当該測定値に基づく値を用いることもできるが、誘電率の経時変化から得られる値を用いることもできる。即ち、警告発生部2は、誘電率の経時変化に基づき、赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定することもできる。
例えば、警告発生部2は、特定の周波数における、互いに測定時刻の異なる2つの時点で得られる誘電率の差分を算出して、当該差分に基づき赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定することもできる。この場合、例えば、2つの時点における誘電率の差分が予め定められた閾値以上となり、かつ、2つの時点における誘電率の間で、正負が変わった場合に、赤血球沈降速度が基準より速いと判定することもできる。
さらに、警告発生部2は、誘電率の一定時間当たりの増減に基づき、赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定することもできる。誘電率の一定時間当たりの増減を示すものについては、誘電率の単位時間当たりの増減を示し、かつ、赤血球沈降速度を評価可能であれば、誘電率から算出されるいずれの値を採用することもできる。
誘電率の一定時間当たりの増減は、例えば、誘電率の経時変化を示すグラフにおける接線の傾きや、当該傾きから算出される値とすることもできる。この場合、例えば、警告発生部2は、誘電率の経時変化における最大の傾きと最小の傾きとの関係に基づき、血液試料における赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えているか否かの判定を行うこともできる。また、最大の傾きと最小の傾きとの関係とは、例えば、差分や比率等とすることができる。
上述した警告発生部2による赤血球沈降速度の判定では、測定部1aが複素誘電スペクトルを測定している場合、判定に用いる誘電率は、実数部であってもよく、虚数部であってもよく、限定されない。また、警告発生部2が、閾値に対して小さくなった場合に赤血球沈降速度が基準より速いと判定するか、又は閾値に対して大きくなった場合に赤血球沈降速度が基準より速いと判定するか、については、各種条件に応じて適宜設定できる。このような条件とは、例えば、設定される周波数、評価に用いる具体的値、誘電率が実数部であるか又は虚数部であるか、などである。
上述した血液試料の電気的特性の測定と、警告信号の発生は、電気的特性を測定する機能と、赤血球沈降速度が予め定められた基準を超える場合に警告信号を発する機能と、を実現するためのプログラムを作成し、電気的特性測定装置D1の測定部1及び警告発生部2に実装することにより、測定部1a及び警告発生部2に実施させることができる。
本実施形態に係る電気的特性測定装置では、血液試料の電気的特性の測定において、赤血球沈降速度が予め定めら基準を超える場合には、警告発生部から警告信号が発せられる。そして、第1警告提示部は、信号に基づき警告を提示する。このため、本実施形態に係る電気的特性測定装置を用いた血液試料の測定では、赤血球沈降速度が想定を超える血液試料を測定した場合に、第1警告提示部からの警告によって、ユーザは、血液試料の赤血球沈降速度が想定を超えていることを認識することができる。この結果、赤血球沈降速度が想定を超えている血液試料において測定された電気的特性の測定結果を、ユーザが誤って適切な測定条件において測定されたデータと認識することが防止される。このように、本実施形態に係る電気的特性測定装置においては、血液試料の電気的特性を精度高く測定することができる。
2.第1実施形態の変形実施形態
図4に、第1実施形態の変形実施形態に係る電気的特性測定装置D11の動作を模式的に示す。電気的特性測定装置D11は、測定部1b以外の構成については、上述した第1実施形態に係る電気的特性測定装置D1と同一である。このため、測定部1b以外の構成について、その説明は省略する。
電気的特性測定装置D11において、測定部1bによる血液試料の電気的特性の測定を開始する。本実施形態においても、警告発生部2は、血液試料における赤血球沈降速度を判定するために、測定値等を取得してもよい(図4A、矢印X4)。そして、血液試料における赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えた場合、警告発生部2は警告信号を発する。測定部1bは、当該警告信号に基づき、測定部1bにおける血液試料の測定を停止する(図4B)。
本実施形態にかかる電気的特性測定装置では、警告発生部から発せられた警告信号に基づき、測定部が血液試料の測定を停止する。例えば、複数の血液試料の電気的特性を測定する場合には、適切な状態において電気的特性を測定することが困難な血液試料の測定を停止することにより、次の血液試料の測定を開始することができる。このため、本実施形態に係る電気的特性測定装置においては、複数の血液試料をより効率的に測定することができる。上記以外の構成及びその効果は上述した第1実施形態に係る電気的特性測定装置と同様である。
3.第2実施形態
図5に本開示の第2実施形態に係る電気的特性測定装置の構成を模式的に示す。図中、符号D2で示す電気的特性測定装置は、第2警告提示部32を有する。また上述した第1実施形態に係る電気的特性測定装置D1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
<第2警告提示部>
第2警告提示部32は、電気的特性を測定して得られたデータについて、測定中に発生した警告信号の有無を提示する。警告信号の有無については、例えば、警告発生部2が警告信号を発した場合にログを作成することで、そのログを参照することにより、第2警告提示部32は、電気的特性の測定中に発生した警告信号の有無を提示することができる。
第2警告提示部32は、ユーザに対して警告信号の有無を提示できる限り、その構成は特に限定されない。第2警告提示部32には、例えば、ディスプレイ、プリンタ、照明、スピーカー等を採用することができる。
第2警告提示部32にディスプレイを採用した場合、例えば、データ7の測定時に警告発生部2から警告信号が発せられていた場合には、表示部4にデータ7を表示したときに、第2警告提示部32が警告321等を表示することにより、測定中の警告信号の有無を提示することができる(図6A)。また、例えば、第2警告提示部32は、データのリスト322を表示して、各々のデータについて警告信号の発生の有無を示すこともできる(図6B)。
さらに、表示部4と第2警告提示部32とを1台のディスプレイにより構成し、データ7を参照するときに、当該データを取得した血液検体の測定中に警告信号が発せられた場合には、画面の一部に警告321を表示し、警告発生部2による警告信号の発生の有無を提示してもよい(図6C)。また、例えば、上記ディスプレイにおいて複数のデータ7を同時に参照する場合においては、測定中に警告信号が発せられたデータ7に対しては、データ7と併せて警告321が表示させるように構成してもよい。
なお、第2警告提示部32は、上述した第1警告提示部31と共に、電気的特性測定装置に設けることもできる。即ち、第2警告提示部32は、上述した第1実施形態に係る電気的特性測定装置D1や第1実施形態の変形実施形態に係る電気的特性測定装置D11に備えられていてもよい。
本実施形態にかかる電気的特性測定装置では、第2警告提示部を有することにより、血液試料の電気的特性の測定後に、ユーザは、得られたデータの測定中の警告信号の有無を確認することができる。このため、赤血球沈降速度が想定を超えている血液試料において測定された電気的特性の測定結果を、ユーザが誤って適切な測定条件において測定されたデータと認識することが防止され、血液試料の電気的特性の測定を精度高く行うことができる。
また、ユーザは血液試料の測定後においても警告信号の有無を確認することができため、より確実に適切な測定条件において測定されたデータと不適切な測定条件において測定されたデータとを区別することができる。上記以外の構成及びその効果は上述した第1実施形態に係る電気的特性測定装置D1と同様である。
なお、上記に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
本開示は、以下のような構成もとることができる。
(1)血液試料の電気的特性を測定する測定部と、前記血液試料の測定中に前記血液試料における赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えた場合に警告信号を発する警告発生部と、を備える電気的特性測定装置。
(2)前記警告発生部は前記血液試料を測定して得られる電気的特性に基づき前記赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定する上記(1)に記載の電気的特性測定装置。
(3)前記警告発生部は前記電気的特性として一又は複数の、特定の周波数における誘電率を用いる上記(2)に記載の電気的特性測定装置。
(4)前記警告発生部は前記誘電率として前記血液試料の測定開始後の、特定の時点で測定される誘電率を用いる上記(3)に記載の電気的特性測定装置。
(5)前記警告発生部は前記誘電率として互いに異なる周波数における複数の誘電率を用い、前記複数の誘電率の関係に基づき前記赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定する上記(4)に記載の電気的特性測定装置。
(6)前記警告発生部は前記誘電率の経時変化に基づき前記赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定する上記(3)に記載の電気的特性測定装置。
(7)前記警告発生部は前記誘電率の一定時間当たりの増減に基づき前記赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定する上記(6)に記載の電気的特性測定装置。
(8)前記測定部は前記血液試料と接触する位置に少なくとも一対の電極を有する上記(1)〜(7)のいずれかに記載の電気的特性測定装置。
(9)前記一対の電極は互いに対向して配設され、前記電極の互いに対向する面は前記血液試料内の赤血球の沈降する方向に沿う上記(8)に記載の電気的特性測定装置。
(10)前記警告信号に基づき前記血液試料の測定中に警告を提示する第1警告提示部を有する上記(1)〜(9)のいずれかに記載の電気的特性測定装置。
(11)前記測定部は前記警告信号に基づき前記血液試料の測定を停止する上記(1)〜(10)のいずれかに記載の電気的特性測定装置。
(12)前記電気的特性を測定して得られたデータについて測定中に発生した前記警告信号の有無を提示する第2警告提示部を有する上記(1)〜(11)のいずれかに記載の電気的特性測定装置。
(13)血液試料の電気的特性を測定する測定機能と、前記血液試料の測定中に前記血液試料における赤血球沈降速度が予め定められた基準を超える場合に警告信号を発する警告発生機能と、を、コンピュータに実現させるためのプログラム。
1.実験例1
本実験例では、血液検体を測定して得られる電気的特性において、赤血球沈降速度が速い血液検体に特徴的な変化が見られるか検証した。
<材料及び方法>
本実験例では、予め赤血球沈降速度が健常者に比べて速いと判定されている血液と、正常な血液と、線溶系が亢進している血液を用いた。線溶系が亢進している血液については、線溶系を促進する組織プラスミノーゲンアクチベーターを加えて、擬似的に線溶系が亢進した血液を調整した。
各血液は、静脈から採取された後、予め抗凝固剤であるクエン酸ナトリウムが備えられた真空採血管に回収した。その後、各血液検体に所定量の塩化カルシウム水溶液を添加し、血液試料中の血液凝固反応を再開させて、各血液試料の誘電スペクトルを測定した。また、測定温度は37℃とした。
<結果>
本実験例の結果を図7〜9に示す。図7Aは、健常者由来の血液試料における誘電スペクトルを示し、図7Bは、図7Aに示す誘電スペクトルのうち、各周波数における誘電率の経時変化を示す。図8Aは、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料における誘電スペクトルを示し、図8Bは、Aに示す誘電スペクトルのうち、各周波数における誘電率の経時変化を示す。図9Aは、線溶系が亢進している血液試料における誘電スペクトルを示し、図9Bは、図9Aに示す誘電スペクトルのうち、各周波数における誘電率の経時変化を示す。
本実験例の結果から、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料の誘電スペクトルは、健常者の誘電スペクトルと比べたときに特徴的な差異が認められた。また、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料の誘電スペクトルは、線溶系が亢進している血液試料の誘電スペクトルと比べたときにも特徴的な変化が認められた。従って、誘電スペクトルに基づき、血液試料の赤血球沈降速度の速さを評価できることが確認された。
2.実験例2
本実験例では誘電率に基づき、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料を判定できるか検証した。
<材料と方法>
本実験例では、健常者由来の血液試料を3検体、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料を3検体、線溶系が亢進している血液検体を5検体用いた。誘電スペクトルの測定は、上述した実験例1と同様に行った。
<結果>
本実験例の結果を図10に示す。図10Aの縦軸は、規格化(Normalized)された1MHzにおける誘電率を示し、横軸は測定開始後の経過した時間(分)を示す。また、規格化は、塩化カルシウム水溶液の血液試料中への添加による血液凝固反応の再開後1分の測定値に基づき行った。
図10Bの縦軸は、測定開始後1分の、1MHzにおける誘電率を示す。図10Bの横軸は、赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否かのフラグを示し、基準を超えたものを「1」とし、基準に満たなかったものを「0」とする2値で示す。
図10Aに示すように、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料(図10A、「Sedimented」)では、規格化された誘電率が測定中に0.95未満となった。そして、図10Bに示すように、「0.95」を閾値として用い、規格化された誘電率が0.95未満となった血液検体に「1」を付すことにより、血液検体を赤血球沈降速度が健常者に比べて速いものと、それ以外との2群に分けることができた。
なお、図10Aに示すように、健常者由来の血液試料(図10A、「Normal」)及び線溶系が亢進した血液試料(図10A、「Fibrinolysis」)では、各々、規格化された誘電率は、測定開始から60分後の終了まで、「1」を下回らなかった。従って、閾値は、0.95に限定されるものではなく、0.95〜1の間のいずれかの値に設定すれば、図10Bに示す判定結果と同様の結果を得ることができる。
本実験例の結果から、誘電率又は規格化した誘電率に対して閾値を設けることにより、健常者由来の血液試料及び線溶系が亢進した血液試料に対して、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料を区別することができることが明らかとなった。即ち、誘電率又は誘電率に基づき得られる値と、閾値とを比較することにより、予め想定している赤血球沈降速度より速く赤血球が沈降する血液試料であるか否か判定できることが示された。
3.実験例3
本実験例では、実験例2と同様に、誘電率に基づき、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料を判定できるか検証した。
<材料と方法>
本実験例は、実験例2と同様に行った。
<結果>
本実験例の結果を図11に示す。図11Aの縦軸は、規格化(Normalized)された5MHzにおける誘電率を示し、横軸は測定開始後の経過した時間(分)を示す。規格化は、実験例2と同様に、塩化カルシウム水溶液の血液試料中への添加による血液凝固反応の再開後1分の測定値に基づき行った。
また、図11Bの縦軸は、測定開始後1分間の誘電率(5MHz)における最大の傾きと最小の傾きとの差分を示し、横軸は、赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否かのフラグを示し、基準を超えたものを「1」とし、基準に満たなかったものを「0」とする2値で示す。
図11Bに示すように、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料(図11B、「Sedimented」)では、規格化された誘電率における最大の傾きと最小の傾きとの差分が0.007より大きくなった。そして、「0.007」を閾値として用い、上記差分が0.007を超えた血液検体に「1」を付すことにより、血液検体を赤血球沈降速度が健常者に比べて速いものと、それ以外との2群に分けることができた。
なお、図11Bに示すように、健常者由来の血液試料(図11B、「Normal」)及び線溶系が亢進した血液試料(図11B、「Fibrinolysis」)では、最大の傾きと最小の傾きとの差分は、「0.007」を超えず、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料では、上記差分は、「0.008」を超えていた。従って、閾値は、0.007に限定されるものではなく、0.007〜0.008の間のいずれかの値に設定すれば、図11Bに示す判定結果と同様の結果を得ることができる。
本実験例の結果から、誘電率又は規格化された誘電率の経時変化における最大の傾きと最小の傾きとの差分に対して閾値を設けることにより、健常者由来の血液試料及び線溶系が亢進した血液試料に対して、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料を区別することができることが明らかとなった。即ち、誘電率又は誘電率に基づき得られる値と、閾値とを比較することにより、予め想定している赤血球沈降速度より速く赤血球が沈降する血液試料であるか否か判定できることが示された。
4.実験例4
本実験例では、実験例2及び3と同様に、誘電率に基づき、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料を判定できるか検証した。
<材料と方法>
本実験例は、実験例2と同様に行った。
<結果>
本実験例の結果を図12に示す。図12Aの縦軸は、規格化(Normalized)された10MHzにおける誘電率と10kHzにおける誘電率の差分を示し、横軸は測定開始後の経過した時間(分)を示す。規格化は、実験例2と同様に、塩化カルシウム水溶液の血液試料中への添加による血液凝固反応の再開後1分の測定値に基づき行った。
また、図12Bの縦軸は、測定開始後1分の、10MHzにおける誘電率を示し、横軸は、赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否かのフラグを示し、基準を超えたものを「1」とし、基準に満たなかったものを「0」とする、2値で示す。
図12Aに示すように、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料(図12A、「Sedimented」)では、10MHzにおける規格化された誘電率と、10kHzにおける規格化された誘電率と、の差分が−0.1より小さくなった。そして、図12Bに示すように、上記差分が−0.1より小さくなった血液検体に「1」を付すことにより、血液検体を赤血球沈降速度が健常者に比べて速いものと、それ以外との2群に分けることができた。
本実験例の結果から、ある周波数と他の周波数の各々における誘電率又は規格化された周波数の差分を算出し、前記差分に対して閾値を設けることにより、健常者由来の血液試料(図12B、「Normal」)及び線溶系が亢進した血液試料(図12B、「Fibrinolysis」)に対して、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料を区別することができることが明らかとなった。即ち、誘電率又は誘電率に基づき得られる値と、閾値とを比較することにより、予め想定している赤血球沈降速度より速く赤血球が沈降する血液試料であるか否か判定できることが示された。
5.実験例5
本実験例では、複素誘電スペクトルの虚数部についても、誘電スペクトルに基づき、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料を判定できるか検証した。
<材料と方法>
本実験例では、健常者由来の血液試料を1検体、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料を1検体、線溶系が亢進している血液検体を3検体用いた。誘電スペクトルの測定は、上述した実験例1と同様に行った。
<結果>
本実験例の結果を図13に示す。図13Aの縦軸は10MHzにおける実数部の誘電率を示し、横軸は、測定開始後の経過時間を示す。一方、図13Bの縦軸は、10MHzにおける虚数部の誘電率を示し、横軸は、測定開始後の経過時間を示す。
図13A及び図13Bに示すように、健常者由来の血液試料における誘電率は、測定開始後の時間経過と共に、誘電率が上昇又は下降し、ピークに達すると緩やかに上昇又は下降するような曲線が得られた。一方、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料(血沈異常サンプル)における誘電率は、上昇又は下降の途中で急激に正負を逆転する方向へ変化していた。また、線溶系が亢進している血液試料では、血液凝固反応がある程度進んだところで線溶系が機能し始めて、凝固した血液が再び溶解する。このため、誘電率においても、上昇や下降の途中で正負を逆転する方向へ変化する曲線が得られた。しかし、この変化は赤血球沈降速度が速い血液検体に比べて緩やかであった。
本実験例の結果から、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料の誘電スペクトルは、実数部に限らず虚数部においても、健常者の誘電スペクトルと比べたときに特徴的な変化が認められた。また、虚数部について、線溶系が亢進している血液試料の誘電スペクトルと比較したときにも、赤血球沈降速度が健常者に比べて速い血液試料における誘電率の経時変化においては、特徴的な変化が認められた。従って、実数部と虚数部のいずれにおいても、誘電スペクトルに基づき、血液試料の赤血球沈降速度の速さを評価できることが確認された。
D1,D11,D2:電気的特性測定装置
S1,S2:対向面
1a,1b:測定部
11:試料収容空間
12:電極
2:警告発生部
31:第1警告提示部
32:第2警告提示部
321:警告
322:リスト
4:表示部
5:記憶部
6:印加部
7:データ

Claims (13)

  1. 血液試料の電気的特性を測定する測定部と、
    前記血液試料の測定中に前記血液試料における赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えた場合に警告信号を発する警告発生部と、
    を備える電気的特性測定装置。
  2. 前記警告発生部は前記血液試料を測定して得られる電気的特性に基づき前記赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定する
    請求項1に記載の電気的特性測定装置。
  3. 前記警告発生部は前記電気的特性として一又は複数の、特定の周波数における誘電率を用いる
    請求項2に記載の電気的特性測定装置。
  4. 前記警告発生部は前記誘電率として前記血液試料の測定開始後の、特定の時点で測定される誘電率を用いる
    請求項3に記載の電気的特性測定装置。
  5. 前記警告発生部は前記誘電率として互いに異なる周波数における複数の誘電率を用い、前記複数の誘電率の関係に基づき前記赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定する
    請求項4に記載の電気的特性測定装置。
  6. 前記警告発生部は前記誘電率の経時変化に基づき前記赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定する
    請求項3に記載の電気的特性測定装置。
  7. 前記警告発生部は前記誘電率の一定時間当たりの増減に基づき前記赤血球沈降速度が予め定められた基準を超えるか否か判定する
    請求項6に記載の電気的特性測定装置。
  8. 前記測定部は前記血液試料と接触する位置に少なくとも一対の電極を有する
    請求項1に記載の電気的特性測定装置。
  9. 前記一対の電極は互いに対向して配設され、
    前記電極の互いに対向する面は前記血液試料内の赤血球の沈降する方向に沿う
    請求項8に記載の電気的特性測定装置。
  10. 前記警告信号に基づき前記血液試料の測定中に警告を提示する第1警告提示部を有する
    請求項1に記載の電気的特性測定装置。
  11. 前記測定部は前記警告信号に基づき前記血液試料の測定を停止する
    請求項1に記載の電気的特性測定装置。
  12. 前記電気的特性を測定して得られたデータについて測定中に発生した前記警告信号の有無を提示する第2警告提示部を有する
    請求項1に記載の電気的特性測定装置。
  13. 血液試料の電気的特性を測定する測定機能と、
    前記血液試料の測定中に前記血液試料における赤血球沈降速度が予め定められた基準を超える場合に警告信号を発する警告発生機能と、を、
    コンピュータに実現させるためのプログラム。
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