JP2016060771A - 帯電防止性積層シート - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性及び導電性に優れるとともに、基材シート(A)と導電性被覆層(B)との接着性が良好で、さらに耐擦傷性が高く、繰返しの負荷が掛かる条件下での使用においても帯電防止性能の低下を抑制することが可能な帯電防止性積層シートを提供する。【解決手段】帯電防止性積層シートを構成する導電性被覆層(B)を、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)をポリスチレンスルホン酸(PSS)の存在下で重合させた水分散性ポリチオフェン誘導体(PEDOT−PSS)溶液(b1)と、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)とを含む導電性被覆材(b12)を基材シート(A)の表面に被覆することによって形成するようにする。【選択図】なし
Description
本発明は、帯電防止性積層シートに関する。さらに詳しくは、基材シート(A)と導電性被覆層(B)とを備えた帯電防止性積層シートであって、透明性及び導電性に優れるとともに、基材シート(A)と導電性被覆層(B)との接着性が良好で、さらに耐擦傷性が高く、繰返しの負荷が掛かる条件下での使用においても帯電防止性能の低下を抑制することが可能な帯電防止性積層シートに関する。
電子部品、精密な電子機器用包装材、クリーンルーム用間仕切りカーテン等の帯電防止を要求される技術分野は多岐に亘っている。帯電防止材としては、イオン伝導タイプの、界面活性剤、金属塩、イオン性ポリマー等、また、電子伝導タイプの、金属酸化物、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、導電性高分子等がある。
帯電防止性を付与するためには、これらの帯電防止材の中でも、安価で透明性に優れた界面活性剤を成形品に練り込む又はコーティングする方法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。しかし、その導電機構がイオン伝導であるため、導電性の湿度依存性(湿度が高ければ高導電になるが、湿度が低いと導電性が低下する)があり、ブリードアウト、流出しやすい。従って、湿度が低く、静電気が発生しやすい環境下では帯電防止機能が低下する。
成形体を帯電防止処理する方法としては、電子伝導タイプのカーボンブラック等の導電剤を練り込んで導電性を付与する方法が行われている(例えば、特許文献2参照)。しかし、成形体のトリミング加工及びその後の過程で断面からカーボンブラックを含む粉が発生し易く、摩擦によるカーボンブラック粉が発生しやすい。また、包装用成形体にカーボンブラックを含有させると、透明性が失われ、全内容物を確認することができないため、透明性が要求される用途には適用することができない。
また、ITOのような金属酸化物は、透明性があり、電子伝導を導電機構とするため、その点においては適しているものの、その製膜にはスパッタリング装置等を用いた工程を採用せざるを得ず、工程が複雑になるばかりか製造コストが増大する。また、金属酸化物の塗膜は可撓性が小さく薄いフィルム基材上に製膜した場合には、塗膜が割れて導電性を示さなくなることがある、その上、有機質である基材との接着性が低いためにそれらの界面で剥離を生じて透明性が低下するおそれがあった。
また、電子伝導を導電機構とする有機材料として導電性(電子/正孔伝導性)高分子が知られている。その中でも、ポリピロール、ポリチオフェン等の複素環式共役系、ポリアニリン等の含ヘテロ原子共役系等が、帯電防止シート用材料として検討されている。
その中で、水溶性高分子にポリスチレンスルホン酸(PSS)を用い、導電性高分子モノマーに3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を用いた代表的導電性高分子材料である水分散ポリチオフェン誘導体(PEDOT−PSS)は大気中でも安定で、光の透過性も高いためプラスチック材料の帯電防止コーティングに幅広く用いられている(特許文献3、4参照)。
これまで、PEDOT−PSSフィルムの中でPEDOT分子とPSS分子との複合体は、どのような階層構造をしているか明確でなく(これまでは、長い紐状のPSS分子にPSS分子より短いPEDOT分子が貼りついているような構造が推測されていた)、フィルム作成方法によっては導電性が1,000倍も変わってしまう等、基礎的性質はほとんど明らかになっていなかった。
電気を流し易い高分子PEDOTにPSSを添加することで電気を流す担い手がPEDOTに供給される。PEDOT分子やPSS分子の基本骨格が同じにもかかわらず試料の作成方法が異なるだけで導電性が大きく異なることは複雑な階層構造を持つPEDOT−PSS構造が導電性を決定するのに重要な役割を果たしていることを意味する。(公益財団法人)高輝度光科学研究センター、東北大学、山梨大学の研究成果によれば、水に、PEDOT−PSSが分散している液状試料の場合、疎水性の(水との親和性が悪い)PEDOT分子が中心部に集まってナノサイズの核(コア)となり、親水性の(水との親和性が良い)PSS分子がそれを囲んでいる殻(シェル)となったつぶれた球体(回転楕円体)の塊(ミセル)構造(コアシェル構造)をしていることが報告されている(非特許文献1参照)。
さらに、上述の非特許文献1には、PEDOT−PSSのフィルム状の試料を極性分子(水、エタノール、エチレングリコール、DMF等)に浸すことで、PEDOTの結晶化度が向上し、結晶化度の向上に伴い伝導率が飛躍的に向上することが報告されている。PEDOT−PSS水溶液に極性溶媒であるエチレングリコールを添加していくと導電性がよくなるというテスト結果は、PEDOTの結晶化度向上に伴い伝導率が向上するという報告に対応している。
しかし、熱可塑性樹脂シートに帯電防止材としてPEDOT−PSS水溶液を被覆(コーティング)する場合、コアシェル構造のPSSと熱可塑性樹脂シートとの接着性が不十分で、初期には得られていた導電性が表面の摩擦等により導電性が急激に損なわれてくる。また、接着性の改善をするために、バインダー樹脂としてポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、スチレン系樹脂等が検討されているが導電性の表面摩擦による急激な低下を防ぐものはまだ得られていないのが現状である。
米国化学会2012年4月26発行(オンライン版):Macromolecules,2012,45(9)
本発明は、基材シート(A)と導電性被覆層(B)とを備えた帯電防止性積層シートであって、透明性及び導電性に優れるとともに、基材シート(A)と導電性被覆層(B)との接着性が良好で、さらに耐擦傷性が高く、繰返しの負荷が掛かる条件下での使用においても帯電防止性能の低下を抑制することが可能な帯電防止性積層シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の目的を達成するために、コアシェル構造になっているPEDOT−PSS水分散体のシェルを構成しているポリスチレンスルホン酸との強固な接着性、及び基材シート(A)を構成している熱可塑性シートとの優れた接着性を実現すべく鋭意検討した結果、導電性被覆層(B)に用いられるバインダー樹脂として、ポリウレタン樹脂の中で自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョンを選択することによって、それが熱可塑性シートとの接着強度を向上させるとともに、その極性がPEDOT−PSSの導電性能を向上させることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によって、以下の帯電防止性積層シートが提供される。
[1]熱可塑性樹脂(a)から構成された基材シート(A)と、前記基材シート(A)の少なくとも一方の表面に形成された、導電性高分子(b)から構成された少なくとも1層の導電性被覆層(B)と、を備えた帯電防止性積層シートであって、前記導電性被覆層(B)は、導電性高分子モノマーとしての3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を、水溶性高分子としてのポリスチレンスルホン酸(PSS)の存在下で重合させた、導電性高分子溶液としての水分散性ポリチオフェン誘導体(PEDOT−PSS)溶液(b1)と、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)と、を含む導電性被覆材(b12)を、前記基材シート(A)の表面に被覆することによって前記導電性高分子(b)として形成されたものであることを特徴とする帯電防止性積層シート。
[2]前記導電性被覆材(b12)に含まれる前記PEDOT−PSS溶液(b1)と前記自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)との固形分の比率((b1)の固形分:(b2)の固形分)は、100:10〜100:800の範囲にある前記[1]に記載の帯電防止性積層シート。
[3]前記導電性被覆材(b12)に含まれる前記PEDOT−PSS溶液(b1)と前記自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)との固形分の比率((b1)の固形分:(b2)の固形分)は、100:50〜100:150の範囲にある前記[1]に記載の帯電防止性積層シート。
[4]前記基材シート(A)を構成する前記熱可塑性樹脂(a)は、SP値が9〜11の範囲にある前記[1]〜[3]のいずれかに記載の帯電防止性積層シート。
[5]前記導電性被覆材(b12)に含まれる前記PEDOT−PSS溶液(b1)は、極性溶媒を含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載の帯電防止性積層シート。
[6]前記導電性被覆材(b12)に含まれる前記PEDOT−PSS溶液(b1)は、pHが5〜9に調整されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の帯電防止性積層シート。
本発明によって、透明性及び導電性に優れるとともに、基材シート(A)と導電性被覆層(B)との接着性が良好で、さらに耐擦傷性が高く、繰返しの負荷が掛かる条件下での使用においても帯電防止性能の低下を抑制することが可能な帯電防止性積層シートが提供される。
具体的に、本発明においては、導電性被覆層(B)に用いられる導電性被覆材(b12)中の高分子溶液をPEDOT−PSSに制限すると同時に、バインダーとして自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョンを使用することで、基材シート(A)との接着力を増大させることができ、さらにウレタン樹脂のウレタン結合やウレア結合という極性基は基材シート(A)との優れた接着性を実現することができる。またウレタン樹脂のウレタン結合やウレア結合という極性基はPSSとの接着性を向上させることができる。PSSと基材シートとの接着力が飛躍的に向上した結果、耐摩耗性(耐擦傷性)が高く、その結果繰返しの負荷が掛かる条件下での使用においても帯電防止性能の低下を抑制することができる。
また、極性の強いバインダーを使用することによりPEDOT分子の整列をより促進しPEDOT−PSSの電気伝導性を向上させ、導電性に優れた帯電防止シートを提供することができる。
本発明の1の実施の形態に係る帯電防止性積層シートは、熱可塑性樹脂(a)から構成された基材シート(A)と、前記基材シート(A)の少なくとも一方の表面に形成された、導電性高分子(b)から構成された少なくとも1層の導電性被覆層(B)と、を備えた帯電防止性積層シートであって、前記導電性被覆層(B)は、導電性高分子モノマーとしての3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を、水溶性高分子としてのポリスチレンスルホン酸(PSS)の存在下で重合させた、導電性高分子溶液としての水分散性ポリチオフェン誘導体(PEDOT−PSS)溶液(b1)と、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)と、を含む導電性被覆材(b12)を、前記基材シート(A)の表面に被覆することによって前記導電性高分子(b)として形成されたものであることを特徴とするものである。以下、構成要素ごとに具体的に説明する。
1.基材シート(A)
本実施の形態に用いられる基材シート(A)は熱可塑性樹脂(a)から構成されるが、熱可塑性樹脂(a)は、上述のように、接着性の観点から、SP値(溶解度パラメーター)が9〜11であることが好ましい。従って、熱可塑性樹脂(a)としては、例えば、ポリスチレン(9.12)、ポリメタクリル酸メチル(9.25)、ポリ酢酸ビニル(9.4)、ポリ塩化ビニル(9.6)、ポリカーボネート(9.8)、ポリエチレンテレフタレート(10.7)等を好適例として挙げることができる。なお、SP値は理論値である(SP値:出典;「プラスチック加工技術ハンドブック」)。
本実施の形態に用いられる基材シート(A)は熱可塑性樹脂(a)から構成されるが、熱可塑性樹脂(a)は、上述のように、接着性の観点から、SP値(溶解度パラメーター)が9〜11であることが好ましい。従って、熱可塑性樹脂(a)としては、例えば、ポリスチレン(9.12)、ポリメタクリル酸メチル(9.25)、ポリ酢酸ビニル(9.4)、ポリ塩化ビニル(9.6)、ポリカーボネート(9.8)、ポリエチレンテレフタレート(10.7)等を好適例として挙げることができる。なお、SP値は理論値である(SP値:出典;「プラスチック加工技術ハンドブック」)。
2.導電性被覆層(B)
本実施の形態に用いられる導電性被覆層(B)は、導電性高分子(b)から構成されたもので、具体的には、導電性高分子モノマーとしての3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を、水溶性高分子としてのポリスチレンスルホン酸(PSS)の存在下で重合させた、導電性高分子溶液としての水分散性ポリチオフェン誘導体(PEDOT−PSS)溶液(b1)と、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)と、を含む導電性被覆材(b12)を、基材シート(A)の表面に被覆することによって導電性高分子(b)として形成されたものである。
本実施の形態に用いられる導電性被覆層(B)は、導電性高分子(b)から構成されたもので、具体的には、導電性高分子モノマーとしての3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を、水溶性高分子としてのポリスチレンスルホン酸(PSS)の存在下で重合させた、導電性高分子溶液としての水分散性ポリチオフェン誘導体(PEDOT−PSS)溶液(b1)と、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)と、を含む導電性被覆材(b12)を、基材シート(A)の表面に被覆することによって導電性高分子(b)として形成されたものである。
導電性高分子は、一般的には、二重結合と単結合とが交互に並んだ構造、すなわちπ共役が発達した主鎖を持つことに特徴がある。本実施の形態で用いる導電性高分子(b)としては、π共役系導電性高分子を使用する。さらに、このπ共役系導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン等があるが、本実施の形態においては、大気環境において高分子自体が分解せず、最も安定な化合物であるポリチオフェン系である3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を使用する。
PEDOTは、水や溶媒に難溶のため、この導電性高分子を印刷プロセス等に適用しようとする場合には可溶化対策が必要である。本実施の形態においては、高分子電解質であるポリスチレンスルホン酸(PSS)をPEDOTに添加したPEDOT/PSS混合溶液(水分散性ポリチオフェン誘導体(PEDOT−PSS)溶液(b1))の形で使用される。PSSは、PEDOTの可溶化に寄与するのみならずPEDOTへのドーパントとしての機能性を有する。
本実施の形態においては、バインダーとして、コアシェル構造になっているPEDOT−PSS水分散体(水分散性ポリチオフェン誘導体(PEDOT−PSS)溶液(b1))のシェルを構成しているポリスチレンスルホン酸(PSS)との強固な接着性、及び基材シート(A)との接着性の向上を図るため、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)が用いられる。中でも、基材シート(A)が上述のような好ましい溶解度パラメータ(すなわち、9〜11のSP値)を有する場合、このようなSP値を有する基材シート(A)とのさらなる接着性の向上を図るため、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)は、バインダーとして溶解度パラメータ(SP値)が9〜11の範囲にあるものであることが好ましい。
PEDOT−PSS溶液(b1)及び自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)を含む導電性被覆材(b12)の、例えば、フィルム状試料を、水、エチレングリコール、エタノール等の極性分子に浸した後、基材シート(A)に被覆し再度乾燥することで、PEDOT分子の整列が促進され、導電性が向上した導電性高分子(b)を得ることができる。従って、導電性を向上させるためには、PEDOT−PSS用溶媒として、極性溶媒の中から適性を考慮して選択し使用することが好ましい。このような極性溶媒としては、例えば、水、エチレングリコール、エタノールを好適例として挙げることができる。
PEDOT−PSS溶液(b1)は、pHが低く酸性度が高いため、金属腐食や接触物の変色等の不具合を引き起こす。本実施の形態におけるPEDOT−PSS溶液(b1)をそのまま使用するとグラビア印刷機、特に印刷ユニット、ドクター周りの金属腐食を引き起こすため、それを防ぐためにpHを6〜9に調整することが好ましい。酸性度を調整するには、pH調整剤を用いて適宜行うことができる。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム等の強アルカリを使用することもできるが、安全性を考慮し、弱塩基の脂肪族アミン類、イミダゾール類、ピリジン類、金属アルコキシド類等が好ましい。脂肪族アミン類としては、例えば、エタノールアミン、イミダゾール類としては、例えば、イミダゾールが、取扱い、安全性の面から好ましい。
以下、本発明を、実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は、この実施例によって何ら制限を受けるものではない。
(実施例1)
3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)をポリスチレンスルホン酸(PSS)の存在下で重合させた導電性物質の水分散液に、エチレングリコール、エタノールを加え、固形分濃度0.95質量%の導電性複合体を含む溶液(以下、PEDOT−PSS溶液ということがある)を得、このPEDOT−PSS溶液にイミダゾールを添加してpH6.0の導電性高分子溶液を得た。pH調整されたPEDOT−PSS溶液に対し、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(三洋化成社製、商品名:ユーコートUWS−145)を固形分比率で100対100になるように添加し、コーティング材とした。ポリエチレンテレフタレート(PET)(厚さ:300μm、SP値:10.7)(ポリテック社製)を基材シートとし、メーターバー(Meter Bar)(松尾産業社製、バーNo.#1(ウエット塗布量:6μm))を用いてコーティングし、帯電防止性積層シートを得た。
(実施例1)
3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)をポリスチレンスルホン酸(PSS)の存在下で重合させた導電性物質の水分散液に、エチレングリコール、エタノールを加え、固形分濃度0.95質量%の導電性複合体を含む溶液(以下、PEDOT−PSS溶液ということがある)を得、このPEDOT−PSS溶液にイミダゾールを添加してpH6.0の導電性高分子溶液を得た。pH調整されたPEDOT−PSS溶液に対し、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(三洋化成社製、商品名:ユーコートUWS−145)を固形分比率で100対100になるように添加し、コーティング材とした。ポリエチレンテレフタレート(PET)(厚さ:300μm、SP値:10.7)(ポリテック社製)を基材シートとし、メーターバー(Meter Bar)(松尾産業社製、バーNo.#1(ウエット塗布量:6μm))を用いてコーティングし、帯電防止性積層シートを得た。
(実施例2〜7)
実施例1において、PEDOT−PSS溶液(b1)とバインダーとしての自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)との固形分比を表1に示すものに変えたこと以外は実施例1と同様にした。
実施例1において、PEDOT−PSS溶液(b1)とバインダーとしての自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)との固形分比を表1に示すものに変えたこと以外は実施例1と同様にした。
(比較例1)
実施例1において、PEDOT−PSS溶液にバインダーとしてポリエステル系樹脂(互応化学工業社製、商品名:プラスコートZ446)を使用したこと以外は実施例1と同様にした。
実施例1において、PEDOT−PSS溶液にバインダーとしてポリエステル系樹脂(互応化学工業社製、商品名:プラスコートZ446)を使用したこと以外は実施例1と同様にした。
(比較例2)
実施例1において、PEDOT−PSS溶液にバインダーとして水溶性ウレタン樹脂を使用したこと以外は実施例1と同様にした。
実施例1において、PEDOT−PSS溶液にバインダーとして水溶性ウレタン樹脂を使用したこと以外は実施例1と同様にした。
[評価]
実施例1〜7及び比較例1、2で得られた帯電防止性積層シートの特性を評価するため、初期表面抵抗率及び摩擦試験後表面抵抗率を測定した。測地結果を表1に示す(表1中の単位は、Ω/□である)。なお、摩擦試験方法は、学振型摩擦試験機を用い、100gの錘を用い、往復50回で測定した。また、表面抵抗率測定器として、三菱化学アナリテック社製、商品名:ハイレスタUX MCP−HT800を用いた。
実施例1〜7及び比較例1、2で得られた帯電防止性積層シートの特性を評価するため、初期表面抵抗率及び摩擦試験後表面抵抗率を測定した。測地結果を表1に示す(表1中の単位は、Ω/□である)。なお、摩擦試験方法は、学振型摩擦試験機を用い、100gの錘を用い、往復50回で測定した。また、表面抵抗率測定器として、三菱化学アナリテック社製、商品名:ハイレスタUX MCP−HT800を用いた。
表1から分かるように、実施例1〜7で得られた帯電防止性積層シートは、初期表面抵抗率に比較して摩擦試験後表面抵抗率は殆ど上昇していないが、比較例1、2で得られた帯電防止性積層シートは、摩擦試験後表面抵抗率が増大し、導電性を失っている。
本発明の帯電防止性積層シートは、帯電防止を要求される、電子部品、精密な電子機器用包装材、クリーンルーム用間仕切りカーテン等を製造、使用等する各種産業分野において有効に利用されることができる。
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂(a)から構成された基材シート(A)と、
前記基材シート(A)の少なくとも一方の表面に形成された、導電性高分子(b)から構成された少なくとも1層の導電性被覆層(B)と、を備えた帯電防止性積層シートであって、
前記導電性被覆層(B)は、導電性高分子モノマーとしての3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を、水溶性高分子としてのポリスチレンスルホン酸(PSS)の存在下で重合させた、導電性高分子溶液としての水分散性ポリチオフェン誘導体(PEDOT−PSS)溶液(b1)と、自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)と、を含む導電性被覆材(b12)を、前記基材シート(A)の表面に被覆することによって前記導電性高分子(b)として形成されたものであることを特徴とする帯電防止性積層シート。 - 前記導電性被覆材(b12)に含まれる前記PEDOT−PSS溶液(b1)と前記自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)との固形分の比率((b1)の固形分:(b2)の固形分)は、100:10〜100:800の範囲にある請求項1に記載の帯電防止性積層シート。
- 前記導電性被覆材(b12)に含まれる前記PEDOT−PSS溶液(b1)と前記自己乳化型ウレタン樹脂エマルジョン(b2)との固形分の比率((b1)の固形分:(b2)の固形分)は、100:50〜100:150の範囲にある請求項1に記載の帯電防止性積層シート。
- 前記基材シート(A)を構成する前記熱可塑性樹脂(a)は、SP値が9〜11の範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の帯電防止性積層シート。
- 前記導電性被覆材(b12)に含まれる前記PEDOT−PSS溶液(b1)は、極性溶媒を含む請求項1〜4のいずれかに記載の帯電防止性積層シート。
- 前記導電性被覆材(b12)に含まれる前記PEDOT−PSS溶液(b1)は、pHが5〜9に調整されている請求項1〜5のいずれかに記載の帯電防止性積層シート。
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