以下に本発明の実施の形態を遊技機たるスロットマシンを例に図面を参照しつつ説明する。なお、図1はスロットマシンの分解斜視図、図2は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの分解斜視図、図3はスロットマシンの斜視図、図4は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの縦断面図、図5は図4のZ1部拡大図、図6はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図4のZ1部拡大図、図7は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの横断面図、図8(a)は図7のZ2部拡大図、図8(b)はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図7のZ2部拡大図、図9は図8(a)の要部を示す拡大図、図10は背板側を示すスロットマシン要部の横断面図、図11はケース部材の分解斜視図、図12はケース部材を後ろから見た斜視図、図13(a),(b)はコネクタホルダーの仮止め状態を説明するケース部材の要部の斜視図、図14は配線中継部材の分解斜視図、図15は配線中継部材のカバー体を省略した正面図、図16,図17はコネクタホルダーの分解斜視図、図18はケース部材を止めるストッパの斜視図、図19は他の形態を示すストッパの斜視図、図20,図21はケース部材のガイド構造を示す要部の断面図、図22は把手の他の形態を示す図柄変動表示装置の部分斜視図、図23はケース部材と外本体側のストッパとの関係を示す要部の斜視図、図24は配線窓と図柄変動表示装置のリールとの関係を示す要部の断面図、図25はスロットマシン上部の縦断面図、図26はメダル放出装置を省略してスロットマシンの下半部を示す斜視図、図27は図26の分解斜視図、図28はスロットマシンの裏側から放熱口を見た背面図、図29は電源装置を示すスロットマシンの一部断面部分正面図、図30は電源装置を下から見上げた状態を示す斜視図、図31は他の形態を示すもので外本体の側板と電源装置の要部断面図、図32は他の形態を示す照明装置の概略断面図、図33は透明板と発光ユニットを分解して示す扉形前面部材の斜視図、図34は透明板を分解して示す扉形前面部材の斜視図
、図35は透明板を装着した扉形前面部材の図33A−A線相当断面図、図36はヒンジ金具の分解・組み立て斜視図、図37はヒンジ金具の連鎖を示す線図、図38は扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図39は開く途中の扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図40は扉形前面部材の上半部を示す裏側から見た斜視図、図41は連結具を縦方向に切断した断面斜視図、図42は他のヒンジ金具の例を示す扉形前面部材の要部横断平面図、図43は図42の扉形前面部材の開く途中を示す要部の横断平面図、図44は機種ユニットにおいて前面開閉部材を開いた状態を示す斜視図、図45は連結具を連結したまま扉形前面部材を開いた状態を示す斜視図である。
[1.スロットマシン]
本発明のスロットマシン1は、図1及び図2に示すように、前面が開口する箱形の外本体100と、該外本体100の前面に回転軸100aをもって横開きの扉状に回動可能に取り付けた扉形前面部材200と、複数の図柄を駆動手段で変動させる図柄変動表示装置300と、前記外本体100に対し着脱自在であって前面に開口部401を有するケース部材400と、任意の画像を表示する画像表示体500と、を有する。
[2.外本体]
外本体100は、図1〜図4に示したように底板101の左右に側板102,102を取着すると共に該側板102,102の頂部に天板103を設置して正面視縦長「口」字形の枠状となし、その枠の背に背板104を固着して前面のみ開口する箱形に形成してなる。前記左右の側板102,102は前縁が後傾状態に僅かに傾斜する台形になっており、従って外本体100の開口は後傾状態の傾きを有する。また、前記天板103には、遊技機設置島(図示せず)に設置した状態で該遊技機設置島の上桟600(図25想像線参照)と対向する領域内に複数(実施形態では4個)の貫通孔132,132…が穿設されている。
[2−1.外本体−仕切板]
外本体100内には高さのほぼ中央に棚板状の仕切板105が設けられている。該仕切板105は金属製であって、図1,図2に示したように中央に突段部106を有する正面視略凸形であり、両端に形成した垂直な取付片107を外本体100の側板102,102内面に固着し、また、後端に形成した垂直な取付片108を外本体100の背板104内面に固着して取り付けられる。なお、仕切板105の後端の取付片108にはバーリング加工(下孔の孔径をポンチで広げながら短筒状の突起を立ち上げる金属加工)による筒状突起(図示せず)が形成されており、該筒状突起を外本体100の背板104にプレ加工した小孔(図示せず)に打ち込んで位置決めされる。また、仕切板105の両横の最奥部には外本体100の背板104との間に配線用の開口109が形成されている。
[2−1−1.外本体−仕切板−下スペース]
外本体100内の前記仕切板105より下のスペースには、遊技媒体たるメダルを前記扉形前面部材200の前面下部にあるメダル用受皿201に放出するメダル放出装置110と、メダル放出装置110からオーバーフローするメダルを貯めるメダル用補助収納箱111と、電源装置112等が設けられている。
[2−1−1−1.外本体−仕切板−下スペース−メダル放出装置]
前記メダル放出装置110は、駆動手段を内蔵した装置本体110aにメダル貯留用のホッパ110bを取り付けたものであり、装置本体110aの前面にメダルの放出口110cが設けられていて、ホッパ110b内にあるメダルが前記駆動手段の作動により放出口110cに向けて1枚ずつ送り出される。また、ホッパ110bには溢れたメダルを排出させるオーバーフロー樋110dが設けてあり、そのオーバーフロー樋110dの突端下方に前記したメダル用補助収納箱111が臨む。なお、メダル放出装置110のメダル
放出機構は、現在公知のどのようなものを採用してもよく、よって詳細な説明を省略する。
[2−1−1−2.外本体−仕切板−下スペース−電源装置]
前記電源装置112は、図26〜図30に示したように、外本体100の底板101と、正面向かって左側の側板102と、背板104の三部材が直交する内側コーナー部分に取り付けられている。電源装置112は、前記メダル放出装置110等の電気部品に電気を供給するためのものであって発熱しやすい部品であり、従って外本体100の背板104には電源装置112の取付部位に放熱口104aが開設されている。
電源装置112の装置ケース112aは、透明な合成樹脂で形成されている。こうすることにより装置ケース112aの内部が見えるから、電源装置112の基板112s(図30参照)等に対する不正工作の発見が容易になる。装置ケース112aは、上面をカバーする上面板112bと、外本体100の背板104に対向する後面板112cと、該後面板112cの反対側をカバーする正面板112dと、スロットマシン1の内部に向かう側をカバーする側面板112eと、上面板112bと側面板112eの境界部分を面取り形態にカバーする斜面板112fと、底部をカバーする底面板112r(図30参照)で形成されている。一方、装置ケース112aの、外本体100の側板102に対向する側の面はカバーされておらず開放状態にあるが、この開放面は外本体100に取り付けた状態で外本体100の側板102によって塞がれる。
なお、外本体100の側板102には図26,図27に示したように凸面部102aを設けて段状のガード部102bを形成し、該ガード部102bの下に装置ケース112aの上面板112bの一側を潜り込ませる仕様になっている。これにより装置ケース112aの一面をカバーしなくてもガード部102bによって装置ケース112aと側板102の継ぎ目が塞がれるから異物の差込みが行えない。図31は前記ガード部102bを溝状にした他の実施形態を示すものであり、この例では装置ケース112aの上面板112bの縁を側板102側に若干突出させてその先をガード部102bの溝に嵌め込むようになっている。
このように電源装置112の装置ケース112aにおいて、外本体100の側板102に当接する側の面をカバー無しの開放構造にして使用時に前記側板102で塞がるようにした場合は、装置ケース112a内への基板112s等の組み込みが開放面を使って行い易く、また、装置ケース112aに基板112s等を組み込んだ後の開放面へのカバー付けが不要であるから作業性が向上する。
前記装置ケース112aの上面板112b、側面板112e、斜面板112f、後面板112c、底面板112rには多数の通気孔112g,112g…が形成されていて内部に熱がこもらないようになっている。装置ケース112aは、底部に設けた脚部112h,112h…によって高床式に持ち上げられており、装置ケース112aの底面板112rと外本体100の底板101の間に通気空間112iが形成されている。従って、通気空間112iから底面板112rの通気孔112g,112g…を通って低層の比較的冷たい空気が装置ケース112a内に導入できる。実施形態の通気空間112iは、外本体100の前記放熱口104aに連通するようになっているため、機裏の冷たい空気を通気空間112iに導入することができる。なお、装置ケース112aの後面板112cと底面板112rの境界部に前記通気空間112iを嵩上げする逆L字形の段部112j(図30参照)を形成すれば、脚部112hの高さと放熱口104aの高さにズレがあっても通気空間112iを放熱口104aに連通させることができる。
[2−1−1−2−1.外本体−仕切板−下スペース−電源装置−固定]
電源装置112は、装置ケース112aの正面板112dの一側辺に対して直角である取付片112kと、装置ケース112aの後面板112cから外本体100の背板104に向けて突設した突部112mと、外本体100の背板104に開設した放熱口104aと、の組み合わせにより外本体100に固定される。
すなわち、放熱口104aの輪郭は装置ケース112aの後面板112cの輪郭より小さく形成されており、従って電源装置112は外本体100の背板104に当たって放熱口104aを通らない。また、装置ケース112aの後面板112cに突設した突部112mは、前記放熱口104aに内接する位置にあり、電源装置112の浮き上がり動作に抗すべく放熱口104aの上辺に内接する水平な突片112m−1と、電源装置112の横転動作に抗すべく放熱口104aの縦辺に内接する垂直な突片112m−2で構成される。従って、電源装置112を外本体100の側板102の内面に沿わせて押し込み、放熱口104aに突部112mを差し込むだけで、装置ケース112aの後面(奥側)の上方向(浮き上がり)と図26において右方向(横転)への固定が完了する。もちろん電源装置112は、下方向に対しては外本体100の底板101によって、また、図26において左方向に対しては外本体100の側板102によってその動きが規制されるため、放熱口104aに突部112mを嵌め込むだけの単純な操作で、手前に引っ張る方向以外について電源装置112の動きが完全に規制できる。
一方、正面板112dに突設した取付片112kにはビス用の透孔112pが複数穿設されており、該透孔112pの少なくとも1個に木ねじ112qを通して外本体100の側板102に固定する。これにより手前に引っ張る方向についても電源装置112の動きが規制されるため、1本の木ねじ112qで外本体100への電源装置112の確実な固定が可能である。
[2−1−1−2−2.外本体−仕切板−下スペース−電源装置−電源コード]
電源装置112には外部から電気の供給を受けるための電源コード(図示せず)が接続されている。そして、従来は前記放熱口104aの横に膨出部を設けてそこから前記電源コードを引き出すようにしていたが、この位置では電源コードを束ねても地面にすれる危険性が高い。スロットマシン1は、製造途中で電源を投入する場合があり、そのときに備えて外本体100の外に電源コードを出しておかなければならないから、製造ライン上での移動の際やライン間での移動の際に電源コードが地面にすれたり、スロットマシン1の底板101の下に入って挟まるおそれがある。
これに対し実施形態の放熱口104aは、その上辺から上に向けてコード引出口104bを拡張し、そこから電源コードを引き出すようにしている。これにより束ねた電源コードを宙づり状態にぶら下げるに十分な高さが確保できる。よってスロットマシン1を製造する工程で誤って電源コードを傷めてしまうトラブルが激減する。
以上のように本発明のスロットマシン1は、電源装置112を外本体100の内側コーナー部分にセットして1本の木ねじ112qをねじ込むだけで取り付けが完了するため、従来に比べて電源装置112の取付作業の大幅な省力化が可能である。また、本発明では、1つの面に対してネジ止めすれば固定が完了するので、特に、固定する部位を電源装置112の前方(手前)に持ってきた場合は視認しやすく、確実に固定できる。ちなみに、従来は電源装置112の複数の面或は部材に対してネジ止めする必要があり、特に、背板104に固定するネジは視認しにくいため忘れる可能性があった。
また、放熱口104aは、電源装置112の冷却手段として必要なものであるから、この放熱口104aを電源装置112の固定に利用しても余分な工程やコストは殆ど発生しない。却って、固定のために放熱口104aの位置と電源装置112の位置を一致させる
ことになるから冷却効率が向上する。加えて、装置ケース112aを実施形態のごとく合成樹脂製にした場合には、取付用の突部112mも一体成形できるため殆どコストが掛からない。よって電源装置112の取り付けに要するトータルのコストも従来に比べて削減できる。
さらにまた、装置ケース112aを合成樹脂製にした場合には、電源装置112の発熱対策として有用な装置ケース112aの脚部112hや段部112jも殆どコストをかけずに実施できるメリットがある。
[2−1−2.外本体−仕切板−上スペース]
一方、外本体100内の仕切板105より上のスペースには前記ケース部材400が納められ、また、外本体100の背板104の内面には後述する配線手段の中核となる配線中継部材113が取り付けられ(図1,図2参照)、さらに背板104には配線中継部材113より上方に放熱用の通気口133が形成されている。
[3.扉形前面部材]
図3に扉形前面部材200の表側が、また、図1に扉形前面部材200の裏側が示されている。扉形前面部材200は、表側の下方にメダル用受皿201を有し、また、表側のほぼ中央に操作部202が設けられている。この操作部202には、メダル投入用の投入口203と、後述するメイン基板409のメモリにデータとして蓄えられているメダルから1枚のみの投入(引き落とし)を指示する1枚投入ボタン205と、同じく1回のゲームで使用可能な最高枚数(例えば3枚)の投入を指示するMAX投入ボタン206と、後述するメダルセレクタ207の中に詰まったメダルをメダル用受皿201に戻すためのメダル返却ボタン208と、メイン基板409のメモリにデータとして蓄えられているメダルの貯留解除命令(精算による放出命令)を入力するための貯留解除スイッチ209と、前記図柄変動表示装置300を作動させる始動レバー210と、図柄変動表示装置300の各リール301a,301b,301cを停止させる3個のリール停止ボタン211a,211b,211c等が設けられている。もちろんここに示した操作部202の構成は1つの例示であり、これらに限定されるものではない。また、本実施形態のスロットマシン1では、メダルの情報をメイン基板409以外のメモリ(例えば、演出制御基板510のRAM1122)に持たせるようにしてもよく、このようにした場合、演出制御基板510は、RAM1122にデータとして蓄えられているメダルから、メダルの投入や清算等を実行することができる。なお、始動レバー210は解決手段に記載の始動操作部に相当する。また、3個のリール停止ボタン211a,211b,211cは解決手段に記載の複数の停止操作部に相当する。
また、前記投入口203の裏側にはメダルセレクタ207が設けられており、そのメダルセレクタ207の横にメダル樋212が、また、下に返却樋213が接続している。メダルセレクタ207は内蔵したソレノイド(図示せず)をON・OFFさせることによって流路を切り替える公知のものであり、遊技者からのメダルの投入を待つ遊技状態のときには流路をメダル樋212側に、また、規定枚数を超えたメダルの投入など、メダルの投入を拒否する遊技状態のときには流路を返却樋213側に設定する。前記メダル樋212は、扉形前面部材200が外本体100の前面に被さる閉じ位置にあるときその突端がメダル放出装置110のホッパ110b内に臨むようになっており、投入口203からメダルセレクタ207を通ってメダル樋212に流れたメダルはホッパ110bに行き着く。一方、前記返却樋213は表側のメダル用受皿201に繋がっており、投入口203からメダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。
[3−1.扉形前面部材−透視窓]
扉形前面部材200は、外本体100の前面全体をカバーする大きさであって、その上半部は、図33,図34に示したように、透明板214aで覆ったゲーム用の透視窓214になっている。実施形態の透視窓214並びに透明板214aは、前記画像表示体500と図柄変動表示装置300が上下に並んで見えるよう通常より大きくなっており、扉形前面部材200と一体の額フレーム216によって画像表示体500と図柄変動表示装置300の領域が視覚上、上下に区画されている。このように一枚の透明板214aを、画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする大きさに設定しておけば、画像表示体500と図柄変動表示装置300の配置が上下入れ替わっても、そのまま使用することができる。
[3−1−1.扉形前面部材−透視窓−透明板]
透明板214aは、透明な合成樹脂(例えば耐衝撃性、耐擦傷性、光学特性に優れたゴム入りのメタクリル樹脂、実施形態では三菱レイヨン株式会社製「アクリペット(登録商標)IR D30」を使用)をほぼ逆さ台形にした上広がりの形態であって、底辺を除く三辺(左右側辺と上辺)の周縁に、遊技者と向かい合う側を前面としてその前面側に膨出する縁部材214b,214b,214bを、樹脂成型用型枠を用いての樹脂成型時に一体成型してなる。このように平らな板状の透明板214aの周縁に縁部材214bを一体に成型した場合には、縁部材214bが補強バーになって透明板214a全体の強度を高めるため、透明板214aが上記のように画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする程度に大きくても撓みや歪みが生じにくい。
前記縁部材214bは、図35に示したように、後面側に開口する殻構造(中実でなく、内部に空間がある殻のような構造であり、各部の肉厚は任意である。)になっており、その内部空間に発光ユニット217と、必要に応じて例えば表面に模様や文字を施した装飾部材(図示せず)が組み込まれる。
なお、図34では、発光ユニット217が扉形前面部材200に取り付けられているように描かれているが、実際の発光ユニット217は、図35に示したように縁部材214bの中に嵌め込まれている。従って、透明板214aと発光ユニット217は、一体の部品として取り扱われる。
縁部材214bの形状は図示したものに限定されず、発光ユニット217や装飾部材のデザインに合わせて任意に変更可能である。また、縁部材214bを設ける部位も実施形態のように透明板214aの周縁の三辺に限定されず、最低限、何れかの一辺に設けるだけでもよい。
その他、図33,図34において符号218は、透明板214aの上の左右コーナー部分に設けた固定部材であって、透明板214aの裏側から透孔214c(図33拡大図参照)に通したビス(図示せず)により、縁部材214bと縁部材214bの間に嵌った図34の状態で止められている。該固定部材218は、外見上コーナー飾りとしての役割を果たす一方、扉形前面部材200と透明板214aの夫々の上のコーナー部分に設けた通孔200a,214d(図33拡大図参照)に対し扉形前面部材200の裏側から通したビス(図示せず)に螺合し、もって透明板214aを扉形前面部材200に固定するナット的な役割を果たす。
また、図33〜図35において、符号217aは発光ユニット217の発光体、217bは発光体217aを支持する反射部材である。左右に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、図35に示したように、棒状の発光体217aの光をスロットマシン1の周囲に向けて多く反射するように角度が設定されている。なお、透明板214aの縁部材214bの内部に発光ユニット217を組み込んだ形態は、発光体217aをスロッ
トマシン1の、より手前側に配置することができるから、あたかも岬の突端にある灯台のごとく、光を周囲に向けて放射させる場合に有利である。また、上に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、発光体217a(光源217a−1と導光板217a−2の組み合わせ)の光をスロットマシン1の上方に向けて多く反射するように設定されている。
以上の構成である発光ユニット217は、遊技中、特に大当たりが出た場合などに点灯して大当たりの発生を周囲にアピールする演出を行うことができる。このように周囲に対しアピール度の高い演出を行うことによって、大当りを得た遊技者に注目させることができ、多くの者の視線が遊技者に優越感を抱かせるから、遊技がさらに盛り上がる。また、大当たりが出ていることを周囲にアピールすることにより、その機種の人気が高まり、稼働率が向上することも期待される。
実施形態の透明板214aは以上のような構成であって、扉形前面部材200の裏側に設けた凹溝219(図34拡大図参照)に対し、板状の底辺を扉形前面部材200の前面から斜めに差し入れて建具式に嵌め込み、その状態で透明板214aを直立させて扉形前面部材200の前面に全ての縁部材214b,214b,214bを当接させ、さらに扉形前面部材200の裏から通したビス603(図1参照)によって固定する。図35は、このときの扉形前面部材200の要部を切断したものであり、この図35から明らかなように、もし仮に、遊技者が扉形前面部材200と縁部材214bの境から異物を無理矢理差し込んだとしても、その異物の先が縁部材214bの内部を横断して透明板214aの裏側に到達する余地は殆どない。従って、優れた防犯効果を発揮する。
[3−2.扉形前面部材−錠装置]
扉形前面部材200の自由端側の一側には専用キー(図示せず)を使って開閉操作する錠装置215が設けてある。
[4.図柄変動表示装置]
図柄変動表示装置300はリール回転式表示装置であって、モータ等の駆動手段303で個別に回転可能な例えば3個のリール301a,301b,301cと、該リール301a,301b,301cを組込み・収容する装置ケース302とを有し、リール301a,301b,301cの周面に描いた複数の図柄(図示せず)の組み合わせで遊技を行う周知のものである。
前記装置ケース302は、あたかも横倒しにした八角柱から正面(遊技者)に向かう3面を除いた変形六角柱形態であって、底部板304と、天板部305と、図11において向かって右側の右側板306と、同じく左側の左側板307と、後面を覆う垂直な後部板308と、天板部305と後部板308の間に設けた上斜板309と、底部板304と後部板308の間に設けた下斜板310で囲った箱形であり、前記リール301a,301b,301cの円弧の一部が装置ケース302の正面からはみ出す状態になっている。
また、装置ケース302の天板部305には指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能な把手311が設けられており、該把手311に指を掛けて持ち運ぶようになっている。
このように装置ケース302の天板部305に上記のごとく変化可能な把手311を設ける構成は、ケース部材400の強度アップ策と密接に関連する。すなわち、実施形態では後述するようにケース部材400の開口部401に補強桟402を設け、もってケース部材400の開口部401に画像表示体500を片持ちさせるに十分な強度を付与しているが、そのような補強桟402は開口部401を横切るから装置ケース302のケース部
材400への出し入れに対し、明らかに障害となる。これに対し実施形態のように把手311を変化可能にして天板部305に伏させておけば、把手311の出っ張りがなくなるから、装置ケース302が補強桟402の下を難なく通過できるのである。従って、装置ケース302の天板部305に上記のように変化可能な把手311を設けてこそ、ケース部材400の開口部401に該開口部401を横切る向きの補強桟402を設けることが可能になる。ちなみに、従来の装置ケースは、天部板から把手が出っ張っていてそれが障害になるため、ケース部材の開口部に補強桟を設ける余地がない。
なお、実施形態の把手311は、立てた使用状態と伏した不使用状態とに揺動して変化させる構造としたが、把手311を使用状態と不使用状態とに変化させ得る構造は、実施形態に限定されない。例えば図22に示したように、天板部305に2つのベルト通し314,314を切り起こし、該ベルト通し314,314に例えば合成樹脂や革製であって両端に抜け止め部315,315を設けてなる帯状の把手311を挿通し、図22の伏した不使用状態から中央を引き上げて指掛可能な使用状態に変化させる構造にするなど、指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能であれば、どのような構造であってもよい。
また、実施形態の装置ケース302の底部板304には図4,図11に示したようにフランジ状の下把手316が突設されており、該下把手316をつかんで装置ケース302を押し込み又は引っ張ることにより、ケース部材400への出し入れが行い易くなっている。
[5.ケース部材]
ケース部材400は、前記外本体100の仕切板105から上のスペースにほぼ合致する大きさであって、底板403と、該底板403の左右両横に立設した側板404,404と、底板403の後縁に立設した後面板405と、該後面板405と前記側板404,404の上面を覆う天板406とからなり、前面に開口部401を有する箱形である。
該ケース部材400は、底板403が金属製で、側板404,404、後面板405、天板406が合成樹脂製であり、側板404,404と天板406の開口部401内面に金属製の補強部材407,407,407が設けられ、さらに側板404,404の補強部材407,407の間に開口部401を横切る金属製の補強桟402が掛け渡されている。そして、この補強桟402を境にそれより下が前記図柄変動表示装置300の設置領域として、また、補強桟402より上の開口部401が前記画像表示体500の設置領域として、さらにまた、画像表示体500より後方のケース部材400で囲われた領域が配線作業空間408として割り当てられ、その配線作業空間408の後面板405の内壁面に、主たる制御基板であるメイン基板409が装着され、さらにメイン基板409以外の制御基板等(例えば演出制御基板510(図44参))も配線作業空間408内に装着されている。
ケース部材400の天板406には、図1に示したように天窓部443,443が形成されている。この天窓部443,443は、天板406の強度を保つための補強帯444を挟んで2つに分けられており、その夫々が前記外本体100の貫通孔132,132…を通る軸線との交点を含む領域にあり、該貫通孔132,132…より十分に広く開口している。もっとも天窓部443の前側の周縁は前側に位置する貫通孔132の近くに寄せられている。そうすることにより天窓部443の周縁を基準として手探りで貫通孔132が見つけ出せるから、たとえ天窓部443の中を作業者が覗き込めなくとも貫通孔132の位置が素早く簡単に割り出せる。ここで、天窓部443が本発明の開口部としても機能している。つまり、ケース部材400の上面に開口部として複数の天窓部443を備えることにより、軽量化を図ることができ、輸送時や交換時における作業者の負担を一層軽減
することが可能になる。
ケース部材400の後面板405の外面には図2,図5,図6,図12に示したように複数のボス410,410が突設されており、該ボス410を外本体100の背板104にプレ加工したボス孔114,114に嵌めて位置決めされる。なお、このボス410,410は、図2,図5に示したように後述する配線窓411近くに設けられており、一方、外本体100側のボス孔114,114は前記配線中継部材113近くに設けられており、これによりケース部材400の配線窓411と背板104の配線中継部材113の位置決めが正確になる。
一方、ケース部材400の底板403の底面には、図2に示したように凹段部412が形成されており、該凹段部412が前記仕切板105の突段部106に嵌まり合う。凹段部412の後面板405側の端部には後方に向かって拡大する向きのテーパ部413が設けてあり、該テーパ部413に案内され仕切板105の突段部106とケース部材400の凹段部412との嵌め合わせが円滑に行える。このようにケース部材400の凹段部412と仕切板105の突段部106の嵌め合いによってケース部材400が仕切板105の奥に真っ直ぐに案内されるが、例えば図20に示したように仕切板105に凹溝形態のレール部材115を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の底板403に車輪414を設置し、該車輪414をレール部材115の溝内で転がらせるようにしてもよい。或は、図21に示したように仕切板105に凸形態のレール部材116を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の前記車輪414の両端に鍔415,415を形成し、該車輪414の鍔415,415でレール部材116を挟ませるようにしてもよい。
また、ケース部材400は、仕切板105上の所定の位置にセットした状態で、図1,図2,図18,図23に示した揺動レバー形態のストッパ117で止められている。このストッパ117は、図1,図2に示したように仕切板105の前端部と、天板103に垂設した2つの取付具118,118とに軸着されており、図18実線のようにケース部材400の一部に係合する作動姿勢と、図18想像線のようにケース部材400に係合しない非作動姿勢とを手動で切り替えてケース部材400の仕切板105上における前方向の動きを規制する。なお、ストッパ117を図19に示したように鍵形にしてケース部材400に設けた引掛部416に係合させるようにすれば、ケース部材400の仕切板105上における上方向の動きも規制することができる。
また、天板103の取付具118に軸着したストッパ117は、図23に示したようにケース部材400の側板404と天板406のコーナー部に貫設した係止孔442に臨む位置にあり、ケース部材400を所定の位置に押し込んだ状態でケース部材400の内側から作動姿勢と非作動姿勢の切り替えが行えるようになっている。
また、ケース部材400の後面板405には外本体100の背板104側に貫通する長孔形態の配線窓411が開設されている。該配線窓411は、図4,図5,図24に示したようにケース部材400に設置した図柄変動表示装置300の装置ケース302の上斜板309に対応し且つ前記メイン基板409の下側の位置にあり、上斜板309の上にある横長の空きスペース417(或は上斜板309とメイン基板409の間に形成される横長の三角スペース417と観念してもよい。)と背板104を結ぶ開口として機能する。
また、ケース部材400には図5,図12に示したように空きスペース417の高さのほぼ中間位置に棚板状の仮止め部材418(以下「仮止め棚」ともいう。)が設けられており、また、後面板405の外側であって配線窓411の両横にケース部材400の左右側面に抜ける配線通路たる凹み419,419が形成されている。
なお、前記配線窓411の配置を、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cを基準に特定するならば、配線窓411は、図24に示したように図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面HLと、リール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面HHとの間の範囲を下限とする状態、つまりその範囲内に下辺を置く高さに配置したものである、と言い換えることもできる。
[6.画像表示体]
画像表示体500は、例えば、少なくとも液晶ディスプレイ(他にもプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等でもよい。)で構成される画像表示可能なパネル形のユニットであり、ケース部材400の前面開口を開閉可能に閉鎖する前面開閉部材90(図44参照)としても機能している。なお、画像表示体500は、図11においてケース部材400の左側の側板404に設けた補強部材407にヒンジ金具420を取り付けて(取付位置は図11斜線部参照)、該ヒンジ金具420により回動自在に支持されている。
また、図44に示すように、画像表示体500の裏面側には、演出制御基板510が組付けられている。このため、液晶ディスプレイ等の画像表示体500と演出制御基板510とを一体的に構成することが可能になり、取り扱いが容易になるとともに、両者を繋ぐ配線が省略でき、ケース部材400内における配線作業空間408の煩雑さを抑制できる。また、画像表示体500が開かれると、演出制御基板510がケース部材400内から飛び出すように出現するため、演出制御基板510に対する作業性を著しく向上させることができる。
[6−1.画像表示体−ヒンジ金具]
図36は、ヒンジ金具420の分解・組み立て斜視図である。なお、ヒンジ金具420は、上下が対称な構造であるため、主として上部について説明する。ヒンジ金具420は、前記ケース部材400の補強部材407に取り付く固定部材420aと、画像表示体500の裏側(図36の破線領域500s参照)に取り付く回動部材420bと、該回動部材420bと固定部材420aを連結する短リンク420c及び長リンク420dで構成される。
ヒンジ金具420の固定部材420aは、棚板形態である横向きの固定片420eを有し、該固定片420eの上面に長リンク420dの一端をピンP1で、また、固定片420eの下面に短リンク420cの一端をピンP2で回動自在に軸着する。一方、ヒンジ金具420の回動部材420bは、棚板形態である横向きの軸承片420fを有し、該軸承片420fの上面に長リンク420dの一端をピンP3で、また、軸承片420fの下面に短リンク420cの一端をピンP4で回動自在に軸着する。
こうして固定片420eと軸承片420fと長リンク420dと短リンク420c及びピンP1〜P4は、図37の線図に示したように四節回転連鎖を構成し、その連鎖の中でも特に、最短リンクである軸承片420fに向かい合う固定片420eを固定リンクとする、いわゆる両てこ機構を構成する。この両てこ機構は、図37(a)〜(c)に示したように、画像表示体500の回動軌道を、扉形前面部材200の回転軸100aを中心とする回動軌道に近似させるべく、それぞれのピン位置が設定されている。つまり、ヒンジ金具420が回転中心移動機構として機能しており、扉形前面部材200の回動位置が変化しても、扉形前面部材200の回動外縁側と画像表示体500の回動外縁側との距離が略一定になるようにしている。
なお、長リンク420dと短リンク420cは、画像表示体500がほぼ90度回動し
た(開いた)状態で上下に重なり合うように重合領域420g,420hが設定されており(例えば長リンク420dの重合領域420gを三角形に膨出させて短リンク420cの重合領域420hに重なるようにする。)、その重合領域420g,420hの夫々にピン孔420i,420jが形成されている。このピン孔420i,420jは、両者を同軸上に揃えて棒状の止めピン(図示せず)を差し込むことにより長リンク420dと短リンク420cを連結し、もって両てこ機構をロックして画像表示体500を開いた位置に固定するためのものである。
[6−2.画像表示体−ロック片]
図11,図12に示したように、ケース部材400の縦の補強部材407のうち前記ヒンジ金具420を設けた補強部材407の反対側の補強部材407(図11において向かって右側)にはロック片421が軸着されており、該ロック片421を図11の状態から時計回りに回動させるとその先端が画像表示体500の裏側に突設した受部508に係合し、この状態で画像表示体500がケース部材400の開口部401の上部を閉じた位置にロックされる。一方、前記ロック片421をロック状態から逆向きに回動させると画像表示体500のロックが解除され、ヒンジ金具420を中心に回動自在になる。通常、ケース部材400を外本体100に装着する前の状態では画像表示体500を閉じ位置にロックして無用な回動を防止し、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では画像表示体500のロックを解除して回動自在とする。
[6−3.画像表示体−連結具]
ところで、外本体100の扉形前面部材200とは別に、ケース部材400に開閉可能な画像表示体500が設けられることから、ケース部材400内を視認したりケース部材400内で作業したりする場合には、まず手前側の扉形前面部材200を開放し、その後さらに奥側の画像表示体500を開放しなければならず、これにより作業性を低下させたり煩わしさを与えることが懸念される。
そこで、本例のスロットマシン1では、画像表示体500の回動方向を扉形前面部材200の回動方向と同方向にするとともに、扉形前面部材200と画像表示体500を適宜な連結具700で連結し、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500も一緒に開閉させるようにしてある。これによれば、扉形前面部材200を開放させると、連結具700を介して画像表示体500も同方向に回動し、ケース部材400の前面が開放される。つまり、画像表示体500が扉形前面部材200に連れ回ることとなり、一回の横開き操作によって外本体100内は勿論、ケース部材400の内部までも視認させることが可能になる。
ここで、前記のように実施形態の扉形前面部材200と画像表示体500とは、ヒンジ金具420の両てこ機構によって、画像表示体500の回動軌跡が扉形前面部材200の回転軸100aを回転中心とする回動軌跡に近似するようになっているものの、それでもなお両者の動きには相対的なずれが生じる。そこで、実施形態の連結具700は、図40及び図41に示したように、画像表示体500の自由端側の裏面に固定鞘部材701を形成し、該固定鞘部材701の内部に摺動自在な状態にロッド702を納め、そのロッド702の先端を扉形前面部材200の裏面(具体的には錠装置215のベース部材215a)に対し、止め軸703で回転可能な状態に連結してある。こうすることにより、図39のように、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500が扉形前面部材200の付属部品であるかのごとく一緒に開閉し、その際生じる両者の動きの相対的なずれを連結具700のロッド702が固定鞘部材701に出入りして吸収する。
なお、ロッド702が画像表示体500の回動外縁(自由端)から最も突出したときの最大突出長さは、画像表示体500が開放位置である場合(例えば90°開放された場合
)の、扉形前面部材200の回動外縁(止め軸703の位置)と画像表示体500の回動外縁との距離に基づいて設定されている。このため、ロッド702の長さを必要最小限の長さとすることができ、連結具の大型化を抑制することが可能になる。
また、前記止め軸703は、錠装置215のベース部材215aの一部を曲げて形成した支持片215b,215b,215bに対し、上下動自在に装着されており、スプリング703aにより常時下向きに付勢されている。よって、この止め軸703は、スプリング703aの付勢に抗して上動させることが可能であり、上動させて下端を浮かせることによって前記連結具700のロッド702の着脱が可能である。すなわち、ロッド702の先端部分に形成された軸孔部702aに対し上方から止め軸703を挿入させ、スプリング703aの付勢力によって保持することが可能になっている。
また、図40において、符号704は連結具700の固定鞘部材701の上面に設けた弾性的な片持ち梁式のストッパであって、前記止め軸703から外したロッド702を固定鞘部材701の内部に納めて保持するためのものであり、ロッド702の上面に形成した溝705の端部の引掛壁702bに係合してロッド702の盲動を防止する。ロッド702には、その側面に摺動方向と直交する方向に摘み片706が突設されており、該摘み片706を摘んでロッド702を強制的に移動させることにより前記ストッパ704のロックが外れるようになっている。また、固定鞘部材701の先端側底面には、抜止め防止片701aが垂下され、ロッド702の溝705内に挿入されている。この抜止め防止片701aは、ロッド702が最も突出した際に引掛壁702bと当接し、ロッド702が固定鞘部材701から抜け出ることを阻止するものである。
また、図40において、連結具700の近傍にある符号509は、画像表示体500の回動外縁側の裏面に突設した係合部である。該係合部509は、ケース部材400の開口部401を横切る補強桟402に係合して、閉じ位置にある画像表示体500の自由端側の荷重を支えるものである。なお、図11に示したように、補強桟402には、前記係合部509を補強桟402の上面に円滑に導くべく、画像表示体500に向かって下り傾斜する滑り台式の案内部402aが設けてある。また、画像表示体500の係合部509は、画像表示体500とは別の潤滑性に優れた合成樹脂で形成されており、画像表示体500に対し着脱自在(交換自在)に装着されている。
ところで、扉形前面部材200と画像表示体500の回動軌跡の相違に起因する動きの相対的なずれは、上記のような伸縮自在なロッド形式の連結具700の他、柔軟なワイヤーにしても吸収することができる。但し、連結具が柔軟なワイヤー等であると、扉形前面部材200を閉じる段階で扉形前面部材200が開いたまま停止している画像表示体500にぶつかることになって、円滑さを損なうおそれがある。これに対し、例えば画像表示体500に巻バネなどの付勢手段を設けて常時閉じ方向に付勢するようにすればよい。そうすることにより扉形前面部材200の閉じ動作に際し、画像表示体500が上記付勢力の作用で連結具を引っ張りつつ自力で閉じるから、扉形前面部材200と画像表示体500がぶつからない。もちろん扉形前面部材200と画像表示体500の連れ回りのための手段は上記に限定されない。例えば、上記において連れ回りのための一要素たるヒンジ金具420は、上記のような両てこ機構の構造に限定されず、図41,図42に示したような、単独のピン420kを中心にして画像表示体500を回動させる単純なものであってもよい。
ケース部材400に対する画像表示体500の取着手段をヒンジ構造にして該画像表示体500を扉状に回動させ得る構成に、上記のように画像表示体500を閉じ位置にロックするロック手段(上記のロック片421)を付加した場合には、ケース部材400を外本体100に装着した状態で原則ロックを継続させ、配線作業空間408内のチェック等
、必要な時にのみロックを解除する、という取り扱いを選択することも可能であり、その場合には画像表示体500によって配線作業空間408内の重要部品(例えばメイン基板409や演出制御基板510)がブロックできるから、防犯性能の向上に効果がある。
ケース部材400の開口部401上縁と閉じた画像表示体500の上縁との前後間には隙間10が設けられており、該隙間10に通した指で天板406の前記補強部材407が掴めるようになっている。また、ケース部材400の天板406の前方中央部分(天窓部443,443の間の補強帯444)には把手口422が形成されており、該把手口422に通した指で天板406の補強部材407が掴めるようになっている。従ってケース部材400は、取り扱う場所や姿勢に応じて該把手口422と前記隙間10との適宜な使い分けが可能である。例えば、ケース部材400を外本体100に組み込む前の搬送時には把手口422を使って鞄形態に持ち運ぶ方がバランスがよく、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では、図4に示したように把手口422が外本体100の奥に隠れて指が入らないため、前記隙間10から補強部材407に指を掛けてケース部材400を引っ張り出す、という具合である。なお、ケース部材400の底板403の正面中央には前記した装置ケース302の下把手316(図4,図11参照)が突出しており、該下把手316を持って押し込み又は引っ張ることで外本体100へのケース部材400の出し入れが容易に行える。この場合の下把手316は、装置ケース302がケース部材400にビスで固着されていることよりケース部材400と一体であり、従ってケース部材400の底板403の正面に下把手316が突設されているに等しい。
[6−4.画像表示体−枠部材]
画像表示体500は、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から上の領域のほぼ全部を覆う大きさである。また、画像表示体500の下側には、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から下の領域、つまり図柄変動表示装置300の前方領域を額縁状に囲う枠部材501が一体に垂設されており、該枠部材501により前記図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cが縁取られる。この枠部材501の表面は装飾面になっており、適宜な模様等が描かれている。なお、図示しないが、枠部材501にはLED等の発光源と、その発光源を制御する発光制御基板と、発光源の前方に配置され光を透過可能な装飾部材とから構成された電飾部が設けられている。ここで、画像表示体500と枠部材501とを組み合わせたものを、以下、前面開閉部材90(図44参照)として説明する。
[6−4−1.画像表示体−枠部材−照明装置]
前記枠部材501の裏側上下には照明装置502が設けられており、該照明装置502によって図柄変動表示装置300の図柄が明るく照らされる。枠部材501は画像表示体500の下に垂設されていて図柄変動表示装置300に近いから、そのような枠部材501に照明装置502を組み込むことで光源を図柄変動表示装置300に近づけることができる。従って枠部材501に照明装置502を組み込む手段は、従来の照明装置に比べて低光量でも十分な明るさが確保できる、という特徴がある。
実施形態として例示した照明装置502は、図4に示したように、図の紙面と直交する方向(スロットマシン1の幅方向であってリール301a…の回転軸と同方向)に細長い帯状の基板503に多数の発光ダイオード(以下LEDという。)504を並べたものであり、下側の照明装置502は、上面を例えば乳白色の透光性蓋板505で塞いだチューブ枠506の中にLED504を上向きにして配置し、一方、上側の照明装置502は、断面上向きコ字状の例えば乳白色である透光性カバー507内にLED504を下向きにして配置してなる。
なお、上側の照明装置502は、照明方向を図4に示したように真下より遊技者側、す
なわち透明板214a側に向かう斜め下向きに設置してある。実施形態では比較的強い指向性を持ったLED504の主たる照射領域の中心線L(図4拡大図参照)を透明板214aに対し斜めに向かわせるべく、基板503のLED取付面の向きが、前記透明板214a側に向けて斜め下向きに傾けられている。
また、もし照明装置502の光源として蛍光灯のような棒状発光体を採用した場合には、図4の基板503を板状又は光源を包むような凹面状の反射部材に変更し、直射光と反射光の総和により方向付けられる主たる照射領域の中心線が、透明板214a側の裏面に斜めに当たるように設定すればよい。以上のように照明装置502の照射照準を透明板214aに設定すれば、漏れた一部の光がリール301a,301b,301cの外周面を照らしても殆ど影響はない。
実験によれば、照明装置502の照明方向をリール301a,301b,301cの周面側に向けた場合には、湾曲するリール301a,301b,301cの特定部分が強く反射して見辛くなるのに対し、上記のように主たる照射領域の中心線Lを透明板214aに対し斜めに向かわせた場合には、透明板214aを介してリール外周面が照らされることにより、リール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見え易くなることが確認できた。その理由として、照明装置502から照射した光が扉形前面部材200の透視窓214に嵌めた透明板214aに当たって反射し全体に拡散するか、或は透明板214aが明るく照らされることでリール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見えるか、或はそれらの相乗作用によるものと推測される。
以上のような上側の照明装置502の構造は、下側の照明装置502にも採用することができ、もちろん図32に示したように下側の照明装置502にのみ採用することもできる。なお、図32は図4の上側の照明装置502を下側に配置し、下側の照明装置502を上側に配置したものであるため、上記照明装置502の説明の「上」を「下」に読み替え、「下」を「上」に読み替えればよい。
ところで照明装置502の光源として実施形態のようにLEDを採用した場合には、(a)低電圧で駆動するため約200Vの高電圧で駆動する従来の冷陰極管より安全性が高い、(b)冷陰極管より寿命が長い、(c)ガラス管である冷陰極管より丈夫である、(d)多色発光が可能であるため演出の幅を広げることができる、(e)インバータと組み合わせて使用する冷陰極管より軽く、従って画像表示体500を支えるヒンジ金具420の負担が少ない、というメリットがある。
[7.配線手段]
前記外本体100に取り付けられている例えばメダル放出装置110や電源装置112及び扉形前面部材200の操作部202にある例えば各投入ボタン205,206や始動レバー210(以下、これらの総称として単に「本体側電気部品」という場合もある。)と、ケース部材400にある例えばメイン基板409等(ケース部材側の電気部品の総称として単に「ケース部材側電気部品」という場合もある。)とは電気的に接続されている。そして、実施形態のスロットマシン1は、前面開閉部材90とケース部材400とからなる機種ユニット50(図44及び図45参照)が外本体100に対し着脱自在であるため、機種ユニット50の交換等に際して本体側電気部品(筐体側電気部品)とケース部材側電気部品とを簡単に接続又は切り離すための合理的な配線手段が設けられている。
[7−1.配線手段−配線中継部材]
前記のように外本体100の背板104の内面上部には、図14に示した配線中継部材113が取り付けられている。該配線中継部材113は図4,図5に示したように、前記ケース部材400の配線窓411に対応する位置にあって該配線窓411からケース部材
400の空きスペース417に臨むようになっている。配線中継部材113は、前記本体側電気部品につながる本体側配線類119と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継するものであって、外本体100の背板104にビス止めされる取付板120と、該取付板120の前面に被さるカバー体121と、該カバー体121と前記取付板120の間に納められる複数(実施形態では大小2枚)のコネクタ基板(以下「コネクタ接続用端子基板」という場合もある。)122,123とからなる。
前記2枚のコネクタ基板122,123のうち、図14,図15において左側に位置する大きい方のコネクタ基板122は取付板120に対して固定的に取り付けられており、前記メイン基板409につながっているハーネス424の先端のコネクタ425と対をなすコネクタ124が設けられている。
一方、図14,図15において右側に位置する小さい方のコネクタ基板123は、取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的な遊動可能状態に取り付けられており、従って図15拡大図に示したように上下方向に移動可能であり、また、左右方向にも移動し得る。この小さいコネクタ基板123には、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先端のコネクタ427と対をなすコネクタ125が設けられている。なお、該コネクタ125と前記コネクタ124は、プリント基板にハンダ付け等の固着手段で固着する基板固着型であり、安価なDIN規格のものが使われている。
また、取付板120の前面に被さるカバー体121は、前記コネクタ124,125が通る大小2つの開口126,127と、該開口126,127と横並びの位置に突設した支持筒128と、下半部前方に張り出すトンネル状の配線ダクト129と、を有する。
配線中継部材113に接続する本体側配線類119は、前記配線ダクト129の内部を通るか、または配線中継部材113の取付板120の下側前面に突設したフック形状の配線止め130に束ねられた状態で、図1一点鎖線Lに示したように外本体100の側板102,102側に振り分けられ、該側板102,102と背板104のコーナー付近でほぼ垂直に向きを変え、その多くは仕切板105の奥に設けた配線用の開口109を通って本体側電気部品に夫々接続される。もちろん仕切板105より上の領域に本体側電気部品(例えば図1において側板102の内面に設けた外部中継端子板131)がある場合には、仕切板105の配線用の開口109とは無関係にそのまま接続される。
ここまでで説明した配線手段から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)ケース部材400の後面板405に、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面とリール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面との間に自己の下辺が位置する高さにして配線窓411を形成する。
(b)外本体100の背板104に、本体側電気部品につながる本体側配線類119と、ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継する配線中継部材113を設置する。
(c)外本体100の側板102,102の内面沿いに配線を通す上下方向の配線経路を形成する。
(d)配線中継部材113につながる本体側配線類119をケース部材400の側方に導き、そこから前記配線経路を通って本体側電気部品に接続する。
以上(a)〜(d)の構成要素を備えた遊技機は、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの後ろを本体側配線類119が通らず、外本体100の側板102,102沿い(背板104とのコーナーを含む(図10参照)。)に設けた配線経
路を迂回するため、リール301a,301b,301cを外本体100の背板104近くにまで寄せることが可能になり、従来の構成、すなわち、本体側配線類119が背板104のほぼ中央を下ってリール301a,301b,301cの後ろを通っていた従来の構成に比べて、リール301a,301b,301cの径を大きくすることができる。なお、リール301a,301b,301cの径は大きい方が、回転時の迫力が増す。
[7−2.配線手段−コネクタ425,427]
上記のように配線中継部材113に設けられている2つのコネクタ124,125には、ケース部材400のメイン基板409につながっているハーネス424の先のコネクタ425と、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先のコネクタ427がそれぞれ接続されている。
この2つのコネクタ425,427は、図16に示したように1つのコネクタホルダー428に一体に取り付けられている。該コネクタホルダー428は、コネクタ425,427がビス止めされるホルダー主体429と、ほぼ中央に透孔430を有し前記ホルダー主体429の両横に突設した板状の取着片431と、該取着片431の透孔430に装着した周知のボタン形パネルファスナー432(商品名「ナイラッチ」:登録商標)と、からなり、図5,図8(a)に示したように配線中継部材113の前記支持筒128の先に取着片431を当て、該取着片431のボタン形パネルファスナー432を支持筒128に差し込んでロックしてある。従ってコネクタホルダー428が固定手段たる支持筒128に固定され、ひいては配線中継部材113に固定されるため、コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合が外れない。
[7−2−1.配線中継基板−コネクタ425,427−仮止め棚]
上記のようにコネクタ425,427は配線中継部材113のコネクタ124,125に接続されているが、ケース部材400が外本体100に組み込まれる前、つまり工場出荷から設置完了までの間、コネクタ425,427は、ケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされている。
前記仮止め棚418は、図5,図6,図12,図13に示したようにケース部材400の内側から前記配線窓411に向かわせた棚板状の部材であり、図6に示したようにコネクタホルダー428を載置するほぼ水平なベンチ部433と、そのベンチ部433の両端に立設したベンチ側板434と、各ベンチ側板434に突設した3本の内向き爪片435,435,435とを有する。この内向き爪片435,435,435の中央の1本と他の上下の2本との間にはコネクタホルダー428の取着片431が嵌まり得る間隔が設けてある。なお、一方のベンチ側板434は、先端に指掛部436を延設した薄板構造であって、指掛部436に指を掛け図8(b)矢示X方向に力を加えることにより一端支持の板バネのごとく外向きに反らせ得るようになっており、その反らせた状態で内向き爪片435,435,435からコネクタホルダー428の取着片431が簡単に外れるようになっている。図8(a)の想像線は指掛部436の先を鍵形に折り曲げた例を示したものであり、こうすることにより矢示Yのようにボタンを押す感覚でコネクタホルダー428の取外しが楽に行える。
しかして、図6に示したように前記仮止め棚418のベンチ部433にコネクタホルダー428を載置し、該コネクタホルダー428の取着片431をベンチ側板434の内向き爪片435,435,435の間に嵌めることによってコネクタホルダー428が仮止め棚418に仮止めされる。もちろん仮止めと言っても、ケース部材400の輸送中にコネクタホルダー428が仮止め棚418から外れない強度を有する設定になっており、従ってケース部材400が外本体100に組み込まれる前までは、コネクタホルダー428と一体のコネクタ425,427はケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めさ
れて動かない。よってケース部材400を輸送したり、ケース部材400を外本体100に組み込む作業の最中に、ハーネス424,426の先にあるコネクタ425,427が、ケース部材400内の部品に当たってその部品はもちろん、自らも損傷する、というようなおそれがない。
そして、図8(b)→図8(a)に示したように、ケース部材400を外本体100に固定した後の配線工程で、上記のように一方のベンチ側板434を外向きに反らせてコネクタホルダー428を仮止め棚418から外し、そのコネクタホルダー428を自己の取着片431が配線中継部材113の支持筒128に当たる位置まで移動させれば、コネクタ425,427が配線中継部材113のコネクタ124,125に嵌まるから(その詳細は後述する。)、その状態で取着片431のボタン形パネルファスナー432を押し込んで取着片431を支持筒128にロックする。なお、このとき図5,図6に二点鎖線で示したように、ベンチ部433にガイド用の案内レール440を設けておけば、コネクタホルダー428を奥に押し込むだけでよいため、作業性が向上する。
以上のようにして配線中継部材113に取り付けたコネクタホルダー428は、外本体100の背板104を支持基盤として安定し、ケース部材から離間していて接触しないため、輸送時の振動等で外本体100と機種ユニット50が相対的に動いても無理な負荷が加わらない。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、
(b)前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、
(c)前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、
(d)前記ケース側配線類の先端に取り付けたコネクタと、
(e)該コネクタに取り付けたコネクタホルダーと、
(f)該コネクタホルダーを仮止めするためケース部材に設けた仮止め部材と、
(g)前記コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、を有し、(h)機種ユニットを外本体に装着する前の状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材に仮止めし、機種ユニットを外本体に装着した状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材から固定手段に付け替えてコネクタホルダーのコネクタを配線中継部材に接続するようにしたことを特徴とする
(i)遊技機。
上記の遊技機は、機種ユニット50の外本体100への装着とコネクタ同士の結合とを別々に行うようにしたものであるが、これとは対照的に、例えば機種ユニット50に直接コネクタを取り付け、機種ユニット50を外本体100に押し込む動作で自動的にコネクタ同士を結合させる、という方式が考えられる。しかしこの方式は、質量の大きな機種ユニット50が輸送中などに外本体100の内部で振動した場合、大きな負担がコネクタ結合部に掛かるため信頼性に不安があり、その対策にコストが掛かる課題がある。
また、本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であるが、これとは対照的に、扉形前面部材を上下2段に分割し、上部の扉形前面部材を機種ユニット50側の部品とする遊技機も考えられる。しかし、このような遊技機では、遊技中に興奮した遊技者が上部の扉形前面部材を叩いた場合にコネクタ結合部に直接衝撃が加わるためコネクタの結合が不安定になるおそれがあり、さらに上下の扉形前面部材同士の継ぎ目に対し
新たな防犯構造を要する課題がある。
これに対し本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であり、さらに、コネクタホルダー428を配線中継部材113に接続した後、該コネクタホルダー428は、図5に示したように外本体100に固定した部品(配線中継部材113)と結合し機種ユニット50から離間した独立構造になっているため、プリント基板にハンダ付けして用いる低コストで一般的なコネクタを使用した場合でも、輸送中においても、遊技中においても信頼性・耐久性に不安がない。また、機種ユニット50のみが機種変更時の交換対象であり、扉形前面部材200は交換対象とならないため、機種変更のための遊技場の負担も軽くなる。
[7−2−2.コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合]
前記のようにコネクタ425とコネクタ427は、1つのコネクタホルダー428に取り付けられている。こうすることによりコネクタホルダー428を配線中継部材113の所定の位置にセットする1回の動作で2つのコネクタ425,427の接続が完了する。しかし現実の問題として、2つのコネクタ425,427とコネクタホルダー428という独立した要素を寄せ集めて一体にする構造では、コネクタ425,427とコネクタ124,125の「正確な位置決め」という困難な問題に直面する。すなわち2つのコネクタ425,427と配線中継部材113側のコネクタ124,125の4要素の位置決めが全て正確でなければ、コネクタ425,124とコネクタ427,125の一括結合は不可能であるのに、そのような位置決めの精度を量産品レベルのコストで達成するのは困難だからである。そのような問題を解決する1つの手段として、プリント基板にハンダ付けすることなく結合時の融通性を高める機構を施したいわゆるドロワーコネクタを使用する方法が考えられるが、ドロワーコネクタ自体が高価であるため、まだコスト面の負担が大きい。
これに対し実施形態の配線手段では、基板支持部材たる配線中継部材113のコネクタ基板122,123を分割してそれぞれにコネクタ124,125を装着し、そのコネクタ基板122,123の少なくとも一方を、配線中継部材113の取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的に納めてコネクタ427とコネクタ125の結合方向と直交する方向(ここでの「直交」は、厳密な90度にこだわらず、社会通念上のほぼ90度という程度の意味である。)に遊動可能状態にする手段を講じている。かかる構成においてコネクタホルダー428の結合照準をコネクタ425とコネクタ124に定めた場合、もう一方のコネクタ427とコネクタ125の相対位置に若干の狂いがあっても、コネクタ基板123が遊動してその狂いを矯正すべく移動するから、コネクタ427とコネクタ125の結合も可能になる。これにより基板固着型で安価なDIN規格のコネクタで十分に対応できる。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(1)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループをコネクタ基板に装着し、さらにそのコネクタ基板をコネクタ毎に分割してその1つを基板支持部材に固定すると共に他のコネクタ基板を基板支持部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(2)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類と
を中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、該コネクタ接続用端子基板をコネクタ毎に分割してその1つを前記配線中継部材に固定すると共に他のコネクタ接続用端子基板を配線中継部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。
(3)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループをコネクタ基板を介して基板支持部材に固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに装着し、さらにそのコネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(4)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、前記コネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
以上の遊技機は、固定したコネクタ接続用端子基板のコネクタに照準を合わせてコネクタホルダーを操作するようにすれば、他のコネクタ同士の相対位置に製造誤差等で若干の狂いがあっても、非固定のコネクタ接続用端子基板がコネクタごと遊動してその狂いを矯正すべく移動し誤差を吸収するから、結合照準でないコネクタ同士の結合も可能になる。従って1つのコネクタホルダーを用いて複数系統のコネクタの一括接続が可能である。しかも使用しているコネクタは、プリント基板にハンダ付けして用いるような汎用的で安価な例えばDIN規格のものであり、コストも安い。
また、コネクタホルダーは、ナイラッチ(登録商標)等の固定手段で配線中継部材、ひいては該配線中継部材を介して外本体の背板に確実に固定される。一方、コネクタホルダーと機種ユニットの間では、フレキシブルなハーネスを介してつながっているのみであり、機種ユニットが動いたとしても、その動きはフレキシブルなハーネスが吸収するので、コネクタホルダーに動きは伝わらない。このため、たとえ輸送中の振動により外本体と機種ユニットの間に相対的な動きが生じても、コネクタホルダーは、外本体のみと一緒に動き、機種ユニットの干渉を受けないから、コネクタの結合部には全く負荷が掛からない。よってコネクタ結合の信頼性が非常に高い。
なお、実施形態のように、小さいコネクタ125に対応する小さいコネクタ基板123を遊動可能とし、大きいコネクタ425,コネクタ124同士を結合の基準に定める構成
は、その逆の構成に比べてコネクタ425,124,427,125の結合が楽に行える。小さいコネクタ基板123の方が軽い力で扱えるため、狂いの自動矯正が容易だからである。また、実施形態では、図9のようにコネクタ425,124の方がもう一方のコネクタ427,125より先に結合するようになっており、そうすることにより結合照準のコネクタ同士が合わせやすい。
また、図9に拡大して示したように凸形のコネクタ425,427の凸部先端の周縁角部及び/又は凹形のコネクタ124,125の差込口の周縁角部に面取り部C(直線的な面取り、曲線的な面取りのいずれも可)を形成しておけば、面取り部Cのテーパに沿った誘導作用が、コネクタ同士の結合性をより良好にする。
また、実施形態のように、配線中継部材113のコネクタ基板122,123を遊動可能にする構成の他、コネクタホルダー428側のコネクタ425,427の何れか一方を遊動可能にすることも可能であり、その場合も上記と同様の作用効果が得られる。なお、かかるコネクタホルダー428の具体例を図17に示した。この例では、コネクタホルダー428のホルダー主体429に雌ねじ付きの受筒429aを突設し、一方、コネクタ427の両横に遊孔427aを有する耳片427bを形成し、コネクタホルダー428の受筒429aにコネクタ427の遊孔427aを遊嵌させ、座金付きのビス427cをもって耳片427bの抜け止めとしている。そうすることによりコネクタ427は、コネクタホルダー428に対し、遊孔427aと受筒429aの径の差の範囲で自由に遊動し得る。この場合のコネクタ基板122,123は、一体にして取付板120に固定すればよい。また、実施形態では2つのコネクタを1つのコネクタグループとして取り扱ったが、1つのコネクタグループのコネクタ数は2以上でもよい。
また、実施形態では図4,図12に示したように、ケース部材400の後面板405の裏側であって、前記図柄変動表示装置300の装置ケース302の下斜板310に向けて凹ませたケーブル溝437が形成され、該ケーブル溝437の両端近傍にケース部材400の側板404(又は後面板405)を貫く配線口438,438が開設されている。この配線口438,438とケーブル溝437は、図柄変動表示装置300とメイン基板409等とを接続するためのものであり、図11において図柄変動表示装置300の装置ケース302の向かって右側面(扉形前面部材200の非ヒンジ側の側面)に設けたリール基板312のケーブル313(図12参照)を1つの配線口438からケース部材400の外に引き出し、そのケーブル313を図12のようにケーブル溝437に納め、さらにそのケーブル313の先を他の配線口438からケース部材400の中に戻してメイン基板409等につなぐようにしてある。なお、ケーブル溝437には所定の間隔でケーブル止め439が設けられていて、ケーブル溝437からケーブル313が脱落しないようになっている。
しかしてメイン基板409等とリール基板312は、共にケース部材400の中にあるケース部材側電気部品であり、本来、ケース部材400の外にケーブル313を引き出す要はない。それを敢えてケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにした理由は次のとおりである。
リール基板312の設置場所は、限られたスペースの中でコネクタを抜き差しする配線の作業性を考慮すると、図柄変動表示装置300(装置ケース302)の側面のうち扉形前面部材200の非ヒンジ側に相当する側が好ましい。もし逆に、扉形前面部材200のヒンジ側に相当する装置ケース302の側面にリール基板312を設けると、開ききった扉形前面部材200(図1参照。)とリール基板312が近接位置で向かい合うため、コネクタの抜き差しに必要な広い作業空間が確保できないからである。
しかし一方、リール基板312の接続対象たる基板類(メイン基板409,演出制御基板510,画像表示体500等)の接続部がケース部材400の扉形前面部材200のヒンジ側に相当する側にあると、ケーブル313がケース部材400の内部を横切る格好になる。そうすると前記装置ケース302をケース部材400に装着する際にケーブル313を噛み込んだり、逆に装置ケース302を引き出す際にケーブル313を引っ掛けるおそれがある。
これに対し実施形態のように、ケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにすれば、上記したようなケーブル313のトラブルは生じない。また、配線作業は、装置ケース302を所定の位置から若干引き出した状態で行う方が作業性がよく、それに伴って配線口438からリール基板312までのケーブル313の長さは、配線代とでも言うべき余裕が設けられている。従って装置ケース302を所定の位置にセットした状態でケーブル313に弛みが生じ、引き出し量によってはケーブル313の弛みが大きくなる。そのようなケーブル313の弛みが大きい場合には、配線口438と横並びの位置にある、装置ケース302の下斜板310とケース部材400の奥のコーナー部分との間に出来る三角スペースにケーブル313の弛んだ部分を逃がすことができる。
また、実施形態のようにケーブル溝437を装置ケース302の下斜板310に向かわせて膨らませるようにした場合には、ケース部材400の奥と装置ケース302の下斜板310との間にできるデッドスペースの有効活用に役立つ。なお、配線口438,438とケーブル溝437を使った配線は、リール基板312のケーブル313に限定する必要はなく、ケース部材400の内部を横切るケーブル全てに適用できる。
その他、図11中、符号441は機能分離中継端子板である。
以上のように構成されるスロットマシン1は、ケース部材400を外本体100に装着し、必要な配線を完了した完成品の状態で工場から出荷される。そして、その完成品のまま遊技場の遊技機設置島に取り付けられるが、このとき図25想像線のように、外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを木ねじ等の固定部材601で止める場合は、扉形前面部材200と画像表示体500を開放し、外本体100の貫通孔132に対しケース部材400の内側から天窓部443越しに固定部材601を挿通させ、さらにドライバー等の工具602で天窓部443越しに固定部材601を締め付けて外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを固定的に連結する。なお、貫通孔132は複数設けられているため、必要に応じてその中から任意に選択して使用することができる。例えば、上桟600の位置やサイズにばらつきがあってもその上桟600に対応する貫通孔132を選択することができる。また、遊技機をまるごと入れ替える場合に、使用する貫通孔132を変更すれば、上桟600の同じ位置に固定部材601の穴が開く弊害(いわゆる、ばか穴化)が防止できる。
ところで、図25に示したように外本体100とケース部材400の間には隙間Sが形成されており、画像表示体500等から発生した熱が画像表示体500の冷却ファン(図示せず)で煽られ、ケース部材400の天窓部443から前記隙間Sを通って背板104の通気口133に至り、そこから遊技機設置島の内部に抜ける。このとき背板104とケース部材400の間に配線中継部材113がありこれが障壁のごとく作用して前記隙間Sを広範囲に塞ぐから、隙間Sを流れる熱気がこの部分で遮られ、配線中継部材113より上方にある背板104の通気口133から積極的に外部に放出される。従って放熱効果が高い。
[8.各リールの図柄、図柄列]
各リール301a,301b,301cには、図46に示すように、複数種類の図柄が一定間隔に配置されることで構成された図柄列(配列番号1番から21番までで示した合計21個の図柄)が表記されたリール帯(図柄帯)が付されている。図46では、各リール301a,301b,301cに付されたそれぞれのリール帯321a,321b,321cに表記された図柄列を平面的に展開した状態を示す。なお、図柄列中に配置された図柄を識別するために上記配列番号を便宜的に記している。
そして、各リール301a,301b,301cは、各々の図柄列中に配置された図柄のうち、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が開口部401(図柄表示窓ともいう、以下では図柄表示窓401として統一する)を介して視認可能となるように配置されている(次に説明する図47参照)。なお、図柄表示窓401は解決手段に記載の図柄表示部に相当する。
また、図柄の種類は、図46に示すように、「赤で塗りつぶされている「7」図柄(以下「赤7図柄」という)、「青で塗りつぶされている「7」図柄(以下「青7図柄」という」)、「BAR図柄」、「チェリーの図柄が施された「チェリー図柄」」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄」、「ベル2図柄」、「スイカ図柄」、「「義」と記載された図柄(以下では「義図柄」という)、「「正」と記載された図柄(以下では「正図柄」という)がある。
図46において、「赤7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号3番・6番の2つ、リール帯321bにおいては配列番号12番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号10番の1つが相当する。「青7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号16番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号3番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号15番の1つが相当する。「BAR図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号11番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号6・9番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号2番の1つが相当する。「チェリー図柄」」は、リール帯321aにおいては配列番号10番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号1番・14番・17番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号7番・14番の2つが相当する。「リプレイ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号1番・4番・7番・12番・17番の5つ、リール帯321bにおいては配列番号0番・5番・8番・11番・16番・の5つ、リール帯321cにおいては配列番号1番・5番・8番・13番・17番の5つが相当する。「ベル図柄1」は、リール帯321aにおいては配列番号13番・15番・18番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号2番・7番・10番・15番・18番の5つ、リール帯321cにおいては配列番号9番・12番・16番の3つが相当する。ベル図柄2」は、リール帯321aにおいては配列番号2番・5番・8番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号0番・4番の2つが相当する。「スイカ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号9番・14番・19番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号4番・13番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号3番・6番・11番・20番の4つが相当する。「義図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号19番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。「正図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号0番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。なお、図柄の種類は一例であって、これらの種類に限られるものではない。
[9.枠部材]
図47は、図柄表示窓401を含む枠部材501の部分を拡大したところを示している。図柄表示窓401からは、各リール301a,301b,301cの図柄列中の図柄のうち、連続する3つの図柄が視認可能となっている。この図柄が表示されている3つの位
置を上から「上段(または上段位置)」(例えば、リール301aの「ベル1図柄」が表示されている位置)、「中段(または中段位置)」(例えば、リール301bの「リプレイ図柄」が表示されている位置)、「下段(または下段位置)」(例えば、リール301cの「ベル1図柄」が表示されている位置)という。
上記のことから、図柄表示窓401内では、「段数×リールの数」個の図柄を表示させることが可能である。従って、スロットマシン1では「段数(3)×リールの数(3)」より図柄表示窓401内には最大で9個の図柄を表示させることができる。
枠部材501(表示パネルともいう、以下では表示パネル501として統一する)の左側端(図柄表示窓401から見て左側には、各種のランプが備えられており、そのうち、「BET1」,「BET2」,「BET3」と記されているのがBETランプ(ベットランプ)614である。BETランプの数字(上記の「BET1」,「BET2」,「BET3」の1,2,3の数字)はそれぞれベット数(賭け数のこと、賭けたメダルの枚数に応じた数のこと)に対応している。すなわち、「1」は1ベット(賭けたメダルの枚数は1枚)、「2」は2ベット(賭けたメダルの枚数は2枚)、「3」は3ベット(MAXベットともいう、賭けたメダルの枚数は3枚)に対応しているということである。
ベット数に応じて有効となる並びが決められている。この「有効となる並び」は有効ラインとも呼ばれる。以下では有効ラインと統一して称する。後述する所定の当選役に対応する図柄の組み合わせは、一つの有効ライン上に並んで表示されてはじめて当該当選役に対応する図柄の組み合わせ態様として表示されたと判断されるものである。すなわち、所定の当選役に対応する図柄を構成する各図柄が図柄表示窓401内に個々に表示されたとしても、それぞれの図柄がいずれかの有効ライン上に並んでいなければ(すなわち所定の当選役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に並んでいなければ)、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたとは判断されないことになる。なお、このように、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に並んでいない場合は、バラバラな図柄の組み合わせ態様(すなわちハズレの図柄の組み合わせ)が表示されたと判断される。
次に、ベット数及び有効ラインについて具体的に説明する。本実施形態のスロットマシン1は、3枚賭け専用機であり、通常ゲームでは、メダルを3枚投入するとゲームを実行することが可能となる。このとき、右上がりの直線型の並び及び右下がりの直線型の並びが有効ラインとなる。
なお、有効ラインは上記のような右上がりの直線型の並びや右下がりの直線型の並びに限られるものではない。さらに、本実施形態のスロットマシン1は3枚賭け専用機であるが、これに代えて、ベット数に応じて有効ライン数が変化するようにしてもよい。
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、賭け数は3ベット(MAXベット)のみとし、有効ラインを図47の図柄表示窓401内で「BAR図柄−リプレイ図柄−義図柄」が表示されているライン(すなわち右上がりライン)623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がりライン623a)の2つのラインのみを有効ラインとしている。
図47の図柄表示窓401内に表示されている図柄の組み合わせは、有効ラインの一つである右下がりライン623aに表示されている「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」であり、この図柄の組み合わせは、リプレイ役(再遊技役)に対応する図柄の組み合わせであるから、次ゲームにおいて、メダルを投入することなく自動ベットされ、前回のゲームと同様のゲームを再び実行することが可能となる。なお、有効ライン上に「ベル1
図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されたとしても、遊技者は、いずれの役の図柄の組み合わせが表示されたのか、一見して把握し難い。しかし、有効ラインではない中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組み合わせが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。
その他、表示パネル501には、スロットマシン1の遊技状態に合わせて点灯(あるいは点滅)可能なランプ及びLED類が設けられている。これらのランプ類は図の上から、「ERR」という文字の描かれたエラーランプ604、上記BETランプ614のすぐ下に位置する、「REP」という文字の描かれたリプレイランプ606、「STR」という文字の描かれたスタートランプ608、「INS」という文字の描かれたメダルINランプ610、及び2つの横並びの7セグメントLEDを備えた払出枚数表示LED612がそれぞれ備えられている。なお、これらの他に後述するボーナスゲームの当選を告知するボーナス告知ランプや、ボーナスゲームなどでのメダルの累計払い出し枚数を表示したり、ボーナスゲームをカウントしたりする7セグメントLED等を別途設けてもよい。
エラーランプ604は、スロットマシン1の遊技中に何かトラブル、故障等が生じた場合に点灯(あるいは点滅)を開始し、現在トラブル等が生じていることを遊技者等(ホールの係員なども含む)に知らせる役割を持っている。
リプレイランプ606は、ゲーム結果がリプレイ(後述する)となった場合に、再遊技(新たにメダルを賭けずにもう一度遊技ができること)ができることを遊技者に知らせる役割を持っている。
スタートランプ608は、ベット数がMAXベットに達すると点灯(あるいは点滅)を開始し、遊技者に始動レバー210の操作(始動操作)を促す役割を持っている。
メダルINランプ610は、ベット数が最大(MAXベット)になるまで点灯(あるいは点滅)を続けることにより、遊技者にベットを促す役割を持っている。
払出枚数表示LED612は、ゲーム結果に伴うメダルの払い出しがある場合に、その払い出し数(払出されるメダルの枚数)を表示することにより、遊技者にメダルの払出枚数を知らせる役割を持っている。
なお、上述したランプ及びLED類(具体的には、エラーランプ604、リプレイランプ606、スタートランプ608、メダルINランプ610、払出枚数表示LED612、BETランプ614)は、後述の図48によれば、メイン基板409から信号を受信する構成になっており、メイン基板409(主にCPU1110)によって表示制御が行われるように示されている。しかし、本実施形態のスロットマシン1では、これらのランプ及びLED類に対して、メイン基板409以外の基板(以後、周辺基板とも言う)による表示制御を行うようにすることができる。演出制御基板510は、周辺基板の代表的なものである(それ以外にも、後述するリール制御基板や払出制御基板も周辺基板の一例である)。
具体的には例えば、演出制御基板510が、メイン基板409の代わりに独自の判断で表示制御に関する信号を出力するようにしてもよいし、演出制御基板510が、メイン基板409から所定のコマンドを受信したことに基づいて、LED表示等の制御コマンドをランプ及びLED類に送信することによって、表示制御を実現するようにしてもよい。そして、演出制御基板510側でランプ等の表示制御を行うことで、メイン基板409による表示制御を行う場合に比べて、メイン基板409側では、用意するコマンドの種類やコマンドの出力タイミング、割込み等に関する処理負荷を軽減することができ、メイン基板
409(主にROM1112)への格納容量を削減することが可能となる。
また、一般的に、演出制御基板510のROM1120は、メイン基板409のROM1112よりも記憶容量が大きく、さらに、演出制御基板510のCPU1118やVDP1124はメイン基板409のCPU1110よりも処理能力が高いことから、上述のようにメイン基板409以外による表示制御処理とすることで、大きな記憶容量や高い処理能力を活かして、より多彩な表示バリエーションを実現させることもできる。
また、メイン基板409から他構成部材に出力される信号(コマンド)は、共通信号として演出制御基板510に出力するようにし、試験用信号や外部中継端子板用信号の出し分けは、演出制御基板510側で処理を行うようにすることで、メイン基板409による制御処理の負担を軽減することもできる。
なお、上述のように、ランプ及びLED類が演出制御基板510によって直接制御される場合は、図48に示した接続構成とは異なり、ランプ及びLED類が演出制御基板510と配線されることが、信号処理の効率化の面から好ましい。また、ランプ及びLED類と演出制御基板510とが直接配線されるのではなく、中継基板を経由して、メイン基板409を介せずに接続されるようにしてもよい。
[10.スロットマシンの内部構成]
図48は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン基板409を有しており、このメイン基板409にはCPU1110をはじめROM1112、RAM1114、入出力インターフェイス1116等が実装されている。但し、インターフェイス基板800、試験装置900、ホールコンピュータ1200は外部接続される機器である。
前述した1枚投入ボタン205,206や始動レバー210、リール停止ボタン211a,211b,211c、貯留解除スイッチ209等はいずれもメイン基板409に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン基板409に出力することができる。具体的には、始動レバー210が操作されると前述した図柄変動表示装置300を始動させる(リール301a,301b,301cの回転を開始させる)操作信号がメイン基板409に出力され、リール停止ボタン211a,211b,211cが操作されると、リール301a,301b,301cをそれぞれ停止させる操作信号がメイン基板409に出力される。
なお、以下では必要に応じて、リール301a,301b,301cをそれぞれ左リール301a,中リール301b,右リール301cと呼ぶ。そして、これに対応するそれぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cを左リール停止ボタン211a,中リール停止ボタン211b,右リール停止ボタン211cと呼ぶ。
またスロットマシン1にはメイン基板409とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン基板409に各種の信号が入力されている。機器類には、図柄変動表示装置300のほか、メダル放出装置110等がある。
図柄変動表示装置300はリール301a,301b,301cをそれぞれ回転させるためのリール駆動モータ341a,341b,341cを備えている(左リール駆動モータ341a、中リール駆動モータ341b、右リール駆動モータ341c)。このリール駆動モータはステッピングモータからなり、それぞれのリール301a,301b,301cは独立して回転、停止することができ、その回転時には図柄表示窓401にて複数種
類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。なお、リール駆動モータ341a,341b,341cは解決手段に記載の可動表示体駆動手段に相当する。
また各リール301a,301b,301cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ331a,331b,331cを有しており、各リール301a,301b,301cにはそれぞれ位置センサ331a,331b,331cがリール内に対応して設けられている(左リール位置センサ331a、中リール位置センサ331b、右リール位置センサ331c)。これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン基板409に入力されることで、メイン基板409では各リールの停止位置情報を得ることができる。
メダルセレクタ207内には、前述したソレノイド207aや投入センサ207bが設置されている。投入センサ207bは、メダル投入口203から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン基板409に出力する。ソレノイド207aがOFFの状態のとき、投入されたメダルは投入センサ207bで検出される。逆にソレノイド207aがONの状態のときは、メダルセレクタ207内で投入センサ207bに到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、メダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。このとき合わせて投入センサ207bの機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはメダルの貯留のいずれも行われなくなる。
メダル放出装置110は、払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ110eを放出口110c内に有しており、この払出センサ110eからメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン基板409に入力されている。また、遊技メダル用補助収納箱111にはメダル満タンセンサ111aが設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン基板409に出力する。このとき画像表示体500、エラーランプ604等によりメダル貯留の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に異常が発生したことが報知される。
一方、メイン基板409からは、図柄変動表示装置300やメダル放出装置110に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール駆動モータ341a,341b,341cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン基板409から出力される。またメダル放出装置110には、有効ライン上に停止した図柄の組み合わせの種類に応じてメイン基板409から駆動信号が入力され、これを受けてメダル放出装置110はメダルの払い出し動作を行う。このときメダル放出装置110内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ110eによる枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば3秒間)が経過すると、払出センサ110eより払い出しメダルの異常信号がメイン基板409へ出力され、これを受けてメイン基板409は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラーランプ604や画像表示体500等に表示させて遊技者やホール従業員等に異常が発生したことを報知する。
スロットマシン1は、メイン基板409の他に演出制御基板510を備えており、この演出制御基板510にはCPU1118やROM1120、RAM1122、入出力インターフェイス1130、VDP(Video Display Processor)1124、AMP(オーディオアンプ)1126、音源IC1128等が実装されている。演出制御基板510はメイン基板409から各種の指令信号を受け、画像表示体500の表示や照明装置502等の発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ512の作動を制御している。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、上述したようなメイン基板409が有する様々な機能について、その少なくとも一部を演出制御基板510が実現するように構成されてもよい。メイン基板409が有する様々な機能とは、例えば、始動レバー210の操作を契機として図柄変動表示装置300を始動させる(リール301a〜301cの回転を開始させる)機能であり、リール停止ボタン211a〜211cの操作を契機として各リール301a〜301cを所定のリール停止制御に基づいて停止させる機能であり、当該停止させた各リールの停止位置情報を得る機能であり、メダルの投入や払出、内部貯留状況等に関する情報を得る機能であり、エラー関連の制御を行う機能であり、その他、メイン基板409に接続され得る機器類との間での信号の送受信を行う機能等である。各機能を実現するための制御プログラムやデータ類を、メイン基板409の代わりに演出制御基板510(ROM1120)に格納するようにし、CPU1118が当該制御プログラムを実行することによって、当該機能を演出制御基板510が保持することができる。
本実施形態のスロットマシン1は、このような機能の少なくとも何れかを演出制御基板510が制御(検知・管理・処理を含む)する場合、一般的に演出制御基板510にはメイン基板409よりも高性能のCPUが搭載されることから、細かい動作設定やエラー処理が可能となる。また、一般的に演出制御基板510はメイン基板409よりもメモリの記憶容量が大きいため、例えばエラーに関するデータや機器類との間で送受信するデータ等を多く蓄積でき、情報量の増加を活かしたサービスの提供にも期待できる。そして、演出制御基板510側で担当する機能の分だけ、メイン基板409側で保持しなければならないデータやプログラム類は減少するため、メイン基板409側の容量削減に期待することができる。さらに、演出制御基板510が、メイン基板409の有する機能を代理できるような場合、万が一メイン基板409が故障する等したときに、不具合についてのエラー情報を演出制御基板510から画像表示体500に報知することができるため、遊技者又はホール店員に不具合を速やかに告知することが期待できる。
また、上記の機能のうち、例えば、演出制御基板510がリール駆動モータ341a〜341cを制御する場合は、メイン基板409における記憶容量を削減できるだけでなく、メイン基板409よりも処理能力が高く、記憶領域も多いことから、リール駆動に関するバリエーションを増加させることも可能となる。なお、このようなリール駆動制御は、演出制御基板510ではなく、後述するリール制御基板で管理するようにしてもよく、その場合にも上述の効果が期待できる。
また、以上のようにメイン基板409の機能を代替することは、演出制御基板510に限定されるものではない。すなわち、演出制御基板510が、代替役として一体的に機能を保持するようにしてもよいが、それ以外にも、一部の機能をその他の周辺基板が保持するようにしてもよいし、個々の機能に特化した周辺基板を用意して機能を分担させる等してもよい。
個々の機能に特化した周辺基板の一例としては、まず、メダルの払出に関する機能を集約した払出制御基板が考えられる。メイン基板409が元来保持していた払出処理に関する制御プログラム及びデータを払出制御基板が保持するようにすることで、払出制御基板は、メダルの払出に関する機能を一括して管理することができ、メイン基板409側の容量負担や処理負担を軽減することが期待できる。
また、個々の機能に特化した周辺基板の別の一例としては、リール301a〜301cの制御に関する機能を集約したリール制御基板が考えられる。リール制御基板は、リール制御(例えば、当選役に基づいた図柄の引き込み制御や、リールの動作態様に関する制御)に関する制御プログラム及びデータを纏めてROMに保持し、リール制御基板のCPUが当該保持した制御プログラムを実行することによって、メイン基板409が元来有して
いたリール制御の機能を実現する。リール制御に関するデータ量は遊技機が保持するデータの中で非常に大きいため、当該データをメイン基板409から切り離すことによって、メイン基板409側での容量を大幅に削減する効果が期待できる。
さらに、リール制御機能がメイン基板409から切り離されると、リールユニットにリール制御基板を一体化して配置することも可能となり、このような場合には、リールユニットを取り外した状態でリールの動作確認を行うことができるため、開発の効率化に大きく寄与する。一方、メイン基板409側も、リールユニットに接続されていない状態での動作確認が可能になることから、こちらも開発の効率化に期待できる。
そして、周辺制御基板としてのリール制御基板がリール制御を一括して管理する場合は、リール301a〜301cを駆動させるためのステッピングモータ(リール駆動モータ341a〜341c)を制御できるような制御プログラムを保持する必要がある。さらに、例えば、スロットマシン1が、リール301a〜301c以外に、役抽選の結果に基づくことなく演出的な回転動作が可能な擬似的なリール(前者を本リールと呼び、後者を擬似リールと呼んで区別する)を備えるとすれば、本リールのリール駆動用の制御プログラムと擬似リールのリール駆動用の制御プログラムとが必要になる。このとき、本リール用の制御プログラムを保持したリール制御基板と擬似リール用の制御プログラムを保持したリール制御基板とを別々の基板として用意すると、各基板で必要な容量を抑制することができ、基板サイズの小型化や基板配置の自由化にも貢献する。また、本リール用の制御プログラムを保持したリール制御基板と擬似リール用の制御プログラムとを1枚のリール制御基板で保持する場合は、各リールに対する制御を一括して制御可能な周辺基板として、モジュール性を高めることができ、開発時の動作確認等での効率化を高めることができる。また、本リールと擬似リールとの動きを絡めた演出を実現しやすいことから、遊技性の向上に寄与できる。
さらに、メイン基板409に外部中継端子板131を設けた場合には、スロットマシン1はこの外部中継端子板131を介して遊技場のホールコンピュータ1200に接続される。外部中継端子板131はメイン基板409から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ1200に中継する役割を担っている。
外部中継端子板131は、ホールコンピュータ1200に信号を出力するための所定数のピンを有している。各ピンを経由して出力される信号は、例えば、遊技メダルのIN枚数を計数するためのIN信号、遊技メダルのOUT枚数を計数するためのOUT信号、ボーナスの初当り(例えば、ATやARTの初当りや、BBゲームやRBゲームの開始)を判断するためのボーナス信号、ボーナスの連続的な状態を判断するためのボーナス中信号、共通信号(コモン、リレーコモン)、セキュリティに関する情報を通知するためのセキュリティ信号、等がある。
なお、外部中継端子板131に対するこのようなメイン基板409の役割についても、周辺基板(例えば、演出制御基板510)が担当するようにしてよい。具体的には例えば、複数の送信すべき情報(エラー情報、ボーナス情報、ART情報等)が存在する場合に、演出制御基板510が、自身が管理するプログラムを実行して当該情報をグループごとに分け、外部中継端子板131の所定のチャンネルから出力することで、限られた外部中継端子板131のチャンネル数というハード資源を有効に活用することができる。なお、当該情報を分けずに外部中継端子板131から出力するようにしてもよい。
また、メイン基板409から出力されるコマンドとして用意されているコマンド数が少ない場合には、演出制御基板510側で状況を細かく分析して、演出制御基板510から
出力する際の信号の種類を増加させるようにしてもよく、このようにすれば、メイン基板409で必要なコマンド用の容量を圧迫させることなく、詳細なコマンド出力を実現することができる。また、例えば、従来の遊技機では、ボーナス情報の出力時に所定のコマンド(リレーコモン等)を合わせて出力するようにされていた場合は、物理的に切り替わるスイッチを必要とせず、演出制御基板510側でソフト処理によって当該切替を行うことができるため、演出制御基板510で当該所定のコマンドの出力を省略してボーナス情報のみを外部中継端子板131に出力することもできるので、通信コストの低減や処理負荷の軽減に期待できる。
さらに、スロットマシン1は、演出制御基板510による管理下で行われる情報出力設定を、ホール側が設定可能にする機能(例えば、ARTをBB回数に計数するか、RB回数に計数するか。また、ART当選の際にゲーム数表示を0に戻すか否か、等。)を備えるようにしてもよい。このような機能を備える場合、現在のホールで利用されている様々なホルコンやデータ表示器に対して、適切な情報出力を設定できることになり、より遊技者及びホール関係者への利便性を高めることが期待できる。
その他、電源装置112には、設定キースイッチ112tやリセットスイッチ112u、電源スイッチ112v等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、扉形前面部材200を開けることではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ112vは、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ112tはスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ112uはスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ112tとともに設定を変更する際にも操作される。
なお、電源のOFF/ON操作(電源スイッチ112vの操作)や設定変更操作(設定キースイッチ112tの操作)やリセット操作(リセットスイッチ112uの操作)に伴うメイン基板409の機能についても、制御プログラムやデータ類を周辺基板に格納することで、周辺基板(例えば、演出制御基板510)が管理することができる。電源のOFF/ON操作に伴う機能には、電源断に伴う処理を含むようにしてもよい。また、このとき、メイン基板409に搭載されている設定キースイッチ112tやリセットスイッチ112u等を、演出制御基板510(一般的には周辺基板と呼ばれている基板)に設けるようにしてもよい。このようなスイッチに基づいた機能を演出制御基板510に移すことで、メイン基板409及びメイン基板409を格納する主基板ケースの構造を簡素化することができる。また、スロットマシン1の筺体内部にエラー、リール回転中、ストップボタンの受信信号等を示すLEDを、演出制御基板510に移して備えるようにしてもよい。また、例えば、設定キースイッチ112tの付近に、セグ等の設定表示部を設けて、変更作業時に設定を見易くする機能を備えるようとする場合に、周辺基板側では記憶容量が規制されないので、容量を気にすることなく、ホール側の利便性を高める機能を追加することが可能となる。
そして、上述のようにメイン基板409の機能を周辺基板が代替する場合には、図48で示した内部構成の配線も当該代替に応じて変更されるべきであり、例えば、メイン基板409に接続されていた機器が演出制御基板510に接続されるように構成されることが好ましい(但し、中継基板等を経由しての接続を含む)。
以上がスロットマシン1の内部構成例である。次に、所定のインターフェイス基板800がスロットマシン1に接続されたときに、遊技状態(例えば一般遊技中のRT状態、特別遊技状態など)及び遊技の進行に係る内部的な情報(例えば役抽選結果、入賞結果、払い出し枚数など)を示す信号を外部に出力する外部信号出力手段についての実施形態を説
明する。なお、遊技状態及び遊技の進行に係る内部的な情報のことを「遊技状態等の情報」と呼ぶ。以下では、適正範囲で動作するスロットマシン1の認定試験(打ち込み再現試験)を行うためにプログラミングがされた試験装置900に外部信号として試験信号を出力する(役の抽選結果に関連する情報を含む役抽選信号を外部信号として試験装置900へ出力する)例を挙げる。なお、外部信号の送信先は、試験装置900に限定するものではなく、外部信号が以下に説明する役抽選信号のみに限定されることもなく、他の遊技状態等の情報を示す信号にも適用され得る。
図48では、スロットマシン1において、試験用のインターフェイス基板800を介して試験装置900を接続したシステムの全体構成が示されている。図48において、演出制御基板510からの遊技状態等の情報を示す試験信号が外部出力されるラインが、出力用の集中コネクタに接続される。これにより、演出制御基板510からの遊技状態等の情報を示す信号、励磁データ信号及び払出指令信号が、外部信号としてインターフェイス基板800に伝達され、最終的に試験装置900へ出力される。
スロットマシン1の認定試験に際して、試験装置900は、遊技者が実際に行う操作手順に即してプログラムされた操作指令をインターフェイス基板800に出力する。インターフェイス基板800は、試験装置900からの操作指令に応じてスイッチ信号(回転開始信号や停止操作信号など)を生成し、それぞれに対応するスイッチ信号の入力ポートに出力する。これにより、試験装置900の主導下でスロットマシン1の遊技動作が再現される。
そして、スロットマシン1が、再現された遊技進行に伴って生じる遊技状態等の情報を所定のデータ構成の外部信号を生成してインターフェイス基板800に出力することで、遊技状態等を示す試験信号が試験装置900に送信される。これにより、所定回数連続して再現された遊技における遊技状態、入賞及びメダルの投入及び払出し枚数などの詳細な遊技状態等の情報が試験装置900に記録され、その記録を解析することにより適正範囲で動作する遊技機であるか否かが検査される。
このような外部出力機器(インターフェイス基板800、試験装置900)についても、従来はメイン基板409に接続されることが主であったが、本実施形態のスロットマシン1では、このような外部出力機器の接続においても、周辺基板(例えば演出制御基板510)がメイン基板409の代替となる構成を可能とする。このような構成を可能にすることによって、スロットマシン1の外部への信号出力に関する制御を、周辺基板の管理下で行うことができるようになる。
なお、従来の遊技機では、メイン基板409によって管理される外部出力として、例えば、LED発光、7セグ、試験用信号、BETランプ、外部中継端子板131への出力信号等があった。さらに、メイン基板409は、タイマ制御、送信コマンドの長さ(例えば、認定試験用の条件装置コマンドは、試験装置900に対応させるため25ms以上の長さで出力しなければならない)、送信コマンドの送信タイミング、送信信号のビット制御等の処理を管理していた。このようなメイン基板409による外部出力処理を周辺基板(例えば演出制御基板510)に移すことにより、本実施形態のスロットマシン1によれば、メイン基板409は、基本的には外部出力したい情報を演出制御基板510に送信するだけで、残りの詳細な処理は演出制御基板510に任せることができる。そして、上記したような外部への送信タイミングや送信方法の調整についての処理を演出制御基板510側で行うことで、メイン基板409側の容量負担や処理負担を軽減することができる。
また、従来の遊技機では、試験装置900への試験用信号と外部中継端子板131への外端用信号とを分けてメイン基板409で用意しているが、このように信号の種類を外部
機器に合わせる処理も、演出制御基板510側で行うようにすれば、より効果的な処理が可能となる。そして、当該処理を可能にするためには、演出制御基板510にインターフェイス基板800が接続可能に構成されることが好ましい。
次に、スロットマシン1によるゲーム進行について説明する。スロットマシン1によるゲームは、遊技者がメダルの賭け数を決定した状態で始動レバー210を操作すると各リール301a,301b,301cが回転し、この後、遊技者がリール停止ボタン211a,211b,211cを操作すると、対応する各リール301a,301b,301cが停止制御され、そして、全てのリール301a,301b,301cが停止すると、有効ライン上での図柄の組み合わせ態様からゲーム結果を判断し、必要に応じて該当する当選役に対応する規定数のメダルが付与される。
前述したとおり、各リール301a,301b,301cには、それぞれリール帯321a,321b,321cが付されている(図46参照)。そして、全てのリール301a,301b,301cを停止させた際に図柄表示窓401内に表示される表示内容(有効ライン上に表示された図柄の組み合わせ態様)から所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたか否かが判断される。具体的には、図柄表示窓401内で前述の有効ライン(右上がりライン623b及び右下がりライン623a)のうち少なくともいずれか1つのラインに所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか否かが判断される。このとき、右上がりライン623bと右下がりライン623aとで、別の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して表示された場合には、複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が同時に表示されたと判断されて、それぞれの払出数を合算した数量のメダルの払い出しが行われる。すなわち、複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して図柄表示窓401内の有効ライン上に表示されるものとなる)。
以下では、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様がいずれか一つの有効ライン上に表示された場合のことを、(所定の)当選役に対応する図柄(これを当選役図柄という)の組み合わせが揃う、あるいは当選役図柄が揃った、という。
スロットマシン1の図柄には、「赤7図柄」、「青7図柄」、「BAR図柄」、「チェリー図柄」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄」、「ベル2図柄」、「スイカ図柄」、「義図柄」及び「正図柄」があることは既に述べたとおりであるが、このうち、「赤7図柄」、「青7図柄」及び「BAR図柄」は他の図柄に比べて目立ち易く、識別しやすい図柄となっている。ここでいう識別のし易さとは、リールの回転中や、リールの停止した状態を含めて遊技者が容易に図柄を識別することができる度合いの高さのことをいう。これらの図柄はリールの回転中もその色彩や図柄の大きさから、遊技者が停止操作する際に、これらの図柄が図柄表示窓401内に停止されるように狙って停止操作することが容易となっている(すなわち目押しすることが容易である)。さらに「義図柄」及び「正図柄」についても、図46を見ても分かるように、「義図柄」と「正図柄」との2つの図柄で円状を形成するかたちで「正義」と読めるように互いに上下に隣接して配置されているとともに、各リール301a,301b,301cにおいて1つしか配置されていないので、目押しすることが容易である。
これらの図柄はそれだけでは象徴的な図柄(図柄1つだけでは当選役に対応しない)に過ぎないものであるが、所定の組み合わせとなることにより当選役に対応する図柄の組み合わせとなるものである。すなわち、所定の遊技特典が付与される。以下に、図49に示された各当選役に対応して許容される図柄の組み合わせ態様について説明する。
[10−1.当選役と図柄の組み合わせ]
ここで、スロットマシン1の当選役(入賞役と呼ばれるものを含む)と、これに対応する図柄の組み合わせについて、図49、図50及び図51〜53を用いて説明する。図49は、スロットマシン1の各入賞役についての当選確率を示す図であり、当たり値判定テーブルとして予めROM1112等に格納されているものである。図50は、各当選役と、これら各当選役に対応して成立する条件装置を示す図であり、予めROM1112等に格納されているものである。図51〜53は、各条件装置に対応する図柄の組み合わせ及びメダルの払出数を示す図であり、これについても予めROM1112等に格納されているものである。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、当選役の抽選(役抽選)やリール停止制御に関して、当り値判定テーブルやリール引込制御テーブル等をメイン基板409のROM1112ではなく、演出制御基板510のROM1120に格納するようにし、演出制御基板510が当り判定を行うようにしてもよい。特に、リールの停止時に図柄を引き込むための制御で用いられるリール引込制御テーブルは、データ量が多いため、演出制御基板510で保持する場合には、メイン基板409側での容量負担を大きく軽減することができる。また、遊技機の申請書類の作成時における作業や、遊技機の開発時のデバッグ作業に対する負荷も大きく軽減することができるため、開発の効率化に期待することができる。なお、上記の各種テーブルのメイン基板409以外での保持先としては、演出制御基板510に限定されるものではなく、例えば前述した払出制御基板やリール制御基板であってもよい。
本実施形態のスロットマシン1における遊技状態としては、一般状態、通常RT、チャンスRT中、SB中、ボーナス内部中、及びボーナス中が用意されている。各当選役についての当選確率は、図49に示されるように、遊技状態毎に決められている。なお、チャンスRTには、図49に示されるように、ハズレの確率が異なるチャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3がある。そして、抽選の結果として何らかの役に当選すると、当選役に応じた条件装置が作動し、作動した条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。本実施形態のスロットマシン1では、一の条件装置とリール制御のパターンとが1対1で対応しているので、一の当選役に対して複数のリール制御パターンを用意したい場合には、一の当選役に対して複数の条件が成立する場合もある。こうすることで、一の当選役に対して、複数パターンの停止出目(有効ライン上に表示される図柄の組み合わせ)を用意することが可能となる。ここで、有効ライン上に表示される図柄組み合わせについて、図49に示される「RB1+ベル2」、「スイカ」、「AT1」〜「AT10」、「ALL」、「SB1」〜「SB3」、「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」を例に挙げて説明する。
「RB1+ベル2」は、RB1とベル2とが同時に重複して当選する重複役である。このとき、RB1及びベル2の両方に対応する条件装置が作動し、これらに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、ベル2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出され、RB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、後述するRB1ゲームが開始される。ただし、RB1に対応する図柄の組み合わせ及びベル2に対応する図柄の組み合わせの両方について有効ライン上に表示されることが許容されたとしても、ベル2に対応する図柄の組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるようにリール停止処理が行われる。ここで、ベル2に対応する図柄の組み合わせは、当選した当該ゲームに限って、有効ライン上に表示されることが許容される。一方、RB1に対応する図柄の組み合わせは、当選した当該ゲームだけに限らず、次ゲーム以降においても、RB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるまで継続して、有効ライン上に表示されることが許容される。
なお、重複役とは、1回の抽選機会において複数の役が同時に選び出される役であることを意味する。例えば、当選成立状態が次ゲーム以降に持ち越される持ち越し役が1ゲーム目に選び出されたもののこの持ち越し役に対応する図柄組み合わせが表示されなかった場合において、例えば2ゲーム目で第1の役が選び出されたときは、持ち越し役と第1の役との両方が当選成立している状態となるが、この場合は、互いに別の抽選機会において選び出されているから、重複役に該当しない。これとは逆に、単独役とは、1回の抽選機会において一つの役のみが選び出される役を意味する。
また、BB1、BB2、RB1及びRB2をボーナス役とし、図51〜53においてメダルの払い出しがある役(例えばチェリー、スイカ、ベル1、ベル2等)を小役とし、前回ゲームと同じゲームを実行できる役(例えば通常リプ等)をリプレイ役とし、複数の図柄組み合わせについて有効ライン上に表示されることが同時に許容されたとき、リプレイ役、小役、ボーナス役の優先順位で、これらに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。
また、「スイカ」は、スイカの単独当選役である。このとき、有効ライン上にはスイカに対応する図柄の組み合わせが表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、スイカに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば5枚のメダルが払い出される。
なお、抽選の結果、いずれかの役に当選したとしても、当該当選役に対応する図柄の組み合わせは、後述する引き込み制御を実行可能な範囲で図柄表示窓401内(すなわち有効ライン上)に停止されるように狙って停止操作(リール停止ボタン211a,211b,211cを押す操作)が行われないと、有効ライン上に当選役に対応する図柄の組み合わせを表示させることができない。したがって、抽選の結果、いずれかの役に当選したにもかかわらず、この当選役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されなければ、後述するステップS6においてゲーム結果がハズレである旨が判定される。
「AT1」〜「AT10」は、いずれも、各々に決められた適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合と、各々に決められた適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合とで、賞として払い出されるメダル枚数が異なっている。
具体的には、「AT1」及び「AT2」についての適正な押し順は、「左→中→右」(以下「順押し」と称する)である。そして、この適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、作動している条件装置のうち小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出される。なお、小物17の図柄組み合わせを構成する図柄は、リールの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているので、抽選の結果が「AT1」又は「AT2」であるときには、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作される限り必ず、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。
また、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として例えば2枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。このとき、賞としてのメダルは払い出されな
い。
すなわち、抽選の結果が「AT1」又は「AT2」であるとき、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作される限り必ずベル1の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなる。
なお、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合における上記の「適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT1」であるときと「AT2」であるときとで異なっている。より具体的には、抽選の結果が「AT1」であるときにおける「適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2」であるときにおける「不適正なタイミング」となり、抽選の結果が「AT1」であるときにおける「不適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2」であるときにおける「適正なタイミング」となる。
また、「AT3」及び「AT4」についての適正な押し順は「左→右→中」(以下「はさみ押し」と称する)であり、「AT5」及び「AT6」についての適正な押し順は「中→左→右」又は「中→右→左」(以下これらを「中押し」と称する)であり、「AT7」及び「AT8」についての適正な押し順は「右→左→中」(以下「逆押し」と称する)であり、「AT9」及び「AT10」についての適正な押し順は「右→左→中」(以下「逆はさみ押し」と称する)である。そして、この適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。ただし、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されるとハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなる。ここで、抽選の結果が「AT3」、「AT5」、「AT7」及び「AT9」である場合における「適正なタイミング」は、それぞれ、抽選の結果が「AT4」、「AT6」、「AT8」及び「AT10」である場合における「不適正なタイミング」となり、抽選の結果が「AT3」、「AT5」、「AT7」及び「AT9」である場合における「不適正なタイミング」は、それぞれ、抽選の結果が「AT4」、「AT6」、「AT8」及び「AT10」である場合における「不適正なタイミング」となる。
なお、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちいずれかであるときに、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作され、さらに不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたことによって有効ライン上に表示されたハズレの図柄組み合わせは、この実施形態において「ベルこぼ目」と称する。
「ALL」は、ボーナスゲーム中に限って抽選対象となる役であり、抽選の結果が「ALL」であるとき、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合であっても、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。上述したとおり、小物17の図柄組み合わせを構成する図柄は、リールの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているので、抽選の結果が「ALL」であるときには、常に、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。そして、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出
される。
「SB1」〜「SB3」は、いずれも、シングルボーナスと呼ばれる単独役であり、一般状態、通常RT及びSB中のうちのいずれかの状態であるときに限り、抽選対象とされる。そして、抽選の結果が「SB1」〜「SB3」のいずれかであると、それぞれに対応する図柄の組み合わせについて、有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、「SB1」〜「SB3」に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームに限り、遊技状態が「SB」に制御される(この次ゲームはシングルボーナスゲームと呼ばれる)。
具体的には、抽選の結果が「SB3」であるときには、SB3に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB3に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容され、SB3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームの遊技状態が図49に示される「SB中」となる。
抽選の結果が「SB2」であるときには、SB2に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB2に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容される。また、抽選の結果が「SB1」であるときには、SB1に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB1に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容される。そして、SB2に対応する図柄の組み合わせ又はSB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームの遊技状態が図49に示される「SB中」となる。
なお、抽選の結果が「SB1」である場合及び「SB2」である場合には、いずれも、有効ライン上には、表示された図柄の組み合わせを遊技者が容易に把握することができない組み合わせ(所謂バラケ目と呼ばれる組み合わせ)で表示される。これに対し、抽選の結果が「SB3」である場合には、図50に示される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、このとき、有効ライン上ではないものの各リール301a〜301cの下段にリプレイ図柄が揃う。これにより、遊技者は、抽選の結果が「SB3」であることを把握することが可能となる。
「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」は、いずれも、シングルボーナスと通常リプレイとが同時に重複して当選する役であり、一般状態、通常RT及びSB中では抽選対象とならず、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)であるときに限り、抽選対象とされる。言い換えると、「SB1」〜「SB3」が抽選対象とされる遊技状態では「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」が抽選対象とはされず、「SB1」〜「SB3」が抽選対象とされない遊技状態では「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」が抽選対象とされる。なお、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したとき、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせよりも、通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。
ここで、ボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2)、リプレイ役(再遊技役とも呼ばれる)、小役(ベル役(ベル1、ベル2)、チェリー役(チェリー1、チェリー2)、スイカ役、AT専用役、ALL役、ボーナスゲーム専用役)、シングルボーナス役(SB1、SB2、SB3)について説明する。
[10−1−1.ボーナス役]
本実施形態のスロットマシン1では、BB1、BB2、RB1又はRB2といったボーナス役に当選し、これらいずれかの役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム又はRB2ゲームといったボーナスゲームが実行される。このボーナスゲームは、複数ゲームにわたって、遊技者がメダルを集中して獲得できる機会が設けられるゲームである。ただし、遊技者が大量のメダルを獲得することが可能なものは、図50に示されるように、BB1ゲーム及びBB2ゲームだけである。
また、スロットマシン1では、右上がりライン523b及び右下がりライン623aのうち少なくともいずれかの有効ラインに、作動した条件装置に対応する図柄組み合わせ(図50に示された図柄組み合わせ)が停止すると、1回のゲーム結果として、有効ラインに停止した図柄組み合わせに応じた賞が付与される。ただしこの場合、右上がりライン523b及び右下がりライン623aといった二つの有効ラインに、同時に重複して二つの当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合には、この二つの図柄の組み合わせに応じたメダルが賞として払い出される。なお、本実施形態のスロットマシン1では有効ラインの数が二つであるが、有効ラインの数を三つ以上とし、この三つの有効ラインに、同時に重複して三つ以上の当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合に、この三つ以上の図柄の組み合わせに応じたメダルが賞として払い出されるようにしてもよい。ただし、1回のゲームで払い出されるメダルの最大枚数(例えば、15枚)が予め決められており、1回のゲーム結果として払い出されるメダルの枚数はこの最大枚数を超えないものとなっている。
なお、本実施形態のスロットマシン1には、上述したとおり、SB1、SB2及びSB3といったシングルボーナス役も用意されている。このシングルボーナス役に当選すると、次ゲームに限り、当選したSB役に応じて、図49に示されるSB中に制御されるとともに、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のいずれかであるときに適正な押し順が遊技者に教えられるATゲーム(又はARTゲーム)の上乗せ抽選が行われる。
また、本実施形態のスロットマシン1では、上述したように遊技者がメダルを集中して獲得できる機会としてボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム又はRB2ゲーム)が設けられ、これらのゲーム中はボーナス中という特別な遊技状態に制御されるとしたが、遊技者がメダルを集中して獲得できる機会を実現する遊技はこれに限定されるものではなく、例えば、後に詳述するART(又はAT)ゲームを用いて疑似的にボーナスゲームを実現するようにしてもよい。具体的には例えば、内部抽選の当選役としてBBやRBが選ばれ、BBやRBに対応する図柄組み合わせが図柄表示窓401に揃った場合に、チャンスRTに移行して、疑似的なボーナスゲームとして50ゲームや100ゲームといった所定のゲーム数のARTゲームが付与されることによって、当該ゲーム期間に遊技者はメダルを集中して獲得することができる。また、ARTゲームによる疑似的なボーナスゲームの実現方法としては、所定のゲーム数をARTゲームに制御する以外にも、例えば、AT1〜AT10のような押し順によって賞として払い出されるメダル枚数が異なる役について、当該役に対する適正な押し順の教示回数が所定回数に達するまでARTゲームに制御するといった方法でもよい。
上述のように本実施形態のスロットマシン1は、有利遊技状態の1つとして、ART(ATであってもよい)ゲームによる疑似的なボーナス遊技を実現することができる。なお、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナスゲームによるボーナス遊技とART(又はAT)ゲームによる疑似的なボーナス遊技との何れを備えてもよいし、両方を備えてもよい。但し、ボーナスゲームによるボーナス遊技を具備しない場合には、例えば[10−1−8]で後述するボーナスゲーム専用役等は不要となる。
また、本実施形態のスロットマシン1が疑似的なボーナスを有利遊技状態の1つに備えるときは、疑似的なボーナス遊技移行への所定の条件(例えば、有効ライン上に『7』図柄が揃う図柄組み合わせが停止した場合)を満たしさえすれば、疑似的なボーナス遊技への移行前の遊技状態は特に限定されない。例えば、通常遊技状態だけでなく、ARTゲーム(又はATゲーム等)中でも、有効ライン上に『7』図柄が直線状に停止した場合に、疑似的なボーナス遊技を開始させてもよい。なお、この場合は、疑似的なボーナス遊技の終了後は、ARTゲームが再開されることが好ましい。再開時に設定されるARTゲームの期間は、疑似的なボーナス遊技の当選が確定したときのARTゲームの残りゲーム数であってもよいし、又は、固定のゲーム数等であってもよい。
[10−1−2.リプレイ役]
本実施形態のスロットマシン1には、リプレイ役(再遊技役ともいう)として、通常リプレイ(図49では「通常リプ」と記載)とARTリプレイ1〜3(図49では「ARTリプ1」、「ARTリプ2」、「ARTリプ3」と記載)とが用意されている。このリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、リプレイの図柄組み合わせが揃ったと判定される。なお、上記のリプレイ役に対応する図柄の組み合わせは、図49を見ても分かるように遊技者がすぐに把握し難いものであるが、有効ラインではないものの中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組み合わせが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。
リプレイの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、リプレイゲームという遊技特典が付与される。このリプレイゲームでは、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、リプレイの図柄組み合わせが表示されたゲームと同じゲームを、再遊技として実行できる。なお、リプレイの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても、賞としてのメダルは払い出されない。
このリプレイゲームの遊技特典の特徴は、メダルの払出しを行わない代わりに次回のゲームで新たにメダルを消費する(新たにメダルを賭ける)必要がないことである。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選役であるため、例えばその当選確率を高くすることにより、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ないといえる。従って、スロットマシン1では、通常状態(本実施形態における一般状態及び通常RTが相当する)において、概ね6〜7回に1回程度は当選する確率としている(詳細は後述)。これにより、遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。つまり、リプレイという当選役にゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑える役割を持たせることができるということになる。
また、各リール301a,301b,301cにリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄をそれぞれ満遍なく配置する(例えば、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄と、同じくリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄との間に配置される他の図柄(リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成しない図柄)を1個から最大でも4個までにする)ことにより、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を目押しの必要なく揃えることのできるものとすることができる。
なお、通常リプレイに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、通常リプレイに対応する図柄の組み合わせが表示されたゲームと同じゲームを再遊技として実行できるだけであるが、ARTリプレイ1〜3に対応する図柄の組み合わせが有効
ライン上に表示された場合には、チャンスRTへ移行する契機として機能している。
[10−1−3.ベル]
本実施形態のスロットマシン1には、ベル役として、上述したとおり、「ベル1」と「ベル2」とが用意されている。このベル役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、ベル役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、ベル役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例
えば9枚)が払い出される。なお、ベル2に対応する図柄の組み合わせは、図49を見て
も分かるように遊技者がすぐに把握し難いものであるが、有効ラインではないものの中段ラインに「ベル1図柄orベル2図柄−ベル1図柄−ベル1図柄orベル2図柄」の組み合わせが表示されることで、遊技者は、ベル2に入賞したことを把握することが可能となる。なお、ベル1図柄とベル2図柄とは形態に若干違いがあるものの、ベルといった同じ観念を遊技者に生じさせる点で両図柄は共通する。
ベル1に対応する図柄の組み合わせ又はベル2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、規定枚数(例えば9枚)のメダルの払い出しが行われる。このときのメダルの払い出しは当該ゲームにて行われる。このように、ベル1に対応する図柄の組み合わせ又はベル2に対応する図柄の組み合わせは、ゲームを進めるうえでメダルの増加を期待できたり、メダルの消費を抑えることが期待できたりする。ただし、ベル1に対応する図柄の組み合わせ又はベル2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される頻度が高くなると、遊技者はゲームを進めていくだけでメダルを増加させることが可能となる。なお、ベル1に対応する図柄の組み合わせ及びベル2に対応する図柄の組み合わせを構成する図柄は、目押しすることなく有効ライン上に表示することができるように、各リール上に配置されている。
[10−1−4.チェリー役]
本実施形態のスロットマシン1には、チェリー役として、上述したとおり、「チェリー1」と「チェリー2」とが用意されている。このチェリー役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、チェリー役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、チェリー役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば2枚)が払い出される。
[10−1−5.スイカ役]
スイカ役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。このスイカ役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、スイカ役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば5枚)が払い出される。
[10−1−6.AT専用役]
本実施形態のスロットマシン1には、AT専用役として、上述したとおり、「AT1」〜「AT10」が用意されている。これらAT専用役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。すなわち、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであって且つ適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、作動した条件装置のうち小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであったとしても、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合には、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが表示されるか、ハズレの図柄組み合わせが表示されることとなる。賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせを構成する図柄は、目押しすることなく有効ライン上に表示することができるように、各リール上に配置されている。
[10−1−7.ALL役]
ALL役に対応する図柄組み合わせは、図51〜53に示されるとおりである。ただし、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたとしても、作動した条件装置のうち小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるように、リール制御される。
[10−1−8.ボーナスゲーム専用役]
さらに、ボーナスゲーム中(BB1ゲーム中、BB2ゲーム中、RB1ゲーム中及びRB2ゲーム中)にのみ有効となる当選役としてボーナスゲーム専用役がある。このボーナスゲーム専用役は、図49の「ロゴ1」〜「ロゴ7」に相当し、これらに対応する図柄(ボーナスゲーム専用役図柄)の組み合わせは、図49に示されるとおりである。
ボーナスゲーム中にボーナスゲーム専用役図柄が揃うと、規定枚数(例えば10枚)のメダルの払い出しが行われる。このときのメダルの払い出しは当該ゲームにて行われる。つまり、ボーナスゲーム専用役図柄が揃うと10枚のメダルの払出しという遊技特典が付与される。そして、ボーナスゲーム中はこのボーナスゲーム専用役を揃いやすくすることにより、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームを集中して実行することができる。従って、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせを構成する各図柄は、目押しを行うことなく有効ライン上に揃えることができるものとなっている。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲームにおいて、上記ボーナスゲーム専用役とALL役とが抽選対象とされているが、これらとは異なる当選役を設けてもよい。さらには、ボーナスゲーム専用役のようなボーナスゲーム中限定の当選役を設けずに、ベル役やスイカ役を代わりに用いるものとしてもよい。この場合、一般状態中とボーナスゲーム中とで、メダルの払い出し枚数を変えるようにしてもよい。
[10−1−9.SB役]
本実施形態のスロットマシン1には、SB役として、上述したとおり、「SB1」〜「SB3」が用意されている。これらSB役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。また、SB役には、上述したとおり、通常状態(一般状態、通常RT)では単独役として抽選されるが、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、通常リプレイとの重複役として抽選される。そして、通常状態では、上述したとおり、SB1に対応する図柄の組み合わせ又はSB2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても遊技者に把握され難いが、SB3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されたときは、各リール301a〜301cの下段にリプレイ図柄が揃うので、抽選の結果が「SB3」であることを把握することが可能となる。なお、上記では、一般状態及び通常RTを通常状態と称しているが、一般状態や通常RTと同じような確率でハズレとなるような本実施形態のチャンスRT1に相当する状態についても、後述するARTゲームが実行されていなければ、通常状態と称されることもある。
しかし、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、上述したとおり、SB1〜SB3は、いずれも、単独で抽選されることはなく、通常リプレイと同時に重複して当選するかたちで抽選される。そして、通常リプレイと同時に重複して当選した場合、作動した条件装置のうち再遊技1に対応する図柄の組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。この再遊技1に対応する図柄の組み合わせは、有効ラインではないものの中段にリプレイ図柄が表示される組み合わせである。ここで、SB1〜SB3に当選した場合には、ATゲーム(又はARTゲーム)の上乗せ抽選が行われる。
したがって、とくに内部抽選にてハズレとなる確率が通常状態(一般状態、通常RT)と変わらないチャンスRT1に制御されているときには、通常状態に制御されているときと比べて、ATゲーム(又はARTゲーム)の上乗せ抽選が行われる出目が表示される頻度が高められ、ひいては遊技者に期待感を与える頻度が高められることとなる。
一方、内部抽選にてハズレとなる確率が通常状態(一般状態、通常RT)と比べて極めて低い遊技状態に制御されていたり、本実施形態のように内部抽選にてハズレとならないチャンスRT1に制御されているときには、通常リプレイに対応する図柄組み合わせの出現頻度が極めて高くなるので、通常リプレイに対応する図柄組み合わせがたとえ表示されたとしても、ATゲーム(又はARTゲーム)の上乗せ抽選が行われたか否かの判断が困難となる。これにより、上乗せ抽選が行われた可能性があることや、上乗せ抽選に当選した可能性があるといったような遊技者が興味を惹くような期待演出を行う場合には、かかる期待演出を、効果的に行うことが可能となる。
[10−1−10.ハズレ]
図51〜53に示された図柄の組み合わせのいずれにも該当しない場合は、ハズレとなる。そして、ハズレとなった当該ゲームでは、メダルの付与は行われず、また次回以降のゲームに変化を及ぼすこともない。なお、ハズレは遊技者に当該ゲーム及び次回以降のゲームにおいて何の遊技特典も付与しない役であるともいえる。
以上がスロットマシン1におけるそれぞれの当選役と、それぞれの当選役に対応する図柄の組み合わせ態様である。
なお、これらの図柄は上記で説明した図柄や図柄の組み合わせ態様に限定されるものではない。また、上記の図柄に加えて複数種類の図柄を新たに設けることもできる。そして、当選役の種類をさらに増やすことや、あるいは減らすこともできる。さらに、上記で述べた当選役は全てを必ず設けることに限定されるものではなく、適宜必要な種類の当選役を選ぶこととしてもよい。
[11.ゲーム処理]
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、制御プログラム上の処理手順に沿って進行するが、前述したように、本実施形態のスロットマシン1では、メイン基板409(主にCPU1110等)による制御の少なくとも一部を周辺基板(例えば、演出制御基板510)によって行うことができる。しかし、本章では、説明の簡略のため、全ての主たるゲーム処理について、メイン基板409(主にCPU1110等)によって実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行するものとして説明する。したがって、以下の説明のメイン基板409による処理は、データの格納先及び制御プログラムを実行するCPUを周辺基板(演出制御基板510)に変更することによって、当該周辺基板による処理に読み替えることができる。そして、このとき、変更分のデータ量だけメイン基板409で必要となる容量を軽減することができる。
図54は、スロットマシン1における基本的な1ゲームの処理手順を一通り示している。先ずステップS1では、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。特に電源の立ち上げ時等においては、前述した各種装置の接続及び作動状況を確認するとともに、バックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
次のステップS2では、投入口203から投入されたメダルの枚数により、あるいはすでに貯留されているメダルがある場合にはMAX投入ボタン206(あるいは1枚投入ボ
タン205)の押下操作により賭け数が決定され、始動レバー210の操作待ちの状態となる。すなわち、1回のゲームの賭け数が決定され、始動レバー210の操作が可能な状態となるまでがBET処理にて実行される。なお、本実施形態のスロットマシン1は、3枚のメダルを投入することによってゲームの実行が可能となる3枚賭け専用機である。したがって、1枚投入ボタン205を備えていなくてもよい。
ステップS3では、ステップS2において操作待ちの状態となった始動レバー210の操作によりゲームをスタートさせるとともに、いずれかの当選役を内部抽選の結果とするか否かを決定するための内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理とは、次のステップS4にて回転を開始する全てのリール301a,301b,301cが停止状態(遊技者の停止操作により停止状態となること)となる前の段階において、いずれかの当選役を当該ゲームの抽選結果とするかを決定するために実行されるものである。すなわち、この抽選の抽選結果がいずれかの当選役に該当する場合に限り、リール301a,301b,301cの停止操作が行われたときに、該当する当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に停止することが許容されるのである。
次にステップS4では、ステップS3の内部抽選処理の終了に伴い全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させるリール回転処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール301a,301b,301cの回転が開始された時点でリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作を有効とし、リール停止ボタン211a,211b,211cが有効になったことを知らせる操作有効ランプ(図示しない)を点灯させるとともに、次回のリール回転処理が実行されるまでのタイマカウントを開始する。なお、操作有効ランプは各リール停止ボタン211a,211b,211cにそれぞれ内蔵されるランプである。
ステップS5では、遊技者によるリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられて、その受け付け順に操作有効ランプを消灯させるとともに、対応するリール301a,301b,301cの回転を停止させるリール停止処理を実行する。
次のステップS6では、ステップS5において全ての右上がりライン)623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がりライン623a)の2つのラインのみを有効ラインとして、リールが停止状態になったと判定した時点で、有効ライン上に表示された表示内容(図柄の組み合わせ態様)と、上記のステップS3において決定された内部抽選の結果として許容されているものを照合して当選役の判定を行う判定処理を実行する。
ステップS7では、ステップ6において判定された当選役に対応する遊技特典の内容に基づくメダルの払出処理を実行する。また当選役がBB1、BB2、RB1、RB2、SB1、SB2、リプレイの場合には、それぞれ遊技状態の変更(図49に示される遊技状態の変更)や再遊技等の各種遊技特典に付与を実行する。
以上が、スロットマシン1の基本的な1ゲームの処理手順である。ここで、ステップS2(BET処理)、ステップS3(内部抽選処理)、ステップS4(リール回転処理)は、一連の外部操作として遊技者により行われるものである。従って、これらの処理(ステップS2、ステップS3、ステップS4)をまとめて始動処理と呼ぶ。以下ではこの始動処理の具体的な説明をする。
[11−1.始動処理]
図55は、始動処理で行われる各処理を具体的に示したものである。
始動処理では、まずステップS101にてメダルの投入または1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が待ち受けられる。MAXベット操作またはメダル投入があると、ステップS101の判定が満たされ、ステップS102に移る。なお、この判定はMAXベットに相当するメダルの投入(つまり、3枚以上のメダルの投入)やMAXベットとなる1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が有った場合にのみ満たされるものとしている。
次のステップS102では、受付処理として、ベット数(この例ではMAXベットのみ)を決定するとともに、ベット数に応じた有効ラインランプを点灯させる。本実施形態のスロットマシン1は、3枚賭け専用機であり、3枚のメダルが投入されると、右上がりライン623bと、右下がりライン623aの2つのラインが有効ラインとなり、これを示す有効ラインランプを点灯させる。
ステップS103では、始動レバー210の操作を有効化する。始動レバー210の操作が有効化されると、この始動レバー210の操作が受け付けられるまで操作待ちの状態となり、次のステップS104に移る。
次のステップS104では、始動レバー210の操作が有効化されているか、またその場合は始動レバー210の操作が受け付けられたかを判定する。先のステップS103にて始動レバー210の操作が有効化されている場合、遊技者による始動レバー210の操作が受け付けられると、この判定が満たされ、次のステップS105へ移る。
また、上記のステップS101にて遊技者がベット操作またはメダル投入をしない、あるいはMAXベットに至らないうちはステップS101の判定が満たされず、ステップS104に移る。このときはステップS104の判定も満たされず、ステップS101に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、リプレイゲームでは、新たにメダルのベットを必要としない。これは、後述するリプレイゲーム処理にてMAXベットコマンドがRAM1114に格納されている場合、自動的にMAXベット状態にする。これにより、ステップS101の判定が満たされることになる。
ステップS105では、ステップS104での始動レバー210の操作を受けて、始動レバー210の操作を無効化する。
次にステップS106では、始動レバー210の操作があると、リール301a,301b,301cの回転が開始されるとともに、この始動レバー210の操作に基づいて乱数の抽出を行う。乱数の抽出を行った後、次のステップS107に移る。なお、このときの乱数を抽出するタイミングについては、始動レバー210の操作後直ぐに行っても所定時間(例えば0.5秒後など)後に行うなど、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
ステップS107では、抽出された乱数値(以下では、抽出乱数値という)からいずれの当選役に該当するかの当たり判定(乱数値の照合)を行う。この当たり判定では、後述する当たり値判定テーブルにて抽出乱数値を照合する。ここで行われる乱数値の照合とは、予め決められた当選役の乱数値に、抽出乱数値が該当(合致、一致)するか否かを判定することである。このとき抽出乱数値がいずれかの当選役に該当すると判定された場合、該当する当選役に対応する条件装置をON(=1)にする(図50を参照)。なお、抽出された乱数値と当たり判定テーブルとを照合して行われる当たり判定における各当選役に
ついての当選確率は、図49に示されるとおりである)。
そして、フラグ処理では、当該ゲームにて抽出乱数値の照合を行う際に、判定の基準となる当たり値判定テーブルを決定する場合、後述するBBゲーム中フラグなどのゲーム状態フラグを参照して当該ゲームにおける当たり値判定テーブルを決定する。すなわち、当該ゲームにてON(=1)状態となっているゲーム状態フラグに対応する当たり値判定テーブルをセットして抽出乱数値の照合を行う。ゲーム状態フラグには、通常RT中フラグ、チャンスRT1中フラグ、チャンスRT2中フラグ、チャンスRT3中フラグ、SB中フラグ、ボーナス内部中フラグ、ボーナス中フラグがある。そして、これらのゲーム状態フラグのいずれもOFF(=0)状態となっている場合には、常に一般状態中フラグをON(=1)状態とする。
一方、ステップS107にて、抽出乱数値がいずれの当選役にも該当しないと判定された場合、いずれの当選役にも該当しない「ハズレ」となり、いずれの条件装置も作動させない(図50を参照)。ここで、いずれかの条件装置がONになっているとき(成立しているとき)には、その成立している条件装置に対応する図柄組み合わせを揃えることが可能となる。各条件装置に対応する図柄組み合わせは、図51〜53に示されるとおりである。従って、いずれの条件装置も成立していないハズレである場合は、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせも、有効ライン上に揃えることができないことになる。上記のステップS106及びステップS107はスロットマシン1の内部にて乱数抽選を行ったものであり、以下ではこれらのステップのことを、まとめて内部抽選、あるいは内部抽選を行う等という。なお、この乱数の抽出からフラグ処理までは内部抽選(前述の図54のステップS3)に相当する。
次のステップS108では、前回の始動処理(具体的には当該ゲームの1回前のゲーム)にてスタートさせたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かを判定する。なお、このウェイトタイマと呼ばれるタイマは、当該ゲームにおいてリールの回転が開始されたときから次回のゲームでリールの回転が開始されるまでの所定時間(例えば、4.1秒)の経過を計測するものである。ここで、ウェイトタイマがタイムアップ(既に4.1秒経過した)となった場合にはこの判定が満たされ、次のステップS109に移る。また、この判定はウェイトタイマがタイムアップするまでループする。
ステップS109では、全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させる。そして全てのリール301a,301b,301cの回転の速さが一定となると、それぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cの操作有効ランプを点灯させる。この点灯により、遊技者はリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が有効になったことを知ることとなる。
なお、スロットマシン1では、回転を開始したリールは遊技者による停止操作(リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)が受け付けられるまで上記の一定の速さで回転を維持し続けるものである。
次にステップS110では、ウェイトタイマをリセットするとともに、次回の始動処理までウェイトタイマをスタートさせ始動処理は終了となる。
[11−2.内部抽選確率]
上記のとおり、スロットマシン1では、内部抽選の結果(抽出乱数値の照合の結果)が当該ゲームで該当する当選役(以下では、該当当選役をいう)として許容される。ここで該当当選役が許容されると、該当当選役に対応する条件装置を作動させて、この作動した条件装置の情報は、内部抽選の結果を示す情報コマンドとして以降の処理(リール停止処
理、判定処理、払出処理等)に反映されることになる。
スロットマシン1では、乱数抽出を行う際の乱数値の範囲(これを抽出範囲という)を予め決めておくものである。この抽出範囲は、例えば、0から16383までの整数値(つまり、2の14乗(=16384)個の乱数)と決めることができる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、抽出範囲の乱数値を、便宜上、0から59999までとしているが、これに限られないことはいうまでもない。この乱数の抽出範囲を拡大すると、その分だけ抽出可能な乱数値の範囲(いわゆる分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
上記の抽出範囲内においては、さらにそれぞれの当選役に対応する乱数値が予め割り当てられている。例えば、抽出範囲(本実施形態のスロットマシン1では0から59999)内の乱数値のうち、RB2に対応する乱数値を「1」とすれば、抽出乱数値が「1」となった場合に、内部抽選の結果は「RB2に当選した」ということになり、RB2の条件装置が当該ゲームでの情報コマンドとして処理されることになる。また、これを利用すると、抽出範囲及びRB2に対応する乱数値から、RB2の当選確率(RB2が内部抽選の結果として選び出される確率、抽選確率)を算出することができる。上記の例(RB2)でいえば、
〔 RB2に対応する乱数値の総個数/抽出範囲内の乱数値の総個数 〕
が、2/60000となり、RB2の当選確率は1/30000であるということになる。
このように全ての当選役にはそれぞれ対応する乱数値が決められており、これらの乱数値は、それぞれの当選役に対応する当たり値と呼ばれる。上記の例(RB2)では、抽出範囲内の乱数値「1」がRB2に対応する当たり値ということになる。また、当たり値が複数存在する場合、例えば、所定役の当たり値を抽出範囲内の連続する乱数値「1」、「2」、「3」、「4」とすれば、この所定役の当たり値の範囲は乱数値「1」から「4」までとなる。そして、抽出乱数値が乱数値「1」から「4」までのいずれかに該当すると判定される(照合される)と、内部抽選の結果として「所定役に当選した」ということになる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、一の当選役のみに当選する単独役(例えばRB2、ベル1、ベル2等)の他に、複数の当選役が同時に当選する重複役(例えば「RB1+スイカ」、「BB1+ベル2」等)が用意されている。したがって、このような重複役については、重複役の当たり値についても、上記の当たり値に含まれる。
このことから全ての当選役はその当たり値の範囲が決められ、内部抽選で抽出乱数値がいずれかの当選役の当たり値の範囲に該当するか否かが判定されることになる。このとき、抽出乱数値がいずれの当選役の当たり値の範囲にも該当しない場合は、ハズレ、となる。すなわち、ハズレの当たり値の範囲は、全ての当選役の当たり値の範囲以外ということになる。なお、当たり値は当選許容値とも呼ばれることもある。
ところで、単独役とは、1つの抽出乱数値に対して1つの当選役が対応するものであり、重複役とは、1つの抽出乱数値に対して、複数(この場合2つ)の当選役が対応するものである。つまり、抽出された乱数値が重複役の当たり値に該当する場合、複数の当選役のいずれにも当選したということになる。例えば、抽出された乱数値が図49に示された「SB1+通常リプ」に該当する当たり値に該当する場合、前述したフラグ処理(図55のステップS107参照)にて、図50に示されるように、SB1に対応する条件装置及び通常リプレイに対応する条件装置を同時に成立させるということである。
また、図49によれば、ボーナス中は、ALL役とボーナスゲーム専用役(ロゴ1〜ロゴ7)の当たり値が抽出範囲の大半以上を占めている。従って、ボーナスゲームが実行さ
れると、このボーナスゲームが実行されている期間内に多量のメダルが払い出されることとなる。
また、図49を見ても分かるように、一般状態中、通常RT中及びSB中は、SB1、SB2及びSB3の単独役に当選する可能性があるとともに、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」といったSBと通常リプレイとの重複役には当選しない。一方、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)中は、SB1、SB2及びSB3といった単独役に当選する可能性はないものの、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」といったSBと通常リプレイとの重複役には当選する可能性がある。しかも、一般状態中、通常RT中及びSB中においてSB1、SB2又はSB3の単独役に当選する確率は、チャンスRT中において「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」の重複役に当選する確率と同じである。すなわちこれは、チャンスRT中は、一般状態中、通常RT中及びSB中において当選する可能性のあるSB1、SB2及びSB3の単独役に代えて、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」に当選する可能性があるということになる。
なお、上述したとおり、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したとき、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせよりも、通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるように、ステップSのリール停止処理が行われる。ここで、リプレイ図柄は、各リール301a〜301c上において、リールの引き込み制御可能な範囲内で万遍なく配置されているので、通常リプレイ役に当選しているにもかかわらず通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されない(所謂取りこぼす)といった事態は生じない。そうすると、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したときには、常に通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなり、たとえSB役(SB1、SB2、SB3)が重複役として当選していたとしても、このSB役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることは、本実施形態のスロットマシン1ではあり得ないこととなる。
[11−3.遊技状態の遷移]
図56は、メイン基板409に搭載されたCPU1110により実行される遊技状態移行制御処理を示すフローチャートである。
先ず、ボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム、RB2ゲーム)中であるか否かが判断され(ステップS151)、ボーナスゲームが終了すると(ステップS152におけるYES)、一般状態に移行される(ステップS153)。この一般状態では、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、一般状態は、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。
ステップS151においてボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム、RB2ゲーム)中でないと判断されると(ステップS151におけるNO)、ボーナス内部中であるか否かが判断される(ステップS154)。すなわち、内部抽選においてボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2)に当選すると、ボーナス役に対応する条件装置が作動するが、このボーナス役に対応する条件装置は、内部抽選に当選したゲームにおいてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されなかったとしても、次ゲーム以降においても、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されるまで継続して作動する。そして、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ライン
に表示されたと判断されると(ステップS155におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS156)、ボーナスゲームが実行される。
ステップS154においてボーナス内部中でないと判断されると(ステップS154におけるNO)、SB(SB1、SB2、SB3)中であるか否かが判断される(ステップS157)。SB中であるときには、1ゲームのSBゲームが実行され、このSBゲームが終了すると(ステップS158におけるYES)、元の遊技状態すなわちSBゲームが実行される直前の遊技状態に移行する(ステップS159)。
ステップS157においてSB中でないと判断されると(ステップS157におけるNO)、チャンスRTであるか否か(チャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3のうちのいずれかであるか否か)が判断される(ステップS160)。チャンスRTであるときには(ステップS160におけるYES)、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS161)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS161におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS156)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS161においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS161におけるNO)、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたか否かが判断される(ステップS163)。このチャンスRTにおいて「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されたと判断されると(ステップS163におけるYES)、通常RTに移行する(ステップS164)。なお、ここで図示していないが、内部抽選にてボーナス当選したにもかかわらずボーナス役に対応する図柄組み合わせが表示されなかった場合にはボーナス内部中に移行し、内部抽選にてSB当選した場合にはSB中に移行する。これは、後述する通常RT及び一般状態においても同様である。
ステップS160においてチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)でないと判断されると(ステップS160におけるNO)、通常RTであるか否かが判断される(ステップS165)。通常RTであるときには(ステップS165におけるYES)、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS166)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS166におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS167)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS166においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS166におけるNO)、内部抽選の結果がARTリプレイであるか否か判断される(ステップS168)。ここで、内部抽選の結果がARTリプレイであると判断されると(ステップS168におけるYES)、ARTリプレイに対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されているか否かにかかわらず、チャンスRTに移行される(ステップS169)。
なお、通常RTにおける内部抽選においてARTリプレイに当選したとき(ステップS168におけるYES)は、先ずはチャンスRT1に遊技状態が移行する。そして、図56では図示していないが、チャンスRT1における内部抽選においてARTリプレイに当選すると、チャンスRT2に遊技状態が移行する。さらに、同じく図56では図示していないが、チャンスRT2における内部抽選においてARTリプレイに当選すると、チャンスRT3に遊技状態が移行する。なお、チャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3のうちいずれの遊技状態に制御されていたとしても、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたときには、通常RTに遊技状態が移行する。
ステップS165において通常RTでないと判断されたときには(ステップS165に
おけるNO)、遊技状態が一般状態に制御されていることとなる。そしてこの一般状態においても、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS170)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS170におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS171)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS170においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS170におけるNO)、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたか否かが判断される(ステップS172)。この一般状態において「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されたと判断されると(ステップS172におけるYES)、通常RTに移行される(ステップS173)。
ところで、通常RTでは、一般状態と同様に、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、通常RTは、一般状態と同様に、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。
なお、一般状態、通常RT、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)、SB中、ボーナス内部中及びボーナス中の各遊技状態における内部抽選において、各入賞役が当選する確率は、抽出範囲内の乱数値の総個数に対する各入賞役に対応する乱数値の総個数の割合によって算出することができ、例えば、乱数値の総個数を60000とした図49の場合、チャンスRT1において通常リプレイが単独役として当選する確率は、(9000/60000)=0.15、すなわち15%となる。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、メイン基板409から内部抽選の結果情報が情報コマンドとして演出制御基板510のCPU1118に向けて出力される。メイン基板409から出力された内部抽選の結果情報を受信した演出制御基板510のCPU1118は、この結果情報に基づいて、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出を実行する手段を備える。例えば、チャンスRTでは、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるとき、リール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順が、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出により明示される。このように、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるときに、リール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順を遊技者に明示する演出は、例えば一般状態や通常RTでは行われない。したがって、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるとき、一般状態や通常RTに制御されているときよりもチャンスRTに制御されているときの方が、「AT1」〜「AT10」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることが遊技者にとって容易となる。この点で、チャンスRTは、一般状態や通常RTと比べて遊技者にとって有利な遊技状態であるといえる。
このように、本実施形態のスロットマシン1においては、メイン基板409のCPU1110によって、遊技状態が、通常状態(一般状態や通常RT)、及び通常状態よりも有利度の高い有利遊技状態(チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)等)を含む複数の遊技状態のうちいずれかに制御される。
そして、上記の通常状態においては、通常リプレイ役とSB(SB1、SB2、SB3)役とについては、いずれも、同じ抽選機会において他の役と同時に選び出されない単独役として内部抽選が行われる。なお、通常状態では、所定の確率でハズレが選び出される。
チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、SB(SB1、SB2、SB3)役が選び出される確率が60000分の600であり、これは通常状態と同じ確率である。ただし、チャンスRTでは、通常リプレイ役とSB役とが同じ抽選機会において同時に選び出されるように、内部抽選が行われる。
すなわちチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、通常状態では単独役でしかなかったSB(SB1、SB2、SB3)役に代えて、SB役と通常リプレイ役とが同時に選び出される重複役となる。ただし、通常状態では単独役であった通常リプレイ役については、チャンスRTにおいても単独役のままである。すなわち、チャンスRTでは、SB役と重複して通常リプレイ役が選び出される分だけ、通常リプレイ役が選び出される確率が高くなる。なお、チャンスRTのうちチャンスRT2では、ハズレに代わって通常リプレイ役が選び出される。
そしてさらに本遊技機では、チャンスRTにおける内部抽選において、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が選び出されたとき、及び、SB役と重複していない通常リプレイ役の単独役が選び出されたときは、いずれも、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように、回転表示状態にあるリール301a〜301cの停止制御が行われる。ここで、SB役と通常リプレイ役との重複役が選び出された場合には、SB役に対応する図柄組み合わせは表示されないものの、SB役に当選することが後述するART付与条件である場合には、ART付与条件を満たすこととなる。
とくにチャンスRT1にあるときは、通常状態にあるときとハズレ確率が同じであるから、通常状態よりも、SB役に当選する期待ひいてはART付与条件を満たす頻度が高められるように遊技者に感じさせることが可能となる。これにより、チャンスRT1では、ART付与条件を満たすか否かに対して期待を持つことが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、チャンスRT2にあるときは、一般状態、通常RT及びチャンスRT1ではハズレであったものが全て通常リプレイとなり、しかも、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役、及び、通常リプレイ役(単独役)のうちいずれが内部抽選にて選び出された場合であっても、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。したがって、SB役に当選することが後述するART付与条件である場合に、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても、遊技者は、有効ライン上に表示された図柄の組み合わせの態様からは、はたしてART付与条件を満たしたのか否かを把握することが困難となる。
このように本実施形態のスロットマシン1では、原則的には、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合であっても、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示される。ただし、SB役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合であっても、特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技1に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御されることに代えて、他の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。
具体的には、内部抽選にて選び出された役が「SB1+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技2の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。また、内部抽選にて選び出された役が「SB2+通常リプ」である場合と「SB3+通常リプ」である場合
とに特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。
なお、内部抽選にて選び出された役が「SB1+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときに、作動した条件装置のうち、SB1の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技2の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよい。同様に、内部抽選にて選び出された役が「SB2+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち、SB2の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよく、内部抽選にて選び出された役が「SB3+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち、SB3の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよい。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されることを、上記の特定条件の一例とする。具体的には、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合には、「左→中→右」の順押し、「左→右→中」のはさみ押し、「中→左→右」の中押し、「中→右→左」の中押し、「右→左→中」の逆押し、及び、「右→左→中」の逆はさみ押しの6通りの押し順のうち、いずれか一の押し順に決定される。そして、決定された押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されたものとして、上記の特定条件が成立する。
なお、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合には、上記6通りの押し順のうちいずれか一の押し順に決定されるようにしたが、決定される押し順の通り数は1に限られず、2以上の通り数であってもよい。
また、上記の特定条件は、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されることに限られないことは言うまでもない。例えば、三つのリール301a〜301cのうち少なくとも一のリール又は全てのリールが適正なタイミングで停止されるように、リール停止ボタン211a〜211cが停止操作されたこととしてもよい。
ところで、SB(SB1、SB2、SB3)役及び通常リプレイ役は、いずれも、当選成立状態が次ゲーム以降にまで持ち越されない。したがって、SB役と通常リプレイ役との重複役に当選し、今回のゲームで通常リプレイに対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、次回ゲーム以降に改めてSB役に当選しない限りSB役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることができないので、上記の特定条件が成立しなかった場合には、内部抽選の結果がSB役と通常リプレイ役との重複役であったのか単なる単独役としての通常リプレイ役であったのかを、ただちに遊技者に把握されることがない。したがって、内部抽選にてSB役と通常リプレイとの重複役に当選した場合にはかかる当選したゲームから実際にARTゲームが実行されるまでの間に、また内部抽選にて上記重複役に当選していなかったとしても任意の間に、種々の期待演出を行うことによって、遊技者に与える期待感の持続を図ることが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、チャンスRTのうちチャンスRT2では、ハズレに代えて通常リプレイ役が選び出される。すなわち、通常状態ではハズレであった抽出乱数値が、全て通常リプレイ役とされており、ハズレの確率は0となっている。また、SB(SB1、SB2、SB3)役については、当選確率が通常状態と同じ60000分の600であるものの、SB役と通
常リプレイ役との重複役となっている。すなわちこのチャンスRT2では、通常状態(一般状態、通常RT)やチャンスRT1でハズレであったものがこのハズレに代えて通常リプレイ役に当選成立するようになる。
また、このチャンスRT2でも、通常状態では単独役であったSB(SB1、SB2、SB3)役に代えて、SB役と通常リプレイ役とが同じ抽選機会において同時に選び出される重複役となる。ただし、通常状態で単独役であった通常リプレイ役については、チャンスRT2においても単独役のままであり、さらには、通常状態ではハズレであった分まで通常リプレイ役となっている。したがって、このチャンスRT2では、たとえ通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、その出現頻度が極めて高いものとなる(本実施形態ではハズレとなる確率が50%以上である)から、チャンスRT1の場合とは違って、重複役ひいては通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせがたとえ表示されたとしても、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役とが同じ抽選機会において同時に選び出されたことに対する期待感が希薄なものとなる。これにより、チャンスRT2では、複数のリール301a〜301cが停止されたときの図柄の組み合わせからは、ART付与抽選が行われたか否かを把握し難くすることができる。その結果、例えばART付与抽選が行われること又はART付与抽選に当選した可能性があること等を遊技者に明示するような演出を実行するような場合には、複数のリール301a〜301cが停止されたときの図柄の組み合わせからはART付与抽選が行われたか否かを把握し難いので、かかる演出に面白みを持たせることが可能となる。
[11−3−1.チャンスRT]
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、通常RTにおける内部抽選においてARTリプレイに当選すると、次ゲームからチャンスRTが開始される。
ここで、チャンスRTとは、チャンスRTが開始されてから有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されるまでのゲーム期間におけるゲームであり、このチャンスRTでは、図49を見ても分かるように、リプレイの当選確率が一般状態に比べて当選しやすくされている。なお、チャンスRTでは、一定ゲーム数の間、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されることを回避するために、演出制御基板510のCPU1118により、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出が実行される。すなわち、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちいずれかであるときに、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されないように、適正な押し順でのリール停止ボタン211a〜211cの操作を促す演出、又は、適正なタイミングでのリール停止ボタン211a〜211cの操作を促す演出等が実行される。このようにして促された演出に基づいてリール停止ボタン211a〜211cが操作されることによって、一定ゲーム数の間、チャンスRTを継続させることが可能となる。そして、一定ゲーム数のゲームが実行されると、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されないようにするための演出が終了する。そうすると、いずれは、内部抽選にて「AT1」〜「AT10」のうちいずれかに当選し、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されて、チャンスRTが終了することとなる。
また、チャンスRT中は、遊技者に向けてその遊技状態がチャンスRT中であることを認識(識別)できる態様にて実行させる。具体的には、チャンスRT中であることの表示(画像表示体500等による)や、効果音(スピーカ512等による)により識別可能なものとする。
なお、スロットマシン1には複数の設定値(設定値1から4までの4段階)を設けている(それぞれ図示はしない)。そして、それぞれの設定値では内部抽選確率に格差(段階的な差、極端な差など)がつけられている。この設定値は、設定値1<設定値2<設定値3<設定値4、というように設定値が高くなるほどボーナス当選役やARTリプレイの内
部抽選確率が優遇されるようにするとよい。例えば、設定値1に比べると設定値4ではBB1の当選確率が高く決められているのでBB1に当選する可能性が高いといったようなことである。このように段階的な設定値を設けることにより、設定値ごとに特徴を持たせて遊技者が設定値の推測する際の手掛かりとしたり、ホール等の経営に合わせた設定値にてスロットマシン1の運用をしたり、といったことが可能となる。なお、上記のような設定値に限られることはない。
[11−4.リール停止処理]
始動処理が終了すると、一定速度で回転を続けているリールを停止させるための操作(停止操作、つまりリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)待ちの状態となる。図57では、一例として「テーブル方式」によるリール停止処理の内容を示している。以下では、リール停止制御の処理の流れを説明する。
リール停止処理では、まずステップS201で、当該ゲームでの内部抽選の結果に対応して作動した条件装置にしたがってリール停止制御テーブルを選択する。このリール停止制御テーブルは予め全ての条件装置に1対1で対応するパターンが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン基板409のROM1112に格納されている。
上記のステップS201にて成立している条件装置に基づいてリール停止制御テーブルが選択された状態になると、各リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまで待ち受け状態となる(ステップS202,S210,S217)。これらの待ち受け状態で、左リール301a、中リール301b、右リール301cの各リールがすでに停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグがONとなっていない状態(F=0、つまりOFFの状態)であるか否かを判定するとともに、合わせてリール停止ボタン211a,211b,211cのいずれかが押下されたかについても判定する。全てのリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまでは、ステップS209の判定が満たされず、ステップS202以降の処理を繰り返す。
ここで、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の受け付けられた順番(停止操作手順)を、それぞれ「順押し」、「逆押し」、「中押し」と呼ばれる停止操作手順(または押し順ともいう)に分ける。
上記の「順押し」の停止操作手順とは、左リール301aを第1番目に停止させる操作手順(つまり、左リール停止ボタン211aを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 左リール→中リール→右リール 〕、
あるいは、
〔 左リール→右リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「順押し」と呼ぶ。なお、後者の停止操作手順は特に「はさみ押し」とも呼ばれる場合もある。
上記の「逆押し」の停止操作手順とは、「順押し」と反対に右リール301cを第1番目に停止させる操作手順(つまり、右リール停止ボタン211cを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 右リール→中リール→左リール 〕、
あるいは、
〔 右リール→左リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「逆押し」と呼ぶ。なお、後者の停止操作手順は特に「逆はさみ押
し」とも呼ばれる場合もある。
上記の「中押し」の停止操作手順とは、中リール301bを第1番目に停止させる操作手順(つまり、中リール停止ボタン211bを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 中リール→左リール→右リール 〕、
あるいは、
〔 中リール→右リール→左リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「中押し」と呼ぶ。
ステップS202では、左リール301aが停止状態となったことを示すフラグ(左リール停止フラグLF)がOFF(LF=0)であり、なおかつ、左リール停止ボタン211aの押下操作が受け付けられたかを判定する。ステップS201で、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の待ち受け状態から「順押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に左リール停止ボタン211aが押下されたとすると、ステップS202の判定が満たされ、ステップS203に移る。
ステップS203では、第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。ここでいう「第1リール」とは第1番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第1番目に停止するリールのことをいう。この例(「順押し」)では、左リール301aの停止操作が第1番目に受け付けられるので、第1リール停止フラグがOFFの状態(F=0)となっている。従って、ステップS203の判定は満たされ、次のステップS204に移る。
次のステップS204では、左リール301aについて第1リール停止処理が行われる。この第1リール停止処理では、作動している条件装置に対応するリール停止制御テーブルに基づいて内部抽選フラグに対応する当選役図柄の停止位置の制御を実行する。
ステップS206では、残りの中リール301b、右リール301cのリール停止制御テーブルを決定する。前述のとおり、スロットマシン1の有効ラインは右上がりラインと右下がりラインとの2ラインのみであるため、この時点で残りのリール(中リール301b、右リール301c)の停止制御テーブルは1つに決定することができる。つまり、第1停止リール(この場合は左リール301a)の図柄表示窓401内の図柄(これを停止目と呼ぶ、以下同様)のうち特に上段位置または下段位置の図柄が当選役図柄となる可能性のある図柄であった場合、その該当図柄を基準とした有効ライン上に残りのリール(中リール301b、右リール301c)の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルを選択することになる。
ステップS207では、第1リール停止フラグをON(F=1)として、次のステップS208に移る。
次いでステップS208では、左リール停止フラグLFをON(LF=1)として、ステップS209に移る。
そして、ステップS209では、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となったかを判定する。この例では、まだ左リール停止フラグLFがONとなっただけであり、中リール301b及び右リール301cはまだ回転中であることから、この判定が満たされず、ステップS202に戻り以降の処理を繰り返し実行する。
そして、再びステップS202以降の処理が実行される場合、すでに左リール301a
は停止状態となっているのでステップS202の判定は満たされず、ステップS210に移る。
ステップS210では、中リール301bが停止状態となったことを示すフラグ(中リール停止フラグMF)がOFF(MF=0)であり、なおかつ、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられたかを判定する。ここでは「順押し」の停止操作手順に沿うため、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられることとなる。従って、ステップS210の判定が満たされ、次のステップS211に移る。
ステップS211では、上記のステップS203と同様に第1リール停止フラグがOF
F(F=0)であるか判定する。そして、この時点ではすでに第1リール停止フラグはON(F=1)となっているため、この判定が満たされず、ステップS213に移る。
ステップS213では、中リール停止処理として、作動している条件装置に対応するリール制御テーブル(この場合は上記のステップS206で決定したリール停止制御テーブル)に基づいて該当当選役図柄の停止位置の制御を実行する。そして、このとき中リール301bは第2番目に停止するリール(第2リール)となり、ステップS212,S214,S215は全て迂回され、ステップS216に移り、中リール停止フラグMFをON(MF=1)としてステップS209に移る。
そして、再度ステップS209では、左リール301a及び中リール301bが停止状態となっただけであり、まだ右リール301cは回転中で停止状態(右リール停止フラグRFがOFFとなっている)となっていないので、この判定が満たされず、ステップS202に戻り、再度以降の処理を繰り返し実行する。
さらに、3度目のステップS202以降の処理では、先ずステップS217で右リール停止フラグMFがOFF(MF=0)であり、なおかつ、右リール停止ボタン211cの押下操作が受け付けられたかを判定していくことになるが、以降のステップS218,S220等の処理は、上記のステップS210以降の処理(ステップS211,S213)と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、ステップS223にて、右リール停止フラグRFをON(MF=1)として、ステップS209に移る。
最後にステップS209では、この時点において、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となっていることから、この判定が満たされ、リール停止処理が終了する。
なお、「中押し」の停止操作手順の場合も上記と同様の説明ができるため詳細は省略する。ただし、「逆押し」の停止操作手順の場合は上記の説明と一部異なる点があるため、以下に説明する。
「逆押し」の停止操作手順で、上記の「順押し」あるいは「中押し」の停止操作手順と異なる点は、ステップS221(第1リール停止処理の後に残りのリール停止制御テーブルの決定)についてである。すなわち、「逆押し」の停止操作手順では、右リール301cのみが停止状態となり、なおかつ、右リール301cの停止目のうち、下段位置にいずれかの当選役図柄があった場合、まだ2つの有効ラインのいずれにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。従って、ステップS221の段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。
[11−4−1.リール停止制御]
上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選役図柄(該当当選役図柄)を極力図柄表示窓401内に引き込むリール停止制御を行う(いわゆる、引き込み制御といわれる)。具体的には、遊技者によるリールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に停止させることが可能な範囲(該当当選役図柄を引き込むことが可能な範囲、例えば、図柄4個分)を予め決めておき、その範囲内に該当当選役図柄がある場合、これを図柄表示窓401内に引き込んでリールを停止させる制御を実行する。なお、ここでいう「引き込むことが可能な範囲」とは、リールの停止操作が受け付けられてから当該リールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数のことをいう。例えば、引き込み可能な範囲を最大で図柄4個分とすれば、当該リールの停止操作が受け付けられた場合、その位置を基点にしてさらに図柄4個分までリールの回転移動が可能となる。
従って、このようなリール停止制御によれば、リールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に該当当選役図柄がなかったとしても、該当当選役図柄が引き込み可能な範囲内にあれば、その該当当選役図柄を図柄表示窓401内にまで移動させたうえで停止させることが可能となる。また、この引き込み制御を行うことにより、遊技者は該当当選役図柄の目押しのタイミングが多少早かったとしても、引き込み可能範囲内に当該当選役図柄があれば、その当該当選役図柄を図柄表示窓401内に引き込んで停止させることができる。従って、取りこぼし(当該当選役図柄を揃えることができずに当該当選役に対応する遊技特典を獲得できずにその遊技特典が消滅してしまうこと)が生じることを極力抑えることができる。
スロットマシン1では、通常リプレイ役、ベル1、ベル2、ALL役等に対応する条件装置が作動している場合には、遊技者の目押しを必要とせずに必ず該当当選役図柄を揃えることができる(前述の図46参照)。これは、通常リプレイ役、ベル1、ベル2、ALL役等のそれぞれに対応する図柄組み合わせを構成する図柄については、対応するそれぞれの当選役図柄が最大で4個分の図柄おきに配置されているからである。
なお、リプレイ図柄についてさらに着目すると、左リール301a上では、リプレイ図柄からリプレイ図柄までのあいだに他の図柄が最大で4個分配置されている(図46参照)。これにより、左リール301aでは、リールのどの位置で停止操作が受け付けられても、リプレイ役に対応する条件装置が作動している限り、必ずリプレイ図柄を有効ライン上のいずれかに引き込んで停止させることができる。
また、内部抽選の結果がボーナス役と小役との重複役である場合は、ボーナス図柄よりも小役を優先的に引き込むものとしている。ボーナス役と小役との重複役に当選した場合、この当選したゲームにおいては小役に対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、次ゲーム以降においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが表示されるからである。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
[11−5.判定処理]
リール停止処理が終了すると、図柄表示窓401内にていずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(いずれかの当選役に該当する図柄の組み合わせ態様が表示されて
いるか)否かについて判定を行う。図58では、この判定処理の内容を具体的に説明する。
リール停止処理により全てのリール301a,301b,301cが停止した状態となると、図柄表示窓401内の停止目の態様から、いずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かを判定する。なお、特に全てのリールが停止状態となった場合の停止目のことは出目と呼ばれることもある。
ステップS301、S302、S303では、それぞれ、SBゲーム中であるか、RBゲーム中であるか、BBゲーム中であるかを判定する。これはSB中フラグ、RBゲーム中フラグ、BBゲーム中フラグというゲーム状態フラグのON状態(=1)、OFF状態(=0)を判定することである。
SB中フラグがON(=1)となっていると、ステップS301の判定が満たされ、ステップS390に移る。同様にして、RBゲーム中フラグがON(=1)となっていると、ステップS302の判定が満たされ、ステップS380に移る。またBBゲーム中フラグがON(=1)となっているとステップS303の判定が満たされ、ステップS370に移る。
SB中フラグ、RBゲーム中フラグ及びBBゲーム中フラグのいずれもOFF(=0)となっている場合、ステップS301、S302、S303の判定がいずれも満たされず、ステップS304に移る。
ステップS304で、RTゲーム終了判定処理(詳細は後述する)を実行した後、いずれかの有効ライン上に揃っている当選役図柄に応じて、さらに以下のステップS310,S320,S330,S340,S350のいずれかに移る。
ステップS310では、BB図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にBB図柄が揃っている場合(「赤7図柄−赤7図柄−赤7図柄」、この判定が満たされ、次のステップS312に移る。
次のステップS312では、BBゲーム開始処理を実行する。ここでは、BBゲームとして、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。
ステップS320では、RB図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にRB図柄が揃っている場合(「白7図柄−赤7図柄−赤7図柄」、この判定が満たされ、次のステップS322に移る。
次のステップS322では、RBゲーム開始処理を実行する。ここでは、RBゲームとして、BBゲームに準じたメダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。
ステップS330では、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせが揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にSB役に対応する図柄組み合わせが揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS332に移る。
次のステップS332では、SBゲーム開始処理を実行する。ここでは、SBゲームとして、SB役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたゲームの次ゲームに
限り、入賞役についての当選確率に準じたメダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。なお、ステップS332のCRBゲーム開始処理は解決手段に記載の強制当選遊技状態開始手段に相当する。
ステップS340では、リプレイ図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にリプレイ図柄が揃っている場合(「リプベル図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」)、この判定が満たされ、次のステップS342に移る。
次のステップS342では、リプレイゲーム処理を実行する。このリプレイゲーム処理では、当該ゲームでのベット数と同じベット数(この例ではMAXベット)にて次回のゲームを開始させるために、MAXベットコマンドをRAM1114に一旦記憶させる。このコマンドに基づき、次回のゲームを再遊技として開始させることができる。
そして、ステップS344では、リプレイ当選フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
ステップS350では、小役図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上に小役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS352に移る。
次のステップS352では、揃っている小役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)。これにより、遊技者には当該小役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
そして、ステップS354では、該当する小役当選フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
有効ライン上にいずれの当選役図柄も揃っていない場合、上記のステップS310,S320,S330,S340,S350のいずれの判定も満たされず、ステップS360に移る。なお、このときの出目は「ハズレ目(バラバラな図柄の組み合わせ態様)」とも呼ばれる。
ステップS360では、ハズレ処理を実行する。このハズレ処理では、この時点でON(=1)状態となっている当選フラグがBB及びRBを除く他の当選フラグの場合、当該当選フラグをOFF(=0)にする。また、いずれの当選フラグもON(=1)となっていない場合(このときはハズレフラグがON(=1)となっている)には、ハズレフラグをOFF(=0)にする。
上記のステップS304からステップS360までの処理は、一般状態、通常RTの場合に実行する処理となる。次にステップS370以降の処理について説明する。ここでの処理は、BBゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム)、RBゲーム(RB1ゲーム、RB2ゲーム)及びSBゲーム(SB1ゲーム、SBゲーム、SB3ゲーム)の場合に実行する処理である。
まず、ステップS370では、BBゲーム時払出役図柄が揃っているかを判定する。ここでいう「BBゲーム時払出役」とは、ALL役及びボーナスゲーム専用役の総称である。そして、いずれかの有効ライン上にBBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS372に移る。
次のステップS372では、揃っているBBゲーム時払出役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)これにより、遊技者には当該BBゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS372に次いで、ステップS374では、BBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS376に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS370の判定が満たされない場合、ステップ378に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。特にこの例では、取りこぼしが生じないため、当該成立フラグにはハズレフラグが該当する。すなわち、ステップS378では、当該ハズレフラグをOFF(=0)にする。
次にステップS380以降の説明をする。ステップS380では、RBゲーム時払出役図柄が揃っているかを判定する。なお、この「RBゲーム時払出役」も、前述のBBゲーム時払出役と同様にRBゲーム中に払い出しがある当選役の総称であり、本実施形態では、「BBゲーム時払出役」と同じである。そして、いずれかの有効ライン上にRBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS382に移る。
次のステップS382では、揃っているRBゲーム時払出役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)これにより、遊技者には当該RBゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS382に次いで、ステップS384では、RBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS386に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS380の判定が満たされない場合、前述のステップ378に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。これは先に説明したため、説明は省略する。
次にステップS390以降の説明をする。ステップS390では、SBゲーム時払出役図柄が揃っているかを判定する。なお、この「SBゲーム時払出役」も、SBゲーム中に払い出しがある当選役の総称である。いずれかの有効ライン上にSBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS392に移る。
次のステップS392では、揃っているSBゲーム時払出役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)これにより、遊技者には当該SBゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS392に次いで、ステップS394では、CRBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS386に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS390の判定が満たされない場合、ステップ396に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。これは先に説明したステップS378と同じ内容であるため、説明は省略する。
[11−5−1.BBゲーム開始処理]
前述の図58のステップS310の判定が満たされた場合、BBゲーム開始処理を実行する。このBBゲーム開始処理について図59を用いて説明する。
まず、ステップS401では、BBフラグ(BB1フラグ、BB2フラグ)がON(=1)となっているかを判定する。ステップS401の判定が満たされると、ステップS404に移る。ステップS404では、BBゲーム中フラグをON(=1)にする。また図示はしないが、このときBBフラグをOFF(=0)にする。次いでステップS406にて、BBゲーム中の累計払出枚数カウントをクリアする。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、通常ゲームと同様の賭け数3ベット(3枚賭け)にてBBゲームが開始される。
また、ステップS401の判定が満たされない場合、ステップS402に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、BBフラグがOFF(=0)であるにも関わらず、BB図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、いずれかの場合に起こり得るものである。従って、エラー処理では、エラーランプ604の点灯や、その他前述のLED等にエラー発生を知らせる表示を行う。
[11−5−2.BBゲーム終了判定処理]
続いて、前述の図58のステップS374のBBゲーム終了判定処理について図60を用いて説明する。
まず、ステップS451では、前述の図58のステップS372にてメダルの払い出しがあったことを受けて、BBゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数を加算する。
次にステップS452では、累計払出枚数が300枚(BB2の場合は200枚)を超えたかを判定する。このステップS452の判定が満たされない場合、ステップS454に移り、BBゲーム中の累計払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612等に表示する。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい)。また、ステップS452の判定が満たされると、ステップS460に移る。
ステップS460では、BBゲーム中フラグをOFF(=0)にした後、ステップS462にてCRTゲーム開始フラグをON(=1)にして処理を終了する。
[11−5−3.RBゲーム開始処理]
前述の図58のステップS320の判定が満たされた場合、RBゲーム開始処理を実行する。このRBゲーム開始処理について図61を用いて説明する。
まず、ステップS501では、RBフラグがON(=1)となっているかを判定する。ステップS501の判定が満たされると、ステップS504に移る。ステップS504では、RBゲーム中フラグをON(=1)にする。また図示はしないが、このときRBフラグをOFF(=0)にする。次いでステップS506にて、RBゲーム中の累計払出枚数カウントをクリアする。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、通常ゲームと同様の賭け数3ベット(3枚賭け)にてRBゲー
ムが開始される。このことにより、遊技者は通常ゲームと比べて特別な違和感を覚えることなくゲームを行うことができる。
また、ステップS501の判定が満たされない場合、ステップS502に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、RBフラグがOFF(=0)であるにも関わらず、RB図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、いずれかの場合に起こり得るものである。従って、エラー処理では、エラーランプ604の点灯や、その他前述のLED等にエラー発生を知らせる表示を行う。
[11−5−4.RBゲーム終了判定処理]
続いて、前述の図58のステップS384のRBゲーム終了判定処理について図62を用いて説明する。
まず、ステップS551では、前述の図58のステップS382にてメダルの払い出しがあったことを受けて、RBゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数を加算する。
次にステップS552では、累計払出枚数が20枚を超えたかを判定する。このステップS552の判定が満たされない場合、ステップS554に移り、RBゲーム中の累計払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612等に表示する。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい)。
また、ステップS552の判定が満たされると、ステップS556に移る。
ステップS556では、RBゲーム中フラグをOFF(=0)にした後、ステップS558にてLRTゲーム開始フラグをON(=1)にして処理を終了する。
[11−5−5.ARTゲーム開始処理]
ARTゲームは、チャンスRTにおいて実行される有利遊技状態のゲームであり、通常RTにおいてARTリプレイに当選し(遊技状態がチャンスRTに移行し)、さらにART付与抽選に当選したときに実行される。本実施形態のスロットマシン1では、遊技状態がARTゲームに制御されている間は、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるとき、リール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順を教示する押し順演出が実行される。そして、遊技者が教示された適正な押し順に従ってリール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作を行うことによって、「AT1」〜「AT10」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示(停止)させることができ、多量の遊技コインを獲得することができる。
図63は、ARTゲーム開始処理の処理手順を示すフローチャートである。まず、ARTゲーム開始処理は、上述したように通常RTでARTリプレイに当選して遊技状態がチャンスRTに移行した状態で、ART付与抽選に当選したときに開始される(ステップS801)。ART付与抽選は、所定の条件が成立したことに基づいて、メイン基板409のCPU1110によって行われる。例えば、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の結果がSB役(SB1、SB2、SB3)であることが、上記の所定の条件の一つに含まれる。すなわち、内部抽選の結果がSB役であることに基づいてART付与抽選が行われる。なお、ART付与抽選は、内部抽選の結果がSB役(SB1、SB2、SB3)の単独役であるときのみならず、通常リプレイとの重複役(「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」、「SB3+通常リプ」)であるときにも行われる。
ところで、上述したように、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の結果がSB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役であったとしても、特定条件が成立しない限り、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示される。したがって、遊技状態がとくにチャンスRT2やチャンスRT3といったハズレがない遊技状態である場合やハズレがあったとしてもその確率が低い遊技状態である場合には、ART付与抽選が行われたのか否かを、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から把握することが困難となっている。ただし、特定条件が成立した場合には、上述したように、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)よりも、再遊技1、再遊技2、SB1、SB2又はSB3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御される。これにより、チャンスRT2では、遊技者は、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から、ART付与抽選が行われるか否かを把握することは原則的には困難であるものの、特定条件が成立した場合に限り、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から、ART付与抽選が行われるか否かを把握することが可能となる。よって、遊技者は、チャンスRT2において、適正な押し順で操作されることを願ってリール停止ボタン211a〜211cを操作することとなり、リール停止ボタン211a〜211cの操作に面白みを持たせることが可能となる。特に、内部抽選の結果が重複役であったとしても、次ゲーム以降にゲーム結果が持ちこされないSB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役であるから、ART付与抽選が行われるか否かを把握することが可能なゲームが1ゲーム限りとなる。
ステップS801でART付与抽選に当選すると(YES)、ARTゲームへの移行が確定するが、本実施形態のスロットマシン1では、ARTゲームの当選に伴って、当該ARTゲームにおいて遊技者が獲得し得る特典の期待値(以後、出玉期待値と呼ぶ)が抽選される(ステップS802)。具体的には、メイン基板409のCPU1110が、複数の出玉期待値の候補が記載されて予めROM1114に格納されている出玉期待値テーブルを読み出して、出玉期待値を抽選する。抽選によって決定された出玉期待値は、メイン基板409から演出制御基板510にコマンドとして送信されることによって、演出制御基板510のCPU1118も、以後は決定された出玉期待値を認識することができる。ステップS801でART付与抽選に当選しなかった場合は(NO)、何れの処理も行われず終了となる。
ここで、出玉期待値の抽選について、図64を参照しながら説明する。図64は、出玉期待値テーブルの一例を示す図である。図64に示すように、出玉期待値テーブルには、500枚、1000枚、2000枚、といったような複数の出玉期待値のそれぞれに対応する振り分けが定められており、CPU1110によって振り分けの比率に応じた抽選が行われた結果、ARTゲームにおける出玉期待値が決定される。図64の例では、出玉期待値は最低で500枚となっており、3000枚の出玉期待値に振り分けられる比率が30.00%と最も高い。一方で、比率は0.50%と低いながらも、10000枚という大量の出玉期待値に振り分けられる可能性もある。
ステップS802でARTゲームの出玉期待値が決定されると、CPU1110は、ARTゲームのゲーム回数を示すARTゲーム回数に所定ゲーム数(例えば50ゲーム)をセットする(ステップS803)。なお、ステップS803でセットされる所定ゲーム数は、ARTゲームの初期設定ゲーム回数であり、固定値であっても複数候補からの選択値であってもよいが、ステップS802の出玉期待値の抽選結果を考慮して決定されることが好ましい。そして、CPU1110は、以後のゲームにおいて、遊技状態をステップS802で決定された出玉期待値に応じたARTゲームに制御するときにARTゲーム中フラグをON(=1)にし(ステップS804)、有利遊技状態を開始する。なお、CPU
1110は、ARTゲームの付与抽選に当選してから、すぐにARTゲームを開始しなくてもよく、例えば一定のゲーム間隔(前兆ゲーム)をあけてARTゲーム開始まで準備期間を設けたり、又は、所定の図柄組み合わせが表示するまでARTゲームの開始を待機する等の処理を行うようにしてもよい。このような場合、CPU1110は、ARTゲームの当選決定時に当該ARTゲームの出玉期待値を抽選する。ARTゲーム回数やARTゲーム中フラグ等は、RAM1122に一時的に格納される。
かくして、本実施形態によるスロットマシン1では、有利遊技状態(例えば、上述のARTゲーム)への移行に当選した場合に、メイン基板409のCPU1110によって当該有利遊技状態における出玉期待値が併せて抽選され、当該抽選によって決定された出玉期待値に応じた有利遊技状態が制御されることによって、出玉期待値によって管理された有利遊技が提供される。
なお、このような有利遊技状態の当選に伴って抽選される出玉期待値は、当該有利遊技状態の当選に伴って付与される特典の度合いについて規定された範囲(上限又は下限の何れによる範囲を含む)がある場合、出玉期待値の平均値(平均期待値)が規定範囲内となるように設定される。平均期待値は、『Σ(出玉期待値×比率)』の式から算出することができ、すなわち、各出玉期待値とその選択率(図64内の「比率」に相当)とを掛け合わせた値を全ての出玉期待値について合計したものである。例えば、平均期待値に関する規定された範囲(規定範囲)を「3000枚以下であること」とする。このとき、上述の算出式を用いて図64の出玉期待値テーブルから求められる平均期待値は「2897.5枚」であるから、図64の出玉期待値テーブルは、規定範囲を満たす設定であるといえる。もちろん、規定範囲は「3000枚以下」に限定されるものではなく、「2400枚以下」、「1600枚以上3000枚未満」等の範囲でもよい。
また、出玉期待値テーブルに記載される出玉期待値の抽選候補(例えば図64では、「500枚」〜「10000枚」までの11個の抽選候補)、及びその振り分けを決定する方法は、特に限定されるものではないが、平均期待値に基づいて決定されることが好ましい。例えば、平均期待値を中央値とする二項分布に準じるように複数の抽選候補と振り分け率を決定する方法や、平均期待値付近の抽選候補の振り分け率を所定以上の割合とし、残りを他の抽選候補に振り分ける方法等が考えられる。
また、上述の出玉期待値及び平均期待値は、1回の内部抽選の結果に基づいて確定する有利遊技状態において付与され得る特典について、当該特典が付与される度合いの期待値及び平均値を示すものである。したがって、出玉期待値及び平均期待値には、1回の内部抽選の結果に基づいて例えばARTゲームへの移行が確定した場合に、当該ARTゲームにおいてARTゲーム数が追加(上乗せ)されることによる付与特典の追加分も含まれる。具体的なARTゲーム数の上乗せに関しては、図65〜図72を参照して後述する。
また、本実施形態のスロットマシン1は、有利遊技状態に関してメイン基板409(より具体的にはCPU1110)で抽選(決定)された情報を、遊技機の規則を逸脱しない範囲で、スロットマシン1内で接続する他の基板(例えば演出制御基板510)やスロットマシン1の外部に接続された機器(例えばホールコンピュータ)等に通知できるように構成される。有利遊技状態に関して決定された情報とは、例えば、遊技状態が有利遊技状態に移行したことを示す情報であり、また例えば、有利遊技状態について抽選された出玉期待値を示す情報である。情報を通知する形式は特に限定されず、例えば、コマンドによる送信でもよいし、所定の信号出力であってもよい。このような通知の具体例を挙げると、ARTゲームへの当選(又はその移行)がホールコンピュータに通知されることによって、ホールコンピュータはスロットマシン1における有利遊技状態への当選を認識することができ、必要に応じてホール内に報知することもできる。さらに、ホールコンピュータ
に有利遊技状態への当選と合わせて出玉期待値が通知される場合には、ホールコンピュータは、出玉期待値を認識しながら有利遊技状態の経過を把握することができる。このとき、ホールコンピュータは、例えば出玉期待値を上回る特典の付与が行われている場合に、不正な遊技が行われていないかを店員に確認させるように報知する等によって、不正を監視することができる。また、ARTゲームの当選及びその出玉期待値がメイン基板409から演出制御基板510に通知されることによって、演出制御基板510のCPU1118は、当該出玉期待値に基づいて、ARTゲーム数の上乗せ抽選を行うことができる(詳細は後述する)。
[11−5−6.ARTゲーム中における内部状態(確率遊技状態)]
本実施形態によるスロットマシン1では、ARTゲーム中の内部状態として、ARTゲームにおける特典の付与(主に、後述するARTゲーム数の上乗せ等による追加的な特典付与)に対する期待度合いに程度差がつけられた複数の確率遊技状態の何れかが設定(制御)される。本実施形態によるスロットマシン1では、一例としてARTゲーム中の確率遊技状態は、演出制御基板510によって、特典の付与に対する期待度が比較的低い「低確率状態」と低確率状態よりも特典の付与に対する期待度が高い「高確率状態」との何れかに制御されるとし、所定の条件を満たした場合に、低確率状態と高確率状態との間を遷移する。確率遊技状態の選択/変更は、演出制御基板510のCPU1118によって行われ、選択された確率遊技状態を示す情報はRAM1122に保持される。なお、複数の確率遊技状態の種類は限定されるものではなく、例えば、高確率状態よりもさらに特典に対する期待度が高い「超高確率状態」等が設けられてもよい。また、演出制御基板510は、現在選択されている確率遊技状態について、画像表示体500やその他表示器(LED等)に通知又は示唆してもよく、このような通知又は示唆が行われることにより、遊技者の興趣を高めることができる。
ARTゲームの開始時において、演出制御基板510のCPU1118は、確率遊技状態を任意に設定することができる。例えば、ART開始時は低確率状態又は高確率状態の何れかに固定としてもよいし、ART開始時に抽選を行って設定する確率遊技状態を決定してもよいし、ARTゲームの移行当選時の遊技状態や当選したARTゲームの種別に応じて決定する等してもよい。
そして、ARTゲーム中は、演出制御基板510(CPU1118)が、予め定められた方法に従って確率遊技状態を変更するか否かを決定する移行判定を行い、その結果に応じた確率遊技状態に制御する。確率遊技状態の移行判定の具体的な方法例を以下に示す。
第一の例としては、演出制御基板510が、規定のゲーム数(例えば10ゲーム)が経過するまで現在の確率遊技状態を維持した後、所定の確率による抽選を行って、どの確率遊技状態に設定するか決定する。その後、さらに規定のゲーム数(例えば10ゲーム)が経過するごとに、同様の移行判定が繰り返される。このような移行判定を行う場合は、高確率状態に移行した後、即座に低確率状態に転落するということがなくなるため、遊技者は、規定のゲーム数の間、安心して遊技を行うことができ、ARTゲームにおける追加特典の付与に対する期待を高めることができる。
また、第二の例としては、各ゲームでメイン基板409のCPU1110による内部抽選によって選ばれた当選役(又は入賞役)に基づいて、演出制御基板510が、どの確率遊技状態に設定するか決定する。このとき、当選役(入賞役)ごとに異なる移行当選確率を有する抽選テーブルが用いられる。図65は、確率遊技状態の移行判定に用いられる抽選テーブルの一例を示す図である。図65の抽選テーブルに示すように、移行当選確率は当選役(入賞役)ごとに異なっており、例えば、低確率状態から高確率状態への移行当選確率は、共通ベルの場合は1.00%と低めの確率が設定されているのに対し、強スイカ
の場合は25.00%と高めの確率が設定されている。また、低確率状態から高確率状態への移行と、高確率状態から低確率状態への移行とを比較すると、例えば、当選役(入賞役)がリプレイである場合には、低確率状態から高確率状態に移行することはない(移行確率0.00%)一方、高確率状態から低確率状態に転落する確率は20.00%と高めに設定されている。また、当選役(入賞役)が強チャンス役である場合には、必ず低確率状態から高確率状態に移行する(移行確率100.00%)一方、高確率状態から低確率状態に移行することはない(移行確率0.00%)。このように、確率遊技状態の移行当選確率は、メイン基板409で行われる内部抽選における当選確率が比較的低い希少役であるほど、高確率状態への移行当選確率が高めに設定されることが好ましく、このとき、希少役に当選することによって高確率状態に期待できるため、遊技者は、ARTゲームにおける追加特典の付与に対する期待を高めることができる。
また、第三の例としては、第一の例と第二の例とを組み合わせ、確率遊技状態の移行後は規定のゲーム数が経過するまでは当該確率遊技状態を維持し、規定のゲーム数経過後は、メイン基板409による内部抽選で選ばれた当選役に基づいて、当該確率遊技状態からの移行を決定する。さらに、高確率状態で希少役に当選したときは、高確率状態に制御する期間を延長する所定の抽選を行うようにしてもよい。第三の例による移行判定を行う場合は、希少役に当選した場合に高確率状態への移行に期待できるだけでなく、高確率状態に移行した後は規定ゲーム数の間は低確率状態に転落することがないため、遊技者は高確率状態での遊技を楽しむことができ、ARTゲームにおける追加特典の付与に対する期待を高めることができる。
[11−5−7.ARTゲーム中における付与特典の追加]
上述したように、本実施形態によるスロットマシン1では、ARTゲームにおいて、内部状態が複数の確率遊技状態の何れかに制御される。そして、スロットマシン1では、一例として演出制御基板510のCPU1118が、ARTゲーム中の1ゲームごとに、メイン基板409による内部抽選で抽選された当選役に基づいて、ARTゲーム数の上乗せに関する抽選(上乗せ抽選)を行う。具体的には、CPU1118は、まずARTゲーム数の上乗せを行うか否かを決定する上乗せ可否抽選を行い、次に、上乗せ可否抽選に当選した場合に、上乗せするゲーム数(上乗せ数)を決定する上乗せ数抽選を行う。なお、一般的な傾向としては、ARTゲーム数の上乗せ対象となる当選役は、内部抽選による当選確率が通常役(例えば、リプレイや押し順ベル)よりも比較的低い役(希少役)であることが多く、さらに、その当選確率が低い希少役ほど、ARTゲームの上乗せに対する期待度(上乗せの実行率、上乗せゲーム数、又はその双方を含む期待度)が高く設定される。
ここで、[11−5−5]で述べたように、本実施形態のスロットマシン1では、有利遊技状態の1つであるARTゲームに当選した場合に、遊技状態が当該ARTゲームに制御されるよりも前の段階で、メイン基板409によって当該ARTゲームにおける出玉期待値が抽選される。ROM1120には、ARTゲームの初期ゲーム数や追加付与特典(ARTゲーム数の上乗せ)等に関して、抽選候補の複数の出玉期待値に対応する抽選テーブル等の組み合わせが予め定められている。そして、ARTゲームを実行する際、演出制御基板510のCPU1118は、抽選によって選ばれた出玉期待値に応じた抽選テーブル等の組み合わせを選択し、当該選択した抽選テーブルの組み合わせを用いて当該ARTゲームにおけるゲーム数上乗せ等の処理を行う。このようにすることにより、本実施形態によるスロットマシン1では、出玉期待値に基づいたARTゲームに制御することが可能となり、当該ARTゲームの遊技によって、出玉期待値に相応する特典を遊技者に付与し得る。以下では、ARTゲームにおける付与特典の追加(ゲーム数上乗せ等)について説明する。
[11−5−7−1.付与特典の追加に関する第1の例(出玉期待値500枚)]
ARTゲームにおける付与特典の追加に関する第1の例として、メイン基板409で500枚の出玉期待値が選ばれたときのARTゲームについて説明する。
図66は、当選役に基づくARTゲーム数の上乗せ可否抽選を説明するための上乗せ可否抽選テーブル(低確率状態用)の一例である。上乗せ可否抽選テーブルは、演出制御基板510のCPU1118が、内部抽選による当選役に基づいて、ARTゲーム数の上乗せを行うか否かを抽選するために用いられる抽選テーブルであって、ROM1120に格納されている。また、図66に示すように、上乗せ可否抽選テーブルには、ARTゲーム数の上乗せを行うか否かの確率(上乗せ率)が当選役ごとに設定されているが、これらの上乗せ率は、ARTゲームの出玉期待値及び確率遊技状態のそれぞれに応じて異なる確率が設定されることが好ましい。すなわち、本実施形態によるスロットマシン1において、ARTゲーム数の上乗せ可否抽選は、ARTゲームの出玉期待値によって、若しくは、当選役によって、当選確率が異なる抽選テーブルが用いられることが好ましく、さらに、確率遊技状態が低確率状態又は高確率状態の何れであるかによって異なる抽選テーブルが用いられることが好ましい。例えば、図66に示した上乗せ可否抽選テーブルは、500枚の出玉期待値が選択されたARTゲームにおける低確率状態で用いられる抽選テーブルである。図66を参照すると、内部抽選で共通ベルが当選役に選ばれた場合には、0.50%の確率でARTゲーム数の上乗せが行われる(上乗せ率0.50%)。また、内部抽選で強スイカが当選役に選ばれた場合には、20.00%の確率でARTゲーム数の上乗せが行われる(上乗せ率20.00%)。高確率状態で用いられる抽選テーブルについては[11−5−7−2]で後述する。
なお、弱スイカ、強スイカ、弱チェリー、強チェリー、弱チャンス目、強チャンス目に付けられている「強」、「弱」の表現は、ARTゲームの上乗せに対する期待度の強弱に応じて付けられており、例えば、対応する図柄組み合わせがリール窓内に停止するラインや所定の演出等によって遊技者から強弱を判別可能な場合もある。また、チャンス目とは、上記のような特典の付与に対する期待度が比較的高い所定の役であるが、賞としての払い出しの有無によって制限されない。そして、これらの役は、共通ベルやリプレイに比べて内部抽選における当選確率が低い希少役である。さらに、図65を参照しても分かるように、これらの希少役は、共通ベルやリプレイ(不図示)に比べて上乗せ率が高く、特典の追加付与(上乗せ)に対する期待度が高い、有利度の高い当選役といえる。
図67は、上乗せ可否抽選テーブル(高確率状態用)の一例である。図67に示した上乗せ可否抽選テーブルは、500枚の出玉期待値が選択されたARTゲームにおける高確率状態で用いられる。図67に示した上乗せ可否抽選テーブルを図66に示した上乗せ可否抽選テーブルと比較すると、当選役が弱スイカの場合、図66に示す低確率状態の上乗せ率は10.00%にすぎないのに対し、図67に示す高確率状態での上乗せ率は30.00%と3倍も高く設定されている。また、高確率状態で強チャンス役が当選した場合には、上乗せ率100%で必ずARTゲームの上乗せが確定するようになっている。その他の当選役においても、総じて高確率状態での上乗せ率は低確率状態の上乗せ率よりも高く設定されており、出玉期待値が同じARTゲームにおいても、高確率状態に制御されているときのほうが、低確率状態に制御されているときよりもARTゲームの上乗せが行われやすくなっており、特典の追加付与に対する期待度が高い。
図68は、ARTゲームの上乗せ数抽選を説明するための上乗せ数振り分けテーブルの一例である。上乗せ数振り分けテーブルは、演出制御基板510のCPU1118が、ARTゲーム数の上乗せ可否抽選で当選判定した場合に、何ゲームのARTゲーム数を上乗せするかを振り分けるために用いられる振り分けテーブルであって、ROM1120に格納されている。上乗せ数の振り分けは、ARTゲームの出玉期待値によって、若しくは、内部抽選で抽選された当選役によって、異なる振り分けテーブルが用いられることが好ま
しく、例えば図68は、500枚の出玉期待値が選択されたARTゲームにおいて、共通ベルが当選役として選ばれて上乗せ可否抽選に当選した場合の振り分け例を示すものである。ここでは、ARTゲームの確率遊技状態が低確率状態又は高確率状態の何れであっても、同じ振り分けテーブルが用いられるとする。図68によれば、全振り分け数200のうちの100の振り分けにおいて、すなわち50.00%の振り分け率で10ゲームの上乗せ数が選択され、全振り分け数200のうちの50の振り分けにおいて、すなわち25.00%の振り分け率で20ゲームの上乗せ数が選択される。そして、CPU1118は、RAM1122に格納されているARTゲーム回数のセット内容(現在制御されているARTゲームの残りゲーム数)に、上乗せ数抽選で選択された上乗せ数を追加してセットすることによって、ARTゲームの残りゲーム数を追加し、当該ARTの総ゲーム数を増加させる。
なお、図68に示す振り分けテーブルは、500枚の出玉期待値が選択されたARTゲームにおいて確率遊技状態の如何にかかわらず共通して用いられるが、図66及び図67に示されるように、上乗せ率の設定において低確率状態と高確率状態との差異が設定されているので、上乗せゲーム数の振り分けテーブルが共通で用いられたとしても、ARTゲームに追加付与される上乗せゲーム数の期待値は、低確率状態よりも高確率状態のほうが高くなることは明らかである。また、振り分けテーブルを共通とせず、低確率状態と高確率状態とで振り分けられるゲーム数の度合いが異なるように、別々の振り分けテーブルを予めROM1120に格納しておき、確率遊技状態に応じて使い分けるようにしても何ら問題はない。
そして、上述したようなARTゲーム数の上乗せ抽選に用いられるテーブル(図66の上乗せ可否抽選テーブルや図67の上乗せ数振り分けテーブルに相当)は、出玉期待値に相応する特典の付与を実現し得るように、上乗せ率や振り分け率が予め定められる。具体的には、上乗せ率が異なる複数の上乗せ可否抽選テーブル、及び、振り分け率が異なる複数の上乗せ数振り分けテーブルがROM1120に格納され、出玉期待値に応じてどのような両テーブルの組み合わせが選ばれてARTゲームが行われるか、予め設定されていればよい。前述したように、ARTゲーム中は確率遊技状態が低確率状態又は高確率状態の何れに制御されているかによって異なる確率で上乗せ判定(上乗せ率の決定、及び上乗せ数振り分けの決定)が行われるが、このような場合を加味すると、それぞれの確率遊技状態において付与され得る追加特典の期待値にARTゲーム中における低確率状態と高確率状態との制御比率を掛け合わせて合算した値が出玉期待値に相応するように、各確率遊技状態における上乗せ率や振り分け率が設定される。すなわち、ARTゲームにおける平均的な上乗せ率及び振り分けゲーム数から算出される追加特典の度合いを考慮して、当該ARTゲームで平均的に付与される特典の総量が、出玉期待値に相応するように設定される。なお、上述した具体例は一例であって、これらのテーブルについては、上乗せ率又は振り分け率の一方を1通りに固定し、他方を複数通りとし、それらを組み合わせて出玉期待値に応じたテーブルの組み合わせを実現してもよいことは、いうまでもない。
[11−5−7−2.付与特典の追加に関する第2の例(出玉期待値1000枚)]
ARTゲームにおける付与特典の追加に関する第2の例として、メイン基板409で1000枚の出玉期待値が選ばれたときのARTゲームについて説明する。
ここで、図69は、上乗せ可否抽選テーブル(低確率状態)の別例であり、図70は、上乗せ可否抽選テーブル(高確率状態)の別例である。また、図71は、上乗せ数振り分けテーブルの別例である。図71は、当選役が共通ベルの場合に低確率状態及び高確率状態で共通に用いられる。なお、図69〜71は、何れも出玉期待値1000枚のARTゲームで用いられるテーブルである。図69に示す上乗せ可否抽選テーブルでは、図70に示す上乗せ可否抽選テーブルよりも上乗せの当選率が低く抑えられているが、これは、出
玉期待値が500枚のARTゲームで用いられる上乗せ可否抽選テーブル(図66に示した低確率状態用、及び図67に示した高確率状態用を参照)と同様に、特典の追加付与に対する期待度について、低確率状態は高確率状態の場合よりも低く抑えられるためである。また、図71に示す上乗せ数振り分けテーブルは、出玉期待値が500枚のARTゲームで用いられる図68と比較すると、大きな上乗せ数に対する振り分け率が高く設定されている。
[11−5−7−3.異なる出玉期待値における付与特典の比較]
[11−5−7−1]で説明した出玉期待値が500枚のARTゲームの例を、低い出玉期待値の例、[11−5−7−2]で説明した出玉期待値が1000枚のARTゲームの例を、高い出玉期待値の例とし、これらの異なる出玉期待値によるARTゲームについて、付与される特典の比較を行う。
例えば、同じ確率遊技状態として低確率状態で比較すると、出玉期待値が500枚のARTゲーム(低確率状態)で用いられるテーブルの組み合わせは図66及び図68であり、出玉期待値が1000枚のARTゲーム(低確率状態)で用いられるテーブルの組み合わせは図69及び図71である。図66,68を参照すると、出玉期待値が500枚のARTゲームの低確率状態で当選役が共通ベルの場合、ARTゲームの上乗せ率は0.50%で(図66)、上乗せ数の振り分け率は、10ゲームが50.00%、30ゲームが25.00%である(図68)。一方、図69,71を参照すると、出玉期待値が1000枚のARTゲームの低確率状態で当選役が共通ベルの場合は、ARTゲームの上乗せ率は0.50%で変わらないものの(図69)、上乗せ数の振り分け率は、10ゲームが40.00%と減少し、30ゲームが30.00%と増加している(図71)。すなわち、当選役が共通ベルの場合、出玉期待値が500枚のARTよりも、出玉期待値が1000枚のARTのほうが、付与され得る特典の期待値が高い。さらに、当選役が共通ベルの場合の上乗せゲーム数の振り分けについても、図68と図71とを比較すると、出玉期待値が500枚のときは、10ゲームが選択される比率が50.00%で30ゲームが選択される比率が25.00%とあるように、比較的少ない上乗せ数が選択される割合が高い一方、出玉期待値が1000枚のときは、10ゲームが選択される比率が40.00%で30ゲームが選択される比率が30.00%となっているように、出玉期待値が500枚の場合より多い上乗せ数が選択される割合が高くなっている。また、当選役が強スイカの場合について上乗せ率を比較すると、出玉期待値500枚のARTゲームでは、上乗せ率が20.00%である(図66)のに対し、出玉期待値1000枚のARTゲームでは、上乗せ率は22.50%と(図69)高めに設定されており、やはり出玉期待値1000枚の方が、出玉期待値500枚よりも付与され得る特典の期待値が高い(上乗せ数の振り分け率は不図示)。なお、詳細な説明は省略するが、高確率状態同士で比較した場合も、同様に出玉期待値が高いARTゲームのほうが、付与され得る特典の期待値は高くなる。このように、図69〜71に示す抽選テーブルに基づいて追加特典の付与が決定される出玉期待値1000枚のARTゲームは、図66〜68に示す抽選テーブルに基づく出玉期待値500枚のARTゲームに比べて、追加特典(上乗せ)が付与されることへの期待度が高く、ARTゲームを通じて付与される特典に対する期待も高いことが分かる。すなわち、本実施形態によるスロットマシン1では、出玉期待値に基づいたARTゲームが制御され、高い出玉期待値が選ばれた場合ほど、ARTゲーム数の上乗せに対する期待度合いも高く、当該ARTゲームを通じて遊技者に付与される特典の総量も多くなる。
このように、本実施形態のスロットマシン1は、演出制御基板510のCPU1118が、出玉期待値に応じた上乗せ可否抽選テーブル及び上乗せ数振り分けテーブルの組み合わせを用いて上乗せ抽選を行うことによって、メイン基板409のCPU1110によって決定された出玉期待値に相応する特典を付与し得るARTゲームを実現することができる。かくして、本実施形態のスロットマシン1では、メイン基板409のCPU1110
によってARTゲームの当選及びその出玉期待値が決定され、当該出玉期待値を期待値とするARTゲームが実現されるように、演出制御基板510のCPU1118によってARTゲームに関する特典の追加付与(ARTゲーム数の上乗せ)が行われる。なお、ARTゲームに関する特典の追加付与は、ARTゲーム数の上乗せに限定されるものではなく、例えば、所定ゲーム数が定められた別のARTゲーム数の追加(いわゆる、ARTゲームのストック)であってもよく、また、既述のARTゲームを用いた疑似的なボーナスゲームの追加であってもよく、ARTゲーム数の上乗せを含むこれらの追加付与の組み合わせであってもよい。また、ARTゲームの開始時に設定されるARTゲーム数の所定回数を出玉期待値に応じて変動させるようにしてもよい。
[11−5−8.ARTゲーム終了前兆演出]
本実施形態によるスロットマシン1では、ARTゲームの途中で、遊技者に当該ARTゲームの終了を予感させる所定の演出(終了前兆演出)を行うようにしてもよい。この終了前兆演出は、演出制御基板510のCPU1118が画像表示体500に所定の演出画面を表示させる等して実行される。例えば、CPU1118は、ARTゲーム中に当該ARTゲームのためにメイン基板409で抽選された出玉期待値を参照し、当該ARTゲームにおいて付与された特典の総量が当該出玉期待値付近に近づいた場合に、終了前兆演出の開始を指示する。
具体例で説明すると、出玉期待値が500枚のARTゲームが行われているとき、CPU1118は、当該ARTゲームにおける遊技メダルの純増量が400枚を超えたタイミングで、画像表示体500に終了前兆演出の表示を開始させる。図72は、終了前兆演出による画面表示例を示す図である。図72(A)の表示画面9100は、終了前兆演出の序盤画面の一例であり、遊技メダルの純増数が出玉期待値に満たない状況で表示される。図72(B)の表示画面9200は、終了前兆演出の中期画面の一例であり、遊技メダルの純増数が出玉期待値にかなり近い(例えば、前後3%の範囲内)状況で表示される。図72(C)の表示画面9300は、終了前兆演出の終盤画面の一例であり、遊技メダルの純増数が出玉期待値をある程度(例えば5%)超えた状況で表示される。第一の領域9100a,9200a,9300aにはARTゲームの残りゲーム数やARTゲームにおける遊技メダルの純増数等が表示される。また、第二の領域9100b,9200b,9300bには、停止ボタンの適正な押し順が表示される。また、第三の領域9100c,9200c,9300cには、終了前兆演出に関連する所定のゲージ(限界ゲージ)がゲージ量(図72に示す斜線部分)を変動可能に表示される。第一及び第二の領域に表示される情報は、ARTゲーム中の通常時から表示される情報であって、その表示態様が特に限定されるものではない。
図72(A)の表示画面9100に示すように、終了前兆演出の序盤画面では、第三の領域9100cに、「終了が近い・・・?」のようにARTゲームが終了するかもしれないことを遊技者に意識させ得る表示が行われ、同時に、限界ゲージのゲージ量は小程度を占める。限界ゲージのゲージ量は、ARTゲームの消化とともに増加する。次いで、図72(B)の表示画面9200に示すように、終了前兆演出の中盤画面では、第三の領域9200cに、「終了が目前・・・?」のようにARTゲームの終了が目前に迫っていることを遊技者に意識させ得る表示が行われ、同時に、限界ゲージのゲージ量は限界ゲージの大半を占めるまでに増加する。そして、図72(C)の表示画面9300に示すように、終了前兆演出の終盤画面では、第三の領域9300cに、「限界突破!?」のようにARTゲームの終了に関する危険状態を超えたことを遊技者に意識させ得る表示が行われ、限界ゲージではゲージ量を識別できないような表示が行われる。なお、上述のような図72(A),(B),(C)への表示画面の推移は、途中でARTゲームが終了することなく継続した場合にのみ表示される。途中でARTゲームの残りゲーム数が0になった場合には、ARTゲーム終了判定処理(後述する)が行われてARTゲームは終了し、画像表示
体500には、限界を超えられずにARTが終了することを示唆する終了前兆演出(不図示)が表示される。
本実施形態によるスロットマシン1によれば、ARTゲームの消化とともに上述したような流れで終了前兆演出が実行されるとき、まず、遊技者は、終了前兆演出が開始されて序盤画面が表示されたことで、現在の遊技メダルの純増枚数が当該ARTゲームの出玉期待値に近いかもしれないことを察知し得るので、ARTゲームに上乗せが行われる等してさらに継続するかどうか、遊技者を楽しませることができる。次いで、ARTゲームの消化が進み、終了前兆演出の中盤画面が表示される段階に達すると、遊技者に、現在の遊技メダルの純増枚数が当該ARTゲームの出玉期待値に到達しようとしている可能性をより強く感じさせることになり、ARTゲームの継続を願う感情をさらに強く抱かせることができる。そして、ARTゲームが終了することなく、終了前兆演出の終盤画面が表示される段階までARTゲームが継続すると、終了の危険を回避できたかもしれないという気持ちを遊技者に抱かせて安心させ得るとともに、当該ARTゲームでは、当該出玉期待値(ここでは500枚)を上回る段階の出玉期待値が選ばれているかもしれないことを期待させることができる。一方、終了前兆演出の途中でARTゲームが終了してしまった場合には、遊技者は、当該ARTゲームで選ばれていた出玉期待値にほぼ到達するだけの遊技メダルを獲得できたことが分かるため、遊技メダルの獲得量が大量ではなかったとしても、予定された程度の特典を獲得し得たことによる満足感を遊技者に抱かせることができる。
ここで、本実施形態によるスロットマシン1において、上述したような終了前兆演出を行うことができる背景について説明する。前述したように、本実施形態におけるARTゲームは、複数段階から選ばれた出玉期待値に管理されるため、実際に遊技者が獲得する遊技メダルの純増枚数が出玉期待値に近くなるケースが多い。すなわち、出玉期待値が500枚であれば、500枚前後の遊技メダルを獲得したころにARTゲームが終了する可能性が高いため、終了前兆演出によって、当該ARTゲームが終了するかもしれない示唆を行うことができる。また、視点を変えれば、500枚よりも大きな出玉期待値(例えば1000枚)が選択されたARTゲームでは、遊技メダルの獲得枚数が500枚程度で当該ARTゲームが終了するケースは比較的少ないことから、500枚のラインで終了前兆演出が発生したにもかかわらず、当該ラインを上回るまでARTゲームが継続した場合には、遊技者は次の段階の出玉期待値(例えば、1000枚や2000枚等)が選択されていることに期待し得るものである。特に、本実施形態のARTゲームでは、図64で例示したように、出玉期待値が段階的に設定されているために、1つの出玉期待値の段階を超えたと想定できる場合には、段階的に次段階以降の出玉期待値を期待でき、段階ごとの出玉期待値の差分だけ、付与され得る特典量への期待を一気に高めることができる。なお、CPU1118は、出玉期待値近辺で終了前兆演出の実行を必ずしも発生させる必要はなく、例えば、一定の確率で終了前兆演出の実行を決定することが好ましい。また、CPU1118は、終了前兆演出の実行を判定する際に、残りのARTゲーム数を参照し、出玉期待値のラインに到達するまでに残りのARTゲーム数が不足したり超過することが明らかな状況においては、終了前兆演出を実行しないようにしてもよい。このような制御を行うことによって、終了前兆演出によって示唆されるARTゲームの終了に対する示唆と、実際のARTゲームの終了タイミングとの乖離が発生する可能性を抑制することができる。
また、CPU1118は、本来の出玉期待値の近辺で終了前兆演出を実行するだけでなく、本来の出玉期待値よりも低い出玉期待値のラインにおいて、疑似的なダミーの終了前兆演出を実行させる場合があってもよい。このようなダミーの終了前兆演出を行った場合(例えば出玉期待値が1000枚であるが、500枚の出玉期待値に対応する終了前兆演出を実行した場合)に、遊技者からは終了前兆演出がダミー(疑似)であるか判別できないため、遊技者は500枚の出玉期待値が選択されたかもしれないと感じ、遊技メダルの獲得枚数が500枚を超えるまでの間で興趣を高められる。そして、前述したように、実
際には出玉期待値が1000枚であれば、大半の場合で500枚の獲得枚数は突破できるため、このダミーの終了前兆演出は、ARTゲーム中に遊技者の興趣を急激に高めさせる状況を演出することができるとともに、終了の危機を乗り越えるという達成感をも与え得る。
[11−5−9.ARTゲーム終了判定処理]
次にARTゲーム終了判定処理について、図73を用いて詳細に説明する。図73は、ARTゲーム終了判定の処理手順を示すフローチャートである。前述の図58の判定処理において、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示された場合、セットされた回数のARTゲームが行われた場合、ARTゲーム終了判定処理が実行される。
まず、ステップS901では、ARTゲーム中フラグがON(=1)となっているかを判定する。この判定が満たされない場合、いずれの処理も行われず終了となる。
そして、ステップS901の判定が満たされると、次のステップS902では、ARTゲーム回数を「1」だけ減算して、ステップS904に移る。
ステップS904では、残りのRTゲーム回数が「0」であるかを判定する。ARTゲーム回数が「0」であれば、この判定が満たされ、次のステップS906に移り、ARTゲーム中フラグをOFF(=0)にする。
一方、ステップS904の判定が満たされない場合、ステップS910に移り、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されていないか否かを判定する。
そして、ステップS910の判定が満たされると、次にステップS906に移り、ARTゲーム中フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
ステップS910の判定が満たされない場合、処理は終了となる。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、メイン基板409による遊技状態の遷移に関する処理やリール停止に関する処理、又は、各種の判定処理について、周辺基板(例えば演出制御基板510)で行わせるようにしてもよく、このような場合に、各判定処理に用いられるデータは、メイン基板409ではなく、周辺基板のROM(例えばROM1120)に保持される。そして、メイン基板409による処理として説明してきたこれらの処理が周辺基板のCPU(例えばCPU1118)によって行われることで、メイン基板409側の容量軽減を実現できるだけでなく、出玉に関する抽選や演出バリエーションの増加を図ることができるという効果を奏する。また、前述したようにリール制御基板を搭載する場合には、リール制御基板からのコマンドを受けて演出制御基板510が演出及びART抽選等を行うような構成であってもよい。
[11−6.演出動作の制御]
以上は、メイン基板409による制御の例であるが、スロットマシン1では、ゲームの進行にあわせて演出制御基板510により各種演出動作の制御を実行する。これはメイン基板409から出力される各種コマンド(情報コマンド、出力信号)に基づいて、演出制御基板510(主にCPU1118等)にて実行するものである。前述の通りメイン基板449から出力された各種コマンドは、一旦、RAM1122に記憶される。そして、当該コマンドに基づき、予め用意された演出態様を選択し、実行するものである。このような演出態様は、演出態様データテーブル(図示しない)としてROM1120内に格納されており、当該コマンドに対応する演出態様が複数用意されている。
例えば、演出態様としては、当該ゲームのみで完結するもの(以下、単発演出態様という)や、複数のゲームにわたって行われるもの(以下、連続演出態様という)などが含まれる。このうち、単発演出態様には、当該当選フラグを示唆する演出(示唆演出、告知演出、詳細は後述)、メダルの払い出しを知らせる演出(払出演出、なお、払い出し枚数までを知らせる態様でもよい)などがある。
示唆演出は、遊技者に当該当選フラグを直接的に知らせる演出(告知演出)とは異なり、当該当選フラグを間接的に知らせる演出のことをいう、例えば、当該当選フラグに該当する当選役の形、色などを表現した表示等を行うといったことである。また、示唆演出は、当該当選フラグがない場合(つまり、ハズレの場合)にも行われる。この場合には、ハズレであることを気付きにくい内容の演出とする(例えば、いずれの当選役とも取れるような曖昧な内容)。これにより、当該ゲームがハズレであることを遊技者に気付きにくくすることができる。
告知演出は、例えば、当該当選フラグがBBであった場合、「ボーナス確定!」等、遊技者が当該ゲームでいずれの当選役となったかを明確に知ることのできるものである。この演出は、特にBBやRBなど遊技者にとって喜ばしい当選役(メダルを大量に獲得できるため)について実行させるとより効果的である。すなわち、遊技者がBB等に当選した際に、そのことを祝福する意味合いを持たせることができるからである。
また、連続演出態様としては、一般状態、通常RT、チャンスRT中、ボーナス中等の遊技状態に対応したものがある。これらは、遊技状態がどのようになっているかを明確にするものであり、遊技者はこれらの演出(連続演出)が行われることにより、現在の遊技状態が、例えば通常RT中であるのかチャンスRT中であるのか、といった区別を付けることが容易となる。
そして、ARTゲーム中は、開始から終了まで、その旨を遊技者が認識できるよう連続演出を実行させる。例えば、ARTゲームの回数をカウントする表示や、規定回数に近づくにつれて危機感迫る効果音を発生させることなどである。このようにすると、遊技者はARTゲームの残り回数がどれほどあるのか確認しながらゲームを進めていくことができる。
また、ARTゲームでは、連続演出は実行させるが、ARTゲームの回数のカウント表示は特に行わないものであってもよい。これはARTゲームが例えば4000回という遊技者から見て相当に長いゲーム期間であるような場合に、規定回数の終わりをほとんど気にする必要が無いからである。そして、上記回数のカウント表示を行わないことは、例えば、遊技者がARTゲームの規定回数を知り得ていない場合、いつまでARTゲームが続くのか分からずハラハラしながらARTゲームを続けられるという効果を奏することができる。
以上の演出態様は、画像表示体500による画像の表示や、スピーカ512等による効果音の発生、LED装飾等による発光や点灯等、として実行させることができる。このような演出態様は、遊技者が長い時間ゲームを続けている場合など、退屈な印象を与えづらくすることができるものである。なお、演出態様は、画像表示体500、スピーカ512、LED装飾等で実行されることに限られるものではない。例えば、画像表示体500に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。さらに、キャラクタを模した人形や、可動可能な模型等や、サイドリール(例えば、各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものと
してもよい。このような方法をとれば、液晶表示等を用いずとも遊技者を十分に楽しませることが可能である。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、前述してきたように、メイン基板409以外で役抽選やリール制御を行うことが可能となっているため、このような場合は、例えば演出制御基板510側で、役抽選やリール制御を行いつつ、演出制御も行うことができる。このような構成とする場合は、出玉の抽選に関する処理を演出制御基板510側だけで行うことができるため、仮にメイン基板409からの通信エラーが発生した場合でも、出玉の抽選が中断等されることなく、出玉抽選の安全性を保つことができる。また、従来の遊技機とは異なり、メイン基板409からの通信を受け取ることなく演出制御基板510側で、出玉抽選が完結することができる。
[11−7.ARTゲームに関する補足及び効果]
以上の説明では、主にARTゲームについて説明してきたが、本実施形態によるスロットマシン1によって制御可能な有利遊技状態はARTゲームに限定されず、出玉期待値を管理可能な有利遊技状態であれば別の有利遊技状態でもよい。別の有利遊技状態の一例としては、RTゲームやATゲーム等がある。
RTゲームは、例えば、内部抽選によるリプレイの当選確率が通常遊技状態よりも高い遊技状態(RT状態)に制御することによって、リプレイの成立による再遊技率を高めてゲーム数あたりの遊技コインの消費枚数を抑制し、消費ペースが抑制されたRT状態において当選役に基づいた図柄組み合わせの成立に応じた遊技メダルが払い出されることよって遊技メダルの増加を実現し得る有利遊技状態である。また、ATゲームは、例えば、内部抽選でハズレとなる確率を極めて低く設定した遊技状態において、当選役の適正な押し順を教示することによって、遊技メダルの増加を実現し得る有利遊技状態である。
本実施形態によるスロットマシン1がRTゲームやATゲームを出玉期待値によって管理するためには、メイン基板409のCPU1110が、RTゲームやATゲームへの当選時に、併せて出玉期待値を抽選し、演出制御基板510のCPU1118が、当該出玉期待値に基づいて、初期のRTゲーム(ATゲーム)の設定ゲーム数を変更したり、上乗せ可否抽選テーブルや上乗せ数振り分けテーブルと同様のテーブルを用いて、内部抽選による当選役に基づいてRTゲーム数(ATゲーム数)の上乗せを抽選及び実行したりすればよい。
また、図63のステップS804で説明したように、ARTゲームの開始までに所定の準備期間を設ける場合には、当該準備期間において所定の条件を満たした場合(例えば、内部抽選による当選役に基づいて所定の抽選に当選した場合)に、出玉期待値の抽選によって既に決定された出玉期待値をより高い出玉期待値に変更する「出玉期待値の昇格抽選」を行うようにしてもよい。このような出玉期待値の昇格抽選は、メイン基板409のCPU1110によって行われ、出玉期待値の昇格抽選に用いられる振り分けテーブルは、ROM1112に格納される。そして、出玉期待値の昇格抽選が行われ得るスロットマシン1において平均期待値に関する規定範囲が存在する場合には、昇格によって増加する平均期待値と、昇格が行われないままの平均期待値とを、昇格率に基づいて合算した値(平均期待値合算値)について、規定範囲を満たすように設定されることが好ましい。具体的には、昇格前の出玉期待値に関する平均期待値が2500枚、20%の昇格率で昇格後の出玉期待値に関する平均期待値が4000枚であれば、平均期待値合算値は、(2500×0.8+4000×0.2)によって算出され、2800枚となる。従って、平均期待値に関する規定範囲が3000枚以下とする場合に、上記の平均期待値合算値は、規定範囲を満たすように設定されているといえる。
また、本実施形態のスロットマシン1では、出玉期待値のよって管理される有利遊技状態を開始する前に、例えば演出制御基板510が、前兆ゲームにおいてARTゲームに当選しているか否かを示唆する演出を行うだけでなく、ARTゲームに当選していた場合の出玉期待値に関する示唆を行う演出を行うようにしてもよい。また、決定された出玉期待値に基づいて演出の実行制御を変動させてもよく、例えば、高出玉期待値が選択された場合に希少な示唆演出が行われるようにしてもよい。本実施形態のスロットマシン1によれば、このような種々の演出が行われることによって、ARTゲームという有利遊技状態の当落を遊技者に期待させるだけでなく、当選時に獲得し得る特典の大きさについても期待させることができ、例えば高出玉期待値が演出で示唆された場合には、ぜひともARTゲームに当選したいという強い希望を遊技者に抱かせ、興趣を高めることができる。
以上のように、本実施形態によるスロットマシン1は、メイン基板409によって抽選される出玉期待値に基づいた有利遊技状態を制御可能にすることを特徴のひとつとしており、このようなスロットマシン1によれば、当該有利遊技状態によって獲得され得る特典を、メイン基板409が出玉期待値に基づいて管理することができる。一方、従来の遊技機では、有利遊技状態としてARTゲーム(又はATゲーム等)に制御された場合に、ARTゲームを通じて遊技者が多くの利益を獲得できるか否かは、遊技者が、ARTゲーム中の内部抽選で、特典の追加付与に対する期待度(有利度)の高い希少役をいかに引き当て、大量のARTゲーム数を上乗せできるかに依存する部分が多かった。特に、ARTゲームの内部状態が高確率状態である場合には、特に希少役の当選に対する期待は高まる傾向があったが、当選役(入賞役)の抽選結果が期待に沿わず、すなわち希少役に当選できずに有利度が低い通常役(低有利役)にしか当選できなかった場合には、当該ARTゲームで付与される追加特典に期待できなくなっていた。このような従来の遊技機の場合、有利遊技状態であるにもかかわらず、毎ゲームの内部抽選に対して遊技者の緊張が過剰に高められ、疲労が蓄積することにより、少なからず興趣が低下する遊技者が存在した。また、内部抽選の抽選結果は必ずしも平均的なものにはならず、ばらつきが発生するため、同じ有利遊技状態に当選したとしても、遊技者ごとに提供される利益に大きな偏りが生じやすく、興趣が低下してしまう遊技者も少なからず存在した。
しかし、本実施形態のスロットマシン1によれば、有利遊技状態(例えばARTゲーム)において付与され得る一連の特典の期待値(出玉期待値)が、有利遊技状態に移行される前の段階で決定されているので、遊技者は、有利遊技状態中の毎ゲームにおいて内部抽選の結果に極端に緊張せずとも、有利遊技状態全体で考えて、出玉期待値に相応する特典の付与に期待することができる。例えば、遊技者は、有利遊技状態において追加特典の付与に関する有利度の高い希少役に当選できなかったとしても、希少役には当選しにくいことを含めて出玉期待値が予め決定されているため、内部抽選の抽選結果を過剰に気にしなくてすむ。すなわち、有利遊技状態(例えばARTゲーム)における内部状態が高確率状態のときに、希少役に当選できず有利度の低い通常役に当選したとしても、当該ARTゲーム全体を通じて出玉期待値に相応する特典の付与に対する期待感を維持することができる。また、低確率状態のときに希少役に当選できずに有利度の低い通常役に当選したとしても、そもそも低確率状態における通常役当選に対する上乗せの期待度合いは少ないことから、遊技者を特に落胆させることはなく、出玉期待値に基づいて、当該ARTゲーム中の別の機会(例えば、希少役当選時や高確率状態)で追加特典が付与されることに期待できるため、興趣の低下を抑止することができる。そして、本実施形態のスロットマシン1によれば、有利遊技状態における内部抽選に対する遊技者の緊張と疲労の蓄積を緩和することができ、興趣の低下を抑制し得る遊技機を提供することができる。
また、本実施形態のスロットマシン1は、従来の一部の遊技機と同様に、ARTゲーム中の内部状態として、特典の追加付与への有利度が異なる複数の確率遊技状態(具体例では高確率状態と低確率状態)の何れかに制御されるが、従来の遊技機では、低確率状態で
は特典の追加付与に期待できる度合いが低いことから、有利遊技状態にもかかわらず遊技者の興趣が低下してしまうおそれがあった。しかし、本実施形態のスロットマシン1によれば、抽選された出玉期待値に基づいたARTゲームが行われ、かつ、当該ARTゲームの低確率状態及び高確率状態において追加特典の付与のために用いられる抽選テーブル(例えば、図66〜71に示した上乗せ可否抽選テーブルや上乗せ数振り分けテーブルに相当)も、抽選された出玉期待値に応じたものである。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、出玉期待値によって管理されたARTゲームが行われることによって、確率遊技状態の遷移による遊技者の興趣低下を抑制することができる。より詳しく言えば、高程度の出玉期待値が選ばれたARTゲームに制御されている場合、低確率状態で用いられる抽選テーブルは、低程度の出玉期待値が選ばれたARTゲームで用いられる抽選テーブルよりも追加特典の付与が決定される度合いが高く設定されている分、追加特典の付与に対する期待(有利度)が低い低確率状態に制御されたとしても、追加特典の付与に対する期待度の低下が低減される。すなわち、遊技者にとっては、出玉期待値が高ければ、低確率状態であろうと追加特典の付与に期待できることになり、有利度の低い遊技状態であっても興趣を向上させることができる。また、ARTゲームを通じての出玉期待値に基づいてARTゲームが管理されることから、当該ARTゲーム中で低確率状態又は高確率状態の何れに制御されているかという点に拘らない遊技者の増加が期待でき、ARTゲーム全体で遊技を楽しませることが期待できる。
また、継続数管理型のARTゲーム等の有利遊技状態を備えた従来の一般的な遊技機では、遊技者が獲得できる遊技メダル等の利益はARTゲームが継続するほど増加することから、遊技者はARTゲームの継続を願って地道に遊技を続けるしかなく、次第に遊技への興趣が低下するおそれが少なからずあった。これに対し、本実施形態のスロットマシン1によれば、ARTゲームが段階的に設定された複数の出玉期待値から抽選された出玉期待値に基づいて管理され、当該ARTゲーム中は、抽選された出玉期待値に応じた抽選テーブル(例えば、上乗せ可否抽選テーブルと上乗せ数振り分けテーブル)を用いて、特典の追加付与(例えばゲーム数の上乗せ)が行われる。その結果、本実施形態におけるARTゲームでは、選ばれた出玉期待値近辺の遊技メダルを獲得した状況で終了するケースが高まり、ARTゲームの終了する可能性が高い時期と低い時期とが分かれることから、遊技にメリハリを付けて遊技者の興趣を向上させ、有利遊技状態への飽きを抑制することができる。
例えば、出玉期待値が500枚、1000枚、2000枚のうちから選ばれるとすれば、上乗せ抽選に用いられる抽選テーブルについても、500枚、1000枚、2000枚の遊技メダルを付与し得るような上乗せ抽選を実行可能な抽選テーブル(又はその組み合わせ)が用意され、選択される。遊技者は、選ばれた出玉期待値を知り得ない。ARTゲームが進行し、ARTゲームで獲得した遊技メダルの枚数(純増枚数又は払出枚数)が500枚に近づいた状況においては、500枚の出玉期待値が選ばれていた場合はARTゲーム終了の可能性が高いことから、終了への不安と継続への期待とを高めさせて、遊技に集中させることができる。遊技メダルの獲得枚数が500枚を超えた場合は、選ばれた出玉期待値が500枚ではないと推測でき、より大きな出玉期待値である1000枚又は2000枚の可能性に期待できるため、期待できる遊技メダルの獲得枚数も500枚から一気に1000枚以上に飛躍的に増加する。
すなわち、本実施形態のスロットマシン1によれば、有利遊技状態で付与され得る特典に関する延長抽選(上乗せ抽選)について、その抽選基準(抽選テーブル及びその組み合わせ)が出玉期待値に基づいて選択されることで、有利遊技状態で付与され得る特典の総量(遊技メダルの獲得枚数)を出玉期待値に近づけるべく、延長抽選による追加付与の特典の度合いを調整可能にすることができ、これによって有利遊技状態の継続又は終了に関して重要な境界状況を創出できる。そして、有利遊技状態にメリハリを与えることで、遊
技者の飽きを抑制し、興趣の維持及び向上を期待することができる。さらに、有利遊技状態で付与される特典の総量(例えば遊技メダルの獲得枚数)について、継続的にではなく、段階的に期待度合いを高めることができ、付与される特典への期待感を加速的に向上させることができる。特に、[11−5−8]で説明した「終了前兆演出」が実行される場合には、出玉期待値による境界を遊技者に明示可能な態様で伝達することができるため、上述の効果をより高めることができる。
また、本実施形態のスロットマシン1によれば、有利遊技状態において付与され得る一連の特典の大きさは、出玉期待値に基づくことになるので、内部抽選の抽選結果のばらつきによって遊技者に提供される利益に偏りが生じることを抑制する効果が期待できる。より詳しく説明すると、ARTゲームを一例として図63〜図71を参照しながら説明したように、本実施形態のスロットマシン1は、ARTゲームにおいて付与される一連の特典に対する出玉期待値を抽選する(例えば図64)とともに、その出玉期待値に応じたARTゲームの上乗せを上乗せ可否抽選テーブル(例えば図66,69等)と上乗せ数振り分けテーブル(例えば図68,71)とを組み合わせることによって制御する。ここで、上乗せ可否抽選テーブルを用いた上乗せ可否抽選は、内部抽選によって選ばれる当選役に基づいて実行されるものの、上乗せ数振り分けテーブルを用いた上乗せ数振り分けは、当選役に関係なく、予め設定された振り分け率に応じて実行される。すなわち、ARTゲーム数の上乗せという「有利遊技状態における特典の付与」において、上乗せ可否抽選の結果は、内部抽選による当選役によって影響を受けるとしても、付与される特典の度合いである上乗せ数を決定する際には、振り分け率のみに基づいて決定されるため、内部抽選による当選役の影響を軽減することができる。具体的には例えば、内部抽選の当選率が比較的高い当選役について、上乗せ率を高めに設定し、上乗せ数の振り分け内容(振り分け率や上乗せ数)を出玉期待値に基づいて異なるように設定すれば、内部抽選の結果による付与特典への影響度は更に低減する。
従って、このようなスロットマシン1によれば、有利遊技状態に移行された場合に付与され得る有利遊技状態の一連の特典の度合いを、出玉期待値に基づいて可変にすることによって、有利遊技状態で特典を付与するか否かの付与抽選(例えば、「ARTゲーム数の上乗せ抽選」に相当)については、内部抽選で選ばれる当選役に基づいて実行されるものの、付与抽選の結果として付与される特典の度合い(例えば、「ARTゲームの上乗せゲーム数」に相当)への影響を低減することができるものである。その結果、内部抽選の抽選結果のばらつきによって有利遊技状態で付与される特典が偏ることを抑制し得ることにより、遊技者の興趣の低下を抑制し得る。そして、本実施形態のスロットマシン1によれば、内部抽選の結果のばらつきによる偏りを抑制し得ることにより、有利遊技状態で付与される一連の特典の度合いの差異を抑制することにより、平均的に出玉期待値近傍の特典が提供されやすくなることに期待できる。
そして、本実施形態のスロットマシン1では、上述のように内部抽選の結果のばらつきによる偏りを抑制し、平均的に出玉期待値近傍の特典が提供されやすくなるように、ARTゲームで用いる上乗せ可否抽選テーブルと上乗せ数振り分けテーブルとの組み合わせを予め調整しておく場合には、遊技メダルの獲得枚数が出玉期待値近傍に接近した際に終了前兆演出を行うことによる効果がさらに増強され、遊技性を格段に向上させることが期待できる。
なお、前述の実施形態では、ART付与抽選を、内部抽選の結果が所定の遊技役に当選したとき(SB1、SB2、SB3の単独役に当選したときと、通常リプレイとの重複役(「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」、「SB3+通常リプ」)に当選したとき)に行われるものとして説明したが、他の遊技条件が成立することに基づいてメイン基板409のCPU1110によるART付与抽選を行うこととしてもよい。「ART付与抽選」は、前述したとおり、メイン基板409のCPU1110によって行なわれる処理である。具体的には、ART付与抽選は、メイン基板409のCPU1110が、内部抽選に用いる抽出乱数値を取得する際に、併せて、ART付与抽選用乱数値(例えば、0〜65535のハード乱数や、0〜100のソフト乱数など)を取得し、その取得したART付与抽選用乱数値が「ART判定テーブル(ROM1114に格納されているテーブル)に設定されている当り値」と一致するか否かを判定する処理である。そして、ART付与抽選用乱数値が当り値と一致することで「ART付与抽選用乱数が当選する」こととなる。
他の遊技条件が成立することに基づいてメイン基板409のCPU1110によるART付与抽選を行うことの一例としては、内部抽選の結果がハズレのとき(いずれの遊技役にも当選しなかったとき)にART付与抽選を行なうことや、所定の天井到達条件が成立することでメイン基板409のCPU1110によるART付与抽選を行うことが挙げられる。ここで、「天井到達条件が成立する」とは、「ARTゲームやBB等のボーナスゲームが開始されることなく、所定ゲーム数(例えば1000ゲーム)が消化されること」や、「ARTゲームが開始されることなく、BB等のボーナスゲームのゲーム数を含んで所定ゲーム数(例えば1000ゲーム)が消化されること」や、「ARTゲームやBB等のボーナスゲームのゲーム数を含んで所定ゲーム数(例えば1000ゲーム)が消化されること」や、「所定の天井対象役(たとえばスイカ役)の当選回数が特定回数(例えば100回)に達すること」が例示できる。このような天井到達条件の成立は、メイン基板409のCPU1110によって判定されるものであり、ゲームの実行回数や天井対象役の当選回数はメイン基板409のCPU1110によって監視される。
また、所定の遊技役に当選したとき(SB1、SB2、SB3の単独役に当選したときと、通常リプレイとの重複役(「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」、「SB3+通常リプ」)に当選したとき)と、いずれの遊技役にも当選しなかったときと、天井到達条件が成立したときとに夫々ART付与抽選を行なう場合には、夫々のART付与抽選における当選確率を異ならせること等が例示できる。具体的には、当り値の数が異なる複数のART判定テーブル(例えば、ART付与抽選用乱数値の当り値が1個(7のみ)の低確率用ART判定テーブル1と、ART付与抽選用乱数値の当り値が10個(7〜16)」の高確率用ART判定テーブル2と、全てのART付与抽選用乱数値が当り値とされる超高確率用ART判定テーブル3)を設け、ART付与抽選を行なうこととなった遊技状況によって、異なるART判定テーブルを用いることができ、より具体的には、いずれの遊技役にも当選しなかったときには、ART判定テーブル1を用いてART付与抽選を行い(例えばART付与抽選における当選確率が1%)、所定の遊技役に当選したときには、ART判定テーブル2を用いてART付与抽選を行い(例えばART付与抽選における当選確率が10%)、天井到達条件が成立したときには、ART判定テーブル3を用いてART付与抽選を行う(例えばART付与抽選における当選確率が100%)こと等が例示できる。
また、天井到達条件が成立してART付与抽選を行い、ARTゲームを開始する場合には、著しく射倖性が高くならないように、そのARTゲームにおいて遊技者が獲得し得る特典の期待値(上述の実施形態の出玉期待値)を制限するようにしてもよい。例えば、上述の実施形態のように、出玉期待値テーブルに500枚、1000枚、2000枚、・・・といった複数の出玉期待値のそれぞれに対応する振り分けが定められている場合であって、天井到達条件が成立することに基づいてARTゲームを開始する場合には、出玉期待値の抽選結果として比較的少ない「1000枚以下の出玉期待値」のみを決定するようにすること等が例示できる。より具体的には、天井到達条件が成立したときと、天井到達条件が成立していないときとで異なる出玉期待値テーブルを用いて出玉期待値を抽選することとし、例えば、天井到達条件が成立したときには、「500枚と1000枚の出玉期待値のみに対応する振り分けが定められている天井到達用出玉期待値テーブル」を用いて出玉期待値を抽選することが例示できる。また、別例として、天井到達条件が成立したときには、出玉期待値の抽選結果にかかわらず、一律で500枚の出玉期待値を決定すること等が例示できる。これにより、天井到達時の射倖性が高騰することを確実に制限できる。なお、出玉期待値の抽選を行なわずに、ARTゲームの初期回数を抽選で決定する仕様(例えば、ARTゲームの初期回数を30ゲーム、50ゲーム、100ゲーム、300ゲームの中から決定するものなど)の場合にも、天井到達条件が成立したときには、ARTゲームの初期回数として、比較的少ないゲーム数(30ゲームまたは50ゲーム)を決定するようにしたり、最も少ないゲーム数(30ゲーム)のみを決定するようにすること等が例示できる。
また、上述の実施形態によるスロットマシン1は、メイン基板409のCPU1110によってART付与抽選及びその出玉期待値が決定され、演出制御基板510のCPU1118によってARTゲームに関する特典の追加付与(ARTゲーム数の上乗せ)が行われていたが、メイン基板409のCPU1110が、ART付与抽選及びその出玉期待値を決定するだけでなく、ARTゲームに関する特典の追加付与(ARTゲーム数の上乗せ)に係る処理等のARTゲームの進行に係る遊技処理を行なうこととしてもよい。以下に、メイン基板409のCPU1110がART(AT)に関する全ての処理を行なう他の実施形態(第2実施形態)を例示する。
(第2実施形態)
第2実施形態によるスロットマシン1は、メイン基板409のCPU1110が、RTゲームやATゲームへの当選時に、併せて出玉期待値を抽選し、さらに、当該出玉期待値に基づいて、初期のRTゲーム(ATゲーム)の設定ゲーム数を設定したり、上乗せ可否抽選テーブルや上乗せ数振り分けテーブルと同様のテーブルを用いて、内部抽選による当選役に基づいてRTゲーム数(ATゲーム数)の上乗せを抽選及び実行するものである。
第2実施形態によるスロットマシン1は、前述の実施形態と同様に、メイン基板409のCPU1110によってARTゲームの付与抽選および出玉期待値の抽選を行う。その後に、出玉期待値の抽選を行ない、初期のRTゲーム(ATゲーム)のゲーム数を設定する。初期のRTゲーム(ATゲーム)のゲーム数設定は、前述の実施形態にて演出制御基板510のCPU1118が行っていた処理と同様の処理をメイン基板409のCPU1110が実行する。そうしてARTゲーム数を設定すると、ARTゲーム中であることを認識すべく、メイン基板409のCPU1110がARTゲームフラグをONに設定し、ARTゲームの開始を制御する。そして、ARTゲームフラグをONに設定すると、演出制御基板510にARTゲーム開始コマンドを送信するとともに、出玉期待値の抽選結果に基づくコマンドを送信する。ARTゲーム開始コマンドを受けた演出制御基板510は、ARTゲームを盛り上げるために、画像表示体500による画像の表示や、スピーカ512等による効果音の発生、LED装飾等による発光や点灯等をARTゲーム用の各種の設定に変更する。
なお、メイン基板409のCPU1110は、ARTゲームフラグをONに設定すると、ARTゲーム中であることを外部に示すために、表示パネル501に設けたART用LED(図示せず)を発光させる制御を行う。これにより、演出制御基板510等によるARTゲームの報知だけでなく、メイン基板409のCPU1110によるARTゲームの報知も行なうことが可能となり、演出制御基板510にバックアップが無い場合や、何らかの不具合で演出制御基板510が初期化されてしまった場合にも、ART用LEDによりARTゲーム中であることを確実に報知することができる。
また、メイン基板409のCPU1110は、ARTゲームフラグをONに設定すると、ARTゲーム中であることをホールコンピュータ1200等に外部出力するために、外部中継端子板131を介してARTゲーム中信号を出力する。これにより、遊技ホールが当該スロットマシンにおけるARTゲームの開始を適切に認識可能となる。
また、メイン基板409のCPU1110は、ARTゲームが開始されると、ARTゲーム回数の計数を開始する。ARTゲーム回数の計数は、1ゲームあたり1減算する減算方式で行なわれる。ただし、メイン基板409のCPU1110によるARTゲーム回数の計数は、外部に報知することはなく、ARTゲームの開始、終了を監視するためのものであり、ARTゲーム回数の報知は、前述の実施形態と同様に演出制御基板510のCPU1118によって行われる。
また、ARTゲーム中に内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるとき、演出制御基板510のCPU1118によってリール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順を教示する押し順演出が実行されるとともに、メイン基板409のCPU1110によって、「適正な押し順による停止操作をしないと入賞成立しない役に当選したこと」を示すAT役当選用LEDを発光させる制御を行う。AT役当選用LEDは、表示パネル501に設けられる(図示せず)。具体的には、メイン基板409のCPU1110は、ARTフラグがONに設定されている状態にて内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるとき、AT役当選用LEDを発光させる制御を行う。したがって、ARTフラグがONに設定されていない状態では、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであっても、AT役当選用LEDを発光させる制御は行われない。これにより、演出制御基板510等による押し順の報知だけでなく、メイン基板409のCPU1110によって「押し順を要する役に当選したこと」を外部に知らせることが可能となる(押し順までは教えない)。AT役当選用LEDは、1ゲームの終了で消灯させる。
ARTゲーム中の内部抽選にてSB1〜SB3に当選した場合には、前述の実施形態にて演出制御基板510のCPU1118が行っていた処理と同様に、メイン基板409のCPU1110によりARTゲームの上乗せ抽選が行われ、残りのARTゲーム数を増加させる。残りのARTゲーム数がゼロになると、メイン基板409のCPU1110は、ARTゲームフラグをOFFに設定してARTゲームを終了させる。なお、ARTゲームフラグをOFFに設定すると、ART用LEDを消灯するとともに、ARTゲーム中信号の外部出力も停止する。また、ARTゲームフラグをOFFに設定すると、演出制御基板510のCPU1118にARTゲーム終了コマンドを送信する。ARTゲーム終了コマンドを受けた演出制御基板510は、ARTゲームの終了を示す演出を画像表示体500による画像の表示や、スピーカ512等による効果音の発生、LED装飾等による発光や点灯等で行い、その後に通常のゲーム用の各種の設定に変更する。このようにメイン基板409のCPU1110によってARTの開始・終了およびその他の制御を行うことで、演出制御基板510のCPU1118に不正なアクセス等がなされても、ARTゲームを不正に長引かせる等のゴト行為ができなくなり、スロットマシン1の信頼性を高められる。
また、第2実施形態によるスロットマシン1の変形例として、AT役当選用LEDに代えて「押し順報知用LED」を表示パネル501に設けることとしてもよい(図示せず)。具体的には、ARTゲーム中に内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるとき、演出制御基板510のCPU1118によってリール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順を教示する押し順演出が実行されるとともに、メイン基板409のCPU1110によって、適正な押し順を示すための「押し順報知用LED」を発光させる制御を行う。押し順報知用LEDは、各停止ボタンに対応して表示パネル501に3つ設けられ、停止ボタン211aの操作指示に対応する「押し順報知用LEDa」、停止ボタン211bの操作指示に対応する「押し順報知用LEDb」、停止ボタン211cの操作指示に対応する「押し順報知用LEDc」が設けられる。
メイン基板409のCPU1110は、ARTフラグがONに設定されている状態にて内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるとき、各役の入賞を成立させることのできる順番で押し順報知用LEDa〜cを発光させる制御を行う。たとえば、ARTゲーム中に内部抽選の結果が「AT7」である場合には、適正な押し順は「右→左→中」であり、全てのリールが回転している状態では、メイン基板409のCPU1110によって押し順報知用LEDcを発光させる制御が行われ、演出制御基板510のCPU1118によって画像表示体500による「右!」の画像および音声が出力される。そして、これらの指示通りに停止ボタン211cが操作されてリール301cの回転が停止すると、メイン基板409のCPU1110によって押し順報知用LEDcを消灯させるとともに押し順報知用LEDaを発光させる制御が行われ、演出制御基板510のCPU1118によって画像表示体500による「左!」の画像および音声が出力される。そして、これらの指示通りに停止ボタン211aが操作されてリール301aの回転が停止すると、次に、メイン基板409のCPU1110によって押し順報知用LEDaを消灯させるとともに押し順報知用LEDbを発光させる制御が行われ、演出制御基板510のCPU1118によって画像表示体500による「中!」の画像および音声が出力される。そして、これら指示通りに停止ボタン211bが操作されてリール301bの回転が停止すると、メイン基板409のCPU1110による押し順報知用LEDの発光制御および演出制御基板510のCPU1118による押し順報知が終了する。このように、演出制御基板510のCPU1118によって押し順の報知を行なうだけでなく、メイン基板409のCPU1110によっても押し順の報知を行なうようにすることで、遊技者が報知を見落とす可能性、押し順を間違える可能性を従来に比して減少させることができる。なお、メイン基板409のCPU1110および演出制御基板510のCPU1118の指示通りに停止ボタンが操作されなかった場合には、そのゲームでは、メイン基板409のCPU1110による押し順報知用LEDの発光は終了し、演出制御基板510のCPU1118によって、押し順ミス用の報知が実行される。
また、前述した押し順報知用LEDを「押し順の数」に対応して設けることとしてもよい。具体的には、「左→中→右」の押し順に対応する押し順報知用LED1と、「左→右→中」の押し順に対応する押し順報知用LED2と、「中→右→左」の押し順に対応する押し順報知用LED3と、「中→左→右」の押し順に対応する押し順報知用LED4と、「右→中→左」の押し順に対応する押し順報知用LED5と、「右→左→中」の押し順に対応する押し順報知用LED6とを表示パネル501に設けることが例示できる(図示せず)。
このようにした場合、ARTゲーム中に内部抽選の結果が「AT7」である場合には、適正な押し順は「右→左→中」であり、リールが回転してから全てのリールが停止するまでの間、メイン基板409のCPU1110によって押し順報知用LED6を発光させる制御が行われる。この間、停止ボタン211a〜211cが操作される度に、演出制御基板510のCPU1118によって画像表示体500による「右!」「左!」「中!」の画像および音声が順次出力される。そして、指示通りに停止ボタン211が操作されて全てのリール301の回転が停止すると、メイン基板409のCPU1110による押し順報知用LED6の発光制御および演出制御基板510のCPU1118による押し順報知が終了する。このように、押し順の種類ごとに設けた押し順報知用LED1〜6をメイン基板409のCPU1110によって発光制御することで、遊技者が押し順の報知を見落とす可能性、押し順を間違える可能性を従来に比して減少させることができ、さらには、1ゲーム中のメイン基板409のCPU1110の処理負担を軽減できる。なお、メイン基板409のCPU1110および演出制御基板510のCPU1118の指示通りに停止ボタンが操作されなかった場合には、そのゲームでは、メイン基板409のCPU1110による押し順報知用LEDの発光は終了し、演出制御基板510のCPU1118によって、押し順ミス用の報知が実行される。
また、第2実施形態によるスロットマシン1の変形例として、ARTゲームを除く遊技状態で規定の押し順以外で停止ボタン211a〜211cが操作された場合、すなわち、ARTフラグがONに設定されていない状態にて規定の押し順(本実施例では順押し)以外で停止ボタン211a〜211cが操作された場合に、メイン基板409のCPU1110が以下のようなペナルティ制御を行うこととしてもよい。なお、ペナルティ制御を行う条件は、種々のものが設定でき、例えば、「ARTフラグがONに設定されていない状態にて、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかに当選し、規定の押し順(本実施例では順押し)以外で停止ボタン211a〜211cが操作されること」問うとしてもよい。
メイン基板409のCPU1110は、ペナルティ制御を行う条件が成立すると、所定ゲーム数に亘ってペナルティフラグをONに設定する。ペナルティフラグは所定ゲーム数が経過することでOFFに設定され、これにより、ペナルティが解除される。ペナルティフラグがONされている間は、メイン基板409のCPU1110によって遊技者に不利な遊技状況が設定される。ペナルティフラグをONに設定するゲーム数は、複数ゲーム(例えば10ゲーム)であってもよいし、1ゲームであってもよい。
具体的に、メイン基板409のCPU1110は、ペナルティフラグがONに設定されている状況では、次の(1)〜(5)のいずれかの処理を行なう。
(1)メイン基板409のCPU1110によるART(AT)に関する処理を一切行なわない。すなわち、メイン基板409のCPU1110が、ART付与抽選、その出玉期待値の決定、ARTゲームに関する特典の追加付与(ARTゲーム数の上乗せ)に係る処理等のARTゲームの進行に係る遊技処理を行なわない。
(2)メイン基板409のCPU1110によるARTに関する処理をペナルティフラグがOFFのときよりも不利な態様で実行する。すなわち、メイン基板409のCPU1110が、ART付与抽選、その出玉期待値の決定、ARTゲームに関する特典の追加付与(ARTゲーム数の上乗せ)に係る処理等のARTゲームの進行に係る遊技処理を行うものの、遊技者にとってもっとも不利な結果しか決定しない。
(3)メイン基板409のCPU1110による停止制御を、「全ての役の入賞成立が不能な停止テーブルを用いた制御」あるいは「遊技役のうちメダルの払い出しを伴う役の入賞成立が不能な停止テーブルを用いた制御」に変更する。
(4)メイン基板409のCPU1110により、全ての遊技でフリーズ(100sの間、リールが回転しない)を発生させ、1ゲーム当りの進行時間を通常時よりも鈍足化する。
(5)メイン基板409のCPU1110により、遊技の進行を不能とするエラー状態を発生させる(電源投入等のエラー解除操作が成されない限り、エラー状態は終了しない)。
このように、推奨する操作以外で遊技が進行された際に、メイン基板409のCPU1110により、強制的に遊技の進行を不利にすることで、設計者の意図する態様での遊技進行を促すことが可能となる。
[1.ペナルティ非搭載機]
従来の遊技機では遊技者が想定された仕様に反する遊技操作手順を行った場合に不利益状態となるいわゆるペナルティ機能を搭載することで出玉率が設計値を超える遊技方法(いわゆる攻略打ち)を予防し、ホール運営者に不測の損害が発生するリスクを低減した遊技機を実現している。一方、ペナルティ機能の弊害として、悪意なく誤って禁止操作手順で遊技してしまった遊技者が損害を被るという場合もあり、遊技者の遊技意欲を減退させることにも繋がるため、遊技者への配慮からペナルティ機能を用いずともホール運営者に不測の損害を発生させるリスクを低減した特定性能遊技機(AT機・ART機・RT機等及びそれらに準ずる仕様の機種)にも一定の需要があると言える。そのため、遊技仕様の一例として以下で、ペナルティ非搭載型の遊技機の仕様について説明する。
[1−1.ペナルティ非搭載機−押し順役均等型]
各当選役についての当選確率は、図74の表1に示されるように、遊技状態毎に決められている。なお、説明の便宜上、その他の小役やボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2等)などの記載は図74の表1から割愛している。押し順ベル1〜6は段落0217のAT専用役と同様、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、作動した条件装置のうち8枚ベルに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、抽選の結果が「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のうちのいずれかであったとしても、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合には、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが表示されるか、ハズレの図柄(ベルこぼ目)の組み合わせが表示されることとなる。第1RTリプ1〜6、第2RTリプ1〜6、第3RTリプ1〜6を以下押し順リプと呼ぶ。押し順リプは、適正な押し順で操作された場合は、特典(RT遷移や抽選優遇状態への移行など)が付与されるリプレイ図柄組合せ(以下「正解リプ」)が表示され、適正な押し順以外で操作された場合は、適正な押し順で操作した場合と比べて特典の小さいリプレイ図柄組合せ(通常リプレイや、現在滞在しているRT状態と比べて有利度合いの低いRTへの移行契機となるいわゆる転落リプレイ、ART等の抽選が不利な状態への移行/移行抽選がされるリプレイ等。以下「不正解リプ」と称する。)が揃うこととなる。本実施例では、第1RTリプ1〜6の押し順正解時は「正解リプ」として第1RTリプ図柄組合せが有効ライン上に表示され、第2RTリプ1〜6の押し順正解時は「正解リプ」として第2RTリプ図柄組合せが有効ライン上に表示され、第3RTリプ1〜6の押し順正解時は「正解リプ」として第3RTリプ図柄組合せが有効ライン上に表示される。なお、第1RTリプ1〜6、第2RTリプ1〜6、第3RTリプ1〜6の押し順不正解の場合は、「不正解リプ」として通常リプレイの図柄組合せが有効ライン上に表示される。
RTの遷移条件としては以下の通りである。
・一般状態:設定変更時及びボーナス終了時
・通常RT:ベルこぼ目の表示
・チャンスRT1:第1RTリプ図柄組合せの表示
・チャンスRT2:第2RTリプ図柄組合せの表示
・チャンスRT3:第3RTリプ図柄組合せの表示
メイン基板409の抽選により有利遊技状態(ART、RT等)となる権利を取得した場合、指示手段(液晶、LED、スピーカー、振動機構、可動役物、メインリールの動作態様等)で、押し順ナビが発生する状態となる。
上記のように6通りの押し順の全てで押し順役の抽選値の振り分けを均一な構成とした場合、「左→中→右」「左→右→中」「中→左→右」「中→右→左」「右→左→中」「右→中→左」のどの押し順で操作した場合でも、ベル及び正解リプの入賞の割合が同じとなる。したがって、何か特定の押し順が有利又は不利になるということがなく、特定の押し順で操作した場合にペナルティを発生させる仕様を搭載せずに、特定性能遊技機を実現することができる。なお、押し順不正解時に1枚役の図柄組合せが表示される割合と、ハズレの図柄(ベルこぼ目)が表示される割合も全ての押し順で共通の設計とすることが望ましい。もっとも、払出枚数への影響が少ないため、図柄配列などの都合に鑑みて1枚役の図柄組合せが表示される割合と、ハズレの図柄(ベルこぼ目)が表示される割合に多少の差が生じても構わない。また、上記の表では押し順役の抽選値の振り分けを完全に均一な値としているが、大きくゲーム性に影響しないレベルであれば、多少の振り分けの差が存在するものであってもよい。
本実施例での主なRT状態の遷移は、ボーナス終了後及び設定変更後は、一般遊技状態から開始され、押し順ベル1〜6成立ゲームでの押し順不正解を契機としてベルこぼ目が表示され、通常RTへと遷移する。通常RTに入った場合、第1RTリプ1〜6成立ゲームでの押し順正解を契機として第1RTリプ図柄組合せが表示され、チャンスRT1へと遷移し、押し順ベル1〜6成立ゲームでの押し順不正解を契機としてベルこぼ目が表示された場合は、通常RTへと遷移する。チャンスRT1に入った場合、第2RTリプ1〜6成立ゲームでの押し順正解を契機として第2RTリプ図柄組合せが表示され、チャンスRT2へと遷移し、押し順ベル1〜6成立ゲームでの押し順不正解を契機としてベルこぼ目が表示された場合は、通常RTへと遷移する。チャンスRT2に入った場合、第3RTリプ1〜6成立ゲームでの押し順正解を契機として第3RTリプ図柄組合せが表示され、チャンスRT3へと遷移し、押し順ベル1〜6成立ゲームでの押し順不正解を契機としてベルこぼ目が表示された場合は、通常RTへと遷移する。チャンスRT3に入った場合、押し順ベル1〜6成立ゲームでの押し順不正解を契機としてベルこぼ目が表示された場合は、通常RTへと遷移する。なお、RT状態の種類数はこれより少ない又は多いものであっても良い。また、RTの遷移条件についても特定の図柄組合せの表示以外に、ボーナス成立、特定の操作手順での遊技、所定ゲーム数の経過、所定枚数の遊技媒体の消費、所定時間の経過、ホール店員のリセットスイッチや設定変更スイッチ等の操作、電断復帰などの際に行うものであっても良い。
押し順ナビが発生しない状態でも、各押し順リプレイの成立ゲームで運良く押し順に正解し続け、途中でベルこぼ目も表示されなかった場合は、通常RT→チャンスRT1→チャンスRT2→チャンスRT3とRTが遷移し、最もリプレイ確率が高く遊技者にとって有利度合いのチャンスRT3に到達することができる。このような場合に、押し順ナビに頼らず自力でチャンスRT3に到達したことの報酬として、ATの権利を獲得し指示発生状態(AT状態、ART状態等)とする処理を行う。そのため、毎ゲームのAT抽選とは別に、押し順を正解させることでATの権利を獲得することができるため、押し順あてのゲーム性が生まれ遊技の興趣を高めることができる。また、低い確率ではあるが、通常RTにおいて第3RTリプが成立する場合があり、この場合は、1回押し順に成功するだけでチャンスRT3に到達し、AT権利を獲得できるため、当該ゲームでは遊技者に多く期待感を持たせることができる。演出装置(液晶、LED、可動役物など)を用いて、当該ゲームで押し順を当てると恩恵が受けられる旨の演出を行うことが望ましい。また、メインリールのフリーズや逆回転、普段とは異なる順番でリールが回転開始、バウンドストップなどの演出を用いて押し順あてのゲーム性を盛り上げても良く、メインリールと演出装置を合わせて演出を行っても良い。通常RTから低確率の第3RTリプを引き、そこで押し順に正解した場合は、「通常RT→チャンスRT1→チャンスRT2→チャンスRT3」という遷移経由でチャンスRT3に到達した場合よりも大きな特典を与える仕様としても良い。さらには、所定条件成立時は、押し順あてのゲームにおいて押し順ナビを発生させても良く、その際は、全ての押し順をナビする場合や第1停止リールのみナビする場合、最終停止リールのみナビする場合、ナビなしと見せかけて第1停止を自力で正解した場合に第2・第3停止をナビする場合など様々なバリエーションを設けて多彩なゲームを実現するものであっても良い。
図74の表1には記載していないが、どの押し順でも第3RTリプ図柄組合せの表示が停止する特別リプレイ役を持たせても良く、この役が成立した場合にも第3RTリプ1〜6成立ゲームと同様の6択当て演出を行えば、遊技者に自力で6択に成功したかのような達成感を付与することができる。
メイン基板409のCPU1110によって指示が発生する有利遊技状態(AT状態、ART状態)とすることで、万一メイン基板と周辺基板の基板間通信に不具合が発生した場合にも、有利遊技状態抽選(AT抽選、ART抽選)及びナビ発生を行うことができ、周辺基板でAT等の抽選を行う機種と比べて不具合発生の可能性を低くすることが可能となる。また、メイン基板は周辺基板と比べて、基板の回路構成、基板ケースの封印構造、筐体内での設置位置やプログラムに使用されるコンピュータ言語の特性などによりセキュリティ性が高いため、メイン基板においてAT抽選を行うことにより、周辺基板でAT等の抽選を行う機種と比べていわゆるゴト行為がされにくく、またプログラムの不具合も発生しにくいためセキュリティ性を高めることもできる。近年の演出装置の多彩化で制御が極めて複雑となった周辺基板ではトラブルの発生率が高まっており、それに比べメイン基板はトラブルが起きにくいため、出玉関連の抽選のメイン基板に集約することで、ホール側・遊技者側の双方にとって安全性の高い遊技機を提供できる。さらに、上記のように役抽選の振り分けを均等とすることで、ペナルティを用いる必要がないため、「前任者がペナルティを残していたら、損をするのではないか」との不安を抱くことなく遊技できるため、遊技者の遊技意欲の向上にもつながる。
[1−2.ペナルティ非搭載機−RT別に役の引込変化型]
1-1の変形例である。この変形例は、図75の表2−1に示す通り、図74の表1の押し順ベル役と押し順リプ役を廃止し、代わりに状態ベル役と状態リプ役を設けたものである。前述の押し順ベルは役として押し順の異なるベルを複数持たせておき、指示される状態と指示されない状態での入賞率の差によって、遊技状態の有利不利の差を生みだすものである。一方、こちらの実施例では押し順ベルの代わりに払出枚数の異なる図柄組合せが揃いうる役である状態ベルを設け、状態別に引込割合を変えるものである。メインリールを制御可能なメイン基板で有利遊技状態(AT等)を抽選するため、周辺基板で有利遊技状態を抽選する機種とは異なり、このような制御が可能となっている。状態ベルは押し順により停止表示される図柄組合せの価値が変化することはなく、押し順に関わらず状態によりリール制御で0枚(ベルこぼ目)、1枚役、8枚役、15枚役のいずれかの図柄組合せが表示される仕様である。状態リプレイ役は、有利遊技状態抽選の結果に基づいてリールに停止表示されるリプレイの図柄組合せが、通常リプ、第1RTリプ、第2RTリプ、第3RTリプ等の図柄組合せの中から表示決定される。また、ベース(投入枚数に対する払出枚数)をメインで監視し、ベースが高く又は低くなりすぎないように、所定の条件で、状態リプレイ役成立ゲームの終了時に停止表示される図柄組合せが変化するものとしても良い。このような構成とすることで、通常時の遊技媒体の増減の速度を調整し、ゲームのバランスを好適に調整することが可能となる。
図75の表2-2では、RTの遷移にしたがって払出枚数の多い図柄組合せが揃う割合が高くなる傾向にあり、RTの状態が上がるほど、加速度的に出玉の増加スピードを上げることが可能である。条件装置は1つで状態により引込制御を変えるだけなので、条件装置を多数用意して押し順役を構成する場合と比べて条件装置の個数を減らすことができ、メインROMの容量を節約することができる。押し順に関係なく図柄が揃うため、指示された押し順を間違ってしまうこと(いわゆる押し順ミス)による損も発生しない仕様のため、リール停止ボタン211a〜211cの操作を慎重に行う必要が低くなり、遊技者はスピーディに遊技を進行することが可能となる。また、状態より0枚、1枚、8枚、15枚の出現頻度が変化するため、AT抽選の結果やRT状態を各役の出現頻度から推理することも可能となり、内部状態を推測する楽しみが生まれる。ボーナス内部中は、0枚、1枚、8枚、15枚の全ての図柄組合せが表示されうるため、どの図柄組合せが表示された場合でもボーナス成立を否定しないため、ベルの入賞態様からボーナスを否定することがなくなり、遊技の興趣の低下を抑制する効果がある。演出(例えば、液晶等の画面に表示される演出、LED等の発光演出、効果音、バイブ機能、可動役物の駆動等)と0枚、1枚、8枚、15枚に対応関係や法則性を持たせて、その関係性から内部状態を推理させることを可能とするものでも良い。また、所定状態への滞在が確定する又は、高い信頼度で示唆する専用演出などを設けても良い。一例として、いわゆるメダル払い出し音(遊技価値付与時またはメインリール全停止直後に発生する音声)等を用いた演出で、払出枚数と払出音の対応関係に法則を持たせるもの等工夫をしても面白く、所定状態への滞在が確定する専用音などを設けても良い。
さらに、押し順役を構成する際に必要となるような複雑な図柄組合せ(押し順不正解時に停止する図柄組合せ等)が不要となり、例えばベル-ベル-リプ1枚、ベル-ベル-スイカ8枚、ベル-ベル-ベル15枚必要最低限の図柄組合せで事足りるため、図柄配列の自由度が増し、ボーナス成立状態で停止される出目(いわゆるリーチ目)やボーナス成立の可能性がある出目(いわゆるチャンス出目)などを従来の押し順ベル搭載機と比べて多彩に設けることも可能となり、ゲーム性の向上を図ることができる。なお、開発工数の削減は、開発コストの低減と遊技機販売価格の低価格化の実現にも繋がり、メーカー、ホールの双方にもメリットが生まれる。もちろん、従来のAT機、ART機同様、図柄組合せ数の多い仕様としても問題はない。
押し順リプレイは、押し順あてのゲーム性を残すために搭載しても良く、有利遊技状態抽選の結果に基づいて表示される図柄が変化する状態リプレイと押し順に基づいて表示される図柄が変化する押し順リプレイとの両方を搭載した場合は、その組合せで様々なゲーム性が実現可能となる。
表には記さないが、ボーナス中に複数の状態を設け、状態ベルが15枚で揃いやすいボーナス中高モード、及びボーナス中高モードと比べて状態ベルが15枚で揃いにくいボーナス中中モード、さらに有利度合いが低いボーナス中低モードなどを設けても良く、メインで行われる有利状態抽選の一部として前記モードのモード移行抽選を行わせても良い。なお、ボーナス成立時やボーナス入賞時にモード決定抽選及びモード移行抽選を行っても良く、成立したボーナスの図柄組合せに応じて一義的に付与モードが決定されるものであっても良い。また、ボーナス未成立の遊技において、成立したボーナスがどのモードに振り分けられやすいかという複数のモード選択状態を持ち、そのモード選択状態遷移抽選及び演出によるモード選択状態示唆を行っても良い。該モード選択抽選テーブルに設定差を設け、設定が高いほど有利あるいは、奇数設定が偶数設定と比べて有利などの法則性を持たせれば、ボーナス中の状態ベル成立時の払出傾向から設定推測する楽しみも生まれるため、ゲームの多様化を図ることができる。
[1−3.ペナルティ非搭載機−内部状態別に役の引込変化型]
1-2の変形例である。図76の表3-1及び表3-2に示す通り、状態ベル役と状態リプ役のメインリール制御の切替をRT状態と連動するものではなく、専用の内部状態に連動可能としたものである。なお、ボーナス及び、いわゆるスイカやチェリーなどのベル以外の小役は説明の便宜上表中の記載を割愛している。
ベルの抽選値は、シングルボーナス(SB)中及びボーナス作動中以外は変化せず、状態ベルの成立ゲームで有効ライン上に引込む図柄組合せの表示率の変化でベース(投入枚数に対する払出枚数)を調整する仕様である。RTの遷移用に設けられた複数のリプレイ役を廃止することが可能となるため、条件装置の数を少なくすることが可能であり、メインROMの容量を削減することが可能となる。内部状態の遷移抽選は、ゲーム毎に成立役に基づいて抽選される。また、遷移抽選の結果は当該ゲームあるいは、次ゲームで反映されるものに限定されず、所定の前兆ゲーム数を経由した後に反映される仕様や、遷移抽選に当選した以後のゲームにおいて所定役が成立した場合、遷移抽選に当選した以後のゲームにおいて、さらに所定の抽選に当選した場合に反映される仕様等であっても良い。RTの遷移は、RTの遷移の契機となるリプレイの図柄の組合せが表示されることが多く、リールの停止出目でわかってしまうことが多いが、この仕様で内部抽選とした場合は、出目から内部状態を一義的に察知することが困難となる。そのため、演出(例えば、液晶等の画面に表示される演出、LED等の発光演出、効果音、バイブ機能、可動役物の駆動等)で内部状態を推理する楽しみがうまれ、より奥深いゲームを実現することが可能となる。また、内部状態はメイン基板で管理されるため、メインリールのアクション演出(フリーズ、逆回転、リールが回転開始時に上昇するリールロック、リールが停止時に震えて見えるバウンドストップ等)や、ストップボタンが所定期間の間無効になる演出など、メイン基板で制御される機器を用いて遊技者に内部状態を示唆する演出も可能である。なお、ベルの抽選値はゲーム性に大きな影響のない程度であれば、内部状態別に完全同一ではなく変化するものであっても構わない。
なお、1−1、1−2、1−3に共通して、ベルやリプレイの揃い方により遊技価値が増加する有利遊技状態となった場合に、疑似的なボーナス(以下「疑似ボーナス」)と見せかける演出も可能である。この場合は、メイン基板の役抽選の結果として成立するボーナスと疑似ボーナスを区別して演出し、遊技者が遊技状態を把握しやすくすることが望ましい。また、外部中継端子板131を経由してホール向けコンピュータ等に出力される信号も、ホールが遊技状態を正確に把握するためにも、ボーナスと疑似ボーナスで区別することが望ましい。出力するチャンネルを別にする方法、出力するチャンネルは同じであるが信号の出力時間が異なる方法があり、情報を受信する側で識別可能であればどのような方法で信号を出力しても良い。一方で、あえてボーナスと疑似ボーナスの区別を曖昧にして、遊技媒体が増加するボーナスが非常に長く続いているかのように遊技者に錯覚させるような仕様であってもよい。
図示はしないが、1-2の仕様と1-3の仕様を組み合わせて、内部状態別に引込が変化する小役と再遊技確率が変化する押し順リプレイの両方を備えるものであっても良い。また、ボーナスは搭載しても、非搭載としても良く、ボーナス非搭載の場合は、内部状態4などの上位の状態が有利遊技状態として遊技価値が増加する区間としてボーナスの代役を果しても良い。また、図74〜76では示していないが、これらの設計値に設定差を持たせる設計となることが、設定ごとの出玉率の差を持たせる観点からは望ましいと言える。
[2.メイン基板のデータ容量の削減の工夫について]
上記の通り、様々な仕様の工夫によりゲーム性を構築する上で必要なデータ量を減らすことも可能ではあるが、CPU1110に格納されるデータの格納方法についても工夫をし、限られたROM容量(例えば、4.5KB等)を有効活用できると良い。
プログラム効率をアップするため(コード/データ圧縮)を図っても良い。FPGA(field-programmable gate array)等のように設計者が構成を設定できるデバイスを主基板に用いる方法も有効である。また、パロット(遊技球を用いた回胴式遊技機)のように、メイン基板と別に払出制御基板を設けて、払出制御を払出制御基板で行うことで、メイン基板の負荷を軽減しROM容量に余裕を持たせるという手法を用いても良い。なお、その場合はメイン基板同様に払出制御基板においても、かしめ等でセキュリティ性を高めた基板ケースに入れる、該基板ケース開封時に痕跡が残る手段を備える(シールや開封時に破断が必要な部材を基板ケースに備える)等ゴトの対策を取ることが望ましい。
[3.外部情報出力について]
図77(a)は、従来の周辺基板によりAT抽選を行う遊技機についての、外部情報端子板からの出力情報の表である。メイン基板により有利遊技状態(AT抽選、有利な内部状態への移行抽選)を行う遊技機においても同様の出力態様としても良い。AT開始時に出力とあるが、周辺基板で抽選されるATをメインで察知できないため、実際は中段ベル2回入賞など特定の図柄組合せが所定回数停止されたこと等を契機にAT開始とみなして出力するよりほかなく、逆にAT非当選時などに押し順ミスなどによりAT信号(図77の3番ピンから出力)が出力されてしまうという問題があった。また、実際のAT当選から外部への信号出力までにベル2回等所定の図柄組合せの入賞や特定の操作手順に基づいて数ゲーム経過することが必要とされたため、本来の当選ゲーム数とホール側のゲーム数カウンタがずれてしまうという問題もあった。
図77(b)は、[1−3.ペナルティ非搭載機−内部状態別に役の引込変化型]等の場合に採用しうる外部情報端子板の出力情報の一例である。メインで有利遊技状態(AT抽選、有利な内部状態への移行抽選)を抽選及び管理しているため、前述のように押し順ミスなどで偶発的に生じた事象を有利遊技状態と誤認することがなく、外部に出力される情報と内部状態にズレが生じるという従来の問題点が解決されている。なお、この図77(b)では状態遷移が発生を条件に当該信号を出力できるため、ゲーム数カウンタがずれてしまうという問題も解決できている。なお、当該信号の出力は、状態遷移発生ゲームの開始時(回胴回転開始装置の操作直後)、リール回転中、リール停止時、リール停止後、次ゲームの開始時などいずれでも良い。状態遷移発生から発動まで所定ゲーム数の前兆ゲームを経由してから発動する仕様の場合は、前兆終了時又は前兆終了の次ゲームに信号出力するものでも良い。
以上は、本発明のスロットマシン1の一形態であるが、これに限定されることはない。スロットマシン以外の遊技機、例えば、パチンコ機や、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。