JP2016059368A - アルコールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】増殖阻害物質を完全に除去しなくても、発酵の際に微生物の増殖阻害を回避して生成効率を向上することができるアルコールの製造方法を提供する。
【解決手段】アルコールの製造方法は、リグノセルロース系バイオマスの前処理物を酵素糖化処理し、得られた増殖阻害物質を含む基質糖化酵素混合物又は糖化溶液に、微生物の増殖を促進させるペプチド又は第1のアミノ酸と、増殖阻害物質によって損傷した微生物を修復させる第2のアミノ酸とを、35:65〜45:55の範囲の質量比で、且つ、前記基質糖化酵素混合物又は前記糖化溶液に対する前記ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸との合計量が0.05〜1.0wt/vol%の範囲で添加し、微生物によって発酵させてアルコールを生成させる。
【選択図】図1
【解決手段】アルコールの製造方法は、リグノセルロース系バイオマスの前処理物を酵素糖化処理し、得られた増殖阻害物質を含む基質糖化酵素混合物又は糖化溶液に、微生物の増殖を促進させるペプチド又は第1のアミノ酸と、増殖阻害物質によって損傷した微生物を修復させる第2のアミノ酸とを、35:65〜45:55の範囲の質量比で、且つ、前記基質糖化酵素混合物又は前記糖化溶液に対する前記ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸との合計量が0.05〜1.0wt/vol%の範囲で添加し、微生物によって発酵させてアルコールを生成させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、コーンストーバ等のリグノセルロース系バイオマスを基質とするアルコールの製造方法に関する。
コーンストーバ、稲ワラ等のリグノセルロース系バイオマスを基質として、該基質を糖化酵素により糖化し、得られた糖を微生物(アルコール発酵菌)により発酵させてエタノール等のアルコールを製造する方法が知られている。
前記リグノセルロース系バイオマスは、セルロース又はヘミセルロースにリグニンが強固に結合した構成を備えている。そこで前記糖化に当たっては、まず、前記リグノセルロース系バイオマスを前処理し、該リグノセルロース系バイオマスに含まれるリグニンが解離され、又は該リグノセルロース系バイオマスが膨潤された前処理物を得る。
尚、本願では、「解離」との用語は、セルロース又はヘミセルロースとリグニンとの結合の少なくとも一部を切断することを意味する。また、「膨潤」との用語は、液体の浸入によって結晶性セルロースを構成するセルロース若しくはヘミセルロースに空隙を生じ、又はセルロース繊維の内部に空隙を生じて、該結晶性セルロースを膨張させることを意味する。
前記リグノセルロース系バイオマスの前処理は、例えば基質としての前記リグノセルロース系バイオマスに希硫酸を添加して加水分解することにより行うことができる。
次に、前記前処理物を糖化酵素を用いて糖化処理することにより基質糖化酵素混合物を得る。次に、前記基質糖化酵素混合物又は該基質糖化酵素混合物を固液分離した糖化溶液を、発酵槽で微生物により発酵させてエタノールを生成させた後、蒸留することにより、バイオエタノールを製造する。
ところで、前記基質糖化酵素混合物及び前記糖化溶液には、前記前処理によって生じた、微生物の増殖を阻害する増殖阻害物質が含まれているために、前記微生物による発酵の際に、微生物の増殖が阻害され、エタノール収率を向上させることができないという問題がある。
そこで、前記問題を解決する方法として、リグノセルロース系バイオマスを希硫酸で加水分解することにより前処理した前処理物に、水酸化カルシウム等のアルカリを添加して中和することにより、前記前処理によって生じた増殖阻害物質を除去する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、アルカリで中和させて前記増殖阻害物質を除去する場合には、除去を可能とするために多量のアルカリを必要とするだけでなく、アルカリを除去するために多量の洗浄水で洗浄する必要があり、コストが高くなるという不都合がある。
そこで、本発明は、かかる不都合を解消して、増殖阻害物質を完全に除去しなくても、発酵の際に微生物の増殖阻害を回避してアルコールの生成効率を向上することができるアルコールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、基質としてのリグノセルロース系バイオマスを前処理し、該リグノセルロース系バイオマスに含まれるリグニンが解離され又は該リグノセルロース系バイオマスが膨潤された前処理物を糖化酵素によって糖化処理し、得られた基質糖化酵素混合物又は該基質糖化酵素混合物を固液分離した糖化溶液を、微生物によって発酵させてアルコールを生成させるアルコールの製造方法において、前記前処理によって生じた、微生物の増殖を阻害する増殖阻害物質を含む基質糖化酵素混合物又は糖化溶液に、微生物の増殖を促進させるペプチド又は第1のアミノ酸と、前記増殖阻害物質によって損傷した微生物を修復させる第2のアミノ酸とを、35:65〜45:55の範囲の質量比で、且つ、前記基質糖化酵素混合物又は前記糖化溶液に対する前記ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸との合計量が0.05〜1.0wt/vol%の範囲で添加することを特徴とする。
本発明の製造方法では、まず、基質としてのリグノセルロース系バイオマスを前処理し、該リグノセルロース系バイオマスに含まれるリグニンが解離され又は該リグノセルロース系バイオマスが膨潤された前処理物を得る。そして、得られた前処理物を糖化酵素によって糖化処理することにより、基質糖化酵素混合物を得る。
得られた基質糖化酵素混合物又は該基質糖化酵素混合物を固液分離した糖化溶液には、該基質糖化酵素混合物又は糖化溶液を微生物によって発酵させてアルコールを生成させる際に微生物の増殖を阻害する増殖阻害物質が含まれている。前記増殖阻害物質は、前記前処理によって生じたものである。
そこで、本発明の製造方法では、基質糖化酵素混合物又は糖化溶液に、微生物の増殖を促進させるペプチド又は第1のアミノ酸と、増殖阻害物質によって損傷した微生物を修復させる第2のアミノ酸とを添加する。そして、得られた前記ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを含む基質糖化酵素混合物又は糖化溶液を微生物によって発酵させる。基質糖化酵素混合物又は糖化溶液へのペプチド又は第1のアミノ酸及び第2のアミノ酸の添加は、ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とが35:65〜45:55の範囲の質量比であって、且つ、前記基質糖化酵素混合物又は前記糖化溶液に対するペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸との合計量が0.05〜1.0wt/vol%の範囲となるように行う。
前記微生物による発酵の際、前記ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とが添加された基質糖化酵素混合物又は糖化溶液では、前記ペプチド又は第1のアミノ酸によって微生物の増殖が促進され、第2のアミノ酸によって増殖阻害物質によって損傷した微生物が修復される。この結果、前記微生物による発酵の際、前記ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とが添加された基質糖化酵素混合物又は糖化溶液では、非添加の場合と比較して、アルコールの生成効率を向上することができる。
したがって、本発明の製造方法によれば、増殖阻害物質を完全に除去しなくても、発酵の際に微生物の増殖阻害を回避してアルコールの生成効率を向上することができる。
前記ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸との質量比は35:65〜45:55の範囲としているが、前記範囲よりも前記ペプチド又は第1のアミノ酸が少なく第2のアミノ酸が多い場合には、前記ペプチド又は第1のアミノ酸の作用が不足し、微生物の増殖を十分に促進することができない。一方、前記範囲よりも前記ペプチド又は第1のアミノ酸が多く第2のアミノ酸が少ない場合には、第2のアミノ酸の作用が不足し、第2のアミノ酸によって微生物の損傷を十分に修復することができない。
また、前記基質糖化酵素混合物又は前記糖化溶液に対する前記ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸との合計量は0.05〜1.0wt/vol%の範囲としているが、前記合計量が0.05wt/vol%未満であると、各アミノ酸の作用が不足し、アルコールの生成効率を向上させる効果を得ることができない。一方、前記合計量が1.0wt/vol%を超えると、微生物へ浸透圧ストレスを与えて微生物の発酵性能を損ない、アルコールの生成効率を向上させることができない。
また、本発明のアルコールの製造方法は、例えば、前記基質糖化酵素混合物又は前記糖化溶液が、酢酸、フルフラール、フェルラ酸、p−クマル酸、5−ヒドロキシメチルフルフラールから選択される1種以上の増殖阻害物質を含み、前記酢酸の濃度が300〜3800mg/Lの範囲であり、前記フルフラールの濃度が6〜2000mg/Lの範囲であり、フェルラ酸の濃度が10〜110mg/Lの範囲であり、p−クマル酸の濃度が15〜170mg/Lの範囲であり、5−ヒドロキシメチルフルフラールの濃度が10〜270mg/Lの範囲である場合に、効果的である。
また、前記微生物の増殖を促進させるペプチドとして、アンセリンを用いることができる。前記微生物の増殖を促進させる第1のアミノ酸として、酸性アミノ酸、中性アミノ酸、ヒドロキシアミノ酸からなる群から選択される1種以上のアミノ酸を用いることができる。前記酸性アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸を挙げることができる。前記中性アミノ酸としては、アスパラギン、グルタミンを挙げることができる。前記ヒドロキシアミノ酸としては、例えば、セリン、スレオニンを挙げることができる。
また、前記増殖阻害物質によって損傷した前記微生物を修復させる第2のアミノ酸として、脂肪族アミノ酸、含硫アミノ酸からなる群から選択される1種以上のアミノ酸を用いることができる。前記脂肪族アミノ酸としては、例えば、アラニン、イソロイシン、グリシン、バリン、ロイシンを挙げることができる。前記含硫アミノ酸としては、例えば、メチオニンを挙げることができる。
また、本発明のアルコールの製造方法は、前記微生物として、六炭糖と五炭糖の両方を発酵可能な微生物を用いるときに、特に有効である。
次に、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。本実施形態のアルコールの製造方法は、基質としてのリグノセルロース系バイオマスを前処理した前処理物を糖化酵素によって糖化処理し、得られた基質糖化酵素混合物又は該基質糖化酵素混合物を固液分離した糖化溶液を、微生物によって発酵させてアルコールを生成させるアルコールの製造方法である。
本実施形態のバイオエタノールの製造方法では、まず、リグノセルロース系バイオマスを前処理することにより、リグノセルロース系バイオマスからリグニンを解離し、又はリグノセルロース系バイオマスを膨潤させた前処理物を得る。前記リグノセルロース系バイオマスとしては、コーンストーバ、稲ワラ等を挙げることができる。前記前処理としては、希硫酸爆砕、アルカリ又はアンモニアによる処理等を挙げることができる。
次に、得られた前処理物を糖化酵素を用いて糖化処理することにより、スラリー状の基質糖化酵素混合物を得る。前記糖化処理は、例えば、前記前処理物に糖化酵素を添加して撹拌することにより行うことができる。
前記糖化酵素としては、アクレモニウムセルラーゼ(Meiji Seika ファルマ株式会社)、Ctec(ノボザイムズ社)、Ctec2(ノボザイムズ社)、Accellerase(デュポン社)等の市販の糖化酵素を用いることができる。
得られた基質糖化酵素混合物は、糖を含むとともに、副生成物として前記微生物の増殖を阻害する増殖阻害物質を含んでいる。
前記糖としては、グルコース、キシロース、アラビノースを挙げることができる。前記基質糖化酵素混合物は、糖を70〜140g/Lの範囲で含んでいる。
前記増殖阻害物質としては、酢酸、フルフラール、フェルラ酸、p−クマル酸、5−ヒドロキシメチルフルフラールから選択される1種以上の物質を挙げることができる。前記基質糖化酵素混合物における各増殖阻害物質の濃度は、前記酢酸の濃度が300〜3800mg/Lの範囲であり、前記フルフラールの濃度が6〜2000mg/Lの範囲であり、フェルラ酸の濃度が10〜110mg/Lの範囲であり、p−クマル酸の濃度が15〜170mg/Lの範囲であり、5−ヒドロキシメチルフルフラール(以下、HMFと記載する)の濃度が10〜270mg/Lの範囲である。
次に、前記基質糖化酵素混合液を固液分離することにより、糖化溶液を得る。前記固液分離の方法としては、フィルタープレス法、遠心分離法を挙げることができる。前記糖化溶液において、前記固液分離によって前記増殖阻害物質が十分に除去されることはなく、各増殖阻害物質の濃度は上記範囲を維持している。そのため、前記糖化溶液を微生物によって発酵させると、前記増殖阻害物質によって微生物の増殖が阻害され、エタノール生成効率が低下してしまう。
そこで、前記糖化溶液に、微生物の増殖を促進させるペプチド又は第1のアミノ酸と、前記増殖阻害物質によって損傷した前記微生物を修復させる第2のアミノ酸とを含む組成物(以下、アミノ酸組成物と記載する)を添加する。このとき、前記基質糖化酵素混合物又は前記糖化溶液に対するペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸との合計量(以下、アミノ酸合計添加量と記載する)が0.05〜1.0wt/vol%の範囲となるように、アミノ酸組成物を添加する。アミノ酸組成物は、ペプチドと第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを含むものでもよく、ペプチド、第1のアミノ酸のいずれか一方と、第2のアミノ酸とを含むものでもよい。
前記アミノ酸組成物に含まれるペプチドとしては、アンセリンを挙げることができる。
前記アミノ酸組成物に含まれる第1のアミノ酸としては、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸等)、中性アミノ酸(アスパラギン、グルタミン)、ヒドロキシアミノ酸(セリン、スレオニン等)を挙げることができる。前記アミノ酸組成物に含まれる第2のアミノ酸としては、脂肪族アミノ酸(アラニン、イソロイシン、グリシン、バリン、ロイシン等)、含硫アミノ酸(メチオニン等)を挙げることができる。
前記アミノ酸組成物は、ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを35:65〜45:55の範囲の質量比で含有するものであればよく、例えば、コーンスティープリカ、酒粕、エンドウタンパク、発酵大麦エキス、鰹節等の出汁がらを挙げることができる。また、前記アミノ酸組成物として、Yeast extractとPeptoneとの混合物を用いることも可能である。
次に、前記ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを含む糖化溶液を、微生物によって発酵させることによりエタノールを生成させてエタノール水溶液を得た後、該エタノール水溶液を蒸留して濃縮することにより、バイオエタノールを製造する。
前記微生物としては、六炭糖のみを発酵可能なものであってもよいが、エタノール収率を向上するためには、六炭糖と五炭糖の両方を発酵可能なものが好ましい。前記微生物としては、例えば、Meyerozyma属酵母、Pichia属酵母、Saccharomyces属酵母、Zymomonasを挙げることができる。
微生物による発酵の際、前記糖化溶液に含まれる前記ペプチド又は前記第1のアミノ酸によって前記微生物の増殖が促進され、前記第2のアミノ酸によって前記増殖阻害物質によって損傷した微生物が修復される。この結果、前記ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを含む糖化溶液は、これらを含まないものと比較して、エタノールの生成効率を向上することができる。
したがって、本実施形態の製造方法によれば、前記ペプチド又は前記第1のアミノ酸と前記第2のアミノ酸とを前記糖化溶液に添加することにより、中和等によって増殖阻害物質を完全に除去しなくても、発酵の際に微生物の増殖阻害を回避してエタノールの生成効率を向上することができる。
本実施形態では、前処理物を糖化処理した基質糖化酵素混合物を固液分離した糖化溶液に、前記ペプチド又は前記第1のアミノ酸と前記第2のアミノ酸とを添加して発酵する方法について説明しているが、前記基質糖化酵素混合物に前記ペプチド又は前記第1のアミノ酸と前記第2のアミノ酸とを添加して発酵する方法についても同等の効果を得ることができる。
本実施形態では、アルコールとしてエタノールを製造する方法について説明したが、アルコールであればエタノールに限定されない。
次に、本実施形態のバイオエタノール製造方法について、実施例を示す。
〔実施例1〕
まず、リグノセルロース系バイオマスを前処理することにより、リグノセルロース系バイオマスからリグニンを解離し、又はリグノセルロース系バイオマスを膨潤させた前処理物を得た。
まず、リグノセルロース系バイオマスを前処理することにより、リグノセルロース系バイオマスからリグニンを解離し、又はリグノセルロース系バイオマスを膨潤させた前処理物を得た。
本実施例では、リグノセルロース系バイオマスとして、粗粉砕処理されたコーンストーバ(長さ約2〜4mm)を用い、該コーンストーバに濃度2質量%の硫酸を添加し、温度150℃に15分間保持した後で大気開放することにより、前処理を行った(以下、希硫酸爆砕処理という)。
次に、得られた前処理物に水を添加してpH5〜5.5に調整した後に、糖化酵素としてCtec2(ノボザイムズ社)を所定量添加し、温度50℃に保持して72時間撹拌することにより、スラリー状の基質糖化酵素混合物を得た。
次に、得られた基質糖化酵素混合物を、遠心分離することによって固形分を除去することにより、糖化溶液を得た。
得られた糖化溶液について、NaOHを用いてpH調整を行い、pH6.0に調整した。その後、前記糖化溶液について、糖濃度を測定したところ100g/Lであった。また、前記糖化溶液について、増殖阻害物質の濃度を測定したところ、酢酸が3747mg/L、フルフラールが705mg/L、フェルラ酸が108mg/L、p−クマル酸が118mg/L、HMFが141mg/Lであった。
次に、前記糖化溶液に、アミノ酸組成物としてのコーンスティープリカ(オリエンタル酵母工業株式会社、商品名:ソルリス095E)を添加し、撹拌して混合した。前記コーンスティープリカは、コーンスターチの浸漬工程にトウモロコシから溶出した成分を濃縮したものである。
前記コーンスティープリカは、微生物の増殖を促進させる作用を有するペプチド(アンセリン)及びアミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸、アスパラギン、グルタミン等の中性アミノ酸、セリン、スレオニン等のヒドロキシアミノ酸であり、本発明の第1のアミノ酸に相当する)と、増殖阻害物質によって損傷した微生物を修復させる作用を備えるアミノ酸(アラニン、イソロイシン、グリシン、バリン、ロイシン等の脂肪族アミノ酸、及びメチオニン等の含硫アミノ酸であり、本発明の第2のアミノ酸に相当する)とを、ペプチド及び第1のアミノ酸:第2のアミノ酸=37:63の質量比で含んでいる。
このとき、前記糖化溶液に対するコーンスティープリカの添加量を、0.75wt/vol%(0.25wt/vol%)、1.5wt/vol%(0.5wt/vol%)と変量した。前記()内の値は、前記糖化溶液に対するペプチド及び第1のアミノ酸と第2のアミノ酸との合計添加量(アミノ酸合計添加量)である。
次に、アミノ酸組成物が添加された糖化溶液に、微生物として酵母A(Meyerozyma属)を添加し、初発菌体濃度における濁度OD610が2.0となるように前記微生物を培養した。
また、アミノ酸組成物を全く添加しない糖化溶液についても、前記アミノ酸組成物が添加された糖化溶液と全く同一にして、前記微生物を培養した。アミノ酸組成物が非添加の糖化溶液は、糖化溶液に対するアミノ酸合計添加量が0wt/vol%である。
次に、アミノ酸組成物が添加された糖化溶液及びアミノ酸組成物が非添加の糖化溶液について、温度30℃を保持することにより発酵試験を実施した。そして、発酵試験開始時、及び、開始後22時間後、46時間後、53時間後、67時間後、77時間後に、各糖化溶液におけるエタノール濃度を測定した。結果を図1に示す。尚、図中の凡例は、糖化溶液に対するアミノ酸合計添加量を示す。
図1に示すように、アミノ酸組成物が0.25〜0.5wt/vol%の範囲で添加された糖化溶液では、アミノ酸組成物が非添加の糖化溶液と比較して、短時間で多量のエタノールを生成することができ、エタノール生産速度を最大1.7倍向上することができた。
〔実施例2〕
本実施例では、前処理として、まず、粗粉砕処理されたコーンストーバに対して、濃度0.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、温度70℃に60分間保持した(以下、アルカリ処理という)後に、水酸化ナトリウム水溶液を除去し、実施例1と全く同一にして希硫酸爆砕処理を行った。
本実施例では、前処理として、まず、粗粉砕処理されたコーンストーバに対して、濃度0.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、温度70℃に60分間保持した(以下、アルカリ処理という)後に、水酸化ナトリウム水溶液を除去し、実施例1と全く同一にして希硫酸爆砕処理を行った。
次に、得られた前処理物について、実施例1と全く同一にして、基質糖化酵素混合物を得て、その後糖化溶液を得た。
得られた糖化溶液について、NaOHを用いてpH調整を行い、pH6.0に調整した。その後、前記糖化溶液について、糖濃度を測定したところ120g/Lであった。前記糖化溶液について、増殖阻害物質の濃度を測定したところ、酢酸が339mg/L、フルフラールが1975mg/L、フェルラ酸が50mg/L、p−クマル酸が19mg/L、HMFが266mg/Lであった。
次に、前記糖化溶液に、アミノ酸組成物としてのコーンスティープリカを、0.75wt/vol%(0.25wt/vol%)、2.0wt/vol%(0.66wt/vol%)、3.0wt/vol%(1.0w/vol%)と変量させて添加した。前記()内の値は、前記糖化溶液に対するアミノ酸合計添加量である。
次に、アミノ酸組成物が添加された糖化溶液及びアミノ酸組成物が非添加の糖化溶液に、微生物として酵母Aを添加し、初発菌体濃度における濁度OD610が2.0となるように前記微生物を培養した。
次に、アミノ酸組成物が添加された糖化溶液及びアミノ酸組成物が非添加の糖化溶液について、実施例1と全く同一にして発酵試験を実施した。そして、発酵試験開始時、及び、開始後22時間後、46時間後、53時間後、67時間後、77時間後に、各糖化溶液におけるエタノール濃度を測定した。ただし、コーンスティープリカ3.0wt/vol%が添加された糖化溶液については、発酵試験開始時及び開始後77時間後のみ、エタノール濃度を測定した。結果を図2に示す。
図2に示すように、アミノ酸組成物が0.25〜1.0wt/vol%の範囲で添加された糖化溶液では、アミノ酸組成物が非添加の糖化溶液と比較して、短時間で多量のエタノールを生成することができ、エタノール生産速度を最大2.2倍向上することができた。
〔実施例3〕
本実施例では、前処理として、粗粉砕処理されたコーンストーバに濃度25質量%のアンモニア水溶液を添加し、室温で5日間保持した(以下、アンモニア処理という)後に、アンモニアを除去した。
本実施例では、前処理として、粗粉砕処理されたコーンストーバに濃度25質量%のアンモニア水溶液を添加し、室温で5日間保持した(以下、アンモニア処理という)後に、アンモニアを除去した。
次に、得られた前処理物について、実施例1と全く同一にして、基質糖化酵素混合物を得て、その後糖化溶液を得た。
得られた糖化溶液について、NaOHを用いてpH調整を行い、pH6.0に調整した。その後、前記糖化溶液について、糖濃度を測定したところ127g/Lであった。また、前記糖化溶液について、増殖阻害物質の濃度を測定したところ、酢酸が1271mg/L、フルフラールが6mg/L、フェルラ酸が10mg/L、p−クマル酸が89mg/L、HMFが19mg/Lであった。
次に、前記糖化溶液に、アミノ酸組成物としてのコーンスティープリカを、0.75wt/vol%(0.25wt/vol%)、1.5wt/vol%(0.5wt/vol%)、3.0wt/vol%(1.0w/vol%)と変量させて添加した。前記()内の値は、前記糖化溶液に対するアミノ酸合計添加量である。
次に、アミノ酸組成物が添加された糖化溶液及びアミノ酸組成物が非添加の糖化溶液について、実施例1と全く同一にして発酵試験を実施した。そして、発酵試験開始時、及び、開始後22時間後、46時間後、53時間後、67時間後、77時間後に、各糖化溶液におけるエタノール濃度を測定した。ただし、コーンスティープリカ3.0wt/vol%が添加された糖化溶液については、発酵試験開始時及び開始後77時間後のみ、エタノール濃度を測定した。結果を図3に示す。
図3に示すように、アミノ酸組成物が0.25〜1.0wt/vol%の範囲で添加された糖化溶液では、アミノ酸組成物が非添加の糖化溶液と比較して、差は僅かであるものの、短時間で多量のエタノールを生成することができた。
本実施例で前処理として行ったアンモニア処理では、発酵阻害物質が多量には生じないため、アミノ酸組成物の添加による効果があまり見られなかったものと考えられる。
〔実施例4〕
本実施例では、前処理として、粗粉砕処理されたコーンストーバに対して、実施例2と全く同一にして、アルカリ処理及び希硫酸爆砕処理を行った。
本実施例では、前処理として、粗粉砕処理されたコーンストーバに対して、実施例2と全く同一にして、アルカリ処理及び希硫酸爆砕処理を行った。
次に、得られた前処理物について、実施例1と全く同一にして基質糖化酵素混合物を得た。
得られた基質糖化酵素混合物について、NaOHを用いてpH調整を行い、pH5.2に調整した。その後、前記糖化溶液について、糖濃度を測定したところ96g/Lであった。また、前記基質糖化酵素混合物について、増殖阻害物質の濃度を測定したところ、酢酸が782mg/L、フルフラールが736mg/L、フェルラ酸が54mg/L、p−クマル酸が163mg/L、HMFが164mg/Lであった。
次に、前記基質糖化酵素混合物に、アミノ酸組成物としてのコーンスティープリカを、0.015wt/vol%(0.05wt/vol%)、1.0wt/vol%(0.33wt/vol%)、1.5wt/vol%(0.5w/vol%)と変量させて添加した。前記()内の値は、前記基質糖化酵素混合物に対するアミノ酸合計添加量である。
次に、アミノ酸組成物が添加された基質糖化酵素混合物に、微生物として酵母Aを添加し、初発菌体濃度における濁度OD610が0.5となるように前記微生物を培養した。
また、アミノ酸組成物を全く添加しない基質糖化酵素混合物についても、前記アミノ酸組成物が添加された基質糖化酵素混合物と全く同一にして、前記微生物を培養した。アミノ酸組成物が非添加の基質糖化酵素混合物は、基質糖化酵素混合物に対するアミノ酸合計添加量が0wt/vol%である。
次に、アミノ酸組成物が添加された基質糖化酵素混合物及びアミノ酸組成物が非添加の基質糖化酵素混合物について、実施例1と全く同一にして発酵試験を実施した。そして、発酵試験開始時、及び、開始後24時間後、48時間後、73時間後、166時間後に、各基質糖化酵素混合物におけるエタノール濃度を測定した。結果を図4に示す。
図4に示すように、アミノ酸組成物が0.05〜0.5wt/vol%の範囲で添加された基質糖化酵素混合物では、アミノ酸組成物が非添加の基質糖化酵素混合物と比較して、短時間で多量のエタノールを生成することができ、エタノール生産速度を最大2.5倍向上することができた。
〔実施例5〕
本実施例では、前処理として、粗粉砕処理されたコーンストーバに対して、実施例1と全く同一にして希硫酸爆砕処理を行った。
本実施例では、前処理として、粗粉砕処理されたコーンストーバに対して、実施例1と全く同一にして希硫酸爆砕処理を行った。
次に、得られた前処理物について、実施例1と全く同一にして、基質糖化酵素混合物を得て、その後糖化溶液を得た。
得られた糖化溶液について、NaOHを用いてpH調整を行い、pH6.0に調整した。その後、前記糖化溶液について、糖濃度を測定したところ100g/Lであった。また、前記糖化溶液について、増殖阻害物質の濃度を測定したところ、酢酸が3747mg/L、フルフラールが705mg/L、フェルラ酸が108mg/L、p−クマル酸が118mg/L、HMFが141mg/Lであった。
次に、前記糖化溶液に、アミノ酸組成物としてのコーンスティープリカを、0.75wt/vol%(0.25wt/vol%)、1.5wt/vol%(0.5wt/vol%)、3.0wt/vol%(1.0w/vol%)と変量させて添加した。前記()内の値は、前記糖化溶液に対するアミノ酸合計添加量である。
次に、アミノ酸組成物が添加された糖化溶液及びアミノ酸組成物が非添加の糖化溶液に、微生物として酵母B(Saccharomyces属)を添加し、初発菌体濃度における濁度OD610が2.0となるように前記微生物を培養した。
次に、アミノ酸組成物が添加された糖化溶液及びアミノ酸組成物が非添加の糖化溶液について、実施例1と全く同一にして発酵試験を実施した。そして、発酵試験開始時、及び、開始後5時間後、22時間後、27時間後、46時間後に、各糖化溶液におけるエタノール濃度を測定した。結果を図5に示す。
図5に示すように、アミノ酸組成物が0.25〜1.0wt/vol%の範囲で添加された糖化溶液では、アミノ酸組成物が非添加の糖化溶液と比較して、短時間で多量のエタノールを生成することができ、エタノール生産速度を最大1.8倍向上することができた。
〔実施例6〕
本実施例では、前処理として、粗粉砕処理されたコーンストーバに対して、実施例2と全く同一にして、アルカリ処理及び希硫酸爆砕処理を行った。
本実施例では、前処理として、粗粉砕処理されたコーンストーバに対して、実施例2と全く同一にして、アルカリ処理及び希硫酸爆砕処理を行った。
次に、得られた前処理物について、実施例1と全く同一にして、基質糖化酵素混合物を得て、その後糖化溶液を得た。
得られた糖化溶液について、NaOHを用いてpH調整を行い、pH6.0に調整した。その後、前記糖化溶液について、糖濃度を測定したところ108g/Lであった。また、前記糖化溶液について、増殖阻害物質の濃度を測定したところ、酢酸が339mg/L、フルフラールが1975mg/L、フェルラ酸が50mg/L、p−クマル酸が19mg/L、HMFが266mg/Lであった。
次に、前記糖化溶液に、アミノ酸組成物としてのコーンスティープリカを、0.75wt/vol%(0.25wt/vol%)、1.5wt/vol%(0.5wt/vol%)と変量させて添加した。前記()内の値は、前記糖化溶液に対するアミノ酸合計添加量である。
次に、アミノ酸組成物が添加された糖化溶液及びアミノ酸組成物が非添加の糖化溶液に、微生物として酵母Bを添加し、初発菌体濃度における濁度OD610が2.0となるように前記微生物を培養した。
次に、アミノ酸組成物が添加された糖化溶液及びアミノ酸組成物が非添加の糖化溶液について、実施例1と全く同一にして発酵試験を実施した。そして、発酵試験開始時、及び、開始後5時間後、22時間後、27時間後、46時間後に、各糖化溶液におけるエタノール濃度を測定した。結果を図6に示す。
図6に示すように、アミノ酸組成物が0.25〜0.5wt/vol%の範囲で添加された糖化溶液では、アミノ酸組成物が非添加の糖化溶液と比較して、短時間で多量のエタノールを生成することができ、エタノール生産速度を最大2.3倍向上することができた。
〔実施例7〕
本実施例では、前処理として、粗粉砕処理されたコーンストーバに対して、実施例1と全く同一にして希硫酸爆砕処理を行った。
本実施例では、前処理として、粗粉砕処理されたコーンストーバに対して、実施例1と全く同一にして希硫酸爆砕処理を行った。
次に、得られた前処理物について、実施例1と全く同一にして基質糖化酵素混合物を得た。
得られた基質糖化酵素混合物について、NaOHを用いてpH調整を行い、pH5.2に調整した。その後、前記糖化溶液について、糖濃度を測定したところ108g/Lであった。また、前記基質糖化酵素混合物について、増殖阻害物質の濃度を測定したところ、酢酸が3782mg/L、フルフラールが1338mg/L、フェルラ酸が52mg/L、p−クマル酸が160mg/L、HMFが247mg/Lであった。
次に、前記基質糖化酵素混合物に、アミノ酸組成物としてのYeast extract(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、商品名:Bacto Yeast Extract)とPeptone(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、商品名:Bacto Peptone)とを質量比1:2で含む混合物を添加し、撹拌して混合した。前記Yeast extractとPeptoneとの混合物は、微生物の増殖を促進させる作用を有するペプチド(アンセリン)及びアミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸、アスパラギン、グルタミン等の中性アミノ酸、セリン、スレオニン等のヒドロキシアミノ酸であり、本発明の第1のアミノ酸に相当する)と、増殖阻害物質によって損傷した微生物を修復させる作用を備えるアミノ酸(アラニン、イソロイシン、グリシン、バリン、ロイシン等の脂肪族アミノ酸、及びメチオニン等の含硫アミノ酸であり、本発明の第2のアミノ酸に相当する)を、ペプチド及び第1のアミノ酸:第2のアミノ酸=42:58の質量比で含んでいる。
このとき、前記基質糖化酵素混合物に対する前記Yeast extractとPeptoneとの混合物の添加量を、0.75wt/vol%(0.3wt/vol%)、1.5wt/vol%(0.6wt/vol%)と変量した。前記()内の値は、アミノ酸合計添加量である。
次に、アミノ酸組成物が添加された基質糖化酵素混合物及びアミノ酸組成物が非添加の基質糖化酵素混合物について、実施例1と全く同一にして発酵試験を実施した。そして、発酵試験開始時、及び、開始後24時間後、48時間後、76時間後に、各基質糖化酵素混合物におけるエタノール濃度を測定した。結果を図7に示す。
図7に示すように、アミノ酸組成物が0.3〜0.6wt/vol%の範囲で添加された糖化溶液では、アミノ酸組成物が非添加の糖化溶液と比較して、短時間で多量のエタノールを生成することができ、エタノール生産速度を最大2.3倍向上することができた。
以上の実施例1〜7の結果から、糖化溶液又は基質糖化酵素混合物が増殖阻害物質を含むものであっても、ペプチド及び第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを37:63〜42:58の範囲の質量比で含むアミノ酸組成物を、糖化溶液又は基質糖化酵素混合物に対するアミノ酸合計添加量が0.05〜1.0wt/vol%の範囲で添加することにより、発酵の際に微生物の増殖阻害を回避してエタノールの生成効率を向上することができることが明らかである。
Claims (5)
- 基質としてのリグノセルロース系バイオマスを前処理し、該リグノセルロース系バイオマスに含まれるリグニンが解離され又は該リグノセルロース系バイオマスが膨潤された前処理物を糖化酵素によって糖化処理し、得られた基質糖化酵素混合物又は該基質糖化酵素混合物を固液分離した糖化溶液を、微生物によって発酵させてアルコールを生成させるアルコールの製造方法において、
前記前処理によって生じた、微生物の増殖を阻害する増殖阻害物質を含む基質糖化酵素混合物又は糖化溶液に、微生物の増殖を促進させるペプチド又は第1のアミノ酸と、前記増殖阻害物質によって損傷した微生物を修復させる第2のアミノ酸とを、35:65〜45:55の範囲の質量比で、且つ、前記基質糖化酵素混合物又は前記糖化溶液に対する前記ペプチド又は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸との合計量が0.05〜1.0wt/vol%の範囲で添加することを特徴とするアルコールの製造方法。 - 請求項1記載のアルコールの製造方法において、
前記基質糖化酵素混合物又は前記糖化溶液は、酢酸、フルフラール、フェルラ酸、p−クマル酸、5−ヒドロキシメチルフルフラールから選択される1種以上の増殖阻害物質を含み、
前記酢酸の濃度が300〜3800mg/Lの範囲であり、前記フルフラールの濃度が6〜2000mg/Lの範囲であり、フェルラ酸の濃度が10〜110mg/Lの範囲であり、p−クマル酸の濃度が15〜170mg/Lの範囲であり、5−ヒドロキシメチルフルフラールの濃度が10〜270mg/Lの範囲であることを特徴とするアルコールの製造方法。 - 請求項1又は請求項2記載のアルコールの製造方法において、
前記ペプチドは、アンセリンであり、
前記第1のアミノ酸は、酸性アミノ酸、中性アミノ酸、ヒドロキシアミノ酸からなる群から選択される1種以上のアミノ酸であり、
前記第2のアミノ酸は、脂肪族アミノ酸、含硫アミノ酸からなる群から選択される1種以上のアミノ酸であることを特徴とするアルコールの製造方法。 - 請求項3記載のアルコールの製造方法において、
前記酸性アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸からなる群から選択される1種以上のアミノ酸であり、
前記中性アミノ酸は、アスパラギン、グルタミンからなる群から選択される1種以上のアミノ酸であり、
前記ヒドロキシアミノ酸は、セリン、スレオニンからなる群から選択される1種以上のアミノ酸であり、
前記脂肪族アミノ酸は、アラニン、イソロイシン、グリシン、バリン、ロイシンからなる群から選択される1種のアミノ酸であり、
前記含硫アミノ酸は、メチオニンであることを特徴とするアルコールの製造方法。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のアルコールの製造方法において、
前記微生物は、六炭糖及び五炭糖を発酵可能な微生物であることを特徴とするアルコールの製造方法。
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CN111100889A (zh) * | 2018-10-26 | 2020-05-05 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种提高木质纤维素酶解效率的方法 |
WO2023058662A1 (ja) * | 2021-10-04 | 2023-04-13 | 株式会社ダイセル | リグノセルロース溶液及び成形品並びにその製造方法 |
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WO2023058088A1 (ja) * | 2021-10-04 | 2023-04-13 | 国立大学法人京都大学 | リグノセルロース溶液及び成形品並びにその製造方法 |
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