JP2016055410A - ワーク自動交換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
スピンドルの回転機能、回転量設定機能および移動機能を利用し、ワークまたはワークの搬入搬出用のパレットを正確に位置決めしながら自動的に交換できるようにする。
【解決手段】
ワーク自動交換装置1は、ハウジング3内のスピンドル4について回転機能、回転量設定機能および移動機能を有する工作機械2において、ハウジング3に着脱自在に取り付けられるボデイ5と、ボデイ5に回転自在でスピンドル4に取り付け可能なテーパシャンク6と、テーパシャンク6に固定されているドライブシャフト7と、ボデイ5に支持され搬入搬出方向に移動可能なキャリアアーム9と、ドライブシャフト7の回転運動をワーク8の搬入搬出方向の往復直線運動に変換し、キャリアアーム9に伝達する運動変換手段10と、キャリアアーム9に取り付けられたワークハンド11と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複合型、汎用型、専用型の工作機械のスピンドルの運動を利用して、ワークまたはワークのパレットを自動的に交換する装置に関する。
一般に、工作機械、例えばマシニングセンタは、自動工具交換装置(ATC)を備えており、ワークの加工過程において、加工に必要なドリル、フライス、研削砥石などの工具を選択し、選択した工具の工具ホルダを自動工具交換装置(ATC)の交換アームにより工具マガジンから取り出し、スピンドルに装着する。この後、マシニングセンタは、スピンドルの回転機能によって、工具を回転させるとともに、スピンドルのXYZ方向の移動機能によって、工具を位置決めしながら加工方向に加工送りを行い、ワークに目標の加工を施す。
特許文献1は、工作機械、例えばマシニングセンタの主軸の回転機能および位置決め機能を利用して、ワークを移送し、工作機械の加工ステーションに対するワークの搬入、搬出を行うことを開示している。特許文献1の技術によると、主軸に装着したワーク移送手段は、搬送用アームの旋回によってローラコンベア上のワークを移送方向に押して、ワークをローラコンベア上で転がり移動させるか、またはギャ列の回転伝達によってローラコンベアのローラを回転させて、ワークをローラコンベア上で転がり移動させている。
特許文献1の技術によれば、ワークは、主軸に対して完全に拘束されておらず、運動時の慣性や摩擦抵抗によって、加工位置や主軸の位置に対して正確に位置決めされない。したがって、加工ステーションに対するワークの搬入後において、ワークは、加工の開始前の位置決め工程で適切な位置決め手段によって改めて正確に位置決めされなければならない。このような位置決め工程は、ワークに対して主軸の位置決め機能を有効に利用していないことによって必要とされるものであり、加工能率の障害になっている。
特開2008−860号公報
したがって本発明の課題は、工作機械においてスピンドルの回転機能、回転量設定機能および移動機能を有効に利用して、ワークまたはワークの搬入搬出用のパレットを正確に位置決めしながら自動的に交換できるようにすることである。
上記の課題のもとに本発明は、ハウジング(3)内のスピンドル(4)について回転機能、回転量設定機能および移動機能を有する工作機械(2)において、ハウジング(3)に対して回り止め状態で着脱自在に取り付けられるボデイ(5)と、このボデイ(5)に回転自在に支持され、スピンドル(4)に回り止め状態で着脱自在に取り付けられ、スピンドル(4)と共に回転するテーパシャンク(6)と、このテーパシャンク(6)の中心線に一致する状態でテーパシャンク(6)に固定されているドライブシャフト(7)と、ボデイ(5)に取り付けられ、ワーク(8)の搬入搬出方向に移動可能なキャリアアーム(9)と、ドライブシャフト(7)の回転運動をワーク(8)の搬入搬出方向の往復直線運動に変換し、この往復直線運動をキャリアアーム(9)に伝達する運動変換手段(10)と、キャリアアーム(9)に取り付けられワーク(8)を把持するワークハンド(11)と、によってワーク自動交換装置(1)を構成している。
また、本発明は、ハウジング(3)内のスピンドル(4)について回転機能および移動機能を有する工作機械(2)において、ハウジング(3)に対して回り止め状態で着脱自在に取り付けられるボデイ(5)と、このボデイ(5)に回転自在に支持され、スピンドル(4)に回り止め状態で着脱自在に取り付けられ、スピンドル(4)と共に回転するテーパシャンク(6)と、このテーパシャンク(6)の中心線に一致する状態でテーパシャンク(6)に固定されているドライブシャフト(7)と、ボデイ(5)に取り付けられ、ワーク(8)の搬入搬出方向に移動可能なキャリアアーム(9)と、ドライブシャフト(7)の回転運動をワーク(8)の搬入搬出方向の往復直線運動に変換し、往復直線運動をキャリアアーム(9)に伝達する運動変換手段(10)と、キャリアアーム(9)の移動と連動する部分でキャリアアーム(9)の搬入搬出方向の移動位置を検出する位置検出器(20)と、キャリアアーム(9)に取り付けられワーク(8)を把持するワークハンド(11)と、によってワーク自動交換装置(1)を構成している。すなわち、本発明は、ハウジング(3)内のスピンドル(4)について回転機能および移動機能を有するが、回転量設定機能を有しない工作機械(2)に対応するために、上記と同様に、ボデイ(5)、テーパシャンク(6)、ドライブシャフト(7)、キャリアアーム(9)、運動変換手段(10)およびワークハンド(11)によってワーク自動交換装置(1)を構成し、さらに回転量設定機能を実現するために、位置検出器(20)を付加して、ワーク自動交換装置(1)を構成している。
上記ワーク自動交換装置(1)において、本発明は、ボデイ(5)にワーク(8)の搬入搬出方向のリニアモーションガイドウエイ(12)およびリニアモーションガイドウエイ(12)に沿って移動可能なガイド(13)を設けて、キャリアアーム(9)をワーク(8)の搬入搬出方向に移動自在としている。
上記ワーク自動交換装置(1)において、本発明は、運動変換手段(10)をドライブシャフト(7)によって駆動されるリードスクリュ(16)と、リードスクリュ(16)に対しねじ対偶により組み合わせられ、キャリアアーム(9)に連結されているスクリュナット(17)とで構成している。
上記ワーク自動交換装置(1)において、本発明は、ドライブシャフト(7)中に所定交角の一対のギヤ(14、15)を介在させ、前記所定交角によってワーク(8)の搬入搬出方向を設定している。
上記ワーク自動交換装置(1)において、本発明は、運動変換手段(10)をドライブシャフト(7)により駆動されるピニオンギャ(18)と、ピニオンギヤ(18)にかみ合い、キャリアアーム(9)に連結されているラックギヤ(19)とで構成している。
さらに、上記ワーク自動交換装置(1)において、本発明は、ワークハンド(11)を電磁駆動式あるいは空圧駆動式のメカニカルな開閉型クランパないし開閉型チャック、電磁吸引式ハンド、真空吸引パッドおよびワーク(8)載置用フオークのいずれかにより構成している。
本発明に係るワーク自動交換装置(1)によると、ハウジング(3)およびスピンドル(4)に対してボデイ(5)およびテーパシャンク(6)が回り止め状態で着脱自在に取り付けられるから、既存の工作機械(2)にも、ワーク自動交換装置(1)の装着が可能となること、ワーク自動交換装置(1)の装着に時に、スピンドル(4)の移動機能が利用できるから、特別な装着装置が必要とされないこと、ハウジング(3)およびスピンドル(4)に対するワーク自動交換装置(1)の装着に時に、スピンドル(4)の回転機能によって、キャリアアーム(9)がスピンドル(4)の到達可能な範囲を越えてワーク(8)の搬入搬出方向に移動可能となるため、ワーク(8)またはパレット(36)の搬入搬出用産業ロボットや専用の搬入搬出装置、電動モータ、油圧、空圧駆動装置などが必要とされず、それらの装置がなくても、ワーク(8)の搬入や搬出が工作機械(2)の回転機能によって実現でき、その結果、コスト面での大幅な削減が実現できること、ワーク自動交換装置(1)が工作機械(2)のスピンドル(4)に装着された状態で、ワーク(8)の搬入搬出が運動変換手段(10)の直線方向の移動によって行われ、そのときのワーク(8)の位置がスピンドル(4)の回転機能、回転量設定機能および移動機能によって正確に規制できること、さらにワーク(8)がワークハンド(11)によって把持され、確実に拘束されるから、スピンドル(4)の移動およびキャリアアーム(9)の進退方向の移動がそのままワーク(8)の位置となり、位置決めが正確に行えることなどの特有の効果が得られる。
工作機械(2)に回転量設定機能が無くても、キャリアアーム(9)の移動と連動する部分に位置検出器(20)が付設されているから、位置検出器(20)の出力信号によってキャリアアーム(9)の搬入搬出方向の位置、すなわちワーク(8)の位置が制御できる。したがって、工作機械(2)にスピンドル(4)の回転量設定機能が無く、スピンドル(4)の回転量を規制できない工作機械(2)にワーク自動交換装置(1)を装着したときにも、ワーク自動交換装置(1)が具備している位置検出器(20)の機能によってワーク(8)の位置制御が可能となる。
ボデイ(5)にワーク(8)の搬入搬出方向のリニアモーションガイドウエイ(12)およびガイド(13)が設けられていると、キャリアアーム(9)の搬入搬出方向の移動が安定し、移動が正確になる。
運動変換手段(10)がリードスクリュ(16)とスクリュナット(17)とで構成されていると、スピンドル(4)の回転量が搬入搬出方向の移動に精度良く変換できる。
ドライブシャフト(7)中に所定交角の一対のギヤ(14、15)が介在していると、ワーク(8)の搬入搬出方向が簡単に設定でき、これによって立て型の工作機械(2)にも対応できる。
運動変換手段(10)がピニオンギャ(18)とラックギヤ(19)とで構成されていると、立て型の工作機械でも、ワーク自動交換装置(1)の搬入搬出方向が水平方向に容易に設定できる。
ワークハンド(11)が電磁駆動式あるいは空圧駆動式のメカニカルな開閉型クランパないし開閉型チャック、電磁吸引式ハンド、真空吸引パッドおよびワーク(8)載置用フオークのいずれかにより構成することにより、ワーク(8)の形態に適切なハンドの構成が柔軟に対応できる。
横型の工作機械に本発明に係るワーク自動交換装置を組み込んだ状態の一部破断側面図である。 スピンドルに対するテーパシャンクの回り止め部分の側面図である。 リニアモーションガイドウエイおよびガイドの正面図である。 他のリニアモーションガイドウエイおよびガイドの正面図である。 把持型のワークハンドの平面図である。 フオーク型のワークハンドの側面図である。 フオーク型のワークハンドの平面図である。 立て型の工作機械に本発明に係るワーク自動交換装置を組み込んだ状態の一部破断側面図である。 立て型の工作機械に本発明に係る他のワーク自動交換装置を組み込んだ状態の一部破断側面図である。
図1は、本発明のワーク自動交換装置1を横型のマシニングセンタなどの工作機械2に組み込んだ状態を例示している。図1において、ワーク自動交換装置1は、工作機械2の存在を前提としており、工作機械2は、内蔵のエンコーダおよびNC装置の制御によってハウジング3の内部のスピンドル4について回転機能、回転量設定機能およびXYZ方向の移動機能を有する。
スピンドル4についての回転機能は、工具による切削機能・研削機能となり、またスピンドル4にワーク自動交換装置1を装着したときに、ワーク8の搬入搬出方向の移動のための原動力となる。スピンドル4についての回転量設定機能は、スピンドル4の回転回数や必要に応じて1回転中の回転角度を設定できる機能である。さらに、スピンドル4についての移動機能は、スピンドル4をXYZ方向に移動させる機能であり、スピンドル4の位置決め機能・加工送り機能となる。
したがって、スピンドル4の回転量すなわち回転回数や1回転中の回転角度は、工作機械2のNC装置の入力器により設定でき、またスピンドル4のXYZ方向の移動および移動量もNC装置の入力器により設定できる。なお、スピンドル4は、筒状のハウジング3の内部で複数のベアリング21によって回転自在に支持されており、図示しないが、後端でスピンドル4の回転駆動手段によって駆動され、またXYZ方向の移動案内手段によって加工送り方向に移動する。
そして、ワーク自動交換装置1は、工作機械2において、ハウジング3に回り止め状態で着脱自在に取り付けられるボデイ5と、このボデイ5に回転自在に支持され、かつスピンドル4に回り止め状態で着脱自在に取り付けられ、スピンドル4と共に回転するテーパシャンク6と、このテーパシャンク6の中心線に一致する状態でテーパシャンク6に固定されているドライブシャフト7と、ボデイ5に取り付けられ、ワーク8の搬入搬出方向に移動可能なキャリアアーム9と、ドライブシャフト7の回転運動をワーク8の搬入搬出方向の往復直線運動に変換し、往復直線運動をキャリアアーム9に伝達する運動変換手段10と、キャリアアーム9に取り付けられ、ワーク8を把持するワークハンド11と、を有する。
ボデイ5は、ワーク自動交換装置1の主要な機械要素を支える部分であって、軽量化のためにアルミニウム材、アルミニウム合金材または複合材によって製作され、ハウジング3に回り止め状態で着脱自在に取り付けられ、テーパシャンク6のフランジ25をハウジング3のフランジ孔28の内部に納め、ハウジング3の内部のベアリング29により回転自在に支持することによって、テーパシャンク6をスピンドル4と共に回転できるように支持している。
ボデイ5は、筒状の部分でハウジング3の頭部にはまり合って回り止めされが、必要に応じて、図示のように、ハウジング3とボデイ5との間で、例えば直径線上の2つのストッパ30とストッパ溝31との係り合いなどにより積極的に回り止め状態とすることもできる。なお、ボデイ5の筒状の部分とハウジング3の頭部とのはまり合いがテーパ面による摩擦的なはまり合いであれば、ハウジング3に対するボデイ5の回り止め状態は、一層強化され、ハウジング3に対するボデイ5の着脱も容易となる。
テーパシャンク6は、自動工具交換装置(ATC)によって工具交換可能な各種の工具ホルダのテーパシャンクと同じ形状であり、スピンドル4のテーパ孔22に位置決め状態で装着され、テーパシャンク6のプルスタッド23の部分をスピンドル4の内部のクランプ手段24により引き込み方向に保持されて、スピンドル4から抜け止め状態となる。
図1のように、抜け止め状態のテーパシャンク6は、フランジ25でテーパ孔22の開口面に当たり、図2のように、一例としてフランジ25の直径線上で2つのキー溝26とスピンドル4のテーパ孔22の開口面に形成されているキー27とにはまり合って、スピンドル4に対して回り止め状態で着脱自在に取り付けられ、スピンドル4と共に一体に回転するようになる。
ドライブシャフト7は、スピンドル4およびテーパシャンク6の中心線に一致する状態でテーパシャンク6に固定され、ボデイ5に取り付けられているベアリングブロック32の内部のベアリング33により回転自在であり、運動変換手段10のリードスクリュ16に連結されている。
図1の例において、運動変換手段10は、ドライブシャフト7によって駆動されるリードスクリュ16と、このリードスクリュ16に対しねじ対偶により組み合わせられ、キャリアアーム9に連結されているスクリュナット17とで構成されており、ドライブシャフト7の回転運動をワーク8の搬入搬出方向の往復直線運動に変換し、この往復直線運動をキャリアアーム9に伝達する。なお、この具体例で、ドライブシャフト7は、リードスクリュ16と一体のシャフトとなっているが、両者は、別体とすることもでき、別体とするときに、両者は、適当なシャフトカップリングを用いて連結される。
キャリアアーム9は、ワーク8の搬入搬出方向に移動可能な状態でボデイ5に支持されている。図1の例において、スクリュナット17は、一方でボルトなどによってガイド13に取り付けられ、他方でボルトなどによってキャリアアーム9に連結され、キャリアアーム9を支持している。このように、キャリアアーム9は、ガイド13およびスクリュナット17によってボデイ5に対して間接的に支持されている。
なお、ガイド13は、ボデイ5のリニアモーションガイドウエイ12に対し、図3のように、角形ガイド面、または図4のように、あり溝形ガイド面に沿って、ワーク8の搬入搬出方向に滑り移動するようになっている。このガイド13の移動形式は、滑り移動に限らず、摩擦抵抗の軽減の観点から、ローラやボールによる転がり移動であってもよい。この他に、ガイド13は、リニアモーションガイドウエイ12ではなく、図示しないが、平行な2本のロッドにそって滑り移動あるいは転がり移動する構成とすることもできる。
ワークハンド11は、機外の位置のワーク8を把持、すなわち保持ないし把握し、ワーク8を加工テーブル37の上に位置決め状態として置き、所定の加工後に、ワーク8を加工テーブル37から機外の位置に送り出すために、キャリアアーム9の先端位置に取り付けられる。ワークハンド11の構造は、ワーク8の性質や形状に応じて適切な構成のハンドを採用される。
図5は、電磁駆動式あるいは空圧駆動式のメカニカルなフインガ開閉型クランパないし開閉型チャックによるワークハンド11を例示している。この他にも、ワークハンド11は、電磁吸引式ハンド、真空吸引パッドなど開閉構造のないものとして構成することもできる。ワークハンド11が適当な軸線、例えばキャリアアーム9の進退方向に平行な軸線を中心として180度回転する機能および回転駆動モータなどを内蔵しておれば、ワーク8の搬入搬出過程において、ワーク8の反転操作が可能となり、1次、2次工程でワーク8の手動反転操作が必要とされるときに、ワーク8のハンドリング操作は、一層効率よく行えるから有利である。
図6および図7は、受け型フオーク式のワークハンド11を例示している。受け型フオーク式のワークハンド11は、平坦な上面または窪み付きの上面でパレット36を支え、パレット36の上にワーク8を載置し、ワーク8を位置決めしながら保持する。このように、ワークハンド11は、ワーク8を直接に把持するか、またはパレット36を介してワーク8を間接的に支持する。以下の説明は、説明の便宜上、主として、パレット36を用いないでワーク8を直接に把持する場合を想定している。
キャリアアーム9の搬入搬出方向の移動量は、基本的には、工作機械2のスピンドル4についての回転量設定機能、すなわちスピンドル4のオリエンテーション機能を利用して設定できる。回転量設定は、工作機械2の図示しないNC装置およびスピンドル4に連結されているエンコーダによって規制できる。このため、オペレータは、キャリアアーム9の搬入搬出方向の移動量を設定するときに、NC装置の入力器を操作して、キャリアアーム9の移動量のデータ入力を行う。移動量のデータは、キャリアアーム9の搬入搬出動作のときのスピンドル4の回転量や1回転中の回転角度の設定となる。
組み込み対象の工作機械2のスピンドル4について、回転量設定機能が無いときに備えて、ワーク自動交換装置1は、位置検出器20を有している。スピンドル4の回転量、換言すると、キャリアアーム9の移動量は、キャリアアーム9の移動中に位置検出器20により検出される。図1の位置検出器20は、ワーク8の搬入搬出方向の位置を検出するために、キャリアアーム9の移動と連動する部分、例えばドライブシャフト7の位置でベアリングブロック32に取り付けられ、ドライブシャフト7の回転を検出するデジタル式またはアナログ式の回転検出器(ロータリエンコーダ)により構成されている。
位置検出器20の出力信号は、キャリアアーム9の搬入搬出方向の位置決め用の検出信号として、工作機械2の図示しないNC装置またはワーク自動交換装置1の図示しない専用制御装置にキャリアアーム9の実際の位置信号として入力される。したがって、工作機械2にスピンドル4についての回転量設定機能が無く、工作機械2の制御側でスピンドル4の回転量を規制できない機械のときにも、ワーク8の位置制御は、位置検出器20の付設よって可能となる。
ワーク自動交換装置1は、工作機械2とともに以下のように動作する。ワーク8の加工工程で、ワーク8は、通常、機外の所定の位置、例えばワークテーブル38の上に位置決め状態として搬送されてくる。一方、ワーク自動交換装置1は、工作機械2による加工の障害とならず、しかもスピンドル4の移動可能な範囲の位置において、スピンドル4の中心線に対してテーパシャンク6の中心線を平行とし、スピンドル4のテーパ孔22にテーパシャンク6を挿入可能な姿勢の状態として待機している。この待機状態で、キャリアアーム9は、後退位置すなわちテーパシャンク6のフランジ25に近い後退位置に置かれている。
オペレータは、NC装置の入力器を操作して、キャリアアーム9の搬入搬出方向の移動量のデータ入力を行う。ワーク8の搬入の時に、工作機械2は、ツールを装着していない空のスピンドル4をXYZ方向に移動させ、スピンドル4の中心線を待機位置のテーパシャンク6の中心線に一致させてから、スピンドル4を前進させて、スピンドル4のテーパ孔22をテーパシャンク6に差し入れ、プルスタッド23をクランプ手段24により引き込みながら保持して、テーパシャンク6をスピンドル4から抜け止め状態とする。
このとき、ボデイ5は、筒状の部分でハウジング3の頭部にはまり合っており、ボデイ5およびテーパシャンク6は、それぞれストッパ30とストッパ溝31との係り合い、キー溝26とキー27との係り合いによって回り止め状態で位置決めされる。このようにして、工作機械2は、空のスピンドル4をXYZ方向に移動させることによって、ハウジング3およびスピンドル4の頭部にワーク自動交換装置1を装着する。
つぎに、工作機械2は、スピンドル4をXYZ方向に移動させ、ワーク自動交換装置1のキャリアアーム9をワーク8に届く範囲の位置まで接近させ、この位置でスピンドル4を駆動して、ドライブシャフト7、リードスクリュ16を回転させ、スクリュナット17と共にキャリアアーム9を後退位置から前進させ、予め設定された移動量だけ移動し、この位置においてワークハンド11でワーク8を把持させる。このときのキャリアアーム9の前進によって、ワークハンド11は、スピンドル4の移動範囲を越えて、ワーク8を把持するための移動量を確保する。この後に、工作機械2は、スピンドル4を反対方向に駆動し、キャリアアーム9を後退させるとともに、スピンドル4をXYZ方向に移動させ、ワーク8を加工テーブル37の上、すなわちスピンドル4の移動範囲内に置いて、ワークハンド11からワーク8を解放する。
キャリアアーム9の進退過程において、工作機械2の図示しないNC装置およびスピンドル4に連結されているエンコーダは、それらの回転量設定機能に従い、移動量のデータ入力に基づいてキャリアアーム9の搬入搬出方向の移動量を規制している。また、工作機械2に回転量設定機能が無いときに、位置検出器20は、リードスクリュ16の回転量からキャリアアーム9の前進および後退の距離を正確に検出している。なお、工作機械2に回転量設定機能があるときにも、位置検出器20の出力信号をNC装置に入力し、位置検出器20による位置検出の機能と工作機械2の回転量設定機能とを併用することもでき、このようにすると、さらに位置制御が向上する。
したがって、加工テーブル37の上の加工位置において、ワーク8の位置は、工作機械2側のスピンドル4についての回転量設定機能およびスピンドル4についてのXYZ方向の位置決め機能、またはワーク自動交換装置1側でのキャリアアーム9の位置決め機能およびスピンドル4についてのXYZ方向の位置決め機能によって正確に規制される。このようにして、ワーク8は、ワークテーブル38の待機位置から加工テーブル37の上の加工位置に移載される。なお、図示しないが、必要に応じ加工テーブル37にワーク8の形状に適当な位置決めピン、位置決め斜面や位置決めVブロックなどの位置決め手段が設けられ、それらの作用によっても正確に位置決めされる。
この後に、工作機械2は、スピンドル4をワーク自動交換装置1とともに待機位置に移動させ、スピンドル4からテーパシャンク6を外して、ワーク自動交換装置1を待機位置に戻し、次のワーク8の搬入搬出動作に備える。
ここで、工作機械2は、自動工具交換装置(ATC)によって、空のスピンドル4に搬入後のワーク8の加工に必要な工具を装着し、装着したスピンドル4の工具を回転させながら工具を加工送り方向に移動させ、ワーク8に所定の加工を施す。この加工後に、工作機械2は、ワーク8の搬入時と逆の動作を行って、加工後のワーク8を所定の位置に搬出する。なお、加工前のワーク8と加工後のワーク8は、通常、それぞれ専用のステーションとして2箇所で並行に用意される。
2箇所で並行に設定されたワークレストまたはパレットレストとのコンビネーションによる自動化から、1人の作業者は、4ないし5台の工作機械2を運転できるというメリットが得られる。回転型の6ないし12台のパレットを、さらに多層型のパレットシステを機械の全面に設置することで、無人大量生産方式へと成長が可能となる。
また、トラニオンタイプのロータリーテーブル(回転軸とスイベル回転軸とが一体化したタイプのロータリーテーブル)を使用した5軸制御の工作機械2にパレットチェンジャを付ける場合は、油圧装置を回転テーブルの下に取り付けることから、スペースが無い中で設計されるため、非常に高価な構造となるが、本発明のワーク自動交換装置1を使用することで、大きなコスト削減となる。
さらに、何十台も工作機械2が連結されたマシニングセルや、トランスファーマシンの場合は、一つひとつの動作の工程時間が厳しく管理されており、いかにその時間を短縮するかが、機械設計の焦点となり、タクトタイムを短くするために、ワーク8や、パレット36の交換時間の短縮が極めて重要となる。そのために、高価な高速パレット交換機を導入されることが常である。ところが一部の工程は、1台では、他の機械のタクトタイムに間に合わない場合は、2台に分割して工程を振り分けられる、この場合、2工程目の機械の作業時間が極端に短い場合は、本発明のワーク自動交換装置1を取り入れることによって、経費が大きく節減できる。
次に、図8は、立て型のマシニングセンタなどの立て型の工作機械2に対する組み込み例を示している。立て型の工作機械2において、スピンドル4は、垂直方向(Z方向)であるため、運動変換手段10は、分割型のドライブシャフト7の間に所定交角のベベルギヤによる一対のギヤ14、15を介在させることによって、リードスクリュ16を水平方向(Y方向)の搬入搬出方向に設定している。一対のギヤ14、15は、図示の具体例によると、ベベルギヤであるが、それらに代えて、ハイポイドギヤ、ウォームギヤなどで構成することもできる。
図8の例において、リードスクリュ16は、ボデイ5の基端側でベアリングブロック32により、またボデイ5の先端側でベアリングブロック34により、それぞれボデイ5に回転自在に支持されている。ボデイ5は、全体としてL字型であり、筒状の部分でハウジング3の下端部分にはまり合った状態で、ボデイ5の筒状の部分に設けられている例えばテーパー状あるいはストレート状のロックピン39と、ハウジング3に設けられているテーパー状あるいはストレート状のロック孔40とのはまり合いによって抜け止めされている。ロックピン39は、一例としてスプリング35によって突出方向つまりはまり合い方向に付勢され、例えばエアシリンダ41により後退方向に駆動された時に、はまり合いを解除する。
エアシリンダ41は、ハウジング3にボルトなどにより取り付けられているブラケット42によって支持されており、エアシリンダ41に対する圧力空気は、エアラインイン43からエアシリンダ41のポートに供給されるようになっている。なお、エアシリンダ41は、油圧シリンダでもよく、これらのシリンダは、複動式のものとし、2ポートへの駆動流体の制御をソレノイドバルブにより制御すれば、スプリング35を設けなくても、ロック孔40に対するロックピン39の進退すなわちはまり合や、その解除を強い力で行える。
ロックピン39およびロック孔40は、図示のように、1つのストッパ30およびストッパ溝31に代えて、または2つのストッパ30およびストッパ溝31に代えて、スピンドル4の直径線上に2個設けられ、ハウジング3からのボデイ5の抜け落ち、すなわちワーク自動交換装置1の落下を防止するとともに、ワーク自動交換装置1の重量を支え、移動の際の慣性に耐えて、安定な支持を確保している。
特に、立て型の工作機械2では、ロックピン39およびロック孔40が設けられていないとき、ワーク自動交換装置1の自重、さらにワーク8またはワーク8およびパレット36の重量は、テーパシャンク6に作用し、スピンドル4に付いているクランプ手段24の引き込み力で保持できないことが予測される。これに対して、好ましい構造として、ロックピン39およびロック孔40がスピンドル4の直径線上に2個設けられておれば、ワーク自動交換装置1の自重、さらにワーク8またはワーク8およびパレット36の重量は、ロックピン39とロック孔40とで工作機械2のハウジング3の部分でも充分に支えられることになる。
さらに、図9は、立て型のマシニングセンタなどの立て型の工作機械2に対する他の組み込み例を示している。立て型の工作機械2において、運動変換手段10は、ドライブシャフト7によって駆動されるピニオンギャ18とピニオンギヤ18にかみ合うラックギヤ19とで構成されている。図示の例によると、ラックギヤ19は、上面側でキャリアアーム9を一体的に支えており、下面側でガイド13を用いることなく、直接にボデイ5のリニアモーションガイドウエイ12の上面に乗り、リニアモーションガイドウエイ12に沿って移動できるようになっている。この結果、ラックギヤ19は、それ自体でガイド13を兼ねており、さらにキャリアアーム9を兼用することもできる。なお、ワークハンド11は、磁性体のワーク8を想定し、磁気吸引式ハンドによって構成されている。
図9の例で、位置検出器20は、ボデイ5に設けられている後退限用のリミットスイッチ44、前進限用のリミットスイッチ45およびラックギヤ19に設けられている1つのドグ46とで構成されており、それらの取り付け位置を調節することによって、キャリアアーム9の最前進位置や最後退位置、さらに移動量を設定できるようになっている。工作機械2にスピンドル4について回転量設定機能が無いときに、2つのリミットスイッチ44、45とドグ46との組み合わせは、スピンドル4に位置検出器20として回転検出器(ロータリエンコーダ)を設ける構成よりも、安価であり、調節も容易であることから、推奨できる構成といえる。なお、位置検出器20は、例示のほかに、高価ではあるが、光学式スケール、磁気式スケールあるいはインダクトシン式スケールなど各種のスケールを利用して、スケールフィードバックとして構成することもでき、その構成でのスケールの出力は、キャリアアーム9の位置決め制御のフィードバック信号として利用できる。
本発明は、主としてマシニングセンタに適用して有益であるが、マシニングセンタ以外の複合型、汎用型、専用型の工作機械2にも利用できる。また、本発明は、ワークハンド11によってワーク8を直接に把持する態様のほかに、ワークハンド11によってパレット36を支え、パレット36でワーク8を間接的に保持する態様も含む。また、キャリアアーム9の進退方向は、通常、ワーク8の搬入搬出時におけるワーク8の把持態様から水平方向であるが、ワーク8の搬送態様に応じて、その他の方向にも設定される。
さらに、ボデイ5は、図示の例のように、工作機械2のハウジング3に対してはまり合う構造であれば、安定するが、軽量なワーク8のときなどのときに、スピンドル4のテーパ孔22とテーパシャンク6とのはまり合いが充分に強固で高い剛性であれば、ハウジング3にはまり合わない構造とし、回り止め状態で着脱自在に取り付けられる構成としてとして製作することもできる。
1 ワーク自動交換装置
2 工作機械
3 ハウジング
4 スピンドル
5 ボデイ
6 テーパシャンク
7 ドライブシャフト
8 ワーク
9 ギャリアアーム
10 運動変換手段
11 ワークハンド
12 リニアモーションガイドウエイ
13 ガイド
14 ギヤ
15 ギヤ
16 リードスクリュ
17 スクリュナット
18 ピニオンギヤ
19 ラックギヤ
20 位置検出器
21 ベアリング
22 テーパ孔
23 プルスタッド
24 クランプ手段
25 フランジ
26 キー溝
27 キー
28 フランジ孔
29 ベアリング
30 ストッパ
31 ストッパ溝
32 ベアリングブロック
33 ベアリング
34 ベアリングブロック
35 スプリング
36 パレット
37 加工テーブル
38 ワークテーブル
39 ロックピン
40 ロック孔
41 エアシリンダ
42 ブラケット
43 エアラインイン
44 リミットスイッチ
45 リミットスイッチ
46 ドグ

Claims (7)

  1. ハウジング(3)内のスピンドル(4)について回転機能、回転量設定機能および移動機能を有する工作機械(2)において、ハウジング(3)に対して回り止め状態で着脱自在に取り付けられるボデイ(5)と、このボデイ(5)に回転自在に支持され、スピンドル(4)に回り止め状態で着脱自在に取り付けられ、スピンドル(4)と共に回転するテーパシャンク(6)と、このテーパシャンク(6)の中心線に一致する状態でテーパシャンク(6)に固定されているドライブシャフト(7)と、ボデイ(5)に取り付けられ、ワーク(8)の搬入搬出方向に移動可能なキャリアアーム(9)と、ドライブシャフト(7)の回転運動をワーク(8)の搬入搬出方向の往復直線運動に変換し、往復直線運動をキャリアアーム(9)に伝達する運動変換手段(10)と、キャリアアーム(9)に取り付けられワーク(8)を把持するワークハンド(11)と、を有することを特徴とするワーク自動交換装置(1)。
  2. ハウジング(3)内のスピンドル(4)について回転機能および移動機能を有する工作機械(2)において、ハウジング(3)に対して回り止め状態で着脱自在に取り付けられるボデイ(5)と、このボデイ(5)に回転自在に支持され、スピンドル(4)に回り止め状態で着脱自在に取り付けられ、スピンドル(4)と共に回転するテーパシャンク(6)と、このテーパシャンク(6)の中心線に一致する状態でテーパシャンク(6)に固定されているドライブシャフト(7)と、ボデイ(5)に取り付けられ、ワーク(8)の搬入搬出方向に移動可能なキャリアアーム(9)と、ドライブシャフト(7)の回転運動をワーク(8)の搬入搬出方向の往復直線運動に変換し、往復直線運動をキャリアアーム(9)に伝達する運動変換手段(10)と、キャリアアーム(9)の移動と連動する部分でキャリアアーム(9)の搬入搬出方向の移動位置を検出する位置検出器(20)と、キャリアアーム(9)に取り付けられワーク(8)を把持するワークハンド(11)と、を有することを特徴とするワーク自動交換装置(1)。
  3. ボデイ(5)にワーク(8)の搬入搬出方向のリニアモーションガイドウエイ(12)およびリニアモーションガイドウエイ(12)に沿って移動可能なガイド(13)を設けて、キャリアアーム(9)をワーク(8)の搬入搬出方向に移動自在とする、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のワーク自動交換装置(1)。
  4. 運動変換手段(10)をドライブシャフト(7)によって駆動されるリードスクリュ(16)と、リードスクリュ(16)に対しねじ対偶により組み合わせられ、キャリアアーム(9)に連結されているスクリュナット(17)とで構成する、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のワーク自動交換装置(1)。
  5. ドライブシャフト(7)中に所定交角の一対のギヤ(14、15)を介在させ、前記所定交角によってワーク(8)の搬入搬出方向を設定する、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のワーク自動交換装置(1)。
  6. 運動変換手段(10)をドライブシャフト(7)によって駆動されるピニオンギャ(18)と、ピニオンギヤ(18)にかみ合い、キャリアアーム(9)に連結されているラックギヤ(19)とで構成する、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のワーク自動交換装置(1)。
  7. ワークハンド(11)を電磁駆動式あるいは空圧駆動式のメカニカルな開閉型クランパないし開閉型チャック、電磁吸引式ハンド、真空吸引パッドおよびワーク(8)載置用フオークのいずれかにより構成する、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のワーク自動交換装置(1)。
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