JP2016053534A - 放射性プルーム監視システムおよび放射性物質検出装置 - Google Patents

放射性プルーム監視システムおよび放射性物質検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】原子力施設から放出される放射性物質による放射性プルームの状態をリアルタイムで監視することが可能であり、放射性プルームによる影響を正確かつ迅速に予測することを可能にすること。【解決手段】原子力施設から放出される放射性プルームを監視する放射性プルーム監視システム1であって、原子力施設の周辺の少なくとも陸地部分での上空において当該原子力施設を平面視において取り囲むように配置され、それぞれ配置された位置における放射性物質に関する量を繰り返して検出する複数の放射性物質検出装置11と、複数の放射性物質検出装置でそれぞれ検出される検出結果を送信する複数の検出側通信装置12と、複数の検出側通信装置から送信される各検出結果を受信する中央通信装置13と、中央通信装置が受信した検出結果に基づいて、原子力施設の周辺における放射性プルームの拡散状況を監視するための情報処理システム14とを有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、放射性プルーム監視システムおよび放射性物質検出装置に関する。本発明は、原子力発電所または使用済み核燃料の再処理工場などの放射性物質を扱う施設の周辺において、施設から放出される放射性物質による放射性プルームを監視するために利用される。
原子力発電所などのような原子力施設においては、万が一の原子力災害の発生時に放出される放射線などを監視する必要がある。
従来において、原子力施設から放出される放射線などを常時監視するために、モニタリングステーションやモニタリングポストが設置されている。モニタリングステーションでは、地面の上に平屋の建屋が設けられ、建屋の屋根の上に設置された放射線機器により放射性物質濃度などが測定される。モニタリングポストでは、地上1m程度の高さ位置にシンチレーション検出器や電離箱式検出器が設置され、地上におけるガンマ線量などの測定が行われる。モニタリングステーションおよびモニタリングポストで測定された測定値は、同じ場所に併設された表示板に表示され、または発電所の中央制御室などに送られて表示される。
また、環境放射線レベルの変化の影響を記録できるサンプルコレクタを複数の特定の場所に配置しておき、現地を技術者が定期的に訪問してデータを収集することにより放射線レベルを監視することが提案されている(特許文献1)。
また、空気中の放射性ダストの放射線を測定するためのダスト放射線モニタが提案されている(特許文献2)。特許文献2によると、ダスト放射線モニタは、板状のシンチレータと、これに対面して配置された平面状集塵用電極と、空気を電離してダストを帯電させるための互いに対向して配置された2つの平面状電離用電極とを有する。
また、吸引ポンプにより空気を吸引して集塵部材にダストを付着させ、付着したダスト中に含まれる放射能の放射線を測定するダスト放射線モニタが提案されている(特許文献3)。
特開平6−201831号公報 特開2002−40187号公報 特開2001−174562号公報
しかし、従来から設置されているモニタリングステーションやモニタリングポストでは、それぞれ独立した建屋などを設ける必要があるため、建築スペースが必要でありかつ建築コストおよびメンテナンスコストがかかるので、多くを設置することができない。
また、従来において、放射性物質濃度などの測定は地上1m程度かまたは建屋の屋上の地上3〜4m程度で行っているので、実質的に地面に近い位置に存在する放射性物質しか観測することができない。
したがって、従来のモニタリングステーションやモニタリングポストでは、気体状の放射性物質が大気とともに地面から離れた上空を煙突からの煙のように流れる放射性プルームについて、それが地上に降りてくるまで放射性物質を観測できない。
そのため、従来においては、放射性プルームによる放射能汚染をリアルタイムに監視することができない。
また、放射性プルームの移流拡散の状態は、降雨などの天候によって大きな影響を受ける。そのため、原子力施設に万が一事故などがあった場合に、その周辺の放射能汚染分布は、放射線プルームが天候によってどのように移流拡散するかに大きく依存し、その予測は非常に難しい。そのため、従来の観測によった場合は、放射性プルームの状態を正確に監視することが難しい。
また、従来において、シンチレーション検出器や電気集塵型の放射線検出器などは種々存在するが、建屋のない場所で長期にわたって放射性プルームをメンテナンスフリーで監視可能なシステムは存在しない。
また、原子力施設から大量の放射性物質が放出された緊急事態において、周辺環境における放射性物質の大気中濃度などへの影響を予測するために、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)が開発されている。しかし、SPEEDIでは、その予測に当たって、原子力施設から報告される原子炉停止時刻、放出開始時刻、放出核種名などの放出源情報と、気象条件および地形データとに基づいて予測するものであるから、放射性プルームの状態およびそれによる影響を正確かつ迅速に予測することは難しい。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、原子力施設から放出される放射性物質による放射性プルームの状態をリアルタイムで監視することが可能であり、放射性プルームによる影響を正確かつ迅速に予測することを可能にする放射性プルーム監視システムおよび放射性物質検出装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る放射性プルーム監視システムは、原子力施設から放出される放射性物質による放射性プルームを監視する放射性プルーム監視システムであって、前記原子力施設の周辺の少なくとも陸地部分での上空において当該原子力施設を平面視において取り囲むように配置され、それぞれ配置された位置における放射性物質に関する量を繰り返して検出する複数の放射性物質検出装置と、前記複数の放射性物質検出装置でそれぞれ検出される検出結果を送信する複数の検出側通信装置と、前記複数の検出側通信装置から送信される各検出結果を受信する中央通信装置と、前記中央通信装置が受信した検出結果に基づいて、前記原子力施設の周辺における放射性プルームの拡散状況を監視するための情報処理を行う情報処理システムと、を有する。
好ましくは、前記情報処理システムは、前記中央通信装置が受信した検出結果に基づいて、前記原子力施設の周辺における放射性プルームの拡散状況を示す等値線を、所定の時間間隔ごとに作成することが可能となっている。
本発明によると、原子力施設から放出される放射性物質による放射性プルームの状態をリアルタイムで監視することが可能であり、放射性プルームによる影響を正確かつ迅速に予測することが可能となる。
本発明の実施形態に係る放射性プルーム監視システムを示すブロック図である。 放射性プルーム監視システムにおける検出ユニットの配置の様子の例を示す図である。 監視区域に応じた検出ユニットの配置の様子の例を示す図である。 放射性物質検出装置の構成の例を示す図である。 放射性物質検出装置の構成の他の例を示す図である。 放射性物質検出装置の構成の他の例を示す図である。 放射性物質検出装置の構成の他の例を示す図である。 放射性物質検出装置の構成の他の例を示す図である。 ダスト捕集部の構成のさらに他の例を示す図である。 放射性物質検出装置で検出される放射線量の例を示す図である。
〔概略の説明〕
本発明に係るシステムおよび装置は次に示すような種々の形態をとることができる。なお、次に示す形態は一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
放射性プルーム監視システムの一形態は例えば次のとおりである。
すなわち、原子力施設から放出される放射性物質による放射性プルームを監視する放射性プルーム監視システムであって、前記原子力施設の周辺の少なくとも陸地部分での上空において当該原子力施設を平面視において取り囲むように配置され、それぞれ配置された位置における放射性物質に関する量を繰り返して検出する複数の放射性物質検出装置と、前記複数の放射性物質検出装置でそれぞれ検出される検出結果を送信する複数の検出側通信装置と、前記複数の検出側通信装置から送信される各検出結果を受信する中央通信装置と、前記中央通信装置が受信した検出結果に基づいて、前記原子力施設の周辺における放射性プルームの拡散状況を監視するための情報処理を行う情報処理システムと、を有する。
前記情報処理システムは、前記中央通信装置が受信した検出結果に基づいて、前記原子力施設の周辺における放射性プルームの拡散状況を示す等値線を、所定の時間間隔ごとに作成することが可能となっている。
前記複数の放射性物質検出装置は、地上10〜150メートルの上空において、前記原子力施設を中心に設定された監視区域内に、3キロメートルの距離内に少なくとも1つが配置されている。
平面上の同じ位置において複数の前記放射性物質検出装置が配置されている。
前記監視区域は、内側の第1監視区域と外側の第2監視区域とに区分されて設定され、前記放射性プルーム監視システムは、平常モードと緊急モードとを有し、前記平常モードにおいて、前記第1監視区域に配置された前記放射性物質検出装置は、設定された第1の時間ごとに放射性物質に関する量を検出し、前記第2監視区域に配置された前記放射性物質検出装置は、前記第1の時間よりも長く設定された第2の時間ごとに放射性物質に関する量を検出し、いずれかの前記放射性物質検出装置による検出結果が所定のしきい値を越えたときに、前記平常モードから前記緊急モードに切り替えられ、前記緊急モードにおいて、前記第1監視区域および前記第2監視区域に配置された前記放射性物質検出装置は、前記第1の時間またはそれよりも短く設定された第3の時間ごとに放射性物質に関する量を検出する。
前記放射性物質検出装置は、イオン風発生部、ダスト捕集部、および放射線検出部を有し、前記イオン風発生部は、イオン風を発生させて大気中の空気をイオン化して前記ダスト捕集部に送り込み、前記ダスト捕集部は、前記イオン風発生部から送り込まれた空気に含まれるダストを電界によって捕集し、前記放射線検出部は、前記ダスト捕集部に捕集されたダストの放射線を計測し、計測した結果を出力する。
前記イオン風発生部は、導電性を有する筒状または平行平板状の面電極と、前記面電極の内部に向かって配置された針状電極と、前記面電極と前記針状電極との間に高電圧を印加する高圧電源と、を有する。
複数の前記面電極がそれらの軸が互いに平行となるように配置され、前記複数の前記面電極のそれぞれに対して、1つまたは複数の針状電極が配置されている。
前記ダスト捕集部は、導電性を有する材料からなり互いに平行に配置された第1捕集電極および第2捕集電極と、前記第1捕集電極と前記第2捕集電極との間に電圧を印加する捕集電圧電源と、を有する。
前記第1捕集電極および前記第2捕集電極は、それぞれ導電性を有する材料の表面に、合成樹脂またはセラミックスなどの絶縁材料によるコーティングが施されたものであってもよい。
前記第1捕集電極と前記第2捕集電極との間に前記捕集電圧電源により印加される電圧よりも高い逆極性または同極性のパルス状の電圧を印加して前記第1捕集電極または前記第2捕集電極に付着したダストを脱落させるためのダスト脱落用電源を有する。
前記ダスト捕集部には、前記第1捕集電極または前記第2捕集電極に付着したダストを脱落させるための加振部を有する。
それぞれの前記放射性物質検出装置およびそれぞれの前記放射性物質検出装置に対応した前記検出側通信装置は、太陽電池セルにより発電される電力により動作可能であり、当該検出側通信装置は、当該放射性物質検出装置による検出結果を無線通信によってリアルタイムで送信する。
原子力施設から放出される放射性物質による放射性プルームを監視する放射性プルーム監視システムに用いられる放射性物質検出装置であって、イオン風発生部、ダスト捕集部、および放射線検出部を有し、前記イオン風発生部は、イオン風を発生させて大気中の空気をイオン化して前記ダスト捕集部に送り込み、前記ダスト捕集部は、前記イオン風発生部から送り込まれた空気に含まれるダストを電界によって捕集し、前記放射線検出部は、前記ダスト捕集部に捕集されたダストの放射線を計測し、計測した結果を出力する。
前記ダスト捕集部は、捕集されたダストを脱落させて初期状態にリセットするためのダスト脱落用電源または加振部を有する。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔一実施形態の放射性プルーム監視システム1の説明〕
図1には本発明の実施形態に係る放射性プルーム監視システム1のブロック図が、図2には放射性物質を検出する検出ユニットPDの配置の様子の例が、図3には監視区域EAに応じた検出ユニットPDの配置の様子の例が、それぞれ示されている。
図1および図2において、放射性プルーム監視システム1は、原子力施設GSから放出される放射性物質による放射性プルームを監視するものであり、多数の検出ユニットPD、中央通信装置13、および情報処理システム14を備える。
検出ユニットPD(PD1、PD2、PD3…)は、それぞれ、放射性物質検出装置11および通信装置12を備える。
放射性物質検出装置11は、原子力施設GSの周辺の少なくとも陸地部分での上空において、原子力施設GSを平面視において取り囲むように配置され、それぞれ配置された位置における放射性物質に関する量を繰り返して検出する。つまり、原子力施設GSの周辺に海などのように陸地部分でない部分がある場合に、その部分の上空に放射性物質検出装置11Bを設ける必要性は少なく、また設けるのが一般に困難であるので、設けなくてもよいということである。しかし必要性と可能性とに応じて設ければよい。
通信装置12は、放射性物質検出装置11で検出される検出結果S1、その他のデータを、リアルタイムで中央通信装置13に送信する。例えば、放射性物質検出装置11が検出結果S1を出力する度ごとに、通信装置12がその検出結果S1を中央通信装置13に送信する。または、通信装置12は、所定の短い時間間隔で、未送信の検出結果S1を中央通信装置13に送信する。例えば、1分、5分、10分、または30分の時間間隔で送信する。この場合には、前回に送信した後で得られた検出結果S1の全部を送信することとなる。
また、中央通信装置13からの問い合わせまたは送信指令に応答して送信することも可能である。つまり、通信装置12は、中央通信装置13からの指令を受信することが可能であり、その指令に応じて検出ユニットPDを制御することが可能である。
つまり、中央通信装置13が多数の通信装置12と通信を行うのには時間を要する。そこで、中央通信装置13が全部の通信装置12を順次スキャンして1つずつコールし、それぞれの通信装置12に検出結果S1を送信するように指令を送ることが可能である。通信装置12は、中央通信装置13からのコールに対応して検出結果S1を送信する。例えば、検出ユニットPDが全部で100個である場合に、中央通信装置13が通信装置12に対し5秒間隔でコールするとした場合は、全部の通信装置12をコールするのに500秒(約8分)を要するので、この場合に、中央通信装置13は、例えば10分ごとに1回のスキャンを行い、その間に全ての通信装置12から検出結果S1を受信する。
なお、複数の通信チャネルを準備し、検出ユニットPDをグループごとに異なる通信チャネルに割り当ててもよい。このようにすると、通信時間が短縮され、スキャンの間隔を短くすることができる。
なお、通信装置12から中央通信装置13に送信するデータには、検出ユニットPDの識別コード、設置位置(平面上の位置、高さ位置)、設置環境、設置年月日、機種名などを含めることができる。
また、中央通信装置13が通信装置12から検出結果S1などを受信することによって、各検出ユニットPDの作動に異常がないかどうかをチェックすることができる。例えば、検出結果S1が予測されない特異な値であったとき、検出結果S1の時間的変化が理論上あり得ない変化であったときなどに、当該検出ユニットPDが異常であると判断する。また、中央通信装置13から通信装置12に対し、作動状態をチェックするための指令を送り、その応答内容に応じて正常であるか異常であるかを判断してもよい。異常であると判断したときは、例えば、当該検出ユニットPDの検出結果S1を無視し、当該検出ユニットPDのメンテナンスを行う。
通信装置12と中央通信装置13との間の通信手段として、有線通信、無線通信、またはその組み合わせを用いることができる。無線通信の場合には、適当な場所に通信アンテナを設ければよく、検出ユニットPDの設置場所の自由度が高くなり、設置に要するコストも低くなる。その場合に、通信のための周波数として、VHF帯またはUHF帯のテレビホワイトスペースを利用することが可能であり、これにより、山間地域または人口過疎地域においても低コストで通信を行うことが可能である。有線通信の場合には、同軸ケーブル、光ケーブル、またはLANケーブル、その他の通信回線を用いることが可能である。
また、地上などに中継通信装置を設け、中継通信装置と通信装置12との間は無線通信とし、中継通信装置と中央通信装置13との間は有線通信としてもよい。中継通信装置を設けた場合は、通信装置12の送信出力を低くすることができるので、通信装置12の消費電力が低減され、その電源装置が小型化される。
検出ユニットPDは、金属製または合成樹脂製のハウジングの中に、放射性物質検出装置11および通信装置12を組み込んで一体化した構造である。しかし、放射性物質検出装置11と通信装置12とを別々のハウジングに組み込み、それらをケーブルなどにより接続した構成としてもよい。
また、検出ユニットPDには、放射性物質検出装置11および通信装置12の動作に必要な電源装置も設けられている。そのような電源装置として、太陽電池セル、および太陽電池セルにより発電される電力により動作可能なインバータまたはコンバータなどを用いることが可能である。太陽電池セルによって充電される二次電池を備えてもよい。また、電源装置は、商用交流電力または種々の回線から供給される直流電力などを電力源としてもよい。
各検出ユニットPDは、所定の監視区域EA内において、例えば地上10〜150メートルの上空に設置される。
すなわち、例えば、検出ユニットPDは、原子力施設GSの周辺に設置された鉄塔、またはその他の適当な高層建築物などに取り付けられる。原子力施設GSが原子力発電所である場合は、発電した電力を送電するための送電鉄塔が建設されるので、その送電鉄塔を利用すればよい。また、放送や通信のための鉄塔、気象観測用の鉄塔など、種々の鉄塔を利用することも可能である。
検出ユニットPDを鉄塔に設置した場合には、鉄塔がトラス構造であることによって大気の流れを乱すことが少なく、放射性プルームの移流拡散の状況を正確に検出することが可能である。
また、適当な鉄塔がない場合には、ポール、係留気球、ホバーリング可能な飛行体、または移動可能な梯子車やマスト車などを利用してもよい。
また、周辺に森林や山岳地帯がある場合に、検出ユニットPDは、適当な高さの樹木などに取り付けられる。山岳地帯である場合には、その地形が放射性プルームの移流拡散に与える影響を考慮して、他よりも低い地上高さ位置に設置することも可能である。
なお、検出ユニットPDを設置する地上高さが高くなると、例えば地上高さが100〜150m程度になると、地上からの放射線による影響を受け難いので、放射性プルームをより正確に検出することが可能である。
平面上の同じ位置において、複数の検出ユニットPDを互いに異なる高さ位置に設置してもよい。例えば、適当な高さ間隔ごとに、例えば5〜20mの高さ間隔で検出ユニットPDを設置する。具体的には、例えば、20m、40m、60mなどの異なる高さ位置に、それぞれ検出ユニットPDを設置する。このようにすると、原子力施設GSを中心とする大気空間内において立体的に放射性プルームを検出することができ、放射性プルームの検出精度が向上し、放射性物質の拡がりを予測する場合の予測精度が向上する。
また、検出ユニットPDは、原子力施設GSを中心に設定された監視区域EA内に、所定の距離TL内に少なくとも1つが配置される。所定の距離TLを、例えば3kmとすることができる。また、2km、1km、または5kmなどとしてもよい。
例えば図2に示すように、検出ユニットPDは、マトリックスの交点に対応する位置に1つずつ設置される。原子力施設GSと同じ位置に検出ユニットPDを設置してもよい。隣り合う検出ユニットPD間の間隔である距離TLa、TLbは、3km以下である。距離TLa、TLbを3kmとすると、3km内に検出ユニットPDが少なくとも1つが配置されることとなる。距離TLa、TLbを2kmとすると、2km内に検出ユニットPDが少なくとも1つが配置されることとなる。なお、距離TLa、TLbは互いに同一でもよく、異なってもよい。
また、原子力施設GSから離れるにしたがって距離TLが大きくなるように設置してもよい。また、複数の監視区域EAを設定し、監視区域EAごとに異なる距離TLを設定してもよい。
つまり、例えば、図3に示されるように、原子力施設GSを中心として、放射性プルームを監視する所定の監視区域EAが、内側の第1監視区域EA1と外側の第2監視区域EA2とに区分されて設定される。
図3において、第1監視区域EA1に設置された検出ユニットPDの距離TLは、第2監視区域EA2に設置された検出ユニットPDの距離TLよりも小さくなっている。つまり、第1監視区域EA1の方が設置密度が高くなっている。つまり、第1監視区域EA1および第2監視区域EA2における検出ユニットPDの距離TLを、それぞれ第1の距離TL1および第2の距離TL2とすると、TL1<TL2である。
なお、第1監視区域EA1および第2監視区域EA2の外周を円周としたが、自然の地形や人口密度分布などに応じて変形し、任意の曲線とすることも可能である。また、2つの監視区域ではなく3つ以上の監視区域に区分してもよい。また、監視区域を区分するのではなく、距離TLの平均的な値が原子力施設GSから離れるにつれて徐々に大きくなるようにしてもよい。
また、検出ユニットPDが配置される場所ごとに距離TLが異なっていてもよい。実際上、検出ユニットPDを設置できる場所は制限されることが多いので、距離TLは目安として設定されることが多い。したがって、距離TLの設定に際し、最大距離TLXから最小距離TLZまでの距離範囲TLH(TLX〜TLZ)として設定するようにしてもよい。
なお、監視区域EAまたは第2監視区域EA2として、例えば原子力施設GSを中心とする半径30kmの区域とし、第1監視区域EA1として半径10kmの区域としてよい。これ以外の範囲の区域としてもよい。
さて、中央通信装置13は、各通信装置12から送信される検出結果S1、その他のデータを受信する。上に述べたように、中央通信装置13と通信装置12との間に中継通信装置を設け、中央通信装置13は中継通信装置から検出結果S1などを受信するようにしてもよい。
情報処理システム14は、それ自体がCPU(演算装置)、メモリ、周辺素子、インタフェースなどを備え、外部に、表示装置141、プリンタ142、外部記憶装置143、および入力装置144などが接続される。外部記憶装置143には、原子力施設GSの周辺の地形データなどが記憶されている。また、情報処理システム14は、ネットワークNWを介して外部の情報処理システムやクラウドサービスシステムなどに接続される。クラウドサービスシステムからは、例えば、各地の気温、気圧、風向、風力、天候などの気象データを入力することが可能である。
情報処理システム14は、中央通信装置13が受信した検出結果S1に基づいて、原子力施設GSの周辺における放射性プルームの拡散状況を監視するための情報処理を行う。例えば、中央通信装置13が受信した検出結果S1などに基づいて、原子力施設GSの周辺における放射性プルームの拡散状況を示す等値線(等値線図)を、所定の時間間隔ごとに作成する。この場合に、等値線は、例えば情報処理システム14において全ての検出結果S1を更新したときに作成してもよい。つまり、この場合の所定の時間間隔は、中央通信装置13がスキャンを行う時間間隔と同じとしてよい。
なお、等値線は、例えば放射能レベルまたは空気中放射能濃度などについての等値線を含む。
これらによって、放射性プルームの移流拡散の状況、放射性物質による汚染状況などが視認可能となる。また、ネットワークNWを介して受信した気象データを含めて解析し、放射性プルームの今後(将来)の拡散予測を示す図を作成することも可能である。作成された等値線および受信した検出結果S1などは、表示装置141に表示され、プリンタ142により印刷され、外部記憶装置143に記憶される。
また、情報処理システム14における解析結果、および全ての検出ユニットPDの検出ユニットPDなどを、ネットワークNWを介して外部の情報処理システムや数値シミュレータ、例えばSPEEDIなどへの入力情報として出力することが可能である。SPEEDIでは、検出ユニットPDにより実測された検出結果S1を入力することにより、放射線量などの拡散状況および数時間後の拡散予測を正確に求めることができ、住民の避難誘導やその他の対策に役立てることが可能である。
また、平面上の同じ位置に高さ位置の異なる複数の検出ユニットPDを設置した場合には、これらの検出結果S1によって気流の動きをも含めた拡散状況を実測することができ、放射性プルームの今後の拡散予測に一層役立てることが可能である。
また、情報処理システム14は、中央通信装置13を制御して検出結果S1の収集動作を制御し、中央通信装置13を介して通信装置12の検出動作を制御しチェックすることが可能である。
例えば、情報処理システム14による放射性プルームの監視動作には、平常モードと緊急モードとが設定可能である。平常モードにおいて、第1監視区域EA1に配置された検出ユニットPDは、設定された第1の時間T1ごとに放射性物質に関する量を検出し、第2監視区域EA2に配置された検出ユニットPDは、第1の時間T1よりも長く設定された第2の時間T2ごとに放射性物質に関する量を検出する。通常は平常モードが設定される。そして、いずれかの検出ユニットPDによる検出結果が所定のしきい値Thを越えたときに、平常モードから緊急モードに切り替えられる。
緊急モードにおいて、第1監視区域EA1および第2監視区域EA2に配置された検出ユニットPDは、第1の時間T1またはそれよりも短く設定された第3の時間T3ごとに放射性物質に関する量を検出する。
なお、設定する時間Tの例としては、第1の時間T1として、例えば0.5〜5分程度、具体的には1分程度、第2の時間T2として、例えば3〜30分程度、具体的には10分程度、第3の時間T1として、例えば0.5〜2分程度、具体的には0.5分または1分程度とすることができる。これらの時間以外としてもよい。
〔検出ユニットPDの説明〕
次に、本実施形態の放射性プルーム監視システム1で用いられる検出ユニットPDの例を説明する。
図4には検出ユニットPDのうちの放射性物質検出装置11の構成の例が示されている。
図4において、放射性物質検出装置11は、イオン風発生部31、ダスト捕集部32、放射線検出部33、および電源装置34を備える。
イオン風発生部31は、イオン風を発生させて大気中の空気をイオン化してダスト捕集部32に送り込む。イオン風発生部31は、筒状電極311、針状電極312、および高圧電源313とを有する。
筒状電極311は、ステンレス鋼、鉄鋼、銅合金、アルミニウム合金などの金属材料からなって導電性を有し、円筒状または角筒状に形成されている。筒状電極311は、接地電位となるよう、例えばハウジングまたは大地に接続される。
針状電極312は、筒状電極311と同様な金属材料から先端が尖った針状に形成され、筒状電極311の内部に向かって配置され、図示しない絶縁体によって支持されている。針状電極312は、筒状電極311の内部に入り込まない状態でもよく、または内部にまで入り込んだ状態でもよい。
高圧電源313は、筒状電極311と針状電極312との間に2〜7kV程度、例えば5kVの高い電圧V1を印加する。高圧電源313は、直流電圧、交流電圧、またはパルス状電圧を発生するものである。直流電圧である場合に、本実施形態では針状電極312を負極とするが、しかし、正極としてもよい。交流電圧またはパルス状電圧である場合は、周波数が例えば1kHz〜数十kHz程度である。
ダスト捕集部32は、イオン風発生部31から送り込まれた空気に含まれるダストを電界によって捕集する。ダスト捕集部32は、第1捕集電極321、第2捕集電極322、および捕集電圧電源323を有する。
第1捕集電極321および第2捕集電極322は、ステンレス鋼、鉄鋼、銅合金、アルミニウム合金などの金属材料からなり、イオン風発生部31から送られてきたイオン風がそれらの間を通るように互いに間隔をあけて平行に配置される。第1捕集電極321および第2捕集電極322は、それらの表面に、フッ素樹脂などの合成樹脂、またはセラミックス、その他の絶縁材料によるコーティングが施される。コーティングによって、表面が保護され、酸化が防止され、汚れが付きにくくなり、また、表面に付着したダストを落とし易くなる場合がある。
また、第1捕集電極321および第2捕集電極322の表面に、適当な表面処理を施してもよい。例えば材質がアルミニウムである場合にはアルマイト処理(陽極酸化処理)を施してもよい。また、適当な塗装を施してもよい。しかし、コーティング、表面処理、または塗装などを施すことなく、地肌のままであってもよい。
第1捕集電極321および第2捕集電極322のいずれか一方は接地電位となるよう、例えばハウジングまたは大地に接続される。本実施形態では、第1捕集電極321が接地される。
捕集電圧電源323は、第1捕集電極321と第2捕集電極322との間に電圧V2を印加する。捕集電圧電源323は、電圧V2として、十〜数十V程度の直流電圧を出力し、第2捕集電極322が正極または負極となるように電圧を印加する。
放射線検出部33は、ダスト捕集部32の下方部に配置され、ダスト捕集部32に捕集されたダストの放射線を計測し、計測した結果を検出結果S1として出力する。放射線検出部33は、例えば、半導体検出器、シンチレーション検出器、GM計数管などを用いた公知の種々の形式のものを採用することが可能である。放射線検出部33から出力される検出結果S1は、例えば、計測した放射線の量を直接的にまたは間接的に示す信号S1A、および、計測した放射線の量が予め設定されたしきい値Th1を越えたことを示す緊急信号S1B、その他の信号などを含むことが可能である。
図10には、放射性物質検出装置11で検出される放射線量の例が示されている。
図10において、時間の経過とともに増大する放射線量〔μSv/h〕を示す信号S1Aが示されている。通常においては、放射線量は低い値であり、その間は平常モードとなっている。しかし、時間t1で原子力施設GSに万が一の事故があった場合には、放射線量が増大していき、時間t2において放射線量がしきい値Th1を越え、これによって緊急信号S1Bが出力される。緊急信号S1Bが出力されることによって緊急モードに切り替えられる。なお、緊急信号S1Bは、信号S1Aに基づき情報処理システム14において判断して出力することが可能である。
なお、放射線検出部33には、計測した結果を記憶するメモリが設けられている。メモリに蓄積された複数の計測結果を検出結果S1として出力することも可能である。また、メモリには、検出ユニットPDまたは放射線検出部33を特定するための識別コードなどを記憶しておき、識別コードを含む種々のデータを検出結果S1とともに出力することも可能である。
電源装置34は、高圧電源313、捕集電圧電源323、ダスト脱落用電源(パルス電源)、および放射線検出部33など、放射性物質検出装置11の動作に必要な電力を供給する。電源装置34は、また、通信装置12にも電力を供給することが可能である。上にも述べたように、電源装置34として、例えば、太陽電池セル、二次電池、およびインバータまたはコンバータなどを組み合わせて構成することが可能である。この構成によると、外部から電力を供給することなく、太陽光を利用した太陽電池セルの発電によって検出ユニットPDに必要な電力をまかなうことが可能となる。そして、通信装置12を無線通信とすることによって、検出ユニットPDを他の外部機器とのケーブル接続の不要な独立した機器とすることができ、検出ユニットPDの設置の自由度が高くなる。また、太陽光以外に、風力、波力、地熱、バイオマスなどの自然の力で発電した再生可能エネルギーを利用した電源装置34としてもよい。また、商用交流電力などから電力の供給を受けて動作する電源装置34としてもよい。
なお、寸法の一例をあげると、筒状電極311は直径6mm程度、長さ30mm程度、針状電極312は太さ0.1mm程度である。針状電極312の先端と筒状電極311の端面との距離は5mm程度である。第1捕集電極321および第2捕集電極322はともに厚さ0.1mm程度、縦30mm、横20mm程度、それらの間隔は5mm程度である。ただし、これらの寸法に限られることはなく、これ以外の種々の寸法とすることが可能である。
次に、検出ユニットPDの動作について説明する。
イオン風発生部31において、筒状電極311と針状電極312との間に高電圧が印加されることにより、針状電極312から筒状電極311に向かう方向の風量が一定のイオン風が発生する。イオン風の発生によって、針状電極312の前方に存在する空気が筒状電極311の内部に吸い込まれ、イオン化され、反対側から排出される。このときに、空気に含まれるダスト(放射線ダスト)に電荷が与えられる。
ダスト捕集部32において、ダストは、第1捕集電極321と第2捕集電極322との間の電界によって引き寄せられ、それらの表面に付着することにより捕集される。表面に付着したダストは、その大半が重力により落下する。落下したダストおよび付着したままのダストから放射される放射線が、放射線検出部33によって検出(計測)される。放射線検出部33は、予め設定された時間T、または中央通信装置13からの信号により設定された所定の時間T、例えば、第1の時間T1、第2の時間T2、または第3の時間T3ごとに、検出動作を行う。または、中央通信装置13からの指令に基づいて検出動作を行う。放射線検出部33による検出結果S1は、通信装置12を介して中央通信装置13に送信される。
〔検出ユニットPDの他の実施形態の説明〕
次に、検出ユニットPDの他の実施形態について説明する。
図5〜図8には放射性物質検出装置11B〜11Eの構成の種々の実施形態が示されている。これらの図において、図4で説明した放射性物質検出装置11と同様の機能を持つ要素には同じ符号を付しまたは同じ符号に符号「B」「C」「D」「E」などを追加して示し、説明を省略または簡略化する。
図5において、放射性物質検出装置11Bは、イオン風発生兼ダスト捕集部31B、放射線検出部33B、および電源装置34Bを備える。
イオン風発生兼ダスト捕集部31Bは、図4のイオン風発生部31と基本的には同じ構成である。ここで、筒状電極311が接地電位となっているので、イオン風に含まれるダストはこの筒状電極311に集まる。つまり、筒状電極311は、集塵機能を持つので、ダスト捕集部を兼用することが可能である。したがって、ダストは筒状電極311に付着して捕集され、ダストの放射線が放射線検出部33Bによって検出される。
この実施形態の放射性物質検出装置11Bによると、構造が簡略化され、小型かつ低コストである。
図6において、放射性物質検出装置11Cは、イオン風発生部31C、ダスト捕集部32C、放射線検出部33C、および電源装置34Cを備える。
イオン風発生部31Cは、図4のイオン風発生部31の筒状電極311に代えて、平行平板電極314,315が用いられる。平行平板電極314,316の大きさおよび間隔は、ダスト捕集部32Cの第1捕集電極321および第2捕集電極322と同程度である。平行平板電極314,315は、いずれも接地電位に接続されている。
この実施形態の放射性物質検出装置11Cによると、イオン風発生部31Cで発生したイオン風のほとんど全部がダスト捕集部32Cを通過するので、ダストの捕集の効率がよい。
図7において、放射性物質検出装置11Dは、イオン風発生部31D、ダスト捕集部32D、放射線検出部33D、および電源装置34Dを備える。
イオン風発生部31Dは、複数の筒状電極316および複数の針状電極312を備える。つまり、1個の筒状電極316と1個の針状電極312とで構成されるイオン風発生部が複数個設けられる。複数の筒状電極316はいずれも接地電位に接続され、針状電極312のいずれにも同じ高電圧が印加される。
ダスト捕集部32Dは、複数の第1捕集電極325および複数の第2捕集電極326を備える。つまり、1個の第1捕集電極325と1個の第2捕集電極326とで構成されるダスト捕集部が複数個設けられる。第1捕集電極325はいずれも接地電位に接続され、第2捕集電極326に正極の電圧が印加される。イオン風発生部31Dの各筒状電極316から送りだされるイオン風は、それぞれ対応する第1捕集電極325と第2捕集電極326との間を通過する。
この実施形態の放射性物質検出装置11Dによると、複数の筒状電極316が設けられているので、イオン風発生のための有効断面積が大きくなり、多くのイオン風を発生することができ、ダスト捕集部32Dにおいて多くのダストを捕集することができて感度がよい。
図8において、放射性物質検出装置11Eは、イオン風発生部31E、ダスト捕集部32E、放射線検出部33E、および電源装置34Eを備える。
イオン風発生部31Eでは、複数の平行平板電極317,318が用いられる。各平行平板電極317,318の大きさおよび間隔は、ダスト捕集部32Dおよび32Eの第1捕集電極325および第2捕集電極326と同程度である。平行平板電極317,318は、いずれも接地電位に接続されている。
イオン風発生部31Eの各平行平板電極317,318から送りだされるイオン風は、それぞれ対応する第1捕集電極325と第2捕集電極326との間を通過する。
この実施形態の放射性物質検出装置11Eによると、イオン風発生部31Eに複数の平行平板電極317,318が設けられているので、イオン風発生のための有効断面積が大きくなり、多くのイオン風を発生することができ、ダスト捕集部32Eにおいて多くのダストを捕集することができて感度がよい。
〔加振部が設けられたダスト捕集部の例〕
図9には、ダスト捕集部32Fの構成のさらに他の例が示されている。
図9において、ダスト捕集部32Fは、合成樹脂などの絶縁材料からなる矩形枠状のハウジング327の内部に、複数の第1捕集電極328および複数の第2捕集電極329が交互に取り付けられている。複数の第1捕集電極328は、いずれも接地電位に接続されており、複数の第2捕集電極329に正極または負極の電圧が印加される。複数の第1捕集電極328および複数の第2捕集電極329によってイオン風に含まれるダストが捕集される。
ハウジング327には、加振器41が取り付けられている。加振器41は、電力を供給することにより振動するものであり、加振器41が動作したときにはハウジング327が振動し、かつ第1捕集電極328および第2捕集電極329が振動する。これによって、第1捕集電極328および第2捕集電極329に捕集されていたダストは、脱落して下方へ落下する。
また、ハウジング327は、その底面において、外周部分のみを残して切り取られた穴327aが形成されており、穴327aを塞ぐための底カバー327bがネジなどで着脱可能に取り付けられている。振るい落とされたダストは底カバー327bの上面に落下するので、底カバー327bを取り外すことにより、底カバー327bに積もったダストを除去することができる。
また、底カバー327bをネジで取り付けることに代えて、情報処理システム14からの指令または手動による指令などに基づいて、底カバー327bが自動的に開閉するように構成してもよい。このようにすると、底カバー327bに積もったダストを自動的に外部に排出して除去することができる。
また、底カバー327bを取り付けることなく、第1捕集電極328および第2捕集電極329から脱落したダストが穴327aなどを通過してそのまま外部へ排出されるように構成してもよい。
なお、図示は省略したが、放射線検出部33は、ダスト捕集部32Fの下方以外の位置、つまり、ダスト捕集部32Fの横側または上側に設けられ、第1捕集電極328および第2捕集電極329により捕集されたダストの放射線量を計測する。
この実施形態のダスト捕集部32Fによると、複数の第1捕集電極328および複数の第2捕集電極329に付着したダストを、加振器41の振動によって下方へ振るい落とすことができる。
したがって、ダスト捕集部32Fを長期に渡る一定期間を使用したとき、または事故が発生して緊急モードに切り替えられる動作があったときに、ダストを振るい落とし、かつ底カバー327bを開けるなどにより外部に排出することによって、放射線量をゼロにリセットすることができる。
したがって、加振器41を動作させることにより、ダスト捕集部32Fを初期状態にリセットすることができ、ダスト捕集部32Fを備えた検出ユニットPDをメンテナンスフリーで長期にわたって使用することができる。
上の例では、ダストを振るい落として初期状態にリセットするために加振器41を設けたが、これ以外の構成も可能である。例えば、第1捕集電極328と第2捕集電極329との間に、通常の検出動作時に印加される電圧V2よりも高いパルス状の電圧V2Pを印加する。これにより、付着していたダストは電気的な衝撃によって脱落し、落下する。この場合に、電圧V2Pの極性を、電圧V2の極性と同じとし、または逆極性としてもよい。逆極性とした場合には、ダストに電荷が残っていた場合にその電荷と反発するので脱落させ易い。電圧V2Pの波形は、複数のパルスが繰り返されるものでもよい。その場合に、同一極性のパルスが繰り返されるものでもよく、また、正負が逆のパルスが交互に繰り返されるものでもよい。
このようなパルス状の電圧V2Pは、別途設けたダスト脱落用電源が出力するようにしてもよいが、捕集電圧電源323が出力することでもよい。つまり、捕集電圧電源323をダスト脱落用電源と兼用することが可能である。その場合に、捕集電圧電源323は、電圧V2と電圧V2Pとを適当なタイミングで切り替えて出力すればよい。
上に述べた実施形態の放射性プルーム監視システム1によると、原子力施設GSから放出される放射性物質による放射性プルームの状態をリアルタイムで監視することが可能であり、放射性プルームによる影響を正確かつ迅速に予測することが可能となる。これにより、原子力施設GSの事故などの非常時において、原子力施設GSの周辺の住民の避難を適切に誘導することが可能となり、原子力発電所などの運営の信頼性向上に大きく貢献することが期待できる。
また、放射性物質検出装置11、11B〜11Eではイオン風を発生させて空気をイオン化してダストを捕集するので、機械的な可動部分がなく、低消費電力であり、小型でかつ低コストとすることができ、しかも長期に渡ってメンテナンスフリーとすることが可能である。
上の実施形態における筒状電極311、平行平板電極314,315などは、本発明における面電極の例である。
上の実施形態において、検出ユニットPDまたは情報処理システム14は、放射性物質に関する量を検出または測定する際に、空間線量率〔μSv/h〕、空気中放射能濃度〔Bq/m3 〕を測定してもよい。
上の実施形態において、イオン風発生部31、31B〜31E、ダスト捕集部32、32B〜32F、放射線検出部33、33B〜33E、電源装置34、34B〜34E、放射性物質検出装置11、11B〜11E、通信装置12、検出ユニットPD、中央通信装置13、または情報処理システム14の各部または全体の構成、構造、形状、個数、配置、方向、回路、方式、極性、電圧値、周波数などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。また、各実施形態の構成、構造、形状などを互いに組み合わせたり取り替えたりして実施することができる。
1 放射性プルーム監視システム
11、11B〜11E 放射性物質検出装置
12 通信装置(検出側通信装置)
13 中央通信装置
14 情報処理システム
31、31B〜31E イオン風発生部
32、32B〜32F ダスト捕集部
33、33B〜33E 放射線検出部
34、34B〜34E 電源装置
41 加振部
311 筒状電極(面電極)
314,315 平行平板電極(面電極)
312 針状電極
313 高圧電源
321 第1捕集電極
322 第2捕集電極
323 捕集電圧電源(ダスト脱落用電源)
EA 監視区域
EA1 第1監視区域
EA2 第2監視区域
PD 検出ユニット
S1 検出結果
GS 原子力施設
Th1 しきい値

Claims (15)

  1. 原子力施設から放出される放射性物質による放射性プルームを監視する放射性プルーム監視システムであって、
    前記原子力施設の周辺の少なくとも陸地部分での上空において当該原子力施設を平面視において取り囲むように配置され、それぞれ配置された位置における放射性物質に関する量を繰り返して検出する複数の放射性物質検出装置と、
    前記複数の放射性物質検出装置でそれぞれ検出される検出結果を送信する複数の検出側通信装置と、
    前記複数の検出側通信装置から送信される各検出結果を受信する中央通信装置と、
    前記中央通信装置が受信した検出結果に基づいて、前記原子力施設の周辺における放射性プルームの拡散状況を監視するための情報処理を行う情報処理システムと、
    を有することを特徴とする放射性プルーム監視システム。
  2. 前記情報処理システムは、前記中央通信装置が受信した検出結果に基づいて、前記原子力施設の周辺における放射性プルームの拡散状況を示す等値線を、所定の時間間隔ごとに作成することが可能となっている、
    請求項1記載の放射性プルーム監視システム。
  3. 前記複数の放射性物質検出装置は、地上10〜150メートルの上空において、前記原子力施設を中心に設定された監視区域内に、3キロメートルの距離内に少なくとも1つが配置されている、
    請求項2記載の放射性プルーム監視システム。
  4. 平面上の同じ位置において複数の前記放射性物質検出装置が配置されている、
    請求項2または3記載の放射性プルーム監視システム。
  5. 前記監視区域は、内側の第1監視区域と外側の第2監視区域とに区分されて設定され、 前記放射性プルーム監視システムは、平常モードと緊急モードとを有し、
    前記平常モードにおいて、
    前記第1監視区域に配置された前記放射性物質検出装置は、設定された第1の時間ごとに放射性物質に関する量を検出し、
    前記第2監視区域に配置された前記放射性物質検出装置は、前記第1の時間よりも長く設定された第2の時間ごとに放射性物質に関する量を検出し、
    いずれかの前記放射性物質検出装置による検出結果が所定のしきい値を越えたときに、前記平常モードから前記緊急モードに切り替えられ、
    前記緊急モードにおいて、
    前記第1監視区域および前記第2監視区域に配置された前記放射性物質検出装置は、前記第1の時間またはそれよりも短く設定された第3の時間ごとに放射性物質に関する量を検出する、
    請求項3または4記載の放射性プルーム監視システム。
  6. 前記放射性物質検出装置は、
    イオン風発生部、ダスト捕集部、および放射線検出部を有し、
    前記イオン風発生部は、イオン風を発生させて大気中の空気をイオン化して前記ダスト捕集部に送り込み、
    前記ダスト捕集部は、前記イオン風発生部から送り込まれた空気に含まれるダストを電界によって捕集し、
    前記放射線検出部は、前記ダスト捕集部に捕集されたダストの放射線を計測し、計測した結果を出力する、
    請求項2ないし5のいずれかに記載の放射性プルーム監視システム。
  7. 前記イオン風発生部は、
    導電性を有する筒状または平行平板状の面電極と、
    前記面電極の内部に向かって配置された針状電極と、
    前記面電極と前記針状電極との間に高電圧を印加する高圧電源と、
    を有する請求項6記載の放射性プルーム監視システム。
  8. 複数の前記面電極がそれらの軸が互いに平行となるように配置され、
    前記複数の前記面電極のそれぞれに対して、1つまたは複数の針状電極が配置されている、
    請求項7記載の放射性プルーム監視システム。
  9. 前記ダスト捕集部は、
    導電性を有する材料からなり互いに平行に配置された第1捕集電極および第2捕集電極と、
    前記第1捕集電極と前記第2捕集電極との間に電圧を印加する捕集電圧電源と、
    を有する請求項6ないし8のいずれかに記載の放射性プルーム監視システム。
  10. 前記第1捕集電極および前記第2捕集電極は、それぞれ導電性を有する材料の表面に、合成樹脂またはセラミックスなどの絶縁材料によるコーティングが施されてなる、
    請求項9記載の放射性プルーム監視システム。
  11. 前記第1捕集電極と前記第2捕集電極との間に前記捕集電圧電源により印加される電圧よりも高い逆極性または同極性のパルス状の電圧を印加して前記第1捕集電極または前記第2捕集電極に付着したダストを脱落させるためのダスト脱落用電源を有する、
    請求項9または10記載の放射性プルーム監視システム。
  12. 前記ダスト捕集部には、前記第1捕集電極または前記第2捕集電極に付着したダストを脱落させるための加振部を有する、
    請求項9または10記載の放射性プルーム監視システム。
  13. それぞれの前記放射性物質検出装置およびそれぞれの前記放射性物質検出装置に対応した前記検出側通信装置は、太陽電池セルにより発電される電力により動作可能であり、
    当該検出側通信装置は、当該放射性物質検出装置による検出結果を無線通信によってリアルタイムで送信する、
    請求項6ないし12のいずれかに記載の放射性プルーム監視システム。
  14. 原子力施設から放出される放射性物質による放射性プルームを監視する放射性プルーム監視システムに用いられる放射性物質検出装置であって、
    イオン風発生部、ダスト捕集部、および放射線検出部を有し、
    前記イオン風発生部は、イオン風を発生させて大気中の空気をイオン化して前記ダスト捕集部に送り込み、
    前記ダスト捕集部は、前記イオン風発生部から送り込まれた空気に含まれるダストを電界によって捕集し、
    前記放射線検出部は、前記ダスト捕集部に捕集されたダストの放射線を計測し、計測した結果を出力する、
    ことを特徴とする放射性物質検出装置。
  15. 前記ダスト捕集部は、捕集されたダストを脱落させて初期状態にリセットするためのダスト脱落用電源または加振部を有する、
    請求項14記載の放射性物質検出装置。
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