JP2016050194A - 除菌剤 - Google Patents

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政純 原澤
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彰彦 廣島
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Abstract

【課題】細菌表面への特異的接着性により抗菌活性を発揮するシアノアクリレートナノ粒子を利用した除菌衛生用品を提供すること。
【解決手段】アミノ酸、アミノ酸誘導体、並びにそれらのオリゴマー及びポリマーからなる群より選択される少なくとも1種を含み、細菌に対する抗菌活性成分を含まず、かつ、平均粒径が1000nm未満であるシアノアクリレートポリマー粒子と、低級アルコールとを含有する、除菌剤を提供した。本発明の除菌剤は、例えば、ジェル状の皮膚外用剤として調製し得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、アミノ酸等を含有するナノサイズのシアノアクリレートポリマー粒子と低級アルコールを配合した除菌剤に関する。
主としてヒトの医薬に応用すべく、薬物のデリバリーシステム(DDS)や徐放化による薬物の効果向上を目的に、薬剤の微粒子化の研究が進んでおり、例えばシアノアクリレートポリマー粒子に薬剤を抱合させたDDSが公知である(特許文献1、2及び非特許文献1)。本願発明者らも、現在までに、粒径のばらつきが少ないシアノアクリレートポリマー粒子の製造方法、抗菌剤抱合粒子、及びプラスミド抱合粒子を開示している(特許文献3〜5)。従来のポリマー粒子合成法では、シアノアクリレートのアニオン重合反応の開始及び安定化の目的で、重合反応系内に糖類やポリソルベートを共存させる。これらの過去の研究は、薬物のDDSと徐放化が目的であった。
その後、本願発明者は、シアノアクリレートポリマー粒子そのものにグラム陽性細菌に対する抗菌活性があることを見出した(特許文献6)。さらに、アミノ酸を抱合したシアノアクリレートポリマー粒子が抗がん活性を有するほか(特許文献7)、グラム染色性を問わず各種の細菌に対し抗菌力を発揮できることを見出した(特許文献8、9)。ナノサイズのポリマー粒子は、細菌表面(細胞壁)に特異的に接着し、細菌を溶菌に導く。シアノアクリレートナノ粒子は、抗生物質とは全く異なる作用機序で抗菌活性を発揮し、MRSAやVRE等の多剤耐性菌に対しても有効である。
一方、清潔志向の高まりにより、現在様々な除菌衛生用品が販売されている。例えば、水のない場所でも手指を除菌洗浄できるジェル状の除菌剤が様々なメーカーから販売されている。しかしながら、シアノアクリレートナノ粒子抗菌剤を利用した衛生用品は知られていない。
特表平11−503148号公報 特表2002−504526号公報 特開2008−127538号公報 国際公開第2008/126846号公報 特開2008−208070号公報 国際公開第2009/084494号公報 国際公開第2010/101178号公報 国際公開第2012/133648号公報 国際公開第2013/108871号公報
Christine Vauthier et al., Adv. Drug Deliv. Rev., 55, 519-548 (2003)
本発明は、細菌表面への特異的接着性により抗菌活性を発揮するシアノアクリレートナノ粒子を利用した除菌衛生用品を提供することを目的とする。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、グラム染色性を問わず様々な細菌に対し抗菌作用を発揮するアミノ酸含有シアノアクリレートナノ粒子とエタノールを配合した除菌剤を製造し、この除菌剤が手の表面に接種した黄色ブドウ球菌や大腸菌等の細菌を望ましく除菌できることを見出し、本願発明を完成した。
すなわち、本発明は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、並びにそれらのオリゴマー及びポリマーからなる群より選択される少なくとも1種を含み、細菌に対する抗菌活性成分を含まず、かつ、平均粒径が1000nm未満であるシアノアクリレートポリマー粒子と、低級アルコールとを含有する、除菌剤を提供する。
本発明により、シアノアクリレートナノ粒子の優れた抗菌効果を利用した除菌剤が提供される。該ナノ粒子は、抗生物質とは全く異なる機序で細菌を溶菌に導くので、新たな耐性菌を出現させるおそれがなく、またin vivo毒性がないことも確認されているので、日常的に使用される衛生用品にも好ましく活用できる。
本発明で用いる粒子は、シアノアクリレートモノマーをアニオン重合して得られるナノサイズ(平均粒径1000 nm未満)のポリマー粒子であり、アミノ酸、アミノ酸誘導体、それらのオリゴマー及びポリマー(以下、これらを総称して「アミノ酸系分子」ということがある)から選択される少なくとも1種を含む。さらに、糖及びポリソルベートからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてよい。
アミノ酸系分子、糖及びポリソルベートは、シアノアクリレートモノマーのアニオン重合の重合開始・安定剤として使用することができることが知られている。例えば、糖及び/又はポリソルベートを重合開始・安定剤として用いるナノ粒子製造法は、特許文献3、特許文献4(抗菌剤抱合粒子)、特許文献5(プラスミド抱合粒子)等に記載され公知である。アミノ酸系分子を重合開始・安定剤として用いるナノ粒子製造法は、特許文献8、9(アミノ酸系分子の単独使用)等に記載され公知である。また、特許文献7には、アミノ酸と糖類・ポリソルベートを併用する製造法が記載されている。これらの重合開始・安定剤は、いずれか1種のみを使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、「アミノ酸」とは、分子内にアミノ基とカルボキシ基とを持つ化合物をいい、一般的なアミノ酸の定義の通り、アミノ基の水素が分子内の他の部分と置換して二級アミンとなった環状化合物であるイミノ酸も包含する。本発明で使用できるアミノ酸の代表的な例としては、天然のタンパク質を構成する20種のα−アミノ酸が挙げられるが、これらに限定されず、β−、γ−及びδ−アミノ酸系分子も包含される。具体例を挙げると、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シスチン又はシステイン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、メチオニン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸(GABA;神経伝達物質)、カルニチン、γ−アミノレブリン酸、γ−アミノ吉草酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
「アミノ酸誘導体」とは、上記定義によるアミノ酸においていずれかの基が修飾又は置換された構造を有する化合物をいう。生物体成分として天然に存在するアミノ酸誘導体は、通常、本発明で好ましく使用することができる。使用可能なアミノ酸誘導体の具体例を挙げると、クレアチン(アルギニン誘導体で1-メチルグアニジノ酢酸)、オルニチン(アルギニン誘導体で尿素サイクル産物)、サイロキシン(芳香族アミノ酸類であるトリヨウドサイロニン;T4)、デスモシン(角質エラスチンやコラーゲンの構成成分;3分子のアリシンの側鎖と1分子のリシンの側鎖が結合した構造)、ヒドロキシプロリン及びヒドロキシリジン(ゼラチンやコラーゲン構成成分)、ホスホセリン(セリンとリン酸のエステル;カゼイン構成成分)、テアニン(茶成分、グルタミン酸誘導体)、カイニン酸(海人草の虫下し成分)、トリコロミン酸(シメジの成分)やサルコシン(卵黄・ハム・豆類成分;Nメチルグリシン)等が挙げられるが、これらに限定されない。
アミノ酸の「オリゴマー」とは、10個以下のアミノ酸残基がペプチド結合により結合したオリゴペプチドをいい、アミノ酸の「ポリマー」とは、11個以上のアミノ酸残基がペプチド結合により結合したポリペプチドをいう。いずれも、アミノ酸だけではなくアミノ酸誘導体を残基として含んでいてよい。ポリペプチドの残基数の上限は特に限定されないが、例えば500残基以下であり得る。ポリペプチドとしては、11〜100残基、11〜50残基、11〜30残基、11〜20残基、あるいは11〜15残基のものが好ましく用いられ得る。
オリゴペプチドはポリペプチドよりも好ましく用いられ得る。中でも、2〜7残基、2〜5残基、あるいは2又は3残基のオリゴペプチドがより好ましく用いられ得る。
上記した特許文献8〜9に記載されている通り、天然のタンパク質を構成する20種のα−アミノ酸(すなわち、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シスチン又はシステイン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、メチオニン)のいずれでも、糖類やポリソルベートを使用しない条件でナノサイズ(1000nm未満)のシアノアクリレートポリマー粒子を合成できる。中性・酸性・塩基性アミノ酸のいずれでも、そして直鎖・芳香族・イミノ・含硫黄構造のいずれでも、糖類もポリソルベートも使用せずにナノ粒子を製造できることが示されている。従って、20種のα−アミノ酸のみならず、上記したその他のアミノ酸及びアミノ酸誘導体もナノ粒子合成に使用することができるし、また、オリゴペプチドやポリペプチドも分子内にアミノ酸構造を有するので、やはりナノ粒子合成に使用することができる。
「糖」には、水酸基を有する単糖類(例えばグルコース、マンノース、リボース及びフルクトース等)、水酸基を有する二糖類(例えばマルトース、トレハロース、ラクトース及びスクロース等)及び水酸基を有する多糖類(例えばデキストランやマンナン等)が包含される。これらの糖は、環状、鎖状のいずれの形態であってもよく、また、環状の場合、ピラノース型やフラノース型等のいずれであってもよい。また、糖には種々の異性体が存在するがそれらのいずれでもよい。
「ポリソルベート」には、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(商品名 Tween 20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(商品名 Tween 80)等の各種のTween系界面活性剤が包含される。
単糖類、二糖類及び多糖類並びにポリソルベートは、単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。上記した糖及びポリソルベートのうち、グルコース、デキストラン、Tween 20(商品名)が安価に入手できコスト面で有利である。デキストランとしては、平均分子量5万程度以上の重合度であるデキストランが好ましい。デキストランの分子量の上限は特にないが、通常、分子量50万程度以下である。
シアノアクリレートモノマーとしては、アルキルシアノアクリレートモノマーが好ましい。アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは3〜5であり、直鎖でも分岐でもよい。またアルキル基を構成する炭素原子の少なくとも1つがハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)で置き換わっていてもよい。好ましいシアノアクリレートモノマーの具体例としては、メチル−2−シアノアクリレート、エチル−2−シアノアクリレート、n−プロピル−2−シアノアクリレート、i−プロピル−2−シアノアクリレート、n−ブチル−2−シアノアクリレート、i-ブチル-2-シアノアクリレート、n-ペンチル-2-シアノアクリレート、n−ヘキシル-2-シアノアクリレート、n−ヘプチル-2-シアノアクリレート、n-オクチル-2-シアノアクリレート等を挙げることができる。これらの中でも特に、外科領域において傷口の縫合のための接着剤として従来用いられている、下記式で表されるn-ブチル-2-シアノアクリレート(nBCA)を好ましく用いることができる。
Figure 2016050194
ナノ粒子の製造工程では、適当な溶媒中に少なくとも1種の重合開始・安定剤を溶解させた後、撹拌下にて少なくとも1種のシアノアクリレートモノマーを加え、適宜撹拌を続けて重合反応を進行させればよい。本発明で用いるナノ粒子の製造においては、少なくとも1種のアミノ酸系分子を重合開始・安定剤として使用する。さらに糖及びポリソルベートからなる群より選択される少なくとも1種の重合開始・安定剤を組み合わせて用いてもよい。シアノアクリレートモノマーは、1種類のみ用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。
重合開始・安定剤として糖及び/又はポリソルベートを使用する場合、反応開始時の重合反応液中の糖及び/又はポリソルベートの濃度(複数種類用いる場合はその合計濃度)は、特に限定されないが、通常、0.5%〜10%程度、好ましくは0.75%〜7.5%程度である。なお、糖の濃度はw/v%、ポリソルベートの濃度はv/v%を意味し、例えば糖を単独で用いる場合には、上記した濃度範囲はそれぞれ「0.5w/v%〜10w/v%」、「0.75w/v%〜7.5w/v%」を意味する。また、糖を5w/v%、ポリソルベートを1v/v%で併せて用いる場合には、これらの合計濃度を6%というものとする。ただし、単糖類(例えばグルコース)のみを用いる場合には、2.5w/v%〜10w/v%程度で用いることが好ましい。
重合開始・安定剤としてアミノ酸系分子を使用する場合、反応開始時の重合反応液中のアミノ酸系分子の濃度(複数種類用いる場合はその合計濃度)は、特に限定されないが、通常0.1w/v%〜3w/v%程度である。糖及び/又はポリソルベートと併用する場合、アミノ酸系分子の使用濃度はこれより低い濃度であっても差し支えない。
重合反応の溶媒としては、水を主体とする水性溶媒(例えば水、低級アルコール水溶液など)を使用することができ、アミノ酸系分子含有粒子の製造の場合は、通常、水が好ましく用いられる。アニオン重合は水酸イオンにより開始されるので、反応液のpHは重合速度に影響する。反応液のpHが高い場合には、水酸イオンの濃度が高くなるので重合が速く、pHが低い場合には重合が遅くなる。アミノ酸系分子含有粒子を製造する場合には、通常、pHが1.5〜3.0程度の酸性下で適度な重合速度が得られる。反応液を酸性にするために添加する酸としては、特に限定されないが、反応に悪影響を与えず、反応後に揮散する塩酸を好ましく用いることができる。塩酸の濃度は、特に限定されないが、0.0005N〜0.5N程度の範囲で適宜選択可能である。
反応開始時の重合反応液中のシアノアクリレートモノマーの濃度は、特に限定されないが、通常、0.5v/v%〜2.0v/v%程度、好ましくは0.8v/v%〜1.2v/v%程度である。
反応温度は、特に限定されないが、室温で行なうことが簡便で好ましい。反応時間は、反応液のpH、溶媒の種類等に応じて反応速度が異なるため、これらの要素に応じて適宜選択される。特に限定されないが、通常、反応時間は10分〜5時間程度、好ましくは30分〜4時間程度である。得られたアミノ酸系分子含有粒子は、通常、中性の粒子として用いられるので、反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基を反応液に添加して中和することが好ましい。反応終了後の反応液をフィルター濾過し、適宜滅菌水で洗浄して粒子を回収すればよい。
上記の方法によれば、平均粒径が1000nm未満であるナノサイズのシアノアクリレートポリマー粒子を容易に製造することができる。粒子サイズの下限は特に限定されないが、上記の重合反応で製造される粒子の粒径は通常7nm程度以上となる。好ましくは、粒子の平均粒径は20nm〜600nm、より好ましくは50nm〜550nmである。粒子のサイズは、反応液中のシアノアクリレートモノマーの濃度やpH、反応時間を調節することによって調節することができる。また、重合開始・安定剤として糖及びポリソルベートから選択される少なくとも1種を用いる場合には、該重合開始・安定剤の濃度や種類を変えることによっても、粒子サイズを調節することができる(特許文献3、4等参照)。一般に、反応液のpHを高めた場合、反応時間を長くした場合、及び反応液の糖濃度を低くした場合には粒子サイズが大きくなり、重合開始・安定剤としてポリソルベートを用いた場合には粒子サイズが小さくなる。これらの反応条件を適宜組み合わせることで、所望のサイズの粒子を製造することができる。
ナノ粒子の電荷(ゼータ電位)は、特に限定されないが、通常-50mV〜0mV程度である。ゼータ電位とは、粒子表面の電荷を示すもので、粒子の分散性の指標となる。粒子サイズとゼータ電位は、例えばHe・Neレーザーを用いた市販の装置(例えばMalvern Inst.UK社製のゼータサイザー等)を用いて容易に測定することができる。
アミノ酸系分子を重合開始・安定剤として用いて製造されたナノ粒子では、アミノ酸系分子が単に粒子に付着して含有されるのみならず、アミノ酸構造中の-COO基がシアノアクリレートのエチレン末端の炭素に結合し、共有結合により粒子に含有されていると考えられる。なお、上記方法で得られる粒子のアミノ酸系分子の含有率は、通常約20%〜約65%程度である。アミノ酸系分子の含有率は、重合後にフィルター洗浄したときのフィルター通過液の吸光度を適当な波長で測定し、フィルター通過液中のアミノ酸系分子の量(すなわち粒子に結合しなかったアミノ酸系分子の量)を吸光度法により求めた後、下記の式によって算出することができる。
アミノ酸系分子含有量=(アミノ酸系分子添加量)−(フィルター通過液中のアミノ酸系分子の量)
アミノ酸系分子含有率(%)=アミノ酸系分子含有量÷アミノ酸系分子添加量×100
本発明で用いるアミノ酸系分子含有ナノ粒子は、細菌類に対する抗菌活性成分を含まず、細菌表面(細胞壁)への特異的接着性により細菌を溶菌に導くことで抗菌作用を発揮する。アミノ酸を含有するシアノアクリレートポリマーナノ粒子がグラム陽性細菌及びグラム陰性細菌の両者に対して抗菌活性を発揮できることは、特許文献8、9に記載される通り公知である。ナノ粒子が有する細胞障害活性は、正常な哺乳動物細胞に対しては発揮されず、ナノ粒子にはin vivo毒性もないことが確認されている。
ここでいう「抗菌活性成分」とは、細菌の代謝経路ないしは生理機能に生化学的に作用して該細菌の発育を阻止することができる化学物質成分をいい、具体的には、細菌の抗菌に利用可能な抗生物質その他の化学物質成分を言う。ナノ粒子は、抗菌活性成分を全く含まない粒子に限定されず、その抗菌活性成分に対し感受性である細菌を抗菌することができない程度の微量にしか該抗菌活性成分を含んでいない粒子も、本発明で用いる「細菌類に対する抗菌活性成分を含まない」ナノ粒子に包含される。本発明で用いるナノ粒子は、細菌類に対する抗菌活性成分を実質的に含まないということもできる。「抗菌することができない程度の微量」とは、粒子単位体積当たりに含まれる粒子中の抗菌活性成分量を粒子中の含有濃度と定義し、この含有濃度と同濃度の抗菌活性成分を粒子に含有させず単独で感受性細菌に作用させた場合に、該感受性細菌の発育を阻止できない量のことを意味する。本発明で用いるナノ粒子は、抗生物質等の抗菌活性成分を全く含まない粒子であり得る。
アミノ酸系分子含有ナノ粒子は、除菌剤中に3μg/ml〜100μg/ml程度の濃度で含まれていればよい。除菌剤中のナノ粒子濃度は、例えば、5μg/ml〜80μg/ml程度、又は10μg/ml〜80μg/ml程度であり得る。
本発明において、低級アルコールとは、炭素数が1〜5の鎖式アルコールをいう。本発明の除菌剤に含まれる低級アルコールは、好ましくはエタノールである。
本発明の除菌剤は、例えば、皮膚外用剤として使用され得る。もっとも、医療器具類やテーブル等の生活用品など、各種物品の除菌にも使用可能である。
本発明の除菌剤は、さらなる成分として、ヒアルロン酸又はその塩をさらに含有し得る。ヒアルロン酸の塩は、例えば、ヒアルロン酸ナトリウムであり得る。ヒアルロン酸又はその塩は、化粧品の分野で保湿成分として用いられている成分である。皮膚外用剤として本発明の除菌剤を用いる場合にはとりわけ、保湿効果のある成分をさらに配合することが好ましい。
本発明の除菌剤は、ジェル状であり得る。主として外出先での手指の除菌に使用するための除菌ジェル製品が種々市販されており、本発明の除菌剤も、そのようなジェル状の除菌剤として調製可能である。ジェル状に調製する場合、一般に、水溶性ポリマーやトリエタノールアミンが配合される。水溶性ポリマーとしては、例えば、カルボキシビニルポリマーを好ましく用いることができる。
本発明の除菌剤は、ナノ粒子以外の成分として、例えば精製水中に下記の成分を含み得る。
低級アルコール:30〜60%、例えば40〜60%
ヒアルロン酸ナトリウム:0〜1%、例えば0.0001〜1%、又は0.0005〜0.5%
水溶性ポリマー:0〜5%、例えば0.05〜5%、又は0.1〜2.5%
トリエタノールアミン:0〜2.5%、例えば0.025〜2.5%、又は0.05〜1.25%
l-メントール:0〜0.5%、例えば0.005〜0.5%、又は0.01〜0.25%
もっとも、本発明の除菌剤の組成は上記の例に限定されるものではない。本発明の除菌剤には、アミノ酸系分子含有ナノ粒子及び上記成分に加えて、さらなる成分が含まれていてもよい。例えば、アミノ酸系分子含有ナノ粒子以外のさらなる抗菌剤を配合してもよい。他の抗菌剤とナノ粒子を組み合わせて配合し、除菌作用を相加的ないしは相乗的に高めると、ナノ粒子の配合量を低減することができるので、製造コストの面で有利である。
アミノ酸系分子含有ナノ粒子の除菌剤への配合方法は特に限定されず、除菌剤の製造工程中のいずれかのステップで原料の少なくとも一部とナノ粒子を混合すればよい。例えば、精製水中にナノ粒子を添加混合してから低級アルコール等他の原料と混合してもよいし、複数の原料を混合した段階でナノ粒子を添加混合してもよい。あるいは、ナノ粒子以外の原料を全て混合してからナノ粒子コロイド溶液を添加混合してもよい。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
1.アミノ酸含有ナノ粒子の製造
特許文献8、9に記載されている方法に準じてアミノ酸及びデキストランを含有するナノサイズのポリマー粒子を製造した。具体的な手順は以下の通りである。
10 mLの0.01N HClに、100mgのデキストラン60K及び100mgのアミノ酸を溶解し、その液性pHを要時1N塩酸を用いてpH=3に調整した。アミノ酸としては、グリシン及びアスパラギン酸を使用した。
デキストラン及びアミノ酸を溶解させた上記の溶液を撹拌下、100μLのnBCAを加え、3時間撹拌し重合反応を実施した。1N NaOHを滴下して反応溶液を中和後(pH7.8)、さらに30分撹拌することで、アミノ酸及びデキストランを含有するナノサイズのポリマー粒子を得た。得られた粒子は、ミリポア社限外濾過器及びポール社製ワクチン製造向け透析限外濃縮装置にて2段階の限外濾過処理に付し、粒子精製品を得た。
市販のゼータサイザー(Malvern Inst.UK社製)を用いてナノ粒子の平均粒径及びゼータ電位を測定した。また、フィルター洗浄時のフィルター通過液中のアミノ酸分子の量を吸光度法により求め、粒子のアミノ酸含有率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2016050194
2.アミノ酸含有ナノ粒子を配合した除菌ジェル剤の抗菌作用の評価
下記表2の組成を有する除菌ジェル剤を調製し、この除菌ジェル剤に、上記で製造したアミノ酸含有ナノ粒子、及び市販のおしぼり・ウェットティッシュ用品質保持抗菌剤(商品名:アモルデンBB-77、大和化学工業株式会社)を種々の濃度で配合し、ナノ粒子配合除菌ジェルサンプルを調製した。このナノ粒子配合除菌ジェルの抗菌作用を以下の方法で評価した。なお、アモルデンBB-77は、おしぼりやウェットティッシュに臭気を発生させる微生物(グラム陰性桿菌)や灰色カビ等の発育を防止するカチオン性の抗菌剤である。
Figure 2016050194
[試験方法]
(1) 実験用の無菌手袋をはめて、所定の濃度(103〜104濃度)の供試菌液を手袋表面になじませる。
(2) ナノ粒子配合除菌ジェルサンプル2mLを手袋表面になじませる。
(3) SCDLP培地のハンドスタンプ培地に手袋を接触させる。
(4) 36℃で2日間培養する。
(5) 下記の基準で抗菌作用を判定する。
培地上のコロニーが100個以上:+++
培地上のコロニーが10個以上100個未満:++
培地上のコロニーが1個以上10個未満:+
培地上にコロニーが確認されない:0
黄色ブドウ球菌(Staphylococcusaureus)NBRC 13276株に対するGlyナノ粒子の抗菌作用の判定結果を表3に、大腸菌(Escherichiacoli)ATCC8739株に対するGlyナノ粒子の抗菌作用の判定結果を表4に示す。
Figure 2016050194
Figure 2016050194
アミノ酸含有ナノ粒子は、単独で除菌ジェル剤に配合しても、高濃度の細菌類に対し抗菌作用を発揮できることが確認された。また、さらに市販の品質保持抗菌剤を組み合わせて使用することで、アミノ酸含有ナノ粒子の配合量を低減できることが確認された。

Claims (18)

  1. アミノ酸、アミノ酸誘導体、並びにそれらのオリゴマー及びポリマーからなる群より選択される少なくとも1種を含み、細菌に対する抗菌活性成分を含まず、かつ、平均粒径が1000nm未満であるシアノアクリレートポリマー粒子と、低級アルコールとを含有する、除菌剤。
  2. 皮膚外用剤である請求項1記載の除菌剤。
  3. ヒアルロン酸又はその塩をさらに含有する、請求項1又は2記載の除菌剤。
  4. ジェル状である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の除菌剤。
  5. 前記粒子を3μg/ml〜100μg/mlの濃度で含有する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の除菌剤。
  6. 低級アルコール(30〜60%)、ヒアルロン酸ナトリウム(0〜1%)、水溶性ポリマー(0〜5%)、トリエタノールアミン(0〜2.5%)、及びl-メントール(0〜0.5%)を含む、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の除菌剤。
  7. 低級アルコールがエタノールである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の除菌剤。
  8. 前記粒子は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、及びそれらのオリゴマーからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の除菌剤。
  9. 前記粒子は、少なくとも1種のアミノ酸を含む、請求項8記載の除菌剤。
  10. 前記アミノ酸誘導体が、クレアチン、オルニチン、サイロキシン、デスモシン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、ホスホセリン、テアニン、カイニン酸、トリコロミン酸、及びサルコシンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の除菌剤。
  11. 前記アミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シスチン又はシステイン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、メチオニン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、カルニチン、γ−アミノレブリン酸、及びγ−アミノ吉草酸からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の除菌剤。
  12. 前記アミノ酸が、グリシン及びアスパラギン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項11記載の除菌剤。
  13. 前記粒子は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、並びにそれらのオリゴマー及びポリマーからなる群より選択される少なくとも1種が共存する条件下において、シアノアクリレートモノマーをアニオン重合させることにより製造された粒子である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の除菌剤。
  14. 前記粒子は、糖及びポリソルベートからなる群より選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の除菌剤。
  15. 前記粒子は、少なくとも1種の糖をさらに含む、請求項14記載の除菌剤。
  16. 前記糖が、水酸基を有する単糖類、水酸基を有する二糖類及び水酸基を有する多糖類からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項14又は15記載の除菌剤。
  17. 前記粒子は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、並びにそれらのオリゴマー及びポリマーからなる群より選択される少なくとも1種と、糖及びポリソルベートからなる群より選択される少なくとも1種とが共存する条件下において、シアノアクリレートモノマーをアニオン重合させることにより製造された粒子である、請求項14ないし16のいずれか1項に記載の除菌剤。
  18. 前記シアノアクリレートがn−ブチルシアノアクリレートである請求項1ないし17のいずれか1項に記載の除菌剤。
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