JP2016050144A - 脱水素化反応器及び脱水素化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】脱水素化触媒を効率的に利用することができる脱水素化反応器及び脱水素化システムを提供する。
【解決手段】反応容器31内に、脱水素化触媒32と粒状伝熱部材33とを混合することによって構成される混合部50が存在する。粒状伝熱部材33は、脱水素化触媒32よりも熱伝導率が高いため、混合部50においては、加熱機構35によって反応容器31の外部から供給される熱を、粒状伝熱部材33を介して反応容器31における反応管31aの内部へ伝達され易くなる。例えば、加熱機構35によって反応容器31の外部から供給される熱は、反応管31aの管壁を介して内部へ伝達され、内部へ伝達された熱は粒状伝熱部材33を介して反応管31aの内部全体へ伝達される。従って、例えば管壁から離間距離が大きい中心軸線CL1付近の脱水素化触媒32に対しても、熱が十分に伝達される。
【選択図】図2

Description

本発明は、脱水素化反応を行う脱水素化反応器及び脱水素化システムに関する。
従来の脱水素化反応器として、脱水素化反応によって有機ハイドライドから水素を生成して供給するものが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示の脱水素化反応器は、内部に脱水素化触媒が位置する反応容器と、反応容器内に供給された有機ハイドライドを加熱する加熱部と、を備えている。
特開2011−251858号公報
特許文献1に開示の脱水素化反応器において、反応容器内で行われる脱水素化反応に対して加熱部からの熱を充分に供給できない場合があった。このような場合は、特に、加熱部から離間距離が大きい部位や、供給される有機ハイドライドと脱水素化触媒との接触領域の上流側ほど発生し易い状況にあった。このように、脱水素化反応に対して充分な熱を供給できないと、熱供給が不足している部分に位置する脱水素化触媒を効率的に利用できないという問題があった。
そこで、本発明は、脱水素化触媒を効率的に利用することができる脱水素化反応器及び脱水素化システムを提供することを目的とする。
本発明に係る脱水素化反応器は、有機ハイドライドを含む原料が内部を流通する反応容器と、反応容器内に位置し、有機ハイドライドを脱水素化反応によって水素と脱水素化物とに変換する脱水素化触媒と、反応容器内に位置し、脱水素化触媒よりも熱伝導率が高い粒状伝熱部材と、を備え、反応容器内には、脱水素化触媒と粒状伝熱部材とを混合することによって構成される混合部が存在することを特徴とする。
本発明に係る脱水素化反応器では、反応容器内に、脱水素化触媒と粒状伝熱部材とを混合することによって構成される混合部が存在する。粒状伝熱部材は、脱水素化触媒よりも熱伝導率が高いため、混合部においては、反応容器の外部から供給される熱を、粒状伝熱部材を介して反応容器の内部まで伝達し易くなる。従って、本脱水素化反応器では、反応容器の外部から供給される熱が伝達し難い部位にも、脱水素化反応に対して充分な熱を供給することが可能となるため、脱水素化触媒を効率的に利用することができる。
本発明に係る脱水素化反応器において、粒状伝熱部材を構成する粒子の体積平均径は、脱水素化触媒を構成する触媒粒子の体積平均径より大きくてよい。このような構成によると、粒状伝熱部材同士が接触し易く、熱伝導パスが形成され易いため、反応容器の内部方向に向かって温度勾配が小さくなる。従って、本構成の脱水素化反応器では、反応容器の外部から供給される熱が伝達し難い部位に、脱水素化反応に対して充分な熱をより効果的に供給することが可能となるため、脱水素化触媒をより効率的に利用することができる。
本発明に係る脱水素化反応器において、混合部のうち、反応容器内の原料の流通方向における上流部に位置する部分は、反応容器内の下流部に位置する部分より大きくてよい。反応容器の下流部に比して上流部の方が、反応容器内を流れる流体中の有機ハイドライドの割合が大きいため、吸熱反応である脱水素化反応に起因する反応容器内の温度低下が生じやすい傾向がある。従って、反応容器内の原料の流通方向における上流部に位置する混合部の割合を、当該流通方向における下流部に位置する混合部の割合より大きくすることによって、反応容器内に位置する脱水素化触媒をより全体にわたって効率的に利用することができる。
本発明に係る脱水素化反応器において、混合部は、反応容器内の原料の流通方向における上流部にのみ位置してよい。このような構成によると、特に脱水素化反応に起因する反応容器内の温度低下が大きくなりやすい傾向がある反応容器内の原料の流通方向における上流部において優先的に熱供給を行うことによって、反応容器内に位置する脱水素化触媒をより全体にわたって効率的に利用することができる。
本発明に係る脱水素化反応器において、混合部における脱水素化触媒の体積分率は、反応容器内の原料の流通方向における上流側より下流側の方が大きくてよい。すなわち、混合部において反応容器内の原料の流通方向における上流側の方が粒状伝熱部材の量が相対的に多くなる。このような構成によると、脱水素化反応に起因する反応容器内の温度低下が相対的に大きくなる傾向がある反応容器内の原料の流通方向における上流側ほど、粒状伝熱部材を介した熱供給を多くすることが可能となるため、脱水素化触媒をより全体にわたって効率的に利用することができる。
本発明に係る脱水素化反応器において、混合部は、第1混合領域と、第1混合領域より反応容器内の原料の流通方向における下流側に位置する第2混合領域とを含み、第2混合領域における脱水素化触媒の体積分率は、第1混合領域における脱水素化触媒の体積分率より大きくてよい。すなわち、反応容器内の原料の流通方向における上流側に位置する第1混合領域における粒状伝熱部材の量が相対的に多くなる。このような構成によると、脱水素化反応に起因する反応容器内の温度低下が相対的に大きくなる傾向がある反応容器内の原料の流通方向における上流側で、粒状伝熱部材を介した熱供給を多くすることが可能となるため、脱水素化触媒をより全体にわたって効率的に利用することができる。
本発明に係る脱水素化反応器において、混合部における脱水素化触媒の体積分率は、混合部における有機ハイドライドの最終転化率が混合部に位置する脱水素化触媒の総体積と粒状伝熱部材の総体積との和と同じ体積で脱水素化触媒の体積分率を100体積%とした場合における有機ハイドライドの最終転化率以上となる範囲に設定されてよい。このような構成によると、脱水素化触媒の体積分率を100体積%とした(混合部を設けない)場合に比べて、脱水素化触媒の触媒量を低減しても、最終転化率以上で水素を製造することができるため、脱水素化触媒を効率的に利用しつつ、水素の製造を効率的に行うことができる。
本発明に係る脱水素化システムは、上述の脱水素化反応器と、脱水素化触媒による有機ハイドライドの脱水素化反応に対して熱を供給する加熱機構と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る脱水素化システムによれば、上述の脱水素化反応器と同様の作用・効果を得ることができる。
本発明によれば、脱水素化触媒を効率的に利用することができる。
本発明の実施形態に係る脱水素化反応器を備える水素供給システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る脱水素化反応器を備える脱水素化システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る脱水素化反応器の反応容器の内部の構成を示す拡大図である。 反応容器内の混合部の構成のバリエーションを示す概略図である。 反応管の全領域が非混合部である場合における反応管内の温度変化の一例を示すグラフである。 混合部における脱水素化触媒の体積分率と最終転化率の関係を示すグラフの一例である。 混合部における脱水素化触媒の体積分率と最終転化率の関係を示すグラフの一例である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
図1は、本実施形態に係る脱水素化反応器を備えた水素供給システムの構成を示すブロック図である。図1に示す水素供給システム100は、供給する水素を生成するための原料として有機ハイドライドを用いるものである。有機ハイドライドは、ガソリンなどと同様に液体燃料としてタンクローリーなどによって水素供給システム100へ輸送することができる。
有機ハイドライドは、不飽和結合を有する有機化合物の水素化物であり、脱水素化触媒を用いて、水素と脱水素化物(不飽和結合を有する有機化合物)とを含む脱水素化反応物に変換することができる。本実施形態では、有機ハイドライドとして、メチルシクロヘキサン(以下「MCH」とする。)を用いて説明するが、これには限られない。なお、有機ハイドライドを生成するために使用される水素としては、例えば、製油所などで大量に生産される水素、自然エネルギーを用いた水の電気分解により発生する水素などが挙げられるが、これらには限られない。
不飽和結合を有する有機化合物とは、二重結合あるいは三重結合を分子内に一つ以上有する有機化合物である。二重結合としては、炭素−炭素二重結合(C=C)、炭素−窒素二重結合(C=N)、炭素−酸素二重結合(C=O)、窒素−酸素二重結合(N=O)が例示される。三重結合としては、炭素−炭素三重結合、炭素−窒素三重結合が例示される。不飽和結合を有する有機化合物としては、貯蔵性および輸送性の観点から、常温常圧下で液体状の有機化合物であることが好ましい。
不飽和結合を有する有機化合物としては、例えばオレフィン類、ジエン類、アセチレン類、ベンゼン、炭素鎖置換芳香族類、へテロ置換芳香族類、多環芳香族類、シフ塩基類、ヘテロ芳香族類、ヘテロ5員環化合物類、キノン類、ケトン類などが挙げられる。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンなどが挙げられる。ジエン類としては、アレン、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、へブタジエン、オクタジエン、ピペリレン、イソプレンなどが挙げられる。アセチレン類としては、アセチレン、プロピン、ビニルアセチレンなどが挙げられる。炭素鎖置換芳香族類としては、アルキル置換芳香族類などが挙げられる。アルキル置換芳香族類としては、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、クメン、安息香酸などが挙げられる。へテロ置換芳香族類としては、アニソール、ジメトキシベンゼン、フェノール、アニリン、N,N−ジメチルアニリンなどが挙げられる。多環芳香族類としては、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、テトラセン、フェナントレン、テトラリン、アズレンなどが挙げられる。シフ塩基類としては、2-aza-hept-1-en-1-yl-cyclohexaneなどが挙げられる。ヘテロ芳香族類としては、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンなどが挙げられる。ヘテロ5員環化合物類としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾールなどが挙げられる。キノン類としては、ベンゾキノン、ナフトキノンなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。なお、言うまでもないことであるが、二酸化炭素や一酸化炭素は不飽和結合を有しているが一般に有機化合物とは見なされないので、本実施形態における不飽和結合を有する有機化合物から除外される。
上記の不飽和化合物の中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン、テトラリンなど(以下「ベンゼン等」とする。)は、水素化の前後において非水溶性であり、水と相分離可能であるため、生成物としての回収容易性の観点で、アセトン等の水溶性の有機化合物よりも好ましい。なお、非水溶性の有機化合物としては、ベンゼン等のうちの1種の化合物でもよいし、2種以上の化合物の混合物でもよい。
水素供給システム100は、例えば燃料電池自動車(以下「FCV」とする。)や水素エンジン車に水素を供給する機能を有している。
本実施形態では、水素供給システム100として、FCVに高純度水素を供給する水素ステーションを例として説明を行う。図1に示すように、本実施形態に係る水素供給システム100は、原料タンク1、気化器2、脱水素化システム3、分離器4、回収タンク5、水素精製器6、圧縮機7、蓄圧器8、ディスペンサ9、及び冷熱源13を備えており、各構成要素はラインL1〜L9を介して接続されている。
ラインL1は、原料タンク1と気化器2とを接続する。ラインL2は、気化器2と脱水素化システム3とを接続する。ラインL3は、脱水素化システム3と分離器4とを接続する。ラインL4は、分離器4と水素精製器6とを接続する。ラインL5は、分離器4と回収タンク5とを接続する。ラインL6は、水素精製器6と圧縮機7とを接続する。ラインL7は、水素精製器6と気化器2とを接続する。ラインL8は、圧縮機7と蓄圧器8とを接続する。ラインL9は、蓄圧器8とディスペンサ9とを接続する。
原料タンク1は、本実施形態において原料となるMCHを貯留する機能を有するものである。原料タンク1に貯留されるMCHは、外部からタンクローリーなどで輸送され、例えば図示しない圧縮機によってラインL1を介して気化器2に供給される。
気化器2は、原料タンク1から供給されたMCHを気化する機能を有するものである。気化器2によって気化されたMCHは、ラインL2を介して脱水素化システム3へ供給される。
脱水素化システム3は、MCHを脱水素化反応させることによって脱水素化反応物(水素含有ガス)を生成する機能を有するものである。本実施形態に係る脱水素化反応物は、MCHを脱水素化反応させることによって生成する水素及びトルエン(脱水素化物)を主成分とするものであり、場合によっては脱水素化反応をしなかったMCH(未反応物)や不純物を含んでいる。脱水素化システム3で生成された脱水素化反応物は、ラインL3を介して分離器4へ供給される。
分離器4は、脱水素化反応物から脱水素化物であるトルエンを分離する機能を有するものであり、例えば気液分離器が挙げられる。分離器4として気液分離器を採用する場合、例えば脱水素化システム3からラインL3を介して供給される脱水素化反応物を冷却することにより、脱水素化物であるトルエンや未反応物であるMCHを優先的に液化させることができるため、相対的に液化し難い水素と気液分離することができる。この気液分離器における冷却温度は、分離効率の観点から低い(例えば50℃以下)方が好ましい。また、この気液分離器における圧力は、脱水素化物であるトルエンの液化を進める観点から高い(例えば0.2MPa〜1.0MPa)方が好ましい。分離器4で分離された脱水素化物であるトルエンや未反応物であるMCHは、ラインL5を介して回収タンク5へ供給される。分離器4でトルエンやMCHを分離することにより得られた水素含有ガスは、ラインL4を介して水素精製器6へ供給される。
回収タンク5は、分離器4で分離されたトルエンやMCHを貯留する機能を有するものである。回収タンク5に回収されたトルエン等は、例えばタンクローリーで製油所等に輸送し、再度水素化してMCHに変換される。
水素精製器6は、分離器4から供給される水素含有ガスから、さらに脱水素化物であるトルエンや未反応物であるMCH等を除去し、例えばFCV等において要求される程度まで水素純度を高める機能を有するものである。水素精製器6によって得られた高純度水素(精製ガス)は、ラインL6を介して直接的あるいは間接的に圧縮機7へ供給される。ここで、間接的とは、例えば高純度水素をタンク等に一旦貯留することなどを意味する。一方、水素精製器6によって除去された脱水素化物であるトルエンや未反応物であるMCH等を含むオフガスは、水素精製器6において精製ガスとして回収できなかった水素とともに、ラインL7へ供給される。ラインL7へ供給されたオフガスは、例えば図示しない圧縮機を介して気化器2に供給され、原料タンク1から供給され且つ気化器2で気化された原料(MCH)とともに、ラインL2を介して脱水素化システム3に供給される。なお、原料にオフガスを混在させて脱水素化システム3に供給する場合でも、単に「原料を脱水素化システム3に供給する」といったような表現で説明をする場合がある。
水素精製器6としては、例えば、水素分離膜を含んでなる膜分離装置、PSA(Pressure swing adsorption)法又はTSA(Temperature swing adsorption)法を用いる吸着除去装置などが挙げられる。
圧縮機7は、水素精製器6で得られた高純度水素をより高圧(例えば20MPa〜90MPa)にする機能を有するものである。圧縮機7によって高圧状態とされた高純度水素は、ラインL8を介して蓄圧器8に供給される。なお、本実施形態では、圧縮機7によって高圧状態とされた高純度水素を蓄圧器8に供給する構成としているが、これには限られず、例えば当該高圧状態の高純度水素を直接的にディスペンサ9に供給してもよい。
蓄圧器8は、高純度水素を高圧状態で蓄える機能を有するものである。蓄圧器8に高圧状態で蓄えられた高純度水素は、ラインL9を介して、ディスペンサ9によってFCVに供給される。本実施形態では、例えばFCVへの水素供給速度を高めることを可能にする観点から、ラインL9を通過する高純度水素を冷熱源13によって冷却する構成としているが、これには限られず、冷熱源13を採用しない構成としてもよい。
次に、脱水素化システム3の構成について説明する。
図2に示すように、脱水素化システム3は、脱水素化反応器30と、原料供給機構21と、加熱機構35と、制御部23と、を備えている。
脱水素化反応器30は、反応容器31と、脱水素化触媒32と、粒状伝熱部材33と、分配部34と、集約部37と、を備えている。
反応容器31は、原料が内部を流通するように構成されている。本実施形態における反応容器31は、並列配置された複数の反応管31aを含んで構成されているが、このような構成には限られない。本実施形態における反応管31aの形状は、円筒状であるが、これには限られず、例えば二重管状、箱型状、ハニカム状でもよい。
脱水素化触媒32は、有機ハイドライドを脱水素化反応によって水素と脱水素化物とに変換する機能を有するものである。本実施形態における脱水素化触媒32は、反応容器31を構成する各反応管31aの内部に位置している。脱水素化触媒32としては、アルミナ等の多孔質担体に、例えば白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、スズ、レニウム又はゲルマニウム等の触媒金属を担持したものが挙げられる。脱水素化触媒32の触媒粒子の形状としては、特に限られず、例えば円柱状やハニカム状などが挙げられる。
本実施形態における脱水素化触媒32は、各反応管31aの軸方向(矢印AB方向)において、ほぼ全体に亘って位置している。すなわち、脱水素化触媒32の配置領域における上流側の端部32aは、反応管31aの上流側の端部付近に位置する。脱水素化触媒32の配置領域における下流側の端部32bは、反応管31aの下流側の端部付近に位置する。なお、反応管31aの上流側の端部及び反応管31aの下流側の端部における脱水素化触媒32の配置領域外には、脱水素化触媒32の位置を規定する機能を有する粒子層や網目状の支持体を位置させてもよい。また、本明細書において「上流側」とは、反応容器31内の原料や脱水素化反応物の流通方向(矢印B方向)において、所定位置より上流寄りの方向(矢印A方向)を意味し、「下流側」とは、反応容器31内の原料や脱水素化反応物の流通方向(矢印B方向)において、所定位置より下流寄りの方向(矢印B方向)を意味している。
粒状伝熱部材33は、反応容器31の外部から供給される熱を反応容器31の内部に伝達する機能を有するものであり、脱水素化触媒32よりも熱伝導率が高い。本実施形態における粒状伝熱部材33は、脱水素化触媒32と混合した状態で、反応容器31の各反応管31a内における脱水素化触媒32の配置領域の全体にわたって位置している。粒状伝熱部材33の構成材料としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア等の金属酸化物、ステンレス等の金属、炭化ケイ素等の化学的安定性の高い化合物等が挙げられ、中でも、熱伝導性の観点で金属および炭化ケイ素が好ましい。粒状伝熱部材33を構成する粒子の形状としては、球状、円柱状などが挙げられるが、これらの形状には特に限定されない。粒状伝熱部材33としては、脱水素化触媒32に与える負荷を抑制する観点から、脱水素化触媒32の熱膨張率以下の熱膨張率となるものを採用するのが好ましく、例えば金属酸化物や炭化ケイ素が好ましい。粒状伝熱部材33の熱伝導率は、反応容器31の外部から供給される熱をその内部までより効果的に伝える観点から、反応容器31の熱伝導率以上とするのが好ましい。粒状伝熱部材33を構成する粒子の体積平均径は、脱水素化触媒32を構成する触媒粒子の体積平均径より大きいのが好ましく、例えば脱水素化触媒32を構成する触媒粒子の体積平均径としては1〜5mm、粒状伝熱部材33を構成する粒子の体積平均径としては2〜10mmとされる。なお、反応容器31内での粒状伝熱部材33の位置の詳細については後述する。
分配部34は、原料供給機構21により供給量を調整しつつ、ラインL2を介して気化器2(図1参照)から供給される原料を、反応容器31を構成する各反応管31aへ分配する機能を有するものであり、当該各反応管31aの上流側の端部に位置している。分配部34は、ラインL2を介して原料供給機構21から供給される原料が流入する流入口36を有している。本実施形態では、流入口36のラインL2側に圧力調整弁41を有する。圧力調整弁41は、脱水素化反応器30での脱水素化反応の反応圧力を調整する機能を有するものである。なお、脱水素化反応器30での脱水素化反応の反応圧力の調整は、圧力調整弁41による手法に限られず、例えば原料の供給量の調整により行ってもよいし、脱水素化反応器30の出口側に図示しない吸引部を配置して行ってもよい。
集約部37は、反応容器31内に位置する脱水素化触媒32で原料を脱水素化反応することによって生成され、反応容器31を構成する各反応管31aから排出される脱水素化反応物(水素含有ガス)を集約する機能を有するものであり、各反応管31aの下流側の端部に位置している。集約部37は、脱水素化反応物をラインL3に排出する排出口38を有している。
原料供給機構21は、制御部23からの制御信号に基づき、脱水素化反応器30における流入口36への原料供給を調整する機能を有するものである。本実施形態における原料供給機構21は、ラインL1を介して原料タンク1から原料を供給するためのポンプ(図示せず)、及び原料の供給量を調整するための流量調整弁(図示せず)を含んで構成されているが、このような構成には限られない。
加熱機構35は、脱水素化反応器30を加熱する機能、並びに、制御部23からの制御信号に基づき、脱水素化反応器30への熱供給を調整する機能を有するものである。本実施形態における加熱機構35は、熱源22及び熱交換器39を含んで構成されているが、このような構成には限られず、例えば電気ヒータによる構成としてもよい。
熱源22は、熱交換器39に供給される熱媒体を加熱(例えば340℃〜350℃)する機能を有するものである。本実施形態における熱源22は、制御部23からの制御信号に基づき、熱媒体の加熱温度を調整する。また、本実施形態における熱源22は、熱源22で加熱された熱媒体を熱交換器39に供給する機能を有している。このような機能を有するため、制御部23からの制御信号に基づき、熱交換器39への熱媒体の供給速度(流量)を調整することができる。なお、熱媒体の熱交換器39への供給は、熱源22とは別体のポンプを配置して行うようにしてもよい。
熱交換器39は、熱源22から供給される熱媒体と、脱水素化反応器30を構成する各反応管31a(ひいては、各反応管31a内に位置する脱水素化触媒32等)と、の間で熱交換する機能を有するものである。本実施形態における熱交換器39は、流入口44および排出口46を有し、反応容器31における脱水素化触媒32および粒状伝熱部材33が位置する領域を取り囲むように位置している。流入口44は、熱源22から供給される熱媒体を熱交換器39内に流入させるためのものであり、反応容器31の下流側の端部付近に位置している。排出口46は、熱交換器39内の熱媒体を熱交換器39外に排出させるためのものであり、反応容器31の上流側の端部付近に位置している。このような構成によると、反応容器31の上流側に比べて下流側の温度を相対的に高い状態とすることができるため、有機ハイドライドの転化率を高めるうえで好適である。なお、熱交換器39の構成は、上述のものに限られず、例えば流入口44を反応容器31の上流側の端部付近に配置し、排出口46を反応容器31の下流側の端部付近に配置する構成としてもよい。
制御部23は、脱水素化システム3を構成する各構成要素を制御する制御信号を送信する機能を有するものであり、例えば中央演算装置(CPU)、記憶媒体、表示装置を含んで構成されている。本実施形態における制御部23は、例えば脱水素化システム3のシステム運転中において、脱水素化反応器30での脱水素化反応に関する制御を行う。具体的には、制御部23は、原料供給機構21を制御することによって脱水素化反応器30へ原料を供給すると共に、熱源22を制御することによって熱媒体を介して脱水素化反応器30へ熱を供給する。なお、制御部23は、図1に示す水素供給システム100全体を制御するための機能を有していてもよい。
上述のように構成された脱水素化反応器30の反応容器31内には、脱水素化触媒32と粒状伝熱部材33とを混合することによって構成される混合部50が存在する。本実施形態における混合部50は、図3に示すように、脱水素化触媒32の触媒粒子の間に、粒状伝熱部材33の粒子をランダムに位置させることによって構成されている。反応管31aの軸方向(矢印AB方向)に垂直な断面を見た場合、本実施形態における混合部50では、脱水素化触媒32の触媒粒子に対して粒状伝熱部材33の粒子が略均等に分散している。これにより、反応管31aの管壁を介して反応容器31の外部から伝達された加熱機構35により供給される熱は、粒状伝熱部材33を介して反応管31aの内部(例えば当該管壁からの離間距離が大きい部位)まで、より偏りなく伝達される。なお、本実施形態における混合部50は、例えば、脱水素化触媒32の触媒粒子と粒状伝熱部材33の粒子とをらせん状に排出する機能を有する混合機から排出して、反応管31a内に充填することによって構成される。
混合部50は、反応管31aにおける脱水素化触媒32の配置領域の全領域、または一部の領域に位置するように構成される。混合部50における脱水素化触媒32の体積分率は、反応容器31内の軸方向(矢印AB方向)において一定であってよく、当該軸方向において変化してもよい。ここで、脱水素化触媒32の体積分率とは、所定の領域内に位置する脱水素化触媒32の総体積と粒状伝熱部材33の総体積との和に対する脱水素化触媒32の総体積の割合を意味する。なお、図2及び図4において、グレースケールを付した部分は混合部50を示しており、グレースケールが濃いほど粒状伝熱部材33が多く含まれることを示している。
図2に示すように、本実施形態における混合部50は、反応管31aの軸方向(矢印AB方向)における全領域に位置している。すなわち、当該軸方向において脱水素化触媒32の配置領域の全てが、混合部50として構成されている。本実施形態では、混合部50の端部50a,50bはそれぞれ脱水素化触媒32の端部32a,32bと一致している。また、本実施形態における混合部50は、脱水素化触媒32の体積分率が端部50aから端部50bへ至るまで実質的に一定となるように構成されている。ここで、実質的とは、製造上の誤差程度の変化を含むことを意味している。
混合部50は、反応管31aの軸方向(矢印AB方向)における一部の領域に位置していてもよい。この場合、図4(a)、図4(b)及び図4(c)に示すように、反応管31aにおいて脱水素化触媒32の配置領域の一部に混合部50が位置し、他の領域には粒状伝熱部材33が含まれない非混合部51が位置する。
ここで、図5のグラフを参照して反応容器31の反応管31a内の温度変化について説明する。図5は、反応管31aにおける脱水素化触媒32の配置領域の全てが非混合部51である場合において、端部32aから端部32bへ至るまでの反応管31a内の温度変化の一例を示すグラフである。反応管31aには、加熱機構35によって脱水素化触媒32の配置領域の全体にわたって熱が供給されるが、図5に示すように、所定温度の原料が反応管31aに端部32a側から流れ込むと、吸熱反応であるMCHの脱水素化反応が急激に進むことによって、当該端部32a付近にて急激に温度が低下する。そして、端部32b側へ向かうに従って未反応のMCHの量が減るのに伴い、吸熱反応である脱水素化反応が減るため、徐々に温度が高くなってゆく。従って、温度が低くなり易い反応管31aの上流側に混合部50を位置させることによって熱伝導性を高めることが、脱水素化触媒32を効率的に利用する観点で好ましい。
例えば図4(a)に示すように、混合部50は、反応容器31内の上流部FP及び下流部BPのうち、上流部FPのみに位置していてもよい。ここで、「上流部FP」とは反応容器31の反応管31aの前半部分を示し、「下流部BP」とは反応容器31の反応管31aの後半部分を示す。中央線CL2は、脱水素化触媒32の端部32aと端部32bとの間の中央位置を示すものである。図4(a)に示す例における混合部50は、上流部FPの全域に位置しており、その端部50aが脱水素化触媒32の端部32aと一致しており、その端部50bが中央線CL2に位置している。また、図4(a)に示す例における混合部50は、脱水素化触媒32の体積分率が端部50aから端部50bへ至るまで一定である。なお、混合部50の構成としては、図4(a)の例に示すものには限られず、例えば混合部50の端部50bが中央線CL2よりも上流側に位置するように、混合部50が上流部FPの一部のみに位置していてもよい。
例えば図4(b)に示すように、混合部50は、その一部が反応容器31内の下流部BPに位置していてもよい。このような構成とする場合、混合部50のうち、反応容器31内の上流部FPに位置する部分を、反応容器31内の下流部BPに位置する部分より大きくすることが、脱水素化触媒32の効率的な利用の観点で好ましい。図4(b)に示す例における混合部50は、上流部FPの全域に位置すると共に、下流部BPにおける上流側の一部に位置しており、その端部50aと中央線CL2との間の軸方向における距離がその端部50bと中央線CL2との間の軸方向における距離よりも大きい。また、図4(b)に示す例における混合部50は、脱水素化触媒32の体積分率が端部50aから端部50bへ至るまで一定である。
また、図4(b)では混合部50の端部50aが脱水素化触媒32の端部32aと一致しているが、例えば図4(c)に示すように、混合部50の端部50aが脱水素化触媒32の端部32aよりも下流側に位置してよい。これによって、混合部50よりも上流側に非混合部51が位置する。このような構成とする場合であっても、混合部50のうち、反応容器31内の上流部FPに位置する部分が、反応容器31内の下流部BPに位置する部分より大きくなるように、端部50aの位置を設定することが、脱水素化触媒32の効率的な利用の観点で好ましい。特に、混合部50は、図5に示すグラフにおいて最も温度が低くなる極小点Pに対応する部分を少なくとも含むように位置することが脱水素化触媒32の効率的な利用の観点で好ましい。また、図4(c)に示す例における混合部50は、脱水素化触媒32の体積分率が端部50aから端部50bへ至るまで一定である。なお、図4(a)に示す例においても、混合部50の端部50aは脱水素化触媒32の端部32aよりも下流側に位置してもよい。
図2、図4(a)、図4(b)及び図4(c)に示す例における混合部50は、脱水素化触媒32の体積分率が反応容器31内の軸方向において一定であったが、図4(d)及び図4(e)に示すように、反応容器31内の軸方向において脱水素化触媒32の体積分率が変化してもよい。また、温度が下がり易い反応管31aの上流側の熱伝導性を向上することが脱水素化触媒32の効率的な利用の観点で好ましいため、混合部50における脱水素化触媒32の体積分率は、反応容器31内の上流側より下流側の方が大きいことが好ましい。
例えば図4(d)に示すように、混合部50の端部50aから端部50bへ向かうに従って徐々に脱水素化触媒32の体積分率が大きくなる(粒状伝熱部材33の体積分率が小さくなる)ように、体積分率を変化させてよい。脱水素化触媒32の体積分率は、混合部50の端部50aからの離間距離に応じて一定の割合で変化してもよいが、一定の割合で変化しなくともよい。例えば、上流部FPでは、混合部50の端部50aからの離間距離に対する脱水素化触媒32の体積分率の増加率が小さく、下流部BPでは増加率を大きくしてもよい。あるいは、反応管31aの軸方向における一部の領域では混合部50における脱水素化触媒32の体積分率を一定にし、他の領域において、脱水素化触媒32の体積分率を変化させてよい。
例えば図4(e)に示すように、混合部50は、第1混合領域50Aと、第1混合領域50Aより反応容器31内の原料の流通方向(矢印B方向)における下流側に位置する第2混合領域50Bとを含み、第2混合領域50Bにおける脱水素化触媒32の体積分率は、第1混合領域50Aにおける脱水素化触媒32の体積分率より大きくてよい。このように、図4(d)では脱水素化触媒32の体積分率が上流側から下流側へ向かって徐々に大きくなるのに対し、図4(e)では体積分率が段階的に大きくなる。図4(e)に示す例における混合部50は、上流部FPに第1混合領域50Aが位置し、下流部BPに第2混合領域50Bが位置している。ただし、混合領域をどのように区切るかは特に限定されず、第1混合領域50Aと第2混合領域50Bの境界部の位置を、中央線CL2から軸方向においてずれた位置に設定してもよい。また、図4(e)に示す例における混合部50は、混合領域を二つ含んでいるが、三つ以上含んでもよい。また、各混合領域の間に非混合部51が介在していてもよい。なお、図4(d)及び図4(e)では混合部50が反応管31aの全領域に位置している構成を例示したが、図4(a)、図4(b)及び図4(c)のように混合部50が反応管31aの一部に位置している構成において、脱水素化触媒32の体積分率を変化させてもよい。
次に、混合部50における脱水素化触媒32の体積分率の設定について説明する。混合部50における粒状伝熱部材33の量を増やした場合、例えば脱水素化反応が急激に起こる脱水素化触媒32の端部32a付近でも当該脱水素化反応に必要な熱をより多く供給することができる。その一方、混合部50における粒状伝熱部材33の量を増やすと、それに伴い反応容器31内に充填できる脱水素化触媒32の量が減るため、粒状伝熱部材33の量を増やし過ぎると、粒状伝熱部材33を加えない場合より生成される水素の量が低減する場合がある。従って、混合部50における脱水素化触媒32の体積分率は、脱水素化触媒32の粒状伝熱部材33への置き換えに起因する水素生成量の低下の影響に比して、粒状伝熱部材33を増やすことによる転化率の向上の影響が大きくなるような範囲に設定することが好ましい。
具体的には、混合部50における脱水素化触媒32の体積分率は、混合部50におけるMCH(有機ハイドライド)の最終転化率が、脱水素化触媒32の体積分率を100体積%とした場合におけるMCHの最終転化率以上となる範囲に設定されることが好ましい。ここで、脱水素化触媒32の体積分率を100体積%とした場合におけるMCHの最終転化率とは、混合部50に位置する脱水素化触媒32の総体積と粒状伝熱部材33の総体積との和と同じ体積で脱水素化触媒32の体積分率を100体積%とした場合におけるMCHの最終転化率である。
ここで、「最終転化率」とは、ある領域(例えば混合部50)の端部50bの位置における転化率である。例えば、混合部50におけるMCHの最終転化率は、(1−端部50bでのMCHモル流量/端部50aでのMCHモル流量)×100、(端部50bでのトルエンのモル流量/(端部50bでのMCHモル流量+端部50bでのトルエンのモル流量))×100、または(端部50bでの水素モル流量−端部50aでの水素モル流量)/(端部50aでのMCHモル流量×3)×100のいずれかで定義することができる。
図6及び図7を参照して、具体的な混合部50における脱水素化触媒32の体積分率の設定方法について説明する。図6及び図7は、図2に示すように反応管31aの全領域が混合部50であって、混合部50における脱水素化触媒32の体積分率が軸方向において一定とした場合における、脱水素化触媒32の体積分率と最終転化率の関係を示すグラフである。ここでの「最終転化率」とは、上述で説明した混合部50におけるMCHの最終転化率であり、混合部50の端部50b(すなわち脱水素化触媒32の端部32b)の位置における転化率である。また、図6では、反応管31aの外径を30mm、反応管31aの厚さを3mm、反応管31aの長さを1500mm、脱水素化触媒32とMCHとの接触時間(LHSV)を1.5h−1、H/MCH入口比を0.67mol/mol、MCH入口温度を350℃、熱媒体の入口温度を350℃、及び反応圧力を0.29MPaとして演算を行った。図7では、反応管31aの外径を50mm、反応管31aの厚さを3mm、反応管31aの長さを1500mm、脱水素化触媒32とMCHとの接触時間(LHSV)を0.8h−1、H/MCH入口比を0.67mol/mol、MCH入口温度を350℃、熱媒体の入口温度を350℃、及び反応圧力を0.29MPaとして演算を行った。また、図6及び図7に示す検討では、脱水素化触媒32として多孔質アルミナに白金を触媒金属として担持したものを用い、粒状伝熱部材33として緻密質アルミナを用いた。
図6においては、脱水素化触媒32の体積分率を100体積%とした場合におけるMCHの最終転化率は、約88.4%となった。これに対して、脱水素化触媒32の体積分率が11体積%以上の範囲であれば、脱水素化触媒32の体積分率を100体積%としたときよりも最終転化率が高くなる。従って、上述の条件下で使用する場合、混合部50における脱水素化触媒32の体積分率として、11体積%以上の範囲に設定することが水素の生成を効率的に行いつつ、脱水素化触媒32を効率的に利用する観点で好ましい。図7においては、脱水素化触媒32の体積分率を100体積%とした場合におけるMCHの最終転化率は、約67.8%となった。これに対して、脱水素化触媒32の体積分率が4体積%以上の範囲であれば、脱水素化触媒32の体積分率を100体積%としたときよりも最終転化率が高くなる。従って、上述の条件下で使用する場合、混合部50における脱水素化触媒32の体積分率として、4体積%以上の範囲に設定することが好ましい。以上のように脱水素化反応器30の製造時において、上述のような計算や実験によるデータに基づいて混合部50における脱水素化触媒32の体積分率を定め、当該体積分率に混合された脱水素化触媒32及び粒状伝熱部材33が反応容器31に充填される。なお、反応温度、反応圧力、原料の供給量等のパラメータは、脱水素化反応器30の製造後においても変更可能なパラメータである。従って、製造時においては、これらのパラメータを変化させた複数の条件下でのデータを取得し、各パラメータの変化に関わらず、脱水素化触媒32の体積分率を100体積%とした場合よりも高い最終転化率が得られるように、脱水素化触媒32の体積分率を設定してもよい。
なお、図4(a)、図4(b)及び図4(c)のように反応管31aにおける一部の領域に混合部50が位置している場合であっても、上述と同趣旨の方法によって、混合部50における脱水素化触媒32の体積分率を設定することができる。すなわち、混合部50の端部50aと端部50bとの間の領域の脱水素化触媒32の体積分率を100体積%とした場合におけるMCHの最終転化率を演算や実験によって導き出し、当該最終転化率以上となるような範囲に、混合部50の脱水素化触媒32の体積分率を設定すればよい。なお、脱水素化触媒32を効率的に利用する観点から、混合部50における脱水素化触媒32の体積分率は、混合部50におけるMCHの最終転化率が、脱水素化触媒32の体積分率を100体積%とした場合におけるMCHの最終転化率より小さくなる範囲に設定されてもよい。
次に、本実施形態に係る脱水素化反応器30の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る脱水素化反応器30では、反応容器31内に、脱水素化触媒32と粒状伝熱部材33とを混合することによって構成される混合部50が存在する。粒状伝熱部材33は、脱水素化触媒32よりも熱伝導率が高いため、混合部50においては、加熱機構35によって反応容器31の外部から供給される熱を、粒状伝熱部材33を介して反応容器31における反応管31aの内部へ伝達され易くなる。例えば、図3に示すように、加熱機構35によって反応容器31の外部から供給される熱は、反応管31aの管壁を介して内部へ伝達され、内部へ伝達された熱は粒状伝熱部材33を介して反応管31aの内部全体へ伝達される。従って、例えば管壁から離間距離が大きい中心軸線CL1付近の脱水素化触媒32に対しても、熱が十分に伝達される。これによって、反応管31aの中心軸線CL1付近にも、脱水素化反応に必要な熱を供給することができるため、脱水素化触媒32を効率的に利用することができる。また、脱水素化触媒32を効率的に利用することができることにより、必要な水素生成量を確保するための触媒量を低減することができる。なお、脱水素化反応器30では、反応管31aの径を小さくしたり、反応管31a内に伝熱用のフィンを設けたりしなくても、脱水素化触媒32を効率的に利用することができるため、反応容器31の小型化や脱水素化触媒32の充填作業性の観点でも好ましい。
また、本実施形態に係る脱水素化反応器30において、粒状伝熱部材33を構成する粒子の体積平均径は、脱水素化触媒32を構成する触媒粒子の体積平均径より大きくてよい。このような構成によると、粒状伝熱部材33同士が接触し易く、熱伝導パスが形成され易いため、反応容器31の内部方向に向かって(反応管31aの径方向における中心軸線CL1に向かって)温度勾配が小さくなる。従って、脱水素化反応器30では、反応容器31の外部から供給される熱が伝達し難い内部(例えば中心軸線CL1付近)にも、脱水素化反応に対して充分な熱をより効果的に供給することが可能となるため、脱水素化触媒32をより効率的に利用することができる。
また、本実施形態に係る脱水素化反応器30において、混合部50のうち、反応容器31内の原料の流通方向(矢印B方向)における上流部FPに位置する部分は、反応容器31内の下流部BPに位置する部分より大きくてよい。反応容器31の下流部BPに比して上流部FPの方が、反応容器31内を流通する流体中の有機ハイドライド割合が大きいため、吸熱反応である脱水素化反応に起因する反応容器31内の温度低下が生じやすい傾向がある。従って、混合部50のうち、反応容器31内の上流部FPに位置する部分の割合を下流部BPに位置する部分の割合より大きくすることによって、反応容器31内に位置する脱水素化触媒32をより全体にわたって効率的に利用することができる。
また、本実施形態に係る脱水素化反応器30において、混合部50は、反応容器31内の原料の流通方向(矢印B方向)における上流部FPにのみ位置してよい。このような構成によると、特に脱水素化反応に起因する反応容器31内の温度低下が大きくなり易い傾向がある上流部FPにおいて優先的に熱供給を行うことによって、反応容器31内に位置する脱水素化触媒32をより全体にわたって効率的に利用することができる。
また、本実施形態に係る脱水素化反応器30において、混合部50における脱水素化触媒32の体積分率は、反応容器31内の原料の流通方向(矢印B方向)における上流側より下流側の方が大きくてよい。すなわち、混合部50において反応容器31内の原料の流通方向(矢印B方向)における上流側の方が粒状伝熱部材33の量が相対的に多くなる。これによって、脱水素化反応に起因する反応容器31内の温度低下が相対的に大きくなる傾向がある反応容器31内の原料の流通方向(矢印B方向)における上流側ほど、粒状伝熱部材33を介した熱供給を多くすることが可能となるため、脱水素化触媒32をより全体にわたって効率的に利用することができる。
また、本実施形態に係る脱水素化反応器30において、混合部50は、第1混合領域50Aと、第1混合領域50Aより反応容器31内の原料の流通方向(矢印B方向)における下流側に位置する第2混合領域50Bとを含み、第2混合領域50Bにおける脱水素化触媒32の体積分率は、第1混合領域50Aにおける脱水素化触媒32の体積分率より大きくてよい。すなわち、反応容器31内の原料の流通方向(矢印B方向)における上流側に位置する第1混合領域50Aにおける粒状伝熱部材33の量が相対的に多くなる。これによって、脱水素化反応に起因する反応容器31内の温度低下が相対的に大きくなる傾向がある反応容器31内の原料の流通方向(矢印B方向)における上流側で、粒状伝熱部材33を介した熱供給を多くすることが可能となるため、脱水素化触媒32をより全体にわたって効率的に利用することができる。
また、本実施形態に係る脱水素化反応器30において、混合部50における脱水素化触媒32の体積分率は、混合部50における有機ハイドライドの最終転化率が混合部50に位置する脱水素化触媒32の総体積と粒状伝熱部材33の総体積との和と同じ体積で脱水素化触媒32の体積分率を100体積%とした場合における有機ハイドライドの最終転化率以上となる範囲に設定されてよい。このような構成によると、脱水素化触媒32の体積分率を100体積%とした(混合部50を設けない)場合に比べて、脱水素化触媒32の触媒量を低減しても、最終転化率以上で水素を製造することができるため、脱水素化触媒32を効率的に利用しつつ、水素の製造を効率的に行うことができる。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、脱水素化反応器30を加熱する熱交換器39の構成は上述の実施形態のようなものに限られない。また、脱水素化反応器30の構成は図2に示すような多管式のものに限定されず、単管式のものを採用してもよい。
例えば、粒状伝熱部材33は、有機ハイドライドを脱水素化反応によって水素と脱水素化物とに変換する機能をさらに有していてもよい。
なお、参考形態として、反応容器31の反応管31a内に、粒状伝熱部材のみからなる層と、脱水素化触媒のみからなる層とを、軸方向に交互に位置させる構成がある。
3…脱水素化システム、30…脱水素化反応器、31…反応容器、32…脱水素化触媒、33…粒状伝熱部材、35…加熱機構、50…混合部、FP…上流部、BP…下流部。

Claims (8)

  1. 有機ハイドライドを含む原料が内部を流通する反応容器と、
    前記反応容器内に位置し、前記有機ハイドライドを脱水素化反応によって水素と脱水素化物とに変換する脱水素化触媒と、
    前記反応容器内に位置し、前記脱水素化触媒よりも熱伝導率が高い粒状伝熱部材と、
    を備え、
    前記反応容器内には、前記脱水素化触媒と前記粒状伝熱部材とを混合することによって構成される混合部が存在することを特徴とする、脱水素化反応器。
  2. 前記粒状伝熱部材を構成する粒子の体積平均径は、前記脱水素化触媒を構成する触媒粒子の体積平均径より大きい、請求項1に記載の脱水素化反応器。
  3. 前記混合部のうち、前記反応容器内の前記原料の流通方向における上流部に位置する部分は、前記反応容器内の下流部に位置する部分より大きい、請求項1または2に記載の脱水素化反応器。
  4. 前記混合部は、前記反応容器内の前記原料の流通方向における上流部にのみ位置する、請求項1または2に記載の脱水素化反応器。
  5. 前記混合部における前記脱水素化触媒の体積分率は、前記反応容器内の前記原料の流通方向における上流側より下流側の方が大きい、請求項1〜4のいずれかに記載の脱水素化反応器。
  6. 前記混合部は、第1混合領域と、前記第1混合領域より前記反応容器内の前記原料の流通方向における下流側に位置する第2混合領域とを含み、
    前記第2混合領域における前記脱水素化触媒の体積分率は、前記第1混合領域における前記脱水素化触媒の体積分率より大きい、請求項1〜5のいずれかに記載の脱水素化反応器。
  7. 前記混合部における前記脱水素化触媒の体積分率は、前記混合部における前記有機ハイドライドの最終転化率が前記混合部に位置する前記脱水素化触媒の総体積と前記粒状伝熱部材の総体積との和と同じ体積で前記脱水素化触媒の体積分率を100体積%とした場合における前記有機ハイドライドの最終転化率以上となる範囲に設定される、請求項1から6のいずれかに記載の脱水素化反応器。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の脱水素化反応器と、
    前記脱水素化触媒による前記有機ハイドライドの脱水素化反応に対して熱を供給する加熱機構と、を備えることを特徴とする、脱水素化システム。
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