JP2016049565A - 対向する金属面同士の接合方法 - Google Patents

対向する金属面同士の接合方法 Download PDF

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昌壽 大野
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Yoichi Matsubara
洋一 松原
國臣 土谷
Kuniomi Tsuchiya
國臣 土谷
渡辺 康男
Yasuo Watanabe
康男 渡辺
久 直井
Hisashi Naoi
久 直井
菱田 博俊
Hirotoshi Hishida
博俊 菱田
南田 勝宏
Katsuhiro Minamida
勝宏 南田
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Abstract

【課題】エネルギービームは、一定の幅しか加熱できない為に、母材金属板の加熱幅が広くなったとき、未加熱の部位が生ずる問題があり、加熱幅の変化に柔軟に対応できない。【解決手段】対向する金属面同士を対向させ、該対向する面の一方の端を当接させ、他方の端は離して、楔状に広がる隙間を形成し、該当接部を溶接しながら該楔状隙間の開放側に連続的に移動させて、該対向する金属面を溶接する方法であって、該溶接は、該楔状隙間の外に配置したレーザ発振器から発振したCO2レーザビームを、該ビームの集光手段と反射手段を介して、該楔状隙間の開放側から奥部当接部へ向けて投射して、該奥部当接部で収束させて該当接部を溶融する工程と、該溶融部を加圧して密着、接合させる工程を備えてなると共に、該ビームを、該対向する金属面の幅方向で、該金属面の幅と同程度の幅で反復振動させながら照射することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は対向する金属面同士の接合方法に係わり、更に詳しくは、対向する異種あるいは同種の金属面同士を溶接で接合する方法に関するものである。
対向する金属面同士を接合した部材として、クラッド板が代表的である。
クラッド板の製造方法として、爆着法、圧延法、肉盛法およびCOレーザ溶接を使用する方法が一般的であるが、爆着法には、寸法制約、製造コストが高い等の問題があり、圧延法には、大規模な設備を必要として、小ロット生産が難しい問題がある。また肉盛溶接法は、簡便ではあるが母材の溶け込みが大きくなるために、多層溶接が必須となり、このため製造コストが高くなる欠点がある。
特許文献1には、前記肉盛溶接の溶け込みの問題を解決できる方法として、COレーザ溶接を使用する方法が開示されている。
特許文献1には、二枚の鋼帯の合わせ面側からCOレーザを照射して、鋼帯の合せ面を溶融させてクラッド鋼帯を製造することが開示されているが、特許文献1の発明には下記二つの問題点がある。
第一の問題点は、溶接する母材金属板の幅の変化に対応して、投入するレーザビームの径を調整する必要があり、ビーム径が固定の場合は溶接面全域をエネルギービームで加熱溶融できないことである。すなわちエネルギービームは、一定の幅しか加熱できない為に、母材金属板の加熱幅が広くなったとき、未加熱の部位が生ずる問題があり、加熱幅の変化に柔軟に対応できない欠点がある。
第二の問題点は、溶接する母材金属板の幅が狭幅の場合、端部(表層部)は、真中よりも溶接入力をより高くして溶接することが必要であるが、従来方法では、端部(表層部)と真中の溶接入熱を調整することができないために、端部に溶接入熱不足が起こり、溶接不良が発生、あるいは真中と端部でミクロ組織の不均一が発生する等の問題点がある。そして溶接する母材金属板の幅が広幅の場合、狭幅の場合とは逆で、真中部の温度が低くなり、溶接欠陥が発生する、あるいは真中と端部でミクロ組織の不均一が発生する等の問題点がある。
特開昭56−114590
本願発明はかかる状況に鑑みてなされたものであって、その第一の目的は、COレーザビームを使用して対向する金属面同士を溶接するに際して、溶接する金属面の幅が変化しても、幅の変化に対応して、幅の端から端まで、全面を加熱溶融して溶接接合できる新規な接合方法を提供することである。
また第二の目的は、COレーザビームを使用して対向する金属面同士を溶接するに際して、溶接する母材金属板の幅が狭幅の場合は、両端エッジ部(表層部)への溶接入熱を大にして、入熱不足による両端エッジ部の溶接不良を防止して、両端エッジ部(表層部)と内部のミクロ組織を均一にできる溶接方法を提供することである。そして溶接する母材金属板の幅が広幅の場合は、真中部の温度低下を防ぎ、真中、端部、共に同じ温度で溶接して、溶接不良を防ぎ、端部と内部のミクロ組織を均一に出来る溶接方法を提供することである。
本発明の発明者は前記課題を解決することを目的として研究の結果、下記の知見を得て本発明を成し遂げたものである。
すなわち、対向する金属面同士の接合に際して、該対向する面の一方の端を当接させ、他方の端は離して、楔状に広がる隙間を形成し、該当接部を溶接しながら該楔状隙間の開放側に連続的に移動させて、該対向する金属面同士を溶接して接合する方法であって、
該溶接は、該楔状隙間の外に配置したレーザ発振器から発振したCOレーザビームを、該ビームの集光手段と反射手段を介して、該楔状隙間の開放側から奥部当接部へ向けて投射して、該奥部当接部で収束させて該当接部を溶融する工程と、該溶融部を加圧して密着、接合させる工程を備えてなると共に、
該ビームを、該金属板の対向する面の幅方向で、該金属板の幅と同程度の幅で反復振動させながら照射することで、板幅が変化しても溶接面全面を加熱できることがわかった。
そして、前記ビームの反復振動は、前記集光手段あるいは反射鏡の回転軸を中心にして正転、反転を繰返して反復振動させることで達成できること、そして正転、反転の回転角を調整することで、その加熱幅を変えることが出来ること、つまり溶接する金属板の幅が変化した時、前記集光手段あるいは反射鏡の正転、反転の回転角を調整することで、その加熱幅を金属板の幅に適合させることが出来ることを知徳した。
そして対面する前記金属板の溶接面の幅の広さに応じて、つまり狭幅から広幅まで、反復振動の振動モードを変えることで、端部と真中を均一に加熱できることを知徳した。
狭幅の場合、反復振動の振動モードを正弦波による振動モードにすると、溶接面の真中よりも端部の溶接入力が高くなることにより、入熱不足による端部の溶接不良を防止して、溶接面の真中と端部を共に均一に溶接できることを知徳した。
そして溶接する金属板が広幅の場合、正弦波では、中央部分の入熱エネルギーが減少するので好ましくなく、板幅方向での入熱エネルギーを均一に出来る三角波が有効である事が解った。つまり溶接する金属板の幅に対応して、レーザビームの反復振動の振動モードとして、正弦波による振動モードと三角波による振動モードのいずれかを選択する事により、溶接面の真中と端部を共に均一に溶接できることを知徳した。
そして前記CO2レーザビームを三角形の反射手段の左右の斜辺に照射して、2本のビームに分流し、該分流したビームを別々の反射手段に照射し、それぞれの反射手段を独自に反復振動させて反射させることで、反射手段が1個の場合に比較して2倍の広さの幅を加熱出来ることを知徳して本発明を成し遂げたものである。
本発明で集光手段とは、入射したレーザビームを収束させる手段を意味し、集光レンズ(凸レンズ)あるいは凹面反射鏡を意味する。
投入するビームの振動モードが、正弦波による振動とは、レーザ発振器のレーザビーム振動モードとして正弦波を選択し、溶接する金属板の溶接面の幅方向(溶接進行方向に垂直方向)でビームを反復振動させ、金属板を溶接進行方向に連続移動させる時に、溶接面の長さ方向(進行方向)に時間軸を取ると、溶接面に照射されるビームの軌跡が正弦波になるということである。三角波による振動とは、溶接面に照射されるビームの軌跡が三角波になるということである。
振動周波数は溶接速度に対応して、投入エネルギーの不均一分布が発生しない様に高い方が良い。しかし、振動ミラーの重量に起因した限界速度があるので、安定した振動速度を選択する。
生起された正弦波、三角波の振幅は、概ね、金属板幅の1/2倍相当である。
正弦波の山と谷の部分では、他の部分よりも、より高い照射エネルギーがあり、狭幅の金属板の両端部は、常に正弦波の山と谷の部分で加熱されることになるので、前記した端部が加熱不足になる問題を解決できる。また三角波では、正弦波の山と谷の部分の加熱が緩和されて、端部の過熱が防止され、広幅金属板の真中、端部が均一に加熱されるようになる。
前記反射手段は、前記楔状隙間の中、あるいは前記楔状隙間の外で、前記反射手段で反射したCOレーザビームを前記楔状隙間の奥部溶接面へ向けて投射できる位置に配置する。
前記楔形状の隙間の形成は下記の方法が好適である。
すなわち対面する溶接面の一方の端同士は、ロールで加圧して当接させ、他方の開放側には、対向する溶接面の間に離隔間隔を保持する離隔保持具を挿入して、対向する溶接面の間に隙間を形成することで、離隔保持具と当接部の間に楔形状の隙間が形成されることになる。
離隔形成には、楔の突出部を切り取った台形状の離隔材を溶接面の間に差し込んで離隔する方法、あるいは溶接面の間に間隔設定用のローラーを差込んで離隔する方法等が好適である。
前記離隔保持具の軸方向に前記COレーザビームが通過できる貫通孔を設けることで、離隔保持具の外側から、離隔保持具の中を通過して、前記溶接部に向かってレーザビームを照射することが可能になる。
また前記対向する溶接板の一方が柔軟性に富んだ板の場合、対面する溶接面の一方の端同士は、ロールで当接させ、他方の開放側で、柔軟性に富んだ板を湾曲させて広げて隙間を形成させても良い。この場合は、離隔材が不要になる。
柔軟性に富んだ板を湾曲させる方法としては、開放側の位置の、柔軟性に富んだ板側の位置に、もう一方の板の溶接面から離して、一対のローラーを配置し、このローラーの間に柔軟性に富んだ板を差込んで、当接部とローラーで挟み込んだ部分の間で、なだらかに湾曲させて隙間を形成する方法が好適である。
前記した溶接面の一方の端同士を加圧して当接させる手段には、たとえば圧着ロール(スクイズロール)等を好適に使用できる。
前記対向する金属面は、それぞれ別々の板の金属面であっても良いし、あるいは1枚の板をロール状に板巻加工し、その板巻加工されたロール状金属板の曲げ始端面と終端面であっても良い。
前者の場合は、クラッド板の製造に適用される場合であり、後者の場合は、パイプの製造に適用される場合である。
前記対向する金属面が、板巻加工されたロール状金属板の曲げ始端面と終端面の場合、前記楔状の隙間を形成する際、溶接面の間に離隔材や離隔ロール等の離隔保持具を差込んで間隔設定を行い、なおかつ溶接部を、スクイズロール等の圧着ロールで側面から加圧した時、中空ロールの溶接面が管の外側方向に開く傾向があり、突合せ面に密着不良が発生することがあるので、突合せ面が外に開くのを抑止して突合せ溶接面の密着性を向上させるために、溶接すべきロール状鋼板の、溶接部の左右に配置した一対の圧着ロールの間で、圧着ロールの少し前方、前記楔状隙間の上面に密接して、前記楔状隙間の始点近傍に、変形抑止ロール(フィンパスロール)を配置することが好適である。
また前記溶接部を、スクイズロール等の圧着ロールで側面から加圧した時、中空ロールの溶接面が管の外側方向に開き、突合せ面に密着不良が発生するのを防ぐ方法として下記二つの方法も有効である。
第一の方法は、平坦な金属板を板巻加工する際、突合せ面となる曲げ始端と曲げ終端近傍の板を加工せずに平坦なまま残すことである。つまり曲げ始端と曲げ終端部近傍は、平坦面のまま突き合せられることになり、突合せ面が外に開くのを防止できる。
この方法では、曲げ始端と曲げ終端部近傍は平坦なまま接合されるので、接合後、平坦部を所定の曲面に修正加工することが必要になる。
第二の方法は、溶接部を、圧着ロールで側面から加圧した時、中空ロールの溶接面が管の外側方向に開くことを前提にして、外側に開いた状態で突合せ面が密着するように板巻加工する前の平坦な金属板の、曲げ始端と曲げ終端になる端面にテーパーを形成することである。
テーパーの最適角度は、溶接前の板巻鋼管の直径、板厚、圧着ロールによる加圧力とテーパー角との関係について予備実験を行っておき、この実験データに基づいて最適角を決定すればよい。
本方法で、テーパー加工した面を突き合わせて接合すると、接合部が突き出た状態になるので、本方法でも、接合後、突き出た部分を所定の曲面に再加工して修正することが必要になる。
前記楔形状の隙間の形成には下記の方法も好適である。
すなわち、平板をロール状に板巻加工した鋼板には、元の形状に戻る反力が存在し、隙間を広げようとする力が存在するので、この現象を利用して離隔保持具なしで広い隙間を形成し、ロール等の加圧手段で適正な隙間になるまで押圧して、所定の隙間を形成できる。
本方法によると、前記した離隔保持具が不要になる利点がある。
本発明は対向する金属板同士を溶融して接合するものであるが、対向する金属板の表面に予め自溶性合金を溶射しておき、レーザビームで自溶性合金を溶融(フュージング)するだけで、自溶性合金と対向する2種の金属板の接合、および対向する面の自溶性合金同士の融合までを同時に行うことが出来る。
自溶性合金には、ニッケル系、コバルト系、全ての種類を使用でき、用途に応じてその成分組成を適宜選択すればよい。
本発明の原理を図面で説明する。
図1、図2、図3は、前記対向する金属面が、それぞれ別々の板の金属面の場合の本発明方法の説明図であり、図4は、前記対向する金属面が板巻加工されたロール状金属板の曲げ始端面と終端面の場合の説明図である。
図1、図4は離隔材8を使用する例である。
図2、図3は離隔ローラー10を使用する例であり、特に、図3の場合は、対向する溶接板の一方が柔軟性に富んだ板の場合であり、柔軟性に富んだ板2を離隔ローラー10で湾曲させて、隙間を広げた例である。
図4は離隔材8を使用して隙間を形成させて板巻加工されたロール状金属板1の曲げ始端面と終端面を溶接する時の説明図である。
図1、図2、図3で、1は鋼板、2は、鉄系あるいは非鉄系の異種金属板である。
鉄系は、普通鋼、特殊鋼を、非鉄系は、ニッケル系合金、コバルト系合金、銅系合金等を意味するものである。
図3では、異種金属板2は柔軟性に富んだ鉄系あるいは非鉄系の異種金属板である。
図1、図2、図4で、3はレーザ発信器、4は集光レンズ、5は反射鏡、6はベンディングミラー、7は楔状の隙間である。
9は、板1、2をレーザビームで溶融後、加圧して圧着するための圧着ロールである。
図1、図4の離隔材8は、楔形角ブロックの突出側を途中から切り取った台形形状で、図1では、板1、2の間に差し込んで楔状の隙間7の空間を形成保持し、図4では、ロール状鋼板1の曲げ始端面と終端面の間に差し込んで楔状の隙間7の空間を形成保持する。
図2、図3では、離隔ローラー10を、板1、2の間に差し込んで鋼板の間隔を保持する。
図3では、一対の離隔ローラー10の隙間に異種金属板2を差込んで挟み込み、圧着ロール9と離隔ローラー10の間で、異種金属板2を、なだらかに湾曲させて隙間を形成させ、この隙間からレーザビームを照射することになる。
図1、図2、図4では、反射鏡5は1個使用する例であるが、図3の場合も含めて、本発明では、反射鏡の数は、必要に応じて適宜、増減しても良い。また反射鏡には、凸面鏡、凹面鏡、あるいは平坦な面の反射鏡5を、適宜、必要に応じて選択できる。また集光レンズの代わりに、集光機能のある凹面鏡に代えても良い。なお本例の場合の反射鏡5は、平坦な反射鏡である。
ベンディングミラー6は、楔状の隙間7の中、あるいはベンディングミラー6で反射したCOレーザビームを楔状隙間7の奥部当接面へ向けて投射できる位置に配置する。
なお本発明で使用するCOレーザは大気中で作動できる上に、その波長は10.6μmであり、SemiconductorレーザやYAGレーザの0.8〜1.06μm帯に比較して波長が長いので、材料表面の波長吸収率が10%以下と低い。
その結果、図1の装置で楔状隙間7を形成してCOレーザビームを入射すると、COレーザビームは鋼板表面で反射しながら90%以上のレーザビームが楔状隙間6の先端近傍まで到達し、局部的に鋼板表面を溶融すると共に、プラズマを発生させて鋼板表面を均一に溶融させる。
溶融と同時に、図1、図2、図3では、圧着ロール9で圧着させ、図4では、圧着部を矢印方向に圧着して、接合を行うことができる。
前記CO2レーザビームは、前記楔状隙間7の外に配置したレーザ発振器3から発信したCO2レーザビームを、集光レンズ4で絞って反射鏡5に照射し、反射鏡5は、それを反射して、ベンディングミラー6に照射し、ベンディングミラー6は、それを反射して、前記楔状隙間7の開放面側から奥部当接面(溶接ポイント)へ向けて照射する。
溶接する部分の板幅が広くなった場合、溶接面に衝突するレーザビームを、溶接の板幅方向で、板幅と同程度の幅に反復振動させることで、COレーザビームの溶接幅を広くすることが出来る。
図5は、反復振動によって溶接幅を調節できることを説明する図である。
溶接する金属板の板幅が変化した場合、反射鏡5の正転、逆転の回転角を調整することでレーザビームの加熱幅(溶接幅)を調節することが出来、レーザビームを、金属板の幅方向で、板幅と同程度の幅に反復振動させることで、板幅の端から端まで入熱を確保することが可能になる。
レーザビームを、板幅方向で反復振動させるためには、反射鏡5の回転軸を中心にして、正転、逆転を繰返して、反射鏡を反復振動させることで可能になる。
通常のレーザ溶接では、板幅は15mmが限度であるが、本発明では、反射鏡を振動させてレーザビームを振動させることで、30mm以上の板幅でも溶接が可能になる。
図6は、図5の方法よりも更に加熱幅を広くする方法の説明図である。
加熱幅が広くなりすぎると、図5に示した反射鏡5の正転、逆転の回転角を調整するだけでは、溶接部を全幅加熱することが困難になる。
その場合、加熱幅を広くする方法として図6に示す方法が有効になる。
図6の方法は、CO2レーザビームを三角形の反射鏡(三角鏡)の左右の斜辺に照射して、2本のビームに分流し、該分流したビームを別々の反射鏡5に照射し、それぞれの反射鏡5を独自に反復振動させて反射させることで、反射鏡が1個の図5の場合に比較して、2倍の広さに拡大することが出来る。
図7は、正弦波による振動モードと三角波による振動モードの説明図である。
図7の(A)は正弦波による振動モード、(B)は三角波による振動モードの説明図である。
レーザ発信機のレーザビーム振動モードとして正弦波を選択し、ビームを溶接面に照射し、反復振動を繰返し、溶接面を金属板の長さ方向に連続移動した時、溶接面に照射されるビームの軌跡が、図7の(A)のような正弦波になる。
一方、三角波は、レーザ発信機のレーザビーム振動モードとして三角波を選択し、ビームを溶接面に照射し、反復振動を繰返し、溶接面を金属板の長さ方向に連続移動した時、溶接面に照射されるビームの軌跡が、図7の(B)のような三角波になる。
図7の(A)から判るように、正弦波の山と谷の付近では、溶接面の中で谷から山に登る途中の場所あるいは山から谷に下る途中の場所よりも、レーザビームが滞留する時間が長くなるので、溶接入熱がより高くなる。一方、図7の(B)から判るように、三角波のレーザビームの山と谷の滞留時間は少なくなり、正弦波の山、谷部分の過熱が抑制される様になる。
狭幅金属板の両端部は、前記した端部が加熱不足になる問題があるので、正弦波振動モードを選択することで、問題を解決できる。また広幅金属板では、真中の温度が低くなる(つまり端部が過熱気味になる)問題があるので、三角波振動モードを選択することで端部の過熱が防止され、広幅金属板の真中、端部が均一に加熱されるようになる。
正弦波と三角波を選択する時の溶接する金属板の幅の範囲は、正弦波では、概ね上限は50mm程度まで、概ね50mm以上は三角波が好適である。なお50mm近傍の厚さは、正弦波、三角波、どちらでも良い領域である。
図8は、楔状隙間7内に、ベンディングミラー6を収納した状況の一例を示したものである。
ベンディングミラー6は、概ね直径20mm程度の円板の広さがあるので、楔状隙間7は、図に示すような空間が必要となる。
ベンディングミラー6で、楔状隙間7の奥部方向へ反射されたビームは、溶接部の数ミリ手前あたりから楔状隙間7内の対向する面に衝突して、反射されながら奥に進行して、溶接部に収束する。
図9は、離隔材8の軸方向にCOレーザビームが通過できる貫通孔11を設けた時の説明図である。
COレーザビームが通過できる貫通孔11の大きさは、集光過程のビーム形状より大きくするがオリジナルのビーム径よりは大幅に小さくてよい。
本例の場合、ベンディングミラー6は楔状隙間7の外に配置することが出来る。
図10は、前記板巻加工されたロール状金属板の曲げ始端面と終端面の溶接の場合、板巻中空ロールの溶接面が外に開くのを抑止するために、変形抑止ロールを配置した構造の説明図である。
変形抑止ロール15は、一対の圧着ロール9の間で、楔状隙間の上面に密接して配置し、配置の位置は、とりわけ楔状隙間7の始点近傍に配置することが好ましい。
本発明は、広幅の金属面同士を、その金属成分が変化しても、母材の溶け込みを極めて少なくして、大気中で溶接できる特徴を有する。また溶け込みが極めて少ないので、薄肉の板でも、溶接熱で穴を明けることなく均一に接合できる特徴を有する。
金属クラッド板の製造に適用して、その高品質化とコストダウンに大きく寄与することができる。また金属板を板巻加工して、その曲げ始端面と終端面の溶接に適用することで、薄肉から厚肉まで、肉厚にかかわりなく、高品質のパイプを自在に製造できる特徴を有する。
図1は離隔材を使用する場合の本発明の説明図である。
図2は離隔ローラーを使用する場合の本発明の説明図である。
図3は離隔ローラーを使用しない場合の本発明の説明図である。
図4は、対向する金属面が板巻加工されたロール状金属板の曲げ始端面と終端面の場合の説明図である。
図5は反射鏡の反復振動でCOレーザビームによる加熱幅が広くなることを説明する図である。
図6は三角形の反射鏡を使用して入射ビームを二つに分流する時の説明図である。
図7は、正弦波による振動モードと三角波による振動モードの説明図である。
図8は、楔状隙間7内に、ベンディングミラー6を収納した状況の説明図である。
図9は、離隔材8にCOレーザビームが通過できる貫通孔11を設けた時の説明図である。
図10は、溶接面が外に開くのを抑止するために、変形抑止ロールを配置した構造の説明図である。
図11は、入射ビームを二つに分流して溶接する装置の説明図である。
図12は、本発明の実施例の装置の構造を説明する図である。
図13は、実施例の溶接部の硬度変化を示す図である。
図14は、実施例のミクロ組織の写真である。
図15は、楔状の離隔材を用いることなく、楔状隙間を形成する実施例の説明図。
図16は、クラッド管を製造する方法の説明図である。
図17は、クラッド鋼管の一般的な製品構造を説明した図である。
対向する金属面が、それぞれ別々の板の金属面の場合の実施の形態を実施例1〜3で示し、対向する金属面が、1枚の板をロール状に板巻加工し、その板巻加工されたロール状金属板の曲げ始端面と終端面の場合の実施の形態を実施例4〜5で示す。また実施例1の方法で製造したクラッド板を使って、クラッドパイプを製造する実施の形態を実施例6に示す。
実施例1
(対向する金属面が、それぞれ別々の板の金属面の場合の実施の形態)
それぞれの金属板は、70mm幅×6mm厚×2000mm長のSS400普通鋼板と、70mm幅×2.0厚×2000mm長のインコネル625板で、それぞれの金属板の対向する金属面を、図2に示したレーザ発振器3、集光レンズ4、反射鏡5、ベンディングミラー6からなる装置を使用してCOレーザで溶融して接合した。
図2において、本実施例の場合、鋼板1はSS400普通鋼板、異種金属板2はインコネル625板である。
圧着ロール9とボルトで2種の金属板の端部の対向面を当接、密着させた後,直径100mmΦの圧着ロール9を所定の位置にセットした。
ガイドローラー12と離隔ローラー10を用いて、楔状隙間7を形成し、当接部から300mmの位置で30mmの隙間間隔を保持して、楔状隙間7の中にベンディングミラー6を設定した。
レーザ集光方法は、図5に示す方法で集光した。
レーザビームを集光レンズ4で集光すると、集光ビームは自由空間では直径2mmの円形に集光するが、楔状隙間7内では、板幅方向での多重反射によりレーザビームの形状は2mm長さ×0.3mm幅の略線状になる。
更に、振動ミラーによって、レーザビームを振動周波数40Hzで板厚方向に振動を与えて、振動幅70mmのレーザビームに拡大させた。
次にベンディングミラー6で反射して、レーザビームを70mm幅保持しながら楔状隙間7内の中を反射させながら楔状隙間7内の当接部まで到達させる。これにより、楔状隙間7内の当接部でのレーザビーム形状は70mm長さ×0.3mm幅となり、鋼板の溶融が開始した。
溶融と同時に圧着ロール9により2種の金属板を挟み付けて圧着させて、接合し、この鋼板を一定速度で引っ張りながら連続的に移動させることで2種の金属板を連続的に溶接で接合した。
溶接条件は下記のとおりである。
溶接条件
レーザ照射条件:5KW
集光レンズ:焦点距離1000mm
振動ミラーの振動幅:板幅70mmに対応させて振動幅70mmにした。
反復振動の振動モード:三角波による振動モード
振動ミラーの反復振動数:40Hz
ベンディングミラー:±30mm可動
鋼板引張速度:1.2mm/秒
圧着ロール圧着力:100Kg/cm(2.9ton)
加熱条件:予熱10sec+240sec
溶接幅:全板幅
溶接後の結果は下記のとおりである。
非破壊テスト
超音波探傷器を使用する非破壊テストで、溶接部の溶接欠陥の発生状況を調べた。
薄厚の板の溶接にもかかわらず、溶接熱による穴あきも発生せず、また表層から内部まで溶接欠陥は認められなかった。
振動ミラーを使用することで、板の全幅で、溶接欠陥を発生させることなく、連続的に溶接できることを確認できた。
溶接部切断テスト
溶接部母材の溶け込みは、インコネル625の薄板側で、全溶接区間で0.05〜0.1mmで、溶け込みは極めて少なく、均一であった。
実施例2
(対向する金属面が、それぞれ別々の板の金属面の場合の実施の形態)
実施例1の反射鏡を図11に示す反射鏡に替え、ベンディングミラーは不使用で、板幅を70mmから140mmの2倍に変更した時の実施例について述べる。
入射ビーム14を三角鏡13の斜面に照射して2本に分流し、分流したビームを、それぞれ反射鏡5に照射し、反射鏡5で溶接部へ反射して溶接した。
各反射鏡は、振動幅70mm幅で、互いに重層しないように反復振動させて溶接した。
2種の金属板の材質は、実施例1と同じく、SS400普通鋼板(6.0mm厚さ)とインコネル625板(2.0mm厚さ)、板幅は、140mmである。
三角鏡の頂点の角度は、60°である。
2種の金属板に隙間を形成する方法として、図3の方法を使用した。すなわち2.0mm厚さのインコネル625板は柔軟性があるので、離隔ローラー10の間に差し込んで挟み込み、圧着ロール9と離隔ローラー10の間で、なだらかに湾曲させて、鋼板1との間に隙間を形成し、圧着ロール9で当接、密着させて、ボルトで2種の金属板の端部を密着させた後に、金属板の移動装置にセットした。
本例ではベンディングミラーは使用せず、反射鏡から直接、当接部に照射して、溶融部を形成させ、それと同時に圧着ロール9で圧着させて接合を行った。
この鋼板を一定速度で引っ張りながら連続的に移動させることで2種の広幅金属板を連続的に溶接で接合することが出来た。
溶接条件
レーザ照射条件:5KW
集光レンズ:焦点距離1000mm
振動ミラーの振動幅:板幅140mmに対応させて、振動幅70mm+70mmの2分 割ビームにした。
反復振動の振動モード:三角波による振動モード
振動ミラーの反復振動数:40Hz
ベンディングミラー:±30mm可動
鋼板引張速度:0.8mm/秒
圧着ロール圧着力:100Kg/cm(2.9ton)
加熱条件:予熱10sec+240sec
溶接幅:全板幅
溶接後の結果は下記のとおりである。
非破壊テスト
超音波探傷器を使用する非破壊テストで、溶接部の溶接欠陥の発生状況を調べた。
実施例1の場合と同じく、薄厚の板の溶接にもかかわらず、溶接熱による穴あきも発生せず、また表層から内部まで溶接欠陥は認められなかった。
入射ビームを三角鏡で分流することにより、広幅の板でも、板の全幅を、溶接欠陥を発生させることなく、連続的に溶接できることを確認できた。
溶接部切断テスト
溶接部母材の溶け込みは、実施例1の場合と同じく、溶け込みは極めて少なく、均一であった。
実施例3
(対向する金属面が、それぞれ別々の板の金属面の場合の実施の形態)
50mm幅×2.0mm厚×2000mm長のSUS304L鋼板と、50mm幅×6.0mm厚×2000mm長の普通鋼板の対向面を溶接するに際して、両方の対向面に、予め自溶性合金(Ni−Cr−B−Si)を0.1mm溶射して、COレーザで溶射層を溶融(フュージング)して、両方の対向面を接合する実施例について述べる。
設備は実施例1で使用した装置を使用した。
溶接条件は下記のとおりである。
溶接条件
レーザ照射条件:5KW
集光レンズ:焦点距離1000mm
振動ミラーの振動幅:板幅50mmに対応させて振動幅50mmにした。
反復振動の振動モード:正弦波による振動モード
振動ミラーの反復振動数:40Hz
ベンディングミラー:±30mm可動
鋼板引張速度:1.8mm/秒
圧着ロール圧着力:100Kg/cm(2.9ton)
加熱条件:予熱10sec+240sec
溶接幅:全板幅
溶接後の結果は下記のとおりである。
非破壊テスト
超音波探傷器を使用する非破壊テストで、溶接部の溶接欠陥の発生状況を調べた。
薄厚の板の溶接にもかかわらず、溶接熱による穴あきも発生せず、また表層から内部まで溶接欠陥は認められなかった。
板の全幅を、振動ミラーを使用することで、溶接欠陥を発生させることなく、連続的に溶接できることを確認できた。
溶接部切断テスト
溶接部母材の溶け込みは、SUS304L鋼板側および普通鋼板側、いずれも母材の溶け込みはなく、自溶性合金の溶融によって二枚の板が接合されていた。
実施例4
(対向する金属面が、1枚の板をロール状に板巻加工し、その板巻加工されたロール状金属板の曲げ始端面と終端面の場合の実施の形態)
ロール状に板巻加工した鋼板(114mmΦ×7mm管厚×1250mm長さ)の曲げ始端と終端の対向する面をCOレーザで溶融し接合する実施例について述べる。
図12に本発明を実施するためのレーザ溶接装置を示す。
図12(A)は正面図、図12(B)は側面図である。
図12に示す溶接装置に、114mm外径×7mm厚×1250mm長のS45C金属板をロール状に板巻加工した鋼板16をセットし、圧着ロール9でパイプ状鋼板16を密着させて、ガイドローラー12間で位置決めした。
楔台車17にセットした楔を楔移動シリンダーでパイプ状鋼板16の溶接面の間に挿入して楔状隙間7を形成した。
この圧着ロール9の密着部から300mmの位置で30mmの間隔を保持してベンディングミラー6を設置した。
また左右一対の圧着ロール9の間で、楔状隙間7の密接部近傍の表面に密着させて、変形抑止ロール15を設置した。
ベンディングミラー6からレーザビームを楔状隙間7の中を反射させながら楔状隙間7の密着部まで到達させ、溶融部が形成されると同時に、変形抑止ロール15で溶接面が外に開くのを抑止しながら圧着ロール9で圧着させて接合を行った。
COレーザ発振器から発信されたレーザビームは集光レンズ(凸レンズ)で集光し、集光したビームを反射鏡(振動ミラー)に照射して、反射させてベンディングミラー6に照射して、反射させて溶接部に照射して、溶接部を加熱、溶融した。
この際、反射鏡(振動ミラー)の振動幅を、板厚7mmが加熱できる幅に設定した。
また7mmの板厚鋼管の、板厚のエッジ部(上端、下端部)に溶接の入熱不足が起こって溶接不良が起こりやすいので、正弦波のレーザビームを板厚の幅で、上下に反復振動させ、正弦波の山と谷の部分で溶接面エッジ部を加熱するようにした。
このパイプ状鋼板16を一定速度で引っ張りながら連続的に移動させることでパイプ状鋼板16の接合を行うことが出来た。
溶接条件は下記のとおりである。
溶接条件
レーザ照射条件:5KW
集光レンズ:焦点距離 1500mm
振動ミラーの振動幅:板厚7mmに対応させて振動幅7mmにした。
振動ミラーの反復振動数:40Hzの正弦波
鋼板引張速度:連続3.0mm/秒
スクイズロール圧着力:400kg/cm(11.6ton)
加熱条件:予熱10sec+250sec
溶接幅:全板幅
溶接後の結果は下記のとおりである。
溶接部切断テスト
溶接部を切断して、溶接欠陥の発生状況を調べた。
表層から内部まで溶接欠陥は認められなかった。
突合せ面が外に開くことによる密着不良は認められなかった。
なお比較のために、変形抑止ロール15を使用しなかった場合、突合せ面が外に開くことによる密着不良が発生した。
変形抑止ロール15は突合せ面が外に開くことによる密着不良防止に顕著な効果があることを確認できた。
溶接部の硬度変化
母材と溶融層の硬度変化を調べた。
溶接後および850℃で焼きならしした時の母材中心部の硬度変化を図13に示す。
溶接のままでも、溶接接合部中心(図中0点)から大きな差が認められない。
850℃で焼きならしで硬度差はほぼ消滅する。
この傾向は、母材表層部でも同じであった。
ミクロ組織
母材と溶融層のミクロ組織を調べた。
溶接後および850℃で焼きならしした時の母材中心部のミクロ組織を図14に示す。
溶接のままでは、極狭い幅で溶接金属部が見られるが、850℃で焼ならし後には母材金属との違いが認められない。
この傾向は、母材表層部でも同じであった。
図13〜14から判るように、本発明方法では、溶接金属部のミクロ組織、硬さは、均一で、場所による違いは認められなかった。また母材金属と溶接金属部もミクロ組織、硬さ共、同質で、違いが認められなかった。
実施例5
(対向する金属面が、1枚の金属板をロール状に板巻加工し、その板巻加工されたロール状金属板の曲げ始端面と終端面の場合の実施の形態)
ロール状に板巻加工した鋼板(114mmΦ×7mm管厚×1000mm長さ)をCOレーザで溶融し接合する際、楔状の離隔材を用いることなく、楔状隙間を形成する実施例について述べる。
図15に本発明を実施するためのレーザ溶接装置を示す。
図15(A)は正面図、図15(B)は側面図である。
板巻加工された溶接素材として、板巻加工されたロール状鋼板の曲げ始端と終端の対向する面が、加工時の残留応力で開く方向に反力が残っている素材を使用した。
図15に示す溶接装置に、前記素材をセットし、圧着ロール9で加圧して溶接部を密着させて、12のガイドローラー部では、20mmの隙間を保った状態で位置決めした。
圧着ロール9と12のガイドローラー部で、楔状の隙間7を形成できた。
また左右一対の圧着ロール9の間で、楔状隙間7の密接部近傍の表面に密着させて、変形抑止ロール15を設置した。
ベンディングミラー6は板巻加工したパイプ状鋼板16の外側、楔状の隙間7の後方外部に設置して、ビームを溶接部に照射できるようにした。
ベンディングミラー6からレーザビームを楔状隙間7の中を反射させながら楔状隙間7の密着部まで到達させ、溶融部が形成されると同時に、変形抑止ロール15で溶接面が外に開くのを抑止しながら圧着ロール9で圧着させて接合を行った。
この鋼管を一定速度で引っ張りながら連続的に移動させることで鋼管の接合を行うことが出来た。
実施例6
実施例1で製造したクラッド板をパイプ(管状)に曲げ、曲げの始点面と終点面を対向させ、対向面を溶接することで、クラッド管を製造する場合の実施例について述べる。
図16は、クラッド板をパイプ(管状)に曲げて、対向面(鋼板1と異種金属板2)をCOレーザビームで溶接してクラッド管を製造する方法の説明図である。
圧着部は、図示していない圧着ロール、および上面を変形抑止ロールで押圧し、楔状隙間7には図示していないベンディングミラーを配置し、楔状隙間7の外に反射鏡を配置し、反射鏡を反復振動させて対向面をCOレーザビームで溶接する。
本例のクラッド鋼管は、異種金属としてインコネル625等の非鉄系ニッケル合金材料を、SS400等の普通鋼管の内管に積層させた例であるが、外管、内管、いずれにも配置することが出来る。
図17はクラッド鋼管の一般的な製品構造を説明した図である。
図17(A)は外管に非鉄系ニッケル合金材料を内管に普通鋼を配した例、(B)は、本例と同じく、内管に非鉄系ニッケル合金材料を配した例、(C)は内管(普通鋼)の外側に半割状の非鉄系ニッケル合金材料を配した例である。
(A)はゴミ焼却炉のボイラー管、(B)は油井管及びプラント配管、(C)はゴミ焼却炉の水冷壁のボイラー蒸発管、およびその他油井管及びプラント配管等の耐熱、耐食性を要求されるパイプ(管材)等に使用できる。
本発明は厚肉の溶接鋼管の製造、及び広幅のクラッド鋼板の製造分野で多大な需要が認められる。特に溶け込みが僅少である点を利用して、Ni合金等の高価な特殊合金の薄い板と鋼板のクラッド鋼板、およびそのクラッド鋼板を利用して高価な特殊合金の薄い板と鋼板のクラッド鋼管の製造分野でも多大な需要が認められるものである。
耐熱、耐食性を要求されるゴミ焼却炉のボイラー管、水冷壁のボイラー蒸発管(パネル管)、油井管及びプラント配管等の耐熱、および耐食性を要求されるパイプ(管材)の製造は極めて有望な分野である。
1…鋼板 2…異種金属板 3…レーザ発信器
4…集光レンズ 5…反射鏡 6…ベンディングミラー
7…楔状隙間 8…離隔材 9…圧着ロール
10…離隔ローラー 11…貫通孔 12…ガイドローラー
13…三角鏡 14…入射ビーム 15…変形抑止ロール
16…板巻加工した鋼板

Claims (11)

  1. 対向する金属面同士の接合に際して、該対向する面の一方の端を当接させ、他方の端は離して、楔状に広がる隙間を形成し、該当接部を溶接しながら該楔状隙間の開放側に連続的に移動させて、該対向する金属面同士を溶接して接合する方法であって、
    該溶接は、該楔状隙間の外に配置したレーザ発振器から発振したCOレーザビームを、該ビームの集光手段と反射手段を介して、該楔状隙間の開放側から奥部当接部へ向けて投射して、該奥部当接部で収束させて該当接部を溶融する工程と、該溶融部を加圧して密着、接合させる工程を備えてなると共に、
    該ビームを、該金属板の対向する面の幅方向で、該金属板の幅と同程度の幅で反復振動させながら照射することを特徴とする対向する金属面同士の接合方法。
  2. 前記ビームの反復振動は、前記集光手段あるいは反射手段の回転軸を中心にして正転、反転を繰返して生起させることを特徴とする請求項1に記載の対向する金属面同士の接合方法。
  3. 前記反復振動の振動モードを、正弦波あるいは三角波による振動モードのいずれかにしてなることを特徴とする請求項1に記載の対向する金属面同士の接合方法。
  4. 前記COレーザビームを三角形の反射手段の左右の斜辺に照射して、2本のビームに分流し、該分流したビームを、前記異なる種類の金属板の接合面の幅方向で、互いに重層することなく左右に分けて振動させて、該接合面を加熱、溶接することを特徴とする請求項1に記載の対向する金属面同士の接合方法。
  5. 前記正転、反転の回転角を調整することで前記COレーザビームの照射幅を調整することを特徴とする請求項2に記載の対向する金属面同士の接合方法。
  6. 前記楔形状の隙間の形成に際して、前記対向する面の一方の端同士は、加圧して当接させ、他方の開放側には、対向する面の間に離隔間隔を保持する離隔保持具を挿入して、該離隔保持具と該当接部の間に楔形状の隙間を形成することを特徴とする請求項1に記載の対向する金属面同士の接合方法。
  7. 前記離隔保持具の軸方向に前記COレーザビームが通過できる貫通孔を設けてなることを特徴とする請求項6に記載の対向する金属面同士の接合方法。
  8. 前記対向する金属面に、自溶性合金を溶射してなることを特徴とする請求項1に記載の対向する金属面同士の接合方法。
  9. 前記対向する金属面が、板巻加工されたロール状金属板の曲げ始端面と終端面である請求項1に記載の対向する金属面同士の接合方法。
  10. 前記対向する金属面が、板巻加工されたロール状金属板の曲げ始端面と終端面であって、該対向する曲げ始端面と終端面の一方の端を当接させ、他方の端は離して、楔状に広がる隙間を形成するに際して、該曲げ始端面と終端面の当接部上面に密接して、変形抑止ロールを配置することを特徴とする請求項1に記載の対向する金属面同士の接合方法。
  11. 前記対向する金属面が、板巻加工されたロール状金属板の曲げ始端面と終端面であって、該対向する曲げ始端面と終端面の一方の端を当接させ、他方の端は離して、楔状に広がる隙間を形成するに際して、前記板巻加工されたロール状金属板の元に戻る反力を利用して前記曲げ始端面と終端面に隙間を形成することを特徴とする請求項1に記載の対向する金属面同士の接合方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114144277A (zh) * 2019-07-12 2022-03-04 本田技研工业株式会社 接合品制造装置

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