JP2016049385A - 重心動揺解析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】急性期病棟の入院患者にも適用可能な転倒の危険度を予測する重心動揺解析装置を提供する。【解決手段】静止立位における被験者のXY平面上の重心座標の時系列データを取得する重心座標取得手段と、取得した重心座標を用いて軌跡長関連指標値を算出する手段と、取得した重心座標を用いて面積関連指標値を算出する手段と、被験者の転倒予測のための評価値を取得する転倒予測評価値取得手段と、を備え、転倒予測評価値取得手段は、静止立位における被験者について取得した軌跡長関連指標値及び面積関連指標値について、予め設定された軌跡長関連指標値及び面積関連指標値の基準値からのマハラノビス汎距離を算出し、算出したマハラノビス汎距離を転倒予測評価値とする。【選択図】図2

Description

本発明は、重心動揺解析装置に係り、詳しくは、重心動揺に関する指標値(パラメータ)を用いて転倒の危険度を予測する重心動揺解析装置に関するものである。
病院(特に、急性期病棟)内における転倒予防は重要である。臨床の現場においては、転倒転落アセスメン卜スコアシートを作成して転倒リスクを評価することが行われている(非特許文献1)。また、患者の身体機能(特にバランス機能)が転倒リスクと関連することから、患者の身体機能の評価を実施して、転倒リスク評価に結び付けることができれば有益である。
これまでに、重心動揺計や圧力分布装置を用いて生体の立位や歩行等における重心移動を計測し、そこから得られる指標値を転倒しやすさの指標とすることで転倒を予測しようという試みは多く行われている。例えば、非特許文献2では、重心動揺計で取得される幾つかの指標値と転倒との関係についての考察が行われている。しかしながら、重心動揺計から出力される多くの指標値のうち、特定の指標値のみ観察しても、転倒に強く結び付く指標値を絞り込むことはできない。
特許文献1では、つぎ足歩行に関する評価指標と転倒危険度との関連性が強いという知見に基づき、歩行機能を示す評価指標に関する評価値を用いた転倒危険度判定装置が開示されている。この装置は、複数種類の評価指標に関する各評価値を算出し、算出した各評価値に関連付けられた転倒危険度を転倒危険度データベースに基づいて導出し、導出された当該転倒危険度同士を互いに掛け合わせることによって被計測者に関する転倒危険度を判定する。
しかしながら、特許文献1では、歩行機能(つぎ足歩行)に関連する評価値を用いることから、臨床において、急性期病棟の患者に適用するには危険が伴い、また、転倒危険度を算出する時に、各評価指標の相互作用を考慮せず、それぞれ独立性が高いものとみなして計算しているので、転倒に関連する評価指標が公平な重み付けで積算されていることは保証されず、得られた転倒危険度からは、かかわった評価指標のどれが主要因で危険度が高くなったのか不明である、といった実用上の課題がある。
このように、どのような場面でも使用可能な汎用的な転倒予測を行うことは困難である。実際、転倒予測については多くの研究が行われているものの、実使用に耐え得るような安定した評価を行うことは困難であった。
特開2008-61811
急性期病院における入院患者の転倒状況とその対応 徳永誠次、井口茂、松坂誠應、平瀬達哉、武富敦子、馬場文子 保健学研究, 24(1), pp.55-60; 2012 歩行能力とバランス機能の関係 猪飼 哲夫、辰濃 尚、宮野 佐年、日本リハビリテーション医学会誌 43(12), 828-833, 2006-12-18
本発明は、急性期病棟の入院患者にも適用可能な転倒の危険度を予測する重心動揺解析装置を提供することを目的とするものである。
本発明が採用した重心動揺解析装置は、
静止立位における被験者のXY平面上の重心座標の時系列データを取得する重心座標取得手段と、
取得した重心座標を用いて軌跡長関連指標値を算出する手段と、
取得した重心座標を用いて面積関連指標値を算出する手段と、
被験者の転倒予測のための評価値を取得する転倒予測評価値取得手段と、
を備え、
前記転倒予測評価値取得手段は、静止立位における被験者について取得した軌跡長関連指標値及び面積関連指標値について、予め設定された軌跡長関連指標値及び面積関連指標値の基準値からのマハラノビス汎距離を算出し、算出したマハラノビス汎距離を転倒予測評価値とするものである。
本発明では、軌跡長関連指標値と面積関連指標値の組み合わせを用いる。バランス能力に関連して、軌跡長はバランスをとるための制御量を表す指標、面積はバランス制御の結果(または効果)を表す指標、と考えることができる。
1つの態様では、軌跡長関連指標値は、「総軌跡長」あるいは「単位時間軌跡長」である。
1つの態様では、面積関連指標値には、「矩形面積」「外周面積」「実効値面積」「標準偏差面積」のいずれかである。
すなわち、1つの態様では、
前記軌跡長関連指標値は、総軌跡長、単位時間軌跡長を含む第1群から選択された1つ以上の指標値であり、
前記面積関連指標値は、矩形面積、外周面積、実効値面積、標準偏差面積を含む第2群から選択された1つ以上の指標値であり、
前記転倒予測評価値は、第1群から選択された1つの指標値と第2群から選択された1つの指標値の組み合わせを用いて算出される。
1つの態様では、前記基準値は、静止立位における健常群の軌跡長関連指標値及び面積関連指標値から取得される。
1つの態様では、前記基準値は、健常者群について取得した静止立位における軌跡長関連指標値・面積関連指標値セットの群の平均、分散共分散行列(ないし相関行列)の逆行列である。マハラノビスの汎距離は、相関係数や分散共分散行列から求められるとは当業者に知られており、前記基準値は、マハラノビスの汎距離の算出に容易に用いられ得る形式で用意しておくことが望ましい。
なお、基準値は、健常者群について取得した静止立位における軌跡長関連指標値・面積関連指標値セットの群そのものでもよい。
1つの態様では、転倒可能性の度合に対応して1つあるいは複数の判別値が用意されており、
被験者固有の転倒予測評価値を前記判別値と比較して、当該被験者の転倒可能性の度合を判定する手段を備えている。
例えば、転倒危険度を危険度I、危険度II、危険度IIIの3段階に分類する場合に、危険度Iと危険度IIを判別する第1判別値、危険度IIと危険度IIIを判別する第2判別値を用意する。第1判別値、第2判別値は、適切な患者からなる母集団を予め危険度I、危険度II、危険度IIIの3段階に分類しておき、母集団の各患者について取得した転倒予測評価値と属する危険度I、危険度II、危険度IIIとを対応付けるように第1判別値、第2判別値を設定する。後述する実施形態では、ROC曲線、感度の判別率曲線と特異度の判別率曲線との交点から判別値を求めている。
被験者の疾患に応じて、異なる複数の判別値を用意しておいてもよい。例えば、「急性期病棟の患者からなる母集団」、「糖尿病疾患の患者からなる母集団」、「脳血管障害の片麻痺患者からなる母集団(リハビリ用に用いる)」等について個々に判別値を用意しておき、患者毎に判別値を選択して適用して転倒可能性の度合を判定してもよい。
1つの態様では、第1の軸に軌跡長関連指標値をとり、第2の軸に面積関連指標値をとった2次元空間が設定されており、
前記2次元空間に、前記1つあるいは複数の判別値を境界とする複数の領域を互いに識別可能に表示した2次元判別図を表示する表示手段を備えている。
1つの態様では、第1の軸に軌跡長関連指標値をとり、第2の軸に面積関連指標値をとり、第3の軸にマハラノビス汎距離をとった3次元空間が設定されており、
前記3次元空間に、前記1つあるいは複数の判別値を境界とする複数の領域を互いに識別可能に表示した3次元判別図を表示する表示手段を備えている。
1つの態様では、前記表示手段において、被験者固有の転倒予測評価値が前記領域上にプロット可能となっている。
本発明が採用した転倒危険度判定装置は、記憶部と、解析部と、表示部と、を備え、
前記記憶部には、静止立位において被験者について取得した軌跡長関連指標値及び面積関連指標値と、軌跡長関連指標値及び面積関連指標値の基準値と、転倒可能性の度合に対応する1つあるいは複数の判別値と、が記憶されており、
前記解析部は、被験者について取得した前記軌跡長関連指標値及び面積関連指標値について、前記基準値からのマハラノビス汎距離を算出し、算出したマハラノビス汎距離を転倒予測評価値とし、
前記表示部には、第1の軸に軌跡長関連指標値をとり、第2の軸に面積関連指標値をとった2次元空間に前記1つあるいは複数の判別値を境界とする複数の領域を互いに識別可能に表示した2次元判別図が表示され、2次元判別図には被験者固有の転倒予測評価値がプロット可能となっている。
本発明に係る重心動揺解析では、静止立位(臨床で「立つ」という最も検査しやすい動作)で得られた重心動揺の計測値から取得した軌跡長関連指標値と面積関連指標値の組み合わせを用いて転倒予測評価値を取得することで、急性期病棟の入院患者に適用することができ、また、 マハラノビスの汎距離という複数の評価値の相互作用も加味された転倒予測評価値を用いて転倒の危険度を推定することができる。
検討の危険度を領域分けして識別可能に表現する2次元判別図を用意し、転倒予測評価値を当該2次元判別図にプロットすることで、直感的に危険状態の有無を判断できる。その際に、転倒予測評価値における軌跡長関連指標値、面積関連指標値の寄与度も把握可能である。
重心動揺解析装置のハードウェア構成を示す図である。 重心動揺解析装置の概略図である。 転倒予測評価値の算出方法を示す図である。 転倒・転落アセスメントスコアシートを例示する図である。 急性期病棟100名を危険度Iが20名、危険度IIが52名、危険度IIIが28名に分類した表を各患者の総軌跡長・矩形面積とともに示す。 急性期病棟100名についての転倒予測評価値(マハラノビス汎距離)の一覧、危険度Iと危険度II+危険度IIIを判別するためのROC曲線、感度の判別率曲線と特異度の判別率曲線(縦軸:感度、特異度、横軸:転倒予測評価値)を示す。 軌跡長と矩形面積を組み合わせた評価法による転倒予測を示す。 軌跡長と矩形面積を組み合わせた評価法による転倒予測グラフを示す。 本実施形態に係る2次元判別図を示す。 本実施形態に係る3次元判別図を示す。 本実施形態に係る重心動揺解析装置による解析結果を示す図である。
[A]重心動揺解析装置の全体構成
図1に示すように、重心動揺解析装置は、重心動揺計(フォースプレート+重心座標取得手段)と、1つあるいは複数のコンピュータ(データを入力するための入力手段、処理されたデータを出力するための出力手段、主としてCPUから構成される演算手段/制御手段、所定のプログラム、入力データ、計測データ、算出データ等を記憶するROM、RAM等の記憶手段、これらを接続するバス、を備えている)と、計測データ、算出データ等の各種データを表示する表示部と、から構成することができる。図1では、コンピュータとして、タブレット端末が例示されている。表示部は前記コンピュータの構成要素であってもよい。重心動揺解析装置は、計測されたデータ、計算結果、表示結果等を出力するプリンタを備えていてもよい。
図2に示すように、本実施形態に係る重心動揺解析装置は、静止立位における被験者のXY平面上の重心座標の時系列データを取得する重心座標取得手段と、取得した重心座標を用いて軌跡長関連指標値を算出する手段と、取得した重心座標を用いて面積関連指標値を算出する手段と、被験者の転倒予測のための評価値を取得する転倒予測評価値取得手段と、を備え、前記転倒予測評価値取得手段は、静止立位における被験者について取得した軌跡長関連指標値及び面積関連指標値について、予め設定された軌跡長関連指標値及び面積関連指標値の基準値からのマハラノビス汎距離を算出し、算出したマハラノビス汎距離を転倒予測評価値とする。重心動揺解析装置において、転倒可能性の度合に対応して1つあるいは複数の判別値が用意されており、被験者固有の転倒予測評価値を前記判別値と比較して、当該被験者の転倒可能性の度合を判定する手段を備えている。重心解析装置の表示部には、第1の軸に軌跡長関連指標値をとり、第2の軸に面積関連指標値をとった2次元空間に前記1つあるいは複数の判別値を境界とする複数の領域を互いに識別可能に表示した2次元判別図が表示され、2次元判別図には被験者固有の転倒予測評価値がプロット可能となっている。
本実施形態に係る転倒危険度判定装置は、記憶部と、解析部と、表示部と、を備え、前記記憶部には、静止立位において被験者について取得した軌跡長関連指標値及び面積関連指標値と、軌跡長関連指標値及び面積関連指標値の基準値と、転倒可能性の度合に対応する1つあるいは複数の判別値と、が記憶されており、前記解析部は、被験者について取得した前記軌跡長関連指標値及び面積関連指標値について、前記基準値からのマハラノビス汎距離を算出し、算出したマハラノビス汎距離を転倒予測評価値とし、前記表示部には、第1の軸に軌跡長関連指標値をとり、第2の軸に面積関連指標値をとった2次元空間に前記1つあるいは複数の判別値を境界とする複数の領域を互いに識別可能に表示した2次元判別図が表示され、2次元判別図には被験者固有の転倒予測評価値がプロット可能となっている。
[B]重心動揺計
[B−1]重心動揺計の構成
重心動揺計は、被験者が載る足載せ台と、足載せ台の所定の複数箇所に作用する荷重を検出する荷重検出手段と、を備えるフォースプレートと、前記荷重データを用いてXY平面上の重心座標(COP)の時系列データを取得する重心座標取得手段と、を備えている。重心座標(COP)の時系列データから重心図(XY平面上にCOPの移動軌跡を表示した図:重心動揺X−Y記録)を取得することができる。
1つの実施形態では、フォースプレートは、平面視二等辺三角形状の形状を備えた可搬式のフォースプレートである。フォースプレートは、平面視二等辺三角形状の踏み台と、踏み台の3つの頂点の下方に位置して配置された3つのロードセル(荷重検知センサ)と、を備えている。ロードセルは3分力センサで、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の荷重出力を検出する。フォースプレートの形状や荷重センサの個数は限定されず、例えば、略四角形状の踏み板と、踏み板の四隅部に配置した4つのロードセルと、からなるフォースプレートを用いてもよい。
3つの荷重センサで取得された値から荷重の作用中心点(COP:Center of Pressure)が取得され、COPをXY座標上での重心位置とみなす。COPの座標は、踏み台(床面)の面方向のXY平面として、XY座標で取得される。各ロードセルで取得される荷重情報(z、y、z方向)は、逐次コンピュータに送信され、コンピュータの演算手段でCOPを逐次(0.01秒、0.005秒、0.001秒等の単位時間毎)求めることで、COP(XY座標値)の時系列データを取得することができる。重心位置の計算に用いた荷重情報及び得られた重心位置のデータ(XY座標値)は、取得時間と共に記憶手段に記憶され、測定開始時から測定終了時まで(例えば、60秒)の重心位置の経時的な移動軌跡が得られる。得られた移動軌跡は、表示手段に重心図として表示され、移動軌跡の形状や各パラメータ(指標値)が平衡機能検査に用いられる。
[B−2]転倒予測に関連する指標値
本実施形態では、軌跡長に関する指標値(以下、「軌跡長指標値」という)、面積に関する指標値(以下、「面積関連指標値」という)が用いられる。重心動揺解析装置は、重心座標取得手段によって取得されたXY平面上の重心座標の時系列データを用いて軌跡長関連指標値を計算する軌跡長関連指標値取得手段、及び、重心座標取得手段によって取得されたXY平面上の重心座標の時系列データを用いて面積関連指標値を計算する面積関連指標値取得手段を備えている。
軌跡長関連指標値には、総軌跡長、単位軌跡長が含まれる。
(ア)総軌跡長は、重心動揺の大きさを表す指標の一つであり、計測時間内の重心点の移動した全長を表す。
(イ)単位軌跡長は、計測時間内の重心の移動速度の平均値であり、総軌跡長/測定時間で表される。
総軌跡長、単位軌跡長の計算方法は当業者において良く知られており、また、市販の重心動揺計で取得できる指標値の1つであり、詳細な説明は省略する。
面積関連指標値には、矩形面積、外周面積、実効値面積、標準偏差面積が含まれる。
(ア)矩形面積は、重心図におけるX軸、Y軸の各軸の重心動揺の最大幅で囲まれる長方形の面積である。
(イ)外周面積は、重心図における重心動揺の軌跡の最外部によって囲まれる内側の面積である。
(ウ)実効値面積は、実効値(RMS)を半径とする円の面積である。
(エ)標準偏差面積は、X(左右)方向の動揺の標準偏差、Y(前後)方向の動揺の標準偏差をそれぞれ長短軸とする楕円の面積である。
矩形面積、外周面積、実効値面積、標準偏差面積の計算方法は当業者において良く知られており、また、市販の重心動揺計で取得できる指標値の1つであり、詳細な説明は省略する。
[C]転倒予測評価値
重心動揺解析装置は、被験者の転倒予測のための評価値を取得する転倒予測評価値取得手段を備えている。転倒予測評価値取得手段は、静止立位における被験者について取得した軌跡長関連指標値及び面積関連指標値について、予め設定された軌跡長関連指標値及び面積関連指標値の基準値からのマハラノビス汎距離を算出し、算出したマハラノビス汎距離を転倒予測評価値とする。前記基準値は、典型的には健常群の軌跡長関連指標値及び面積関連指標値から取得される。すなわち、被験者について得られた2変数(軌跡長関連指標値、面積関連指標値)の健常群から得られた2変数(軌跡長関連指標値、面積関連指標値)の群からのマハラノビス汎距離を求める。
マハラノビス汎距離の計算方法は当業者によく知られているが、以下に簡単に説明する。
1回の重心動揺検査で得られるパラメータからN個を抽出し、パラメータベクトルXを
とする。
このパラメータベクトルを任意のカテゴリ(正常、異常、病名、病巣部位等)についてM人分収集する。
このデータ群に対して、各項目ごとの平均値ベクトルは、
となる。
また、収集したパラメータベクトルの分散共分散行列は、
となる。
この平均値ベクトルと分散共分散行列、及び、パラメータの項目数Nによって最初に収集したカテゴリの単位空間が決定される。
任意の重心動揺検査結果が与えられた場合、このデータと単位空間とのマハラノビス汎距離Dは、
で求めることができる。
本実施形態では、20歳から50歳台の健常者81名について、静止立位(60秒間)で重心動揺検査を行い、軌跡長関連指標値(総軌跡長、単位軌跡長)、面積関連指標値(矩形面積、外周面積、実効値面積、標準偏差面積)を取得し、軌跡長関連指標値・面積関連指標値セットの群として、コンピュータの記憶部に記憶しておく。さらに、各軌跡長関連指標値の平均、各面積関連指標値の平均、各組み合わせの分散共分散行列の逆行列あるいは相関行列の逆行列を算出してコンピュータの記憶部に記憶しておく。
本実施形態では、上記健常者から取得した総軌跡長、矩形面積のデータセットの群を基準とする。各健常者の総軌跡長の平均、分散、矩形面積の平均、分散、分散共分散行列の逆行列(あるいは相関行列の逆行列)を算出して、コンピュータの記憶部に記憶しておく。マハラノビス汎距離を計算するための基準値は、典型的には、この計算に用いられる、総軌跡長、矩形面積のデータセットの群を代表する値(すなわち、平均、分散、分散共分散行列の逆行列あるいは相関行列の逆行列)である。なお、健常者群の総軌跡長データ、矩形面積のデータを基準値として、平均、分散、分散共分散行列の逆行列あるいは相関行列の逆行列と同時にマハラノビス汎距離を算出してもよい。
静止立位における被験者について取得した総軌跡長及び矩形面積について、予め設定された基準値からのマハラノビス汎距離を算出し、算出したマハラノビス汎距離を当該被験者についての転倒予測評価値とする。
[D]判定手段
[D−1]判別値
本実施形態では、長崎大学病院の急性期病棟100名について、「転倒・転落アセスメントスコアシート」を用いて、危険度の分類を行った。評価項目は、大項目11項目とその下位の小項目33項目からなり、合計45点で得点が高いほど危険度が高く、1〜9点を危険度I、10〜19点を危険度II、20点以上が危険度IIIと判定される(非特許文献1、図4)。危険度別の内訳は、危険度Iが20名、危険度IIが52名、危険度IIIが28名である(図5参照)。危険度Iと危険度2+3の判別曲線を描く場合、状態0に危険度Iを、状態1に危険度II+IIIを割り振るので、それぞれの状態の人数は、29人と52+28=80人となる。
上記急性期病棟100名について、総軌跡長、矩形面積を取得し、上記基準値(健常者から取得した総軌跡長、矩形面積のデータセットの群)からのマハラノビス汎距離を計算した。本実施形態では、判別値として、危険度IとIIの境界値として、危険度Iと危険度II+IIIを最も良く分離できる値(第1判別値)、危険度IIとIIIの境界値としては危険度IIと危険度IIIを最も良く分離できる値(第2判別値)を用いた。
最も良く分離できる値として、感度と特異度のクロスポイントを使用した。設定した第1判別値、第2判別値を用いた判定結果を表1、図7、図8に示す。ほぼ70%の確率で判別されていることがわかる。
[D−2]判別図
図9に示すように、縦軸を総軌跡長(cm)、横軸を矩形面積(cm)とした2次元平面が設定されており、健常者から取得した総軌跡長、矩形面積のデータセットの群の中心から等距離の点を結ぶと楕円形状となる。上述したように、転倒可能性の度合に対応して複数の判別値が用意されており、当該複数の判別値を楕円状の境界とする複数の領域を互いに識別可能に表示する2次元判別図がコンピュータの表示部に表示される。2次元判別図は、軌跡長、矩形面積の正常域を示す2次元グラフである。
図9では、4つの楕円状の境界が示してあり、中心に近い第1の楕円で囲まれる第1領域、第1の楕円と隣の第2の楕円で囲まれる第2領域、第2の楕円と隣の第3の楕円で囲まれる第3領域、第3の楕円と隣の第4の楕円で囲まれる第4領域、第4の楕円の外側の第5領域は、それぞれ異なる色に色分け(例えば、順に、青色、赤色、黄緑色、紫色、水色)されている。
2次元判別図において、楕円の中心から遠ざかる程、危険度が高くなる。図示の例では、危険度Iに相当する領域は汎距離が0〜10の領域(青+赤)、危険度IIに相当する領域は汎距離が10〜20の領域(黄緑+紫)、危険度IIIに相当する領域は汎距離が20以上の領域(水色)となっている。
図10に示すように、縦横軸の一方を総軌跡長(cm)、他方を矩形面積(cm)、縦軸をマハラノビス汎距離として、3次元空間が設定されており、前記3次元空間に前記複数の判別値を境界とする複数の領域を互いに識別可能に表示した3次元判別図がコンピュータの表示部に表示される。3次元判別図では、縦軸(深さ)が危険指標となり最も深い領域が健常者で浅くなるほど危険度が高くなる。この3次元判別図を真上から見た図が図9の2次元判別図である。
被験者について取得された被験者固有の転倒予測評価値は、図9に示す2次元判別図上にプロットされる。2次元判別図には、複数本の境界曲線が描かれ、計測データから得られた2つの評価値(例えば軌跡長と矩形面積)で決まる点がプロットされます。境界間の領域を色分けすることでプロットされた点がどの領域に含まれるか視覚的に用意に視認することができる。また、フィールドテストにおいて、同じ危険度IIIでも軌跡長が大きくて危険度IIIなのか、矩形面積が大きくて危険度IIIなのかによって、転倒しやすい場面(原因)が変わるという知見が得られており、このような判断が直ぐに出来ることも、本発明の2次元判別図における表記の特徴である。
図11に、本実施形態に係る重心動揺解析装置による解析結果の例を示す。この解析結果は、コンピュータの表示部に表示され、また、プリンタからの出力結果として得られる。図11には、被験者についての静止立位(開眼、20秒間)の重心動揺解析結果が表示されており、具体的には、被験者の転倒危険度判定結果(転倒危険度2)、被験者の転倒予測評価値(2次元判別図上では、被験者の総軌跡長51.9cm及び矩形面積8.8cmによって特定される)がプロットされた2次元判別図、被験者の重心図、被験者の総軌跡長(51.9cm)及び矩形面積(8.8cm)、被験者の重心動揺の経時的記録図が表示されている。

Claims (10)

  1. 静止立位における被験者のXY平面上の重心座標の時系列データを取得する重心座標取得手段と、
    取得した重心座標を用いて軌跡長関連指標値を算出する手段と、
    取得した重心座標を用いて面積関連指標値を算出する手段と、
    被験者の転倒予測のための評価値を取得する転倒予測評価値取得手段と、
    を備え、
    前記転倒予測評価値取得手段は、静止立位における被験者について取得した軌跡長関連指標値及び面積関連指標値について、予め設定された軌跡長関連指標値及び面積関連指標値の基準値からのマハラノビス汎距離を算出し、算出したマハラノビス汎距離を転倒予測評価値とするものである、
    重心動揺解析装置。
  2. 転倒可能性の度合に対応して1つあるいは複数の判別値が用意されており、
    被験者固有の転倒予測評価値を前記判別値と比較して、当該被験者の転倒可能性の度合を判定する手段を備えている、
    請求項1に記載の重心動揺解析装置。
  3. 第1の軸に軌跡長関連指標値をとり、第2の軸に面積関連指標値をとった2次元空間が設定されており、
    前記2次元空間に前記1つあるいは複数の判別値を境界とする複数の領域を互いに識別可能に表示した2次元判別図を表示する表示手段を備えている、
    請求項1、2いずれか1項に記載の重心動揺解析装置。
  4. 第1の軸に軌跡長関連指標値をとり、第2の軸に面積関連指標値をとり、第3の軸にマハラノビス汎距離をとった3次元空間が設定されており、
    前記3次元空間に前記1つあるいは複数の判別値を境界とする複数の領域を互いに識別可能に表示した3次元判別図を表示する表示手段を備えている、
    請求項1、2いずれか1項に記載の重心動揺解析装置。
  5. 前記表示手段において、被験者固有の転倒予測評価値が前記領域上にプロット可能となっている、
    請求項3、4いずれか1項に記載の重心動揺解析装置。
  6. 前記軌跡長関連指標値は、総軌跡長、単位時間軌跡長を含む第1群から選択された1つ以上の指標値であり、
    前記面積関連指標値は、矩形面積、外周面積、実効値面積、標準偏差面積を含む第2群から選択された1つ以上の指標値であり、
    前記転倒予測評価値は、第1群から選択された1つの指標値と第2群から選択された1つの指標値の組み合わせを用いて算出される、
    請求項1〜5いずれか1項に記載の重心動揺解析装置。
  7. 前記基準値は、静止立位における健常群の軌跡長関連指標値及び面積関連指標値から取得される、
    請求項1〜6いずれか1項に記載の重心動揺解析装置。
  8. 記憶部と、解析部と、表示部と、を備えた転倒危険度判定装置であって、
    前記記憶部には、静止立位において被験者について取得した軌跡長関連指標値及び面積関連指標値と、軌跡長関連指標値及び面積関連指標値の基準値と、転倒可能性の度合に対応する1つあるいは複数の判別値と、が記憶されており、
    前記解析部は、被験者について取得した前記軌跡長関連指標値及び面積関連指標値について、前記基準値からのマハラノビス汎距離を算出し、算出したマハラノビス汎距離を転倒予測評価値とし、
    前記表示部には、第1の軸に軌跡長関連指標値をとり、第2の軸に面積関連指標値をとった2次元空間に前記1つあるいは複数の判別値を境界とする複数の領域を互いに識別可能に表示した2次元判別図が表示され、2次元判別図には被験者固有の転倒予測評価値がプロット可能となっている、
    転倒危険度判定装置。
  9. 前記軌跡長関連指標値は、総軌跡長、単位時間軌跡長を含む第1群から選択された1つ以上の指標値であり、
    前記面積関連指標値は、矩形面積、外周面積、実効値面積、標準偏差面積を含む第2群から選択された1つ以上の指標値であり、
    前記転倒予測評価値は、第1群から選択された1つの指標値と第2群から選択された1つの指標値の組み合わせを用いて算出される、
    請求項8に記載の転倒危険度判定装置。
  10. 前記基準値は、静止立位における健常群の軌跡長関連指標値及び面積関連指標値から取得される、
    請求項8、9いずれか1項に記載の転倒危険度判定装置。
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