以下では、図1を用いて、本発明に係る電力供給システムの第一実施形態である電力供給システム1の構成について説明する。
電力供給システム1は、建築物(本実施形態においては住宅)に設けられ、商用電源2や蓄電池15等からの電力を負荷へと供給するものである。電力供給システム1は、主として連携分電盤11、第一電力経路12、燃料電池13、第二電力経路14、蓄電池15、太陽電池16、パワコン17、第三電力経路18、第四電力経路19、第五電力経路20、第六電力経路21、変圧器22、出力切替盤23、第一スイッチ部24及び制御装置25を具備する。
連携分電盤11は、供給されてくる電力を負荷へと分配するもの(分電盤)である。連携分電盤11は、負荷(後述する一般負荷3等)に接続され、当該負荷の要求(消費電力)に応じて電力を分配することができる。
なお、連携分電盤11の構成についての詳細な説明は後述する。
第一電力経路12は、電力を流通させるための経路である。第一電力経路12は、導線等で構成される。第一電力経路12の一側端部は、商用電源2に接続される。第一電力経路12の他側端部は、連携分電盤11に接続される。
燃料電池13は、水素等の燃料を用いて発電する装置である。燃料電池13は、固体酸化物型の燃料電池(SOFC)である。燃料電池13は、図示せぬ貯湯ユニットを具備し、発電時に発生する熱を用いて当該貯湯ユニット内で湯を沸かすことができる。燃料電池13は、第一電力経路12を介して連携分電盤11に供給される電力を検出する検出部(不図示)を具備する。燃料電池13は、前記検出部により電力が検出できなかった場合(すなわち、例えば停電時に、第一電力経路12を介して連携分電盤11に電力が供給されなかった場合等)に、発電が停止される。
第二電力経路14は、電力を流通させるための経路である。第二電力経路14は、導線等で構成される。第二電力経路14の一側端部は、連携分電盤11に接続される。第二電力経路14の他側端部は、燃料電池13に接続される。
蓄電池15は、電力を充放電可能に構成されるものである。蓄電池15は、リチウムイオン電池等により構成される。
太陽電池16は、太陽光を利用して発電可能に構成されるものである。太陽電池16は、図示せぬ太陽電池パネル等により構成される。太陽電池16は、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
パワコン17は、いわゆるハイブリッドパワーコンディショナである。パワコン17は、太陽電池16で発電された電力を出力可能に構成される。また、パワコン17は、蓄電池15に充電された電力を出力可能に構成される。また、パワコン17は、所定の電力を蓄電池15に出力(充電)可能に構成される。
パワコン17は、停電時(商用電源2からの電力が供給不能な非常時)には、自立運転モードが実行され、自立出力(蓄電池15又は太陽電池16から電力を取り出し)可能に構成される。自立運転モードは、停電が発生した場合に、後述する制御装置25によって自動的に(又は、住宅の居住者による手動の操作によって)実行される。
第三電力経路18は、電力を流通させるための経路である。第三電力経路18は、導線等で構成される。第三電力経路18の一側端部は、第一電力経路12の中途部(第一接点31)に接続される。第三電力経路18の他側端部は、パワコン17に接続される。
第四電力経路19は、電力を流通させるための経路である。第四電力経路19は、導線等で構成される。第四電力経路19の一側端部は、パワコン17に接続される。第四電力経路19の他側端部は、蓄電池15に接続される。
第五電力経路20は、電力を流通させるための経路である。第五電力経路20は、導線等で構成される。第五電力経路20の一側端部は、太陽電池16に接続される。第五電力経路20の他側端部は、第四電力経路19の中途部に接続される。
第六電力経路21は、電力を流通させるための経路である。第六電力経路21は、導線等で構成される。第六電力経路21の一側端部は、後述する変圧器22に接続される。第六電力経路21の他側端部は、第一電力経路12の中途部(第二接点32)に接続される。なお、第二接点32は、第一電力経路12において第一接点31よりも連携分電盤11側に配置される。
変圧器22は、パワコン17から入力された電力(100V)を200V(商用電源2からの電力と同一の電圧)に変圧(昇圧)して出力するものである。変圧器22は、所定の電力経路を介してパワコン17に接続される。
出力切替盤23は、主として第一スイッチ35と、第二スイッチ36と、を具備する。
第一スイッチ35は、電力の流通の可否を切り替えるものである。第一スイッチ35は、第一電力経路12において第二接点32と第一接点31との間に配置される。第一スイッチ35がONに切り替えられた場合、電力が当該第一スイッチ35を流通可能となる。また、第一スイッチ35がOFFに切り替えられた場合、電力が当該第一スイッチ35を流通不能となる。
第二スイッチ36は、電力の流通の可否を切り替えるものである。第二スイッチ36は、第六電力経路21の中途部に配置される。第二スイッチ36がONに切り替えられた場合、電力が当該第二スイッチ36を流通可能となる。また、第二スイッチ36がOFFに切り替えられた場合、電力が当該第二スイッチ36を流通不能となる。
なお、出力切替盤23においては、第一スイッチ35及び第二スイッチ36の一方がONに切り替えられると、第一スイッチ35及び第二スイッチ36の他方がOFFに切り替えられる。
第一スイッチ部24は、電力の流通の可否を切り替えるものである。第一スイッチ部24は、第三電力経路18の中途部に配置される。第一スイッチ部24がONに切り替えられた場合、電力が当該第一スイッチ部24を流通可能となる。また、第一スイッチ部24がOFFに切り替えられた場合、電力が当該第一スイッチ部24を流通不能となる。
なお、第一スイッチ部24は、出力切替盤23において第一スイッチ35がONに切り替えられ、第二スイッチ36がOFFに切り替えられた場合に、ONに切り替えられる。また、第一スイッチ部24は、出力切替盤23において第一スイッチ35がOFFに切り替えられ、第二スイッチ36がONに切り替えられた場合に、OFFに切り替えられる。このような構成により、第一スイッチ部24がOFFに切り替えられた場合、蓄電池15は商用電源2から解列される。
制御装置25は、電力供給システム1内の情報を管理し、当該電力供給システム1を構成する各機器を制御するものである。本実施形態においては、制御装置25として、住宅等に設けられたHEMS(Home Energy Management System)が用いられる。制御装置25は、住宅内に構築されたネットワークを通じて各機器(パワコン17や、蓄電池15、太陽電池16、変圧器22、連携分電盤11、出力切替盤23、第一スイッチ部24等)や、図示せぬ電力センサ等と接続され、これらの動作の態様に関する情報を取得すると共に、当該動作を制御することができる。なお、前記動作には、第一スイッチ部24や、出力切替盤23の第一スイッチ35及び第二スイッチ36のONとOFFとの切り替え等が含まれる。制御装置25は、停電が発生した場合に、当該停電の発生に関する情報を取得することができる。
以下では、図2及び図3を用いて、電力供給システム1における電力の供給態様の概略について説明する。
まず、図2を用いて、通常時(停電が発生していない時)における電力供給システム1における電力の供給態様の概略について説明する。
通常時においては、出力切替盤23の第一スイッチ35がONに切り替えられ、第二スイッチ36がOFFに切り替えられる。また、第一スイッチ部24がONに切り替えられる。
こうして、通常時においては、商用電源2からの電力が第一電力経路12を介して連携分電盤11に供給される。また、蓄電池15から放電された電力が、第四電力経路19を介してパワコン17から出力され、第三電力経路18及び第一電力経路12を介して連携分電盤11に供給される。また、太陽電池16で発電された電力が、第五電力経路20及び第四電力経路19を介してパワコン17から出力され、第三電力経路18及び第一電力経路12を介して連携分電盤11に供給される。また、燃料電池13で発電された電力が、第二電力経路14を介して連携分電盤11に供給される。
なお、通常時においては、商用電源2からの電力は、第一電力経路12及び第三電力経路18を介してパワコン17に供給され、当該パワコン17により第四電力経路19を介して蓄電池15に充電されてもよい(不図示)。
次に、図3を用いて、停電時における電力供給システム1における電力の供給態様の概略について説明する。
停電時においては、出力切替盤23の第一スイッチ35がOFFに切り替えられ、第二スイッチ36がONに切り替えられる。また、第一スイッチ部24がOFFに切り替えられる。
こうして、停電時においては、蓄電池15から放電された電力が、第四電力経路19を介してパワコン17から出力され、変圧器22、第六電力経路21及び第一電力経路12を介して連携分電盤11に供給される。また、燃料電池13で発電された電力が、第二電力経路14を介して連携分電盤11に供給される。なお、太陽電池16で発電された電力が、第五電力経路20及び第四電力経路19を介してパワコン17から出力され、変圧器22、第六電力経路21及び第一電力経路12を介して連携分電盤11に供給されてもよい。
以下では、図4を用いて、連携分電盤11の構成について詳細に説明する。
ここで、図4においては、商用電源2から住宅内に引き込まれる電力は、単相三線式の配電方式により連携分電盤11に供給されるものとして、図示している。具体的には、連携分電盤11と商用電源2とを接続する第一電力経路12は、中性相と、一対の電圧相と、により構成される。また、連携分電盤11と燃料電池13とを接続する第二電力経路14は、2つの電路により構成される。
また、本実施形態において負荷とは、住宅内の各電化製品を総括したものであり、連携分電盤11から分配された電力を受けて動作するものを指している。前記負荷は、一般負荷3と、自立負荷4と、に区分される。
一般負荷3とは、停電時において電力を供給する必要性が低いものである。例えば、一般負荷3には、住宅のリビング以外の部屋の照明等が想定される。これに対して、自立負荷4とは、停電時において電力を供給する必要性が高いものである。例えば、自立負荷4には、住宅のリビングの照明や、冷蔵庫等が想定される。図4に示すように、一般負荷3は、自立負荷4よりも下流側に配置される。なお、自立負荷4とは、本発明に係る重要負荷の一実施形態である。
なお、住宅内に備えられた電化製品に関する情報、すなわち住宅の各部屋のコンセント等に接続された電化製品に関する情報は、制御装置25に予め記憶されている。
こうして、連携分電盤11は、供給されてくる電力を、負荷としての自立負荷4及び一般負荷3へと分配することができる。図4に示すように、連携分電盤11は、主として自立回路部61、自立負荷用開閉器62、一般回路部63、一般負荷用開閉器64、第一開閉器65及び第二開閉器66を具備する。
自立回路部61は、連携分電盤11に供給された電力を、前記負荷のうち自立負荷4に分配するための分岐回路である。自立回路部61は、所定の電力経路を介して第一電力経路12に接続される。こうして、第一電力経路12を介して連携分電盤11に供給された電力は、まず自立回路部61に供給される。自立回路部61には、自立負荷4aから4hが接続されている。
なお、自立回路部61は、第二電力経路14等を介して燃料電池13と接続される。こうして、燃料電池13で発電された電力は、自立回路部61に供給され、当該自立回路部61で自立負荷4aから4hへと分配することができる。
自立負荷用開閉器62は、自立回路部61と自立負荷4aから4hとを接続する電力経路に設けられる。自立負荷用開閉器62は、自立回路部61から自立負荷4aから4hに供給される電力の流通を遮断可能に構成される。自立負荷用開閉器62の動作は、制御装置25により制御される。
一般回路部63は、連携分電盤11に供給された電力を、前記負荷のうち一般負荷3に分配するための分岐回路である。一般回路部63は、所定の電力経路を介して自立回路部61に接続される。すなわち、第一電力経路12を介して連携分電盤11に供給された電力は、自立回路部61を介して一般回路部63に供給される。一般回路部63には、一般負荷3aから3hが接続されている。
一般負荷用開閉器64は、一般回路部63と一般負荷3aから3hとを接続する電力経路に設けられる。一般負荷用開閉器64は、一般回路部63から一般負荷3aから3hに供給される電力の流通を遮断可能に構成される。一般負荷用開閉器64の動作は、制御装置25により制御される。
第一開閉器65は、自立回路部61と第一電力経路12とを接続する電力経路の中途部に設けられる。第一開閉器65は、過電流や漏電等が検出された場合に、第一電力経路12を介して連携分電盤11に供給される電力の流通を遮断可能に構成される。第一開閉器65の動作は、制御装置25により制御される。
第二開閉器66は、自立回路部61と一般回路部63とを接続する電力経路の中途部に設けられる。第二開閉器66は、自立回路部61を介して一般回路部63に供給される電力の流通を遮断可能に構成される。第二開閉器66の動作は、制御装置25により制御される。
以下では、連携分電盤11において、負荷へと電力を分配する態様(以下では単に「電力の分配態様」と称する)について詳細に説明する。
なお、以下では説明の便宜上、負荷(自立負荷4aから4h、及び一般負荷3aから3h)としての電化製品が、待機(稼動可能な状態であって特定の動作を行っていない)状態である場合には、電力が供給されておらず、使用(特定の動作を行っている)状態である場合には、電力が供給されているものとする。
まず、図5を用いて、通常時における電力の分配態様について説明する。
図5に示すように、商用電源2からの電力が第一電力経路12を介して連携分電盤11に供給されると、当該電力が第一開閉器65を介して自立回路部61に供給される。また、燃料電池13で発電された電力が第二電力経路14を介して連携分電盤11に供給されると、当該電力が自立回路部61に供給される。こうして、自立回路部61には、商用電源2及び燃料電池13からの電力が供給される。
自立回路部61に供給された電力は、当該自立回路部61により分配され、自立負荷4aから4hのうち使用状態である自立負荷(本実施形態においては、自立負荷4a及び4b)に供給される。
このように、通常時において、使用状態である自立負荷4a及び4bは、商用電源2や燃料電池13から供給された電力によって当該使用状態を維持することができる。
また、自立回路部61に供給された電力は、一般回路部63に接続された一般負荷3aから3hのうち使用状態である一般負荷(本実施形態においては、一般負荷3aから3d)の要求(消費電力)に応じて、第二開閉器66を介して当該一般回路部63に供給される。こうして、一般回路部63には、商用電源2及び燃料電池13からの電力が、自立回路部61を介して供給される。
一般回路部63に供給された電力は、当該一般回路部63により分配され、使用状態である一般負荷3aから3dに供給される。
このように、通常時において、使用状態である一般負荷3aから3dは、自立回路部61を介して商用電源2や燃料電池13から供給された電力によって当該使用状態を維持することができる。
以上のように、通常時における電力の分配態様においては、商用電源2や燃料電池13から供給された電力によって、使用状態である全ての負荷(自立負荷4a及び4b、並びに一般負荷3aから3d)の使用状態が維持される。こうして、住宅の居住者は、通常時においては、例えば住宅のリビングの照明や冷蔵庫(自立負荷4)を使用したり、住宅のリビング以外の照明(一般負荷3)を使用したりすることができる。
次に、図6を用いて、停電時における電力の分配態様(第一態様)について説明する。
図6に示すように、停電が発生した場合、商用電源2から電力が供給不能となり、蓄電池15から放電された電力が自立運転モードのパワコン17から出力され、第一電力経路12等を介して連携分電盤11に供給される。また、制御装置25により第二開閉器66が制御され、自立回路部61を介して一般回路部63に供給される電力の流通が遮断される。
このような停電時において、蓄電池15からの電力が第一電力経路12等を介して連携分電盤11に供給されると、当該電力が第一開閉器65を介して自立回路部61に供給される。また、燃料電池13で発電された電力が第二電力経路14を介して連携分電盤11に供給されると、当該電力が自立回路部61に供給される。こうして、自立回路部61には、蓄電池15及び燃料電池13からの電力が供給される。
自立回路部61に供給された電力は、当該自立回路部61により分配され、使用状態である自立負荷4a及び4bに供給される。
このように、停電時において、使用状態である自立負荷4a及び4bは、蓄電池15や燃料電池13から供給された電力によって当該使用状態を維持することができる。
なお、自立回路部61に供給された電力は、第二開閉器66によって電力の流通が遮断されているため、一般回路部63に接続された使用状態である一般負荷3aから3dの要求にもかかわらず、一般回路部63に供給されない。すなわち、一般負荷3aから3dは使用状態を維持できず、特定の動作が停止される。
ここで、停電時における蓄電池15及び燃料電池13からの電力量は、通常時における商用電源2等からの電力量とは異なり、使用可能な量が少ない。これに対して、電力供給システム1においては、停電時において、蓄電池15及び燃料電池13からの電力を一般負荷3aから3dに供給させないことにより、使用状態である自立負荷4a及び4bの消費電力が賄えなくなるのを防止している。
以上のように、停電時における電力の分配態様(第一態様)においては、蓄電池15及び燃料電池13から供給された電力によって、使用状態であった全ての負荷(自立負荷4a及び4b、並びに一般負荷3aから3d)のうち、自立負荷4a及び4bの使用状態が維持される。また、使用状態であった全ての負荷のうち、一般負荷3aから3dの使用状態が維持されない。すなわち、停電時においては、一般負荷3aから3dへと電力を分配するための流路が遮断されることにより、連携分電盤11に供給された電力が、一般負荷3aから3dよりも優先的に自立負荷4a及び4bに分配される。
こうして、住宅の居住者は、停電時においては、例えば住宅のリビング以外の照明(電力を供給する必要性が低い一般負荷3)を使用することができないが、住宅のリビングの照明や冷蔵庫(電力を供給する必要性が高い自立負荷4)を使用することができる。すなわち、電力を供給する必要性が低い住宅のリビング以外の照明を使用しないため、電力を供給する必要性が高い住宅のリビングの照明や冷蔵庫が使用できなくなるのを回避することができる。
なお、停電時における電力の分配態様(第一態様)においては、制御装置25により第二開閉器66が制御され、一般回路部63に供給される電力の流通が遮断される構成としたが、この構成に限定されない。
例えば、制御装置25が、蓄電池15及び燃料電池13から連携分電盤11に供給可能な供給可能電力量、使用状態である自立負荷4a及び4bの消費電力量、使用状態である一般負荷3aから3dの消費電力を算出すると共に、前記供給可能電力量が自立負荷4a及び4bの消費電力量と一般負荷3aから3dの消費電力との和よりも大きいと判定した場合(すなわち、前記供給可能電力量に余剰が生じると判定した場合)には、一般回路部63に供給される電力の流通を遮断しない構成としてもよい。このように、停電が発生した場合であっても、住宅の居住者等が設定した任意の条件を具備した場合に、一般回路部63に供給される電力の流通を遮断しない構成としてもよい。
次に、図7及び図8を用いて、停電時における電力の分配態様(第二態様)について説明する。
第二態様において、第一態様と異なる点は、制御装置25により一般負荷用開閉器64が制御され、一般回路部63から一般負荷3aから3hに供給される電力の流通が遮断される点である。
図7に示すように、自立回路部61に供給された電力は、第二開閉器66を介して一般回路部63に流通可能である。しかしながら、一般回路部63から一般負荷3aから3dへと電力が流通不能な状態となっている。したがって、自立回路部61に供給された電力が一般回路部63に供給されたとしても、当該電力は一般負荷3aから3dに分配されない。すなわち、一般負荷3aから3dは使用状態を維持できず、特定の動作が停止される。
このような状態において、制御装置25は、蓄電池15及び燃料電池13から連携分電盤11に供給可能な供給可能電力量、使用状態である自立負荷4a及び4bの消費電力量、使用状態であった一般負荷3aから3dのそれぞれの消費電力を算出する。そして、制御装置25は、算出した結果に基づいて、使用状態であった一般負荷3aから3dのうち、電力を供給して再び使用状態とした場合であっても自立負荷4a及び4bへの電力の供給が妨げられない一般負荷(本実施形態においては、一般負荷3a及び3b)を選出する。
そして、図8に示すように、制御装置25は、一般負荷3a及び3bと一般回路部63とを接続する電力経路に設けられる一般負荷用開閉器64を制御し、当該一般回路部63から一般負荷3a及び3bへと電力が流通可能な状態とする。
これによって、自立回路部61に供給された電力は、一般回路部63に接続された一般負荷3a及び3bの要求(消費電力)に応じて、第二開閉器66を介して当該一般回路部63に供給される。こうして、一般回路部63には、蓄電池15及び燃料電池13からの電力が、自立回路部61を介して供給される。一般回路部63に供給された電力は、当該一般回路部63により分配され、一般負荷3a及び3bに供給される。すなわち、一般負荷3a及び3bは、電力の供給によって再び使用状態となる。
以上のように、停電時における電力の分配態様(第二態様)においては、蓄電池15及び燃料電池13から供給された電力によって、使用状態であった全ての負荷(自立負荷4a及び4b、並びに一般負荷3aから3d)のうち、まず自立負荷4a及び4bの使用状態が維持される。そして、使用状態であった全ての負荷のうち、一般負荷3aから3dの使用状態が一旦解消される。そして、自立負荷4a及び4bの使用状態が妨げられない範囲で、一般負荷(本実施形態においては、一般負荷3a及び3b)が再び使用状態となる。こうして、住宅の居住者は、停電時においては、例えば住宅のリビングの照明や冷蔵庫(電力を供給する必要性が高い自立負荷4)の使用をまず確保したうえで、住宅のリビング以外の照明等(電力を供給する必要性が低い一般負荷3)を使用することができる。
なお、停電時における電力の分配態様(第二態様)においては、自立負荷(本実施形態においては、自立負荷4a及び4b)への電力の供給が妨げられない一般負荷(本実施形態においては、一般負荷3a及び3b)が選出される構成であるが、当該選出に対して自立負荷の優先順位を考慮する構成としてもよい。なお、本実施形態において優先順位は、住宅の居住者等が任意に設定することができる。
例えば、一般負荷3a及び3bの合計の消費電力量が、一般負荷3cの消費電力量と同一である場合であって、且つ一般負荷3cの優先順位が一般負荷3a及び3bよりも高い場合には、一般負荷3a及び3b(すなわち、2つの一般負荷3)ではなく、一般負荷3c(すなわち1つの一般負荷3)を再び使用状態とする。こうして、住宅の居住者は、停電時においては、例えば住宅のリビングの照明や冷蔵庫(電力を供給する必要性が高い一般負荷3)の使用をまず確保したうえで、住宅のリビング以外の照明等(電力を供給する必要性が低い一般負荷3)のうち、優先順位が高いものを使用することができる。なお、前記優先順位は、制御装置25に予め記憶されている。
また、優先順位は、一般負荷3aから3hだけでなく、電力を供給する必要性が高い自立負荷4aから4hに対して設定される構成としてもよい。
例えば停電時において、自立負荷4a及び4bが使用状態である場合であって、且つ自立負荷4aの優先順位が自立負荷4bの優先順位よりも高い場合に、蓄電池15の充電電力量が減少したならば、自立負荷4bと自立回路部61とを接続する電力経路に設けられる自立負荷用開閉器62を制御し、当該自立回路部61から自立負荷4bへと供給される電力の流通を遮断することができる。すなわち、住宅の居住者は、停電時においては、例えば住宅のリビングの照明や冷蔵庫(電力を供給する必要性が高い自立負荷4)のうち、最も重要な電化製品(自立負荷4)の使用をまず確保したうえで、その他の電化製品(自立負荷4)を使用することができる。
以上のように、本発明に係る電力供給システムの第一実施形態である電力供給システム1においては、
負荷へと電力を分配する連携分電盤11と、
商用電源2からの電力を充放電可能であって、前記商用電源2から電力が供給不能な停電時に前記商用電源2から解列され、放電した電力を前記連携分電盤11に供給可能な蓄電池15と、
前記蓄電池15の充放電を制御する制御装置25と、
を具備する電力供給システムであって、
前記負荷は、自立負荷4(重要負荷)と、前記自立負荷4よりも下流側に配置される一般負荷3と、を含み、
前記制御装置25は、
前記停電時以外の通常時において、前記連携分電盤11に供給された電力を、前記連携分電盤11により前記自立負荷4及び前記一般負荷3に分配し、
前記停電時において、前記一般負荷3へと電力を分配するための流路を遮断することにより、前記連携分電盤11に供給された電力を、前記一般負荷3よりも優先的に前記自立負荷4に分配するものである。
このような構成により、停電時において、蓄電池15から放電される電力を、より適切に負荷(一般負荷3及び自立負荷4)へと供給することができる。
また、電力供給システム1においては、
前記連携分電盤11は、前記自立負荷4に電力を分配するための自立回路部61(重要回路部)と、前記自立回路部61よりも下流側に設けられて前記一般負荷3に電力を分配するための一般回路部63と、を含み、
前記自立回路部61と前記一般回路部63との間に設けられ、前記制御装置25の制御により電力流通の可否を切り替え可能な第二開閉器66をさらに具備し、
前記制御装置25は、
前記通常時において、前記第二開閉器66を電力流通可能に切り替え、
前記停電時において、前記第二開閉器66を電力流通不能に切り替えるものである。
このような構成により、自立負荷4に、一般負荷3よりも優先的に電力を供給することができる。
また、電力供給システム1においては、
前記制御装置25は、
前記停電時において、前記自立負荷4の消費電力量と、前記一般負荷3の消費電力量と、前記自立回路部61に供給可能な供給可能電力量と、を算出可能であり、
前記自立負荷4の消費電力量に対して前記供給可能電力量が余剰する場合には、
前記第二開閉器66を電力流通可能に切り替えて、余剰した電力を前記自立回路部61から前記一般回路部63に供給して前記一般回路部63により前記一般負荷3に分配可能であるものである。
このような構成により、余剰した電力を一般負荷3に供給することができる。
また、電力供給システム1においては、
前記一般負荷3は、複数設けられると共に、それぞれに優先順位が設定され、
前記制御装置25は、
前記余剰した電力を前記一般負荷3に分配する場合に、複数の前記一般負荷3のうち前記優先順位が高い一般負荷3から優先的に前記余剰した電力を分配するものである。
このような構成により、余剰した電力を複数の一般負荷3のうち優先順位が高い一般負荷3に供給することができる。
また、電力供給システム1においては、
発電可能な燃料電池13をさらに具備し、
前記燃料電池13は、
前記自立回路部61と前記一般回路部63とのうち、前記自立回路部61に優先的に電力を供給可能に設けられるものである。
このような構成により、燃料電池13で発電される電力を、より適切に負荷(一般負荷3及び自立負荷4)へと供給することができる。
以下では、図9を用いて、本発明に係る電力供給システムの第二実施形態である電力供給システム101の構成について説明する。
第二実施形態において、第一実施形態と異なる点は、連携分電盤11ではなく、一般分電盤81を具備する点である。
一般分電盤81は、連携分電盤11とは異なり、供給されてくる電力を自立負荷4及び一般負荷3を区別することなく、全ての負荷に平等に分配するものである。このような構成により、一般分電盤81に供給された電力を、全ての負荷に平等に供給することができる。
なお、このような構成においては、停電時において、負荷の消費電力量が一般分電盤81に供給される電力量よりも大きくなり、負荷への電力供給が遮断される可能性がある。したがって、停電時においては、制御装置25によって、負荷の消費電力量及び一般分電盤81に供給される電力量を監視し、当該負荷の消費電力が一般分電盤81に供給される電力量よりも大きくなると判定した場合には、当該判定した結果を住宅の居住者に報知するように構成される。
以下では、図10を用いて、本発明に係る電力供給システムの第三実施形態である電力供給システム201の構成について説明する。
第三実施形態において、第一実施形態と異なる点は、連携分電盤11の自立回路部61に相当する回路部を有する分電盤(以下では「自立分電盤91」と称する)と、連携分電盤11の一般回路部63に相当する回路部を有する分電盤(以下では「一般分電盤92」と称する)と、を相互に異なる場所に設けた点である。
自立分電盤91は、前記負荷のうち自立負荷4が接続される(不図示)分電盤である。自立分電盤91は、第一電力経路12の他側端部に接続される。
一般分電盤92は、前記負荷のうち一般負荷3が接続される(不図示)分電盤である。一般分電盤92は、電力を流通させるための経路である第八電力経路95を介して自立分電盤91に接続される。
また、燃料電池13が、電力を流通させるための経路である第九電力経路96を介して、第八電力経路95における自立分電盤91と一般分電盤92との間に接続される。
また、第八電力経路95の中途部であって、第九電力経路96との接続部よりも一般分電盤92側には、第二スイッチ部97が配置される。第二スイッチ部97は、電力の流通の可否を切り替えるものである。第二スイッチ部97がONに切り替えられた場合、電力が当該第二スイッチ部97を流通可能となる。また、第二スイッチ部97がOFFに切り替えられた場合、電力が当該第二スイッチ部97を流通不能となる。
まず、図11を用いて、電力供給システム201の通常時における電力の供給態様について説明する。
図11に示すように、商用電源2や蓄電池15等からの電力が第一電力経路12を介して自立分電盤91に供給される。こうして、自立分電盤91に供給された電力は、当該自立分電盤91により分配され、自立負荷4に供給される(不図示)。
また、通常時において第二スイッチ部97はONに切り替えられる。こうして、自立分電盤91に供給された電力は、一般分電盤92に接続された一般負荷3の要求(消費電力)に応じて、当該一般分電盤92に供給される。また、燃料電池13で発電された電力は、第八電力経路95を介して一般分電盤92に供給される。こうして、一般分電盤92に供給された電力は、当該一般分電盤92により分配され、一般負荷3に供給される(不図示)。
このように、通常時において、商用電源2や燃料電池13等からの電力が自立負荷4に供給され、例えば住宅のリビングの照明や冷蔵庫(自立負荷4)を使用することができる。また、燃料電池13や、商用電源2及び燃料電池13等からの電力が一般分電盤92に供給され、例えば住宅のリビング以外の照明(一般負荷3)を使用することができる。
次に、図12を用いて、電力供給システム201の停電時における電力の供給態様について説明する。
図12に示すように、停電が発生した場合、商用電源2から電力が供給不能となり、蓄電池15から放電された電力が自立運転モードのパワコン17から出力され、第一電力経路12等を介して自立分電盤91に供給される。また、制御装置25により第二スイッチ部97が制御され、一般分電盤92への電力の流通が遮断される。
このように、停電時には、蓄電池15からの電力が第一電力経路12等を介して自立分電盤91に供給される。また、一般分電盤92への電力の流通が遮断された状態であるため、燃料電池13で発電された電力の全てが、自立分電盤91に供給される。こうして、自立分電盤91に供給された電力は、当該自立分電盤91により分配され、自立負荷4に供給される(不図示)。これに対して、一般分電盤92に電力が供給されないため、一般負荷3に電力が供給されない。
以上のように、電力供給システム201の停電時における電力の供給態様においては、蓄電池15及び燃料電池13からの電力が自立負荷4に供給され、住宅の居住者は、例えば住宅のリビングの照明や冷蔵庫(電力を供給する必要性が高い自立負荷4)を使用することができる。すなわち、電力を供給する必要性が低い住宅のリビング以外の照明(電力を供給する必要性が低い一般負荷3)を使用することによって電力が不足し、電力を供給する必要性が高い住宅のリビングの照明や冷蔵庫が使用できなくなるのを回避することができる。
なお、図13に示すように、電力供給システム201においては、第二蓄電池115を具備する構成としてもよい。第二蓄電池115は、電力を充放電可能に構成されるものである。第二蓄電池115は、リチウムイオン電池等により構成される。第二蓄電池115は、自立分電盤91と所定の電力経路を介して接続される。また、第二蓄電池115は、第八電力経路95の中途部であって、第二スイッチ部97よりも一般分電盤92側に所定の電力経路を介して接続される。
第二蓄電池115は、自立分電盤91から分配された電力を充電することができる。また、第二蓄電池115は、電力を放電して一般分電盤92に供給することができる。このような構成により、停電時に第二蓄電池115に充電された電力を一般分電盤92に供給し、例えば住宅のリビング以外の照明(一般負荷3)を使用することができる。
なお、本実施形態において電力供給システム1・101・201は住宅に設けられているが、本発明に係る電力供給システムは、住宅だけでなく、店舗やオフィスビル、マンション等、種々の建築物に採用することができる。
また、本発明に係る制御装置は、住宅等に設けられたHEMSに限定するものではなく、例えば図示せぬホームサーバ等の制御手段や、スイッチ部、蓄電池15の制御部、燃料電池13の制御部等により構成されるものでもよい。
また、本発明に係る燃料電池は、燃料電池13(SOFC)に限定するものではなく、例えば、PEFC(固体高分子形燃料電池)等、種々の方式のものを用いることが可能である。